以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜6には、本発明の一実施形態としての電気接続箱10が、示されている。図1に示されているように、電気接続箱10は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって形成されたケースであるアッパケース12とロアケース14の間に、回路基板を構成するプリント基板16が収容された構造とされている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上方とは、アッパケース12側、下方とは、ロアケース14側、前方とは、図2中の左方、後方とは、図2中の右方を言うものとする。
図1〜2に示されているように、プリント基板16の一方の端部には、プリント基板16に対して側方から図示しない電気部品としてのヒューズの接続を可能にする、側方部品接続部としてのヒューズモジュール18が載置されて実装されている。なお、従来公知のように、プリント基板16には、ヒューズモジュール18と共に、リレーやコネクタ等の各種の電気部品(図示省略)が実装されている。また、図3〜6に示されているように、ヒューズモジュール18は、プリント基板16に載置される絶縁板20と、絶縁板20上に組み付けられる部品保持ケース22を備えている。さらに、ヒューズモジュール18は、絶縁板20の上面に載置され支持された複数のバスバー24,26や、複数の基板端子28a〜cを含んで構成されている。バスバー24,26や基板端子28a〜cはいずれも、一端部がプリント基板16に半田付けにより導通された導通部材である。
より詳細には、図4に示されているように、基板端子28a〜cは、例えば銅や銅合金等の金属板から打ち抜かれて直角に屈曲された略L字形状とされており、基板端子28a〜cの一方の端部には、プリント基板16に半田付けされる半田付部30a〜cが設けられている。基板端子28a〜cの大きさは相互に異ならされており、プリント基板16上に立設された際のプリント基板16からの突出高さが、相互に異なるようにされている。また、各基板端子28a〜cの他方の端部には、音叉形状を有する接続端子部32a〜cが設けられている。すなわち、接続端子部32a〜cは、一対の圧接刃を備えた周知の音叉形状を有しており、圧接刃の間に、図示しないヒューズのタブ端子が圧入されるようになっているのである。さらに、音叉形状を有する接続端子部32a〜cの基端部の幅方向の両側には、幅方向の外方に向かって開口する略矩形凹状の一対の係合部34、34が設けられており、後述する支持ピン52がかかる係合部34に係合されるようになっている。
一方、絶縁板20上に載置されるバスバー24,26は、プレス加工で打ち抜かれた例えば銅や銅合金等の金属板によって形成されている。図4に示されているように、バスバー24はクランク形状を有しており、略平板形状とされた上壁部36と、上壁部36から垂直に屈曲して上壁部36と直交して下方に延びる後壁部38と、後壁部38の下端から垂直に屈曲して後壁部38と直交して延びる平板部40を有している。また、図4〜5に示されているように、バスバー24の平板部40の側縁部には、タブ端子42が突設されている。なお、バスバー26は、水平方向に広がる略矩形平板形状を有しており、バスバー26の側縁部には、タブ端子44が突設されている。そして、これらのタブ端子42,44は、後述する絶縁板20のコネクタハウジング53内に収容配置されるようになっている。
さらに、バスバー24の平板部40側の延出端部やバスバー26のタブ端子44が突設されていない側の側縁部には、プリント基板16に向かって突出する複数の半田付部46が一体形成されており、プリント基板16に貫設されたスルーホール48に挿通されて半田付け固定されるようになっている。
図4に示されているように、バスバー24の上壁部36側の延出端部には、複数の音叉形状を有する接続端子部50が並列状態で一体形成されている。かかる接続端子部50は、互いに離隔位置された一対の圧接刃からなる周知の音叉形状を有しており、圧接刃の間に図示しないヒューズのタブ端子が圧入されることによりヒューズに対して接続可能とされている。
このような構造とされたバスバー24,26が、プリント基板16上に載置された絶縁板20に載置されて支持されている。図4に示されているように、絶縁板20は、全体として略矩形平板形状を呈しており、バスバー24,26や基板端子28a〜cをプリント基板16に半田付けする際の耐熱性を確保すべく、耐熱性の高い硝子繊維含有のPBT等の非導電性の合成樹脂から形成された一体成形品とされている。また、絶縁板20には、前端側(図4中、右斜め下方側)に位置して、複数の支持ピン52が一直線上に並列して形成されている。支持ピン52は、絶縁板20から上方(プリント基板16に垂直となる垂直方向)に突出する略凸字断面の棒形状とされている。さらに、絶縁板20の長手方向の一方の端部側(図4中、左斜め下方側)には、絶縁板20の長手方向外方に向かって開口する略角筒状の2つのコネクタハウジング53が形成されている。加えて、図4〜5に示されているように、絶縁板20の前端側(図4中、右斜め下方側)における幅方向両端部には、略90°の範囲で広がる1/4円形状の凹部とされた脚部54が形成されており、脚部54の中央部分には、ねじ貫通孔56が貫設されている。
一方、部品保持ケース22は、絶縁板20よりも耐熱性が低い、PBTやPA等の汎用エンジニアリングプラスチック等の非導電性の合成樹脂から形成されており、図4〜5に示されているように、絶縁板20と略等しい幅方向寸法を有する長手ブロック形状を呈している。
部品保持ケース22には、部品保持ケース22をプリント基板16の表面に水平となる水平方向すなわち側方に貫通して部品保持ケース22の奥行方向(図5中、左右方向)に延びる複数の部品装着孔58が設けられている。これら複数の部品装着孔58は、部品保持ケース22の幅方向に一直線上に整列配置されると共に部品保持ケース22の高さ方向で上下2段に分かれて形成されている(図1および図4参照)。そして、上記水平方向に突出する、基板端子28a〜cの接続端子部32a〜cやバスバー24の接続端子部50が、ヒューズモジュール18の幅方向と高さ方向に整列配置されている。かかる接続端子部32a〜c,50が各部品装着孔58の後方側に設けられた端子保持部60に対して収容配置されると共に、部品装着孔58の前方側に設けられた電気部品装着部であるヒューズ装着部62に図示しないヒューズが装着されることにより、ヒューズのタブ端子が接続端子部32a〜c,50に対して接続可能とされている。
また、部品保持ケース22の奥行方向(図4中、左右方向)の略中央部において、プリント基板16に表面に垂直となる垂直方向(図4中、上下方向)に貫設されかつ支持ピン52を収容配置する複数の支持ピン挿通孔64が、部品保持ケース22の幅方向に一直線上に整列配置されている。これにより、部品保持ケース22の上壁部66において、上記垂直方向で支持ピン挿通孔64内に配設された支持ピン52と対向する位置に貫通窓68が貫設されているのである。より詳細には、図6に示されているように、支持ピン52の先端の正規配設位置において、支持ピン52の先端部が、ヒューズモジュール18の高さ方向(図6中、上方向)で最上位すなわち最も上壁部66側に配設されたバスバー24の接続端子部50よりも上方でかつ貫通窓68から突出しない位置に配置されているのである。
さらに、図5に示されているように、部品保持ケース22の上壁部66において、貫通窓68よりも後方側には後方に向かって開口する略矩形状の切欠部70が設けられており、かかる切欠部70を介してヒューズモジュール18の上記高さ方向で最上位すなわち最も上壁部66側に配設されたバスバー24の接続端子部50の基端部である上壁部36が露呈されているのである。
加えて、図1〜4に示されているように、部品保持ケース22の幅方向両端部においては、プリント基板16側に向かって突出する係合突部72が一体形成されている。係合突部72は円筒形状とされており、内部には底面側(プリント基板16側)に開口するねじ孔74設けられている。
上述の如き構造とされたヒューズモジュール18を組み立てる場合には、図4に示されているように、先ず、部品保持ケース22の後方側(図4中、左側)から、バスバー24の接続端子部50や、基板端子28a〜cの接続端子部32a〜cを、所定の部品装着孔58に挿し入れる。なお、図1および図3に示す部品保持ケース22では、部品装着孔58の後方側に設けられた端子保持部60に所定のバスバー24の接続端子部50や、基板端子28a〜cの接続端子部32a〜cが配設されており、部品装着孔58の前方側に設けられたヒューズ装着部62から、接続端子部32a〜c,50の圧接刃が臨まされている。
次に、バスバー24や基板端子28a〜cが収容配置された部品保持ケース22を、絶縁板20に上方から重ね合せる。この際、絶縁板20に突設された複数の支持ピン52を、部品保持ケース22の対応する位置に設けられた複数の支持ピン挿通孔64にそれぞれ挿通することによって、部品保持ケース22を絶縁板20に位置決めして組み付けることができるようになっている。なお、各支持ピン52は、バスバー24や基板端子28a〜cの接続端子部32a〜c,50の基端部の側縁部を凹状に切り欠くことにより設けられた係合部34に嵌合することにより、図示しないヒューズのタブ端子を接続端子部32a〜c,50の圧接刃間に挿入/抜去する際の、挿抜力を支持できるようになっている。
また、部品保持ケース22が絶縁板20に重ね合わされる際には、バスバー24に設けられた半田付部46や、基板端子28a〜cに設けられた半田付部30a〜cが、絶縁板20に設けられた図示しない挿通孔に挿通されて、絶縁板20の下方に突出されるようになっている。さらに、バスバー24,26に設けられたタブ端子42,44は、絶縁板20のコネクタハウジング53内に収容配置されて、かかるコネクタハウジング53に図示しない相手側コネクタが装着されることにより、これらのタブ端子42,44を介してバスバー24,26に外部から電源や信号が入力されるようになっている。
加えて、部品保持ケース22が絶縁板20に重ね合わされると、部品保持ケース22の係合突部72は絶縁板20の脚部54に形成されたねじ貫通孔56上に載置され、係合突部72に設けられたねじ孔74が、絶縁板20に設けられたねじ貫通孔56に略同軸状に位置決めされる。また、図3〜4に示されているように、部品保持ケース22の長手方向両側面には、係合突部72の近傍に係止爪76が突設されており、かかる係止爪76に対して絶縁板20の脚部54の近傍に片持ち状に突設された係合枠体78がロック嵌合されることにより、部品保持ケース22と絶縁板20が位置決めされた状態でロック固定されるようになっている。
このようにして形成されたヒューズモジュール18が、プリント基板16の一方の側端部に載置される。ヒューズモジュール18をプリント基板16に載置するに際しては、絶縁板20から突出されたバスバー24の半田付部46と、基板端子28a〜cの半田付部30a〜cを、プリント基板16に貫設されたスルーホール48にそれぞれ挿通される。併せて、互いに略同軸状に位置合わせされた部品保持ケース22の係合突部72に設けられたねじ孔74と、絶縁板20の脚部54に形成されたねじ貫通孔56が、プリント基板16に設けられた図示しない挿通孔上に位置合わせされて重ね合される。そして、プリント基板16の裏面側から、図示しない固定用ボルトを、挿通孔とねじ貫通孔56に挿通して係合突部72のねじ孔74にねじ込むことにより、係合突部72が絶縁板20を介してプリント基板16に固定される。これにより、部品保持ケース22がプリント基板16に対して強固に固定されると共に、絶縁板20が、部品保持ケース22の係合突部72とプリント基板16との間で挟持されて固定されるようになっているのである。
このように、プリント基板16上にヒューズモジュール18を固定した後、プリント基板16のスルーホール48に挿通されたバスバー24の半田付部46や基板端子28a〜cの半田付部30a〜c等と、プリント基板16においてヒューズモジュール18と同一面に実装される図示しないリレー等の電気部品のリード部等を、例えばフロー半田付け等の公知の手法により、プリント基板16に半田付けする。その結果、ヒューズモジュール18がプリント基板16の側方に配設された状態で固定されると共に、バスバー24,26や基板端子28a〜c等が、プリント基板16に設けられた図示しないプリント配線と電気的に接続されるようになっているのである。
最後に、このような構造とされたプリント基板16をアッパケース12とロアケース14の間に収容して、アッパケース12とロアケース14が相互に組み付けられることにより、電気接続箱10が完成されるのである。すなわち、ヒューズモジュール18が両ケース12,14の側面開口部80a,80b間に収容配置されることにより、側方部品接続部であるヒューズモジュール18が両ケース12,14の側方に開口した状態で配設されるのである(図1参照)。そして、電気部品としての図示しないヒューズが、各ヒューズ装着部62に対してプリント基板16の側方から差し込まれて装着されることにより、ヒューズ装着部62に挿入された各ヒューズのタブ端子が、部品装着孔58内に配設されたバスバー24の接続端子部50や、基板端子28a〜cの接続端子部32a〜cの圧接刃間に圧入されて接続されるようになっている。
本実施形態における電気接続箱10によれば、部品保持ケース22には、部品保持ケース22をプリント基板16の表面に水平となる水平方向すなわち側方に貫通する複数の部品装着孔58が形成されており、部品装着孔58の後方側に端子保持部60が設けられている一方、部品装着孔58の前方側に電気部品装着部であるヒューズ装着部62が設けられている。これにより、部品保持ケース22を、端子保持部60とヒューズ装着部62が一体化されたものとすることができることから、部品点数の削減や組付工数の低減による組付作業性の効率化を図ることができる。しかも、このような部品保持ケース22を用いた場合であっても、部品保持ケース22の上壁部66に、垂直方向で支持ピン挿通孔64内に配設された支持ピン52と対向する位置に貫通窓68が貫設されていることから、部品保持ケース22を絶縁板20の上方から組み付ける際に、貫通窓68を通じて支持ピン52の位置を容易に確認することができる。したがって、各支持ピン52を所望の接続端子部32a〜c,50の係合部34に係合させる作業を容易に行うことができると共に、支持ピン52の係合部34に対する係合状態の確認も目視や機械検査により確実に実行することができる。それゆえ、支持ピン52の所望の接続端子部32a〜c,50の係合部34に対する組付作業性や確実性の向上を、端子保持部60とヒューズ装着部62を一体化した部品保持ケース22を用いつつ達成することができるのである。
また、支持ピン52の正規配設位置において、支持ピン52の先端部が、ヒューズモジュール18の高さ方向で最上位すなわち最も上壁部66側に配設されたバスバー24の接続端子部50よりも上方に設定されていることから、支持ピン52の正規組み付け状態の可否を外部から一層容易に確認することができる。しかも、支持ピン52の正規配設位置において、支持ピン52の先端部が、貫通窓68から突出しない位置に配置されていることから、側方部品接続部としてのヒューズモジュール18が搭載されたプリント基板16をケース12,14内に組み付ける際に、支持ピン52がケース12,14等に干渉すること等の不具合を未然に防止することができる。
加えて、部品保持ケース22の上壁部36の貫通窓68よりも後方側に設けられた切欠部70を介して、最上位すなわち最も上壁部66側に配設されたバスバー24の接続端子部50の基端部A(図5参照)が露呈されている。これにより、車種等によってヒューズモジュール18に収容配置されるバスバー24の回路構成が異なる場合に、基端部Aの形状を確認することで車種等による回路構成の違いを目視や機械検査等により容易に確認することができる。それゆえ、部品保持ケース22が端子保持部60とヒューズ装着部62を一体化したものであったとしても、部品保持ケース22の上壁部36に切欠部70を設けるだけの簡単な構造で、車種等による回路構成の種別の確認を容易に行うことが可能となり、さらなる作業効率性や作業確実性の向上を同時に達成することができるのである。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、側方部品接続部として、ヒューズが接続されるヒューズモジュール18を例示したが、側方部品接続部は、リレーやコネクタ等の他の電気部品が接続されるものであってもよい。その場合には、バスバー24や基板端子28a〜cに設けられる接続端子部32a〜c,50の形状は、音叉形状以外のタブ形状とされてもよい。なお、バスバー24や基板端子28a〜cの形状や個数、配設レイアウト等は、要求される回路構成により任意に変更されるものである。