JP2017026163A - 吸着式冷凍装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸着モードと脱着モードの切り替えのときに、一方の吸着器から他方の吸着器へ熱媒体が十分に移動可能なバッチ式の吸着式冷凍装置およびその制御方法を提供する。【解決手段】バッチ式の吸着式冷凍装置100は、隙間Wを設けて配列される対をなす吸着器20a、20bと、対をなす吸着器の両方に接するように隙間に設置され、対をなす吸着器の間の連通および遮断を切り替え可能な開閉バルブ部110と、を有する。そして、それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときに、開閉バルブ部を開いて対をなす吸着器を連通し、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器の吸着材に吸着している熱媒体を、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器に移動させることが可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、吸着式冷凍装置およびその制御方法に関する。
一般的な吸着式冷凍装置は、水等の熱媒体を蒸発させる蒸発器と、蒸発させた熱媒体を吸着可能なシリカゲル等の吸着材を備える吸着器と、吸着材を加熱して熱媒体を脱着させる加熱部と、加熱された吸着材を冷却して吸着材への熱媒体の吸着を再び促進する冷却部と、を有する。蒸発器において蒸発した熱媒体が吸着器に吸着することに伴い、蒸発器において冷熱が発生する。吸着式冷凍装置は、蒸発器において発生した冷熱を利用して冷却対象を冷却する。
吸着式冷凍装置には、単一の吸着器を備えたタイプと、下記特許文献1に示すように対をなす吸着器を備えたタイプ(バッチ式)とが存在する。単一の吸着器を備えたタイプの吸着式冷凍装置では、1つの吸着器が、吸着材に熱媒体を吸着させる吸着モードおよび吸着材に吸着した熱媒体を脱着させる脱着モードの2つの動作モードを交互に行うように運転される。このため、蒸発器において冷熱は間欠的に生成される。これに対してバッチ式の吸着式冷凍装置では、一方の吸着器の動作モードが脱着モードである間は他方の吸着器の動作モードが吸着モードになるように運転される。このため、蒸発器において冷熱が連続的に生成される。
バッチ式の吸着式冷凍装置では、それぞれの吸着器の動作モードを切り替えるとき、吸着モード終了直後の低温低圧状態にある一方の吸着器を予熱して高温高圧状態にし、脱着モードを開始可能な状態に移行させる必要がある。また同時に、脱着終了直後の高温高圧状態にある他方の吸着器を予冷して低温低圧状態にし、吸着モードを開始可能な状態に移行させる必要がある。
下記特許文献1に開示されているバッチ式の吸着式冷凍装置は、2つの吸着器を繋ぐバイパス配管を備える。バイパス配管にはバルブが設けられており、それぞれの吸着器の動作モードの切り替えを行うときはこのバルブを開き、圧力差を利用して脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器から、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器に熱媒体を移動させる。脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器内の吸着材は、熱媒体を放出するため、吸着モードに切替わったときに、その分多くの熱媒体の吸着することができる。その結果、蒸発器における冷熱の発生量が増加し、吸着式冷凍装置の冷凍能力を向上させることができる。
特開平5−322362号公報
上記吸着式冷凍装置では、熱媒体は、離れた位置にある2つの吸着器を繋ぐバイパス配管内を通って一方の吸着器から他方の吸着器へ移動する。このため、熱媒体がバイパス配管内を移動していている間に、熱損失等によってバイパス配管内において凝縮してしまい、一方の吸着器から他方の吸着器へ熱媒体が十分に移動しない虞がある。
そこで、本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、バッチ式の吸着式冷凍装置であって、吸着モードと脱着モードの切り替えのときに、一方の吸着器から他方の吸着器へ熱媒体が十分に移動可能な吸着式冷凍装置およびその制御方法を提供することである。
上記目的を達成する本発明に係る吸着式冷凍装置は、対をなす吸着器と、開閉バルブ部と、切り替え部と、制御部と、を有する。対をなす吸着器は、熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填され、隙間を隔てて配置される。開閉バルブ部は、前記隙間に配置され、対をなす前記吸着器の間の連通および遮断を切り替え可能である。切り替え部は、一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替え可能である。制御部は、前記開閉バルブ部および前記切り替え部の動作を制御する。さらに、前記制御部は、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに、前記開閉バルブ部を開いて対をなす前記吸着器の間を連通させ、脱着モードが終了した前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器の前記吸着材に吸着している熱媒体を、吸着モードが終了した前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に移動させることが可能である。
上記目的を達成する本発明に係る吸着式冷凍装置の制御方法は、熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填された対をなす吸着器を有する吸着式冷凍装置の制御方法である。一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替える。対をなす前記吸着器の間の隙間に配置され対をなす前記吸着器の間の連通および遮断を切り替え可能な開閉バルブ部を、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに開いて対をなす前記吸着器の間を連通させ、脱着モードが終了した前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器の前記吸着材に吸着している熱媒体を、吸着モードが終了した前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に移動させることが可能である。
本発明に係る吸着式冷凍装置およびその制御方法によれば、対をなす吸着器の連通および遮断を切り替え可能な開閉バルブ部を、対をなす吸着器の両方に接するように配置している。それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときには、開閉バルブ部を遮断状態から連通状態に切り替える。脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱媒体は、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器に開閉バルブ部を通って移動する。このため、離れた位置にある吸着器を繋ぐバイパス配管を介して熱媒体の移動を行う場合と比較すると、熱媒体の移動中の熱損失が少なく、移動中に熱媒体が凝縮する虞はない。したがって、それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときに、対をなす吸着器の間の熱媒体の移動を十分に行うことが可能となる。
第1実施形態に係る吸着式冷凍装置を適用した自動車の温調システムを示す概略図である。 同温調システムにおける空気調和装置の構成を示す概略図である。 同温調システムにおける吸着式冷凍装置の蒸発器および凝縮器の構成を示す概略図である。 図4(A)は、吸着式冷凍装置における第1吸着器および第2吸着器を示す斜視図、図4(B)は第1吸着器および第2吸着器を示す正面図、図4(C)は、図4(B)の4C−4C線に沿う断面図である。 図5(A)は、吸着式冷凍装置における熱スイッチ部および開閉バルブ部の分解斜視図、図5(B)は、熱スイッチ部および開閉バルブ部の組立斜視図である。 熱スイッチ部の構造を示す分解斜視図である。 断熱状態の熱スイッチ部の正面図である。 図7Aにおける7B−7B線に沿う断面図である。 熱伝達状態の熱スイッチ部の正面図である。 図7Cにおける7D−7D線に沿う断面図である。 吸着式冷凍装置の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器の吸着材が冷却され吸着モードにある状態、第2吸着器の吸着材が加熱され脱着モードにある状態を示す。 吸着式冷凍装置の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器の吸着材が加熱され脱着モードにある状態、第2吸着器の吸着材が冷却され吸着モードにある状態を示す。 吸着式冷凍装置の制御系を示すブロック図である。 図11(A)は、開閉バルブ部を開かない場合の吸着器のP−T線図、図11(B)は、開閉バルブ部を開く場合の吸着器のP−T線図である。 吸着式冷凍装置の各部の制御タイミングを示すタイムチャートである。 開閉バルブ部の開閉判断に用いる、同吸着式冷凍装置における加熱部の加熱能力および冷却部の冷却能力と熱媒体の脱着量および吸着量との相関を示すマップである。 吸着式冷凍装置の1サイクル分の動作フローを示す図である。 図14のS15の動作フローを示す図である。 第1実施形態の変形例1に係る熱スイッチ部を示す断面図である。 第1実施形態の変形例2に係る熱スイッチ部に開閉バルブ部を取付けた場合の吸着器間の熱伝達のルートを示す概略図である。 第2実施形態に係る吸着式冷凍装置のS20の動作フローの前半部分を示す図である。 第2実施形態に係る吸着式冷凍装置のS20の動作フローの後半部分を示す図である。 第2実施形態に係る吸着式冷凍装置における吸着器のP−T線図の一例である。 第3実施形態に係る吸着式冷凍装置のS30の動作フローの前半部分を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、実施形態に係る温調システムを説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る吸着式冷凍装置100を適用した自動車の温調システム400を示す概略図である。図2は、温調システム400における空気調和装置300の構成を示す概略図である。
第1実施形態に係る自動車の温調システム400は、自動車の車内の空気温度を調整するためのシステムである。図1を参照して概説すると、自動車の温調システム400は、加熱源51を備える熱源200と、冷熱を発生する吸着式冷凍装置100と、熱源200から得た温熱と、吸着式冷凍装置100から得た冷熱によって車内空気の温度調整を行う空気調和装置300と、を有する。
熱源200は、熱を発生するような自動車の構成部品・装置等からなる加熱源51と、各加熱源51を通る循環経路を形成する第1配管52と、第1配管52内を循環する温調媒体と、温調媒体を循環させる第1ポンプ53と、を有する。
加熱源51は、エンジン51a、エンジンの排気51b、バッテリ51c、インバータ51dおよび水冷式のブレーキ51eを含む。
第1配管52には、加熱源51の排熱を蓄えることのできる蓄熱器54を設けてもよい。例えば自動車の運転中は加熱源51からの排熱の一部を蓄熱器54において蓄える。そして、自動車を長時間停止させた後に再始動する場合、加熱源51の昇温を待たずに、蓄熱器54において蓄えた熱を自動車の温調システム400に利用することも可能である。また、第1配管52には、ラジエータ55を通るバイパス配管59aが設けられている。第1配管52を流れる温調媒体の温度が高くなりすぎた場合は、バイパス配管59aに設けられたバルブ59bを開き、ラジエータ55によって温調媒体を冷却する。
温調媒体は、熱伝達率が高く、熱容量の大きい液体が好ましい。例えば、水、シリコーンオイル等が使用され得る。ただし、加熱源51と熱交換可能であればこれらに限定されず、例えば気体であってもよい。
空気調和装置300は、図2を参照して概説すると、車内外の空気を取り込むインテークユニット310と、取り込んだ空気を除湿冷却するクーラユニット320と、除湿冷却した空気を暖めるヒータユニット330と、温度調整した空気を車内に吹き出す吹出口340と、を有する。
インテークユニット310は、車外空気を取り込む第1取り込み口311と、車内空気を取り込む第2取り込み口312と、取り込んだ空気をクーラユニット320へ送るファン313と、を有する。
クーラユニット320は、インテークユニット310に接続されているクーラケーシング321と、クーラケーシング321内において蛇行するように設けられた第2配管322と、を有する。第2配管322は、第3配管13を介して吸着式冷凍装置100の冷熱発生部分(蒸発器10)に接続されている(図1参照)。第2配管322および第3配管13内には温調媒体が流れている。吸着式冷凍装置100の蒸発器10において冷熱を得た温調媒体は、第2配管322においてインテークユニット310に取り込まれた空気と熱交換を行い、取り込まれた空気を冷却する。
ヒータユニット330は、クーラユニット320に対して下流側に設けられたヒータケーシング331と、クーラユニット320において除湿冷却された空気を加熱可能なヒータコア332と、ヒータコア332を通過する空気量を調整可能なミックスドア333と、を有する。
ヒータコア332は、取り込んだ空気がヒータコア332を通過しない迂回路334を有するようにヒータケーシング331内に取付けられている。ヒータコア332は、熱源200における第1配管52に接続されており、第1配管52内を流れる温調媒体によってヒータコア332は加熱される。
ミックスドア333は、ヒータコア332の前面において回動自在に設けられる。ミックスドア333の開度によって、ヒータコア332を通過する空気量と迂回路334を通過する空気量との比率を調整し、取り込んだ空気の温度を調整することができる。
吹出口340は、ヒータユニット330に対して下流側に設けられ、車内へと繋がっている。クーラユニット320およびヒータユニット330によって湿度および温度が調整された空気は、吹出口340を通って車内に供給される。
次に、吸着式冷凍装置100について説明する。
図3は、温調システム400における吸着式冷凍装置100の蒸発器10および凝縮器60の構成を示す概略図である。図4(A)は、吸着式冷凍装置100における第1吸着器20aおよび第2吸着器20bを示す斜視図である。図4(B)は、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bを示す正面図である。図4(C)は、図4(B)の4C−4C線に沿う断面図である。図5(A)は、吸着式冷凍装置100における熱スイッチ部30および開閉バルブ部110の分解斜視図、図5(B)は、熱スイッチ部30および開閉バルブ部110の組立斜視図である。
図6は、熱スイッチ部30の構造を示す分解斜視図である。図7Aは、断熱状態の熱スイッチ部30の正面図、図7Bは、図7Aにおける7B−7B線に沿う断面図である。図7Cは、熱伝達状態の熱スイッチ部30の正面図、図7Dは、図7Cにおける7D−7D線に沿う断面図である。図8は、吸着式冷凍装置100の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器20aが冷却され吸着モードにある状態、第2吸着器20bが加熱され脱着モードにある状態を示す。図9は、吸着式冷凍装置100の動作状況を示す概略図であり、第1吸着器20aが加熱され脱着モードにある状態、第2吸着器20bが冷却され吸着モードにある状態を示す。図10は吸着式冷凍装置100の制御系を示すブロック図である。
吸着式冷凍装置100は、図1を参照して概説すると、蒸発器10と、対をなす吸着器20a、20bと、開閉バルブ部110と、熱スイッチ部30と、冷却部40と、加熱部50(熱源200)と、凝縮器60と、気液分離部70と、切り替え部80と、制御部90と、を有する。
蒸発器10は、熱媒体を蒸発させる。対をなす吸着器20a、20bは、蒸発器10において蒸発した熱媒体を吸着可能および吸着した熱媒体を脱着可能な吸着材21a、21bが充填され、隙間Wを隔てて配置される。開閉バルブ部110は、隙間Wに配置され、対をなす吸着器20a、20bの間の連通および遮断を切り替え可能である。熱スイッチ部30は、対をなす吸着器20a、20bの両方に接するように隙間Wに配置され、対をなす吸着器20a、20bの間の熱伝達および断熱を切り替え可能である。冷却部40は、対をなす吸着器20a、20b内の吸着材21a、21bをそれぞれ冷却可能である。加熱部50は、対をなす吸着器20a、20b内の吸着材21a、21bをそれぞれ加熱可能である。
凝縮器60は、それぞれの吸着器20a、20bの吸着材21a、21bが脱着した熱媒体を凝縮する。気液分離部70は、凝縮器60において凝縮された熱媒体を蒸発器10に供給する。切り替え部80は、一方の吸着器における動作モードが吸着材に熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の吸着器における動作モードが吸着材から熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの吸着器における動作モードを吸着モードおよび脱着モードに交互に切り替え可能である。制御部90は、開閉バルブ部110、熱スイッチ部30、冷却部40、加熱部50および切り替え部80の動作を制御する。
制御部90は、それぞれの吸着器20a、20bにおける動作モードを切り替えるときに、開閉バルブ部110を開いて対をなす吸着器20a、20bの間を連通させ、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器の吸着材に吸着している熱媒体を、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器に移動させることが可能である。
以下、吸着式冷凍装置100の各部の構成について詳述する。
蒸発器10は、図3を参照して、液体の熱媒体を収容可能なケーシング11と、ケーシング11内を蛇行するように設けられた第4配管12と、蒸発させた熱媒体を排出する排出口14と、を有する。
熱媒体は、対をなす吸着器20a、20bの吸着材21a、21bに物理的または化学的に吸着可能であって、蒸発器10において気化可能な材料であればよい。一般的には、吸着材にはシリカゲル、活性炭、ゼオライト等の材料が、熱媒体には水、アンモニア等が用いられる。
蒸発器10のケーシング11の内部は真空または真空に近い低圧に保たれている。このため、熱媒体は比較的低い温度において蒸発する。ケーシング11は、配管を介して気液分離部70に接続されており、気液分離部70からケーシング11内へ液体の熱媒体が供給される。
第4配管12は、図1、図3に示すように、空気調和装置300のクーラユニット320に連通している第3配管13に接続されている。第3配管13および第4配管12内には、温調媒体が流れている。温調媒体は、第3配管13に設けられた第2ポンプ17から駆動力を得て循環している。第3配管13および第4配管12内を流れる温調媒体は、蒸発器10の第4配管12において熱媒体と熱交換をして熱媒体を蒸発させる。そして、冷熱を得た温調媒体は、クーラユニット320内において車内に送る空気と熱交換を行い、再び熱媒体を蒸発可能な温度にまで上昇する。
蒸発器10の排出口14は、図3に示すように、ケーシング11の上部に設けられている。排出口14は、第5配管15aを介して第1吸着器20aに接続され、第6配管15bを介して第2吸着器20bに接続されている。第5配管15aには、第5配管15aの流路を開閉可能な第1バルブ16aが設けられている。同様に、第6配管15bには、第6配管15bの流路を開閉可能な第2バルブ16bが設けられている。
第1吸着器20aは、図4(A)〜(C)に示すように、熱媒体を吸着可能および脱着可能な第1吸着材21aが充填された第1ケーシング22aと、第1ケーシング22a内を蛇行するように設けられた第1温調配管23aと、を有する。さらに、第1吸着器20aは、第1ケーシング22a内への熱媒体を出し入れするための第1出入り口24aを有する。
同様に、第2吸着器20bは、熱媒体を吸着可能および脱着可能な第2吸着材21bが充填された第2ケーシング22bと、第2ケーシング22b内を蛇行するように設けられた第2温調配管23bと、を有する。さらに、第2吸着器20bは、第2ケーシング22b内への熱媒体を出し入れするための第2出入り口24bを有する。
第1ケーシング22aおよび第2ケーシング22bは、略直方体形状である。図4(C)に示すように、第1ケーシング22aおよび第2ケーシング22bは、略平板形状の熱スイッチ部30の厚みに相当する隙間W1を隔てて配置されている。また、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bと熱スイッチ部30の間は、それぞれ第1ケーシング22aおよび第2ケーシング22bによって仕切られていない。このため、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bは、それぞれ熱スイッチ部30と直接接触している。また、第1吸着材21aと第2吸着材21bとの間には、開閉バルブ部110を配置できるように、隙間W1に加えて、開閉バルブ部110容積に相当する隙間W2が設けられている。第1吸着器20aおよび第2吸着器の間の隙間Wとは、隙間W1および隙間W2のことを指す。
第1温調配管23aおよび第2温調配管23b内には、それぞれ冷却部40によって冷却または加熱部50によって加熱された温調媒体が流れ、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを冷却または加熱する。以降、第1温調配管23aにおいて第1吸着材21aと接触している部分よりも上流側の部分を第1温調入口配管23a−uと、下流側の部分を第1温調出口配管23a−dと称する。同様に、以降、第2温調配管23bにおいて第2吸着材21bと接触している部分よりも上流側の部分を第2温調入口配管23b−uと、下流側の部分を第2温調出口配管23b−dと称する。
また、第1吸着器20a内部には、第1吸着器20a内部の温度を計測可能な第1温度センサ27aおよび第1吸着器20a内部の圧力を計測可能な第1圧力センサ28aが設けられている。同様に、第2吸着器20b内部には、第2吸着器20b内部の温度を計測可能な第2温度センサ27bおよび第2吸着器20b内部の圧力を計測可能な第2圧力センサ28bが設けられている。
また、図4(A)に示すように、第1温調入口配管23a−uには、この配管を流れる温調媒体の温度を計測可能な第3温度センサ29aが設けられている。同様に、第2温調入口配管23b−uには、この配管を流れる温調媒体の温度を計測可能な第4温度センサ29bが設けられている。
熱スイッチ部30は、図5(A)を参照して、対をなす吸着器20a、20bの間の隙間Wにおいて間隙32を形成する間隙形成部31と、間隙32に出し入れされる液体Lと、を有する。さらに熱スイッチ部30は、間隙形成部31の底部において液体Lを貯蔵可能な液溜め部33と、液体Lを間隙32に重力方向Gとは反対の上方に向けて注入可能および重力方向Gに排出可能な液体駆動部38と、を有する。熱スイッチ部30は、間隙32に対する液体Lの出し入れを切り替えることによって熱伝達状態と断熱状態とを切り替える。さらに熱スイッチ部30の一部を切り欠いた部分には、開閉バルブ部110が取付けられる取付部39が配置されている。
液体Lは、熱伝導率の高いほど好ましく、例えば、ガリウム、インジウム、スズの共晶合金であるガリンスタン等の液体金属などが挙げられる。ただし、第1吸着器20aと第2吸着器20bとが熱交換可能であれば、材料はこれに限定されない。
図5、6に示すように、間隙形成部31は、略矩形状の第1板部31aおよび第2板部31bを有する。
第1板部31aは、下端縁以外の周縁を囲むように設けられた第1縦壁31cと、上端縁において開口するように設けられたUの字型の第2縦壁31dと、を有する。このように構成した第1板部31aと第2板部31bとを重ね合わせることによって、第1板部31aと第2板部31bとの間にUの字型の間隙32を形成する。また、Uの字型の第2縦壁31dと、上端縁との間に取付部39を形成する。
このように、間隙形成部31が形成する間隙32を切り欠くように取付部39を設けることによって、間隙32に窪みが生じる。この窪みは間隙形成部31の上端縁から液体Lを出し入れする重力方向Gに沿って伸びているため、液体駆動部38は、窪みに阻害されることなく間隙32への液体Lの出し入れを行うことができる。
また、第1、第2板部31a、31bの取付け部39を形成する部分には、開閉バルブ部110を取付けるための複数のネジ穴39aと、開閉バルブ部110と共に対をなす吸着器20a、20bを連通可能な連通穴39bが設けられている。
また、取付部39は、対をなす吸着器20a、20bの間を断熱する断熱構造を有する。具体的には、取付部39のネジ穴39aおよび連通穴39bを設けた以外の部分は、図6、図7Bに示すように中空構造となっており、内部は真空であるか、または空気などの熱伝導率の低い気体が封入されている。これによって、隙間Wにおいて熱スイッチ部30を設けていない部分(取付部39)を介して、対をなす吸着器20a、20bの熱交換が行われないようにすることができる。
なお、第1板部31aおよび第2板部31bは、アルミニウム、銅等の熱伝導率の高い材料からなる。このため、間隙32に熱伝導率の高い液体Lが充填された場合に、第1、第2吸着器20a、20bは、熱伝達率の高い液体L、第1、第2板部31a、31bを介して熱的に繋がる。その結果、第1吸着器20aと第2吸着器20bの熱交換を効率的に行うことができる。第1板部31aの第1縦壁31cおよび第2縦壁31dの厚みは、間隙32の厚みに相当する。断熱性と熱伝達性を両立させるため、第1縦壁31cおよび第2縦壁31dの厚みは数十μm程度であることが好ましい。
液溜め部33は、図5、図6に示すように、間隙形成部31の底部において、間隙32に連通し、間隙32を拡げるように液体Lの貯蔵空間を形成する。
間隙形成部31および液溜め部33から成る空間は密閉されており、真空に保たれている。このため、液体Lが液溜め部33内にとどまっている場合は、間隙32は真空となっており、第1吸着器20aと第2吸着器20bとの間の熱交換を好適に防ぐことができる。なお、間隙形成部31および液溜め部33から成る空間は、真空に保つのではなく、例えば、空気等の断熱性に優れる不活性ガスが充填された状態にしてもよい。
また、第1、第2吸着器20a、20bに対して露出している間隙形成部31のフリンジ部分(第1縦壁31cおよび第2板部の周縁)および液溜め部33の表面は、発泡スチロールや発泡ポリプロピレンなどの発泡材、織布、不織布等の断熱性を備える材料によって覆われていることが好ましい。これによって、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bから伝わる熱が、フリンジ部分および液溜め部33の表面から放出しないようにすることができる。
液体駆動部38は、図7Bに示すように、液溜め部33の底部に設けられ、液溜め部33の内容積を減少させるように凸状に変形自在な押し込み部36と、押し込み部36が変形するための駆動力を与える電源37と、を有する。押し込み部36は、誘電性の高分子エラストマー材料からなる板状の弾性部材34と、弾性部材34を挟み込む一対の電極35a、35bと、によって構成される。電源37は一対の電極35a、35bに接続されている。
弾性部材34を構成する誘電性の高分子エラストマーは、電圧を付加すると弾性変形可能であり、例えば、天然ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム、ポリロタキサン構造を有するエラストマー等から構成することが可能である。一対の電極35a、35bは、例えば、金属電極、黒鉛粉末、シリコーンオイルとグラファイト混合物等から構成することが可能である。なお、本実施形態では、例として、弾性部材34が誘電性の高分子エラストマー材料からなる場合を説明したが、弾性部材34の材料はこれに限定されない。例えば、誘電性の高分子エラストマーの代わりに圧電素子を用いてもよい。
熱スイッチ部30の電源37がOFFの状態では、図7A、Bに示すように、液体Lは液溜め部33内に留まっている。このため、熱スイッチ部30の間隙32を介して配置される第1吸着器20aと第2吸着器20bとの間は断熱された状態になる。熱スイッチ部の電源37をONにすると、弾性部材34に電圧が付加されるため、図7C、Dに示すように、液溜め部33の内容積を減らすように弾性部材34が凸状に変形し、液体Lが間隙32に押し込まれる。このため、熱スイッチ部30の間隙32を介して配置される第1吸着器20aおよび第2吸着器20bは、熱伝達可能な状態になる。以下、熱スイッチ部30を断熱状態にすることを「OFFにする」と、熱伝達状態にすることを「ONにする」とも称する。
なお、本実施形態では、重力方向に沿って間隙32に対して液体Lの出し入れをする形態を説明したが、重力を利用して液体Lを間隙32から液溜め部33に戻すことができれば、液体Lの排出方向は重力方向に限定されない。例えば、間隙32が重力方向Gに対して傾斜していてもよい。
第1実施形態では、開閉バルブ部110の一例としてバタフライバルブを用いる。図5(A)に示すように、開閉バルブ部110は、対をなす吸着器20a、20bの間を連通する貫通穴111を備える本体部112と、本体部112の貫通穴111を開閉自在な弁113と、を有する。さらに、開閉バルブ部110は、弁113に接続され、貫通穴111内において弁113とともに回転可能な軸114と、軸114を回転させる駆動力を発生する駆動部115と、を有する。弁113は、好ましくはセラミックス等の断熱性の材料からなる。これによって、開閉バルブ部110が閉じている場合に、弁113を介して第1、第2吸着器20a、20bの熱交換が行われるのを防ぐことができる。
弁113が本体部112に設けられた貫通穴111を閉塞した状態(図5(A)参照)から、駆動部115によって軸114および弁113を回転させると、貫通穴111が開く(図5(B)参照)。なお、本体部112には、開閉バルブ部110を取付部39に取り付けるための複数の取付け穴116が設けられている。図5(B)に示すように、開閉バルブ部110に設けた取付け穴116および取付部39に設けたネジ穴39aによって、開閉バルブ部110を取付部39にネジ止めして、熱スイッチ部30に開閉バルブ部110を取付ける。なお、取付けの際、熱スイッチ部30と開閉バルブ部110との貫通穴111を除く部分との間にシート状のシール材(図示せず)を設けてもよい。これによって、貫通穴111を通った熱媒体が、熱スイッチ部30と開閉バルブ部110との間の隙間を通って、大気へ放出されることを防ぐことができる。
なお、第1実施形態では開閉バルブ部110がバタフライバルブに限定されず、対をなす吸着器20a、20bの間の連通および遮断を切り替え可能であればよい。例えば、貫通穴111に対して平板等を摺動させることによって対をなす吸着器20a、20bの間の連通および遮断を切り替えてもよい。
冷却部40は、図8を参照して、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを冷却可能な温調媒体と、温調媒体を冷却する放熱器41と、温調媒体を循環させる第3ポンプ45と、を有する。冷却部40は、放熱器41、第1温調配管23aおよび第2温調配管23bを通る循環経路を形成する第7配管42をさらに有する。温調媒体は、第3ポンプ45から駆動力を得て第7配管42、第1温調配管23aおよび第2温調配管23b内を循環する。
放熱器41は、車外から取り込んだ空気をファン等(図示せず)を用いて主に放熱器41内の第7配管42に当て、第7配管42内を流れる温調媒体を冷却する。ただし、放熱器41の構成は、第7配管42内を流れる温調媒体を冷却可能であれば上記に限定されない。例えば、ヒートシンク等を用いて放熱を行う構成にしてもよいし、ヒートシンクとファンを組み合わせる構成にしてもよい。
放熱器41を通過後の第7配管42は、2本の配管に分岐している。一方の配管は、第7バルブ46aを介して第1温調入口配管23a−uに接続され、他方の配管は、第8バルブ46bを介して第2温調入口配管23b−uに接続されている。
第3ポンプ45に向かう第7配管42には、2本の配管が合流している。一方の配管は、第9バルブ47aを介して第1温調出口配管23a−dに接続され、他方の配管は、第10バルブ47bを介して第2温調出口配管23b−dに接続されている。
熱源200は吸着式冷凍装置100の加熱部50に相当する。以下、熱源200を加熱部50と称する。加熱部50は、図1に示すように、第1吸着材21aおよび第2吸着材21bを加熱可能な温調媒体と、温調媒体を加熱する加熱源51と、温調媒体を循環させる第1ポンプ53と、を有する。加熱部50は、加熱源51、第1温調配管23aおよび第2温調配管23bを通る循環経路を形成する第1配管52をさらに有する。温調媒体は、第1ポンプ53から駆動力を得て第1配管52、第1温調配管23aおよび第2温調配管23b内を循環する。
図8は、図1の吸着式冷凍装置100を示す点線で囲まれた部分の拡大図である。図8に示すように、第1配管52の一部は分岐して、第1吸着器20aの第1温調入口配管23a−uおよび第2吸着器20bの第2温調入口配管23b−uに接続されている。第1配管52と第1温調入口配管23a−uとの間には、第3バルブ56aが設けられている。第1配管52と第2温調入口配管23b−uとの間には、第4バルブ56bが設けられている。
また、第1吸着器20aの第1温調出口配管23a−dおよび第2吸着器20bの第2温調出口配管23b−dは、それぞれ第1配管52に接続されている。これによって、第1温調配管内の温調媒体の一部が、第1吸着器20aの第1温調配管23aおよび第2吸着器20bの第2温調配管23bを流れる。
凝縮器60は、図3に示すように、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bからの熱媒体を収容可能なケーシング61と、ケーシング61内を蛇行するように設けられた第8配管63と、を有する。さらに凝縮器60は、放熱器65と、第8配管63に接続され、放熱器65を通る循環経路を形成する第9配管64と、第8配管63および第9配管64を流れる温調媒体と、温調媒体を循環させる第4ポンプ69と、を有する。
ケーシング61には、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが脱着した熱媒体をケーシング61内に取り込むための取り込み口62が設けられている。取り込み口62は、第1吸着器20aに連通する第10配管67aおよび第2吸着器20bに連通する第11配管67bに接続されている。
第10配管67aには、第10配管67aの流路の開閉を行う第11バルブ68aが設けられており、第11配管67bには、第11配管67bの流路の開閉を行う第12バルブ68bが設けられている。
放熱器65は、車外からの空気をファンを用いて第9配管64に当てることによって、第9配管64内の温調媒体を冷却する。第8配管63および第9配管64内を流れる温調媒体は、凝縮器60内において気体の熱媒体と熱交換して熱媒体を凝縮させる。そして熱媒体との熱交換によって温まった温調媒体は、放熱器65によって再び熱媒体の凝縮を行える温度に冷却される。
気液分離部70は、凝縮器60において凝縮された熱媒体を貯蔵するケーシング71と、ケーシング71の底面に設けられた排出口72と、ケーシング71内の熱媒体の水位を検出する水位センサ73と、を有する。
気液分離部70の排出口72は、配管を介して蒸発器10に接続されている。排出口72と蒸発器10とを繋ぐ配管の間には第13バルブ75が設けられている。
水位センサ73は、ケーシング71内の液体の熱媒体の水位が低くなったときに、蒸発器10に送る熱媒体に気体の熱媒体が混入しないように、ケーシング71の水位を監視している。水位が低くなり、蒸発器10に送る熱媒体に気体の熱媒体が混入する懸念がある場合は、第13バルブ75を閉じる。
切り替え部80は、図8に示すように、蒸発器10と第1、第2吸着器20a、20bとの間のバルブ(第1、第2バルブ16a、16b)、凝縮器60と第1、第2吸着器20a、20bとの間のバルブ(第11、第12バルブ68a、68b)を含む。切り替え部80を構成する各部のバルブの開閉を切り替えることによって、一方の吸着器を蒸発器10と連通させて内部の吸着材に熱媒体を吸着させる吸着モードにし、他方の吸着器を凝縮器60と連通させて吸着材に熱媒体を脱着させる脱着モードにすることができる。
図8に示すように、第1吸着器20aを吸着モード、第2吸着器20bを脱着モードにする場合、第1バルブ16aおよび第12バルブ68bは開いた状態にし、第2バルブ16bおよび第11バルブ68aは閉じた状態にする。これによって、蒸発器10において蒸発した熱媒体は第1吸着器20aに向かい、第2吸着器20bにおいて脱着した熱媒体は凝縮器60に向かう。
なお、このとき、冷却部40の第7バルブ46aおよび第9バルブ47aは開いた状態にし、第8バルブ46bおよび第10バルブ47bは閉じた状態にすると、第1吸着器20aが冷却されて第1吸着器20aの吸着モードが促進される。また、加熱部50の第4バルブ56bおよび第6バルブ57bは開いた状態にし、第3バルブ56aおよび第5バルブ57aは閉じた状態にすると、第2吸着器20bが加熱されて第2吸着器20bの脱着モードが促進される。
図9に示すように、第1吸着器20aが脱着モード、第2吸着器20bが吸着モードの場合、第1バルブ16aおよび第12バルブ68bは閉じた状態にし、第2バルブ16bおよび第11バルブ68aは開いた状態にする。これによって、蒸発器10において蒸発した熱媒体は第2吸着器20bに向かい、第1吸着器20aにおいて脱着した熱媒体は凝縮器60に向かう。
なお、このとき、冷却部40の第8バルブ46bおよび第10バルブ47bは開いた状態にし、第7バルブ46aおよび第9バルブ47aは閉じた状態にすると、第2吸着器20bが冷却されて第2吸着器20bの吸着モードが促進される。また、加熱部50の第3バルブ56aおよび第5バルブ57aは開いた状態にし、第4バルブ56bおよび第6バルブ57bは閉じた状態にすると、第1吸着器20aが加熱されて第1吸着器20aの脱着モードが促進される。
制御部90は、図10を参照して概説すると、CPU91と、ROMおよびRAMによって構成される記憶部92と、を含む公知のマイクロコンピュータにより構成している。CPU91がROMに予め格納されている各種プログラムをそれぞれRAMに読み出して実行することにより、後述する所定の動作制御が実施される。
制御部90は、第1吸着器20a内に設置されている第1圧力センサ28aおよび第1温度センサ27aと、第2吸着器20b内に設置されている第2圧力センサ28bおよび第2温度センサ27bと、に接続されている。制御部90は、これらのセンサから受信した信号に基づいて、吸着モードおよび脱着モードの終了タイミングおよび開始タイミングを判断する。
さらに、制御部90は、第1温調入口配管23a−uに設置されている第3温度センサ29aと、第2温調入口配管23b−uに設置されている第4温度センサ29bと、に接続されている。制御部90は、これらのセンサから受信した信号に基づいて、冷却部40の温調媒体および加熱部50の温調媒体の温度を把握する。
さらに、制御部90は、加熱部50の温調媒体を循環させる第1ポンプ53と、第3、第4、第5、第6バルブ56a、56b、57a、57bと、に接続されており、これらの動作を制御する。さらに制御部90は、冷却部40の温調媒体を循環させる第3ポンプ45と、第7、第8、第9、第10バルブ46a、46b、47a、47bと、に接続されており、これらの動作を制御する。
さらに、制御部90は、切り替え部80に接続されており、切り替え部80が行う吸着モードおよび脱着モード切り替え動作(蒸発器10と吸着器の間の第1、第2バルブ16a、16bの開閉、および凝縮器60と吸着器の間の第11、第12バルブ68a、68bの開閉)を制御する。
さらに、制御部90は、開閉バルブ部110にも接続されており、開閉バルブ部110の開閉動作を制御する。
さらに、制御部90は、熱スイッチ部30にも接続されており、熱スイッチ部30のON(熱伝達状態)およびOFF(断熱状態)の切り替えを行う。
以下、吸着式冷凍装置100の制御方法について説明する。
図11(A)は、開閉バルブ部110を開かない場合の第1吸着器20aおよび第2吸着器20bのP−T線図、図11(B)は、開閉バルブ部110を開く場合の第1吸着器20aおよび第2吸着器20bのP−T線図である。図12は、各部の制御タイミングを示すタイムチャートである。図13は、開閉バルブ部110の開閉判断に用いる、加熱部50の加熱能力および冷却部40の冷却能力と熱媒体の脱着量および吸着量との相関を示すマップである。図14は、吸着式冷凍装置100の1サイクル分の動作フローを示す図である。図15は、図14のS15の動作フローを示す図である。
まず、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの基本的な運転モードについて説明する。第1吸着器20aおよび第2吸着器20bは、吸着モード、予熱モード、脱着モード、予冷モードを順次繰り返して行うように構成される。
吸着モードとは、図11(A)を参照して、吸着器と蒸発器10を連通し、所定の圧力Pにおいて吸着器内の吸着材を冷却して熱媒体を吸着材に吸着させる工程である(図中g→a)。予熱モードとは、吸着器と蒸発器10とを遮断した状態において、吸着器内の吸着材を加熱して所定の温度Tおよび所定の圧力Pにする工程である(図中a→c)。脱着モードとは、吸着器と凝縮器60とを連通し、所定の圧力Pにおいて吸着器内の吸着材を加熱して、吸着材に吸着している熱媒体を脱着させる工程である(図中のc→e)。予冷モードとは、吸着器と凝縮器60とを遮断し、吸着器内の吸着材を冷却して所定の温度Tおよび所定の圧力Pにする工程である(図中のe→g)。
図12に示すように、例えば第1吸着器20aが吸着モードである間は、第2吸着器20bは脱着モードとなるように、すなわち第1吸着器20aに対して第2吸着器の動作モードが反転するように吸着式冷凍装置100は運転される。
次に、開閉バルブ部110の開閉判断および熱スイッチ部30のON(熱伝達状態)およびOFF(断熱状態)の切り替えタイミングについて説明する。
制御部90は、冷却部40の冷却能力および/または加熱部50の加熱能力が不足する場合は、開閉バルブ部110を開くように構成される。また、制御部90は、開閉バルブ部110を開く場合は、開閉バルブ部110を開いた後に熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替える。
具体的には、制御部90は、開閉バルブ部110を開かない場合(図12のCase1)、脱着モードおよび吸着モードが終了した時点(図12のt、t)において熱スイッチ部30をON(熱伝達状態)に切り替える。そして、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが温度平衡に達した時点(図12t、t)において熱スイッチ部30をOFF(断熱状態)に切り替える。この場合の各吸着器の熱サイクルは、図11(A)に示すようになる。
また、制御部90は、開閉バルブ部110を開く場合(図12Case2)は、脱着モードおよび吸着モードが終了した時点(図12t、t)において開閉バルブ部110を開く。そして、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが圧力平衡に達したら(図12t、t)、開閉バルブ部110を閉じ、熱スイッチ部30をON(熱伝達状態)にする。そして、2つの吸着器20a、20bが温度平衡に達したら(図12t、t)熱スイッチ部30をOFF(断熱状態)にする。この場合の各吸着器の熱サイクルは、図11(B)に示すようになる。
なお、冷却部40の冷却能力が不足する場合とは、例えば、車外の気温が高くなり、車外の空気を利用して放熱を行う冷却部40の放熱器41の冷却能力が低下するような場合である。冷却部40の冷却能力が低下すると、吸着モードにある第1吸着器20aまたは第2吸着器20bを冷却することができなくなり、熱媒体の吸着量が減少する。熱媒体の吸着量が減少すると、蒸発器10において発生する冷熱の量が減少するため、結果として吸着式冷凍装置100の冷凍能力が低下する。
また、加熱部50の加熱能力が不足する場合とは、例えば、車外の気温が低く、加熱源51の温度が上昇しない場合である。加熱部50の加熱能力が低下すると、脱着モードにある第1吸着器20aまたは第2吸着器20bを高温にすることができなくなり、熱媒体の脱着量が減少する。結果、脱着モードにあった第1吸着器20aまたは第2吸着器20bが吸着モードに移行したときに、吸着できる熱媒体の量が減少する。このため、蒸発器10において発生する冷熱の量が減少し、吸着式冷凍装置100の冷凍能力が低下する。
上記のような場合に開閉バルブ部110を開くと、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の有する熱媒体が、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器に移動する。このため、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器は、吸着モードに切替わったときに、開閉バルブ部110を開かない場合の熱媒体の有効吸着量Vに対して、有効吸着量をV+ΔVに増加させることができる(図11(B)参照)。そしてその分、冷凍能力を向上させることができる。
開閉バルブ部110の開閉判断は、記憶部92に記憶されている冷却部40の冷却能力および加熱部50の加熱能力と第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの熱媒体の吸着量・脱着量との相関データに基づいて行う。具体的には、図13示すように、加熱部50側の温調媒体の温度および冷却部40側の温調媒体の温度に基づいて、熱媒体の吸着量および脱着量が冷却対象を冷却するために十分であるか否かを判定可能な相関マップが記憶部92に記憶されている。
このような相関マップは、例えば、加熱部50の温調媒体の温度および冷却部40の温調媒体の温度を複数変化させ、その時の第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの熱媒体の吸着量・脱着量を評価する性能評価試験を行うことによって取得できる。なお、性能評価試験は、吸着式冷凍装置100の適用対象である自動車を出荷する前に予め行っておくことが好ましい。
CPU91は、第3、第4温度センサ29a、29bから取得した温度データから、冷却部40および加熱部50の温調媒体の温度を把握する。そして、記憶部92に記憶された相関マップに、冷却部40および加熱部50の温調媒体の温度を当てはめ、熱媒体の吸着量および脱着量が不足であるか否かを判断する。
例えば、冷却部40側の温調媒体の温度がTc1℃、加熱部50側の温調媒体の温度がTh1℃の場合(図13のCase1の場合)、CPU91は、相関マップから熱媒体の吸着量・脱着量は十分であると判断し、開閉バルブ部110を開かない。例えば、冷却部40側の温調媒体の温度がTc2℃、加熱部50側の温調媒体の温度がTh1℃の場合(図13のCase2の場合)、CPU91は、相関マップから熱媒体の吸着量・脱着量は不十分であると判断し、開閉バルブ部110を開く。
以下、制御部90の動作フローについて説明する。
図14は、1サイクル分の吸着式冷凍装置100の動作フローを示すフローチャートである。図15は、図14のS15における動作フローを示すフローチャートである。なお、図14における動作フローは、吸着モードの第1吸着器20aと脱着モードの第2吸着器20bが温度平衡に達したとき(図12のt)をスタート地点としている。具体的には、第1吸着器20aについては、図11中のg→h→a→b→c→d→e→f→gの工程を表し、第2吸着器20bについては、c→d→e→f→g→h→a→b→cの工程を表している。
制御部90は、図14に示すように、冷却部40によって第1吸着器20aが冷却され、加熱部50によって第2吸着器20bが加熱されるように、各部バルブの開閉状態を切り替え、第1ポンプ53および第3ポンプ45を駆動する(S11)。具体的には、制御部90は、第4、第6バルブ56b、57bと、第7、第9バルブ46a、47aと、を開く(図8参照)。これによって、第1吸着器20aの吸着モードが促進され、第2吸着器20bの脱着モードが促進される。
次に、制御部90は、第1温度センサ27aおよび第3温度センサ29aから、第1吸着器20aの温度および冷却部40側の温調媒体の温度を取得する。また、制御部90は、第2温度センサ27bおよび第4温度センサ29bから、第2吸着器20bの温度および加熱部50側の温調媒体の温度を取得する(S12)。
次に、制御部90は、ステップS12において取得した温度データから、冷却部40による第1吸着器20aの冷却および加熱部50による第2吸着器20bの加熱が終了したか否かを判断する(S13)。具体的には、制御部90は、第1吸着器20aと冷却部40側の温調媒体との温度差が許容範囲内に収まった場合は、冷却部40による冷却が終了したと判断する。同様に、制御部90は、第2吸着器20bと加熱部50側の温調媒体との温度差が許容範囲内に収まった場合は、加熱部50による加熱が終了したと判断する。
冷却部40による第1吸着器20aの冷却が終了していない、および/または、第2吸着器20bの加熱部50による加熱が終了していないと判断された場合(S13;No)、制御部90は再びステップS12およびS13の処理を行う。なお、吸着器の温度と温調媒体の温度との差が大きい場合には、必要に応じて適宜第1ポンプ53および第3ポンプ45の流量を増加させることも可能である。
冷却部40による第1吸着器20aの冷却が終了し、かつ、第2吸着器20bの加熱部50による加熱が終了したと判断された場合(S13;Yes)、制御部90は第1吸着器20aの吸着モードおよび第2吸着器20bの脱着モードを終了させる(S14)。具体的には、制御部90は、第1、第12バルブ16a、68bを閉じる。そして、第1ポンプ53および第3ポンプ45を停止する。
次に制御部90は、熱スイッチ部30および開閉バルブ部110の制御を行う(S15)。
図15に示すように、制御部90は、開閉バルブ部110を開くか否かの判断を行う(S151)。具体的には、ステップS12において取得した加熱部50および冷却部40の温調媒体の温度を、記憶部92に記憶されている相関マップ(図13参照)に当てはめ、熱媒体の脱着量および吸着量が不足する場合は、開閉バルブ部110を開く判断をする。
開閉バルブ部110を開くと判断した場合(S151;Yes)、制御部90は、開閉バルブ部110を開く(S152)。これにより、圧力差によって脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の第2吸着器20bが有する熱媒体が、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の第1吸着器20aに向かって移動する。
次に、制御部90は、第1、第2圧力センサ28a、28bから第1、第2吸着器20a、20bの圧力データを取得する(S153)。
次に、制御部90は、ステップS153において取得した圧力データから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが圧力平衡に達したか否かを判断する(S154)。具体的には、第1吸着器20aと第2吸着器20bとの圧力差が許容範囲内に収まっていれば、圧力平衡に達したと判断する。
第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが圧力平衡に達していないと判断された場合(S154;No)、制御部90は、ステップS153からステップS154の動作を再び行う。
第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが圧力平衡に達したと判断された場合(S154;Yes)、制御部90は開閉バルブ部110を閉じる(S155)。
次に、制御部90は熱スイッチ部30をONに切り替える(S156)。
次に、制御部90は、第1、第2温度センサ27a、27bおよび第1、第2圧力センサ28a、28bから第1、第2吸着器20a、20bの温度および圧力データを取得する(S157)。
次に、制御部90は、ステップS157において取得した温度および圧力データに基づいて、第1、第2吸着器20a、20bがそれぞれ所定の温度および圧力になり、第1吸着器20aの予熱モードおよび第2吸着器20bの予冷モードが終了したか否かを判断する(S158)。
第1吸着器20aの予熱モード、および/または、第2吸着器20bの予冷モードが終了していないと判断された場合(S158;No)、制御部90は、ステップS157からステップS158の動作を再び行う。
第1吸着器20aの予熱モードが終了し、かつ、第2吸着器20bの予冷モードが終了したと判断された場合(S158;Yes)、制御部90は、第1吸着器20aの脱着モード、第2吸着器20bの吸着モードを開始させる(S159)。具体的には、制御部90は、第11バルブ68aおよび第2バルブ16bを開く(図9参照)。
次に、制御部90は、第1、第2温度センサ27a、27bから第1、第2吸着器20a、20bの温度データを取得する(S160)。
次に、制御部90は、ステップS160において取得した温度データに基づいて、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが温度平衡に達したか否かを判断する(S161)。
第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが温度平衡に達していないと判断された場合(S161;No)、制御部90はステップS160からステップS161の動作を再び行う。
第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが温度平衡に達したと判断された場合(S161;Yes)、制御部90は、熱スイッチ部30をOFFに切り替える(S162)。
なお、開閉バルブ部110を開く必要がないと判断した場合は(S151;No)、制御部90は、ステップS156からステップS162にかけての動作を行い、熱スイッチ部30のみによって第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの熱交換を行う。
ステップS162の動作終了後、図14に示すように、制御部90は、冷却部40によって第2吸着器20bが冷却され、加熱部50によって第1吸着器20aが加熱されるように、各部バルブの開閉状態を切り替え、第1ポンプ53および第3ポンプ45を駆動させる(S16)。具体的には、制御部90は、第3、第5バルブ56a、57aと、第8、第10バルブ46b、47bと、を開く(図9参照)。これによって、第1吸着器20aの脱着モードが促進され、第2吸着器の吸着モードが促進される。
次に、制御部90は、第1、第2温度センサ27a、27bから第1、第2吸着器20a、20bの温度データを取得し、第3、第4温度センサ29a、29bから冷却部40側および加熱部50側の温調媒体の温度データを取得する(S17)。
次に、制御部90は、ステップS17において取得した温度データに基づいて、加熱部50による第1吸着器20a加熱、および冷却部40によつ第2吸着器20b冷却が終了したか否かを判定する(S18)。なお、判定方法はステップS13と同様であるため、説明を省略する。
加熱部50による第1吸着器20aの加熱および/または冷却部40による第2吸着器20bの冷却が終了していないと判定された場合(S18;No)、制御部90は、ステップS17からステップS18の動作を再び行う。
加熱部50による第1吸着器20aの加熱および冷却部40による第2吸着器20bの冷却が終了したと判定された場合(S18;Yes)、制御部90は、第1吸着器20aの脱着モードを終了させ、第2吸着器20bの吸着モードを終了させる(S19)。具体的には、制御部90は、第11バルブ68aおよび第2バルブ16bを閉じる。そして、制御部90は、第3ポンプ45および第1ポンプ53を停止する。
次に制御部90は、熱スイッチ部30および開閉バルブ部110の動作制御を行う(S15)。なお、ステップS19の後のステップS15の動作処理は、第1吸着器20aと第2吸着器20bの動作モードが反転している点以外はステップS14の後に行ったステップ15の動作と同じであるため、説明を省略する。
以上説明した各部の動作タイミングをまとめると、図12のようになる。制御部90はこの一連の動作を繰り返して行うように構成される。
上記実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、対をなす吸着器20a、20bの間の連通および遮断を切り替え可能な開閉バルブ部110を、対をなす吸着器20a、20bの両方に接するように配置している。それぞれの吸着器20a、20bにおける動作モードを切り替えるときには、開閉バルブ部110を遮断状態から連通状態に切り替える。脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱媒体は、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器にバルブ部を通って移動する。対をなす吸着器の内部に配置した配管に温調媒体を循環させて熱伝達する場合に比べると、熱媒体が移動している間の熱損失が少なく、熱媒体が移動中に凝縮してしまう虞がない。したがって、それぞれの吸着器における動作モードを切り替えるときに、対をなす吸着器の間の熱媒体の移動を十分に行うことが可能となる。
また、上記実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、それぞれの吸着材21a、21bを冷却可能な冷却部40と、それぞれの吸着材21a、21bを加熱可能な加熱部50と、をさらに有する。そして、制御部90は、冷却部40の冷却能力および/または加熱部50の加熱能力が不足する場合は、開閉バルブ部110を開く。このため、冷却部40および加熱部50の能力が不足している場合であっても、第1、第2吸着材21a、21bへの熱媒体の吸着・脱着量を増加させることによって、冷凍能力を向上させることができる。
また、上記実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、対をなす吸着器20a、20bの両方に接するように隙間Wに配置され、対をなす吸着器20a、20bの間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部30をさらに有する。そして制御部90は、それぞれの吸着器20a、20bにおける動作モードを切り替えるときに、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器が有する熱を、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器に伝達可能である。このため、熱媒体の移動による熱交換だけでなく、熱スイッチ部30を介した吸着器間の熱交換も行うことができるようになる。
また、上記実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、制御部90は、開閉バルブ部110を開く場合は、開閉バルブ部110を開いた後に熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替える。吸着材からの熱媒体の脱着は、吸着材の温度が低いと抑制される。また、吸着材への熱媒体の吸着は、吸着材の温度が高いと抑制される。このため、熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替えた後に、開閉バルブ部110を開くと、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器は、温度が下降しているために熱媒体を十分に脱着しない。また、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器は、温度が上昇しているために、熱媒体を十分に吸着されない。その結果、熱媒体の移動が十分に行われない。これに対して、先に開閉バルブ部110を開けば、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の吸着器は、温度が高い状態のままであるために熱媒体を十分に脱着する。また、吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の吸着器は、温度が低い状態のままであるために、熱媒体を十分に吸着する。
また、上記実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、熱スイッチ部30の一部を切り欠いた部分に配置され、開閉バルブ部110が取付けられる取付部39をさらに有し、取付部39は、対をなす吸着器20a、20bの間を断熱する断熱構造を有する。これによって、開閉バルブ部110を熱スイッチ部30に取り付けるために取付部39を設けた場合に、熱スイッチ部30のように断熱状態と熱伝達状態を切り替える機能を有さない取付部39を介して、対をなす吸着器20a、20bの熱交換が行われるのを防ぐことができる。
また、上記実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、熱スイッチ部30は、対をなす吸着器20a、20bの間の隙間Wにおいて間隙32を形成する間隙形成部31と、間隙32に出し入れされる液体Lと、液体Lを間隙32に注入可能および重力を利用して排出可能な液体駆動部38と、を有する。間隙32に対する液体Lの出し入れを切り替えることによって熱伝達状態と断熱状態とを切り替え、取付部39は、液体Lの排出方向の上流側から下流側に向かって伸びるように間隙形成部31を切り欠いた部分に配置される。このため、液体駆動部38は、取付部39に阻まれる事なく液体Lの出し入れを行うことができる。
(第1実施形態の変形例1)
図16は、第1実施形態の変形例1に係る熱スイッチ部130を示す図であって、取付部39が設けられた位置から外れた位置における断面図である。

変形例1に係る熱スイッチ部130は、第1実施形態に係る熱スイッチ部30と同様に、間隙132への液体L2の出し入れを行うことによって熱伝達状態と断熱状態を切り替える。ただし、液体L2の出し入れは、実施形態と異なり、液体L2に対する間隙形成部131内面の濡れ性を変化させることによって行う。以下、第1実施形態の変形例1に係る熱スイッチ部130について詳述する。なお、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
熱スイッチ部130は、導電性の液体L2が出し入れされる間隙132を形成する間隙形成部131と、間隙形成部131の底部において液体L2を貯蔵可能な液溜め部133と、を有する。さらに熱スイッチ部130は、導電性の液体L2に対する間隙形成部131内面の濡れ性を変化させる液体駆動部138と、を有する。
液体L2は、少なくとも吸着式冷凍装置100が使用される温度範囲において液体の導電性流体である。例えば、ガリウム、インジウム、スズの共晶合金であるガリンスタン等の液体金属などが使用され得る。その他にも周知の液体金属を用いてもよく、熱伝導率の高いものが好ましい。
間隙形成部131は、第1実施形態と同様に、略矩形状の第1板部131aに、第2板部131bを重ね合わせることによって構成する。
第1板部131aおよび第2板部131bは、アルミニウム、銅等の熱伝導率の高い材料からなる。このため、間隙132に熱伝導率の高い液体L2が充填された場合に、第1、第2吸着器20a、20bは、熱伝達率の高い液体L2、第1、第2板部131a、131bを介して熱的に繋がる。その結果、第1吸着器20aと第2吸着器20bの熱交換を効率的に行うことができる。なお、第1板部131aの縦壁の厚みは、間隙132の厚みに相当する。断熱性と熱伝達性を両立させるため、この厚みは好ましくは数十μm程度である。
液溜め部133は、間隙形成部131の底部において、間隙132に連通して間隙132を拡げるように液体L2の貯蔵空間を形成する。
間隙形成部131および液溜め部133から成る空間は密閉されており、真空に保たれている。このため、液体L2が液溜め部133内にとどまっている場合は、間隙132は真空となっており、第1吸着器20aと第2吸着器20bとの間の熱交換を好適に防ぐことができる。なお、間隙形成部131および液溜め部133から成る空間は、例えば、空気等の断熱性に優れる不活性ガスによって充填されていてもよい。
液体駆動部138は、第1板部131a内面の上部に設けられた第1電極135aと、液溜め部133内面に設けられた第2電極135bと、第1電極135aおよび第2電極135bを覆って第1板部131aおよび液溜め部133の内面を覆う誘電層134と、を有する。さらに、液体駆動部138は、第1電極135aおよび第2電極135bに接続される電源137を有する。
電源137をONにし、第1電極135aおよび第2電極135bに電圧を印加すると、第2電極135b側から第1電極135a側に向かって誘電層134の液体L2に対する濡れ性がよくなる。このため、液溜め部133内の液体Lが間隙132内へ移動する。電源137をOFFにすると、重力に従って液体L2が液溜め部133に戻る。このように、間隙132内面の液体L2に対する濡れ性を変化させることによって、熱伝達状態と断熱状態を切り替える。
なお、重力方向Gに沿って間隙132に対して液体L2の出し入れを行う形態を説明したが、重力を利用して液体L2を間隙132から液溜め部133に戻すことができれば、液体L2の排出方向は重力方向Gに限定されない。例えは、重力方向に対して傾斜するように間隙32を形成してもよい。
(第1実施形態の変形例2)
図17は、第1実施形態の変形例2に係る熱スイッチ部130に開閉バルブ部110を取付けた場合における、第1、第2吸着器20a、20b間の熱伝達のルートを示す概略図である。
図17に示すように、第1実施形態の変形例2に係る熱スイッチ部230は、間隙形成部231の一部分が突出している点において第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態の変形例2に係る熱スイッチ部230の間隙形成部231について詳述する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
変形例2に係る熱スイッチ部230の基本構成は、第1実施形態と同様であり、縦壁を備える第1板部231a、第2板部231bを備える間隙形成部231と、液溜め部33と、液体駆動部38と、を有する。間隙形成部231の上端縁から重力方向に沿って一部を切り欠いた部分に、取付部39が設けられている。
間隙形成部231は、図17に示すように、対をなす吸着器20a、20bの間から第1吸着器20aに向けて突出する突出部分を有し、開閉バルブ部110が突出部分に接触するように配置される。そして、突出部分および開閉バルブ部110を介して、対をなす吸着器20a、20bの間の熱伝達を可能にする。なお、開閉バルブ部110の本体部112をアルミニウム、銅等の熱伝達率の高い材料によって構成することが好ましい。
上記変形例2に係る吸着式冷凍装置100によれば、対をなす吸着器20a、20bは間隙形成部231の突出部分および開閉バルブ部110を介して熱交換を行うことが可能であり、第1実施形態に対して熱交換の行える面積を増加させることができる。
(第2実施形態)
図18は、第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100のS20の動作フローの前半部分を示す図である。図19は、第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100のS20の動作フローの後半部分を示す図である。図20は、第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100における吸着器20a、20bのP−T線図の一例である。
第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100は、制御部90が、熱スイッチ部30の切り替えタイミングと冷凍能力との相関データに基づいて、冷凍能力が最大となるように熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する点において第1実施形態と相違する。
冷凍能力とは、単位時間当たりに蒸発器10において発生する冷熱の量である。一般的に吸着式冷凍装置の冷凍能力は、吸着材の熱媒体の有効吸着量に比例し、吸着器のサイクル時間に反比例する。
開閉バルブ部110を開いた後、比較的早いタイミングにおいて熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替えると、吸着器20a、20bの間の熱交換によって吸着モードが終了した脱着モードに切り替える側の温度は下降するため、熱媒体の脱着が抑制される。また、脱着モードが終了した吸着モードに切り替える側の温度は上昇するため、熱媒体の吸着が抑制される。その結果、熱媒体の移動量が減少し、吸着材の熱媒体の有効吸着量はその分減少する。
一方、熱スイッチ部30を比較的早いタイミングにおいて熱伝達状態に切り替えると、対をなす吸着器20a、20bが温度平衡に達する時間は短くなるため、その分サイクル時間を削減することができる。
このように、熱スイッチ部30の切り替えタイミングは、熱媒体の有効吸着量と吸着器のサイクル時間との両方に影響があるが、熱媒体の有効吸着量および吸着器のサイクル時間は冷凍能力に関してトレードオフの関係にある。このため、冷凍能力を最大にするためには、最適な熱スイッチ部30の切り替えタイミングを決定する必要がある。
第2実施形態に係る制御部90の記憶部92は、熱スイッチ部30の切り替えタイミングと冷凍能力との相関データを記憶する。
この相関データは、制御部90が、複数の異なるタイミングにおいて熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替え、その時の冷凍能力を評価する性能評価試験を行うことによって取得する。性能評価試験は、例えば、吸着式冷凍装置100を適用した対象である自動車を出荷する前に行っておくことが好ましい。
さらに、記憶部92は、吸着式冷凍装置100の運転を行う度に相関データを取得して、性能評価試験において得られた基礎的な相関データを強化する学習機能を備えている。これによって、より精度を高く、吸着材21a、21bの性能の個体差を考慮して熱スイッチ部30の最適な切り替えタイミングを決定することができる。
なお、記憶部92には、加熱部50の温調媒体の温度および冷却部40の温調媒体の温度等の運転条件に応じて、熱スイッチ部30の切り替えタイミングとその時の冷凍能力が記憶されていることが望ましい。これは、加熱部50および冷却部40の能力によって、第1、第2吸着材21a、21bへの熱媒体の吸着量および脱着量が変化し、その分冷凍能力も変化するためである。そして、その時の加熱部50および冷却部40の能力を相関データに当てはめ、最適な熱スイッチ部30の切り替えタイミングを決定することが望ましい。
制御部90のCPU91は、記憶部92に記憶されている相関データに基づいて、冷凍能力が最大となるように熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する。
第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100の動作フローは、図14に示す第1実施形態の動作フローのステップS15を、図18、図19に示すステップS20に置き換えただけであり、その他の工程は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様の工程に関しては説明を省略する。
制御部90は、図18を参照して、ステップS14の動作後、開閉バルブ部110を開く(S201)。
次に、制御部90は、記憶部92に記憶されている熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍能力との相関データに基づいて、冷凍能力が最大となる熱スイッチ部30の切り替えタイミングを決定する(S202)。
次に、制御部90は、ステップS202において決定した熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替えるタイミングになったか否かを判断する(S203)。
熱スイッチ部30を切り替えるタイミングになった場合(S203;Yes)は、制御部90は、熱スイッチ部30をONに切り替える(S204)。
次に、制御部90は、第1、第2圧力センサ28a、28bから、第1、第2吸着器20a、20bの圧力データを取得する(S205)。なお、熱スイッチ部30を切り替えるタイミングになっていないと判断された場合(S203;No)は、熱スイッチ部30をOFFにした状態のまま、ステップS205の動作を行う。
次に、制御部90は、ステップS205において取得した圧力データから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが圧力平衡に達したか否かを判断する(S206)。判断方法は、ステップS154と同様であるためその説明を省略する。
第1吸着器20aと第2吸着器20bが圧力平衡に達していないと判断された場合(S206;No)、制御部90は、再びステップS203の動作を行う。
第1吸着器20aと第2吸着器20bが圧力平衡に達したと判断された場合(S206;Yes)、制御部90は、開閉バルブ部110を閉じる(S207)。
次に、図19に示すように、制御部90は、まだ熱スイッチ部30をONに切り替えていない場合は、熱スイッチ部30をONに切り替える(S208)。
次に、制御部90は、第1、第2温度センサ27a、27bから第1吸着器20aおよび第2吸着器20bの温度を取得し、第1、第2圧力センサ28a、28bから圧力データを取得する(S209)。
次に、制御部90は、ステップS209において取得した温度および圧力データから、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bがそれぞれ所定の温度および圧力に達し、第1吸着器20aの予熱モードおよび第2吸着器20bの予冷モードが終了したか否かを判断する(S210)。
第1吸着器20aの予熱モードおよび/または第2吸着器20bの予冷モードが終了していないと判断された場合(S210;No)、制御部90は、再びステップS209からS210の動作を行う。
第1吸着器20aの予熱モードおよび第2吸着器20bの予冷モードが終了したと判断された場合(S210;Yes)、制御部90は、第1吸着器20aの脱着モードおよび第2吸着器20bの吸着モード開始動作を行う(S211)。
次に、制御部90は、第1、第2温度センサ27a、27bから、第1、第2吸着器20a、20bの温度データを取得する(S212)。
次に、制御部90は、ステップS212において取得した温度データから第1吸着器20aと第2吸着器20bが温度平衡に達したか否かを判断する(S213)。
第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが温度平衡に達していないと判断された場合(S213;No)、制御部90は、ステップS212からS213の動作を再び行う。
第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが温度平衡に達したと判断された場合(S213;Yes)、制御部90は、熱スイッチ部30をOFFに切り替える(S214)。
次に制御部90は、図14のステップS16からの動作を行う。なお、ステップS19後、再びステップS20の動作を行うが、上記において説明した工程と、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bのモードが反転している点以外は同じであるため説明を省略する。
例えば、開閉バルブ部110を開いた後、第1吸着器20aおよび第2吸着器20bが圧力平衡に達する前に熱スイッチ部30をONに切り替える場合は、図20に示すような熱サイクルになる。
上記第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、制御部90は、開閉バルブ部110を開く場合は、熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍能力の相関データに基づいて、冷凍能力が最大となるように熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する。このため、冷凍能力を最大にすることができる。
(第3実施形態)
図21は、第3実施形態に係る吸着式冷凍装置100のS30の動作フローの前半部分を示す図である。
第3実施形態にかかる吸着式冷凍装置100は、冷凍効率が最大となるように熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する点において、第2実施形態に係る吸着式冷凍装置100と相違する。
冷凍効率とは、冷凍能力を、吸着式冷凍装置100を運転するために必要な単位時間当たり駆動ロスによって除算したものである。前述したように、熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングによって冷凍能力は変化する。さらに、例えば、熱スイッチ部30を比較的早く熱伝達状態へ切り替えると、その間電源37をONにしている時間が長くなるため、駆動ロスが増加する。さらに、熱スイッチ部30を比較的早く熱伝達状態に切り替えると、その分サイクル時間が短くなるため、単位時間あたりの各部の駆動ロスは増加する。このように、熱スイッチ部30の切り替えタイミングは、冷凍能力と駆動ロスの両方に影響があり、冷凍効率を最大にするためには、最適な熱スイッチ部30の切り替えタイミングを決定する必要がある。
第3実施形態に係る制御部90の記憶部92は、熱スイッチ部30の切り替えタイミングと冷凍効率との相関データを記憶する。なお第3実施形態における駆動ロスとは、冷却部40の第3ポンプ45の駆動ロス、加熱部50の第1ポンプ53の駆動ロス、開閉バルブ部110の開閉を切り替える時の駆動ロス、熱スイッチ部30の電源37の駆動ロス、および各部のバルブの開閉のための駆動ロスを含む。制御部90は、これらの駆動ロスを、各部への電力の供給量から取得可能に構成される。
熱スイッチ部30の切り替えタイミングと冷凍効率との相関データは、複数の異なるタイミングにおいて熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替え、その時の冷凍効率を評価する性能評価試験を行うことによって取得する。性能評価試験は、例えば、吸着式冷凍装置100を適用した対象(自動車)を出荷する前に行っておくことが好ましい。
さらに、記憶部92は、吸着式冷凍装置100が運転される度に相関データを記憶し、性能評価試験によって得られた基礎的な相関データを強化する学習機能を備える。
また、記憶部92には、加熱部50の温調媒体の温度および冷却部40の温調媒体の温度等の運転条件に応じて、熱スイッチ部30の切り替えタイミングとその時の冷凍効率が記憶されていることが望ましい。これは、加熱部50および冷却部40の能力によって、第1、第2吸着材21a、21bへの熱媒体の吸着量および脱着量が変化し、その分冷凍能力も変化するためである。そして、その時の加熱部50および冷却部40の能力を相関データに当てはめ、最適な熱スイッチ部30の切り替えタイミングを決定することが望ましい。
制御部90のCPU91は、記憶部92に記憶されている相関データに基づいて、冷凍効率が最大となるように熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する。
第3実施形態に係る吸着式冷凍装置100の動作フローは、図18における第2実施形態のステップS202を、図21におけるステップS302に置き換えただけであり、その他の動作フローは第2実施形態と同様である。
具体的には、図14におけるステップS11からステップS14までの工程におよび、ステップS16からステップS19までの工程は第2実施形態と共通である。また、図18、図21におけるステップS30のステップS301、ステップS303からステップS307までの動作は、ステップS20のステップS201、ステップS203からステップS207までの動作に対応する。また、ステップS307以降の動作は、ステップS図19における208からステップS214と同様の動作を行う。なお、第2実施形態と動作が同じ工程に関してはその説明を省略する。
制御部90は、図21に示すように、ステップS301の動作完了後、制御部90は、記憶部92に記憶されている相関データから、冷凍効率が最大となる熱スイッチ部30の切り替えタイミングを決定する(S302)。
上記第3実施形態に係る吸着式冷凍装置100によれば、制御部90は、開閉バルブ部110を開く場合は、熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍効率との相関データに基づいて、冷凍効率が最大となるように熱スイッチ部30の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する。このため、冷凍効率を最大にすることが可能となる。
以上のように複数の実施形態および変形例を通じて本発明に係る吸着式冷凍装置を説明したが、本発明に係る吸着式冷凍装置は説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
例えば、上記実施形態では、吸着式冷凍装置100を自動車の車内空気の温度調整のために用いる構成としたが、吸着式冷凍装置100の用途はこれに限定されず冷熱を必要とする様々な装置、機械に搭載することが可能である。
例えば、上記実施形態では、吸着式冷凍装置100が一対の吸着器20a、20bを備える場合を説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば2対の吸着器を備えていてもよいし、3対の吸着器を備えてもよい。
例えば、上記実施形態では、吸着式冷凍装置100の間に開閉バルブ部110および熱スイッチ部30の両方を設けた場合を説明したが、開閉バルブ部110だけを設ける構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、開閉バルブ部110は、取付部39によって熱スイッチ部30と一体化する場合を説明したが、開閉バルブ部110および熱スイッチ部30を別々に対をなす吸着器20a、20bの間の隙間Wに設けることも可能である。この場合は、例えば、開閉バルブ部が断熱構造を有する構成にすることが好ましい。
例えば、上記実施形態では、取付部39は、間隙形成部31を構成する第1板部31aおよび第2板部31bに形成され、間隙形成部31と取付部39が同一部材によって構成される場合を説明した。しかしこれに限定されず、取付部39が間隙形成部31と別部材によって構成されるようにすることも可能である。
例えば、上記実施形態では、取付部39に開閉バルブ部110の貫通穴111と連通する連通穴39bを設ける場合を説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば、熱スイッチ部30の機能を阻害しないように熱スイッチ部30に開閉バルブ部110の貫通穴111と連通する連通穴を設けてもよい。そして、取付部39は、開閉バルブ部110の本体部112のうち、取付け穴116が設けられている部分に対応する形状を備えるだけにしてもよい。このようにすることによって、熱スイッチ部30の面積を広く確保することが可能となる。
例えば、上記実施形態では、開閉バルブ部110を開いた後に、または開閉バルブ部110の開閉判断の後に熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替える場合を説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば熱スイッチ部30を熱伝達状態に切り替えた後に、開閉バルブ部110を開くことも可能である。
例えば、制御部90の動作フローは上記第1、第2、第3実施形態の動作フローに限定されない。例えば、熱媒体の吸着量・脱着量を確保したい場合は第1実施形態における動作フローを選択し、冷凍能力を確保したい場合は第2実施形態における動作フローが選択し、冷凍効率を向上させたい場合は第3実施形態における動作フローが選択されるようにしてもよい。
例えば、上記実施形態では、冷却部40の冷却能力および加熱部50の加熱能力をそれぞれの温調媒体の温度に基づいて評価し、開閉バルブ部110を開くか否かの判断を行う構成としたが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、冷却部40の冷却能力および加熱部50の加熱能力が吸着式冷凍装置100の周囲の温度の影響を受ける場合は、周囲の温度(自動車に適用する場合は外気温)に基づいて開閉バルブ部110を開くか否かの判断を行ってもよい。
10 蒸発器、
20a、20b 吸着器、
30 熱スイッチ部、
31 間隙形成部、
32 間隙、
38 液体駆動部、
39 取付部、
40 冷却部、
50 加熱部、
60 凝縮器、
70 気液分離部、
80 切り替え部、
90 制御部、
100 吸着式冷凍装置、
110 開閉バルブ部、
130 熱スイッチ部、
230 熱スイッチ部、
231 間隙形成部、
200 空気調和装置、
300 自動車の温調システム、
L、L2 液体、
G 重力方向、
W 隙間。

Claims (15)

  1. 熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填され、隙間を隔てて配置される対をなす吸着器と、
    前記隙間に配置され、対をなす前記吸着器の間の連通および遮断を切り替え可能な開閉バルブ部と、
    一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替え可能な切り替え部と、
    前記開閉バルブ部および前記切り替え部の動作を制御する制御部と、有し、
    前記制御部は、
    それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに、前記開閉バルブ部を開いて対をなす前記吸着器の間を連通させ、前記脱着モードが終了した前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器の前記吸着材に吸着している熱媒体を、前記吸着モードが終了した前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に移動させることが可能である吸着式冷凍装置。
  2. 前記吸着材を冷却可能な冷却部と、
    前記吸着材を加熱可能な加熱部と、をさらに有し、
    前記制御部は、前記冷却部の冷却能力および/または前記加熱部の加熱能力が不足すると判断した場合に、前記開閉バルブ部を開いてなる、請求項1に記載の吸着式冷凍装置。
  3. 対をなす前記吸着器の両方に接するように前記隙間に配置され、対をなす前記吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記熱スイッチ部の動作をさらに制御し、
    それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに、前記熱スイッチ部を断熱状態から熱伝達状態に切り替え、前記脱着モードが終了した前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器が有する熱を、前記吸着モードが終了した前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に伝達してなる、請求項1または2に記載の吸着式冷凍装置。
  4. 前記制御部は、前記開閉バルブ部を開く場合は、前記開閉バルブ部を開いた後に前記熱スイッチ部を熱伝達状態に切り替える請求項3に記載の吸着式冷凍装置。
  5. 前記制御部は、前記開閉バルブ部を開く場合は、前記熱スイッチ部の前記熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍能力との相関データに基づいて、冷凍能力が最大となるように前記熱スイッチ部の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する請求項3または4に記載の吸着式冷凍装置。
  6. 前記制御部は、前記開閉バルブ部を開く場合は、前記熱スイッチ部の熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍効率との相関データに基づいて、前記冷凍効率が最大となるように前記熱スイッチ部の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する請求項3または4に記載の吸着式冷凍装置。
  7. 前記熱スイッチ部の一部を切り欠いた部分に配置され、前記開閉バルブ部が取付けられる取付部をさらに有し、
    前記取付部は、対をなす前記吸着器の間を断熱する断熱構造を有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の吸着式冷凍装置。
  8. 前記熱スイッチ部は、対をなす前記吸着器の間の前記隙間において間隙を形成する間隙形成部と、前記間隙に出し入れされる液体と、前記液体を前記間隙に注入可能および重力を利用して排出可能な液体駆動部と、を有し、前記間隙に対する前記液体の出し入れを切り替えることによって熱伝達状態と断熱状態とを切り替え、
    前記取付部は、前記液体の排出方向の上流側から下流側に向かって伸びるように前記間隙形成部の一部を切り欠いた部分に配置される請求項7に記載の吸着式冷凍装置。
  9. 前記間隙形成部は、対をなす前記吸着器の間から一方の前記吸着器に向けて突出する突出部分を有し、
    前記開閉バルブ部が前記突出部分に接触するように配置され、前記突出部分および前記開閉バルブ部を介して、対をなす前記吸着器の間の熱伝達を可能にしてなる、請求項7または8に記載の吸着式冷凍装置。
  10. 熱媒体を吸着可能および吸着した前記熱媒体を脱着可能な吸着材が充填された対をなす吸着器を有する吸着式冷凍装置の制御方法であって、
    一方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材に前記熱媒体を吸着する吸着モードの間は、他方の前記吸着器における動作モードが前記吸着材から前記熱媒体を脱着する脱着モードとなるように、それぞれの前記吸着器における動作モードを前記吸着モードおよび前記脱着モードに交互に切り替え、
    対をなす前記吸着器の間の隙間に配置され対をなす前記吸着器の間の連通および遮断を切り替え可能な開閉バルブ部を、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに開いて対をなす前記吸着器の間を連通させ、前記脱着モードが終了した前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器の前記吸着材に吸着している熱媒体を、前記吸着モードが終了した前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に移動させることが可能である吸着式冷凍装置の制御方法。
  11. 前記吸着材を冷却可能な冷却部の冷却能力および/または前記吸着材を加熱可能な加熱部の加熱能力が不足すると判断した場合に、前記開閉バルブ部を開く請求項10に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
  12. 対をなす前記吸着器の両方に接するように前記隙間に配置され対をなす前記吸着器の間の熱伝達および断熱を切り替え可能な熱スイッチ部を、それぞれの前記吸着器における動作モードを切り替えるときに断熱状態から熱伝達状態に切り替え、前記脱着モードが終了した前記吸着モードに切り替える側の前記吸着器が有する熱を、前記吸着モードが終了した前記脱着モードに切り替える側の前記吸着器に伝達してなる、請求項10または11に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
  13. 前記開閉バルブ部を開く場合は、前記開閉バルブ部を開いた後に前記熱スイッチ部を熱伝達状態に切り替える、請求項12に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
  14. 前記開閉バルブ部を開く場合は、前記熱スイッチ部の前記熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍能力の相関データに基づいて、冷凍能力が最大となるように前記熱スイッチ部の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する請求項12または13に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
  15. 前記開閉バルブ部を開く場合は、前記熱スイッチ部の熱伝達状態への切り替えタイミングと冷凍効率の相関データに基づいて、前記冷凍効率が最大となるように前記熱スイッチ部の熱伝達状態への切り替えタイミングを決定する請求項12または13に記載の吸着式冷凍装置の制御方法。
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