JP2017021308A - 凸版とその製造方法及び製造装置 - Google Patents

凸版とその製造方法及び製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017021308A
JP2017021308A JP2015141169A JP2015141169A JP2017021308A JP 2017021308 A JP2017021308 A JP 2017021308A JP 2015141169 A JP2015141169 A JP 2015141169A JP 2015141169 A JP2015141169 A JP 2015141169A JP 2017021308 A JP2017021308 A JP 2017021308A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vacuum
degree
film
photosensitive resin
transparent plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015141169A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6491559B2 (ja
Inventor
米治 田中
Yoneji Tanaka
米治 田中
加藤 一成
Kazunari Kato
一成 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2015141169A priority Critical patent/JP6491559B2/ja
Publication of JP2017021308A publication Critical patent/JP2017021308A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6491559B2 publication Critical patent/JP6491559B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

【課題】ネガフィルムを下部透明板に確実に密着させてネガフィルムの位置精度を確保し
つつ、版の再現性及び版着色性を向上する。
【解決手段】凸版の製造方法であって、ネガフィルムと当該ネガフィルムを覆うカバーフィルムを下部透明板に所定の真空度で吸引して保持する工程、前記カバーフィルム上に液状感光性樹脂を塗布する工程、前記ネガフィルムと前記カバーフィルムを吸引する真空度を、前記所定の真空度を維持した、又は、前記所定の真空度から下げた第一真空状態で、前記下部透明板の下から光を照射し前記液状感光性樹脂を露光する第一の露光工程、及び、前記第一真空状態の真空度から真空度を変更した第二真空状態で前記下部透明板の下から光を照射し前記液状感光性樹脂を露光する第二の露光工程を有する、凸版の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、凸版(凸版印刷用感光性樹脂硬化物)とその製造方法及び製造装置に関する。
例えば凸版の製造工程における露光プロセスは、露光装置において行われる。露光装置では、例えば下部透明板上にネガフィルムを載置し、そのネガフィルムをカバーフィルムで覆い、その上に液状感光性樹脂を塗布している。そして、液状感光性樹脂をベースフィルムで覆い、マスキングフィルムをベースフィルムの上に設置し、上部透明板と下部透明板の間に、ネガフィルム、カバーフィルム、液状感光性樹脂、ベースフィルム及びマスキングフィルムからなる積層体を挟んで、上部光源により液状感光性樹脂の上部(裏面)をマスキング露光し、下部光源により液状感光性樹脂の下部(表面)をレリーフ露光している。
また、ネガフィルムを下部透明板に密着させネガフィルムの位置ずれを防止するため、ネガフィルムとカバーフィルムを真空ポンプで吸引し所定の圧力にして、下部透明板に保持している(特許文献1参照)。
国際公開WO2008/149885号公報
ところで、上述のような露光装置において、版の再現性をさらに向上させ、版の着色を低減させることが求められている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、真空吸引によりネガフィルムを下部透明板に吸引保持する凸版の製造方法及び製造装置において、版の再現性を向上させ、版の着色を低減することをその目的とする。
上記目的を達成するため発明者らが鋭意研究した結果、露光のプロセス中のネガフィルムを吸着する際の真空度と版の再現性に関連があることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]凸版の製造方法であって、
ネガフィルムと当該ネガフィルムを覆うカバーフィルムを下部透明板に所定の真空度で吸引して保持する工程、
前記カバーフィルム上に液状感光性樹脂を塗布する工程、
前記ネガフィルムと前記カバーフィルムを吸引する真空度を、前記所定の真空度を維持した、又は、前記所定の真空度から下げた第一真空状態で、前記下部透明板の下から光を照射し前記液状感光性樹脂を露光する第一の露光工程、及び、
前記第一真空状態の真空度から真空度を変更した第二真空状態で前記下部透明板の下から光を照射し前記液状感光性樹脂を露光する第二の露光工程
を有する、凸版の製造方法。
[2]前記液状感光性樹脂上にベースフィルムを設置し、そのベースフィルム上にマスキングフィルムを設置する工程と、
上部透明板を下降して、前記ベースフィルム及び前記マスキングフィルムを介して前記液状感光性樹脂を上から押さえる工程と、をさらに有し、
前記真空度は、前記液状感光樹脂を上から押さえた後に下げられる、[1]に記載の凸版の製造方法。
[3]前記第一真空状態における真空度を−50kPaG以下、第二真空状態における真空度を−30kPaG以上−10kPaG以下、に各々調整する、[1]又は[2]に記載の凸版の製造方法。
本発明によれば、ネガフィルムを下部透明板に真空吸引により確実に密着させてネガフィルムの位置精度を確保しつつ、版の再現性を向上させ、版の着色を低減できる。
凸版の製造装置の構成の概略を示す斜視図である。 凸版の製造装置の構成の概略を示す説明図である。 凸版の製造工程の一例を示すタイムチャートである。 液状感光性樹脂を塗布する工程を示す説明図である。 上部透明板を降下させる工程を示す説明図である。 真空吸引による酸素分子の流れを示す説明図である。 溶存酸素の多い場合と少ない場合の液状感光性樹脂の硬化の様子を示す説明図である。 実施例の版の再現性を評価する実験で用いられるネガのパターンと版の評価パラメータを示す説明図である。 白抜き線の線幅の実験結果を示すグラフである。 白抜き線の深度の実験結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明を実施するため形態(以下、「本実施形態」ということもある。)について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
図面中、同一の要素には同一の符号を付し、それらについての重複する説明は省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係る凸版の製造装置1(露光装置)の構成の概略を示す斜視図であり、図2は、凸版の製造装置1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
図1に示すように凸版の製造装置1は、例えば下部透明板10と、下部透明板10の下方に設けられた下部光源部11と、下部透明板10の上方に対向配置された上部透明板12と、上部透明板12の上方に設けられた上部光源部13と、上部透明板12及び上部光源部13を昇降する昇降装置14と、液状感光性樹脂を塗布する塗布装置15と、ベースフィルムをラミネートするラミネート装置16等を有している。また、凸版の製造装置1は、図2に示すようにネガフィルムF1とカバーフィルムF2を下部透明板10に真空吸引する真空吸引装置17を有している。
下部透明板10は、例えば厚みのある方形のガラス板であり、ネガフィルムF1を載置できる。下部透明板10の外周部には、ネガフィルムF1及びカバーフィルムF2を真空吸引するための吸引孔20が設けられている。下部光源部11は、例えば紫外線などの活性光線を照射する下部光源21を有している。上部透明板12は、例えば厚みのある方形のガラス板である。上部透明板12の外周部には、マスキングフィルム及びベースフィルムを真空吸引する吸引孔22が設けられている。上部光源部13は、例えば紫外線などの活性光線を照射する上部光源23を有している。なお、下部光源21及び上部光源23は、特に限定されないが、具体的には、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、メタルハライドランプ、UV−LED等を挙げることができる。
真空吸引装置17は、例えば真空ポンプ30と、下部透明板10の吸引孔20から真空ポンプ30に通じる下部真空吸引配管31と、上部透明板12の吸引孔22から真空ポンプ30に通じる上部真空吸引配管32と、下部真空吸引配管31に接続され、吸引孔20から真空吸引する真空度を調整するための真空度調整配管33を有している。
真空度調整配管33には、管路の開閉を行う電磁弁などの開閉弁40と、管路の開閉度を調整可能な調整バルブ41が設けられている。真空度調整配管33の端部は大気開放されている。調整バルブ41は、当該バルブ41を手動で操作するための調整部材としての回動式のレバー42を有している。このレバー42の回動量に応じて真空度調整配管33の管路が開放され、大気開放される。大気開放された分、大気が真空度調整配管33及び下部真空配管31に流れ込み、吸引孔20から真空吸引する真空度が低下する。よって、レバー42を所定量回動させることにより真空度を調整できる。上部真空吸引配管32には、電磁弁などの開閉弁43が設けられている。
図1に示すように例えば凸版の製造装置1の側面には、下部真空吸引配管31における真空度を表示する表示部としての真空ゲージ50と、上部真空吸引配管32における真空度を表示する真空ゲージ51が設けられている。これにより、真空ゲージ50、51を見ながらレバー42で調整バルブ41を調整し、吸引孔20から真空吸引する真空度を所望の真空度に調整できる。
図2に示すように塗布装置15は、例えば液状感光性樹脂Aを貯留し下から吐出できる塗布バケット60と、当該塗布バケット60を下部透明板10上の一端付近から他端付近まで所定の水平方向に移動させる移動機構61を有している。塗布装置15は、塗布バケット60を下部透明板10上のネガフィルムF1及びカバーフィルムF2上をその一端から他端まで移動させながら、液状感光性樹脂Aを吐出することにより、カバーフィルムF2上に液状感光性樹脂Aを塗布できる。なお、塗布装置15と下部透明板10を相対的に上下動させることにより、液状感光性樹脂Aの厚みを調整可能であってもよい。液状感光性樹脂Aは、光源からの光により硬化するものであれば特に限定されないが、例えばオリゴマー又はポリマー成分と、重合性モノマー成分と、光開始剤及び安定剤を有するものが一般的である。
ラミネート装置16は、例えばベースフィルムが巻回されたフィルムセット部70と、ベースフィルムを誘導するキャリッジ71を備えている。例えば塗布装置15とラミネート装置16は一体化されており、塗布バケット60とフィルムセット部70及びキャリッジ71を同じ移動機構61により移動させることができる。ラミネート装置16は、キャリッジ71を下部透明板10の液状感光性樹脂A上をその一端から他端まで移動させながら、フィルムセット部70からベースフィルムを引き出すことにより、液状感光性樹脂A上にベースフィルムをラミネートできる。
凸版の製造装置1は、例えばコンピュータ等からなる制御装置80(図1に示す)を有し、昇降装置14、塗布装置15、ラミネート装置16、真空吸引装置17、下部光源21及び上部光源23などの動作を制御して凸版の製造工程の所定の露光プロセスを実行できる。
次に、以上のように構成された凸版の製造装置1で行われる凸版の製造方法の露光プロセスの一例を説明する。図3は、露光プロセスの一例を示すタイムチャートである。

先ず、図2に示すように下部透明板10上にネガフィルムF1が載置され、そのネガフィルムF1上にカバーフィルムF2が設置される。なお、このカバーフィルムF2は、一般に、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等から構成され、10μm〜30μm程度のものが用いられる。
次に真空吸引装置17の真空ポンプ30が駆動され、下部真空吸引配管31及び下部透明板10の吸引孔20を通じてネガフィルムF1及びカバーフィルムF2が吸引され下部透明板10に吸着される。このとき、真空度調整配管33の開閉弁40は閉じており、真空ポンプ30に設定された高い真空度(所定の真空度)、例えば−50kPaG以下、好ましくは−75kPaG〜−85kPaG程度の高真空度でネガフィルムF1とカバーフィルムF2が真空吸引される。なお、このとき上部真空吸引配管32の開閉弁43は閉じており、真空吸引は行われていない。
真空ポンプ30の駆動開始後、図4に示すように塗布装置15の塗布バケット60が水平移動し、塗布バケット60から液状感光性樹脂Aが吐出され、カバーフィルムF2上に所定の厚みの液状感光性樹脂Aが塗布される。また、このとき、ラミネート装置16のフィルムセット部70及びキャリッジ71が水平移動し、キャリッジ71からベースフィルムF3が供給され、液状感光性樹脂A上にベースフィルムF3がラミネートされる。
次に、マスキングフィルムF4がベースフィルムF3の上に設置される。そして、図5に示すように上部透明板12が下降し、上部透明板12により、マスキングフィルムF4及びベースフィルムF3を介して液状感光性樹脂Aが上から押さえられる。これにより、上部透明板12と下部透明板10の間の、ネガフィルムF1、カバーフィルムF2、液状感光性樹脂A、ベースフィルムF3及びマスキングフィルムF4からなる積層体が固定される。
次に、上部真空吸引配管32の開閉弁43が開放され、上部真空吸引配管32及び上部透明板12の吸引孔22を通じてベースフィルムF3及びマスキングフィルムF4が吸引され、上部透明板12に吸着される。なお、このときの真空度は、真空ポンプ30によるが、例えば−50kPaG以下、好ましくは−75kPaG〜−85kPaG程度の高真空度となる。
次に、マスキング露光のために所定時間待機し、その後上部光源23が発光し、液状感光性樹脂Aの裏面側(上部側)がマスキング露光される。マスキング露光が終了したタイミング、或いは、後述のレリーフ露光(第二露光)が終了したタイミングで、上部真空吸引配管32の開閉弁43が閉じられ、上部透明板12側の真空吸引が停止される。
次いで、レリーフ露光が、第一真空状態下での第一露光及び第二真空状態下での第二露光の二段階に分けて行われる。
このとき、一つの態様によれば、例えばこのマスキング露光が終了したタイミングで、真空度調整配管33の開閉弁40が開放され、下部真空吸引配管31の真空度が下げられる(第一真空状態)。
このとき、レバー42により調整バルブ41を操作し、調整バルブ41により真空度調整配管33の管路の開閉度が調整され、吸引孔20から吸引される真空度が例えば、カバーフィルムF2と下部透明板10との間のゲージ圧の値で−40kPaG以上、より好ましくは−30kPaG以上、さらに好ましくは−20kPaG以上となるように下げられる。
次に、第一のレリーフ露光のために必要に応じて所定時間待機し、その後下部光源21が発光し、液状感光性樹脂Aの表側(下部側)がレリーフ露光(第一露光)される。
次に、真空度調整配管33の開閉弁40が再び閉じられ、下部真空吸引配管31の真空度を上げて(第二真空状態)、第二のレリーフ露光のために必要に応じて所定時間待機し、その後下部光源21が発光し、液状感光性樹脂Aの表側(下部側)がレリーフ露光(第二露光)される。
また、別の態様によれば、例えばマスキング露光が終了後、真空度を変更せずそのまま維持した状態(第一真空状態)で必要に応じて所定時間待機し、その後下部光源21が発光し、液状感光性樹脂Aの表側(下部側)がレリーフ露光(第一露光)される。
次に、真空度調整配管33の開閉弁40が開放され、下部真空吸引配管31の真空度が、例えば、カバーフィルムF2と下部透明板10との間のゲージ圧の値で−40kPaG以上、より好ましくは−30kPaG以上、さらに好ましくは−20kPaG以上となるように下げられる(第二真空状態)。次に、第二のレリーフ露光のために必要に応じて所定時間待機し、その後下部光源21が発光し、液状感光性樹脂Aの表側(下部側)がレリーフ露光(第二露光)される。
レリーフ露光(第二露光)が終了したタイミングで、例えば真空ポンプ30が停止され、下部透明板10側の真空吸引が停止される。
次に、上部透明板12が上昇され、マスキングフィルムF4が取り外される。次に、例えば再び上部透明板12が下降され、上部光源23が発光し、感光性樹脂Aの最上部の全面がバック露光される。次に、上部透明板12が上昇し、この凸版の製造装置1における露光プロセスが終了する。
上述のように、本実施の形態においては、下部透明板の下から光を照射して液状感光性樹脂をレリーフ露光する工程を、ネガフィルムとカバーフィルムを吸引する際の所定の真空度と同じか、または、該所定の真空度から下げた真空度における第一真空状態で露光する第一の露光工程と、第一真空状態から真空度を変更した第二真空状態で露光する第二の露光工程の2段階に分けて行う。
この形態によれば、レリーフ露光の一部を、ネガフィルムF1とカバーフィルムF2をセットした際の真空度よりも真空度を下げた状態で行うことができる。これにより、レリーフ露光時の液状感光性樹脂A中により多くの溶存酸素を残すことができる。
すなわち、前述のように、一般に下部透明板のネガフィルムの上に載置されるカバーフィルムF2は、PP、PE、PET等から構成され、10μm〜30μm程度のものが用いられるところ、このような材料・厚みのフィルムは酸素透過性を有しているため、図6に示すように、カバーフィルムF2と下部透明板10との間を吸引する際に、カバーフィルムF2上に塗布された液状感光性樹脂A中の溶存酸素も吸引・排出されていることが本発明者らの研究により判明した。
したがって、ネガフィルムF1及びカバーフィルムF2を真空吸引によりセットした後、レリーフ露光を行う際に、カバーフィルムF2と下部透明板10との間の真空度を下げると、カバーフィルムF2及びネガフィルムF1を通じて吸引孔20から吸引・排出される液状感光性樹脂A中の溶存酸素の量を減らすことができ、真空度を下げなかった場合と比較して、液状感光性樹脂A中に溶存酸素を多く残こすことができる。
発明者らの知見によれば、液状感光性樹脂A中の溶存酸素は、液状感光性樹脂Aの硬化作用を抑制する性質があるため、この溶存酸素を残すことにより、液状感光性樹脂Aの未露光部分(露光部分に近い部分)が硬化することを抑制できると考える。すなわち、例えば図7に示すように溶存酸素が少ない場合、液状感光性樹脂Aの未露光部分でも硬化が進むが、溶存酸素が多い場合には、このような液状感光性樹脂Aの未露光部分の硬化が抑制される。したがって、本実施形態の方法のように、レリーフ露光を真空度を下げた状態で行って液状感光性樹脂A中の溶存酸素の吸引・排出を抑制すると、ネガフィルムF1のパターンに忠実な凸版が製造でき、版の再現性を向上できる。
なお、このように真空度を下げるのに先立ち、予め高い真空度でネガフィルムF1とカバーフィルムF2を吸引して下部透明板10に確実に密着させてセットしているので、ネガフィルムF1の位置精度は確保できる。
従来は、例えば大型版の露光装置では、ネガフィルムの位置精度を高めるべく、ネガフィルムとカバーフィルムを吸引する際の真空度を上げることばかりが検討されていたが、本実施形態においては、この真空度を露光のプロセス中に、例えば、カバーフィルムF2と下部透明板10との間のゲージ圧の値で−30kPaG以上−10kPaG以下となるように、真空度を下げることで版の再現性を向上させることができる。
もっとも、発明者らの研究によれば、レリーフ露光プロセス中に真空度を低下させ、液状感光性樹脂中の溶存酸素を残し過ぎると、今度は、溶存酸素の影響を受けて液状感光性樹脂版表面の硬化を阻害し、版の製造後に行われる印刷でインキの成分が硬化不十分な版に着色し、外観品質を下げる要因になりえることが判明した。
そこで、このような版の着色の防止と版の再現性の向上の両立の観点から、本実施形態の方法においては、レリーフ露光の一部は、カバーフィルムF2と下部透明板10との間の真空度が高い状態で行う。具体的には、カバーフィルムF2と下部透明板10との間のゲージ圧を、−50kPaG以下、好ましくは−75KPaG以下とすることが好ましい。
すなわち、本実施形態の方法においては、ネガフィルムとカバーフィルムを吸引する際の所定の真空度と同じか、または、該所定の真空度から下げた第一真空状態で、下部透明板の下から光を照射して液状感光性樹脂のレリーフ露光の一部を行い、次いで、第一真空状態から真空度を変更した第二真空状態でレリーフ露光を完結することで、版の再現性を向上させ版の着色を低減できる。
第二真空状態の真空度は、第一真空状態の真空度がネガフィルムとカバーフィルムを吸引する真空度(所定の真空度)と同じである場合には、第一真空状態の真空度より下げることが好ましい。一方、第一真空状態の真空度がネガフィルムとカバーフィルムを吸引する真空度(所定の真空度)より低い場合には、第二真空状態の真空度を第一真空状態の真空度より上げることが好ましい。 第一真空状態及び第二真空状態での露光時間や、第一真空状態及び第二真空状態におけるゲージ圧の圧力差に特に制限はなく、露光装置の光源の強度等に応じて適宜設定すればよいが、第一真空状態における真空度を第二真空状態よりも低くする場合には、第一真空状態におけるカバーフィルムF2と下部透明板10との間のゲージ圧を−30kPaG以上−10KPaG以下とし、第二真空状態におけるゲージ圧を−50kPaG以下、好ましくは−75kPaG以下とすることが好ましい。また、この場合、版の着色防止の観点から、第二真空状態(高真空状態)の露光時間を、その間の露光量が50〜500mJ、より好ましくは100〜300mJとなるような時間とすることが好ましい。
逆に、第二真空状態における真空度を第一真空状態よりも低くする場合には、第一真空状態におけるカバーフィルムF2と下部透明板10との間のゲージ圧を−50kPaG以下、好ましくは−75KPaG以下とし、第二真空状態を−30kPaG以上−10kPaG以下とすることが好ましい。また、この場合、版の着色防止の観点から、第一真空状態(高真空状態)の露光時間を、その間の露光量が50〜500mJ、より好ましくは100〜300mJとなるような時間とすることが好ましい。
なお、いずれの場合においても、上部透明板12がベースフィルムF3とマスキングフィルムF4を介して液状感光性樹脂Aを上から押さえた後に真空度を下げるので、上部透明板12と下部透明板10との間にネガフィルムF1を固定した後に真空度を下げることになり、真空度を下げて第一又は第二真空状態とした後にネガフィルムF1が位置ずれすることも防止できる。
特に、上部透明板12と下部透明板10との間にネガフィルムF1を固定した直後に真空度を下げれば、低真空度の時間を長くとることができ、感光性樹脂A中に溶存酸素をより多く残すことができる。よって、版の再現性をより向上できる。
本実施形態の装置においては、真空吸引装置17が、真空ポンプ30と、下部真空吸引配管31と、真空度調整配管33を有し、真空度調整配管33に管路の開閉度を調整可能な調整バルブ41が設けられているので、露光プロセス中に真空度を適切に下げることができる。
また、真空度を表示する真空ゲージ50と、調整バルブ41を手動で操作可能とするレバー42を有するので、真空ゲージ50を見ながらレバー42を操作して、所望の真空度に調整できる。
また、第一真空状態又は第二真空状態の真空度を−40kPaG以上に下げることにより、版の再現性を著しく向上できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上記実施の形態において、ネガフィルムF1とカバーフィルムF2を吸引する真空度を下げるタイミングは、少なくともレリーフ露光時に真空度が下がっていれば、他のタイミングであってもよい。例えば上記実施の形態では上部透明板12が下降した直後であったが、その後でもよい。真空吸引装置17は、露光プロセス中に高い真空度から低い真空度に下げることができれば、他の構成を有するものであってもよい。例えば2台の真空ポンプを備えていてもよい。また、調整バルブ41の制御は、レバー42で操作しなくても自動制御してもよい。
ネガフィルムとして、図8に示す白抜き線ネガを用いて、液状感光性樹脂を露光し、白抜き線幅(白抜き部分の感光性樹脂の未硬化部分の幅)、白抜き深度(白抜き部分の感光性樹脂の未硬化部分の深さ)を測定して評価した。
版は7mmの厚みのものを使用し、下部光源は紫外線蛍光灯を用い、液状感光性樹脂は、旭化成イーマテリアルズ社製テナフレックス(登録商標)(F−630B、F−670R樹脂)を用いた。
(実施例1)
ネガフィルムとカバーフィルムを真空吸引する際の真空度(所定の真空度)を、−75kPaG(高真空度)に保持してカバーフィルム上に液状感光性樹脂を塗布し、−15kPaG(低真空)に下げて(第一真空状態)一定時間レリーフ露光(第一露光)した後、−75kPaG(高真空度)へ再び上げて(第二真空状態)一定時間レリーフ露光(第二真空状態)をした。
(実施例2)
ネガフィルムとカバーフィルムを真空吸引する際の真空度(所定の真空度)を、−75kPaG(高真空度)に保持してカバーフィルム上に液状感光性樹脂を塗布し、そのまま−75kPaG(高真空度)に維持して(第一真空状態)で一定時間レリーフ露光した後、−15kPaG(低真空度)へ真空度を下げて(第二真空状態)一定時間レリーフ露光(第二真空状態)をした。(比較例)
ネガフィルムとカバーフィルムを真空吸引する際の真空度(所定の真空度)を、−75kPaG(高真空度)に保持してカバーフィルム上に液状感光性樹脂を塗布し、そのまま(−75kPaG(高真空度))レリーフ露光を行った。
(白抜き線幅)
白抜きの線幅について、白抜きの線幅が異なる複数のネガ(150μm、250μm及び500μm(合計900μm))を用いて実施例1、2及び比較例のレリーフ露光を行い、得られた凸版の白抜きの線幅を測定し、それらの合計を図9のグラフに示した。
比較例で得られた凸版よりも、実施例1及び2で得られた凸版の方が、ネガに対する白抜きの線幅の増減量(減少量)が小さく、版再現性が高かった。
(白抜き深度)
白抜きの深度について、白抜きの深度が異なる複数のネガ(150μm、250μm及び500μm(合計900μm))を用いて実施例1、2及び比較例のレリーフ露光を行い、得られた凸版の白抜きの深度を測定し、それらの合計を図10のグラフに示した。
比較例で得られた凸版よりも、実施例1及び2で得られた凸版の方が、ネガに対する白抜きの深度の増減量(減少量)が小さく、版再現性が高かった。
(版の着色)
前述の白抜き線幅及び白抜き深度の実験において実施例1、2及び比較例の方法で得られた凸版を用いて印刷を行ったところ、いずれの凸版においても着色は少なく、実施例1、2の方法で得られた凸版は、比較例の方法で得られた凸版と比較して遜色がなかった。
本発明は、ネガフィルムを下部透明板に確実に密着させてネガフィルムの位置精度を確保しつつ、版の高い再現性を確保し、版の着色を低減する際に有用である。
1 凸版の製造装置
10 下部透明板
12 上部透明板
15 塗布装置
16 ラミネート装置
17 真空吸引装置
20 吸引孔
21 下部光源
22 吸引孔
23 上部光源
30 真空ポンプ
50 真空ゲージ
F1 ネガフィルム
F2 カバーフィルム
F3 ベースフィルム
F4 マスキングフィルム
A 液状感光性樹脂

Claims (3)

  1. 凸版の製造方法であって、
    ネガフィルムと当該ネガフィルムを覆うカバーフィルムを下部透明板に所定の真空度で吸引して保持する工程、
    前記カバーフィルム上に液状感光性樹脂を塗布する工程、
    前記ネガフィルムと前記カバーフィルムを吸引する真空度を、前記所定の真空度を維持した、又は、前記所定の真空度から下げた第一真空状態で、前記下部透明板の下から光を照射し前記液状感光性樹脂を露光する第一の露光工程、及び、
    前記第一真空状態の真空度から真空度を変更した第二真空状態で前記下部透明板の下から光を照射し前記液状感光性樹脂を露光する第二の露光工程
    を有する、凸版の製造方法。
  2. 前記液状感光性樹脂上にベースフィルムを設置し、そのベースフィルム上にマスキングフィルムを設置する工程と、
    上部透明板を下降して、前記ベースフィルム及び前記マスキングフィルムを介して前記液状感光性樹脂を上から押さえる工程と、をさらに有し、
    前記真空度は、前記液状感光樹脂を上から押さえた後に下げられる、請求項1に記載の凸版の製造方法。
  3. 前記第一真空状態における真空度を−50kPaG以下、第二真空状態における真空度を−30kPaG以上−10kPaG以下、に各々調整する、請求項1又は2に記載の凸版の製造方法。
JP2015141169A 2015-07-15 2015-07-15 凸版とその製造方法及び製造装置 Active JP6491559B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015141169A JP6491559B2 (ja) 2015-07-15 2015-07-15 凸版とその製造方法及び製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015141169A JP6491559B2 (ja) 2015-07-15 2015-07-15 凸版とその製造方法及び製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017021308A true JP2017021308A (ja) 2017-01-26
JP6491559B2 JP6491559B2 (ja) 2019-03-27

Family

ID=57888267

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015141169A Active JP6491559B2 (ja) 2015-07-15 2015-07-15 凸版とその製造方法及び製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6491559B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109951966A (zh) * 2019-04-25 2019-06-28 竞华电子(深圳)有限公司 一种pcb阻焊层的制作方法及pcb

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04312562A (ja) * 1991-04-11 1992-11-04 Showa Denko Kk アクリルアミド水溶液の精製方法
JPH06175276A (ja) * 1992-12-09 1994-06-24 New Oji Paper Co Ltd 写真印画紙用支持体
JP2000221664A (ja) * 1999-01-29 2000-08-11 Yokodo:Kk フレキソ印刷用樹脂版の製造方法
JP2000250225A (ja) * 1999-03-01 2000-09-14 Asahi Chem Ind Co Ltd 感光性樹脂版の製版方法及び装置
JP2002268230A (ja) * 2001-03-09 2002-09-18 Asahi Kasei Corp 感光性樹脂凸版の製造方法、装置
JP2010091867A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Asahi Kasei E-Materials Corp 感光性樹脂凸版の製造方法及び感光性樹脂凸版の製造装置
JP2015138056A (ja) * 2014-01-20 2015-07-30 旭化成イーマテリアルズ株式会社 凸版の製造方法及び製造装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04312562A (ja) * 1991-04-11 1992-11-04 Showa Denko Kk アクリルアミド水溶液の精製方法
JPH06175276A (ja) * 1992-12-09 1994-06-24 New Oji Paper Co Ltd 写真印画紙用支持体
JP2000221664A (ja) * 1999-01-29 2000-08-11 Yokodo:Kk フレキソ印刷用樹脂版の製造方法
JP2000250225A (ja) * 1999-03-01 2000-09-14 Asahi Chem Ind Co Ltd 感光性樹脂版の製版方法及び装置
JP2002268230A (ja) * 2001-03-09 2002-09-18 Asahi Kasei Corp 感光性樹脂凸版の製造方法、装置
JP2010091867A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Asahi Kasei E-Materials Corp 感光性樹脂凸版の製造方法及び感光性樹脂凸版の製造装置
JP2015138056A (ja) * 2014-01-20 2015-07-30 旭化成イーマテリアルズ株式会社 凸版の製造方法及び製造装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109951966A (zh) * 2019-04-25 2019-06-28 竞华电子(深圳)有限公司 一种pcb阻焊层的制作方法及pcb

Also Published As

Publication number Publication date
JP6491559B2 (ja) 2019-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107756785B (zh) 用于制造三维制品的三维制造装置和方法
JP2006253644A (ja) 微細パターン形成装置
JP5260395B2 (ja) 封止装置
KR20160008307A (ko) 광학투명레진을 이용한 디스플레이 모듈 제조방법
JP6024916B2 (ja) パネル貼付方法およびパネル貼付装置
CN105116687B (zh) 一种网版及其制备方法
KR20080046479A (ko) 임프린트 장치 및 임프린트 방법
JP6491559B2 (ja) 凸版とその製造方法及び製造装置
JP6295053B2 (ja) 塗布装置および塗布方法
JPH0990377A (ja) 液晶パネルの製造装置
CN207726345U (zh) 基板取放设备
JP2015138056A (ja) 凸版の製造方法及び製造装置
JP5292048B2 (ja) 感光性樹脂凸版の製造方法及び感光性樹脂凸版の製造装置
JP2016147231A (ja) 塗布装置
JP2001356312A (ja) 液晶表示素子の製造方法及びその製造方法に用いる紫外線照射装置
JP2012199329A (ja) エッチング方法、インプリント装置
JP2016120711A (ja) 表面にパッチを取り付けるための設置ツール及びそれに関連する方法
JP4541061B2 (ja) 材料転写方法、プラズマディスプレイ用基板の製造方法
TWI391226B (zh) 真空形成設備及真空形成基板之方法
KR101027468B1 (ko) 미세패턴 형성장치 및 이를 이용한 미세패턴 형성방법
TWI581866B (zh) 黏合劑塗布裝置及方法、顯示裝置用構件製造裝置及方法
TW202107207A (zh) 光刻製程之方法及其板材定位裝置
JP6287504B2 (ja) 近接露光方法および近接露光方法を用いたカラーフィルタの製造方法
KR102515653B1 (ko) 3d프린터
JPWO2008149885A1 (ja) 液状感光性樹脂凸版の製造方法及びその製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180403

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6491559

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150