JP2017036270A - アクリル酸誘導体の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクリル酸誘導体及びアルコールを含有する組成物から当該アルコールを効率的に除去する精製方法の提供。【解決手段】式(I)で表されるアクリル酸誘導体、及び式(II)で表されるアルコールを含有する組成物Aを、酸無水物と接触させて、前記アルコールをエステル化合物に変換する工程を含む方法。[R1及びR2はアルキル基、フルオロアルキル基、置換/非置換のアリール基、ハロゲン原子又は水素原子;R3はアルキル基、フルオロアルキル基、置換/非置換のアリール基又はH;Xはアルキル基、フルオロアルキル基、ハロゲン原子又はH]R4−OH[R4はC1〜6のアルキル基]【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル酸誘導体の精製方法、特に、アクリル酸誘導体、及びアルコールを含有する組成物から当該アルコールを除去することを特徴とするアクリル酸誘導体の精製方法に関する。
アクリル酸誘導体は、(1)吸水性ポリマーの原料、(2)無機ガラスの代用品として、建築物若しくは乗物の窓材、照明器具のカバー、提灯看板、道路標識、日用品、事務用品、工芸品、及び腕時計の風防などに利用されるアクリル樹脂の原料、並びに(3)アクリル樹脂塗料の原料として広く使用されている。アクリル酸誘導体のなかでも、含フッ素アクリル酸誘導体は、医薬(例えば、抗生物質)の合成中間体、光学繊維のさや材料用の合成中間体、塗料用材料の合成中間体、半導体レジスト材料の合成中間体、及び機能性高分子の単量体等として有用である。
アクリル酸誘導体の製造方法としては、イソブチレンやプロピレンを酸化することでアクリル酸誘導体を製造する方法やエチレンやプロピン等を原料として遷移金属触媒を用いて製造する方法が知られている。
また、含フッ素アクリル酸誘導体の製造方法としては、例えば、特許文献1には、2−フルオロプロピオン酸エステルをラジカル開始剤の存在下に、窒素−臭素結合を有する臭素化剤と反応させる方法が開示されている。また、特許文献2には、3−ハロ−2−フルオロプロピオン酸誘導体を、少なくとも一種の塩基の存在下、及び少なくとも一種の重合禁止剤の存在下で、置換された2−フルオロアクリル酸誘導体へ転化させる方法が開示されている。また、特許文献3には、式(1):
[当該式中、
Rは1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
[当該式中、
Xは臭素原子又は塩素原子を表す。]
で表される化合物を、
遷移金属触媒、及び塩基の存在下で、
式(3):
R−OH (3)
(当該式中、
Rは1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。)
で表されるアルコール及び一酸化炭素
と反応させて前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む
製造方法が開示されている。
特開2011−001340号公報 特表2012−530756号公報 特開2014−062092号公報
アクリル酸誘導体の製造において、目的物であるアクリル酸誘導体を含有する組成物中に、アルコールが混在する場合がある。
当該アルコールは、アクリル酸誘導体を、前述した、医薬(例えば、抗生物質)の合成中間体、光学繊維のさや材料用の合成中間体、塗料用材料の合成中間体、半導体レジスト材料の合成中間体、及び機能性高分子の単量体等の用途に用いる場合、所望する反応に悪影響を与える虞がある。
このような場合、アクリル酸誘導体、及びアルコールを含有する組成物からアルコールを除去することが必要である。
本発明は、アクリル酸誘導体(I)を効率的に精製する方法、具体的には、アクリル酸誘導体(I)、及びアルコールを含有する組成物からアルコールを効率的に除去する方法を提供することを目的とする。
一般に、有用化合物から不純物を除去する方法としては、例えば、(1)当該不純物をそのまま除去する方法、及び(2)当該不純物を他の成分と反応させて他の化合物に変換して除去する方法が考えられる。
しかし、当該(1)の方法では、しばしば、有用化合物と不純物との構造、及び物性が似ていることに起因して、蒸留等の慣用の方法では、当該不純物をそのまま除去できないことがある。
当該(2)の方法では、このような問題を回避できる場合があるが、当該他の成分自体、及び/又は当該他の化合物が新たな不純物となりうる点で、問題がある。特にこの問題は、医薬品、又は電子材料等の製造のような、極めて高い純度が要求される分野では、大きな問題になるので、このような場合には、当該(2)の方法は避けられる傾向が強い。
従って、本発明は、効率が高く、且つ前記のような新たな不純物の混入が高度に抑制された、新たな、アクリル酸誘導体の精製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、
式(I):
[式中、
、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、
は、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は水素原子を表し、及び
Xは、アルキル基、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。]
で表されるアクリル酸誘導体(本明細書中、アクリル酸誘導体(I)と称する場合がある。)
の精製方法であって、
前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体、及び
式(II):
−OH
[式中、Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
で表されるアルコール(本明細書中、アルコール(II)と称する場合がある。)を含有する組成物Aを、酸無水物(本明細書中、酸無水物(III−0)と称する場合がある。)と接触させて、前記式(II)で表されるアルコールを前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体の沸点よりも高い沸点を有するエステル化合物(本明細書中、エステル化合物(IV)と称する場合がある。)に変換する工程A、及び
前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体と当該エステル化合物とを、蒸留により分離する工程B
を含む、方法
によって、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
式(I):
[式中、
、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、
は、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は水素原子を表し、及び
Xは、アルキル基、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。]
で表されるアクリル酸誘導体
の精製方法であって、
前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体、及び
式(II):
−OH
[式中、Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
で表されるアルコールを含有する組成物Aを、酸無水物と接触させて、前記アルコールを前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体の沸点よりも高い沸点を有するエステル化合物に変換する工程A
を含む、方法。
項2.
前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体と当該エステル化合物とを、蒸留により分離する工程Bを更に含む項1に記載の方法。
項3.
が、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基である項1又は2に記載の方法。
項4.
が、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基である項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
項5.
が、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基である項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
項6.
Xが、炭素数1〜20のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、又は水素原子である項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
項7.
が、炭素数1〜6のアルキル基である項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
項8.
前記酸無水物が環状酸無水物である項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
項9.
前記酸無水物が、式(III−a):
[式中、Rは、2価の炭化水素基を表す。]
で表される化合物である項8に記載の方法。
項10.
前記酸無水物が、無水コハク酸、又は無水フタル酸である項9に記載の方法。
項11.
前記組成物Aが、更に含ヘテロ原子有機溶媒を含有し、前記工程Bの分離後に、前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体、及び含ヘテロ原子有機溶媒を含有する組成物Bが得られる項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
項12.
前記組成物Bから、含ヘテロ原子有機溶媒を分離回収する項11に記載の方法。
項13.
式(I):
[式中、
、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、
は、アルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は水素原子を表し、及び
Xは、アルキル基、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。]
で表されるアクリル酸誘導体
の製造方法であって、
前記項1〜12のいずれか1項に記載の精製方法により、前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体を精製することを含む製造方法。
本発明によれば、アクリル酸誘導体(I)を効率的に精製する方法、具体的には、アクリル酸誘導体(I)、及びアルコール(II)を含有する組成物から当該アルコール(II)を効率的に除去する方法が提供される。
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に解される。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中の工程、処理、又は操作は、特に限定されない限り、室温で実施され得る。
本明細書中、「1価の炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状、或いはこれらの組み合わせの構造を有することができる。
本明細書中、「1価の炭化水素基」は、飽和、又は不飽和の1価の炭化水素基であることができる。
本明細書中、「1価の炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、及びアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、「アルキル基」(当該用語「アルキル基」は、「フルオロアルキル基」等における「アルキル基」の部分を包含する。)は、環状、直鎖状、又は分枝鎖状のアルキル基であることができる。
本明細書中、「アルキル基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4、又は炭素数1〜3のアルキル基であることができる。
本明細書中、「アルキル基」として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、及びヘキシル基等の直鎖状、又は分枝鎖状のアルキル基が挙げられる。
本明細書中、「アルキル基」として、具体的には、また、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシル等の炭素数3〜6の環状のアルキル基(シクロアルキル基)が挙げられる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例、1〜3個、1〜6個、1〜12個、1個から置換可能な最大数)であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4、又は炭素数1〜3のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基(例、HCFCFCH−)、ヘキサフルオロプロピル基(例、(CFCH−)、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基(例、HCFCFCFCFCH−)、及びトリデカフルオロヘキシル基等が挙げられる。
本明細書中、「アルケニル基」は、例えば、炭素数2〜20、炭素数2〜12、炭素数2〜6、炭素数2〜4、又は炭素数2〜3のアルケニル基であることができる。
本明細書中、「アルケニル基」として、具体的には、例えば、ビニル、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−1−イル、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、及び5−へキセン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、「アリール基」としては、例えば、フェニル基、及びナフチル基等が挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
本明細書中、「アルコキシ基」は、アルキル−O−基である。
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、アルカノイル基(すなわち、アルキル−CO−基)等が挙げられる。
本明細書中、「エステル基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基(すなわち、アルキル−CO−O−基)、及びアルコキシカルボニル基(すなわち、アルキル−O−CO−基)等が挙げられる。
本明細書中、「2価の炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状、或いはこれらの組み合わせの構造を有することができる。
本明細書中、「2価の炭化水素基」は、飽和、又は不飽和の2価の炭化水素基であることができる。
本明細書中、「2価の炭化水素基」としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数3〜12のシクロアルキレン基、及び炭素数3〜12のシクロアルケニレン基等が挙げられる。
前記「2価の炭化水素基」が、その全部、又はその一部として環状構造を有する場合、当該環状構造の環は、芳香環(例、ベンゼン環)、又は非芳香環であることができる。
アクリル酸誘導体(I)の精製方法
以下に、本発明の、アクリル酸誘導体(I)の精製方法を詳細に説明する。
本発明の精製方法では、主成分であるアクリル酸誘導体(I)、及び不純物であるアルコール(II)を含有する組成物A(すなわち、粗精製のアクリル酸誘導体(I))からアルコール(II)の少なくとも一部を除去して、精製されたアクリル酸誘導体(I)を得る。
精製の目的物
本発明の精製方法で精製される目的物は、前記アクリル酸誘導体(I)である。
以下に、前記アクリル酸誘導体(I)を表す式(I)中の記号を説明する。
、R、及びRでそれぞれ表される「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」における置換基の好ましい例としては、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、エステル基、シアノ基、ニトロ基、及びフルオロアルキル基が挙げられ、より好ましい例としては、フッ素原子が挙げられる。
当該「置換基」の数は、好ましくは、0個(すなわち、無置換)、1個、2個、又は3個である。
は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜12、より好ましくは、炭素数1〜6、更に好ましくは、炭素数1〜4、より更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1、又は2)のアルキル基、又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基であり、及びより好ましくは、水素原子である。
は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜12、より好ましくは、炭素数1〜6、更に好ましくは、炭素数1〜4、より更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1、又は2)のアルキル基、又は炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜12、より好ましくは、炭素数1〜6、更に好ましくは、炭素数1〜4、より更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1、又は2)のフルオロアルキル基であり、及びより好ましくは、水素原子である。
は、好ましくは、炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜12、より好ましくは、炭素数1〜6、更に好ましくは、炭素数1〜4、より更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1、又は2)の直鎖状アルキル基であり、より好ましくはメチル基、又はエチル基であり、及び更に好ましくはメチル基である。
Xは、好ましくは、炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜12、より好ましくは、炭素数1〜6、更に好ましくは、炭素数1〜4、より更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1、又は2)のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、又は水素原子であり、より好ましくは、メチル基、水素原子、又はフッ素原子であり、及び更に好ましくはフッ素原子である。
前記式(I)において、
好ましくは、Rが炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜12、より好ましくは、炭素数1〜6、更に好ましくは、炭素数1〜4、より更に好ましくは、炭素数1〜3、特に好ましくは、炭素数1、又は2)の直鎖状アルキル基であり、且つXは、好ましくはメチル基、又はフッ素原子であり;
より好ましくはRがメチル基、又はエチル基(更に好ましくはメチル基)であり、且つXは、メチル基、又はフッ素原子である。
前記式(I)において、
好ましくは、
は、水素原子であり、
は、水素原子であり、
は、メチル基、又はエチル基(より好ましくは、メチル基)であり、且つ
Xは、メチル基、水素原子、又はフッ素原子(より好ましくは、フッ素原子)
である。
本発明において、アクリル酸誘導体(I)は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
アクリル酸誘導体(I)は、好ましくは、30〜160℃の範囲内、より好ましくは、50〜130℃の範囲内、更に好ましくは、60〜110℃の範囲内の沸点を有する。
精製の除去対象物
本発明の精製方法の除去対象物は、アルコール(II)である。本発明の精製方法により、少なくとも、アルコール(II)の一部が除去される。当該精製においては、より多くのアルコール(II)が除去されることが好ましい。
本発明の精製方法では、アルコール(II)とともに、これ以外の不純物が除去されてもよい。
処理対象物
本発明の精製方法の処理対象物は、前記アクリル酸誘導体(I)、及び前記アルコール(II)を含有する組成物A(すなわち、粗精製のアクリル酸誘導体(I))である。
前記アルコール(II)は、前記アクリル酸誘導体(I)に由来してもよい。例えば、前記アルコール(II)は、前記アクリル酸誘導体(I)の加水分解物であってもよい。Rは、Rと同一であってもよい。
前記アルコール(II)を表す式(II)における記号を以下に説明する。
は、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、及び更に好ましくは、メチル基、又はエチル基である。すなわち、本発明の特に好適な一態様において、前記式(II)で表されるアルコールは、好ましくは、メタノール、又はエタノールである。
本発明において、アルコール(II)は、1種単独であってもよく、又は2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の精製方法の処理対象物である組成物Aの製造方法、及び由来は、特に限定されない。
組成物Aが含有するアクリル酸誘導体(I)は、例えば、反応生成物であることができる。
組成物Aが含有するアルコール(II)は、例えば、アクリル酸誘導体(I)の製造のための反応溶媒、又はアクリル酸誘導体(I)の製造における副生成物であることができる。
組成物Aにおけるアクリル酸誘導体(I)の含有量は、例えば、3〜50質量%の範囲内、又は5〜20質量%の範囲内であることができる。
組成物Aにおけるアルコール(II)の含有量は、例えば、3〜50質量%の範囲内、又は5〜20質量%の範囲内であることができる。
組成物Aにおけるアルコール(II)の含有量は、例えば、アクリル酸誘導体(I)の1重量部に対して、0.1〜3重量部、又は0.3〜2重量部であることができる。
組成物Aは、更に、その他の成分を含有していてもよい。
工程A
工程Aでは、アクリル酸誘導体(I)、及びアルコール(II)を含有する組成物Aを、酸無水物(III−0)と接触させて、前記アルコール(II)をエステル化合物(IV)に変換する。
組成物Aを、酸無水物(III−0)に接触させる方法は、組成物A中のアルコール(II)が当該酸無水物(III−0)と接触できる限り、特に限定されず、当該接触の態様は、例えば、
(a)組成物Aに酸無水物(III−0)を添加すること、及び
(b)酸無水物(III−0)の存在下で組成物Aを生じさせること
を包含する。
酸無水物(III−0)は、鎖状酸無水物であってもよく、又は環状酸無水物であってもよい。
酸無水物(III−0)の例は、
(a)カルボン酸無水物、
(b)スルホン酸無水物、及び
(c)カルボン酸及びスルホン酸の無水物
等を包含する。
前記「(a)カルボン酸無水物」の具体例は、
(i)無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水クロトン酸、及び無水安息香酸等の鎖状酸無水物;
(ii)無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、5,6−ジヒドロキシ−1,4−ジチイン−2,3ジカルボンサン無水物、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、及び無水ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の環状酸無水物;並びに
(iii)これらのハロゲン化物
を包含する。
当該ハロゲン化物の例は、ジフルオロ酢酸無水物、パーフルオロプロピオン酸無水物、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸無水物、無水ペンタフルオロプロピオン酸、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン二酸無水物、テトラフルオロこはく酸無水物、及びトリフルオロ酢酸無水物を包含する。
前記「(b)スルホン酸無水物」の例は、
(i)メタンスルホン酸無水物、エタンスルホン酸無水物、プロパンスルホン酸無水物、ブタンスルホン酸無水物、ペンタンスルホン酸無水物、ヘキサンスルホン酸無水物、ビニルスルホン酸無水物、ベンゼンスルホン酸無水物等の鎖状スルホン酸無水物;
(ii)1,2−エタンジスルホン酸無水物、1,3−プロパンジスルホン酸無水物、1,4−ブタンジスルホン酸無水物、1,2−ベンゼンジスルホン酸無水物等の環状スルホン酸無水物;並びに
(iii)これらのハロゲン化物
を包含する。
前記鎖状酸無水物の例は、式(III−0a):
−X−O−X−R (III-0a)
[式中、
は、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基を表し、
は、カルボニル基、又はスルホニル基を表し、
は、カルボニル基、又はスルホニル基を表し、及び
は、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基を表す。]
で表される化合物を包含する。
前記「(c)カルボン酸及びスルホン酸の無水物」の例は、
(i)酢酸メタンスルホン酸無水物、酢酸エタンスルホン酸無水物、酢酸プロパンスルホン酸無水物、プロピオン酸メタンスルホン酸無水物、プロピオン酸エタンスルホン酸無水物、プロピオン酸プロパンスルホン酸無水物等の鎖状酸無水物;
(ii)3−スルホプロピオン酸無水物、2−メチル−3−スルホプロピオン酸無水物、2,2−ジメチル−3−スルホプロピオン酸無水物、2−エチル−3−スルホプロピオン酸無水物、2,2−ジエチル−3−スルホプロピオン酸無水物、2−スルホ安息香酸無水物等の環状酸無水物;並びに
(iii)これらのハロゲン化物
を包含する。
、及びRでそれぞれ表される「1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基」における「1価の炭化水素基」の例は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、及び炭素数7〜20のアリールアルキル基を包含する。
前記環状酸無水物の例は
式(III−0c):
[式中、
は、カルボニル基、又はスルホニル基を表し、
は、カルボニル基、又はスルホニル基を表し、及び
は、2価の炭化水素基、又はヘテロシクロアルキレン基を表す。]
で表される化合物を包含する。
で表される「2価の炭化水素基」の例は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数3〜12のシクロアルキレン基、及び炭素数3〜12のシクロアルケニレン基を包含する。
で表される「ヘテロシクロアルキレン基」は、環構成炭素原子の少なくとも1個が、硫黄、酸素、及び窒素等からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子で置換されたシクロアルキレン基である、2価の基を表す。
酸無水物(III−0)は、好ましくは、環状酸無水物[本明細書中、環状酸無水物(III)と称する場合がある。]であり、及びより好ましくは、式(III−a):
[式中、Rは、2価の炭化水素基を表す。]
で表される化合物である。
は、好ましくは、炭素数2〜20、より好ましくは、炭素数2〜10、更に好ましくは、炭素数2〜6の2価の炭化水素基である。
は、好ましくは、エタン−1,2−ジイル基、エテン−1,2−ジイル基、又はベンゼン−1,2−ジイル基であり、特に好ましくは、エタン−1,2−ジイル基である。
当該酸無水物(III−0)は、特に好ましくは、無水コハク酸、無水マレイン酸、又は無水フタル酸であり、より特に好ましくは、無水コハク酸である。
本発明において、酸無水物(III−0)は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
工程Aにおいて用いられる酸無水物(III−0)の量は、アルコール(II)の1モルに対して、好ましくは、0.3〜2.0モルの範囲内、より好ましくは、0.5〜1.5モルの範囲内、更に好ましくは、0.7〜1.2モルの範囲内である。
酸無水物(III−0)の量が少なすぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。その結果、アクリル酸誘導体(I)の精製が不十分になる虞がある。
酸無水物(III−0)の量が多すぎると、工程Aの後に酸無水物(III−0)の除去が必要になる場合がある。
当該工程Aの反応温度は、好ましくは、20〜120℃の範囲内、より好ましくは、40〜100℃の範囲内、更に好ましくは、60〜90℃の範囲内である。
当該反応温度が低すぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。その結果、アクリル酸誘導体(I)の精製が不十分になる虞がある。
当該反応温度が高すぎると、コスト的に不利である。
当該工程Aの反応時間は、工程Aの反応にとって充分な時間になるように適宜設定すればよく、特に限定されないが、具体的には、例えば、0.5〜24時間の範囲内、3〜12時間、又は5〜9時間の範囲内であることができる。
当該反応時間が短すぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。その結果、アクリル酸誘導体(I)の精製が不十分になる虞がある。
当該反応時間が長すぎると、コスト的に不利である。
前述した通り、工程Aにおいては、酸無水物(III−0)がアルコール(II)と反応して、エステル化合物(IV)が生じる。
従って、工程Aにより、アクリル酸誘導体(I)、及びエステル化合物(IV)を含有する組成物Bが得られる。
当該組成物Bにおけるアクリル酸誘導体(I)の含有量は、例えば、1〜30質量%、3〜25質量%、又は5〜18質量%の範囲内であることができる。
当該組成物Bにおけるエステル化合物(IV)の含有量は、1〜50質量%、10〜40質量%、又は20〜30質量%の範囲内であることができる。
当該組成物Bにおける、エステル化合物(IV)/アクリル酸誘導体(I)の重量比は、0.1〜8.0の範囲内、0.5〜6.0の範囲内、又は1.0〜4.0の範囲内であることができる。
アクリル酸誘導体(I)及びエステル化合物(IV)をこのような量で含有する組成物は、下記工程Bの精製に、好適に供することができる。
当該組成物Bは、更に、残存したアルコール(II)、及び残存した酸無水物(III−0)を含有していてもよい。しかし、その場合、これらの量は少量であることが好ましい。
当該組成物Bは、更に、残存したその他の成分(V)を含有していてもよい。
工程Aで生じるエステル化合物(IV)は、前記酸無水物(III−0)に包含される環状酸無水物(III)の開環体であることができる。
例えば、前記環状酸無水物(III)が無水フタル酸であり、且つアルコール(II)がメタノールであるときは、その開環体であるエステル化合物は、2−メトキシカルボニル安息香酸である。
当該エステル化合物(IV)は、アクリル酸誘導体(I)の沸点よりも高い沸点を有することが必要とされる。当該エステル化合物(IV)は、アクリル酸誘導体(I)の沸点よりも、好ましくは、20℃以上、より好ましくは、40℃以上、更に好ましくは、60℃以上高い沸点を有する。
当該エステル化合物がこのような沸点を有することにより、後述する工程Bにおいて、アクリル酸誘導体(I)と、前記工程Aで生じたエステル化合物とを、蒸留により分離することが容易になる。
当該エステル化合物(IV)は、好ましくは、後述する工程Bの蒸留の温度において、流動性を有する。
工程B
本発明の方法は、好適に、工程Bを更に含むことができる。
工程Bでは、アクリル酸誘導体(I)と、前記工程Aで生じたエステル化合物(IV)とを、蒸留により分離する。
工程Bの蒸留は、通常の蒸留装置、及び通常の蒸留の方法を採用して行えばよい。その好適な例としては、撹拌装置を備えた蒸留装置を用いた方法、及び薄膜蒸留装置を用いた方法が挙げられる。
工程Bの蒸留において、アクリル酸誘導体(I)は、蒸留留分として回収することができる。一方、エステル化合物(IV)は、蒸留残分として、蒸留装置に残り、及び適宜蒸留装置から排出され得る。これにより、効率的であり、且つエステル化合物(IV)の混入を高度に抑制された、アクリル酸誘導体(I)の精製が可能になる。
蒸留の温度は、好ましくは、アクリル酸誘導体(I)の沸点、及びエステル化合物(IV)の沸点の間の温度に設定される。
組成物Bが、アクリル酸誘導体(I)の沸点よりも高く、且つエステル化合物(IV)の沸点よりも低い沸点を有する、その他の成分(V)を含有する場合、当該その他の成分(V)も、アクリル酸誘導体(I)と同様に、効率よく回収することできる。例えば、蒸留塔を用いて工程Bを実施する場合、当該その他の成分(V)は、アクリル酸誘導体(I)の分留後に、分留できる。
その他の成分(V)としては、例えば、アルコール(II)以外の有機溶媒が挙げられる。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒は、好ましくは、非プロトン性溶媒である。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒の例は、アミド溶媒(例、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、エーテル溶媒(例、CPME、MTBE)、及び含硫黄溶媒(例、ジメチルスルホキシド(DMSO))等の含ヘテロ原子有機溶媒;並びに非芳香族炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン)、及び芳香族炭化水素溶媒(例、トルエン)等の炭素溶媒を包含する。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒の好適な例は、含ヘテロ原子有機溶媒を包含する。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒のより好適な例は、アミド溶媒、及び含硫黄溶媒を包含する。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒の好適な具体例は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドを包含する。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒のより好適な具体例は、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドを包含する。
当該アルコール(II)以外の有機溶媒は、1種、又は2種以上の組み合わせであることができる。
その他の成分(V)の量は、本発明の効果が著しく損なわれない限り特に限定されないが、例えば、アルコール(II)の100重量部に対して、80〜2100重量部、250〜1600重量部、又は400〜1200重量部の範囲内であることができる。
アルコール(II)以外の有機溶媒の量は、本発明の効果が著しく損なわれない限り特に限定されないが、例えば、アルコール(II)の100重量部に対して、100〜2000重量部、300〜1500重量部、又は500〜1100重量部の範囲内であることができる。
当該その他の成分(V)は、組成物Aに由来することができる。
具体的には、工程Bは、例えば、蒸留塔を用いた蒸留の場合、前記組成物Bを蒸留塔に入れ、蒸留の操作を実施することによって実施される。
蒸留塔の釜の温度は、アクリル酸誘導体(I)の沸点、及びエステル化合物(IV)の沸点の間の温度に設定される。
当該温度は、蒸留の圧力条件によって異なるが、例えば、1.5kPa〜15kPaの範囲内の圧力条件で減圧蒸留する場合、例えば、40〜120℃の範囲内の温度、50〜90℃の範囲内の温度、又は60〜80℃の範囲内の温度であることができる。
好ましくは、抜き出し開始から塔頂温度が上昇して一定温度となるところまでの留分を初留分として廃棄する。その後、塔頂温度が一定である部分を主留として、回収する。その後、再度、塔頂温度が上昇を開始した後、アクリル酸誘導体(I)の沸点よりも高く、且つエステル化合物(IV)の沸点よりも低い沸点を有する、その他の成分(V)(例、DMSO等の有機溶媒)を回収する。
回収されたDMSO等の有機溶媒を再利用することにより、本発明の製造方法は、コスト的に有利になる。
例えば、本発明の製造方法における組成物Aからの有機溶媒(例、DMSO、DMF、DMAc)の回収率は、好ましくは、10%以上、より好ましくは、20%以上、及び更に好ましくは、30%以上である。
工程Bは、好ましくは0〜1気圧の範囲内、より好ましくは0〜0.3気圧の範囲内、更に好ましくは0〜0.1気圧の範囲内の圧力下で実施される。
本発明において、除去されるアルコール(II)は、組成物Aが含有するアルコール(II)の一部、又は全てである。
本発明の精製方法で処理された組成物A(すなわち、精製されたアクリル酸誘導体(I))のアルコール(II)の含有量は、アクリル酸誘導体(I)の1重量部に対して、好ましくは、0.8重量部未満、より好ましくは、0.6重量部以下、及び更に好ましくは、0.4重量部以下である。
アクリル酸誘導体(I)の製造方法
本発明のアクリル酸誘導体(I)の製造方法は、前記で詳細に説明した本発明の精製方法により、前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体を精製することを含む。
すなわち、本発明のアクリル酸誘導体(I)の製造方法は、前記で本発明のアクリル酸誘導体(I)精製方法について説明した、工程A、及び工程Bを含む製造方法であることができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(メタクリル酸メチルの精製)
43.1重量部のメタノール、56.9重量部のメタクリル酸メチル、及び溶媒としてのDMFを含有する組成物を用意した。当該組成物へ、無水コハク酸を1.1等量(メタノール量に対して)添加し、60℃にて3時間加熱した。
無水コハク酸処理後の反応生成液をGC分析した。その結果、メタクリル酸メチルは23.7重量部であり、メタノールは1.9重量部、及び無水コハク酸開環体は74.3重量部であった。これから理解される通り、無水コハク酸処理により、メタノールの含有量が著しく減少した一方、無水コハク酸開環体が生成した。
実施例2(2−フルオロアクリル酸メチルエステルの精製)
43.5重量部のメタノール、56.5重量部の2−フルオロアクリル酸メチルエステル、及び溶媒としてのDMFを含有する組成物を用意した。当該組成物へ、無水コハク酸を、表1に記載した量で添加し、60℃にて3時間加熱した。
無水コハク酸処理後の反応生成液をGC分析した。その結果を表1に示す。この分析値は、溶媒であるDMFを除外して算出した分析値(GC面積%)である。当該表から理解される通り、無水コハク酸処理により、メタノールの含有量が著しく減少した一方、無水コハク酸開環体が生成した。
実施例3(蒸留)
実施例2で調製した反応精製液を、蒸留塔を用い、釜温度70℃〜80℃、及び圧力1.5kPa〜15kPaの条件で減圧蒸留して、2−フルオロアクリル酸メチルエステルを回収した。対照としては、無水コハク酸処理を実施していない液を用いた。
蒸留後の蒸留留分をGC分析した。その組成を表2に示す。また、当該GC分析の結果、蒸留後の蒸留留分中には、無水コハク酸も無水コハク酸開環体も、存在しないことが確認された。当該表から理解される通り、前記反応液を蒸留した場合(すなわち、無水コハク酸処理を実施した場合)、メタノールに対する2-フルオロアクリル酸メチルエステルの量比が非常に高い蒸留留分が得られた。
続いて、蒸留の条件を20mmHg、90℃〜100℃に設定して、蒸留留分からDMFを回収した。
DMFの回収率を表3に示す。
表3から理解されるように、無水コハク酸処理を実施した場合、極めて高い回収率で、DMFを回収することができた。
実施例4
溶媒として、DMFに換えて、DMSO、又はDMAcを使用したこと以外は、メタノールに対して1.1等量の無水コハク酸を用いた実施例2、及び3と同様にして、2−フルオロアクリル酸メチルエステルを精製し、及び溶媒を回収した。結果を表4に示す。表4から理解されるように、溶媒として、DMSO、又はDMAcを使用した場合でも、極めて高い回収率で、溶媒を回収することができた。

Claims (13)

  1. 式(I):
    [式中、
    、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、
    は、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は水素原子を表し、及び
    Xは、アルキル基、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。]
    で表されるアクリル酸誘導体
    の精製方法であって、
    前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体、及び
    式(II):
    −OH
    [式中、Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
    で表されるアルコールを含有する組成物Aを、酸無水物と接触させて、前記アルコールを前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体の沸点よりも高い沸点を有するエステル化合物に変換する工程A
    を含む、方法。
  2. 前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体と当該エステル化合物とを、蒸留により分離する工程Bを更に含む請求項1に記載の方法。
  3. が、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基である請求項1又は2に記載の方法。
  4. が、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のフルオロアルキル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. が、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. Xが、炭素数1〜20のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、又は水素原子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. が、炭素数1〜6のアルキル基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記酸無水物が環状酸無水物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記酸無水物が、式(III−a):
    [式中、Rは、2価の炭化水素基を表す。]
    で表される化合物である請求項8に記載の方法。
  10. 前記酸無水物が、無水コハク酸、又は無水フタル酸である請求項9に記載の方法。
  11. 前記組成物Aが、更に含ヘテロ原子有機溶媒を含有し、前記工程Bの分離後に、前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体、及び含ヘテロ原子有機溶媒を含有する組成物Bが得られる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記組成物Bから、含ヘテロ原子有機溶媒を分離回収する請求項11に記載の方法。
  13. 式(I):
    [式中、
    、及びRは、同一又は異なって、アルキル基、フルオロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は水素原子を表し、
    は、アルキル基、フルオロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は水素原子を表し、及び
    Xは、アルキル基、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、又は水素原子を表す。]
    で表されるアクリル酸誘導体
    の製造方法であって、
    前記請求項1〜12のいずれか1項に記載の精製方法により、前記式(I)で表されるアクリル酸誘導体を精製することを含む製造方法。
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