JP2017014039A - 太陽電池用ガラス基板及びcigs太陽電池 - Google Patents

太陽電池用ガラス基板及びcigs太陽電池 Download PDF

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貴人 梶原
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英明 林
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泰 川本
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Abstract

【課題】耐候性が高く、かつ優れたアルカリ拡散能を有し、発電効率を高める太陽電池用ガラス基板を提供する。
【解決手段】酸化物基準の質量百分率表示で、SiOが66〜73%、Alが1〜8%、NaOが7〜20%、KOが0.1〜9%、MgOが0〜10%、CaOが0超〜15%、Al+(3×KO)≧4.0であり、下記式1の値であるDが1<D<13を満たし、ガラス転移温度が580℃以下であって、60℃‐95RH%の恒温恒湿槽に4日間保持した後の標準偏差σHazeが3.00%以下である陽電池用ガラス基板5。D=−0.34×Al+0.51×NaO+3.23×KO−1.14×CaO−1.29×MgO+8.87・・・式1
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池用ガラス基板及びCIGS太陽電池に関する。詳しくは、本発明は、Cu−In−Ga−Se太陽電池に代表される太陽電池用のガラス基板及びこれを用いたCIGS太陽電池に関する。
化合物太陽電池では、ガラス基板上に光電変換層として半導体の膜が形成される。太陽電池に用いられる半導体として、カルコパイライト結晶構造を持つ11−13族、11−16族化合物半導体や立方晶系あるいは六方晶系の12−16族化合物半導体は、可視から近赤外の波長範囲の光に対して大きな吸収係数を有している。そのために、高効率薄膜太陽電池の材料として期待されている。代表的な例としてCu(In,Ga)Se(以下、CIGSと称することがある。)が挙げられる。
このような太陽電池用ガラス基板として、アルカリ金属、特にナトリウム(Na)やカリウム(K)を含むガラス基板を用いることで、太陽電池の光電変換効率を向上できることが知られている。ガラス基板にCIGS膜等の光電変換層が形成される場合、ガラス基板が光電変換層の形成工程で加熱処理されることで、ガラス基板に含まれるアルカリ金属原子がガラス基板表面から光電変換層に拡散していく。これによって、光電変換層の欠陥密度が低下し、キャリア濃度が高まり、結果として光電変換効率を向上できる。
環境負荷低減の観点から、太陽電池製造時の省エネルギー化が望まれており、光電変換層の形成工程で加熱処理の低温プロセス化が求められている。また、太陽電池基板への低コスト化の要求は年々高まってきており、中でも太陽電池パネルの重量の大部分を占めるガラス基板を安価に提供することが求められている。
低温プロセスにおいて光電変換層へアルカリ金属拡散が容易に起こり、安価なガラスの例としては、建築用ガラスなどに広く用いられるソーダライムガラスが知られている。
国際公開第2014/148020号 特開2010−254549号公報 特開2011−249779号公報 国際公開第2011/049146号 特開2010−267965号公報 特開2014−509583号公報
しかしながら、ソーダライムガラス基板では、ガラス表面と、ガラス表面に付着した水分や空気中の酸性ガスとの反応によるガラス表面の白濁、すなわちヤケで生じるアルカリ拡散量の面内でのばらつきにより発電効率が低下することが問題となっている。また、発電効率向上のため、ガラス基板から拡散するNa量及びK量の増加が望まれている。
特許文献1には、ディスプレイ用のカバーガラスにおいて、NaOを12〜16mol%含むガラス物品を硝酸カリウム溶融塩に接触させて化学強化し、表面に圧縮応力層を形成させたガラス物品が開示されている。
ディスプレイ用カバーガラスは、太陽電池用ガラス基板に単に転用されないものである。それゆえ、特許文献1には、アルカリ成分を多く含むガラス物品が開示されているが、太陽電池用ガラス基板において、アルカリ拡散能を高めるための検討はなされていない。また、特許文献1では、ガラス基板表面の耐ヤケ性(以下、耐候性ともいう)やヤケの面内のばらつきについても検討されていない。
特許文献2には、情報記録媒体用ガラスにおいて、耐候性及び耐酸性を高めるためにAlやZrOを用いており、溶解性の観点からNaOやKOが添加されることが開示される。
特許文献2には耐候性及び耐酸性を高めることが記載されているが、太陽電池用ガラス基板においてアルカリ拡散能を高めるための検討はされていない。また、ガラス組成にZrOを用いるとガラス転移温度が高くなるという問題がある。
特許文献3には、光電変換効率、透過性、耐候性に優れた太陽電池用のガラス管を提供するために、AlやZrOを用いており、CIGS系太陽電池の変換効率向上のためにNaOやKOが添加されることが開示される。
しかしながら、耐候性を高めるためにガラス組成にZrOを配合するとガラス転移温度が高くなるという問題がある。
特許文献4には、高い発電効率と高いガラス転移温度を両立させるCIGS太陽電池用ガラス板が開示されている。特許文献4では、SrO、BaO、ZrOが配合されて、ガラス転移温度が高くなっている。さらに、SrO、BaO、ZrOを少量に抑えたとしても、アルカリ拡散の観点及びヤケの防止の観点からは、十分な組成であるとはいえない。
特許文献5には、Naイオンの移動度の観点からNaOが配合された薄膜太陽電池用のガラス基板が開示されている。しかし、特許文献5では、比較的低いガラス転移温度で、ヤケの発生を防止することは検討されていない。特に、AlOが過量に配合されるため、ガラス転移温度が高くなるほか、製造時のバッチの初期溶解性の悪化、粘性の増加により、溶解時に必要な熱量が増え、製造コストが増加する懸念がある。
特許文献6には、所定の組成を有し耐熱性を有する光電池用のガラス基材が開示されている。しかしながら、特許文献6では、アルカリ拡散を高める観点、及びヤケを防止する観点については検討されていない。それゆえ、KOの配合割合が適切ではなく、KOが未配合であるとアルカリ拡散が低下する問題がある。
本発明の一目的は、耐候性が高く、かつ優れたアルカリ拡散能を有し、発電効率を高める太陽電池用ガラス基板を提供することである。
本発明は以下の構成を要旨とするものである。
(1)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOが66%以上73%以下、Alが1%以上8%以下、NaOが7%以上20%以下、KOが0.1%以上9%以下、MgOが0%以上10%以下、CaOが0%超過15%以下、Al+(3×KO)≧4.0であり、下記式(1)の値であるDが1<D<13を満たし、ガラス転移温度が580℃以下である太陽電池用ガラス基板であって、ガラス基板の第一の主面に垂直な方向に切断することで、ガラス基板の中心部分から縦90mm×横180mmの寸法で採取されたサンプルAを、60℃‐95RH%の恒温恒湿槽に4日間保持した後の、前記サンプルAを縦30mm×横20mmの27領域に分けた各領域の中心部分におけるHaze値の標準偏差σHazeが3.00%以下である、太陽電池用ガラス基板。
=−0.34×Al+0.51×NaO+3.23×KO−1.14×CaO−1.29×MgO+8.87 ・・・ 式(1)
(2)酸化物基準の質量百分率表示で、LiOが1.0%以下、ZrOが1.0%以下、Bが0.8%以下、TiOが1.0%未満、BaO+SrO+ZrO≦1.0%である、上記(1)の太陽電池用ガラス基板。
(3)酸化物基準の質量百分率表示で、(MgO+CaO)/(NaO+KO)<0.93である、上記(1)または(2)の太陽電池用ガラス基板。
(4)酸化物基準の質量百分率表示で、Al+(3×KO)≦15.0である、上記(1)から(3)のいずれかの太陽電池用ガラス基板。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの太陽電池用ガラス基板、及び前記太陽電池用ガラス基板に形成されCIGS系化合物を含む光電変換層を有する、CIGS太陽電池。
本発明によれば、ガラス表面におけるヤケの面内ばらつきが少なく、かつ優れたアルカリ拡散能を有し、発電効率を高める太陽電池用ガラス基板を提供できる。
図1は、NaOとKOのモル%での総量が一定(13モル%)のガラスにおけるアルカリ拡散量を示すグラフである。 図2は、本発明の一実施形態による太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<ガラス基板>
本発明の一実施形態による太陽電池用ガラス基板としては、
SiOが66%以上73%以下、
Alが1%以上8%以下、
NaOが7%以上20%以下、
Oが0.1%以上9%以下、
MgOが0%以上10%以下、
CaOが0%超過15%以下、
Al+(3×KO)≧4.0であり、
下記式(1)の値であるDが1<D<13を満たし、
ガラス転移温度が580℃以下である太陽電池用ガラス基板であって、
ガラス基板の第一の主面に垂直な方向に切断することで、ガラス基板の中心部分から縦90mm×横180mmの寸法で採取されたサンプルAを、60℃‐95RH%の恒温恒湿槽に4日間保持した後の、
前記サンプルAを縦30mm×横20mmの27領域に分けた各領域の中心部分におけるHaze値の標準偏差σHazeが3.00%以下であることを特徴とする。
=−0.34×Al+0.51×NaO+3.23×KO−1.14×CaO−1.29×MgO+8.87 ・・・ 式(1)
本実施形態によれば、耐候性が高く、かつガラス表面におけるヤケの面内ばらつきが少なく、優れたアルカリ拡散能で発電効率を高める太陽電池用ガラス基板を提供できる。
CIGS膜等の光電変換層へのNa原子やK原子のようなアルカリ金属のドーピングによって、太陽電池は、欠陥密度を低下させ、キャリア濃度を増大させることが可能である。このNa原子やK原子は、光電変換層の成形工程の加熱処理によって、ガラス基板表面から光電変換層に拡散される。一方で、アルカリ成分は、ガラス基板の表面上で空気中の二酸化炭素と反応して炭酸塩を析出し、ヤケの原因となることがある。なお、前記アルカリ金属のドーピングは、光電変換層が形成されるガラス基板の原料にNaOやKOなどのアルカリ金属を含む酸化物を含ませることで可能となる。
本実施形態では、特定のガラス組成を有し、Al+(3×KO)が4以上であり、Dが1.0以上であることで、ヤケの発生およびヤケのばらつきを抑制するとともに、アルカリ拡散能の低下を防止できる。また、本実施形態では、ガラス転移温度が580℃以下であるため、光電変換層の形成工程をより低温で行っても、優れたアルカリ拡散能を得ることができる。
また、本実施形態では、Haze値の標準偏差が3.00%以下であることで、ガラス基板のヤケの分布を小さくでき、CIGS膜等の光電変換層を成膜した際のガラス基板面内でのアルカリ拡散量のばらつきを小さくできる。これにより、太陽電池の平均効率が上昇し、またガラス基板の長期保存が可能になる。
本実施形態によるガラス基板の任意の一辺は、太陽電池製造のスピードアップ、大面積化の観点から500mm以上であることが好ましい。より好ましくは700mm以上であり、さらに好ましくは900mm以上である。
一方で、ガラス基板が大きくなりすぎると、光電変換層形成過程の熱処理時にガラス基板がたわみ、ガラス基板の平滑性が失われるおそれがある。また、太陽電池パネル設置の際に作業者のハンドリング性が低下するおそれがある。それゆえ、ガラス基板のうち最長の一辺は2500mm以下であることが好ましく、より好ましくは2000mm以下である。
また、ガラス基板のうち少なくとも1辺の長さが500mm以上であればよいが、ガラス基板の4辺のすべてが500mm以上であることが好ましい。
一般的な太陽電池用ガラス基板としては、900〜2000mm×500〜1000mmのサイズであり、本実施形態でも好ましく利用できる。
本実施形態によるガラス基板は、第一の主面を有するガラス基板であって、第一の主面に垂直な方向に切断することで当該ガラス板の中心部分から、縦90mm×横180mmの寸法で採取されたサンプルAを60℃‐95RH%の恒温恒湿槽に4日間保持した後、縦30mm×横20mmのガラス片(計27片)に切断し、各ガラス片のHaze値を測定した際の面内ばらつき(標準偏差σHaze)が3.00%以下であることが好ましい。
標準偏差σHazeが3.00%以下であることで、ガラス基板表面のヤケのばらつきが小さくなる。その結果、光電変換層形成時にガラス基板から拡散するアルカリ拡散量が一定になり、太陽電池の平均変換効率が向上する。
より好ましくは、この標準偏差σHazeは、2.00%以下であり、さらに好ましくは1.00%以下であり、特に好ましくは0.50%以下である。
この標準偏差σHazeの具体的な測定方法は、後述の実施例で説明しているとおりである。
本実施形態によるガラス基板のガラス転移温度(Tg)は、580℃以下である。
これによって、太陽電池の製造において、光電変換層の形成工程の加熱処理時に低温でガラス基板から光電変換層へのアルカリ拡散を旺盛にすることができる。また、ガラス原料の溶融時の粘性を適度に低く抑えて製造しやすくできる。
Tgは、好ましくは575℃以下であり、より好ましくは570℃以下である。
Tgが535℃未満であると、光電変換層の作製時における基板の反りや変形、熱収縮が十分に抑制できず、膜の特性を担保できないおそれがある。
Tgは、535℃以上であることが好ましく、より好ましくは540℃以上であり、さらに好ましくは550℃以上である。
Tgは、ガラス基板に配合される成分を調整することで、適正範囲に調整できる。
基板の反りや変形を議論する際の指標として歪点が用いられることがあるが、歪点の測定は熟練した技術を必要とするため、熱膨張係数を測定してTgを求め、これで代用することがある。一般にTgは歪点よりも約40℃高い温度となる。
本実施形態によるガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示で、Al+(3×KO)≧4.0、KO>0を満たす。
これによって、Tgが低いガラス基板において、ヤケの発生を効果的に防止しながら、アルカリ拡散性の低下を防止できる。
Al及びKOをともに配合することで、ヤケを防止できるとともに、アルカリ拡散性を向上できる。さらに、Al及びKOがAl+(3×KO)≧4.0を満たすことで、この効果をより向上できる。
Al+(3×KO)は、より好ましくは5.0以上であり、さらに好ましくは6.0以上であり、特に好ましくは7.0以上である。
Al+(3×KO)の上限値は、これに制限されないが、熱特性の観点から15以下であることが好ましく、より好ましくは14以下であり、さらに好ましくは13以下であり、特に好ましくは12以下である。
Al+(3×KO)が15以下であることで、ガラス基板のヤング率が向上して、熱処理時の変形を防止できる。また、平均線膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion;CTE)をCIGS膜のCTE:90×10−7[/℃]に近づけることができる。
本実施形態によるガラス基板は、下記式(1)の値であるDが1<D<13を満たすことが好ましい。
=−0.34×[Al]+0.51×[NaO]+3.23×[KO]−1.14×[CaO]−1.29×[MgO]+8.87 ・・・ 式(1)
ここで、[Al]、[NaO]、[KO]、[CaO]、[MgO]は、ガラス基板に含まれる成分を酸化物基準の質量百分率表示で表したものである。
は、ガラス基板中からCIGS等の光電変換層中に拡散するアルカリ拡散量を表す指標である。
上記式(1)を満たすことで、Na拡散及びK拡散を含めた総アルカリ拡散能を向上できる。
このDの値は、1.2以上であることが好ましく、より好ましくは2.0以上であり、さらに好ましくは2.5以上であり、特に好ましくは3.0以上である。
一方、ガラス基板から光電変換層中に拡散するアルカリ量が多すぎると、光電変換効率の低下を引き起こすおそれがある。ガラス基板と光電変換層の間にSiO膜(アルカリバリア層)を成膜することで、アルカリ拡散量を制御できることが知られているが、アルカリ拡散量が多すぎると、SiO膜の厚膜化が必要になり、製造コスト増加に繋がるおそれがある。そのため、このDの値は、13.0以下であることが好ましく、より好ましくは10.0以下であり、さらに好ましくは9.0以下であり、特に好ましくは8.0以下である。
アルカリ拡散能は、[NaO]及び[KO]に影響される。また、ガラス中に存在する4配位のアルミニウム[AlO]は、ガラス内部でのNaイオン及びKイオンの拡散を旺盛にする。その一方で、光電変換層形成時には、ガラス基板表層で[AlO]がNaイオン及びKイオンをトラップするため、光電変換層へのNaイオン及びKイオンの拡散を抑制することがある。そのため、アルカリ拡散能はガラス中の[Al]に影響される。
また、[MgO]及び[CaO]は、Na原子及びK原子の拡散を抑制する作用がある。
本実施形態によるガラス基板は、{[MgO]+[CaO]}/{[NaO]+[KO]}<0.93である。
ここで、[MgO]、[CaO]、[NaO]、[KO]は、ガラス基板に含まれる成分を酸化物基準の質量百分率表示で表したものである。
以下、[MgO]+[CaO]をR’Oと称し、[NaO]+[KO]をROと称し、上記関係式を単にR’O/ROと称することがある。
R’O/ROが0.93未満であることで、アルカリ拡散能、特にNa拡散能をより向上できる。
R’O/ROは、より好ましくは0.90以下であり、さらに好ましくは0.80以下である。
R’O/ROは、これに制限されないが、溶解性、耐候性の観点から、0.50以上であることが好ましく、より好ましくは0.60以上である。
本実施形態によるガラス基板は、KO/([NaO]+[KO])≧0.015である。
ここで、[KO]、[NaO]は、ガラス基板に含まれる成分を酸化物基準の質量百分率表示で表したものである。
[KO]/([NaO]+[KO])が0.015以上であることで、CIGS等の光電変換層に拡散するK拡散量を十分に得ることができる。さらに、NaOの含有量が少なくても、十分なNa拡散を達成でき、NaOの含有量を減らすことで耐ヤケ性が向上する。
この値は、より好ましくは0.020以上であり、さらに好ましくは0.030以上である。
[KO]/([NaO]+[KO])が増加すると光電変換層へ拡散するK拡散量が増加する。Kは変換効率向上に有効であるが、光電変換層へのK拡散量が多すぎると逆に変換効率低下を引き起こすおそれがある。[KO]/([NaO]+[KO])は0.30以下であることが好ましく、より好ましくは0.25以下であり、さらに好ましくは0.20以下である。
図1はNaOとKOのモル%での総量が一定(13モル%)のガラスにおけるアルカリ拡散量を示すグラフである。このグラフより、[KO]/([NaO]+[KO])が大きくなることでNa拡散量が増加する傾向にあることが分かる。相対Na拡散量、相対K拡散量は、所定の基準ガラス基板のNa拡散量、K拡散量を1.0とした場合の相対値である。
本実施形態によるガラス基板は、0≦[MgO]/([MgO]+[CaO])≦0.8の範囲とすることで、ヤケとアルカリ拡散量とのバランスを調整できる。
アルカリ土類金属中のMgOの割合が増えることで、アルカリ拡散能が向上する一方で、アルカリがガラス表面へ移動し易くなり、ヤケやすいガラスとなるおそれがある。この値の下限は、より好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。この値の上限は、より好ましくは0.75以下であり、さらに好ましくは0.70以下である。
[MgO]/([MgO]+[CaO])が大きくなるとヤケやすくなるおそれがあるが、ヤケ防止に効くAlとKOを適宜調整することでヤケを防ぎつつ、アルカリ拡散能の高いガラス基板を達成できる。
以下、本発明の一実施形態によるガラス基板の組成について説明する。以下の説明において、ガラス基板の組成は、ガラス基板の第一面の表面から深さ5000nm以上において、酸化物基準の質量百分率表示で表す。
本実施形態によるガラス基板の組成に制限はないが、主成分がSiOであり、KOを含むことで、太陽電池用ガラス基板として優れた耐候性と光電変換効率と、を得ることができる。
より好ましくはKOを0.1〜9%含み、さらに好ましくはNaO+KOが10〜20%であり、一層好ましくはKOを0.1〜9%かつNaOを7〜20%含む。
より好ましいガラス基板の組成の一例としては、ガラス基板の第一面の表面から深さ5000nm以上において、下記酸化物基準の質量百分率表示で、
SiOを66〜73%、
Alを1〜8%、
NaOを7〜20%、
Oを0.1〜9%、
MgOを0〜10%、
CaOを0超〜15%含む。
本実施形態によるガラス基板において、上記組成に限定する理由は以下のとおりである。
SiO:ガラスの骨格を形成する成分であり、66質量%(以下単に%と記載する)未満ではガラスの耐熱性及び化学的耐久性が低下し、CTEが増大するおそれがある。好ましくは67%以上であり、より好ましくは68%以上である。
しかし、73%超ではガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪化する問題が生じるおそれがある。好ましくは72%以下であり、より好ましくは71%以下であり、さらに好ましくは70%以下である。
Al:ガラス転移温度を上げ、耐候性(ヤケやソラリゼーション)、耐熱性及び化学的耐久性を向上し、ヤング率を上げる成分である。さらに、光電変換層形成時に、ガラス内部でのアルカリ拡散を促進する働きも有する。その含有量が1.0%未満だとガラス転移温度が低下するおそれがある。また平均熱膨張係数が増大するおそれがある。好ましくは1.5%以上であり、より好ましくは2.0%以上であり、さらに好ましくは3.0%以上であり、特に好ましくは4.0%以上である。
しかし、8%超では、ガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪くなるおそれがある。また、失透温度が上昇し、成形性が悪くなるおそれがある。さらに、ガラス基板から光電変換層へ拡散するアルカリ成分をトラップし、アルカリ拡散量が低下するおそれがある。好ましくは7%以下であり、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは5.5%以下である。
NaO:NaOは、CIGS等の光電変換層を備える太陽電池の発電効率向上に寄与するための成分である。また、ガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので7〜20%含有できる。Naはガラス基板上に構成された光電変換層中に拡散し、発電効率を向上できるが、含有量が7%未満ではガラス基板上の光電変換層へのNa拡散量が不十分となり、発電効率も不十分となるおそれがある。含有量が8%以上であると好ましく、含有量が10%以上であるとより好ましく、12%以上であるとさらに好ましく、含有量が13%以上であると特に好ましい。
NaO含有量が20%を超えるとガラス転移温度が低下し、平均熱膨張係数が大きくなり、または化学的耐久性が劣化する。さらに耐候性が悪化するおそれがある。含有量が18%以下であると好ましく、含有量が16%以下であるとより好ましく、15.5%以下であるとさらに好ましく、15%未満であると特に好ましい。
O:NaOと同様の効果があるため、0.1〜9%含有できる。しかし、9%超では発電効率が低下、すなわちNaの拡散が阻害され、また、ガラス転移温度が低下し、CTEが大きくなるおそれがある。0.2%以上であるのが好ましく、0.4%以上であるのがより好ましく、1.0%以上であるのがさらに好ましく、1.1%以上であるのが特に好ましい。8.0%以下が好ましく、7.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、5.0%以下であることが特に好ましい。
MgO:ガラスを安定化させ、溶解性を向上させ、かつこれを添加することでアルカリ金属の含有量を低下させて平均熱膨張係数の上昇を抑制することのできる成分であり、10%以下で含有できる。好ましくは0.01%以上であり、好ましくは1.0%以上、より好ましくは2.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上、特に好ましくは4.0%以上である。しかし、10%超ではCTEが増大するおそれがある。また失透温度が上昇するおそれがある。好ましくは9.5%以下であり、より好ましくは9.0%以下であり、さらに好ましくは8.5%以下であり、特に好ましくは8.0%以下である。
CaO:ガラスを安定化させる成分であり、MgOの存在による失透を防止し、かつCTEの上昇を抑制しながら溶解性を向上する効果を有し、15%以下で含有できる。好ましくは1.0%以上であり、好ましくは2.0%以上、より好ましくは2.5%以上、さらに好ましくは3.0%以上、特に好ましくは3.5%以上である。しかし、15%超ではガラスのCTEが増大するおそれがある。好ましくは14.5%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは9%以下、特に好ましくは8%以下である。
SrO:ガラスの粘性および失透温度を下げるために有効な成分である。しかし、MgO、CaOに比べて原料コストが高く、ガラスの比重を上げるため、含有する場合であっても1%以下である。1%以下とすることで、溶解性が良好になり、CTEおよび密度が必要以上に上昇することを抑制できる。しかしながら、コストの観点から、ガラス基板にSrOは実質的に含有されないことが一層好ましい。
BaO:SrOと同じく、ガラスの粘性および失透温度を下げるために有効な成分である。しかし、MgO、CaOに比べて原料コストが高く、ガラスの比重を上げるため、含有する場合であっても1%以下である。1%以下とすることで、溶解性が良好になり、CTEおよび密度が必要以上に上昇することを抑制できる。しかしながら、コストの観点から、ガラス基板にBaOは実質的に含有されないことが一層好ましい。
ZrOは、Tgを上げて、ガラス基板の低温プロセスに不利に作用する他、溶解時に未融物として溶け残るおそれがあるため、配合量は1.0%以下に制限されることが好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。ZrOは、ガラス基板に実質的に含有されないことが一層好ましい。
SrO、BaO及びZrOの合計量は、上記した観点から、1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態によるガラス基板は本質的に上記組成からなることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の成分を、典型的には合計5%以下で含有してもよい。たとえば、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽等の改善を目的に、B、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、P等を含有してもよい。
は、溶解性を向上させる等のために0.8%を超えない量まで含有してもよい。含有量が0.8%以上だとガラス転移温度が下がる、または平均熱膨張係数が小さくなり、CIGS膜等の光電変換層を形成するプロセスにとって好ましくない。より好ましくは含有量が0.8%未満である。含有量が0.5%以下であると特に好ましく、さらに好ましくは実質的に含有しない。
なお、「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。以下同じである。
LiOは、ガラスの溶解温度での粘性を下げ、溶解性を向上させる成分であるが、NaOに比べて原料コストが高く、NaおよびKの光電変換層への拡散を抑制するおそれがあるため、含有しないことが好ましく、含有する場合であっても、その含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%未満である。
また、ガラスの溶解性、清澄性を改善するため、ガラス中にSO、F、Cl、SnOを合量で、上記したガラス母組成100%に対し2%以下で含有するように、これらの原料を母組成原料に添加してもよい。
また、ガラスの化学的耐久性向上のため、ガラス中にY、La、TiOを合量で5%以下で含有させてもよい。これらのうちY、La及びTiOは、ガラスのヤング率向上にも寄与する。
TiOは、天然原料中に多く存在し、黄色の着色源となることが知られている。TiOを含有する場合は、1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
また、ガラスの色調を調整するため、ガラス中にFe等の着色剤を含有してもよい。このような着色剤の含有量は、上記したガラス母組成100質量%に対し合量1質量%以下が好ましい。
ここで、ガラス母組成は、上記したSiO、Al、MgO、CaO、NaO、KOの総量である。
本実施形態によるガラス基板の50〜350℃におけるCTEは、70×10−7〜110×10−7/℃であることが好ましい。この範囲であることで、ガラス基板に形成されるCIGS膜等との熱膨張差が大きくなりすぎることを防ぎ、膜剥がれ、膜クラック等を防止できる。
さらに、太陽電池を組立てる際(具体的にはCIGSの光電変換層を有するガラス基板とカバーガラスとを加熱して貼りあわせる際)、ガラス基板が変形することを防止できる。
このCTEは、好ましくは100×10−7/℃以下、より好ましくは96×10−7/℃以下、さらに好ましくは93×10−7/℃以下である。一方、この平均線膨張係数は、好ましくは80×10−7/℃以上、より好ましくは84×10−7/℃以上、さらに好ましくは87×10−7/℃以上である。
本実施形態によるガラス基板のヤング率としては、72GPa以上であることが好ましく、より好ましくは73GPa以上であり、さらに好ましくは74GPa以上である。これによって、加熱処理の際に、熱変形を防止できる。
本実施形態によるガラス基板の比重としては、2.480g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは2.485g/cm以上であり、さらに好ましくは2.490g/cm以上である。一般的なソーダライムガラスの比重は2.490〜2.505g/cmであるので、窯での生産を考えると、ソーダライムガラスからの素地替えの際に比重が軽すぎると、ガラス素地が上滑りしてしまい、素地替えが困難になるおそれがある。
ガラス基板の比重は、太陽電池モジュールにした際の重量の観点から、2.550g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは2.540g/cm以下であり、さらに好ましくは2.520g/cm以下である。
<ガラス基板の製造方法>
本発明の一実施形態であるガラス基板の製造方法について説明する。
本実施形態によるガラス基板の製造方法には、生産性およびコストの面で優れるため、フロート法が好ましく用いられる。
本実施形態のガラス基板の製造方法の一例としては、ガラス原料を溶融し、溶融スズ上で溶融ガラスをガラス基板に成形し、ガラス基板を徐冷する方法である。
ガラス原料の溶融では、得られるガラス基板の組成に応じて原料を調整し、この原料を溶解炉に連続的に投入し、加熱して溶融ガラスを得る。ガラス基板の組成が上記したガラス組成となるように原料を調整することが好ましい。
ガラス原料の溶融温度としては、通常1450〜1700℃とすることができ、より好ましくは1500〜1650℃である。溶融時間は、特に制限されず、通常1〜48時間である。
溶融工程では清澄剤を利用可能である。ガラス基板は、アルカリ金属酸化物(NaO、KO)を含有するアルカリガラス基板を用いる場合では、上記した清澄剤のなかから清澄剤としてSOを効果的に利用できる。
ガラス基板の成形工程では、溶融ガラスを溶融スズ浴中の溶融スズ上で板状のガラス基板に成形できる。
詳しくは、溶融スズを満たした溶融スズの浴面上に、溶融窯から溶融ガラスが連続的に流入され、ガラスリボンが形成される。次に、このガラスリボンを溶融スズ浴の浴面に沿って浮かしながら前進させることで、温度低下とともにガラスリボンが板状に成形される。その後、製板されたガラス基板が引出しロールによって引き出され、徐冷炉に搬送される。
溶融スズ浴内の雰囲気ガスとしては、水素と窒素とからなる混合ガスを利用できる。水素ガス濃度は、1〜10体積%であることが好ましい。溶融スズ浴内は、正圧であることが好ましい。
溶融スズ浴の温度は、500〜1200℃であることが好ましい。また、溶融スズ浴内に流入する溶融ガラスの温度が上流で950〜1200℃であり、下流で500〜950℃であるように、溶融スズ浴の温度が調整されることが好ましい。溶融スズ浴内でのガラスリボンの滞在時間は、1〜10分であることが好ましい。
徐冷工程の前後、またはその間に、ガラス基板の少なくとも一方の面にSOガスを接触させるSO処理工程を行うことができる。
SO処理は、徐冷工程においてガラス基板をロール搬送する際、ロールによるガラス基板表面へのキズを防止するための処理である。SO処理工程は、温度の高いガラス板にSOガス(亜硫酸ガス)を大気中で吹き付けて、ガラスの成分と反応させてガラス表面に硫酸塩を析出させることで、ガラス基板の搬送面を保護できる。硫酸塩としては代表的なものとして、Na塩、K塩、Ca塩、Sr塩、Ba塩等が挙げられ、通常、これらの塩の複合物として析出される。
SO処理後は、ガラス基板を洗浄して、硫酸塩等の膜を除去することが好ましい。
ガラス基板の洗浄方法は、特に制限されず、例えば、水による洗浄、洗浄剤による洗浄、酸化セリウムを含有したスラリーを散布しながらブラシ等でこする洗浄等を利用できる。酸化セリウム含有のスラリーで洗浄する場合は、その後に塩酸や硫酸等の酸性洗浄剤等を用いて洗浄することが好ましい。
洗浄後のガラス基板表面には、汚れや上記酸化セリウム等の付着物によるガラス基板表面の凹凸等がないことが好ましい。凹凸があると、上記電極膜やその下地層等の成膜の際に、膜表面の凹凸や膜厚偏差や膜のピンホール等が生じ、発電効率が低下するおそれがあるためである。
洗浄後は、所定の大きさに切断して、ガラス基板を得ることができる。
<太陽電池用ガラス基板>
本実施形態によるガラス基板は、太陽電池用ガラス基板として好ましく利用でき、具体的には、太陽電池用ガラス基板及び太陽電池用カバーガラスとして利用できる。
太陽電池の光電変換層としては、カルコパイライト結晶構造を持つ11−13族、11−16族化合物半導体や立方晶系あるいは六方晶系の12−16族化合物半導体を好ましく利用できる。代表的な例としては、CIGS系化合物、CdTe系化合物、CIS系化合物、CZTS系化合物等を挙げることができる。特に好ましくはCIGS系化合物である。
太陽電池の光電変換層としては、シリコン系化合物、有機系化合物等を用いてもよい。
本実施形態によるガラス基板をCIGS太陽電池用ガラス基板に用いる場合、ガラス基板の厚さは3mm以下とするのが好ましく、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。また、ガラス基板にCIGS膜の光電変換層を形成する方法は、CIGS膜の少なくとも一部がセレン化法、または蒸着法で形成されるものが好ましい。本実施形態によるガラス基板を用いることで、光電変換層を形成する際の加熱温度をTg−40℃以下に調整できる。
本実施形態のCIGS太陽電池用ガラス基板をガラス基板のみに使用する場合、カバーガラス等は特に制限されない。カバーガラスの組成の他の例としては、ソーダライムガラス等が挙げられる。
本実施形態によるガラス基板をCIGS太陽電池用カバーガラスとして用いる場合、カバーガラスの厚さは4mm以下とするのが好ましく、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。また光電変換層を有するガラス基板にカバーガラスを組立てる方法は特に制限されない。本実施形態によるガラス基板を用いることで、加熱して組立てる場合その加熱温度をTg−40℃以下に調整できる。
本実施形態のCIGS太陽電池用ガラス基板をCIGSの太陽電池用のガラス基板及びカバーガラスに併用すると、平均線膨張係数が同等であるため太陽電池組立時の熱変形等が発生せず好ましい。
<太陽電池>
次に、本発明の一実施形態である太陽電池について説明する。
本実施形態による太陽電池は、上記した本実施形態によるガラス基板、及びガラス基板の任意の面に形成されCIGS系化合物を含む光電変換層を有することを特徴とする。
好ましい形態としては、ガラス基板、カバーガラス、ガラス基板とカバーガラスとの間に配置されCIGS系化合物を含む光電変換層を有し、ガラス基板及びカバーガラスのうち少なくとも一方が、上記した本実施形態によるガラス基板である。
以下、図面を参照して、本実施形態による太陽電池の一例について説明する。なお、図面に示す太陽電池の各層の厚さは模式的に示すものであり、これに限定されない。
図2は、本実施形態による太陽電池の一例を示す断面模式図である。
図2において、太陽電池(CIGS太陽電池)1は、ガラス基板5、カバーガラス19、及びガラス基板5とカバーガラス19との間に光電変換層としてCIGS膜9を有する。ガラス基板5及びカバーガラス19のうち少なくとも一方に、上記した本実施形態によるガラス基板を利用できる。
ガラス基板5及びカバーガラス19に本実施形態によるガラス基板を用いる場合は、ガラス基板ののうち任意の一方の面にCIGS膜9を形成できる。
太陽電池1は、ガラス基板5上に裏面電極層としてプラス電極であるMo膜7を有し、その上にCIGS膜9を有する。ガラス基板5とMo膜7との間には、不図示であるが、1〜100nmの薄いシリカ膜等のアルカリ金属制御層を設けることで、ガラス基板からのアルカリ金属や不純物元素のCIGS膜9への拡散量を制御することもできる。
CIGS膜9は、CIGS系化合物を含む光電変換層である。CIGS系化合物の組成としては、例えば、Cu(In1−XGa)Seである。ここで、xは、InとGaの組成比を示すもので0<x<1である。
CIGS膜9は、CIGS系化合物を単独で含有できるが、その他にCdTe系化合物、CIS系化合物、シリコン系化合物、CZTS系化合物等を含んでもよい。
CIGS膜9上には、バッファ層11としてのCdS(硫化カドミウム)またはZnS(亜鉛硫化物)層を介して、ZnOまたはITOの透明導電膜13を有し、さらにその上にマイナス電極であるAl電極(アルミニウム電極)等の取出し電極15を有する。これらの層の間の必要な場所には反射防止膜を設けてもよい。図2においては、透明導電膜13と取出し電極15との間に反射防止膜17が設けられている。
また、取出し電極15上にカバーガラス19が設けられ、必要な場合は取出し電極15とカバーガラス19との間は、樹脂封止したり接着用の透明樹脂で接着されたりする。なお、カバーガラス19は設けなくてもよい。
本実施形態において、光電変換層の端部または太陽電池の端部は封止されていてもよい。封止するための材料としては、例えば本実施形態によるガラス基板と同じ材料、そのほかのガラス、樹脂等が挙げられる。
以下、CIGS膜9の形成方法の一例について具体的に説明する。
CIGS膜9の形成では、まず、Mo膜7上に、スパッタ装置を用いて、CuGa合金ターゲットでCuGa合金層を成膜し、続いてInターゲットを使用してIn層を成膜することで、In−CuGaのプリカーサ膜を成膜する。成膜温度は特に制限されないが通常室温で成膜できる。
プリカーサ膜の組成は、蛍光X線分析法による測定において、Cu/(Ga+In)比(原子比)が0.7〜0.95、Ga/(Ga+In)比(原子比)が0.1〜0.5となることが好ましい。CuGa合金層及びIn層の膜厚を調整することで、この組成を達成できる。
次いで、プリカーサ膜を、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて加熱処理する。
加熱処理では、第1段階として、セレン化水素混合雰囲気において200〜700℃で1〜120分保持し、CuとInとGaとを、Seと反応させる。セレン化水素混合雰囲気は、アルゴンや窒素などの不活性ガス中にセレン化水素を1〜20体積%で含むことが好ましい。
その後、第2段階として、セレン化水素混合雰囲気を硫化水素混合雰囲気に置換し、さらに200〜700℃で1〜120分保持し、CIGS結晶を成長させることで、CIGS膜を形成する。硫化水素混合雰囲気は、アルゴンや窒素などの不活性ガス中に硫化水素を1〜30体積%で含むことが好ましい。
CIGS膜の厚さは、1〜5μmであることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、例1乃至例24は実施例、例25乃至例31は比較例である。
<ガラス基板の作製>
表1から表4にガラス組成を示す。各成分の原料を表1から表4で示した組成になるように調合し、白金るつぼを用いて、1450〜1700℃の温度で3〜5時間溶解した。溶解にあたっては、白金スターラーを溶融ガラス中に挿入し、1時間撹拌してガラスを均質化した。次いで溶融ガラスを流し出して板状に成型し、毎分1℃の冷却速度で室温まで徐冷した。各成分は、ガラス基板の表面からの深さ5000nm以上において、酸化物基準の質量百分率表示で示す。
各成分の配合量から、次の計算値を求め、各表に併せて示す。
Al+3×KO;
R’O/RO;
O/(NaO+KO);
総アルカリ拡散量の指標:D
ここで、R’Oは、[MgO]+[CaO]であり、ROは、[NaO]+[KO]である。
は、以下の式により求めた。
=−0.34×[Al]+0.51×[NaO]+3.23×[KO]−1.14×[CaO]−1.29×[MgO]+8.87
<評価>
上記して得られたガラス基板について、以下の評価を行った。結果を各表に併せて示す。
(CTE、Tg)
CTEはJIS R 1618:2002に基づき、ガラス転移温度(Tg)の測定と同時に熱膨張計(ブルカー・エイエックスエス社製、TD5000SA)を用いて5℃/分の昇温速度で測定し50〜350℃の平均線熱膨張係数を求めた。
(ヘイズ値の標準偏差(σHaze))
得られたガラス基板を、以下のサイズに加工し、以下の処理を施した。
サイズ:18cm×9cm×厚さ1.6mm。
処理:ガラス基板の両面を#1000の砥石を用いて研磨した後、酸化セリウムを用いて鏡面仕上げを行った。
処理後のガラス基板を60℃−95RH%の恒温恒湿槽内で4日間保管した。保管後のガラス基板を3cm×2cm×厚さ1.6mmのガラス片(計27片)に切断し、各ガラス片のHaze値を測定した。Haze値は、スガ試験機製HZ−2を用いて測定した。
得られた各片のHaze値より以下の式で表わされる標準偏差σHazeを求めた。
ここで、xは各ガラス片のHaze値、aは27片のガラス片の標本平均、nは標本数の27である。
(ΔHaze値)
得られたガラス基板を、以下のサイズに加工し、以下の処理を施した。
サイズ:3cm×3cm×厚さ1.6mm。
処理:ガラス基板の両面を#1000の砥石を用いて研磨した後、酸化セリウムを用いて鏡面仕上げを行った。
処理後のガラス基板を60℃−95RH%の恒温恒湿槽内で14日間保管した。保管前後のガラス基板のHaze値を測定し、その差を求めてΔHaze値を求めた。Haze値は、スガ試験機製HZ−2を用いて測定した。
ΔHaze値=(保管後のHaze値)−(保管前のHaze値)
(相対K拡散量・相対Na拡散量)
Na拡散量は、上記して得られたガラス基板上にプラス電極としてMo電極を形成し、次いでCIGS層を形成し、その後、CIGS層中のNa量を測定し求めた。相対Na拡散量は、表1に示す基準ガラス基板のNa量を1.00とした場合の相対値で表す。
得られたガラス基板を大きさ3cm×3cm、厚さ1.8mmに加工した。ガラス基板5aの上に、スパッタ装置にて、プラス電極としてMo(モリブデン)膜を成膜した。成膜は室温にて実施し、厚み250nmのMo膜を得た。
Mo膜上にスパッタ装置にて、CuGa合金ターゲットでCuGa合金層を成膜し、続いてInターゲットを使用してIn層を成膜することで、In−CuGaのプリカーサ膜を成膜した。成膜は室温にて実施した。蛍光X線分析法によって測定したプリカーサ膜の組成が、Cu/(Ga+In)比が0.88、Ga/(Ga+In)比が0.34となるように各層の厚みを調整し、厚み600nmのプリカーサ膜を得た。
プリカーサ膜をRTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いてアルゴンおよびセレン化水素混合雰囲気(セレン化水素はアルゴンに対し5体積%)にて加熱処理した。まず、第1段階として400℃で10分保持を行い、Cu、In、GaおよびSeとを反応させて、その後、第2段階としてさらに500℃で30分保持してCIGS結晶を成長させることでCIGS層を得た。得られたCIGS層の厚さは1.7μmであった。
上記RTA装置による加熱処理の第2段階終了後、試料を二次イオン質量分析法(SIMS)にてCIGS層中の23Naの積分強度を測定した。各表に示す相対Na拡散量は、基準ガラス基板の23Naの積分強度を1.00としたときの相対量である。
この際、バッチ間の膜品質の差を考慮して、Mo膜、プリカーサ膜、CIGS層の作製を通して、測定対象のガラス基板と同じバッチで基準ガラス基板を処理した。
続いて、測定対象のガラス基板をSIMS測定する際には、リファレンスとして、同じバッチで処理した基準ガラス基板を用いた。
相対K拡散量は、上記した相対Na拡散量と同様にして測定した。
具体的には、上記RTA装置による加熱処理の第2段階終了後、試料を二次イオン質量分析法(SIMS)にてCIGS層中の39Kの積分強度を測定した。各表に示す相対K拡散量は、表1に示す基準ガラス基板の39Kの積分強度を1.00としたときの相対量である。
(ヤング率)
厚さが1〜4mm、3cm×3cmのガラス板について、超音波パルス法で算出した。
(比重)
比重はアルキメデス法で測定した。
各表に示すとおり、
各実施例のガラス基板は、σHazeとΔHaze値が小さくヤケおよびヤケのばらつきを防ぐことができ、アルカリ拡散量が多く光電変換率に優れることがわかった。また、各実施例のガラス基板は、ガラス転移温度が580℃以下で扱いやすいことがわかった。また、各実施例のガラス基板のヤング率、線膨張係数、比重はいずれも適正な範囲であった。
例1〜例15では、Al量が多く、KO量が少ないもので、Al+(3×KO)を4以上にしており、いずれの評価も良好であった。
例16〜例18、例20〜例24では、Al量が少ないもので、Al+(3×KO)を4以上にしており、いずれの評価も良好であった。
例19では、実施例の中でもKO量が少ないものであり、KO/(NaO+KO)が小さくなったが、Al+(3×KO)を4以上にしており、良好な結果が得られた。例19では、K拡散量が少なくなったが、Na拡散量を含めた全体的なアルカリ拡散量は十分に得ることができた。
例20〜例24では、R’O/ROが0.93以上であり、Na拡散量が低下したが、Al+(3×KO)を4以上にしており、K拡散量を含めた全体的なアルカリ拡散量は十分に得ることができ、いずれの結果も良好であった。
各例25〜例29のガラス基板は、Al+(3×KO)が4未満であり、σHaze、ΔHaze値が大きくヤケ発生の問題が生じた。
さらに、例26、及び例28では、Dが1未満であり、総アルカリ拡散量が低下した。
さらに、例26、例28及び例29では、KO量が小さく、K拡散量が低下した。
例30及び例31では、Dが13より大きく、K拡散量が過剰となり、電池効率低下の要因となる懸念がある。
本発明に係るガラス基板は、太陽電池用ガラス基板、なかでもCIGS太陽電池用ガラス基板に好ましく利用できる。例えば、太陽電池用ガラス基板及び/または太陽電池用カバーガラスに利用できる。これによって、耐候性及び発電効率に優れた太陽電池を提供できる。
1 太陽電池
5、22 ガラス基板
7 プラス電極
9 CIGS層またはCZTS層
11 バッファ層
13、23 透明導電膜
15 マイナス電極
17 反射防止膜
19 カバーガラス

Claims (5)

  1. 酸化物基準の質量百分率表示で、
    SiOが66%以上73%以下、
    Alが1%以上8%以下、
    NaOが7%以上20%以下、
    Oが0.1%以上9%以下、
    MgOが0%以上10%以下、
    CaOが0%超過15%以下、
    Al+(3×KO)≧4.0であり、
    下記式(1)の値であるDが1<D<13を満たし、
    ガラス転移温度が580℃以下である太陽電池用ガラス基板であって、
    ガラス基板の第一の主面に垂直な方向に切断することで、ガラス基板の中心部分から縦90mm×横180mmの寸法で採取されたサンプルAを、60℃‐95RH%の恒温恒湿槽に4日間保持した後の、前記サンプルAを縦30mm×横20mmの27領域に分けた各領域の中心部分におけるHaze値の標準偏差σHazeが3.00%以下である、太陽電池用ガラス基板。
    =−0.34×Al+0.51×NaO+3.23×KO−1.14×CaO−1.29×MgO+8.87 ・・・ 式(1)
  2. 酸化物基準の質量百分率表示で、
    LiOが1.0%以下、
    ZrOが1.0%以下、
    が0.8%以下、
    TiOが1.0%未満、
    BaO+SrO+ZrO≦1.0%である、請求項1に記載の太陽電池用ガラス基板。
  3. 酸化物基準の質量百分率表示で、(MgO+CaO)/(NaO+KO)<0.93である、請求項1または2に記載の太陽電池用ガラス基板。
  4. 酸化物基準の質量百分率表示で、Al+(3×KO)≦15.0である、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池用ガラス基板。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池用ガラス基板、及び前記太陽電池用ガラス基板に形成されCIGS系化合物を含む光電変換層を有する、CIGS太陽電池。
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