JP2017018872A - 粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
2.良溶媒溶液が、良溶媒に分散している少なくとも一種の粉末状の原料成分をさらに含有しているスラリーの形態である、前記1の、粒子の製造方法。
3.良溶媒に溶解している複数の原料成分の濃度が、合計で10g/l以上である、前記1又は2に記載の粒子の製造方法。
4.複数の原料成分が、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムであり、かつ、粒子が固体電解質材料の原料粒子である、前記1〜3のいずれかに記載の、粒子の製造方法。
5.硫黄、リチウム、ヨウ素、及び臭素を固溶体の成分として含んでおり、CuKα線を用いたX線回折測定結果として、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの(111)面のピークの位置が回折角度2θ=25.9°以上28.0°未満の範囲であり、かつ平均一次粒径が5μm以下である、固溶体粒子。
本発明は、良溶媒及び前記良溶媒に溶解している複数の原料成分を含有している良溶媒溶液を、良溶媒の沸点よりも165℃以上高い温度に加熱した貧溶媒に噴霧することにより、良溶媒溶液を蒸発させて、複数の粒子を析出させる、粒子の製造方法である。
本発明において、原料成分とは、本発明の粒子の製造方法によって製造される粒子の原料となる成分である。本発明では、良溶媒に溶解する複数の原料成分が用いられるが、さらに、良溶媒に分散する随意の粉末状の原料成分を用いることもできる。原料成分は特に限定されず、目的に合わせて複数の原料成分を用いることができる。例えば、硫黄、リチウム、ヨウ素、臭素を固溶体の成分として含む固溶体粒子を回収することを目的とする場合、原料成分として、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムを用いることができる。
本発明における良溶媒とは、本発明における原料成分のうち全部又は一部を溶解することができ、かつ本発明における貧溶媒よりも原料成分の溶解度が高い溶媒である。本発明における良溶媒としては特に限定されないが、例えば、メタノール、水、トルエン等が挙げられる。
本発明における良溶媒溶液は、良溶媒に原料成分を溶解させた溶液である。良溶媒溶液における複数の原料成分の濃度は特に限定されないが、合計で5g/l以上、10g/l以上、20g/l以上、又は50g/l以上が好ましい。これは、良溶媒溶液中の原料成分の濃度が高いほうが、より複合化した粒子を得ることができるためである。なお、本発明において、良溶媒溶液は、良溶媒に分散している少なくとも一種の原料成分粉末をさらに含有しているスラリーの形態であってもよい。
本発明における貧溶媒は、良溶媒よりも原料成分の溶解度が低い溶媒である。本件における貧溶媒は、良溶媒の沸点よりも165℃以上高い温度に加熱されている。良溶媒の沸点と貧溶媒が加熱される温度との差は、170℃以上、175℃以上、180℃以上又は190℃以上であってよい。加熱方法は特に限定されず、目的とする温度にまで貧溶媒を加熱することができる方法であれば、いかなる方法も使用することができる。貧溶媒の温度が良溶媒の沸点よりも高ければ高いほど良溶媒の蒸発速度が速くなることから、加熱温度は特に上限はないが、貧溶媒の沸点以下が好ましい。
本発明において、良溶媒溶液は、良溶媒の沸点よりも165℃以上高い温度に加熱された貧溶媒に噴霧される。噴霧の方法としては、良溶媒溶液を霧状にして噴出させ、貧溶媒に接触させることができることができる方法であれば特に限定されない。噴霧の方法としては、例えば貧溶媒液面上方から噴霧してよく、又貧溶媒中にノズル先端を浸した状態で噴霧してよい。噴霧する装置としては、例えば噴霧ノズル、より具体的には圧力ノズル、インジェクタ、又は二流体ノズル等が挙げられる。
本発明の固溶体粒子は、硫黄、リチウム、ヨウ素、及び臭素を固溶体の成分として含んでおり、CuKα線を用いたX線回折測定において、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの(111)面のピークの位置が回折角度2θ=25.9°以上28.0°未満の範囲であり、平均一次粒径が5μm以下である。
本発明の固溶体粒子は、硫黄、リチウム、ヨウ素、及び臭素を固溶体の成分として含んでいる。硫黄、リチウム、ヨウ素、及び臭素の成分比率は特に限定されず、固溶体粒子の用途に合わせて変えることができる。
本発明の固溶体粒子の硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの(111)面のピークの位置は、回折角度2θ=25.9°以上28.0°未満の範囲であればよく、原料の組成比率によっては、ヨウ化リチウム又は臭化リチウムのうち一方のほとんどが硫化リチウムの結晶に取り込まれて複合体となるため、ヨウ化リチウム又は臭化リチウムの一方のピークが小さく、実測されない場合もある。
本発明の固溶体粒子の平均一次粒径は5μm以下である。ここで、本発明の固溶体粒子の平均一次粒径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて測定することができる。
原料成分としての硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウム(モル比6:1:1)を、良溶媒溶液中の原料成分の濃度が合計で5g/lになるように、良溶媒としてのメタノール(沸点約65℃)に溶解して、原料成分を溶解した良溶媒溶液を作製した。貧溶媒としてのトリデカン(沸点約235℃)350mlを500ml丸底フラスコに入れ、230℃に加熱したオイルバスに入れた。貧溶媒の温度が安定した後、良溶媒溶液を圧力ノズルで約50ml/分で5分間にわたって、貧溶媒に噴霧した。その後、噴霧をやめ、貧溶媒中に析出した析出物をグローブボックス内でろ過して回収して、実施例1の粒子を得た。なお、実施例1における良溶媒の沸点と貧溶媒の加熱温度の差は、約165℃であった。
原料成分としての硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの良溶媒溶液中の濃度の合計がそれぞれ10g/l、20g/l、及び50g/lになるようにしたことを除いて実施例1と同様にして、実施例2、実施例3、及び実施例4の粒子を得た。
原料成分としての硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの良溶媒溶液中の濃度の合計を50g/lとし、貧溶媒としてのトリデカンの加熱温度を80℃とし、常圧撹拌下の貧溶媒に良溶媒溶液を液滴径約2mm、5ml/分の速度で10分間滴下しながら良溶媒を連続的に留去し、かつ良溶媒溶液滴下終了後さらに丸底フラスコの温度を80℃に加熱しながら約30分間蒸発留去を続けたことを除いて実施例1と同様にして、比較例1の粒子を得た。なお、比較例1における良溶媒の沸点と、貧溶媒の加熱温度の差は、約15℃であった。
貧溶媒としてのトリデカンの温度を230℃に加熱したことを除いて比較例1と同様にして、比較例2の粒子を得た。なお、比較例2における良溶媒の沸点と貧溶媒の加熱温度の差は、約165℃であった。
原料成分である硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの良溶媒溶液中の濃度の合計が20g/lになるように、良溶媒としての1−ペンタノール(沸点約138℃)に投入し、撹拌しながら硫化水素を流通し、硫化リチウムを硫化水素リチウムに転化させることで原料成分をすべて溶解して、良溶媒溶液を作製した。貧溶媒としてのトリデカン400mlを1000ml丸底フラスコに入れ、230℃に加熱したオイルバスに入れた。貧溶媒の温度が安定した後、良溶媒溶液を圧力ノズルで約50ml/分で11分間、貧溶媒に噴霧した。蒸発してくる蒸気を冷却管(水道水温度)で冷やして液化し、回収した。なお、参考例における良溶媒の沸点と、貧溶媒の加熱温度の差は、約92℃であった。
図2は比較例1の、図3は比較例2の、図4は実施例4のそれぞれの析出方法によって得られた析出物の走査型電子顕微鏡による観察結果である。
図5は、実施例4、比較例1、及び比較例2の方法により得られた結晶について、X線回折を行った結果を比較したものである。
図6は、実施例1〜3の方法により得られた析出物のX線回折測定結果を比較した図である。
2 加熱装置
3 良溶媒溶液
4 噴霧ノズル
5 霧状の良溶媒溶液
6 加熱された貧溶媒
7 循環ガス
Claims (5)
- 良溶媒及び前記良溶媒に溶解している複数の原料成分を含有している良溶媒溶液を、前記良溶媒の沸点よりも165℃以上高い温度に加熱した貧溶媒に噴霧することにより、前記良溶媒溶液を蒸発させて、複数の粒子を析出させる、
粒子の製造方法。 - 前記良溶媒溶液が、前記良溶媒に分散している少なくとも一種の粉末状の原料成分をさらに含有しているスラリーの形態である、請求項1の、粒子の製造方法。
- 前記良溶媒に溶解している前記複数の原料成分の濃度が、合計で10g/l以上である、請求項1又は請求項2に記載の粒子の製造方法。
- 前記複数の原料成分が、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムであり、かつ、前記粒子が固体電解質材料の原料粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、粒子の製造方法。
- 硫黄、リチウム、ヨウ素、及び臭素を固溶体の成分として含んでおり、
CuKα線を用いたX線回折測定結果として、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムの(111)面のピークの位置が回折角度2θ=25.9°以上28.0°未満の範囲であり、かつ
平均一次粒径が5μm以下である、
固溶体粒子。
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