以下本発明の偏光板用接着剤(1)および(2)について説明する。本発明の偏光板用接着剤(1)および(2)は、いずれも、少なくとも一つのヒドロキシル基および一つの炭素−炭素二重結合を有するヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と、少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)が主たる構成成分として用いられる。
本発明の偏光板用接着剤(1)は、少なくとも一つのヒドロキシル基および一つの炭素−炭素二重結合を有するヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)、並びに、少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)を含有する。
前記ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)は、少なくとも一つのヒドロキシル基および一つの炭素−炭素二重結合を有する各種のものを用いることができる。炭素−炭素二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、ビニル基等の重合性官能基があげられる。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味する。また、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)は、ヒドロキシル基を少なくとも一つ有していればよく、2つ以上を有していてもよいが、好ましくは、ヒドロキシル基が一つの場合である。本発明では(メタ)は前記同様の意味である。ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
炭素−炭素二重結合として(メタ)アクリロイル基を有し、一つのヒドロキシル基を有する、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルなどのヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドや、その他、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチル(メタ)アクリレート、N−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)−(メタ)アクリルアミド、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等があげられる。また、炭素−炭素二重結合として(メタ)アクリロイル基を有し、二つのヒドロキシル基を有する、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)としては、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等があげられる。また、炭素−炭素二重結合としてビニルエーテル基を有する、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。また、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)としては、アリルアルコール等の炭素−炭素二重結合としてビニル基を有する化合物を例示することができる。
前記例示のヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)のなかでも、炭素−炭素二重結合として(メタ)アクリロイル基を有するものが好適であり、特に、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドは、低粘度であり塗工安定性に優れ、かつイソシアネートとの反応性に優れている点で好ましく、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドは、低水分率の偏光子や、透湿度の低い材料を用いた透明保護フィルムに対しても、良好な接着性を示す。これらのなかでもN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
上記の他、前記ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)としては、例えば、一つのヒドロキシル基および一つの炭素−炭素二重結合を有する、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等があげられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートは、単官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物である。単官能のエポキシ化合物としては、芳香環を有する単官能のエポキシ化合物が好ましい。芳香環を有する単官能のエポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、t‐ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルポリエチレングリコールグリシジルエーテル等があげられる。エポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルポリエチレングリコールプロピル(メタ)アクリレート等があげられる。
また前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートと、ポリウレタンジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等のジオール化合物の片末端のヒドロキシル基との反応物等があげられる。
少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)としては、イソシアネート基を有する各種の化合物を、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、接着剤層に架橋構造を導入する観点から、イソシアネート化合物(b)としては、イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネート化合物が好適である。かかる少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルジイソシアネート、ジアニリンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等があげられ、さらには、これらイソシアネート化合物をトリメチロールプロパンなどの多官能アルコールに付加したアダクト系イソシアネート化合物や、これらイソシアネート化合物のイソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、アロファネート型化合物等があげられ、さらには公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート化合物などがあげられる。
なお、イソシアネート化合物(b)が、イソシアネート基を1つ有する化合物の場合には、(メタ)アクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を有する重合性の不飽和基を有しており、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とともに硬化することができる化合物が好ましい。かかるイソシアネート基を1つ有するイソシアネート化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルエチルイソシアネート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート、さらには、(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基がエチレングリコール等のアルキレングリコールに由来する構造単位を少なくとも1つ介して結合した化合物等があげられる。これらの具体的な製品名としては、例えば、昭和電工(株)製のカレンズMOI、AOI、MOI−EG等があげられる。
前記イソシアネート化合物(b)は、反応性および接着剤の粘度の範囲の点から、当該化合物(b)の分子量に対するイソシアネート基の分子量の割合(NCO%)が5〜51重量%であることが好ましく、さらには、10〜51重量%であることが好ましい。前記割合より小さくなりすぎると、耐水性向上の効果が得られにくく、一方、大きくなりすぎるとイソシアネート化合物(b)の安定性に問題がある。
本発明の偏光板用接着剤(1)において、前記ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とイソシアネート化合物(b)の混合割合は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)100重量部に対して、イソシアネート化合物(b)の割合が1〜50重量部であるのが好ましく、さらには1〜30重量部であるのが好ましい。イソシアネート化合物(b)の割合が1重量部より少ない場合は、十分な耐水性を得られない場合があり、一方、50重量部より多い場合には、十分な接着性を得られない場合がある。
本発明の偏光板用接着剤(2)は、少なくとも一つのヒドロキシル基および一つの炭素−炭素二重結合を有するヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)、並びに、少なくとも一つのヒドロキシル基および一つの炭素−炭素二重結合を有するヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)を反応させて得られる化合物(c)を含有する。
偏光板用接着剤(2)における、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)としては、偏光板用接着剤(1)で記載したヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と同様のものを用いることができる。また、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と同様に、(メタ)アクリロイル基を有するものが好適であり、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
また、偏光板用接着剤(2)における、イソシアネート化合物(b)としては、偏光板用接着剤(1)で記載したイソシアネート化合物(b)と同様のものを用いることができる。また、イソシアネート化合物(b)は、イソシアネート化合物(b)と同様に、当該化合物(b)の分子量に対するイソシアネート基の分子量の割合が5〜51重量%であることが好ましい。また、イソシアネート化合物(b)としては、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と反応させることで、多官能の炭素−炭素二重結合を有する化合物(c)が得られように、イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネート化合物を用いるのが好適である。なお、イソシアネート基を1つ有するイソシアネート化合物としては、(メタ)アクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を有する重合性の不飽和基を有しており、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とともに硬化することができる化合物が好ましい。当該化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート等の前記偏光板用接着剤(1)で記載したものと同様の化合物があげられる。
本発明の偏光板用接着剤(2)における、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と前記化合物(c)の混合割合は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)の合計量(ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)および化合物(c)の合成に用いたヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)の合計量)100重量部に対して、イソシアネート化合物(b)の割合が1〜50重量部であるのが好ましく、さらには1〜30重量部であるのが好ましい。イソシアネート化合物(b)の割合が1重量部より少ない場合は、十分な耐水性を得られない場合があり、一方、50重量部より多い場合には、十分な接着性を得られない場合がある。なお、通常、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と前記化合物(c)の混合割合は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a):前記化合物(c)=99〜50:1〜50(重量比)、さらには=99〜70:1〜30(重量比)、であるのが好ましい。
本発明の偏光板用接着剤(2)は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)、並びに、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とイソシアネート化合物(b)を反応させて得られる化合物(c)を含有していれば、その調製方法は特に制限されない。偏光板用接着剤(2)は、例えば、i)ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と、別途合成した化合物(c)を混合することにより調製する方法、ii)ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)のヒドロキシル基に対して、イソシアネート基の割合が過少量になるように、イソシアネート化合物(b)を反応させて、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)の一部を残存させた状態で、化合物(c)を合成することにより調製する方法等があげられる。前記調整法i)において、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)と、化合物(c)の合成に用いたヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とは同じ化合物でもよく、異なる化合物(b)であってもよい。また、前記調整法ii)により、偏光板用接着剤(2)を調製する場合には、ii)ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)のヒドロキシル基1当量に対して、イソシアネート基が0.1〜30当量、さらには1〜20当量になるように、イソシアネート化合物(b)を反応させるのが好ましい。
なお、本発明の偏光板用接着剤(2)は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)、並びに、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とイソシアネート化合物(b)を反応させて得られる化合物(c)を含有する他に、別途、イソシアネート化合物(b)を含有させることもできる。別途含有させる、イソシアネート化合物(b)は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)の合計量100重量部に対して、49重量部以下、さらには30重量部以下とするのが好ましい。
また、本発明の偏光板用接着剤(1)、(2)は、活性エネルギー線に対する硬化性成分として、前記ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)を含有しているが、当該ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)の他に、他の硬化性成分を含有することができる。他の硬化性成分は、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)を含めた全硬化性成分の50重量%以下、さらには30重量%以下の範囲で用いることができる。
前記他の硬化性成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、ビニル基等の重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも一つ有するモノマーがあげられる。これら硬化性成分として用いられるモノマーは単官能モノマー、多官能モノマーのいずれでもよく、偏光板用接着剤(1)、(2)に応じて、1種を選択して、または2種以上を適宜に組み合わせて用いることができる。
前記硬化性成分として用いられる他の単官能モノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)以外のN−置換アミド系単官能モノマーが好適に用いられる。当該N−置換アミド系モノマーは、一般式(1):CH2=C(R1)−CONR2(R3)(R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子またはメルカプト基、アミノ基もしくは第4級アンモニウム基を有してもよい炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、R3は水素原子または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。但し、R2、R3が同時に水素原子の場合を除く。または、R2、R3は、結合して、酸素原子を含んでもよい5員環または6員環を形成したものである。)で表わされる。前記一般式(1)中のR2またはR3における炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等があげられ、アミノ基を有するアルキル基としてはアミノメチル基、アミノエチル基等があげられる。また、R2、R3が、結合して、酸素原子を含んでもよい5員環または6員環を形成する場合には、窒素を有する複素環を有する。当該複素環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等があげられる。
前記N−置換アミド系モノマーの具体例としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカアプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。また、複素環を有する複素環含有モノマーとしては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等があげられる。これらN−置換アミド系モノマーは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、重合性の炭素−炭素二重結合を有する単官能モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマーがあげられる。カルボキシル基含有モノマーも接着性の点で好ましい。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、などがあげられる。これらのなかでもアクリル酸が好ましい。
上記の他、重合性の炭素−炭素二重結合を有する単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素数は1〜12のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。また、(メタ)アクリルアミド;マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマーなどの窒素含有モノマーがあげられる。また、前記他の硬化性成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロ(メタ)アクリロニトリル、α−エチル(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー等があげられる。
前記硬化性成分として用いられる他の多官能モノマーは、耐水性を補う点から用いることができる。特に偏光板用接着剤(2)の耐水性を補ううえで好ましい。また、偏光板用接着剤(2)においては、イソシアネート化合物(b)の割合が多くなると粘度が高くなる傾向にあるため、多官能モノマーを併用することで粘度を低下させて取扱性を向上させることができ、かつ耐水性を確保することができる。2官能の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1000)ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(700)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート等があげられる。3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレート系モノマー;ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート系モノマー;ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート系モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート系モノマーがあげられる。また、前記硬化性成分として用いられる他の多官能モノマーとしては、ジビニルルベンゼン等の芳香族ビニルモノマーがあげられる。これら多官能モノマーは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の偏光板用接着剤(1)、(2)は、硬化性成分を含むが、前記成分に加えて、必要であれば適宜添加剤を添加してもよい。活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。前記接着剤を電子線硬化型で用いる場合には、前記接着剤には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型で用いる場合には、光重合開始剤が用いられる。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤および/または光カチオン重合開始剤が用いられる。これらの例としては、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル(2‐ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、α‐ヒドロキシ‐α,α´‐ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシアセトフェノン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)‐フェニル]‐2‐モルホリノプロパン‐1などのアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物、2‐メチル‐2‐ヒドロキシプロピオフェノンなどのα‐ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物、2‐ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物、1‐フェノン‐1,1‐プロパンジオン‐2‐(o‐エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノンやベンゾイル安息香酸、3,3´‐ジメチル‐4‐メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物などの光重合開始剤をあげることができる。光重合開始剤の使用量は硬化性成分100重量部あたり、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜4重量部を配合する。
また、添加剤の例としては、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や感度を上がる増感剤、シランカップリング剤やエチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明保護フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、金属化合物フィラー、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割などがあげられる。
本発明の偏光板は、偏光子と透明保護フィルムが、前記偏光板用接着剤(1)、(2)により形成された接着剤層を介して貼り合されている。
前記製造方法における貼り合わせ工程では、前記接着剤は、偏光子の前記接着剤層を形成する面および/または透明保護フィルムの接着剤層を形成する面に塗工した後、偏光子と透明保護フィルムとを、前記偏光板用接着剤(1)または(2)を介して貼り合わせる工程;次いで、前記偏光板用接着剤(1)または(2)を介して貼り合わせた、偏光子と透明保護フィルムに対して、活性エネルギー線(電子線、紫外線等)を照射して、接着剤層を形成する工程、を有する。
前記偏光子、透明保護フィルムは、前記接着剤を塗工する前に、貼り合せ面に、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理、オゾン処理、紫外線処理、電子線処理等による処理などがあげられる。
接着剤の塗工方式は、接着剤の粘度や目的とする厚みによって適宜に選択される。塗工方式の例として、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーターなどがあげられる。その他、塗工には、デイッピング方式などの方式を適宜に使用することができる。
上記のように塗工した接着剤を介して、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせる。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行う事ができる。
偏光子と透明保護フィルムを貼り合わせた後に、活性エネルギー線(電子線、紫外線等)を照射して、接着剤を硬化させる。活性エネルギー線(電子線、紫外線等)の照射方向は、任意の適切な方向から照射することができる。好ましくは、透明保護フィルム側から照射する。偏光子側から照射すると、偏光子が活性エネルギー線(電子線、紫外線等)によって劣化するおそれがある。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線硬化型として用いることが好適である。電子線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5kV〜300kVであり、さらに好ましくは10kV〜250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、透明保護フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量としては、5〜100kGy、さらに好ましくは10〜75kGyである。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、透明保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所定の光学特性を得ることができない。
紫外線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cm2であることが好ましく、100〜500mJ/cm2であるのがさらに好ましい。
上記のようにして得られる本発明の偏光板における接着剤層の厚みは0.01〜7μmである。好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。前記厚みが0.01μmより薄い場合は、接着力自体の凝集力が得られず、接着強度が得られないおそれがある。接着剤層の厚みが7μmを超えると、偏光板が耐久性を満足できない。
電子線照射は、通常、不活性ガス中で照射を行うが、必要であれば大気中や酸素を少し導入した条件で行ってもよい。透明保護フィルムの材料によるが、酸素を適宜導入することによって、最初に電子線があたる透明保護フィルム面にあえて酸素阻害を生じさせ、透明保護フィルムへのダメージを防ぐことができ、接着剤にのみ効率的に電子線を照射させることができる。
前記製造方法を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/min、より好ましくは5〜300m/min、さらに好ましくは10〜100m/minである。ライン速度が小さすぎる場合は、生産性が乏しい、または透明保護フィルムへのダメージが大きすぎ、耐久性試験などに耐えうる偏光板が作製できない。ライン速度が大きすぎる場合は、接着剤の硬化が不十分となり、目的とする接着性が得られない場合がある。
なお、本発明の偏光板は、偏光子と透明保護フィルムが、前記偏光板用接着剤(1)、(2)により形成された接着剤層を介して貼り合されるが、透明保護フィルムと接着剤層の間には、易接着層を設けることができる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格等を有する各種樹脂により形成することができる。これらポリマー樹脂は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また易接着層の形成には他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらには粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤等を用いてもよい。
易接着層は、通常、透明保護フィルムに予め設けておき、当該透明保護フィルムの易接着層側と偏光子とを接着剤層により貼り合わせる。易接着層の形成は、易接着層の形成材を透明保護フィルム上に、公知の技術により塗工、乾燥することにより行われる。易接着層の形成材は、乾燥後の厚み、塗工の円滑性などを考慮して適当な濃度に希釈した溶液として、通常調整される。易接着層は乾燥後の厚みは、好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。なお、易接着層は複数層設けることができるが、この場合にも、易接着層の総厚みは前記範囲になるようにするのが好ましい。
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される。偏光子は、ポリビニルアルコール樹脂フィルムを二色性物質(代表的には、ヨウ素、二色性染料)で染色して一軸延伸したものが用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは1400〜4000である。重合度が低すぎると、所定の延伸を行う際に延伸切れしやすく、また重合度が高すぎると、延伸する際に張力が異常に必要となり、機械的に延伸できなくなるおそれがある。
偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、任意の適切な方法(例えば樹脂を水または有機溶剤に溶解した溶液を流延製膜する流延法、キャスト法、押出法)で成形され得る。偏光子の厚みは偏光板が用いられるLCDの目的や用途に応じて適宜設定されるが、通常、5〜80μm程度である。
偏光子の製造方法としては、目的、使用材料および条件などに応じて任意の適切な方法が採用される。例えば、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、通常、膨潤、染色、架橋、延伸、水洗および乾燥工程を含む一連の製造工程に供する方式が採用される。乾燥工程を除く各処理工程においては、それぞれの工程に用いられる溶液を含む液中にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより処理を行う。膨潤、染色、架橋、延伸、水洗および乾燥の各処理の順番、回数および実施の有無は、目的、使用材料および条件などに応じて適亘設定されえる。例えば、いくつかの処理を1つの工程で同時に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理を同時に行ってもよい。また例えば、架橋処理を延伸処理の前後に行うことが、好適に採用され得る。また例えば、水洗処理は、全ての処理の後に行ってもよく、特定の処理の後のみに行ってもよい。
膨潤工程は、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水で満たした処理浴中に浸漬することより行われる。この処理により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄すると共に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させることで染色ムラ等の不均一性を防止できる。膨潤浴には、グリセリンやヨウ化カリウム等が適宜に添加される。膨潤浴の温度は、通常20〜60℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素等の二色性物質を含む処理浴中に浸漬することにより行われる。染色浴の溶液に用いられる溶媒は、水が一般的に使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。二色性物質は、溶媒100重量部に対して、通常、0.1〜1重量部の割合で用いられる。二色性物質としてヨウ素を用いる場合は、染色浴の溶液はヨウ化物等の助剤をさらに含有することが好ましい。染色効率が改善されるからである。助剤は、溶媒100重量部に対して、好ましくは0.02〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の割合で用いられる。ヨウ化物の具体例としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどがあげられる。染色浴の温度は、通常、20〜70℃程度であり、染色浴への浸漬時間は、通常、1〜20分間程度である。
架橋工程は、代表的には、上記染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、架橋剤を含む処理欲中に浸漬することによって行われる。架橋剤としては任意の適切な架橋剤が採用される。架橋剤の具体例としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等があげられる。これらは、単独で、または組み合わせて使用される。架橋浴の溶液に用いられる溶媒は、水が一般的に使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。架橋剤は、溶媒100重量部に対して、通常、1〜10重量部の割合で用いられる。架橋剤の濃度が1重量部未満の場合は、十分な光学特性を得ることができない。架橋剤の濃度が10重量部を超える場合は、延伸時にフィルムに発生する応力が大きくなり、得られる偏光板が収縮してしまう可能性がある。架橋浴の溶液は、ヨウ化物等の助剤をさらに含有することが望ましい。面内に均一な特性が得られやすいからである。助剤の濃度は好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜8重量%である。ヨウ化物の具体例は、染色工程の場合と同様である。架橋浴の温度は、通常、20〜70℃程度、好ましく40〜60℃である。架橋浴への浸漬時間は、通常、1秒間〜15分間程度、好ましくは5秒間〜10分間である。
延伸工程は、上記のようにいずれの段階で行ってもよい。具体的には、染色処理の後に行ってもよく、染色処理の前に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理と同時に行ってもよく、架橋処理の後に行ってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの累積延伸倍率は、通常、5倍以上にする。好ましくは5〜7倍、さらに好ましくは5〜6.5倍である。累積延伸倍率が5倍未満の場合には、高偏光度の偏光板を得ることが困難となる。累積延伸倍率が7倍を超える場合はポリビニルアルコール系樹脂フィルムが破断しやすくなる場合がある。延伸の具体的な方法としては、任意の適切な方法が採用される。例えば、湿式延伸法を採用した場合には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理浴中で所定の倍率に延伸する。延伸浴の溶液としては、水または有機溶媒(例えばエタノール)などの溶媒中に、各種金属塩、ヨウ素、ホウ素または亜鉛の化合物を添加した溶液が好適に用いられる。
水洗工程は、代表的には、上記各種処理を施されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理浴中に浸漬することによって行われる。水洗工程によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムの不要残存物を洗い流すことができる。水洗浴は、純水であってもよく、ヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等)の水溶液であってもよい。ヨウ化物水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜10重量%である。ヨウ化物水溶液には硫酸亜鉛、塩化亜鉛などの助剤を添加してもよい。水洗浴の温度は好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは30〜40℃である。浸漬時間は1秒間〜1分間である。水洗工程は1回だけでもよく、必要に応じて複数回行ってもよい。複数回実施される場合は、各処理に用いられる水洗浴に含まれる添加剤の種類や濃度は適宜に調整される。例えば、水洗工程は上記各種処理を施されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ化カリウム水溶液(0.1〜10重量%、10〜60℃)に1秒間〜1分間程度浸漬する工程と、純水ですすぐ工程とを含む。また、水洗工程において、偏光子の表面改質や、偏光子の乾燥効率を上げるために、水と相溶性を有する有機溶媒(例えば、エタノ−ルなど)を適宜添加してもよい。
乾燥工程は、任意の適切な方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用されうる。例えば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常、20〜80℃程度であり、乾燥時間は、通常、1〜10分間程度である。以上のようにして偏光子が得られる。
本発明において用いる偏光子は、水分率が好ましくは20重量%以下、より好ましくは0〜15重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。水分率が20重量%より大きいと、得られた偏光板の寸法変化が大きくなり、高温下あるいは高温高湿下における寸法変化が大きくなってしまうという問題が生じるおそれがある。
本発明の、偏光子の水分率は、任意の適切な方法で調整すればよい。例えば偏光子の製造工程における乾燥工程の条件を調整することにより制御する方法があげられる。
偏光子の水分率は、以下の方法により測定される。すなわち、偏光子を、100×100mmの大きさに切り出して、このサンプルの初期重量を測定した。続いて、このサンプルを120℃で2時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を測定した。水分率(重量%)={(初期重量−乾燥重量)/初期重量}×100。重量の測定はそれぞれ3回ずつ行い、その平均値を用いた。
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
本発明の透明保護フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂および(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。本発明の電子線硬化型偏光板用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。特に、本発明の電子線硬化型偏光板用接着剤は、接着性を満足することが困難であったアクリル樹脂に対しても良好な接着性を示す。
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等があげられる。これらのなかでも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、富士写真フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等があげられる。一般的にこれらセルローストリアセテートは、面内位相差(Re)はほぼゼロであるが、厚み方向位相差(Rth)は、〜60nm程度を有している。
なお、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムは、例えば、上記セルロース樹脂を処理することにより得られる。例えばシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗工したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレスなどの基材フィルムを、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などをシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を一般的なセルロース樹脂フィルムに塗工し加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、塗工フィルムを剥離する方法などがあげられる。
また、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムとしては、脂肪置換度を制御した脂肪酸セルロース系樹脂フィルムを用いることができる。一般的に用いられるトリアセチルセルロースでは酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7に制御することによってRthを小さくすることができる。上記脂肪酸置換セルロース系樹脂に、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、Rthを小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸セルロース系樹脂100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
環状ポリオレフィン樹脂の具体例としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂があげられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物などがあげられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーがあげられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光板の耐久性に優れたものとなりうる。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂からは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)がほぼゼロのフィルムを得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)があげられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルがあげられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂があげられる。
前記透明保護フィルムは、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものが、通常、用いられる。正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。なお、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
一方、前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
透明保護フィルムは、適用される液晶表示装置に応じて適宜に選択できる。例えば、VA(VerticalAlignment,MVA,PVAを含む)の場合は、偏光板の少なくとも片方(セル側)の透明保護フィルムが位相差を有している方が望ましい。具体的な位相差として、Re=0〜240nm、Rth=0〜500nmの範囲である事が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>ny>nz、nx>nz>ny、nx=ny>nz(一軸,二軸,Z化,ネガティブCプレート)の場合が望ましい。液晶セルの上下に偏光板を使用する際、液晶セルの上下共に、位相差を有している、または上下いずれかの透明保護フィルムが位相差を有していてもよい。
例えば、IPS(In−Plane Switching,FFSを含む)の場合、偏光板の片方の透明保護フィルムが位相差を有している場合、有していない場合のいずれも使用できる。例えば、位相差を有していない場合は、液晶セルの上下(セル側)ともに位相差を有していない場合が望ましい。位相差を有している場合は、液晶セルの上下ともに位相差を有している場合、上下のいずれかが位相差を有している場合が望ましい(例えば、上側にZ化、下側に位相差なしの場合や、上側にAプレート、下側にポジティブCプレートの場合)。位相差を有している場合、Re=−500〜500nm、Rth=−500〜500nmの範囲が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz>nx=ny、nz>nx>ny(一軸,Z化,ポジティブCプレート、ポジティブAプレート)が望ましい。
なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明保護フィルムに、別途、貼り合わせて上記機能を付与することができる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(易接着層を設けない側の面)には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型、などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
(偏光子)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬して膨潤させた。次いで、0.3重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=0.5/8)の30℃のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3.5倍まで延伸した。その後、65℃の4重量%のホウ酸水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍まで延伸した。延伸後、70℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ26μmの偏光子を得た。偏光子の水分率は13.5重量%であった。
(透明保護フィルム)
ラクトン化ポリメチルメタクリレートフィルム(ラクトン化率20%,厚み30μm,Re=0nm,Rth=0nm)を用いた。
(位相差値)
位相差値の測定は、平行ニコル回転法を原理とする位相差計〔王子計測機器(株)製,製品名「KOBRA21−ADH」〕を用いて、波長590nmの値について測定した、nx、ny、nzの値と、フィルム厚み(d)から、正面位相差Re、厚み方向位相差Rth、Nzを求めた。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。
実施例1
(偏光板用接着剤(1))
2−ヒドロキシエチルアクリレート100重量部、トリレンジイソシアネート10重量部および光重合開始剤(イルガキュア907,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3重量部、を配合して偏光板用接着剤を調製した。
(偏光板の作成)
上記透明保護フィルム上に、上記接着剤を、マイクログラビアコーター(グラビアロール:#300,回転速度140%/ライン速)を用いて、厚さ5μmになるように塗工した接着剤付き透明保護フィルムとした。次いで、これを、上記偏光子の両面より、前記接着剤付き透明保護フィルムをロール機で貼り合わせた。貼り合わせた透明保護フィルム側(両側)から、紫外線を照射して、偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光板を得た。ライン速度は20m/min、紫外線の積算光量300mJ/cm2とした。
実施例2〜24、比較例1〜5
実施例1において、偏光板用接着剤(1)の調製にあたり、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)、イソシアネート化合物(b)の種類、併用する硬化性成分の種類またはそれらの使用量を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして偏光板用接着剤(1)を調製し、当該接着剤を用いて偏光板を作成した。
但し、実施例19〜24、比較例3では、偏光板用接着剤(1)の調製に際して、光重合開始剤は配合せず、偏光板の作成にあたっては、紫外線の代わりに電子線を照射した。電子線照射における加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
実施例25
(偏光板用接着剤(2))
2−ヒドロキシエチルアクリレート100重量部、トリレンジイソシアネート10重量部を混合した後、70℃で24時間反応した。得られた反応生成物中には、2−ヒドロキシエチルアクリレートとトリレンジイソシアネートは反応して得られた化合物の他に未反応の2−ヒドロキシエチルアクリレートが残存していた。前記反応生成物に、光重合開始剤(イルガキュア907,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3重量部を配合して偏光板用接着剤(2)を調製した。
(偏光板の作成)
上記透明保護フィルム上に、上記接着剤を、マイクログラビアコーター(グラビアロール:#300,回転速度140%/ライン速)を用いて、厚さ5μmになるように塗工した接着剤付き透明保護フィルムとした。次いで、これを、上記偏光子の両面より、前記接着剤付き透明保護フィルムをロール機で貼り合わせた。貼り合わせた透明保護フィルム側(両側)から、紫外線を照射して、偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光板を得た。ライン速度は20m/min、紫外線の積算光量300mJ/cm2とした。
実施例26〜48、比較例6〜10
実施例1において、偏光板用接着剤(2)の調製にあたり、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)、イソシアネート化合物(b)の種類、併用する硬化性成分の種類またはそれらの使用量を表2に示すように変えたこと以外は実施例26と同様にして偏光板用接着剤(2)を調製し、当該接着剤を用いて偏光板を作成した。
但し、実施例43〜48、比較例8では、偏光板用接着剤(2)の調製に際して、光重合開始剤は配合せず、偏光板の作成にあたっては、紫外線の代わりに電子線を照射した。電子線照射における加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
[評価]
実施例および比較例で得られた、偏光板について下記評価を行った。結果を表1および表2に示す。
<耐水性>
得られた偏光板を、25mm×150mmのサイズに裁断してサンプルとした。サンプルを60℃の温水中に6時間浸漬した後、偏光板の端部からの剥がれ量(mm)を測定した。剥がれ量は、10mm以下のものが良好である。最大の剥がれ量は25mmである。
<接着力>
得られた偏光板を、15mm×150mmのサイズに裁断してサンプルとした。サンプルを両面接着テープ(日東電工(株)製,No.500)によりガラス板上に貼り付けた。サンプル(偏光板)には、透明保護フィルムと偏光子の間に予めキッカケを設けておき、そのキッカケを変角度ピール試験機(アサヒセイコウ社製)にチャックしてピール強度(N/15mm)を測定した。測定条件は、常温(23℃)、ピール角:90度、ピール速度:3000mm/minとした。得られた測定データの50mm〜100mm間のデータを平均化した値を示す。接着力が、ピール強度2N/15mm以上のものが良好である。
表1、表2中、
<ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)等の硬化性成分>
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート、
HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート、
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、
*a1:昭和電工(株)製の商品名カレンズAOI(分子量141.12)100重量部に対し、(株)クラレ製のクラレポリオールP−1011(数平均分子量1000)354.3重量部を反応させて末端がヒドロキシル基になるように合成したウレタンアクリレートを用いた。
*a2:エポキシアクリレート(サートマー社製,商品名CN131B)、
MA:メチルアクリレート、
ACMO:N−アクリロイルモルホリン(比較例4、9では、硬化性成分中の使用量は20重量%)、を示す。
<イソシアネート化合物(b)>
TDI:トリレンジイソシアネート、
IPDI:イソホロンジイソシアネート、
NBDI:ノルボルネンジイソシアネート、
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、
MDI:4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、
HMDI:ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、
*b1:TDIのトリメチロールプロパンアダクト体(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールL75の不揮発分100%としたもの)、
*b2:TDIのイソシアヌレート体(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールIL1351の不揮発分100%としたもの)、
*b3:MDIのプレポリマー(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールE22)、
*b4:HDIのビウレット体(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールN3200)、
*b5:HDIのイソシアヌレート体(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールN3300)、
*b6:IPDIのイソシアヌレート体(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールZ4470BAの不揮発分100%としたもの)、
*b7:IPDIのアロファネート体(住化バイエルウレタン(株)製,商品名デスモジュールXP2526の不揮発分100%としたもの)、
*AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、を示す。
表1、表2の結果から、本発明の偏光板用接着剤(1)、(2)は接着性および耐水性が良好であることが分かる。特に偏光板用接着剤(1)は、耐水性が良好である。偏光板用接着剤(1)では、活性エネルギー線による硬化によって、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)からヒドロキシル基含有のポリマーが形成され、当該ポリマー鎖同士の全体領域をイソシアネート化合物(b)が架橋していくため耐水性が良好である。一方、偏光板用接着剤(1)では、硬化(貼り合せ)後に架橋反応が進行するために接着剤中の応力が増大していくため結果として、偏光板用接着剤(2)に比べて接着力が低いと考えられる。偏光板用接着剤(2)では、既に、ヒドロキシル基含有単官能モノマー(a)とイソシアネート化合物(b)とから、多官能の化合物(c)が生成しているので、活性エネルギー線により硬化した際に、接着剤は硬化するものの、硬化後の架橋反応は起こらないので接着剤層に応力が発生しないため、接着力は低下しにくく、また架橋硬化も偏光板用接着剤(1)ほどは見込めないため、偏光板用接着剤(1)よりも耐水性が低いと考えられる。