(第1実施形態)
図1〜4により、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態の冷凍装置であるエンジン駆動式の定置型空調装置1の全体構成図である。この定置型空調装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置10と、吸着式冷凍機20とを備え、室内へ送風される室内送風空気を冷却する冷房運転および室内送風空気を加熱する暖房運転を切換可能に構成されている。
冷凍サイクル装置10は、圧縮機11、室外熱交換器12、減圧装置13、室内熱交換器14に加えて、冷凍サイクル用冷媒の冷媒流路を冷房運転用の冷媒流路と暖房運転用の冷媒流路とに切り換える電気式四方弁15等を有して構成されている。なお、図1において、冷凍サイクル装置10の冷媒流路の近傍に示す実線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示し、破線矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示している。
圧縮機11は、冷凍サイクル用冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、プーリおよびベルトを介して、内燃機関(エンジン)16から出力された回転駆動力によって駆動される。なお、本実施形態では、冷凍サイクル用冷媒として、通常のフロン系冷媒を採用しているが、もちろん、炭化水素系冷媒、二酸化炭素等を採用してもよい。
さらに、本実施形態では圧縮機11として、後述する空調制御装置50から出力される制御信号によって吐出容量を連続的に可変制御できる斜板式の可変容量型圧縮機を採用している。圧縮機11では、この空調制御装置50による吐出容量制御によって、その冷媒吐出能力を変化させることができる。もちろん、圧縮機11として、固定容量型圧縮機を採用して、エンジン16の回転数制御によって、冷媒吐出能力を変化させてもよい。
エンジン16は、灯油を燃料とするディーゼルエンジンであり、図示しない始動用スタータ、燃料噴射弁および燃料噴射弁駆動装置を有し、燃料噴射弁駆動装置によって燃料噴射弁の弁開度を変化させて燃料噴射量を制御することで、その回転数が制御される。なお、燃料噴射弁駆動装置は空調制御装置50の制御信号によって、その作動が制御される。
また、エンジン16は、作動時に発熱を伴うため、エンジン16には、エンジン16を冷却するためのエンジン冷却水を循環させるエンジン冷却水回路40が接続されている。このエンジン冷却水回路40には、エンジン冷却水を循環させるための電動式のエンジン冷却水ポンプ41、エンジン冷却水を大気と熱交換させて放熱させる図示しないラジエータ等が配置されている。
このエンジン冷却水ポンプ41は空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御される。また、エンジン冷却水としては、例えば、エチレングリコール水溶液を採用することができる。
さらに、エンジン冷却水回路40には、ラジエータに対して互いに並列的に接続された後述する吸着式冷凍機20の第1〜第3吸着コア24a〜24c等が接続されている。この第1〜第3吸着コア24a〜24cとエンジン冷却水回路40との接続関係の詳細については後述する。
冷凍サイクル装置10の圧縮機11の冷媒吐出側には、冷凍サイクル用冷媒中に混入された圧縮機潤滑用のオイルを分離するオイルセパレータ17の冷媒入口側が接続されている。オイルセパレータ17は、冷媒中のオイルを分離して図示しない減圧機構を介して圧縮機11の冷媒吸入口側へオイルを戻すものである。この減圧機構としては、キャピラリチューブ、オリフィス等の固定絞りを採用できる。
オイルセパレータ17の冷媒出口側には、冷房運転用の冷媒流路と暖房運転用の冷媒流路とを切り換える流路切換手段としての電気式四方弁15が接続されている。
電気式四方弁15は、圧縮機11の冷媒吐出口側と室外熱交換器12との間および室内熱交換器14とアキュムレータ19の冷媒入口側との間を同時に接続する冷房運転用の冷媒回路(図1の実線矢印で示す流路)と、圧縮機11の冷媒吐出口側と室内熱交換器14との間および室外熱交換器12とアキュムレータ19の冷媒入口側との間を同時に接続する暖房運転用の冷媒回路(図1の破線矢印で示す流路)とを切り換えるものである。なお、電気式四方弁15は、空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御される。
室外熱交換器12は、内部を通過する冷媒と送風機12aにより送風された室外空気とを熱交換させるものである。送風機12aは、軸流ファンを電動モータにより駆動する電動送風機である。この送風機12aは、空調制御装置50の制御電圧によって、回転数(送風量)が制御される。
室内熱交換器14は、内部を通過する冷媒と送風機14aにより送風される室内送風空気とを熱交換させるものである。送風機14aの基本的構成は、送風機12aと同様である。従って、送風機14aも、空調制御装置50の制御電圧によって、回転数(送風量)が制御される。
アキュムレータ19は、冷媒の気液を分離して余剰冷媒を貯える気液分離器であり、アキュムレータ19の気相冷媒出口は、圧縮機11の冷媒吸入側に接続されている。
また、図1の実線矢印で示すように、冷房運転時における室外熱交換器12の冷媒出口側には、後述する吸着式冷凍機20の吸着用蒸発器23が接続されている。この吸着用蒸発器23の詳細構成については後述する。さらに、冷房運転時における吸着用蒸発器23の冷媒出口側には、吸着用蒸発器23側から減圧装置13側へ冷凍サイクル用冷媒が流れることのみを許容する第1逆止弁18aを介して、減圧装置13が接続されている。
減圧装置13は、圧縮機11から吐出された高圧の冷凍サイクル用冷媒を、予め定めた圧力になるように減圧膨張させるもので、本実施形態では、キャピラリチューブ、オリフィス等の固定絞りを採用している。もちろん、電気式膨張弁、温度式膨張弁等の可変絞りを採用してもよい。
さらに、冷房運転時における室外熱交換器12の冷媒出口側と減圧装置13の冷媒入口側との間には、冷媒を室外熱交換器12に流通させることなく、吸着用蒸発器23と減圧装置13とを直接接続するバイパス回路18cが設けられている。このバイパス回路18cには、減圧装置13側から室外熱交換器12側へ冷凍サイクル用冷媒が流れることのみを許容する第2逆止弁18bが配置されている。
従って、上述した第1、第2逆止弁18a、18bの作用によって、図1の実線矢印で示すように冷凍サイクル用冷媒が流れる冷房運転時には、室外熱交換器12から流出した冷媒が、吸着用蒸発器23を介して、減圧装置13へ流入する。また、図1の破線矢印で示すように冷凍サイクル用冷媒が流れる暖房運転時には、減圧装置13から流出した冷媒が、バイパス回路18cを介して、室外熱交換器12へ流入する。
次に、吸着式冷凍機20について説明する。本実施形態の吸着式冷凍機20は、複数の吸着器(具体的には第1〜第3吸着器21a〜21cの3つの吸着器)、吸着用凝縮器22、吸着用蒸発器23等を有して構成されている。
第1吸着器21aは、その内部を略真空とした断熱容器内に第1吸着コア24aを収容(封入)して、第1吸着コア24aの周囲に吸着用冷媒を流通可能に構成したものである。第1吸着コア24aは、吸着材Sと吸着材Sを加熱する加熱用熱媒体あるいは吸着材Sを冷却する冷却用熱媒体とを熱交換させるもので、いわゆるフィンアンドチューブ型の熱交換器の表面に吸着材Sを接合して構成されている。
より具体的には、第1吸着コア24aは、上述の断熱容器の外部から加熱用熱媒体および冷却用熱媒体(以下、これらの熱媒体を総称する際には、単に、熱媒体と記載する。)を流入させる流入ポートに連通する流入側タンク、断熱容器の外部へ熱媒体を流出させる流出ポートに連通する流出側タンク、流入側タンクおよび流出側タンクの間に並列的に積層配置されて熱媒体を流通させる複数のチューブ、隣接配置されるチューブ間に配置されて熱交換を促進する伝熱フィンを有している。
そして、流入側タンク、流出側タンク、チューブおよび伝熱フィンの間に形成される隙間に、吸着材Sが充填されている。吸着材Sは、気相状態の吸着用冷媒を吸着するとともに、加熱されることによって吸着した吸着用冷媒を脱離するもので、本実施形態では、吸着材Sとして、酸化アルミニウム、リン酸およびシリカゲルからなるものを採用している。従って、吸着材Sの吸着等温線および脱離等温線は、図2に示すように変化する。
また、第2、第3吸着器21b、21cの基本的構成は、第1吸着器21aと同様である。従って、第2、第3吸着器21b、21cの断熱容器の内部には、それぞれ、第1吸着コア24aと同様の構成の第2、第3吸着コア24b、24cが収容(封入)されている。なお、本実施形態では、吸着用冷媒として水を採用している。
さらに、第1〜第3吸着コア24a〜24cには、前述したエンジン冷却水回路40と第1〜第3吸着コア24a〜24cに吸着材冷却水を供給するための吸着材冷却水回路30が接続されている。この吸着材冷却水回路30には、吸着材冷却水を循環させるための電動式の吸着材冷却水ポンプ31、吸着材冷却水を大気と熱交換させて放熱させる吸着材用放熱器34が配置されている。
ここで、第1〜第3吸着コア24a〜24cと吸着材冷却水回路30との接続関係、および、第1〜第3吸着コア24a〜24cとエンジン冷却水回路40との接続関係について説明する。なお、図1において、吸着材冷却水回路30の冷媒流路の近傍に示す太実線矢印は、吸着材冷却水の流れを示し、白抜き矢印は、エンジン冷却水の流れを示している。
まず、第1〜第3吸着器21a〜21cを、吸着材Sに吸着用冷媒を吸着させる吸着工程とする際には、図2の吸着等温線からも明らかなように、脱離工程の終了時点よりも関係湿度を増加させる必要がある。そのため、吸着材Sが吸着用冷媒を吸着する際の凝縮熱を放熱させなければならない。
そこで、本実施形態では、吸着材冷却水回路30を介して、吸着材用放熱器34にて大気と熱交換して冷却された吸着材冷却水を第1〜第3吸着コア24a〜24cに供給し、吸着材Sを冷却している。従って、本実施形態の吸着剤冷却水は冷却用熱媒体であり、吸着材冷却水ポンプ31は冷却用熱媒体供給手段を構成する。
さらに、第1〜第3吸着コア24a〜24cは、吸着材冷却水回路30において、吸着材用放熱器34に対して互いに並列的に接続されている。また、第1〜第3吸着コア24a〜24cの吸着材冷却水流れ上流側には、吸着材冷却水回路30を開閉する電磁弁である上流側開閉バルブ32a〜32cが配置され、吸着材冷却水流れ下流側には、吸着材冷却水回路30を開閉する電磁弁である下流側開閉バルブ33a〜33cが配置されている。
従って、上流側開閉バルブ32a〜32cおよび下流側開閉バルブ33a〜33cの開閉状態を変更することで、吸着材冷却水が供給される第1〜第3吸着コア24a〜24cを切り換えることができる。すなわち、吸着工程となる吸着器を切り換えることができる。
なお、吸着材冷却水ポンプ31、および、上流側開閉バルブ32a〜32cおよび下流側開閉バルブ33a〜33cは空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御される。また、吸着材冷却水として、エンジン冷却水と同じ冷却水(本実施形態では、エチレングリコール水溶液)を採用している。従って、第1〜第3吸着コア24a〜24cにおいて、吸着材冷却水とエンジン冷却水が混ざり合っても不具合は生じない。
次に、第1〜第3吸着器21a〜21cから吸着している吸着用冷媒を脱離させる脱離工程とする際には、図2の脱離等温線からも明らかなように、吸着工程の終了時点よりも関係湿度を低下させる必要がある。そのため、吸着材Sを加熱して吸着材Sが存在する雰囲気温度における吸着用冷媒の飽和蒸気圧を増加させなければならない。
そこで、本実施形態では、エンジン冷却水回路40を介して、エンジン16にて加熱されたエンジン冷却水を第1〜第3吸着コア24a〜24cに供給し、吸着材Sを加熱している。従って、本実施形態のエンジン冷却水は加熱用熱媒体であり、エンジン冷却水ポンプ41は加熱用熱媒体供給手段を構成する。
さらに、第1〜第3吸着コア24a〜24cは、エンジン冷却水回路40において、ラジエータに対して互いに並列的に接続されている。また、第1〜第3吸着コア24a〜24cのエンジン冷却水流れ上流側には、エンジン冷却水回路40を開閉する電磁弁である上流側開閉バルブ42a〜42cが配置され、エンジン冷却水流れ下流側には、エンジン冷却水回路40を開閉する電磁弁である下流側開閉バルブ43a〜43cが配置されている。
従って、上流側開閉バルブ42a〜42cおよび下流側開閉バルブ43a〜43cの開閉状態を変更することで、エンジン冷却水が供給される第1〜第3吸着コア24a〜24cを切り換えることができる。すなわち、脱離工程となる吸着器を切り換えることができる。なお、上流側開閉バルブ42a〜42cおよび下流側開閉バルブ43a〜43cは空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御される。
つまり、本実施形態では、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32a〜32cおよび下流側開閉バルブ33a〜33c、並びに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42a〜42cおよび下流側開閉バルブ43a〜43cによって、運転モード切換手段が構成され、空調制御装置50のうち、これらの開閉バルブ32a…43cを制御するソフトウェアおよびハードウェアによって、運転モード制御手段が構成される。
吸着用凝縮器22は、第1〜第3吸着コア24a〜24cの吸着材Sから脱離した気相状態の吸着用冷媒(以下、脱離冷媒という。)と室外空気とを熱交換させることによって、脱離冷媒を凝縮させる凝縮用熱交換器である。
さらに、第1〜第3吸着コア24a〜24cは、それぞれ第1〜第3吸着コア24a〜24c側から吸着用凝縮器22へ脱離冷媒が流れることのみを許容する逆止弁として機能する第1〜第3凝縮側水蒸気バルブ25a〜25cを介して、吸着用凝縮器22に接続されている。
吸着用蒸発器23は、液相状態の吸着用冷媒と冷凍サイクル用冷媒とを熱交換させることによって、吸着用冷媒を蒸発させて第1〜第3吸着コア24a〜24cの吸着材Sに吸着される気相状態の吸着用冷媒(以下、吸着冷媒という。)を発生させる蒸発用熱交換器である。
さらに、第1〜第3吸着コア24a〜24cは、それぞれ吸着用蒸発器23側から第1〜第3吸着コア24a〜24c側へ脱離冷媒が流れることのみを許容する逆止弁として機能する第1〜第3蒸発側水蒸気バルブ26a〜26cを介して、吸着用蒸発器23に接続されている。
また、吸着用凝縮器22および吸着用蒸発器23は、吸着用凝縮器22にて凝縮した吸着用冷媒を吸着用蒸発器23へ戻す冷媒戻し回路44によって接続されている。この冷媒戻し回路44には、冷媒戻し回路44を開閉する電磁弁である冷媒戻し用バルブ45が配置されている。
冷媒戻し用バルブ45は、空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御されており、空調制御装置50が冷媒戻し用バルブ45を所定時間間隔で開閉弁させることによって、吸着用凝縮器22にて凝縮した吸着用冷媒が吸着用蒸発器23へ戻されるようになっている。
次に、空調制御装置50について説明する。空調制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、上述した冷凍サイクル装置10および吸着式冷凍機20の各種構成機器の作動を制御する。
空調制御装置50の入力側には、空調制御用のセンサ群およびリモコン操作器51が接続され、センサ群の検出信号およびリモコン操作器51の操作信号が入力される。空調制御装置50はこれらの入力信号に基づく所定の演算処理を行って、出力側に接続される冷凍サイクル装置10および吸着式冷凍機20の各種構成機器へ制御信号を出力する。
センサ群としては、具体的に、室外空気温度を検出する外気温センサ52、空調対象空間である室内空気温度を検出する内気温センサ53、吸着用凝縮器22内の凝縮冷媒圧力Pcを検出する凝縮器圧力センサ54、吸着用蒸発器23内の蒸発冷媒圧力Peを検出する蒸発器圧力センサ55等が接続されている。
リモコン操作器51には、定置型空調装置1を作動させる作動スイッチ、冷房運転および暖房運転を切り換える運転切換スイッチ、室内の目標温度を設定する目標温度設定スイッチ等が設けられている。なお、図1では、図示の明確化のため、空調制御装置50と冷凍サイクル装置10および吸着式冷凍機20の各種構成機器との接続配線および空調制御装置50とセンサ群とを接続配線を省略している。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。まず、リモコン操作器51の作動スイッチが投入されると、空調制御装置50が、送風機12a、14aおよびエンジン冷却水ポンプ41を予め定めた所定回転数で作動させるとともに、圧縮機11の吐出容量およびエンジン16の回転数を制御する。
この圧縮機11の吐出容量およびエンジン16の回転数については、上述のセンサ群によって検出された検出値、および、リモコン操作器51の目標温度設定スイッチによって設定された室内の目標温度に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、冷凍サイクル装置10が要求される冷凍能力を発揮できるように決定される。
また、作動スイッチが投入された状態で、運転切換スイッチによって冷房運転が選択されている場合には、空調制御装置50が、吸着材冷却水ポンプ31を予め定めた所定回転数で作動させるとともに、冷凍サイクル装置10の冷媒流路を冷房運転用の冷媒流路に切り換えることによって、冷房運転が実行される。
具体的には、電気式四方弁15が、圧縮機11の冷媒吐出口側と室外熱交換器12との間および室内熱交換器14とアキュムレータ19の冷媒入口側との間を同時に接続するように切り換える。
これにより、冷凍サイクル用冷媒が、図2の実線矢印で示すように、圧縮機11→(オイルセパレータ17→電気式四方弁15→)室外熱交換器12→吸着用蒸発器23→(第1逆止弁18a→)減圧装置13→室内熱交換器14→(電気式四方弁15→アキュムレータ19→)圧縮機11の順に循環する周知の蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。従って、室内熱交換器14にて冷凍サイクル用冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、室内送風空気を冷却して冷房運転を実現することができる。
さらに、冷房運転では、空調制御装置50が、図3のフローチャートに示すように、吸着式冷凍機20の作動を制御する。なお、図3に示すフローチャートは、空調制御装置50が実行するメインルーチンのサブルーチンとして実行されるものである。
まず、ステップS1では、凝縮器圧力センサ54によって検出された吸着用凝縮器22内の凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPc以上になっているか否かを判定する。この第1基準圧力XPcは、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定するために設定された値である。
ここで、例えば、図2に示すように、吸着工程時および脱離工程時に関係湿度を、第1関係湿度Aから第2関係湿度Bの間で変化させた場合のように関係湿度が高い範囲の運転条件で吸着式冷凍機20を運転させると、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる。逆に、第2関係湿度Bから第3関係湿度Cの間で変化させた場合のように関係湿度が低い範囲の運転条件で吸着式冷凍機20を作動させると、吸着速度が脱離速度よりも遅くなる。
従って、脱離工程の終了時点の脱離冷媒の関係湿度が、第1基準圧力XPc以上になっている場合には、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件になっていると判定できる。逆に、脱離工程の終了時点の脱離冷媒の関係湿度が、第1基準圧力XPcより低くなっている場合には、吸着速度が脱離速度よりも遅くなる運転条件になっていると判定できる。
さらに、脱離工程となる吸着器では、断熱容器内の吸着用冷媒の圧力が上昇するので、凝縮側水蒸気バルブが開弁する。そのため、凝縮冷媒圧力Pcは、脱離冷媒の圧力に等しくなる。従って、凝縮冷媒圧力Pcを用いることで、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定することができる。
ステップS1にて、凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPc以上になっていると判定された場合には、ステップS2へ進み、吸着式冷凍機20に脱離優先運転を実行させることを決定して、メインルーチンへ戻る。
一方、ステップS1にて凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPcより低くなっている場合には、ステップS3へ進み、吸着式冷凍機20に吸着優先運転を実行させることを決定して、メインルーチンへ戻る。そして、メインルーチンでは、ステップS2、S3で決定されたように吸着式冷凍機20が運転される。
この脱離優先運転および吸着優先運転については、図4のタイムチャートを用いて説明する。なお、図4(a)は、脱離優先運転時における吸着工程あるいは脱離工程となる第1〜第3吸着器21a〜21cの変化、すなわち吸着式冷凍機20の運転モードの変化を示すタイムチャートであり、図4(b)は、吸着優先運転時における運転モードの変化を示すタイムチャートである。
まず、脱離優先運転では、図4(a)に示すように、空調制御装置50が、吸着式冷凍機20の運転モードを、予め定めた所定時間(本実施形態では、60秒)毎に、第1運転モード→第2運転モード→第3運転モードの順に切り換え、再び第1運転モードへ戻りこの順で切り換えることを繰り返す。
なお、この所定時間としては、吸着材Sが充分な量の吸着用冷媒を吸着できる時間あるいは吸着材Sが吸着した冷媒を充分に脱離できる時間を、吸着式冷凍機20に採用された吸着材Sの特性に応じて適宜設定することができる。
第1運転モードでは、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32aおよび下流側開閉バルブ33aを開弁させ、上流側開閉バルブ32b、32cおよび下流側開閉バルブ33b、33cを閉弁させる。さらに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42aおよび下流側開閉バルブ43aを閉弁させ、上流側開閉バルブ42b、42cおよび下流側開閉バルブ43b、43cを開弁させる。
これにより、第1吸着コア24aに吸着材冷却水が供給され、第2、第3吸着コア24b、24cにエンジン冷却水が供給されるので、第1吸着器21aを吸着工程とするとともに、第2、第3吸着器21b、21cを脱離工程とすることができる。
次の第2運転モードでは、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32bおよび下流側開閉バルブ33bを開弁させ、上流側開閉バルブ32a、32cおよび下流側開閉バルブ33a、33cを閉弁させる。さらに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42bおよび下流側開閉バルブ43bを閉弁させ、上流側開閉バルブ42a、42cおよび下流側開閉バルブ43a、43cを開弁させる。
これにより、第2吸着コア24bに吸着材冷却水が供給され、第1、第3吸着コア24a、24cにエンジン冷却水が供給されるので、第1吸着器21aを脱離工程に切り換え、第2吸着器21bを吸着工程に切り換え、第3吸着器21cを脱離工程に維持することができる。
次の第3運転モードでは、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32cおよび下流側開閉バルブ33cを開弁させ、上流側開閉バルブ32a、32bおよび下流側開閉バルブ33a、33bを閉弁させる。さらに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42cおよび下流側開閉バルブ43cを閉弁させ、上流側開閉バルブ42a、42bおよび下流側開閉バルブ43a、43bを開弁させる。
これにより、第3吸着コア24cに吸着材冷却水が供給され、第1、第2吸着コア24a、24bにエンジン冷却水が供給されるので、第1吸着器21aを脱離工程に維持し、第2吸着器21bを脱離工程に切り換え、第3吸着器21cを吸着工程に切り換えることができる。
そして、再び、第3運転モードから第1運転モードに切り換えると、第1吸着器21aを吸着工程に切り換え、第2吸着器21bを脱離工程に維持し、第3吸着器21cを脱離工程に切り換えることができる。
つまり、脱離優先運転では、いずれの運転モードに切り換えた際にも、第1〜第3吸着器21a〜21cのうち、吸着工程となる吸着器の数と脱離工程となる吸着器の数とを異ならせて、いずれか1つの吸着器を吸着工程とする。さらに、運転モードを切り換えた際に脱離工程が維持される吸着器を設けて、いずれの吸着器21a〜21cにおいても、吸着工程となっている時間よりも脱離工程となっている時間を長くしている。
次に、吸着優先運転では、図4(b)に示すように、脱離優先運転と同様に、空調制御装置50が、吸着式冷凍機20の運転モードを所定時間毎に、第4運転モード→第5運転モード→第6運転モードの順に切り換え、再び第4運転モードへ戻りこの順で切り換えることを繰り返す。
第4運転モードでは、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32a、32cおよび下流側開閉バルブ33a、33cを開弁させ、上流側開閉バルブ32bおよび下流側開閉バルブ33bを閉弁させる。さらに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42a、42cおよび下流側開閉バルブ43a、43cを閉弁させ、上流側開閉バルブ42bおよび下流側開閉バルブ43bを開弁させる。
これにより、第1、第3吸着コア24a、24cに吸着材冷却水が供給され、第2吸着コア24bにエンジン冷却水が供給されるので、第1、第3吸着器21a、21cを吸着工程とするとともに、第2吸着器21bを脱離工程とすることができる。
次の第5運転モードでは、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32b、32cおよび下流側開閉バルブ33b、33cを開弁させ、上流側開閉バルブ32aおよび下流側開閉バルブ33aを閉弁させる。さらに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42b、42cおよび下流側開閉バルブ43b、43cを閉弁させ、上流側開閉バルブ42aおよび下流側開閉バルブ43aを開弁させる。
これにより、第2、第3吸着コア24b、24cに吸着材冷却水が供給され、第1吸着コア24aにエンジン冷却水が供給されるので、第1吸着器21aを脱離工程に切り換え、第2吸着器21bを吸着工程に切り換え、第3吸着器21cを吸着工程に維持することができる。
次の第6運転モードでは、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32a、32bおよび下流側開閉バルブ33a、33bを開弁させ、上流側開閉バルブ32cおよび下流側開閉バルブ33cを閉弁させる。さらに、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42a、42bおよび下流側開閉バルブ43a、43bを閉弁させ、上流側開閉バルブ42cおよび下流側開閉バルブ43cを開弁させる。
これにより、第1、第2吸着コア24a、24bに吸着材冷却水が供給され、第3吸着コア24cにエンジン冷却水が供給されるので、第1吸着器21aを吸着工程に切り換え、第2吸着器21bを脱離工程に維持し、第3吸着器21cを脱離工程に切り換えることができる。
そして、再び、第6運転モードから第4運転モードに切り換えると、第1吸着器21aを吸着工程に維持し、第2吸着器21bを脱離工程に切り換え、第3吸着器21cを吸着工程に切り換えることができる。
つまり、吸着優先運転では、いずれの運転モードに切り換えた際にも、第1〜第3吸着器21a〜21cのうち、吸着工程となる吸着器の数と脱離工程となる吸着器の数とを異ならせて、いずれか1つの吸着器を脱離工程としている。さらに、運転モードを切り換えた際に吸着工程が維持される吸着器を設けて、いずれの吸着器21a〜21cにおいても、脱離工程となっている時間よりも吸着工程となっている時間を長くしている。
従って、本実施形態の吸着式冷凍機20では、第1〜第6運転モードのうち、いずれの運転モードに切り換えても、第1〜第3吸着器21a〜21cのうち、少なくとも1つが吸着工程となる。
そして、吸着工程となる吸着器では、吸着材Sが吸着材冷却水によって冷却されることによって断熱容器内の吸着用冷媒の圧力が低下するので、吸着工程となる吸着器の凝縮側水蒸気バルブが閉弁し、蒸発側水蒸気バルブが開弁する。さらに、断熱容器内の吸着用冷媒の圧力が低下することによって、吸着材S周辺の関係湿度が低下するので、吸着材Sが吸着用蒸発器23内の吸着冷媒を吸着する。
これにより、吸着用蒸発器23内の吸着用冷媒が蒸発する。この際、脱離工程となる吸着器では、吸着材Sがエンジン冷却水によって加熱されることで断熱容器内の吸着用冷媒の圧力が上昇するので、脱離工程となる吸着器の凝縮側水蒸気バルブが開弁し、蒸発側水蒸気バルブが閉弁する。そのため、脱離冷媒が吸着用蒸発器23側へ流入することも、吸着冷媒が吸着用凝縮器22側へ流入することもない。
従って、吸着工程となる吸着器が順次切り換えられることによって、吸着工程となる吸着器の吸着材Sが、吸着用蒸発器23内の液相冷媒を連続的に蒸発させることができる。そして、吸着用蒸発器23内の液相冷媒が蒸発する際に、吸着用蒸発器23を通過する冷凍サイクル用冷媒から連続的にその蒸発潜熱を奪うことで、冷凍サイクル用冷媒を連続的に冷却することができる。
一方、作動スイッチが投入された状態で、運転切換スイッチによって暖房運転が選択されている場合には、空調制御装置50が、冷凍サイクル装置10の冷媒流路を暖房運転用の冷媒流路に切り換えることによって、暖房運転が実行される。具体的には、電気式四方弁15が、圧縮機11の冷媒吐出口側と室内熱交換器14との間および室外熱交換器12とアキュムレータ19の冷媒入口側との間を同時に接続するように切り換える。
これにより、冷凍サイクル用冷媒が、圧縮機11→(オイルセパレータ17→電気式四方弁15→)室内熱交換器14→減圧装置13→(第2逆止弁18b→)室外熱交換器12→(電気式四方弁15→アキュムレータ19→)圧縮機11の順に循環する周知の蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。従って、室内熱交換器14にて圧縮機11から吐出された冷凍サイクル用冷媒を放熱させて、室内送風空気を加熱して暖房運転を実現することができる。
なお、暖房運転時には、第1逆止弁18aの作用によって、吸着用蒸発器23には冷凍サイクル用冷媒が流れない。従って、吸着式冷凍機20に冷凍能力を発揮させる必要はない。
そこで、本実施形態の暖房運転では、空調制御装置50が、吸着材冷却水回路30の上流側開閉バルブ32a〜32cおよび下流側開閉バルブ33a〜33cを閉弁し、エンジン冷却水回路40の上流側開閉バルブ42a〜42cおよび下流側開閉バルブ43a〜43cを開弁させる。
これにより、暖房運転時には、第1〜第3吸着コア24a〜24cにエンジン冷却水を供給して脱離工程とすることができる。従って、次に冷房運転に切り換えた際に、吸着工程となる吸着器の吸着剤Sに充分に吸着用冷媒を吸着させることができる。
本実施形態の定置型空調装置1は、以上の如く作動するので、冷房運転時には、冷凍サイクル装置10の室内熱交換器14にて室内送風空気を冷却して、室内の冷房を行うことができる。この際、吸着工程となる吸着器を順次切り換えて吸着式冷凍機20に連続的に冷凍能力を発揮させるとともに、エンジン16のエンジン冷却水を熱源として脱離工程となる吸着器の吸着材Sから吸着用冷媒を脱離させている。
従って、エンジン廃熱を有効に利用しながら吸着式冷凍機20が発揮する冷凍能力によって圧縮機11から吐出された冷凍サイクル用冷媒を冷却することができる。その結果、蒸発器として作用する室内熱交換器14へ流入する冷媒のエンタルピを低下させて、定置型空調装置1の冷房能力を向上させることができる。また、暖房運転時には、室内熱交換器14にて室内送風空気を加熱して、室内の暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の定置型空調装置1では、吸着式冷凍機20の運転モードを順次切り換えることによって、第1〜第3吸着器21a〜21cが吸着工程となっている時間と脱離工程となっている時間とを異ならせることができる。しかも、吸着工程となっている時間と脱離工程となっている時間は、各吸着器21a〜21cにおいて等しい時間とすることができる。従って、吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材が採用されていても、吸着冷媒の量と脱離冷媒の量とを同等の量とすることができる。
これにより、脱離工程時に吸着材Sから吸着用冷媒を充分に脱離できなかった吸着器を吸着工程に切り換えてしまうことや、吸着工程の吸着器を、吸着材Sに充分に吸着用冷媒を吸着させる前に脱離工程に切り換えてしまうことを回避して、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を発揮させることができる。
その結果、吸着式冷凍機20に吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材Sが採用されていても、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を連続的に発揮させることができる。延いては、定置型空調装置1全体としての冷房能力を連続的に向上させることができる。
より詳細には、本実施形態では、図3のステップS1において、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件になっていると判定された際には、脱離優先運転を行うので、いずれの吸着器21a〜21cにおいても、吸着工程となっている時間よりも脱離工程となっている時間を長くすることができる。
従って、いずれの吸着器21a〜21cにおいても、脱離工程時に吸着材Sから充分に吸着用冷媒を脱離させることができ、脱離工程時に吸着材Sから吸着用冷媒を充分に脱離できなかった吸着器を吸着工程に切り換えてしまうことを確実に回避できる。
一方、ステップS1にて、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件でないと判定された際には、吸着優先運転を行うので、いずれの吸着器21a〜21cにおいても、脱離工程となっている時間よりも吸着工程となっている時間を長くすることができる。
従って、いずれの吸着器21a〜21cにおいても、吸着工程時に吸着材Sに充分に吸着用冷媒を吸着させることができ、吸着工程の吸着器を、吸着材Sに充分に吸着用冷媒を吸着させる前に脱離工程に切り換えてしまうことを確実に回避できる。
また、本実施形態のように、吸着材Sとして吸着等温線および脱離等温線のヒステリシスが大きい吸着材が採用された吸着式冷凍機20では、吸着器が吸着工程となっている時間と脱離工程となっている時間とを変化させて、吸着冷媒の量と脱離冷媒の量とを同等の量にできることは、吸着式冷凍機20が充分な冷凍能力を連続的に発揮するために極めて有効である。
(第2実施形態)
第1実施形態では、空調制御装置50が実行するサブルーチンのステップS1にて、凝縮冷媒圧力Pcを用いて、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定しているが、本実施形態では、図5のフローチャートに示すように、蒸発器圧力センサ55によって検出された吸着用蒸発器23内の蒸発冷媒圧力Peを用いて同様の判定を行っている。
具体的には、本実施形態のステップS1では、蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPe以上になっているか否かを判定する。この第2基準圧力XPeは、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定するために設定された値である。
前述の如く、吸着式冷凍機20では、運転条件(運転される関係湿度の範囲)によって吸着速度および脱離速度の関係が変化する。従って、吸着工程の開始時点の吸着冷媒の関係湿度が、第2基準圧力XPe以上になっている場合には、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件になっていると判定できる。逆に、吸着工程の開始時点の吸着冷媒の関係湿度が、第2基準圧力XPeより低くなっている場合には、吸着速度が脱離速度よりも遅くなる運転条件になっていると判定できる。
さらに、吸着工程となる吸着器では、断熱容器内の吸着用冷媒の圧力が低下するので、蒸発側水蒸気バルブが開弁する。そのため、蒸発冷媒圧力Peは、吸着冷媒の圧力に等しくなる。従って、蒸発冷媒圧力Peを用いることで、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定することができる。
ステップS1にて、蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPe以上になっていると判定された場合には、ステップS2へ進み、吸着式冷凍機20に脱離優先運転を実行させることを決定して、メインルーチンへ戻る。
一方、ステップS1にて蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPeより低くなっている場合には、ステップS3へ進み、吸着式冷凍機20に吸着優先運転を実行させることを決定して、メインルーチンへ戻る。そして、メインルーチンでは、ステップS2、S3で決定されたように吸着式冷凍機20が運転される。
その他の定置型空調装置1の構成および作動については、第1実施形態と全く同様である。従って、本実施形態の定置型空調装置1を作動させると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、吸着式冷凍機20に吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材Sが採用されていても、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を連続的に発揮させて、定置型空調装置1の冷房能力を確実に向上させることができる。
(第3実施形態)
上述の実施形態では、吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40に配置された開閉バルブ32a…43cによって、運転モード切換手段を構成した例を説明したが、本実施形態では、図6に示すように、これらの開閉バルブ32a…43cを廃止して、吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40に第1〜第6電気式四方弁61a〜61fを配置して、運転モード切換手段を構成した例を説明する。
なお、図6は、本実施形態の定置型空調装置1の全体構成図であり、本実施形態における第1運転モードにおける吸着材冷却水およびエンジン冷却水の流れを示している。また、図6では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
第1〜第6電気式四方弁61a〜61fは、吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40のうち2つの流路を同時に切り換えるもので、具体的には、図6に実線で示す回路と破線で示す回路とを切り換える。また、第1〜第6電気式四方弁61a〜61fは、それぞれ空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御される。
例えば、空調制御装置50が、第1〜第6電気式四方弁61a〜61fを図6の実線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第1吸着コア24aに供給されて、第1吸着器21aが吸着工程となる。また、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第2、第3吸着コア24b、24cに供給されて、第2、第3吸着器21b、21cが脱離工程となる。すなわち、第1運転モードが実現される。
次に、第1運転モードの状態から、空調制御装置50が、第1、第5電気式四方弁61a、61eを図6の破線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第2吸着コア24bに供給されるとともに、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第1、第3吸着コア24a、24cに供給されて、第1吸着器21aを脱離工程に切り換え、第2吸着器21bを吸着工程に切り換え、第3吸着器21cを脱離工程に維持することができる。すなわち、第2運転モードが実現される。
次に、第2運転モードの状態から、空調制御装置50が、第2、第6電気式四方弁61b、61fを図6の破線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第3吸着コア24cに供給されるとともに、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第1、第2吸着コア24a、24bに供給されて、第1吸着器21aを脱離工程に維持し、第2吸着器21bを脱離工程に切り換え、第3吸着器21cを吸着工程に切り換えることができる。すなわち、第3運転モードが実現される。
また、空調制御装置50が、第1運転モードに対して、第1、第3、第4、第5電気式四方弁61a、61c、61d、61eを図6の破線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第1、第3吸着コア24a、24cに供給されて、第1、第3吸着器21a、21cが吸着工程となる。また、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第2吸着コア24bに供給されて、第2吸着器21bが脱離工程となる。すなわち、第4運転モードが実現される。
次に、第4運転モードの状態から、空調制御装置50が、第1、第5電気式四方弁61a、61eを図6の実線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第2吸着コア24b、24cに供給されるとともに、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第1吸着コア24aに供給されて、第1吸着器21aを脱離工程に切り換え、第2吸着器21bを吸着工程に切り換え、第3吸着器21cを脱離工程に維持することができる。すなわち、第5運転モードが実現される。
次に、第5運転モードの状態から、空調制御装置50が、第2、第6電気式四方弁61b、61fを図6の破線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第1、第2吸着コア24a、24bに供給されるとともに、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第3吸着コア24cに供給されて、第1吸着器21aを吸着工程に切り換え、第2吸着器21bを脱離工程に維持し、第3吸着器21cを脱離工程に切り換えることができる。すなわち、第6運転モードが実現される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の定置型空調装置1においても、冷房運転時に、吸着式冷凍機20が第1実施形態と全く同様に第1〜第6運転モードを切り換えることによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、電気式四方弁61a〜61fのみによって運転モード切換手段を構成した例を説明したが、運転モード切換手段の構成はこれに限定されない。つまり、開閉バルブ、電気式三方弁、電気式四方弁等の流路切換手段を組み合わせることによって、第1〜第6運転モードを実現可能に運転モード切換手段を構成してもよい。
(第4実施形態)
本実施形態では、図7の全体構成図に示すように、第1実施形態に対して、第3吸着器21cが廃止された、2つの第1、第2吸着器21a、21bを有する吸着式冷凍機20を適用した例を説明する。この例では、第1実施形態と同様に、吸着式冷凍機20の吸着剤Sとして、吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材が採用されていても、吸着冷媒の量と脱離冷媒の量とを同等の量とする例を説明する。
本実施形態の吸着式冷凍機20では、第1実施形態に対して、第3吸着器21cが廃止されているので、第3吸着器21cに接続される第3凝縮側水蒸気バルブ25cおよび第3蒸発側水蒸気バルブ26cも廃止されている。さらに、第1実施形態に対して、第1、第2吸着器21a、21bと吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40との接続関係、並びに、運転モード切換手段の構成が異なる。
具体的には、本実施形態では、吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40に第7、第8電気式四方弁61g、61hを配置して、運転モード切換手段を構成している。第7、第8電気式四方弁61g、61hは、吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40を同時に切り換えるものである。なお、第7、第8電気式四方弁61g、61hは、それぞれ空調制御装置50の制御電圧によって、その作動が制御される。
そして、空調制御装置50が、第7、第8電気式四方弁61g、61hを図7の実線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第1吸着コア24aに供給されて、第1吸着器21aが吸着工程となる。また、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第2吸着コア24bに供給されて、第2吸着器21bが脱離工程となる。本実施形態では、この運転モードを第7運転モードという。
さらに、空調制御装置50が、第7、第8電気式四方弁61g、61hを図7の破線の状態に切り換えると、吸着材用放熱器34から流出した吸着材冷却水が第2吸着コア24bに供給されて、第2吸着器21bが吸着工程となる。また、エンジン16から流出したエンジン冷却水が第1吸着コア24aに供給されて、第1吸着器21aが脱離工程となる。本実施形態では、この運転モードを第8運転モードという。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。まず、リモコン操作器51の作動スイッチが投入されると、空調制御装置50が、第1実施形態と同様に、送風機12a、14aおよびエンジン冷却水ポンプ41を予め定めた所定回転数で作動させるとともに、圧縮機11の吐出容量およびエンジン16の回転数を制御する。
また、作動スイッチが投入された状態で、運転切換スイッチによって冷房運転が選択されている場合には、空調制御装置50が、吸着材冷却水ポンプ31を予め定めた所定回転数で作動させるとともに、冷凍サイクル装置10の冷媒流路を、第1実施形態と同様に、冷房運転用の冷媒流路に切り換えることによって、冷房運転が実行される。
さらに、冷房運転では、空調制御装置50が、図8のフローチャートに示すように、吸着式冷凍機20の作動を制御する。なお、図8に示すフローチャートは、空調制御装置50が実行するメインルーチンのサブルーチンとして実行されるものである。
まず、ステップS1では、吸着用凝縮器22内の凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPc以上になっているか否かを判定する。この第1基準圧力XPcは、第1実施形態と同様に、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定するために設定された値である。
ステップS1にて、凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPc以上になっていると判定された場合には、ステップS2へ進み、加熱用熱媒体供給手段であるエンジン冷却水ポンプ41の回転数、すなわち第1、第2吸着コア24a、24bに対する加熱用熱媒体供給能力を上昇させて、メインルーチンへ戻る。
ここで、凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPc以上になっていると判定された場合は、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件になっている。従って、エンジン冷却水ポンプ41を所定回転数のまま維持していると、脱離工程となっている吸着器内の吸着材S周辺温度を速やかに上昇させることができず、吸着材Sから充分に吸着用冷媒を脱離させることができない。
そこで、本実施形態のステップS2では、予め定めた所定時間(本実施形態では、60秒)に吸着工程となる吸着器にて吸着される吸着冷媒の量と、所定時間に脱離工程となる吸着器にて脱離された脱離冷媒の量が同等となるように、エンジン冷却水ポンプ41の回転数(加熱用熱媒体供給能力)を増加させている。
より具体的には、蒸発器圧力センサ55によって検出された蒸発冷媒圧力Peから求められる吸着冷媒の関係湿度に基づいて吸着冷媒の量を算定し、この吸着冷媒の量と脱離冷媒の量が同等となる脱離冷媒の目標関係湿度を決定する。そして、凝縮器圧力センサ54によって検出された凝縮冷媒圧力Pcによって求められる脱離冷媒の関係湿度が目標関係湿度となるまで、エンジン冷却水ポンプ41の回転数を増加させる。
従って、脱離冷媒の関係湿度が吸着冷媒の関係湿度よりも低くなるように、エンジン冷却水ポンプ41の回転数を増加させる。一方、ステップS1にて、凝縮冷媒圧力Pcが第1基準圧力XPc以上になっていないと判定された場合には、エンジン冷却水ポンプ41の回転数を変化させることなく、メインルーチンへ戻る。
そして、メインルーチンでは、前述の第7、第8運転モードを予め定めた所定時間(本実施形態では、60秒)毎に切り換えることを繰り返す。これにより、吸着式冷凍機20では、第7運転モード時には第1吸着器21aを吸着工程として、第8運転モード時には第2吸着器21bを吸着工程とすることができる。従って、第1実施形態と同様に、冷凍サイクル用冷媒を連続的に冷却することができる。
一方、作動スイッチが投入された状態で、運転切換スイッチによって暖房運転が選択されている場合には、空調制御装置50が、第1実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10の冷媒流路を暖房運転用の冷媒流路に切り換えることによって、暖房運転が実行される。
なお、暖房運転時には、第1逆止弁18aの作用によって、吸着用蒸発器23には冷凍サイクル用冷媒が流れない。従って、吸着式冷凍機20に冷凍能力を発揮させる必要はない。そこで、本実施形態の暖房運転では、空調制御装置50が、吸着材冷却水ポンプ31の作動を停止させる。
本実施形態の定置型空調装置1は、以上の如く作動するので、冷房運転時には、第1実施形態と同様に、エンジン廃熱を有効に利用しながら吸着式冷凍機20に連続的に冷凍能力を発揮させ、定置型空調装置1の冷房能力を向上させることができる。また、暖房運転時には、室内熱交換器14にて室内送風空気を加熱して、室内の暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の定置型空調装置1では、冷房運転時に、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件となる場合に、エンジン冷却水ポンプ41の回転数を増加させている。従って、吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材が採用されていても、吸着冷媒の量と脱離冷媒の量とを同等の量とすることができる。
これにより、脱離工程時に吸着材Sから吸着用冷媒を充分に脱離できなかった吸着器を吸着工程に切り換えてしまうことを回避して、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を発揮させることができる。その結果、吸着式冷凍機20に吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材Sが採用されていても、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を連続的に発揮させて、定置型空調装置1全体としての冷房能力を連続的に向上させることができる。
(第5実施形態)
第4実施形態では、空調制御装置50が実行するサブルーチンのステップS1にて、凝縮冷媒圧力Pcを用いて、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定しているが、本実施形態では、図9のフローチャートに示すように、蒸発冷媒圧力Peを用いて同様の判定を行っている。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
具体的には、本実施形態のステップS1では、吸着用蒸発器23内の蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPe以下になっているか否かを判定する。この第2基準圧力XPeは、第2実施形態と同様に、吸着式冷凍機20の運転条件が、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件であるか否かを判定するために設定された値である。
ステップS1にて、蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPe以下になっていると判定された場合には、ステップS2へ進み、冷却用熱媒体供給手段である吸着材冷却水ポンプ31の回転数、すなわち第1、第2吸着コア24a、24bに対する冷却用熱媒体供給能力を上昇させて、メインルーチンへ戻る。
ここで、蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPe以下になっていると判定された場合は、吸着式冷凍機20の運転条件が、吸着速度が脱離速度よりも遅くなる運転条件になっている。従って、吸着材冷却水ポンプ31を所定回転数のまま維持していると、吸着工程となっている吸着器内の吸着材S周辺温度を速やかに低下させることができず、吸着材Sに充分に吸着用冷媒を吸着させることができない。
そこで、本実施形態のステップS2では、所定時間に吸着工程となる吸着器にて吸着される吸着冷媒の量と、所定時間に脱離工程となる吸着器にて脱離された脱離冷媒の量が同等となるように、吸着材冷却水ポンプ31の回転数(冷却用熱媒体供給能力)を上昇させている。
より具体的には、凝縮器圧力センサ54によって検出された凝縮冷媒圧力Pcによって求められる脱離冷媒の関係湿度に基づいて脱離冷媒の量を算定し、この脱離冷媒の量と吸着冷媒の量が同等となる吸着冷媒の目標関係湿度を決定する。そして、蒸発器圧力センサ55によって検出された蒸発冷媒圧力Peから求められる吸着冷媒の関係湿度が目標関係湿度となるまで、吸着材冷却水ポンプ31の回転数を増加させる。
従って、吸着冷媒の関係湿度が脱離冷媒の関係湿度よりも高くなるように、吸着材冷却水ポンプ31の回転数を増加させる。一方、ステップS1にて、蒸発冷媒圧力Peが第2基準圧力XPe以下になっていないと判定された場合には、吸着材冷却水ポンプ31の回転数を変化させることなく、メインルーチンへ戻る。その他の制御は第4実施形態と同様である。
本実施形態の定置型空調装置1は、以上の如く作動するので、第5実施形態と全く同様に、冷房運転時には、定置型空調装置1の冷房能力を向上させることができ、暖房運転時には、室内の暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の定置型空調装置1では、冷房運転時に、吸着式冷凍機20の運転条件が、吸着速度が脱離速度よりも遅くなる運転条件において、吸着材冷却水ポンプ31の回転数を増加させている。従って、吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材が採用されていても、吸着冷媒の量と脱離冷媒の量とを同等の量とすることができる。
これにより、吸着工程の吸着器を、吸着材Sに充分に吸着用冷媒を吸着させる前に脱離工程に切り換えてしまうことを回避して、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を発揮させることができる。その結果、吸着式冷凍機20に吸着速度と脱離速度が一致していない吸着材Sが採用されていても、吸着式冷凍機20に充分な冷凍能力を連続的に発揮させて、定置型空調装置1全体としての冷房能力を連続的に向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、吸着材Sとして、酸化アルミニウム、リン酸およびシリカゲルからなるものを採用した例を説明したが、吸着材Sはこれに限定されず、あらゆる吸着材を採用できる。さらに、酸化アルミニウム、リン酸および酸化鉄からなるもの、合成ゼオライト等のように、吸着等温線および脱離等温線のヒステリシスが大きい吸着材を採用してもよい。
(2)上述の第1〜第3実施形態では、第1〜第3吸着器21a〜21cの3つの吸着器を採用した吸着式冷凍機20について説明したが、吸着器の数はこれに限定されない。吸着器を3つ以上設け、運転モードを切り換えた際に、吸着工程あるいは脱離工程が維持される吸着器が設け、この吸着工程あるいは脱離工程が維持される吸着器を順次切り換えることによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述の第4、第5実施形態では、第1、第2吸着器21a、21bの2つの吸着器を採用した吸着式冷凍機20について説明したが、吸着器の数はこれに限定されない。吸着器を複数台設け、吸着工程となる吸着器と脱離工程となる吸着器とを順次切り換えてもよい。この場合は、吸着器を偶数個設け、吸着工程となる吸着器の数と脱離工程となる吸着器の数を同数としてもよい。
(3)上述の第1、第4実施形態では、凝縮器圧力センサ54によって検出された凝縮冷媒圧力Pcを用いて、脱離速度が吸着速度よりも遅くなる運転条件になっているか否かを判定しているが、この判定に用いることができる検出値は凝縮冷媒圧力Pcに限定されない。例えば、脱離工程となっている吸着器の密閉容器内の圧力、脱離工程となっている吸着器の密閉容器内の圧力に相関を有する物理量を採用できるだけでなく、吸着用凝縮器22の内部温度や表面温度、および、外気温等を採用してもよい。
上述の第2、第5実施形態では、蒸発器圧力センサ55によって検出された蒸発冷媒圧力Peを用いて、吸着速度が脱離速度よりも遅くなる運転条件になっているか否かを判定しているが、この判定に用いることができる検出値は蒸発冷媒圧力Peに限定されない。例えば、吸着工程となっている吸着器の密閉容器内の圧力、および、吸着工程となっている吸着器の密閉容器内の圧力に相関を有する物理量を採用できるだけでなく、吸着用蒸発器23の内部温度や表面温度を採用してもよい。
(4)上述の実施形態では、第1〜第3吸着器21a〜21cの第1〜第3吸着コア24a〜24cを、吸着材冷却水回路30およびエンジン冷却水回路40において、互いに並列的に接続した例を説明したが、第1〜第3吸着器21a〜21cの第1〜第3吸着コア24a〜24cの接続はこれに限定されない。例えば、同じ工程(吸着工程あるいは脱離工程)となる吸着器については、同じ工程となる吸着器の吸着コアが直列的に接続されるようにしてもよい。
(5)上述の実施形態では、灯油を燃料とするディーゼルエンジンを採用した例を説明したが、エンジン16の形式はこれに限定されない。例えば、ガソリン、天然ガスやプロパンガス、軽油、水素等を燃料とする他の形式のエンジンを採用してもよい。さらに、脱離工程となっている吸着器の吸着材Sを加熱する熱源として、燃料電池システムの廃熱、太陽熱他の自然エネルギを利用してもよい。
(6)上述の実施形態では、本発明の吸着式冷凍機20を定置型空調装置1に適用した例を説明したが、吸着式冷凍機20を車両用空調装置や給湯装置等のシステムに適用してもよい。