JP5332689B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
また、従来の電動機制御装置としては、モータへの電源供給遮断後、モータの上昇温度に基づいて、自己保持している電源を遮断するまでの遮断時間を演算し、演算された遮断時間経過後に電源遮断指令を出力して、自己保持している電源を遮断するというものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
そのため、再イグニッションON時には、モータが過熱している状態であるにもかかわらず常温とみなし、通常制御にて電流が流されてモータが熱破損するおそれがある。
そこで、本発明は、モータの安定したフェイルセーフを実現するモータ制御装置を提供することを課題としている。
これにより、イグニッションOFF後すぐにバッテリを外す作業が行われ、モータが過熱している状態で電源自己保持中の温度推定が中断された場合(正常終了していない場合)であっても、再イグニッションON時に、通常制御にて電流が流されることを防止して、モータの熱破損を防止することができるという効果が得られる。
図1は、本発明に係るモータ制御装置を電動パワーステアリング装置に適用した場合の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端はトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ15に入力される。
この電源リレー回路30は、機械式接点を有する機械式リレーから構成され、リレー接点31と、リレーコイル32と、リレーコイル32に対する印加電圧を制御する印加電圧制御用能動素子としてのトランジスタ33とを有する。リレーコイル32は、マイクロコンピュータ21からトランジスタ33へリレー制御信号が出力されることによって駆動制御される構成となっている。
また、電源リレー回路30は、イグニッションスイッチ18がオン状態からオフ状態に切り替わったときに、オン状態を維持することで、電源を自己保持することができるようになっている。
このような構成により、コントローラ15は、イグニッションスイッチ18がオン状態である(電源供給指令が出力されている)ときには、電動モータ12の温度を監視しながら、操舵系に運転者の操舵操作に応じた操舵補助力を付与する操舵補助力制御を実施する。
図2において、モータ駆動回路22及びモータ電流検出回路23がモータ駆動制御手段に対応し、電源リレー回路30が電源自己保持手段に対応している。
ステップS3では、マイクロコンピュータ21は、前記ステップS2で読み込んだ温度推定未完了フラグFLGが、電源自己保持中の温度推定処理が正常に終了されなかったことを意味する“1”にセットされているか否かを判定する。そして、FLG=0であり、電源自己保持中の温度推定処理が正常に終了されているときにはステップS4に移行し、FLG=1であるときには後述するステップS20に移行する。
ステップS5では、マイクロコンピュータ21は、各種データを読み込む。具体的には、トルクセンサ3で検出したトルク検出値T、車速センサ16で検出した車速検出値V、及びモータ電流検出回路23で検出した電動モータ12のモータ電流検出値IMDを読み込む。
ステップS7では、マイクロコンピュータ21は、トルク検出値T、車速検出値V及びモータ電流検出値IMDに基づいて、運転者の操舵操作に応じた操舵補助力を発生させるためのモータ駆動制御処理を公知の手順で実行し、制御信号(電動モータ12を駆動制御するためのモータ駆動電流IM)を演算する。
t=(R−R20)/α+20 ………(1)
ここで、R20は、20℃におけるモータ端子間抵抗値、αはモータ巻線の温度係数である。このように、上記(1)式では、基準温度を20℃としているが、任意の温度を基準温度として求めることもできる。
ステップS11では、マイクロコンピュータ21は、イグニッションスイッチ18がオフ状態に切り替わったか否かを判定し、オン状態のままであると判定したときにはステップS12に移行して、モータ駆動電流IMをモータ駆動回路22に対して出力してから前記ステップS5に移行し、引き続き操舵補助力制御を実行する。
ステップS13では、マイクロコンピュータ21は、制御信号(モータ駆動電流IM)の出力を中止して、ステップS14に移行する。
ステップS14では、マイクロコンピュータ21は、電源リレー回路30をオン状態に維持して電源を自己保持し、ステップS15に移行して、前記ステップS8と同様の処理を行って電動モータ12の温度tを推定する。
そして、このステップS16で、t≧t2であると判定されたときには、電源自己保持中の温度推定処理を継続するものと判断して前記ステップS14に移行し、t<t2であると判定されたときにはステップS17に移行する。
ステップS18では、マイクロコンピュータ21は、電源リレー回路30のトランジスタ33へのリレー制御信号の出力を停止して、電源リレー回路30を開状態に制御することで、電源リレー回路30をオン状態からオフ状態へ切り替え、次いでステップS19に移行して、電動パワーステアリング制御を停止してから操舵補助力制御処理を終了する。
また、ステップS20では、マイクロコンピュータ21は、前記ステップS5と同様に各種データを読み込み、ステップS21に移行して、前記ステップS6と同様に各種センサ等の故障診断を行う。
このとき、図4に示す操舵補助指令値制限マップを参照し、通常の操舵補助指令値に対して制限された操舵補助指令値IM *を求め、制限された操舵補助指令値IM *とモータ電流検出値IMDとにより、モータ駆動電流IMを算出するものとする。
そして、このステップS23で、所定時間が経過したと判定されたときには、ステップS24に移行して、温度推定未完了フラグFLGを“0”にリセットすると共に、これをEEPROM25に記憶してステップS25に移行する。一方、前記ステップS23で、所定時間が経過していないと判定されたときには、そのままステップS25に移行する。
ステップS26では、マイクロコンピュータ21は、前記ステップS22で算出したモータ駆動電流IMをモータ駆動回路22に対して出力してから前記ステップS3に移行し、引き続き制限された操舵補助力制御を実行する。
図3において、ステップS8及びステップS15の処理が温度推定手段に対応し、ステップS11及びステップS13〜S15の処理が温度推定継続手段に対応し、ステップS16及びステップS17の処理が正常終了判断手段に対応し、ステップS3〜S7及びステップS20〜S24の処理が制御量設定手段に対応している。
今、イグニッションスイッチ18がオン状態で自車両が旋回走行中であるものとする。この場合には、マイクロコンピュータ21は、図3のステップS1でYesと判定する。このとき、温度推定未完成フラグFLGが、電源自己保持中の温度推定が正常終了したことを意味する“0”にリセットされているものとすると、ステップS3からステップS4に移行して、FLG=1にセットされる。そして、マイクロコンピュータ21は、ステップS6でトルクセンサ3や車速センサ16の故障診断を行い、各種センサが正常であると判断されると、ステップS7で、トルク検出値Tや車速検出値Vに基づいて、運転者の操舵操作に応じた操舵補助力(通常操舵補助力)が発生するように電動モータ12を駆動制御するためのモータ駆動電流IMを演算する。
その後、再びイグニッションスイッチ18がオン状態となると、ステップS1からステップS2を経てステップS3に移行し、FLG=0であることから、ステップS3からステップS4に移行する。そのため、前述したように、トルク検出値Tや車速検出値Vに基づいて、通常の操舵補助力制御が実施される。
これに対して、本実施形態では、電源自己保持中の温度推定が正常終了したか否かを記憶しておき、次回のイグニッションON時には、その記憶結果に応じて操舵補助力制御の制御量を設定する。
その後、再びイグニッションスイッチ18がオン状態となると、ステップS1からステップS2を経てステップS3に移行し、FLG=1であることから、ステップS3でYesと判定されてステップS20に移行する。
その後、所定時間が経過すると、ステップS23でYesと判定されてステップS24に移行し、温度推定未完了フラグFLG=0にリセットされるため、ステップS26で、通常時のモータ駆動電流IMに対して制限されたモータ駆動電流IMをモータ駆動回路22に出力した後、ステップS3でNoと判定されてステップS4に移行する。そのため、制限された操舵補助力制御から通常の操舵補助力制御に移行する。
したがって、ディーラー等がイグニッションOFF後すぐにバッテリを外す作業を行い、モータが過熱している状態で温度推定処理が中断された場合であっても、次回のイグニッションON時に、常温とみなされて通常制御にてモータに電流が流されることに起因するモータの熱破損の発生を防止することができる。
さらに、温度推定未完了フラグFLG=1の状態で、再度モータ温度異常や、その他の各種センサの異常が重なった場合に、温度推定未完了フラグFLGの存在を基準に、モータ過熱に起因した異常であるか否かを特定することができる。
なお、上記実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置などの車載電動機器や他の電動機器等のモータを適用した機器に本発明を適用することもできる。
Claims (2)
- 外部からの電源供給指令に応じてモータへ電源を供給し、前記モータを駆動制御するモータ駆動制御手段と、電源供給指令が停止されたとき、電源を自己保持可能な電源自己保持手段と、前記モータの温度を推定する温度推定手段と、電源供給指令が停止された後、所定条件が成立するまで前記電源自己保持手段で電源を自己保持し、前記温度推定手段による温度推定を継続する温度推定継続手段と、該温度推定継続手段による温度推定が正常終了したか否かを判断する正常終了判断手段とを備え、前記モータ駆動制御手段は、前記正常終了判断手段で、前記温度推定継続手段による温度推定が異常終了したと判断されたとき、次回の電源供給時のモータ駆動制御の制御量を、前記温度推定継続手段による温度推定が正常終了するまでに要する時間を基準に設定した所定期間、通常制御量に比して制限する制御量設定手段を備えることを特徴とするモータ制御装置。
- 前記モータ駆動制御手段は、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与するように前記モータを駆動制御するものであって、前記制御量設定手段は、前記正常終了判断手段で、前記温度推定継続手段による温度推定が異常終了したと判断されたとき、次回の電源供給時に操舵系に付与する操舵補助力を、所定期間、通常操舵補助力に比して制限することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
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