JP5402068B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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ここで、上記周辺回路としては、各種の監視/禁止回路が含まれ、CPU暴走を検出するウォッチドッグタイマ回路、アシスト電流の過電流を検出する過電流検出回路、制御用/フェールセーフ用としてモータ電流を検出するモータ電流検出回路、バッテリ電源を供給又は異常時に切り離すパワーリレー回路、制御用/フェールセーフ用としてトルクを検出するトルク入力アンプ回路などがある。
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来装置にあっては、イグニッションOFFとなったとき、電源供給ラインに介挿された大容量電解コンデンサの放電経路がないため、次回始動時に当該コンデンサに電荷が残ったままとなってしまう。
そこで、本発明は、始動時の初期診断時間を短縮することができるモータ制御装置を提供することを課題としている。
前記モータへの電源供給指令が出力されたとき、少なくとも前記電源リレー回路の前記電源安定化用コンデンサ側と接続される接点の電圧に基づいて、当該電源リレー回路の異常検出を行う初期異常検出手段と、前記モータへの電源供給指令が停止されたとき、所定条件が成立するまで電源を自己保持可能な電源自己保持手段と、前記電源自己保持手段による電源自己保持中に、前記電源リレー回路を開状態として前記モータを強制駆動するモータ強制駆動手段とを備え、
前記電源自己保持手段は、前記モータ強制駆動手段で前記モータを強制駆動した後の前記電源安定化用コンデンサの充電電圧が規定電圧以下であるとき、自己保持している電源を遮断することを特徴としている。
また、請求項3に係るモータ制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記モータ強制駆動手段で前記モータを強制駆動した後の前記電源安定化用コンデンサの充電電圧が前記規定電圧を越えているとき、前記電源リレー回路のリレー溶着異常であると判断する溶着異常検出手段を備えることを特徴としている。
図1は、本発明に係るモータ制御装置を電動パワーステアリング装置に適用した場合の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端はトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ15に入力される。
また、イグニッションスイッチがオン状態となったとき、後述の電源安定化用コンデンサ35へのプリチャージを行い、プリチャージ終了後、後述の電源リレー回路33をオン状態に切り換える。さらにこのとき、初期診断処理として電源リレー回路33のリレー溶着等の異常検出を行い、異常検出時には所定のフェールセーフ処理を実行する。
プリチャージ回路40は、前記電源安定化用コンデンサ35の高電位側に接続される、電源安定化用コンデンサ35側への逆電圧の印加を防止するための逆電圧素子用のダイオード41と、電界効果トランジスタで構成され、電源安定化用コンデンサ35へのプリチャージ電流を制御するプリチャージ電流制御用トランジスタ42と、このプリチャージ電流制御用トランジスタ42のソース端子に一端が接続される突入電流抑制用抵抗43と、から構成され、プリチャージ電流制御用トランジスタ42のドレイン端子が突入電流抑制用抵抗43の一端に接続され、その他端はダイオード41のアノード側に接続される。
前記プリチャージ電流制御用トランジスタ42のゲート端子には、マイクロコンピュータ16からのプリチャージ制御信号Spが入力され、プリチャージ制御信号Spにより電源安定化用コンデンサ35のチャージ量が制御される。
一方、前記電源自己保持用トランジスタ52のゲート端子には、マイクロコンピュータ16からの電源自己保持信号Skが入力される。電源自己保持用トランジスタ52は、イグニッションスイッチIGが閉状態となりマイクロコンピュータ16が起動されたときにオン状態に制御され、イグニッションスイッチIGを介さず直接に、バッテリ36からの電力供給を可能とする。また、イグニッションスイッチIGがオフ状態となったときには、所定の処理が行われ電源リレー回路33が開状態に制御された後、オフ状態に制御される。
また、マイクロコンピュータ16は、プリチャージ用トランジスタ42をPWM制御しデューティ比制御を行うことで、電源安定化用コンデンサ35へのプリチャージ量を制御し、例えば、電源リレー回路33の両接点の電位差が突入電流の生じない程度の値となったときプリチャージを終了すると共に電源リレー回路33をオン状態に切り換える。
図3は、マイクロコンピュータ16で実行される操舵補助制御処理手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS1で、マイクロコンピュータ16は、制御系全体を初期化し、ステップS2に移行する。
ステップS2では、マイクロコンピュータ16は、イグニッションスイッチIGがオフ状態からオン状態に切り換わるのを監視し、イグニッションスイッチIGがオン状態に切り換わったとき、ステップS3に移行して、電源自己保持用トランジスタ52のゲート端子に対して電源自己保持信号Skを出力することで、電源自己保持機能をオン状態とする。
ステップS5では、マイクロコンピュータ16は、前記ステップS4の初期診断において、リレー溶着異常が検出されたか否かを判定し、異常が検出されている場合には後述するステップS19に移行し、異常が検出されていない場合にはステップS6に移行する。
ステップS6では、マイクロコンピュータ16は、トルクセンサ3で検出したトルク検出値Tを読み込み、ステップS7に移行する。
ステップS7では、マイクロコンピュータ16は、モータ電流検出回路19で検出した電動モータ12に流れる駆動電流を読み込み、ステップS8に移行する。
ステップS10では、マイクロコンピュータ16は、トルク検出値T及び車速検出値Vに基づいて、運転者の操舵操作に応じた操舵補助力を発生させるための操舵補助制御処理を公知の手順で実行し、電動モータ12を駆動制御するためのモータ駆動電流IMを演算する。
そして、イグニッションスイッチIGがオフ状態に切り換わったと判断したときには、後述するステップS14に移行し、イグニッションスイッチIGがオン状態のままであると判断したときには、ステップS13に移行する。
ステップS13では、マイクロコンピュータ16は、前記ステップS10で演算したモータ駆動電流IMをモータ駆動回路18に対して出力してから前記ステップS6に移行し、引き続き操舵補助力制御を実行する。
ステップS15では、マイクロコンピュータ16は、電動モータ12の温度tを推定し、ステップS16に移行する。ここで、電動モータ12の温度推定は、例えば、モータ端子間抵抗値Rに基づいて、次式をもとに行う。
t=(R−R20)/α+20 ………(1)
ステップS16では、マイクロコンピュータ16は、電源リレー回路33をオン状態からオフ状態に制御し、ステップS17に移行する。
ステップS17では、マイクロコンピュータ16は、電動モータ12を所定のPWMデューティ比で強制駆動することにより電源安定化用コンデンサ35の電荷を引き抜き、ステップS18に移行する。
そして、t>t1であると判定したときには、電源自己保持中の温度推定処理を継続するものと判断してステップS21に移行し、前記ステップS15と同様の処理を行って電動モータ12の温度tを推定してから前記ステップS20に移行する。一方、前記ステップS20で、t≦t1であると判定したときにはステップS22に移行し、電源自己保持用トランジスタ52のゲート端子に対する電源自己保持信号Skの出力を停止する。
次に、前記ステップS4で実行する初期診断処理について、図4に示すフローチャートをもとに説明する。先ず、ステップS31で、マイクロコンピュータ16は、電源リレー回路33をオフ状態としてステップS32に移行する。
ステップS32では、マイクロコンピュータ16は、この時点での電源リレー回路33のコンデンサ側電圧であるリレー電圧Vrを電圧Vr1として記憶し、ステップS33に移行して電動モータ12に所定の電流を流すことで当該電動モータ12を駆動する。
ステップS39では、マイクロコンピュータ16は、この時点でのリレー電圧Vrを電圧Vr2として記憶してからステップS40に移行して、電動モータ12に所定の電流を流すことで当該電動モータ12を駆動する。
また、図3において、ステップS16及びS17の処理がモータ強制駆動手段に対応し、ステップS18及びS19の処理が溶着異常検出手段に対応し、ステップS15及びS21の処理が温度推定手段に対応している。さらに、図4の初期診断処理が初期異常検出手段に対応している。
イグニッションスイッチIGがオン状態となると、マイクロコンピュータ16は、図3の操舵補助制御処理において、ステップS2でYesと判定してステップS3に移行し、電源自己保持信号Skを出力して電源自己保持用トランジスタ52をオン状態に切り換える。そして、ステップS4で初期診断処理を行い、電源リレー回路33のリレー溶着異常診断及びリレーオープン異常診断を行う。このとき、電源リレー回路33が正常に動作している場合には、電源リレー回路33がオン状態でステップS5からステップS6に移行する。
そして、電源リレー回路33をオフ状態とした後、電動モータ12を所定のPWMデューティ比で強制駆動する。イグニッションスイッチIG及び電源リレー回路33が共にオフ状態であることから、モータ駆動回路18にはイグニッションスイッチIGを介した電力供給及び電源リレー回路33を介した電力供給が行われない。したがって、この状態で電動モータ12を強制駆動することで、電源安定化用コンデンサ35に溜まっている電荷を引き抜くことができる。
そして、この状態で電源安定化用コンデンサ35の電圧を監視し、電源リレー回路33のリレー溶着異常が発生しておらず電圧Vrが一定電圧VrTHまで低下すると、ステップS18からステップS20に移行する。
ところで、イグニッションスイッチIGがオフ状態からオン状態に切り替わったときには、電源リレー回路の溶着異常診断及びオープン異常診断等の初期診断が実施されるのが一般的であり、この初期診断処理では、電源リレーOFF状態でモータを駆動したときのリレー電圧が所定の電圧閾値まで下がらないときにリレー溶着異常であると判断したり、電源リレーON状態でモータを駆動したときのリレー電圧が所定の電圧閾値まで低下したときにリレー溶着異常であると判断したりする。
したがって、イグニッションスイッチIGがオフ状態からオン状態へ切り替わると、マイクロコンピュータ16は、図3のステップS2でYesと判定してステップS3に移行し、電源自己保持信号Skを出力して電源自己保持用トランジスタ52をオン状態に切り換える。そして、ステップS4で電源リレー回路33のリレー溶着異常診断及びリレーオープン異常診断が行われる。
このように、上記実施形態では、イグニッションOFFとなって電源供給指令が停止されたとき、所定条件が成立するまで電源を自己保持し、この電源自己保持中に電源リレー回路を開状態としてモータを強制駆動するので、イグニッションOFF時には常に大容量電解コンデンサの電荷を引き抜いておくことができる。したがって、イグニッションON時に実行する初期診断、具体的には、少なくとも電源リレー回路の大容量電解コンデンサ側と接続される接点の電圧に基づいて当該電源リレー回路の異常を検出する電源リレー異常診断の診断ロジックを簡略化して、初期診断時間の短縮を実現することができる。その結果、イグニッションONとなってから操舵アシストが開始されるまでの時間を短縮することができる。
さらに、モータを強制駆動した後の電源安定化用コンデンサの充電電圧が規定電圧以下であるとき、モータ温度が所定温度以下となってから自己保持している電源を遮断して操舵補助制御を終了するので、イグニッションOFF時に確実に大容量電解コンデンサの電荷を引き抜いておくことができると共に、頻繁な電源のON/OFFにより温度保護制御が不完全になることを防止することができる。
なお、上記実施形態においては、図4の初期診断処理において、電源リレー回路33のコンデンサ側電圧と所定の電圧閾値とを比較することでリレー溶着異常やリレーオープン異常を検出する場合について説明したが、電源リレー回路33の接点電位差(バッテリ側接点電圧とコンデンサ側接点電圧との差)と所定の電圧閾値とを比較したり、バッテリ電圧とコンデンサ側接点電圧とを比較したりすること等によって異常検出を行うこともできる。
さらに、上記実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置などの車載電動機器や他の電動機器等のモータを適用した機器に本発明を適用することもできる。
Claims (3)
- モータを駆動制御するモータ駆動回路と、当該モータ駆動回路に電源からの電力を供給する電源リレー回路と、当該電源リレー回路を制御するリレー制御手段と、当該電源リレー回路と前記モータ駆動回路との間に介挿された電源安定化用コンデンサと、前記電源リレー回路を閉じる前に前記電源安定化用コンデンサを充電するプリチャージ回路と、を備えるモータ制御装置であって、
前記モータへの電源供給指令が出力されたとき、少なくとも前記電源リレー回路の前記電源安定化用コンデンサ側と接続される接点の電圧に基づいて、当該電源リレー回路の異常検出を行う初期異常検出手段と、前記モータへの電源供給指令が停止されたとき、所定条件が成立するまで電源を自己保持可能な電源自己保持手段と、前記電源自己保持手段による電源自己保持中に、前記電源リレー回路を開状態として前記モータを強制駆動するモータ強制駆動手段とを備え、
前記電源自己保持手段は、前記モータ強制駆動手段で前記モータを強制駆動した後の前記電源安定化用コンデンサの充電電圧が規定電圧以下であるとき、自己保持している電源を遮断することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記モータの温度を推定する温度推定手段を有し、前記電源自己保持手段は、前記モータ強制駆動手段で前記モータを強制駆動した後の前記電源安定化用コンデンサの充電電圧が規定電圧以下であるとき、前記温度推定手段で推定した前記モータの温度が所定温度以下となってから自己保持している電源を遮断することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記モータ強制駆動手段で前記モータを強制駆動した後の前記電源安定化用コンデンサの充電電圧が前記規定電圧を越えているとき、前記電源リレー回路のリレー溶着異常であると判断する溶着異常検出手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
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