JP2011202288A - ポリケトン繊維及び該繊維を含む繊維強化複合材料 - Google Patents

ポリケトン繊維及び該繊維を含む繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】マトリックス材とポリケトン繊維との接着性を向上させること、及び該繊維を含む優れた耐衝撃性、耐疲労性、及び靭性を有する繊維強化複合材料を得ること。
【解決手段】繰り返し単位の75モル%以上が以下の式(1):
Figure 2011202288

で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトン繊維であって、該繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤が付着されたことを特徴とするポリケトン繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリケトン繊維、及び該繊維を含む繊維強化複合材料に関する。さらに詳しくは該繊維を含む優れた耐衝撃性、耐疲労性、及び靭性を有する繊維強化複合材料に関する。
繊維強化複合材料は、軽量化、高剛性を生かして、家電、建設、運輸、レジャー、食品、通信等、多くの分野で使用されている。中でも、最近では航空機や自動車等の輸送機器分野における石油エネルギー等の消費削減や二酸化炭素の排出削減等が大きな課題となっていることから、これらの課題を解決するための有効な手段として航空機や自動車等の軽量化が注目され、その先駆けとしてスチール代替の複合材適用が検討されてきた。
この複合材候補としては、炭素繊維やガラス繊維強化樹脂などがあり、特に最近では炭素繊維を用いた一方向(UD)プリプレグや織物プリプレグの積層体を中心に航空機への繊維強化複合材適用比率も増加し、ますます注目を集めている。
しかしながら、代表的なマトリックス材であるエポキシ樹脂を用いた場合、炭素繊維強化複合材料は、脆い、破損時に破片が飛び散る、耐衝撃性が低いといった欠点を有する。
また、有機繊維の代表格であるアラミド繊維強化複合材料は、低接着性や高吸水性のために長時間使用すると繊維界面で剥離が生じ、耐久性がない、耐衝撃性が悪い、加工性(研磨、切断)が悪いといった欠点を有する。
また、超高分子量ポリエチレン繊維強化複合材料は、繊維そのものに吸湿性は無いが低接着性のために長時間負荷が掛かる部位に使用すると繊維と樹脂の界面剥離が発生したり、クリープが大きくなったりする問題があった。
そのほか、繊維そのものの耐熱性の低さ故に、使用できない用途も多かった。最近は、アラミド繊維や超高分子量ポリエチレンに代わって、低吸水性でかつ耐熱性に優れたポリケトン繊維が提案されているが、接着性が不十分であった。
ポリケトン繊維とマトリックス材の接着性を向上させるために、ポリケトンの分子末端エチルケトン基に対する分子末端ビニルケトン基のモル比が0〜1.2であるポリケトン繊維とマトリックス材からなる繊維強化複合材料が提案されている(以下、特許文献1参照)。しかしながら、分子末端基量比が変化することで接着性は向上するものの、繊維と樹脂の接着性が不十分であり、繊維強化複合材として十分な力学物性が満足されない場合もあり、更なる接着性の向上が求められていた。
また、ポリケトン繊維にレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液を付着量2.5重量%になるようにプライマー処理した後に、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂をマトリックス材として含浸させた繊維強化複合材料が提案されている。
しかしながら、ゴム成分であるビニルピリジンラテックス樹脂の分子量の大きさと付着量の多さから、ポリケトン繊維表面に厚いレゾルシン−ホルマリン−ラテックス樹脂層が形成され、マトリックス樹脂のフェノール樹脂とポリケトン繊維の界面接着性を低下させる場合があり、更なる接着性の改良が求められていた(以下、特許文献2参照)。
特開2006−111682号公報 特許第3983255号
本発明が解決しようとする課題は、マトリックス材とポリケトン繊維との接着性を向上させること、及び該繊維を含む優れた耐衝撃性、耐疲労性、及び靭性を有する繊維強化複合材料を得ることである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の反応剤が付着されたポリケトン繊維がマトリックス材との接着性を高め、その結果、該ポリケトン繊維を強化繊維として用いた繊維強化複合材料が優れた耐衝撃性、及び靭性を有することを発見し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]繰り返し単位の75モル%以上が以下の式(1):
Figure 2011202288
で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトン繊維であって、該繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤が付着されたことを特徴とするポリケトン繊維。
[2]前記ポリケトン繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤が、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、及びセミカルバジド類から選択される少なくとも1つである、前記[1]に記載のポリケトン繊維。
[3]前記ポリケトン繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤の付着率が、前記ポリケトン繊維に対して0.05〜20重量%である、前記[1]又は[2]に記載のポリケトン繊維。
[4]ポリケトン繊維に含まれる全カルボニル基に対して0.02〜10モル%のイミノ基を有する、前記[2]又は[3]に記載のポリケトン繊維。
[5]強化繊維とマトリックス材とからなる繊維強化複合材料であって、強化繊維として前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリケトン繊維が強化繊維の少なくとも一部に含まれることを特徴とする繊維強化複合材料。
[6]強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、スチール繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリ(p−フェニレンベンズビスオキサゾール)繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリビニルアルコール繊維、セルロース繊維、及び150〜270℃の融点を有する熱可塑性繊維からなる群から選ばれる1種以上の繊維をさらに含む、前記[5]に記載の繊維強化複合材料。
[7]前記マトリックス材が、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である、前記[5]又は[6]に記載の繊維強化複合材料。
[8]前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、及びビニルエステル樹脂から成る群から選ばれる少なくとも一つである、前記[7]に記載の繊維強化複合材料。
本発明に係るポリケトン繊維は、マトリックス材との間で優れた接着性を有し、その結果、該繊維を強化繊維として含む繊維強化複合材料は、優れた耐衝撃性を有することから、様々な産業資材、家庭用資材、スポーツ用品等に用いることができる。すなわち、炭素繊維複合材料の最大の欠点とされる耐衝撃性を大きく改善することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリケトン繊維は、繰り返し単位の75モル%以上が式(1):
Figure 2011202288
に示される1−オキソトリメチレンであるポリケトンから構成される。ポリケトンの構造において、全繰り返し単位の15モル%以下で1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位、例えば下記の式(2):
Figure 2011202288
{式中、Rは、エチレン以外の炭素数1〜30の有機基である。}で表されるものを含有していてもよい。
但し、1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位が増えると強度、弾性率、寸法安定性、耐熱性が低下するので、好ましくは式(1)の繰り返し単位は87モル%以上、より好ましくは89モル%以上で、最も好ましくは99モル%以上である。
式(2)中、Rはエチレン以外の炭素数1〜30の有機基であり、例えばプロピレン、ブチレン、1−フェニルエチレン等が例示される。これらの水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Rは2種以上であってもよく、例えば、プロピレンと1−フェニルエチレンが混在していてもよい。
ポリケトン繊維を構成するポリケトン中のPd元素の含有量は0〜20ppmが好ましい。Pd元素の含有量が20ppm以上であれば、成形加工温度でマトリックス材とポリケトン繊維との界面接着が不十分であり、繊維強化複合材料としての特性だけでなく、耐衝撃性も低下する。ポリケトン繊維中のPd元素の含有量は、成形加工性、繊維強化複合材料の成形加工温度及び耐衝撃特性の観点から、少なければ少ないほど好ましく、10ppm以下がより好ましく、5ppm以下がさらに好ましく、0ppmが最も好ましい。
また、ポリケトン繊維を構成するポリケトン中のリン元素の含有量は、10〜2000ppmが好ましい。リン元素は酸化防止剤の指標であり、適切な酸化防止剤量によりマトリックス材とポリケトン繊維との接着界面の長期安定性を保持することができる。リン元素の含有量が2000ppm以上であれば、ポリケトン繊維表面上に高濃度のリン元素が含有するため、酸化防止効果は向上するが接着性を阻害してしまう。一方、10ppm以下では酸化防止効果が不十分であるため、酸素下での長期保管時に界面接着部に亀裂が入った場合、酸化劣化に伴う界面接着性が低下してしまう。したがって、リン元素の含有量は、10〜2000ppmが好ましく、200〜700ppmがより好ましい。酸化防止剤としては、リン酸や、公知のホスホン酸、リン酸エステル、リン酸エステル塩、ホスホン酸エステル、ホスホン酸エステル塩を使用することができる。
また、これらのポリケトンは、必要に応じて、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含んでいてもよい。
耐光堅牢性の観点から、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。本発明で使用する紫外線吸収剤には制限はなく、ポリケトン繊維に含まれる紫外線吸収剤の含有量は0.01〜3重量%が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリケトン繊維に対して0.01〜3重量%が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤はポリケトン繊維中に含まれるカルボニル基と反応しないため、後述する反応剤とは異なる。
ポリケトン繊維を構成するポリケトンの極限粘度[η]は、1〜20dl/gが好ましく、2〜15dl/gがより好ましく、3〜10dl/gがさらに好ましい。
尚、極限粘度[η]は次の定義式:
Figure 2011202288
{式中、t及びTは、それぞれ、ヘキサフルオロイソプロパノール(セントラル硝子(株)社製)及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、Cは、上記希釈溶液の濃度であり、ヘキサフルオロイソプロパノール100ml中のポリケトンの質量(g)である}。
本発明に係るポリケトン繊維の強度としては、補強効果の観点から5cN/dtex以上が好ましく、8〜25cN/dtexがより好ましく、10〜25cN/dtexがさらに好ましい。また、引張伸度は1〜15%が好ましく、2〜13%がより好ましく、3〜10%がさらに好ましい。そして、その弾性率は100cN/dtex以上が好ましく、200〜1000cN/dtexがより好ましく、300〜600cN/dtexがさらに好ましい。
ポリケトン繊維の形態は、特に制限はなく、長繊維、短繊維、フィブリル形状等、任意の形態であることができる。長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、繊維の断面形状は、円型、楕円型、三角型、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平型(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
繊維強化複合材料の物性が向上するためには、マトリックス材がポリケトン繊維集合体内部に浸透しやすくなるのが好ましいので、ポリケトン繊維の単糸同士の膠着はより少ないほうが好ましい。膠着した繊維束を1本と数えると、未膠着率(=見かけ上の繊維本数/総繊維本数×100)は、25%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。
単糸繊度は特に問わないが、繊度が小さいほどマトリックス材との接着面積が増すため好ましい。単糸繊度は、0.1〜10dtexが好ましく、0.3〜5dtexがより好ましく、0.5〜3dtexがさらに好ましく、0.7〜3dtexが特に好ましい。一方、ポリケトンの総繊度および構成糸本数は、繊維強化複合材料として十分な成形物性を発現させるため、総繊度は100〜30000dtex、構成本数は10〜3000本が好ましく、総繊度は300〜6000dtex、構成本数は100〜2000本がより好ましい。
本発明のポリケトン繊維は、繊維中のカルボニル基と反応する反応剤が付着することを特徴とする。本発明において、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、セミカルバジド類などの含窒素化合物やテトラヒドロアルミン酸リチウム、テトラヒドロほう酸リチウム、テトラヒドロほう酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムボロハイドライドなどの還元剤を用いることが出来る。本発明に用いるポリケトン繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤は、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、セミカルバジド類から選択される一種類以上であることが好ましい。
アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン、2-アミノピリジン、エタノールアミン等の脂肪族、芳香族の1級アミンが挙げられる。一級アミンであれば、4−ブロモ−3−ピリジンアミン、2−ブロモベンジルアミン等のようにハロゲン等で置換されていてもよい。また、1,4−ブタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、N−アセチルエチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、メタキシレンジアミン等のように一級アミンを含むジアミン、トリアミン、テトラアミン等の多官能価アミンであれば、カルボニル基との反応後も活性アミンが残るので好ましい。更に、上記アミンのフリー体のみならず、塩酸2−アダマンタンアミンのような塩酸塩、硫酸o−クロロ−p−フェニレンジアミンのような硫酸塩等の塩でもよい。
ヒドロキシルアミン類としては、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸、ダブゾンヒドロキシルアミン、O−ベンジルヒドロキシルアミン等が挙げられ、これらの水溶液や、O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−(4−ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、O−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩等の塩酸塩、硫酸ヒドロキシルアミン等の硫酸塩でもよい。
ヒドラジン類としては、ヒドラジン、一置換ヒドラジン、N,N−二置換ヒドラジン等が挙げられこれらの一水和物、一臭化水素酸塩、一塩酸塩、二塩酸塩、硫酸塩、二ヒドラジン一硫酸塩、一しゅう酸塩、炭酸塩、抱水ヒドラジン、二臭化水素酸ヒドラジン二水和物、及び上記化合物の水溶液等も含まれる。置換基としては、メチル、エチル、ブチル、アリル、2−シアノエチル、フェニル、ベンジル、トリル、2−ピリジル等が挙げられ、N,N−二置換の場合は、二つの置換基が同一でもよいし、異なっていてもよい。また、置換基のフェニル基は、更にアルキル、アルキロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、スルホン酸等の置換基により1〜5置換されていてもよい。これらには、1−エチル−1−(4−メチルフェニル)ヒドラジン、3−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩、4−ブロモ−2−ニトロフェニルヒドラジン、4−ブロモテトラフルオロフェニルヒドラジン、p−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、4−シアノフェニルヒドラジン塩酸塩、p−カルボキシフェニルヒドラジン、フェニルヒドラジン−4−スルホン酸等が挙げられる。
ヒドラジドとしては、モノカルボン酸からヒドラジンとの反応で誘導されるモノヒドラジド、同様にジカルボン酸、トリカルボン酸、及びテトラカルボン酸から誘導されるジヒドラジド、トリヒドラジド、及びテトラヒドラジド等、有機酸から誘導されるあらゆる酸ヒドラジド等を挙げることができる。上記モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸等の有機酸は、直鎖でもよいし、分岐していてもよい。これらには、ギ酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジド、イソ酪酸ヒドラジド、アクリル酸ヒドラジド、クロトン酸ヒドラジド、イソクロトン酸ヒドラジド、オレイン酸ヒドラジド、エライジン酸ヒドラジド、リノール酸ヒドラジド、リノレン酸ヒドラジド、ベンゾヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等を挙げることができる。これらは、アルキル、アルキロキシ、ハロゲン、アミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ等の置換基で1つ又は2つ以上置換されていてもよい。また、ジヒドラジド、トリヒドラジド、テトラヒドラジド等の多官能価ヒドラジドであれば、カルボニル基との反応後も活性な−NH基が残るので好ましい。
セミカルバジド類としては、セミカルバジド、チオセミカルバジドが挙げられる。また、4位のアミノ基(カルボニル基又はチオカルボニル基に結合しているアミノ基)は、1〜2置換していてもよい。また置換基は、アルキル、シクロアルキル、アリル、フェニル、ベンジル、1−アダマンチル等で、フェニル、ベンジル基には更に、ハロゲン、アルキル、ハロゲノアルキル等が置換していてもよい。上記セミカルバジドの塩酸塩、一水和物も使用することができる。
本発明の反応剤の付着率は、ポリケトン繊維に対して、0.05〜20重量%が好ましい。0.05重量%以上で繊維強化複合材料においての接着強度が向上し、20重量%以下でポリケトン繊維のもつ特性を低下させることなく接着強度を向上させることができる。
付着率は、反応液中の未反応の反応剤の定量により求めるか、得られた変性ポリケトン繊維の元素分析等の分析により求める。本発明においては、元素分析により求めた。
反応剤は単に繊維に付着していてもよいが、少なくとも一部がポリケトン繊維中のカルボニル基と結合してイミノ基を形成していることが好ましく、ポリケトン繊維に含まれる全カルボニル基に対して0.02〜10モル%のイミノ基を有することが好ましい。ポリケトン繊維に含まれるイミノ基の量は核磁気共鳴分光分析により求めた。
本発明のポリケトン繊維は、強化繊維とマトリックス材とからなる繊維強化複合材料の強化繊維として用いることができる。ポリケトン繊維以外の強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、スチール繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリ(p−フェニレンベンズビスオキサゾール)繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリビニルアルコール繊維、セルロース繊維、および150〜270℃の融点を有する熱可塑性繊維からなる群から選ばれる1種以上の繊維をさらに使用してもよい。セルロース繊維としては、綿、麻、ジュート、ケナフが、105〜270℃の融点を有する熱可塑性繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ乳酸繊維、ナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ナイロン12繊維、ナイロン11繊維、ポリオキシメチレン繊維等が挙げられる。繊維複合材料の力学特性を高めることができ、かつ、耐衝撃特性をポリケトン繊維で補完できる点からもポリケトン繊維以外の繊維としては炭素繊維が好ましい。ポリケトン繊維以外の強化用繊維を使用する場合は、交撚、交織、交編、積層、単なる混合等、公知の方法を用いることができる。
使用する強化繊維全量の内、ポリケトン繊維の体積比率は1〜100%、好ましくは1〜80%である。
マトリックス材としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂としては熱硬化性を有する樹脂であればどのような樹脂であってもよい。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂等)、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、シアネート樹脂(例えばシアネートエステル樹脂等)、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、ポリエーテルサルフォン樹脂(PES樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、CPレジン、これらの共重合体樹脂、これら樹脂を変性させた変性樹脂、これら混合物などが挙げられる。上記熱硬化性樹脂は、例えば逐次重合(例えば重縮合又は重付加等)又は連鎖重合(例えば付加重合又は開環重合等)などの公知の方法により製造され得る。熱硬化性樹脂としては、ポリフェノール類との濡れ性及び反応性の点から、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては熱可塑性を有する樹脂であればどのような樹脂でもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂(POM樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリメチレンメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO樹脂)、ポリイミド樹脂(PI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリスルホン樹脂(PSU樹脂)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン樹脂(PK樹脂)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、ポリアリレート樹脂(PAR樹脂)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂(例えばノボラック型フェノール樹脂など)、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー、これらの共重合体樹脂又は変性体樹脂等が挙げられる。融点、ポリケトン繊維との濡れ性や相溶性の点で、ポリプロピレン樹脂やポリアミド樹脂が好ましい。
強化繊維とマトリックス材の比率として、繊維体積含有率(=強化繊維の体積/繊維強化複合材料の体積、ここで、繊維強化複合材料の体積=強化繊維の体積+マトリックス材の体積)は特に制限は無いが、好ましくは、体積比で強化繊維/マトリックス材=20/80〜80/20であり、より好ましくは30/70〜70/30である。
本発明の繊維強化複合材料は、好適には以下のステップ含む製造方法により製造することができる。
まず、ポリケトン繊維表面に、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、セミカルバジド類から選択される少なくとも1つの反応剤を付与し、その後付与されたポリケトン繊維からなるプリフォームにマトリックス材を含浸・成形して、本発明に係る繊維強化複合材料を製造する。また、該反応剤との反応前、反応後、又は同時に、例えばクロロフェノール・レゾルシン・ホルマリン縮合物付与などの処理をしてもよい。
ポリケトン繊維への、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、セミカルバジド類から選択される少なくとも1つの反応剤の付与方法としては、糸状又はプリフォーム状態のポリケトン繊維を、該反応剤の溶液に浸漬したり、同液をスプレーしたりすることを含む公知の方法が挙げられる。
次いで、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、セミカルバジド類から選択される少なくとも1つの反応剤を付与したポリケトン繊維を10〜90℃の温度で熱処理する。該反応剤を溶かした溶剤を該溶剤の沸点近くの温度で処理し、溶剤を留去せしめることで該反応剤がポリケトン繊維の表面に化学結合や物理的相互作用によって強く付着しやすくなる。
熱処理方法としては、糸状又はプリフォーム状態のポリケトン繊維を、熱風乾燥機内で熱処理したり、連続的に熱処理したりすることを含む公知の方法が挙げられる。
ポリケトン繊維を少なくとも一部含むプリフォームとしては、特に制限はなく、目的とする製品に合った任意の形状であることができるが、500〜40万本の単繊維フィラメントの集合体であるトウ、トウを一方向に配列させてシート状とした一方向材、タテ、ヨコ、斜めの少なくとも1方向に直線状の繊維が挿入された同一平面で構成される二次元織物、平面外の軸を持つ多軸織物、緯編や経編や三次元編といった編物、長さ方向を0°とした場合に0°、90°、±45°など種々の角度に配列し、それらを積層した後に編糸によって結合したり不織布を編糸によって結合したりした多軸挿入布、丸打ち、平打ち、多軸含む組み物、短繊維やパルプ状繊維を積層した不織布等が挙げられる。
マトリックス材の含浸・成形方法としては、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、真空バック法、加圧バッグ法、オートクレーブ法、フィラメントワインディング法、遠心キャスティング法、ホットプレス成形、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形、プルトルージョン法、コールドプレス成形、レジンインジェクション法、強化反応射出成形法等を採用することができる。また、プリフォームにマトリックス材として熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂を含浸してから希釈溶剤を乾燥する溶液式プリプレグや、予めプリプレグ化したエポキシ樹脂フィルムを一方向材や二次元織物に貼り合せ樹脂含浸させるホットメルト式プリプレグを作成後、該プリプレグを用いて成形を行ってもよい。
繊維強化複合材料の成形加工温度は、構成する強化繊維やマトリックス材により決定されるが、通常20〜250℃であり、250℃を超えるとポリケトン繊維の熱変性が顕著となる。該成形加工温度は、好ましくは20〜150℃である。また、成形加工圧力は、通常1kPa〜20MPaである。処理(成形)時間は特に制限はないが、通常1〜48時間である。また必要に応じて、最初の成形加工温度以上の温度での再熱処理を行ってもよい。
本発明の繊維強化複合材料を使って、耐衝撃性に優れた様々な産業資材、家庭用資材、スポーツ用品等を作ることができる。
本発明を、下記の実施例等により具体的に説明するが、それらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方法は、次の通りである。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次の定義式:
Figure 2011202288
{式中、t及びTは、それぞれ、ヘキサフルオロイソプロパノール(セントラル硝子(株)社製)及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、Cは、上記希釈溶液の濃度であり、ヘキサフルオロイソプロパノール100ml中のポリケトンの質量(g)である。}を用いて求めた。
(2)繊維強化複合材料の界面接着強度
ポリケトン繊維軸を0°とした場合、90°方向にJIS−K−7165に準じて引張試験を行い、破断時の最大荷重を界面接着強度とした。
(3)繊維強化複合材料のアイゾット衝撃強さ
JIS−K−7110に準じアイゾット衝撃試験機を用いて測定した。エッジワイズ法で試験サイズは長さ63mm、幅10mmでノッチ後の試験片残り幅を8mmとした。ノッチはノッチ加工機を用い、繊維強化複合材料の積層厚み方向(打撃面と垂直方向)に一辺のみ切削した。ノッチ側を打撃し、振り子角度149.1度、負荷エネルギーは5.5Jとした。
(4)ポリケトン繊維中の含窒素系反応剤の付着率
アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、セミカルバジド類から選択される少なくとも一つと反応せしめたポリケトン繊維中に含まれる反応剤の量は以下の方法により求めた。
ポリケトンを酸素気流中で燃焼させ、燃焼ガスをTN−10装置(三菱化学株式会社製)に導入して、酸化分解−化学発光法によりNを定量した。一方、変性前後の元素分析値の差から、変性ポリケトンに付着した反応剤の量を求め、ポリケトン繊維中の付着率を算出した。
[参考例1]
常法により、エチレンと一酸化炭素を、重合後のポリマー含有量が10ppmになるように、酢酸パラジウム、1,3−ビス(ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ)プロパン、トリフルオロ酢酸からなる触媒を用いて、ポリ(1−オキソトリメチレン)を製造した。
得られた極限粘度5.3dl/gのポリケトンポリマーを、塩化亜鉛22重量%/塩化カルシウム40重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、1250ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後、水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
次いで、凝固糸条を、濃度2重量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
この凝固糸にIRGANOX1098(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、リン元素量が500ppmとなるように、ジオクチルリン酸モノカリウム塩を付与して未延伸糸を得た。
仕上剤として、以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
得られた未延伸糸を、240℃で1段目の延伸、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段目の延伸を行って、5段延伸を行い、巻取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は16倍であった。得られた繊維の物性は強度17.6cN/dtex、伸度5%、弾性率380cN/dtex、Pd元素量3ppm、リン元素量450ppmであった。また、繰り返し単位としての1−オキソトリメチレン構造は98%であった。
(実施例1)
経糸に220℃で熱弛緩処理されたポリエステルモノフィラメント160dtex、緯糸に参考例1で得られた1670dtex/1250fのポリケトン繊維マルチフィラメント糸(単糸直径約11μm)に1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンを繊維重量に対し0.01重量%付与後、80℃の熱処理を施したポリケトン繊維を用いて、平織組織の織物を製織(経糸密度23本/2.54cm、緯糸密度25本/2.54cm)した。
次に、配合エポキシ樹脂(エポキシ樹脂:ナガセケムテック製XNR6805/硬化剤:同XNH6805/硬化促進剤:同XNA6805=100/100/2)を同織物に含浸させながら、ポリケトン繊維が一方向(0°方向)となるように積層した後、85℃で5時間、0.2MPaでプレス成形して、繊維強化複合材料を作製した。
得られた複合材料中のポリケトン繊維の繊維体積含有率Vf(ポリケトン繊維体積/繊維強化複合材料体積)は40%であった。
変性ポリケトン繊維に含まれる1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着率と繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
界面接着強度、アイゾット衝撃強さとも、後述する反応剤処理無しの例に比べ向上した。しかし1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着量が少なすぎて、ポリケトン繊維内部へのエポキシ樹脂の浸透効果が低く、十分な界面接着強度が得られなかった。また、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維とエポキシ樹脂界面で層間剥離が発生し、試験前の形状を保持できなかった。
(実施例2〜7)
ポリケトン繊維への1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着量を変化させた以外は、実施例1と同様の操作手順であった。
変性ポリケトン繊維に含まれる1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着率と繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
実施例2〜6では、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維の破断はほとんど見られず、試験前の形状を保持していた。一方、実施例7では、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着率が多すぎて、ポリケトン繊維表層に同反応物の皮膜が形成され、十分な界面接着強度が得られなかった。また、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、実施例1と同様に、ポリケトン繊維とエポキシ樹脂界面で層間剥離が発生し、試験前の形状を保持できなかった。
(実施例8〜9)
マトリックス材を変化させた以外は、実施例4と同様の操作手順であった。
変性ポリケトン繊維に含まれる1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着率と繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維の破断はほとんど見られず、試験前の形状を保持していた。エポキシ樹脂を用いて得られた成形品と有意な差異はなかった。
(実施例10)
ポリケトン繊維へクロロフェノール・レゾルシノール・ホルマリン縮合物を付与後、220℃の温度で熱処理を施したポリケトン繊維へ1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンを付与した以外は、実施例3と同様の操作手順であった。
ポリケトン繊維に含まれる1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンの付着率と繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
実施例3と同様に、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維の破断はほとんど見られず、試験前の形状を保持していた。
(実施例11)
ポリケトン繊維へ1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンに代えて、ヒドロキシルアミンを付与後80℃の温度での熱処理を施した変性ポリケトン繊維を用いた以外は、実施例3と同様の操作手順であった。
ポリケトン繊維に含まれるヒドロキシルアミンの付着率と繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
実施例3と同様に、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維の破断はほとんど見られず、試験前の形状を保持していた。
(実施例12)
ポリケトン繊維へ1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンに代えて、アジピン酸ジヒドラジドを付与後80℃の温度での熱処理を施した変性ポリケトン繊維を用いた以外は、実施例3と同様の操作手順であった。
ポリケトン繊維に含まれるアジピン酸ジヒドラジドの付着率と繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
実施例3と同様に、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維の破断はほとんど見られず、試験前の形状を保持していた。
(比較例1)
反応剤で処理しないポリケトン繊維を用いた以外は、実施例1と同様の操作手順であった。
繊維強化複合材料の物性を以下の表1に示す。
十分な接着強度が得られなかった。また、アイゾット衝撃試験後の試料を見ると、ポリケトン繊維とエポキシ樹脂界面で層間剥離が発生し、試験前の形状を保持できなかった。
Figure 2011202288
本発明に係るポリケトン繊維はマトリックス材との間で優れた接着性を有し、その結果、該繊維を強化繊維として含む繊維強化複合材料は、優れた耐衝撃性を有することから、様々な産業資材、家庭用資材、スポーツ用品等に用いることができる。すなわち、炭素繊維複合材料の最大の欠点とされる耐衝撃性を大きく改善することができる。
本発明に係る繊維強化複合材料の用途としては、具体的には、スポーツ用途として、釣竿、ゴルフクラブシャフト、スキー、カヌー、テニス・バトミントンのラケット等、産業用途として、パイプ、タンク、圧力容器、ブレード、家具・装置用途として、パネル、ハウジング、イス、机、はしご、電気関係用途として、基板、パネル、スイッチギア、絶縁機、電気製品の本体、自動車・二輪車・自転車用途として、本体、ランプハウジング、フロント・エンドパネル、バンパー、座席ハウジング、駆動軸、船舶・ボート用途として、本体、マスト、甲板、航空機、ヘリコプター用途として、一次構造材、二次構造材、内装材、座席、付属部材等が例示されるが、上記特性を生かせる用途であれば特に限定されるものではない。

Claims (8)

  1. 繰り返し単位の75モル%以上が以下の式(1):
    Figure 2011202288
    で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトン繊維であって、該繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤が付着されたことを特徴とするポリケトン繊維。
  2. 前記ポリケトン繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤が、アミン、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、ヒドラジド、及びセミカルバジド類から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のポリケトン繊維。
  3. 前記ポリケトン繊維のカルボニル基と化学反応する反応剤の付着率が、前記ポリケトン繊維に対して0.05〜20重量%である、請求項1又は2に記載のポリケトン繊維。
  4. ポリケトン繊維に含まれる全カルボニル基に対して0.02〜10モル%のイミノ基を有する、請求項2又は3に記載のポリケトン繊維。
  5. 強化繊維とマトリックス材とからなる繊維強化複合材料であって、強化繊維として請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリケトン繊維が強化繊維の少なくとも一部に含まれることを特徴とする繊維強化複合材料。
  6. 強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、スチール繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリ(p−フェニレンベンズビスオキサゾール)繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリビニルアルコール繊維、セルロース繊維、及び150〜270℃の融点を有する熱可塑性繊維からなる群から選ばれる1種以上の繊維をさらに含む、請求項5に記載の繊維強化複合材料。
  7. 前記マトリックス材が、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である、請求項5又は6に記載の繊維強化複合材料。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、及びビニルエステル樹脂から成る群から選ばれる少なくとも一つである、請求項7に記載の繊維強化複合材料。
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