JP2017019901A - 芳香族ポリケトンの製造方法、芳香族ポリケトン、芳香族ポリケトン膜、芳香族ポリケトン膜付基材、光学素子及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2,2’ジアルコキシビフェニル、2,2’−ジアルコキシジフェニルエーテル、2,2’ビスフェノールのジアルキルエーテル、アルキル置換されいても良いビフェニルエーテルから選ばれる1種以上の芳香族モノマーと、少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマーのモル比が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる。
【選択図】なし
Description
特許文献2に記載の芳香族ポリケトンは透明であることから、ガラス代替材への適用が期待できる。ただし、特許文献2に記載の製造方法では、得られるポリケトンの分子量が低く、十分な強度及び耐熱性を発揮できない。
以上から、本発明は、上記課題を解決するために、下記の態様を含む。
前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる前記<6>に記載の芳香族ポリケトン膜と、
を有する芳香族ポリケトン膜付基材。
本明細書において「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「膜」とは、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「耐熱性」とは、芳香族ポリケトンを含む部材において、加熱よる黄変及びクラックの発生が抑制されていることを意味する。
芳香族ポリケトンの製造方法は、下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(4)からなる群より選択される少なくとも1種の芳香族モノマーと、下記一般式(5)で表される少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマー)が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる。この製造方法によって得られる芳香族ポリケトンを、以下、「特定芳香族ポリケトン」とも称する。
また、特定芳香族ポリケトンの耐熱性及び特定芳香族ポリケトンを用いる部材の強度の観点からは、モル比(A/C)の範囲は、3/5以上95/105以下がより好ましい。
また、R1における置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。尚、炭化水素基が置換基を有する場合、炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。以降、同様である。
反応性の観点から、芳香族モノマーの合計量中、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(4)で表される芳香族化合物を30質量%以上含むことが望ましく、50質量%以上含むことが更に望ましい。また、反応性の観点から、ジカルボン酸モノマーの合計量中、一般式(5)で表されるジカルボン酸化合物を30質量%以上含むことが望ましく、50質量%以上含むことが更に望ましい。
特定芳香族ポリケトンは、上述の製造方法により得られる。具体的には、特定芳香族ポリケトンは、下記一般式(1’)、下記一般式(2’)及び下記一般式(4’)からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位と、下記一般式(5’)で表される少なくとも1種の構造単位とを有する。特定芳香族ポリケトンは、着色が抑えられつつ、高い分子量を有する。
芳香族ポリケトン膜(以下、「特定芳香族ポリケトン膜」ともいう)は、上述の芳香族ポリケトンを含有するものである。芳香族ポリケトン膜は、強度、透明性及び耐熱性に優れる。
例えば、ナノインデンター(Agilent Technologies(株)、Nano Indenter SA2/DCM)を用いて、三角錐ダイヤモンドを端子として使用し、測定周波数60MHz、押込み深さ0nm〜500nm及び測定温度23℃の条件下で、特定芳香族ポリケトン膜付基材の特定芳香族ポリケトン膜の弾性率及び硬度を測定することができる。
特定芳香族ポリケトン膜付基材は、基材と、この基材の表面の少なくとも一部に設けられる特定芳香族ポリケトン膜と、を有する。
特定芳香族ポリケトン膜付基材において、基材は特に限定されず、ガラス基材、半導体基材、金属酸化物絶縁体基材(例えば、酸化チタン基材及び酸化ケイ素基材)、窒化ケイ素基材、トリアセチルセルロース、透明ポリイミド、ポリカルボナート、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等の透明樹脂基材などを例示することができる。基材の形状は特に限定されず、板状又はフィルム状であってもよい。
光学素子及び画像表示装置は、特定芳香族ポリケトン膜又は特定芳香族ポリケトン膜付基材を有する。光学素子及び画像表示装置は、例えば、特定芳香族ポリケトン膜付基材を構成する透明樹脂フィルム等の基材側を、粘着剤、接着剤等を介してLCD(液晶ディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)等に用いられている部材に貼り合せることにより、得ることができる。
ポリケトンPK1−1〜PK1−4を、芳香族モノマーとジカルボン酸モノマーの仕込み量を表1に示すように変える以外は共通にして、以下の合成法で得た。
2,2’−ジメトキシビフェニル及び3−ヘキセン二酸が計8.0mmol入ったフラスコに、五酸化二リン及びメタンスルホン酸の混合液(質量比1:10)を12ml加え、60℃で撹拌し反応させた。反応後、内容物をメタノール200ml中に投じ、生成した析出物を濾取した。得られた固体を蒸留水とメタノールで洗浄した後、乾燥し、ポリケトンを得た。
このとき、得られたポリケトンが目視で着色している場合には、ポリケトンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)5gに溶解し、その溶液を蒸留水200ml中に投じ、生成した析出物を濾取し、洗浄し、そして乾燥する工程を、ポリケトンの着色が目視でなくなるまで繰り返した。
表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
3−ヘキセン二酸の代わりにドデカン二酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK2−1〜PK2−4を得た。表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
3−ヘキセン二酸の代わりにシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK3−1〜PK3−4を得た。表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
3−ヘキセン二酸の代わりにアダマンタン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK4−1〜PK4−4を得た。表1に、モノマー仕込み量の比、反応時間、洗浄回数、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
上記ポリケトンの分子量は、溶離液として、硝酸テトラブチルアンモニウム(TBA・NO3)が0.1%となるように溶解させたテトラヒドロフラン(THF)又は1−メチルー2ピロリドン(NMP)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。詳細は次のとおりである。
・カラム:Gelpack GL−A150、GL−A160、GL−A170(製品名、日立化成株式会社)
・検出器:RI検出器
・流速:1ml/分
ポリケトンPK1−5〜PK1−8を、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量を変える以外は共通に以下の合成法で得た。
2,2’−ジメトキシビフェニル3.5mmol及び3−ヘキセン二酸4.5mmolが入ったフラスコに、五酸化二リン及びメタンスルホン酸の混合液(質量比1:10)を12ml加え、60℃で撹拌した。反応後、内容物をメタノールとテトラヒドロフランの混合液200ml中に投じ、生成した析出物を濾取した。得られた固体を蒸留水とメタノールで洗浄した後、乾燥し、ポリケトンを得た。
このとき、得られたポリケトンが目視で着色している場合には、ポリケトンをNMP5gに溶解し、その溶液を蒸留水200ml中に投じ、生成した析出物を濾取し、洗浄し、そして乾燥する工程を、ポリケトンの着色が目視でなくなるまで繰り返した。
表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
3−ヘキセン二酸の代わりにドデカン二酸を用いた以外は合成例1’と同様にして、ポリケトンPK2−5〜PK2−8を得た。表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
3−ヘキセン二酸の代わりにシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK3−5〜PK3−8を得た。表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
3−ヘキセン二酸の代わりにアダマンタン−1,3−ジカルボン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリケトンPK4−5〜PK4−8を得た。表2に、反応後の反応液を投入するメタノールとテトラヒドロフランの混合液中のメタノールとテトラヒドロフランの量、及び得られたポリケトンの分子量を示す。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.0gを、十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)34gに溶解した。その後、この溶液に、4,4’−カルボニルビス(ベンゼン−1,2−ジカルボン酸)1,2:1’,2’−二無水物3.2gとベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸1,2:4,5−二無水物2.2gとの混合物を徐々に加えた。その後、得られた溶液を室温(25℃)で24時間撹拌し、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)PIのDMAc溶液を得た。
ポリイミド前駆体PIのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は50,000であった。
合成例で得たポリケトン又は比較合成例で得たポリイミド前駆体の粉末をアルミカップに量り取り、熱重量天秤((株)日立ハイテクサイエンス、TG−DTA6300)を用いて重量減少を測定した。加熱により重量が大きく減少する曲線の接線の交点を熱分解温度と定義する。それぞれのポリケトンの熱分解温度を表3に示す。
合成例で得たポリケトンをNMPに溶解した溶液、又は比較合成例で得たポリイミド前駆体のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液を、ポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルター(孔径5μm)で濾過し、塗布液を得た。
得られた塗布液をシリコン基材又はガラス基材上にスピンコーター((株)ミカサ、MS−A)を用いて均一な厚さになるように塗布し、120℃のホットプレート上で3分間加熱した。これを、窒素置換した高温クリーンオーブン(光洋サーモシステム(株)、CLH−21CD(III))に入れ、25℃から200℃まで1時間で昇温し、更に200℃で1時間加熱して硬化させ、200℃から80℃まで1時間で降温し、実施例及び比較例に用いる試験基板を得た。得られた試験基板における芳香族ポリケトン膜又はポリイミド膜の厚さは1μm〜3μmであった。
実施例及び比較例の芳香族ポリケトン膜付シリコン基材及びポリイミド膜付きシリコン基材を用い、弾性率及び硬度をナノインデンターNano Indenter SA2/DCM(Agilent Technologies(株))を用いて測定した。端子として三角錐ダイヤモンドを使用し、測定周波数60MHz、押込み深さ0nm〜500nm、測定温度23℃の条件下で測定した。その結果を表3に示す。
実施例及び比較例の芳香族ポリケトン膜付ガラス基材及びポリイミド膜付きガラス基材の400nmにおける紫外光の透過率を、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ、U−3310 Spectrophotometer)を用いた紫外可視吸収スペクトル法によって測定した。膜の付いていないガラス基材をリファレンスとして、膜厚1μmに換算した膜の透過率を表3に示す。
実施例又は比較例の芳香族ポリケトン膜付ガラス基材又はポリイミド膜付きガラス基材の400nmにおける紫外光の透過率を、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ、U−3310 Spectrophotometer)を用いた紫外可視吸収スペクトル法によって測定した。また、芳香族ポリケトン膜付ガラス基材又はポリイミド膜付きガラス基材を200℃のオーブンに72時間静置した後、同様の方法で、400nmにおける紫外光の透過率を測定した。膜の付いていないガラス基材をリファレンスとして、膜厚1μmに換算した膜の加熱後透過率を表3に示す。
また、比較例5に示すとおり、耐熱性の高い熱硬化性樹脂であるポリイミドを含むポリイミド膜と比べて、本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリケトンを含む芳香族ポリケトン膜は強度及び透明性に優れる。
Claims (9)
- 下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(4)からなる群より選択される少なくとも1種の芳香族モノマーと、下記一般式(5)で表される少なくとも1種のジカルボン酸モノマーとを、ジカルボン酸モノマーに対する芳香族モノマーのモル比(芳香族モノマー/ジカルボン酸モノマー)が0.5以上1未満の範囲で、酸性媒体中で縮合反応させる、芳香族ポリケトンの製造方法。
〔一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。〕
〔一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示し、Xは酸素原子又は下記一般式(3)で表される2価の基を示す。〕
〔一般式(3)中、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。〕
〔一般式(4)中、R5はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。〕
〔一般式(5)中、Yは炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示す。〕 - 前記一般式(5)において、Yが、2価の飽和炭化水素基である、請求項1に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
- 前記一般式(5)において、Yが、飽和脂環式炭化水素基を含む炭素数6〜30の2価の炭化水素基である、請求項1又は請求項2に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
- 前記縮合反応の後に得られる芳香族ポリケトンを含有する液を、芳香族ポリケトンの良溶媒と芳香族ポリケトンの貧溶媒とを含む溶液に接触させる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の芳香族ポリケトンの製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の製造方法により得られる芳香族ポリケトン。
- 請求項5に記載の芳香族ポリケトンを含有する芳香族ポリケトン膜。
- 基材と、
前記基材の表面の少なくとも一部に設けられる請求項6に記載の芳香族ポリケトン膜と、
を有する芳香族ポリケトン膜付基材。 - 請求項6に記載の芳香族ポリケトン膜又は請求項7に記載の芳香族ポリケトン膜付基材を有する光学素子。
- 請求項6に記載の芳香族ポリケトン膜又は請求項7に記載の芳香族ポリケトン膜付基材を有する画像表示装置。
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