次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。先ず、図1等を参照して、本発明に係るトラクタ100の全体構成及びボンネット9内部の構成について説明する。図1は本発明の一実施形態に係るトラクタ100の側面図である。なお、以下の説明において「左」、「右」等というときは、トラクタ100が前進する方向に向かって左及び右を意味する。
図1に示す農作業用の作業車両としてのトラクタ100は、プラウ、ローダ等の様々な作業装置を必要に応じて装着し、様々な種類の作業を行うことが可能に構成されている。
トラクタ100は、図1に示すように、機体2と、左右1対の前輪3と、左右1対の後輪4と、を備える。前輪3は機体2の前部を支持し、後輪4は機体2の後部を支持している。
トラクタ100の機体2の前部にはボンネット9が配置され、このボンネット9は内部を露出できるように開閉可能に構成されている。ボンネット9は流線形状に構成されており、その前部は、前方に近づくに従って上下方向でも左右方向でも細くなるように形成されている。この形状により、走行時の空気抵抗の低減と意匠性の向上が実現されている。
このボンネット9内には、図1及び図5に示すように、燃料タンク112の一部と、エンジン5と、が収容されている。また、エンジン5の前方には、ファンシュラウド21と、ラジエータ22と、コンデンサ24と、エンジンコントロールユニット(ECU)25と、サブタンク26と、エアクリーナ27と、バッテリー28と、が配置されている。ファンシュラウド21、ラジエータ22、コンデンサ24、ECU25、サブタンク26、エアクリーナ27、及びバッテリー28は、図2に示すように、エンジンフレーム11に固定された取付プレート15の上側に後方から前方に向かって上記の順で配置され、何れもボンネット9に収容されている。
燃料タンク112は、エンジン5の上部に配置されている。燃料タンク112は、上部に給油口112aを有しており、ここから給油が行われる。この給油口112aは、図1及び図2に示すように、ボンネット9の上部に設けられた孔から突出するように配置されているため、オペレータはボンネット9の開閉状態に依存せず給油作業を行うことが可能となっている。
エンジン5は、複数のシリンダを有するコモンレール式のディーゼルエンジンとして構成されている。具体的に説明すると、エンジン5は、燃料タンク112から供給された燃料を高圧で蓄える図略のコモンレールを備える。コモンレールから供給された燃料は、シリンダ毎に配置された図示しないインジェクタにより、シリンダ内の燃焼室に燃料を噴射する。
エンジン5の上部左側にはディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)51が配置されている。このDPF51はエンジン5の排気管と接続され、エンジン5から排出される粒子状物質(PM)をフィルタで捕集して除去するように構成されている。ただし、DPF51により捕集されたPMはエンジン5の稼動とともに増加するため、DPF51に捕集されたPMが一定程度堆積するとエンジン5の排気温度を上昇させるように制御し、DPF51においてPMを高温下で燃焼させることで、フィルタの詰まりを防止している(DPF再生)。
DPF51は、例えば上記のDPF再生を行う場合に大きな熱を発生することがあり、その周囲に配置された機器類に熱損傷を与えるおそれがある。そこで、図2に示すように、ボンネット9を閉じた状態でDPF51の近傍に位置するように排気孔90が形成されている。これにより、エンジンルーム内からボンネット9外への排熱効率を向上させ、エンジンルーム内の装置や部品に高温による不具合が生じないようにすることができる。
次に、ボンネット9内の空気の流れについて図3を参照して説明する。図3は、ボンネット9の内部における空気の流れの概略を示す斜視図である。
ボンネット9の前面にある図略のフロントグリルから入った比較的低温の空気は、その一部がエアクリーナ27に取り込まれ、吸気管23を経由してエンジン5へと流れる。エアクリーナ27に取り込まれない空気の一部は、コンデンサ24の上方の空間から前下方に張り出すように配置されたECU25の上面及び下面に沿って流れ、ECU25を効率的に冷却する。なお、ECU25は後上がり状に配置されるとともに、ボンネット9が当該ECU25の上方を覆う部分の内壁も後上がり状に配置されるので、ECU25の周辺の空気の流れはスムーズである。
フロントグリルから入った空気のうちエアクリーナ27に吸入されなかった部分(上記のようにECU25の周辺を流れた空気を含む)は、前述したファンシュラウド21の導風効果により、その大部分が、ファンシュラウド21の中央部に形成された空気取込口(図略)の前面を覆うように配置されたコンデンサ24及びラジエータ22を通過する。これにより、エアコンディショナの冷媒やエンジン冷却水を熱交換により冷却することができる。なお、ラジエータ22の前面には防塵スクリーンが設けられており、これにより、異物のラジエータ22への侵入が防止される。
ラジエータ22を通過した後の空気は、ファンシュラウド21の空気取込口に配置された冷却ファン29(図1を参照)により、後方に送風される。その後、空気はエンジン5の前面に当たって放射状に広がり、エンジン5の上方及び左右側方の空間を後方へ流れる。これにより、エンジン5を効率良く冷却することができる。また、エンジン5の左側面に沿って流れる空気は、DPF51の長手方向に沿ってスムーズに流れ、この結果、高温になることが多いDPF51を効率良く冷却することができる。ファンシュラウド21の後方に流れた空気は、エンジン5及びDPF51から熱を奪うことで比較的高温の空気となって、その大部分が、ボンネット9においてDPF51と左右方向でほぼ対向する位置に形成された排気孔90からボンネット9外へ排出される。これにより、DPF51の近傍を通過したために高温となった空気が直ちに排気孔90から排出され易くなるので、高温の空気がボンネット9の内部に長時間留まって冷却効果を低下させるのを防止することができる。
ファンシュラウド21は、エンジン5により駆動される冷却ファン29の外側を取り囲むように構成され、エンジン5の前方に配置されている。ファンシュラウド21は概ね平板状に形成されており、その厚み方向を前後方向に向けて配置されている。このファンシュラウド21の右上側には、エンジン5の吸気管23等の部材を通すための切欠部21eが設けられている。また、ファンシュラウド21は、図6等に示すようにエンジン本体の前面を広範囲にわたって覆うように配置されており、ボンネット9の内部空間を前後に区画するように構成されている。従って、ファンシュラウド21の前方に配置された装置(ラジエータ22やコンデンサ24等)に対して、エンジン5からの熱を遮蔽することができる。
この冷却ファン29は、エンジン5からの動力の供給を受けて駆動される。当該冷却ファン29の回転により、前記フロントグリルから取り込まれた外気がラジエータ22及び冷却ファン29を通過してエンジン5側へ送られ、エンジン5の冷却が行われる。
ラジエータ22は、エンジン5のウォータージャケット内の冷却水を冷却する装置であって、ファンシュラウド21の前面側に取り付けられている。このラジエータ22と、エンジン5に形成された図略のウォータージャケットと、の間には、冷却水を循環させる図略の循環経路が形成されている。エンジン5の発熱によって高温になった前記ウォータージャケット内の冷却水は、ラジエータ22へ送られる。冷却水は、ラジエータ22を通過する際に上述のフロントグリルから取り込まれた外気によって冷却された後、再び前記ウォータージャケットへ戻り、エンジン5を冷却する。
コンデンサ24は熱交換器として構成されており、キャビン6内の空調を行うエアコンディショナに用いられる高圧の液状冷媒を通過させるチューブと、当該チューブの周囲にコルゲート式又はプレート式等で構成されるフィンと、を備えている。このコンデンサ24は、コンデンサフレーム24aにより支持され、ラジエータ22の前側に取り付けられている。
ECU25は、小型のコンピュータとして構成されている。ECU25は、エンジン5に取り付けられている様々なセンサからの情報に基づいて、燃料噴射量、燃料噴射時期等を制御する制御指令を出すことによりエンジン5の稼動を制御する。
このECU25は、図1及び図2に示すように、ボンネット9内において、コンデンサ24等の装置の斜め上側に、ボンネット9の前側上部の傾斜形状に沿う向きで配置されている。従って、ボンネット9を開放してECU25にアクセスする場合に他の構造物が邪魔になりにくい配置となっているので、ECU25のメンテナンス性の向上を図ることができる。
サブタンク26は、ラジエータ22のオーバーフロー分の冷却水を貯留するためのものである。具体的に説明すると、ラジエータ22は図4に示すように、チューブ及びフィン等を備えた図略の冷却コアを通過する前の冷却水を貯留可能なアッパタンク22bと、冷却コアを通過した後の冷却水を貯留可能なロアタンク22cと、を備える。そして、サブタンク26は図5に示すように、可撓性を有するホース(パイプ部材)26aを介してアッパタンク22bに接続されている。この構成で、ラジエータ22内の冷却水が熱膨張等の原因により増加すると、ラジエータ22内の冷却水がホース26aを介してサブタンク26に流入する。一方、ラジエータ22内の冷却水が減少すると、サブタンク26内の冷却水がラジエータ22に戻される。これにより、ラジエータ22内の冷却水を所定量に維持することができる。
エアクリーナ27は、空気中の異物を除去するためのエアクリーナエレメントを内部に収容した構成となっている。このエアクリーナ27は吸気管23によってエンジン5に接続されており、エンジン5の吸気構造の一部を構成している。
バッテリー28は、トラクタ100が備える各種の電気部品(例えば、エンジン5が備えるセルモータ、トラクタ100の前照灯、ECU25等)に対して電力を供給する。
図1に示すように、機体2の後部にはオペレータが搭乗するためのキャビン6が設置されている。このキャビン6の内部には、オペレータが操舵するためのステアリングハンドル7と、オペレータが座る運転座席8と、各種の操作を行うための様々な操作装置(図略)と、が設けられている。
機体2の骨格を構成する機体フレームは、エンジンフレーム11と、エンジンフレーム11の後部に固定されたミッションケース12と、を備える。エンジンフレーム11の下側には、前車軸ケース13が取り付けられている。前車軸ケース13には、前車軸130を介して前輪3が取り付けられている。ミッションケース12には、後車軸14を介して後輪4が取り付けられている。左右の後輪4の上方は、左右のリアフェンダー111によって覆われている。
このミッションケース12は、エンジン5からの動力を減速して前車軸ケース13や後車軸14に伝達する。オペレータが図示しない変速操作装置のシフトレバーを操作することにより、当該ミッションケース12における変速比を変更し、トラクタ100の走行速度を調整することができる。
また、エンジン5の駆動力は、ミッションケース12の後端から突出したPTO軸(図略)に伝達される。トラクタ100は、その後端に上述の作業装置を装着可能に構成されている。PTO軸は、作業装置を、図示しないユニバーサルジョイント等を介して駆動することができる。
このように構成されたトラクタ100は、田圃で走行しながら、耕耘、播種、収穫等様々な作業を行うことができる。
次に、このエンジン5の構成について図7を参照して簡単に説明する。図7は、エンジン5の吸気及び排気の流れを模式的に示す説明図である。
エンジン5は、図7に示すように、外部から空気を吸入する吸気部5aと、燃焼室50を有する図略のシリンダと、燃料の燃焼によって燃焼室50に発生する排気ガスを外部へ排出する排気部5bと、を主要な構成として備えている。
吸気部5aは、図7に示すように、吸気の通路である吸気管23を備えている。また、吸気部5aは、当該吸気管23において吸気が流れる方向の上流側から順に配置された前記エアクリーナ27と、過給機52と、吸気マニホールド56と、を備える。
過給機52は、図7に示すように、タービン53と、シャフト54と、コンプレッサ55と、を備えている。シャフト54の一端はタービン53と接続され、他端はコンプレッサ55と接続されている。タービン53は、排気ガスを利用して回転するように構成されている。シャフト54を介してこのタービン53と連結されているコンプレッサ55は、タービン53の回転に伴って回転する。コンプレッサ55の回転により、エアクリーナ27により浄化された空気を圧縮して強制的に吸入することができる。
吸気マニホールド56は、吸気管23から供給された空気をエンジン5のシリンダ数に応じて分配し、それぞれのシリンダの燃焼室50へ供給することができるように構成されている。
なお、過給機52のコンプレッサ55の下流側に、過給機52によって吸入された圧縮空気を冷却水又は流動空気(即ち、風)と熱交換させることで冷却させる図略のインタークーラや、吸気マニホールド56へ供給する空気量をその開度を調節することにより調整する図略の吸気弁を設置しても良い。
燃焼室50で燃料が燃焼することによって発生した排気ガスは、排気部5bを介して、燃焼室50からエンジン5の外へ排出される。
排気部5bは、図7に示すように、排気ガスの通路である排気管58を備えている。また、排気部5bは、当該排気管58において排気ガスが流れる方向の上流側から順に配置された、排気マニホールド57と、排気ガス浄化装置であるDPF51と、を備えている。
エンジン5はEGR装置70を備えており、排気ガスの一部を、図7に示すように、当該EGR装置70を介して吸気側へ還流させることができる。EGR装置70には、吸気へ還流させる排気ガスを冷却するEGRクーラ71と、排気ガスの還流量を調整できるEGRバルブ72と、が設けられている。この構成により、例えば、エンジン5の高負荷運転時における最高燃焼温度を下げることができるので、NOx(窒素酸化物)の生成量を低減することができる。
排気マニホールド57は、各燃焼室50で発生した排気ガスをまとめて、当該排気ガスを過給機52のタービン53に供給するように排気管58へ導く。
なお、過給機52のタービン53とDPF51との間に、排気ガスの排出量を調整できる図略の排気弁を設けても良い。
図6に示すように、DPF51は細長い円柱状に形成されており、その長手方向がトラクタ100の前後方向に沿うように配置されている。DPF51の長手方向一側(前側)の端部に排気ガスの出口が設けられている。
DPF51の内部には、排気ガスが流れる方向の上流側から順に、酸化触媒61と、スートフィルタ62と、が配置されている。酸化触媒61は、白金等で構成されており、排気ガスに含まれる一酸化炭素、一酸化窒素などの酸化を促進することができる。スートフィルタ62は、排気ガス内の煤等からなる粒子状物質(PM)を捕集することで排気ガスを濾過するとともに、その内部で、PMの酸化反応が行われることで捕集されたPMが除去される。排気管58からDPF51に導入された排気ガスは、スートフィルタ62により浄化された後、エンジン5の外へ排出される。
DPF51には、酸化触媒温度センサ63と、フィルタ温度センサ64と、が取り付けられている。酸化触媒温度センサ63は、DPF51の入口近傍(酸化触媒61の排気ガス上流側)の温度を検出する。フィルタ温度センサ64は、酸化触媒61及びスートフィルタ62の間(スートフィルタ62の排気ガス上流側)の温度を検出する。
そして、図6に示すように、酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64は、配線91,92を介してそれぞれECU25に電気的に接続されている。配線91,92の中途部には、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74が配置されている(なお、図6においては、差圧センサ65及びその周辺の構成を分かり易く示すために、配線91,92においてECU25に近い側の一部が鎖線で透視的に示されている)。第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74のそれぞれは、互いに着脱可能な接続端子により構成されており、これによりメンテナンス性を向上させることができる。
酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64は、DPF51内の排気ガス温度を検出し、その検出結果をECU25へ出力する。ECU25は、酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64によって検出された温度に基づいてエンジン5の稼動を制御することで、排気ガスを適切に浄化することができる。
差圧センサ65は、DPF51の外部に配置されており、スートフィルタ62の上流側と下流側の圧力差を検出することができる。図6に示すように、差圧センサ65とスートフィルタ62の上流側とが上流側配管81を介して接続されている。一方、差圧センサ65とスートフィルタ62の下流側とが下流側配管82を介して接続されている。これにより、スートフィルタ62の流入側(上流側)の排気ガスの圧力と、当該スートフィルタ62の流出側(下流側)の排気ガスの圧力と、の圧力差が、差圧センサ65により検出される。
そして、図6に示すように、差圧センサ65は配線93を介してECU25に電気的に接続されている(なお、図6においては、差圧センサ65及びその周辺の構成を分かり易く示すために、配線93が鎖線で透視的に示されている)。当該差圧センサ65はスートフィルタ62の上流側及び下流側の圧力差を検出し、この検出結果をECU25へ出力する。ECU25は、差圧センサ65により検出されたスートフィルタ62の上流側及び下流側の圧力差に基づいて、スートフィルタ62へのPMの堆積量等を算出することができる。
次に、本実施形態のトラクタ100の差圧センサ65の支持構造について図8及び図9を参照して説明する。図8は、差圧センサ65の支持構造を後方から見た拡大斜視図である。図9は、差圧センサ65の支持構造を前方から見た拡大斜視図である。
差圧センサ65は、図8に示すように、細長い直方体状のセンサハウジングを備えている。このセンサハウジングから2つの筒状の配管接続部が並んで突出しており、この配管接続部に、上流側配管81及び下流側配管82がそれぞれ接続されている。
本実施形態において、差圧センサ65は図8に示すように、エンジン5の冷却ファン29の外周を取り囲むように設置されるファンシュラウド21に支持されている。具体的に説明すると、ファンシュラウド21には、図8に示すように、その上側の左右略中央部の一部がDPF51へ向かって折り曲げられるように折曲部21aが形成されている。差圧センサ65は、当該折曲部21aに固定されている。
折曲部21aは、図8に示すように、下側の傾斜部21bと、上側の水平部21cと、から構成されている。
傾斜部21bは、厚みを前後方向に向けて配置された略板状のファンシュラウド21の一部をDPF51へ近づく向きに斜めに折り曲げたような形状となっている。傾斜部21bは、DPF51に近づくにつれて上側となるように傾斜した形状となっている。
水平部21cは、ファンシュラウド21の一部をDPF51へ近づく向きに垂直に折り曲げたような形状となっている。そして、この水平部21cの後端部が、傾斜部21bの上端部と一体的に接続されている。
このような構成の折曲部21aにより、前方を開放させた小さな凹部がファンシュラウド21に形成されており、この凹部が差圧センサ65の配置スペースとして利用されている。差圧センサ65は、図9に示すように、適宜の固定部材(例えば、ボルト)によって傾斜部21bに固定される。
本実施形態では、傾斜部21bと水平部21cとが上述のように一体に接続されているため、折曲部21aの剛性が良好である。従って、傾斜部21bに差圧センサ65を取り付けても過度な振動等を生じさせることがなく、また、ファンシュラウド21の耐久性を向上させることができる。なお、ファンシュラウド21は樹脂で一体成形されているので、上記のように複雑な形状の折曲部21aであっても容易に形成することができる。
図8に示すように、前記折曲部21aの左右方向一側(具体的には、左側)は、ファンシュラウド21の後方の空間と繋がるように開放されている。また、傾斜部21bには、左右方向に細長い貫通状のスリット部21dが形成されている。スリット部21dは、折曲部21aが開放している側を同様に開放させており、差圧センサ65が備える配管接続部をスリット部21dに通過させた状態で当該差圧センサ65を折曲部21aに固定できるように構成されている。
この構成で、差圧センサ65をファンシュラウド21に支持させるには、差圧センサ65が備える2つの前記配管接続部をスリット部21dに通すようにして、図8の太線矢印で示すように、折曲部21aの開放側から差圧センサ65のセンサハウジングを内部に差し込むように右側へスライドさせる。これにより、後方のDPF51と配管81,82を介して接続される差圧センサ65を、折曲部21aに容易に設置することができる。
なお、本実施形態では、傾斜部21bに取付け孔を形成し、図9に示すようにボルト止めによって差圧センサ65を傾斜部21bに固定している。しかしながら、この方法に限定されず、適宜の方法で差圧センサ65を折曲部21aに固定することができる。
このように、本実施形態では、冷却ファン29への導風のためのファンシュラウド21を利用して、差圧センサ65を簡素な構成で支持することができる。そして、ファンシュラウド21はECU25とDPF51との間に配置されているので、DPF51から差圧センサ65への配管81,82を短くできるとともに、差圧センサ65からECU25への配線93を短くすることができる。
これにより、差圧センサ65を支持する部材を別途に設ける必要がなくなり、トラクタ100の構成を簡素化にすることができるとともに、コストの低減も実現できる。
続いて、ECU25と酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64とを接続する配線91,92の中途部に配置された第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74の支持構造について、主に図10を参照して説明する。
先に、本実施形態のトラクタ100の吸気管23の構成について簡単に説明する。
図6に示すように、本実施形態のトラクタ100においては、DPF51の前方にECU25が配置されている。そして、ECU25の右前方にエアクリーナ27が配置されている。吸気管23は、トラクタ100の前部に配置されたエアクリーナ27から、ECU25の右側を通過しながら後方に(即ち、DPF51の長手方向と平行に)延び、更に、DPF51の右側近傍まで延びた後、右に曲がり、更に下方へ曲がってエンジン5の過給機52に接続される。このように、吸気管23は、DPF51の右側の近傍であって、DPF51の長手方向に沿って配置される部分を有する。
次に、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74の支持構造について説明する。
本実施形態のトラクタ100においては、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74は、吸気管23のうちDPF51の近傍に配設された部分を利用して支持されている。
具体的には、図10に示すように、吸気管23は、DPF51に近づく向きに突出するように一体形成された第1リブ83及び第2リブ84を備えている。第1リブ83及び第2リブ84は、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74の支持部として利用されている。
第1リブ83は、吸気管23の管体に沿って細長く形成されている。第1リブ83の長さは、第1配線コネクタ73の長さとほぼ同じか若干長いことが好ましい。また、第1リブ83が吸気管23の管体から突出する幅は、第1配線コネクタ73の幅と略同じか若干広いことが好ましい。これにより、当該第1リブ83を利用して第1配線コネクタ73を好適に支持することができる。
第2リブ84は、第1リブ83と同じように、吸気管23の管体に沿って細長く形成されている。第2リブ84の長さは、第2配線コネクタ74の長さとほぼ同じか若干長いことが好ましい。また、第2リブ84が吸気管23の管体から突出する幅は、第2配線コネクタ74の幅と略同じか若干広いことが好ましい。これにより、当該第2リブ84を利用して第2配線コネクタ74を好適に支持することができる。
第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74は、適宜細長く形成され、その長手方向が第1リブ83及び第2リブ84の長手方向に略沿って配置されている。これにより、コンパクトなスペースで第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74を支持することができる。
図10に示すように、第1リブ83には貫通状の取付孔が形成されている。そして、第1配線コネクタ73のうちセンサ側の接続端子が、適宜の固定具を取付孔に固定することにより、第1リブ83に取り付けられている。同様に、第2リブ84にも貫通状の取付孔が形成され、第2配線コネクタ74のうちセンサ側の接続端子が、適宜の固定具を取付孔に固定することにより、第2リブ84に取り付けられている。
このように、本実施形態では、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74が、吸気管23のうちDPF51の近傍に配設された部分において、管体に沿って支持固定されている。従って、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74を、吸気管23とDPF51との配置を利用して合理的に設置することができ、トラクタ100の構成を一層簡素化することができる。また、第1リブ83及び第2リブ84を形成することで、吸気管23の剛性の向上も図ることができる。
以上に説明したように、本実施形態のトラクタ100は、エンジン5と、ファンシュラウド21と、を備える。エンジン5は、排気ガスを浄化するDPF51を有する。ファンシュラウド21は、エンジン5の前方に配置される。DPF51は、排気ガス内のPMを捕集するスートフィルタ62を備えている。エンジン5は、排気ガスが流れる方向においてDPF51のスートフィルタ62の上流側及び下流側の圧力差を検出する差圧センサ65を備える。差圧センサ65は、ファンシュラウド21に支持されている。
これにより、差圧センサ65を支持する専用の部材(例えば、特許文献1のセンサブラケット等)を別途に設ける必要がなくなるため、トラクタ100の構成を簡素化することができ、コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態のトラクタ100において、エンジン5は、上流側配管81と下流側配管82とを備える。上流側配管81は、DPF51のスートフィルタ62の上流側と差圧センサ65とを接続する。下流側配管82は、スートフィルタ62の下流側と差圧センサ65とを接続する。ファンシュラウド21の上側の一部には、DPF51へ向かって折り曲げられる折曲部21aが形成される。差圧センサ65は、折曲部21aに支持されている。
これにより、簡単な構成で差圧センサ65を支持することができる。また、差圧センサ65がDPF51に近い位置に配置されるので、当該差圧センサ65への上流側配管81及び下流側配管82を短くすることができる。
また、本実施形態のトラクタ100においては、エンジン5は、吸気管23と、酸化触媒温度センサ63と、フィルタ温度センサ64と、ECU25と、を備える。吸気管23は、外部から吸入した空気を導く。酸化触媒温度センサ63は、DPF51の内部の酸化触媒61の上流側の排気ガス温度を検出する。フィルタ温度センサ64は、スートフィルタ62の上流側(酸化触媒61とスートフィルタ62との間)の排気ガス温度を検出する。ECU25は、酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64の検出結果を受信する。酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64からECU25への配線91,92の中途部に第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74が配置されている。当該第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74は、吸気管23に支持されている。
これにより、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74を支持する専用の部材を別途に設ける必要がなくなり、トラクタ100の構成を一層簡素化することができる。
また、本実施形態のトラクタ100においては、吸気管23の少なくとも一部は、DPF51の長手方向に沿ってその近傍に配置される。吸気管23には、DPF51に近づく向きに突出するように一体成形された第1リブ83及び第2リブ84が設けられている。第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74は、吸気管23の第1リブ83及び第2リブ84に支持されている。
これにより、DPF51の近傍に配置された吸気管23の一部を利用することで、より合理的な構成で第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74を支持することができる。そして、吸気管23が第1リブ83及び第2リブ84を有するので、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74を一層簡単に支持することができる。
また、本実施形態のトラクタ100においては、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74は、吸気管23にリブ状に形成された部分(第1リブ83及び第2リブ84)によって支持されている。
これにより、酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64の配線コネクタを簡素な構成で好適に支持できるとともに、吸気管の剛性を向上させることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
折曲部21aの構成は、上記の構成に限定せず、例えば、DPF51側に突出する水平面を有し、当該水平面に差圧センサ65を支持する構成であっても良い。また、折曲部21aを省略して、ファンシュラウド21において厚み方向がトラクタの前後を向く面に差圧センサ65を固定する構成などでも良い。
差圧センサ65、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74は、ボルト止めする構成に限定せず、例えば、締めバンドで固定するように構成されても良い。
第1配線コネクタ73が第1リブ83に支持され、第2配線コネクタ74が第2リブ84に支持される構成に限らず、必要に応じて、第1配線コネクタ73を第2リブ84により支持し、第2配線コネクタ74を第1リブ83により支持しても良い。また、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74の一方のみがリブに固定されても良い。
上記の実施形態では、第1配線コネクタ73及び第2配線コネクタ74において、センサ側(酸化触媒温度センサ63及びフィルタ温度センサ64側)の接続端子が第1リブ83及び第2リブ84にそれぞれ固定されている。しかしながら、これに代えて、ECU25側の接続端子を第1リブ83及び第2リブ84に固定する構成としても良い。
本発明は、トラクタに限定せず、田植機、コンバイン、ホイルローダ等の様々な作業車両にも適用可能である。