JP2017022828A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電源リレーの故障を検出する回路の規模をより低減したモータ制御装置を提供する。【解決手段】ECU4は、モータ20に電力を供給するモータ駆動回路50と、バッテリ40からモータ駆動回路50への給電のオンオフを切り替える電源リレー51と、リレードライバ52と、故障検出部53と、コンデンサ54と、電源モニタ回路60とを有している。電源リレー51は、電源線L1上において、バッテリ40とモータ駆動回路50との間に設けられている。リレードライバ52は、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bのオンオフを制御する。リレードライバ52には、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bが並列に接続されている。【選択図】図2

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
従来、電源からモータへの通電経路に、電源スイッチとしてMOS−FET等のスイッチング素子を設け、このスイッチング素子をオンオフすることにより、モータへの通電を制御してモータを駆動するモータ制御装置が知られている。MOS−FETのドレインとソースとの間には、ソースからドレインへの電流を規制する向きの寄生ダイオードが形成される。電源とモータとの間の通電経路には、寄生ダイオードが互いに逆向きになるように2つのMOS−FETが設けられている。
このようなMOS−FETを用いたモータ制御装置では、種々の原因によって、MOS−FETがショート故障またはオープン故障するおそれがある。そこで、MOS−FETのドレイン電圧を取り込むことで、MOS−FETのオン状態またはオフ状態を判定し、MOS−FETの故障(ショート故障またはオープン故障)を検出している。
ところで、たとえばモータから電源への電流を規制する向きの寄生ダイオードを備えたMOS−FETがオープン故障した場合には、寄生ダイオードが正常なとき、寄生ダイオードを介して電流が流れ続けるため、MOS−FETの故障を検出することができない。このため、たとえば特許文献1のモータ制御装置では、寄生ダイオードの故障判別も行うことにより、各MOS−FETの故障をより確実に検出する。2つのMOS−FETを別々に駆動したときの各MOS−FETの出力に基づいて、各MOS−FETの故障を検出する。
特開2012−188101号公報
特許文献1のモータ制御装置によれば、確かにMOS−FETの故障をより確実に検出することができる。しかし、2つのMOS−FETを別々に駆動するためのドライバが必要であるため、故障を検出するための回路の規模が大きくなってしまう。
本発明の目的は、電源リレーの故障を検出する回路の規模をより低減したモータ制御装置を提供することである。
上記目的を達成しうるモータ制御装置は、モータと、前記モータに電力を供給するモータ駆動回路と、前記モータへの給電を通電または遮断するとともに、互いに反対向きの寄生ダイオードを有する2つのスイッチング素子からなる電源リレーと、前記モータへ給電する経路における前記2つのスイッチング素子の間の電圧である第1の電圧を検出する第1の電圧検出部と、前記モータへ給電する経路における前記電源リレーと前記モータ駆動回路との間の電圧である第2の電圧を検出する第2の電圧検出部と、前記2つのスイッチング素子を共にオンオフするドライバと、前記第1の電圧と、前記第2の電圧と、前記2つのスイッチング素子のオン状態またはオフ状態とに基づいて前記2つのスイッチング素子の故障を検出する故障検出部と、を備えている。
この構成によれば、2つのスイッチング素子を共に制御するドライバを一つ設ける場合であっても、2つのスイッチング素子の故障を検出することができる。2つのスイッチング素子をオンオフしたときの第1の電圧または第2の電圧は、2つのスイッチング素子が正常な場合と故障している場合とで異なるため、2つのスイッチング素子の故障を検出できる。また、2つのスイッチング素子を個別に制御するドライバをそれぞれ設ける場合に比べて、モータ制御装置の回路の規模はより低減される。
上記のモータ制御装置において、前記電源スイッチがオンされた場合、前記2つのスイッチング素子を共にオンにしたとき、前記第1の電圧および前記第2の電圧が閾値より大きいか否かの判定結果に基づいて、前記2つのスイッチング素子の故障を検出することが可能となる。
上記のモータ制御装置において、前記電源スイッチがオンされた場合、前記2つのスイッチング素子が共にオンのとき、前記2つのスイッチング素子を共にオフすることで、前記給電経路における前記第1の電圧検出部の接続点と前記モータ駆動回路との間のスイッチング素子の故障を検出することも可能である。
上記のモータ制御装置において、前記給電経路における前記電源リレーと前記モータ駆動回路との間に接続され、バッテリから供給される電力を充放電するコンデンサと、前記2つのスイッチング素子が共にオフのときに前記コンデンサを充電するプリチャージ回路と、を備え、前記プリチャージ回路をオンにして一定時間待機した後、前記2つのスイッチング素子を共にオンにしたとき、前記第1の電圧および前記第2の電圧が閾値より大きいか否かの判定結果に基づいて、前記2つのスイッチング素子の故障を検出することも可能である。
この構成によれば、2つのスイッチング素子を共にオンしたとき、プリチャージ回路を設けることにより、2つのスイッチング素子の故障をより早く検出することができる。バッテリからモータ駆動回路へ向けて電力の供給だけでなく、プリチャージ回路からバッテリへ向けた電力の供給が行われるためである。たとえば、第1の電圧検出部の接続点とモータ駆動回路との間のスイッチング素子がショート故障している場合、このスイッチング素子を介してプリチャージ回路から第1の電圧検出部へ向けて電力が供給されるため、直ちにこのスイッチング素子の故障を検出できる。
上記のモータ制御装置において、前記閾値は前記バッテリの電圧値よりも小さく、当該閾値は前記プリチャージ回路の電圧値よりも大きく設定されていてもよい。
この構成によれば、故障検出部はより早く2つのスイッチング素子の故障を判定できる。バッテリからモータ駆動回路へ向けて電力が供給される場合には、その電圧値は閾値よりも大きくなるのに対し、モータ駆動回路からバッテリへ向けて電力が供給される場合には、その電圧値は閾値よりも小さくなるためである。
本発明のモータ制御装置によれば、電源リレーの故障を検出する回路の規模をより低減できる。
各実施形態のモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の概略構成を示す構成図。 第1実施形態のモータ制御装置について、その概略構成を示すブロック図。 第1実施形態のモータ制御装置について、その電源リレーのMOS−FETの故障検出の処理手順を示すフローチャート。 第2実施形態のモータ制御装置について、その概略構成を示すブロック図。 第2実施形態のモータ制御装置について、その電源リレーのMOS−FETの故障検出の処理手順を示すフローチャート。 第3実施形態のモータ制御装置について、その電源リレーのMOS−FETの故障検出の処理手順を示すフローチャート。
<第1実施形態>
以下、モータ制御装置を電動パワーステアリング装置(EPS)に適用した一実施形態について説明する。
図1に示すように、EPS1は運転者のステアリングホイール10の操作に基づいて転舵輪15を転舵させる操舵機構2、運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構3、およびアシスト機構3を制御するモータ制御装置としてのECU(電子制御装置)4を備えている。
操舵機構2は、ステアリングホイール10およびステアリングホイール10と一体回転するステアリングシャフト11を備えている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10と連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11b、およびインターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cを有している。ピニオンシャフト11cの下端部はラックシャフト12に連結されている。したがって、操舵機構2では、ステアリングシャフト11の回転運動は、ピニオンシャフト11cの先端に設けられたピニオンギヤとラックシャフト12に形成されたラックからなるラックアンドピニオン機構13を介して、ラックシャフト12の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動がラックシャフト12の両端にそれぞれ連結されたタイロッド14を介して左右の転舵輪15にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪15の転舵角が変更される。
アシスト機構3は、アシスト力の発生源であるモータ20を備えている。モータ20としては、たとえば、3相(U,V,W)の駆動電力に基づいて回転する3相ブラシレスモータが採用される。モータ20の回転軸21は、減速機構22を介してコラムシャフト11aに連結されている。減速機構22はモータ20の回転を減速し、当該減速した回転力をコラムシャフト11aに伝達する。すなわち、ステアリングシャフト11にモータ20の回転力(トルク)がアシスト力として付与されることにより、運転者のステアリング操作が補助される。
ECU4は、バッテリ40から電力が供給されることにより動作する。ECU4は、車両に設けられる各種のセンサの検出結果に基づいてモータ20を制御する。各種のセンサとしては、たとえばトルクセンサ30、回転角センサ31、および車速センサ32がある。トルクセンサ30はコラムシャフト11aに設けられ、回転角センサ31はモータ20に設けられている。トルクセンサ30は、運転者のステアリング操作に伴いステアリングシャフト11に付与される操舵トルクτを検出する。回転角センサ31は、回転軸21の回転角θを検出する。車速センサ32は、車両の走行速度である車速Vを検出する。ECU4は各センサの出力(操舵トルクτ、回転角θ、車速V)に基づいて、目標のアシスト力を設定し、実際のアシスト力が目標のアシスト力となるように、モータ20に供給される電流を制御する。
つぎに、ECU4について詳細に説明する。
図2に示すように、ECU4は、モータ20に電力を供給するモータ駆動回路50と、バッテリ40からモータ駆動回路50への給電のオンオフを切り替える電源リレー51と、リレードライバ52と、マイコン53(故障検出部53a)と、コンデンサ54と、電源モニタ回路60とを有している。
モータ駆動回路50は、2本の電源線L1,L2の間に設けられ、2つのスイッチング素子を直列に接続した3つのスイッチングアームが並列に接続されてなる(詳細な図示は略)。電源線L1はバッテリ40のプラス側に接続され、電源線L2はバッテリ40のマイナス側に接続されている。モータ駆動回路50は、各スイッチング素子をオンオフすることにより、バッテリ40から供給される電力を3相交流電力に変換して、モータ20に供給する。スイッチング素子としては、たとえばMOS−FETが用いられる。なお、2本の電源線L1,L2は、バッテリ40とモータ駆動回路50との間の給電経路として機能する。
電源リレー51は、電源線L1上において、バッテリ40とモータ駆動回路50との間に設けられている。電源リレー51は、スイッチング素子としてのMOS−FET51aとMOS−FET51bから構成されている。MOS−FET51aの寄生ダイオードDは、バッテリ40からモータ駆動回路50への電流の供給を規制する向きに設けられている。MOS−FET51bの寄生ダイオードDは、モータ駆動回路50からバッテリ40への電流の流れ込みを規制する向きに設けられている。すなわち、MOS−FET51aの寄生ダイオードDとMOS−FET51bの寄生ダイオードDとは、電源線L1上において、互いに逆向きになるように設けられている。
リレードライバ52は、マイコン53のオンオフ信号Sに基づいて、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bのオンオフを制御する。リレードライバ52には、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bが並列に接続されている。リレードライバ52は、マイコン53から入力されるオンオフ信号Sがオンする旨示すとき、ゲート駆動信号Gを生成する。このゲート駆動信号Gは、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bのゲートにそれぞれ供給される。MOS−FET51aおよびMOS−FET51bの両ゲート電極にそれぞれゲート駆動信号Gが印加されるとき、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bは、それぞれオンする。
コンデンサ54は、2本の電源線L1,L2の間に設けられる。コンデンサ54は、バッテリ40から電源リレー51を介して、電荷を蓄積する。コンデンサ54は、バッテリ40からモータ駆動回路50へ供給される電流が不足するときには、不足した電流を補うべく、蓄積した電荷を放出する。
電源モニタ回路60は、MOS−FET51aの出力電圧値およびMOS−FET51bの出力電圧値を監視するための分圧回路である。電源モニタ回路60は、抵抗61〜64を有している。電源線L1におけるMOS−FET51aおよびMOS−FET51bの間の部分とグランドとの間には、抵抗61および抵抗62が直列接続されている。抵抗61と抵抗62との間の電圧は、モニタ電圧V1として外部に取り出される。たとえば、モニタ電圧V1は、MOS−FET51aの出力電圧が抵抗61,62により分圧されることにより得られるものであって、MOS−FET51aの出力電圧に比例する。また、電源線L1におけるMOS−FET51bおよびモータ駆動回路50の間の部分とグランドとの間には、抵抗63および抵抗64が直列接続されている。抵抗63と抵抗64との間の電圧は、モニタ電圧V2として外部に取り出される。たとえば、モニタ電圧V2は、MOS−FET51bの出力電圧が抵抗63,64により分圧されることにより得られるものであって、MOS−FET51bの出力電圧に比例する。
マイコン53は、リレードライバ52をオンオフするためにオンオフ信号Sを生成して、リレードライバ52に出力する。また、マイコン53は、故障検出部53aを有している。故障検出部53aは、マイコン53から出力されるオンオフ信号Sに基づいて、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bのオンオフを判定する。故障検出部53aは、電源モニタ回路60からモニタ電圧V1,V2を取り込む。故障検出部53aは、これらオンオフ信号S、モニタ電圧V1,V2に基づいてMOS−FET51aおよびMOS−FET51bの故障(ショート故障またはオープン故障)を検出する。
つぎに、ECU4で行われるMOS−FET51a,51bの故障検出の処理手順について説明する。なお、IGスイッチはオフされている。MOS−FET51a,51bもそれぞれオフされている。
図3のフローチャートに示すように、まず車両のIGスイッチがオンされたことを検出する(ステップS1)。ただし、ここではMOS−FET51aはオフされており、その寄生ダイオードDの向きもバッテリ40からモータ駆動回路50へ電流が流れ込むことを規制する向きになっている。このため、モータ駆動回路50へ給電されない。
つぎに、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さいか否かを判定する(ステップS2)。閾値Tは、バッテリ40の電圧値Vbより小さな値に設定される。
ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さくない場合(ステップS2でNO)、MOS−FET51aがショート故障していると判定する(ステップS3)。ショート故障とは、MOS−FET51aをオフにした場合であっても、MOS−FET51aが電源線L1を遮断できない故障である。MOS−FET51aがショート故障している場合には、バッテリ40からモータ駆動回路50へ給電される電力はMOS−FET51aによって遮断できないため、モニタ電圧V1はバッテリ40の電圧値Vbと等しくなる。
MOS−FET51aがショート故障していると判定される場合(ステップS3)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS4)。MOS−FET51aが、バッテリ40からモータ駆動回路50への電流の流れ込みを規制できないためである。
つぎに、モニタ電圧V2が閾値Tよりも小さい場合(ステップS2でYES)、ECU4(リレードライバ52)は、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共にオンにする(ステップS5)。これにより、通常であれば、バッテリ40からモータ駆動回路50へ電流が流れ込む。
つぎに、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS6)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きくない場合(ステップS6のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51aのオープン故障およびオフ故障の少なくとも一方が生じていると判定する(ステップS7)。通常であれば、MOS−FET51aを介して、バッテリ40からモータ駆動回路50へ電流が流れ込むため、モニタ電圧V1はバッテリ40の電圧値Vbと等しくなる。なお、オフ故障とは、MOS−FET51aのゲート電極の断線等により、MOS−FET51aのオンオフを制御できない故障である。すなわち、MOS−FET51aはオフに維持される。
MOS−FET51aのオープン故障およびオフ故障の少なくとも一方が生じていると判定されると(ステップS7)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS4)。MOS−FET51aが、バッテリ40からモータ駆動回路50への電流の流れ込みを許容できないためである。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きい場合(ステップS6のYES)、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V2が閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。MOS−FET51aが正常である場合、MOS−FET51aを介して、バッテリ40からモータ駆動回路50へ電流が流れ込むため、モニタ電圧V1は大きくなるからである。
モニタ電圧V2が閾値Tよりも大きくない場合(ステップS8のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51bのオープン故障が生じていると判定する(ステップS9)。通常であれば、MOS−FET51bを介して、バッテリ40からモータ駆動回路50へ電流が流れ込むため、モニタ電圧V2はバッテリ40の電圧値Vbと等しい大きさになる。これに対し、MOS−FET51bがオープン故障している場合には、MOS−FET51bによりバッテリ40からモータ駆動回路50への給電経路(電源線L1)は遮断されている。このため、モニタ電圧V2は閾値Tよりも小さくなる。
MOS−FET51bのオープン故障が生じていると判定される場合(ステップS9)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS4)。
モニタ電圧V2が閾値Tよりも大きい場合(ステップS8のYES)、ECU4(リレードライバ52)は、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共にオフし(ステップS10)、オフした状態で一定時間待機する(ステップS11)。モニタ電圧V2がバッテリ40の電圧値Vbと等しくなっている場合、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共にオフすると、バッテリ40から抵抗61,62への給電が行われなくなる。このため、給電された電流が放電されるのに伴って通常モニタ電圧V1は小さくなる。さらに、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共にオフしてから一定時間待機することにより、より確実にモニタ電圧V1を閾値Tより小さい状態にする。
一定時間待機後、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さいか否かを判定する(ステップS12)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さくない場合(ステップS12のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51bのショート故障が生じていると判定する(ステップS13)。MOS−FET51bを介して、コンデンサ54から電流が流れ込むことにより、モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きくなっていると考えられるためである。なお、ステップS2,S3の処理を通じて、MOS−FET51aはショート故障していないと判定されている。
MOS−FET51bのショート故障が生じていると判定される場合(ステップS13)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS4)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さい場合(ステップS12のYES)、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共にオンし(ステップS14)、ECU4は通常通りのモータ20の制御を開始する(ステップS15)。
本実施形態の効果を説明する。
(1)MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共に制御する1つのリレードライバ52を設けるだけで、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bの故障を検出できる。MOS−FET51aおよびMOS−FET51bをそれぞれ制御する2つのリレードライバを設ける場合に比べて、ECU4の回路の規模はより低減される。
<第2実施形態>
つぎに、モータ制御装置をEPSに適用した第2実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態との違いを中心に説明する。
図4に示すように、ECU4はプリチャージ回路55を備えている。プリチャージ回路55は、マイコン53から入力される制御信号Pに基づいて、オンオフが制御される。
プリチャージ回路55は、電源線L1において、コンデンサ54が接続される部分と電源モニタ回路60(抵抗63)が接続される部分との間に接続されている。プリチャージ回路55は、電源リレー51がオフのとき、給電することによりコンデンサ54を充電する。プリチャージ回路55は、電源リレー51がオフからオンに切り替わったときのバッテリ40からコンデンサ54への突入電流を抑制するために設けられている。
つぎに、ECU4で行われるMOS−FET51a,51bの故障検出の処理手順について説明する。なお、IGスイッチはオフである。MOS−FET51a,51bもそれぞれオフである。
図5のフローチャートに示すように、まず車両のIGスイッチがオンされたことを検出する(ステップS101)。
つぎに、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS102)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きい場合(ステップS102でNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51aがショート故障していると判定し(ステップS103)、モータ20の制御を停止する(ステップS104)。
モニタ電圧V2が閾値Tよりも小さい場合(ステップS102でYES)、ECU4はプリチャージ回路55をオンにし(ステップS105)、一定時間待機する(ステップS106)。プリチャージ回路55をオンにすることにより、コンデンサ54に電圧が印加される。プリチャージ回路55から電圧が印加されるのに伴って、モニタ電圧V2は大きくなる。具体的には、モニタ電圧V2は閾値Tよりも大きくなる。このとき、コンデンサ54はプリチャージ回路55から電圧が印加されることによって充電される。
つぎに、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さいか否かを判定する(ステップS107)。通常であれば、バッテリ40からの電流の流れ込みは、MOS−FET51aによって規制される。また、プリチャージ回路55からの電流の流れ込みは、MOS−FET51bによって規制される。このため、通常モニタ電圧V1は閾値Tよりも小さくなる。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さくない場合(ステップS107のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51bのショート故障が生じていると判定する(ステップS108)。MOS−FET51bがショートしている場合、コンデンサ54から放電された電流はMOS−FET51b、抵抗61,62を経てグランド(バッテリ40のマイナス側)へ流れる。この場合、モニタ電圧V1は閾値Tよりも大きくなる。
MOS−FET51bのショート故障が生じていると判定されると(ステップS108)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS104)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さい場合(ステップS107のYES)、ECU4(リレードライバ52)は、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bを共にオンする(ステップS109)。MOS−FET51aおよびMOS−FET51bをオンすることにより、バッテリ40からモータ駆動回路50へと電流が流れ込む。この場合、コンデンサ54によって電源線L1には電圧が印加されているため、バッテリ40からモータ駆動回路50に、急激に突入電流が流れ込むことが抑制されている。
つぎに、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS110)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さい場合(ステップS110のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bが共にオフ故障していると判定する(ステップS111)。MOS−FET51aが正常であれば、バッテリ40から電流が流れ込むことによりモニタ電圧V1は閾値Tよりも大きくなり、MOS−FET51bが正常であれば、コンデンサ54から電流が流れ込むことによりモニタ電圧V1は閾値Tよりも大きくなるためである。
MOS−FET51aおよびMOS−FET51bが共にオフ故障していると判定される場合(ステップS111)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS104)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きい場合(ステップS110のYES)、ECU4はモータ20の制御を通常通り開始する(ステップS112)。
つぎに、ECU4は、モータ駆動回路50に電流が流せるか否かを判定する(ステップS113)。なお、ECU4は、たとえばモータ駆動回路50とモータ20との間の給電経路に設けられる電流センサ(図示しない)により検出される実電流値に基づいて、モータ駆動回路50に電流が流せるか否かを判定する。実電流値が既定の電流値より大きい場合、モータ駆動回路50に電流が流せると判定する。実電流値が既定の電流値より小さい場合、モータ駆動回路50に電流が流せないと判定する。
モータ駆動回路50に電流が流せない場合(ステップS113のNO)、ECU4は、MOS−FET51aのオープン故障、MOS−FET51bのオープン故障、およびMOS−FET51aのオフ故障のうち少なくとも1つが生じていると判定する(ステップS114)。
そして、MOS−FET51aのオープン故障、MOS−FET51bのオープン故障、およびMOS−FET51aのオフ故障のうち少なくとも1つが生じている場合(ステップS114)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS104)。MOS−FET51aおよびMOS−FET51bのオープン故障、MOS−FET51aのオフ故障の少なくとも一方が発生するとき、バッテリ40からモータ駆動回路50への給電が遮断されるためである。
バッテリ40からモータ駆動回路50に電流が流せる場合(ステップS112のYES)、ECU4は通常通りのモータ20の制御を継続する(ステップS115)。
本実施形態の効果を説明する。
(1)プリチャージ回路55を設けることにより、MOS−FET51bのショート故障をより早く検出することができる。たとえばMOS−FET51bがショート故障している場合、MOS−FET51bを介してプリチャージ回路55から電源線L1におけるMOS−FET51aおよびMOS−FET51bの間へ向けて給電されるため、直ちにMOS−FET51bの故障を検出できる。たとえば、第1実施形態であれば、MOS−FET51bのショート故障はステップS12の判定をしなければ判定できなかったが、本実施形態であればステップS107,S108の判定をすることでMOS−FET51bのショート故障を判定できる。
<第3実施形態>
つぎに、モータ制御装置をEPSに適用した第3実施形態について説明する。本実施形態のEPSは、図4に示される構成と同様のECU4を有している。ここでは、第2実施形態との違いを中心に説明する。
閾値Tは、バッテリ40の電圧値Vbよりも小さく設定されている。また、閾値Tは、プリチャージ回路55の電圧値Vpよりも大きく設定されている。すなわち、バッテリ40の電圧値Vb、閾値T、プリチャージ回路55の電圧値Vpの順に電圧値は大きい。
つぎに、ECU4で行われるMOS−FET51a,51bの故障検出の処理手順について説明する。
図6のフローチャートに示すように、ステップS201〜S209は、第2実施形態のステップS101〜S109と同様である。ただし、ステップS203の場合には、MOS−FET51aを介してバッテリ40から電流が流れ込むことにより、モニタ電圧V1はバッテリ40の電圧値Vbに設定される。また、ステップS206により、電源線L1における電源リレー51とモータ駆動回路50との間は、プリチャージ回路55の電圧値Vpに設定される。また、ステップS209により、バッテリ40からモータ駆動回路50へと電流が流れ込むようになるため、電源線L1での電圧値はバッテリ40の電圧値Vbとなる。
つぎに、モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS210)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも小さい場合(ステップS210のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bの少なくとも一方がオフ故障していると判定する(ステップS211)。たとえば、MOS−FET51aが正常であれば、バッテリ40から電流が流れ込むことにより、モニタ電圧V1は閾値Tよりも大きな電圧値Vbと等しくなるためである。
MOS−FET51aおよびMOS−FET51bの少なくとも一方がオフ故障していると判定される場合(ステップS211)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS204)。
モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きい場合(ステップS210のYES)、ECU4(故障検出部53a)は、モニタ電圧V2が閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS212)。
モニタ電圧V2が閾値Tよりも大きくない場合(ステップS212のNO)、ECU4(故障検出部53a)は、MOS−FET51aがオープン故障またはMOS−FET51aがオフ故障していると判定する(ステップS213)。たとえば、MOS−FET51aがオープン故障している場合、バッテリ40からモータ駆動回路50への給電が遮断されるため、モニタ電圧V2はプリチャージ回路55の電圧値Vpと等しくなる。このため、モニタ電圧V2は閾値Tよりも小さくなり、MOS−FET51aが故障していることを判定できる。
モータ駆動回路50に電流が流せない場合(ステップS215のNO)、ECU4は、MOS−FET51bのオープン故障が生じていることを判定する(ステップS216)。MOS−FET51bにオープン故障が発生するとき、バッテリ40からモータ駆動回路50への給電が遮断されるためである。なお、ステップS212において、MOS−FET51aにオープン故障やオフ故障などが生じていないことを判定しているため、MOS−FET51bのオープン故障と判定できる。
そして、MOS−FET51bのオープン故障が生じている場合(ステップS216)、ECU4はモータ20の制御を停止する(ステップS204)。
バッテリ40からモータ駆動回路50に電流が流せる場合(ステップS212のYES)、ECU4は通常通りのモータ20の制御を継続する(ステップS217)。
本実施形態の効果を説明する。
(1)閾値Tはバッテリ40の電圧値Vbよりも小さく設定し、閾値Tはプリチャージ回路55の電圧値Vpよりも大きく設定することにより、故障検出部53aは、より早くMOS−FET51aのオープン故障またはMOS−FET51aのオフ故障を判定できる。第2実施形態と比べると、故障検出部53aは、ステップS215のモータ駆動回路50に電流が流れるか否かの判断よりも前に、MOS−FET51aのオープン故障またはMOS−FET51aのオフ故障を判定する。モータ駆動回路50に電流が流れているかどうかを判定するステップS215の判定は時間を要するため、モニタ電圧V2が閾値Tよりも大きいか否かを判定するステップS212を設けた場合の方がMOS−FET51aのオープン故障またはMOS−FET51aのオフ故障を判定するのは早くなる。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。
・第2および第3実施形態では、ステップS105およびステップS205においてプリチャージ回路55をオンにしたが、これに限らない。たとえば、ステップS101とステップS102との間、ステップS201とステップS202との間に、プリチャージ回路55をオンにしてもよい。たとえば、第2実施形態において、ステップS101とステップS102の間にプリチャージ回路55のオン処理を設けた場合、モニタ電圧V1が閾値Tよりも大きいときには、MOS−FET51aおよびMOS−FET51bの少なくとも一方がショート故障していると判定できる。
・各実施形態では、MOS−FET51a,51bの故障検出の判定は全て同じ閾値Tを用いて行われたが、これに限らない。たとえば、第1実施形態では、ステップS2とステップS6で用いられる閾値を異なる値にしてもよい。同様に、第1実施形態では、ステップS6とステップS8で用いられる閾値を異なる値にしてもよい。すなわち、各判定で用いられる閾値は、その判定内容に応じて適切な閾値が用いられればよい。
・各実施形態において、故障検出部53aはマイクロコンピュータであってもよい。
・各実施形態において、電源モニタ回路60は電圧を測定できる回路であればどのようなものであってもよい。
・各実施形態のモータ制御装置は、コラム型の電動パワーステアリング装置に具体化したが、どのような電動パワーステアリング装置に具体化してもよい。たとえば、ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置であってもよい。また、電動パワーステアリング装置に限らず、ステアバイワイヤ(SBW)に適用してもよい。すなわち、モータ制御装置を備える装置であれば、どのようなものであってもよい。
1…EPS、2…操舵機構、3…アシスト機構、4…ECU、10…ステアリングホイール、11…ステアリングシャフト、11a…コラムシャフト、11b…インターミディエイトシャフト、11c…ピニオンシャフト、12…ラックシャフト、13…ラックアンドピニオン機構、14…タイロッド、15…転舵輪、20…モータ、21…回転軸、22…減速機構、30…トルクセンサ、31…回転角センサ、32…車速センサ、40…バッテリ、50…モータ駆動回路、51…電源リレー、51a,51b…MOS−FET(スイッチング素子)、52…リレードライバ(ドライバ)、53…マイコン、53a…故障検出部、54…コンデンサ、55…プリチャージ回路、60…電源モニタ回路(第1の電圧検出部、第2の電圧検出部)、61〜64…抵抗、θ…回転角、τ…操舵トルク、D…寄生ダイオード、G…ゲート駆動信号、L1,L2…電源線(給電経路)、V…車速、T…閾値、V1…モニタ電圧(第1の電圧)、V2…モニタ電圧(第2の電圧)、Vb,Vp…電圧値。

Claims (5)

  1. モータと、
    前記モータへの給電経路上に設けられ、前記モータに電力を供給するモータ駆動回路と、
    前記モータ駆動回路への給電を通電または遮断するとともに、互いに反対向きの寄生ダイオードを有する2つのスイッチング素子からなる電源リレーと、
    前記給電経路における前記2つのスイッチング素子の間の電圧である第1の電圧を検出する第1の電圧検出部と、
    前記給電経路における前記電源リレーと前記モータ駆動回路との間の電圧である第2の電圧を検出する第2の電圧検出部と、
    前記2つのスイッチング素子を共にオンオフするドライバと、
    前記第1の電圧と、前記第2の電圧と、前記2つのスイッチング素子のオン状態またはオフ状態とに基づいて前記2つのスイッチング素子の故障を検出する故障検出部と、を備えるモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記2つのスイッチング素子を共にオンにしたとき、
    前記第1の電圧および前記第2の電圧が閾値より大きいか否かの判定結果に基づいて、前記2つのスイッチング素子の故障を検出するモータ制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のモータ制御装置において、
    前記2つのスイッチング素子が共にオンのとき、
    前記2つのスイッチング素子を共にオフすることで、前記給電経路における前記第1の電圧検出部の接続点と前記モータ駆動回路との間のスイッチング素子の故障を検出するモータ制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記給電経路における前記電源リレーと前記モータ駆動回路との間に接続され、前記給電経路から供給される電力を充放電するコンデンサと、
    前記2つのスイッチング素子が共にオフのときに前記コンデンサを充電するプリチャージ回路と、を備え、
    前記プリチャージ回路をオンにして一定時間待機した後、
    前記2つのスイッチング素子を共にオンにしたとき、
    前記第1の電圧および前記第2の電圧が閾値より大きいか否かの判定結果に基づいて、前記2つのスイッチング素子の故障を検出するモータ制御装置。
  5. 請求項4に記載のモータ制御装置において、
    前記閾値はバッテリの電圧値よりも小さく、当該閾値は前記プリチャージ回路の電圧値よりも大きく設定されているモータ制御装置。
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