JP2017024118A - ペンカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】ペンを保持した状態でプロッタに着脱可能に装着されるものにあって、ペンを安定して保持する。【解決手段】ペンカートリッジ21は、ペンが貫通状態に挿通される筒状中空部22aを有する筐体22と、筺体22に対しペンの挿通方向を中心軸として第1位置と第2位置との間で回動操作可能に設けられた操作部材26と、筐体22に設けられ、筐体22内に挿通されたペンの外周を中心軸の延びる方向である軸方向の複数箇所で把持するための複数の把持部37、38を有し、操作部材26が第1位置から第2位置に回動されたときに、複数の把持部37、38を、該ペンを把持しない解放状態から該ペンを把持する把持状態に遷移させる把持部材23とを備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、ペンを保持するものであって、前記ペンにより描画を実行するプロッタに着脱可能に装着されるペンカートリッジに関する。
従来、紙などのシート状の対象物を所望の形状に切断するカッティングプロッタが公知である(例えば、特許文献1参照)。このカッティングプロッタは、対象物を切断するカッタカートリッジと、カッタカートリッジを装着可能なキャリッジとを備える。このキャリッジは、カッタカートリッジに代えて、ペンが内蔵されたペンカートリッジも装着可能である。ペンカートリッジがキャリッジに装着されることで、カッティングプロッタは、対象物の表面に所望の模様や図柄を描画することができる。
特許文献1に開示されたペンカートリッジは、後端側に4つの挟持片を有する円筒状のペンホルダと、ペンホルダの先端側に装着されてペンの先端の位置合わせを行うキャップと、ペンホルダの後端側に螺合されて挟持片を内周側に弾性変形させるスクイザとを備えて構成されている。このペンカートリッジにおいては、まず、ペンホルダにキャップを取付けた状態で、ペンホルダに対し、ペンをキャップの閉塞板に当るまで差し入れていく。次いで、ペンが十分に固定されるまで、ペンホルダにスクイザを締め付けていき、その後、キャップを外すことにより、ペンホルダがキャリッジに取付けられる。
特開平10−119484号公報
しかしながら、上記従来のペンカートリッジでは、ペンの軸部の途中部分の1箇所において、挟持片でペンを挟持する構成であるため、ペンを安定して保持できない欠点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ペンを保持した状態でプロッタに着脱可能に装着されるものにあって、ペンを安定して保持することができるペンカートリッジを提供する。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るペンカートリッジは、ペンを保持するものであって、前記ペンにより描画を実行するプロッタに着脱可能に装着されるペンカートリッジにおいて、前記ペンが貫通状態に挿通される筒状中空部を有する筐体と、前記筺体に対し前記ペンの挿通方向を中心軸として第1位置と第2位置との間で回動操作可能に設けられた操作部材と、前記筐体に設けられ、前記筐体内に挿通された前記ペンの外周を前記中心軸の延びる方向である軸方向の複数箇所で把持するための複数の把持部を有し、前記操作部材が第1位置から第2位置に回動されたときに、前記複数の把持部を、該ペンを把持しない解放状態から該ペンを把持する把持状態に遷移させる把持部材とを備えるところに特徴を有する。
本発明の請求項1に係るペンカートリッジによれば、ペンを、筐体の筒状中空部内に貫通状態に挿通し、操作部材を、第1位置から第2位置に回動操作することにより、把持部材の複数の把持部が、ペンを把持しない解放状態から該ペンを把持する把持状態に遷移する。これにて、複数の把持部により、ペンの外周が軸方向の複数箇所で把持されるようになる。従って、ペンを保持した状態でプロッタに着脱可能に装着されるものにあって、ペンを安定して保持することができる。
本発明の一実施形態を示すもので、カッティングプロッタの全体構成を概略的に示す斜視図 キャリッジ部分の斜視図 ペンカートリッジを示す正面図(a)及び上面図(b) 図3(b)のIV−IV線に沿うペンカートリッジの縦断面図 ペンカートリッジの分解斜視図 図3(a)のVI−VI線に沿うカム部分の横断平面図 把持部材の変形前の様子を示す正面図(a)及び上面図(b) 把持部材の変形した様子を示す正面図(a)及び上面図(b) 伝達部材の斜視図(a)及び底面図(b) 操作部材の側面図 操作部材の縦断面図 位置決め用治具の斜視図 位置決め用治具にペンカートリッジを装着した状態を示す斜視図 ペンカートリッジにペンを保持させた状態を示す正面図
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施形態では、カッティングプロッタに装着されるペンカートリッジに本発明を適用している。このカッティングプロッタは、カッタカートリッジの装着状態で、切断データに従って紙等の対象物を切断する装置である。また、カッタカートリッジに代えて、本実施形態に係るペンカートリッジを装着することにより、描画データに従って対象物の表面にペンによる描画を行うことができる。
図1は、プロッタとしてのカッティングプロッタ1の外観構成を示している。また、図2は、カッティングプロッタ1に設けられるキャリッジ5の構成を概略的に示している。まず、カッティングプロッタ1の概略構成について説明する。図1に示すように、カッティングプロッタ1は、本体カバー2と、本体カバー2内に配設されたプラテン3と、カッタカートリッジ4が着脱可能に装着されるキャリッジ5とを備えている。カッティングプロッタ1は、紙や布等のシート状の対象物Wを保持するための保持部材6を備える。
本体カバー2は、横長な矩形箱状をなしており、その前面部には、横長に開口する前面開口部2aが形成されている。保持部材6は、カッティングプロッタ1内に前方から挿入され、プラテン3の上面にセットされる。プラテン3の上面にセットされた保持部材6は前後方向(Y方向)に移送される。
本体カバー2内には、保持部材6をプラテン3の上面で前後方向(Y方向)に移送する移送機構が設けられる。更に、本体カバー2内には、キャリッジ5を、左右方向(X方向)に移動させるキャリッジ移動機構が設けられる。ここで、本実施形態における方向について定義する。移送機構による保持部材6の移送方向を、前後方向(Y方向)とする。キャリッジ移動機構によるキャリッジ5の移動方向を、左右方向(X方向)とする。前後方向と左右方向とに直交する方向を、上下方向(Z方向)とする。
図2に示すように、キャリッジ5は、カートリッジホルダ16と、カートリッジホルダ16を上下方向に駆動させる図示しない上下駆動機構を備える。カートリッジホルダ16は、カートリッジ4、21を着脱可能に保持する。対象物Wに対する切断作業を行う場合には、カートリッジホルダ16にカッタカートリッジ4が装着される。詳しく図示はしないが、カッタカートリッジ4は、上下方向に延びる円筒状のケースと、その中心軸に沿って延びるカッタとを備える。カッタは、ケースの下端部から所定寸法だけ下方に突出し、その下端には、刃部が形成されている。
また、対象物Wに対する描画作業を行う場合には、カートリッジホルダ16に、本実施形態に係るペンカートリッジ21が装着される。ペンカートリッジ21は、ペンP(図14、図3(b)参照)を保持するものであり、その詳細については後述する。尚、ペンPとしては、市販のフェルトペンやボールペン等を採用することができる。周知のように、ペンPは、丸棒状をなすペン軸の先端部に、ペン先を備えて構成されている。
上下駆動機構は、図示しないZ軸モータ等を備え、カートリッジホルダ16を、切断や描画の作業を行う下降位置と、対象物Wから上方に退避して作業を行わない上昇位置との間で移動させるように構成されている。カッタカートリッジ4が装着されている場合には、カートリッジホルダ16の下降位置で、カッタの刃部が、保持部材6に保持されている対象物Wを厚み方向に貫通する状態になる。その状態で、移送機構により、保持部材6に保持された対象物Wを前後方向に移動させると共に、キャリッジ移動機構により、キャリッジ5つまりカッタを左右方向に移動させることにより、対象物Wに対する切断動作が行われる。
また、ペンカートリッジ21が装着されている場合には、カートリッジホルダ16の下降位置では、ペンPの先端が対象物Wの上面に当接して描画が可能とされる。描画動作についても、移送機構により、保持部材6に保持された対象物Wを前後方向に移動させると共に、キャリッジ移動機構により、キャリッジ5つまりペンカートリッジ21を左右方向に移動させることにより行われる。
図示はしないが、カッティングプロッタ1は、全体を制御するためのコンピュータ(CPU)を主体とする制御装置が設けられている。制御装置は、動作制御プログラム等に従って、切断データや描画データに基づいて、切断動作や描画動作を実行する。尚、制御装置は、センサの検出に基づいて、カートリッジホルダ16に装着されているカートリッジがカッタカートリッジ4であるか、もしくは、ペンカートリッジ21であるかを認識できるようになっている。
さて、本実施形態に係るペンカートリッジ21の構成について、図3から図14を参照して述べる。図3〜図5に示すように、ペンカートリッジ21は、筐体22、把持部材23、伝達部材24、コイルばね25、操作部材26、ウェーブばね27、蓋28、リベット29を備えて構成される。以下の説明で向きをいう場合には、ペンカートリッジ21を、カートリッジホルダ16に対する装着状態、つまりペンPを鉛直下向きにして使用する状態における上下方向及び前後左右方向を基準として説明する。
筐体22は、例えばABS樹脂等の硬質のプラスチック材料から、全体として、上下方向に長いほぼ円筒状に構成されている。図4等に示すように、この筐体22は、ペンPが上下方向に貫通状態に挿通される筒状中空部22aを有している。以下、この筒状中空部22aの中心軸が延びる方向を軸方向と称し、その軸方向に交差する方向を径方向と称する。この筐体22は、より具体的には、次の構成を備える。
図5に示すように、筐体22の上端部分は、円筒状の周壁部を前部及び後部を残して左右部分を開放させた形態とされ、前後部に円弧状壁部30,30を一体に有している。円弧状壁部30、30同士間の部分が側部開口部22b、22bとされている。図4にも一部示すように、各円弧状壁部30、30の上端部の外周面には夫々、後述する蓋28が螺合により装着される雄ねじ部30a、30aが一体に形成されている。
筐体22の外周面部には、円弧状壁部30、30の下部に位置して、後述する操作部材26の下端部を受けるフランジ部31が外周方向に突出するように一体に設けられている。図4、図5に示すように、フランジ部31の上面部には、右寄り部位及び左寄り部位に位置して、複数個の溝を円周方向に並べて形成した第1の歯止め部31a及び第2の歯止め部31bが設けられている。後述するように、そのうち左側の第2の歯止め部31bは、操作部材26を第2位置に保持するための係止機構の一部を構成する。
図5に示すように、筐体22の外周面部には、上下方向中間部つまりフランジ部31の下側に位置して、後方に突出し後面が平坦面とされた凸部32が一体に設けられている。また、図3(a)、図14にも示すように、筐体22の外周面部には、下部寄り部位に位置して、筐体22を左右方向に幅狭とするようなくびれ部33が設けられている。ペンカートリッジ21を、カートリッジホルダ16や後述する位置決め用治具に対して装着する際において、凸部32が前後方向の位置決めに利用され、くびれ部33が上下方向及び左右方向の位置決め及び保持に利用される。
尚、図3(a)、図14等に示すように、筐体22の外周面部のうち、上下方向中間部つまり凸部32形成部分の前面部には、マークMが形成されている。このマークMは、後述する操作部材26の操作手順、つまり操作部材26を上に持上げた後、左方向に回してから下げるという手順を、矢印で示すものとなっている。
図4に示すように、筐体22の内周面部には、上下方向中間部に位置して、その下方の内径寸法が上方よりも若干径小になるように段差部34が形成されている。この段差部34は、後述する把持部材23を下方への抜け止め状態に係止して上下方向に位置決めするように設けられている。そして、図6にも示すように、筐体22の内周面部の下部寄り部位には、カム面35が形成されている。このカム面35は、後述する把持部材23の弾性変形爪を変形させるためのもので、本実施形態では、円周方向の3箇所に等間隔に位置して形成されている。これらカム面35は、上から見て時計回り方向(矢印A方向)に行くほど凹所の深さが浅くなる、つまり、次第に内径が小さくなるように形成されている。
次に、把持部材23を説明する。図7及び図8にも示すように、把持部材23は、例えばPOM樹脂等の比較的軟質なプラスチック材料から構成され、円筒部36と、この円筒部36の下部に設けられた把持部としての第1把持部37と、円筒部36の上部に設けられた把持部としての第2把持部38と、円筒部36の上部に設けられた3個の係合片部39とを一体に有している。第1把持部37は、把持部材23の前記軸方向の一端側である下端側に設けられ、第2把持部38は、他端側である上端側に設けられている。これら第1把持部37及び第2把持部38は、軸方向の異なる2箇所の位置でペンPを把持する。
この把持部材23は、筐体22の筒状中空部22a内に上方から挿入される。このとき、係合片部39の外周面に設けられたリブ39aが、段差部34の上面に当接することにより、把持部材23は、下方への抜け止め状態つまり上下方向の位置決め状態で、筐体22内に収容される。円筒部36は、筒状中空部22a内に挿入される直径の円筒状をなし、その外周面に、筐体22の内周面の段差部34のすぐ下方部分に摺接するリング状凸部36aを一体に有している。これにて、把持部材23は、筐体22内に回転移動可能に収容される。
円筒部36の下部に設けられる第1把持部37は、ペンPのペン軸を把持するための複数この場合3本の弾性変形爪40を備えている。これら3本の弾性変形爪40は、等間隔つまり120度間隔で設けられ、円筒部36の下端部から細幅状をなして下方に延びると共に、下方に行くほど上から見て時計回り方向(矢印A方向)に螺旋状の捩じりを有した形状をなし、径方向に弾性変形可能に構成されている。
各弾性変形爪40の下端部の外周面部は、図6に示すように、各カム面35内に配置されている。このとき、後述するように、操作部材26が第1位置にあるときには、図7に示すように、把持部材23は解放状態にあり、操作部材26が第2位置に回動操作されることに伴い、把持部材23は、ペンPを把持する把持状態に遷移される。把持部材23の解放状態では、図6に示すように各弾性変形爪40の下端部が各カム面35の深い位置に位置され、図7(b)に示すように、各弾性変形爪40の下端部は、軸方向に見て円筒部36と重なるような外周側に位置されている。
これに対し、操作部材26の回動に伴って把持部材23が矢印A方向に回動変位すると、各弾性変形爪40の下端部は、カム面35に接触しその斜面に沿って矢印A方向に移動して内周方向に弾性変形し、図8に示すように、各弾性変形爪40の下端内周部がペンPのペン軸の外周面に接触して三方から把持する状態となる。本実施形態では、各弾性変形爪40の内周面部のペンPに接触する部分には、表面に微細凹凸を形成するいわゆるしぼ加工が施されており、滑り止め部40aとされている。
図7及び図8に示すように、円筒部36の上部に設けられる第2把持部38は、ペンPのペン軸を把持するための複数この場合3本の弾性片41を備えている。これら3本の弾性片41は、等間隔つまり120度間隔で設けられ、円筒部36の上端部から細幅状をなして上方に延びている。このとき、各弾性片41の上端部の外周面側には、外周側に膨らむ突起部が一体に設けられ、その突起部の外周側を向く面が、下に行くほど外周方向に傾斜する傾斜面42とされている。
後述するように、操作部材26が第1位置にあって把持部材23が解放状態にあるときには、図7に示すように、各弾性片41の上端部は、軸方向に見て円筒部36と重なるような外周側に位置されている。これに対し、操作部材26の回動に伴って後述の伝達部材24が下降すると、傾斜面42が内周側に押圧されて弾性片41の上端部が内周方向に弾性変形し、図8に示すように、各弾性片41の上端内周部がペンPのペン軸の外周面に接触して三方から把持する状態となる。本実施形態では、図7、図8に一部示すように、各弾性片41の内周面部のペンPに接触する部分にも、いわゆるしぼ加工が施されて滑り止め部41aが設けられている。
図5、図7(b)、図8(b)に示すように、3個の係合片部39は、各弾性片41同士間の間隔部分に位置して、円筒部36の上端部から、円筒部36の円弧に沿うような円弧板状をなして上方に延びている。このとき、後述する伝達部材24との回転方向の位置合わせを容易にするために、3個の係合片部39のうち、前部側に位置する1個の係合片部39が、幅寸法(円周方向長さ)が他の2個の係合片部39よりも大きく構成されている。
後述のように、これら係合片部39は、伝達部材24の3個の動作片部の内周面側に夫々重なるように係合するようになっている。この係合状態では、伝達部材24の上下方向の変位に関しては、動作片部が係合片部39との間で上下方向に摺動することによって、力の伝達はなされない。そして、伝達部材24の回転方向については、係合片部39を介して力が伝達される。これにて、把持部材23は、伝達部材24と一体的に回転方向に移動するように構成されている。
図9に示すように、伝達部材24は、例えばPOM樹脂等のプラスチック材料から構成され、比較的肉厚な円筒状をなす主部43と、その主部43の内周部から下方に延びる3個の動作片部44とを一体に有している。主部43の上端面部には、コイルばね25の下端部を受けるための受け凹部43aがリング状に形成されている。主部43の外周面には、左右の両端部の上部から側方に直径方向に突出するように、突起部45、45が一体に設けられている。後述のように、これら突起部45、45は、筐体22の上端部の側部開口部22b、22bを通って外周側に突出し、操作部材26の内周面のカム部48に係合する。これにより、伝達部材24が上下動及び回動される。
図4にも示すように、主部43の内周面の下部には、下端部から上方に向けて次第に内径が小さくなるようにテーパ面46が形成されている。図9(b)に示すように、このテーパ面46は、動作片部44が存在しない3箇所に位置して形成されている。後述のように、テーパ面46は、各弾性片41の上端部の傾斜面42に当接して、各弾性片41を内径方向に弾性変形させる役割を果たす。尚、後述するコイルばね25により、伝達部材24は、常に下方に付勢されるようになっており、突起部45が常にカム部48に係合するようになっている。
動作片部44は、図9に示すように、主部43の内周面の下部から下方に延びて一体に設けられており、把持部材23の3個の係合片部39に対応して円周方向の3箇所に位置して設けられている。これら動作片部44は、上面から見て円弧状の薄板状をなし、外周面が各係合片部39の内周面に対し上下方向に相対的にスライド移動可能に摺接するように設けられている。これと共に、各動作片部44の外周面の円周方向両端辺部には、各係合片部39の円周方向両端側を係止する係合壁部44aを一体に設けられている。これにて、動作片部44の上下動に関しては、各係合片部39を摺動して力を作用させず、動作片部44の回転移動に関しては各係合片部39に伝達されるように構成されている。
図10、図11に示すように、操作部材26は、例えばPOM樹脂等のプラスチック材料から、筐体22の上端部の円弧状壁部30、30の外周壁に嵌合してフランジ部31上に載置される大きさの薄肉円筒状に構成されている。この操作部材26の外周面には、全体的に滑り止め用の凹凸部が上下方向に延びて形成されていると共に、円周方向の1箇所には、ユーザが指をかけて回動操作するための複数本のリブ26aが外周方向に突出するように一体に設けられている。
この操作部材26は、筐体22の上端部外周に回動可能に嵌合されるのであるが、操作部材26の下端面部には、第1の歯止め部31a又は第2の歯止め部31bの上に来た際に噛合う歯部47が一体に設けられている。この場合、歯部47が第1の歯止め部31aに噛合うことによって、操作部材26が第1位置に保持され、歯部47が第2の歯止め部31bに噛合うことによって、操作部材26が第2位置に保持される。従って、歯部47と第2の歯止め部31bとから係止機構が形成される。
操作部材26の内周面には、左右に位置して伝達部材24を動作させるためのカム部48が形成されている。このカム部48は、伝達部材24の突起部45が上面に載置されるように設けられ、その上面が反時計回り方向(図11で左側)に行くほど低くなるような傾斜状に形成されている。突起部45は、カム部48に沿って相対的に移動し、筐体22の2箇所に設けられたリブ22c(図5、図4に一方のみ図示)により、それ以上の下降が止められるように構成されている。図5に示すように、リブ22cは、側部開口部22b、22bの下辺部に夫々位置されている。操作部材26の内周面には、ストッパ壁48aも設けられている。
この操作部材26は、蓋28とフランジ部31との間に上下から挟まれるようにして、上下に若干のがたを有して筐体22の上端部外周に回動操作可能に設けられる。このとき、操作部材26の上端面と蓋28との間に、リング状のウェーブばね27が配設されることにより、操作部材26は下方、つまり歯部47が歯止め部31a、31bに噛合う方向に常に押圧力を受けている。
図4、図5に示すように、蓋28は、例えばABS樹脂などのプラスチック材料から、下面が開口した中空リング状、つまり径大な外周壁部と径小な内周壁部との上端部同士をリング状の上壁部で一体に接続した形態に構成されている。この場合、蓋28の内径寸法は、伝達部材24の主部43や把持部材23の円筒部26などの内径に一致し、外径寸法は、操作部材26の外径よりもやや大きい。図4に示すように、蓋28の内部には、外周壁部の内面側に位置して、筐体22の円弧状壁部30の雄ねじ部30aに螺合する雌ねじ部49が形成されている。
図4に示すように、蓋28の内部には、内径側に位置してコイルばね25の上端部を受ける受け部28aが設けられている。また、蓋28の内部の外周側下面部には、ウェーブばね27が配置されるリング状の凹部28bが設けられている。更に、図3(b)、図5に示すように、蓋28の上壁部に、リベット29が差込まれる孔50が設けられている。孔50に対し、リベット29が差込まれた状態では、蓋28が筐体22に対し、回り止め状態に固定されるようになっている。
ペンカートリッジ21は、操作部材26が、図3等に示す第1位置と、そこから矢印A方向に回動した第2位置との間で回動操作可能とされる。操作部材26が第1位置に停止している状態では、図11に実線で示すように、操作部材26のカム部48によって、伝達部材24の突起部45が、カム部48の傾斜のうち最も上部に位置しており、伝達部材24は第1状態にある。この第1状態では、伝達部材24は、上下方向に最も上昇した位置にあると共に、所定の回転位置にある。
この伝達部材24の第1状態では、図4に示すように、テーパ面46の下端部が、第2把持部38の各弾性片41の傾斜面42の上端部に当接しており、各弾性片41は、弾性変形せずに外周側に位置されている。これと共に、伝達部材24の第1状態では、動作片部44と係合片部39との係合により、図6に示すように、第1把持部37の各弾性変形爪40の下端部が筐体22のカム面35の凹所のうち最も深い位置に位置され、弾性変形爪40は、弾性変形せずに外周側に位置されている。これにより、把持部材23は、図7に示すように、ペンPを把持しない開放状態とされている。
ユーザは、操作部材26を、第1位置から矢印A方向に操作して第2位置に回動させることができる。このとき、操作部材26の第1位置においては、歯部47が第1の歯止め部31aに噛合っているので、一旦操作部材26をウェーブばね27のばね力に抗して上方に持上げて噛合いを解くことにより、回動操作することができる。また、操作部材26の第2の位置への回動操作後、ウェーブばね27のばね力に抗する力を解除すると、ウェーブばね27のばね力によって、歯部47が第2の歯止め部31bに噛合うようになり、操作部材26が第2位置に保持されるようになる。
操作部材26が第2位置に向けて回動操作されることにより、突起部45がカム部48に沿って図11に想像線で示す位置まで矢印C方向に相対的に移動し、伝達部材24が下降する。そして、突起部45がストッパ壁48aに相対的に当接した後は、突起部45ひいては伝達部材24が、操作部材26と一体的に矢印A方向に回転移動し、伝達部材24は第2状態になる。
第2状態では、伝達部材24は、上記第1状態から下降すると共に、矢印A方向に回動している。これにて、テーパ面46が、各弾性片41の傾斜面42に摺接した状態で下降し、各弾性片41を内径方向に弾性変形させる。これと共に、動作片部44と係合片部39との係合により把持部材23を回動させ、図6に矢印Aで示すように、各弾性変形爪40がカム面35に沿って移動し、各弾性変形爪40が内径方向に弾性変形する。これにより、把持部材23は、図8に示すように、第1把持部37の3本の弾性変形爪40が内径側に弾性変形すると共に、第2把持部38の3本の弾性片41が内径側に弾性変形し、以て、ペンPを把持する把持状態となる。
従って、操作部材26の第1位置で、ペンPを筐体22の筒状中空部22aに挿通させ、その後操作部材26を第2位置に回動操作することにより、ペンPをペンカートリッジ21に保持させることができる。尚、ユーザは上記とは逆の手順で、操作部材26を持ち上げながら第2位置から第1位置に矢印Aとは反対方向に回動操作することにより、伝達部材24は第2状態から第1状態に戻り、把持部材23は開放状態に戻るようになる。これにより、ペンPの把持が解かれて、ペンカートリッジ21から抜出すことができる。
更に本実施形態では、ペンカートリッジ21は、筐体22内にペンPを挿入する際の軸方向の位置決めを行うための位置決め用治具51を備えている。図12から図14を参照して、位置決め用治具51について述べる。この位置決め用治具51は、プラスチック材料から、矩形板状の底壁部52、この底壁部52の後辺部から上方に立上る背壁部53、この背壁部53の左右の辺部から前方に延びる左右の側壁部54、54を一体に備えて構成されている。底壁部52の上面は、ペンPの先端が当接する当接部52aとされており、底壁部52の先端辺部には、先端面から上面にかけて、左右方向中心位置を示す目印となるラインLが設けられている。
位置決め用治具51の左右の側壁部54、54には、図14に示すように、筐体22のくびれ部33及びそれより下の部分に対応した形状をなす装着部55が設けられている。装着部55に対し、ペンカートリッジ21を前方から挿入することにより、筐体22が軸方向の所定位置で保持される。また、背壁部53の前面には、凸部32の筐体22の後面が当接する。このときペンカートリッジ21を装着部55に保持させた状態で、ペンPの先端部を当接部52aに当接させた場合に、ペンPの先端部が適切な高さ位置に保持される、つまりペンPの先端部の筐体22からの突出長さ寸法が適切になるように設定されている。
この位置決め用治具51を用いて、ペンPのペンカートリッジ2に対する装着作業を、次のように行うことができる。図13に示すように、位置決め用治具51の装着部55に、ペンカートリッジ21を装着する。このとき、操作部材26は第1位置に位置させておく。次に、ペンPを、ペンカートリッジ21の筒状中空部22に対し、先端を下向きにして上方から挿入していく。そして、ペンPの先端が当接部52aに当接した状態で、ペンカートリッジ21の操作部材26を第2位置に回動操作してペンPを把持させる。
この後、ペンPを把持したペンカートリッジ21を前方に取外す。これにより、位置決め用治具51を用いることで、ペンカートリッジ21内にペンを挿入する際の軸方向の適切な位置で、ペンカートリッジ21にペンPを保持させることができ、その際の操作を簡単に済ませることができる。尚、ペンPの先端をラインLと見比べることにより、軸がずれることなくペン先が中心で保持されているかどうかを確認することができる。
このように本実施形態のペンカートリッジ21によれば、次のような作用・効果を得ることができる。即ち、ペンPを、筐体22の筒状中空部22a内に貫通状態に挿通し、操作部材26を、第1位置から第2位置に回動操作することにより、把持部材23を解放状態から把持状態に遷移させることができる。把持部材23は、下端部に第1把持部37を有すると共に、上端部に第2把持部38を有し、それらによりペンPの外周が軸方向の2箇所で把持されるようになる。また、第1把持部37及び第2把持部38を、操作部材26の一回の操作により同時に動作させることができる。従って、本実施形態によれば、ペンPを保持した状態でカッティングプロッタ1に着脱可能に装着されるペンカートリッジ21にあって、簡単な操作で、ペンPを安定して保持することができる。
本実施形態では、第1把持部37を、3個の弾性変形爪40を設けて構成すると共に、筐体22の筒状中空部22aにそれらを動作させる3個のカム面35を設け、操作部材26に連動して把持部材23が回転移動することにより、カム面35の作用によって3個の弾性変形爪40を内径方向に弾性変形させる構成とした。これにより、筐体22内にカム面35を設けるという比較的簡単な構成で、第1把持部37を動作させるための機構を構成することができた。このとき、ペンPの外周を、複数この場合3個の弾性変形爪40によって、三方から安定した状態で確実に把持することができる。
また本実施形態では、第2把持部38を、3個の弾性片41を設けて構成すると共に、操作部材26の回動に連動する伝達部材24によって、3個の弾性片41を内径方向に弾性変形させる構成とした。これにより、第1把持部37とは異なりながらも、やはり比較的簡単な構成で、第2把持部38を動作させるための機構を構成することができる。このとき、伝達部材24によって、第2把持部38の把持動作と共に、第1把持部37の把持動作も行われるようになり、より一層簡単な構成でペンPを把持させることができる。
さらに、本実施形態では、操作部材26に歯部47を設け、筐体22に、第1の歯止め部31a及び第2の歯止め部31bを設け、それらの係止により操作部材26を第1位置及び第2位置に保持できる構成としたので、操作部材26の意図しない回動を防止し、操作部材26の回動操作をより確実に行うことができる。第1把持部37の弾性変形爪40及び第2把持部38の弾性片41の、ペンPと接触する部位に、滑り止め部40a及び41aを設けたので、把持部37,38がペンPに対して滑り難くなり、ペンPをより一層確実に把持することができる。
第1把持部37と第2把持部38は互いに独立しているため、それぞれ異なる径のペンを保持できる。つまり、1つのペンにおいて、第1把持部37で把持される位置と第2把持部38で把持される位置とでペンの径が異なる場合であっても、それぞれの径に合わせて好適に把持することができる。
尚、上記した実施形態では、カッティングプロッタ1のキャリッジ5に着脱可能に装着されるペンカートリッジ21について説明したが、ペンカートリッジ21は、描画(作図)用のペンプロッタ(X−Yプロッタ)等に着脱可能であっても良いことは勿論である。ペンPとしては、フェルトペンに限らず、ボールペンやシャープペンシルなど筆記具全般にて適用することができる。滑り止め部40a、41aとしても、しぼ加工により設けるのではなく、例えば薄板状のゴム等の別体の滑り止め部材を貼り付ける構成としても良い。
更に、上記実施形態では、軸方向の2箇所に把持部を設けるようにしたが、3箇所以上の把持部を設けるようにしても良い。弾性変形爪や弾性片を3個設ける構成としたが、4本以上設ける構成としても良い。その他、ペンカートリッジを構成する筐体や操作部材、把持部材などの各部品の形状や構造等については、様々な変更が可能であり、また位置決め用治具51は必ずしも備えてなくても良い等、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。
1 カッティングプロッタ(プロッタ)
5 キャリッジ
16 カートリッジホルダ
21 ペンカートリッジ
22 筐体
22a 筒状中空部
23 把持部材
24 伝達部材
26 操作部材
28 蓋
31b 第2の歯止め部
35 カム面
37 第1把持部
38 第2把持部
40 弾性変形爪
40a 滑り止め部
41 弾性片
41a 滑り止め部
47 歯部
51 位置決め用治具
52a 当接部
55 装着部
W 対象物
P ペン

Claims (9)

  1. ペンを保持するものであって、前記ペンにより描画を実行するプロッタに着脱可能に装着されるペンカートリッジにおいて、
    前記ペンが貫通状態に挿通される筒状中空部を有する筐体と、
    前記筺体に対し前記ペンの挿通方向を中心軸として第1位置と第2位置との間で回動操作可能に設けられた操作部材と、
    前記筐体に設けられ、前記筐体内に挿通された前記ペンの外周を前記中心軸の延びる方向である軸方向の複数箇所で把持するための複数の把持部を有し、前記操作部材が第1位置から第2位置に回動されたときに、前記複数の把持部を、該ペンを把持しない解放状態から該ペンを把持する把持状態に遷移させる把持部材と
    を備えることを特徴とするペンカートリッジ。
  2. 前記把持部材は、前記筐体の筒状中空部内に配置され、前記軸方向の一端側に位置して、前記軸方向に対して交差する方向である径方向に弾性変形可能に構成された前記把持部の一つである第1把持部を有していると共に、
    前記筐体の筒状中空部には、前記第1把持部を弾性変形させるためのカム面が設けられており、
    前記操作部材が第1位置から第2位置に回動されたときに、該操作部材に連動して前記把持部材が回転移動することにより、前記カム面の作用によって前記第1把持部が内径方向に弾性変形して前記ペンを把持するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のペンカートリッジ。
  3. 前記第1把持部は、前記ペンを把持するための複数の弾性変形爪を円周方向に間隔をもって備えており、前記カム面は前記各弾性変形爪に対応して複数設けられていることを特徴とする請求項2記載のペンカートリッジ。
  4. 前記第1把持部は、少なくとも3個の弾性変形爪を備えていることを特徴とする請求項3記載のペンカートリッジ。
  5. 前記把持部材は、前記軸方向の他端側に位置して、前記径方向に弾性変形可能に構成された前記把持部の一つである第2把持部を有していると共に、
    前記筐体の筒状中空部には、前記第2把持部に係合しない第1状態と、前記第2把持部に係合して該第2把持部を内径方向に弾性変形させる第2状態との間で、前記軸方向に移動可能な伝達部材が設けられており、
    前記操作部材が第1位置から第2位置に回動されたときに、前記伝達部材が第1状態から第2状態に前記軸方向に移動して前記第2把持部を内径方向に弾性変形させて前記ペンを把持させるように構成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のペンカートリッジ。
  6. 前記伝達部材は、前記操作部材が第1位置から第2位置に回動されたときに、前記把持部材を併せて回転移動させるように構成されていることを特徴とする請求項5記載のペンカートリッジ。
  7. 前記筐体には、前記操作部材を前記第2位置に保持するための係止機構が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のペンカートリッジ。
  8. 前記把持部には、前記ペンと接触する部位に滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のペンカートリッジ。
  9. 前記筐体内に前記ペンを挿入する際の前記軸方向の位置決めを行うための位置決め用治具を備え、
    前記位置決め用治具は、前記筐体を前記軸方向の所定位置で保持する装着部と、前記装着部に保持された筐体内に挿入されたペンの先端が当接する当接部とを一体的に備えて構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のペンカートリッジ。
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