以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、実施形態1に係る表示装置の重畳表示装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。図3は、図2中のA−Aの模式的な断面図である。図4は、図3中の囲み線B内の部分的な断面図である。図5は、実施形態1に係る表示装置のディスプレイの概略構成を示す模式的な分解斜視図である。図6は、ディスプレイの偏光方向と溝の延在方向とが直交する場合の画像表示面及び透明導光板の模式的な正面図である。図7は、ディスプレイの偏光方向と溝の延在方向とが直交する場合の作用を説明する模式図である。図8は、ディスプレイの偏光方向と溝の延在方向とが所定の角度で交差する場合の画像表示面及び透明導光板の模式的な正面図である。図9、図10は、ディスプレイの偏光方向と溝の延在方向とが所定の角度で交差する場合の作用を説明する模式図である。図11は、ディスプレイの偏光方向と溝の延在方向とが平行である場合の画像表示面及び透明導光板の模式的な正面図である。図12は、ディスプレイの偏光方向と溝の延在方向とが平行である場合の作用を説明する模式図である。図13、図14、図15、図16、図17、図18は、表示装置の輝度実測試験の前提条件について説明する模式図である。図19は、実施例に係る表示装置の輝度実測試験の結果を表す線図である。図20は、比較例に係る表示装置において虚像が発生する原理について説明する模式図である。図21は、実施形態に係る表示装置における溝ピッチについて説明する模式図である。図22は、実施形態に係る表示装置においてアイレンジ内の目視位置にて虚像が抑制される原理について説明するための模式図である。図23は、実施形態に係る表示装置のディスプレイの輝度分布を表す線図である。図24は、溝ピッチが1μmである場合のアイレンジ内での結像の有無を評価するための線図である。図25は、溝ピッチが0.5μmである場合のアイレンジ内での結像の有無を評価するための線図である。図26は、溝ピッチが0.4μmである場合のアイレンジ内での結像の有無を評価するための線図である。図27は、変形例に係る表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
本実施形態に係る表示装置1は、図1に示すように、いわゆるメータを構成するものであり、例えば、自動車等の車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される種々の情報を表示する。なお、図1に示す表示装置1の幅方向とは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の車幅方向に相当する。表示装置1の幅方向において、表示装置1の前面に向かって一方側(図1中向かって手前側)が車両の運転席側に相当し、表示装置1の前面に向かって他方側(図1中向かって奥側)が車両の助手席側に相当するがこの逆でもよい。また、図1に示す表示装置1の奥行き方向とは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の前後方向(言い換えれば、車両進行方向)に相当する。また、表示装置1の前面側とは、車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、表示装置1の背面側とは、奥行き方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。
具体的には、表示装置1は、筐体2と、画像表示装置としてのディスプレイ3と、文字板4と、重畳表示装置5と、見返し板6とを備える。表示装置1は、奥行き方向の背面側から前面側に向かって、筐体2、ディスプレイ3、文字板4、重畳表示装置5、見返し板6の順で積層された構造となっている。
筐体2は、表示装置1を構成する種々の部品が組み付けられこれらを収容するケースを構成するものである。
ディスプレイ3は、制御装置等を介して駆動制御され、画像表示面3aに種々の画像を表示するものである。ディスプレイ3は、ツーレイヤー式の表示装置1において、奥行き方向背面側に位置する表示部であり、車両情報を表示する第1層目の表示面(後述する第1表示面51)を構成する。ディスプレイ3は、例えば、薄型の液晶ディスプレイを用いることができるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることもできる。画像表示面3aに表示される画像としては、例えば、車両の速度やエコ走行等に関する情報の他、積算走行距離、冷却水温、走行用動力源の出力回転数、燃料残量、バッテリ蓄電量等、車両の運転に際して時々刻々と変化する様々な運転に関する運転情報が含まれてもよい。
文字板4は、各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)、シフトポジションインジケータ、方向指示記号等に応じた種々の記号、文字、図形等が描かれた板状の部材である。文字板4は、背面側から光が照射され、記号、文字、図形等が描かれた部分において当該照射された光が透過されることで、当該記号、文字、図形等が点灯表示される。
上述のディスプレイ3は、前面側の表面が文字板4から露出しており、このディスプレイ3の前面側の表面が画像表示面3aを構成する。当該画像表示面3aは、車両情報に関する実像画像51aを表示する第1表示面51を構成する。ここで、車両情報は、表示装置1が搭載される車両の車両状態及び走行状況等、上述の様々な運転に関する運転情報を含み、第1表示面51は、これらの情報を実像画像51aとして表示することで運転者等に提示する。第1表示面51は、オン状態で実像画像51aを表示可能な状態となり、オフ状態で当該実像画像51aが非表示となる。
重畳表示装置5は、ツーレイヤー式の表示装置1において、奥行き方向前面側に位置する表示部であり、所定の図柄を表示する第2層目の表示面(後述する第2表示面52)を構成する。重畳表示装置5は、図1、図2、図3、図4に示すように、透明導光板5aと、光源5bとを有する。透明導光板5aは、画像表示面3aの前面側に重ねて設けられる。透明導光板5aは、ディスプレイ3から照射された光を透過する透過性を有する透明部材(透明媒体)によって形成される。透明導光板5aは、図柄(表示意匠)5cを構成する微細な溝5dが形成される。図柄5cを構成する溝5dは、例えば、当該溝5dに相当する凸形状を設けた金型を用いて透明導光板5aを樹脂成形することによって、透明導光板5aの主面上、ここでは、当該透明導光板5aの背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。また、図柄5cを構成する溝5dは、例えば、レーザー加工等の種々の手法による掘り込みによって、透明導光板5aの主面上、ここでは、当該透明導光板5aの背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。透明導光板5aに溝5dによって形成される図柄5cとしては、例えば、ディスプレイ3で表示される運転情報と関連するような種々の図柄が含まれてもよい。図1の例では、図柄5cは、例えば、「車両を模した車体記号(アイコン)」であり、図2等の例では、図柄5cは、例えば、数字の「2」であるがこれらに限らない。光源5bは、透明導光板5aの端面に光を照射する。光源5bは、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等によって構成されるが、これに限らない。光源5bは、その光軸方向が透明導光板5aの端面と直交し、かつ、照射された光が透明導光板5aの端面から入射するように設けられている。なお、溝5dの延在方向や光源5bによる光の照射方向等については、後で詳細に説明する。
重畳表示装置5は、光源5bが制御装置等を介して駆動制御されることで、光源5bの点灯、消灯に基づいて、図柄5cの表示、非表示が切り替えられる。重畳表示装置5は、光源5bが点灯すると図柄5cが表示された状態となり、すなわち、光源5bから照射された光が透明導光板5aの端面に入射して当該透明導光板5a内を伝播し、少なくとも当該入射光の一部の成分が図柄5cを構成する溝5dで前面側に反射し、この結果、運転者等が当該図柄5cを視認可能な状態となる(図3、図4等参照)。この場合、重畳表示装置5は、運転者が前面側(運転席側)から視たときに、透明導光板5a上に表示される図柄5cを、当該透明導光板5aの背面側に位置するディスプレイ3の画像表示面3a上の画像に重畳させて表示して所定の意匠を形成し、これにより、多様な表示を可能とすることができる。一方、重畳表示装置5は、光源5bが消灯すると図柄5cが非表示の状態となり、ディスプレイ3から照射され透明導光板5aを透過した光によって、運転者等が画像表示面3aに表示された種々の画像を視認しやすい状態となる。
上記のように溝5dが形成された透明導光板5aの背面側の主面は、第1表示面51に重ねて設けられ光を透過すると共に、第1表示面51が実像画像51aを表示可能であるオン状態である状態で、表示状態と非表示状態とを切り替え可能である第2表示面52を構成する。ここで、第2表示面52の表示状態とは、光源5bから照射される光によって実像図柄52aを表示する状態である。実像図柄52aとは、上述した図柄5cであり、ここでは、例えば、上述した「車両を模した車体記号(アイコン)」、すなわち、車両のシンボル等である。一方、第2表示面52の非表示状態とは、光源5bが消灯することで当該実像図柄52aを非表示とする状態である。
上述の第1表示面51と第2表示面52とは、奥行き方向、言い換えれば、車両進行方向に、重ねられた複数の表示面を構成し、第1表示面51が当該複数の表示面の車両進行方向奥側の表示面を構成し、第2表示面52が当該複数の表示面の車両進行方向手前側(運転者等の目視者の目視位置側)の表示面を構成する。
見返し板6は、文字板4、透明導光板5a等の周囲を囲って当該文字板4、透明導光板5a等を押える枠状の部材である。
そして、本実施形態の表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向と図柄5cを構成する溝5dの延在方向とが所定の角度範囲で交差するように構成することで、ディスプレイ3と重畳表示装置5とを組み合わせて多様な表示を実現した上で、適正な視認性を確保することができるようにしている。ここで、ディスプレイ3の偏光方向とは、典型的には、ディスプレイ3における最終的な透過軸方向に相当し、溝5dの延在方向とは、典型的には、当該溝5dが延びる方向に相当する。
ここで、本実施形態のディスプレイ3は、一方向に偏光された光を照射し画像を表示する構成となっている。具体的には、ディスプレイ3は、図5に示すように、奥行き方向の背面側から前面側に向かって、バックライト3b、第1偏光板3c、ガラス基板(電極)3d、液晶層3e、ガラス基板(電極)3f、第2偏光板3gの順で積層された構造となっている。ディスプレイ3は、典型的には、第2偏光板3gの前面が上述の画像表示面3aの表面を構成し、この第2偏光板3gの前面側に透明導光板5aが配置される。
ディスプレイ3において、バックライト3bから発せられた光の電場方向は、典型的には、あらゆる方向に振動している。第1偏光板3cは、当該バックライト3bから発せられた光において、第1の偏光方向、ここでは図5中矢印L1で示す水平方向の成分の電場のみを透過させる。つまり、第1偏光板3cは、第1の偏光方向である水平方向を透過軸方向とし、当該透過軸方向に振動する光を透過する一方、当該透過軸方向と直交する吸収軸方向に振動する光を遮断する。第2偏光板3gは、第1偏光板3cを透過しガラス基板3d、液晶層3e、ガラス基板3fを介してねじられた光において、第2の偏光方向、ここでは図5中矢印L2で示す鉛直方向の成分の電場のみを透過させる。つまり、第2偏光板3gは、第2の偏光方向である鉛直方向を透過軸方向とし、当該透過軸方向に振動する光を透過する一方、当該透過軸方向と直交する吸収軸方向に振動する光を遮断する。第1偏光板3cを透過しガラス基板3d、液晶層3e、ガラス基板3fを介してねじられた光の電場の方向は、最終的には、当該第2偏光板3gの透過軸方向、ここでは、鉛直方向に揃えられる。そして、第2偏光板3gの透過軸方向(偏光方向)、ここでは、鉛直方向に沿った振動方向の光が透明導光板5aに入射する。つまり、本実施形態のディスプレイ3の最終的な偏光方向、言い換えれば、ディスプレイ3の最終的な透過軸方向は、第2偏光板3gの偏光方向(図5中の矢印L2の方向)、言い換えれば、第2偏光板3gの透過軸方向に相当し、ここでは、鉛直方向に沿った方向となっている。以下、このディスプレイ3の最終的な偏光方向を「偏光方向L2」という場合がある。
一方、図柄(表示意匠)5cを構成する複数の微細な溝5dは、例えば、図4等に示すように、略V字状の断面形状で、ピッチが1μm以下(下限値は例えば製造上可能な寸法)で形成されることが好ましい。また、各溝5dは、一方向に延在する直線溝として形成される。また、透明導光板5aは、透明導光板5aにおける図柄5cの領域の材質の透過率と透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成される。このような微細な溝5dによって構成される回折格子では、光の振動方向が溝5dの延在方向(図5中の矢印L3等参照)に対して垂直(直交)である場合と、平行である場合とで回折効率が異なる傾向にある。すなわち、このような微細な溝5dによって構成される回折格子は、典型的には、振動方向が溝5dの延在方向L3に対して垂直である光を透過する一方、振動方向が溝5dの延在方向L3に対して平行である光を遮断する傾向にある。つまり、透明導光板5a上に形成された微細な溝5dは、偏光板と類似する作用を示し、溝5dの延在方向L3と直交する方向を透過軸方向とし、当該透過軸方向に振動する光を透過する一方、当該透過軸方向と直交する吸収軸方向(溝5dの延在方向L3)に振動する光の大部分を遮断する。
本実施形態の表示装置1は、ディスプレイ3の画像表示面3a(第1表示面51)と透明導光板5a(第2表示面52)上に形成された溝5dとを重ね合わせると共に、上記のように、溝5dの延在方向L3とディスプレイ3の偏光方向(透過軸方向)L2との関係に応じて、溝5dが形成された領域を透過する透過光が変化することを利用して、透明導光板5a上の図柄5c(実像図柄52a)を非表示とした場合に、当該透明導光板5a上の図柄5cを構成する溝5dが視認され難くなる構成を実現している。
具体的には、本実施形態の表示装置1は、図6に示すように、ディスプレイ3の偏光方向L2と図柄5cを構成する溝5dの延在方向L3とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成される。図6では、ディスプレイ3の画像表示面3aの領域において、ディスプレイ3の偏光方向L2、言い換えれば、ディスプレイ3の透過軸を線によって模式的に図示している。ディスプレイ3の偏光方向(透過軸方向)L2と図柄5cを構成する溝5dの延在方向L3とがなす角度を角度θとした場合、溝5dは、角度θが[75°≦θ≦105°]の条件式を満たすように透明導光板5a上に形成される。つまり、偏光方向L2と延在方向L3とは、75°以上105°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。より好ましくは、偏光方向L2と延在方向L3とは、85°以上95°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。
ここでは、ディスプレイ3の偏光方向L2と図柄5cを構成する溝5dの延在方向L3とは直交する。さらに言えば、溝5dは、溝5dの延在方向L3がディスプレイ3の偏光方向L2と直交し、当該微細な溝5dによって構成される回折格子の透過軸方向が偏光方向L2と平行となるように透明導光板5a上に形成される。なお、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが直交するという場合、θ=90°である場合に加え、例えば、表示装置1の製造上許容される公差に応じた許容誤差角度αの範囲内での誤差が許容される。すなわち、溝5dは、角度θが[θ≒90°]となるように透明導光板5a上に形成される。
上記のように構成される表示装置1は、図7に示すように、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが直交するように構成され(θ=90°)、言い換えれば、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの透過軸方向とが平行となるように構成される。これにより、表示装置1は、光源5bが消灯した状態で、図柄5c内部の領域では、図柄5c外部の領域と同様に、ディスプレイ3からの光をほぼ全て透過する。この結果、表示装置1は、図柄5cの領域と図柄5cの周囲の領域とで透過光の振幅がほぼ同等となり、図柄5cの領域と図柄5cの周囲の領域との輝度に差がほぼない状態となる。すなわち、表示装置1は、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の比率を表す輝度比(以下、単に「図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比」という場合がある。)が最大となるので、図柄5cの周囲の領域に対して図柄5cの領域が目立ちにくくなり、図柄5cを視認しにくくすることができる。
ここで、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比は、典型的には、「図柄5cの領域の輝度/図柄5cの周囲の領域の輝度×100[%]」で表すことができる。図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比は、当該輝度比が100%である場合、図柄5cの周囲の領域の輝度と図柄5cの領域の輝度とが同等であることを表し、当該輝度比が小さくなるほど図柄5cの周囲の領域と図柄5cの領域との輝度差が相対的に大きいことを表す。
一方、表示装置1は、例えば、偏光方向L2と延在方向L3とが直交する状態(θ=90°)から、図8に示すように、画像表示面3aに対して透明導光板5aを相対回転させ偏光方向L2と延在方向L3とが所定の角度(θ≠90°)で交差する状態とすると、図9、図10に示すように、図柄5cの領域の透過光の振幅が図柄5cの周囲の領域の透過光の振幅より小さくなる傾向にある。すなわちこの場合、表示装置1は、図10に示すように、図柄5cの領域を透過する光の振幅成分が減衰され、これにより、図9に示すように、図柄5cの領域での透過光の振幅が図柄5cの周囲の領域での透過光の振幅より小さくなる。この結果、表示装置1は、図7の場合と比較して、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が相対的に小さくなり、図柄5cの周囲の領域に対して図柄5cの領域が相対的に目立つようになる。
しかしながら、表示装置1は、上述したように、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3との角度θが[75°≦θ≦105°]の範囲内(好ましくは、[85°≦θ≦95°])であれば、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が所定の輝度比範囲内に収まるので、図柄5cを視認しにくい状態で維持することができる。ここで、所定の輝度比範囲とは、例えば、90%以上100%以下の範囲、より好ましくは92.5%以上100%以下の範囲である。表示装置1は、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が当該所定の輝度比範囲内であれば図柄5cの周囲の領域に対して図柄5cの領域が目立ちにくくなり、図柄5cを視認しにくくすることができる。つまり、表示装置1は、上述のように、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが、75°以上105°以下の角度範囲、より好ましくは、85°以上95°以下の角度範囲で交差するように構成されることで、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成することができる。
なお、図8に示すような状態から、画像表示面3aに対して透明導光板5aを[75°≦θ≦105°]の範囲を超えてさらに相対回転させ、図11に示すように、偏光方向L2と延在方向L3とが平行となる状態(θ=0°、180°)とすると、図12に示すように、図柄5cの領域の透過光の振幅が図柄5cの周囲の領域の透過光の振幅よりさらに小さくなる。この場合、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が最小となり、図柄5cの周囲の領域に対して図柄5cの領域が目立つようになる(図柄5cの領域が暗く見えるようになる。)。
ここで、図5〜図8を参照して表示装置1に関する輝度実測試験について説明する。ここでは、以上で説明した実施形態に係る表示装置1を試作し、当該表示装置1を用いて透明導光板5aの図柄5c(実像図柄52a)の領域と透明導光板5aの図柄5cの周囲の領域とにおける輝度を、輝度測定用カメラによって実測する輝度実測試験を実施した。本実施例の表示装置1では、図13に示すような配置となるように、ディスプレイ3、透明導光板5a等を配置した。すなわち、本実施例の表示装置1では、透明導光板5aの奥行き方向の厚さを2mmとし、ディスプレイ3の画像表示面(表面)3a、すなわち、第1表示面51と当該透明導光板5aの裏面(背面)、すなわち、第2表示面52との奥行き方向の間隔を4.5mmとした。そして、本実施例の表示装置1では、透明導光板5aの背面、すなわち、透明導光板5aにおいて画像表示面3aと対向する面に、図柄5cを構成する溝5dを形成した。本輝度実測試験におけるZ方向(奥行き方向)に対する輝度測定位置は、当該透明導光板5aの背面上、すなわち、溝5dが形成された第2表示面52上の位置であり、輝度測定用カメラの焦点位置に相当する。そして、本実施例の表示装置1では、図14に示すような形状となるように、溝5dを形成した。すなわち、本実施例の表示装置1では、溝5dを略V字状の断面形状で、かつ、0.5μmピッチで形成した。また、本実施例の表示装置1では、各溝5dの奥行き方向の深さを0.25μmとし、底部がなす角度をほぼ90°(deg)とした。また、本実施例の表示装置1では、各溝5dを一方向に延在する直線溝として形成した。本輝度実測試験におけるX方向(幅方向)及びY方向(鉛直方向)に対する輝度測定位置は、図15に示すように、透明導光板5aにおける図柄5cの領域と透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域とでそれぞれ複数の位置を選定しこれらの平均値を用いた。また、ディスプレイ3の光源色の点灯条件としては、色度図におけるX=0.63、Y=0.35の赤色の光、X=0.31、Y=0.58の緑色の光、X=0.14、Y=0.05の青色の光を用いてそれぞれ輝度実測試験を実施した。
本輝度実測試験では、上記のように構成される表示装置1を用いると共に、図16、図17、図18に示すように、光源5bを消灯した状態で、画像表示面3aに対して透明導光板5aを相対回転させディスプレイ3の偏光方向L2と図柄5c(実像図柄52a)を構成する溝5dの延在方向L3とがなす角度θを変更させながら、上述した輝度測定位置で輝度測定用カメラを用いて透明導光板5aにおける図柄5cの領域の輝度と透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度とを実測した。ここでは、図16は、θ=0°(deg)の状態、すなわち、偏光方向L2と延在方向L3とが平行な状態を表している。本輝度実測試験では、図16の状態から透明導光板5aを左回りに回転させ、図17に示すように、θ=90°(deg)の状態、すなわち、偏光方向L2と延在方向L3とが直交する状態を経て、図18に示すように、θ=180°(deg)となり、偏光方向L2と延在方向L3とが再度平行な状態となるまで、所定の角度間隔、ここでは5°(deg)刻みで各領域での輝度の測定を行った。
図19は、上記の輝度実測試験の結果を表している。図19は、横軸をディスプレイ3の偏光方向L2と図柄5c(実像図柄52a)を構成する溝5dの延在方向L3とがなす角度θ[deg]とし、縦軸を透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比[%]としている。図19中、線Rは、X=0.63、Y=0.35の赤色の光を照射した場合の輝度比を表しており、線Gは、X=0.31、Y=0.58の緑色の光を照射した場合の輝度比を表しており、線Bは、X=0.14、Y=0.05の青色の光を照射した場合の輝度比を表している。
図19からも明らかなように、表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とがなす角度θが[75°≦θ≦105°]の範囲内にある場合、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄5c(実像図柄52a)の周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が90%以上100%以下となり、図柄5cを非表示とした場合に、透明導光板5a上の図柄5cを構成する溝5dを視認されにくくすることができることが明らかである。さらには、表示装置1は、角度θが[85°≦θ≦95°]の範囲内にある場合、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が92.5%以上100%以下となり、溝5dをさらに視認されにくくすることができることが明らかである。そして、表示装置1は、角度θが[θ=90°]である場合、すなわち、偏光方向L2と延在方向L3とが直交する場合に、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が最大となり、溝5dを最も視認されにくくすることができることが明らかである。ここでは、表示装置1は、角度θが[θ=90°]である場合、赤色の光を照射した場合の輝度比が97.4%、緑色の光を照射した場合の輝度比が97.6%、青色の光を照射した場合の輝度比が94%となった。以上のように本実施例の表示装置1は、多様な表示態様を実現した上で、適正な視認性を確保できることが明らかである。
ここでさらに、本実施形態の表示装置1は、図2等に示すように、溝5dの延在方向L3と重畳表示装置5の光源5bによる光の照射方向L4とが直交するように構成される。つまりここでは、ディスプレイ3の偏光方向L2、及び、光源5bによる光の照射方向L4は、鉛直方向に沿った方向であり、溝5dの延在方向L3は、水平方向に沿った方向である。そして、本実施形態の透明導光板5aは、水平方向の長さが鉛直方向の長さより長く形成され、光源5bは、透明導光板5aの鉛直方向下側又は鉛直方向上側に配置される。本実施形態の光源5bは、図柄5cが形成された領域の鉛直方向下側であって透明導光板5aの鉛直方向下側の端面と対向する位置に、幅方向(水平方向)に沿って等間隔で3つが設けられ、鉛直方向上側に向けて光を照射する。各光源5bは、例えば、前面側から視て見返し板6によって隠れる位置に配置される。
第2表示面52は、図3、図4、図5等に示すように、透明導光板5aの背面側の主面に、偏光方向L2、延在方向L3、照射方向L4等が上記のような位置関係となるように複数の微細な溝5dが形成されることで、実像図柄52a(図柄5c)の表示構造53、及び、非表示構造54が構成される。
ここで、第2表示面52の表示構造53とは、第2表示面52の表示状態にて光源5bから照射される光によって実像図柄52a(図柄5c)を形成するための構造である。ここでは、表示構造53は、第2表示面52の表示状態にて、光源5bから照射された光を、第2表示面52を構成する部材である透明導光板5aの表面に形成された凹凸部としての複数の微細な溝5dで反射させることで実像図柄52aを形成する構造である。これにより、表示構造53は、運転者等が第2表示面52上の実像図柄52aを視認可能な状態とすることができる。
一方、第2表示面52の非表示構造54とは、第2表示面52に設けられ非表示状態にて実像図柄52aを視認し難くするための構造である。非表示構造54は、第2表示面52の非表示状態にて少なくとも表示状態と比較して実像図柄52aを視認し難くする。さらに言えば、第2表示面52の非表示構造54とは、第2表示面52の非表示状態にて、光源5bを消灯状態とした上で、凹凸部としての複数の微細な溝5dを視認し難くするための構造である。ここでは、非表示構造54は、光源5bが消灯することで実像図柄52aを視認し難くした上で、さらに、第1表示面51側から第2表示面52側に照射される光の偏光方向、ここでは、ディスプレイ3の偏光方向L2と実像図柄52a(図柄5c)を構成する溝5dの延在方向L3とが所定の角度範囲、典型的には、上記のように75°以上105°以下の角度範囲で交差するように溝5dを形成することで、非表示状態にて溝5d自体を視認し難くする構造(溝延在方向と偏光方向との所定角度交差構造)である。これにより、非表示構造54は、第2表示面52上の実像図柄52aの領域と実像図柄52aの周囲の領域とで透過光の振幅がほぼ同等となるようにし、実像図柄52aの領域と実像図柄52aの周囲の領域との輝度に差がほぼない状態とすることができ、これにより、非表示状態にて、実像図柄52a、及び、これを構成する凹凸部としての複数の微細な溝5dを視認し難くすることができる。
上記のように構成される表示装置1は、第1表示面51と第2表示面52とによって情報を表示する。第1表示面51と第2表示面52は、例えば、第1表示面51に表示される車両情報に関する実像画像51aと第2表示面52に描かれた実像図柄52a(図柄5c)とを連携させた少なくとも1つの情報を表示する。ここで、実像画像51aと実像図柄52aとを連携させた情報とは、典型的には、第1表示面51の実像画像51a又は第2表示面52の実像図柄52aのいずれか一方では情報として意味をなさない情報であり、当該実像画像51aと当該実像図柄52aとを組み合わせて連携させることではじめて情報として意味をなす情報である。つまりここでは、実像画像51aと実像図柄52aとは、それぞれでは意味をなさないものの、相互に組み合わせることではじめて相互に連携した情報として意味をなすものであり、意味をなす連携した情報を生成するためにはいずれも必要不可欠なものである。例えば、表示装置1は、第2表示面52に実像図柄52aとして、車の形状を模した図柄(車両のシンボルを表す実像図柄52a)を設けると共に、第1表示面51を構成する画像表示面3aに車両情報に関する実像画像51aとして、開放されているドアの位置の実像画像51a(図1等参照)を表示させ、これらを重ねて表示することで、実像画像51aと実像図柄52aとを連携させて車両におけるドア開位置に関する情報を表示するようにしてもよい。
ここで、以上で説明した表示装置1は、ディスプレイ3の第1表示面51からの出射光が第2表示面52上で実像図柄52aを構成する複数の微細な溝5dで回折することで、第1表示面51で表示されている画像の虚像が発生するおそれがある。
例えば、図20の比較例に係る表示装置に示すように、第1表示面51から出射され実像図柄52aを構成する複数の微細な溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像することで、アイレンジER内の目視位置にて、第1表示面51で表示されている画像の虚像が視認されることとなる。ここで、アイレンジERとは、「自動車の運転者アイレンジ」であり、車両に応じて予め定まる運転者DRの視点が位置する領域に相当する。アイレンジERは、典型的には、車両において運転者DRの目の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者DRが運転席に座った状態で所定割合(例えば、95%)の運転者DRの目の位置が含まれる領域に相当する。第1表示面51で表示されている画像の虚像は、光の波長に応じて異なる位置に現れる。
例えば、図20中、像55は、第1表示面51で表示されている画像の実像であるのに対して、像56Rは、回折光のうちの赤色光による虚像、像56Gは、回折光のうちの緑色光による虚像、像56Bは、回折光のうちの青色光による虚像である。当該比較例に係る表示装置は、上記のように、アイレンジER内の目視位置にて、第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されるおそれがあり、これにより、視認性が悪化するおそれがある。
これに対して、本実施形態の表示装置1は、図21に示すように、第1表示面51から出射され溝5dで回折した可視光域成分の回折光がアイレンジER内で結像しない溝ピッチdで複数の微細な溝5dが形成される。これにより、表示装置1は、アイレンジER内の目視位置にて、虚像が視認されることを抑制し、第1表示面51で表示されている画像の実像(像55)の適正な視認性を確保している。ここで、可視光域成分とは、人が視認できる波長成分であり、例えば、波長が360〜830nmの範囲の成分である。以下、図22、図23、図24、図25、図26を参照して、本実施形態の表示装置1において、アイレンジER内の目視位置にて虚像が抑制される原理について説明する。
以下、図22を参照して具体例を挙げて説明する。図22に示す具体例では、第1表示面51と第2表示面52への光の入射面と第2表示面52からの光の出射面とは、互いに平行であり、溝5dは、上記のように水平方向に延在するものとして説明する。したがってここでは、第1表示面51の法線L5と第2表示面52への光の入射面及び第2表示面52からの光の出射面の法線L6とは一致している。またここでは、溝5dへの入射光は、水平方向に延在する溝5dによって鉛直方向に沿って回折するので、溝5dによる回折光の結像の有無を評価する場合には、アイレンジERとして、鉛直方向に沿った所定の角度範囲での結像の有無を評価すればよい。ここでは、アイレンジERは、車両に搭載される表示装置1の位置と運転席との幾何学的な位置等に応じて、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした20度の角度範囲(法線L5の上下10度ずつの角度範囲)を想定する。
図22に示すように、微細な溝5dが形成された第2表示面52への入射光、言い換えれば、溝5dへの入射光の入射角(第2表示面52の法線L6と入射光とがなす角度)を「α」とし、第2表示面52からの出射光、言い換えれば、溝5dによる回折光の出射角(第2表示面52の法線L6と出射光とがなす角度)を「β」とし、微細な溝5dの鉛直方向に沿った溝ピッチを「d」とすると、回折の関係式は、例えば、下記の数式(1)で表すことができる。数式(1)において、「λ」は光の波長であり、「m」は、次数(m=±0、1、2、・・・)である。
d(sinα±sinβ)=mλ ・・・ (1)
ここで、ディスプレイ3が第1表示面51から出射する出射光は、図23に示すように、特定の角度範囲の外側の角度では輝度が著しく低くなる傾向にある。図23は、横軸をディスプレイ光の出射角(法線L5と出射光とがなす角度)[deg]とし、縦軸を輝度の相対変化率(=(当該出射角における輝度/最大輝度)×100)[%]としている。なおここでは、第1表示面51の法線L5と第2表示面52の入射面、及び、出射面の法線L6とが一致しており、法線L5と法線L6とがなす角度が0であることから、ディスプレイ光の出射角=溝5dへの入射光の入射角αとなる。
図23からも明らかなように、ディスプレイ3が第1表示面51から出射する出射光の輝度は、出射角=0、すなわち、法線L5上で最大となり、当該法線L5から離れるほど低くなり、特定の角度範囲、ここでは、±40度の角度範囲から外れると顕著に低下する傾向にある。したがってここでは、溝5dによる回折光の結像の有無を評価する場合には、ディスプレイ3から出射された光のうち、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした80度の角度範囲(法線L5の上下40度ずつの角度範囲)の光について、アイレンジER内での結像の有無を評価すれば十分である。
図24、図25、図26は、このような前提のもと、上記の数式(1)を用いて、溝ピッチdを1μm、0.5μm、0.4μmとした場合のそれぞれについて、入射角αと出射角βとを算出し、アイレンジER内での結像の有無を評価した線図である。ここでは、m=1を想定する。図24、図25、図26は、可視光域成分の回折光として、波長λが650nmである赤色光、波長λが550nmである緑色光、波長λが450nmである青色光の回折光がアイレンジER内で結像するか否かについて評価している。図24、図25、図26中、線LBは、上記青色光が入射角αで溝5dに入射した場合の回折光の出射角βの特性を表し、線LGは、上記緑色光が入射角αで溝5dに入射した場合の回折光の出射角βの特性を表し、線LRは、上記赤色光が入射角αで溝5dに入射した場合の回折光の出射角βの特性を表している。図24、図25、図26は、横軸における評価対象となるディスプレイ3からの出射光の角度範囲[0〜α1=0〜40度]と、縦軸におけるアイレンジERの角度範囲[β1〜β2=−10度〜10度]とによって規定される評価対象領域Tに、各線LR、LG、LBが入らなければ、アイレンジER内の目視位置にて当該波長の光の回折光が結像しない、すなわち、虚像が現れないことを表している。
図24に示すように、溝ピッチdを1μm(d=1μm)とした場合、線LR、LG、LBのすべてが評価対象領域Tにかかっていることから、赤色光、緑色光、及び、青色光のすべてについて、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像し、虚像が現れることとなる(図20で説明した状態に相当する。)。一方、図25に示すように、溝ピッチdを0.5μm(d=0.5μm)とした場合、線LR、LG、LBのすべてが評価対象領域Tから外れていることから、赤色光、緑色光、及び、青色光のすべてについて、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像せず、虚像が現れないこととなる(図21で説明した状態に相当する。)。図26に示すように、溝ピッチdを0.4μm(d=0.4μm)とした場合には、図25の場合と比較して、さらに線LR、LG、LBが評価対象領域Tから離間し、赤色光、緑色光、及び、青色光のすべてについて、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像せず、虚像が現れない。このように、本実施形態の表示装置1は、上記のような前提のもとでは、少なくとも複数の微細な溝5dの溝ピッチdを0.5μm以下とすることで、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像せず、虚像が現れないようにすることができる。
本実施形態の表示装置1は、上記で説明した虚像発生抑制構造も第2表示面52の非表示構造54として作用する(図22等参照)。すなわち、表示装置1は、第1表示面51から出射され溝5dで回折した可視光域成分の回折光がアイレンジER内で結像しない溝ピッチd、ここでは、0より大きく0.5μm以下の溝ピッチdで溝5dが形成される。これにより、表示装置1は、第2表示面52の非表示状態にて、溝5dの近傍において第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを抑制することができるので、当該虚像発生に起因して、溝5dによって構成される実像図柄52aの存在が間接的に視認されることを抑制することができ、この結果、当該虚像発生抑制構造も第2表示面52の非表示構造54として作用することとなる。つまり、本実施形態の非表示構造54は、第1表示面51から出射され溝5dで回折した可視光域成分の回折光がアイレンジER内で結像しない溝ピッチdで実像図柄52a(図柄5c)を構成する溝5dを形成することで、非表示状態にて溝5d近傍での実像画像51aの虚像の発生を抑制し溝5d自体を視認し難くする構造(虚像発生抑制構造)も含むものである。
以上で説明した表示装置1によれば、車両情報を表示する第1表示面51、ここでは、車両情報に関する実像画像51aを表示する第1表示面51と、第1表示面51に重ねて設けられ光を透過すると共に、第1表示面51が実像画像51aを表示可能であるオン状態である状態で、光源5bから照射される光によって実像図柄52aを表示する表示状態と、光源5bが消灯することで実像図柄52aを非表示とする非表示状態とを切り替え可能である第2表示面52とを備える。そして、第2表示面52は、表示状態にて光源5bから照射される光によって実像図柄52aを形成する表示構造53と、第2表示面52に設けられ非表示状態にて実像図柄52aを視認し難くする非表示構造54とを有する。
したがって、表示装置1は、第1表示面51に表示される車両情報、ここでは、車両情報に関する実像画像51aと、第1表示面51に重ねて設けられ光を透過する第2表示面52に表示される実像図柄52aとを組み合わせた表示を行うことができる。このとき、第2表示面52は、第1表示面51がオン状態である状態で、第1表示面51での表示とは独立して表示状態と非表示状態とを切り替え可能であり、表示状態にて表示構造53によって光源5bから照射される光で実像図柄52aが形成される一方、非表示状態にて非表示構造54によって実像図柄52aを視認し難くすることができる。この結果、表示装置1は、多様な表示態様を実現することができる。
また、表示装置1は、例えば、ハーフミラー等を用いて、第1表示面51等と重畳する表示面に虚像により図柄5cに相当する表示を行うような表示装置とは異なり、当該虚像を表示面に投影するための反射構造や虚像用の映像装置等を備えなくても、第1表示面51と第2表示面52とを組み合わせて多様な表示を行うことができる。この結果、表示装置1は、多様な表示態様を実現した上で、装置の大型化を抑制することができ、例えば、製造コストを抑制することができる。さらに、上記のように虚像により図柄5cに相当する表示を行う場合、実際には当該虚像による図柄5cが表示面よりもさらに奥側に存在するように見えるのに対して、本実施形態の表示装置1は、第1表示面51に表示される実像画像51aのすぐ手前側に実像図柄52aを表示することができる。この結果、表示装置1は、第1表示面51に表示される実像画像51aと第2表示面52に表示される実像図柄52aとの視覚的な一体感をより向上することができ、視認性を向上することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、表示構造53は、表示状態にて、光源5bから照射された光を、第2表示面52を構成する部材である透明導光板5aの表面に形成された凹凸部としての溝5dで反射させることで実像図柄52aを形成する。すなわち、表示構造53は、表示状態にて、光源5bから第2表示面52を構成する透明導光板5aの端面に照射された光を、透明導光板5aの表面に形成された溝5dで反射させることで実像図柄52aを形成する。非表示構造54は、非表示状態にて、凹凸部、ここでは、溝5dを視認し難くする。したがって、表示装置1は、第2表示面52の表示状態では、光源5bから照射された光を凹凸部である溝5dで反射させることで実像図柄52aを鮮明に表示することができる一方、第2表示面52の非表示状態、言い換えれば、実像図柄52aが不要な状態では、実像図柄52aを視認されにくくすることができ、第1表示面51上に表示される実像画像51aの視認性が阻害されることを抑制することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、第1表示面51は、車両情報に関する実像画像51aを表示し、第1表示面51と第2表示面52とは、実像画像51aと実像図柄52aとを連携させた少なくとも1つの情報を表示する。したがって、表示装置1は、第1表示面51に表示される実像画像51aと第2表示面52に表示される実像図柄52aとを組み合わせて一体感のある車両情報を運転者等に提示することができる。例えば、表示装置1は、実像画像51aとして車両のドア開位置を表示することで(図1等参照)、車両のシンボルを表す実像図柄52aと共に、ドア開走行時の警告情報を視覚的に一体感のある情報として運転者等に提示することができる。
より詳細には、以上で説明した表示装置1によれば、一方向に偏光された光を照射し画像(実像画像51a)を表示する画像表示面3aを有するディスプレイ3と、画像表示面3aに重ねて設けられディスプレイ3から照射された光を透過すると共に図柄5c(実像図柄52a)を構成する溝5dが形成された透明導光板5a、及び、透明導光板5aの端面に光を照射する光源5bを有し、光源5bの点灯、消灯に基づいて、図柄5cの表示、非表示が切り替えられる重畳表示装置5とを備える。そして、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とは、75°以上105°以下の角度範囲で交差する。これにより、この表示装置1によれば、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とは、光源5bが消灯され画像表示面3aに画像が表示された状態で、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差する構成となる。なお、透明導光板5aは、図柄5cの領域の材質の透過率と図柄5cの周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成されている。
したがって、表示装置1は、ディスプレイ3の画像表示面3a上の画像(実像画像51a)の表示と、画像表示面3aに重ねて設けられた重畳表示装置5の透明導光板5a上の図柄5c(実像図柄52a)の表示とを組み合わせて多様な表示態様を実現することができる。そして、この表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが所定の角度範囲で交差するように構成されることから、透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比を相対的に大きくすることができる。これにより、表示装置1は、光源5bを消灯し微細な溝5dによって構成された透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、透明導光板5a上の図柄5cを構成する溝5dを視認されにくくすることができ、ディスプレイ3の画像表示面3a上に表示される画像の視認性が阻害されることを抑制することができる。この結果、この表示装置1は、例えば、多様な表示を実現した上で、適正な視認性を確保することができる。
つまり、表示装置1は、ディスプレイ3の画像表示面3aの前面側に図柄5cの意匠を表示し、背景の画像表示面3a上の画像情報と図柄5cの意匠とを立体的に組み合わせて表示できるので、例えば、立体的で斬新な表示を行うことができる。その上で、表示装置1は、微細な溝5dによって図柄5cが構成される重畳表示装置5において、光源5bの消灯時に図柄5cの意匠が見えにくくなり、透明導光板5aの背景の画像表示面3aを見通すことができ、必要に応じて光源5bの点灯時に図柄5cの意匠が現れるようにすることができる。
また、以上で説明した表示装置1によれば、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とは、直交する。したがって、表示装置1は、透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が最大になるようにすることができる。これにより、表示装置1は、透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、確実に溝5dを視認されにくくすることができ、ディスプレイ3の画像表示面3a上に表示される画像の視認性が阻害されることを確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、溝5dの延在方向L3と光源5bによる光の照射方向L4とは、直交する。したがって、表示装置1は、光源5bからの光を、図柄5cを構成する溝5dに対してほぼ垂直に入射するようにすることができるので、透明導光板5a上に図柄5cを表示する場合に、溝5dで前面側(運転席側)に反射される光の量を相対的に増加させることができ、当該図柄5cを鮮明に表示することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、ディスプレイ3の偏光方向L2、及び、光源5bによる光の照射方向L4は、鉛直方向に沿った方向であり、溝5dの延在方向L3は、水平方向に沿った方向であり、透明導光板5aは、水平方向の長さが鉛直方向の長さより長く形成され、光源5bは、透明導光板5aの鉛直方向下側又は鉛直方向上側に配置される。したがって、表示装置1は、光源5bを溝5dに近接させて配置し、溝5dの延在方向L3と光源5bによる光の照射方向L4とを直交させ、光源5bからの光を溝5dに対してほぼ垂直に入射させる構成を、よりコンパクトに実現することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、光を出射し車両情報を表示する第1表示面51、ここでは、車両情報に関する実像画像51aを表示する第1表示面51と、第1表示面51に重ねて設けられ第1表示面51から出射された光を透過すると共に実像図柄52aを構成する溝5dが形成された第2表示面52とを備え、溝5dは、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像しない溝ピッチdで複数形成される。したがって、表示装置1は、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像しないようにすることができる。この結果、表示装置1は、アイレンジER内の目視位置にて、当該第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを抑制することができるので、適正な視認性を確保することができる。例えば、表示装置1は、第2表示面52が非表示状態であるときに、第2表示面52の背面側の第1表示面51の実像画像51aがぼやけて見え難くなることを抑制することができ、第2表示面52を介して実像画像51aを明瞭に透過することができる。この点でも、表示装置1は、多様な表示態様を実現することができる。
ここでは、以上で説明した表示装置1によれば、第1表示面51と第2表示面52への光の入射面と第2表示面52からの光の出射面とは、互いに平行であり、溝5dは、水平方向に延在し、溝ピッチdが0より大きく0.5μm以下とされることで、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした20度の角度範囲内に、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光を結像させない。溝ピッチdの下限値は、より好ましくは製造上可能な寸法、例えば、0.1μm程度とするとよい。また、以上で説明した表示装置1によれば、溝ピッチdは、第1表示面51から出射され溝5dで回折した可視光域成分の回折光が予め設定される所定の領域、ここでは、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした20度の角度範囲内、典型的には、アイレンジER内で結像しない範囲で最大とされることが好ましい。これにより、表示装置1は、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まる領域内、ここでは、アイレンジER内で結像しない溝ピッチdとした上で、当該溝ピッチdをできる限り大きくすることで、第2表示面52の表示状態にて、実像図柄52aを構成する溝5dで反射する光の光量をできる限り多くすることができる。この結果、表示装置1は、アイレンジER内の目視位置にて、当該第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを抑制した上で、第2表示面52の表示状態において実像図柄52aを明瞭に表示することができ、この点でも適正な視認性を確保することができる。また、表示装置1は、溝ピッチdをできる限り大きくすることで、例えば、当該微細な溝5dの加工コストを抑制し、製造コストを抑制することができる。
なお、以上の説明では、ディスプレイ3は、1つで構成されるものとして説明したが2つ以上が組み合わせられて構成されてもよい。
以上で説明した表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成され、言い換えれば、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成されればよい。表示装置1は、例えば、ディスプレイ3の偏光方向L2が鉛直方向に対して傾斜していてもよく、この場合であってもディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3とが上記のような関係になっていればよい。
以上の説明では、光源5bは、図柄5cが形成された領域の鉛直方向下側であって透明導光板5aの鉛直方向下側の端面と対向する位置に幅方向(水平方向)に沿って等間隔で3つが設けられ、鉛直方向上側に向けて光を照射するものとして説明したが、これに限らず、透明導光板5aの鉛直方向上側に設けられてもよいし、透明導光板5aの幅方向側方に設けられてもよい。
例えば、以上で説明した図柄5cを構成する溝5dは、透明導光板5aの奥行き方向前面側の主面上に形成されてもよく、当該透明導光板5aの奥行き方向前面側の主面が第2表示面52を構成してもよい。
また、例えば、以上の説明では、ディスプレイ3の偏光方向L2、及び、光源5bによる光の照射方向L4は、鉛直方向に沿った方向であり、溝5dの延在方向L3は、水平方向に沿った方向であるものとして説明したがこれに限らない。例えば、図27に示す変形例に係る表示装置1に示すように、偏光方向L2、照射方向L4が鉛直方向に対して所定角度(例えば45°)だけ傾斜し、これに応じて延在方向L3が水平方向に対して所定角度(例えば45°)だけ傾斜していてもよい。この場合、光源5bは、図27に示すように、実像図柄52a(図柄5c)が形成された領域の鉛直方向下側ではなく、実像図柄52aに対して所定角度(例えば45°)だけ傾斜した方向に設けられるとよく、これにより、照射方向L4が鉛直方向に対して所定角度(例えば45°)だけ傾斜した構成とすることができる。この場合、光源5bは、例えば、透明導光板5aの端面に形成された切り欠き部5eに収容されるようにして配置されることで装置の大型化を抑制することができる。
以上の説明では、表示構造53は、透明導光板5aの表面に形成された凹凸部としての複数の微細な溝5dで光を反射させることで実像図柄52aを形成する構造であるものとして説明したがこれ限らず、光を反射させる凹凸部としては、複数の微細なドット、複数の微細な凹凸を有する印刷層等の光反射構造であってもよい。
以上の説明では、第1表示面51と第2表示面52は、例えば、第1表示面51に表示される車両情報に関する実像画像51aと第2表示面52に描かれた実像図柄52a(図柄5c)とを連携させた少なくとも1つの情報を表示するものとして説明したがこれに限らない。第1表示面51と第2表示面52は、実像画像51a又実像図柄52aのいずれか一方でも情報として意味をなすものを表示してもよい。
[実施形態2]
図28は、実施形態2に係る表示装置の奥行き方向前面側の正面図である。図29は、図28に示すA2−A2断面図である。図30は、実施形態2に係る表示装置の前面側表示装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。図31は、実施形態2に係る表示装置における表示態様の一例を説明する模式図である。図32は、実施形態2に係る表示装置の模式的な分解斜視図である。実施形態2に係る表示装置は、第1表示面の構成が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
図28、図29、図30に示す本実施形態に係る表示装置201は、アナログ計器、及び、その文字板の表面(奥行き方向前面側の面)によって第1表示面211が構成される。第1表示面211は、実像画像51a(図1等参照)以外での車両情報を表示するものである。
具体的には、表示装置201は、ケース202と、回路基板203と、背面側表示装置204と、偏光板205と、前面側表示装置206と、見返し板207と、表ガラス208とを備える。表示装置201は、奥行き方向の背面側から前面側に向かって、ケース202、回路基板203、背面側表示装置204及び偏光板205、重畳表示装置としての前面側表示装置206、見返し板207、表ガラス208の順で積層された構造となっている。本実施形態の表示装置201は、背面側表示装置204と前面側表示装置206とが奥行き方向に重なって設けられることで、ツーレイヤー式表示装置を構成する。
ケース202は、樹脂材料等によって構成され、表示装置201を構成する種々の部品が組み付けられこれらを収容する筐体の一部を構成するものである。ケース202は、本体部221と、蓋状部222とを含んで構成される。本体部221は、略矩形枠状に形成され奥行き方向の両側が開口する。蓋状部222は、略矩形状に形成され本体部221の奥行き方向背面側の面に係止され当該本体部221の奥行き方向背面側の開口を閉塞させる。ケース202は、本体部221と蓋状部222とによって区画される空間部に種々の部品が組み付けられこれらを収容する。
回路基板203は、表示装置201における各種機能を実現するための種々の電子部品、配線が実装されるものである。回路基板203は、ビス等の固定部材を介してケース202の内部に組み付けられる。
背面側表示装置204は、ツーレイヤー式の表示装置201において、奥行き方向背面側に位置する表示部であり、車両情報を表示する第1層目の表示面(後述する第1表示面211)を構成する。本実施形態の背面側表示装置204は、ディスプレイ241と、第1アナログ計器242と、第2アナログ計器243と、ターン表示部244と、第1光源245と、文字板246と、を含んで構成される。背面側表示装置204は、ケース202内において、第1アナログ計器242が幅方向左側に配置される一方、第2アナログ計器243が幅方向右側に配置され、さらに、ディスプレイ241、ターン表示部244がこれらの間に配置される。背面側表示装置204が表示する車両情報は、例えば、車両の速度、走行用動力源の出力回転数、積算走行距離、冷却水温、燃料残量、バッテリ蓄電量、方向指示器(ウインカ)の動作状態、各種の警告、シフトポジション、ナビゲーション情報、地図情報、交差点情報等、車両の運転に際して時々刻々と変化する様々な運転に関する運転情報が含まれてもよい。
ディスプレイ241は、回路基板203等を介して駆動制御され、画像表示面241aに種々の車両情報に関する画像を表示するものである。画像表示面241aは、ディスプレイ241において略矩形状の表示領域を構成する。ディスプレイ241は、例えば、薄型の液晶ディスプレイを用いることができるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることもできる。
第1アナログ計器242、及び、第2アナログ計器243は、立体物としての指針247aを有し、車両に関する種々の計測値を当該指針247aによってアナログ式で表示するものである。指針247aは、現在の計測値を指し示すための針状の部材である。ここでは一例として、第1アナログ計器242は、車両に関する情報として、車両の速度(車速)を表示する速度計であり、第2アナログ計器243は、走行用動力源の出力回転数を表示する回転計である。第1アナログ計器242と第2アナログ計器243とは、ほぼ同様の構成である。第1アナログ計器242、第2アナログ計器243は、それぞれケース202内に配置される回路基板203に内機247が固定される。内機247は、指針247aの駆動源であるモータ247bを含んで構成され、当該モータ247bから指針247aの回転軸(ロータ軸)247cが突設される。回転軸247cは、奥行き方向に沿って前面側に突出する。第1アナログ計器242、及び、第2アナログ計器243は、回転軸247cの中心軸線が指針247aの回動軸線となる。指針247aは、文字板246の奥行き方向前面側に位置し、回転軸247cの中心軸線を回動軸線として回動する。第1アナログ計器242、第2アナログ計器243は、モータ247bが駆動することで指針247aが回動し、車両に関する種々の計測値(車速、回転数)に応じて、文字板246に形成された指標部246bの所定の位置を指し示す。
ターン表示部244は、方向指示器(ウインカ)の動作状態を表すものである。
第1光源245は、回路基板203に複数実装され、奥行き方向背面側から前面側に向けて光を照射するものである。各第1光源245は、例えば、LED素子等によって構成されるがこれに限らない。各第1光源245は、それぞれケース202に形成されたランプハウジング245a等に収容され、回路基板203に実装されて駆動制御される。
文字板246は、表示する車両情報に応じた種々の図柄、記号、文字列等が描かれた板状の部材であり、第1光源245の奥行き方向前面側に設けられる。文字板246は、略矩形状に形成され、ケース202の本体部221の奥行き方向前面側の面の開口の全体を覆うようにして設けられる。文字板246は、例えば、透明生地のポリカーボネイト製シートであり、暗色系のインクによって、上記図柄、記号、文字列等に対応した形状が中抜きされた印刷が施されることで、上記図柄、記号、文字列等が描かれている。文字板246は、第1光源245から光が照射され、図柄、記号、文字列等が描かれた部分において当該照射された光が透過されることで、当該図柄、記号、文字列等が点灯表示される。ここでは、文字板246は、ほぼ中央部に略矩形状の開口部246aが形成されている。上述のディスプレイ241は、前面側の表面が当該開口部246aを介して文字板246の前面側に露出しており、このディスプレイ241の前面側の表面が上述の略矩形状の画像表示面241aの表示領域を構成する。また、文字板246は、車両情報に関する図柄、記号、文字列として、例えば、第1アナログ計器242、第2アナログ計器243を構成する各指標部246b、各種報知記号246c等を含んで構成される。文字板246は、これら各指標部246b、各種報知記号246cの部分が上述の中抜きされた部分であり、すなわち、光を透過する部分である。指標部246bは、第1アナログ計器242、第2アナログ計器243に対してそれぞれ設けられ、第1光源245から照射される光を透過し指針247aによって指し示されるものである。各指標部246bは、指針247aの先端の回動軌跡に沿って円弧状に形成された円環、当該円環に沿って等間隔で付された複数の目盛、計測値/表示する物理量に対応した数字(「0」、「20」、「40」、「60」等の文字列や「0」、「1」、「2」、「3」等の文字列)等の図柄、記号、文字列を含んで構成される。各報知記号246cは、警告する必要がある事象に対応して点灯するいわゆる各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)やターン表示部244を構成する方向指示記号(左右の矢印)等を含んで構成され、第1光源245から照射される光を透過し当該第1光源245の点灯、消灯に基づいて表示、非表示が切り替えられるものである。文字板246は、この他、シフトポジションを表す記号(「P」、「R」、「N」、「D」、「B」等を表す記号)等が描かれていてもよい。
背面側表示装置204は、回路基板203を介してディスプレイ241、第1光源245等の駆動制御が実行されることで、種々の車両情報を表示する。背面側表示装置204は、各第1光源245がそれぞれ個別に点灯することで、文字板246の奥行き方向背面側から光が照射され、各指標部246b、各種報知記号246c等の部分において当該照射された光が透過され、各指標部246b、各種報知記号246cがそれぞれ個別に点灯される。一方、背面側表示装置204は、各第1光源245がそれぞれ個別に消灯されることで、各指標部246b、各種報知記号246c等が個別に消灯される。つまり、背面側表示装置204は、各指標部246b、各種報知記号246c等の部分が各第1光源245の点灯、消灯に応じて表示、非表示が切り替えられる表示灯式表示部を構成する。また、背面側表示装置204は、第1光源245によって指針247a自体を発光させることもできる。
そして、背面側表示装置204は、文字板246の奥行き方向前面側の面が車両情報を表示する第1層目の表示面である第1表示面211を構成する。当該第1表示面211は、上述したように第1光源245から照射される光を所定の形状で透過することで車両情報を表示する表示面である。ここでは、第1表示面211は、第1光源245から照射される光を透過し回転軸247cによって回転される指針247aによって指し示される指標部246b、第1光源245から照射される光を透過し当該第1光源245の点灯、消灯に基づいて表示、非表示が切り替えられる報知記号246c等を含んで構成される。
偏光板205は、第1光源245と後述する前面側表示装置206の第2表示面212との間に設けられ第1光源245から第2表示面212に向けて照射された光を一方向に偏光された光にするものである。ここでは、偏光板205は、略矩形状に形成され、文字板246の奥行き方向背面側の面に設けられる。偏光板205は、第1光源245から発せられた光を、偏光方向L21(図30等参照)を透過軸方向として揃え、当該偏光方向L21(透過軸方向)に沿った振動方向の光を出射することで一方向に偏光された光を第2表示面212側に出射する。ここでは、偏光板205によって偏光された光の偏光方向L21は、鉛直方向に沿った方向とされている。
前面側表示装置206は、図28、図29、図30に示すように、ツーレイヤー式の表示装置201において、奥行き方向前面側に位置する表示部であり、所定の図柄を表示する第2層目の表示面(後述する第2表示面212)を構成する。前面側表示装置206は、背面側表示装置204の文字板246等(言い換えれば、後述する第1表示面211)に重ねて設けられ背面側表示装置204の光源である第1光源245から照射された光を透過すると共に図柄265(実像図柄212a)を構成する溝266が形成された透明導光板262、及び、透明導光板262の端面に光を照射する第2光源263を有し、第2光源263の点灯、消灯に基づいて、図柄265の表示、非表示が切り替えられる重畳表示装置である。具体的には、前面側表示装置206は、枠状受け部261と、透明導光板262と、第2光源263と、回路基板264とを含んで構成される。
枠状受け部261は、略矩形枠状に形成され、ケース202の本体部221の奥行き方向前面側に組み付けられ、透明導光板262の端部を受けて保持するものである。透明導光板262は、背面側表示装置204を構成する文字板246の奥行き方向前面側、言い換えれば、第1表示面211の奥行き方向前面側に重ねて設けられる。透明導光板262は、第1光源245から照射された光を透過する透過性を有する透明部材(透明媒体)によって形成される。さらに言えば、透明導光板262は、上述の偏光板205の奥行き方向前面側に配置され、偏光板205を透過し偏光方向L21に偏光された光、すなわち、偏光方向L21(透過軸方向)に沿った振動方向の光が入射する。透明導光板262は、端部が枠状受け部261に保持される。透明導光板262は、図柄(表示意匠)265を構成する微細な溝266が形成される。図柄265を構成する溝266は、例えば、当該溝266に相当する凸形状を設けた金型を用いて透明導光板262を樹脂成形することによって、透明導光板262の主面上、ここでは、当該透明導光板262の背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。また、図柄265を構成する溝266は、例えば、レーザー加工等の種々の手法による掘り込みによって、透明導光板262の主面上、ここでは、当該透明導光板262の背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。透明導光板262に溝266によって形成される図柄265としては、例えば、背面側表示装置204で表示される車両情報等と関連するような種々の図柄が含まれてもよい。図28、図30、図31、図32の例では、図柄265は、例えば、「注意マーク(三角形の中に感嘆符(エクスクラメーション・マーク)を模したアイコン)」であるがこれらに限らない。ここでは、複数の微細な溝266は、幅方向に沿って形成される。すなわち、溝266の延在方向L22は、幅方向に沿った方向である。第2光源263は、透明導光板262の端面に光を照射する。第2光源263は、例えば、LED素子等によって構成されるが、これに限らない。第2光源263は、その光軸方向、すなわち、光の照射方向L23が透明導光板262の端面と直交し、かつ、照射された光が透明導光板262の端面から入射するように設けられている。第2光源263は、透明導光板262の鉛直方向の下端面と対向する位置に、それぞれ幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数、ここでは3つ設けられる。ここでは、各第2光源263は、その光軸方向が鉛直方向に沿うように配置され、これにより、第2光源263による光の照射方向L23が鉛直方向に沿った方向となる。ここでは、上述の溝266の延在方向L22と光の照射方向(言い換えれば光軸方向)L23とは、互いに直交する。各第2光源263は、例えば、前面側から視て後述の見返し板207等によって隠れる位置に配置される。回路基板264は、各第2光源263、及び、メインの回路基板203に電気的に接続される。各第2光源263は、回路基板203、及び、回路基板264等を介して駆動制御される。各第2光源263は、典型的には、それぞれ個別に点灯、消灯を切り替えることができる。なお、溝266の延在方向L22や第2光源263による光の照射方向L23等については、後で詳細に説明する。
上記のように構成される前面側表示装置206は、各第2光源263が回路基板203、回路基板264等を介して駆動制御されることで、第2光源263の点灯、消灯に基づいて、図柄265の表示、非表示が切り替えられる。前面側表示装置206は、第2光源263が点灯すると図柄265が発光表示された状態となり、すなわち、第2光源263から照射された光が透明導光板262の端面に入射して当該透明導光板262内を伝播し、少なくとも当該入射光の一部の成分が図柄265を構成する溝266で前面側に反射し、この結果、運転者等が当該図柄265を視認可能な状態となる。この場合、前面側表示装置206は、図28、図31等に示すように、運転者が前面側(運転席側)から視たときに、透明導光板262上に表示される図柄265を、当該透明導光板262の背面側に位置する背面側表示装置204の車両情報(例えば、第1表示面211に表示される指標部246b、報知記号246cや指針247a)上に重畳させて表示して所定の意匠を形成し、これにより、多様な表示を可能とすることができる。一方、前面側表示装置206は、第2光源263が消灯すると図柄265が非表示の状態となり、第1光源245等から照射され透明導光板262を透過した光によって、運転者等が第1表示面211等に表示された種々の車両情報(例えば、第1表示面211に表示される指標部246b、報知記号246cや指針247a)を視認しやすい状態となる。
見返し板207は、背面側表示装置204の文字板246や前面側表示装置206の枠状受け部261、透明導光板262等の周囲を囲って当該文字板246、透明導光板262等を押える枠状の部材である。見返し板207は、ケース202に組み付けられる。
表ガラス208は、光を透過する光透過性を有する保護部材であり、見返し板207に組み付けられる。
ここで、上記のように背面側表示装置204によって構成される第1層目の表示面は、車両情報を表示する第1表示面211を構成する。一方、上記のように前面側表示装置206によって構成される第2層目の表示面は、第1表示面211に重ねて設けられ光を透過すると共に、図柄265を有し当該図柄265を表示する表示状態と、当該図柄265を非表示とする非表示状態とに切り替え可能である第2表示面212を構成する。第1表示面211と第2表示面212とは、奥行き方向、言い換えれば、車両進行方向に、重ねられた複数の表示面を構成し、第1表示面211が当該複数の表示面の車両進行方向奥側の表示面を構成し、第2表示面212が当該複数の表示面の車両進行方向手前側(運転者等の目視者の目視位置側)の表示面を構成する。
より具体的には、第1表示面211は、上述したように、背面側表示装置204を構成する文字板246の奥行き方向前面側の面によって構成される。すなわち、第1表示面211は、第1アナログ計器242、第2アナログ計器243を構成する指標部246bや報知記号246c等の表示領域を含んで構成される表示面である。
一方、第2表示面212は、図柄265を構成する溝266が形成された透明導光板262の奥行き方向背面側の主面によって構成される。第2表示面212は、第1表示面211の状態にかかわらず各第2光源263の点灯、消灯に応じて表示状態と非表示状態とを切り替え可能である。ここで、第2表示面212の表示状態とは、第2光源263から照射される光によって実像図柄212aを表示する状態である。実像図柄212aとは、上述した図柄265であり、ここでは、例えば、上述した「注意マーク」等である。一方、第2表示面212の非表示状態とは、第2光源263が消灯することで当該実像図柄212a(図柄265)を非表示とする状態である。
そして、本実施形態の表示装置201は、図30、図32等に示すように、偏光板205の偏光方向L21と図柄265を構成する溝266の延在方向L22とが所定の角度範囲で交差するように構成することで、背面側表示装置204と前面側表示装置206とを組み合わせて多様な表示を実現した上で、適正な視認性を確保することができるようにしている。ここで、偏光板205の偏光方向L21とは、典型的には、偏光板205によって偏光された光の偏光方向(透過軸方向)に相当し、溝266の延在方向L22とは、典型的には、当該溝266が延びる方向に相当する。
図32に示すように、表示装置201において、第1光源245から発生られた光の電場方向は、典型的には、あらゆる方向に振動している。偏光板205は、当該第1光源245から発せられた光において、偏光方向L21、ここでは、鉛直方向の成分の電場のみを透過させる。つまり、偏光板205は、偏光方向L21である鉛直方向を透過軸方向とし、当該透過軸方向に振動する光を透過する一方、当該透過軸方向と直交する吸収軸方向に振動する光を遮断する。つまり、第1光源245を透過した光の電場の方向は、当該第1光源245の透過軸方向、ここでは、偏光方向L21である鉛直方向に揃えられる。そして、表示装置201は、背面側表示装置204を構成する文字板246、及び、前面側表示装置206を構成する透明導光板262に対して、偏光板205の透過軸方向(偏光方向)、すなわち、偏光方向L21である鉛直方向に沿った振動方向の光が入射する。つまり、表示装置201は、偏光板205を透過し偏光方向L21に偏光された光が文字板246に入射し当該入射した光が各指標部246b、各種報知記号246cの部分を透過し透明導光板262側に出射される。そして、表示装置201は、偏光板205を透過し偏光方向L21に偏光され文字板246の各指標部246b、各種報知記号246cの部分を透過した光が透明導光板262に入射し当該入射した光が透明導光板262を透過し奥行き方向前面側に出射される。
そして、図柄(表示意匠)265を構成する複数の微細な溝266は、例えば、上述した溝5d(図4等参照)と同様に、略V字状の断面形状で、ピッチが1μm以下、好ましくは0.5μm以下(下限値は例えば製造上可能な寸法)で形成されることが好ましい。また、各溝266は、一方向に延在する直線溝として形成される。また、透明導光板262は、図柄265の領域の材質の透過率と透明導光板262における図柄265の周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成される。透明導光板262上に形成された微細な溝266は、上述した溝5d(図5等参照)と同様に、偏光板と類似する作用を示す。
本実施形態の表示装置201は、背面側表示装置204によって構成される第1表示面211と第2表示面212を構成する透明導光板262上に形成された溝266とを重ね合わせると共に、偏光板205の偏光方向(透過軸方向)L21と溝266の延在方向L22との関係に応じて、溝266が形成された領域を透過する透過光が変化することを利用して、透明導光板262上の図柄265(実像図柄212a)を非表示とした場合に、当該透明導光板262上の図柄265を構成する溝266が視認され難くなる構成を実現している。
具体的には、偏光板205の偏光方向L21と図柄265を構成する溝266の延在方向L22との関係は、上記したディスプレイ3の偏光方向L2と溝5dの延在方向L3との関係とほぼ同等の関係となるように設定される。つまり、本実施形態の表示装置201は、偏光板205の偏光方向L21と図柄265を構成する溝266の延在方向L22とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成される。偏光板205の偏光方向(透過軸方向)L21と図柄265を構成する溝266の延在方向L22とがなす角度を角度θとした場合、溝266は、角度θが[75°≦θ≦105°]の条件式を満たすように透明導光板262上に形成される。つまり、偏光方向L21と延在方向L22とは、75°以上105°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。より好ましくは、偏光方向L21と延在方向L22とは、85°以上95°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。ここでは、偏光板205の偏光方向L21と図柄265を構成する溝266の延在方向L22とは直交する。
上記のように構成される表示装置201は、偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とが直交するように構成され(θ=90°)、言い換えれば、偏光板205の偏光方向L21と溝266の透過軸方向とが平行となるように構成される。これにより、表示装置201は、第2光源263が消灯した状態で、図柄265内部の領域では、図柄265外部の領域と同様に、第1光源245からの光をほぼ全て透過する。この結果、表示装置201は、図柄265の領域と図柄265の周囲の領域とで透過光の振幅がほぼ同等となり、図柄265の領域と図柄265の周囲の領域との輝度に差がほぼない状態となる。すなわち、表示装置201は、上述した表示装置1と同様に、図柄265の周囲の領域に対する図柄265の領域の輝度比が最大となるので、図柄265の周囲の領域に対して図柄265の領域が目立ちにくくなり、図柄265を視認しにくくすることができる。表示装置201は、上述した表示装置1と同様に、偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22との角度θが[75°≦θ≦105°]の範囲内(好ましくは、[85°≦θ≦95°])であれば、図柄265の周囲の領域に対する図柄265の領域の輝度比が所定の輝度比範囲内に収まるので、図柄265を視認しにくい状態で維持することができる。ここで、所定の輝度比範囲とは、例えば、90%以上100%以下の範囲、より好ましくは92.5%以上100%以下の範囲である。つまり、表示装置201は、偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とが、75°以上105°以下の角度範囲、より好ましくは、85°以上95°以下の角度範囲で交差するように構成されることで、偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とが、透明導光板262における図柄265の周囲の領域の輝度に対する図柄265の領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成することができる。
ここでさらに、本実施形態の表示装置201は、図30等に示すように、溝266の延在方向L22と前面側表示装置206の第2光源263による光の照射方向L23とが直交するように構成される。つまりここでは、偏光板205の偏光方向L21、及び、第2光源263による光の照射方向L23は、鉛直方向に沿った方向であり、溝266の延在方向L22は、水平方向に沿った方向である。本実施形態の第2光源263は、図柄265が形成された領域の鉛直方向下側であって透明導光板262の鉛直方向下側の端面と対向する位置に、幅方向(水平方向)に沿って等間隔で3つが設けられ、鉛直方向上側に向けて光を照射する。各第2光源263は、例えば、前面側から視て見返し板207によって隠れる位置に配置される。
上記のように構成される第2表示面212は、透明導光板262の背面側の主面に、偏光方向L21、延在方向L22、照射方向L23等が上記のような位置関係となるように複数の微細な溝266が形成されることで、実像図柄212a(図柄265)の表示構造213、及び、非表示構造214が構成される(図30等参照)。
ここで、第2表示面212の表示構造213とは、第2表示面212の表示状態にて第2光源263から照射される光によって実像図柄212a(図柄265)を形成するための構造である。ここでは、表示構造213は、第2表示面212の表示状態にて、第2光源263から照射された光を、第2表示面212を構成する部材である透明導光板262の表面に形成された凹凸部としての複数の微細な溝266で反射させることで実像図柄212aを形成する構造である。これにより、表示構造213は、運転者等が第2表示面212上の図柄265を視認可能な状態とすることができる。
一方、第2表示面212の非表示構造214とは、第2表示面212の非表示状態にて実像図柄212a(図柄265)を視認し難くするための構造である。非表示構造214は、第2表示面212の非表示状態にて少なくとも表示状態と比較して実像図柄212aを視認し難くする。さらに言えば、第2表示面212の非表示構造214とは、第2表示面212の非表示状態にて、第2光源263を消灯状態とした上で、複数の微細な溝266を視認し難くするための構造である。ここでは、非表示構造214は、第2光源263が消灯することで図柄265を視認し難くした上で、さらに、第1表示面211側から第2表示面212側に照射される光の偏光方向、ここでは、偏光板205の偏光方向L21と実像図柄212a(図柄265)を構成する溝266の延在方向L22とが所定の角度範囲、典型的には、上記のように75°以上105°以下の角度範囲で交差するように溝266を形成することで、非表示状態にて溝266自体を視認し難くする構造(溝延在方向と偏光方向との所定角度交差構造)である。これにより、非表示構造214は、第2表示面212上の実像図柄212aの領域と実像図柄212aの周囲の領域とで透過光の振幅がほぼ同等となるようにし、実像図柄212aの領域と実像図柄212aの周囲の領域との輝度に差がほぼない状態とすることができ、これにより、非表示状態にて、実像図柄212a、及び、これを構成する凹凸部としての複数の微細な溝266を視認し難くすることができる。
以上で説明した表示装置201は、第1表示面211に表示される車両情報、ここでは、第1アナログ計器242、第2アナログ計器243等によって表示される車両情報と、第1表示面211に重ねて設けられ光を透過する第2表示面212に表示される実像図柄212aとを組み合わせた表示を行うことができる。このとき、第2表示面212は、第1表示面211がオン状態である状態で、第1表示面211での表示とは独立して表示状態と非表示状態とを切り替え可能であり、表示状態にて表示構造213によって第2光源263から照射される光で実像図柄212aが形成される一方、非表示状態にて非表示構造214によって実像図柄212aを視認し難くすることができる。この結果、表示装置201は、多様な表示態様を実現することができる。
ここでは、以上で説明した表示装置201によれば、第1光源245から照射される光を所定の形状(指標部246b、報知記号246c等)で透過することで車両情報を表示する第1表示面211と、第1表示面211に重ねて設けられ光を透過すると共に図柄265を構成する溝266が形成され第2光源263から照射される光によって図柄265を表示する表示状態と、第2光源263が消灯することで図柄265を非表示とする非表示状態とを切り替え可能である第2表示面212と、第1光源245と第2表示面212との間に設けられ第1光源245から第2表示面212に向けて照射された光を一方向に偏光された光にする偏光板205とを備え、偏光板205によって偏光された光の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とは、交差する。
したがって、表示装置201は、第1光源245から照射された光によって第1表示面211に表示される車両情報と、第1表示面211に重ねて設けられ光を透過する第2表示面212に表示され第2光源263の点灯、消灯に基づいて表示、非表示が切り替えられる図柄265とを組み合わせて情報を表示することができる。そして、この表示装置201は、第1光源245から照射され偏光板205によって偏光された光の偏光方向L21と図柄265を構成する溝266の延在方向L22とが所定の角度範囲で交差するように構成されることから、図柄265を非表示とした場合に、第2表示面212における図柄265の周囲の領域の輝度に対する図柄265の領域の輝度の比率を表す輝度比を相対的に大きくすることができる。これにより、表示装置201は、第2光源263を消灯し溝266によって構成された第2表示面212上の図柄265を非表示とした場合に、第2表示面212上の図柄265を構成する溝266を視認されにくくすることができ、第1表示面211上に表示される車両情報の視認性が阻害されることを抑制することができる。この結果、この表示装置201は、例えば、適正な視認性を確保することができ、多様な表示態様を実現することができる。
より詳細には、以上で説明した表示装置201によれば、偏光板205によって偏光された光の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とは、75°以上105°以下の角度範囲で交差する。これにより、この表示装置201によれば、偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とは、第2光源263が消灯され第1表示面211に車両情報が表示された状態で、透明導光板262における図柄265の周囲の領域の輝度に対する図柄265の領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差する構成となる。なお、透明導光板262は、図柄265の領域の材質の透過率と図柄265の周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成されている。ここでは、偏光板205によって偏光された光の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とは、直交する。したがって、表示装置201は、透明導光板262上の図柄265を非表示とした場合に、図柄265の周囲の領域に対する図柄265の領域の輝度比が最大になるようにすることができる。これにより、表示装置201は、透明導光板262上の図柄265を非表示とした場合に、確実に溝266を視認されにくくすることができ、第1表示面211上に表示される車両情報の視認性が阻害されることを確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した表示装置201によれば、車両情報を表す所定の形状として、第1表示面211は、第1光源245から照射される光を透過し回転軸247cによって回転される指針247aによって指し示される指標部246b、又は、第1光源245から照射される光を透過し当該第1光源245の点灯、消灯に基づいて表示、非表示が切り替えられる報知記号246cを含んで構成される。したがって、表示装置201は、車両情報として、第1表示面211に指針247aによって指し示される指標部246bや報知記号246c等を表示した上で、第2表示面212の非表示状態において透明導光板262の背景の上記車両情報を見通すことができ、かつ、必要に応じて第2表示面212を表示状態とすることで図柄265の意匠が現れるようにすることができる。
さらに、以上で説明した表示装置201によれば、溝266の延在方向L22と第2光源263による光の照射方向L23とは、直交する。したがって、表示装置201は、第2光源263からの光を、図柄265を構成する溝266に対してほぼ垂直に入射するようにすることができるので、透明導光板262上に図柄265を表示する場合に、溝266で前面側(運転席側)に反射される光の量を相対的に増加させることができ、当該図柄265を鮮明に表示することができる。
なお、以上の説明では、背面側表示装置204は、ディスプレイ241と、第1アナログ計器242と、第2アナログ計器243と、ターン表示部244と、文字板246とを含んで構成され、第1表示面211を構成するものとして説明したが、これらの組み合わせに限らない。
以上の説明では、偏光板205は、文字板246の奥行き方向背面側の面に設けられるものとして説明したが、これに限らず第1光源245と第2表示面212との間に設けられればよく、例えば、文字板246の奥行き方向前面側の面に設けられてもよいし、透明導光板262の奥行き方向背面側の面に設けられてもよい。
以上で説明した表示装置201は、偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成され、言い換えれば、透明導光板262における図柄265の周囲の領域の輝度に対する図柄265の領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成されればよい。表示装置201は、例えば、偏光板205の偏光方向L21が鉛直方向に対して傾斜していてもよく、この場合であっても偏光板205の偏光方向L21と溝266の延在方向L22とが上記のような関係になっていればよい。
以上の説明では、第2光源263は、図柄265が形成された領域の鉛直方向下側であって透明導光板262の鉛直方向下側の端面と対向する位置に幅方向(水平方向)に沿って等間隔で3つが設けられ、鉛直方向上側に向けて光を照射するものとして説明したが、これに限らず、透明導光板262の鉛直方向上側に設けられてもよいし、透明導光板262の幅方向側方に設けられてもよい。
以上の説明では、図柄265を構成する溝266は、透明導光板262の奥行き方向背面側の主面上に形成され、当該透明導光板262の奥行き方向背面側の主面が第2表示面212を構成するものとして説明したがこれに限らない。例えば、図柄265を構成する溝266は、透明導光板262の奥行き方向前面側の主面上に形成され、当該透明導光板262の奥行き方向前面側の主面が第2表示面212を構成してもよい。また、図柄265としては、文字板246に形成されるものとして説明した指標部246b、報知記号246c等であってもよい。
なお、上述した本発明の実施形態、変形例に係る表示装置は、上述した実施形態、変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態、変形例に係る表示装置は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。