次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るトラクタ6の全体的な構成を示した右側面図である。なお、以下の説明において「左」、「右」等というときは、トラクタ6が前進する方向に向かって左及び右を意味する。
図1に示す農作業の作業車両(作業機)としてのトラクタ6は、プラウ、ハロー、ローダ等の各種装置を必要に応じて装着し、様々な種類の作業を行うことが可能に構成されている。トラクタ6の前部には前車輪8が配置され、後部には後車輪9が配置されている。
トラクタ6の前部にはボンネット7が配置され、このボンネット7は内部を露出できるように開閉可能に構成されている。ボンネット7は流線形状に構成されており、その前部は、前方に近づくに従って上下方向でも左右方向でも細くなるように形成されている。この形状により、走行時の空気抵抗の低減と意匠性の向上が実現されている。
このボンネット7内にはエンジン本体1が収容されている。このエンジン本体1は、トラクタ6が備えるエンジンフレーム11に、直接、又は防振部材等を介して支持されている。
エンジン本体1は、複数のシリンダを有するコモンレール式のディーゼルエンジンとして構成されている。具体的に説明すると、エンジン本体1は、燃料を高圧で蓄える図略のコモンレールを備える。コモンレールから供給された燃料は、シリンダ毎に配置された図示しないインジェクタにより、燃焼室に燃料を噴射する。
ボンネット7の後方にはオペレータが搭乗するためのキャビン10が配置されており、このキャビン10の内部には各種の操作を行うための操作部71及び座席部72が備えられている。トラクタ6のオペレータは、前記操作部71を介して、トラクタ6の走行操作等を行うことができる。
トラクタ6が備える機体の骨格は、エンジンフレーム11と、エンジンフレーム11の後部に固定されるミッションケース62と、を備えて構成されている。エンジンフレーム11の下側には、前車軸ケース63が取り付けられている。前車軸ケース63には、前車軸8aを介して前車輪8が取り付けられている。ミッションケース62には、後車軸9aを介して後車輪9が取り付けられている。左右の後車輪9の上方は、左右のリアフェンダー65によって覆われている。
このミッションケース62は、エンジン本体1からの動力を減速して前車軸ケース63や後車軸9aに伝達する。オペレータが図示しない変速操作装置のシフトレバーを操作することにより、当該ミッションケース62における変速比を変更し、トラクタ6の走行速度を調整することができる。
また、エンジン本体1の駆動力は、ミッションケース62の後端から突出したPTO軸(図略)に伝達される。トラクタ6は、その後端に上述の装置を装着可能に構成されている。PTO軸は、作業装置を、図示しないユニバーサルジョイント等を介して駆動することができる。
このように構成されたトラクタ6は、田圃で走行しながら、耕耘、播種、収穫等様々な作業を行うことができる。
次に図2から図7までを参照して、ボンネット7内の各部品の配置を説明する。図2は、本実施形態のトラクタ6のボンネット7内部の様子を示した右側面図である。図3は、ボンネット7内部の斜視図である。図4は、ボンネット7内部の左側面図である。図5は、ボンネット7内部の斜視図である。図6は、ボンネット7内部の平面図である。図7は、ボンネット7とボンネット7の内部構造との位置関係を示した斜視図である。
エンジン本体1は、エンジンフレーム11の上側に配置されている。このエンジン本体1の上部左側にはDPF19が配置されている。また、エンジン本体1の上部には、このDPF19に隣接するように給油タンク3が配置されている。エンジン本体1のすぐ前方には、ファンシュラウド(仕切り板)12が設けられている。このファンシュラウド12は、ボンネット7内の後部に配置されたエンジン本体1と、ボンネット7内の前部に配置された装置や部品と、を仕切るように配置されている。ファンシュラウド12の更に前方(ボンネット7の内部空間の前部に相当)には、ラジエータ13と、コンデンサ18と、エンジンコントローラ2と、バッテリー14と、エアクリーナ15と、サブタンク20と、が配置されている。ボンネット7内の中央部から前部に配置された装置や部材は、エンジンフレーム11に固定された板状の取付プレート16の上面側に配置されている。
ファンシュラウド12には図略の冷却ファンが配置され、この冷却ファンは、エンジン本体1からの動力の供給を受けて駆動される。冷却ファンの回転により、ボンネット7の前面にある図略のフロントグリルから比較的低温の外気が取り込まれ、その外気がラジエータ13及び前記冷却ファンを通過してエンジン本体1側へ送られ、エンジン本体1の冷却が行われる。
また、ファンシュラウド12は、ボンネット7の内部空間を前後に区画するように構成されている。従って、ファンシュラウド12の前方に配置された装置や部材(ラジエータ13及びコンデンサ18等)に対して、エンジン本体1及びDPF19からの熱を遮蔽することができる。
このファンシュラウド12は、合成樹脂で形成されるとともに、切欠き部分23を有する形状に成型され、当該切欠き部分23を吸気パイプ17及びエンジンハーネス26が通過している。ファンシュラウド12の切欠き部分23の開放部を塞ぐように、ファンシュラウド12の前面の上端部に容易に着脱可能な閉鎖シート25が取り付けられている。これにより、トラクタ6に振動や衝撃が加わった場合でも、切欠き部分23を通過している吸気パイプ17等が、切欠き部分23から抜け出さないように一定の範囲に留められる。この構成によって、エンジン本体1を冷却するための外気を効率的に取り込む前記冷却ファンの導風効果やエンジン本体1側の熱を前方の装置に伝わりにくくする遮蔽効果を高く保ちながら、吸気パイプ17等の部材のメンテナンスを容易にしている。
エンジンハーネス26は、エンジン本体1の各部とエンジンコントローラ2との間を電気的に接続している。このエンジンハーネス26は、吸気パイプ17の長手方向に沿って形成されたリブによって支持されている。これにより、エンジンハーネス26を支持するための別途のステー等を設ける構成と比較して部品点数を減らすことができるとともに、エンジンハーネス26を吸気パイプ17に沿って配置することができ、小さなスペースにエンジンハーネス26を配置することができる。
DPF19は排気管に装着されており、エンジン本体1から排出される粒子状物質(PM)をフィルタで捕集して除去するように構成されている。ただし、DPF19により捕集されたPMはエンジンの稼動とともに増加するため、DPF19に捕集されたPMが一定程度堆積するとエンジン本体1の排気温度を上昇させるように制御し、DPF19においてPMを高温下で燃焼させることで、フィルタの詰まりを防止している(DPF再生)。
DPF19は、例えば上記のDPF再生を行う場合に大きな熱を発生することがあり、その周囲に配置された機器類に熱損傷を与えるおそれがある。そこで、図7に示すように、ボンネット7を閉じた状態でDPF19の近傍に位置するように排気孔30が形成されている。これにより、エンジンルーム内からボンネット外への排熱効率を向上させ、エンジンルーム内の装置や部品に高温による不具合が生じないようにすることができる。
ファンシュラウド12には、DPF19のフィルタの上流側及び下流側の圧力差を検出する差圧センサ81が支持されている。この差圧センサ81には、DPF19におけるフィルタの上流側及び下流側の空間が、適宜の配管を介して接続されている。これにより、差圧センサ81を支持する専用の部材を別途に設ける必要がなくなるため、トラクタ6の構成を簡素化することができ、コストの低減を図ることができる。
ラジエータ13は熱交換器として構成されており、このラジエータ13と、エンジン本体1に形成された図略のウォータージャケットと、の間には、冷却水を循環させる図略の循環経路が形成されている。エンジン本体1の発熱によって高温になった前記ウォータージャケット内の冷却水は、ラジエータ13へ送られる。冷却水は、ラジエータ13を通過する際に前記フロントグリルから取り込まれた外気によって冷却された後、再び前記ウォータージャケットへ戻り、エンジン本体1を冷却する。
コンデンサ18は熱交換器として構成されており、キャビン10内の空調を行うエアコンディショナに用いられる。このコンデンサ18は、コンデンサフレーム31により支持され、ラジエータ13の前方に取り付けられている。
エンジンコントローラ2は、小型のコンピュータとして構成されており、エンジン本体1とエンジンコントローラ2によってエンジンが構成されている。エンジンコントローラ2は、エンジン本体1等に取り付けられている様々なセンサからの情報に基づいて、燃料噴射量、燃料噴射時期等を制御する制御指令を各種のアクチュエータ(エンジン本体1が備える前記インジェクタを含む)に出力することにより、エンジンを制御する。
エンジンコントローラ2は、複数の防振ゴム33からなる防振支持構造35を介して支持されている。具体的には、コンデンサ18を支持する門型のコンデンサフレーム31の上部に支持プレート32が取り付けられており、防振支持構造35は当該支持プレート32に配置されている。複数の防振ゴム33の一部は、エンジンコントローラ2の厚み方向に対して垂直に配置され、残りはエンジンコントローラ2の厚み方向に対して平行に配置されている。これらの防振ゴム33を介して、エンジンコントローラ2が支持プレート32に固定されている。
エンジンコントローラ2は、ボンネット7内においてコンデンサ18よりも高い位置に配置されているので、ボンネット7を開放した場合に、エンジンコントローラ2がアクセスし易い配置となっている。この構成によって、エンジンコントローラ2に伝わる振動や衝撃の防止と、エンジンコントローラ2のメンテナンス性の向上とが図られている。
バッテリー14は、トラクタ6が備える各種の電気部品(例えば、エンジン本体1が備えるセルモータ、トラクタ6の前照灯、エンジンコントローラ2等)に対して電力を供給する。
エアクリーナ15は、空気中の異物を除去するためのエアクリーナエレメントを内部に収容した構成となっている。このエアクリーナ15は吸気パイプ17によってエンジン本体1に接続されており、エンジン本体1の吸気構造の一部を構成している。エンジン本体1から延びる吸気パイプ17は、ファンシュラウド12に形成されている切欠き部分23を前後方向に通過するとともに、ラジエータ13の上方を通過した後、下方へ曲がってエアクリーナ15に接続するように配置される。
サブタンク20は、ラジエータ13と配管で接続された上下方向に細長い容器として構成されており、ラジエータ13内の冷却水のオーバーフロー分を貯留するように構成されている。ラジエータ13内の冷却水が熱膨張により増加すると、ラジエータ13内の冷却水がサブタンク20内に流入する一方、ラジエータ13内の冷却水が減少すると、サブタンク20内の冷却水がラジエータ13に戻される。これにより、ラジエータ13内の冷却水が所定量に維持される。
エアクリーナ15及びサブタンク20は、平板状で厚み方向を水平に向けた支持ブラケット21の左右両側にそれぞれ固定されている。これにより、エアクリーナ15及びサブタンク20それぞれを固定するための特別な固定部材が不要となり、部品点数を削減してコストが抑えられている。
給油タンク3は、エンジン本体1の上部に配置されている。給油タンク3は、上部に給油口(キャップ)3aを有しており、ここから給油が行われる。給油タンク3の給油口3aは、ボンネット7の上部に設けられた孔から突出するように配置されており、オペレータはボンネット7の開閉状態に依存せず給油作業を行うことが可能となっている。
ここで、図8を参照しながら、ボンネット7内で形成される主な空気の流れを説明する。図8は、ボンネット7の内部における空気の流れの概略を示す斜視図である。
ボンネット7の前面にある図略のフロントグリルから入った比較的低温の空気は、その一部がエアクリーナ15に取り込まれ、吸気パイプ17を経由してエンジン本体1へと流れる。エアクリーナ15に取り込まれない空気のうち一部は、コンデンサ18の上方の空間から前下方に張り出すように配置されたエンジンコントローラ2の上面及び下面に沿って流れ、エンジンコントローラ2を効率的に冷却する。なお、エンジンコントローラ2は後上がり状に配置されるとともに、ボンネット7が当該エンジンコントローラ2の上方を覆う部分の内壁も後上がり状に配置されるので、エンジンコントローラ2の周辺の空気の流れはスムーズである。
フロントグリルから入った空気のうちエアクリーナ15に吸入されなかった部分(上記のようにエンジンコントローラ2の周辺を流れた空気を含む)は、前述したファンシュラウド12の導風効果により、その大部分が、ファンシュラウド12の中央部に形成された空気取込口(後述の空洞27)の前面を覆うように配置されたコンデンサ18及びラジエータ13を通過する。これにより、エアコンディショナの冷媒やエンジン冷却水を熱交換により冷却することができる。
ラジエータ13を通過した後の空気は、ファンシュラウド12に設けられた図略の冷却ファンにより、後方に送風される。その後、空気はエンジン本体1の前面に当たって放射状に広がり、エンジン本体1の上方及び左右側方の空間を後方へ流れる。これにより、エンジン本体1を効率良く冷却することができる。また、エンジン本体1の左側面に沿って流れる空気は、DPF19の長手方向に沿ってスムーズに流れ、この結果、高温になることが多いDPF19を効率良く冷却することができる。ファンシュラウド12の後方に流れた空気は、エンジン本体1及びDPF19から熱を奪うことで比較的高温の空気となって、その大部分が、ボンネット7においてDPF19と左右方向でほぼ対向する位置に形成された排気孔30からボンネット7外へ排出される。これにより、DPF19の近傍を通過したために高温となった空気が直ちに排気孔30から排出され易くなるので、高温の空気がボンネット7の内部に長時間留まって冷却効果を低下させるのを防止することができる。
なお、トラクタ6の作業中に、雑草、藁屑、塵埃等の異物が、ラジエータ13に取り込まれる空気の流れに乗って、ラジエータ13に混入することがある。これらの異物の混入によってラジエータ13のフィンに詰まりが発生すると、ラジエータ13の冷却効果を低下させる。
この詰まりの発生を予防するために、本実施形態のトラクタ6では、ラジエータ13における空気の取込み側の面(前面)に防塵スクリーン(防塵部材)50を設け、異物を防塵スクリーン50によって捕捉することでラジエータ13への流入を防止している。
異物が防塵スクリーン50に堆積して目詰まりすると空気の流動が悪くなるので、当該防塵スクリーン50を適宜のタイミングで掃除する必要がある。そこで、本実施形態では当該防塵スクリーン50の掃除を容易に行うために、防塵スクリーン50をラジエータ13から取外し可能に配置している。
次に、図9から図11までを参照して、本発明の特徴であるファンシュラウド12について詳細に説明する。図9は、ファンシュラウド12の正面図である。図10は、ファンシュラウド12の斜視図である。図11は、ファンシュラウド12近傍の様子を模式的に示した斜視図である。
ファンシュラウド12は、図9に示すように、角が丸みを有する略矩形平板状に形成されている。ファンシュラウド12の左右縁及び上縁の輪郭は、ボンネット7の内壁の形状にほぼ沿うように構成されている。
本実施形態において、このファンシュラウド12は合成樹脂で形成されている。従って、従来用いられていたSPCC(一般用の冷間圧延鋼板)等の素材で形成した場合と比べて、その目的に沿った形状を容易に得ることができる。
図9及び図10に示すように、前記切欠き部分23は、ファンシュラウド12の上端において左右一側(本実施形態では、右側)に偏った位置から真っ直ぐ下へ向けて切り欠かれた凹部として形成されており、その下端部の輪郭の一部が、吸気パイプ17の輪郭にほぼ沿う半円状(円弧状)に形成されている。言い換えれば、切欠き部分23の輪郭の一部(具体的には、切欠き部分23の下端部の輪郭)が円弧状に成型されており、これは、吸気パイプ17の断面輪郭の下半分と同じ形状である。これによって、吸気パイプ17を切欠き部分23に配置した場合に、吸気パイプ17と切欠き部分23との間に生じる隙間を小さくすることができる。その結果、ファンシュラウド12による熱遮蔽効果の低下を抑えることができる。
図9に示すように、吸気パイプ17の左右一側(本実施形態では、右側)には、水平に突出するリブ17aが形成されている。このリブ17aは、吸気パイプ17の長手方向に沿って細長く構成されている。このリブ17aにより、吸気パイプ17の剛性を高めることができる。また、このリブ17aは、前記エンジンハーネス26を吸気パイプ17に沿わせて配置するためのバンド状の固定具の固定箇所としても機能している。
そして、前記切欠き部分23の内部を、吸気パイプ17とともに、前記リブ17a及びエンジンハーネス26が通過するように配置されている。これにより、吸気パイプ17及びエンジンハーネス26のコンパクトな配置を実現することができる。
ファンシュラウド12において、前記切欠き部分23の上下方向中途部から、左右一側(本実施形態では、右側)に分岐して、小さな第2切欠き部分24が形成されている。この第2切欠き部分24は、図9に示すように、分岐箇所からやや斜め下に延び、更に左右水平方向に延びる細長い輪郭を有する凹部として形成されている。
そして、第2切欠き部分24の内部を、コンデンサ18に接続される変形可能な第1配管28及び第2配管29が並んで通過している。このように、第1配管28及び第2配管29が切欠き部分23とは別の第2切欠き部分24を通過する形となるので、第1配管28及び第2配管29を、吸気パイプ17及びエンジンハーネス26との関係で整理して配置することができる。
前述のとおり、前記冷却ファンは前記フロントグリルから取り込んだ外気をエンジン本体1へ送り、エンジン本体1を冷却している。ファンシュラウド12の中央部には、前記冷却ファンを配置するための空洞27が形成されている。この空洞27の輪郭は、前記冷却ファンが備える羽根の回転軌跡に沿った円状に形成されているので、ラジエータ13側からエンジン本体1側へ冷却風を効率的に送ることができる。
このファンシュラウド12を金型で成型する場合は、当該金型のキャビティを、前記切欠き部分23及び第2切欠き部分24に対応した部分を有する形状としておく。これにより、(前述のSPCCに穴あけ加工をする構成等と比較して、)切欠き部分23及び第2切欠き部分24を有する複雑な形状のファンシュラウド12を容易に実現することができる。
ファンシュラウド12の切欠き部分23の開放部を塞ぐように、ファンシュラウド12の前面の上端部に閉鎖シート25が取り付けられている。この閉鎖シート25は、その全体が、変形可能な柔らかいシート材として構成されている。これにより、トラクタ6に振動や衝撃が加わった場合でも、吸気パイプ17や第2切欠き部分24を通過しているエンジンハーネス26が、切欠き部分23から抜け出さないように一定の範囲に留めておくことができる。また、閉鎖シート25の下端部が吸気パイプ17及びエンジンハーネス26の上面に沿うように変形しながら切欠き部分23の開放部を覆うことで、吸気パイプ17の上側の空間を隙間なく塞ぐことができる。従って、ファンシュラウド12の導風効果及び熱遮蔽効果を向上させることができる。
また、閉鎖シート25を着脱可能な固定具(例えば、ネジ)によりファンシュラウド12に固定することで、閉鎖シート25の着脱を容易にすることができる。これにより、吸気パイプ17及びエンジンハーネス26の取付け及び取外しを容易にすることができる。
以上に説明したように、本実施形態のトラクタ6は、エンジン本体1と、吸気パイプ17と、ファンシュラウド12と、を備える。吸気パイプ17は、エンジン本体1に接続される。ファンシュラウド12は、エンジン本体1の前方に配置される。ファンシュラウド12は合成樹脂で形成されるとともに、切欠き部分23を有する形状に成型され、当該切欠き部分23を吸気パイプ17が通過している。
これにより、嵌合孔に吸気パイプ17を通過させた場合と比較して、メンテナンス時にファンシュラウド12に対する吸気パイプ17の取付け又は取外しを容易にすることができる。
また、本実施形態のトラクタ6において、切欠き部分23の輪郭の一部が吸気パイプ17の断面輪郭に沿って形成されている。
これにより、ファンシュラウド12の切欠き部分23にできる隙間を小さく抑え、ファンシュラウド12の導風効果や熱遮蔽効果の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態のトラクタ6において、ファンシュラウド12は、切欠き部分23から分岐する第2切欠き部分24を有する形状に成型されている。
これにより、切欠き部分23とは別に、第2切欠き部分24を通過するように部材を設置することができる。
また、本実施形態のトラクタ6は、コンデンサ18を備える。コンデンサ18に接続される第1配管28及び第2配管29が、第2切欠き部分24の内部を通過している。
これにより、吸気パイプ17が通過する切欠き部分23と別の部分である第2切欠き部分24に第1配管28及び第2配管29を通過させることで、コンデンサ18に繋がる配管の経路を整理して配置することができる。
また、本実施形態のトラクタ6において、吸気パイプ17には、外側に突出するリブ17aが吸気パイプ17の長手方向に沿って形成される。切欠き部分23の内部をリブ17aが通過する。
即ち、本実施形態のように複雑な形状の切欠き部分23を容易に形成することができるファンシュラウド12は、リブ17aを有するような複雑な形状の吸気パイプ17を通過させるために用いられることが好適である。
また、本実施形態のトラクタ6において、吸気パイプ17に形成されたリブ17aにはエンジンハーネス26が固定される。そして、切欠き部分23の内部をエンジンハーネス26が通過する。
これにより、リブ17aを用いて、吸気パイプ17に対してエンジンハーネス26を沿わせるように取り付けることができる。また、1つの切欠き部分23を吸気パイプ17とエンジンハーネス26が通過する簡素な構成を実現することができる。
また、本実施形態のトラクタ6において、エンジン本体1とエンジンコントローラ2とを電気的に接続するエンジンハーネス26が、切欠き部分23の内部を通過している。
これにより、簡素な経路でエンジンハーネス26を配置することができる。
また、本実施形態のトラクタ6において、切欠き部分23の開放部に閉鎖シート25が取り付けられている。
これにより、切欠き部分23の開放部が塞がれるので、トラクタ6に振動や衝撃が加わった場合でも、吸気パイプ17をファンシュラウド12の切欠き部分23から抜け出さないように一定の範囲内に留めておくことができる。また、切欠き部分23を通過する吸気パイプ17や第2切欠き部分24を通過する部材の着脱を閉鎖シート25の取付け又は取外しのみで行うことができるので、切欠き部分23を通過する吸気パイプ17や第2切欠き部分24を通過する第1配管28及び第2配管29のメンテナンスが容易になる。
また、本実施形態のトラクタ6において、閉鎖シート25は吸気パイプ17(及びエンジンハーネス26)に接触可能に設けられている。そして、閉鎖シート25の全体が変形可能に構成されている。
これにより、閉鎖シート25が吸気パイプ17及びエンジンハーネス26に沿うように変形しながら切欠き部分23の開放部を覆うことで、吸気パイプ17及びエンジンハーネス26の周囲の空間を良好に塞ぐことができる。従って、ファンシュラウド12の導風効果及び熱遮蔽効果を向上させることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
切欠き部分23の位置及び形状は適宜変更することができ、例えば左右方向に切り欠いたり、斜めに切り欠いたり、L字状に切り欠いたりすることもできる。また、第2切欠き部分24を複数設けても良いし、逆に省略しても良い。
上記の実施形態において、閉鎖シート25は、全体が変形可能に構成されている。しかしながらこれに代えて、吸気パイプ17やエンジンハーネス26に接触する一部だけ(例えば、下縁部だけ)が変形可能に構成されても良い。また、柔らかい閉鎖シート25に代えて、金属や樹脂等からなる固い部材で切欠き部分23の開放部を閉鎖しても良い。
切欠き部分23に、エンジンハーネス26に代えて、又はそれに加えて、他の細長い部材を通過させるように構成しても良い。また、第2切欠き部分24に、第1配管28及び第2配管29以外の細長い部材を通過させるように構成しても良い。切欠き部分23及び第2切欠き部分24に配置する細長い部材としては、例えば、配管や電線ハーネスを挙げることができる。