JP6120741B2 - プラスチックシートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光硬化性組成物を硬化して得られるプラスチックシートの製造方法に関し、プラスチックシートの平坦性と無機膜の製膜性に優れ、特に、大面積化や高品質化においても平坦性と無機膜の製膜性に優れた製造方法であり、光学特性、熱機械特性に優れたディスプレイ用のプラスチック基板、透明電極付きプラスチック基板を得ることができる。
従来、ディスプレイ用の基板としてはガラスを基板とするものが多く使われてきた。例えば、カバーウィンドウ、タッチパネル、液晶ディスプレイ、及び有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、バックライトでは、厚さ0.5〜2mm程度のガラス基板が汎用されている。
近年、軽量薄型化や安全性向上の観点から、プラスチック製の基板も使用され始めている。実際、カバーウィンドウにポリメチルメタクリレート(以下PMMA)やポリカーボネートの基板が使われたり、タッチパネルにITOなどの透明電極が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)のシートが汎用されている。
この様なプラスチック基板には、光線透過率、複屈折(光学歪)、色調などの光学性能はもとより、耐熱性や線膨張係数などの熱特性、耐衝撃性、表面硬度、曲げ弾性率などの機械特性、吸水率、比重、耐薬品性、耐溶剤性、及び無機膜の密着性などの高度な加工適性が要求される。
これらの諸特性を満足するために、熱可塑性あるいは光/熱硬化性を問わず数多くの樹脂が提案されているが、近年の提案の中には、光硬化性組成物を光硬化して得られる成形体も見受けられる。例えば、2官能の(メタ)アクリレートと分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物とを含有する重合性組成物が、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレート化合物を75wt%以上含有する重合性組成物が、耐熱性が高く、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、2官能の脂肪族(メタ)アクリレート化合物と3官能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性組成物が、耐熱性が高く、線膨張係数が小さく、透明電極の成膜後もうねりの少ない樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレートよりなる光重合性組成物が、鉛筆硬度の高い樹脂成形体を与えることが開示されており(例えば、特許文献4参照。)、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレートよりなる光重合性組成物が、光学特性や熱機械特性に優れ、透明電極の成膜後もうねりの少ない樹脂成形体を与えることが開示されており(例えば、特許文献5参照。)、更に、特定の脂環骨格2官能(メタ)アクリレート系化合物、特定の脂肪族4官能(メタ)アクリレート系化合物、及び、脂環骨格を有する分子量200〜2000の多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物よりなる光重合性組成物が、光学特性や熱機械特性に優れる樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献6参照。)。また、2段階の光硬化により表面欠陥を低減する製造方法が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。
また、ディスプレイ用のプラスチック基板には、導電膜、ガスバリア膜、あるいは半導体膜などの無機薄膜が積層される場合があるが、これらの加工工程においてもプラスチックシートを平坦に保つ必要が有り、プラスチックシートを粘着剤や粘着テープを用いて剛性を有するガラス基板または金属基板などの平坦な支持体に貼り合わせた後、加工工程に投入されることが提案されている(例えば、特許文献8参照)。
特開平9−152510号公報 特開2002−302517号公報 特開2003−292545号公報 特開2006−193596号公報 特開2007−204736号公報 特開2007−56180号公報 特開平10−058465号公報 特開2008−74085号公報
しかしながら、これらの開示技術をもってしてもガラス代替用途に用いるには、シートの平坦性やシート面内での均質性の点においてまだまだ満足のいくものではない。例えば、反りやうねりにより端部が浮き上がったシートが見受けられたり、また、導電膜を成膜した時に膜クラックが発生する場合がある。これらの問題点は、プラスチックシートの大面積化を妨げることとなり、量産性を大きく低下させる要因となる。
かかる問題点は、樹脂自体よりも製造法に依存するところが大きく、樹脂本来の性能を発揮するためにもプラスチックシートの製造方法の改良が非常に重要である。
そこで、本発明ではこのような背景下において、プラスチックシートの平坦性や無機膜
の成膜性に優れ、特に、大面積化や高品質化においても平坦性や無機膜の成膜性に優れた
プラスチックシートの製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、光硬化性組成物を
硬化してなるプラスチックシートの製造方法において、光硬化後のプラスチックシートに
対して、特定条件下にて、荷重をかけながらアニールすることにより、平坦性や無機膜の成膜性に優れ、特に、大面積化や高品質化においても平坦性と無機膜の成膜性に優れたプラスチックシートが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、光硬化性組成物(A)を硬化してなるプラスチックシートに対して、減圧オーブン中、下記の条件(1)〜(3)にて、荷重をかけながらアニールするプラスチックシートの製造方法に関するものである。
(1)真空度が10〜10,000Paである。
(2)荷重が10〜1000kg/m 2 である。
(3)温度が100〜300℃である。
本発明によれば、プラスチックシートの平坦性や無機膜の成膜性に優れ、特に、大面積化や高品質化においても平坦性と無機膜の成膜性に優れた効果を有するものであり。かかる製造方法で得られるプラスチックシートはディスプレイ用プラスチック基板、透明電極付きプラスチック基板として好適である。
本発明の荷重をかけながらアニールする状態図である。
以下、本発明につき詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの、「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの総称である。また、ここでいう多官能とは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを意味する。
本発明の製造方法は、光硬化性組成物(A)を硬化してなるプラスチックシートに対して荷重をかけながらアニールするものである。
なお、本発明において、「荷重をかけながらアニールを行うこと」を、「プレスアニール」と表現することがあり、プラスチックシート全面に一様な荷重をかけながら熱処理を行うことを意味する。
本発明で用いられる光硬化性組成物(A)は、活性エネルギー線の照射により硬化するものであり、例えば、(メタ)アクリル系組成物、エポキシ系樹脂組成物、チオール・エン付加系等の光硬化性組成物があげられる。なかでも、プラスチックシートに成形した際の光学特性に優れる点から、(メタ)アクリル系組成物が好ましく、さらにその表面硬度を高めることができる点から、多官能(メタ)アクリレートと光重合開始剤を含有してなる(メタ)アクリル系組成物が好ましい。
また、光硬化性組成物(A)には、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有させることが好ましい。すなわち、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有させることにより、表面硬度や耐熱性の高いプラスチックシートを得ることができる。また、シート中にウレタン(メタ)アクリレート由来のウレタン結合構造が形成され、その水素結合によりシートが適度な靭性を有するようになり、曲げ弾性率が高く、かつ高強度なプラスチックシートとすることができる。
本発明では、上記の光硬化性組成物(A)の中でも、下記成分(A1)、(A2)及び(A3)を含有してなる光硬化性組成物(A)を用いることが好ましい。
(A1)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート
(A2)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、成分(A1)を除く。)
(A3)光重合開始剤
成分(A1)は、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上含有するウレタン(メタ)アクリレートである。多官能であるため、硬化速度が向上し、生産性良くプラスチックシートを得ることができる。また、光硬化により架橋樹脂を形成し、表面硬度の高いプラスチックシートを得ることができる。更に、成分(A1)は脂環構造を分子内に有しており、この脂環構造によりプラスチックシートの吸水率が低減することとなる。
成分(A2)も、多官能の(メタ)アクリレートであるため、高耐熱性のプラスチックシートを与える。成分(A1)のウレタン(メタ)アクリレートよりも耐熱性向上の効果は大きいが、この単量体のみでは、あまりにもガラスライクな架橋樹脂となるためもろくなる。成分(A1)のウレタン(メタ)アクリレートと成分(A2)の多官能(メタ)アクリレートとを特定の割合で配合し共重合させることにより、表面硬度に加え、耐熱性とフレキシブル性が両立したプラスチックシートを得ることができる。成分(A1)の官能基数が過剰に多すぎると、耐熱性とフレキシブル性のバランスがくずれる傾向にあるため、成分(A1)は2官能であることが好ましく、また、メタクリレートであることがより好ましい。また、成分(A2)も脂環構造を有しており、この脂環構造もプラスチックシートの飽和吸水率を低減することとなる。
成分(A1)と成分(A2)の配合割合は、10:90〜50:50(重量比)であることが好ましい。成分(A1)が少なすぎると、表面硬度が低下する傾向があり、逆に、成分(A1)が多すぎると、飽和吸水率が増加する傾向がある。配合割合の好ましい範囲は、15:85〜45:55(重量比)、より好ましくは、20:80〜40:60(重量比)である。
本発明で用いられる光硬化性組成物(A)は、23℃における粘度が100〜6000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは200〜4000mPa・s、更に好ましくは300〜3000mPa・sである。粘度が低すぎると、成形工程において未重合の単量体が残存しやすくなる傾向があり、逆に、高すぎると、ハンドリングが困難になる傾向がある。かかる粘度に調整する方法としては、成分(A1)及び(A2)の種類や配合量を適宜コントロールすることなどが挙げられる。
成分(A1)の数平均分子量は、200〜10000であることが好ましい。より好ましくは400〜5000、更に好ましくは500〜3000である。数平均分子量が小さすぎると、硬化収縮が増大し、複屈折が発生しやすい傾向にある。逆に、大きすぎると、架橋性が低下し、耐熱性が低下する傾向にある。
成分(A1)の脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートを、必要に応じてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いて反応させることにより得ることができる。
脂環構造を有するポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(イソシアナトメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの3量体化合物などが挙げられる。中でも抵硬化収縮の点でイソホロンジイソシアネートが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも表面硬度の点でペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応により得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、2種以上混合して用いても良い。これらの反応物の中では、硬化速度の点からアクリレートが好ましく、耐熱性の観点から4官能以上がより好ましく、表面硬度の点から、下記式(1)〜(4)で表される脂環構造を有する4官能以上のウレタンアクリレートが特に好ましい。
Figure 0006120741
Figure 0006120741
Figure 0006120741
ここで、Rは水素又はメチル基である。
Figure 0006120741
成分(A2)の脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、(A1)を除く。)としては、例えば、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサンなどの2官能(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサンなどの3官能(メタ)アクリレートがあげられ、これらの中でも、フレキシブル性の点から2官能(メタ)アクリレートが好ましく、耐熱性の点から2官能メタクリレートがより好ましい。更に光学性能の点から下記一般式(5)、(6)及び(7)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の2官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも2官能メタクリレートが特に好ましい。
Figure 0006120741
ここで、Rは炭素数1〜6のエーテル結合を含んでも良いアルキレン基、Rは水素又はメチル基、aは1又は2、bは0又は1である。
Figure 0006120741
ここで、Rは炭素数1〜6のエーテル結合を含んでも良いアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。
Figure 0006120741
ここで、Rは水素又はメチル基、Rは 炭素数1〜6のエーテル結合を含んでも良いアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。
成分(A3)は光重合開始剤であり、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのラジカル開裂型の光重合開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤(A3)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤(A3)の配合量は、成分(A1)と成分(A2)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部、更には0.2〜4重量部、特には0.3〜3重量部であることが好ましい。配合量が多すぎると、プラスチックシートの複屈折が増大し、また400nmにおける光線透過率が低下する傾向にある。一方、少なすぎると重合速度が低下し、重合が十分に進行しないおそれがある。
本発明においては、本発明のプラスチックシートの物性を損ねない範囲で、少量の補助成分を含んでいても良い。例えば、成分(A1)及び(A2)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体、重合禁止剤、熱重合開始剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レべリング剤、ブルーイング剤、染顔料、フィラーなどである。
成分(A1)及び(A2)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール以上のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物が挙げられる。
成分(A1)及び(A2)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体の配合量は、成分(A1)と成分(A2)の合計100重量部に対して、30重量部以下、更には20重量部以下、特には10重量部以下であることが好ましい。配合量が多すぎるとプラスチックシートの耐熱性や耐衝撃性が低下する傾向にある。
熱重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
連鎖移動剤としては、多官能メルカプタン化合物が好ましい。多官能メルカプタン化合物としては、例えば、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられる。これらの多官能メルカプタン系化合物は、光硬化性組成物(A)100重量部に対して、通常10重量部以下の割合で使用されることが好ましく、更には5重量部以下、特には3重量部以下が好ましい。かかる使用量が多すぎると、得られるプラスチックシートの耐熱性や剛性が低下する傾向がある。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4'−ジ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4' −トリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N' −ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロキシヒドロシンナミド、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)モノエチルフォスフォネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイト−ジエチルエステル等の化合物が挙げられ、これらの化合物は、単独または2種以上併用してもよい。これらの中でも、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが、色相を抑制する効果が大きくなる点から特に好ましい。
酸化防止剤の配合割合は、光硬化性組成物(A)100重量部に対して、通常0.001〜1重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5重量部である。かかる酸化防止剤が少なすぎるとプラスチックシートの耐光性が低下する傾向があり、多すぎると光線透過率が低下する傾向にある。
かくして本発明で用いられる光硬化性組成物(A)が得られる。
次に、かかる光硬化性組成物(A)を用いた本発明のプラスチックシートの製造方法について説明する。
本発明においては、光硬化性組成物(A)を光成形するわけであるが、一般的に、光成形はバッチ式で行われる。即ち、少なくとも一方が透光性の2枚の平坦な板と、厚さ制御のためのスペーサで構成される成形型を作製し、そのキャビティに光硬化性組成物(A)を注入し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、脱型することにより行われる。
上記透光性の平坦な板としてはガラス板が好ましい。透光性でない板としては、SUS等の金属板やエポキシ等の樹脂型が挙げられる。これらの中でも、光照射を両面から均等に行える点で、両面共にガラス板を用いることが好ましい。
ガラス板は、成形型の強度の点から厚さ1〜10mmが好ましく、より好ましくは、プラスチックシートの表面平坦性や表面平滑性の点から、光硬化性組成物(A)が接する少なくとも片側のガラス表面が光学研磨されていることが好ましい。更に好ましくは、光硬化性組成物(A)が接するガラス表面の平坦性が20μm以下、特に好ましくは表面平滑性Raが50nm以下である。ガラス板の厚さが薄すぎると、光硬化性組成物(A)が硬化する際に生じる収縮応力に耐えられず、ガラス板に割れや反りが発生する傾向にある。ガラス板は、かかる強度の観点から化学強化されていてもよい。ガラス板の厚さが厚過ぎると、ガラスの重量が増大し、設備への負荷が大きくなる。ガラス板は、かかる重量の観点から比重の小さな材料を用いることが好ましい。更に、プラスチックシートの脱型性を向上させるため、表面を離型剤で処理してもよい。
また、プラスチックシートの表面に、防眩機能やアンチニュートンリング機能を付与するために、光硬化性組成物(A)が接する片側のガラス表面に微細な凹凸を形成してもよい。かかる微細な凹凸が、プラスチックシートに転写されることにより、防眩機能やアンチニュートンリング機能をもつプラスチックシートを得ることができる。かかる場合、ガラス表面は光学研磨される必要はなく、逆に、微細な凹凸を形成するためにサンドブラストやエッチングなどの手法で、粗すことも可能である。
スペーサは、プラスチックシートの厚さを制御するものであるが、材料は特に限定されず、ゴム質やゲル状の材料であれば、目的とするプラスチックシートと同じ厚さにする必要も無く、厚さが0.05〜10mmのものが好適である。材料としては、樹脂など公知の材料が使用される。
次に、本発明における光硬化に関して説明する。
なお、文中の硬化度とは、例えば(メタ)アクリレート系組成物の場合、(メタ)アクリロイル基の反応率を意味する。
まず、光硬化性組成物(A)を成形型の空隙に充填し、成形型の片面もしくは両面から光照射を行う。使用される光源としては、一般的な紫外線ランプが使用できるが、照射装置の入手のし易さや価格などから、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が使用される。いずれのランプも長さ方向には照度分布が存在するが、ランプ中央部から端部までできるだけ一定の照度を有するランプが好ましい。かかる照度の均一性の観点から、LEDランプを用いることも可能である。
光照射は、プラスチックシートの平坦性の点から、両面から同じ照度及び光量で行うことが好ましい。プラスチックシート内部の硬化度を均一にすることにより、光硬化後の反りやうねりを低減することができる。なお、光照射は複数回行ってもよい。
照度としては、10〜100000mw/cmが好ましく、より好ましくは、速硬化の点で、50〜10000mw/cm、更に好ましくは、重合速度制御の点で、100〜1000mw/cmである。
照射光量としては、通常、合計0.1〜100J/cm程度照射することが好ましく、特に好ましくは、反応率の点で、1〜50J/cm、更に好ましくは、プラスチックシートの色相の点で、10〜30J/cmである。合計の光量が少なすぎると硬化度不足となる傾向があり、多すぎるとプラスチックシートの色相が低下する傾向がある。
本発明においては、光硬化後の硬化度が重要である。例えば(メタ)アクリレート系組成物の場合、光硬化後の(メタ)アクリロイル基の反応率を50〜90%に制御することにより、この後工程のプレスアニールによる平坦化をより効果のあるものにすることができる。すなわち、プレスアニール時にも反応する余地を残すことが重要である。なお、一般的に反応率の上限値は99%である。
光硬化後の反応率の好ましい範囲は60〜89%、より好ましくは70〜88%、特に好ましくは75〜87%である。反応率が低すぎると、プレスアニール中の反応が増大し、プラスチックシートにうねりが発生しやすい傾向にある。逆に、反応率が高すぎると、プレスアニールの平坦化の効果が減少する傾向にある。
かかる光硬化の反応率を制御する手法としては、(メタ)アクリレート成分や光重合開始剤の種類の選択、量の調整、照度や光量の制御、硬化温度の調整が挙げられる。
光硬化した後は、プラスチックシートを成形型から取り出し、プレスアニール工程に供される。
次に、本発明で最も重要となるプレスアニール工程を具体的に説明する。
一般的に、アニール(熱処理)は、プラスチックシートの硬化度向上、応力ひずみ開放、あるいは脱ガスのために行われるが、本発明のプレスアニールは、これらの効果に加えて、プラスチックシートの平坦化を目的とするものである。
プレスアニールに使用される加熱装置としては、通常のオーブンが使用できる。連続で硬化処理を行う場合は、赤外線ヒーターを用いることも可能である。オーブン内の雰囲気は、大気下、不活性ガス下、真空下のいずれでもよい。
大気下で行う場合には、プラスチックシートの色相の点で、酸素分圧が2〜2000Paで実施することが好ましい。
プレスアニールの温度は50〜300℃、より好ましくは100〜250℃、特に好ましくは150〜200℃である。温度が低すぎると硬化不十分でプラスチックシートの物性が不安定となる傾向にあり、逆に、高すぎるとプラスチックシートの色相が低下する傾向にある。プレスアニールの時間は10分〜100時間、より好ましくは30分〜50時間、特に好ましくは1〜20時間である。加熱時間が短すぎると硬化不十分でプラスチックシートの物性が不安定となる傾向にあり、逆に、長すぎるとプラスチックシートの色相が低下する傾向にある。
プレスアニールの荷重は、10〜1000kg/mであることが好ましく、特には20〜500kg/m、更には30〜300kg/mであることが好ましい。荷重が少なすぎると平坦化の効果が低下する傾向があり、多すぎるとプラスチックシートに割れが発生する傾向にある。
オーブン内の雰囲気は、大気下、不活性ガス下、真空下のいずれでもよいが、本発明においては、硬化反応を完結させる点で、真空下であることが必要である
真空下で行う場合に使用される減圧オーブンとしては、オーブン内を減圧にできる装置
であれば特に限定されず、市販のものを用いることができる。例えば、一般的に、真空ア
ニール機、真空乾燥機、真空オーブンと呼ばれる装置が好適に用いられる。これらの中で
も、炉内温度の均一性の点から、外付けヒーターにより壁面の金属(SUSなど)を加熱
することにより、炉内の温度を制御するものが好ましく、特に、クリーン仕様のものが好
ましい。
真空下でプレスアニールを行う場合の具体的な手法としては、減圧オーブン中にプレス装置を設置することも可能であるが、より簡便な手法として、減圧オーブン中にプレス荷重に耐えうる平坦な棚を用意し、その上に合紙と樹脂成形体を交互に複数枚重ね、上から金属板やガラス板などの重くかつ平坦なプレス板で荷重するのが簡便である(図1参照)。
この場合、棚は複数段用意してもよいし、プレス板を複数枚用いてもよい。合紙としては、耐熱性を有するクリーン紙が好ましい。処理するプラスチックシートの枚数は、厚さや大きさにもよるが、200枚以下が好ましい。より好ましくは、生産性の点から10〜150枚、特に好ましくは、プラスチックシートの面内均質化の点で、20〜100枚である。
本発明においては、真空下でプレスアニールを行う場合、下記の条件(1)〜(3)にて行われる。
(1)真空度が10〜10,000Paである。
(2)荷重が10〜1000kg/m2である。
(3)温度が100〜300℃である。
条件(1)の真空度は、10〜10,000Paであ、特には100〜9,000Pa、更には500〜8,000Pa、殊には1,000〜7,000Paであることが好ましい。真空度が低すぎるとプラスチックシートの脱ガスの効果が低下する傾向があり、高すぎると設備負荷が増大する傾向にある。
条件(2)の荷重は、10〜1000kg/m2であ、特には20〜500kg/m2、更には30〜300kg/m2であることが好ましい。荷重が少なすぎると平坦化の効果が低下する傾向があり、多すぎるとプラスチックシートに割れが発生する傾向にある。
なお、条件(2)の荷重とは、処理されるプラスチックシート全体にかかる荷重であり、プラスチックシートの投入枚数に応じて調整することができる。
条件(3)の温度は、100〜300℃であ、特には150〜250℃、更には170〜230℃、殊には180〜220℃であることが好ましい。温度が高すぎても低すぎても平坦化の効果が低下する傾向がある。特に、低すぎるとプラスチックシートの硬化度向上、応力ひずみ開放、あるいは脱ガスの効果が低下する傾向がある。加熱温度の最大値は、プラスチックシートのガラス転移温度付近であることが好ましい。
なお、条件(3)の温度とは、炉内の温度のことであり、プラスチックシートの投入枚数に応じて調整することができる。
また、伝熱効率の点で、オーブン内が所定温度に達してから減圧にすることが好ましい。この場合、プラスチックシートの黄変回避のために、オーブン内を窒素などの不活性ガスで置換してから、昇温を開始してもよい。更に、オーブンからプラスチックシートを取り出す際には、プラスチックシートの温度が80℃以下であることが、平坦化の点で好ましい。より好ましくは60℃以下、特に好ましくは40℃以下である。
真空下におけるプレスアニールの時間は、2〜100時間であることが好ましく、特には3〜50時間、更には4〜20時間であることが好ましい。時間が短すぎると平坦化の効果が低下する傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートと光重合開始剤よりなる光硬化性組成物(A)を用いる場合、プレスアニール後の反応率は、80〜95%であることが好ましく、より好ましくは83〜92%、特に好ましくは85〜90%である。反応率が低すぎるとプラスチックシートの硬度や耐熱性が低い傾向にあり、逆に、高すぎるとプラスチックシートが割れやすくなる傾向にある。
また、プラスチックシートの面内の反応率のふれが±1%以内であることが、性能の均一性の点で好ましい。なお、反応率のふれの下限は通常±0.1%である。
なお、面内の反応率のふれは、次のようにして測定される。
即ち、プラスチックシートの中央部及び周辺部から数点の試験片を切り出し、例えば(メタ)アクリロイル基の場合は、固体NMRやIRなどの分析手法でそれぞれの反応率を測定して、反応率の最大値(Pmax)、最小値(Pmin)、及び平均値(Pave)から以下の式を用いて算出される。
反応率のふれ(%)=100×(Pmax―Pmin)/Pave
以上詳述した製造方法により、プラスチックシートが得られるが、かかるプラスチックシートの厚さは、用途により異なるが、0.05〜5mmであることが好ましく、特には0.1〜3mm、更には0.2〜2mmであることが好ましい。厚さが薄すぎると、ディスプレイ用基板としての剛性が低下する傾向にあり、厚すぎるとディスプレイの軽量薄型化が困難となる傾向がある。
本発明において、得られたプラスチックシートの平坦性は、端部のうき量の最大値が5mm以下であることが好ましく、特には3mm以下、更には1mm以下であることが好ましい。うき量が大きすぎると、外観品質が低下すると共に、導電膜、ガスバリア膜、あるいは半導体膜などの無機薄膜を積層する加工工程においてうねりが増大する傾向がある。なお、うき量は小さければ小さいほど好ましいが、通常、最大値の下限値は 0.1 mmである。
なお、プラスチックシートのうき量の最大値は、次のようにして求められる。
即ち、プラスチックシートを平坦な定盤上に置いて、端部のうき量が最も大きい部分の高さ(定盤とシート下部との距離)をノギスや隙間ゲージを用いて測定することにより求められる。
本発明において、得られたプラスチックシートのガラス転移温度が、耐熱性の点から150℃以上であることが好ましく、特には170〜400℃、更には190〜300℃、殊には200〜250℃であることが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると導電膜、ガスバリア膜、あるいは半導体膜などの無機薄膜を積層する加工工程においてうねりが生じたり、色相が低下する傾向がある。かかるガラス転移温度を上記範囲に調整するに当たっては、上述した光硬化性組成物(A)の種類や成分の含有量を適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能(メタ)アクリレートの官能基数を上げるなどの手法が挙げられる。
本発明において、得られたプラスチックシートの鉛筆硬度が、表面硬度の点からH以上であることが好ましく、特には2H〜10H、更には3H〜9Hであることが好ましい。かかる鉛筆を上記範囲に調整するに当たっては、上述した光硬化性組成物(A)の種類や成分の含有量を適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)として3〜6官能等のものを使用するなどが挙げられる。
本発明において、得られたプラスチックシートの曲げ弾性率は、3GPa以上であることが好ましく、特には3〜5GPa、更には3.5〜4GPaであることが好ましい。曲げ弾性率が低すぎると剛性が低下する傾向にある。かかる曲げ弾性率を上記範囲に調整するに当たっては、上述した光硬化性組成物(A)の種類や成分の含有量を適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)として3〜6官能等のものを使用するなどが挙げられる。
本発明において、得られたプラスチックシートの光線透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは87%以上、特に好ましくは89%以上である。光線透過率が小さすぎるとディスプレイ用に用いた際に輝度が低下する傾向にある。
本発明において、得られたプラスチックシートの位相差が10nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以下、特に好ましくは2nm以下である。位相差が大きすぎると、ディスプレイ用に用いた際に色むらが発生する傾向にある。
更に、位相差の面内ふれは±5nm以内であることが好ましく、より好ましくは±2nm以下、特に好ましくは±1nm以下であることが好ましい。位相差のふれが大きいと、ディスプレイ用に用いた際に精細性が低下する傾向にある。
なお、位相差の面内ふれは、次のようにして求められる。
即ち、プラスチックシートの中央部及び周辺部から数点の試験片を切り出し、それぞれの位相差を測定して、最大値(Rmax)、最小値(Rmin)、及び平均値(Rave)から以下の式を用いて算出される。
位相差のふれ(%)=100×(Rmax―Rmin)/Rave
かくして得られるプラスチックシートには、種々の用途に応じて、粘着剤層、ハードコート層、印刷層、ガスバリア膜、透明導電膜を形成することが可能である。
透明導電膜としては、インジウムとスズの酸化物(ITO)などの無機膜や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などの有機膜が挙げられる。これらの中でもITO膜が導電性と透明性の点で好ましい。かかる透明導電膜の膜厚は、通常100〜5000Åであることが好ましく、特には200〜3000Å、更には300〜2000Åであることが好ましい。かかる膜厚が厚すぎると基板に反りが発生する傾向にあり、薄すぎると導電性が不十分となる傾向にある。
透明導電膜を成膜するに当たっては、成膜温度は、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100〜250℃、更に好ましくは130〜200℃である。成膜温度が低すぎると導電性が不十分となる傾向にあり、逆に、高すぎると基板の光線透過率が低下する傾向にある。
得られる透明導電膜付き基板の導電性は、好ましくは500Ω/□以下、より好ましくは200Ω/□以下、更に好ましくは100Ω/□以下であり、高すぎるとディスプレイの表示性能が低下する傾向にある。
本発明の製造方法により得られるプラスチックシートは、種々の光学部材用のプラスチック基板として用いることができるが、とりわけ、ディスプレイ用プラスチック基板や透明電極付きプラスチック基板として非常に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
(1)反応率(%)
370mm×480mmのプラスチックシートの面中央部と周辺部(各辺の中央部から5cm離れた位置)から50mm×50mmの試験片を5枚切り出し(面中央部1から1枚、周辺部から4枚の計5枚)(下図参照)、凍結粉砕した後、BRUKER・BIOSPIN社製 「AVANCE DPX−400」で、固体NMRプローブを用いて測定した。観測核は13C、回転数は5000Hz、室温で測定した。重合していない(メタ)アクリロイル基中のカルボニル炭素は高磁場側(166ppm)に、重合したカルボニル炭素は低磁場側(176ppm)に検出される。これらのピーク面積比より反応率(%)を算出し、5点の平均値をもって反応率(%)とした。
Figure 0006120741
(2)光線透過率(%)
上記同様に、50mm×50mmの試験片を5枚用意し、日本電色社ヘイズメーター「NDH−2000」で、全光線透過率(%)を測定した。
(3)鉛筆硬度
上記同様に、長さ50mm×幅50mmの試験片を5枚用意し、JIS K−5600に準じて、鉛筆硬度を測定した。
(4)ガラス転移温度(℃)
長さ20mm×幅5mmの試験片を用いて、レオロジー社製動的粘弾性装置「DVE−V4型 FTレオスペクトラー」の引っ張りモードを用いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分、歪0.025%で測定を行った。得られた複素弾性率の実数部(貯蔵弾性率)に対する虚数部(損失弾性率)の比(tanδ)を求め、このtanδの最大ピーク温度をガラス転移温度(℃)とした。
(5)平坦性(mm)
370mm×480mmのプラスチックシートを、平坦な定盤上に置いて、端部のうき量の最大値(mm)を測定した。また、透明導電膜を製膜した後のプラスチックシートについても同様に測定し、平坦性を評価した。
(6)表面抵抗値(Ω/□)
三菱化学社製の4端子法抵抗測定器(ロレスターMP)を用いて測定した。
<実施例1>
400mm×500mm×8mmサイズの2枚の光学研磨ガラス板を対向させ、厚さ0.7mmのシリコン板をスペーサーとした成形型に、6官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製)30部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート(新中村化学社製「DCP」)70部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社製「Irgacure184」)1部よりなる光硬化性組成物(A)を23℃で注液した。かかる成形型を水平に設置し、コンベアで搬送しながら、メタルハライドランプを用いて、両面から光量20J/cm2で紫外線を照射した。得られたプラスチックシートを脱型した後、370mm×480mmにカットした。同様の手法で、370mm×480mm×0.7mmのプラスチックシートを101枚得た。その内の1枚で反応率の測定を行った。
残りの100枚の内の20枚のプラスチックシートを、真空アニール機の最下段の棚に、平坦なガラス板/合紙/プラスチックシート/合紙/・・・/プラスチックシート/合紙の順で設置し、上から重さ4kgのガラス板を載せた(荷重23kg/m)。真空アニール機の2段目、3段目、4段目、5段目(最上段)の棚にも、同様の層構成でプラスチックシートをセットした。
真空アニール機の炉内を減圧にすると共に、200℃に加熱した。最終的な真空度は1,000Paである。6時間加熱した後、炉内を40℃まで冷却し、プラスチックシートを取り出した。得られたプラスチックシートの性能は表1に示されるとおりである。
得られたプラスチックシートの片面に、スパッタ法にて180℃で厚さ300ÅのITOよりなる透明導電膜を成膜して表面抵抗値100Ω/□の透明導電膜付き基板を得た。かかる基板の平坦性は良好であった。
<実施例2>
実施例1において、重さ20kgのガラス板を載せる(荷重113kg/m)以外は同様にして、プラスチックシート及び透明導電膜付き基板を得た。諸特性は表1に示されるとおりである。
<実施例3>
実施例1において、加熱温度を250℃にする以外は同様にして、プラスチックシート及び透明導電膜付き基板を得た。諸特性は表1に示されるとおりである。
<実施例4>
実施例1において、光量を10J/cmにした以外は同様にして、プラスチックシート及び透明導電膜付き基板を得た。諸特性は表1に示されるとおりである。
<実施例5>
実施例1において、厚さを0.2mmにした以外は同様にして、プラスチックシート及び透明導電膜付き基板を得た。諸特性は表1に示されるとおりである。
<比較例>
実施例1において、上からガラス板を載せず(荷重をかけず)にアニールを行った以外は同様にして、プラスチックシート及び透明導電膜付き基板を得た。諸特性は表1に示されるとおりである。得られた透明導電膜付き基板は導電性に劣り、透明導電膜に膜クラックも散見された。
Figure 0006120741
表1に示すように、プレスアニールを行った実施例1〜5のプラスチックシートは、平坦性に優れ、更に導電膜を形成しても良好な平坦性を有するものであった。これに対して、プレスアニールを行わなかった比較例1のプラスチックシートは、良好な平坦性を有するものとはならないものであり、製品として劣るものであった。
本発明により得られるプラスチックシートは、様々な光学材料、電子材料に有利に利用できる。例えば、保護シート、タッチパネル、液晶基板、有機/無機EL用基板、PDP用基板、電子ペーパー用基板、導光板、位相差板、光学フィルター等、各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板を初めとする記憶・記録用途、薄膜電池基板、太陽電池基板などのエネルギー用途、光導波路などの光通信用途、更には機能性フィルム・シート、各種光学フィルム・シート用途に利用できる。また、光学材料、電子材料の他にも、例えば、照明材料、自動車用材料、建材用材料、医療用材料、文房具などにも利用できる。

Claims (7)

  1. 光硬化性組成物(A)を硬化してなるプラスチックシートに対して、減圧オーブン中、下記の条件(1)〜(3)にて、荷重をかけながらアニールすることを特徴とするプラスチックシートの製造方法。
    (1)真空度が10〜10,000Paである。
    (2)荷重が10〜1000kg/m 2 である。
    (3)温度が100〜300℃である。
  2. 光硬化性組成物(A)が、多官能(メタ)アクリレートと光重合開始剤を含有してなることを特徴とする請求項1記載のプラスチックシートの製造方法。
  3. (メタ)アクリロイル基の反応率が、光硬化後のプラスチックシートで50〜90%であり、アニール後のプラスチックシートで80〜95%であることを特徴とする請求項記載のプラスチックシートの製造方法。
  4. プラスチックシートの端部のうき量の最大値が5mm以下であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のプラスチックシートの製造方法。
  5. プラスチックシートの光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のプラスチックシートの製造方法。
  6. プラスチックシートのガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のプラスチックシートの製造方法。
  7. プラスチックシートの厚さが0.05〜5mmであることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のプラスチックシートの製造方法。
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