次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るトラクタ6の全体的な構成を示した右側面図である。なお、以下の説明において「左」、「右」等というときは、トラクタ6が前進する方向に向かって左及び右を意味する。
図1に示す農作業の作業車両(作業機)としてのトラクタ6は、プラウ、ハロー、ローダ等の各種装置を必要に応じて装着し、様々な種類の作業を行うことが可能に構成されている。トラクタ6の前部には前車輪8が配置され、後部には後車輪9が配置されている。
トラクタ6の前部にはボンネット7が配置され、このボンネット7は内部を露出できるように開閉可能に構成されている。ボンネット7は流線形状に構成されており、その前部は、前方に近づくに従って上下方向でも左右方向でも細くなるように形成されている。この形状により、走行時の空気抵抗の低減と意匠性の向上が実現されている。
このボンネット7内には、給油タンク3の一部と、エンジン本体1と、が収容されている。また、エンジン本体1の前方には、ファンシュラウド12と、ラジエータ13と、コンデンサ18と、エンジンコントローラ2と、サブタンク20と、エアクリーナ15と、バッテリー14と、が配置されている。ファンシュラウド12、ラジエータ13、コンデンサ18、エンジンコントローラ2、サブタンク20、エアクリーナ15、及びバッテリー14は、図2に示すように、エンジンフレーム11に固定された取付プレート16の上側に後方から前方に向かって上記の順で配置され、何れもボンネット7に収容されている。
エンジン本体1は、複数のシリンダを有するコモンレール式のディーゼルエンジンとして構成されている。具体的に説明すると、エンジン本体1は、燃料を高圧で蓄える図略のコモンレールを備える。コモンレールから供給された燃料は、シリンダ毎に配置された図示しないインジェクタにより、燃焼室に燃料を噴射する。
ボンネット7の後方にはオペレータが搭乗するためのキャビン10が配置されており、このキャビン10の内部には各種の操作を行うための図略の操作部及び座席部が備えられている。トラクタ6のオペレータは、前記操作部を介して、トラクタ6の走行操作等を行うことができる。
トラクタ6の機体の骨格を構成する機体フレームは、エンジンフレーム11と、エンジンフレーム11の後部に固定されたミッションケース29と、を備える。エンジンフレーム11の下側には、前車軸ケース28が取り付けられている。前車軸ケース28には、前車軸8aを介して前車輪8が取り付けられている。ミッションケース29には、後車軸9aを介して後車輪9が取り付けられている。
ミッションケース29は、エンジン50からの動力を減速して前車軸ケース28や後車軸9aに伝達する。オペレータが前記操作部の変速レバーを操作することにより、当該ミッションケース29における変速比を変更し、トラクタ6の走行速度を調整することができる。
また、エンジン50の駆動力は、ミッションケース29の後端から突出したPTO軸(図略)に伝達される。トラクタ6は、その後端に作業装置(例えば、ロータリ耕耘装置等)を装着可能に構成されている。PTO軸は、作業装置を、図示しないユニバーサルジョイント等を介して駆動することができる。
このように構成されたトラクタ6は、田圃で走行しながら、耕耘、播種、収穫等様々な作業を行うことができる。
次に図2から図7までを参照して、ボンネット7内の各部品の配置を説明する。図2は、本実施形態のトラクタ6のボンネット7内部の様子を示した右側面図である。図3は、ボンネット7内部の斜視図である。図4は、ボンネット7内部の左側面図である。図5は、ボンネット7内部の斜視図である。図6は、ボンネット7内部の平面図である。図7は、ボンネット7とボンネット7の内部構造との位置関係を示した斜視図である。
エンジン本体1は、エンジンフレーム11の上側に配置されている。このエンジン本体1の上部右側にはDPF19が配置されている。また、エンジン本体1の上部には、このDPF19に隣接するように給油タンク3が配置されている。エンジン本体1のすぐ前方には、ボンネット7内の後部に配置されたエンジン本体1と、ボンネット7内の前部に配置された装置や部品と、を仕切るようにファンシュラウド(仕切り板)12が配置されている。ファンシュラウド12の更に前方(ボンネット7の内部空間の前部に相当)には、ラジエータ13と、コンデンサ18と、エンジンコントローラ2と、バッテリー14と、エアクリーナ15と、サブタンク20と、が配置されている。ボンネット7内の中央部から前部に配置された装置や部材は、エンジンフレーム11に固定された板状の取付プレート16の上面側に配置されている。
ファンシュラウド12には図略の冷却ファンが配置され、この冷却ファンは、エンジン本体1からの動力の供給を受けて駆動される。冷却ファンの回転により、ボンネット7の前面にある図略のフロントグリルから比較的低温の外気が取り込まれ、その外気がラジエータ13及び前記冷却ファンを通過してエンジン本体1側へ送られ、エンジン本体1の冷却が行われる。
また、ファンシュラウド12は、ボンネット7の内部空間を前後に区画するように構成されている。従って、ファンシュラウド12の前方に配置された装置や部材(ラジエータ13及びコンデンサ18等)に対して、エンジン本体1及びDPF19からの熱を遮蔽することができる。
このファンシュラウド12は、合成樹脂で形成されるとともに、切欠き部分23を有する形状に成型され、当該切欠き部分23を吸気パイプ17及びエンジンハーネス26が通過している。ファンシュラウド12の切欠き部分23の開放部を塞ぐように、ファンシュラウド12の前面の上端部に容易に着脱可能な閉鎖シート25が取り付けられている。これにより、トラクタ6に振動や衝撃が加わった場合でも、切欠き部分23を通過している吸気パイプ17等が、切欠き部分23から抜け出さないように一定の範囲に留められる。この構成によって、エンジン本体1を冷却するための外気を効率的に取り込む前記冷却ファンの導風効果やエンジン本体1側の熱を前方の装置に伝わりにくくする遮蔽効果を高く保ちながら、吸気パイプ17等の部材のメンテナンスを容易にしている。
エンジン本体1の上部左側にはディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)19が配置されている。このDPF19はエンジン本体1の排気管と接続され、エンジン本体1から排出される粒子状物質(PM)をフィルタで捕集して除去するように構成されている。ただし、DPF19により捕集されたPMはエンジン本体1の稼動とともに増加するため、DPF19に捕集されたPMが一定程度堆積するとエンジン本体1の排気温度を上昇させるように制御し、DPF19においてPMを高温下で燃焼させることで、フィルタの詰まりを防止している(DPF再生)。
DPF19は、例えば上記のDPF再生を行う場合に大きな熱を発生することがあり、その周囲に配置された機器類に熱損傷を与えるおそれがある。そこで、図7に示すように、ボンネット7を閉じた状態でDPF19の近傍に位置するように排気孔30が形成されている。これにより、エンジンルーム内からボンネット外への排熱効率を向上させ、エンジンルーム内の装置や部品に高温による不具合が生じないようにすることができる。
ラジエータ13は熱交換器として構成されており、このラジエータ13と、エンジン本体1に形成された図略のウォータージャケットと、の間には、冷却水を循環させる図略の循環経路が形成されている。エンジン本体1の発熱によって高温になった前記ウォータージャケット内の冷却水は、ラジエータ13へ送られる。冷却水は、ラジエータ13を通過する際に前記フロントグリルから取り込まれた外気によって冷却された後、再び前記ウォータージャケットへ戻り、エンジン本体1を冷却する。
コンデンサ18は熱交換器として構成されており、キャビン10内の空調を行うエアコンディショナに用いられる。このコンデンサ18は、コンデンサフレーム31により支持され、ラジエータ13の前方に取り付けられている。
エンジンコントローラ2は、小型のコンピュータとして構成されており、エンジン本体1とエンジンコントローラ2によってエンジンが構成されている。エンジンコントローラ2は、エンジン本体1等に取り付けられている様々なセンサからの情報に基づいて、燃料噴射量、燃料噴射時期等を制御する制御指令を各種のアクチュエータ(エンジン本体1が備える前記インジェクタを含む)に出力することにより、エンジンを制御する。
エンジンコントローラ2は、複数の防振ゴム33からなる防振支持構造35を介して支持されている。具体的には、コンデンサ18を支持する門型のコンデンサフレーム31の上部に支持プレート32が取り付けられており、防振支持構造35は当該支持プレート32に配置されている。複数の防振ゴム33の一部は、エンジンコントローラ2の厚み方向に対して垂直に配置され、残りはエンジンコントローラ2の厚み方向に対して平行に配置されている。これらの防振ゴム33を介して、エンジンコントローラ2が支持プレート32に固定されている。
エンジンコントローラ2は、ボンネット7内において、コンデンサ18等の装置の斜め上側に、ボンネット7の前側上部の傾斜形状に沿う向きで配置されている。このように、ボンネット7を開放した場合に、エンジンコントローラ2がアクセスし易い配置となっている。この構成によって、エンジンコントローラ2に伝わる振動や衝撃を防止と、エンジンコントローラ2のメンテナンス性の向上とが図られている。
バッテリー14は、トラクタ6が備える各種の電気部品(例えば、エンジン本体1が備えるセルモータ、トラクタ6の前照灯、エンジンコントローラ2等)に対して電力を供給する。
エアクリーナ15は、空気中の異物を除去するためのエアクリーナエレメントを内部に収容した構成となっている。このエアクリーナ15は吸気パイプ17によってエンジン本体1に接続されており、エンジン本体1の吸気構造の一部を構成している。エンジン本体1から延びる吸気パイプ17は、ファンシュラウド12に形成されている切欠き部分23を前後方向に通過しているとともに、ラジエータ13の上方を通過した後、下方へ曲がってエアクリーナ15に接続するように配置されている。なお、後に詳述するように、この吸気パイプ17に沿うようにエンジンハーネス26が配索されている。
サブタンク20は、ラジエータ13と配管で接続された上下方向に細長い容器として構成されており、ラジエータ13内の冷却水のオーバーフロー分を貯留するように構成されている。ラジエータ13内の冷却水が熱膨張により増加すると、ラジエータ13内の冷却水がサブタンク20内に流入する一方、ラジエータ13内の冷却水が減少すると、サブタンク20内の冷却水がラジエータ13に戻される。これにより、ラジエータ13内の冷却水が所定量に維持される。
エアクリーナ15及びサブタンク20は、平板状で厚み方向を水平に向けた支持ブラケット21の左右両側にそれぞれ固定されている。これにより、エアクリーナ15及びサブタンク20それぞれを固定するための特別な固定部材が不要となり、部品点数を削減してコストが抑えられている。
給油タンク3は、エンジン本体1の上部に配置されている。給油タンク3は、上部に給油口(キャップ)3aを有しており、ここから給油が行われる。給油タンク3の給油口3aは、ボンネット7の上部に設けられた孔から突出するように配置されており、オペレータはボンネット7の開閉状態に依存せず給油作業を行うことが可能となっている。
ここで、図8を参照しながら、ボンネット7内で形成される主な空気の流れを説明する。図8は、ボンネット7の内部における空気の流れの概略を示す斜視図である。
ボンネット7の前面にある図略のフロントグリルから入った比較的低温の空気は、その一部がエアクリーナ15に取り込まれ、吸気パイプ17を経由してエンジン本体1へと流れる。エアクリーナ15に取り込まれない空気のうち一部は、コンデンサ18の上方の空間から前下方に張り出すように配置されたエンジンコントローラ2の上面及び下面に沿って流れ、エンジンコントローラ2を効率的に冷却する。なお、エンジンコントローラ2は後上がり状に配置されるとともに、ボンネット7が当該エンジンコントローラ2の上方を覆う部分の内壁も後上がり状に配置されるので、エンジンコントローラ2の周辺の空気の流れはスムーズである。
フロントグリルから入った空気のうちエアクリーナ15に吸入されなかった部分(上記のようにエンジンコントローラ2の周辺を流れた空気を含む)は、前述したファンシュラウド12の導風効果により、その大部分が、ファンシュラウド12の中央部に形成された空気取込口(後述の空洞27)の前面を覆うように配置されたコンデンサ18及びラジエータ13を通過する。これにより、エアコンディショナの冷媒やエンジン冷却水を熱交換により冷却することができる。なお、ラジエータ13の前面には防塵スクリーンが設けられており、これにより、異物のラジエータ13への侵入が防止される。
ラジエータ13を通過した後の空気は、ファンシュラウド12の空気取込口に配置された図略の冷却ファンにより、後方に送風される。その後、空気はエンジン本体1の前面に当たって放射状に広がり、エンジン本体1の上方及び左右側方の空間を後方へ流れる。これにより、エンジン本体1を効率良く冷却することができる。また、エンジン本体1の左側面に沿って流れる空気は、DPF19の長手方向に沿ってスムーズに流れ、この結果、高温になることが多いDPF19を効率良く冷却することができる。ファンシュラウド12の後方に流れた空気は、エンジン本体1及びDPF19から熱を奪うことで比較的高温の空気となって、その大部分が、ボンネット7においてDPF19と左右方向でほぼ対向する位置に形成された排気孔30からボンネット7外へ排出される。これにより、DPF19の近傍を通過したために高温となった空気が直ちに排気孔30から排出され易くなるので、高温の空気がボンネット7の内部に長時間留まって冷却効果を低下させるのを防止することができる。
次に、本発明において特徴的な吸気パイプ17及びエンジンハーネス26並びにこれらに付随する部材の構成について詳細に説明する。図9は、吸気パイプ17がファンシュラウド12を貫通する様子を示す前方斜視図である。図10は、図9の状態の吸気パイプ17に対してエンジンハーネス26を取り付けたときの様子を示す前方斜視図である。
図9に示す吸気パイプ17は、エアクリーナ15(図2及び図3等を参照)で浄化された吸気をエンジン本体1の吸気部(例えば、吸気マニホールド)に供給する通路をなすものである。本実施形態の吸気パイプ17は、断面が円を潰したような略扁平な形状のパイプであり、エアクリーナ15と、エンジン本体1の吸気部と、を接続している。図9に示すように、吸気パイプ17には、吸気パイプ17の長手方向(吸気の流入方向)に沿って板状のリブ17aが形成されている。本実施形態のリブ17aは、吸気パイプ17の長手方向に沿って細長く形成されており、右方に向かって水平に突出するように、長手方向に断続的に設けられている。なお、吸気パイプ17のリブ17aには、後述する取付ボルト46を差し込むための取付孔17bが貫通状に形成されている。
図5及び図10等に示すエンジンハーネス26は、エンジン本体1の各部と、エンジンコントローラ2と、の間を電気的に接続するために配索される電線ハーネスである。エンジンハーネス26の一端(前端)は分岐して、エンジンコントローラ2に接続される。エンジンハーネス26の他端(後端)は分岐して、エンジン本体1の各部に接続される。図5及び図10に示すように、エンジンハーネス26の長手方向の中途部(前端と後端の間の中途部)は、適宜の間隔をあけた複数箇所において、結束部材41によって束ねられている。本実施形態では、複数のハーネスがまとめてコルゲートチューブに収納され、このコルゲートチューブの上から結束部材41が巻かれている。後に詳述するように、エンジンハーネス26の長手方向の中間部は、結束部材41を介して、吸気パイプ17のリブ17aによって支持されている。
本実施形態の結束部材41は、図11に示すように、例えば公知の合成樹脂製の結束バンドにより構成される。図11は、本実施形態の結束部材41の構成を示す図である。即ち、結束部材41は、小さな頭部42と、この頭部42から細長く延出している可撓性を備えた帯状部43と、で構成されている。頭部42の内側には図示しない係止部が形成されており、帯状部43には、長手方向に並んだ複数の突起で形成されている被係止部が形成されている。
そして、頭部42の係止部に帯状部43を先端から挿入すると、帯状部43の被係止部が頭部42の係止部に係止されて、結束部材41は「P」字状になり、この「P」字のループ状の部位内にエンジンハーネス26を位置させることで、エンジンハーネス26を1つに束ねることができる。
なお、帯状部43の被係止部が頭部42の係止部に係止されている状態では、帯状部43は、頭部42に対して、上記のループ状の部位の径が小さくなる方向(結束をきつくする方向)には移動できるが、逆に径が大きくなる方向(結束を緩める方向)には移動できないようになっている。
頭部42に帯状部43を先端から挿入してエンジンハーネス26を結束する前に、結束部材41の帯状部43には予め、図12に示す固定部材45が装着される。
固定部材45は、結束部材41の帯状部43に装着されるものである。図12は、本実施形態の固定部材45の構成を示す斜視図である。本実施形態において、固定部材45は、一定の厚みを有する細長い略長方形の板状の部材として構成されており、その長手方向一側は角を有する形状とされる一方、他側は半円弧状に丸められている。
固定部材45の長手方向一側の端部には、固定部材45が有する1対の側面45a,45aにそれぞれ開口するように、長方形状の断面を有する第1の孔45bが形成されている。第1の孔45bは、固定部材45を、その厚み方向と垂直に貫通するように形成されている。また、第1の孔45bの断面形状は、結束部材41の帯状部43の断面形状に対応させて、細長い長方形状に形成される。固定部材45の厚み方向一側の面は、エンジンハーネス26が配置されるハーネス配置面45cとされている。
固定部材45の長手方向他側の端部には、固定部材45を厚み方向に貫通するように、円形の断面を有する第2の孔45dが形成されている。第2の孔45dの上部(ハーネス配置面45cに近い側の部分)には、6角形状の断面を有する凹部45eが形成される。この凹部45eには、取付ボルト(軸部材)46が有する6角形状の頭部を収容することができる。
次に、固定部材45及び結束部材41を介してエンジンハーネス26を吸気パイプ17のリブ17aに取り付ける方法について、詳細に説明する。図13は、結束部材41及び固定部材45を介して、エンジンハーネス26を吸気パイプ17のリブ17aに取り付けたときの様子を示す断面図である。
初めに、固定部材45の第1の孔45bに結束部材41の帯状部43を挿入することにより、固定部材45を結束部材41に取り付ける。そしてこの状態で、吸気パイプ17のリブ17aの上に固定部材45を載せ、当該リブ17aに形成された取付孔17bと固定部材45の第2の孔45dの位置を合わせた状態で、上方から取付ボルト46をこれらの孔に挿入する。これにより、取付ボルト46の頭部が、第2の孔45dの凹部45eに収容される。そして、リブ17aから下方に突出した取付ボルト46にナット(締結部材)47を取り付け、このナット47を回転させて締め付ける。これにより、固定部材45を吸気パイプ17のリブ17aに対して固定することができる。
そして、固定部材45が有するハーネス配置面45cの上にエンジンハーネス26を載せ、エンジンハーネス26が結束部材41の「P」字の環状の部位に収容されるように、頭部42に帯状部43を先端から挿入して、適度に締め付ける。これにより、エンジンハーネス26が、結束部材41により結束された状態で、固定部材45を介して、吸気パイプ17のリブ17aに対して固定される。
このようにして、吸気パイプ17のリブ17aの、取付孔17bが形成されている複数の箇所において、エンジンハーネス26を吸気パイプ17のリブ17aに対して固定することにより、エンジンハーネス26の少なくとも一部が吸気パイプ17の長手方向に沿った状態で(より厳密にはリブ17aに沿った状態で)、エンジンハーネス26が吸気パイプ17に支持される。
とりわけ、エンジンハーネス26は、ファンシュラウド12を挟んでエンジン本体1とは反対側(前方)の領域において、吸気パイプ17のリブ17aに取り付けられている。これにより、図2に示すように、ファンシュラウド12の前方の、ラジエータ13及びコンデンサ18の上方のスペースを利用して、エンジンハーネス26を合理的に配索することができる。
また、エンジンハーネス26は、吸気パイプ17のリブ17aに取り付けられた状態で、(当該リブ17aとともに、)切欠き部分23を通ってファンシュラウド12を貫通している。このように配索することにより、ファンシュラウド12を迂回するようにエンジンハーネス26を配索した場合と比べて、エンジンハーネス26の長さを短くすることができる。また、切欠き部分23を閉鎖する閉鎖シート25を取外し可能に構成することで、エンジンハーネス26をファンシュラウド12の外部に容易に露出させることができ、エンジンハーネス26のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、エンジンハーネス26は、吸気パイプ17のリブ17aよりもエンジン本体1から遠い側に配置されている。言い換えれば、エンジンハーネス26は吸気パイプ17のリブ17aに対してエンジン本体1の外側寄りに配置されている。これにより、ボンネット7を開けたとき等にエンジンハーネス26がオペレータにとってアクセスし易い場所に配置されるので、エンジンハーネス26のメンテナンスが行い易くなっている。
以上で説明したように、本実施形態のエンジン50は、エンジン本体1と、吸気パイプ17と、エンジンコントローラ2と、エンジンハーネス26と、を備える。吸気パイプ17は、吸気をエンジン本体1の吸気部に供給する。エンジンコントローラ2は、エンジン本体1を制御する。エンジンハーネス26は、エンジン本体1とエンジンコントローラ2との間を電気的に接続する。吸気パイプ17には、吸気パイプ17の長手方向に沿ってリブ17aが形成される。そして、リブ17aによってエンジンハーネス26の少なくとも一部が支持される。
これにより、吸気パイプ17のリブ17aを利用して、エンジンハーネス26をエンジン本体1とエンジンコントローラ2との間に配索することができる。よって、エンジンハーネス26を支持するための別途のステー等を設ける構成と比較して部品点数を減らすことができるので、エンジン50の軽量化及び製造コストの低減を実現することができる。また、エンジンハーネス26を吸気パイプ17のリブ17aによって支持することで、当該エンジンハーネス26を吸気パイプ17に沿って配置することができ、小さなスペースにエンジンハーネス26を配置することができる。
また、本実施形態のエンジン50においては、エンジン本体1と、エンジンコントローラ2と、の間を隔てるように、トラクタ6が備えるファンシュラウド12が配置される。そして、エンジンハーネス26は、ファンシュラウド12を挟んでエンジン本体1とは反対側の領域において、吸気パイプ17のリブ17aに取り付けられる。
これにより、従来、ファンシュラウド12を挟んでエンジン本体1とは反対側の領域においては、ラジエータ13等の熱交換器やコンデンサ18やバッテリー14等の部材が配置されていて、当該熱交換器やコンデンサ18やバッテリー14等の上方は比較的スペースが空いていたところ、このスペースを利用してエンジンハーネス26を簡素に配索することができる。
また、本実施形態のエンジン50においては、吸気パイプ17は、ファンシュラウド12に形成された切欠き部分23を通過するように配置される。エンジンハーネス26は、吸気パイプ17のリブ17aに取り付けられた状態で、ファンシュラウド12に形成された切欠き部分23を通過している。
これにより、エンジンハーネス26がファンシュラウド12を貫通するように配索することで、ファンシュラウド12を迂回するように配索した場合と比べて、エンジンハーネス26の長さを短く構成することができ、それにより製造コストを抑えたり、メンテナンス性を向上させたりすることができる。
また、本実施形態のエンジン50においては、エンジンハーネス26は、吸気パイプ17のリブ17aよりもエンジン本体1から遠い側に配置されている。
これにより、エンジンハーネス26がリブ17aよりもエンジン本体1から遠い側に配索されるので、エンジンハーネス26のメンテナンスが行い易くなる。即ち、メンテナンス時にエンジン50からエンジンハーネス26を取り外すとき等にリブ17aが邪魔になりにくい。
また、本実施形態のエンジン50は、エンジンハーネス26を結束する結束部材41を更に備える。そして、結束部材41は吸気パイプ17のリブ17aに固定される。
これにより、束ねたエンジンハーネス26を、結束部材41を介して吸気パイプ17のリブ17aに固定することで、少ない部品点数でエンジンハーネス26を安定した状態で配索することができる。
また、本実施形態のエンジン50は、結束部材41に装着される固定部材45を更に備える。そして、吸気パイプ17のリブ17aには、固定部材45を取外し可能に取り付けるための取付孔17bが形成される。
これにより、固定部材45をリブ17aに対して簡単に固定することができる。またエンジンハーネス26のリブ17aからの取外しも、取付孔17bから固定部材45を取り外すことにより簡単にできるので、メンテナンスが容易になる。
また、本実施形態のトラクタ6は、上記のようなエンジン50を備える。
これにより、トラクタ6に対して、省スペースでエンジン50のエンジンハーネス26を配索することができる。また、エンジンハーネス26を取り付けるための別途のステー等が不要となるので、部品点数を削減することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記の実施形態では、吸気パイプ17の右側に形成されたリブ17aにエンジンハーネス26が取り付けられている。しかしながら、吸気パイプ17の左側にリブを形成し、当該リブ17aにエンジンハーネス26が配置されても良い。更に、エンジンハーネス26を取り付けるためのリブは、吸気パイプ17の上側又は下側に突出するように設けられても良い。
上記の実施形態において、吸気パイプ17には複数のリブ17aが長手方向に沿って断続的に配置されている。しかしながら、これに代えて、吸気パイプ17の長手方向に沿って単一の細長いリブが設けられるものとしてもよい。
エンジンハーネス26は、リブ17aの上側ではなく、下側に取り付けられても良い。
上記の実施形態では、吸気パイプ17及びエンジンハーネス26は、ファンシュラウド12に形成された切欠き部分23を貫通するように配置されている。しかしながら、切欠き部分23の代わりに例えば貫通孔をファンシュラウド12に形成し、この貫通孔を吸気パイプ17及びエンジンハーネス26が通過しているように構成してもよい。
上記の実施形態では、固定部材45は板状の部材として構成されている。しかしながら、これに代えて、例えば、固定部材を、第2の孔45dが形成される底板部と、当該底板部から立設される1対の側板部と、により構成し、この1対の側板部に、帯状部43を差し込むための貫通孔がそれぞれ形成されるものとしてもよい。
上記の実施形態では、固定部材45が、当該固定部材45とは別の部品である取付ボルト46によって、リブ17aに固定される。しかしながら、例えば、固定部材に突出状の軸部が一体的に形成され、この軸部がリブ17aの取付孔17bに、例えばスナップフィット構造等によって取り付けられてもよい。
固定部材45を省略し、結束部材41を取付孔17bに直接通過させてエンジンハーネス26を取り付ける構成としても良い。
上記の実施形態では、複数のハーネスがまとめてコルゲートチューブに収納され、このコルゲートチューブの上から結束部材41により束ねられている。しかしながら、コルゲートチューブを省略し、複数のハーネスの周囲に結束部材41を直接巻いて束ねる構成としてもよい。
上記の実施形態では、結束部材41は公知の樹脂製の結束バンドにより構成されるものとしたが、これに限るものではなく、例えばこれに代えて、単に紐状のものを結んで使用することとしてもよい。また、結束部材41の代わりに、例えばC字状のクランプ部材をリブ17aに固定し、このリブ17aによってエンジンハーネス26を支持する構成としてもよい。