JPWO2019009079A1 - ヒドラジド化合物を含有するポリケトン組成物、ポリケトン硬化物、光学素子及び画像表示装置 - Google Patents

ヒドラジド化合物を含有するポリケトン組成物、ポリケトン硬化物、光学素子及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

ポリケトン組成物は、一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトンとヒドラジド化合物とを含有する。一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を表し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し、nは1〜1500の整数を表す。

Description

本開示は、ポリケトン組成物、ポリケトン硬化物、光学素子及び画像表示装置に関する。
主鎖に芳香環とカルボニル基とを有する芳香族ポリケトンは、優れた耐熱性と機械特性を有しており、エンジニアリングプラスチックとして利用されている。芳香族ポリケトンに属する高分子のほとんどは、求核芳香族置換反応を利用して重合された芳香族ポリエーテルケトンであり、主鎖にエーテル結合を有している。これに対し、主鎖にエーテル結合を有していない芳香族ポリケトンは、芳香族ポリエーテルケトンよりもさらに優れた耐熱性及び耐薬品性を発揮しうる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
近年、脂環式ジカルボン酸と2,2’−ジアルコキシビフェニル化合物とをFriedel−Craftsアシル化により直接重合することで、高い透明性と耐熱性を両立した芳香族ポリケトンが得られることが報告され(例えば、特許文献3参照)、光学部品への応用が期待されている。
特開昭62−7730号公報 特開2005−272728号公報 特開2013−53194号公報
ここで、特許文献3に記載の芳香族ポリケトンの分子自身は、薬液に対して安定である。しかし、この芳香族ポリケトンを基材上に形成して得た硬化物は、薬液に暴露すると、基材から剥がれたり、溶解したりする場合があり、硬化物における実用的な耐薬品性には課題がある。
本開示は、上記現状に鑑み、硬化物としたときに、耐熱性、透明性及び耐薬品性に優れるポリケトン組成物及びポリケトン硬化物、並びにポリケトン硬化物を有する光学素子及び画像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトンと、ヒドラジド化合物とを含有するポリケトン組成物。

一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を表し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し、nは1〜1500の整数を表す。
<2> 前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、芳香環を含む炭素数6〜50の2価の基を含む、<1>に記載のポリケトン組成物。
<3> 前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、下記一般式(II−1)〜(II−3)からなる群より選択される少なくとも1つで表される2価の基を含む、<1>又は<2>に記載のポリケトン組成物。

一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。

一般式(II−2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、Zは、酸素原子又は下記一般式(III−1)〜(III−7)から選択される2価の基を表す。

一般式(III−1)〜(III−7)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。

一般式(II−3)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
<4> 前記一般式(I)において、Yが飽和炭化水素基を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<5> 前記一般式(I)において、Yが飽和脂環式炭化水素基を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<6> 前記一般式(I)において、Yの炭素数が6〜30である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<7> 前記ヒドラジド化合物が、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<8> 前記ヒドラジド化合物が、芳香族ヒドラジド化合物を含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<9> 溶剤をさらに含有する、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
<10> <1>〜<9>のいずれか1項に記載のポリケトン組成物の硬化物である、ポリケトン硬化物。
<11> <10>に記載のポリケトン硬化物を有する光学素子。
<12> <10>に記載のポリケトン硬化物を有する画像表示装置。
本開示によれば、硬化物としたときに、耐熱性、透明性及び耐薬品性に優れるポリケトン組成物及びポリケトン硬化物、並びにポリケトン硬化物を有する光学素子及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「透明性に優れる」とは、可視光の透過性(少なくとも波長400nmの可視光の透過性)が80%以上(膜厚1μm換算)であることを意味する。
本開示において「耐熱性に優れる」とは、ポリケトンを含む部材において熱分解温度が400℃以上かつガラス転移点(Tg)が270℃以上であることを意味する。
本開示において「硬化物の耐薬品性に優れる」とは、シリコン基板上に形成した膜状のポリケトン硬化物を下記条件(a)及び(b)で薬液に暴露しても、ポリケトン硬化物が基材から剥れず、且つポリケトン硬化物が溶解しないことを意味する。
条件(a):ジメチルスルホキシド(DMSO)と2−エタノールアミン(2AE)との混合液(DMSO:2AEは体積比で7:3)を60℃に加熱し、シリコン基板上に形成したポリケトン硬化物を30分間浸漬する。
条件(b):23℃の0.5質量%のフッ化水素(HF)水溶液に、シリコン基板上に形成したポリケトン硬化物を30分間浸漬する。
<ポリケトン組成物>
本開示のポリケトン組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトン(以下、「特定ポリケトン」ともいう)と、ヒドラジド化合物とを含有する。
一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を表し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し、nは1〜1500の整数を表す。
本開示のポリケトン組成物は、上記構成とすることで、硬化物としたときに、耐熱性、透明性及び耐薬品性に優れる。その理由は明らかではないが、以下のように考えられる。
特定ポリケトンは、耐熱性及び透明性に優れる。また、特定ポリケトンは、主鎖がほぼC−C結合で形成されるため、分子自身は薬液に対して安定である。さらに、ポリケトン組成物がヒドラジド化合物を含有することにより、特定ポリケトンにヒドラジド化合物が作用し、架橋構造を形成しうる。そのため、ポリケトン組成物を硬化物としたとき、高いTgを発現する。また、基材からの剥離、硬化物の溶解等が抑えられ、耐薬品性がより向上すると考えられる。
以下、各成分について説明する。
(A)特定ポリケトン
ポリケトン組成物は、特定ポリケトンを含有する。特定ポリケトンは、下記一般式(I)で表される構造単位を含む。
一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を表す。Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。nは1〜1500の整数を表し、2〜1000の整数であることが好ましく、5〜500の整数であることがより好ましい。なお、2価の基又は2価の炭化水素基が置換基を有する場合、2価の基又は2価の炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。以降、同様である。特定ポリケトンは、一般式(I)で表される構造単位を主鎖に含んでも側鎖に含んでもよく、主鎖に含むことが好ましい。
Xで表される2価の基の炭素数は、1〜50であり、1〜30であることが好ましく、1〜24であることがより好ましい。
Xが有し得る置換基は、特に限定されず、具体的には、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
Xで表される2価の基は、炭化水素基であることが好ましく、芳香環を含むことがより好ましい。Xが芳香環を有すると、より高い耐熱性を実現できる傾向にある。
Xは、高い耐熱性を実現する観点から、芳香環を含む炭素数6〜50の2価の基であることが好ましい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタセン環、ベンゾピレン環等が挙げられる。
さらに、Xで表される2価の基は、複数の芳香環を含むことが好ましく、複数の芳香環は相互に非共役であるか、又は相互の共役関係が弱い2価の基(以下、「特定芳香環基」ともいう)であることがより好ましい。これにより、ポリケトンを合成するときに低い反応温度で良好なジアシル化を実現することができ、分子量が高く耐熱性に優れるポリケトンとなる傾向にある。特定芳香環基は、炭素数が12〜50であることが好ましい。
ここで、「複数の芳香環は相互に非共役であるか、又は相互の共役関係が弱い」とは、複数の芳香環がエーテル結合若しくはメチレン結合を介して結合していること、又は2,2’−置換ビフェニルのように置換基による立体障害により、芳香環どうしの共役が抑えられることをいう。
Xとしては、下記一般式(II−1)〜(II−3)からなる群より選択される少なくとも1つで表される2価の基であることが好ましい。
一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。波線を付した部分は、結合手を意味する。以降、同様である。
耐熱性の観点から、Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。なお、炭化水素基が置換基を有する場合、炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。以降、同様である。
で表される炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。また、これらの炭化水素基を組み合わせたものでもよい。
で表される飽和脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−イコサニル基、n−トリアコンタニル基等が挙げられる。また、飽和脂肪族炭化水素基は、その末端部分に後述の脂環式炭化水素基を有するものであってもよい。
で表される不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。また、不飽和脂肪族炭化水素基は、その末端部分に後述の脂環式炭化水素基を有するものであってもよい。
で表される脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。また、脂環式炭化水素基は、その脂環に、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基からなる群より選択される少なくとも1種を有するものであってもよい。
で表される炭化水素基が有し得る置換基は、特に限定されず、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。耐熱性の観点から、Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
で表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、Rで例示した炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rで表される炭化水素基が有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
一般式(II−1)中、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
一般式(II−2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、Zは酸素原子又は下記一般式(III−1)〜(III−7)から選択される2価の基を表す。
一般式(II−2)中のR、R、及びmのそれぞれの詳細は、一般式(II−1)中のR、R、及びmと同様である。
一般式(III−1)〜(III−7)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。
及びRは、耐熱性の観点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の炭化水素基であることが好ましい。R及びRで表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、一般式(II−1)中のRで例示した炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、R及びRが有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、0又は1であることが好ましい。
、R、及びmのそれぞれの詳細は、一般式(II−1)中のR、R、及びmと同様である。
一般式(II−3)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
耐熱性の観点から、Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
で表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、一般式(II−1)中のRで例示した炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rが有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
一般式(II−3)中、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0又は1であることがさらに好ましい。
一般式(I)において、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Yで表される炭化水素基の炭素数は、4〜30であることが好ましく、耐熱性の観点からは、6〜30であることがより好ましい。
Yで表される炭化水素基は、透明性の観点から、飽和炭化水素基を含むことが好ましい。飽和炭化水素基は、飽和非環式脂肪族炭化水素基であっても、飽和脂環式炭化水素基であってもよい。より高い耐熱性と透明性の両立の観点から、Yで表される炭化水素基は、飽和脂環式炭化水素基を含むことが好ましい。脂環式炭化水素基は、炭素数が同じ非環式脂肪族炭化水素基に比べて嵩高いため、高い耐熱性と透明性を維持したまま、溶剤への溶解性に優れる傾向にある。
また、Yで表される炭化水素基は、複数種の飽和非環式脂肪族炭化水素基、複数種の飽和脂環式炭化水素基、又は飽和非環式脂肪族炭化水素基及び飽和脂環式炭化水素基の任意の組合せを有する炭化水素基であってもよい。なお、Yが飽和非環式脂肪族炭化水素基及び飽和脂環式炭化水素基を有する炭化水素基である場合、当該Yは飽和脂環式炭化水素基に分類するものとする。
Yが飽和非環式脂肪族炭化水素基を含む場合、Yで表される炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、3〜30であることが好ましい。
Yが飽和非環式脂肪族炭化水素基を含む場合、Yで表される炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、プロピルエチレン基、エチルメチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基、1,2−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、1,2,3−トリメチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1,2,2−トリメチルトリメチレン基、1−エチル−1−メチルトリメチレン基、2−エチル−2−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、2−エチル−1−メチルトリメチレン基、2,2−エチルメチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イコサニレン基、トリアコンタニレン基等が挙げられる。
なかでも、耐熱性の観点から、炭化水素基としては、好ましくは、テトラメチレン基、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、エチルテトラメチレン基、プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、ジメチルテトラメチレン基、トリメチルトリメチレン基、エチルメチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イコサニレン基、トリアコンタニレン基等が挙げられる。
Yが飽和脂環式炭化水素基を含む場合、Yで表される炭化水素基の炭素数は、3〜30であり、4〜30であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
Yが飽和脂環式炭化水素基を含む場合、Yで表される炭化水素基としては、シクロプロパン骨格、シクロブタン骨格、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、キュバン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロ[5.2.1.0]デカン骨格、アダマンタン骨格、ジアダマンタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格、デカヒドロナフタレン骨格等を有する2価の炭化水素基が挙げられる。
なかでも、耐熱性の観点から、炭化水素基として、好ましくは、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、キュバン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロ[5.2.1.0]デカン骨格、アダマンタン骨格、ジアダマンタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格、デカヒドロナフタレン骨格等を有する2価の炭化水素基が挙げられる。
Yで表される炭化水素基が有し得る置換基としては、アミノ基、オキソ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Yは、下記一般式(IV)及び下記一般式(V−1)〜(V−3)からなる群より選択される少なくとも1種で表される2価の炭化水素基を少なくとも含むことが好ましく、下記一般式(IV)で表される2価の炭化水素基を少なくとも含むことがより好ましい。
一般式(IV)におけるアダマンタン骨格の水素原子、一般式(V−1)におけるシクロヘキサン骨格の水素原子、一般式(V−2)におけるデカヒドロナフタレン(デカリン)骨格の水素原子、及び一般式(V−3)におけるノルボルナン骨格の水素原子は、それぞれ炭化水素基、アミノ基、オキソ基、水酸基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
また、一般式(IV)及び一般式(V−1)〜(V−3)中、Zは、それぞれ独立に、単結合、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基を表す。
柔軟な硬化物が得られる観点からは、Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基であることが好ましく、耐熱性の観点から、Zは炭素数1〜5の2価の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、高い硬度を得る観点からは、Zは単結合であることが好ましい。
Zで表される2価の飽和炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、プロピルエチレン基、エチルメチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、ブチルエチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基、1,2−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、1,2,3−トリメチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1,2,2−トリメチルトリメチレン基、1−エチル−1−メチルトリメチレン基、2−エチル−2−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、2−エチル−1−メチルトリメチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
Zで表される2価の飽和炭化水素基が有し得る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。なお、Zで表される2価の炭化水素基が置換基を有する場合、2価の飽和炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数を含めないものとする。
一般式(IV)で表される2価の炭化水素基は、下記一般式(IV−1)で表される2価の炭化水素基であってもよい。
一般式(V−1)で表される2価の炭化水素基は、下記一般式(VI−1)で表される2価の炭化水素基であってもよい。
一般式(V−2)で表される2価の炭化水素基は、下記一般式(VI−2)で表される2価の炭化水素基であってもよい。
一般式(V−3)で表される2価の炭化水素基は、下記一般式(VI−3)で表される2価の炭化水素基であってもよい。
一般式(IV−1)、一般式(VI−1)、一般式(VI−2)及び一般式(VI−3)におけるZは、一般式(IV)及び一般式(V−1)〜(V−3)におけるZと同様のものが挙げられる。
特定ポリケトンは、Yとして、上記一般式(IV)で表される2価の炭化水素基と、上記一般式(V−1)〜(V−3)からなる群より選択される少なくとも1つで表される2価の炭化水素基と、の両方を含むポリケトンであってもよい。特定ポリケトンが、Yとして、上記一般式(IV)で表される2価の炭化水素基と、上記一般式(V−1)〜(V−3)からなる群より選択される少なくとも1つで表される2価の炭化水素基と、の両方を含むとき、一般式(IV)で表される2価の炭化水素基の含有量と、一般式(V−1)〜(V−3)で表される2価の炭化水素基の総含有量との質量比((IV):(V−1)〜(V−3))は特に限定されない。耐熱性及び伸び率の観点から、前記質量比は5:95〜95:5であることが好ましく、耐熱性及び溶解性の観点から、5:95〜90:10であることがより好ましい。
特定ポリケトンの重量平均分子量(Mw)は、耐熱性を維持する観点から、ポリスチレン換算の標準GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、gel permeation chromatography)で500以上であることが好ましく、より高い耐熱性と、溶剤への溶解性の観点から、10,000〜1,000,000であることがより好ましい。さらに高い耐熱性が必要な場合には、重量平均分子量(Mw)は、20,000〜1,000,000であることがさらに好ましい。特定ポリケトンの重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載の方法で測定した値をいう。
特定ポリケトンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリケトン組成物は、特定ポリケトン以外の他のポリケトンを含んでいてもよい。以降、特定ポリケトンと他のポリケトンを総称して「ポリケトン」という場合がある。
硬化物としたときの耐熱性、透明性、及び耐薬品性の観点からは、ポリケトンの総量に対する特定ポリケトンの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
硬化物としたときの耐熱性、透明性及び耐薬品性の観点から、ポリケトンの総含有量は、ポリケトン及びヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、50質量部〜99質量部であることが好ましく、50質量部〜95質量部であることがより好ましい。
<ヒドラジド化合物>
本開示のポリケトン組成物はヒドラジド化合物を含有する。
ヒドラジド化合物は、分子中に2個以上のヒドラジド基を有することが好ましい。なかでも、ヒドラジド化合物は、分子中に2個〜6個のヒドラジド基を有することが好ましく、2個〜4個のヒドラジド基を有することがより好ましく、2個又は3個のヒドラジド基を有することがさらに好ましく、2個のヒドラジド基を有することが特に好ましい。ヒドラジド基とは下記化学式(VII)で表される基を表す。
ヒドラジド化合物としては、非環式脂肪族ヒドラジド化合物を用いてもよく、脂環式ヒドラジド化合物を用いてもよく、芳香族ヒドラジド化合物を用いてもよい。耐熱性の観点からは、芳香族ヒドラジド化合物を用いることが好ましい。
ヒドラジド化合物が非環式脂肪族ヒドラジド化合物である場合、ヒドラジド化合物のヒドラジド基を除いた部分(以下、骨格部分ともいう)は、炭素数1〜30の非環式脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜20の非環式脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基であることがさらに好ましい。また、非環式脂肪族ヒドラジド化合物は、例えばシュウ酸ジヒドラジドのように骨格部分を有さない(つまり、ヒドラジド基が直接連結している)ヒドラジド化合物であってもよい。
非環式脂肪族炭化水素基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
非環式脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。非環式脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されず、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。なお、炭化水素基が置換基を有する場合、置換基に含まれる炭素数は、炭化水素基の炭素数に含まれないものとする。以下同様である。
非環式脂肪族炭化水素基は不飽和結合を有していても有していなくてもよく、不飽和結合を有しないことが好ましい。
ヒドラジド化合物が脂環式ヒドラジド化合物である場合、ヒドラジド化合物の骨格部分は、例えば、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基であることがより好ましく、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基であることがさらに好ましい。脂環式炭化水素基は、脂環構造を少なくとも一部に有している炭化水素基であり、脂環に加えて非環式脂肪族炭化水素基を有していてもよい。
脂環式炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。脂環式炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されず、アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基は不飽和結合を有していても有していなくてもよい。
ヒドラジド化合物が芳香族ヒドラジド化合物である場合、ヒドラジド化合物の骨格部分は、例えば、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましい。芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも一部に有している炭化水素基であり、芳香環に加えて非環式脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又はこれらの組合せを有していてもよい。
芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されず、アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基等が挙げられる。
ヒドラジド化合物は、分子中に脂環及び芳香環の両方を有する化合物であってもよい。すなわち、脂環式ヒドラジド化合物と芳香族ヒドラジド化合物との両方に該当する化合物であってもよい。
ヒドラジド化合物は、下記一般式(VIII)で表される化合物であることが好ましい。
式(VIII)中、Wは炭化水素基を表し、nは2〜6の整数を表す。
Wで表される炭化水素基は非環式脂肪族炭化水素基であってもよく、脂環式炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であることが好ましい。非環式脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基の詳細は、ヒドラジド化合物の骨格部分におけるそれぞれの詳細と同じである。
nは2〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
ヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドクエン酸トリヒドラジドが挙げられる。耐熱性の観点から、アジピン酸ジヒドラジド、及びイソフタル酸ジヒドラジドが好ましく、イソフタル酸ジヒドラジドがより好ましい。ヒドラジド化合物は、市販品であっても、公知の方法によって合成されたものであってもよい。
ヒドラジド化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ヒドラジド化合物の含有量は、硬化物としたときの耐熱性、透明性、及び耐薬品性の観点から、ポリケトン及びヒドラジド化合物の合計量100質量部に対して、1質量部〜50質量部であることが好ましく、5質量部〜50質量部であることがより好ましく、5質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。
<溶剤>
ポリケトン組成物は、さらに溶剤を含有してもよい。溶剤は、各成分を溶解又は分散するものであれば特に制限されない。溶剤としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、アニソール、ジグライム、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリケトン組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有量は、ポリケトン、ヒドラジド化合物、及び溶剤の合計量100質量部に対して、5質量部〜95質量部であることが好ましく、10質量部〜90質量部であることがより好ましい。
<その他の添加剤>
ポリケトン組成物は、さらにその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、接着助剤、界面活性剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、摺動剤(ポリテトラフルオロエチレン粒子等)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子等)、蛍光染料、無機系蛍光体(アルミン酸塩を母結晶とする蛍光体等)、帯電防止剤、結晶核剤、無機抗菌剤、有機抗菌剤、光触媒系防汚剤(酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子等)、架橋剤、硬化剤、反応促進剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、フォトクロミック剤などが挙げられる。
<ポリケトン硬化物>
本開示のポリケトン硬化物は、本開示のポリケトン組成物の硬化物である。
ポリケトン硬化物は、例えば、以下の方法で作製することができる。まず、ポリケトン組成物を基材の表面の少なくとも一部に付与して組成物層を形成し、乾燥して組成物層から溶剤を除去した後又は溶剤の除去と共に硬化することで、本開示のポリケトン硬化物を作製することができる。ポリケトン組成物を基材に付与する方法としては、組成物層を基材上の任意の場所に任意の形状で形成可能な手法であれば特に限定されない。ポリケトン組成物を基材に付与する方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、回転塗布法、スピンコート法、及びバーコート法が挙げられる。
ポリケトン組成物を付与する基材は特に限定されず、ガラス、半導体、金属酸化物絶縁体(酸化チタン、酸化ケイ素等)、窒化ケイ素等の無機材料、トリアセチルセルロース、透明ポリイミド、ポリカルボナート、アクリル系ポリマー、シクロオレフィン樹脂などの透明樹脂で構成される透明基材を例示することができる。基材の形状は特に限定されず、板状又はフィルム状であってもよい。本開示のポリケトン組成物は、硬化物としたとき、耐薬品性に優れるため、基材のコート材、成形品等として好適に用いることができる。
ポリケトン組成物が溶剤を含有する場合には、硬化前後に乾燥を行ってもよい。乾燥方法は特に限定されず、例えば、ホットプレート、オーブン等の装置を用いて熱処理する方法、自然乾燥する方法などが挙げられる。熱処理することで乾燥を行う条件は、ポリケトン組成物中の溶剤が充分に揮散する条件であれば特に制限はなく、50℃〜150℃で、1分間〜90分間程度であってよい。
ポリケトンを硬化する方法は特に制限されず、熱処理等により硬化することができる。熱処理による硬化は、箱型乾燥機、熱風式コンベアー型乾燥機、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等を用いて行なうことができる。
硬化する際の雰囲気は、大気中、窒素等の不活性雰囲気中などのいずれを選択してもよく、ポリケトン組成物の酸化を防ぐ観点から、窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
硬化のための熱処理の温度及び時間は、組成条件、作業効率等を鑑みて、任意に設定でき、60℃〜200℃で30分〜2時間程度であってもよい。
必要に応じて、乾燥した本開示のポリケトン硬化物は、残存溶剤を除去するために、さらに熱処理してもよい。熱処理の方法は特に限定されず、箱型乾燥機、熱風式コンベアー型乾燥機、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉、真空乾燥機等を用いて行なうことができる。また、熱処理工程における雰囲気としては特に限定されず、大気中、窒素等の不活性雰囲気中などが挙げられる。熱処理を行う条件は、特に制限はなく、150℃〜250℃で、1分間〜90分間程度であってもよい。さらに熱処理を行うことで、得られるポリケトン硬化物の密度が高くなる傾向にある。
ポリケトン硬化物を厚さ10μmとしたときのヘイズは、1%未満であることが好ましい。
また、ポリケトン硬化物の400nmの透過率は、膜厚1μm換算で85%以上であることが好ましい。
得られたポリケトン硬化物は、基材を付けたままポリケトン硬化物付基材として用いることもでき、必要に応じて、基材から剥がして用いることもできる。
ポリケトン硬化物付基材において、ポリケトン硬化物は、基材の表面の少なくとも一部に設けられていればよく、基材の一方の面のみに設けられても、両面に設けられてもよい。また、ポリケトン硬化物は、一層でも、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
<光学素子及び画像表示装置>
本開示の光学素子及び画像表示装置は、それぞれ本開示のポリケトン硬化物を有する。光学素子及び画像表示装置に適用されるポリケトン硬化物は、上述のように基材をつけたままポリケトン硬化物付基材として適用してもよい。また、基材が透明基材であれば、光学素子に好適に用いることができる。透明基材としては、ポリケトン硬化物の製造で例示したものが挙げられる。
光学素子及び画像表示装置は、例えば、ポリケトン硬化物付基材における基材側を、粘着剤、接着剤等を介してLCD(液晶ディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)、有機ELディスプレイ等の適用箇所に貼り付けて得ることができる。
ポリケトン硬化物及びこれを用いた偏光板等の各種光学素子は、液晶表示装置等の各種画像表示装置に好ましく用いることができる。画像表示装置は、本開示のポリケトン硬化物を用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成であってよい。画像表示装置が液晶表示装置である場合は、液晶セル、偏光板等の光学素子、及び必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより製造できる。液晶セルとしては、特に制限されず、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、π型等の様々なタイプを使用できる。
画像表示装置の用途としては、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター等の介護機器、医療用モニター等の医療機器などが挙げられる。
以下、本開示の実施形態を実施例により具体的に説明するが、本開示の実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ポリケトン組成物>
(A)成分〜(C)成分を、表1及び表2に示した割合で配合し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のフィルターで濾過し、実施例及び比較例のポリケトン組成物を得た。括弧内の数値は、配合比(質量部)を表す。「−」はその成分を含有しないことを表す。表1及び表2中の各成分は、以下に示すものである。
(A)成分:ポリケトン
(合成例1)ポリケトンPK−1の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolとcis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10mmolが入ったフラスコに、五酸化二リン及びメタンスルホン酸の混合液(質量比1:10)を30ml加え、60℃で撹拌した。反応後、内容物をメタノール500ml中に投じ、生成した析出物を濾取した。得られた固体を蒸留水とメタノールで洗浄した後、乾燥し、ポリケトンPK−1を得た。
得られたポリケトンPK−1の重量平均分子量は20,000、数平均分子量は8,000であった。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、後述の方法で測定し、算出したものである。後述のポリケトンPK−2〜ポリケトンPK−15の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)についても同様の方法で測定した。
(合成例2)ポリケトンPK−2の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタンジカルボン酸13mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−2を得た。得られたポリケトンPK−2の重量平均分子量は280,000であり、数平均分子量は44,000であった。
(合成例3)ポリケトンPK−3の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸10mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−3を得た。
得られたポリケトンPK−3の重量平均分子量は42,000であり、数平均分子量は12,000であった。
(合成例4)ポリケトンPK−4の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタンジカルボン酸5mmolとcis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−4を得た。得られたポリケトンPK−4の重量平均分子量は36,000であり、数平均分子量は12,000であった。
(合成例5)ポリケトンPK−5の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタンジカルボン酸5mmolとドデカン二酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−5を得た。得られたポリケトンPK−5の重量平均分子量は36,000であり、数平均分子量は13,000であった。
(合成例6)ポリケトンPK−6の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとドデカン二酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−6を得た。得られたポリケトンPK−6の重量平均分子量は39,000であり、数平均分子量は12,000であった。
(合成例7)ポリケトンPK−7の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとヘキサン二酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−7を得た。得られたポリケトンPK−7の重量平均分子量は39,000であり、数平均分子量は12,000であった。
(合成例8)ポリケトンPK−8の合成
2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとcis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mmol用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−8を得た。得られたポリケトンPK−8の重量平均分子量は45,000であり、数平均分子量は11,000であった。
(合成例9)ポリケトンPK−9の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−9を得た。得られたポリケトンPK−9の重量平均分子量は37,000、数平均分子量は10,000であった。
(合成例10)ポリケトンPK−10の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの混合体、cis:trans(モル比)=7:3)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−10を得た。得られたポリケトンPK−10の重量平均分子量は33,000であり、数平均分子量は11,000であった。
(合成例11)ポリケトンPK−11の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとデカリン−2,6−ジカルボン酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−11を得た。得られたポリケトンPK−11の重量平均分子量は33,000であり、数平均分子量は10,000であった。
(合成例12)ポリケトンPK−12の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとノルボルナンジカルボン酸(2,4−、2,5−混合体)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−12を得た。得られたポリケトンPK−12の重量平均分子量は27,000であり、数平均分子量は9,200であった。
(合成例13)ポリケトンPK−13の合成
モノマとして、2,2’−ジメトキシビフェニル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolとtrans−2,3−ノルボルナンジカルボン酸5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−13を得た。得られたポリケトンPK−13の重量平均分子量は26,000であり、数平均分子量は8,100であった。
(合成例14)ポリケトンPK−14の合成
モノマとして、2,2’−ビス(2−メトキシフェニル)プロパン10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの混合体、cis:trans(モル比)=7:3)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−14を得た。得られたポリケトンPK−14の重量平均分子量は28,000であり、数平均分子量は8,300であった。
(合成例15)ポリケトンPK−15の合成
モノマとして、ジフェニルエーテル10mmolと1,3−アダマンタン二酢酸5mmolと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの混合体、cis:trans(モル比)=7:3)5mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリケトンPK−15を得た。得られたポリケトンPK−15の重量平均分子量は27,000であり、数平均分子量は8,000であった。
(B)成分:ヒドラジド化合物
B1:下記式(XII)で表される化合物
B2:下記式(XIII)で表される化合物
(C)成分:溶剤
C1:N−メチル−2−ピロリドンとジメチルスルホキシドの混合溶剤(質量比1:1)
<評価用サンプルの作製>
得られたポリケトン組成物を用いて、以下の方法によりポリケトン硬化物を作製し、後述の評価用のサンプルを準備した。
(1)透過率測定用サンプル
ガラス基板にポリケトン組成物をスピンコート法により塗布し、120℃に加熱したホットプレート上で3分間乾燥した。得られたガラス基板をイナートガスオーブン(光洋サーモシステム株式会社)を用いて窒素気流下、200℃で1時間熱処理して、前記ガラス基板上に厚さ10μmのポリケトン硬化物を形成し、これを透過率測定用サンプルとした。
(2)熱分解温度測定用サンプル
ポリケトン組成物をアルミカップに滴下し、(1)と同様に乾燥し、熱処理して、アルミカップ内に成形されたポリケトン硬化物を得た。このポリケトン硬化物をアルミカップから剥がして、これを熱分解温度測定用サンプルとした。
(3)Tg測定用サンプル
ポリケトン組成物をバーコート法によりガラス基板上に塗布し、(1)と同様に乾燥し、熱処理して、前記ガラス基板上に厚さ10μmのポリケトン硬化物を形成した。このポリケトン硬化物をガラスから剥がし、ポリケトン硬化物を得て、これをTg測定用サンプルとした。
(4)耐薬品性試験用サンプル
シリコン基板にポリケトン組成物をスピンコート法により塗布し、(1)と同様に乾燥し、熱処理して、前記シリコン基板上に厚さ10μmのポリケトン硬化物を形成し、これを耐薬品性試験用サンプルとした。
<ポリケトンの分子量測定>
ポリケトンの分子量(重量平均分子量及び数平均分子量)は、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、GPC法によって測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。詳細は次のとおりである。
・装置名:Ecosec HLC−8320GPC(東ソー株式会社)
・カラム:TSKgel Supermultipore HZ−M(東ソー株式会社)
・検出器:UV検出器、RI検出器併用
・流速:0.4ml/min
<透過率測定>
ポリケトン硬化物の400nmにおける紫外光の透過率を、分光光度計(V−570、日本分光株式会社)を用いた紫外可視吸収スペクトル法によって測定した。ポリケトン硬化物を有さないガラス基板をリファレンスとして、膜厚1μmに換算した硬化物の透過率を表3に示す。
<熱分解温度測定>
熱重量天秤TG−DTA6300(株式会社日立ハイテクサイエンス)を用いて、ポリケトン硬化物の重量減少を測定した。加熱により重量が大きく減少する曲線の接線の交点を熱分解温度と定義する。その結果を表3に示す。
<Tg測定>
粘弾性測定装置(RSA−II、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社)を用いて、1Hz、25℃〜300℃の条件で、ポリケトン硬化物のTgを測定した。TanδのピークトップをTgと定義する。結果を表3に示す。
<耐薬品性試験>
耐薬品性試験用サンプルを個片化して試験片を作製した。試験片をそれぞれ、以下の条件(a)及び(b)で薬液に浸漬した。浸漬中にポリケトン硬化物が溶解するか、又はポリケトン硬化物がシリコン基板から剥離するかを観察した。観察結果を表3に示す。本試験において、溶解及び剥離が見られない場合は「変化なし」とした。
条件(a):ジメチルスルホキシド(DMSO)と2−エタノールアミン(2AE)との混合液(DMSO:2AEは体積比で7:3)を60℃に加熱し、試験片を30分間浸漬した。
条件(b):23℃の0.5質量%のフッ化水素(HF)水溶液に試験片を30分間浸漬した。
実施例のポリケトン組成物から得られるポリケトン硬化物は、耐薬品性、透明性及び耐熱性に優れることが分かった。
一方、ヒドラジド化合物を含有しない比較例1〜3では、耐薬品性に劣り、Tgも低かった。
日本国特許出願第2017−130597号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に援用されて取り込まれる。

Claims (12)

  1. 下記一般式(I)で表される構造単位を含むポリケトンと、ヒドラジド化合物とを含有するポリケトン組成物。

    一般式(I)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜50の2価の基を表し、Yは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し、nは1〜1500の整数を表す。
  2. 前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、芳香環を含む炭素数6〜50の2価の基を含む、請求項1に記載のポリケトン組成物。
  3. 前記一般式(I)において、Xが、それぞれ独立に、下記一般式(II−1)〜(II−3)からなる群より選択される少なくとも1つで表される2価の基を含む、請求項1又は請求項2に記載のポリケトン組成物。

    一般式(II−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。

    一般式(II−2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、Zは、酸素原子又は下記一般式(III−1)〜(III−7)から選択される2価の基を表す。

    一般式(III−1)〜(III−7)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。mは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、pは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。

    一般式(II−3)中、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、nは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
  4. 前記一般式(I)において、Yが飽和炭化水素基を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
  5. 前記一般式(I)において、Yが飽和脂環式炭化水素基を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
  6. 前記一般式(I)において、Yの炭素数が6〜30である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
  7. 前記ヒドラジド化合物が、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
  8. 前記ヒドラジド化合物が、芳香族ヒドラジド化合物を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
  9. 溶剤をさらに含有する、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のポリケトン組成物。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のポリケトン組成物の硬化物である、ポリケトン硬化物。
  11. 請求項10に記載のポリケトン硬化物を有する光学素子。
  12. 請求項10に記載のポリケトン硬化物を有する画像表示装置。
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