JP2015022278A - 偏光板用接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期硬化性および接着性に優れた偏光板用接着剤組成物を提供することを目的とする【解決手段】 (A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマー 20〜70質量部と;(B)エポキシ基含有化合物 20〜80質量部と;(C)その他のモノマー 0〜30質量部と;(D)光酸発生剤と;(E)光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方と;を含む、偏光板用接着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板を製造する際に使用される、偏光子と保護フィルムとを接着するための接着剤組成物およびこれを用いて製造した偏光板に関する。より詳細には、本発明は、初期硬化性および接着性に優れた偏光板用接着剤組成物およびこれを用いた偏光板に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットディスプレイが、省スペースであり高精細であることから、表示装置として広範に使用されている。このうち、液晶ディスプレイは、より省電力であり高精細であるため注目され、開発が進められている。
液晶ディスプレイパネルには、その機能を発揮するため光シャッターの役割をする偏光板が液晶と組み合わせて使用されている。偏光板は偏光子を備える、液晶ディスプレイパネルに必須の部品である。通常偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂を水槽中で5〜6倍の長さに一軸延伸して製造されるため、延伸方向に裂けやすく、脆いという欠点がある。そのため、偏光子は、その表面および/または裏面に保護フィルムを接着し、偏光板を構成して使用されている。その際、偏光子に保護フィルムを接着するための接着剤にも、偏光板を使用する場合に特有の要求を満たすことが求められる。
このような偏光板用接着剤としては、ヒドロキシ基を有するアクリル系モノマー、ラジカル重合開始剤、エポキシ樹脂、及びカチオン性光重合開始剤を含む偏光板用接着剤組成物が開示されている(特許文献1参照)。当該文献は、上記構成とすることで、接着剤の低粘度を維持しつつ、接着力及び耐水性に優れた低粘度偏光板用接着剤を提供しようとしている。
また、偏光板用に用いられる接着剤として、(A)ヒドロキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート50〜99.5重量%、(B)光重合開始剤0.49〜10重量%、(C)ジグリシジルアミノ基を含有するエポキシ化合物0.01〜1重量%を含む偏光板用接着剤組成物が開示されている(特許文献2参照)。当該文献は、上記構成とすることで、生産性の向上、設備コストの低減、接着性の向上、及び保護フィルム等の組合せ構成の自由度向上を可能としようとしている。
また、単官能ラジカル重合性化合物を主として含むラジカル重合性化合物と、脂環式エポキシ基を有する化合物を含み、(メタ)アクリロイル基を含有しないカチオン重合性化合物とからなる主剤と、光ラジカル重合開始剤と、光カチオン重合開始剤とを含む光硬化性接着剤が知られている(特許文献3参照)。当該文献には、当該接着剤が、保護フィルムと偏光子との接着性のみならず、打ち抜き加工性および耐水性に優れることが記載されている。
特開2012−62471号公報 特開2010−18722号公報 特開2011−76058号公報
実際の製造工程においては、偏光板はロールやベルト等で折り曲げられながら搬送されることがあるため、このような折り曲げによる保護フィルムがはがれを防止し、歩留まりの低下や工程性の低下を防ぐ必要がある。一方、長期間の使用や、温湿度の環境変化によっても、十分な耐久性を備える偏光板を得るためには、接着剤組成物には優れた接着性が求められる。
しかしながら、特許文献1〜3で用いられている偏光板用接着剤組成物では、この両方の要求を同時に満たしていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、初期硬化性および接着性に優れた偏光板用接着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、そのような接着剤組成物を使用することにより、耐久性に優れた偏光板を提供することである。
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく、鋭意研究を行った結果、アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーを特定の比率で含む、偏光板用接着剤組成物を用いることにより、初期硬化性および接着性に優れた偏光板用接着剤組成物が得られることを見出した。そして、上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマー 20〜70質量部と;(B)エポキシ基含有化合物 20〜80質量部と;(C)その他のモノマー 0〜30質量部と;(D)光酸発生剤と;(E)光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方と;を含む、偏光板用接着剤組成物を提供することによって、解決する。
本発明の偏光板用接着剤組成物によれば、各種の保護フィルムを用いる偏光板に使用した際に、優れた初期硬化性および接着性を発現できる。したがって、本発明の偏光板用接着剤組成物を使用した偏光板は、保護フィルムとの接着性がよく、耐久性の高い偏光板となり得る。
実施例における偏光板の製造工程を説明するための概略図である。 実施例における初期硬化性試験の方法を説明するための概略図である。 実施例における温水浸漬試験の方法を説明するための概略図である。 実施例における剥離強度の方法を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」および「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜60%の条件で測定する。
(1)偏光板用接着剤組成物
本発明の第一の態様は、本発明は、(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマー 20〜70質量部と;(B)エポキシ基含有化合物 20〜80質量部と;(C)その他のモノマー 0〜30質量部と;(D)光酸発生剤と;(E)光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方と;を含む、偏光板用接着剤組成物である。「偏光板用接着剤組成物」を、以下単に「組成物」とも称する。
上述したように、従来の偏光板用接着剤は、初期硬化性および接着性を両立する点でいまだ十分ではなかった。本発明においては、アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーと;エポキシ基含有化合物とを特定の比率で含む、偏光板用接着剤組成物を用いることにより、優れた初期硬化性および接着性の両立を実現している。
以下、本発明の組成物の構成成分について詳細に説明する。
[重合性成分]
本発明は、(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマー 20〜70質量部と;(B)エポキシ基含有化合物 20〜80質量部と;(C)その他のモノマー 0〜30質量部と;(D)光酸発生剤と;(E)光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方と;を含む、偏光板用接着剤組成物である。この偏光板用接着剤組成物のうち(A)〜(C)が重合性成分である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートの記載は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマー
アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に、アリル基とヒドロキシ基を有していれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル酸と、「アリル基およびエポキシ基を一つずつ有する化合物」とを反応させることによって得ることができる。
このように、(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーを使用すると、(メタ)アクリレート部位(アクリロイル基)とは別に、アリル基の部位も反応が進行し、線状構造ではなく、網目構造となる。そのことによって、初期硬化性だけではなく、接着性も向上させることができる。
アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、例えば、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−アリロキシ−1−ヒドロキシプロピルアクリレートなどが挙げられる。無論、アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートであれば、これらの具体例以外を使用してもよい。また、混合物の形態であっても全く構わない。
(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーは市販品を購入して準備してもよい。市販品としては、大阪有機化学工業株式会社 ALHAなどが好適である。
本発明に係る(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーの配合量は、成分(A)〜(C)の合計量を100質量部として、20〜70質量部である。70質量部を超えると、後述もするアンカー効果に寄与しうる(A)成分の「浸透」が過剰となって却って接着性が低下し、また相対的に(B)成分の量が過度に低くなってしまい、耐熱性が悪化するという問題もある。他方で、20質量部を下回ると、濡れ性が発現しない、つまり「浸透」が少ないため十分なアンカー効果を得ることができず接着性が低下し、本発明の所期の接着性を得ることができない。
保護フィルムとしてアクリル系樹脂を用いることを想定すると、(A)成分の含有量は好ましくは25〜65質量部であり、より好ましくは40〜60質量部である。
保護フィルムとしてTACを用いることを想定すると、(A)成分の含有量は、21〜65質量部であることが好ましく、特に好ましくは24〜55質量部であり、特に好ましくは40〜60質量部である。
(B)エポキシ基含有化合物
本発明で用いられるエポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を含有する化合物であれば特に制限はないが、好ましくは2個以上のエポキシ基を含有する。このように2個以上のエポキシ基を含有する化合物を使用すると、1分子中、2個以上の開環したエポキシ基が反応していくため、重合体は線状構造とはならず、網目構造のようになり、初期硬化性だけではなく、接着性も向上させることができる。ここで、エポキシ基の数は、本発明の所期の効果を奏しやすくするため、また入手の観点から、1〜3が好ましく、特に好ましくは2つである。
具体的な例としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;多官能エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;複素環含有エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、該エポキシ樹脂は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明で用いられる好ましいエポキシ基含有化合物は、従来公知の知見を参照して合成することによって準備してもよいし、市販品を購入してもよい。市販品としては、エピコート(登録商標)シリーズ(エピコート(登録商標)807、エピコート(登録商標)815、エピコート(登録商標)825、エピコート(登録商標)827、エピコート(登録商標)828、エピコート(登録商標)834、エピコート(登録商標)1001、エピコート(登録商標)1004、エピコート(登録商標)1007、エピコート(登録商標)1009(以上ジャパンエポキシレジン株式会社製);DER−330、DER−301、DER−361(以上、ダウケミカル社製);YD8125、YDF8170(以上、東都化成株式会社製);エピクロン(登録商標)EXA−1514(DIC株式会社製);デナコール(登録商標)EX−251(ナガセケムテックス株式会社製);エピコート(登録商標)152、エピコート(登録商標)154(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製);EPPN−501(日本化薬株式会社製);DEN−438(ダウケミカル社製);EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027(以上、日本化薬株式会社製);YDCN700−10(東都化成株式会社製);アラルダイト(登録商標)ECN1280(ハンツマン・ジャパン株式会社製)等;Epon 1031S(ジャパンエポキシレジン株式会社製);アラルダイト(登録商標)0163(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製);デナコール(登録商標)EX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321(以上、ナガセケムテックス株式会社製)等;エピコート(登録商標)604(ジャパンエポキシレジン株式会社製);YH−434(東都化成株式会社製);TETRAD(登録商標)−X、TETRAD(登録商標)−C(以上、三菱ガス化学株式会社製);ELM−120(住友化学株式会社製);アラルダイト(登録商標)PT810(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製);ERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206(以上、UCC社製);エポリード(登録商標)シリーズ、セロキサイド(登録商標)シリーズ2021P(以上、ダイセル化学株式会社製);エピクロン(登録商標)EXA−830CRP、エピクロン(登録商標)HP−4710、エピクロン(登録商標)EXA−4816・EXA−4822、EXA−4850シリーズ、エピクロン(登録商標)HPC−8000−65T(以上、DIC株式会社株式会社製)などを列挙することができる。
本発明に係る(B)エポキシ基含有化合物の配合量は、成分(A)〜(C)の合計量を100質量部として、20〜80質量部である。成分(B)の配合量が20質量部未満であると、(A)成分の量の量が過剰となり上記で記載した問題が生じ、また耐熱性が低下する。一方、80質量部を超えると、相対的に(A)成分の量が減ってしまい、保護フィルムに対する密着性、浸透性が低くなってしまい、接着強度が低くなってしまい、また接着剤溶液の粘度が高くなり、薄膜の塗工が困難となる。
保護フィルムとしてアクリル系樹脂を用いることを想定すると、(B)成分の含有量は好ましくは35〜75質量部であり、より好ましくは40〜60質量部である。
(B)成分の含有量が35質量部を下回る場合、後述する(C)成分を補填することも好ましい。
保護フィルムとしてTACを用いることを想定すると、(B)成分の含有量は、35〜79質量部であることが好ましく、特に好ましくは45〜76質量部であり、特に好ましくは40〜60質量部である。
上記で説明したように、(B)エポキシ基含有化合物においては、2個以上の開環したエポキシ基が反応していくため、重合体は線状構造とはならず、網目構造のようになる。また他方で、(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーにおいては、(メタ)アクリレート部位とは別に、アリル基の部位も反応が進行し、線状構造ではなく、網目構造となる。これらは同時に重合が起こっているので、互いが互いへと入れ込んだような構造を有する架橋体となっているものと考えられる。このように、(A)成分と(B)成分とが複雑に絡み合うことによって、初期硬化性だけではなく、接着性が向上するのであろうと考えられる。ただし、このような機構は推測にすぎず、本発明の技術的範囲に何ら影響を与えるものではない。
(C)その他のモノマー
本発明の偏光板用接着剤組成物は、成分(A)と成分(B)とは必須成分として含むが、これら以外のモノマー(その他のモノマー)を含んでもよい。
上限としては、成分(A)〜(C)の合計量を100質量部として、30質量部までである。使用量が30質量部を超えると、(A)成分や(B)成分などの必須成分の含有量が過度に減ってしまい、本発明の所期の効果を奏することができなくなる。成分(C)の含有量は、より好ましくは、25質量部までで、より好ましくは23質量部までである。
その他のモノマーとしては、偏光板用接着剤組成物として初期硬化性に優れることおよびフィルムとの接着性向上の観点から、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー、芳香族環含有(メタ)アクリレートモノマー、脂環含有(メタ)アクリレートモノマーまたは複素環含有(メタ)アクリレートモノマーであると好ましい。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーは、分子中にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーであれば特に制限はない。分子中におけるヒドロキシ基の数としても特に制限はなく、一つであっても、二つであっても、三つ以上であってもよい。このようにその他のモノマーとして分子中にヒドロキシ基を有しているモノマーを使用すると、水素結合力が向上し、偏光子に使用されるPVAとの接着性が向上するという利点がある。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(ダイセル化学社の商品「プラクセル」)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、偏光板用接着剤組成物として初期硬化性に優れることおよびフィルムとの接着性向上の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明に係る芳香族環含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に芳香族環を有する(メタ)アクリルモノマーであれば特に制限はない。芳香族環としては特に制限なく、例えば、ベンゼン環等が挙げられる。このようにその他のモノマーとして分子中に嵩高いバルキーな部位(ベンゼン環のようなもの)が存在するモノマーを使用すると、後述もするが、バルキーなものが保護フィルムに入り込むようなアンカー効果が発現する。具体例としては、例えば、フェノキシトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、4−メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、エチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、イソプロピルフェニルエチル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、4−メチルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェニルプロピル(メタ)アクリレート、4−フェニルブチル(メタ)アクリレート、p−ベンジルフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−クロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−クロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、o−クロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−ブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−ブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、o−ブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、ジクロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ナフチルエチル(メタ)アクリレート等が好適である。
これらの中でも、偏光板用接着剤組成物として初期硬化性に優れることおよびフィルムとの接着性向上の観点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
脂環含有(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に脂環を有する(メタ)アクリルモノマーであれば特に制限はない。脂環としては特に制限なく、例えば、シクロヘキサン環、アダマンチル環等が挙げられる。このようにその他のモノマーとして分子中に嵩高いバルキーな部位(シクロヘキサン環、アダマンチル環のようなもの)が存在するモノマーを使用すると、後述もするが、バルキーなものが保護フィルムに入り込むようなアンカー効果が発現する。具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、偏光板用接着剤組成物として初期硬化性に優れることおよびフィルムとの接着性向上の観点から、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタジエニルジアクリレートがより好ましい。
本発明に係る複素環含有(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に複素環を有する(メタ)アクリルモノマーである。複素環としては特に制限はなく、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等があげられる。このようにその他のモノマーとして分子中に嵩高いバルキーな部位(複素環のようなもの)が存在するモノマーを使用すると、後述もするが、バルキーなものが保護フィルムに入り込むようなアンカー効果が発現する。具体例としては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルピロリジン等が挙げられる。
これらの中でも、偏光板用接着剤組成物として粘度が低く、フィルム溶解性が高いため、初期硬化性に優れることおよびフィルムとの接着性向上の観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレートがより好ましい。
[光酸発生剤]
光酸発生剤は光を照射すると強酸を発生させるものであり、強酸がエポキシ基含有化合物を攻撃し、エポキシ基含有化合物の重合が開始される。光酸発生剤としては、従来公知の光酸発生剤を特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩、鉄−アレン錯体などが挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなどが挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムのリン酸塩などが挙げられる。
鉄−アレン錯体としては、例えば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなどが挙げられる。
光酸発生剤は市販品を用いてもよく、例えば、CPI−100P、101A、200K、210S(以上、サンアプロ株式会社製)、カヤラッド(登録商標)PCI−220、PCI−620(以上、日本化薬株式会社製)、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマー(登録商標)SP−150、SP−170(以上、株式会社ADEKA製)、CI−5102、CIT−1370、1682、CIP−1866S、2048S、2064S(以上、日本曹達株式会社製)、DPI−101、102、103、105、MPI−103、105、BBI−101、102、103、105、TPS−101、102、103、105、MDS−103、105、DTS−102、103(以上、みどり化学株式会社製)、PI−2074(ローディアジャパン株式会社製)などが挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、重合性成分100質量部に対して、1〜7質量部であり、好ましくは1.5〜4質量部である。光酸発生剤の使用量が1質量部未満であると、紫外線照射後の接着剤組成物の硬化性が悪くなる虞があり、7質量部を超えるとブリートアウト成分により接着性や耐久性が不十分となる可能性がある。
[光重合開始剤、光増感剤]
本発明の接着剤組成物は、さらに、光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方を含む。光重合開始剤としては特に制限はなく、従来公知の光重合開始剤を好ましく使用できる。光重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤は、具体的には、過酸化水素、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、t−ブチルヒドロパーオキサイド、過酸化t−ジブチル、クメンヒドロパーオキサイド、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイルおよび過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩およびアゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
より具体的には、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノンをはじめとするベンゾフェノン類;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル類;4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどがある。
光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えばIRGACURE(登録商標)−184、819、907、651、1700、1800、819、369、261、DAROCUR−TPO(以上、BASFジャパン株式会社製)、ダロキュア(登録商標)−1173(メルク株式会社製)、エザキュアKIP150、TZT(以上、DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(以上、日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
無機過酸化物および有機過酸化物に対しては、エチルアミン、トリエタノールアミンおよびジメチルアニリン等のアミン、ポリアミン、2価鉄塩化合物、アンモニア、トリエチルアルミニウム、トリエチルほう素、ジエチル亜鉛等の有機金属化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナフテン酸コバルト、スルフィン酸、メルカプタン等の適切な還元剤を併用してもよい。
本発明の偏光板用接着剤組成物は、光重合開始剤の代わりに、または光重合開始剤と併用して光増感剤を使用してもよい。光増感剤としては特に制限はなく、従来公知の光増感剤を好ましく使用できる。光増感剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光増感剤の具体例としては、例えば、アントラセン化合物、ピレン化合物、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられ、これらは、2種類以上を混合して使用してもよい。
さらに具体的な光増感剤としては、例えば、下記一般式(I)で表わされるアントラセン化合物;ピレン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンなどのベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンなどのアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられる。
Figure 2015022278
式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、炭素数1〜18の直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状のアルキル基、または炭素数2〜18のエーテル基を表し、R”は、水素原子または炭素数1〜18の直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状のアルキル基を表す。
上記一般式(I)において、R、R’、およびR”で表される炭素数1〜18の直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基、またはオクタデシル基等が挙げられる。RおよびR’で表される炭素数2〜18のエーテル基としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−フェノキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、3−フェノキシプロピル基、2−メトキシ−1−メチルエチル基、2−メトキシ−2−メチルエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−フェノキシエチル基等が挙げられる。ここでいうエーテル基とは、以上の例示からもわかるように、少なくとも1個のエーテル結合を有する炭化水素基であり、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基などを包含する概念である。
光増感剤は合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、カヤキュア(登録商標)−DMBI、BDMK、BP−100、BMBI、DETX−S、EPA(以上、日本化薬株式会社製)、アントラキュア(登録商標)UVS−1331、UVS−1221(以上、川崎化成工業株式会社製)、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方の使用量(光重合開始剤と光増感剤とを併用する場合においては、その合計の使用量)は、重合性成分 100質量部に対して、0.1〜7質量部であり、好ましくは0.5〜2.5質量部である。該使用量が0.1質量部未満であると、紫外線照射によっても硬化しにくく、7質量部を超えると、ブリートアウト成分により接着性や耐久性が不十分となる可能性がある。
本発明の偏光板用接着剤組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、シランカップリング剤、無機充填剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂(ポリオール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等)、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料(着色顔料、体質顔料等)、処理剤、紫外線遮断剤、蛍光増白剤、分散剤、光安定剤、帯電防止剤、および滑剤等の他の成分を添加してもよい。
[接着剤組成物の製造方法]
本発明の接着剤組成物を製造するには、特に制限はなく、通常は、上記の成分を混合して接着剤組成物が得られる。粘度調整のために適宜有機溶媒を使用してもよい。混合方法にも特に制限はなく、室温(25℃)で、液体内が均一になるまで十分に攪拌混合すればよい。
(2)偏光板
本発明の第二の態様によれば、本発明の偏光板用接着剤組成物を用いて接着した、保護フィルムと、偏光子とを備える偏光板が提供される。本発明の偏光板は、製造時の工程性に優れ、十分な接着性を示す。以下、本発明の偏光板の構成について説明する。
[偏光子]
偏光子としては、特に制限はなく、従来公知のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
このうち、平均重合度2000〜2800、ケン化度90〜100モル%のポリビニルアルコールフィルムをヨウ素で染色し、5〜6倍に一軸延伸して製造した偏光子が特に好ましい。より具体的には、このような偏光子は、例えばポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素の水溶液に浸漬して染色し、延伸して得られる。ヨウ素の水溶液としては、例えば、ヨウ素/ヨウ化カリウムの0.1〜1.0重量%水溶液に浸漬することが好ましい。必要に応じて50〜70℃のホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬してもよく、洗浄や染色むら防止のために、25〜35℃の水に浸漬してもよい。延伸はヨウ素で染色した後に行っても、染色しながら延伸しても、延伸してからヨウ素で染色してもよい。染色および延伸後は、水洗し、35〜55℃で1〜10分程度乾燥してもよい。
[保護フィルム]
保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる材料が好ましい。例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、イミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、または前記樹脂のブレンドなどが挙げられる。
上記のうち、偏光板用保護フィルムには、セルロースと脂肪酸のエステルであるセルロース系樹脂、または、シクロオレフィンポリマー(COPフィルム)、ポリエチレンテレフタレート(PETフィルム)、あるいはアクリル系樹脂が好ましい。セルロース系樹脂としては、セルローストリアセテート(TACフィルム)、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、入手し易さやコストの点からセルローストリアセテート(TACフィルム)、シクロオレフィンポリマー(COPフィルム)が特に好ましく、入手し易さや水分の透過性の観点を考慮するとアクリル系樹脂が好ましい。保護フィルムの水分透過性が高いと水分が保護フィルムを透過して容易に偏光子側に入ってきてしまい、偏光子の品質が低下する虞があるが、アクリル系樹脂を用いるとそれを有意に抑制することができる。また、本発明の偏光板用接着剤組成物は、(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーが所定の範囲で含まれている。この(A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマーは、アクリル系樹脂を溶解する作用を有する。そうであるので、保護フィルムとしてアクリル系樹脂を用いると、偏光子の表面および/または裏面に本発明の偏光板用接着剤組成物を介して保護フィルム(アクリル系樹脂)を接着して偏光板を構成する際に、本発明の接着剤組成物が、保護フィルムに浸透し、その後、UV照射によって硬化されるため、その浸透したアクリル系樹脂による、いわゆるアンカー効果が生じて、接着強度が向上すると考えられる。保護フィルムとしてアクリル系樹脂を用いると特に好適である。ただし、このメカニズムは推測によるものであって当該メカニズムによって技術的範囲が制限されることはない。
なお、セルローストリアセテートは、ケン化されたものも使用できるが、未ケン化のものがより好ましい。シクロオレフィンポリマーとしては、特公平2−9619号公報記載のテトラシクロドデセン類の開環重合体等を水素添加反応させて得られた重合体を構成成分とするポリマーが挙げられる。
アクリル系樹脂フィルムの市販品としては、クラレ株式会社製アクリルフィルムRT、SO、HIシリーズ等が挙げられる。
TACフィルムの市販品としては、富士フイルム株式会社製UV−50、UV−80、SH−80、TD−80U、TD−TAC、UZ−TAC、コニカミノルタオプト株式会社製のKCシリーズ等が挙げられる。
COPフィルムの市販品としては、JSR株式会社製アートン(登録商標)や、日本ゼオン株式会社製ゼオネックス(登録商標)シリーズ、ゼオノア(登録商標)シリーズが挙げられる。
PETフィルムの市販品としては、東洋紡績株式会社製コスモシャイン(登録商標)シリーズが挙げられる。
保護フィルム表面は、コロナ放電処理によって改質されていることが好ましい。コロナ放電処理の方法としては特に制限はなく、一般的なコロナ放電処理装置(例えば、春日電機株式会社製)を用いて処理できる。コロナ放電処理することによって、保護フィルム表面には例えばヒドロキシ基等の活性基が形成され、これがより接着性の向上に寄与すると考えられる。保護フィルムとしてケン化されたセルローストリアセテートを使用する場合には、コロナ放電処理と同様の接着性向上の効果が期待できるため、コロナ放電処理は必ずしも必要ではない。しかし、ケン化処理は工程が複雑であり高コストとなるため、未ケン化のセルローストリアセテートをコロナ放電処理して用いる方が製造工程上は好ましい。
コロナ処理の際の放電量としては、特に制限はないが、30〜300W・min/mが好ましく、より好ましくは50〜250W・min/mである。このような範囲であると、保護フィルム自体を劣化させることなく保護フィルムと接着剤との接着性を向上でき好ましい。ここで、放電量とは、次の計算によって求まるコロナ放電による対象物への仕事量であり、これを基準としてコロナ放電電力が決定される。
Figure 2015022278
(C)偏光板の製造方法
偏光板の製造方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって、保護フィルムと偏光子とを、本発明の接着剤組成物を用いて貼り合わせることによって製造し得る。塗布した接着剤組成物は、紫外線照射により接着性を発現して接着層を構成する。
接着剤組成物を塗布する際は、保護フィルム、偏光子のいずれに塗布してもよく、双方に塗布してもよい。接着剤組成物は、乾燥後の接着層の厚みが10nm〜5μmになるように塗布するのが好ましい。接着層の厚みは、均一な面内厚みを得ることと、十分な接着力を得ることから、より好ましくは500nm〜3μmである。接着層の厚みは、接着剤組成物の溶液中の固形分濃度や接着剤組成物の塗布装置によって調整することができる。また、接着層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって断面を観察することにより、確認できる。接着剤組成物を塗布する方法にも特に制限はなく、接着剤組成物を直接滴下する方法、ロールコート法、噴霧法、浸漬法等の各種手段を採用できる。
接着剤組成物を塗布した後は、偏光子と保護フィルムとをロールラミネーター等により貼り合わせる。
貼り合せた後、接着剤組成物硬化のために偏光板に紫外線を照射する。紫外線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。紫外線照射量は特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の紫外線照射量が100〜2000mJ/cmであることが好ましい。この範囲であれば、反応時間が適当であり、ランプから輻射される熱および重合時の発熱により、接着剤自体や偏光フィルムの劣化を生じる恐れがない。
紫外線照射後は、エポキシ樹脂については暗反応が進行するため、偏光板は紫外線照射直後から16〜30時間程度室温(23℃)で保管する。硬化の完了によって偏光板が完成する。
以下本発明を、実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
<接着剤組成物の調製>
表1に示される成分を、表1に示される配合量に従って、23℃、相対湿度50%RHの恒温室内で、目視で均一になるまで攪拌混合し、実施例1〜11および比較例1〜4の接着剤組成物を得た。なお、表1中の単位は「g」である。
<偏光板の製造>
偏光子は、以下の方法で作製した。平均重合度2400、ケン化度99.9%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、28℃の温水中に90秒間浸漬し膨潤させ、次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比2/3)の濃度0.6重量%の水溶液に浸漬し、2.1倍に延伸させながらポリビニルアルコールフィルムを染色した。その後、60℃のホウ酸エステル水溶液中で合計の延伸倍率が5.8倍となるように延伸を行い、水洗、45℃で3分乾燥を行い、偏光子(厚み25μm)を作製した。
図1は、本実施例での偏光板の製造方法を示す概略図である。図1に示すように、保護フィルム3と保護フィルム4との間に偏光子1を挟み、上記のように得られた接着剤組成物2を、保護フィルム3および偏光子1、保護フィルム4および偏光子1の間にそれぞれスポイトによって適量滴下し、ロール6、7を備えるロールプレスによって貼り合わせた。
実施例1〜8および比較例1〜4では、保護フィルム3としてCOPフィルム(日本ゼオン株式会社製 厚み30μm)、保護フィルム4としてアクリルフィルム(クラレ株式会社製 厚み75μm)を使用した。
実施例9〜11では、保護フィルム3としてCOPフィルム(日本ゼオン株式会社製 厚み30μm)、保護フィルム4としてセルローストリアセテートフィルム(TACフィルム、富士フイルム株式会社製 厚み80μm)を使用した。
このように貼り合わせた紫外線照射前偏光板5は、1000mJ/cm(365nm メタルハライドランプ)の照射量の紫外線を保護フィルム3側から照射した。なお、接着剤組成物を用いた偏光子と保護フィルムとの貼り合せの工程から紫外線照射までは、23℃、相対湿度50%RHで行った。
紫外線照射後、偏光板は恒温室(23℃、相対湿度50%RH)で24時間保管し、接着剤組成物を硬化させ、偏光板を完成させた。完成した偏光板中の接着剤層の厚みは、2.0μmであった。
各実施例および各比較例で得られた偏光板は、下記のようにして、紫外線照射直後に初期硬化性試験を実施し、さらに紫外線照射後室温(23℃)で24時間保管後、裁断試験および温水浸漬試験を実施し、評価した。
<初期硬化性試験>
実施例1〜11および比較例1〜4で作製した紫外線照射直後の偏光板を、図2に示すように、折り曲げた偏光板8の間隔が10mmとなるように(R10mm)折り曲げ、保護フィルムの剥離があるかないかを目視で判定した。剥離が観察されなかった場合は○、観察された場合は×とした。評価結果を下記表1に示す。
<裁断試験>
実施例1〜11および比較例1〜4で作製した偏光板を、トムソン刃で50mm×50mmの大きさに裁断し、裁断の際の端部の剥がれの状態を目視で観察した。評価基準としては、0.5mm以下を合格とした。評価結果を表1に示す。好ましい結果は、0.3mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であり、特に好ましくは0mmである。
<温水浸漬試験>
実施例1〜11および比較例1〜4で作製した偏光板を、トムソン刃で50mm×50mmの大きさに裁断し、60℃の水槽に浸漬し、2時間保持した。その後、水槽から各サンプルを取り出し、偏光子の収縮の大きさを測定した。図3(A)に示すように、試験前の偏光板8の端部から、図3(B)に示すように、延伸方向に収縮した偏光板8の端部までを測定し、収縮の大きさ9とした。接着剤の接着性が高ければより収縮は小さく、接着性が十分でなければ偏光板の収縮はより大きい値となる。評価基準としては、収縮の大きさが1.0mm未満を合格とした。評価結果を表1に示す。好ましい結果は、0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であり、特に好ましくは0mmである。
<剥離強度>
図4は、本実施例で剥離強度測定用試料の製造方法を示す概略図である。図4に示すように上記のように得られた接着剤組成物2を、PETフィルム10とアクリルフィルム11の間にスポイトによって適量滴下し、ロール6、7を備えるロールプレスによって貼り合わせた。なお、PETフィルムとアクリルフィルムはそれぞれの接着剤面をコロナ処理した。
このように貼り合わせた紫外線照射前剥離強度測定用試料は、1000mJ/cm(365nm メタルハライドランプ)の照射量の紫外線をPETフィルム10から照射した。なお、接着剤組成物を用いたPETフィルムとアクリルフィルムとの貼り合せの工程から紫外線照射までは、23℃、相対湿度50%RHで行った。
紫外線照射後、剥離強度測定用試料は恒温室(23℃、相対湿度50%RH)で24時間保管し、接着剤組成物を硬化させ、偏光板を完成させた。完成した偏光板中の接着剤層の厚みは、2.0μmであった。
剥離強度測定用試料は150mm×25mmに裁断し、アクリルフィルム側を両面テープでSUS板に固定し、引張試験機を用いてPETフィルム10を剥離角90°、剥離速度10mm/minで剥離し、剥離強度を測定した。
Figure 2015022278
Figure 2015022278
上記表1に示されるように、実施例1〜11では、剥離強度試験、裁断試験、温水浸漬試験、および初期硬化性試験のすべてにおいて、良好な結果を示した。これに対して、比較例1〜4では、剥離強度試験、裁断試験の結果が評価基準を満たさず、また、温水浸漬試験の結果が実施例に劣り、接着性に劣る結果となった。特に、比較例4で用いられている接着剤組成物は、本発明の接着剤組成物のような複雑に絡み合った網目構造にならないので、本発明の所期の接着性を得ることができないのであろうと考えられる。つまりリニアな構造にしかなり得ることがなく本発明の所期の接着性を得ることができないのであろうと考えられる。なお、TACフィルムはOH基を含有しているため、アクリルフィルムに比べ極性が高い。このため、TACフィルムは、アクリルフィルムに比べ接着しやすいという特性があることも示唆される。
上記のように、実施例と比較例との対比から、本発明の接着剤組成物は、偏光板に使用した際に、優れた初期硬化性および接着性が両立できていることが示された。
1 偏光子、
2 接着剤組成物溶液、
3、4 保護フィルム、
5 紫外線照射前偏光板、
6、7 ロール、
8 偏光板、
9 収縮の大きさ、
10 PETフィルム、
11 アクリルフィルム、
12 剥離強度測定用試料。

Claims (5)

  1. (A)アリル基とヒドロキシ基とを含有する(メタ)アクリレートモノマー 20〜70質量部と;
    (B)エポキシ基含有化合物 20〜80質量部と;
    (C)その他のモノマー 0〜30質量部と;
    (D)光酸発生剤と;
    (E)光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方と;
    を含む、偏光板用接着剤組成物。
  2. 前記(A)成分が、40〜60質量部である、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
  3. 前記(C)成分が、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー、芳香族環含有(メタ)アクリレートモノマー、脂環含有(メタ)アクリレートモノマーまたは複素環含有(メタ)アクリレートモノマーである、請求項1または2に記載の偏光板用接着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板用接着剤組成物を用いて接着した、保護フィルムと偏光子とを備える偏光板。
  5. 前記保護フィルムが、アクリルフィルムである、請求項4に記載の偏光板。
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