JP2017014488A - ラジカル硬化性組成物、プラスチックシート、プラスチックシートロール及び成形物 - Google Patents

ラジカル硬化性組成物、プラスチックシート、プラスチックシートロール及び成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、最終硬化物となる立体成形された成形物の光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れ、巻き取りがしやすいプラスチックシートを形成するためのラジカル硬化性組成物を提供することを目的とする。【解決手段】 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有することを特徴とするラジカル硬化性組成物。(A)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、前記成分(A)を除く。)(C)重量平均分子量が5万〜70万の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(D)重合開始剤【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックシートを形成するためのラジカル硬化性組成物に関し、更に詳しくは、プラスチックシートを巻き取ってなるシートロールが形成しやすく、更に、最終硬化物となる成形物の光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れた成形物を提供するプラスチックシートを形成するためのラジカル硬化性組成物に関するものである。
従来、ディスプレイ用の基板としてはガラスを基板とするものが多く使われてきた。例えば、保護板では厚さ0.5〜2mm程度の化学強化ガラス基板が汎用されている。また、タッチパネル基板では厚さ0.2〜1.1mm程度のガラス基板が汎用されている。更に、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイでは厚さ0.2〜0.7mm程度のガラス基板が汎用されている。
一方では、近年、軽量化や安全性の観点から、また、フレキシブルディスプレイの製造を目的に、プラスチック製の基板も使用され始めている。実際には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、あるいはこれらの樹脂シートにハードコートを施した基板が使われている。このようなプラスチック基板には、光線透過率や複屈折などの光学性能はもとより、耐熱性や線膨張係数などの熱特性、表面硬度や曲げ弾性率などの機械特性、吸水率や比重、及び耐薬品、耐溶剤性などの高度な加工適性が要求される。
これらの諸特性を満足するために、熱可塑性あるいは熱硬化性を問わず数多くの樹脂が提案されている。特に、これらの樹脂からなるシートをハードコート処理して表面硬度を向上させた基板が提案されているが、ガラスを超える表面硬度は得られていないのが現状である。
また、近年では、特定の光重合性組成物を光硬化して得られる成形体も見受けられる。例えば、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレートよりなる光重合性組成物が、鉛筆硬度の高い樹脂成形体を与えることが開示されており(例えば、特許文献1参照。)、また、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレートよりなる光重合性組成物が、光学特性や熱機械特性に優れる樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1及び2の開示技術では、高い表面硬度を有するプラスチックシートは得られているものの、これらは、バッチ式により、2枚のガラス板の間で光硬化性組成物を注型成形しプラスチックシートを製造するものであり、平板なプラスチックシートを得るものである。そのため得られたプラスチックシートに対して更に立体成形加工を施すことはできない。かかる「立体成形加工」とは、従来のプラスチックシートにおいては平面の成形物しか得られなかったことに対し、平面以外の方向、例えば、略垂直な方向にも成形が為され、三次元的な成形物が得られる成形方法を意味する。
そしてまた、近年では、軽量化や意匠性を付与する観点からプラスチックシートに立体成形加工を行う要求も高まっている。
また、プラスチックシートの製造においても、バッチ式ではなく連続式で行う方法も検討されている。例えば、支持フィルム上に、光硬化性組成物を塗布し、活性エネルギー線照射することも考えられるが、上記のような光硬化性組成物を用いて行った場合には、光硬化性組成物の粘度が低いため塗工性が悪く、良好なプラスチックシート、特に厚膜のプラスチックシートを得ることができない。更に、単に、上記の光硬化性組成物を塗布し活性エネルギー線照射しても、硬化して得られたプラスチックシートはロール状態にて保管することができるほど柔軟性を有するものではなく、また、立体成形加工できるものでもない。
例えば、特許文献3には、プラスチックシートを連続的に製造する場合において、ロールに巻き取る時やロール間を搬送する時にも、更には支持シートを剥離する時にも、クラックや割れが生じないプラスチックシートを提供することを目的として、プラスチックシートの幅方向に対して、両端部の所定領域の曲げ弾性率を中央部の所定領域の曲げ弾性率よりも低くする方法が記載されている。
特開2006−193596号公報 特開2007−204736号公報 特開2009−127019号公報
しかしながら、特許文献3の技術では、プラスチックシートの端部のみの硬化を考慮するものであり、光学的にも機械的にも均一なシートは得難いものであった。更に、プラスチックシートの少なくとも一部分の反応率は80%を超えるものであり、かかるプラスチックシートを用いて、後の立体成形加工を行うことは困難であった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、プラスチックシートを巻き取ってなるプラスチックシートロールが形成しやすく、更に、最終硬化物となる立体成形された成形物の光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れた成形物を得るプラスチックシートを形成するためのラジカル硬化性組成物を提供することを目的とするものである。そして更に、かかるラジカル硬化性組成物を用いて、プラスチックシート、プラスチックシートロール及び立体成形された成形物をも提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート、脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート及び重合開始剤を含有するラジカル硬化性組成物に、更に、分子量の高すぎない、中程度の分子量を有する脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含有させることにより、ラジカル硬化性組成物の粘度を高くすることができ、そのため硬化して得られるプラスチックシートを巻き取ってなるプラスチックシートロールを連続的に形成しやすくなり、更に厚膜化も可能となり、また、最終硬化物となる立体成形された成形物が光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れた効果を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、以下の<1>〜<9>である。
<1>下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有することを特徴とするラジカル硬化性組成物。
(A)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、前記成分(A)を除く。)
(C)重量平均分子量が5万〜70万の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂
(D)重合開始剤
<2>前記脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)の含有量が、前記脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び前記脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(B)の合計100重量部に対して、1〜30重量部であることを特徴とする前記<1>記載のラジカル硬化性組成物。
<3>前記脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)が、脂環構造を有するモノ(メタ)アクリレート(c1)のホモポリマーであることを特徴とする前記<1>または<2>記載のラジカル硬化性組成物。
<4>更に、下記成分(E)を含有することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のラジカル硬化性組成物。
(E)メルカプト基含有化合物
<5>23℃における粘度が、100〜20,000mPa・sであることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のラジカル硬化性組成物。
<6>前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のラジカル硬化性組成物を硬化したプラスチックシートであって、(メタ)アクリロイル基の反応率が50%以上75%未満であることを特徴とするプラスチックシート。
<7>厚さが50〜10,000μmであることを特徴とする前記<6>記載のプラスチックシート。
<8>前記<6>または<7>記載のプラスチックシートが巻き取られていることを特徴とするプラスチックシートロール。
<9>前記<6>または<7>記載のプラスチックシート、または、前記<8>記載のプラスチックシートロールから巻き出したプラスチックシートを成形加工した成形物であって、(メタ)アクリロイル基の反応率が75%以上であることを特徴とする成形物。
本発明のラジカル硬化性組成物は、成分(A)〜(D)を含有することにより、好みの膜厚のプラスチックシートを形成することができ、かつ、巻き取ってなるプラスチックシートロールが形成しやすく、更に、最終硬化物となる成形物の光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れた成形物を得ることができる。また、成分(C)の含有量を調整することにより、ラジカル硬化性組成物の粘度を高くすることができ、また、最終硬化物となる成形物の耐衝撃性を調整することができる。
本発明で行われる落球試験を説明する図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの、「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの総称である。また、ここでいう多官能とは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを意味する。
<ラジカル硬化性組成物の説明>
本発明のラジカル硬化性組成物は、下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有するものである。
(A)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、前記成分(A)を除く。)
(C)重量平均分子量が5万〜70万の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂
(D)重合開始剤
(脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート:成分(A))
成分(A)は、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上含有するウレタン(メタ)アクリレートである。多官能であるため、硬化速度が向上し、生産性良くプラスチックシートを得ることができる。また、熱または光によるラジカル重合反応により架橋樹脂を形成し、表面硬度の高いプラスチックシートを得ることができる。また、成分(A)は分子内にウレタン基を有しているため、水素結合により、曲げ弾性率や耐衝撃性などの機械強度に優れたフレキシブルなプラスチックシートを得ることができる。表面硬度の向上は、特に、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートで発現する。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)は脂環構造を分子内に有しており、この脂環構造によりプラスチックシートの吸水率が低減することとなる。
成分(A)の数平均分子量は、200〜5,000であることが好ましい。より好ましくは400〜3,000、更に好ましくは500〜1,000である。数平均分子量が小さすぎると、硬化収縮が増大し、複屈折が発生しやすい傾向にある。逆に、大きすぎると、架橋性が低下し、耐熱性が低下する傾向にある。
成分(A)である脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートを、必要に応じてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いて反応させることにより得ることができる。
脂環構造を有するポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの3量体化合物などが挙げられる。中でも耐光性が良い点でイソホロンジイソシアネートが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも表面硬度の点でペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。特に好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートである。
脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応により得られる脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ラジカル硬化性組成物中、2種以上を混合して用いてもよい。これらの反応物の中でも、硬化速度の点からアクリレートが好ましく、耐熱性の観点から4官能以上がより好ましく、表面硬度の点から、下記式(1)〜(4)で表される脂環構造を有する4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
Figure 2017014488
Figure 2017014488
Figure 2017014488
式(3)中、Rは各々独立して水素又はメチル基である。
Figure 2017014488
(脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート:成分(B))
成分(B)も、多官能の(メタ)アクリレートであるため、高耐熱性のプラスチックシートを与える。成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートよりも耐熱性向上の効果は大きいが、この単量体のみでは、あまりにもガラスライクな架橋樹脂となるためもろくなる。したがって、成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートと成分(B)の多官能(メタ)アクリレートとを特定の割合で配合し共重合させることが好ましい。これにより、表面硬度、耐熱性、フレキシブル性に良好なプラスチックシートを得ることができる。成分(B)の官能基数が過剰に多すぎると、耐熱性とフレキシブル性のバランスがくずれる傾向にあるため、成分(B)は2官能であることが好ましく、また、メタクリレートであることがより好ましい。また、成分(B)も脂環構造を有しており、この脂環構造もプラスチックシートの飽和吸水率を低減することとなる。
成分(B)の脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、成分(A)を除く。)としては、例えば、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサンなどの2官能(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサンなどの3官能(メタ)アクリレートがあげられ、これらの中でも、フレキシブル性の点から2官能(メタ)アクリレートが好ましく、耐熱性の点から2官能メタクリレートがより好ましい。更に光学性能の点から下記一般式(5)、(6)及び(7)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の2官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも2官能メタクリレートが特に好ましい。
Figure 2017014488
式(5)中、Rは各々独立して炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のエーテル結合を含んでもよいアルキレン基、Rは各々独立して水素又はメチル基、aは1又は2、bは0又は1である。
Figure 2017014488
式(6)中、Rは各々独立して炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のエーテル結合を含んでもよいアルキレン基、Rは各々独立して水素又はメチル基である。
Figure 2017014488
式(7)中、Rは各々独立して水素又はメチル基、Rは各々独立して炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のエーテル結合を含んでもよいアルキレン基、Rは各々独立して水素又はメチル基である。
成分(A)と成分(B)の配合割合は、(A):(B)=10:90〜50:50(重量比)であることが好ましい。成分(A)が少なすぎると、表面硬度が低下する傾向があり、逆に、成分(B)が少なすぎると、溶解性が低下する傾向がある。配合割合の好ましい範囲は、15:85〜45:55(重量比)、より好ましくは、20:80〜40:60(重量比)である。
(重量平均分子量が5万〜70万の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂:成分(C))
成分(C)の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、ラジカル硬化性組成物の粘度を高くするのに有効であり、例えば、ポリ(イソボルニル(メタ)アクリレート)、ポリ(アダマンチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ノルボルネン(メタ)アクリレート)、ポリ(ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート)等の脂環構造を有するモノ(メタ)アクリレート(c1)のホモポリマーや、ポリ(ジシクロペンタニルメタノールと(メタ)アクリレートの縮合組成)、等が挙げられるが、中でも相溶性の点で脂環構造を有するモノ(メタ)アクリレート(c1)のホモポリマーが好ましく、特にはポリ(ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート)、ポリ(アダマンチル(メタ)アクリレート)等が好ましい。
脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)の重量平均分子量は、5万〜70万であることが重要であり、特に好ましくは10万〜70万、更に好ましくは30万〜65万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると連続塗工向けに高粘度化するために、(メタ)アクリル系樹脂(C)の配合量が例えば30重量%以上というように多く必要となり、故に耐衝撃性が低下する傾向があり、大きすぎると溶解性が乏しくなり、生産性が低下する傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)を用いて測定した、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を意味する。
かかる(メタ)アクリル系樹脂(C)は、溶液重合法の他、活性エネルギー線照射による重合法等で製造することができるが、特には分子量の制御の点で紫外線照射による重合法が好ましい。
脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)の含有量は、高粘度化による厚膜形成性の点で、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、特には2〜18重量部、更には2〜15重量部、殊には3〜12重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると高粘度化が不充分となり厚膜化が困難となる傾向があり、多すぎると粘度が高くなりすぎ生産性が低下することとなる傾向がある。
(重合開始剤:成分(D))
本発明のラジカル硬化性組成物は、重合開始剤(D)を含有する。かかる重合開始剤としては、光重合開始剤(Dl)や熱重合開始剤(Dh)が挙げられる。特に本発明においては、硬化反応が効率よく進行したり、生産性が良好である点から光によって硬化することが好ましいため、光重合開始剤(Dl)を含有することが好ましい。
光重合開始剤(Dl)としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのラジカル開裂型の光重合開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤(Dl)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤(Dh)としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。これらの熱重合開始剤(Dh)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これら光重合開始剤(Dl)および熱重合開始剤(Dh)は併用することも可能である。
重合開始剤(D)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましく、更には0.2〜4重量部、特には0.3〜3重量部であることが好ましい。含有量が多すぎると、プラスチックシートのリタデーションが増大し、また400nmにおける光線透過率が低下する傾向にある。一方、少なすぎると重合速度が低下し、重合が十分に進行しないおそれがある。
(メルカプト基含有化合物:成分(E))
更に本発明においては、架橋密度を上げる点でメルカプト基含有化合物(E)を含有することが好ましい。メルカプト基含有化合物(E)としては、例えば、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリトール=テトラキス(3−スルファニルブタノアート)、1,3,5−トリス(2−(3−スルファニルブタノイルオキシ)エチル)などが挙げられる。
また、ラジカル硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で、第2級メルカプト基を有するメルカプト基含有化合物(E1)を用いることが好ましい。かかるメルカプト基含有化合物(E1)としては、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等の2官能チオール、1,3,5−トリス(2−(3−スルファニルブタノイルオキシ)エチル)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル−]−イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等の3官能チオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブタノアート)等の4官能チオールなどが挙げられる。
かかる化合物1分子が有するメルカプト基は、ラジカル硬化性組成物の硬化性の点から通常2〜6個であり、好ましくは2〜4個である。また、含有する全てのメルカプト基が第2級メルカプト基であるメルカプト基含有化合物であることが好ましい。
かかるメルカプト基含有化合物(E)の分子量は、通常250〜800、好ましくは300〜600である。分子量が小さすぎるとラジカル硬化性組成物の粘度が低くなる傾向があり、大きすぎるとラジカル硬化性組成物の粘度が高くなる傾向がある。
これらのメルカプト基含有化合物(E)は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、通常10重量部以下の割合で使用されることが好ましく、更には5重量部以下、特には4重量部以下が好ましい。かかる使用量が多すぎると、得られるプラスチックシートや成形物の耐熱性や剛性が低下する傾向がある。
本発明においては、硬化性組成物として、本発明のプラスチックシートや成形物の物性を損ねない範囲で、少量の補助成分を含んでいてもよい。例えば、成分(A)及び成分(B)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レべリング剤、ブルーイング剤、染顔料、フィラーなどである。また、活性エネルギー線照射による硬化と加熱による硬化とを併用する場合には、光重合開始剤(Dl)および熱重合開始剤(Dh)とを併用することが好ましい。
成分(A)及び成分(B)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタノールと(メタ)アクリレートの縮合組成、等の脂環構造を有するモノ(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール以上のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物が挙げられる。
成分(A)及び成分(B)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、30重量部以下、更には20重量部以下、特には10重量部以下であることが好ましい。含有量が多すぎるとプラスチックシートや成形物の耐熱性が低下する傾向にある。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4′−ジ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−トリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロキシヒドロシンナミド、N,N′−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)モノエチルフォスフォネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイト−ジエチルエステル等の化合物が挙げられ、これらの化合物は、単独または2種以上併用してもよい。これらの中でも、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが、色相を抑制する効果が大きくなる点から特に好ましい。
酸化防止剤の含有割合は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、通常0.001〜1重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5重量部である。かかる酸化防止剤が少なすぎるとプラスチックシートの耐光性が低下する傾向があり、多すぎると光線透過率が低下する傾向にある。
本発明のラジカル硬化性組成物は、公知と同様の方法で製造することができる。例えば、成分(A)、(B)、(C)及び(D)、好ましくは更に成分(E)、必要により補助成分を配合し、通常20〜50℃の温度において均一になるまで撹拌混合することにより製造することができる。
かくして本発明のラジカル硬化性組成物が得られる。
本発明のラジカル硬化性組成物は、23℃における粘度が100〜20,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは400〜10,000mPa・s、更に好ましくは800〜6,000mPa・sである。粘度が低すぎると厚膜形成性が低下する傾向があり、逆に、高すぎると生産性が低下する傾向がある。かかる粘度に調整する方法としては、成分(A)、(B)及び(C)の種類や配合量を適宜コントロールすることなどが挙げられる。なお、このときの組成物粘度は、コーン・プレート型粘度計(TPE−100 東機産業製)を使用し、ペルチェプレート温度:23℃、使用コーンロータ:3°×R14にて測定した値である。
<プラスチックシート[I]、成形物[II]の製造方法>
次に、かかるラジカル硬化性組成物を用いた本発明のプラスチックシート[I]、更にはそれを成形することにより得られる成形物[II]の製造方法について説明する。
本発明のプラスチックシート[I]は、前記ラジカル硬化性組成物を加熱または活性エネルギー線照射により、反応率が通常50%以上75%未満となるように硬化して得られる。
かかるプラスチックシート[I]は、一般的に行われるバッチ式の光成形方法、即ち、厚さ制御のためのスペーサーを介して、2枚の透明ガラスを対向させた型を作製し、そのキャビティにラジカル硬化性組成物を注入し、加熱または活性エネルギー線を照射して硬化させ、脱型することにより得ることもできるが、好ましくは生産性、ロングラン性の点から、ロール・ツー・ロールによる連続式の光成形方法により得ることができる。
かかる連続式光成形方法は、次のように行うことができる。
例えば、必要とする塗膜厚を与えるクリアランスを有したアプリケーターを用い、支持フィルム上に、所望の膜厚となるように上記ラジカル硬化性組成物層を形成し、その上部に支持フィルムを接するように配した積層体を作製し、かかる積層体に加熱または活性エネルギー線を照射して、ラジカル硬化性組成物を硬化させた後、必要に応じて、かかる硬化樹脂層(プラスチックシート)の両面から支持フィルムを剥離してプラスチックシート[I]を得ることができる。かかる工程における支持フィルムの送り方向は、水平方向、水平に対して垂直方向、水平から角度をつけた方向のいずれにおいても可能である。製造効率の観点から、フィルム面を水平にし、かつ水平方向に送りつつ連続的に成形する方法が好ましい。
また、より柔軟性の高いプラスチックシートを作製するために、例えば、支持フィルム(α)上にラジカル硬化性組成物層を有する積層体の、厚さ方向における支持フィルム(α)の反対面を酸素に暴露した状態で、支持フィルム(α)面側から活性エネルギー線を照射する照射工程、ラジカル硬化性組成物層の該酸素暴露面と接するように支持フィルム(β)を配し、かかる支持フィルム(β)面側から活性エネルギー線を照射する照射工程を順次行って硬化することもできる。
上記積層体の層構成は、例えば、支持フィルム/硬化性組成物/支持フィルムの3層構造や、支持フィルム/硬化性組成物/支持フィルム/硬化性組成物/支持フィルムの5層構造等も可能である。後述する硬化工程が効率良く進行する点で好ましくは支持フィルム/硬化性組成物/支持フィルムの3層構造である。
更に本発明においては、得られるプラスチックシート[I]を、支管に巻き取ることにより、プラスチックシート[I]のロール体であるプラスチックシートロールを得ることができる。
上記支持フィルムとしては、ラジカル重合による硬化を阻害しないものであればよいが、中でも、酸素による硬化阻害を生じさせないという点から、ガスバリア性樹脂フィルムであることが好ましい。
かかるガスバリア性樹脂フィルムとしては、酸素透過性がガスバリア性樹脂フィルムの厚みが20μmにおいて、20℃、ドライ条件の環境下で、200cc/m・day・atm以下であることが酸素阻害を生じることなく良好な硬化(すなわちラジカル重合)を実施することができ、効率的に硬化を行うことができる点で好ましく、特には100cc/m・day・atm以下、更には40cc/m・day・atm以下であることが好ましい。かかる値が高すぎると酸素阻害により良好な硬化ができず、重合度や転化率の低下を招く傾向がある。なお、下限値としては通常0.01cc/m・day・atmである。
かかる酸素透過性の測定は、JIS K 7126−2:2006に示された測定方法に準じて、酸素透過度計を用いて測定して求められる。
また、本発明においては、ラジカル硬化時に発生する熱を考慮した場合に、耐熱性に優れた支持フィルムであることが好ましく、支持フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度が通常0℃以上、特には30℃以上、更には50℃以上であることが好ましい。かかるガラス転移温度が低すぎると熱を受けた際に溶けて破断する可能性がある。なお、かかるガラス転移温度の上限は、通常400℃である。
本発明で用いられる支持フィルムの厚さは、通常200μm以下であり、更には10〜100μm、特には15〜50μmであることが好ましい。かかる厚さが厚すぎると光線透過率の低下を招いたり、ロール状物の重量が大きくなりすぎる傾向があり、薄すぎると作業時に破断が発生したり安全性を損なう傾向がある。
上記のような支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、ナイロン6、2軸延伸ナイロンのようなナイロン系樹脂フィルム、変性ポリアクリロニトリル等のアクリルニトリル系樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルム等のビニルアルコール系樹脂フィルムまたはかかる一軸延伸や二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム等が挙げられるが、酸素透過性が非常に低い点で、特にビニルアルコール系樹脂フィルム、更には二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルムであることが好ましい。
かかるビニルアルコール系樹脂フィルムは、ビニルアルコール系樹脂より製膜されてなるものであり、ビニルアルコール系樹脂とは、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、好ましくは平均ケン化度が90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、特に好ましくは97モル%以上である。
上記ビニルアルコール系樹脂フィルムのビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記することがある。)や、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、EVOHと略記することがある。)を挙げることができる。更に、PVA系樹脂としては、酢酸ビニルを単独重合し、それをケン化したPVAと、変性PVAを挙げることができ、かかる変性PVAとしては、共重合変性品と後変性品とを挙げることができる。上記の中でも特には、耐熱性の点で二軸延伸PVA系樹脂フィルムであることが好ましい。
上記支持フィルムの外部ヘイズは、JIS K 7361−1:1997に準拠し、日本電色工業株式会社製ヘイズメーター「NDH−2000」を用いて測定した対象物の全ヘイズから内部ヘイズを引いた値(かかる内部ヘイズは、予めガラス板2枚の間に流動パラフィンのみを挟んでヘイズ(Hz1)を測定し、次に流動パラフィンで表面を濡らしたフィルムを挟んでヘイズ(Hz2)を測定し、これらの差をとることで算出した値である。)にて通常0.4以下であり、好ましくは0.4〜0.01であり、特に好ましくは0.2〜0.01である。かかる外部ヘイズ値が大きすぎる場合、得られるプラスチックシート[I]、これを立体成形した成形物[II]のヘイズ値が大きくなるという傾向がある。
上記ラジカル硬化性組成物は、通常活性エネルギー線照射または熱により硬化(すなわちラジカル重合)されるものである。
活性エネルギー線照射による硬化を行う場合、硬化性組成物に活性エネルギー線を照射するに当たっては、通常、波長200〜400nmの紫外線を用いて、照射光量が通常0.1〜0.8J/cmで光硬化する。照射光量のより好ましい範囲は0.1〜0.7J/cm、更に好ましくは0.15〜0.5J/cmである。照射光量が多すぎると硬化過剰となり後工程の立体成形加工が困難となる傾向があり、少なすぎると重合が不充分となる傾向にある。活性エネルギー線の照度は、通常10〜2,000mW/cm、特には50〜1,000mW/cmであることが好ましい。照度が小さすぎると生産性が低下する傾向があり、逆に、大きすぎると硬化度合いの制御が困難となる傾向がある。
活性エネルギー線源としては、光硬化で通常用いられるものであればよく、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、無電極水銀ランプ、LED−UV等が挙げられる。光源から発生する赤外線により重合が暴走するのを防ぐため、ランプに赤外線を遮断するフィルターや赤外線を反射しない鏡等を用いることも可能である。
熱による硬化を行う場合、かかる熱処理温度は、通常、30〜140℃である。熱処理時間は通常0.1秒〜30分である。熱処理温度が低すぎると硬化速度が遅く、また、温度が高すぎると意図しない副反応や硬化過剰が考えられる。また、熱処理時間が長すぎると硬化過剰となり後工程の立体成形加工が困難となる傾向があり、短すぎると硬化が不充分となる傾向にある。
上記の硬化(すなわちラジカル重合)の後、得られたプラスチックシート[I]の両面から支持フィルムを剥離してプラスチックシート[I]のみを取り出すことができる。
得られたプラスチックシート[I]は、そのまま、所望の成形加工に供することもできるが、一旦支管に巻き取り、プラスチックシートロールとして保管することもできる。
上記支持フィルムを剥離することなく、支管に巻き取り、プラスチックシートロールとすることも可能であり、また、ブロッキングや摩擦での擦り傷等を防ぐために、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、離型紙などを、セパレーターとして共に巻き取ることも可能である。
上記支管は、例えば、径が通常3〜12インチのものを用いるものであり、好ましくは更には3〜6インチのものである。
上記にて得られる本発明のプラスチックシート[I]は、ラジカル硬化性組成物を通常加熱または活性エネルギー線照射により、(メタ)アクリロイル基の反応率が通常50%以上75%未満となるように硬化されたものであり、好ましくは55〜70%、特に好ましくは60〜70%である。かかる反応率が低すぎると保存時の膜厚変化が生じやすくなる傾向があり、高すぎると後の立体成形加工が困難となる傾向がある。
なお、反応率は、下記の通りにて測定することができる。
即ち、長さ50mm×幅50mmの試験片を凍結粉砕した後、BRUKER・BIOSPIN社製「AVANCE DPX−400」で、固体NMRプローブを用いて測定する。観測核は13C、回転数は5,000Hz、室温で測定する。重合していない(メタ)アクリロイル基中のカルボニル炭素は高磁場側(166ppm)に、重合したカルボニル炭素は低磁場側(176ppm)に検出される。これらのピーク面積比より反応率(%)を算出する。
また、本発明のプラスチックシート[I]の厚さは、50〜10,000μmであることが好ましく、特には100〜5,000μm、更には400〜3,000μm、殊には500〜1,000μmであることが好ましい。かかる厚さが薄すぎると後の立体成形加工が困難となる傾向があり、厚すぎるとロール化が困難となる傾向がある。
本発明のプラスチックシート[I]は、ディスプレイの高輝度化の点から、光線透過率が通常80%以上であり、特には85%以上、更には90%以上であることが好ましい。なお一般的に光線透過率の上限は99%である。
本発明のプラスチックシート[I]は、JIS K 5600−5−4:1999に準拠して測定される荷重50gにおける表面の鉛筆硬度が通常10B以上であり、特には8B以上、更には7B以上であり、2B以下、特には4B以下であることが好ましい。鉛筆硬度が低すぎると、プラスチックシートの形状を保持しづらくなる傾向にあり、高すぎると後の立体成形加工が困難となる傾向がある。
本発明のプラスチックシート[I]は、ディスプレイの高精細化の点から、全ヘイズが通常3%以下であり、特には2%以下、更には1.5%以下であることが好ましい。
また、外部ヘイズが通常0.5%以下であり、特には0.3%以下、更には0.15%以下であることが好ましい。
なお、かかる外部ヘイズは、JIS K 7361−1:1997に準拠し、日本電色工業株式会社製ヘイズメーター「NDH−2000」を用いて測定した対象物の全ヘイズから内部ヘイズを引いた値(かかる内部ヘイズは、予めガラス板2枚の間に流動パラフィンのみを挟んでヘイズ(Hz1)を測定し、次に流動パラフィンを表面に塗布したフィルムを挟んでヘイズ(Hz2)を測定し、これらの差をとることで算出した値)を意味する。
本発明においては、上記プラスチックシート[I]またはプラスチックシートロールから巻き出してなるプラスチックシート[I]を成形加工した後、通常加熱または活性エネルギー線照射により、反応率が通常75%以上となるように硬化してなる成形物[II]とすることができる。
上記の本発明のプラスチックシート[I]は、完全硬化していないため、成形が可能なシートとなっており、所望の意匠を有せしめるためにかかる意匠に対応した成形加工を行い、その後、通常加熱または活性エネルギー線照射により、更に硬化を進め、成形物[II]とすることができるのである。
上記成形加工には、公知の成形方法を用いることが可能である。例えば、プレス成形、真空成形、圧空成形等の金型成形方法や、カッターやナイフ等を用いて任意の形状を切り出す方法等、が挙げられる。
特に本発明においては、従来のプラスチックシートにおいては平面の成形物しか得られなかったことに対し、平面以外の方向、例えば、略垂直な方向にも成形が為された三次元的な成形物を得ることが可能となる。したがって、平面に対し、平面以外の方向、例えば、略垂直な方向に任意の意匠を付与するなどして成形された成形物とすることが好ましい。
成形加工により所望の形状に成形したプラスチックシート[I]は、通常活性エネルギー線照射または熱によりさらに硬化し、本発明の成形物[II]となる。
活性エネルギー線による硬化を行う場合、上記活性エネルギー線照射に際しては、通常波長200〜400nmの紫外線を用いて、通常照射光量0.5〜40J/cmで光硬化することが好ましい。照射光量のより好ましい範囲は5〜35J/cm、更に好ましくは10〜30J/cmである。照射光量が多すぎると生産性が低下する傾向があり、少なすぎると表面硬度が低下する傾向にある。活性エネルギー線の照度は、通常10〜2,000mW/cm、特には50〜1,000mW/cmであることが好ましい。照度が小さすぎると生産性が低下する傾向があり、逆に、大きすぎると黄変が生じる傾向がある。
なお、活性エネルギー線源としては、光硬化で通常用いられるものであればよく、例えば、上記と同様に、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、無電極水銀ランプ、LED−UV等が挙げられる。光源から発生する赤外線により重合が暴走するのを防ぐため、ランプに赤外線を遮断するフィルターや赤外線を反射しない鏡等を用いることも可能である。
また、より重合度の向上のため、あるいは応力ひずみ開放のために熱処理してもよい。このとき、大気下や真空下で、通常50〜250℃で加熱処理することが好ましい。
加熱による硬化を行う場合、かかる熱処理温度は通常30〜140℃である。熱処理時間は通常0.1秒〜10時間である。熱処理温度が低すぎると硬化が不十分となる傾向がある。熱処理時間が短すぎると硬化が不十分となる傾向があり、また、長すぎると生産性が低下するとともに、意図しない副反応が進行する場合がある。
得られる本発明の成形物[II]は、活性エネルギー線照射により、反応率が通常75%以上となるように硬化してなるものであり、好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。反応率が低すぎると成形物の表面硬度が不充分となる傾向がある。
なお、反応率は、上述と同様の方法にて測定することができる。
また、本発明の成形物[II]の厚さは、通常50〜10,000μm、特には100〜5,000μm、更には400〜3,000μm、殊には500〜1,000μmであることが好ましい。かかる厚さが薄すぎると機械特性が低下する傾向があり、厚すぎると光学特性が低下する傾向がある。
本発明の成形物[II]は、ディスプレイの高輝度化の点から、光線透過率が通常80%以上、特には85%以上、更には90%以上であることが好ましい。なお、一般的に光線透過率の上限は99%である。
本発明の成形物[II]は、JIS K 5600−5−4:1999に準拠して測定される荷重750gにおける表面の鉛筆硬度が通常2H以上、特には3H以上、更には4H以上であることが好ましい。鉛筆硬度が低すぎると、プラスチックシートが傷つきやすく、ディスプレイの品質が低下する傾向にある。
本発明の成形物[II]は、ディスプレイの高精細化の点から、全ヘイズが3%以下、特には2%以下、更には1.5%以下であることが好ましい。
また、外部ヘイズが通常0.5%以下であり、特には0.3%以下、更には0.15%以下であることが好ましい。
なお、かかる外部ヘイズは、上記プラスチックシート[I]と同一の測定方法による値を意味する。
かくして本発明においては、好みの膜厚のプラスチックシートを形成することができ、かつ、巻き取ってなるプラスチックシートロールが形成しやすく、更に、最終硬化物となる成形物の光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れた成形物を得ることができる。よって、ディスプレイ用の保護板や、コピー機、自動車、家電等における表示部周辺の立体化部品等の用途に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)鉛筆硬度
JIS K 5600−5−4:1999に準じて、プラスチックシートの鉛筆硬度を測定した。なお、荷重については50gまたは750gにて測定した。
(2)全ヘイズ(%)
JIS K 7361−1:1997に準拠し、日本電色工業(株)製ヘイズメーター「NDH−2000」を用いて測定した。
(3)光線透過率(%)
日本電色工業株式会社製ヘイズメーター「NDH−2000」を用いて、全光線透過率(%)を測定した。
(4)飽和吸水率(%)
50mm×50mmサイズの試験片を用いて、23℃、20日間水に浸漬した後の重量増加から飽和吸水率(%)を算出した。
(5)耐衝撃性(落球試験)
強化ガラスにおけるJISR3206に準拠し、下記の通り行い、剛球を落下させても割れない高さの最大値(Y)を求めた。
即ち、縦50mm×横50mmの試験片を23℃、50%RHの環境下で48時間放置した後、図1のような落球試験機(東洋精機製作所製)を用いて、重さ16g、計16mmφの剛球を所定の高さから落下させて、直径32mmの円筒台上に置いた試験片の表面中央部に衝撃を与えた。所定の高さを5cm刻みで高くしていき、各高さにて6枚の試験片に対して同様の操作を行い、4枚以上割れなかった高さの最大値(cm)を、剛球を落下させても割れない高さの最大値(Y)とした。
また、下記の通り配合成分を用意した。
〔脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)〕
(A−1):下記に示す方法で得られたイソホロン構造(式(1))を有する6官能のウレタンアクリレート
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート192.0g(0.86モル)と、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(水酸基価120mgKOH/g)〕808.0g(1.73モル)を仕込み、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.01g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.01gを仕込み、60℃で8時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、イソホロン構造(式(1))を有する6官能のウレタンアクリレートを得た。
Figure 2017014488
〔脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(B)〕
(B−1):ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「DCP」)
〔脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)〕
(C−1):ジシクロペンタニルアクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.05部とペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート0.05部を配合したモノマー組成物を脱泡処理した後、気泡が入らないように2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの風袋に密封し、厚さが0.5mmとなるように調整した後、その風袋上部に2.8mmのガラス板を載せ、その上からメタルハライドランプで、360nm波長が50mW/cmの照度で20J/cmとなるように照射した。
その後、2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの風袋より硬化物のみを取り出し、粉砕機で粉砕加工した。モノマー反応率が87%、重量平均分子量(Mw)が63万の(メタ)アクリル系樹脂粉体を得た。
(C−2):ジシクロペンタニルアクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.05部とペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート1部を配合したモノマー組成物を脱泡処理した後、気泡が入らないように2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの風袋に密封し、厚さが0.5mmとなるように調整した後、その風袋上部に2.8mmのガラス板を載せ、その上からメタルハライドランプで、360nm波長が50mW/cmの照度で20J/cmとなるように照射した。
その後、2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの風袋より硬化物のみを取り出し、粉砕機で粉砕加工した。モノマー反応率が90%、重量平均分子量(Mw)が5万の(メタ)アクリル系樹脂粉体を得た。
(C’−1):ジシクロペンタニルアクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.05部を配合したモノマー組成物を脱泡処理した後、気泡が入らないように2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの風袋に密封し、厚さが0.5mmとなるように調整した後、その風袋上部に2.8mmのガラス板を載せ、その上からメタルハライドランプで、360nm波長が50mW/cmの照度で20J/cmとなるように照射した。
その後、2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの風袋より硬化物のみを取り出し、粉砕機で粉砕加工した。モノマー反応率が83%、重量平均分子量(Mw)が130万の(メタ)アクリル系樹脂粉体を得た。
〔重合開始剤(D)〕
(D−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
〔メルカプト基含有化合物(E)〕
(E−1):ペンタエリトール=テトラキス(3−スルファニルブタノアート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT PE−1」)
<実施例1〜5、比較例1>
[ラジカル硬化性組成物の調製]
表1に示す通り各成分を混合し、60℃にて均一になるまで撹拌した後、42μmのフィルターで濾過してラジカル重合性組成物を得た。なお、このときの組成物粘度は、コーン・プレート型粘度計(商品名「TPE−100」、東機産業株式会社製)を使用し、ペルチェプレート温度:23℃、使用コーンロータ:3°×R14にて測定した。
[実施例1、2及び比較例1における、プラスチックシート及びプラスチックシートロールの作製]
水平方向に連続的に搬送される38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、880μmのクリアランスを有するアプリケーターを用いて連続的にラジカル重合性組成物の塗膜を形成した。かかる塗膜上に別途38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを貼合し、その25μm厚の2軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの上から、メタルハライドランプにより、360nm波長での紫外線測定器にて、50mW/cmの照射強度で、露光量が250mJ/cmになるよう紫外線照射しながら搬送した。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム/プラスチックシート/ポリエチレンテレフタレートフィルム積層体を支管に巻き取り、ロール状組成物(プラスチックフィルムロール)を得た。プラスチックシートの諸物性は両面の支持フィルムを剥離した状態で測定した。
[実施例3〜5における、プラスチックシート及びプラスチックシートロールの作製]
水平方向に連続的に搬送される38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(α)上に、880μmのクリアランスを有するアプリケーターを用いて連続的に前記ラジカル硬化性組成物の塗膜を形成した。38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(α)面側からUV−LED(365nm)ランプにより360nm波長での紫外線測定器にて、1500mW/cmの照射強度で、照射光量が200mJ/cmになるよう紫外線照射しながら搬送した。ラジカル硬化性組成物層の該酸素暴露面と接するように38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(β)を配し、かかる38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(β)面側からUV−LEDランプにより360nm波長での紫外線測定器にて、200mW/cmの照射強度で、照射光量が100mJ/cmになるように紫外線を照射しながら搬送した。その後、ポリエチレンレフタレートフィルム(α)/プラスチックシート/ポリエチレンテレフタレートフィルム(β)積層体を支管に巻き取り、ロール状組成物(プラスチックフィルムロール)を得た。プラスチックシートの諸物性は両面の基材フィルムを剥離した状態で測定した。
得られたプラスチックシートについて諸物性を評価し、その結果を表2に示す。
なお、実施例で得られたプラスチックシートを[I]、比較例で得られたプラスチックシートを[I’]と表記する。
[成形物の作製]
上記のプラスチックシートロールより一定量を切り出した。かかるプラスチックシートを360nmで約5,000mW/cmの照度で20J/cmになるように紫外線を照射し硬化し、成形物モデルを得た。その後、かかる支持フィルムを剥離し、成形物モデルのみを真空乾燥機を用いて、200℃設定、0.1Torr(すなわち、約13.332Pa)以下の真空下で、乾燥機周囲金属躯体に接するように配置して6hrのアニールを行った。
得られた成形物モデルについて諸物性を評価し、その結果を表2に示す。
なお、かかる成形物モデルは、プラスチックシート平面に対して垂直方向に意匠性を付与するような成形を行っていないが、意匠性を付与する際にプラスチックシート[I]または[I’]表面に凹凸や不純物が付着しなければ、意匠性の有無は成形物の諸物性に影響しないため、意匠性を付与して成形した成形物と同等の成形物である。実施例で得られた成形物を[II]、比較例で得られた成形物を[II’]と表記する。
実施例及び比較例の評価結果は表2に示す。
Figure 2017014488
Figure 2017014488
上記結果からも分かるように、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート、脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート及び重合開始剤を含有してなるラジカル硬化性組成物に、更に5万〜70万といったような中程度の分子量の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含有させることにより、実施例1〜5はラジカル硬化性組成物の粘度を高くすることができる。そのため、硬化して得られるプラスチックシートが形成しやすく、かつ、均一な膜厚を担保できる。更に、最終硬化物となる成形物の光学特性、表面硬度、耐衝撃性に優れた成形物を得ることができ、また、その飽和吸水率も1%と低いものであった。
また、成形物の耐衝撃性においても、剛球落下による割れが無い高さが、実施例1〜5は比較例1に対して5〜10cm高く、実施例1〜5はより高い位置からの落下にも耐えることができることがわかる。また、より高い位置からの落下試験に耐え得るものは同じ高さにて評価した場合にはより多くの落下回数にも耐え得ると言え、例えば、本発明の成形物をディスプレイ用部材、中でも携帯端末のタッチパネル基板等に使用するような場合、落下回数が多くなっても耐え得ることができると考えられる。
本発明のラジカル硬化性組成物を用いてなるプラスチックシート、及び、それを更に硬化せしめてなる成形物は、様々な光学材料、電子材料に有利に利用できる。例えば、液晶基板、有機/無機EL用基板、電子ペーパー用基板、導光板、位相差板、タッチパネル等、各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングを初めとする記憶・記録用途、薄膜電池基板、太陽電池基板などのエネルギー用途、光導波路などの光通信用途、更には機能性フィルム・シート、反射防止膜、光学多層膜等各種光学フィルム・シート・コーティング用途に利用できる。中でも、特にディスプレイの保護板や静電容量方式のタッチパネル基板として非常に期待される。

Claims (9)

  1. 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有することを特徴とするラジカル硬化性組成物。
    (A)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート
    (B)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、前記成分(A)を除く。)
    (C)重量平均分子量が5万〜70万の脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂
    (D)重合開始剤
  2. 前記脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)の含有量が、前記脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び前記脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(B)の合計100重量部に対して、1〜30重量部であることを特徴とする請求項1記載のラジカル硬化性組成物。
  3. 前記脂環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(C)が、脂環構造を有するモノ(メタ)アクリレート(c1)のホモポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載のラジカル硬化性組成物。
  4. 更に、下記成分(E)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
    (E)メルカプト基含有化合物
  5. 23℃における粘度が、100〜20,000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のラジカル硬化性組成物を硬化したプラスチックシートであって、(メタ)アクリロイル基の反応率が50%以上75%未満であることを特徴とするプラスチックシート。
  7. 厚さが50〜10,000μmであることを特徴とする請求項6記載のプラスチックシート。
  8. 請求項6または7記載のプラスチックシートが巻き取られていることを特徴とするプラスチックシートロール。
  9. 請求項6または7記載のプラスチックシート、または、請求項8記載のプラスチックシートロールから巻き出したプラスチックシートを成形加工した成形物であって、(メタ)アクリロイル基の反応率が75%以上であることを特徴とする成形物。
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