JP2017036206A - 表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子であって、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4かつ15nmであって、前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であって、前記表面修飾剤が式(1)で示される表面修飾剤であり、当該表面修飾剤の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、21〜40質量部である、表面修飾金属酸化物微粒子。
(nは1〜3の整数Si−X1、Si−X2、Si−X3は夫々独立に加水分解してシラノール基となる官能基;X1〜X3は夫々独立にアルコキシ基又はハロゲナ基)
【選択図】なし
Description
[1]芳香環骨格を有する樹脂に分散して用いられる、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子であって、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であって、前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であって、前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子。
[2]X1、X2、X3は、それぞれ独立して、アルコキシ基又はハロゲノ基である、[1]記載の表面修飾金属酸化物微粒子。
[3][1]又は[2]記載の表面修飾金属酸化物微粒子が分散媒中に分散していることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液。
[4][1]又は[2]記載の表面修飾金属酸化物微粒子及び[3]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、芳香環骨格を有する樹脂とを含有していることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
[5]前記表面修飾剤の修飾量が、前記金属酸化物微粒子100質量部に対して、5質量部以上かつ40質量部以下であることを特徴とする、[4]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
[6][5]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体。
[7][6]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を備えていることを特徴とする、光学部材。
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子は、芳香環骨格を有する樹脂に分散して用いられる、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子であって、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であって、前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であって、前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であることを特徴とする。
本実施形態にて用いられる金属酸化物微粒子としては、平均一次粒子径が4nm以上かつ15nm以下であり、かつジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であればよく、特に限定はない。これらの金属酸化物微粒子の中でも、酸化ジルコニウム(ZrO2:ジルコニア)微粒子または酸化チタン(TiO2:チタニア)微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子中の金属元素をジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムに限定した理由は、これらの金属元素を含む金属酸化物微粒子の屈折率が高いためである。換言すれば、上記の金属元素以外であっても、複合体の屈折率を向上させることができるような金属元素、例えば、その金属元素を含む金属酸化物微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.9以上となるような金属元素であれば、本実施形態にて使用することができる。
なお、本発明において、平均一次粒子径は、複数個の金属酸化物微粒子それぞれの長径、たとえば、100個以上の金属酸化物微粒子、好ましくは500個以上の金属酸化物微粒子それぞれの長径を透過型電子顕微鏡で測定し、これらの平均値を算出することで求められる。
本実施形態で用いられる表面修飾剤は、上記一般式(1)で示されるものである。一般式(1)中の官能基Si−X1、Si−X2、Si−X3が、加水分解してシラノール基となって金属酸化物微粒子に結合し、また一般式(1)中の芳香環が、後述する複合体を構成する樹脂の芳香環骨格と相互作用することにより、表面修飾金属酸化物微粒子が樹脂中で凝集することが防止されるものと考えられる。このように、表面処理剤の一部を複合体の樹脂の一部に類似させる手法は、種々のナノ粒子の樹脂への分散に対して応用可能であると考えられる。
X1、X2、X3としては、例えば、アルコキシ基やハロゲノ基等が挙げられる。X1、X2、X3は同種であってもよく、異種であってもよい。
アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
ハロゲノ基は、好ましくはクロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヨード基であり、より好ましくはクロロ基である。
シラノールを生成する官能基を3つとすることで、表面修飾剤がより適切に表面修飾機能を果たすことができる。
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子は、通常、湿式法又は乾式法により得ることができる。
表面処理剤を均一に処理しやすい点で湿式法が好ましく、例えば、表面処理剤をアルコール等に溶解させて溶液とし、その溶液中に金属酸化物微粒子を浸漬させる方法、表面処理剤をアルコール等に溶解させて溶液とし、その溶液と、金属酸化物微粒子の水分散液とを撹拌混合させる方法、金属酸化物微粒子を分散媒中に分散させて分散液とし、その分散液を表面処理剤を含む溶液に滴下させたりする方法等が挙げられる。
表面処理後に固液分離を行い、回収した粉体を必要に応じて乾燥させることで、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子を得ることができる。
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子を分散していることを特徴とする。
平均分散粒径を上記範囲とすることで、透明性が高い分散液等を得ることができる。
なお、本発明において、平均分散粒径とは、表面修飾金属酸化物微粒子の含有量を1質量%に調整した分散液中の表面修飾金属酸化物微粒子の粒子径を動的光散乱法により測定した結果得られた累積体積百分率が50体積%における体積分散粒径(D50)のことである。
当該任意成分を含有する場合、当該任意成分の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液中における含有率(質量%)は、ハンドリング性がよく、かつ生産効率を向上させるためには、1質量%以上かつ50質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上かつ30質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上かつ10質量%以下である。
この可視光透過率は、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率により異なり、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が1質量%では、95%以上、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が40質量%では、80%以上であることが好ましい。
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子及び本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、芳香環骨格を有する樹脂とを含有していることを特徴とする。
本実施形態で用いられる樹脂は、芳香環骨格を有する樹脂であれば特に限定されず、例えば、芳香環骨格を有するアクリル樹脂や、芳香環骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。芳香環骨格としては、フルオレン骨格やビスフェノールA骨格を有する樹脂が好ましく、フルオレン骨格及びビスフェノールA骨格の少なくとも1種を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
また、使用する樹脂に応じて適宜添加剤を加えることが好ましい。例えば、芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を用いる場合には、酸無水物硬化剤や硬化促進剤等を適宜添加するのが好ましい。
芳香環骨格を有するアクリル樹脂を用いる場合には、反応性希釈剤や光重合開始剤等を適宜添加するのが好ましい。
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、上記表面修飾金属酸化物微粒子及び上記表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、上記芳香環骨格を有する樹脂とを、混合することができればよい。
混合装置として、例えば、ミキサーやロールミル等の混合装置を用いてもよい。
粘度調整等が必要であれば、上記分散媒を適宜混合させてもよい。
上記樹脂組成物中における表面修飾金属酸化物微粒子の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、10質量%以上かつ80質量%以下がより好ましく、10質量%以上かつ50質量%以下がさらに好ましい。
樹脂組成物中における、芳香環骨格を有する樹脂の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、20質量%以上かつ90量%以下が好ましく、40質量%以上かつ90質量%以下がより好ましく、50質量%以上かつ90質量%以下が更に好ましい。
また、表面修飾金属酸化物微粒子と芳香環骨格を有する樹脂との質量混合比は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、1:9〜9:1の範囲内であることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内であることがより好ましく、3:7〜6:4の範囲内であることが更に好ましい。
この表面修飾金属酸化物微粒子の平均分散粒径は、4nm以上かつ50nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは5nm以上かつ20nm以下である。平均分散粒径を上記範囲とすることで、透明性が高い表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を得ることができる。
この可視光透過率は、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率により異なり、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が1質量%では、95%以上、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が40質量%では、80%以上であることが好ましい。
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
複合体中における、芳香環骨格を有する樹脂の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%が更に好ましく、55〜65質量%がより更に好ましい。
また、表面修飾金属酸化物微粒子と芳香環骨格を有する樹脂との質量混合比は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、1:9〜9:1の範囲内であることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内であることがより好ましく、3:7〜6:4の範囲内であることが更に好ましい。
この表面修飾金属酸化物微粒子の平均分散粒径は、4nm以上かつ50nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは5nm以上かつ20nm以下である。平均分散粒径を上記範囲とすることで、透明性が高い表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を得ることができる。
また、塗膜を作製する場合、プラスチック基材上に本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物を塗布し、その後、必要に応じて加熱による熱硬化あるいは紫外線等の光の照射等による光硬化を施す方法等が挙げられる。
本実施形態の光学部材は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を備えていることを特徴とする。
この光学部材としては、透明なプラスチック基材が用いられる光学部材であればよく、特に限定されないが、例えば、カメラ、レンズ付フィルム等のフィルム一体型カメラ、ビデオカメラ、車載用カメラ等の各種カメラレンズ、CD、CD−ROM、MO、CD−R、CD−Video、DVD等の光ピックアップレンズやマイクロレンズアレイ、複写機、プリンター等のOA機器等の各種機器に用いられる光学部材やプリズムシート、光ファイバー通信装置、LED用封止剤等が挙げられる。
なお、各例における諸特性は下記の方法に従って測定した。
(1)表面修飾剤の金属酸化物微粒子に対する表面修飾量
表面修飾量は、ICP発光分析装置を使用して、測定した。
(2)複合体の屈折率の測定
メトリコン社製のプリズムカプラー Model12010を使用して、プリズムカップリング法により、594nmの波長における複合体の屈折率を測定した。
(3)複合体の透明性の評価
得られた複合体の厚みを1mmに研磨し、日立ハイテクノロジーズ社製の紫外可視分光光度計 U-3900H(φ60mm積分球を装着)を使用して、700nmの波長における複合体の透過率を測定した。
(4)金属酸化物微粒子の平均一次粒子径
金属酸化物微粒子の平均一次粒子径を、透過型電子顕微鏡(FE−TEM、日本電子社製 JEM−2100F)にて粒子を観察し、500個の長径を測定し、これらの平均値を算出することで求めた。
(5)表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の平均分散粒径
表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の平均分散粒径(D50)を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。
(6)表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の観察
得られた透明複合体から、膜厚約100nmの薄い試験片を切り出し、この薄い透明複合体を透過型電子顕微鏡(FE−TEM、日本電子社製 JEM−2100F)にて観察した。
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
ジルコニア微粒子の水分散液(平均一次粒子径5nm)と、ベンジルトリエトキシシランを含有するメタノール溶液とを、ジルコニアとベンジルトリエトキシシランの質量比が100:50(ジルコニア粒子100質量部に対して50質量部)となるように撹拌混合した。
次いで、固液分離で表面修飾されたジルコニア微粒子を回収し、乾燥させて、実施例1のベンジルトリエトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、35質量部であった。
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルエチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のフェニルエチルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、36質量部であった。
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のフェニルプロピルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、36質量部であった。
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
実施例1において、平均一次粒子径が5nmのジルコニア水分散液の替わりに、平均一次粒子径が5nmのチタニア微粒子の水分散液を用い、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルエチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4のフェニルエチルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾チタニア微粒子を得た。
チタニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、37質量部であった。
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、トリルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のトリルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、35質量部であった。
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、エチルフェニルエチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のエチルフェニルエチルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、38質量部であった。
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、ベンゾイロキシプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3のベンゾイロキシプロピルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、37質量部であった。
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4のフェニルアミノプロピルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、36質量部であった。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の作製>
実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子0.8質量部と、トルエン10質量部を混合して、実施例5の透明な分散液を得た。
得られた分散液の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
得られた透明な分散液10.8質量部と、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(大阪瓦斯社製、オグソールEG200、屈折率1・60)と、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と、ホスホニウム塩系化合物(サンアプロ社製、U−CAT5003)とを質量比で100:50:0.05となるように混合した混合物1.2質量部とを混合して(表面修飾金属酸化物微粒子と樹脂の質量比は40:60)、実施例5の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を、型に均一になるように注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、実施例5の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、実施例2で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例6の透明な分散液と、実施例6の透明な樹脂組成物と、実施例6の透明な複合体を得た。
分散液中における表面修飾ジルコニア微粒子の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、実施例3で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例7の透明な分散液と、実施例7の透明な樹脂組成物と、実施例7の透明な複合体を得た。
分散液中における表面修飾ジルコニア微粒子の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、実施例4で得られた表面修飾チタニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例8の透明な分散液と、実施例8の透明な樹脂組成物と、実施例8の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にチタニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
分散液中における表面修飾チタニア微粒子の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例5の透明な分散液と、比較例5の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させた。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例5の半透明な複合体を得た。
トルエンを留去させたあとに樹脂組成物の粘性が高くなったことにより、芳香環上にメチル基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子は、成形性に劣り、透明性も優れないことが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中で、ジルコニア微粒子の凝集体が形成されているのが確認された。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例2で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例6の透明な分散液と、比較例6の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁した。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例6の複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中で、ジルコニア微粒子の凝集体が形成されているのが確認された。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例3で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例7の透明な分散液と、比較例7の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例7の白色で失透した複合体を得た。
150℃の加熱で白濁したことより、芳香環とケイ素の間にエステル結合を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性に劣ることが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中で、ジルコニア微粒子の凝集体が形成されているのが確認された。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例4で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例8の透明な分散液と、比較例8の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例8の赤紫色の透明な複合体を得た。
150℃の加熱で着色したことより、芳香環とケイ素の間にイミノ基(=NH)を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性にやや劣り、また着色する点で劣ることが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5で得られた透明な分散液10.8質量部と、ビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828、屈折率1.55)と、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と、ホスホニウム塩系化合物(サンアプロ社製、U−CAT5003)とを質量比で100:90:0.05となるように混合した混合物1.2質量部を混合して(表面修飾金属酸化物微粒子と樹脂の質量比は40:60)、実施例9の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、実施例9の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、実施例6で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、実施例10の透明な樹脂組成物と、実施例10の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、実施例7で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、実施例11の透明な樹脂組成物と、実施例11の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、実施例8で得られた表面修飾チタニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、実施例12の透明な樹脂組成物と、実施例12の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にチタニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、比較例9の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させた。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例9の半透明な複合体を得た。
トルエンを留去させたあとに樹脂組成物の粘性が高くなったことにより、芳香環上にメチル基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子は、成形性に劣り、透明性も優れないことが確認された。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例6で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、比較例10の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁した。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例10の複合体を得た。
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例7で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例11の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁した。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例11の白濁した複合体を得た。
150℃の加熱で白濁したことより、芳香環とケイ素の間にエステル結合を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性に劣ることが確認された。
<表面修飾酸化物粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例8で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、比較例12の透明な樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例12の赤紫色の透明な複合体を得た。
150℃の加熱で着色したことより、芳香環とケイ素の間にアミノ基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性に劣ることが確認された。
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、(フェニルエチル)メチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、(フェニルエチル)メチルジメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得ようと試みた。
実施例1〜4及び比較例1〜4では、上記撹拌混合時間が0.5時間〜6時間程度で表面修飾金属酸化物微粒子を得ることができたが、比較例13では、12時間以上経過しても表面修飾金属酸化物微粒子を得ることができなかった。
実施例5〜12、比較例5〜12の複合体の評価結果を、表1に示す。
Claims (7)
- 芳香環骨格を有する樹脂に分散して用いられる、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子であって、
前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であって、
前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であって、
前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であり、
当該表面修飾剤の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、21質量部以上かつ40質量部以下であることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子。
(式中、nは1〜3であり、Si−X1、Si−X2、Si−X3は、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基である) - X1、X2、X3は、それぞれ独立して、アルコキシ基又はハロゲノ基である、請求項1記載の表面修飾金属酸化物微粒子。
- 請求項1又は2記載の表面修飾金属酸化物微粒子が分散媒中に分散していることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液。
- 請求項1又は2記載の表面修飾金属酸化物微粒子及び請求項3記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、芳香環骨格を有する樹脂とを含有していることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
- さらに、酸無水物硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、及び光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の添加剤を含有する、請求項4記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
- 請求項4又は5記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体。
- 請求項6記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を備えていることを特徴とする、光学部材。
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