JP4069691B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般的な車両用空調装置では、走行用エンジンから動力を得て稼動する圧縮機を有する蒸気圧縮式冷凍機にて冷房能力を得ている。
【0003】
このため、蒸気圧縮式冷凍機を稼動させた状態で、信号待ち等により車両を停止させたときには、走行用エンジンの回転数をアイドリング回転数より上昇させる等のエンジン制御を行うことにより、圧縮機を駆動させるに必要なトルク及び所望の冷房能力を得るに必要な圧縮機の回転数を確保している。
【0004】
しかし、車両停止時にエンジンに供給する燃料を通常のアイドリング運転時より増大させるので、車両の燃料消費率(燃費)が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な車両用空調装置を提供し、第2には、車両燃費を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、
走行用の駆動源(1)から動力を得て稼動する蒸気圧縮式冷凍機(7)と、媒体の蒸発作用により冷凍能力を発揮し、かつ、その蒸発した媒体を吸着するとともに、加熱されることにより吸着していた媒体を脱離する吸収体(5)を有する吸着式冷凍機(10)とを備え、蒸気圧縮式冷凍機(7)の低圧側熱交換器(7d、7f)を少なくとも2台設け、吸着式冷凍機(10)にて、2台の低圧側熱交換器(7d、7f)を繋ぐ冷媒通路を流れる低圧側冷媒を冷却する低圧冷却モードを有することを特徴とする。
【0007】
これにより、駆動源(1)の回転数を上昇させることなく、冷房能力を増大させることができるので、車両燃費を向上させることができるとともに、従来と異なる新規な車両用空調装置を得ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、2台の低圧側熱交換器(7d、7f)と媒体を蒸発させる蒸発器(8)とが一体化されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明では、吸着式冷凍機(10)にて冷却された流体と2台の低圧側熱交換器(7d、7f)を繋ぐ冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換する熱交換器(8a)と2台の低圧側熱交換器(7d、7f)とが一体化されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明では、低圧冷却モード時には、蒸気圧縮式冷凍機(7)の高圧側冷媒にて吸収体(5)を冷却することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明では、車両走行時に車両で発生する廃熱により吸収体(5)を加熱する蓄冷モードを有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載の発明では、走行用の駆動源(1)から動力を得て稼動する蒸気圧縮式冷凍機(7)と、媒体の蒸発作用により冷凍能力を発揮し、かつ、雰囲気の相対湿度に応じて蒸発した媒体を吸着又は脱離する吸収体(5)を有する吸着式冷凍機(10)とを備え、吸着式冷凍機(10)にて蒸気圧縮式冷凍機(7)の高圧側冷媒を冷却する高圧冷媒冷却モードを有し、高圧冷媒冷却モードは、吸着式冷凍機(10)に蓄えられた冷熱を放冷する放冷モードであり、吸収体(5)の温度を略一定に保持することによって、蒸気圧縮式冷凍機(7)の熱負荷に応じて自動的に、放冷モードと前記吸着式冷凍機(10)に冷熱を蓄冷する蓄冷モードとを切り換えることを特徴とする。
【0013】
これにより、高圧側の冷媒圧力を低下させることができるとともに、低圧側熱交換(7d)の入口冷媒のエンタルピ及び乾き度を下げることができるので、冷房能力を向上させることができる。
【0014】
したがって、高圧側冷媒圧力が低下するので、蒸気圧縮式冷凍機(7)の消費動力、駆動源(1)の負荷が低下し、蒸気圧縮式冷凍機(7)にて必要とする動力を削減することができるので、車両燃費を向上させることができるとともに、従来と異なる新規な車両用空調装置を得ることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明では、吸収体(5)の温度を略一定に保持することを特徴とする。
【0016】
さらに、後述するように、蒸気圧縮式冷凍機(7)の熱負荷に応じて自動的に冷熱を蓄える蓄冷モードと蓄えた冷熱を放冷する放冷モードとを切り換えることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、蓄冷モードでは、車両走行時に車両で発生する廃熱により吸収体(5)を加熱することを特徴とするものである。
【0018】
請求項8に記載の発明では、吸収体(5)を冷却又は加熱する流体の流れを開閉弁(6d)及びポンプ(6c)にて制御することを特徴とするものである。
【0019】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、内燃機関を搭載した車両に本発明を適用したものであって、図1は本実施形態に係る車両用蓄熱システムの模式図である。
【0021】
エンジン1は走行用駆動源をなす内燃機関であり、ラジエータ2aはエンジン1内を循環した冷却水と空気とを熱交換して冷却水を冷却する放冷器であり、ポンプ3はエンジン1から動力を得て冷却水を循環させるポンプ手段である。
【0022】
因みに、図1では、エンジン1から流出してラジエータ2a側に流れる冷却水をラジエータ2aを迂回させてエンジン1に戻すバイパス回路及びバイパス回路に流す冷却水量を調節するサーモスタット等の流量調節弁は省略されている。
【0023】
また、吸着コア4は吸収体5が表面接着された熱交換器である。ここで、吸収体5は、吸収体5が収納された雰囲気の相対湿度が高くなるほど、吸着可能な媒体量が増大するとともに、蒸発した媒体を吸着する際に発熱する反応材であり、本実施形態では、媒体として水を採用し、吸収体5としてシリカゲルやゼオライト等の吸水材を採用している。
【0024】
このため、吸収体5を加熱すると、吸収体5の表面近傍における相対湿度、つまり関係湿度が低下して吸着可能な媒体量が減少するので、その加熱温度に対応する関係湿度にて吸着可能な媒体量となるまで吸着していた媒体を脱離放出し、一方、吸収体5を冷却すると、関係湿度が増大して吸着可能な媒体量が増大するので、その加熱温度に対応する関係湿度にて吸着可能な媒体量となるまで媒体を吸着する。
【0025】
なお、吸収体5は、通常、冷媒を吸着する際に冷媒の凝縮熱相当(=凝縮熱+α)の吸着熱を発生するとともに、同じ相対温度であっても、吸収体5の温度によって吸着可能な媒体量が相違するようなヒステリシス特性を有している。
【0026】
また、吸着コア4は、内部に冷却水を流通させることにより冷却水と吸収体5とを熱交換させるもので、内部流れる冷却水の温度が吸収体5の温度より高いときには、エンジン1の廃熱を吸収体5に与える廃熱供与手段として機能し、内部流れる冷却水の温度が吸収体5の温度より低いときには、吸収体5を冷却する冷却手段として機能する熱交換器である。
【0027】
ラジエータ2bは、吸着コア4内を流れる冷却水と空気とを熱交換して吸収体5を冷却する放熱部であり、本実施形態は、ラジエータ2bとラジエータ2aとは一体化されている。
【0028】
この一体化されたラジエータ2は、図2に示すように、冷却水が流れる複数本チューブ2c、及びチューブ2cの長手方向両端側にて各チューブ2cと連通するヘッダタンク2d、流出側のヘッダタンク2d内を仕切るセパレータ2eにてにて構成されている。
【0029】
また、図1中、三方式の切替弁6aは各ラジエータ2a、2bを流れる冷却水を制御するものであり、切替弁6bはラジエータ2bから流出した冷却水を吸着コア4に流入させる場合とエンジン1から流出した冷却水を吸着コア4に流入させる場合とを切り換えるバルブであり、ポンプ6cはラジエータ2bと吸着コア4との間で冷却水を循環させる電動式のポンプ手段である。
【0030】
蒸気圧縮式冷凍機7は室内に吹き出す空気を冷却するもので、この蒸気圧縮式冷凍機7は、周知のごとく、圧縮機7a、高圧側熱交換器をなす凝縮器7b、減圧手段をなす膨脹弁7c、低圧側熱交換器をなす蒸発器7d、気液分離器をなすアキュムレータ7e等からなるものである。
【0031】
なお、圧縮機7aから吐出した高温高圧の冷媒は、凝縮器7bにて室外空気にて冷却されて凝縮し、膨脹弁7cにて減圧膨脹された低温低圧の冷媒は蒸発器7dにて室内に吹き出す空気から吸熱して蒸発する。
【0032】
また、蒸気圧縮式冷凍機7の冷媒回路のうち、凝縮器7bと膨脹弁7cとの間には、蒸気圧縮式冷凍機7の高圧側冷媒と吸収体5から脱離された冷媒とを熱交換する凝縮/蒸発コア8が設けられており、この凝縮/蒸発コア8と吸着コア4とは、水冷媒と共に吸着器9内に収納されている。なお、水冷媒は、吸着器9の圧力を大気圧に比べて十分に下げた状態で吸着器9内に封入される。
【0033】
また、凝縮/蒸発コア8は吸着コア4より下方側に配置されており、吸着器9内のうち凝縮/蒸発コア8が配置された下方側の空間は、主に凝縮/蒸発コア8にて冷却されて凝縮した媒体を溜める液溜め空間として機能する。
【0034】
そして、本実施形態では、吸着器9(吸着コア4及び凝縮/蒸発コア8を含む。)及びラジエータ2b等により「特許請求の範囲」に記載された吸着式冷凍機10が構成されている。
【0035】
次に、本実施形態の特徴的作動及びその効果を述べる。
【0036】
1.蓄冷モード(図1参照)
このモードは、エンジン1の回転数がアイドリング回転数より高くなっているとき、つまり車両走行状態であって、エンジン1から流出する冷却水の温度が所定温度(例えば、80℃〜90℃)以上となってエンジン1が暖機運転が終了したものと見なすことができる温度になったときに実行されるモードである。
【0037】
具体的には、エンジン1及び蒸気圧縮式冷凍機7を稼動させた状態で、エンジン1から流出した高温の冷却水を吸着コア6に循環させて吸収体5が吸着していた媒体を蒸気として脱離放出させる。
【0038】
このとき、吸着器9内のうち吸着コア4側の空間(以下、この空間を吸収空間と呼ぶ。)の雰囲気温度は冷却水温度に準じた温度(例えば80℃〜90℃程度)であり、吸着器9内のうち凝縮/蒸発コア8側、つまり液溜め空間の雰囲気温度は冷媒温度に準じた温度(例えば、40℃〜60℃)であり、通常、液溜め空間内の雰囲気温度は吸収空間の雰囲気温度より低いので、吸収体5から脱離放出された媒体は、液溜め空間に流れ込んで凝縮/蒸発コア8により冷却されて凝縮し、液相媒体として液溜め空間に溜まる。
【0039】
なお、凝縮/蒸発コア8にて冷媒に与えられた熱は、最終的に凝縮器7bから空気中に放出される。
【0040】
また、吸着コア4に高温の冷却水が流れている間は、吸収体5から媒体が脱離放出され続ける、又は新たに媒体が吸着されないため、吸収体5から脱離放出された媒体を液化することにより冷熱が蓄え続けられる。
【0041】
2.放冷モード(図3参照)
このモードは、蓄冷が完了した後、車両が停止したときに実行される高圧冷媒冷却モードであり、具体的には、吸着コア4にラジエータ2bにて冷却された低温の冷却水を循環させるものである。
【0042】
これにより、吸収体5が冷却されて関係湿度が上昇するため、吸収体5は吸着器9内の蒸気媒体を吸着するので、吸着器9内の圧力が液溜め空間より低下することに加えて、この状態で蒸気圧縮式冷凍機7が稼動すると、液溜め空間内の雰囲気温度は冷媒温度に準じた温度(例えば、40℃〜60℃)となり、かつ、吸収空間の雰囲気温度は外気温度に準じた温度(例えば25℃程度)であることから、液溜め空間内の液相媒体が凝縮/蒸発コア8を介して高圧冷媒から熱を吸収して蒸発し続ける。
【0043】
したがって、凝縮器7b側、つまり蒸気圧縮式冷凍機7の高圧側の冷媒が冷却されるので、凝縮/蒸発コア8が無い蒸気圧縮式冷凍機7に比べて高圧側の冷媒圧力を低下させることができるとともに、蒸発器7dの入口冷媒のエンタルピ及び乾き度を下げることができるので、冷房能力を向上させることができる。
【0044】
延いては、圧縮機7aの吐出圧が低下するので、圧縮機7aの消費動力、つまりエンジン1の負荷が低下し、蒸気圧縮式冷凍機7にて必要とする動力を削減することができるので、車両燃費を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、媒体として水を採用しており、水の蒸発潜熱は、2500kJ/kgと大きいので、吸着器9を小型にしつつ、十分な冷凍能力を得ることができる。
【0046】
3.プレ放冷モード(図4参照)
このモードは、蓄冷が完了した後、エンジン1の負荷(発熱量)比較的小さく、ラジエータ2aのみでエンジン1から流出する冷却水を十分に冷却することができる場合に行うものである。
【0047】
具体的には、蓄冷が完了した後、放冷モードを行う前に、切替弁6aのみを放冷モードと同じように作動させて外気温度相当まで冷却された冷却水を吸着コア4に導くものである。
【0048】
これにより、放冷モードに移行した際、低い温度で吸収体5を冷却できるので、吸収体5を素早く冷却して関係湿度を素早く高くすることが可能となり、補助冷房能力を増大させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機7は、気液分離器7eを低圧側に設けたアキュムレータサイクルであったが、本実施形態は、図5に示すように、気液分離器を高圧側に設けたレシーバサイクルに適用したものである。
【0050】
なお、凝縮/蒸発コア8は、レシーバ(気液分離器)7eと凝縮器7bとの間の冷媒通路に配置されており、第1実施形態に係る車両用空調装置と同様な効果を得ることができる。
【0051】
(第3実施形態)
本実施形態は、図6に示すように、凝縮/蒸発コア8を圧縮機7aの吐出側と凝縮器7bの冷媒入口側との間の冷媒通路に配置したものであり、本実施形態においても、第1実施形態に係る車両用空調装置と同様な効果を得ることができる。
【0052】
なお、図6では第1実施形態に対して本実施形態を適用したものであり、図7は第2実施形態に対して本実施形態を適用したものである。
【0053】
(第4実施形態)
上述の実施形態では、2つ切替弁6a、6b及びポンプ6cにより吸着コア4に流れ込む冷却水の温度を制御したが、本実施形態は、図8、9に示すように、1つの開閉弁6dとポンプ6cにより吸着コア4に流れ込む冷却水の温度を制御するものである。
【0054】
具体的には、蓄冷モード時においては、図8に示すように、ポンプ6cを停止した状態で開閉弁6dを開く。これにより、エンジン1から流出した高温の冷却水がエンジン1と吸着コア4との間で循環するので、吸収体5に吸着されていた冷媒を脱離放出されて蓄冷される。
【0055】
また、放冷モード時には、図9に示すように、開閉弁6dを閉じてポンプ6cを稼動させる。これにより、ラジエータ2aから流出した低温の冷却水がラジエータ2aとと吸着コア4との間で循環するので、蒸気圧縮式冷凍機7の高圧側冷媒が冷却される。
【0056】
なお、図8、9は第1実施形態に対して本実施形態を適用したものであったが、第2、3実施実施形態に対して本実施形態を適用してもよいことは言うまでもない。
【0057】
(第5実施形態)
上述の実施形態では、吸着コア4に循環させる冷却水の温度を制御することにより蓄冷モードと放冷モードとを切り換えたが、本実施形態は、少なくともエンジン1の暖機運転が終了した後においては、吸収体5の温度を略一定に保持することにより、蒸気圧縮式冷凍機7の熱負荷に応じて自動的に蓄冷モードと放冷モードとを切り換えるものである。
【0058】
具体的には、図10に示すように、常に、エンジン1から流出した冷却水が吸着コア4を循環するように構成したものである。
【0059】
そして、車両走行時のごとく、圧縮機7aの回転数が高く十分な量の冷媒を循環させることができ、かつ、凝縮器7bに十分な冷却風が供給されるときには、高圧側の冷媒温度(この例では、凝縮器7bの冷媒出口における冷媒温度)が低いため(例えば、約40℃)、第1実施形態で述べたように、吸収体5から脱離した蒸気媒体は、凝縮/蒸発コア8にて冷却されて液化する。
【0060】
つまり、車両走行時のごとく、圧縮機7aの回転数が高く十分な量の冷媒を循環させることができ、かつ、凝縮器7bに十分な冷却風が供給されるときには、蓄冷モードが実行されることとなる。
【0061】
一方、車両停止時には、圧縮機7aの回転数が低く十分な量の冷媒を循環させることができず、かつ、凝縮器7bに十分な冷却風が供給されないときには、高圧側の冷媒温度(この例では、凝縮器7bの冷媒出口における冷媒温度)が上昇するため、蓄冷モード時に液溜め空間に溜まった液媒体が蒸発し、吸収空間の相対湿度、つまり関係湿度が上昇し、吸収体5は蒸発した媒体を吸着する。
【0062】
つまり、車両停止時には、圧縮機7aの回転数が低く十分な量の冷媒を循環させることができず、かつ、凝縮器7bに十分な冷却風が供給されないときには、放冷モードが実行されることとなる。
【0063】
以上に述べたように、本実施形態では、蒸気圧縮式冷凍機7の熱負荷に応じて自動的に蓄冷モードと放冷モードとを切り換えられることとなる。
【0064】
なお、本実施形態に係る空調装置に最適な吸収体5は、図11に示すように、蒸気圧縮式冷凍機7の熱負荷が小さいときの冷媒温度に対応する相対湿度における水分吸着率と、蒸気圧縮式冷凍機7の熱負荷が大きいときの冷媒温度に対応する相対湿度における水分吸着率と差が大きいものがよい。
【0065】
因みに、図11は、冷媒温度40℃に対応する相対湿度0.1%における水分吸着率と冷媒温度50℃に対応する相対湿度0.18%における水分吸着率とを示すものである。
【0066】
なお、図10は第1実施形態に対して本実施形態を適用したものであったが、第2〜4実施実施形態に対して本実施形態を適用してもよいことは言うまでもない。
【0067】
(第6実施形態)
第5実施形態では、常に、エンジン1から流出した冷却水が吸着コア4を循環するようにして吸収体5の温度を略一定に保持したが、本実施形態は、図12に示すように、ラジエータ2aから流出した冷却水が吸着コア4を循環するようにして吸収体5の温度を略一定に保持したものである。
【0068】
なお、作動は第5実施形態と同じであるが、吸着コア4内を循環する冷却水の温度が第5実施形態より低いので、吸収体5が媒体を吸着・脱離する相対湿度が異なる。因みに、図13は本実施形態において、最適な吸収体5の特性を示すグラフである。
【0069】
(第7実施形態)
上述の実施形態では、吸着式冷凍機10で発生する冷凍能力により高圧側冷媒を冷却したが、本実施形態は、吸着式冷凍機10で発生する冷凍能力により低圧側冷媒を冷却する低圧冷却モードを設定したものである。
【0070】
具体的には、図14、15に示すように、2台の蒸発器7d、7fを繋ぐ冷媒通路を流れる冷媒を凝縮/蒸発コア8で冷却するものである。
【0071】
このとき、図14は蓄冷モード時の作動を示すもので、吸収体5から脱離した蒸気冷媒は、冷媒流れ上流側の蒸発器7dにて室内に吹き出す空気を冷却した冷媒にて冷却されて凝縮する。
【0072】
なお、冷媒流れ下流側の蒸発器7fに流入する冷媒は凝縮/蒸発コア8により加熱されるが、蓄冷モード時には、蒸気圧縮式冷凍機7にて十分な冷房能力が発生するので、冷房感が大きく低下することはない。
【0073】
また、図15は放冷モード時の作動を示すもので、冷媒流れ上流側の蒸発器7dから流出した冷媒のうち気相冷媒は凝縮/蒸発コア8にて冷却されて液化し、その後、冷媒流れ下流側の蒸発器7fに流入して再度蒸発する。
【0074】
したがって、エンジン1の回転数を上昇させることなく、冷房能力を増大させることができるので、車両燃費を向上させることができる。
【0075】
なお、図14、15は回路図であり、実際に蒸発器7d、7fを空調ケーシング内に収納するに当たっては、冷媒流れ下流側の蒸発器7fを冷媒流れ上流側の蒸発器7dより空気流れ上流側に配置することが望ましい。
【0076】
(第8実施形態)
第7実施形態では、ラジエータ2bにて吸着コア4を流れる冷却水を冷却したが、本実施形態は、図16、17に示すように、ラジエータ2bを廃止するとともに、蒸気圧縮式冷凍機7の高圧側冷媒(本実施形態では、凝縮器7bをの出口側冷媒)にて吸着コア4を流れる冷却水を冷却する熱交換器11を設けたものである。
【0077】
なお、図16は蓄冷モード時の作動を示すもので、図17は放冷モード時の作動を示すものである。なお、本実施形態では、吸収体5で発生した熱は冷媒を介して凝縮器7bから外気中に放熱される。
【0078】
(第9実施形態)
本実施形態は、図18に示すように、凝縮/蒸発コア8と蒸発器7d、7fとを一体化したものである。これにより、空調ケーシングに凝縮/蒸発コア8及び蒸発器7d、7fを容易に収納することができる。
【0079】
(第10実施形態)
本実施形態は、図19に示すように、吸着式冷凍機10にて冷却された二次流体と蒸発器7d、7fを繋ぐ冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換する熱交換器8aと蒸発器7d、7fとを一体化したものである。これにより、空調ケーシングに熱交換器8a及び蒸発器7d、7fを容易に収納することができる。
【0080】
(第11実施形態)
本実施形態は、図20、21に示すように、蒸発器7fを廃止するとともに、凝縮/蒸発コア8を蒸発器7dの冷媒流れ下流側に配置したものである。
【0081】
(第12実施形態)
本実施形態は、第11実施形態の変形例であり、図22、23に示すように、蒸発器7fを蒸発器7dに対して冷媒流れにおいて並列に配置したものである。
【0082】
なお、実際に蒸発器7d、7fを空調ケーシング内に収納するに当たっては、蒸発器7fを蒸発器7dより空気流れ下流側に配置することが望ましい。
【0083】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、媒体を水として吸収体5をシリカゲル又はゼオライトとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば媒体を水として吸収体5は二酸化炭素やメタン等の水和物を生成する水和材、又は媒体を水として吸収体5をアンモニア等としてもよい。
【0084】
なお、この例からも明らかなように、「媒体を吸着する」とは、可逆反応が可能な化学や溶解等を含む意味であり、厳密な意味での「吸着」を意味するものではない。つまり、吸収体5は、媒体と結合又は分離することによって熱の出入りがある物質であれば、上記した例に限定されるものではない。
【0085】
また、上述の実施形態では、廃熱としてエンジン1の廃熱、つまりエンジン冷却水を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エンジン1の排気を廃熱源としてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、ラジエータ2aとラジエータ2bとが一体化されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、両ラジエータ2a、2bを別体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るラジエータの模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る車両用空調装置に適用される吸収体の特性図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る車両用空調装置に適用される吸収体の特性図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図16】本発明の第8実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図17】本発明の第8実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図18】本発明の第9実施形態に係る蒸発器の説明図である。
【図19】本発明の第10実施形態に係る蒸発器の説明図である。
【図20】本発明の第11実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図21】本発明の第11実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図22】本発明の第12実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図23】本発明の第12実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【符号の説明】
1…エンジン、7…蒸気圧縮式冷凍機、9…吸着器(畜冷器)、
10…吸着式冷凍機。
Claims (8)
- 走行用の駆動源(1)から動力を得て稼動する蒸気圧縮式冷凍機(7)と、
媒体の蒸発作用により冷凍能力を発揮し、かつ、その蒸発した媒体を吸着するとともに、加熱されることにより吸着していた媒体を脱離する吸収体(5)を有する吸着式冷凍機(10)とを備え、
前記蒸気圧縮式冷凍機(7)の低圧側熱交換器(7d、7f)を少なくとも2台設け、
前記吸着式冷凍機(10)にて、前記2台の低圧側熱交換器(7d、7f)を繋ぐ冷媒通路を流れる低圧側冷媒を冷却する低圧冷却モードを有することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記2台の低圧側熱交換器(7d、7f)と媒体を蒸発させる蒸発器(8)とが一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記吸着式冷凍機(10)にて冷却された流体と前記2台の低圧側熱交換器(7d、7f)を繋ぐ冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換する熱交換器(8a)と前記2台の低圧側熱交換器(7d、7f)とが一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
- 前記低圧冷却モード時には、前記蒸気圧縮式冷凍機(7)の高圧側冷媒にて前記吸収体(5)を冷却することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 車両走行時に車両で発生する廃熱により前記吸収体(5)を加熱する蓄冷モードを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つにに記載の車両用空調装置。
- 走行用の駆動源(1)から動力を得て稼動する蒸気圧縮式冷凍機(7)と、
媒体の蒸発作用により冷凍能力を発揮し、かつ、雰囲気の相対湿度に応じて蒸発した媒体を吸着又は脱離する吸収体(5)を有する吸着式冷凍機(10)とを備え、
前記吸着式冷凍機(10)にて前記蒸気圧縮式冷凍機(7)の高圧側冷媒を冷却する高圧冷媒冷却モードを有し、
前記高圧冷媒冷却モードは、前記吸着式冷凍機(10)に蓄えられた冷熱を放冷する放冷モードであり、
前記吸収体(5)の温度を略一定に保持することによって、蒸気圧縮式冷凍機(7)の熱負荷に応じて自動的に、前記放冷モードと前記吸着式冷凍機(10)に冷熱を蓄冷する蓄冷モードとを切り換えることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記蓄冷モードでは、車両走行時に車両で発生する廃熱により前記吸収体(5)を加熱することを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
- 前記吸収体(5)を冷却又は加熱する流体の流れを開閉弁(6d)及びポンプ(6c)にて制御することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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