JP2017036251A - ダニ防除剤組成物およびその使用方法 - Google Patents

ダニ防除剤組成物およびその使用方法 Download PDF

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勝哉 山岸
大悟 岡村
Daigo Okamura
大悟 岡村
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基弘 平松
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Abstract

【課題】 優れた有害生物防除活性を有し、かつ安全性に問題のない有害生物防除組成物およびその使用方法を提供。
【解決手段】 下記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物と殺虫活性、殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として含むダニ防除剤組成物、および当該ダニ防除剤組成物を有害生物、有用植物、有用植物の種子、土壌または栽培担体に処理することを特徴とするダニ防除剤組成物の使用方法。
【化1】
Figure 2017036251

【選択図】なし

Description

本発明は、置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として含有するダニ防除剤組成物およびその防除方法に関する。
下記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物が優れた殺虫・殺ダニ活性を有することが特許文献1に記載されている。
しかしながら、下記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物(特許文献2〜5、非特許文献1〜3)から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として混合することにより農園芸用作物などのダニ類対し相乗的な防除効果を示すダニ防除剤組成物は知られていない。
Figure 2017036251
(式中、nが0または1のいずれかの整数を示し、Xはフッ素原子、または塩素原子を示す。)
特許第5616519号公報 国際公開第2005/095380号 国際公開第2006/043635号 国際公開第2013/111864号 国際公開第2013/157229号
「農薬ハンドブック」2011年版、日本植物防疫協会編 平成23年2月25日発行。 「ザ・ペスティサイド・マニュアル(The Pesticide Manual16th edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)、2012年11月発行。 「SHIBUYA INDEX」 株式会社全国農村協会、2014年1月25日発行。
本発明は、優れた殺ダニ防除活性を有し、かつ安全性に問題のないダニ防除剤組成物およびその防除方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討したところ、下記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として含有するダニ防除剤組成物が相乗的な防除効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2017036251
(式中、nが0または1のいずれかの整数を示し、Xはフッ素原子、または塩素原子を示す。)
すなわち、本発明に係る発明の第1の態様は、前記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として含むダニ防除剤組成物に関する。
本発明に係る発明の第2の態様は、前記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として含有するダニ防除剤組成物の防除方法に関する。
本発明に係るダニ防除剤組成物およびその防除方法によれば、ダニ類に対し、低薬量で相乗的に優れた防除効果を示し、安全に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有効成分である下記式で表される置換フェニルエーテル化合物は、たとえば特許第5616519号公報に記載の合成法を用いて製造することができる。
Figure 2017036251
(式中、nが0または1のいずれかの整数を示し、Xはフッ素原子または塩素原子を示す。)
本発明の有効成分である上記式で表される置換フェニルエーテル化合物としては、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)が挙げられる。
Figure 2017036251
本発明に用いる前記式の化合物と混合する他方の有効成分としては、以下に示す殺ダニ活性を有する化合物等が挙げられる。これらの化合物は前記の非特許文献に記載の市販の製剤から得るか、公知または特許文献に記載の製造方法により得られる。
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、クロルフェナピル、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、トルフェンピラド、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、フルアクリピリム、アセキノシル、ビフェナゼート、エトキサゾール、スピロジクロフェン、フェナザキン、スピロメシフェン、シエノピラフェン、シフルメトフェン、スピロテトラマト、ピフルブミド、国際公開第2005/095380号に記載の環状アミン化合物、NA−89(日本植物防疫協会委託試験番号)、NC−515(日本植物防疫協会委託試験番号)、国際公開第2013/157229号、国際公開第2013/111864号などに記載のフェニルスルフィド誘導体、国際公開第2006/43635号に記載の[5−(5−アミノ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル]2,2,2−トリフルオロエチルスルホキシドなどが挙げられる。
本発明のダニ防除剤組成物またはその防除方法によって、農園芸用作物などのダニ類を防除することができる。
防除の対象となるダニ類の例を以下に示す。
イネハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、クワオオハダニ、ナミハダニ、カンザワハダニ、ニセナミハダニ、オウトウハダニ、ミナミヒメハダニ、ブドウヒメハダニなどのハダニ類、チャノナガサビダニ、ミカンサビダニ、トマトサビダニ、ニセナシサビダニなどのフシダニ類、チャノホコリダニ、シクラメンホコリダニなどのホコリダニ類、ケナガコナダニ、ホウレンソウケナガコナダニ、ロビンネダニなどのコナダニ類などが挙げられる。
本発明のダニ防除剤組成物の対象作物としては米、麦類、雑穀類、果樹類、野菜類、いも類、豆類、飼料作物、花き類、樹木類などが挙げられる。
上記式(1)で表わされる置換フェニルエーテル化合物と、殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを組み合わせてダニ防除剤組成物として使用する場合、当該組成物100重量部中の有効成分の添加量は0.01〜80重量部の範囲から適宜選択して使用すればよく、好ましくは0.1〜50重量部の範囲である。より好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。
ダニ防除剤組成物中の置換フェニルエーテル化合物と、殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物の添加割合は、置換フェニルエーテル化合物が1重量部に対して殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物を0.05〜2000重量部の範囲から適宜選択して使用すればよく、好ましくは0.1〜200重量部の範囲である。より好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。
本発明のダニ防除剤組成物を使用する場合、農薬製剤上の常法に従い使用上都合のよい剤型に製剤化して使用するのが一般的である。
即ち、本発明のダニ防除剤組成物に用いられる置換フェニルエーテル化合物および1種または2種以上の殺ダニ活性を有する化合物はこれらを適当な不活性担体に、または必要に応じて補助剤と一緒に適当な割合に配合して溶解、分散、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させて適宜の剤型、例えば懸濁剤、乳懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、パック剤等に製剤して使用すればよい。適当な場合には、別の剤型を組合せ、組み込み、混合してもよい。例えば、練り込み粒剤と含浸粒剤とを混合してもよく、水和剤と顆粒水和剤を混合して錠剤に固めてもよく、懸濁剤と液剤を組み合わせてパック剤等とすることもできる。
上記不活性担体としては、固体担体および液体担体が挙げられ、固体担体としては、例えば、石英、クレー、カオリナイト(カオリン)、ピロフィライト、セリサイト、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、珪藻土等の天然鉱物類;炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;合成ケイ酸、合成ケイ酸塩、デンプン、セルロース、植物粉末(例えば、おがくず、ヤシガラ、トウモロコシ穂軸、タバコ茎等)等の有機固体担体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック担体;尿素;無機中空体;プラスチック中空体;フュームドシリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液体担体としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の一価アルコール類;およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等のアルコール類;プロピレングリコールエーテル等の多価アルコール化合物類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ノルマルパラフィン、ナフテン、イソパラフィン、ケロシン、鉱油等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、ジイソプロピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、アジピン酸ジメチル等のエステル類;γ-ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-アルキルピロリドン(N−メチルピロリドン等)等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類;大豆油、ナタネ油、綿実油、ヒマシ油等の植物油;および水等を挙げることができる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
補助剤としては、分散剤・湿潤剤・拡展剤・展着剤等として用いる界面活性剤、結合剤、粘着付与剤、増粘剤、着色剤、凍結防止剤、固結防止剤、崩壊剤、および分解防止剤等が挙げられる。その他必要に応じ、防腐剤、植物片等を添加成分に用いてもよい。これらの添加成分は単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤・湿潤剤・拡展剤・展着剤等として用いる界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリスチレンポリオキシエチレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレンポリプロピレンブロックコポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、アセチレンジオール、ポリオキシアルキレン付加アセチレンジオール、ポリオキシエチレンエーテル型シリコーン、エステル型シリコーン、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、N-メチル-脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン塩酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド等のアルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤;アミノ酸型又はベタイン型等の両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結合剤または粘着付与剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアーガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム、平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール、平均分子量10万〜500万のポリエチレンオキサイド、燐脂質(例えば、セファリン、レシチン等)、セルロース粉末、デキストリン、加工デンプン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、架橋ポリビニルピロリドン、マレイン酸とスチレン類との共重合体、(メタ)アクリル酸系共重合体、多価アルコールからなるポリマーとジカルボン酸無水物とのハーフエステル、ポリスチレンスルホン酸の水溶性塩、パラフィン、テルペン、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物、合成樹脂エマルション等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ダイユウタンガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、デンプン誘導体、多糖類等の水溶性高分子;高純度ベントナイト、フュームドシリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)等の無機微粉等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等の無機顔料;アリザリン染料、アゾ染料、金属フタロシアニン染料のような有機染料等が挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。
固結防止や崩壊促進のための補助剤としては、例えば、デンプン、アルギン酸、マンノース、ガラクトース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、フュームドシリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)、エステルガム、石油樹脂、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ステアリン酸金属塩、セルロース粉末、デキストリン、メタクリル酸エステルの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、スルホン化スチレン・イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、デンプン・ポリアクリロニトリルグラフト共重合体等が挙げられる。
分解防止剤としては、例えば、ゼオライト、生石灰、酸化マグネシウム等の乾燥剤;フェノール化合物、アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物等の酸化防止剤;サリチル酸化合物、ベンゾフェノン化合物等の紫外線吸収剤等が挙げられる。防腐剤としては、例えば、ソルビン酸カリウム、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン等が挙げられる。
更に必要に応じて機能性展着剤、ピペロニルブトキサイド等の代謝分解阻害剤等の活性増強剤、BHT等の酸化防止剤、紫外線吸収剤等その他の補助剤も使用することができる。
本発明のダニ防除剤組成物を対象植物、対象植物の種子、土壌または栽培担体に使用することによって、有害生物から作物を保護することができる。本発明のダニ防除剤組成物は、当該ダニ防除剤組成物の有効量を用いて対象植物、対象植物の種子、土壌または栽培担体を処理することにより使用される。対象植物、対象植物の種子、土壌または栽培担体の「処理」には、ダニ防除剤組成物の散布、塗布、対象植物が生育している土壌に対する散布、灌注等が含まれる。
具体的には、本発明のダニ防除剤組成物は種々のダニ類を防除するためにそのまま、または水等で適宜希釈し、もしくは懸濁させた形で使用すればよく、例えば果樹、穀類、野菜等において発生する有害生物に対しては植物の茎葉部に散布する他に、種子の薬剤への浸漬、種子粉衣、カルパー処理等の種子処理;土壌全層混和、作条施用、床土混和、セル苗処理、植え穴処理、株元処理、トップドレス、イネの箱処理、水面施用等、土壌または栽培担体等に有害生物防除剤組成物の有効量を施用して根から吸収させて使用することもできる。
本発明のダニ防除剤組成物の具体的な使用方法として、以下のものが挙げられる。
植物の茎葉部への散布方法としては、乳剤、フロアブル剤等の液体製剤または水和剤もしくは顆粒水和剤等の固形製剤を水で適宜希釈し、散布する方法、粉剤を散布する方法またはくん煙等が挙げられる。
種子処理の方法としては、例えば、液状または固体状の製剤を希釈または希釈することなく液体状態にて種子を浸漬して薬剤を浸透させる方法、固形製剤または液状製剤を種子と混和、粉衣処理して種子の表面に付着させる方法、樹脂、ポリマー等の付着性の担体と混和して種子にコーティングする方法、植え付けと同時に種子付近に散布する方法等が挙げられる。当該種子処理を行う「種子」とは、植物の繁殖に用いられる栽培初期の植物体を意味し、例えば、種子の他、球根、塊茎、種芋、株芽、むかご、鱗茎または挿し木栽培等を挙げることができる。
土壌または栽培担体への施用方法としては、例えば、液体製剤を水に希釈または希釈せずして植物体の株元または育苗用苗床等に施用する方法、粒剤を植物体の株元または育苗のための苗床等に散布する方法、播種前または移植前に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布し土壌全体と混和する方法、播種前または植物体を植える前に植え穴、作条等に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布する方法が挙げられる。上記の「土壌」または「栽培担体」とは作物を栽培するための支持体、特に根を生えさせる支持体を示すものであり、材質は特に制限されないが、植物が生育しうる材質であればよく、いわゆる土壌、育苗マット、水等であってもよく、具体的な素材としては例えば、砂、軽石、バーミキュライト、珪藻土、寒天、ゲル状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、バーク、紙等であってもよい。
水稲の育苗箱への施用方法において、剤型は、例えば播種時施用、緑化期施用、移植時施用などの施用時期により異なる場合もあるが、粉剤、顆粒水和剤、粒剤等の剤型で施用すればよい。培土との混和によっても施用することができ、培土と粉剤、顆粒水和剤または粒剤等との混和、例えば、床土混和、覆土混和、培土全体への混和等することができ、単に、培土と各種製剤を交互に層状に施用してもよい。
水田への使用法としては、ジャンボ剤、パック剤、粒剤、顆粒水和剤等の固形製剤;フロアブル、乳剤等の液体状製剤を、通常は、湛水状態の水田に散布する。その他、田植え時には、適当な製剤をそのまままたは肥料等に混和して土壌に散布、注入することもできる。また、水口や灌漑装置等の水田への水の流入元に乳剤、フロアブル等の薬液を利用することにより、水の供給に伴い省力的に施用することもできる。畑作物においては、本発明のダニ防除剤組成物を用いて、播種から育苗期、生育期において種子または植物体に近接する栽培担体等の処理を行うことができる。畑に直接播種する植物においては、種子への直接処理のほか、栽培中の植物の株元への処理が好適である。粒剤を用いて散布処理または水に希釈または希釈しない薬剤を液状にて灌注処理を行うことができる粒剤を播種前の栽培担体と混和させた後、播種することも好ましい処理である。
移植を行う栽培植物の播種、育苗期の処理としては、種子への直接処理の他、育苗用苗床への、液状とした薬剤の灌注処理または粒剤の散布処理が好ましい。また、定植時に粒剤を植え穴に施用したり、移植場所近辺の栽培担体に混和したりすることも好ましい処理である。
本発明のダニ防除剤組成物は通常の剤型、例えば乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、液剤、粒剤、粉剤、くん煙剤等の剤型に製剤して使用すればよく、その施用量は、有効成分の配合割合、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、防除対象有害生物、対象作物等により異なるが、通常1アール当たり有効成分量として約0.1〜1000gの範囲から適宜選択して施用すればよく、好ましくは約1〜500gの範囲がよい。種子への処理においては種子との比較で、種子100gに対して、有効成分量として約0.01〜50gの範囲で使用することが可能であり、好ましくは有効成分量として約0.1〜10gの範囲である。乳剤、水和剤等を水等で希釈して施用する場合、その施用濃度は通常0.00001〜0.1%であり、粒剤、粉剤あるいは種子に処理する場合の液剤等は、通常希釈することなくそのまま施用すればよい。
本発明のダニ防除剤組成物の有効成分である上記式(1)で表わされる置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物とは各々単独で同時期に使用することにより、本発明のダニ防除剤組成物と同様の相乗効果を発揮することができる。
即ち、上記式(1)で表わされる置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物を各々単独で製剤化したものやその希釈液を、使用の現場において処理時に混用して施用してもよく、さらに、別々に同時期にこれらを用いて植物の茎葉部、種子、栽培担体等を処理してもよい。
また、「同時期」とは、いずれか一方の有効成分が植物または栽培担体に残存している時期に他方の有効成分を施用することであり、具体的には、有効成分の効果が持続する期間として、約7日程度が挙げられるため、処理する期間としては7日間以内が好ましい。上記式(1)で表わされる置換フェニルエーテル化合物の有効成分量としては上述したダニ防除剤組成物におけるのと同様である。
このような、上記式(1)で表わされる置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物の1種または2種以上の有効量を用いて、該置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物を各々単独で植物または栽培担体を同時期に処理するダニ類の防除方法も本発明の一つである。
本発明のダニ防除剤組成物またはその防除方法によって、温血動物に害をおよぼすダニ類を防除することができる。
防除の対象となるダニ類の例を以下に示す。
トリサシダニ、イエダニなどのオオサシダニ類、ネズミトゲダニ、ホクマントゲダニなどのトゲダニ類、ナガヒメダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトチマダニ、マダニ、ヤマトマダニ、オウシマダニなどのマダニ類、ウサギキュウセンヒゼンダニ、ウマキュウセンヒゼンダニ、イヌセンコウヒゼンダニ、ウシセンコウヒゼンダニ、ブタセンコウヒゼンダニ、ウマセンコウヒゼンダニ、ブタセンコウヒゼンダニ、ネコショウセンコウヒゼンダニなどのコナダニ類、イヌニキビダニ、ウシニキビダニ、ヒツジニキビダニ、ヤギニキビダニ、ウマニキビダニ、ブタニキビダニ、ネコニキビダニなどのケダニ類が挙げられる。
本発明のダニ防除剤組成物の対象動物としては、動物薬、畜産、公衆衛生分野ではイヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、リス、ウサギ、ハト、オウム、九官鳥、インコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、アヒル、ウズラなどが挙げられる。
上記動物に害をおよぼすダニの防除方法としては公知の獣医学的な手法で施用することができ、例えば、経口、注射などによる投与、動物体への噴霧、滴下などによる投与、樹脂に殺ダニ剤を練りこみ、首輪、耳札などの適当な形状に成形し、それを動物に装着する方法などを挙げることができる。
以下に本発明のダニ防除剤組成物を製剤例、試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
製剤例1〜5を次に示す。
〔製剤例1〕粉剤
式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)のいずれかの化合物2重量部、クロルフェナピル0.5重量部、流動性改良剤としてイソプロピルリン酸エステル1重量部および固体担体としてクレー96.5重量部の混合物を、均一に粉砕混合して、粉剤を得る。
〔製剤例2〕水和剤
式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)のいずれかの化合物20重量部、トルフェンピラド10重量部、陰イオン型界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3重量部、非イオン型界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5重量部および固体担体として白土62重量部の混合物を均一に粉砕混合することにより、水和剤を得る。
〔製剤例3〕乳剤
式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)のいずれかの化合物30重量部、フェンピロキシメート20重量部、液体担体としてメチルナフタレン30重量部および非イオン型界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル20重量部を混合して溶解することにより、乳剤を得る。
〔製剤例4〕フロアブル剤
式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)のいずれかの化合物25重量部、フェンピロキシメート10重量部、非イオン型界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル1重量部、陰イオン型界面活性剤としてアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1重量部、増粘剤としてキサンタンガム1重量部および液体担体として水62重量部の混合物を均一に混合することにより、フロアブル剤を得る。
〔製剤例5〕粒剤
式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)のいずれかの化合物5重量部、スピロジクロフェン2重量部、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム1重量部、結合剤としてリグニンスルホン酸カルシウム5重量部、固体担体としてベントナイト30重量部およびクレー57重量部の混合物に、さらに水15重量部を加えて混練機で混練し、造粒機で造粒後、流動乾燥機で乾燥して、粒剤を得る。
次に、本発明のダニ防除剤組成物の効果を試験例で示す。
下記式(a)のコルビーの計算式によって算出したコルビーの期待値を用いて相乗効果の有無を評価した。一般に与えられた2種類の有効成分を混合して処理した場合に、実際に測定された効果が下記のコルビーの式で計算されるコルビーの期待値(E)(2種の有効成分の組み合わせに期待される防除価(%)を示すことになる。)よりも大きいと、2種の有効成分の組み合わせによる作用が相乗的であると判定される。
Figure 2017036251
(式中、Xは一方の有効成分の防除価(%)を、Yは他方の有効成分の防除価(%)を表す。)
〔試験例1〕ナミハダニに対する防除試験
ナミハダニ雌成虫10頭を放虫したインゲンリーフディスク(直径30mm)に対し、製剤例3に準じて調製した乳剤希釈液3mlを回転散布塔を用いて散布処理した。リーフディスクは2日間16L−8D、25℃恒温室内にて寒天(0.25%)上で管理した。処理2日後に雌成虫の生存数をそれぞれ調査し、下記計算式(b)により殺成虫率を算出した。試験は3連制で実施した。結果を表1に示す。
Figure 2017036251
Figure 2017036251
Figure 2017036251
〔試験例2〕ミカンハダニに対する防除試験
ミカンハダニ雌成虫5頭を放虫したカンキツリーフディスク(直径10mm)に対し、製剤例3に準じて調製した乳剤希釈液3mlを回転散布塔を用いて散布処理した。リーフディスクは2日間16L−8D、25℃恒温室内にて寒天(0.25%)上で管理した。処理2日後に雌成虫の生存数をそれぞれ調査し、試験例1と同様に殺成虫率を算出した。試験は5連制で実施した。結果を表2に示す。
(表2−1)
Figure 2017036251
(表2−2)
Figure 2017036251
本発明のダニ防除剤組成物およびその防除方法によれば、ダニ類に対し、低薬量で相乗的に優れた防除効果を示し、人畜に安全であり、処理作物に薬害もなく有用である。

Claims (5)

  1. Figure 2017036251
    (式中、nが0または1のいずれかの整数を示し、Xはフッ素原子、または塩素原子を示す。)
    で表わされる置換フェニルエーテル化合物と殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物とを有効成分として含有することを特徴とするダニ防除剤組成物。
  2. 上記式(1)で示される化合物と組み合わせる化合物がクロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、クロルフェナピル、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、トルフェンピラド、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、フルアクリピリム、アセキノシル、ビフェナゼート、エトキサゾール、スピロジクロフェン、フェナザキン、スピロメシフェン、シエノピラフェン、シフルメトフェン、スピロテトラマト、ピフルブミド、NA−89、NC−515、[5−(5−アミノ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル]2,2,2−トリフルオロエチルスルホキシドから選択される1種または2種以上のダニ防除剤組成物。
  3. 上記式(1)に記載の置換フェニルエーテル化合物1重量部に対して、殺ダニ活性を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物が0.05〜2000重量部の割合である請求項1または2いずれか1項に記載のダニ防除剤組成物。
  4. 請求項1から3いずれか1項に記載のダニ防除剤組成物をダニ類、有用植物、有用植物の種子、土壌または栽培担体に処理することを特徴とするダニ防除剤組成物の防除方法。
  5. 上記式(1)で表される置換フェニルエーテル化合物を有効成分として含有する組成物と、殺ダニ活性を有する1種または2種以上の組成物を同時に、または同時期にダニ類、有用植物、有用植物の種子、土壌または栽培担体に処理することを特徴とするダニ防除剤組成物の防除方法。
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