図1は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置100の概略構成図である。画像形成装置100は、装置本体10の内部に画像形成部20を有している。装置本体10の上方には、自動原稿搬送装置40とスキャナ30とが設けられている。自動原稿搬送装置40は、原稿トレイ40a上に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離してスキャナ30に搬送する。スキャナ30は、搬送された原稿の画像を読み取る。なお、本発明が適用可能な画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置に限られず、インクジェット方式の画像形成装置にも本発明は適用可能である。
画像形成部20は、感光体21、帯電ローラを有する帯電装置22、書込装置23、現像装置24、トナー補給装置25、転写ローラ26、クリーニング装置27、除電装置、定着装置28等を備えている。定着装置28は、互いに圧接した加熱ローラ28aと加圧ローラ28bとを有しており、加熱ローラ28aには熱源であるハロゲンランプ等からなる定着ランプ28cが内包されている。
装置本体10の下部には、給紙ローラ14を有し小サイズ用紙Pを収容した給紙トレイ13と、給紙ローラ14を有し大サイズ用紙P1を収容した給紙トレイ16とが配設されている。装置本体10内には、給紙トレイ13から上方に設けられた排紙トレイ67に向けて用紙Pまたは用紙P1を搬送するための用紙搬送路R1が形成されている。用紙搬送路R1における給紙トレイ13から感光体21への途中にはレジストローラ対18が配設されており、用紙搬送路R1の出口近傍には排出ローラ対19が配設されている。
画像形成部20では、感光体21が回転して帯電装置22により感光体21の表面が一様に帯電される。そして、外部入力される画像データやスキャナ30によって読み取られた原稿の画像データに基づき、書込装置23からレーザ光が照射されて感光体21上に静電潜像が形成される。そして、現像装置24により静電潜像にトナーを付着させて可視像化し、感光体21上にトナー像を形成する。
一方、給紙トレイ13または給紙トレイ16からは給紙ローラ14により用紙Pまたは用紙P1が1枚ずつ分離給送され、給送された用紙Pまたは用紙P1はレジストローラ対18において一時停止される。そして、画像形成部20のトナー像形成タイミングに合わせてレジストローラ対18が回転駆動され、用紙Pまたは用紙P1が感光体21と転写ローラ26とが対向する転写部に向けて給送される。転写部では、感光体21と転写ローラ26との間で形成される転写電界により感光体21上のトナー像が用紙Pまたは用紙P1に転写される。トナー像が転写された用紙Pまたは用紙P1は、定着装置28において熱と圧力とによってトナー像を定着された後、排出ローラ対19を介して排紙トレイ67上に排出される。画像形成装置100では、使用される用紙Pまたは用紙P1のサイズにかかわらず用紙搬送方向と直交する方向の中心を基準として、排紙トレイ67上に用紙Pまたは用紙P1を排出するセンター基準方式を採用している。トナー像の転写後において感光体21は、クリーニング装置27によってその表面から残留トナーが除去された後、除電装置によって除電されて次の画像形成に備えられる。
図2は画像形成装置100の外観斜視図、図3(a)は排紙前カバー61及び排紙左カバー62を開いた状態を示す画像形成装置100の斜視図、図3(b)は排紙トレイ67を胴内排紙部60から外部に引き出した状態を示す画像形成装置100の斜視図である。装置本体10のスキャナ30と画像形成部20との間には胴内排紙部60が設けられている。胴内排紙部60は上下壁に囲まれ、装置本体10内から排紙トレイ67に用紙Pまたは用紙P1が排紙されるときの排紙方向下流側である装置左側壁部と、排紙方向と直交する方向の装置前側壁部とが開口している。また胴内排紙部60には、内部の機密性を高めに維持するための、開口を開閉可能に覆う排紙前カバー61と排紙左カバー62とが設けられている。各カバー61,62は、装置本体10に対して基端をそれぞれ回動可能に取り付けられている。
スキャナ30の排紙前カバー61の上方に位置する側面には、操作パネル64及びユーザが任意で各カバー61,62を開閉する際に操作する開閉スイッチ63が配設されている。また、各カバー61,62等の開閉動作を制御することを含め、装置本体10に設けられた制御部500が画像形成装置100の作動を統括して制御する。本実施形態では胴内排紙部60に排紙トレイ67を設けているが、胴内排紙部以外の排紙部に排紙トレイ67を設ける構成でもよい。
図4は排紙前カバー61のみを設けた画像形成装置100の外観斜視図、図5(a)は排紙前カバー61を開放した画像形成装置100の外観斜視図、図5(b)は排紙トレイ67を胴内排紙部60から外部に引き出した画像形成装置100の外観斜視図である。この画像形成装置100では、胴内排紙部60の装置前側壁部のみが開口しており、排紙前カバー61のみが設けられている。
図6は、画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。同図において、制御部500はエンジンメインボード300、エンジンサブボード200、PSU250によって構成される。エンジンメインボード300とエンジンサブボード200とは、相互に通信可能に接続されている。また、外部とのインタフェース制御や外部から入力されたデータの画像処理等はコントローラ400によって行われる。コントローラ400は、PCIパスを介してエンジンメインボード300と通信可能に接続されている。画像形成装置100における画像形成や調整等の動作を実現するため、画像形成装置100に設けられた各ユニットの制御はエンジンメインボード300のメモリに格納された制御プログラムによって行われる。
エンジンメインボード300は、CPU301、FROM302、NVRAM303、タイマ304等から構成される。エンジンサブボード200は、駆動モータ70、ポリゴンモータ220、排紙検知センサ79、クラッチ260等の負荷を制御する。PSU250は電源や電力に関する制御を行う。
エンジンサブボード200には、メモリチップ210、ポリゴンモータ220、同期検出器230、サーミスタ240、操作パネル64、クラッチ260、開閉スイッチ63、排気ファン69等が接続されている。なお、ポリゴンモータ220にはポリゴンミラー装置23aを駆動させるためのものである。同期検出器230は、感光体21の回転タイミングと書込装置(LSU)23による光の照射タイミングとを同期させるためのものである。エンジンサブボード200は、電源供給源であるPSU250に接続され、PSU250は定着装置28の熱源である定着ランプ28cに電力を供給する。エンジンメインボード300は、LD Boards310、エンジンメインボード300冷却用の冷却ファン320、画像形成部20に高圧を供給するための高圧供給部330に接続されている。
コントローラ400は、HDD(ハードディスクドライブ)410、NVRAM4240、SDカード430、DIMM(デュアルインラインメモリモジュール)450に接続されている。コントローラ400は、さらにIEEE1284インタフェース460、IEEE1394インタフェース470、IEEE802.11bインタフェース480、Bluetooth(登録商標)490にも接続されている。
画像形成装置100における各カバー61,62及び排紙トレイ67の制御は、エンジンメインボード300上に配置されたFROM302内に格納された制御プログラムをCPU301上で実行させる。そして、エンジンメインボード300からエンジンサブボード200を介して、エンジンサブボード200に接続された駆動モータ70等を制御することにより実現する。胴内排紙部60内における用紙Pまたは用紙P1の検知を行うためには、エンジンサブボード200に接続された排紙検知センサ79を制御する。ユーザによる各種設定等はエンジンメインボード300上に配置されたNVRAM303に保存され、電源がオフされてもその設定が保存される。
図7を用いて画像形成装置100における制御システムの機能的な関係を説明する。印刷受付手段1である操作パネル46から受け付けたユーザによる印刷要求は、印刷出力手段2である画像形成部20によって用紙Pまたは用紙P1に画像を形成して胴内排紙部60に排紙する。胴内排紙部60内の排気状態や画像形成部20の作動状態に応じて、排紙トレイ出し入れ手段5及び排紙カバー開閉手段6である排紙トレイ駆動部65により各カバー61,62の開閉制御及び排紙トレイ67の移動制御を行う。胴内排紙部60内の排気状態は、機内排気状態検出手段3によって検出される。
印刷が終了して各カバー61,62が開放され、排紙トレイ67が引き出されている状態、すなわち用紙Pまたは用紙P1の取り出し待ち状態では、排紙トレイ紙有無検知手段7等の検知結果から次のような制御を行うことが可能である。なお、排紙検知センサ79が排紙トレイ紙有無検知手段7として機能する。すなわちユーザの設定した「取り出し待ち制御組み合わせ情報8A」、「取り出し待ち制御優先情報8B」、「トレイ引き出し一定時間情報8C」等の、取り出し待ち制御記憶手段8に記憶された記憶情報を参照する。そして、参照した記憶情報の内容に従って、各カバー61,62の開閉制御及び排紙トレイ67の移動制御を実行する。また、各カバー61,62の開閉制御や排紙トレイ67の移動制御を行わず、印刷保留手段4によって印刷出力手段2による印刷動作を保留する場合もある。このとき印刷保留手段4は、印刷受付手段1である操作パネル64からの印刷指示の受付を保留したり、印刷出力手段2である画像形成部20による画像形成動作を保留したりする。
排紙トレイ出し入れ手段5では、さらに出力用紙サイズに応じて自動算出されるサイズ算出移動量9A、サイズ分類閾値を基に予め所定の選択肢から選ぶサイズ固定移動量9B、ユーザ毎に調整可能なユーザ調整移動量9Cを決定する。さらに排紙トレイ出し入れ手段5では、移動方向の制限値である制限最大移動量9D、サイズ分類閾値9Eを決定する。これら9A〜9Eは、出し入れ移動量判定手段9によってそれぞれ決定され、9A〜9Eの値に基づいて排紙トレイ67の出し入れ移動量が決定される。
さらに排紙トレイ出し入れ手段5では、使用する給紙トレイ13の依存条件である給紙トレイ依存条件11A、装置の可動時間帯依存条件11B、アプリケーション依存条件11Cに基づいて排紙トレイ67の出し入れ動作有無を判定している。これら11A〜11Cは、出し入れ動作条件判定手段11によってそれぞれ判定され、11A〜11Cの結果に基づいて排紙トレイ67の出し入れ動作の有無が決定される。出し入れ移動量の決定及び出し入れ動作有無の判定については後述する。
さらに排紙トレイ出し入れ手段5及び排紙カバー開閉手段6には、開閉指示手段12として機能する、後述する開閉スイッチ63からの動作指令が入力され、この動作指令に基づいて各カバー61,62が開閉される。また排紙トレイ出し入れ手段5及び排紙カバー開閉手段6には、画像出力された用紙Pのサイズを記憶する出力紙サイズ記憶手段15が接続されており、相互間において情報の授受が可能に構成されている。
画像形成装置100の小型化や高速出力化を進めるためには、胴内排紙部60の高さを減少させると共に、短辺が用紙搬送方向と平行する姿勢で用紙Pまたは用紙P1を搬送する、いわゆるLEF(ロングエッジフィード)送りとすることが望ましい。そのため画像形成装置100では、LEF送りで給紙トレイ13から画像形成部20を介して胴内排紙部60まで用紙Pまたは用紙P1を搬送している。ところがこの場合、画像形成装置100が装置前後方向に大きくなる。このため、装置前方から胴内排紙部60内の排紙中心までの距離が、長辺が用紙搬送方向と平行する姿勢で用紙Pを搬送する、いわゆるSEF(ショートエッジフィード)送りを行った場合よりも遠くなる。従って胴内排紙部60の上方に位置するスキャナ30が用紙Pまたは用紙P1に覆い被さる長さが長くなり、小サイズの用紙Pを排紙したときの胴内排紙部60内にある用紙Pの視認性や取り出し性が悪化してしまう。
なお、排紙トレイ67のオモテ面であり用紙Pまたは用紙P1が載置される載置面の大きさは、用紙Pまたは用紙P1をLEF送りで排紙トレイ67に排紙した場合に、A4サイズまでの用紙Pが収まり、A3サイズの用紙P1が収まらない大きさとなっている。詳しくは、排出ローラ対19から排紙トレイ67への排紙方向における排紙トレイ67の載置面の幅が、A4サイズの用紙Pの短辺の長さ以上であり、A3サイズの用紙P1の短辺の長さ未満となっている。一方、排紙方向と直交する方向における排紙トレイ67の載置面の幅が、A3サイズの用紙P1の長辺の長さ以上となっている。
図8は胴内排紙部60の斜視図、図9は胴内排紙部60を装置前側から見た断面図、図10(a)は排紙トレイ67を用紙Pまたは用紙P1が載置される載置面側から見た斜視図である。胴内排紙部60を構成する排紙フレーム66は、装置本体10の筐体に固設されている。排紙フレーム66の下方には、駆動モータ及び減速ギヤ列からなる排紙トレイ駆動部65、排紙トレイ67上の用紙Pまたは用紙P1の有無を検知する排紙検知センサ79等が設けられている。
排紙トレイ67には、用紙搬送方向に直交しかつ用紙載置面に沿った搬送直交方向に移動可能であり、載置面上に載置された用紙Pの搬送直交方向の一端に当接することで用紙Pまたは用紙P1の一端位置を規制するエンドフェンス68が配設されている。エンドフェンス68には、胴内排紙部60内の空気を装置本体10外に排気するための通気口68aが設けられており、装置本体10の通気口68aと対応する位置には排気ファン69が配設されている。排気ファン69を作動させることにより、胴内排紙部60内の空気が通気口68aを介して装置本体10外へと排気される。
排紙前カバー61は、下端側が排紙フレーム66に回動自在に支持されており、トーションコイルばねにより装置本体10に対して閉じられる方向に常時付勢されている。排紙左カバー62も同様に下端側が排紙フレーム66に回動自在に支持されており、後述するリンク機構によって装置本体10に対して閉じられる方向に常時付勢されている。各カバー61,62は、装置本体10に対して閉じられたときに装置本体10を構成する本体カバーへと突き当たることで位置決めされ、胴内排紙部60内の空間を密閉する。
排紙トレイ67の裏面には、装置左右方向へのガタを規制すると共に装置前後方向への排紙トレイ67の移動をガイドするスライドガイド80が配設されている。また、排紙トレイ67の装置上下方向への位置を規制すると共に装置前後方向への排紙トレイ67の移動をガイドする複数のスライドレール81が配設されている。スライドガイド80とスライドレール81とは、それぞれ排紙フレーム66に設けられたガイドレール91と嵌合しており、装置前後方向にのみ移動可能に排紙フレーム66に保持されている。
排紙トレイ67の裏面にはラックギヤ82が配設されており、排紙トレイ駆動部65の減速ギヤ列に含まれるトレイ駆動ギヤ72と噛合している。そして、駆動モータ70からの駆動力が減速ギヤ列に含まれるアイドルギヤ71とトレイ駆動ギヤ72とにより減速され、ラックギヤ82に伝達されることで排紙トレイ67を装置前後方向へと移動させる。なお、駆動モータ70と接続するアイドルギヤ71のギヤ部として内歯ギヤを用いることにより、より低騒音で確実な駆動伝達が可能となる。また、駆動モータ70とアイドルギヤ71との間での駆動伝達をVベルトや平ベルト、ゴムローラ等による摩擦伝達で行う構成を採用してもよい。
図10(b)は、排紙トレイ67を裏面側から見た斜視図である。同図に示すように、エンドフェンス68の端部近傍にはガイドシャフト76が一体的に固定されている。ガイドシャフト76は、圧縮ばね75を挟んで排紙トレイ67に設けられた嵌合孔に貫通し、Eリングによって抜け止めされている。エンドフェンス68の他端側には、排紙トレイ67の端部を挟み込んで保持しガイドシャフト76の軸回りに対するエンドフェンス68の動きを規制するための、レール形状を呈する規制部84が設けられている。排紙トレイ67がホームポジションに位置する状態では、装置前後方向におけるエンドフェンス68と排紙トレイ67との間隔はAである(図12参照)。規制部84に沿ってエンドフェンス68をスライドさせることにより、図10(a)に示すように、装置前後方向におけるエンドフェンス68と排紙トレイ67との間隔がBとなる位置までエンドフェンス68が移動可能である。
次に、排紙トレイ67の位置制御について説明する。図11は、排紙フレーム66の斜視図、図12は開閉動作における排紙前カバー61及び排紙トレイ67の状態を示した概略図である。図11に示すように、排紙フレーム66の排紙トレイ駆動部65の近傍には、排紙トレイ67の位置を検知するための第1位置検知センサ73と第2位置検知センサ74とが配設されている。各センサ73,74は発光部と受光部とからなる光学センサであり、発光部から受光部に向けて照射された光が排紙トレイ67の裏面に設けられた位置検知フィラ83によって遮蔽されるか、遮蔽されずに受光部で受光されるかを検知する。そして、表1に示すように、各センサ73,74の組み合わせ、排紙トレイ67の状態変化、事前の移動情報等により排紙トレイ67の位置を判別し、排紙トレイ67の位置制御を行う。なお、ここでいう状態変化とは、図12に示す状態1、状態2、状態3の各状態間での変化を示している。また、各センサ73,74の検知結果の組み合わせのみに基づいて排紙トレイ67の位置制御を行う構成としてもよい。
画像形成装置100では、排紙トレイ67の位置を判別するために2個のセンサ73,74を用いてコストダウンを図っているが、センサの数はこれに限られない。例えば、排紙トレイ67のより正確な位置判別を行うため、排紙トレイ67のホームポジションを検知するホームポジションセンサを追加し、3個のセンサの検知結果を用いて排紙トレイ67の位置を判別する構成としてもよい。
次に、図13を用いて排紙前カバー61の開閉動作と排紙トレイ67の移動とについて説明する。画像形成装置100では、LEF送りで用紙Pまたは用紙P1を排紙トレイ67上に排出した場合、排紙方向における排紙トレイ67の幅よりも排紙方向における用紙Pの長さが短い場合に排紙前カバー61を開放する。図13(a)は、図12状態1における排紙前カバー61及び排紙トレイ67の位置を示している。排紙トレイ67がホームポジション、すなわち排紙位置を占める第1の状態である状態1では、排紙トレイ67と排紙前カバー61とが接触しておらず排紙前カバー61は閉じた状態、すなわち閉塞位置を占めている。またエンドフェンス68は、胴内排紙部60の装置後方奥面に突き当たっており、装置前後方向における排紙トレイ67とエンドフェンス68との間隔は距離A<距離Bとなっている。
図13(b)は、図12状態2における排紙前カバー61及び排紙トレイ67の位置を示している。排紙トレイ駆動部65からの駆動力によって排紙トレイ67がホームポジションから装置前側に移動されると、排紙前カバー61の回動軸92より上方に排紙トレイ67の先端が当接し、排紙前カバー61を開放していく。そして、排紙トレイ67がホームポジションから装置前方へ距離D以上移動すると、排紙トレイ67に設けられたスライド方向に平行な当て面86と、排紙前カバー61のカム形状部85とが当接する。これにより、図13(b)に示すように排紙前カバー61はその開放角度が最大角度のαとなる開放位置を占め、図12に示した第2の状態である状態2となる。
ここで、距離A、距離B及び距離Dが、D≧B−Aの関係を満たすことで、状態2のとき排紙前カバー61が最大角度αとなり、かつエンドフェンス68は胴内排紙部60の最奥位置を保った状態となる。これにより、状態2においては排紙前カバー61が開放していて胴内排紙部60内からの用紙Pの取り出しが可能であり、かつ排紙トレイ67上に継続して用紙Pまたは用紙P1の排出が可能、すなわち排紙トレイ67は排紙位置を占めている。従って、例えば使用頻度が高いA4サイズやB5サイズのジョブ終了後には排紙前カバー61及び排紙トレイ67の位置を状態2とし、状態1のホームポジションよりも装置前側壁部に形成された開口に排紙トレイ67を近付ける。
これにより、状態2の位置よりも胴内排紙部60の奥側にあるホームポジションに排紙トレイ67が位置する場合よりも、排紙トレイ67上に排出された用紙Pまたは用紙P1の視認性や取り出し性を向上することができる。また、印刷時には排紙前カバー61を閉じることで低騒音化や低臭気化を図ることができる。そして、用紙取り出し時には排紙前カバー61を開放させると共に状態2の位置に排紙トレイ67が位置することで、用紙Pの視認性や取り出し性を向上させつつ、次のジョブを止めることなく継続して排紙トレイ67上に用紙Pを排出することができる。これにより、アプライアンス性の高い画像形成装置100を提供することができる。
図13(c)は、図12状態3における排紙前カバー61及び排紙トレイ67の位置を示している。状態2から排紙トレイ67をさらに装置前方へ移動させると、図13(c)に示すような予め設定されたトレイ全開状態となる前進位置に排紙トレイ67が到達する。ホームポジションから距離D以上では、排紙トレイ67の移動量にかかわらず排紙前カバー61の開放角度は最大角度αで一定しており、排紙トレイ67の胴内排紙部60内からの露出量のみが変化し、排紙トレイ67は前進位置で停止する。これにより、図13(c)に示すように排紙前カバー61が開放位置を占めると共に排紙トレイ67が用紙Pの取り出しが容易となる前進位置を占め、図12に示した第3の状態である状態3となる。
例えばハガキ等の小サイズ用紙の印刷ジョブ完了後に、排紙前カバー61及び排紙トレイ67を状態1から状態3へと変位させる。これにより、状態3の位置よりも胴内排紙部60の奥側にあるホームポジションに排紙トレイ67が位置する場合に比して、排紙トレイ67上の用紙Pの視認性及び取り出し性を向上できる。また、印刷時には排紙前カバー61を閉じることで低騒音化や低臭気化を図ることができる。用紙取り出し時には、排紙前カバー61を開放させると共に排紙トレイ67を状態3とすることで、小サイズ用紙Pの視認性や取り出し性が向上した画像形成装置100を提供することができる。また、小サイズ用紙Pを排紙トレイ67上から取り出すときに、用紙Pを胴内排紙部60の装置奥側に押し込んでしまったとしてもエンドフェンス68によって一定位置で止まるため、用紙Pが取れなくなることがない。
一方、図12状態3から状態1に排紙前カバー61及び排紙トレイ67を変位させるときには、排紙トレイ駆動部65によって排紙トレイ67をトレイ全開位置からホームポジションに向けて移動させる。また、このような排紙トレイ67の移動に伴い、上述のトーションコイルばねからの付勢力により装置本体10に対して排紙前カバー61が回動し、排紙前カバー61が閉状態となる。
図14は排紙左カバー62の開閉機構を示す概略図、図15は開閉動作における排紙左カバー62及び排紙トレイ67の状態を示す概略図である。なお、表1に示すように、第1位置検知センサ73と第2位置検知センサ74との検知結果の組み合わせ、排紙トレイ67の状態変化、事前の移動情報等によって排紙トレイ67の位置を判別し、排紙トレイ67の位置制御が行われる。
図16(a)は、図15状態1における排紙左カバー62及び排紙トレイ67の位置を示している。先ず、排紙トレイ67がホームポジションに位置する状態1では、排紙左カバー62が左カバー付勢部材77を介して排紙左カバー押圧ばね78によって回動軸93より下側のフック部88を付勢されている。そのため、排紙左カバー62は閉状態を維持する。
排紙トレイ駆動部65によって排紙トレイ67がホームポジションから装置後方側に移動すると、図16(b)に示すように排紙トレイ67に設けられた左カム形状部87によって左カバー付勢部材77が装置右側に向けて移動する。そして、フック部88が左カバー付勢部材77から外れるまで、装置本体10に対して回動軸93を中心に排紙左カバー62を開放方向へ回動させる。これにより、排紙左カバー62には開放方向の初速が与えられると共に、排紙左カバー62の重心が回動軸93よりも装置外側に位置することとなるため、自動的に排紙左カバー62は最大開放角度βまで開き、自重で保持されて図15状態4となる。
排紙トレイ駆動部65によって排紙トレイ67が装置奥側に引き込まれた図15状態4から手前側に移動すると、図16(c)に示すように左カバー付勢部材77がフック部88の排紙左カバー62を開放方向に付勢する位置に当接する。これにより排紙左カバー62の開放状態が維持される。このような排紙左カバー62の開放動作は、排紙トレイ67に収まらないA3サイズ等の長尺の用紙P1を用いるジョブが入ったことを検知したときに排紙トレイ駆動部65によって排紙左カバー62を自動で開放し、図15の状態1から状態4に変位させる。これは、A3サイズの用紙P1をSEF送りで排紙トレイ67に排出することで、排紙トレイ67への排紙方向における排紙トレイ67の幅よりも排紙方向における用紙P1の長さが長くなる。このため、排紙左カバー62を閉じた状態では排紙トレイ67上にA3サイズの用紙P1を排出することができないからである。また、排紙左カバー62の開放時には排紙左カバー62が延長トレイとして機能するため、排紙トレイ67と排紙左カバー62との上にA3サイズの用紙P1を積載して収容することができる。これにより、印刷時には排紙左カバー62が閉じられて低騒音及び低臭気としつつ、小型ながらA3サイズ等の長尺サイズの用紙P1のスタックも可能な画像形成装置100を提供することができる。
一方、図15状態4から状態1へと排紙左カバー62及び排紙トレイ67を変位させる場合には、排紙トレイ駆動部65によって排紙トレイ67をホームポジションに向けて移動させる。また、このような排紙トレイ67の移動に伴い、排紙左カバー押圧ばね78の付勢力によってフック部88が左カバー付勢部材77で付勢され、装置本体10に対して排紙左カバー62が閉塞方向に自重で回動し、排紙左カバー62が閉状態となる。また本実施形態では、各カバー61,62を排紙トレイ駆動部65に設けられた単一の駆動源である駆動モータ70からの駆動力によって開閉させている。このため、各カバー61,62を個別の駆動モータによって開閉させる構成に比して、コストダウンを図ることができる。
次に、図17を用いて開閉スイッチ63を説明する。画像形成装置100では、排紙トレイ67及び排紙前カバー61の開閉動作を、印刷ジョブと連動して行うように設定するだけではなく、開閉スイッチ63の押下により開閉動作を行うことができるように構成している。これにより、胴内排紙部60に排出された用紙Pを印刷ジョブにかかわらずユーザが随時取り出すことが可能となり、利便性が向上する。
透明な樹脂によって形成された開閉スイッチ63は、装置本体10の前側に位置する排紙前カバー61と隣接する外壁面101に設けられており、その内部にはLED63aが設けられている。LED63aによって開閉スイッチ63を点滅させることにより、ユーザへの装置状態の報知や開閉スイッチ63の押下を促すことができる。また開閉スイッチ63は、装置前側面と装置左側面との稜線を跨ぐように配設されている。このため、ユーザは装置後左側を除く270度の方位から開閉スイッチ63の点滅を目視することができ、画像形成装置100の設置方向の自由度を大幅に向上させることができる。
図18は、複数枚の用紙Pに連続して画像を形成する連続印刷時における印刷処理制御のフローチャートを示している。印刷処理が開始されると、先ず印刷開始時排紙部処理を実行する(S1)。図19は印刷開始時排紙部処理において実行される動作を示しており、この印刷開始時排紙部処理は低騒音及び低臭気状態で印刷が実施されるように行われるものである。
図19に示すように、印刷開始時排紙部処理が開始されると、先ず排紙トレイ67が胴内排紙部60内から外部に引き出されているか否かを判断する(S11)。排紙トレイ67が引き出されている場合には、排紙トレイ67を胴内排紙部60内に自動で引き入れる(S12)。次に、排紙カバーが開いているか否かが判断される(S13)。排紙カバーが開いている場合には、排紙カバーを自動で閉じて(S14)印刷開始時排紙部処理を終了する。この印刷開始時排紙部処理により、画像形成装置100は図2に示したように、胴内排紙部60内に排紙トレイ67が引き入れられ、各カバー61,62が閉じた状態となる。
図18において、印刷開始時排紙部処理の終了後、ページ毎の印刷出力処理を実行する(S2)。図20はページ毎の印刷出力処理において実行される動作を示している。図20に示すように、ページ毎の印刷出力処理が開始されると、画像データ生成工程(S21)、給紙工程(S22)、作像工程(S23)。転写工程(S24)、定着工程(S25)、排紙工程(S26)を経てページ毎の印刷出力処理が終了する。
図18において、ページ毎の印刷出力処理の終了後、全ページの印刷出力が完了したか否かを判断する(S3)。全ページの印刷出力が完了していない場合には、全ページの印刷出力が完了するまでページ毎の印刷出力処理を繰り返し行う。一方、全ページの印刷出力が完了した場合には、印刷終了時排紙部処理を実行する(S4)。図21は印刷終了時排紙部処理で実行される動作を示しており、これは胴内排紙部60内の排紙トレイ67上に排出された用紙Pをユーザが取り出し易くなるように行われるものである。
図21に示すように印刷終了時排紙部処理が開始されると、先ず排紙カバーを自動で開いて(S31)胴内排紙部60を露出させる。その後、胴内排紙部60内から外部へと排紙トレイ67を自動で引き出し(S32)、印刷終了時排紙部処理が終了して一連の印刷処理を終了する。この印刷終了時排紙部処理により画像形成装置100は図3(b)に示したように各カバー61,62が開放され、胴内排紙部60内から排紙トレイ67が引き出された状態となる。なお、排紙カバーと排紙トレイ67とが連動する構成においては、印刷開始時排紙部処理や印刷終了時排紙部処理において排紙カバーの開閉動作と排紙トレイ67の移動とが一つの制御で行われる。
図22は、開閉スイッチ押圧時処理で行われる動作の一例を示すフローチャートである。画像形成装置100では、ユーザが開閉スイッチ63を押下することにより、排紙カバーである各カバー61,62を開閉させたり排紙トレイ67を移動させたりすることが可能である。図22に示した開閉スイッチ押圧時処理では、ユーザによって開閉スイッチ63が押下されると(S41)、排紙カバーが閉じているか否かを判断する(S42)。排紙カバーが閉じていれば排紙カバー開処理を実行する(S43)。
図23は、排紙カバー開処理で実行される動作の一例のフローチャートである。この排紙カバー開処理では、排紙カバーを自動で開いて(S51)胴内排紙部60を露出させる。その後、胴内排紙部60内から外部へと排紙トレイ67を自動で引き出し(S52)、排紙カバー開処理が終了する。これにより、画像形成装置100は図3(b)に示すように、各カバー61,62が開放され胴内排紙部60内から排紙トレイ67が引き出された状態となる。
一方、ユーザによって開閉スイッチ63が押下されて(S41でYES)排紙カバーが開いていれば(S42でNO)、排紙カバー閉処理が実行される(S44)。図24は、排紙カバー閉処理で実行される動作の一例のフローチャートである。この排紙カバー閉処理では、排紙トレイ67を胴内排紙部60内に自動で引き入れ(S61)、排紙カバーを自動で閉じて(S62)、排紙カバー閉処理が終了する。これにより、画像形成装置100は図2に示すように、胴内排紙部60内に排紙トレイ67が引き入れられ各カバー61,62が閉塞された状態となる。そして、排紙カバー開処理または排紙カバー閉処理の終了によって開閉スイッチ押圧時処理が終了する。
上述したように、各カバー61,62と排紙トレイ67とが連動する構成では、排紙カバー開処理及び排紙カバー閉処理において各カバー61,62の開閉動作と排紙トレイ67の移動とが一つの制御で行われる。このように画像形成装置100では、ユーザの要望に合わせて各カバー61,62の開閉動作と排紙トレイ67の移動とを行うことができる。これにより、低騒音及び低臭気で、かつユーザビリティ性の優れた画像形成装置を提供することができる。
図25は、上述した状態1から状態3へと遷移する際の、排紙トレイ67における排紙位置から前進位置までの移動量の決定動作の第1の実施形態を示している。図25(a)では図21で示した印刷終了時排紙部処理が開始された後に状態3への遷移処理が行われ(S71)、図25(b)では図22で示した開閉スイッチ押圧時処理が開始された後に状態3への遷移処理が行われる(S72)。図26は、状態3への遷移処理の内容を示している。ここでは、ホームポジションである状態1から排紙カバーが開放位置を占めた状態2へと遷移した後(S81)に排紙トレイ67の移動量を決定している(S82)。そして決定した移動量に基づいて排紙トレイ67を前進位置へと移動させて(S83)、状態3への遷移処理が完了する。この第1の実施形態では、状態2から状態3へと遷移する際に排紙トレイ67の移動量を決定しているが、移動量の決定は排紙トレイ67の移動前であればどの時点で行ってもよい。
第1の実施形態における排紙トレイ67の移動量の決定は、操作パネル64上に設けられた図示しないテンキー、方向キー、エンターキー等をユーザが押下することにより行われ、決定された移動量の値は制御部500内に記憶される。そして、排紙トレイ67が排紙位置から前進位置へと移動する際に排紙トレイ駆動部65に対して制御部500から動作指令が送られ、排紙トレイ67が設定された移動量だけ移動する。この構成とすることにより、状態3において用紙Pまたは用紙P1の取り出し性を高めることができ、静音及び低臭気で用紙取り出し性が良好なユーザビリティの優れた画像形成装置を提供することができる。
図27は、本発明の第2の実施形態における排紙トレイ67の移動量決定処理を示している。この第2の実施形態では、図27に示すように使用される用紙P、すなわち出力紙サイズに応じた移動量を自動算出している(S91)。排紙トレイ67上に排出された用紙Pを取り出す際にどの程度排紙トレイ67を移動させればよいかは、出力紙のサイズに応じて変動する。出力紙が小さいほどユーザの手を胴内排紙部60内に深く挿入する必要があるため、排紙トレイ67の移動量が不十分であると出力紙を取りにくくなる。従って、出力紙サイズが小さいほど排紙トレイ67の移動量を大きくした方が好ましく、一方で出力紙サイズが大きければ排紙トレイ67の移動量は小さくても構わない。
上述より、出力紙のサイズによっては出力紙が取りにくいという課題に対して、出力紙サイズを基に排紙トレイ67の移動量を自動決定することが有効である。具体的な出力紙サイズに応じた移動量の自動算出は、図28に示すように、移動量M=移動後の必要空間距離U−出力紙サイズXといった関係式で表すことができる(S92)。ただし、この式は一例に過ぎず、必要空間距離とは出力紙取り出しのためにユーザの手を挿入するために必要な空間の距離である。排紙トレイ67への排紙方式、排紙トレイ67の移動方向、排紙トレイ67内の用紙積載位置によっても、出力紙の主走査および副走査サイズ、必要空間距離等が変化する。上述の構成によれば、出力紙としてどのようなサイズの用紙が用いられても、取り出し性が良好な画像形成装置を提供することができる。
図29は、本発明の第3の実施形態における排紙トレイ67の移動量決定処理を示している。第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に出力紙サイズに応じた移動量としているが、移動量を自動算出する第2の実施形態のような細やかなものではなく、移動量を予め設定された複数の値の中から選ぶ点において第2の実施形態と相違している。第3の実施形態では、排紙トレイ67の移動量を小さい方からM1,M2,M3,M4の4段階としているが、移動量の設定は2段階以上であればいくつでもよい。この構成によれば、第2の実施形態に比して必要空間距離にバラツキは生じてしまうものの、排紙トレイ67の移動量を選択肢の値で限定することができる。これにより、第2の実施形態と同様の作用効果に加え、排紙トレイ67の停止位置が減ることから構成及び制御の簡素化を図ることができ、さらに事前に排紙トレイ67の停止位置が判っていれば移動速度を可変することもできる。
上述した第2の実施形態及び第3の実施形態において、必要空間距離は装置構成のみならず、ユーザの嗜好や手の大きさ等にも影響を受ける。従って、このように自動算出または自動選定した排紙トレイ67の移動距離に対して、さらに可変幅を持った調整量を付加すると有益である。調整量の付加は、具体的には第1の実施形態における排紙トレイ67の移動量の決定と同様に、操作パネル64上に設けられた各種キーにより行われ、決定された移動量の値は制御部500内に記憶される。そして、この調整量が付加された移動量だけ排紙トレイ67が移動される。この構成とすることにより、ユーザによるカスタマイズを行うことができ、さらに用紙の取り出し性が良好な画像形成装置を提供することができる。
図30は、本発明の第4の実施形態における排紙トレイ67の移動量の制限値を説明するためのフローチャートである。上述した第1ないし第3の実施形態では、排紙トレイ67を前進位置に移動させた状態3においてある程度の作業スペースが必要となる。このため、装置の設置環境によっては、装置前側に立つユーザの空間が狭くなってしまったり、前進位置を占めた排紙トレイ67がユーザや外壁に接触したりしてしまうといった問題点が発生する虞がある。
上述の問題点の発生を防止するため、排紙トレイ67の移動量に制限値を設け、さらにその制限値を任意に可変とする。具体的には、図26に示した状態3への遷移処理と同様に行われ、ホームポジションである状態1から排紙カバーが開放位置を占めた状態2へと遷移した後(S81)に排紙トレイ67の移動量を決定する(S82)。そして、決定した移動量が制限量以下であるか否かを制御部500が判断し(S84)、制限量以下の場合には決定した移動量に基づいて排紙トレイ67を前進位置へと移動させて(S83)、状態3への遷移処理が完了する。決定した移動量が制限量を超えている場合には、制御部500は移動量を制限量へと自動的に変更し、ステップS83へと進む。この構成により、ユーザによって排紙トレイ67の移動量を制限することができ、排紙トレイ67の移動により空間が狭くなったり排紙トレイ67が外壁に接触したりすることを確実に防止でき、用紙の取り出し性をさらに向上することができる。
図31は、本発明の第5の実施形態における排紙トレイ67の動作を示している。この第5の実施形態では、排紙トレイ67上に排紙が排出された後の排紙トレイ67の状態遷移において、通常は状態1、状態2、状態3と遷移する動作を、状態1、状態2で終了させ、状態3への遷移を省略可能としたものである。排紙トレイ67が前進位置を占めた状態3では、排紙トレイ67上からの用紙の取り出しが容易となるものの、低騒音や低臭気を優先したいユーザや小サイズ用紙への印刷を行わないユーザにとっては不要な状態であるとも言える。従って、ユーザの要望に合わせて状態3への遷移を無効化できると有益である。
第5の実施形態では、第1の実施形態と同様に、印刷終了時排紙部処理が開始された後、または開閉スイッチ押圧時処理が開始された後に状態3への遷移処理が行われる。状態3への遷移処理では、ホームポジションである状態1から排紙カバーが開放位置を占めた状態2へと遷移した後(S101)に排紙トレイ67の移動の有無を決定している(S102)。制御部500は排紙トレイ67の移動があるか否かを判断し(S103)、移動なしの場合には状態2のままで状態3への遷移処理が完了し、移動ありの場合には排紙トレイ67が前進位置に移動して(S104)状態3への遷移処理が完了する。第5の実施形態では、状態2から状態3へと遷移する際に排紙トレイ67の移動の有無を決定しているが、移動の有無の決定は排紙トレイ67の移動前であればどの時点で行ってもよい。
第5の実施形態における排紙トレイ67の移動の有無の決定は、操作パネル64上に設けられた各種キーをユーザが押下することにより行われ、決定された移動の有無は制御部500内に記憶される。そして、排紙トレイ67が排紙位置から前進位置へと移動する際に排紙トレイ駆動部65に対して制御部500から動作指令が送られ、排紙トレイ67の移動の有無が決定される。この構成とすることにより、ユーザの要望に応じて状態3への遷移を行うか行わないかを選択することができ、用紙Pまたは用紙P1の取り出し性と静音及び低臭気との両立に優れた画像形成装置を提供することができる。
図32は、本発明の第6の実施形態における排紙トレイ67の移動の有無の決定処理を示している。第6の実施形態では、排紙トレイ67の移動の有無を使用する給紙トレイに応じて決定しており(S105)、取り出しが容易な大サイズの用紙使用時には排紙トレイ67の移動を省略している。第6の実施形態では、それぞれ収容する用紙サイズが異なる給紙トレイを4個有する画像形成装置を例に説明しているが、給紙トレイの数は2以上であればいくつでもよい。この構成によれば、状態3への遷移処理を使用する給紙トレイに収容された用紙サイズに応じて自動的に行うことができ、第5の実施形態と同様の作用効果に加え、不要な排紙トレイ67の移動を防止して使い勝手を向上することができる。
図33は、本発明の第7の実施形態における排紙トレイ67の移動の有無の決定処理を示している。第7の実施形態では、排紙トレイ67の移動の有無を装置の稼働時間に応じて決定している(S106)。これは、周囲に人が多い時間帯では騒音や臭気を低減したく、印刷が頻繁に行われる時間帯ではダウンタイムを低減したいことから、装置本体の内部が露呈される排紙トレイ67の移動を省略している。第7の実施形態では、1日における装置の稼働時間を4つの時間帯に分割した例に説明しているが、装置の稼働時間の分割は2つの時間帯以上であればいくつでもよい。この構成によれば、状態3への遷移処理を装置の稼働時間に応じて自動的に行うことができ、第5の実施形態と同様の作用効果に加え、排紙トレイ67の移動を抑制して使い勝手を向上することができる。なお、本実施形態では状態3への遷移処理を自動で行っているが、騒音や臭気の観点からは状態2への遷移処理としてもよい。
図34は、本発明の第8の実施形態における排紙トレイ67の移動の有無の決定処理を示している。第8の実施形態では、排紙トレイ67の移動の有無を装置で使用するアプリケーションの種類に応じて決定している(S107)。これは、複写機のように装置の前にユーザがいる印刷では、排紙トレイ67上に出力紙が排出されたことがユーザに認識されるため、騒音や臭気の観点から状態3への遷移動作を無効とすることが望まれる。しかし、ファクシミリやプリンタのように装置の前にユーザがいない印刷では、排紙トレイ67上に出力紙が排出されたことがユーザに認識されないため、排紙トレイ67を状態3に遷移動作させてユーザに認識させる必要がある。第8の実施形態では、使用するアプリケーションの種類を4種類として説明しているが、使用するアプリケーションの種類は2種類以上であればいくつでもよい。この構成によれば、状態3への遷移処理を装置が使用するアプリケーションの種類に応じて自動的に行うことができ、第5の実施形態と同様の作用効果に加え、排紙トレイ67の移動を抑制して使い勝手を向上することができる。なお、本実施形態でも状態3への遷移処理を自動で行っているが、騒音や臭気の観点からは状態2への遷移処理としてもよい。
以上説明したように、本発明の第1ないし第8の実施形態によれば、排紙トレイ67を状態3とすることにより用紙の取り出し性を高めることができ、静音及び低臭気で用紙取り出し性が良好なユーザビリティの優れた画像形成装置を提供することができる。また、状態2から状態3へと移動する排紙トレイ67の移動量を制御することにより、使い勝手が向上した画像形成装置を提供することができる。さらに、状態3への遷移処理の有無を制御することにより、騒音や臭気を抑制してさらに使い勝手も向上することができる。
上述した第1ないし第4の実施形態では排紙トレイ67の移動量に関する制御を、第5ないし第8の実施形態では排紙トレイ67の移動の有無を制御する構成をそれぞれ示したが、これ等を互いに組み合わせた制御を行ってもよい。このとき、移動量の設定と動作有無の判定とは、その順序を問わずどちらを先に行ってもよい。
上述した画像形成装置100を含め、紙詰まりの発生時等においても排紙カバー61,62を自動開閉可能な装置では、次のような問題点があった。それは、ユーザが排紙を取り出そうとしたり様子を見ようとしたりして排紙部に手を近付けたときに、開放あるいは閉塞する排紙カバーに手が接触して、装置の故障を誘発したりユーザが手を挟まれたりしてしまうということである。そこで、このような問題点を解決し、紙詰まり時における処理を向上することができると共に故障及びユーザが手を挟むことを低減することが可能な画像形成装置を以下に説明する。
図35は、本発明の他の実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。この画像形成装置99は、図1に示した画像形成装置100と比較すると、制御部500に代えて制御部499を有している点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。制御部499は、図6に示した制御部500と同様に構成されている。
図36を用いて画像形成装置99における制御システムの機能的な関係を説明する。印刷受付手段1である操作パネル46から受け付けたユーザによる印刷要求は、印刷出力手段2である画像形成部20によって用紙Pまたは用紙P1に画像を形成して胴内排紙部60に排紙する。胴内排紙部60内の排気状態や画像形成部20の作動状態に応じて、排紙トレイ出し入れ手段5及び排紙カバー開閉手段6である排紙トレイ駆動部65により各カバー61,62の開閉制御及び排紙トレイ67の移動制御を行う。胴内排紙部60内の排気状態は、機内排気状態検出手段3によって検出される。
印刷が終了して各カバー61,62が開放され、排紙トレイ67が引き出されている状態、すなわち用紙Pまたは用紙P1の取り出し待ち状態では、排紙トレイ紙有無検知手段7等の検知結果から次のような制御を行うことが可能である。なお、排紙検知センサ79が排紙トレイ紙有無検知手段7として機能する。すなわちユーザの設定した「取り出し待ち制御組み合わせ情報8A」、「取り出し待ち制御優先情報8B」、「トレイ引き出し一定時間情報8C」等の、取り出し待ち制御記憶手段8に記憶された記憶情報を参照する。そして、参照した記憶情報の内容に従って、各カバー61,62の開閉制御及び排紙トレイ67の移動制御を実行する。また、各カバー61,62の開閉制御や排紙トレイ67の移動制御を行わず、印刷保留手段4によって印刷出力手段2による印刷動作を保留する場合もある。このとき印刷保留手段4は、印刷受付手段1である操作パネル64からの印刷指示の受付を保留したり、印刷出力手段2である画像形成部20による画像形成動作を保留したりする。
異物検知手段17は、排紙カバーである排紙前カバー61及び排紙左カバー62の開閉動作中に、排紙トレイ67の近傍に異物が存在するか否かを検出し、異物の有無により排紙カバーの開閉動作を制御する。異物検知手段としては、第1位置検知センサ73及び第2位置検知センサ74及び排紙検知センサ79が機能する。
図37は、画像形成装置99における、図18で示した連続印刷時での印刷処理制御の、基本的な印刷開始時排紙部処理の内容を示している。図37に示すように、印刷開始時排紙部処理が開始されると、先ず排紙トレイ67が胴内排紙部60内から外部に引き出されているか否かを判断する(S111)。排紙トレイ67が引き出されている場合には、排紙トレイ67を胴内排紙部60内に自動で引き入れる(S112)。このとき異物検知手段17によって異物が検知されると(S113)、排紙トレイ67が排紙位置まで引き入れられたか否かが判断される(S114)。ステップS114において排紙トレイ67が排紙位置まで引き入れられていない場合には、ステップS112まで戻って再度排紙トレイ67の引き入れが行われる。
ステップS111において排紙トレイ67が排紙位置から引き出されていない場合及びステップS114において排紙トレイ67の引き入れが完了した場合には、排紙カバー61(及び62)が開いているか否かが判断される(S115)。排紙カバー61が開いている場合には排紙カバー61が閉じられ(S116)、このとき異物検知手段17によって異物が検知されると(S117)、排紙カバー61が閉じられたか否かが判断される(S118)。排紙カバー61が閉じられていない場合にはステップS116に戻り、排紙カバー61が閉じられている場合及びステップS115で排紙カバーが閉じられていると判断された場合には印刷開始時排紙部処理が完了する。
図38は、画像形成装置99における、図18で示した連続印刷時での印刷処理制御の、基本的な印刷終了時排紙部処理の内容を示している。図38に示すように、印刷終了時排紙部処理が開始されると、先ず排紙カバー61が開放される(S121)。このとき異物検知手段17によって異物が検知されると(S122)、排紙カバー61が開放されているか否かが判断される(S123)。排紙カバー61が開放されていない場合には、ステップS121まで戻って再度排紙カバー61の開放が行われる。
ステップS123において排紙カバー61が開放されている場合には、排紙トレイ67を前進位置まで移動させる(S124)。このとき異物検知手段17によって異物が検知されると(S125)、排紙トレイ67が前進位置まで移動したか否かが判断される(S126)。排紙トレイ67が移動完了していない場合にはステップS124に戻り、排紙トレイ67が移動完了していると判断された場合には印刷終了時排紙部処理が完了する。
図37及び図38に示した各処理において、処理動作中にユーザが排紙トレイ67の近傍に手を近付けると、上述したように装置の故障を誘発したりユーザが手を挟まれたりしてしまうため、これを防止する手段が異物検知処理である。異物検知処理は、具体的には次の二つの方法によって行われる。
第1の方法
排紙トレイ67の移動、排紙カバー61,62の開閉は、図12に示したトレイ位置制御によって行われる。これは、排紙フレーム66に設けられた第1位置検知センサ73と第2位置検知センサ74とによって排紙トレイ67に設けられた位置検知フィラ83の位置を検知する。これにより、各センサ73,74の組み合わせ、状態変化、事前の移動情報から排紙トレイ67の位置を把握している。
事前の移動情報は、排紙トレイ67を一定速度で移動させた際に各センサ73,74の検知結果が変化する順番やそのタイミングを表している。異物検知処理では、排紙トレイ67の動作制御中に各センサ73,74の変化の順番とタイミングとを検出し、その結果が事前の移動情報と同一であるか否かを判断している。同一ではない場合には、異物によって排紙トレイ67の動作制御が妨げられた、すなわち異物が存在するとの判断が可能である。例えば、排紙トレイ67が排紙位置を占めた、各センサ73,74が遮光の状態から排紙トレイ67の移動を開始し、正常時は一定時間t1経過後に第1位置検知センサ73が透光、第2位置検知センサ74が遮光になる。この場合、実際にはt1+αの時間が経過しても各センサ73,74が遮光の状態が継続したときには、異物が存在することで排紙トレイ67の動作制御が妨げられていると判断できる。ここでαは検知マージンであり、任意の値を設定可能である。
第2の方法
図8に示した排紙検知センサ79は、排紙トレイ67上の用紙の有無を検知可能である。従って、排紙検知センサ79の出力が有→無、あるいは無→有を検知することで、異物が存在することを判断することができる。例えば、排紙トレイ67の動作制御中に排紙検知センサ79の出力が有→無に変化した場合、排紙トレイ67上に積載されていた用紙をユーザが除去しようとしていると判断し、異物であるユーザの手が存在すると判断することができる。また、用紙が積載されていない排紙トレイ67上にユーザが手を入れた場合に排紙検知センサ79の出力は無→有に変化するため、この検知によっても異物が存在すると判断することができる。
その他、排紙トレイ67上の用紙非積載部の、ユーザが接触し易い場所に異物検知センサを設け、排紙トレイ67の動作制御中にこのセンサの出力変化から異物を検知してもよい。また、排紙トレイ67を駆動する駆動モータ70のトルクを検出する回路を設け、排紙トレイ67の動作制御中にトルクの変化から異物を検知してもよい。このとき、駆動モータ70に供給される電流値を取得してその値が閾値を超えたか否かで判定しても、一定時間内のトルク変化量を算出してその値が閾値を超えたか否かで判定してもよい。また、画像形成装置99の近傍にユーザが接近しているか否かを検知する人感センサを設け、排紙トレイ67の動作制御中にこのセンサの出力変化から異物を検知してもよい。
図39は、本発明の第9の実施形態における、画像形成装置99での印刷終了時排紙部処理の内容を示している。図39に示すように、印刷終了時排紙部処理が開始されると、先ず排紙カバー61の開放動作が開始される(S131)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S132)、異物があるか否かが判断される(S133)。異物があると判断されると、排紙カバー61の開放動作が停止されて(S134)印刷終了時排紙部処理が終了する。ステップS133で異物がないと判断されると、排紙カバー61の開放動作が完了しているか否かが判断され(S123)、排紙カバー61が開放されていないと判断された場合にはステップS131まで戻って再度排紙カバー61の開放が行われる。
ステップS123において排紙カバー61が開放されていると判断された場合には、排紙トレイ67を前進位置まで移動させる(S136)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S137)、異物があるか否かが判断される(S138)。異物があると判断されると、排紙トレイ67の移動が停止されて(S139)印刷終了時排紙部処理が終了する。ステップS138で異物がないと判断されると、排紙トレイ67の移動が完了しているか否かが判断される(S140)。排紙トレイ67の移動が完了していないと判断された場合にはステップS136まで戻って再度排紙トレイ67の移動が行われ、排紙トレイ67の移動が完了していると判断された場合には印刷終了時排紙部処理が終了する。
第9の実施形態によれば、異物検知手段17が異物を検知したときに排紙カバー61の開閉動作を停止するので、開放あるいは閉塞する排紙カバー61にユーザの手が接触した場合に排紙カバー61の作動をすぐに停止することができる。従って、排紙カバー61が無理に動こうとして発生する装置の故障の誘発や、ユーザがさらに手を挟まれたりすることを抑制することができる。これにより、装置の故障及びユーザの装置への接触を抑制することができ、装置の長寿命化及びメンテナンスの抑制及び使い勝手の向上を図ることができる。
図40は、本発明の第10の実施形態における、画像形成装置99での印刷終了時排紙部処理の内容を示している。図40に示すように、印刷終了時排紙部処理が開始されると、先ず排紙カバー61の開放動作が開始される(S141)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S142)、異物があるか否かが判断される(S143)。異物があると判断されると、排紙カバー61の開放動作が停止されると共に閉塞動作が行われ(S144)、閉塞動作が完了したか否かが判断される(S145)。閉塞していないと判断されるとステップS144に戻って再度排紙カバー61の閉塞が行われ、閉塞していると判断されると印刷終了時排紙部処理が終了する。
ステップS143において異物がないと判断されると、排紙カバー61の開放が完了したか否かが判断される(S146)。開放が完了していないと判断されるとステップS141に戻って排紙カバー61の開放が行われ、開放が完了していると判断されると排紙トレイ67が排紙位置から前進位置へと移動する(S147)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S148)、異物があるか否かが判断される(S149)。異物があると判断されると、排紙トレイ67の移動が停止されると共に前進位置から排紙位置への移動が行われ(S150)、移動が完了したか否かが判断される(S151)。移動が完了していないと判断されるとステップS150に戻って再度排紙トレイ67の排紙位置への移動が行われ、移動が完了していると判断されると印刷終了時排紙部処理が終了する。ステップS149で異物がないと判断されると、排紙トレイ67の移動が完了しているか否かが判断される(S152)。排紙トレイ67の移動が完了していないと判断された場合にはステップS147まで戻って再度排紙トレイ67の移動が行われ、排紙トレイ67の移動が完了していると判断された場合には印刷終了時排紙部処理が終了する。
第10の実施形態によれば、異物検知手段17が異物を検知したときに排紙カバー61は検知前の動作とは逆の動作を行うので、異物が存在した場合には異物により動作が妨げられないように元の状態に戻すことができる。これにより、開放あるいは閉塞する排紙カバー61にユーザの手が接触してユーザが手を挟まれたとしても、排紙カバー61が挟まれた手を開放するように移動することとなる。これにより、装置の故障を防止することができると共に、ユーザが手を挟まれた場合であっても早急にこれを解放でき、装置の長寿命化及びメンテナンスの抑制及びさらなる使い勝手の向上を図ることができる。
図41は、本発明の第11の実施形態における、画像形成装置99での印刷終了時排紙部処理の内容を示している。図41に示すように、印刷終了時排紙部処理が開始されると、先ず排紙カバー61の開放動作が開始される(S161)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S162)、異物があるか否かが判断される(S163)。異物があると判断されると、排紙カバー61の開放動作が停止される(S164)と共に経過時間が計測され、経過時間が所定時間である一定時間を経過したか否かが判断される(S165)。この経過時間の計測は制御部500内のタイマ304によって行われ、タイマ304が計測手段として機能する。また所定時間は、予めFROM302に記憶されている値や操作パネル64からユーザによって入力されNVRAM303に記憶された値が用いられる。
一定時間が経過したと判断されると、排紙カバー61の開放動作が完了したか否かが判断され(S166)、開放していないと判断されるとステップS161に戻って再度排紙カバー61の開放動作が行われる。ステップS166において排紙カバー61の開放動作が完了したと判断されると、排紙トレイ67が排紙位置から前進位置へと移動する(S167)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S168)、異物があるか否かが判断される(S169)。
異物があると判断されると、排紙トレイ67の移動が停止される(S170)と共に経過時間が計測され、経過時間が一定時間を経過したか否かが判断される(S171)。一定時間が経過したと判断されると、排紙トレイ67の前進位置への移動が完了したか否かが判断される(S172)。移動が完了していないと判断されるとステップS167に戻って再度排紙トレイ67の前進位置への移動が行われ、移動が完了したと判断されると印刷終了時排紙部処理が終了する。
第11の実施形態によれば、異物検知手段17が異物を検知して排紙カバー61が停止してからの経過時間が所定時間を経過した場合には検知前の動作を行うので、異物が一時的な負荷であった場合にはユーザの手を煩わせることなく開閉動作を完了できる。従って、ユーザが異物に気付いて自ら退避したり異物を除去したりした場合には、排紙カバー61の開閉動作が一時的に停止した後に開閉動作を自動的に完了することができる。これにより、装置の故障を防止することができると共に排紙カバー61の開閉動作を自動的に完了することができ、装置の長寿命化及びメンテナンスの抑制及びさらなる使い勝手の向上を図ることができる。
図42は、本発明の第12の実施形態における、画像形成装置99での印刷終了時排紙部処理の内容を示している。図42に示すように、印刷終了時排紙部処理が開始されると、先ず排紙カバー61の開放動作が開始される(S181)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S182)、異物があるか否かが判断される(S183)。異物があると判断されると排紙カバー61の開放動作が停止され(S184)、次にさらなる異物検知が異物検知手段17によって行われる(S165)。そして異物があるか否かが検知され(S186)、この検知は異物が取り除かれるまで継続して行われる。
ステップS183及びステップS186で異物がないと判断されると、排紙カバー61の開放動作が完了したか否かが判断され(S187)、開放していないと判断されるとステップS181に戻って再度排紙カバー61の開放動作が行われる。ステップS187において排紙カバー61の開放動作が完了したと判断されると、排紙トレイ67が排紙位置から前進位置へと移動する(S188)。このとき異物検知手段17によって異物検知が行われ(S189)、異物があるか否かが判断される(S190)。異物があると判断されると排紙トレイ67の移動が停止され(S191)、次にさらなる異物検知が異物検知手段17によって行われる(S192)。そして異物があるか否かが検知され(S193)、この検知は異物が取り除かれるまで継続して行われる。
ステップS190及びステップS193で異物がないと判断されると、排紙トレイ67の前進位置への移動が完了したか否かが判断される(S194)。移動が完了していないと判断されるとステップS188に戻って再度排紙トレイ67の前進位置への移動が行われ、移動が完了したと判断されると印刷終了時排紙部処理が終了する。
第12の実施形態によれば、異物検知手段17が異物を検知して排紙カバー61が停止した後にさらに異物検知手段17による異物検知を行うので、異物が除去された場合にはユーザの手を煩わせることなく開閉動作を完了できる。従って、ユーザが異物に気付いて自ら退避したり異物を除去したりした場合には、排紙カバー61の開閉動作が一時的に停止した後に開閉動作を自動的に完了することができる。これにより、装置の故障を防止することができると共に排紙カバー61の開閉動作を自動的に完了することができ、装置の長寿命化及びメンテナンスの抑制及びさらなる使い勝手の向上を図ることができる。
上述した第9ないし第12の実施形態では、本発明を印刷終了時排紙部処理に適用した例を示したが、本発明は印刷開始時排紙部処理にも適用可能である。
また、第9ないし第12の実施形態における異物検知処理において、異物が存在すると判断した場合にこれをユーザに報知する構成としてもよい。報知を行う報知手段の具体的な構成としては、以下のようなものが挙げられる。
第1は、操作パネル64に設けられた図示しないディスプレイに、「障害物検知 排紙カバー/排紙トレイの移動を停止します」というような文言を表示することで、ユーザに報知する方法である。ユーザは、この表示を見ることで異物の存在に気付くことができるが、さらに異物の位置情報や除去を促す情報を表示させてもよい。
第2は、操作パネル64や装置本体10に設けられた図示しないLEDランプを点灯させることによりユーザに報知する方法である。ユーザはLEDランプの点灯を視認することで異物の存在に気付くことができる。また、例えば「通常時は緑に点灯/異物検知時は赤に点灯」や「通常時は点灯/異物検知時は点滅」といったように、通常時と異物検知時とで点灯の仕方を変えることによりユーザに報知することも有効である。
第3は、装置本体10に図示しないスピーカを設け、スピーカから警告音を発してユーザに報知する方法である。ユーザは警告音を聞くことで、画像形成装置99から離れた位置にいたとしても異物の存在を認識することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。