JP2017019901A - 芳香族ポリケトンの製造方法、芳香族ポリケトン、芳香族ポリケトン膜、芳香族ポリケトン膜付基材、光学素子及び画像表示装置 - Google Patents

芳香族ポリケトンの製造方法、芳香族ポリケトン、芳香族ポリケトン膜、芳香族ポリケトン膜付基材、光学素子及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性及び耐熱性に優れ分子量の高い芳香族ポリケトンの製造方法の提供。
【解決手段】2,2’ジアルコキシビフェニル、2,2’−ジアルコキシジフェニルエーテル、2,2’ビスフェノールのジアルキルエーテル、アルキル置換されいても良いビフェニルエーテルから選ばれる1種以上の芳香族モノマーと、少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマーのモル比が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリケトンの製造方法、芳香族ポリケトン、芳香族ポリケトン膜、芳香族ポリケトン膜付基材、光学素子及び画像表示装置に関する。
芳香族ポリイミドは、優れた耐熱性及び機械特性を有し、エンジニアリングプラスチックとして注目されている(例えば、非特許文献1参照)。また、芳香族ポリイミドと同様に、主鎖に芳香環とカルボニル基を有する芳香族ポリケトンも、優れた耐熱性及び耐薬品性を有し、エンジニアリングプラスチックとして注目されている(例えば、特許文献1及び非特許文献2参照)。更に、芳香族ポリケトンに脂環構造を導入することで、優れた耐熱性及び透明性を有する芳香族ポリケトンが得られることが知られており(例えば、特許文献2参照)、光学素子等への利用が期待されている。
また近年、携帯電話に代表されるような持ち運びが可能な画像表示装置(モバイルディスプレイ)に対する需要が高まっており、画像表示装置等の光学素子の軽量化が求められている。このような要求に対し、ガラスに代わる高い透明を有し軽量な高分子材料(ガラス代替材)を適用することが提案されている。
一方で、光学部品の小型化による発熱量の増加に伴い、樹脂の熱による黄変、クラック等が問題となっている(例えば、特許文献3参照)。ガラスを樹脂で代替するためには、高い透明性及び強度とともに、耐熱性が求められる。
特開2005−272728号公報 特開2013−53194号公報 特開2009−280768号公報
日本ポリイミド研究会編「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」(2002年) 未来材料、2008年、8巻、8号、42〜47ページ
特許文献1では、芳香族ポリケトンのキャスト膜を水中に浸漬した後、60℃で加熱して乾燥させた膜を、電気二重層キャパシタ用セパレータとして適用している。しかし、この膜は微多孔質であるため、強度が低く、ガラス代替材へ適用することは難しい。
特許文献2に記載の芳香族ポリケトンは透明であることから、ガラス代替材への適用が期待できる。ただし、特許文献2に記載の製造方法では、得られるポリケトンの分子量が低く、十分な強度及び耐熱性を発揮できない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、透明性及び耐熱性に優れ、分子量の高い芳香族ポリケトンを得る芳香族ポリケトンの製造方法、並びに、透明性、耐熱性及び強度に優れる芳香族ポリケトン、芳香族ポリケトン膜、芳香族ポリケトン膜付基材、光学素子及び画像表示装置を提供する。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、芳香族ポリケトンの構造単位となるモノマーを溶解した溶液又は分散したスラリーの状態で重合する際に、モノマーの仕込み比を工夫することで、平均分子量(特に、重量平均分子量(Mw))の高い芳香族ポリケトンが得られることを見出した。さらに、芳香族ポリケトンの反応液又は芳香族ポリケトンの溶液を、芳香族ポリケトンに対する貧溶媒に投入して芳香族ポリケトンを析出させて濾過し、析出した芳香族ポリケトンを溶媒で洗浄して低分子量不純物を除去する工程を工夫することで、効果的に精製でき、更に平均分子量(特に、数平均分子量(Mn))の高い芳香族ポリケトンが得られることを見出した。
以上から、本発明は、上記課題を解決するために、下記の態様を含む。
<1> 下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(4)からなる群より選択される少なくとも1種の芳香族モノマーと、下記一般式(5)で表される少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマー)が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる、芳香族ポリケトンの製造方法。
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。
一般式(2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Xは酸素原子又は下記一般式(3)で表される2価の基を示す。
一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。
一般式(4)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。
一般式(5)中、Yは炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示す。
<2> 前記一般式(5)において、Yが、2価の飽和炭化水素基である、前記<1>に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
<3> 前記一般式(5)において、Yが、飽和脂環式炭化水素基を含む炭素数6〜30の2価の炭化水素基である、前記<1>又は<2>に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
<4> 前記縮合反応の後に得られる芳香族ポリケトンを含有する液を、芳香族ポリケトンの良溶媒と芳香族ポリケトンの貧溶媒とを含む溶液に接触させる、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
<5> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の製造方法により得られる芳香族ポリケトン。
<6> 前記<5>に記載の芳香族ポリケトンを含有する芳香族ポリケトン膜。
<7> 基材と、
前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる前記<6>に記載の芳香族ポリケトン膜と、
を有する芳香族ポリケトン膜付基材。
<8> 前記<6>に記載の芳香族ポリケトン膜又は前記<7>に記載の芳香族ポリケトン膜付基材を有する光学素子。
<9> 前記<6>に記載の芳香族ポリケトン膜又は前記<7>に記載の芳香族ポリケトン膜付基材を有する画像表示装置。
本発明によれば、透明性及び耐熱性に優れ、分子量の高い芳香族ポリケトンを得る芳香族ポリケトンの製造方法、並びに、透明性、耐熱性及び強度に優れる芳香族ポリケトン、芳香族ポリケトン膜、芳香族ポリケトン膜付基材、光学素子及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において「膜」とは、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「透明性」とは、可視光の透過性、少なくとも波長400nmの可視光の透過性が80%以上(膜厚1μm換算)であることを意味する。
本明細書において「耐熱性」とは、芳香族ポリケトンを含む部材において、加熱よる黄変及びクラックの発生が抑制されていることを意味する。
また、本明細書において「貧溶媒」とは、芳香族ポリケトンに対して貧溶媒であることを意味し、具体的には、溶媒100g中に芳香族ポリケトンが0.01g以下しか溶解しない溶媒を意味する。そして、「良溶媒」とは、芳香族ポリケトンに対して良溶媒であることを意味し、具体的には、溶媒100g中に芳香族ポリケトンが1g以上溶解する溶媒を意味する。
<芳香族ポリケトンの製造方法>
芳香族ポリケトンの製造方法は、下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(4)からなる群より選択される少なくとも1種の芳香族モノマーと、下記一般式(5)で表される少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマー)が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる。この製造方法によって得られる芳香族ポリケトンを、以下、「特定芳香族ポリケトン」とも称する。
一般的には、分子内に同一の官能基Aを2つ以上もつモノマーA’と、A’と反応する官能基Bを分子内に2つ以上もつモノマーB’とを用いてポリマーを重合する際には、モノマーA’とモノマーB’を等量で仕込む場合に、分子量が最も高くなりやすい。
しかし、本発明者らは鋭意検討の結果、特定芳香族ポリケトンの縮合反応においては、ジカルボン酸モノマーを芳香族モノマーに対して等量よりも多く仕込むことで、分子量が高くなりやすいことを見出した。分子量が高くなるほど、耐熱性と強度が向上する傾向にある。
一方で、芳香族モノマーに対するジカルボン酸モノマーの仕込み量が多くなるにつれ、反応生成物である芳香族ポリケトンが赤色又は黄色に着色する。芳香族ポリケトンの着色は、芳香族ポリケトンを良溶媒に溶解した溶液を、貧溶媒に接触させて、芳香族ポリケトンを洗浄することによって除くことができる。しかし、芳香族ポリケトンの着色が強い場合、透明樹脂として利用可能なまでに色を除くためには複数回の洗浄工程が必要であり、生産性に劣る。
本発明者らは鋭意検討の結果、特定芳香族ポリケトンの縮合反応においては、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマー)(以下、「モル比(A/C)ともいう」)を0.5以上1未満の範囲とし、芳香族モノマーのモル数よりもジカルボン酸モノマーのモル数が多くなるように仕込むことにより、3回以内の再沈殿による洗浄で除去可能な程度に着色を抑えつつ、分子量の高い特定芳香族ポリケトンが得られることを見出した。
着色を抑え洗浄工程を簡便にし、得られる特定芳香族ポリケトンの透明性を向上させる観点からは、モル比(A/C)の範囲は、3/5以上1未満がより好ましく、3/4以上1未満が更に好ましい。
また、特定芳香族ポリケトンの耐熱性及び特定芳香族ポリケトンを用いる部材の強度の観点からは、モル比(A/C)の範囲は、3/5以上95/105以下がより好ましい。
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。耐熱性の観点から、Rとしては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、反応制御の観点から、炭素数1〜5の炭化水素基がより好ましい。
また、Rにおける置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。尚、炭化水素基が置換基を有する場合、炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。以降、同様である。
で示される炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。また、これらの炭化水素基を組み合わせたものでもよい。
で示される飽和脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−イコサニル基、n−トリアコンタニル基等が挙げられる。
で示される不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
で示される脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。耐熱性の観点から、Rとしては、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。このような炭化水素基としては、一般式(1)中のRで例示したものと同様のものが挙げられる。また置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
一般式(2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。一般式(2)中のRの詳細は、一般式(1)中のRと同様である。
一般式(2)中、Xは、酸素原子又は一般式(3)で表される2価の基を示す。
一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。尚、波線を付した部分は、結合手を意味する。以降、化学式中の波線については同様である。耐熱性の観点から、R及びRとしては、それぞれ独立に、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。このような炭化水素基としては、一般式(1)中のRで例示したものと同様のものが挙げられる。また置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
一般式(4)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。耐熱性の観点から、Rとしては、それぞれ独立に、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。このような炭化水素基としては、一般式(1)中のRで例示したものと同様のものが挙げられる。また置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
一般式(5)中、Yは炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示す。Yで表される2価の基は、耐熱性の観点から、炭素数が6〜30であることが好ましい。
また、Yで表される2価の基は、炭化水素基であり、透明性の観点から、飽和炭化水素基を含むことが好ましい。飽和炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であっても、飽和脂環式炭化水素基であってもよい。より高い耐熱性と透明性の両立の観点から、Yで表される2価の基は、飽和脂環式炭化水素基を含むことが好ましい。また、嵩高い脂環式炭化水素基を含むと、高い耐熱性と透明性を維持したまま、溶媒への溶解性を高くすることができる傾向にある。また、Yで表される2価の基は、複数の脂肪族炭化水素基、複数の脂環式炭化水素基、又はそれらを組み合わせてもよい。
飽和脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエチレン基、ペンチレン基、n−メチルテトラメチレン基、1−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、プロピルエチレン基、エチルメチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、1−エチルテトラメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、トリメチルトリメチレン基、1,1−エチルメチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イコサニレン基、トリアコンタニレン基等が挙げられる。
耐熱性の観点から、飽和脂肪族炭化水素基としては、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、1−エチルテトラメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、トリメチルトリメチレン基、1,1−エチルメチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イコサニレン基、トリアコンタニレン基等が好ましい。
飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロパン骨格、シクロブタン骨格、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、キュバン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロ[5.2.1.0]デカン骨格、アダマンタン骨格、ジアダマンタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格等の2価の基が挙げられる。
耐熱性の観点から、飽和脂環式炭化水素基としては、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、キュバン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロ[5.2.1.0]デカン骨格、アダマンタン骨格、ジアダマンタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格等の2価の基が好ましい。
芳香族モノマー及びジカルボン酸モノマーは、それぞれ1種単独のモノマーを用いても、2種以上のモノマーを用いてもよい。
反応性の観点から、芳香族モノマーの合計量中、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(4)で表される芳香族化合物を30質量%以上含むことが望ましく、50質量%以上含むことが更に望ましい。また、反応性の観点から、ジカルボン酸モノマーの合計量中、一般式(5)で表されるジカルボン酸化合物を30質量%以上含むことが望ましく、50質量%以上含むことが更に望ましい。
縮合反応は酸性媒体中で行う。用いる酸性媒体は特に限定されず、例えば、五酸化二リンとpKaが−3.0以上(水溶液)の有機スルホン酸(以下、「特定有機スルホン酸」ともいう)との混合物を用いることができる。
五酸化二リンと特定有機スルホン酸との混合物を用いる方法では、特定有機スルホン酸として、例えば、炭素数1〜5のアルカンスルホン酸を用いることができ、得られるポリケトンの透明性の観点からは、メタンスルホン酸が好ましい。
五酸化二リンと特定有機スルホン酸との配合比は、粘性及び縮合剤としての機能を考慮すると、質量比で、五酸化二リン:特定有機スルホン酸が1:3〜1:30であることが好ましく、1:10〜1:20であることがより好ましい。
縮合反応における五酸化二リンと特定有機スルホン酸の使用量は、芳香族モノマーとジカルボン酸モノマーを溶解し得る量であれば特に限定されず、いわゆる触媒量から溶媒量までの範囲で用いることができる。反応性と扱いやすさの観点から、ジカルボン酸モノマー1質量部に対して、五酸化二リンと特定有機スルホン酸との混合物を5質量部〜100質量部の範囲で使用することが好ましい。
芳香族モノマーとジカルボン酸モノマーとの縮合反応を終えた後、芳香族ポリケトンを含有する液(例えば、縮合反応後の反応液、又は芳香族ポリケトンを溶解した溶液)と貧溶媒とを接触させて芳香族ポリケトンを析出させ、不純物を貧溶媒層に抽出し、析出した芳香族ポリケトンを濾過、デカンテーション、遠心分離等の方法で液体から分離する。さらにこの後、分離した芳香族ポリケトンを再度、良溶媒に溶解させ、再び貧溶媒と接触させて芳香族ポリケトンを析出させ、不純物を貧溶媒層に抽出し、析出した芳香族ポリケトンを濾過、デカンテーション、遠心分離等の方法で液体から分離してもよい。この操作を繰り返すことで、樹脂から不純物をより十分に取り除くことができる。
芳香族ポリケトンを含有する液と貧溶媒を接触させて芳香族ポリケトンを析出させる工程では、芳香族ポリケトンを含有する液を、貧溶媒と良溶媒とを含む溶液に接触させることが好ましく、貧溶媒と良溶媒とを混合して用いることがより好ましい。貧溶媒と良溶媒とを混合して用いることにより、効果的に低分子量成分を除去し、分子量の高い特定芳香族ポリケトンを得ることができる。
貧溶媒と良溶媒を混合して用いる場合の貧溶媒と良溶媒の配合比は特に限定されず、特定芳香族ポリケトンの構造、及び所望する分子量に応じて適宜設定することができる。収率の観点から、良溶媒に対する貧溶媒の配合比(貧溶媒/良溶媒)は、体積基準で、1/4を超えることが好ましい。さらに、特定芳香族ポリケトンの耐熱性及び特定芳香族ポリケトンを用いる部材の強度の観点から、良溶媒に対する貧溶媒の配合比(貧溶媒/良溶媒)は、体積基準で、1/4を超え1/1以下がより好ましく、1/4を超え2/3以下であることがさらに好ましい。
本発明において、良溶媒は特定芳香族ポリケトンを溶解するものであれば特に制限はなく、当該技術分野で使用される溶媒を使用できる。良溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、アニソール、ジグライム、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの良溶媒は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、貧溶媒は特定芳香族ポリケトンを析出させるものであれば特に制限はなく、当該技術分野で使用される溶媒を使用できる。貧溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<特定芳香族ポリケトン>
特定芳香族ポリケトンは、上述の製造方法により得られる。具体的には、特定芳香族ポリケトンは、下記一般式(1’)、下記一般式(2’)及び下記一般式(4’)からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位と、下記一般式(5’)で表される少なくとも1種の構造単位とを有する。特定芳香族ポリケトンは、着色が抑えられつつ、高い分子量を有する。
一般式(1’)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。一般式(1’)中のR及びRのそれぞれの詳細は、一般式(1)中のR及びRとそれぞれ同様である。
一般式(2’)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Xは、酸素原子又は下記一般式(3’)で表される2価の基を示す。一般式(2’)中のRの詳細は、一般式(1)中のRと同様である。
一般式(3’)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。一般式(3’)中のR及びRのそれぞれの詳細は、一般式(3)中のR及びRとそれぞれ同様である。
一般式(4’)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。一般式(4’)中のRの詳細は、一般式(4)中のRと同様である。
一般式(5’)中、Yは炭素数1〜30の2価の基を示す。一般式(5’)中のYの詳細は、一般式(5)中のYと同様である。
<特定芳香族ポリケトン膜>
芳香族ポリケトン膜(以下、「特定芳香族ポリケトン膜」ともいう)は、上述の芳香族ポリケトンを含有するものである。芳香族ポリケトン膜は、強度、透明性及び耐熱性に優れる。
特定芳香族ポリケトン膜の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、特定芳香族ポリケトンを含む塗布液を用いて得ることができる。塗布液に含まれる溶媒、添加剤等の特定芳香族ポリケトン以外の成分及び塗布液の製膜方法は特に限定されない。特定芳香族ポリケトンを含む特定芳香族ポリケトン膜は、モル比(A/C)が1以上の製造方法で得られる芳香族ポリケトン膜よりも、強度及び透明性及び耐熱性に優れる。
塗布液に含有させることが可能な溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、アニソール、ジグライム、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
塗布液は、芳香族ポリケトン及び溶媒以外に、更に添加剤等を含んでいてもよい。塗布液に含有させることが可能な添加剤の例としては、接着助剤、界面活性剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤等が挙げられる。
特定芳香族ポリケトン膜の強度を高くし、特定芳香族ポリケトン膜を用いる基材、光学素子及び画像表示装置の信頼性を向上させる観点から、特定芳香族ポリケトン膜は、ナノインデンテーション法によって測定した際に、弾性率が5.0GPa〜15GPaであって、硬度が0.35GPa〜1.0GPaであることが好ましく、弾性率が6.0GPa〜15GPaであって、硬度が0.40GPa〜1.0GPaであることがより好ましい。
ナノインデンテーション法は、市販のナノインデンターを用い、公知の方法を適用することができる。ナノインデンテーション法における測定では、特定芳香族ポリケトン膜を有する基材(以下、「特定芳香族ポリケトン膜付基材」ともいう)を用いる。
例えば、ナノインデンター(Agilent Technologies(株)、Nano Indenter SA2/DCM)を用いて、三角錐ダイヤモンドを端子として使用し、測定周波数60MHz、押込み深さ0nm〜500nm及び測定温度23℃の条件下で、特定芳香族ポリケトン膜付基材の特定芳香族ポリケトン膜の弾性率及び硬度を測定することができる。
<特定芳香族ポリケトン膜付基材>
特定芳香族ポリケトン膜付基材は、基材と、この基材の表面の少なくとも一部に設けられる特定芳香族ポリケトン膜と、を有する。
特定芳香族ポリケトン膜付基材において、基材は特に限定されず、ガラス基材、半導体基材、金属酸化物絶縁体基材(例えば、酸化チタン基材及び酸化ケイ素基材)、窒化ケイ素基材、トリアセチルセルロース、透明ポリイミド、ポリカルボナート、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等の透明樹脂基材などを例示することができる。基材の形状は特に限定されず、板状又はフィルム状であってもよい。
特定芳香族ポリケトン膜付基材において、特定芳香族ポリケトン膜は、基材の少なくとも一方の面に設けられていればよく、基材の両面に設けられていてもよい。また、特定芳香族ポリケトン膜付基材において、特定芳香族ポリケトン膜は、一層の単層構造であっても、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
<光学素子及び画像表示装置>
光学素子及び画像表示装置は、特定芳香族ポリケトン膜又は特定芳香族ポリケトン膜付基材を有する。光学素子及び画像表示装置は、例えば、特定芳香族ポリケトン膜付基材を構成する透明樹脂フィルム等の基材側を、粘着剤、接着剤等を介してLCD(液晶ディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)等に用いられている部材に貼り合せることにより、得ることができる。
特定芳香族ポリケトン膜又は特定芳香族ポリケトン膜付基材を用いる偏光板等の各種光学素子は、液晶表示装置等の各種画像表示装置に好ましく用いることができる。本実施形態の画像表示装置は、特定芳香族ポリケトン膜又は特定芳香族ポリケトン膜付基材を用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成であってもよい。画像表示装置が液晶表示装置である場合は、液晶セル、偏光板等の光学素子、及び必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を常法により組み立てて、駆動回路を組み込むことなどにより製造できる。液晶セルとしては、特に制限されず、例えば、TN型、STN型、π型等の様々なタイプを使用できる。
画像表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター等の介護機器、医療用モニター等の医療機器などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、これら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(合成例1)
ポリケトンPK1−1〜PK1−4を、芳香族モノマーとジカルボン酸モノマーの仕込み量を表1に示すように変える以外は共通にして、以下の合成法で得た。
2,2’−ジメトキシビフェニル及び3−ヘキセン二酸が計8.0mmol入ったフラスコに、五酸化二リン及びメタンスルホン酸の混合液(質量比1:10)を12ml加え、60℃で撹拌し反応させた。反応後、内容物をメタノール200ml中に投じ、生成した析出物を濾取した。得られた固体を蒸留水とメタノールで洗浄した後、乾燥し、ポリケトンを得た。
このとき、得られたポリケトンが目視で着色している場合には、ポリケトンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)5gに溶解し、その溶液を蒸留水200ml中に投じ、生成した析出物を濾取し、洗浄し、そして乾燥する工程を、ポリケトンの着色が目視でなくなるまで繰り返した。
表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(合成例2)
3−ヘキセン二酸の代わりにドデカン二酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK2−1〜PK2−4を得た。表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(合成例3)
3−ヘキセン二酸の代わりにシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK3−1〜PK3−4を得た。表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(合成例4)
3−ヘキセン二酸の代わりにアダマンタン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK4−1〜PK4−4を得た。表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(分子量の測定)
上記ポリケトンの分子量は、溶離液として、硝酸テトラブチルアンモニウム(TBA・NO)が0.1%となるように溶解させたテトラヒドロフラン(THF)又は1−メチルー2ピロリドン(NMP)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。詳細は次のとおりである。
・装置名:RI−8020(検出器)、DP−8020(ポンプ)、SD−8022(デガッサ)(東ソー株式会社)
・カラム:Gelpack GL−A150、GL−A160、GL−A170(製品名、日立化成株式会社)
・検出器:RI検出器
・流速:1ml/分

(合成例1’)
ポリケトンPK1−5〜PK1−8を、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量を変える以外は共通に以下の合成法で得た。
2,2’−ジメトキシビフェニル3.5mmol及び3−ヘキセン二酸4.5mmolが入ったフラスコに、五酸化二リン及びメタンスルホン酸の混合液(質量比1:10)を12ml加え、60℃で撹拌した。反応後、内容物をメタノールとテトラヒドロフランの混合液200ml中に投じ、生成した析出物を濾取した。得られた固体を蒸留水とメタノールで洗浄した後、乾燥し、ポリケトンを得た。
このとき、得られたポリケトンが目視で着色している場合には、ポリケトンをNMP5gに溶解し、その溶液を蒸留水200ml中に投じ、生成した析出物を濾取し、洗浄し、そして乾燥する工程を、ポリケトンの着色が目視でなくなるまで繰り返した。
表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(合成例2’)
3−ヘキセン二酸の代わりにドデカン二酸を用いた以外は合成例1’と同様にして、ポリケトンPK2−5〜PK2−8を得た。表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(合成例3’)
3−ヘキセン二酸の代わりにシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK3−5〜PK3−8を得た。表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(合成例4’)
3−ヘキセン二酸の代わりにアダマンタン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK4−5〜PK4−8を得た。表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
(比較合成例:ポリイミド前駆体PIの合成)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.0gを、十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)34gに溶解した。その後、この溶液に、4,4’−カルボニルビス(ベンゼン−1,2−ジカルボン酸)1,2:1’,2’−二無水物3.2gとベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸1,2:4,5−二無水物2.2gとの混合物を徐々に加えた。その後、得られた溶液を室温(25℃)で24時間撹拌し、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)PIのDMAc溶液を得た。
ポリイミド前駆体PIのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は50,000であった。
(熱分解温度の測定)
合成例で得たポリケトン又は比較合成例で得たポリイミド前駆体の粉末をアルミカップに量り取り、熱重量天秤((株)日立ハイテクサイエンス、TG−DTA6300)を用いて重量減少を測定した。加熱により重量が大きく減少する曲線の接線の交点を熱分解温度と定義する。それぞれのポリケトンの熱分解温度を表3に示す。
(製膜)
合成例で得たポリケトンをNMPに溶解した溶液、又は比較合成例で得たポリイミド前駆体のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液を、ポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルター(孔径5μm)で濾過し、塗布液を得た。
得られた塗布液をシリコン基材又はガラス基材上にスピンコーター((株)ミカサ、MS−A)を用いて均一な厚さになるように塗布し、120℃のホットプレート上で3分間加熱した。これを、窒素置換した高温クリーンオーブン(光洋サーモシステム(株)、CLH−21CD(III))に入れ、25℃から200℃まで1時間で昇温し、更に200℃で1時間加熱して硬化させ、200℃から80℃まで1時間で降温し、実施例及び比較例に用いる試験基板を得た。得られた試験基板における芳香族ポリケトン膜又はポリイミド膜の厚さは1μm〜3μmであった。
(弾性率及び硬度の測定)
実施例及び比較例の芳香族ポリケトン膜付シリコン基材及びポリイミド膜付きシリコン基材を用い、弾性率及び硬度をナノインデンターNano Indenter SA2/DCM(Agilent Technologies(株))を用いて測定した。端子として三角錐ダイヤモンドを使用し、測定周波数60MHz、押込み深さ0nm〜500nm、測定温度23℃の条件下で測定した。その結果を表3に示す。
(透過率の測定)
実施例及び比較例の芳香族ポリケトン膜付ガラス基材及びポリイミド膜付きガラス基材の400nmにおける紫外光の透過率を、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ、U−3310 Spectrophotometer)を用いた紫外可視吸収スペクトル法によって測定した。膜の付いていないガラス基材をリファレンスとして、膜厚1μmに換算した膜の透過率を表3に示す。
(加熱試験)
実施例又は比較例の芳香族ポリケトン膜付ガラス基材又はポリイミド膜付きガラス基材の400nmにおける紫外光の透過率を、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ、U−3310 Spectrophotometer)を用いた紫外可視吸収スペクトル法によって測定した。また、芳香族ポリケトン膜付ガラス基材又はポリイミド膜付きガラス基材を200℃のオーブンに72時間静置した後、同様の方法で、400nmにおける紫外光の透過率を測定した。膜の付いていないガラス基材をリファレンスとして、膜厚1μmに換算した膜の加熱後透過率を表3に示す。

表1に示すとおり、本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンは、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(A/C)を1以上で仕込む比較例の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンに比べ、重量平均分子量及び数平均分子量が高い。
また、縮合反応後の精製工程は任意であるが、表2に示すとおり、縮合反応の後に得られる芳香族ポリケトンを含有する液を、良溶媒と貧溶媒とを含む溶液に接触させることによって、重量平均分子量及び数平均分子量が更に高い芳香族ポリケトンを効率よく得ることができる。メタノールとテトラヒドロフランの体積比率(メタノール:テトラヒドロフラン)が40:160の場合には、ポリケトンPK1−8、PK2−8、PK3−8及びPK4−8の回収が困難であった。しかし、表2にはテトラヒドロフランの比率が多くなるほど分子量が高くなる傾向が示されていることから、PK1−8、PK2−8、PK3−8及びPK4−8の分子量は、比較例のPK1−4、PK2−4、PK3−4及びPK4−4の分子量に比べて高くなることが分かる。
表3の実施例1〜6と比較例1〜4を比べて分かるように、本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンは、比較例の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンに比べ熱分解温度が高い。また、本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンを含む芳香族ポリケトン膜は、比較例の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンを含むポリケトン膜よりも強度が高く、加熱による透過率の低下が少ない。
また、比較例5に示すとおり、耐熱性の高い熱硬化性樹脂であるポリイミドを含むポリイミド膜と比べて、本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンを含む芳香族ポリケトン膜は強度及び透明性に優れる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(4)からなる群より選択される少なくとも1種の芳香族モノマーと、下記一般式(5)で表される少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマー)が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる、芳香族ポリケトンの製造方法。

    〔一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。〕

    〔一般式(2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Xは酸素原子又は下記一般式(3)で表される2価の基を示す。〕

    〔一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。〕

    〔一般式(4)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。〕

    〔一般式(5)中、Yは炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示す。〕
  2. 前記一般式(5)において、Yが、2価の飽和炭化水素基である、請求項1に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
  3. 前記一般式(5)において、Yが、飽和脂環式炭化水素基を含む炭素数6〜30の2価の炭化水素基である、請求項1又は請求項2に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
  4. 前記縮合反応の後に得られる芳香族ポリケトンを含有する液を、芳香族ポリケトンの良溶媒と芳香族ポリケトンの貧溶媒とを含む溶液に接触させる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の製造方法により得られる芳香族ポリケトン。
  6. 請求項5に記載の芳香族ポリケトンを含有する芳香族ポリケトン膜。
  7. 基材と、
    前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる請求項6に記載の芳香族ポリケトン膜と、
    を有する芳香族ポリケトン膜付基材。
  8. 請求項6に記載の芳香族ポリケトン膜又は請求項7に記載の芳香族ポリケトン膜付基材を有する光学素子。
  9. 請求項6に記載の芳香族ポリケトン膜又は請求項7に記載の芳香族ポリケトン膜付基材を有する画像表示装置。
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