JP2013023674A - 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて製造されたコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、輸送、保管、取り扱いが容易で、コイルの乾燥性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)エポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物、および(D)硬化促進剤を必須成分とする絶縁ワニスであって、前記(A)エポキシエステル樹脂および前記(B)反応性希釈剤の合計量100質量部に対して前記(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物を3〜8質量部含有する熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車、車両、電気機器などに搭載されるモーターや発電機などに組み込まれるコイルの含浸用として好適であり、安全性が高い環境対応型の熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて製造されたコイルに関する。
従来、モーターや発電機などに組み込まれるコイルにおいては、巻線を保護するために絶縁ワニスによる絶縁処理が行われている。この絶縁処理によって、巻線の絶縁の他、巻線の物理的支持、巻線からの発熱のスロット壁への伝達、ワイヤーのピンホールや加工傷の被覆などの様々な機能がコイルに付与されている。
絶縁ワニスとして、コイルへの含浸性を向上させるために、ポリエステル樹脂などを反応性希釈剤や低沸点溶剤で希釈し、低粘度化したものが使用されている。しかしながら、このような絶縁ワニスは、消防法に定める危険物の第5類自己反応性物質に該当する有機過酸化物を含み、また揮発成分を多く含むため、輸送や保管時における容量が制限され、また作業環境において脱臭気設備や防爆仕様の乾燥機を必要とするなどコスト的にも大きな負担となっている。また、コイルに絶縁ワニスを含浸させ、硬化させる際の乾燥時間が長いと、処理できるコイルの数量が限られる。
粉体塗料をポリマーに分散させたコイル含浸用電気絶縁材料(例えば、特許文献1参照)や無溶剤形ワニスなども開発されているが、粉体塗料ではコイルへの含浸が不十分であり、無溶剤形ワニスは無溶剤であっても危険物に分類されるものであった。また、特定の反応性希釈剤の含有割合を規定したVOC(VOC:Volatile organic compounds、揮発性有機化合物)の低減された水溶性のワニスも提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、出願人らは、非水性であって引火点を持たず、危険物に該当せず、安全性の高いワニスを提案している(例えば、特許文献3参照)。
特開平5−214169号公報 特開2009−277541号公報 特開2009−62518号公報
しかしながら、いずれも有機過酸化物を含んでおり、またコイルの乾燥性が十分に改善されていない。本発明は上記課題を解決するためになされたもので、消防法に定める危険物の第5類自己反応性物質に該当する有機過酸化物を必要とせず、安全性が高く、輸送、保管、取り扱いが容易で、コイルの乾燥性に優れた熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて製造されたコイルを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定組成の熱硬化性樹脂組成物が、有機過酸化物を使用しなくても、コイル含浸用の絶縁ワニスとして優れた性能を有することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物およびコイルを提供するものである。 1.(A)エポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物、および(D)硬化促進剤を必須成分とする絶縁ワニスであって、前記(A)エポキシエステル樹脂および前記(B)反応性希釈剤の合計量100質量部に対して前記(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物を3〜8質量部含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
2.前記(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物がポリオキシエチレンモノメチルモノアリルエーテルまたはポリオキシエチレンジアリルエーテルであることを特徴とする上記1記載の熱硬化性樹脂組成物。
3.前記熱硬化性樹脂組成物は有機過酸化物を含まない上記1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
4.未含浸コイルに上記1乃至3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、乾燥、硬化させてなることを特徴とするコイル
本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、所定の組成とすることで、有機過酸化物の使用を省略することができ、結果として、取扱いを容易とし、製造設備や保管設備における取り扱い数量を大幅に増加させることができる。また、従来の有機過酸化物と有機溶媒とを含む絶縁ワニスなどに比べて乾燥性が良好となることから、乾燥時間を短くすることができる。従って、多くのコイルを処理することができ、コイル製品の生産性やコストの低下を図ることができる。また、安定性が高く、可使時間が長いことから、作業性も向上させることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物によるコイルの含浸処理方法を概略的に説明する説明図である。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて製造されたコイルの実施形態について説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物、および(D)硬化促進剤を必須成分とする絶縁ワニスであることを特徴とする。また、(A)エポキシエステル樹脂および(B)反応性希釈剤の合計量100質量部に対して(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物を3〜8質量部含有することを特徴とする。
このような熱硬化性樹脂組成物によれば、有機過酸化物の使用を省略することができ、結果として、取扱いを容易とし、製造設備や保管設備における取り扱い数量を大幅に増加させることができる。また、従来の有機過酸化物と有機溶媒とを含む絶縁ワニスなどに比べて乾燥性が良好であることから、乾燥時間を短くすることができる。従って、多くのコイルを処理することができ、コイル製品の生産性やコストの低下を図ることができる。また、安定性が高く、可使時間が長いことから、作業性も向上させることができる。
(A)エポキシエステル樹脂は、酸成分とエポキシ成分とをエステル化触媒により反応させて得られるものである。このようなエポキシエステル樹脂は、硬化性および硬化物性能が良好であることから、熱硬化性樹脂組成物における樹脂成分として好適に用いられる。
酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸などの不飽和一塩基酸が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、必要に応じて、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、アジピン酸などの二塩基酸を、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。酸成分としては、特に上記した不飽和一塩基酸と二塩基酸とを併用することが好ましく、不飽和一塩基酸100質量部に対して二塩基酸を100〜200質量部の割合で使用することが好ましい。
エポキシ成分としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、分子構造、分子量などは特に制限されることなく、各種のものを広く使用することができる。具体的には、ビスフェノール型、ノボラック型、ビフェニル型などの芳香族基を有するエポキシ樹脂、ポリカルボン酸をグリシジルエステル化したエポキシ樹脂、シクロヘキサン誘導体とエポキシが縮合した脂環式のエポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記した酸成分としての不飽和一塩基酸および二塩基酸と、エポキシ成分としてのエポキシ樹脂とをCOOH基/エポキシ基のモル比が約1/1になるように仕込んで反応させることによりエポキシエステル樹脂が得られる。
(B)反応性希釈剤としては、不飽和基を1分子中に1個以上有するモノマーであれば制限なく使用することができる。例えば、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、ブチルスチレンなどのスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のメタクリル酸またはアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシメタクリル酸エチル、ヒドロキシアクリル酸エチル、ジアリルフタレート、アクリルアミド、フェニルマレイドなどがある。このうちスチレン、スチレン誘導体好適に用いられる。これらの反応性モノマーは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
反応性モノマーの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体中、30〜90質量%が好ましく、35〜70質量%がより好ましい。反応性モノマーの含有量を30質量%以上とすることで、熱硬化性樹脂組成物の粘度を適正とし、コイル含浸性を良好とすることができる。また、反応性モノマーの含有量を90質量%以下とすることで、硬化物の機械強度を十分なものとすることができる。
(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物は、ポリオキシエチレン単位を有するものであって、少なくとも一方の末端にアリル基が導入された化合物である。末端アリル化ポリオキシエチレン化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレンジアリルエーテルや、一方の末端がアルコキシ化されたアルコキシポリオキシエチレンモノアリルエーテル等の末端アリル化ポリオキシエチレン類;ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)モノアリルエーテル、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアリルエーテルや、一方の末端がアルコキシ化されたアルコキシポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)モノアリルエーテル等の末端アリル化オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体などが挙げられる。これらの末端アリル化ポリオキシエチレン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
末端アリル化ポリオキシエチレン化合物としては、上記したものを特に制限なく用いることができるが、通常、平均分子量が100〜3000のものが好ましく、200〜700のものが好ましい。また、上記したものの中でも引火点が高く混合時の作業性に優れたポリオキシエチレンモノメチルモノアリルエーテル(引火点190℃)、ポリオキシエチレンジアリルエーテル(引火点232℃)が好ましく用いられる。
末端アリル化ポリオキシエチレン化合物は、(A)エポキシエステル樹脂および(B)反応性希釈剤の合計量100質量部に対して3〜8質量部含有させる。末端アリル化ポリオキシエチレン化合物の含有量を3質量部以上とすることで、ゲル化するまでの時間であるゲルタイムを有効に短縮できるとともに、熱硬化性樹脂組成物をコイルに含浸、乾燥させるときの乾燥性を良好にすることができる。また、末端アリル化ポリオキシエチレン化合物の含有量を8質量部以下とすることで、40℃程度の比較的低温で保持したときの安定性を高めることができ、可使時間を長くして作業性を良好にできる。
(D)硬化促進剤としては、金属石鹸が好適なものとして挙げられる。金属石鹸を用いることにより、反応性モノマーの反応開始温度を低下させ、熱硬化性樹脂組成物のゲル化を促進させることができる。金属石鹸としては、「油性ドライヤー」の名称で市販されているものが用いることができる。金属石鹸の具体例としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸マンガンなどが挙げられ、これらは2種類以上を混合して使用してもよい。
硬化促進剤は、樹脂成分100質量部に対し、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜2質量部がより好ましい。硬化促進剤の含有量を0.001質量部以上とすることで、ゲルタイムを効果的に短縮することができる。また、硬化促進剤の含有量を5質量部以下とすることで、ゲルタイムが過度に短くなることによりコイルへの含浸中にゲル化してしまうことを抑制することができ、コイルへの含浸性を良好にできる。
熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、絶縁粉末を配合することができる。絶縁粉末としては、シリカ粉末、アルミナ粉末、マグネシア粉末、チタニア粉末などの金属酸化物粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物粉末、その他、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウムなどが挙げられる。
絶縁粉末の含有量は、必ずしも制限されるものではないが、含有させる場合、熱硬化性樹脂組成物の全体中、1〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。絶縁粉末の含有量を1質量%以上とすることで、絶縁粉末の添加効果を有効に発揮させることができる。また、絶縁粉末の含有量を50質量%以下とすることで、熱硬化性樹脂組成物の粘度が過度に高くなることを抑制し、コイルへの含浸性等を良好にすることができる。
さらに、熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、ハイドロキノン、メトキノン、p−t−ブチルカテコールおよびピロガロールなどの重合禁止剤、着色剤、沈降防止剤などを配合することもできる。これらはいずれも単独または2種以上混合して用いることができる。重合禁止剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の安定性、硬化温度、硬化時間により適宜決定することができるが、例えば、熱硬化性樹脂組成物の全体中、0.1質量%以下が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、その成分が異なる以外は公知のコイル含浸用の熱硬化性樹脂組成物と同様の製造方法によって製造することができる。例えば、必須成分である(A)エポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物、および(D)硬化促進剤に加えて、必要に応じて加えられる他の成分を配合した後、均一になるまで十分に撹拌混合することにより製造することができる。
このような熱硬化性樹脂組成物は、乾燥時間が15分以下であることが好ましい。このような乾燥時間とすることにより、多くのコイルを処理することができ、コイル製品の生産性やコストの低下を図ることができる。乾燥時間は、コイル製品の生産性やコストの低下の観点から、10分以下がより好ましい。なお、乾燥時間は、JIS C 2105に準拠し、熱硬化性樹脂組成物5gをブリキプレートに塗布し120℃に加熱後、樹脂が手に付着しなくなるまでの時間である。
また、熱硬化性樹脂組成物は、ゲルタイムが5分以内であることが好ましい。このようなゲルタイムとすることにより、多くのコイルを処理することができ、コイル製品の生産性やコストの低下を図ることができる。ゲルタイムは、コイル製品の生産性やコストの低下の観点から、3分以下がより好ましい。なお、ゲルタイムは、JIS C 2105に準拠し、熱硬化性樹脂組成物10gを試験管に入れ、150℃にてゲル化するまでの時間である。
さらに、熱硬化性樹脂組成物は、可使時間が3日以上であることが好ましい。このような可使時間とすることにより、保存安定性を良好とし、作業性を良好とすることができる。なお、可使時間は、熱硬化性樹脂組成物10gを試験管に入れ、40℃にて保持したときのゲル化するまでの日数である。
このような熱硬化性樹脂組成物は、自動車、車両、または産業用機器等の電気機器等における電気・電子部品、具体的には、モーター、例えばステータ、発電機、トランスなどにおけるコイルの絶縁に好適に用いることができる。
コイルの絶縁は、従来のコイル含浸用の熱硬化性樹脂組成物と同様、未含浸コイルに熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、乾燥、硬化させることにより行うことができる。含浸方法としては、特に限定されるものではなく、従来の含浸方法、例えば滴下含浸法などを適用することができる。以下、含浸方法について、一例を挙げて説明する。
図1は、熱硬化性樹脂組成物によるコイルの含浸方法の一例を説明する説明図である。未含浸コイル1は、例えば、ステータコア11に図示しないボビンを介して絶縁被覆を有するステータ巻線12が巻線加工されたステータ巻線付きステータコアである。
含浸処理は、まず未含浸コイル1が水平になるように内部治具(チャック)2で保持する。その後、例えば、未含浸コイル1を矢印5の方向に回転させつつ、その両方のコイルエンド部分1aにノズル3から熱硬化性樹脂組成物4を滴下する滴下含浸法により含浸処理を行い、ステータ巻線12相互間およびステータ巻線12とステータコア11の図示しないスロット壁との間に熱硬化性樹脂組成物を含浸させる。
このようにして熱硬化性樹脂組成物が含浸されたものは、120〜180℃で15〜60分間、好ましくは140〜160℃で20〜40分間加熱し、熱硬化性樹脂組成物を乾燥硬化させ、絶縁層(不図示)を形成させる。このような含浸処理により、熱硬化性樹脂組成物が十分に含浸されたコイルを得ることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
フラスコ中にビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱化学製「jER807」)31g、メタクリル酸(三菱レイヨン化学製「メタクリル酸」)10g、無水フタル酸(川崎化成工業製「無水フタル酸」)15gを入れ、80〜120℃で反応させ、酸価10mgKOH/gのエポキシエステル樹脂を得た。得られたエポキシエステル樹脂に重合禁止剤(精工化学製「ハイドロキノン」)0.05g、反応性希釈剤としてスチレン(旭化成製「スチレン」)44g、末端アリル化ポリオキシエチレン化合物としてポリオキシエチレンモノメチルモノアリルエーテル(日油製「ユニオックスPKA−5007」、平均分子量400)7g、および硬化促進剤として金属石鹸であるナフテン酸コバルト(大日本インキ化学工業社製「Co−NAPHTHENATE」)0.1gを加え、均一になるまで撹拌混合して絶縁ワニスとしての熱硬化性樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性樹脂組成物について以下に示すような評価を行った。結果を第1表に示す。
(1)ゲルタイム
JIS C 2105に準拠し、熱硬化性樹脂組成物10gを試験管に入れ、150℃にてゲル化するまでの時間を測定した。
(2)乾燥性(乾燥時間)
JIS C 2105に準拠し、熱硬化性樹脂組成物5gをブリキプレートに塗布し120℃に加熱後、樹脂が手に付着しなくなるまでの時間を測定した。
(3)安定性(可使時間)
熱硬化性樹脂組成物10gを試験管に入れ、40℃にて保持したときのゲル化するまでの日数を測定した。
(4)コイル特性
未含浸コイルとして、ステータコアにボビンを介して絶縁被覆を有するステータ巻線を巻線加工し、ステータ巻線付きステータコアを製造した。なお、絶縁被覆を有するステータ巻線は直径が0.8mmのものを用い、ステータコアのスロット内におけるステータ巻線の占有率は70%となるように調整した。製造されたステータ巻線付きステータコア全体の質量は20kgfであった。
図1に示すように、未含浸コイルを水平に保持して、両方のコイルエンド部分にノズルから熱硬化性樹脂組成物を滴下する滴下含浸法で処理を行い、ステータ巻線相互間およびステータ巻線とステータコアのスロット壁との間に熱硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、150℃で15分間加熱して乾燥硬化させて絶縁層を形成させることにより、コイル(熱硬化性樹脂組成物含浸コイル)を得た。
得られたコイルの表面を指触にて評価するとともに、外観を目視にて評価した。指触による評価は、ベタつきのないものを「○」、ベタつきはあるが手に付着しないものを「△」、手に付着するものを「×」とした。また、外観の評価は、クラックのないものを「○」、クラックのあるものを「×」とした。
実施例2〜5および比較例1〜7
表1に示すような配合成分および配合割合とし、実施例1と略同様にしてエポキシエステル樹脂を含有する実施例2〜5、および比較例1〜5の熱硬化性樹脂組成物を調製した。別途、エポキシエステル樹脂を含有しない比較例6、7の熱硬化性樹脂組成物を調製した。そして、これらの実施例2〜5、および比較例1〜7の熱硬化性樹脂組成物について、実施例1の熱硬化性樹脂組成物と同様の評価を行った。結果を表1に併せて示す。なお、その他の使用材料は以下に示す通りである。
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三菱化学製「JER828」
(2)無水マレイン酸:日本触媒製「無水マレイン酸」
(3)エチレングリコール:三菱化学製「エチレングリコール」
(4)プロピレングリコール:旭硝子製「プロピレングリコール」
(5)2−ヒドロキシエチルメタクリレート:三菱瓦斯化学製「2−HEMA」
(6)ポリオキシエチレンジアリルエーテル:日油製「ユニオックスAA−480R」、平均分子量500
(7)t−ブチルパーオキシベンゾエート:日油製「パーブチルZ」
Figure 2013023674
表1から明らかなように、エポキシエステル樹脂、反応性希釈剤、末端アリル化ポリオキシエチレン化合物、および硬化促進剤を必須成分として含有するとともに、エポキシエステル樹脂および反応性希釈剤の合計量100質量部に対して末端アリル化ポリオキシエチレン化合物を3〜8質量部含有する実施例1〜5の熱硬化性樹脂組成物については、樹脂特性、すなわち、ゲルタイム、乾燥性、および安定性が良好であり、またコイル特性、すなわち、表面特性、クラックの抑制も良好となることが認められる。
一方、硬化剤を含有しない比較例1の熱硬化性樹脂組成物、および末端アリル化ポリオキシエチレン化合物を含有するが、その含有量が過度に少ない比較例2の熱硬化性樹脂組成物については、ゲルタイム、乾燥性が十分でなくなることが認められる。また、末端アリル化ポリオキシエチレン化合物の含有量が過度に多い比較例3の熱硬化性樹脂組成物については、安定性が低下することが認められる。さらに、有機過酸化物を含有するもののうち、その含有量が少ない比較例4の熱硬化性樹脂組成物については乾燥性が低下し、含有量が多い比較例5の熱硬化性樹脂組成物については可使時間が短くなることが認められる。また、ポリエステル樹脂を含有する比較例6、7の熱硬化性樹脂組成物については、乾燥性が低くなり、またコイルの表面にべたつきが発生しやすいことが認められる。
1…未含浸コイル、1a…コイルエンド部分、2…内部治具(チャック)、3…ノズル、4…熱硬化性樹脂組成物、11…ステータコア、12…ステータ巻線

Claims (4)

  1. (A)エポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物、および(D)硬化促進剤を必須成分とする絶縁ワニスであって、
    前記(A)エポキシエステル樹脂および前記(B)反応性希釈剤の合計量100質量部に対して前記(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物を3〜8質量部含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(C)末端アリル化ポリオキシエチレン化合物がポリオキシエチレンモノメチルモノアリルエーテルまたはポリオキシエチレンジアリルエーテルである請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記熱硬化性樹脂組成物は有機過酸化物を含まない請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 未含浸コイルに請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、乾燥、硬化させてなることを特徴とするコイル。
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