JP2017026162A - 吸着式冷凍装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸着モードおよび脱着モードを切り替えるときに、対をなす吸着器同士が十分に熱交換を行うことのできるバッチ式の吸着式冷凍装置およびその制御方法を提供する。【解決手段】バッチ式の吸着式冷凍装置100は、隙間を設けて配列される対をなす吸着器20a、20bと、対をなす吸着器の両方に接するように隙間に設置され、対をなす吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部30と、を有する。そして、それぞれの吸着器の動作モードを切り替えるときに、熱スイッチ部を熱伝達可能な状態にし、吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱を、脱着モードに切り替える側の吸着器に伝達する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸着式冷凍装置およびその制御方法に関する。
一般的な吸着式冷凍装置は、水等の熱媒体を蒸発させる蒸発器と、蒸発させた熱媒体を吸着可能なシリカゲル等の吸着材を備える吸着器と、吸着材を加熱して熱媒体を脱着させる加熱部と、加熱された吸着材を冷却して吸着材への熱媒体の吸着を再び促進する冷却部と、を有する。蒸発器において蒸発した熱媒体が吸着器に吸着することに伴い、蒸発器において冷熱が発生する。吸着式冷凍装置は、蒸発器において発生した冷熱を利用して冷却対象を冷却する。
吸着式冷凍装置には、単一の吸着器を備えたタイプと、下記特許文献1に示すように対をなす吸着器を備えたタイプ(バッチ式)とが存在する。単一の吸着器を備えたタイプの吸着式冷凍装置では、1つの吸着器が、吸着材に熱媒体を吸着させる吸着モードおよび吸着材に吸着した熱媒体を脱着させる脱着モードの2つの動作モードを交互に行うように運転される。このため、蒸発器において冷熱は間欠的に生成される。これに対してバッチ式の吸着式冷凍装置では、一方の吸着器の動作モードが脱着モードである間は他方の吸着器の動作モードが吸着モードになるように運転される。このため、蒸発器において冷熱が連続的に生成される。
バッチ式の吸着式冷凍装置では、それぞれの吸着器の動作モードを切り替えるとき、吸着モードが終了し、低温状態にある一方の吸着器内の吸着材を予熱し、吸着材に吸着した熱媒体を脱着可能な状態に移行させる必要がある。また同時に、脱着モードが終了して高温状態にある他方の吸着器内の吸着材を予冷し、熱媒体を再び吸着材に吸着可能な状態に移行させる必要がある。
下記特許文献1に開示されているバッチ式の吸着式冷凍装置は、吸着器の動作モードの切り替えを行うときに、放熱を必要とする吸着モードに切り替える側の吸着器と、吸熱を必要とする脱着モードに切り替える側の吸着器との間において熱交換を行う。これによって加熱部による加熱量および冷却部による冷却量を削減し、吸着式冷凍装置のCOP(成績係数:Coefficient Of Performance)を向上させている。
特表2012−506817号公報
上記吸着式冷凍装置では、2つの吸着器は互いに離れた位置に配置され、それぞれの吸着器内には、内部の吸着材と熱交換可能な温調媒体を流すための配管が設けられている。さらに、これらの配管を繋ぐように循環配管が設けられている。そして、それぞれの吸着器の動作モードを切り替えるときに、循環配管内に温調媒体を循環させることによって吸着モードに切り替える側の吸着器の有する熱を、脱着モードに切り替える側の吸着器に伝達している。このため、温調媒体が一方の吸着器から離れた位置にある他方の吸着器に移動する間に熱損失が発生し、吸着器間の熱交換が十分に行われない虞がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、バッチ式の吸着式冷凍装置であって、吸着モードおよび脱着モードを切り替えるときに吸着器間の熱交換を十分に行うことのできる吸着式冷凍装置およびその制御方法を提供することである。
上記目的を達成する本発明に係る吸着式冷凍装置は、対をなす吸着器と、熱スイッチ部と、切り替え部と、制御部と、を有する。対をなす吸着器は、熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填され、隙間を隔てて配置される。熱スイッチ部は、対をなす前記吸着器の両方に接するように前記隙間に配置され、対をなす前記吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能である。切り替え部は、一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替え可能である。制御部は、前記熱スイッチ部、および前記切り替え部の動作を制御する。そして、前記制御部は、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに、前記熱スイッチ部を断熱状態から熱伝達状態に切り替え、前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器が有する熱を、前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に伝達してなる。
上記目的を達成する本発明に係る吸着式冷凍装置の制御方法は、熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填された対をなす吸着器を有する吸着式冷凍装置の制御方法である。一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替える。そして、対をなす前記吸着器の両方に接するように配置され対をなす前記吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部を、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに断熱状態から熱伝達状態に切り替える。これによって、前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器が有する熱を、前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に伝達する。
本発明に係る吸着式冷凍装置およびその制御方法によれば、対をなす吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部を、対をなす吸着器の両方に接するように配置している。それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときには、熱スイッチ部を断熱状態から熱伝達状態に切り替える。吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱は、脱着モードに切り替える側の吸着器に熱スイッチ部を介して伝達され、脱着モードに切り替える側の吸着器に充填された吸着材を加熱する。対をなす吸着器の内部に配置した配管に温調媒体を循環させて熱伝達する場合に比べると、熱交換のロスが少ない。したがって、それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときに、対をなす吸着器は、熱交換を十分に行うことが可能となる。
実施形態に係る吸着式冷凍装置を適用した自動車の温調システムを示す概略図である。 同温調システムにおける空気調和装置の構成を示す概略図である。 同温調システムにおける吸着式冷凍装置の蒸発器および凝縮器の構成を示す概略図である。 図4(A)は、吸着式冷凍装置における第1吸着器および第2吸着器を示す斜視図、図4(B)は第1吸着器および第2吸着器を示す正面図、図4(C)は、図4(B)の4C−4C線に沿う断面図である。 図5(A)は、吸着式冷凍装置における断熱状態にある熱スイッチ部を示す斜視図、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線に沿う断面図である。 図6(A)は、熱伝達可能な状態にある熱スイッチ部を示す斜視図、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線に沿う断面図である。 吸着式冷凍装置の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器の吸着材が冷却され吸着モードにある状態、第2吸着器の吸着材が加熱され脱着モードにある状態を示す。 吸着式冷凍装置の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器の吸着材が加熱され脱着モードにある状態、第2吸着器の吸着材が冷却され吸着モードにある状態を示す。 吸着式冷凍装置の制御系を示すブロック図である。 第1吸着器および第2吸着器の熱サイクルの説明に供する図である。 各部の制御タイミングを示すタイムチャートである。 吸着式冷凍装置の制御部が実施する動作処理の前半部分を示すフローチャートである。 吸着式冷凍装置の制御部が実施する動作処理の後半部分を示すフローチャートである。 図14(A)は、変形例1に係る吸着器を示す斜視図、図14(B)は吸着器を示す上面図である。 変形例2に係る吸着器および熱スイッチ部を示す断面図である。 変形例3に係る熱スイッチ部を示す断面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本実施形態に係る温調システムを説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、実施形態に係る吸着式冷凍装置100を適用した自動車の温調システム400を示す概略図である。図2は、温調システム400における空気調和装置300の構成を示す概略図である。
本実施形態に係る自動車の温調システム400は、自動車の車内の空気温度を調整するためのシステムである。図1を参照して概説すると、自動車の温調システム400は、加熱源51を備える熱源200と、冷熱を発生する吸着式冷凍装置100と、熱源200から得た温熱と、吸着式冷凍装置100から得た冷熱によって車内空気の温度調整を行う空気調和装置300と、を有する。
熱源200は、熱を発生するような自動車の構成部品・装置等からなる加熱源51と、各加熱源51を通る循環経路を形成する第1配管52と、第1配管52内を循環する温調媒体と、温調媒体を循環させる第1ポンプ53と、を有する。
加熱源51は、エンジン51a、エンジンの排気51b、バッテリ51c、インバータ51dおよび水冷式のブレーキ51eを含む。
第1配管52には、加熱源51の排熱を蓄えることのできる蓄熱器54を設けてもよい。例えば自動車の運転中は加熱源51からの排熱の一部を蓄熱器54において蓄える。そして、自動車を長時間停止させた後に再始動する場合、加熱源51の昇温を待たずに、蓄熱器54において蓄えた熱を自動車の温調システム400に利用することも可能である。また、第1配管52には、ラジエータ55を通るバイパス配管59aが設けられている。第1配管52を流れる温調媒体の温度が高くなりすぎた場合は、バイパス配管59aに設けられたバルブ59bを開き、ラジエータ55によって温調媒体を冷却する。
温調媒体は、熱伝達率が高く、熱容量の大きい液体が好ましい。例えば、水、シリコーンオイル等が使用され得る。ただし、加熱源51と熱交換可能であればこれらに限定されず、例えば気体であってもよい。
空気調和装置300は、図2を参照して概説すると、車内外の空気を取り込むインテークユニット310と、取り込んだ空気を除湿冷却するクーラユニット320と、除湿冷却した空気を暖めるヒータユニット330と、温度調整した空気を車内に吹き出す吹出口340と、を有する。
インテークユニット310は、車外空気を取り込む第1取り込み口311と、車内空気を取り込む第2取り込み口312と、取り込んだ空気をクーラユニット320へ送るファン313と、を有する。
クーラユニット320は、インテークユニット310に接続されているクーラケーシング321と、クーラケーシング321内において蛇行するように設けられた第2配管322と、を有する。第2配管322は、第3配管13を介して吸着式冷凍装置100の冷熱発生部分(蒸発器10)に接続されている(図1参照)。第2配管322および第3配管13内には温調媒体が流れている。吸着式冷凍装置100の蒸発器10において冷熱を得た温調媒体は、第2配管322においてインテークユニット310に取り込まれた空気と熱交換を行い、取り込まれた空気を冷却する。
ヒータユニット330は、クーラユニット320に対して下流側に設けられたヒータケーシング331と、クーラユニット320において除湿冷却された空気を加熱可能なヒータコア332と、ヒータコア332を通過する空気量を調整可能なミックスドア333と、を有する。
ヒータコア332は、取り込んだ空気がヒータコア332を通過しない迂回路334を有するようにヒータケーシング331内に取付けられている。ヒータコア332は、熱源200における第1配管52に接続されており、第1配管52内を流れる温調媒体によってヒータコア332は加熱される。
ミックスドア333は、ヒータコア332の前面において回動自在に設けられる。ミックスドア333の開度によって、ヒータコア332を通過する空気量と迂回路334を通過する空気量との比率を調整し、取り込んだ空気の温度を調整することができる。
吹出口340は、ヒータユニット330に対して下流側に設けられ、車内へと繋がっている。クーラユニット320およびヒータユニット330によって湿度および温度が調整された空気は、吹出口340を通って車内に供給される。
次に、本実施形態に係る吸着式冷凍装置100について説明する。
図3は、温調システム400における吸着式冷凍装置100の蒸発器10および凝縮器60の構成を示す概略図である。図4(A)は、吸着式冷凍装置100における第1吸着器20aおよび第2吸着器20bを示す斜視図である。図4(B)は、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bを示す正面図である。図4(C)は、図4(B)の4C−4C線に沿う断面図である。
図5(A)は、吸着式冷凍装置100における断熱状態にある熱スイッチ部30を示す斜視図、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線に沿う断面図である。図6(A)は、熱伝達可能な状態にある熱スイッチ部30を示す斜視図、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線に沿う断面図である。図7は、吸着式冷凍装置100の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器20aが冷却され吸着モードにある状態、第2吸着器20bが加熱され脱着モードにある状態を示す。図8は、吸着式冷凍装置100の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器20aが加熱され脱着モードにある状態、第2吸着器20bが冷却され吸着モードにある状態を示す。図9は、吸着式冷凍装置100の制御系を示すブロック図である。
吸着式冷凍装置100は、図1を参照して概説すると、蒸発器10と、対をなす吸着器20a、20bと、熱スイッチ部30と、冷却部40と、加熱部50(熱源200)と、凝縮器60と、気液分離部70と、切り替え部80と、制御部90と、を有する。
蒸発器10は、熱媒体を蒸発させる。対をなす吸着器20a、20bは、蒸発器10において蒸発した熱媒体を吸着可能および吸着した熱媒体を脱着可能な吸着材21a、21bが充填され、隙間Wを隔てて配置される。熱スイッチ部30は、対をなす吸着器20a、20bの両方に接するように隙間Wに配置され、対をなす吸着器20a、20bの間の熱伝達および断熱を切り替え可能である。冷却部40は、対をなす吸着器20a、20b内の吸着材21a、21bをそれぞれ冷却可能である。加熱部50は、対をなす吸着器20a、20b内の吸着材21a、21bをそれぞれ加熱可能である。
凝縮器60は、それぞれの吸着器20a、20bの吸着材21a、21bが脱着した熱媒体を凝縮する。気液分離部70は、凝縮器60において凝縮された熱媒体を蒸発器10に供給する。切り替え部80は、一方の吸着器における動作モードが吸着材に熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の吸着器における動作モードが吸着材から熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの吸着器における動作モードを吸着モードおよび脱着モードに交互に切り替え可能である。
制御部90は、熱スイッチ部30、冷却部40、加熱部50および切り替え部80の動作を制御する。そして、制御部90は、それぞれの吸着器20a、20bにおける動作モードを切り替えるときに、熱スイッチ部30を断熱状態から熱伝達状態に切り替え、吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱を、脱着モードに切り替える側の吸着器に伝達する。
以下、吸着式冷凍装置100の各部の構成について詳述する。
蒸発器10は、図3を参照して、液体の熱媒体を収容可能なケーシング11と、ケーシング11内を蛇行するように設けられた第4配管12と、蒸発させた熱媒体を排出する排出口14と、を有する。
熱媒体は、対をなす吸着器20a、20bの吸着材21a、21bに物理的または化学的に吸着可能であって、蒸発器10において気化可能な材料であればよい。一般的には、吸着材にはシリカゲル、活性炭、ゼオライト等の材料が、熱媒体には水、アンモニア等が用いられる。
蒸発器10のケーシング11の内部は真空または真空に近い低圧に保たれている。このため、熱媒体は比較的低い温度において蒸発する。ケーシング11は、配管を介して気液分離部70に接続されており、気液分離部70からケーシング11内へ液体の熱媒体が供給される。
第4配管12は、図1、図3に示すように、空気調和装置300のクーラユニット320に連通している第3配管13に接続されている。第3配管13および第4配管12内には、温調媒体が流れており、第3配管13に設けられた第2ポンプ17から駆動力を得て循環している。第3配管13および第4配管12内を流れる温調媒体は、蒸発器10の第4配管12において熱媒体と熱交換をして熱媒体を蒸発させる。そして、冷熱を得た温調媒体は、クーラユニット320内において車内に送る空気と熱交換を行い、車内に送る空気を冷却する。
蒸発器10の排出口14は、図3に示すように、ケーシング11の上部に設けられている。排出口14は、第5配管15aを介して第1吸着器20aに接続され、第6配管15bを介して第2吸着器20bに接続されている。第5配管15aには、第5配管15aの流路を開閉可能な第1バルブ16aが設けられている。同様に、第6配管15bには、第6配管15bの流路を開閉可能な第2バルブ16bが設けられている。
第1吸着器20aは、図4(A)〜(C)に示すように、熱媒体を吸着可能および脱着可能な第1吸着材21aが充填された第1ケーシング22aと、第1ケーシング22a内を蛇行するように設けられた第1温調配管23aと、を有する。さらに、第1吸着器20aは、第1ケーシング22a内への熱媒体を出し入れするための第1出入り口24aを有する。
同様に、第2吸着器20bは、熱媒体を吸着可能および脱着可能な第2吸着材21bが充填された第2ケーシング22bと、第2ケーシング22b内を蛇行するように設けられた第2温調配管23bと、を有する。さらに、第2吸着器20bは、第2ケーシング22b内への熱媒体を出し入れするための第2出入り口24bを有する。
第1ケーシング22aおよび第2ケーシング22bは、略直方体形状であって、内部に第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを収納可能な空間を備える。第1ケーシング22aと第2ケーシング22bは、略平板形状の熱スイッチ部30の厚みに相当する隙間Wを隔てて配置されている。
第1温調配管23aおよび第2温調配管23b内には、それぞれ冷却部40によって冷却または加熱部50によって加熱された温調媒体が流れ、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを冷却または加熱する。以降、第1温調配管23aにおいて第1吸着材21aと接触している部分よりも上流側の部分を第1温調入口配管23a−uと、下流側の部分を第1温調出口配管23a−dと称する。同様に、以降、第2温調配管23bにおいて第2吸着材21bと接触している部分よりも上流側の部分を第2温調入口配管23b−uと、下流側の部分を第2温調出口配管23b−dと称する。
また、第1吸着器20a内部には、第1吸着器20a内部の温度を計測可能な第1温度センサ27aおよび第1吸着器20a内部の圧力を計測可能な第1圧力センサ28aが設けられている。同様に、第2吸着器20b内部には、第2吸着器20b内部の温度を計測可能な第2温度センサ27bおよび第2吸着器20b内部の圧力を計測可能な第2圧力センサ28bが設けられている。
また、図4(A)に示すように、第1温調入口配管23a−uには、この配管を流れる温調媒体の温度を計測可能な第3温度センサ29aが設けられている。同様に、第2温調入口配管23b−uには、この配管を流れる温調媒体の温度を計測可能な第4温度センサ29bが設けられている。
熱スイッチ部30は、図4、図5(A)を参照して、対をなす吸着器20a、20bの間の隙間Wにおいて間隙32を形成する間隙形成部31と、間隙32に出し入れされる液体Lと、を有する。さらに熱スイッチ部30は、間隙形成部31の底部において液体Lを貯蔵可能な液溜め部33と、液体Lを間隙32に重力方向Gとは反対の上方に向けて注入可能および重力方向Gに排出可能な液体駆動部38と、を有する。熱スイッチ部30は、間隙32に対する液体Lの出し入れを切り替えることによって熱伝達状態と断熱状態とを切り替える。また、図4(A)に示すように、熱スイッチ部30の面方向の大きさは、第1、第2吸着器20a、20bの熱スイッチ部30に対して向かい合う側の面の面積よりも大きい。
液体Lは、熱伝導率の高いほど好ましく、例えば、ガリウム、インジウム、スズの共晶合金であるガリンスタン等の液体金属などが挙げられる。ただし、第1吸着器20aと第2吸着器20bとが熱交換可能であれば、材料はこれに限定されない。
間隙形成部31は、略平板形状の第1平板31aおよび第2平板31bの間に、逆Uの字型の枠部31cを挟み込むことによって、第1平板31aおよび第2平板31bの間に略平板形状の間隙32を重力方向Gに沿って形成する。
第1平板31aおよび第2平板31bは、それぞれ第1吸着器20aおよび第2吸着器20bと接触する部分であり、アルミニウム、銅等の熱伝導率の高い材料からなる。このため、間隙32に熱伝導率の高い液体Lが充填された場合に、第1、第2吸着器20a、20bは、熱伝達率の高い液体L、第1、第2平板31a、31bを介して熱的に繋がる。その結果、第1吸着器20aと第2吸着器20bの熱交換を効率的に行うことができる。枠部31cの厚みは、間隙32の厚みに相当する。断熱性と熱伝達性を両立させるため、枠部31cの厚みは数十μm程度であることが好ましい。
液溜め部33は、図5(B)に示すように、間隙形成部31の底部において、間隙32に連通し、液体Lの貯蔵空間を形成する。
間隙形成部31および液溜め部33から成る空間は密閉されており、真空に保たれている。このため、液体Lが液溜め部33内にとどまっている場合は、間隙32は真空となっており、第1吸着器20aと第2吸着器20bとの間の熱交換を好適に防ぐことができる。なお、間隙形成部31および液溜め部33から成る空間は、例えば、空気等の断熱性に優れる不活性ガスによって充填されていてもよい。
また、間隙形成部31において一対の吸着器20a、20bに対して露出する表面および液溜め部33の表面は、発泡スチロールや発泡ポリプロピレンなどの発泡材、織布、不織布等の断熱性を備える材料(図示せず)によって覆われている。
図5(B)に示すように、液体駆動部38は、液溜め部33の底部に設けられ、液溜め部33の内容積を減少させるように凸状に変形自在な押し込み部36と、押し込み部36が変形するための駆動力を与える電源37と、を有する。押し込み部36は、誘電性の高分子エラストマー材料からなる板状の弾性部材34と、弾性部材34を挟み込む一対の電極35a、35bと、によって構成される。電源37は一対の電極35a、35bに接続されている。
弾性部材34は、電圧を付加すると弾性変形可能である。高分子エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム、ポリロタキサン構造を有するエラストマー等を用いることができる。なお、本実施形態では、弾性部材34として誘電性の高分子エラストマー材料を用いる形態を説明したが、例えば、圧電素子を用いてもよい。
一対の電極35a、35bは、例えば、金属電極、黒鉛粉末、シリコーンオイルとグラファイト混合物等から構成することが可能である。
熱スイッチ部30の電源37がOFFの状態では、図5(A)(B)に示すように、液体Lは液溜め部33内に留まっている。このため、熱スイッチ部30の間隙32を介して配置される第1吸着器20aと第2吸着器20bの間は断熱された状態になる。熱スイッチ部30の電源37をONにすると、弾性部材34に電圧が印加されるため、図6(A)(B)に示すように、液溜め部33の内容積を減らすように弾性部材34が凸状に変形し、液体Lが間隙32に押し込まれる。このため、熱スイッチ部30の間隙32を介して配置される第1吸着器20aと第2吸着器20bは、熱伝達可能な状態になる。以下、熱スイッチ部30を断熱状態にすることを「OFFにする」と、熱伝達状態にすることを「ONにする」とも称する。
なお、前述したように、熱スイッチ部30の面方向の大きさは、第1、第2吸着器20a、20bの熱スイッチ部30に対して向かい合う側の面の面積よりも大きい。すなわち、第1、第2平板31a、31bおよび枠部31cが重なる間隙形成部30のフリンジ部分は、一対の吸着器20a、20bから離間している。このため、熱スイッチ部30がOFFのときに、フリンジ部分を介して一方の吸着器から他方の吸着器に伝わる熱の影響を低減させることができる。
また、前述したように、間隙形成部31において一対の吸着器20a、20bに対して露出している表面および液溜め部33の表面は、断熱性を備える材料によって覆われている。このため、熱スイッチ部30がONのときに、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bから伝わる熱が、これらの表面から外部へ(大気へ)放出しないようにすることができる。
なお、本実施形態では、重力方向Gに沿って間隙32に液体Lの出し入れをする形態を説明したが、重力を利用して液体Lを間隙32から液溜め部33に戻し得る構成であれば、この形態に限定されない。例えば、間隙32が重力方向に対して傾斜していてもよい。
冷却部40は、図7を参照して、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを冷却可能な温調媒体(冷却媒体に相当する)と、温調媒体を冷却する放熱器41(冷却源に相当する)と、温調媒体を循環させる第3ポンプ45(冷却ポンプ部に相当する)と、を有する。冷却部40は、放熱器41、第1温調配管23aおよび第2温調配管23bを通る循環経路を形成する第7配管42をさらに有する。温調媒体は、第3ポンプ45から駆動力を得て第7配管42、第1温調配管23aおよび第2温調配管23b内を循環する。
放熱器41は、車外から取り込んだ空気をファン等(図示せず)を用いて、主に放熱器41内の第7配管42に当て、第7配管42内を流れる温調媒体を冷却する。ただし、放熱器41の構成は、第7配管42内を流れる温調媒体を冷却可能であれば上記に限定されない。例えば、ヒートシンク等を用いて放熱を行う構成にしてもよいし、ヒートシンクとファンを組み合わせる構成にしてもよい。
放熱器41を通過後の第7配管42は、2本の配管に分岐している。一方の配管は、第7バルブ46aを介して第1温調入口配管23a−uに接続され、他方の配管は、第8バルブ46bを介して第2温調入口配管23b−uに接続されている。
第3ポンプ45に向かう第7配管42には、2本の配管が合流している。一方の配管は、第9バルブ47aを介して第1温調出口配管23a−dに接続され、他方の配管は、第10バルブ47bを介して第2温調出口配管23b−dに接続されている。
本実施形態では、熱源200は吸着式冷凍装置100の加熱部50に相当する。以下、熱源200を加熱部50と称する。加熱部50は、図1に示すように、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを加熱可能な温調媒体(加熱媒体に相当する)と、温調媒体を加熱する加熱源51と、温調媒体を循環させる第1ポンプ53(加熱ポンプ部に相当する)と、を有する。加熱部50は、加熱源51、第1温調配管23aおよび第2温調配管23bを通る循環経路を形成する第1配管52をさらに有する。温調媒体は、第1ポンプ53から駆動力を得て第1配管52、第1温調配管23aおよび第2温調配管23b内を循環する。
図7は、図1の吸着式冷凍装置100を示す点線で囲まれた部分の拡大図である。図7に示すように、第1配管52の一部は分岐して、第1吸着器20aの第1温調入口配管23a−uおよび第2吸着器20bの第2温調入口配管23b−uに接続されている。第1配管52と第1温調入口配管23a−uとの間には、第3バルブ56aが設けられている。第1配管52と第2温調入口配管23b−uとの間には、第4バルブ56bが設けられている。
また、第1吸着器20aの第1温調出口配管23a−dおよび第2吸着器20bの第2温調出口配管23b−dは、それぞれ第1配管52に接続されている。これによって、第1温調配管52内の温調媒体の一部が、第1吸着器20aの第1温調配管23aおよび第2吸着器20bの第2温調配管23bを流れる。
なお、背景技術において述べたように、上記特許文献1は、対をなす吸着器間の熱交換を行うときに、加熱部および冷却部の配管を繋ぎ、配管内の温調媒体を循環させることによって、吸着器、加熱部および冷却部を熱平衡にしている。このため、加熱部の温度は降温し、冷却部の温度は昇温してしまう。また、前述の特許文献1は、対をなす吸着器の間の熱交換のために、温調媒体を循環させる必要があり、ポンプ駆動ロスが発生する。対して本実施形態では、対をなす吸着器20a、20b間の熱交換を行うときも、冷却部40および加熱部50は、それぞれ独立して第1、第2吸着器20a、20bの冷却および加熱を行う構成である。このため、上記特許文献1と比較すると、冷却部40および加熱部50の温度を適性に保つことができる。さらに、本実施形態では、対をなす吸着器20a、20bの間の熱交換は、熱スイッチ部30を介して行われるため、対をなす吸着器20a、20bの間の熱交換のために、第1ポンプ53および第3ポンプ45を駆動させる必要はない。このため、上記特許文献1と比較するとポンプ駆動ロスを低減できる。
凝縮器60は、図3に示すように、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bからの熱媒体を収容可能なケーシング61と、ケーシング61内を蛇行するように設けられた第8配管63と、を有する。さらに凝縮器60は、放熱器65と、第8配管63に接続され、放熱器65を通る循環経路を形成する第9配管64と、第8配管63および第9配管64を流れる温調媒体と、温調媒体を循環させる第4ポンプ69と、を有する。
ケーシング61には、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが脱着した熱媒体をケーシング61内に取り込むための取り込み口62が設けられている。取り込み口62は、第1吸着器20aに連通する第10配管67aおよび第2吸着器20bに連通する第11配管67bに接続されている。
第10配管67aには、第10配管67aの流路の開閉を行う第11バルブ68aが設けられており、第11配管67bには、第11配管67bの流路の開閉を行う第12バルブ68bが設けられている。
放熱器65は、車外からの空気をファンを用いて第9配管64に当てることによって、第9配管64内の温調媒体を冷却する。第8配管63および第9配管64内を流れる温調媒体は、凝縮器60内において気体の熱媒体と熱交換して熱媒体を凝縮させる。そして熱媒体との熱交換によって温まった温調媒体は、放熱器65によって再び熱媒体の凝縮を行える温度に冷却される。
気液分離部70は、凝縮器60において凝縮された熱媒体を貯蔵するケーシング71と、ケーシング71の底面に設けられた排出口72と、ケーシング71内の熱媒体の水位を検出する水位センサ73と、を有する。
気液分離部70の排出口72は、配管を介して蒸発器10に接続されている。排出口72と蒸発器10とを繋ぐ配管の間には第13バルブ75が設けられている。
水位センサ73は、ケーシング71内の液体の熱媒体の水位が低くなったときに、蒸発器10に送る熱媒体に気体の熱媒体が混入しないように、ケーシング71の水位を監視している。水位が低くなり、蒸発器10に送る熱媒体に気体の熱媒体が混入する懸念がある場合は、第13バルブ75を閉じる。
切り替え部80は、図7に示すように、蒸発器10と第1、第2吸着器20a、20bとの間のバルブ(第1、第2バルブ16a、16b)、凝縮器60と第1、第2吸着器20a、20bとの間のバルブ(第11、第12バルブ68a、68b)を含む。切り替え部80を構成する各部のバルブの開閉を切り替えることによって、一方の吸着器を蒸発器10と連通させて内部の吸着材に熱媒体を吸着させる吸着モードにし、他方の吸着器を凝縮器60と連通させて吸着材に熱媒体を脱着させる脱着モードにすることができる。
図7に示すように、第1吸着器20aを吸着モード、第2吸着器20bを脱着モードにする場合、第1バルブ16aおよび第12バルブ68bは開いた状態にし、第2バルブ16bおよび第11バルブ68aは閉じた状態にする。これによって、蒸発器10において蒸発した熱媒体は第1吸着器20aに向かい、第2吸着器20bにおいて脱着した熱媒体は凝縮器60に向かう。
このとき、冷却部40の第7バルブ46aおよび第9バルブ47aは開いた状態にし、第8バルブ46bおよび第10バルブ47bは閉じた状態にすると、第1吸着器20aが冷却されて第1吸着器20aの吸着モードが促進される。また、加熱部50の第4バルブ56bおよび第6バルブ57bは開いた状態にし、第3バルブ56aおよび第5バルブ57aは閉じた状態にすると、第2吸着器20bが加熱され、第2吸着器20bの脱着モードが促進される。
図8に示すように、第1吸着器20aが脱着モード、第2吸着器20bが吸着モードの場合、第1バルブ16aおよび第12バルブ68bは閉じた状態にし、第2バルブ16bおよび第11バルブ68aは開いた状態にする。これによって、蒸発器10において蒸発した熱媒体は第2吸着器20bに向かい、第1吸着器20aにおいて脱着した熱媒体は凝縮器60に向かう。
このとき、冷却部40の第8バルブ46bおよび第10バルブ47bは開いた状態にし、第7バルブ46aおよび第9バルブ47aは閉じた状態にすると、第2吸着器20bが冷却され、第2吸着器20bの吸着モードが促進される。また、加熱部50の第3バルブ56aおよび第5バルブ57aは開いた状態にし、第4バルブ56bおよび第6バルブ57bは閉じた状態にすると、第1吸着器20aが加熱され、第1吸着器20aの脱着モードが促進される。
制御部90は、図9を参照して概説すると、CPU91、ROMおよびRAMによって構成される記憶部92を含む公知のマイクロコンピュータにより構成している。CPU91がROMに予め格納されている各種プログラムをそれぞれRAMに読み出して実行することにより、後述する所定の動作制御が実施される。
制御部90は、第1吸着器20a内に設置されている第1圧力センサ28aおよび第1温度センサ27aと、第2吸着器20b内に設置されている第2圧力センサ28bおよび第2温度センサ27bと、に接続されている。制御部90は、これらのセンサから受信した信号に基づいて、吸着モードおよび脱着モードの終了タイミングおよび開始タイミングを判断する。
さらに、制御部90は、第1温調入口配管23a−uに設置されている第3温度センサ29aと、第2温調入口配管23b−uに設置されている第4温度センサ29bと、に接続されている。制御部90は、これらのセンサから受信した信号に基づいて、冷却部40の温調媒体および加熱部50の温調媒体の温度を把握する。
さらに、制御部90は、加熱部50の温調媒体を循環させる第1ポンプ53と、第3、第4、第5、第6バルブ56a、56b、57a、57bと、に接続されており、これらの動作を制御する。さらに制御部90は、冷却部40の温調媒体を循環させる第3ポンプ45と、第7、第8、第9、第10バルブ46a、46b、47a、47bと、に接続されており、これらの動作を制御する。
さらに、制御部90は、切り替え部80に接続されており、切り替え部80が行う吸着モードおよび脱着モード切り替え動作(蒸発器10と吸着器の間の第1、第2バルブ16a、16bの開閉、および凝縮器60と吸着器の間の第11、第12バルブ68a、68bの開閉)を制御する。
さらに、制御部90は、熱スイッチ部30にも接続されており、熱スイッチ部30のON(熱伝達状態)とOFF(断熱状態)の切り替えを行う。
以下、吸着式冷凍装置100の制御方法について説明する。
図10は、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの熱サイクルの説明に供する図である。図11は、各部の動作タイミングを示すタイムチャートである。図12は、吸着式冷凍装置100の制御部90が実施する動作処理の前半部分を示すフローチャートである。図13は、吸着式冷凍装置100の制御部90が実施する動作処理の後半部分を示すフローチャートである。
まず、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの基本的な運転モードについて説明する。第1吸着器20aおよび第2吸着器20bは、吸着モード、予熱モード、脱着モード、予冷モードを順次繰り返して行うように構成される。
吸着モードとは、図10を参照して、吸着器と蒸発器10を連通し、所定の圧力Pにおいて吸着器内の吸着材を冷却して熱媒体を吸着材に吸着させる工程である(図中e→a)。予熱モードとは、吸着器と蒸発器10とを遮断した状態において、吸着器内の吸着材を加熱して所定の温度Tおよび所定の圧力Pにする工程である(図中a→b)。脱着モードとは、吸着器と凝縮器60を連通し、所定の圧力Pにおいて吸着器内の吸着材を加熱して、吸着材に吸着している熱媒体を脱着させる工程である(図中のb→d)。予冷モードとは、吸着器と凝縮器60を遮断し、吸着器内の吸着材を冷却して所定の温度Tおよび所定の圧力Pにする工程である(図中のd→e)。
図11に示すように、例えば第1吸着器20aが吸着モードである間は、第2吸着器20bは脱着モードとなるように、すなわち第1吸着器20aに対して第2吸着器の動作モードが反転するように吸着式冷凍装置100は運転される。
次に、熱スイッチ部30のONとOFFの切り替えタイミング、加熱部50の第1ポンプ53の駆動タイミング、および冷却部40の第3ポンプ45の駆動タイミングについて説明する。
制御部90は、図11に示すように、それぞれの吸着器の吸着モードおよび脱着モードの終了時(図中t、tの時点)に熱スイッチ部30をON(熱伝達状態)に切り替える。そして、対をなす第1、第2吸着器20a、20bが温度平衡に達すると、熱スイッチ部30をON(熱伝達状態)からOFF(断熱状態)に切り替える(図中t、tの時点)。また、制御部90は、熱スイッチ部30をOFF(断熱状態)からON(熱伝達状態)に切り替えるとき(図中t、tの時点)に、冷却部40の第3ポンプ45および加熱部50の第1ポンプ53を停止し、温調媒体の循環を一時停止する。そして、熱スイッチ部30をON(熱伝達状態)からOFF(断熱状態)に切り替えるとき(図中t、tの時点)に、冷却部40の第3ポンプ45および加熱部50の第1ポンプ53を再駆動させ、温調媒体の循環を再開させる。
以下、図12および図13を参照して、1サイクル分の制御部90の動作フローについて説明する。なお、図12および図13は、吸着モードにある第1吸着器20aおよび脱着モードにある第2吸着器20bが温度平衡に達した時点(図10中c、fの時、図11中tの時)をスタート地点として、1サイクル分の動作フローを表している。具体的には、第1吸着器20aについては、図10中のf→a→b→c→d→e→fの工程を表し、第2吸着器20bについては、c→d→e→f→a→b→cの工程を表している。
制御部90は、図12に示すように、冷却部40によって第1吸着器20aが冷却され、加熱部50によって第2吸着器20bが加熱されるように、各部バルブの開閉状態を切り替え、第1ポンプ53および第3ポンプ45を駆動する(S11)。具体的には、制御部90は、第4、第6バルブ56b、57bと、第7、第9バルブ46a、47aと、を開く(図7参照)。これによって、第1吸着器20aの吸着モードが促進され、第2吸着器20bの脱着モードが促進される。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第3温度センサ29aから、第1吸着器20aの温度および冷却部40側の温調媒体の温度を取得する。また、制御部90は、第2温度センサ27bおよび第4温度センサ29bから、第2吸着器20bの温度および加熱部50側の温調媒体の温度を取得する(S12)。
次に、制御部90は、ステップS12において取得した温度データから、冷却部40による第1吸着器20aの冷却および加熱部50による第2吸着器20bの加熱が終了したか否かを判断する(S13)。具体的には、制御部90は、第1吸着器20aと冷却部40側の温調媒体との温度差が許容範囲内に収まった場合は、冷却部40による冷却が終了したと判断する。同様に、制御部90は、第2吸着器20bと加熱部50側の温調媒体との温度差が許容範囲内に収まった場合は、加熱部50による加熱が終了したと判断する。
冷却部40による第1吸着器20aの冷却が終了していない、および/または、加熱部50による第2吸着器20bの加熱が終了していないと判断された場合(S13:No)、制御部90は再びステップS12の処理を行う。なお、吸着器の温度と温調媒体の温度との差が大きい場合には、必要に応じて適宜第1ポンプ53および第3ポンプ45の流量を増加させることも可能である。
冷却部40による第1吸着器20aの冷却が終了し、かつ、第2吸着器20bの加熱部50による加熱が終了したと判断された場合(S13:Yes)、制御部90は第1吸着器20aの吸着モードおよび第2吸着器20bの脱着モードを終了させる(S14)。具体的には、制御部90は、第1、第12バルブ16a、68bを閉じる。
次に、制御部90は、熱スイッチ部30をONに切り替え、加熱部50の第1ポンプ53および冷却部40の第3ポンプ45を停止させる(S15)。これによって、第2吸着器20bから第1吸着器20aに向かって熱が移動し始め、第1吸着器20aは予熱モードに、第2吸着器20bは予冷モードに移行する。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第1圧力センサ28aと、第2温度センサ27bおよび第2圧力センサ28bとから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの温度および圧力データを取得する(S16)。
次に、制御部90は、ステップS16において取得した温度および圧力データから、第1吸着器20aの予熱モードおよび第2吸着器20bの予冷モードが終了したか否かを判断する(S17)。具体的には、制御部90は、第1吸着器20aの温度および圧力が所定の温度および圧力(図10における温度T、圧力P)に達したことによって予熱モードが終了したと判断する。同様に制御部90は、第2吸着器20bの温度および圧力が所定の温度および圧力(図10における温度T、圧力P)に達したことによって予冷モードが終了したと判断する。
第1吸着器20aの予熱モードが終了しておらず、および/または、第2吸着器20bの予冷モードが終了していないと判断された場合(S17:No)、制御部90は、ステップS16の動作を再び行う。
第1吸着器20aの予熱モードが終了し、かつ、第2吸着器20bの予冷モードが終了したと判断された場合(S17:Yes)、制御部90は、第1吸着器20aの脱着モードおよび第2吸着器20bの吸着モードを開始させる(S18)。具体的には、制御部90は、第2、第11バルブ16b、68aを開く(図8参照)。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第2温度センサ27bから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの温度データを取得する(S19)。
次に、制御部90は、ステップS19から取得した温度データより、第1吸着器20aと第2吸着器20bとが温度平衡に達したか否かを判断する(S20)。具体的には制御部90は、第1吸着器20aと第2吸着器20bとの温度差が許容範囲内に収まっていれば、実質的に温度平衡に達したと判断する。
第1吸着器20aと第2吸着器20bとが温度平衡に達していないと判断された場合(S20:No)、制御部90はステップS19の動作を再び行う。
第1吸着器20aと第2吸着器20bとが温度平衡に達したと判断された場合(S20:Yes)、制御部90は、熱スイッチ部30をOFFに切り替える(S21)。
次に、図13を参照して、制御部90は、冷却部40によって第2吸着器20bが冷却され、加熱部50によって第1吸着器20aが加熱されるように、各部バルブの開閉状態を切り替え、第1ポンプ53および第3ポンプ45を駆動させる(S22)。具体的には、制御部90は、第3、第5バルブ56a、57aと、第8、第10バルブ46b、47bと、を開く(図8参照)。これによって、第1吸着器20aの脱着モードが促進され、第2吸着器20bの吸着モードが促進される。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第3温度センサ29aから第1吸着器20aの温度および加熱部50側の温調媒体の温度データを取得する。また、制御部90は、第2温度センサ27bおよび第4温度センサ29bから第2吸着器20bの温度および冷却部40側の温調媒体の温度データを取得する(S23)。
次に、制御部90は、ステップS23において取得した温度データより、加熱部50による第1吸着器20aの加熱および冷却部40による第2吸着器20bの冷却が終了したか否かを判断する(S24)。なお、判断の方法はステップS13と同様であるため説明を省略する。
加熱部50による第1吸着器20aの加熱が終了していない、および/または、冷却部40による第2吸着器20bの冷却が終了していないと判断された場合(S24:No)、制御部90は再びステップS23の処理を行う。
加熱部50による第1吸着器20aの加熱が終了し、かつ、冷却部40による第2吸着器20bの冷却が終了したと判断された場合(S24:Yes)、制御部90は第1吸着器20aの吸着モードおよび第2吸着器20bの脱着モードを終了させる(S25)。具体的には、制御部90は、第2、第11バルブ16b、68aを閉じる。
次に、制御部90は、熱スイッチ部30をONに切り替え、加熱部50の第1ポンプ53および冷却部40の第3ポンプ45を停止させる(S26)。これによって、第1吸着器20aから第2吸着器20bに向かって熱が移動し始め、第1吸着器20aは予冷モードに、第2吸着器20bは予熱モードに移行する。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第1圧力センサ28aと、第2温度センサ27bおよび第2圧力センサ28bとから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの温度および圧力データを取得する(S27)。
次に、制御部90は、ステップS27において取得した温度および圧力データから、第1吸着器20aの予冷モードおよび第2吸着器20bの予熱モードが終了したか否かを判断する(S28)。なお、判断方法は、ステップS17と同様のため、その説明を省略する。
第1吸着器20aの予冷モードが終了しておらず、および/または、第2吸着器20bの予熱モードが終了していないと判断された場合(S28:No)、制御部90は、ステップS27の動作を再び行う。
第1吸着器20aの予冷モードが終了し、かつ、第2吸着器20bの予熱モードが終了したと判断された場合(S28:Yes)、制御部90は、第1吸着器20aの吸着モードおよび第2吸着器20bの脱着モードを開始させる(S29)。具体的には、制御部90は、第1、第12バルブ16a、68bを開く(図7参照)。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第2温度センサ27bから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの温度データを取得する(S30)。
次に、制御部90は、ステップS30において取得した温度データより、第1吸着器20aと第2吸着器20bとが温度平衡に達したか否かを判断する(S31)。判断方法は、ステップS20と同様であるため、その説明を省略する。
第1吸着器20aと第2吸着器20bとが温度平衡に達していないと判断された場合(S31:No)、制御部90はステップS30の動作を再び行う。
第1吸着器20aと第2吸着器20bとが温度平衡に達したと判断された場合(S31:Yes)、制御部90は、熱スイッチ部30をOFFに切り替える(S32)。
以上説明した各部の動作タイミングをまとめると、図11のようになる。制御部90はこの一連の動作を繰り返して行うように構成される。
上述したように、本実施形態に係る吸着式冷凍装置100およびその制御方法によれば、対をなす吸着器20a、20bの間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部30を、対をなす吸着器20a、20bの両方に接するように配置している。それぞれの吸着器20a、20bにおける動作モードを切り替えるときには、熱スイッチ部30を断熱状態から熱伝達状態に切り替える。吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱は、脱着モードに切り替える側の吸着器に熱スイッチ部30を介して伝達され、脱着モードに切り替える側の吸着器に充填された吸着材を加熱する。対をなす吸着器20a、20bの内部に配置した配管に温調媒体を循環させて熱伝達する場合に比べると、熱交換のロスが少ない。したがって、それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときに、エネルギー効率よく対をなす吸着器20a、20b間の熱交換を行うことが可能となる。
また、上記本実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、吸着材を冷却可能な冷却部40と、吸着材を加熱可能な加熱部50と、をさらに有する。冷却部40は、吸着材を冷却する温調媒体(冷却媒体)と、温調媒体を冷却する放熱器41(冷却源)と、温調媒体を循環させる第3ポンプ45(冷却ポンプ部)と、を有する。加熱部50は、吸着材を加熱する温調媒体(加熱媒体)と、温調媒体を加熱する加熱源51と、温調媒体を循環させる第1ポンプ53(加熱ポンプ部)と、を有する。制御部90は、熱スイッチ部30を断熱状態から熱伝達状態に切り替えるときに、冷却部40の第3ポンプ45および加熱部50の第1ポンプを一時停止する。そして、熱スイッチ部30を熱伝達状態から断熱状態に切り替えるときに、第3ポンプ45および第1ポンプ53を再駆動させる。このため、加熱部50および冷却部40の温調媒体を循環させるポンプの駆動ロスを低減させることができる。
また、上記本実施形態に係る吸着式冷凍装置100およびその制御方法によれば、制御部90は、対をなす吸着器20a、20bが温度平衡に達すると、熱スイッチ部30を熱伝達状態から断熱状態に切り替える。このため、吸着器間が熱平衡に達するまで、吸着器間の熱交換を行わせることができる。
また、上記本実施形態に係る吸着式冷凍装置100およびその制御方法によれば、熱スイッチ部30の面方向の大きさは、それぞれの吸着器20a、20bが熱スイッチ部30に対して向かい合う側の面の面積以上である。このため、第1吸着器20aと第2吸着器20bは、熱スイッチ部30に対して向かい合う側の側面全面において、熱交換を行うことが可能となる。その結果、対をなす吸着器20a、20bの熱交換を効率的に行うことができる。
(変形例1)
図14(A)は、変形例1に係る吸着器を示す斜視図、図14(B)は変形例1に係る吸着器を示す上面図である。
変形例1に係る吸着式冷凍装置100は、図14に示すように、吸着器を4つ(第1、第2、第3、第4吸着器520a、520b、520c、520d)有する点において上記実施形態と相違する。以下、変形例1に係る第1、第2、第3、第4吸着器520a、520b、520c、520dについて詳述する。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
第1、第2、第3、第4吸着器520a、520b、520c、520dは、円を描くように隙間Wを設けて配列されており、これら4つの隙間Wに、熱スイッチ部30が配置されている。このように配置することによって、第1、第2、第3、第4吸着器520a、520b、520c、520dおよび4つの熱スイッチ部30が閉ループを形成する。
第1、第2、第3、第4吸着器520a、520b、520c、520dは、吸着材が充填されたケーシング522と、ケーシング522内部の吸着材を加熱および冷却可能な温調配管523と、ケーシング522内部への熱媒体の出し入れが可能な出入り口524と、をそれぞれ有する。なお、実施形態では、1本の温調配管がケーシング内部を蛇行するように設けられていたのに対し、変形例1に係る温調配管523は2本の温調配管によって構成され、各温調配管がケーシング522を貫通するように設けられている。
制御部90は、隣り合う吸着器のうち一方の吸着器が吸着モードの間は、他方の吸着器が脱着モードとなるように各部の動作を制御する。したがって、例えば、第1吸着器520aおよび第3吸着器520cが吸着モードの場合は、第2吸着器520bおよび第4吸着器520dは脱着モードとなるように運転される。
上述したように、変形例1に係る吸着式冷凍装置によれば、対をなす吸着器および対をなす吸着器の間の熱スイッチ部30を、閉ループとなるように配列している。このように配置することで、いずれの吸着器も両端部において熱交換が行うことができるため、第1、第2、第3、第4吸着器520a、520b、520c、520dを直線的に配置した場合よりも、効率的に熱交換を行うことができる。
(変形例2)
図15は、変形例2に係る第1吸着器620aおよび第2吸着器620bと、熱スイッチ部630と、を示す図である。
実施形態に係る第1、第2吸着器20a、20bでは、第1吸着材21aと熱スイッチ部30の間および第2吸着材21bと熱スイッチ部30の間は、それぞれ第1、2ケーシング22a、22bによって仕切られている。これに対して、図15に示すように、変形例2に係る第1、第2吸着器620a、620bでは、第1吸着材21aと熱スイッチ部630との間は第1ケーシング622aによって仕切られていない。また、第2吸着材21bと熱スイッチ部630との間は第2ケーシング622bによって仕切られていない。このため、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bは、それぞれ熱スイッチ部30に直接接触している。
また、実施形態に係る熱スイッチ部30は、略平板形状であったのに対し、変形例2に係る熱スイッチ部630は、熱スイッチ部630の液体Lが出し入れされる方向と交差する方向の断面において、蛇行した形状を備える。
上記変形例2に係る吸着式冷凍装置100によれば、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bは、それぞれ第1、第2ケーシング622a、622bを介さず、熱スイッチ部630と接触する。このため、より効率的に第1吸着材21aと第2吸着材21bとの間の熱交換を行うことが可能となる。
上記変形例2に係る吸着式冷凍装置100によれば、熱スイッチ部630は、蛇行した断面形状を備えるため、熱スイッチ部630と第1吸着器20aおよび第2吸着器20bとの接触面積が増大し、より効率的に熱交換を行うことが可能となる。
(変形例3)
図16は、変形例3に係る熱スイッチ部730を示す断面図である。
変形例3に係る熱スイッチ部730は、実施形態に係る熱スイッチ部30と同様に、間隙732への液体L2の出し入れを行うことによって熱伝達状態と断熱状態を切り替える。ただし、液体L2の出し入れは、実施形態と異なり、液体L2に対する間隙形成部731内面の濡れ性を変化させることによって行う。
熱スイッチ部730は、導電性の液体L2が出し入れされる間隙732を形成する間隙形成部731と、間隙形成部731の底部において液体L2を貯蔵可能な液溜め部733と、を有する。さらに熱スイッチ部730は、導電性の液体L2に対する間隙形成部731内面の濡れ性を変化させる液体駆動部738と、を有する。
液体L2は、少なくとも吸着式冷凍装置100が使用される温度範囲において液体の導電性流体である。例えば、ガリウム、インジウム、スズの共晶合金であるガリンスタン等の液体金属などが使用され得る。その他にも周知の液体金属を用いてもよく、熱伝導率の高いものが好ましい。
間隙形成部731は、略平板形状の第1平板731aおよび第2平板731bの間に、逆Uの字型の枠部731cを挟み込むことによって、第1平板731aおよび第2平板731bの間に重力方向Gに沿って略平板形状の間隙732を形成する。
第1平板731aおよび第2平板731bは、それぞれ第1吸着器20aおよび第2吸着器20bと接触する部分であり、アルミニウム、銅等の熱伝導率の高い材料からなる。このため、間隙732に熱伝導率の高い液体L2が充填された場合に、第1、第2吸着器20a、20bは、熱伝達率の高い液体L2、第1、第2平板731a、731bを介して熱的に繋がる。その結果、第1吸着器20aと第2吸着器20bの熱交換を効率的に行うことができる。枠部731cの厚みは、間隙732の厚みに相当する。断熱性と熱伝達性を両立させるため、枠部731cの厚みは好ましくは数十μm程度である。
液溜め部733は、間隙形成部731の底部において、間隙732に連通して間隙732を拡げるように液体L2の貯蔵空間を形成する。
液体駆動部738は、第1平板731a内面の上部に設けられた第1電極735aと、液溜め部733内面に設けられた第2電極735bと、第1電極735aおよび第2電極735bを覆って第1平板731aおよび液溜め部733の内面を覆う誘電層734と、を有する。さらに、液体駆動部738は、第1電極735aおよび第2電極735bに接続される電源737を有する。
電源737をONにし、第1電極735aおよび第2電極735bに電圧を印加すると、第2電極735b側から第1電極735a側に向かって誘電層734の液体L2に対する濡れ性がよくなる。このため、液溜め部733内の液体Lが間隙732内へ移動する。電源737をOFFにすると、重力に従って液体L2が液溜め部733に戻る。このように、間隙732内面の液体L2に対する濡れ性を変化させることによって、熱伝達状態と断熱状態を切り替える。
以上のように実施形態およびその変形例を通じて本発明に係る吸着式冷凍装置を説明したが、本発明に係る吸着式冷凍装置は説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
例えば、上記実施形態では、吸着式冷凍装置100を、自動車の車内空気の温度調整のために用いる構成としたが、吸着式冷凍装置100の用途は、これに限定されず冷熱を必要とする様々な装置、機械に搭載することが可能である。
4個の吸着器および4個の熱スイッチ部30を閉ループとなるように配列してなる吸着式冷凍装置について説明したが(図14(A)(B)を参照)、本発明はこの場合に限定されるものではない。対をなす吸着器および対をなす吸着器の間の熱スイッチ部を、閉ループとなるように配列する限りにおいて、個数は4個の場合に限られない。例えば、対をなす2個の吸着器および2つの熱スイッチ部を閉ループとなるように配列することもできる。この場合には、対をなす2個の吸着器のそれぞれを上面から見て半円弧形状に形成し、向かい合う端部同士の間に熱スイッチ部を配置する。
熱スイッチ部30、630、730は、液体Lを間隙32、732内へ出し入れすることによって熱伝達状態と断熱状態を切り替える構成としたが(図5、6、15、16参照)、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、間隙に気体の出し入れを行うことによって熱伝達状態と断熱状態を切り替える構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、熱スイッチ部30は、吸着器の吸着モードおよび脱着モードが終了した直後に熱伝達状態に切り替える構成としたが、本発明はこの場合に限定されるものではない。熱スイッチ部30は、対をなす吸着器の吸着モードおよび脱着モードが終了してから対をなす吸着器の温度が等しくなるまでの間の所望のタイミングにおいて熱伝達状態に切り替えることができる。
10 蒸発器、
20a、20b 吸着器、
30 熱スイッチ部、
40 冷却部、
41 放熱器(冷却源)、
45 第3ポンプ(冷却側ポンプ部)、
50 加熱部、
51 加熱源、
53 第1ポンプ(加熱側ポンプ部)、
60 凝縮器、
70 気液分離部、
80 切り替え部、
90 制御部、
100 吸着式冷凍装置、
200 熱源、
300 空気調和装置、
400 自動車の温調システム、
520a、520b、520c、520d 吸着器、
620a、620b 吸着器、
630 熱スイッチ部、
730 熱スイッチ部、
W 隙間。

Claims (8)

  1. 熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填され、隙間を隔てて配置される対をなす吸着器と、
    対をなす前記吸着器の両方に接するように前記隙間に配置され、対をなす前記吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部と、
    一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替え可能な切り替え部と、
    前記熱スイッチ部、および前記切り替え部の動作を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに、前記熱スイッチ部を断熱状態から熱伝達状態に切り替え、前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器が有する熱を、前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に伝達してなる、吸着式冷凍装置。
  2. 前記吸着材を冷却可能な冷却部と、
    前記吸着材を加熱可能な加熱部と、をさらに有し、
    前記冷却部は、前記吸着材を冷却する冷却媒体と、前記冷却媒体を冷却する冷却源と、前記冷却媒体を循環させる冷却ポンプ部と、を有し、
    前記加熱部は、前記吸着材を加熱する加熱媒体と、前記加熱媒体を加熱する加熱源と、前記加熱媒体を循環させる加熱ポンプ部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記熱スイッチ部を断熱状態から熱伝達状態に切り替えるときに、前記冷却ポンプ部および前記加熱ポンプ部を一時停止し、
    前記熱スイッチ部を熱伝達状態から断熱状態に切り替えるときに、前記冷却ポンプ部および前記加熱ポンプ部を再駆動させる、請求項1に記載の吸着式冷凍装置。
  3. 前記制御部は、
    対をなす前記吸着器が温度平衡に達すると、前記熱スイッチ部を熱伝達状態から断熱状態に切り替える、請求項1または2に記載の吸着式冷凍装置。
  4. 前記熱スイッチ部の面方向の大きさは、それぞれの前記吸着器が前記熱スイッチ部に対して向かい合う側の面の面積以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸着式冷凍装置。
  5. 対をなす前記吸着器および対をなす前記吸着器の間の前記熱スイッチ部を、閉ループとなるように配列してなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸着式冷凍装置。
  6. 熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填された対をなす吸着器を有する吸着式冷凍装置の制御方法であって、
    一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替え、
    対をなす前記吸着器の両方に接するように配置され対をなす前記吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部を、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに断熱状態から熱伝達状態に切り替え、前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器が有する熱を、前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に伝達してなる、吸着式冷凍装置の制御方法。
  7. 冷却源によって冷却された冷却媒体を、前記冷却源と前記吸着器との間を循環させることによって前記吸着材を冷却し、
    加熱源によって加熱された加熱媒体を、前記加熱源と前記吸着器との間を循環させることによって前記吸着材を加熱し、
    前記熱スイッチ部を断熱状態から熱伝達状態に切り替えるときに、前記冷却媒体および前記加熱媒体の循環を一時停止し、
    前記熱スイッチ部を熱伝達状態から断熱状態に切り替えるときに、前記冷却媒体および前記加熱媒体の循環を再開させる、請求項6に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
  8. 対をなす前記吸着器が温度平衡に達すると、前記熱スイッチ部を熱伝達状態から断熱状態に切り替える、請求項6または7に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
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