以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
図1は、本実施形態の時計組立て装置1を示す斜視図である。図2は、時計組立て装置1を上方から見た平面図である。図1、図2を参照して、時計組立て装置1の構成を概略説明する。
本実施形態の時計組立て装置1は、複数の製造工程を備えた時計のメカニカルな組立作業を行う製造ライン(時計組立てライン1000)の中の、1つの製造工程(組立て工程)を担う装置として組まれている。そして、時計組立て装置1は、その工程で必要となる時計のワークW(図8)を供給し、供給したワークWを画像認識によりピックアップ部220で把持させて必要な位置に移動させる動作を繰り返し実行する。
なお、本実施形態を説明する図面は、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いて示す。詳細には、図1において、紙面左側から右側の方向(時計組立てライン1000が流れる方向)をX軸方向(+X方向)とする。また、X軸方向に直交して、紙面手前から奥の方向をY軸方向(+Y方向)、X軸方向およびY軸方向に直交し、紙面下側から上側の方向をZ軸方向(+Z方向)とする。なお、+X方向を前方向(−X方向を後方向)、+Y方向を左方向(−Y方向を右方向)、+Z方向を上方向(−Z方向を下方向)として、適宜使用する。
本実施形態の時計組立てライン1000は、詳細には、時計の中身となるムーブメントM(被組立品)の組立てを行うラインである。時計組立て装置1は、時計組立てライン1000の中で、オシドリ(図8)と呼ばれる部品(ワークW)をムーブメントMに組み込む装置である。なお、オシドリとは、リューズが取り付けられている巻真と呼ばれる軸に噛みあって巻真を固定し、また、時刻合わせ時に、リューズの切換えスイッチの役割をはたす部品である。
時計組立て装置1は、ワーク供給装置10を含むピッキング装置20と、ワークWが組み込まれる被組立品を搬送する搬送部30と、を備えて構成されている。ワーク供給装置10は、ワークWを搬送してピッキング装置20に供給する装置である。ピッキング装置20は、ワーク供給装置10から供給されたワークWをピックアップして、時計組立てライン1000を流れてくるムーブメントMまで移動させてムーブメントMに組み込む動作を行う装置である。なお、ピッキング装置20は、ムーブメントMを搬送する搬送部30をワーク供給装置10と挟んだ形態に設置されている。
ワーク供給装置10は、ワークWを搬送させる平面視で円形状のパレット100と、パレット100の下側に設置されてパレット100に振動を与える振動部120と、パレット100の上側に設置されてパレット100にワークWを供給する供給ホッパー130とを備えて構成されている。これにより、供給ホッパー130に供給されたワークWは供給ホッパー130の振動により先端部1301からパレット100に落下する。落下したワークWは、パレット100の振動により、パレット100の表面に沿って円周方向に搬送(移動)される。なお、本実施形態では、ワークWは、パレット100を上方向から見た場合に、反時計回りに搬送される。
ピッキング装置20は、上述したワーク供給装置10と、検出部200と、照明部210(図9)と、ピックアップ部220と、回路部(図示省略)とを備えて構成されている。検出部200は、ワーク供給装置10におけるパレット100内のワークWの位置と姿勢を検出する。なお、検出部200は、パレット100内のワークWの数を検出(カウント)する構成であってもよい。照明部210は、パレット100の裏面側に設置され、パレット100に向けて光を照射する。ピックアップ部220は、ワークWをピックアップして時計組立てライン1000を流れるムーブメントMの所定の位置に移動させ、ワークWをムーブメント内の所定の位置に組み込む。
回路部は、制御部(図示省略)を備えており、検出部200による検出結果に基づきピックアップ部220にワークWをピックアップさせる指示を行う。なお、その後のムーブメントMへの組み込みも制御部によりピックアップ部220に指示する。なお、組み込みが終了した場合、パレット100にピックアップできるワークWがまだある場合には、ピッキング装置20は、再びピックアップと組み込みの動作を繰り返す。なお、制御部は、ピッキング装置20の図示省略する部位に格納されている。
図3は、ワーク供給装置10のパレット100の切欠き部107を示す図である。図4は、パレット100(カバー108が設置されたパレット100)を上方から見た平面図である。図5、図6は、パレット100を示す斜視図である。なお、図5と図6とは、視点を変えた状態での斜視図を示している。図7は、溝部104を示す拡大断面図である。図3〜図7を参照して、パレット100の構成と動作を説明する。
パレット100は、図3〜図5に示すように、概ね中心軸Axを中心に円板状に形成されている。パレット100の中心部には、パレット100の下部に設置される振動部120にパレット100を固定するための固定部101が円柱状に形成されている。パレット100の外周部には、ワークWを搬送する搬送面部103より、一段高く構成される縁部102が形成されている。なお、固定部101も縁部102と同様の高さで構成されている。従って、搬送面部103は、固定部101と縁部102とに挟まれる形態となる。
パレット100は、図3に示すように、一部に、切欠き部107が形成されている。切欠き部107は、パレット100において、中心軸Axから所定の角度αで拡がり、外周部も一部が切り欠かれ、搬送面部103から一段下がった切欠き面部1071を有して形成される。
これらを換言すると、パレット100は、平面視で円弧部分を備える。当該円弧部分は、切欠き部107を有し、第1半径の円から第1半径よりも短い半径である第2半径の円を除外した略リングの形状である。第1半径の円は、パレット100を平面視した場合の外周が形成する円である。すなわち、第1半径は、パレット100を平面視した場合の外周が形成する円の半径である。第2半径の円は、固定部101を平面視した場合の円である。すなわち、第2半径は、固定部101を平面視した際の半径である。
ここで、搬送面部103は、図3〜図6に示すように、本実施形態では、中心軸Axを中心として1周以下の螺旋状に形成されている。詳細には、切欠き部107により切り欠かれた搬送面部103の一端部を始端部103aとし、他端部を終端部103bとし、終端部103bから時計回りに始端部103aに向けて所定の角度βだけ戻った部位を螺旋終端部103cとした場合、始端部103aから螺旋終端部103cに向かって、反時計回りに搬送面部103が徐々に上昇するいわゆる螺旋状に形成されている。なお、螺旋終端部103cから終端部103bに掛けての搬送面部103は、中心軸Axに直交する面部となるように形成されている。この面部を平坦面部1031とする。
パレット100の切欠き部107には、図4〜図6に示すように、切欠き部107を塞ぎ、また、塞いだ部分もワークWが搬送されるように形成されるカバー108が設置される。詳細には、カバー108は、パレット100の外形を構成する外形構成部1081と、搬送面部103として構成される搬送補助面部1082とが一体に形成されている。なお、搬送補助面部1082を含む搬送面部103は、パレット100の載置面の一例である。
カバー108の搬送補助面部1082は、搬送面部103と同様に、螺旋状に形成されている。詳細には、カバー108を切欠き部107に設置した場合、搬送面部103の螺旋形状が搬送補助面部1082にも一様に延長された状態に形成されている。これにより、図5に示すように、搬送面部103の終端部103bと、カバー108の搬送補助面部1082と、の間には段差が生じる。この段差の部分を、以降では段差部105と呼称する。また、段差部105により、搬送面部103の終端部103bから、カバー108の搬送補助面部1082までの間の側面を、以降では段差面1051と呼称する。なお、段差部105は、言い換えると、パレット100の円周方向と交わる段差面1051を備えているともいえる。
カバー108は、切欠き部107に対して着脱可能に構成されており、2つのネジSC1により切欠き部107に固定される。カバー108は、パレット100に搬送させるワークWを切り替える場合に、切欠き部107から取り外される。そして、図示省略する部材を切欠き部107に設置して、今まで搬送させていたワークWをこの部材に回収する。そして、この部材を切欠き部107から取り外した後、再びカバー108を切欠き部107に設置する。その後、このパレット100に、新たに搬送させるワークWを投入する。
パレット100の搬送面部103には、中心軸Axを中心として同心円状に複数の溝部104が形成されている。溝部104は、搬送するワークWの外面に突起があっても、この溝部104に突起を案内する(逃がす)ことで、搬送面部103において、ワークWの姿勢を所望する姿勢となるように規制する部分となる。なお、ワークWの突起が溝部104に案内されることにより、ワークWは、搬送面部103上に所望する姿勢で載置されて搬送される。本実施形態では、溝部104は、図4、図7に示すように、等ピッチPで、合計で18本形成されている。なお、ワークWを搬送するカバー108の搬送補助面部1082には、溝部は形成されていない。
なお、所望する姿勢とは、本実施形態では、ピックアップ部220がワークWを正しく確実にピックアップできる姿勢であり、詳細には後述するが、ピックアップされるワークWの表(おもて)面が搬送面部103に略並行となり上方向を向く姿勢を示す。言い換えると、ワークWの突起が溝部104に案内され、裏面が搬送面部103に当接する姿勢を示す。以下では、説明の便宜上、当該姿勢を表面姿勢と称して説明する。
ここで、パレット100の各部の寸法値を示す。なお、以降で説明するワークWとは、オシドリおよびオシドリ以外の時計用の組立て部品を含めてワークWとしており、本実施形態のパレット100は、オシドリと、オシドリ以外の部品の搬送にも使用可能なように構成されている。
図3、図4に示すように、パレット100の外形Dは、φ210mmであり、振動部120に許容される最大のパレット外形としている。また、パレット100の内径dは、φ200mmであり、搬送するワークWの外形寸法(ワークWの最大外形寸法は17mmを想定)の10倍以上としている。また、図5に示すように、段差部105の段差H1は、4mmであり、ワークWの最小外形寸法以上(ワークWの最小外形寸法は4mmを想定)としている。
また、図7に示すように、溝部104の深さH2は、0.5mmであり、ワークWの最大突起高さは0.3mmを想定している。また、溝部104の幅H3は、0.8mmであり、ワークWの最大突起の径は0.5mmを想定している。溝部104のピッチPは、3.8mmであり、溝部104に案内されるワークWの部位(凸部)を含んでワークWの外形までの最長となる寸法に対して1倍以上2倍以下の範囲内に設定している。
なお、パレット100は、カバー108を除いて、透光性を有して構成されている。本実施形態では、パレット100は、透光性を有する合成樹脂材料(本実施形態では、透光性を有するポリカーボネート樹脂)で構成されている。カバー108は、透光性を有さない合成樹脂材料で構成されている。
図8は、ワークWの概形状を示す斜視図である。図8を参照して、本実施形態のワークWとしてのオシドリの形状を説明する。
本実施形態のワーク供給装置10は、時計の組立て部品であるオシドリをワークWとして供給する。オシドリ(以降ではワークWと呼称する)は、図8に示すように、板状で様々に屈曲した外形を有して形成されている。ワークWには、貫通する孔部B1が形成されている。また、ワークWの表(おもて)面Waには、円柱状に突出する突起C1が形成され、裏面Wbには、同じく円柱状に突出する突起C2が形成されている。
図8に示すワークW(オシドリ)の寸法関係を概略説明する。
ワークWの突起C1の表面Waからの高さは、0.3mmである。また、突起C2の裏面Wbからの高さも、0.3mmである。また、突起C1の径は、0.3mmであり、突起C2の径は、0.4mmである。また、ワークWの外形は、長手方向の長さL1が、5mmで、短手方向(最小外形)の長さL2が、2.5mmである。
このように形成されるワークWを搬送面部103に載置した場合、ワークWのどちら側の面(表面Wa、裏面Wb)が搬送面部103側に向いたとしても、突起C1またはC2が搬送面部103に当接して傾き、安定した載置は行えない。そこで、本実施形態では、裏面Wb側の突起C2を溝部104に案内させることで、裏面Wbを搬送面部103に当接させた姿勢(表面Waが上方向を向く姿勢)とすることを目的にしている。このような姿勢が、所望する姿勢である表面姿勢となる。なお、以下では、説明の便宜上、表面Waを搬送面部103に当接させた姿勢を裏面姿勢と称して説明する。
ワークWが表面姿勢の場合、後述するピッキング装置20は、ワークWのピックアップが可能となり、併せて、ピックアップ後の移動先でのムーブメントMへのワークWの組み込みが可能となる。なお、ピッキング装置20は、本実施形態では、ワークWに対して、表面Waに設定されるピックアップ領域A3の面上をピックアップする。詳細には、本実施形態では、ピッキング装置20は、吸引によるピックアップ動作を行う。
次に、ワーク供給装置10でのワークWの搬送に関して説明する。
最初に、図1、図2に示すように、供給ホッパー130にワークWを供給する。この供給は、作業者が行う。供給ホッパー130に供給されたワークWは、供給ホッパー130の振動により、先端部1301から、先端部1301の下側に位置するパレット100に落下することで、パレット100に投入される。なお、図4、図5に示すように、ワークWは、詳細には、パレット100の搬送面部103の始端部103aから反時計回りに若干移動した部位となる投入領域A1に投入される。
投入領域A1に投入されたワークWは、振動部120の振動によりパレット100の搬送面部103を終端部103bに向かって反時計回りに搬送され始める。なお、振動部120は、本実施形態では電磁石を用いる電磁式を採用している。なお、振動部120は、圧電素子を用いる圧電式等を採用することでもよい。
ワークWは、搬送面部103を移動する過程で、突起C2が溝部104に案内されて、裏面Wbを搬送面部103に当接した姿勢(所望する姿勢、すなわち表面姿勢)となって移動する場合と、所望する姿勢とはならずに移動する場合とがある。そして、ワークWは、搬送面部103の螺旋終端部103cを通過した場合、搬送面部103が螺旋状に傾斜する面ではなく、平坦な面(中心軸Axに直交する面)となる平坦面部1031を移動する。
搬送面部103の螺旋終端部103cから終端部103bに掛けての領域には、本実施形態では、後述するピッキング装置20によるピックアップを行うための領域が設定されている。具体的には、ワークWは、図3〜図5に示すように、概矩形の領域となる視角領域A2において、所望する姿勢となっているワークWがピックアップされる。
なお、視角領域A2内に位置しないワークWや、視角領域A2内に位置しても、所望する姿勢である表面姿勢ではないワークWは、平坦面部1031を移動し、終端部103bに至る。その後も移動することにより、ワークWは、終端部103bに形成される段差部105から、カバー108の搬送補助面部1082に落下する。搬送補助面部1082に落下したワークWは、搬送補助面部1082を移動し、始端部103aに至ることで、これ以降、再び移動を繰り返すことになる。
なお、以上のように、ワーク供給装置10のパレット100で、ワークWを搬送する行程が、ピッキング方法における搬送工程に対応する。本実施形態のピッキング方法は、搬送工程と、検出工程と、ピックアップ工程とを備えている。検出工程、ピックアップ工程に関しては、以降で、順次説明する。
溝部104のピッチPは、3.8mmであり、本実施形態では、溝部104に案内されるワークWの突起C2を含んでワークWの外形までの最長となる寸法(L3)に対して1倍に設定されている。これにより、溝部104と隣の溝部104とに、それぞれワークWの突起C2が案内された場合にも、ワークWとワークWとが重なって搬送されることを極力低減させている。また、ワークW同士のぶつかり等により溝部104から離脱することを低減し、安定した搬送を行わせている。
また、段差部105の段差H1は、4mmであり、本実施形態のワークWの最小外形寸法(L2)は2.5mmである。これにより、ピックアップされなかったワークWを、段差部105から落下させることにより、次の搬送により、ワークWの姿勢が、所望の姿勢である表面姿勢(突起C2が溝部104に案内される姿勢)となる確率を向上させている。
次に、ピッキング装置20の構成および動作に関して説明する。
本実施形態のピッキング装置20は、上述したワーク供給装置10と、検出部200と、照明部210と、ピックアップ部220と、制御部を含む回路部(図示省略)とを備えて構成されている。検出部200は、図1,図2に示すように、ワーク供給装置10におけるパレット100内のワークWの位置と姿勢を検出する。検出部200は、パレット100内のワークWの画像データを取得するための撮像部201を備えている。撮像部201は、CCD(Charge Coupled Device)を用いたカメラで構成される。なお、検出部200は、パレット100の平坦面部1031の上方に設置され、平坦面部1031に設定される視角領域A2内を撮像する。なお、視角領域A2は、撮像範囲の一例である。
図9は、照明部210を説明する概略の側断面図である。図9を参照して、照明部210の構成と動作を説明する。
ピッキング装置20は、検出部200による撮像を補助する照明部210を備えている。照明部210は、図9に示すように、平板状に構成され、パレット100の裏面側で、パレット100の一部を切り欠いて設置されている。詳細には、照明部210は、パレット100の平坦面部1031の下方向に位置するパレット100の裏面側を切り欠いて設置されている。照明部210は、LED(Light Emitting Diode)を用いて構成されている。照明部210は、上方に位置するパレット100に向けて光を照射する。
パレット100は、上述したように透光性を有して構成されており、照明部210からの光を透過させる。特に照明部210に相対する平坦面部1031が最も光を透過させるが、本実施形態では、パレット100全体でも光を透過させる。これに対して、パレット100内のワークWは、本実施形態では金属で構成されているため、パレット100(搬送面部103)を透過した光を遮光する。これにより、撮像部201で、視角領域A2を撮像する場合、ワークWとパレット100とのコントラスト比を向上させることができ、ワークWの位置(形状)や姿勢を明確に撮像することができる。
図10は、検出部200(撮像部201)で視角領域A2を撮像した画像を示す図である。図10を参照して、制御部の動作を説明する。
制御部は、検出部200からの検出結果としての画像を解析(画像処理)し、溝部104に突起C2が案内されており、かつ、表面Waが上方向を向いているワークWを選択する。図10では、制御部が、画像処理を行った結果、所望する姿勢である表面姿勢となるワークW(ピックアップの対象となるワークW、又はピッキング対象となるワークW)として、ワークW1,W2,W3の3つのワークWを選択した状態を示している。なお、溝部104にワークWの表面Waの突起C1が案内され、裏面Wbが上方向を向いているワークW、すなわち裏面姿勢のワークWは、姿勢は傾かずに安定していても、制御部での画像処理により、ピックアップの対象として選択はされない。
制御部は、検出部200がワークWを撮像する場合、パレット100によるワークWの搬送を止める(振動部120の振動を止める)指示を行う。ワークWの搬送を止める期間であるピックアップ期間は、撮像時から選択した最後のワークWがピックアップされるまでの期間となる。ピックアップ期間を過ぎた(最後のワークWがピックアップされた)場合、制御部は、再度、振動部120を駆動させてパレット100を振動させる指示を行う。これにより、振動部120が振動を開始することで、パレット100は、ワークWの搬送を再開する。このように、本実施形態では、制御部は、振動部120に間欠駆動を行わせる。
制御部は、画像処理により、ピックアップの対象となるワークW(ワークW1,W2,W3)を選択した場合、次に、対象となるワークW1,W2,W3をピックアップさせるための指示を、ピックアップ部220に出力する。ピックアップ部220は、制御部の指示を受けて、ピックアップ動作を開始する。
なお、以上のように、搬送工程により搬送されたワークWに対し、ピッキング装置20の検出部200(撮像部201)で撮像し、撮像されたデータに基づき、制御部でピックアップの対象となるワークWを画像処理により選択する動作が、ピッキング方法における検出工程に対応する。なお、撮像部201は、上述したように、パレット100の視角領域A2に搬送されたワークWを撮像する。
ピックアップ部220は、図1、図2に示すように、水平多関節ロボット(いわゆるスカラロボット)で構成されている。ピックアップ部220は、第1アーム221、第2アーム222、および、第2アーム222内部に移動可能に設置されるピックアップ用のシャフト223で構成されている。ピックアップ部220は、第1アーム221、第2アーム222により、X,Y方向への移動を行い、シャフト223により、Z方向への移動を行う。なお、本実施形態では、ピックアップ部220(特に、第2アーム222)は、パレット100と撮像部201との間に移動可能に設置されている。
ピックアップ部220は、制御部からワークW1をピックアップする旨の指示を受けた場合、制御部から指示されたワークW1のピックアップ領域A3の位置データに基づき、第1アーム221、第2アーム222を駆動し、シャフト223をピックアップ領域A3の上方に位置させる。その後、シャフト223が下方に移動し、シャフト223の先端部に設置されるピック用治具(図示省略)で、ワークW1をピックアップする。なお、本実施形態では、エアーを用いた吸着によりピックアップを行っている。
ワークW1をピックアップしたピックアップ部220は、次に、ティーチングによって記憶した動作を実行する。詳細には、ピックアップ部220は、ピックアップしたワークW1をムーブメントMの上方に移動させ、次に、シャフト223を降下させて、ムーブメントMの所定の位置にワークW1を押し込むことにより組み込む動作を行う。このように、ピックアップ部220が、ワークWをピックアップして、ムーブメントMに組み込むまでの動作が、一連の動作となる。
この一連の動作が終了した場合、その後、ピックアップ部220は、ワークW2,W3に対して、上述したと同様に、一連の動作を繰り返す。そして、ピックアップ部220は、最後のワークW3をピックアップしてムーブメントMに組み込むことで、今回の動作を終了させ、次回の制御部の指示を受けるまで所定の位置で待機する。なお、制御部は、設定される条件が満たされた場合(本実施形態では、所定時間経過後)に、検出部200に撮像の指示を出力し、以降、上述したと同様の制御を行う。
本実施形態の時計組立てライン1000のサイクルタイムは2.5秒としている。なお、本実施形態の時計組立て装置1のサイクルタイムは2.5秒未満で動作させ、時計組立てライン1000内での他の工程で発生する遅れをカバーしている。
なお、以上のように、検出工程で検出されたワークWをピックアップ部220でピックアップする動作が、ピッキング方法におけるピックアップ工程に対応する。なお、ピッキングは、上述したように、制御部での画像の解析によりピックアップの対象となったワークWに対して行われる。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態のワーク供給装置10によれば、ワークWの形状として、裏面Wbに突起C2があり、平面に置くと傾いてしまう形状の場合、傾く要因となるこの突起C2を、パレット100の表面で円弧状に配置される溝部104に案内させることで、ワークWの姿勢を所望する姿勢となるようにして供給することができる。また、溝部104に案内されなかったワークW(所望する姿勢とはならなかったワークW)は、パレット100の円周方向と交わる段差面1051を有する段差部105から落下させることで、ワークWの搬送される位置を前回とずらすことや、ワークWを表裏反転させること等、所望する姿勢となる確率を向上させることができる。
本実施形態のワーク供給装置10によれば、溝部104が同心円状に複数配置されていることにより、平面に置くと傾いてしまう形状を有するワークWに対し、所望する姿勢となるワークWの個数を効率的に増やすことができる。また、溝部104に案内されるワークWの数が増えることにより、ワークW同士のぶつかり等による溝部104から離脱することを低減し、安定した搬送を行うことができる。
本実施形態のワーク供給装置10によれば、段差部105の近傍でパレット100の中心軸Axに直交する面部となる平坦面部1031を備えている。そのため、溝部104に案内されて所望する姿勢となったワークWが、この平坦面部1031に位置した場合に、ピッキング装置20(ピックアップ部220)にワークWをピックアップさせることができる。これにより、平坦面部1031以外の螺旋状となる(中心軸Axに傾斜して交差する)搬送面部103でピックアップを行う場合に比べて、ワークを安定させた姿勢で正確にピックアップさせることができる。
本実施形態のワーク供給装置10によれば、パレット100は、透光性を有していることで、パレット100の下側から光が照射されると、そのまま光が透過される場合と、ワークWにより遮光される場合とが発生する。これにより、ワークWの位置(形状)や姿勢を明確にさせることができる。
本実施形態のワーク供給装置10によれば、パレット100は、透光性を有する合成樹脂材料(本実施形態ではポリカーボネート樹脂)を含んで構成されることにより、透光性を有するパレット100を容易に形成することができる。
本実施形態のピッキング装置20によれば、ワーク供給装置10で供給されるワークWに対し、検出部200によるワークWの位置と姿勢の検出と、検出部200による検出結果に基づく制御部によるピックアップ部220への指示により、ピックアップ部220によるワークWのピックアップを容易で正確に行わせることができる。
本実施形態のピッキング装置20によれば、パレット100の裏面側に備える照明部210から、パレット100に光を照射することにより、パレット100の有する透光性により、光を透過させることができる。これにより、ワークWと周囲とのコントラストを向上させることができるため、検出部200に、ワークWの画像データを取得するための撮像部201を備える場合、高コントラストで撮像でき、ワークWの位置と姿勢の検出をより正確に行うことができる。
本実施形態の時計組立て装置1によれば、時計の組立てに必要なワークWに対して、ワークWの姿勢を所望する姿勢となるように供給するワーク供給装置10を含め、供給されたワークWを正確にピックアップするピッキング装置20を備えているため、時計の組立てが正確に行え、サイクルタイムの向上を図ることができる。
本実施形態のピッキング方法によれば、ワーク供給装置10の溝部104は、ピッチPとして、溝部104に案内される突起C2を含み、ワークWの外形までの最長となる寸法に対して1倍以上2倍以下の範囲内に設定されている。これにより、ワーク供給装置10における搬送工程では、溝部104と隣の溝部104とに、それぞれワークWの突起C2が案内された場合にも、ワークWとワークWとが重なって搬送されることを極力低減させ、また、ワークW同士のぶつかり等による溝部104から離脱することを低減し、安定した搬送を行わせることができる。併せて、無駄な空間は作らない効率的な搬送を行わせることができる。
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
前記実施形態の時計組立て装置1は、ワークWとして、時計組立て部品であるオシドリをムーブメントMに組み込む装置としている。しかし、これに限られず、ワークWは、突起を有し、突起を溝部に案内して搬送できる部品であれば適用することができる。
前記実施形態のワーク供給装置10は、ワークWを搬送するカバー108の搬送補助面部1082には、溝部は形成されていない。しかし、これに限られず、この搬送補助面部1082にも、搬送面部103の溝部104につながる溝部を備えてもよい。
前記実施形態のワーク供給装置10は、パレット100にカバー108を着脱可能に設置することにより、複数種類のワークWに対応させて、ワーク供給装置10の汎用性を向上させている。しかし、これに限られず、決まったワークWを搬送させるための専用のワーク供給装置でよい場合には、カバー108は設置せずに、カバー108の部分を搬送面部としてもよい。
前記実施形態のワーク供給装置10は、カバー108を除くパレット100の全体が透光性を有して形成されている。しかし、これに限られず、透光性を有する部位は、少なくともワークWを撮像する領域に対応する部位であれば良く、本実施形態では、視角領域A2に対応する部位が透光性を有していることでもよい。
前記実施形態のワーク供給装置10において、パレット100は、透光性を有する合成樹脂材料で形成されている。しかし、これに限られず、パレット100は、透光性を有するガラス材料を含んで形成されていることでもよい。
前記実施形態のピッキング装置20において、照明部210は、LEDに限られず、冷陰極管や有機EL(Electro Luminescence)等、他の発光手段を用いる構成であってもよい。
〔実施形態の変形例1〕
以下、図11及び図12を参照し、本実施形態の変形例1について説明する。上記において説明した実施形態に係るワーク供給装置10は、パレット100に代えて、以下で説明するパレット100aを備える構成であってもよい。また、以下で説明するパレット100aは、上記において説明した実施形態とは異なる構成に適用されてもよい。図11は、本実施形態の変形例1に係るワーク供給装置10が備えるパレット100aの一例を示す斜視図である。
パレット100aは、パレット100と異なり、ワークWの姿勢を変更する第1姿勢変更部300を備えている。これにより、ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を第1姿勢変更部300によって所望する姿勢である表面姿勢(突起C2が溝部104に案内される姿勢)に変更することができる。また、パレット100aは、段差部105の上面である平坦面部1031の一部に第1姿勢変更部300を備える。
第1姿勢変更部300は、載置部301と、落下防止壁部302と、回転部303を備える。
載置部301は、パレット100aの終端部103bを含む平坦面部1031の一部に設けられる。すなわち、本実施形態の変形例1において、終端部103bは、載置部301の端部のうちの段差部105側の端部のことである。また、載置部301は、ワークWを載置し、回転部303の回転とともに回転する。載置部301に載置されたワークWは、振動部120の振動により終端部103bに向かって移動する。また、この一例において、載置部301の全部は、視角領域A2の外側に設けられる。なお、載置部301の一部又は全部は、視角領域A2の内側に設けられる構成であってもよい。この場合、載置部301の載置面には、搬送面部103と同様に溝部104と同じ形状の溝部が設けられる。
落下防止壁部302は、載置部301に載置されたワークWが振動部120の振動により終端部103bから段差部105の下面である搬送補助面部1082に落ちることを防止する。この一例において、落下防止壁部302は、載置部301の載置面上において、載置部301の載置面上に載置されたワークWが振動部120の振動により移動する方向における終端部103bの手前に、載置部301に対して垂直に設けられる壁面である。
回転部303は、終端部103bにおけるパレット100aの動径方向を回転軸CAとして載置部301の載置面を回転させる。このように載置部301の載置面を回転させることにより、回転部303は、当該載置面に載置されたワークWを、段差部105の下面である搬送補助面部1082上に落とす。以下では、説明の便宜上、回転軸CAに沿ってパレット100aの中心方向を見た場合の時計回り方向を順方向と称し、反時計回り方向を逆方向と称して説明する。
回転部303により載置部301が回転させられたことにより搬送補助面部1082上に落とされたワークWの少なくとも一部の姿勢は、変更される。より具体的には、載置部301の載置面に載置されたワークWの姿勢が、ワークWが載置されている面に対して突起C1が接地する姿勢である略裏向き姿勢であった場合、当該ワークWの少なくとも一部の姿勢は、回転部303により載置部301が回転させられることにより搬送補助面部1082上へと落ちることにより、ワークWが載置されている面に対して突起C2が接地する姿勢である略表向き姿勢へとひっくり返る。また、載置部301の載置面に載置されたワークWの姿勢が、略表向き姿勢であった場合、当該ワークWの少なくとも一部の姿勢は、回転部303により載置部301が回転させられることにより搬送補助面部1082上へと落ちることにより、略裏向き姿勢へとひっくり返る。
略表向き姿勢は、振動部120の振動により当該姿勢のワークWが搬送面部103に移動した場合、突起C2が溝部104に案内され、表面Waが略上方向を向く姿勢、すなわち所望する姿勢である表面姿勢である。つまり、ワーク供給装置10は、第1姿勢変更部300によってワークWの姿勢を略表向き姿勢へと変更することにより、ワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。一方、略裏向き姿勢は、振動部120の振動により当該姿勢のワークWが搬送面部103に移動した場合、突起C1が溝部104に案内され、裏面Wbが略上方向を向く姿勢である。
また、回転部303は、振動部120の振動が止まったタイミング毎に載置部301を順方向に回転させる。そして、載置部301を順方向に回転させた後、回転部303は、逆方向に載置部301を回転させ、載置部301を順方向に回転させ始める前と同じ位置及び姿勢(状態)に戻す。これにより、ワーク供給装置10は、振動部120の振動によるワークWの移動が止まったタイミング毎に回転部303により載置部301を回転させ、載置部301に載置されたワークWのうちの少なくとも一部の姿勢を略裏向き姿勢から略表向き姿勢へと変更する。
また、ワーク供給装置10は、当該タイミング毎に回転部303により載置部301を回転させることにより、前述のピッキング期間に、ピックアップ部220によるワークWのピックアップと、第1姿勢変更部300によるワークWの姿勢の変更とを行うことができる。その結果、ワーク供給装置10は、第1姿勢変更部300によるワークWの姿勢の変更を行うために振動部120の振動を一時停止させる必要がなくなり、ピッキング装置20によるワークWのムーブメントMへの組み込み作業の効率を向上させることができる。なお、回転部303は、これに代えて、他のタイミング毎に載置部301を回転させる構成であっても良い。
ここで、図12を参照し、第1姿勢変更部300によるワークWの姿勢の変更の方法について説明する。図12は、パレット100aに設けられた第1姿勢変更部300の一例を、パレット100aの終端部103bに直交する面で切断した断面図である。図12に示したように、第1姿勢変更部300は、パレット100aの終端部103bを含む平坦面部1031の一部に設けられている。
載置部301の載置面は、この一例において、搬送面部103に設けられた溝部104の面を含む面内に含まれる。すなわち、図12に示した段差部105の最下部BTMからの載置部301の載置面までの高さH10は、段差部105の最下部BTMからの溝部104の最深部までの高さH11と一致する。これにより、ワーク供給装置10は、ワークWを振動部120の振動により搬送面部103から載置部301の載置面へと移動させることができる。なお、高さH10は、これに代えて、高さH11よりも低い構成であってもよい。
また、載置部301の断面の輪郭(断面形状)は、回転部303により載置部301が回転軸CAを中心として図12に示した矢印の方向(すなわち、順方向)に回転させられた場合、図12に示した二点鎖線によって表される輪郭に一致する。すなわち、載置部301は、回転軸CAを中心として順方向に180°回転する。
この場合において載置部301の載置面上にワークWが載置されていると、当該ワークWは、載置部301の載置面上から搬送補助面部1082上へと落ちる。搬送補助面部1082上へ落ちる際、当該ワークWのうちの一部は、姿勢が略裏向き姿勢から略表向き姿勢へと変更され、当該ワークWのうちの他の一部は、姿勢が略表向き姿勢から略裏向き姿勢へと変更され、当該ワークWのうちの残りは、姿勢が略表向き姿勢のまま又は略裏向き姿勢のまま変更されない。なお、視角領域A2において表面姿勢のワークWがピックアップ部220によりピックアップされるため、通常、載置部301の載置面上には、略表向き姿勢のワークWよりも略裏向き姿勢のワークWの方が多く載置されている。
ピックアップ部220が視角領域A2において検出された表面姿勢のワークWを全てピックアップする場合、載置部301の載置面上には、略裏向き姿勢のワークWのみが載置され、略裏向き姿勢のワークWの一部又は全部が、姿勢を略表向き姿勢に反転される。なお、ピッキング装置20は、後述する実施形態の変形例4において説明するような構成が適用されている場合を除いて、基本的に視角領域A2において検出された表面姿勢のワークWを全てピックアップする。
これにより、ワーク供給装置10は、搬送面部103においてピッキング装置20によってピックアップの対象として選択されなかったワークWのうち、載置部301の載置面上において略裏向き姿勢のワークWを、略表向き姿勢へと反転させることができる。ワークWの姿勢を略表向き姿勢にした場合、当該ワークWの姿勢は、振動部120の振動により搬送面部103を移動している際に、当該ワークWの突起C2が溝部104に案内されて前述の所望の姿勢へと変化する。すなわち、ワーク供給装置10は、第1姿勢変更部300によって所望する姿勢である表面姿勢のワークWをピッキング装置20へと供給する割合を高くすることができ、この一例において、ムーブメントMの組み立ての効率を向上させることができる。
また、載置部301の載置面から落下防止壁部302の当該載置面とは反対側の端部までの高さである落下防止壁高さH1は、ワークWが載置部301の載置面に載置された場合に最も高くなる高さ以上であることが望ましい。これは、ワークWが載置部301の載置面に載置された場合に最も高くなる高さよりも落下防止壁高さH1が低い場合、振動部120の振動によってワークWが移動して搬送補助面部1082上に落ちることを防止できない場合があり得る。
また、落下防止壁高さH12は、回転部303により載置部301が順方向に回転させられた際の載置部301の載置面と段差部105の最下部BTMとの間の距離H13よりも短いことが望ましい。これは、回転部303によって載置部301が順方向に回転させられた場合、落下防止壁部302が搬送補助面部1082に引っ掛かってしまい(干渉してしまい)、載置部301の載置面が平坦面部1031と平行になるまで順方向に回転させることができないためである。なお、落下防止壁高さH12は、回転部303により載置部301が順方向に回転させられた際の載置部301の載置面と段差部105の最下部BTMとの間の距離H13よりも長い構成であってもよい。ただし、この場合、落下防止壁高さH12は、回転部303によって載置部301が順方向に回転させられた際に載置部301の載置面から搬送補助面部1082へとワークWが落ちる程度の長さでなければならない。
また、落下防止壁部302の段差部105とは反対側の面から、載置部301の載置面と溝部104(すなわち、搬送面部103)との境界までの長さである載置面長さL10は、ワークWの長手方向の長さL1以上である。これは、載置面長さL10がワークWの長手方向の長さL1未満である場合、載置部301の載置面に載置されたワークWは、回転部303による載置部301の回転の際に載置部301の載置面とともに回転せずに落ちてしまう可能性があるからである。
また、回転軸CA方向の落下防止壁部302の長さは、この一例において、回転軸CA方向の終端部103bの長さと同じである。なお、回転軸CA方向の落下防止壁部302の長さは、これに代えて、終端部103bよりも短い構成であってもよい。
このように、パレット100aが第1姿勢変更部300を備えることにより、ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を所望の姿勢(この一例において、表面姿勢)に変更することができる。
なお、パレット100aは、第1姿勢変更部300に代えて、又は第1姿勢変更部300とともに、第2姿勢変更部400を備える構成であってもよい。以下では、パレット100aが第2姿勢変更部400を備える構成の一例として、図11及び図12において説明した第1姿勢変更部300に代えて第2姿勢変更部400を備える場合について説明する。
ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を第2姿勢変更部400によって表面姿勢(突起C2が溝部104に案内される姿勢)に変更することができる。また、パレット100aは、図13に示すように、段差部105の段差面1051の一部に第2姿勢変更部400を備える。図13は、パレット100aに設けられた第2姿勢変更部400の一例を、パレット100aの終端部103bに直交する面で切断した断面図である。
第2姿勢変更部400は、段差面1051に設けられる突起である。この一例において、ワークWは、振動部120の振動により搬送面部103上を移動し、終端部103bから搬送補助面部1082上に落ちる。この際、当該ワークWの一部は、段差面1051に設けられた突起である第2姿勢変更部400にぶつかり、姿勢が略裏向き姿勢から略表向き姿勢へと反転する。このように、パレット100aが第2姿勢変更部400を備えることにより、ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を所望の姿勢に変更することができる。
ここで、第2姿勢変更部400は、図13に示した長さL20の分だけ段差面1051から突出した突起である。当該長さL20は、ワークWの外形に応じた長さである。例えば、当該長さL20は、ワークWが第2姿勢変更部400に載置不可能な程度の長さであることが望ましい。これは、ワークWが第2姿勢変更部400に載置されてしまうことを抑制するためである。このような長さの一例としては、ワークWの長手方向の長さが15ミリメートルの場合、長さL20は、5ミリメートル程度である。また、終端部103bにおけるパレット100aの動径方向の第2姿勢変更部400の長さは、この一例において、当該動径方向の終端部103bの長さと同じである。なお、終端部103bにおけるパレット100aの動径方向の第2姿勢変更部400の長さは、これに代えて、当該動径方向の終端部103bの長さより短い長さであってもよい。
また、パレット100aは、第1姿勢変更部300と第2姿勢変更部400とのうちいずれか一方又は両方に代えて、又は第1姿勢変更部300及び第2姿勢変更部400とともに、第3姿勢変更部500を備える構成であってもよい。以下では、パレット100aが第3姿勢変更部500を備える構成の一例として、図11及び図12において説明した第1姿勢変更部300と、図13において説明した第2姿勢変更部400との両方に代えて第3姿勢変更部500を備える場合について説明する。
ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を第3姿勢変更部500によって表面姿勢(突起C2が溝部104に案内される姿勢)に変更することができる。また、パレット100aは、図14に示すように、段差部105の段差面1051の一部に第3姿勢変更部500を備える。なお、図14において点線で示したように、パレット100aは、第3姿勢変更部500に代えて、又は第3姿勢変更部500とともに、段差部105の下面である搬送補助面部1082の一部に第3姿勢変更部501を備える構成であってもよい。以下では、この一例として、パレット100aが第3姿勢変更部500のみを備える場合について説明する。
図14は、パレット100aに設けられた第3姿勢変更部500の一例を、パレット100aの終端部103bに直交する面で切断した断面図である。第3姿勢変更部500(又は第3姿勢変更部501)は、気体(例えば、空気やガス等)を噴出するノズルである。この一例において、ワークWは、振動部120の振動により搬送面部103上を移動し、終端部103bから搬送補助面部1082上に落ちる。この際、当該ワークWのうちの少なくとも一部は、段差面1051に設けられた第3姿勢変更部500から噴出される気体による圧力(風圧)により、姿勢が略裏向き姿勢から略表向き姿勢へと反転する。
このように、パレット100aが第3姿勢変更部500を備えることにより、ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。なお、第3姿勢変更部500から気体を噴出させる方向は、図14に示したように、段差面1051に対して直交する方向から、搬送補助面部1082とは反対側に傾ける方が望ましい。何故なら、これにより、ワーク供給装置10は、略裏向き姿勢のワークWの姿勢を略表向き姿勢のワークWへと反転させやすくなるからである。
なお、パレット100aが第3姿勢変更部501を備えている場合、第3姿勢変更部501の気体を噴出する方向は、搬送補助面部1082に直交する方向から、ワークWの搬送方向側へと傾いていることが望ましい。これも、略裏向き姿勢のワークWの姿勢を略表向き姿勢のワークWへと反転させやすくするためである。
また、第3姿勢変更部500から噴出される気体は、終端部103bから搬送補助面部1082上へと落ちるワークWに対して、ワークWが搬送される方向へと圧力を与えるため、複数のワークWが搬送補助面部1082上において重なってしまうことを抑制することができる。
〔実施形態の変形例2〕
以下、本実施形態の変形例2について説明する。上記において説明した実施形態に係るワーク供給装置10は、パレット100又はパレット100aに代えて、以下で説明するパレット100bを備える構成であってもよい。また、以下で説明するパレット100bは、上記において説明した実施形態とは異なる構成に適用されてもよい。
パレット100bは、パレット100やパレット100aと異なり、搬送面部103と、搬送補助面部1082との両方にコーティングが施されている。例えば、当該コーティングは、ウレタンコーティングである。なお、当該コーティングは、他の素材によるコーティングであってもよい。搬送面部103と、搬送補助面部1082とは、このようなコーティングを施され、摩擦係数が均一である。これにより、ワーク供給装置10は、振動部120の振動により搬送面部103と、搬送補助面部1082との両方においてワークWを移動しやすくすることができる。
なお、パレット100bは、搬送面部103に施すコーティングと、搬送補助面部1082に施すコーティングとが異なる素材によるコーティングであってもよい。これにより、パレット100bは、搬送面部103と、搬送補助面部1082とが、異なる摩擦係数を有するようにすることができる。例えば、パレット100bは、搬送面部103の摩擦係数よりも搬送補助面部1082の摩擦係数を高くすると、振動部120の振動により終端部103bから搬送補助面部1082上に落ちたワークWの一部が搬送補助面部1082において引っ掛かりやすくなり、その結果、当該ワークWの姿勢を、略裏向き姿勢から略表向き姿勢へと反転させやすくすることができる。
また、パレット100bは、搬送面部103の一部に施すコーティングと、搬送面部103の当該一部とは異なる他の部分に施すコーティングとが異なる素材によるコーティングであってもよい。例えば、パレット100bが平面視で備える円弧部分のうち、前述の第1半径と第2半径との差の半分の長さを第1半径から差し引いた半径の長さである第3半径よりも外側にある第1領域R1における摩擦係数は、当該第3半径よりも内側にある第2領域R2の少なくとも一部における摩擦係数よりも低い構成であってもよい。これは、第1領域R1に施すコーティングと、第2領域R2に施すコーティングとを、異なる素材によるコーティングにした場合の一例である。なお、第3半径は、これに代えて、第2半径より大きく、第1半径より小さい任意の長さであっても良い。
第2領域R2の摩擦係数が第1領域R1の摩擦係数よりも高い場合、第1領域R1におけるワークWは、第2領域R2におけるワークWよりも、振動部120の振動により移動しにくい。その結果、ワーク供給装置10は、振動部120の振動によりワークWを搬送する際、ワークWが第2領域R2(パレット100bの内側)から第1領域R1(パレット100bの外側)へと広がり、第1領域R1に集まってしまうことを抑制することができる。
〔実施形態の変形例3〕
以下、図15を参照し、本実施形態の変形例3について説明する。上記において説明した実施形態に係るワーク供給装置10は、パレット100、パレット100a、パレット100bの一部又は全部に代えて、以下で説明するパレット100cを備える構成であってもよい。また、以下で説明するパレット100cは、上記において説明した実施形態とは異なる構成に適用されてもよい。また、以下で説明するパレット100cの構成は、パレット100cの載置面の摩擦係数が均一である場合に適用される構成の一例である。
パレット100cは、パレット100、パレット100a、パレット100bと異なり、搬送面部103の少なくとも一部において、前述の第1領域R1に、前述の第3半径より外側へワークWが移動することを規制する規制部600が設けられている。
図15は、規制部600が設けられたパレット100cの一例を示す図である。図15に示すように、規制部600は、第1領域R1において設けられた壁面であり、振動部120の振動により第2領域R2から第1領域R1側に移動したワークWを当該壁面に沿って移動させることによって第1領域R1から第2領域R2側へと戻す。なお、図15では、第1領域R1と第2領域R2の境界を明確にするため、第3半径の点線の円DLをパレット100c上に描いている。
より具体的には、規制部600は、縁部102の外周上の位置であって、パレット100cの搬送面部103に沿ってパレット100cの中心を軸に反時計回りに所定の第1角度γだけ始端部103aから回転した当該外周上の位置から、第1領域R1と第2領域R2の境界線上の位置であって、パレット100cの搬送面部103に沿ってパレット100cの中心を軸に反時計回りに所定の第2角度δだけ始端部103aから回転した当該境界線上の位置まで伸びた壁面である。
振動部120の振動により第2領域R2から第1領域R1側へと移動したワークWは、規制部600の壁面に接触すると、当該壁面に沿って第1領域R1から第2領域R2側へと振動部120の振動によって移動する。これにより、ワーク供給装置10は、ワークWがパレット100cの第1領域R1へ集まってしまうことを抑制することができる。
規制部600によって第2領域R2へと移動した後のワークWは、振動部120の振動により再び搬送面部103を終端部103bに向かって移動する。この際、当該ワークWは、再び第2領域R2から第1領域R1側へと移動する。そのため、視角領域A2内において、ワークWが第1領域R1から第2領域R2までの間に略均等にばら撒かれた状態となるように、所定の第1角度γ及び第2角度δが決められる。
このようにパレット100cに規制部600が設けられている場合、100cに対して、ピッキング装置20の検出部200が備える撮像部201は、視角領域A2内に占める第1領域R1の面積の割合が、視角領域A2内に占める第2領域R2の面積の割合と略同じになるような位置に設置される。これにより、撮像部201は、第1領域R1から第2領域R2までの間に略均等にばら撒かれたワークWを視角領域A2内に含めることができる。その結果、ピッキング装置20は、視角領域A2内において検出部200により検出されるピックアップの対象として選択可能なワークWの数が減ってしまうことを抑制することができる。
なお、この一例における規制部600を備えないパレット(例えば、パレット100やパレット100a、パレット100b等)をワーク供給装置10が備える場合、振動部120の振動により搬送面部103を移動するワークWは、当該パレットの円弧部分における第1領域R1側に集まってしまう。そのため、撮像部201は、視角領域A2のうちの少なくとも半分の面積が、搬送面部103のうち、当該パレットの円弧部分の第3半径よりも外側にある第1領域R1の一部の面積によって占めることが可能な位置に設置されるのが望ましい。これにより、撮像部201は、第1領域R1に集まったワークWを視角領域A2内に収めることができる。その結果、ピッキング装置20は、検出部200により視角領域A2内から検出されるピックアップの対象として選択可能なワークWの数が減ってしまうことを抑制することができる。
〔実施形態の変形例4〕
以下、図面を参照し、本実施形態の変形例4について説明する。上記において説明した実施形態に係るピッキング装置20は、上記において説明した制御部に代えて、以下で説明する第2制御部を備える構成であってもよい。また、以下で説明する第2制御部は、上記において説明した実施形態とは異なる構成に適用されてもよい。
第2制御部は、検出部200からの検出結果としての画像を解析(画像処理)し、溝部104に突起C2が案内されており、かつ、表面Waが上方向を向いているワークW、すなわち表面姿勢のワークW(ピックアップの対象のワークW)を選択する。この際、第2制御部は、画像内に含まれるワークWのうちの所望の姿勢のワークWが所定の条件を満たしているか否かを判定する。
所定の条件は、表面姿勢のワークWの数、又は表面姿勢のワークWの位置のうちの少なくとも一方に関する条件である。この一例において、所定の条件が、表面姿勢のワークの数に関する条件である場合について説明する。この場合、所定の条件は、例えば、表面姿勢のワークWの数が所定数以上であることである。
第2制御部は、検出部200からの検出結果としての画像内に含まれる表面姿勢のワークWの数をカウントする。なお、第2制御部は、当該ワークWの数に基づく値(例えば、当該画像内に含まれる全ワークWの数に対する、表面姿勢のワークWの数の割合等の統計値)を算出する構成であっても良い。この場合、所定の条件は、表面姿勢のワークWの数に基づく値が所定値以上であることである。また、第2制御部は、当該ワークWそれぞれの位置等の当該ワークWに基づく他の情報を検出する構成であってもよい。この場合、所定の条件は、表面姿勢のワークが所定の配置であることである。所定の配置は、例えば、検出部200からの検出結果としての画像内に含まれる表面姿勢のワークWの数の散らばり具合を表す指標(例えば、エントロピー)が所定の指標値以上であることである。
第2制御部は、検出部200からの検出結果としての画像内に含まれる表面姿勢のワークWの数が所定の条件を満たさない場合、ピッキング装置20が表面姿勢のワークWをピックアップすることによって視角領域A2内に表面姿勢のワークWが無くなってしまう状況が発生し、時計組立てライン1000のサイクルタイムに遅延を引き起こしてしまう可能性があるため、ピックアップ部220にワークWのピックアップを指示しない。そして、第2制御部は、振動部120に指示し、パレット100を振動させる。
一方、第2制御部は、検出部200からの検出結果としての画像内に含まれる表面姿勢のワークWの数が所定の条件を満たす場合、視角領域A2のうち、視角領域A2内においてワークWが搬送される方向である搬送方向における視角領域A2の端部の少なくとも一部を含む領域である第1検出領域W100に表面姿勢のワークWが存在するか否かを判定する。
第1検出領域W100に表面姿勢のワークWが存在した場合、第2制御部は、ピッキング装置20に指示し、第1検出領域W100において検出された表面姿勢のワークWをピッキング装置20にピックアップさせる。一方、第1検出領域W100に表面姿勢のワークWが存在していない場合、第2制御部は、ピッキング装置20に指示し、視角領域A2のうち、第1検出領域W100を除いた残りの領域である第2検出領域W110において検出された表面姿勢のワークWをピッキング装置20にピックアップさせる。
これにより、ワーク供給装置10は、ピックアップの対象となる表面姿勢のワークWのうち、振動部120によるパレット100への振動により視角領域A2の端部から視角領域A2外へと搬送されそうなワークWから先にピックアップさせることができ、その結果、パレット100に載置されたピックアップの対象となる表面姿勢のワークWを効率的に供給することができる。
以下、図16を参照して、第2制御部の処理について説明する。図16は、第2制御部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
第2制御部は、撮像部201に指示し、視角領域A2を撮像させる。そして、第2制御部は、検出部200に指示し、撮像部201が撮像した画像からワークWの位置と姿勢を検出させる。また、第2制御部は、検出部200に指示し、当該画像内から、表面姿勢のワークWの数をカウントさせる(ステップS100)。次に、第2制御部は、ステップS100においてカウントされた数が、所定の条件を満たすか否か(この一例において、所定数以上であるか否か)を判定する(ステップS110)。
ステップS100においてカウントされた数が、所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップS110−No)、第2制御部は、振動部120に指示し、パレット100を所定の振動時間だけ振動させる(ステップS140)。そして、第2制御部は、所定の振動時間が経過した後、振動部120に指示し、パレット100へ与えている振動を停止する。第2制御部は、振動が停止してから所定の待機時間だけ待機した後、ステップS100に遷移し、再び撮像部201に視角領域A2を撮像させる。所定の振動時間は、例えば、0.5秒程度である。なお、所定の振動時間は、これに代えて、他の時間であってもよい。
また、所定の待機時間は、ワークWをムーブメントMへ組み付ける組み付け精度に応じた時間であり、例えば、0.3秒程度である。なお、所定の待機時間は、これに代えて、0.3秒以外の時間でもよい。このように、第2制御部は、振動部120の振動を停止させてから所定の待機時間だけ待機した後、ステップS100の処理を行うため、振動によって不安定(例えば、振動によって滑っている状態)になっているワークWの姿勢が安定(例えば、滑らなくなった状態)してから撮像部201に視角領域A2を撮像させることができる。その結果、第2制御部は、ワークWの位置及び姿勢を、検出部200に精度よく検出させることができる。
一方、ステップS100においてカウントされた数が、所定の条件を満たすと判定した場合(ステップS110−NYes)、第2制御部は、第1検出領域W100において表面姿勢のワークWが検出部200により検出されているか否かを判定する(ステップS120)。
ここで、図17を参照し、視角領域A2に設定された第1検出領域W100及び第2検出領域W110について説明する。図17は、第1検出領域W100及び第2検出領域W110が設定された視角領域A2を検出部200(撮像部201)が撮像した画像の一例を示す図である。なお、図17に示した画像は、図10に示した画像が撮像されたタイミングとは異なるタイミングに撮像された画像である。また、図17において、第1検出領域W100を表す点線と、第2検出領域W110を表す一点鎖線とは、これらの境界を明確にするために重ねずに描かれているが、実際には視角領域A2内において重なる。図17に示すように、第2制御部は、視角領域A2に対して2つの領域、すなわち第1検出領域W100と第2検出領域W110を設定する。なお、第2制御部は、視角領域A2に対して3つ以上の領域を設定する構成であってもよい。
視角領域A2に設定された第1検出領域W100には、ワークWの搬送方向における端部の少なくとも一部が含まれる。この一例において、第1検出領域W100には、視角領域A2におけるワークWの搬送方向における端部である−X方向側の端部と、+Y方向側の端部との両方である。図17に示したように、第1検出領域W100は、これら2つの端部を含むL字型の領域である。視角領域A2に設定され第2検出領域W110は、この一例において、視角領域A2のうちの第1検出領域W100を除いた後の残った領域である。
ここで、図17においてワークWの搬送方向は、図17に示したXYZ直交座標系におけるXY平面の第3象限方向(図17に向かって斜め上方向)である。そのため、第1検出領域W100には、視角領域A2におけるワークの搬送方向における端部である−X方向側の端部と、+Y方向側の端部との両方が含まれている。すなわち、ワークWは、時間の経過とともに視角領域A2の中から、ワークの搬送方向における端部である−X方向側の端部と、+Y方向側の端部とのいずれか一方又は両方を通って視角領域A2の外へと移動する。
ステップS120において、図17に示した第1検出領域W100において表面姿勢のワークWがステップS100における表面姿勢のワークWの検出の際に検出部200により検出されていると判定した場合(ステップS120−Yes)、第2制御部は、第1検出領域W100において検出された1以上の表面姿勢のワークWを、例えば、検出された順、ランダム、又はその他の順によってピックアップの対象となるワークWとして選択する。そして、第2制御部は、ピックアップ部220に指示し、選択したピックアップの対象となるワークWをピックアップさせる(ステップS150)。そして、第2制御部は、ピックアップ部220に指示し、ピックアップさせたワークWをムーブメントMに組み付けさせる。第2制御部は、ピックアップ部220がワークWをピックアップした後、振動部120に指示し、パレット100に振動を与えてワーク供給装置10にワークWを搬送させる。そして、第2制御部は、パレット100へ与えている振動が停止した後、所定の待機時間だけ待機してからステップS100に遷移し、再び撮像部201に視角領域A2を撮像させる。
一方、図17に示した第1検出領域W100において表面姿勢のワークWがステップS100における表面姿勢のワークWの検出の際に検出部200により検出されていないと判定した場合(ステップS120−No)、第2制御部は、第2検出領域W110において検出された1以上の表面姿勢のワークWを、例えば、検出された順、ランダム、又はその他の順によってピックアップの対象となるワークWとして選択する。そして、第2制御部は、ピックアップ部220に指示し、選択したピックアップの対象となるワークWをピックアップさせる(ステップS130)。そして、第2制御部は、ピックアップ部220に指示し、ピックアップさせたワークWをムーブメントMに組み付けさせる。また、第2制御部は、ピックアップ期間において、振動部120に指示し、パレット100に振動を与えてワーク供給装置10にワークWを搬送させる。そして、第2制御部は、パレット100へ与えている振動が停止した後、所定の待機時間だけ待機してからステップS100に遷移し、再び撮像部201に視角領域A2を撮像させる。
このように、ステップS120以降の処理により、第2制御部は、ピッキングの対象となるワークWのうち、振動部120によるパレット100への振動により視角領域A2の端部から当該視角領域A2外へと搬送されそうなワークWから先にピックアップ部220にピックアップさせることができる。その結果、ワーク供給装置10は、パレット100に載置されたピッキングの対象となるワークWを効率的に供給することができる。
以上説明したように、本実施形態におけるワーク供給装置10は、ワークWの姿勢を変更する。これにより、ワーク供給装置10は、供給するワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、段差部105の上面に設けられた第1姿勢変更部300によりワークWの姿勢を変更する。これにより、ワーク供給装置10は、段差部105の上面に設けられた第1姿勢変更部300により、ワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10では、ワークWを載置部301に載置し、動かすことが可能である。これにより、ワーク供給装置10は、載置部301に載置されたワークWを動かし、ワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、載置部301を回転させる。これにより、ワーク供給装置10は、載置部301を回転させ、載置部301に載置されたワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、パレット100aが有する段差部105の段差面1051に設けられた第2姿勢変更部400によりワークWの姿勢を変更する。これにより、ワーク供給装置10は、パレット100aが有する段差部105の段差面1051に設けられた第2姿勢変更部400により、ワークWの姿勢を所望の姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、段差面1051に設けられた突起(この一例において、第2姿勢変更部400)によってワークWの姿勢を変更する。これにより、ワーク供給装置10は、段差面1051に設けられた突起によってワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、パレット100aが有する段差部105の下面に設けられる第3姿勢変更部500と、段差部105の段差面1051に設けられる第3姿勢変更部501とのうちいずれか一方又は両方によりワークWの姿勢を変更する。これにより、ワーク供給装置10は、パレット100aが有する段差部105の下面に設けられる第3姿勢変更部500と、段差部105の段差面1051に設けられる第3姿勢変更部501とのうちいずれか一方又は両方により、ワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、パレット100aが有する段差部105の下面に設けられる第3姿勢変更部500と、段差部105の段差面1051に設けられる第3姿勢変更部501とのうちいずれか一方又は両方から気体を噴出する。これにより、ワーク供給装置10は、第3姿勢変更部500と第3姿勢変更部501とのうちいずれか一方又は両方から気体を噴出し、ワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、ワークWを反転させる。これにより、ワーク供給装置10は、ワークWを反転させ、ワークWの姿勢を表面姿勢に変更することができる。
また、ワーク供給装置10は、振動部120により、平面視で円弧部分を有するパレット(例えば、パレット100、パレット100a、パレット100b、パレット100c等)に振動を与える。これにより、ワーク供給装置10は、振動部120の振動により、当該パレットの円弧部分に沿ってワークWを供給することができる。その結果、ワーク供給装置10は、ピックアップされなかったワークWを円弧部分に沿って周回させることができる。
また、ワーク供給装置10では、ワークWが搬送されるパレット(例えば、パレット100、パレット100a、パレット100b、パレット100c等)の載置面のうちの第3半径よりも外側にある第1領域R1における摩擦係数が、第3半径よりも内側にある第2領域R2における少なくとも一部における摩擦係数よりも低い。これにより、ワーク供給装置10は、振動により搬送されるワークWが、当該パレットの載置面において当該パレットの外周側へと集まってしまうことを抑制することができる。
また、ワーク供給装置10では、ワークWが搬送されるパレット(例えば、パレット100、パレット100a、パレット100b、パレット100c等)の載置面の摩擦係数が均一である。これにより、ワーク供給装置10は、当該パレットの載置面の加工が容易である。
また、ワーク供給装置10では、撮像部201により撮像される視角領域A2においてパレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWが所定の条件を満たす場合、パレット100cに振動を与える。これにより、ワーク供給装置10は、パレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWを効率的に供給することができる。
また、ワーク供給装置10は、撮像部201により撮像される視角領域A2においてパレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWが、ワークWの数又はワークWの位置の少なくとも一方に関する条件を満たす場合、パレット100cに振動を与える。これにより、ワーク供給装置10は、ワークWの数又はワークWの位置の少なくとも一方に関する条件に基づいて、パレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWを効率的に供給することができる。
また、ワーク供給装置10は、撮像部201により撮像される視角領域A2のうちの設定された領域である第1検出領域W100に位置するワークWからピッキング装置20によりピッキングされる。これにより、ワーク供給装置10は、ピッキング対象となるワークWのうち、他の当該ワークWよりも先に搬送した当該ワークWから先にピックアップされることができ、その結果、パレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWを効率的に供給することができる。
また、ワーク供給装置10は、撮像部201により撮像される視角領域A2に設定された領域であってワークWの搬送方向における当該視角領域A2の端部の少なくとも一部を含む領域に位置するワークWからピッキング装置20によりピッキングされる。これにより、ワーク供給装置10は、ピッキング対象となるワークWのうち、振動部120によるパレット100cへの振動により視角領域A2の端部から当該視角領域A2外へと搬送されそうなワークWから先にピックアップされることができ、その結果、パレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWを効率的に供給することができる。
また、ワーク供給装置10は、平面視で円弧部分を有するパレット100cに振動を与えることにより、ワークWを供給する。これにより、ワーク供給装置10は、ピックアップされなかったワークWを再びピッキング対象となるワークWとして供給することができる。
また、ワーク供給装置10は、第3半径よりも外側へワークWが移動することを規制する。これにより、ワーク供給装置10は、ワークWがパレット100cの第1領域R1へ集まってしまうことを抑制することができる。
また、ワーク供給装置10は、撮像部201の視角領域A2のうちの少なくとも半分は、パレット100cの載置面のうち、パレット100cの円弧部分の第3半径よりも外側にある第1領域R1の一部によって視角領域A2の少なくとも半分が占められる。これにより、ワーク供給装置10は、例えば、パレット100cの第1領域R1へワークWが集まってしまう場合に、パレット100cに載置されたピッキング対象となるワークWを効率的に供給することができる。
また、ワーク供給装置10は、振動部120による振動が停止した後、所定の待機時間が経過してから撮像部201によりワークWが撮像される。これにより、ワーク供給装置10は、振動部120による振動によるワークWの姿勢の変化が収まるまで待機することができ、その結果、ワークWの姿勢が安定した状態において撮像部201によりワークWを撮像することができる。