以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る表示装置の奥行き方向前面側の正面図である。図2は、図1に示すA−A断面図である。図3は、図1に示すB−B断面図である。図4は、実施形態に係る表示装置の文字板を表す正面図である。図5は、実施形態に係る表示装置の透明文字板を表す正面図である。図6は、図2に示す囲み線C内の部分的な断面図である。図7は、実施形態に係る表示装置の第1表示面、及び、第2表示面を含む要部の分解斜視図である。図8は、実施形態に係る表示装置の透明文字板を含む幅方向に沿った模式的な断面図である。図9は、図8に示す囲み線D内の部分的な断面図である。図10、図11、図12は、表示装置の輝度実測試験の前提条件について説明する模式図である。図13は、表示装置の輝度実測試験の結果を表す線図である。図14は、実施形態に係る表示装置の第2表示面の一部が非表示状態である場合の表示態様の一例を表す正面図である。
図1、図2、図3に示す本実施形態に係る表示装置1は、いわゆるメータを構成するものであり、例えば、自動車等の車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される種々の情報を表示する。
なお、図1等に示す表示装置1の幅方向とは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の車幅方向に相当する。以下の説明では、表示装置1の幅方向において、表示装置1の前面に向かって左側を幅方向左側、向かって右側を幅方向右側という。また、図2、図3等に示す表示装置1の奥行き方向とは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の前後方向(言い換えれば、車両進行方向)に相当する。また、表示装置1の前面側とは、車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、表示装置1の背面側とは、奥行き方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、表示装置1がインストルメントパネルに組み付けられた状態での方向を表す。
具体的には、表示装置1は、ケース2と、回路基板3と、背面側表示装置4と、文字板5と、前面側表示装置6と、見返し板7と、表ガラス8とを備える。表示装置1は、奥行き方向の背面側から前面側に向かって、ケース2、回路基板3、背面側表示装置4、文字板5、前面側表示装置6、見返し板7、表ガラス8の順で積層された構造となっている。本実施形態の表示装置1は、背面側表示装置4と前面側表示装置6とが奥行き方向に重なって設けられることで、ツーレイヤー式表示装置を構成する。
ケース2は、樹脂材料等によって構成され、表示装置1を構成する種々の部品が組み付けられこれらを収容する筐体の一部を構成するものである。
回路基板3は、表示装置1における各種機能を実現するための種々の電子部品、配線が実装されるものである。回路基板3は、ビス等の固定部材を介してケース2に組み付けられる。
背面側表示装置4は、ツーレイヤー式の表示装置1において、奥行き方向背面側に位置する表示部であり、車両情報を表示する第1層目の表示面(後述する第1表示面11)を構成する。本実施形態の背面側表示装置4は、画像表示装置としてのディスプレイ41と、セグメント表示部42とを含んで構成される。背面側表示装置4が表示する車両情報としては、例えば、車両の速度やエコ走行等に関する情報の他、積算走行距離、冷却水温、走行用動力源の出力回転数、燃料残量、バッテリ蓄電量、ナビゲーション情報、地図情報、交差点情報等、車両の運転に際して時々刻々と変化する様々な運転に関する運転情報が含まれてもよい。
ディスプレイ41は、回路基板3等を介して駆動制御され、画像表示面41aに種々の車両情報に関する画像を表示するものである。画像表示面41aは、ディスプレイ41において略矩形状の表示領域を構成する。ディスプレイ41は、例えば、薄型の液晶ディスプレイを用いることができるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることもできる。ここでは、ディスプレイ41は、車両の速度を表示する速度計の一部を構成するものとして説明するがこれに限らない。ディスプレイ41は、速度計として機能する際には、例えば、画像表示面41aに車両情報として指針の実像画像(以下、単に「指針画像」という場合がある。)41b、及び、速度計の目盛を構成する実像画像(以下、単に「速度計小目盛画像」という場合がある。)41cを表示する。指針画像41bは、現在の計測値(ここでは速度)を指し示すための針状の画像であり、所定の回転中心を中心として回動する回動型の指針の画像である。速度計小目盛画像41cは、指針画像41bの周りに設けられ当該指針画像41bによって指し示される指標部の画像であり、指針画像41bの回転中心を中心とした円環と当該円環の内側に円周方向に沿って等間隔で設けられる目盛の画像である。速度計小目盛画像41cの目盛は、指針画像41bの先端の回動軌跡に沿って表示される。
セグメント表示部42は、回路基板3等を介して駆動制御され、複数のセグメント用光源42aが点灯、消灯することで種々の車両情報を表示するものである。セグメント表示部42は、鉛直方向に沿って等間隔で並んで設けられた複数のセグメント用光源42aと、後述の文字板5に描かれたセグメントバー52とを含んで構成され、各セグメント用光源42aの点灯、消灯に応じて各セグメントバー52の表示、非表示が切り替えられる表示灯式表示部である。各セグメント用光源42aは、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等によって構成されるがこれに限らない。各セグメント用光源42aは、それぞれケース2に形成された複数のランプハウジング21に1つずつ収容され、回路基板3に実装されて駆動制御される。各セグメント用光源42aは、奥行き方向背面側から前面側に向けて光を照射する。ここでは、セグメント表示部42は、車両のエンジン回転数を表示する回転計の一部を構成する回転計セグメント表示部42A、車両の冷却水温を表示する水温計の一部を構成する水温計セグメント表示部42B、車両の燃料残量を表示する燃料計の一部を構成する燃料計セグメント表示部42Cの3つを含んで構成される。回転計セグメント表示部42Aは、ディスプレイ41の幅方向左側にケース2の鉛直方向上端部から下端部にかけて設けられる。水温計セグメント表示部42Bは、ディスプレイ41の幅方向右側にケース2の鉛直方向上端部から中央部にかけて設けられる。燃料計セグメント表示部42Cは、ディスプレイ41の幅方向右側でかつ水温計セグメント表示部42Bの鉛直方向下側にケース2の鉛直方向中央部から下端部にかけて設けられる。なお、以下の説明では、回転計セグメント表示部42A、水温計セグメント表示部42B、燃料計セグメント表示部42Cを特に区別して説明する必要がない場合には、単にセグメント表示部42という。
文字板5は、図4に示すように、表示する車両情報に応じた種々の図柄、記号、文字列等が描かれた板状の部材である。文字板5は、例えば、透明生地のポリカーボネイト製シートであり、暗色系のインクによって、上記図柄、記号、文字列等に対応した形状が中抜きされた印刷が施されることで、上記図柄、記号、文字列等が描かれている。ここでは、文字板5は、ほぼ中央部に略矩形状の開口部51が形成されている。上述のディスプレイ41は、前面側の表面が当該開口部51を介して文字板5の前面側に露出しており、このディスプレイ41の前面側の表面が上述の略矩形状の画像表示面41aの表示領域を構成する。また、文字板5は、車両情報に関する図柄、記号、文字列として、少なくとも複数のセグメントバー52等を含んで構成される。文字板5は、これらセグメントバー52の部分が上述の中抜きされた部分であり、すなわち、光を透過する部分である。各セグメントバー52は、幅方向に沿って矩形棒状に形成される。各セグメントバー52は、上述したセグメント表示部42の一部を構成する。複数のセグメントバー52は、回転計セグメント表示部42Aの各セグメント用光源42aに対応して1つずつ形成される回転計セグメントバー52A、水温計セグメント表示部42Bの各セグメント用光源42aに対応して1つずつ形成される水温計セグメントバー52B、燃料計セグメント表示部42Cの各セグメント用光源42aに対応して1つずつ形成される燃料計セグメントバー52Cを含んで構成される。回転計セグメントバー52Aは、開口部51の幅方向左側に鉛直方向に沿って等間隔で並んで設けられ、水温計セグメントバー52B、燃料計セグメントバー52Cは、開口部51の幅方向右側にそれぞれ鉛直方向に沿って等間隔で並んで設けられる。ここでは、回転計セグメントバー52A、水温計セグメントバー52B、燃料計セグメントバー52Cは、それぞれ若干湾曲させて配列されている。なお、以下の説明では、回転計セグメントバー52A、水温計セグメントバー52B、燃料計セグメントバー52Cを特に区別して説明する必要がない場合には、単にセグメントバー52という。
セグメント表示部42は、セグメント表示部42の各セグメント用光源42aがそれぞれ個別に点灯することで、文字板5の奥行き方向背面側から光が照射され、各セグメントバー52の部分において当該照射された光が透過されることで、各セグメントバー52がそれぞれ個別に点灯される。一方、セグメント表示部42は、各セグメント用光源42aがそれぞれ個別に消灯されることで、各セグメントバー52が個別に消灯される。
図1、図2、図3に戻って、前面側表示装置6は、ツーレイヤー式の表示装置1において、奥行き方向前面側に位置する表示部であり、所定の図柄を表示する第2層目の表示面(後述する第2表示面12)を構成する。前面側表示装置6は、透明文字板61と、光源62と、回路基板63とを含んで構成される。
透明文字板61は、背面側表示装置4の前面側、さらに言えば、文字板5の前面側に重ねて設けられる。透明文字板61は、ディスプレイ41から照射された光を透過する透過性を有する透明部材(透明媒体)によって形成される透明導光板である。透明文字板61は、図1、図5に示すように、メイン透明文字板61Aと、当該メイン透明文字板61Aの幅方向両側に設けられる一対のサブ透明文字板61B、61Cの3つを含んで構成される。メイン透明文字板61Aは、少なくとも一部が背面側表示装置4のうちのディスプレイ41の前面側に重なるようにして設けられる。ここでは、メイン透明文字板61Aは、鉛直方向の両端面61a、61bが幅方向に沿った直線状でかつ幅方向の両端面61c、61dが外側に突出した曲線状に形成された樽型形状に形成される。サブ透明文字板61Bは、少なくとも一部が背面側表示装置4のうち回転計セグメント表示部42Aの前面側に重なるようにして設けられる。ここでは、サブ透明文字板61Bは、鉛直方向の両端面61e、61fが幅方向に沿った直線状でかつ幅方向の両端面61g、61hがメイン透明文字板61Aの幅方向左側の端面61cの曲線に沿って湾曲した形状に形成される。サブ透明文字板61Cは、少なくとも一部が背面側表示装置4のうち水温計セグメント表示部42B、及び、燃料計セグメント表示部42Cの前面側に重なるようにして設けられる。ここでは、サブ透明文字板61Cは、鉛直方向の両端面61i、61jが幅方向に沿った直線状でかつ幅方向の両端面61k、61lがメイン透明文字板61Aの幅方向右側の端面61dの曲線に沿って湾曲した形状に形成される。なお、以下の説明では、メイン透明文字板61A、サブ透明文字板61B、61Cを特に区別して説明する必要がない場合には、単に透明文字板61という。
透明文字板61は、図1、図2、図3、図5、図6等に示すように、図柄(表示意匠)64を構成する凹凸部としての複数の微細な溝65が形成される。図柄64を構成する溝65は、例えば、レーザー加工等の種々の手法による掘り込みによって、透明文字板61の主面上、ここでは、当該透明文字板61の背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。また、図柄64を構成する溝65は、例えば、当該溝65に相当する凸形状を設けた金型を用いて透明文字板61を樹脂成形することによって、透明文字板61の主面上、ここでは、当該透明文字板61の背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。ここでは、複数の微細な溝65は、幅方向に沿って形成される。すなわち、溝65の延在方向L1は、幅方向に沿った方向である。なお、この溝65の延在方向L1については、後で詳細に説明する。透明文字板61に溝65によって形成される図柄64としては、例えば、ディスプレイ41で表示される運転情報と関連するような種々の図柄が含まれてもよい。
ここでは、透明文字板61のうちメイン透明文字板61Aは、図柄64として、微細な溝65によって、速度計の目盛を構成する実像図柄(以下、単に「速度計大目盛図柄」という場合がある。)64Aが描かれている。速度計大目盛図柄64Aは、ディスプレイ41が速度計として機能する際に指針画像41bの周りに設けられ当該指針画像41bによって指し示される指標部となる図柄である。速度計大目盛図柄64Aは、指針画像41bの回転中心を中心とした円環と当該円環の内側に円周方向に沿って等間隔で設けられる目盛、速度を表す数字、及び、単位[km/h]の図柄を含んで構成される。速度計大目盛図柄64Aの目盛は、指針画像41bの先端の回動軌跡に沿って描かれる。速度計大目盛図柄64Aは、速度計小目盛画像41cの円環よりも大きな円環であると共に目盛の間隔が速度計小目盛画像41cの間隔よりも相対的に広くなっている。
透明文字板61のうちサブ透明文字板61Bは、図柄64として、微細な溝65によって、回転計の目盛を構成する実像図柄(以下、単に「回転計目盛図柄」という場合がある。)64Bが描かれている。回転計目盛図柄64Bは、回転計セグメント表示部42Aに重畳するようにして描かれ回転計セグメントバー52Aによって指し示される指標部となる図柄である。回転計目盛図柄64Bは、鉛直方向に沿って延びる円弧状の基準線と当該基準線の幅方向右側に設けられた目盛、及び、回転数を表す数字の図柄を含んで構成される。
透明文字板61のうちサブ透明文字板61Cは、図柄64として、微細な溝65によって、水温計の目盛を構成する実像図柄(以下、単に「水温計目盛図柄」という場合がある。)64C、及び、燃料計の目盛を構成する実像図柄(以下、単に「燃料計目盛図柄」という場合がある。)64Dが描かれている。水温計目盛図柄64Cは、水温計セグメント表示部42Bに重畳するようにして描かれ水温計セグメントバー52Bによって指し示される指標部となる図柄である。水温計目盛図柄64Cは、鉛直方向に沿って延びる円弧状の基準線と当該基準線の幅方向左側に設けられた目盛、及び、水温の高低を表す文字「H」、「C」の図柄を含んで構成される。燃料計目盛図柄64Dは、燃料計セグメント表示部42Cに重畳するようにして描かれ燃料計セグメントバー52Cによって指し示される指標部となる図柄である。燃料計目盛図柄64Dは、鉛直方向に沿って延びる円弧状の基準線と当該基準線の幅方向左側に設けられた目盛、及び、燃料残量を表す文字「F」、「E」の図柄を含んで構成される。
なお、以下の説明では、速度計大目盛図柄64A、回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dを特に区別して説明する必要がない場合には、単に図柄64という。
光源62は、透明文字板61の端面、ここでは、端面61a、61b、61e、61f、61i、61jに光を照射する。光源62は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等によって構成されるが、これに限らない。光源62は、その光軸方向が透明文字板61の端面61a、61b、61e、61f、61i、61jと直交し、かつ、照射された光が透明文字板61の端面61a、61b、61e、61f、61i、61jから入射するように設けられている。つまりここでは、透明文字板61の各端面61a、61b、61e、61f、61i、61jは、光源62からの光の入射端面となる。より詳細には、光源62は、透明文字板61の鉛直方向の上側の端面61a、61e、61i、及び、下側の端面61b、61f、61jと対向する位置に、それぞれ幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられる。本実施形態の複数の光源62は、メイン透明文字板61Aの鉛直方向の両端面61a、61bに沿って設けられた複数のメイン用光源62Aと、サブ透明文字板61Bの鉛直方向の両端面61e、61fに沿って設けられた複数のサブ用光源62Bと、サブ透明文字板61Cの鉛直方向の両端面61i、61jに沿って設けられた複数のサブ用光源62Cとを含んで構成される。なお、以下の説明では、メイン用光源62A、サブ用光源62B、サブ用光源62Cを特に区別して説明する必要がない場合には、単に光源62という。ここでは、各光源62は、その光軸方向が鉛直方向に沿うように配置され、これにより、光源62による光の照射方向L2が鉛直方向に沿った方向となる。つまり、透明文字板61の鉛直方向の上側の端面61a、61e、61iと対向する各光源62は、鉛直方向に沿って下向きに光を照射し、透明文字板61の鉛直方向の下側の端面61b、61f、61jと対向する各光源62は、鉛直方向に沿って上向きに光を照射する。ここでは、上述の溝65の延在方向L1と光の照射方向(言い換えれば光軸方向)L2とは、互いに直交する。各光源62は、例えば、前面側から視て後述の見返し板7等によって隠れる位置に配置される。
回路基板63は、各光源62、及び、メインの回路基板3に電気的に接続される。各光源62は、回路基板3、及び、回路基板63等を介して駆動制御される。各光源62は、典型的には、メイン用光源62Aと、サブ用光源62Bと、サブ用光源62Cとをそれぞれ個別に点灯、消灯を切り替えることができる。
上記のように構成される前面側表示装置6は、各光源62が回路基板3、回路基板63等を介して駆動制御されることで、光源62の点灯、消灯に基づいて、図柄64の表示、非表示が切り替えられる。前面側表示装置6は、光源62が点灯すると図柄64が発光表示された状態となり、すなわち、光源62から照射された光が透明文字板61の入射端面(ここでは、端面61a、61b、61e、61f、61i、61j)に入射して当該透明文字板61内を伝播し、少なくとも当該入射光の一部の成分が図柄64を構成する溝65で前面側に反射し、この結果、運転者等が当該図柄64を視認可能な状態となる(一例として図6等参照)。この場合、前面側表示装置6は、運転者が前面側(運転席側)から視たときに、透明文字板61上に表示される図柄64を、ディスプレイ41の画像表示面41a上の画像(指針画像41b、速度計小目盛画像41c)やセグメント表示部42の各セグメントバー52上に重畳させて表示して所定の意匠を形成し、これにより、多様な表示を可能とすることができる。一方、前面側表示装置6は、光源62が消灯すると図柄64が非表示の状態となり、ディスプレイ41等から照射され透明文字板61を透過した光によって、運転者等が画像表示面41a等に表示された種々の画像を視認しやすい状態となる。
見返し板7は、文字板5、透明文字板61等の周囲を囲って当該文字板5、透明文字板61等を押える枠状の部材である。見返し板7は、ケース2に組み付けられる。
表ガラス8は、光を透過する光透過性を有する保護部材であり、見返し板7に組み付けられる。
ここで、図1、図2、図3、図7に示すように、上記のように背面側表示装置4によって構成される第1層目の表示面は、車両情報を表示する第1表示面11を構成する。一方、上記のように前面側表示装置6によって構成される第2層目の表示面は、第1表示面11に重ねて設けられ光を透過すると共に、溝65によって形成される図柄64を有し当該図柄64を表示する表示状態と、当該図柄64を非表示とする非表示状態とに切り替え可能である第2表示面12を構成する。第1表示面11と第2表示面12とは、奥行き方向、言い換えれば、車両進行方向に、重ねられた複数の表示面を構成し、第1表示面11が当該複数の表示面の車両進行方向奥側の表示面を構成し、第2表示面12が当該複数の表示面の車両進行方向手前側(運転者等の目視者の目視位置側)の表示面を構成する。
より具体的には、第1表示面11は、文字板5の開口部51から露出したディスプレイ41の画像表示面41aと文字板5において各セグメントバー52とが形成された面によって構成される。すなわち、第1表示面11は、略矩形状に形成された画像表示面41aの表示領域を含むと共に、各セグメントバー52による矩形棒状の表示領域とを含む。
一方、第2表示面12は、図柄64を構成する溝65が形成された透明文字板61の背面側の主面によって構成される。より詳細には、図柄65として第1図柄である速度計大目盛図柄64Aが形成されるメイン透明文字板61Aと、図柄65として第2図柄であるの回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dが形成されるサブ透明文字板61B、61Cとによって構成される。ここでは、メイン透明文字板61Aは、第1透明導光板を構成し、サブ透明文字板61B、61Cは、それぞれ第1透明導光板としてのメイン透明文字板61Aとは別体に形成され当該メイン透明文字板61Aと隣接して設けられる第2透明導光板を構成する。本実施形態の第2表示面12は、これらメイン透明文字板61A、サブ透明文字板61B、61Cそれぞれの背面側の主面によって構成される。つまり、第2表示面12は、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61Bとサブ透明文字板61Cとに分かれて複数の表示面に分割されており、ここでは、3分割されて構成されている。
そして、第2表示面12は、第1表示面11の状態にかかわらず各光源62の点灯、消灯に応じて表示状態と非表示状態とを切り替え可能である。ここで、第2表示面12の表示状態とは、光源62から照射される光によって図柄64を表示する状態である。一方、第2表示面12の非表示状態とは、光源62が消灯することで当該図柄64を非表示とする状態である。
さらに言えば、本実施形態の表示装置1は、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61Bとサブ透明文字板61Cとに分かれて分割されて構成される第2表示面12において、メイン透明文字板61Aによって構成される第2表示面12と、サブ透明文字板61Bによって構成される第2表示面12と、サブ透明文字板61Cによって構成される第2表示面12とを個別に表示状態と非表示状態とを切り替え可能である。ここでは、上述したメイン用光源62Aは、メイン透明文字板61Aに光を照射し当該照射した光によって速度計大目盛図柄64Aを表示する第1光源を構成する。サブ用光源62B、62Cは、それぞれサブ透明文字板61B、61Cに光を照射し当該照射した光によって回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dを表示する第2光源を構成する。メイン用光源62Aは、サブ用光源62B、62Cとは独立して、メイン透明文字板61Aに光を照射し当該照射した光によって速度計大目盛図柄64Aを表示する表示状態と、消灯することで速度計大目盛図柄64Aを非表示とする非表示状態とを切り替え可能である。サブ用光源62Bは、メイン用光源62A、サブ用光源62Cとは独立して、サブ透明文字板61Bに光を照射し当該照射した光によって回転計目盛図柄64Bを表示する表示状態と、消灯することで回転計目盛図柄64Bを非表示とする非表示状態とを切り替え可能である。サブ用光源62Cは、メイン用光源62A、サブ用光源62Bとは独立して、サブ透明文字板61Cに光を照射し当該照射した光によって水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dを表示する表示状態と、消灯することで水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dを非表示とする非表示状態とを切り替え可能である。このように、表示装置1は、メイン用光源62Aの点灯、消灯に応じてメイン透明文字板61Aによって構成される第2表示面12の表示状態と非表示状態とを切り替え可能であり、サブ用光源62Bの点灯、消灯に応じてサブ透明文字板61Bによって構成される第2表示面12の表示状態と非表示状態とを切り替え可能であり、サブ用光源62Cの点灯、消灯に応じてサブ透明文字板61Cによって構成される第2表示面12の表示状態と非表示状態とを切り替え可能である。
ここで、本実施形態の表示装置1は、図1、図5、図7、図8等に示すように、メイン透明文字板61Aが幅方向右側に位置しサブ透明文字板61Bが幅方向左側に位置して、当該メイン透明文字板61Aと当該サブ透明文字板61Bとが幅方向に間隔をあけて隣接する。同様に、表示装置1は、メイン透明文字板61Aが幅方向左側に位置しサブ透明文字板61Cが幅方向右側に位置して、当該メイン透明文字板61Aと当該サブ透明文字板61Cとが幅方向に間隔をあけて隣接する。つまり、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61Bとサブ透明文字板61Cとが並ぶ方向が隣接方向に相当し、ここでは、隣接方向は、幅方向に沿った方向となる。
そして、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、相互に隣接する側の端面、ここでは、端面61c、61d、61h、61lの位置がメイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとが隣接する方向と交差する方向にずれている。メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとが隣接する方向と交差する方向は、ここでは、奥行き方向に沿った方向である。メイン透明文字板61Aの幅方向の端面61c、61dのうち幅方向左側の端面61cとサブ透明文字板61Bの幅方向の端面61g、61hのうち幅方向右側の端面61hとは、隣接する方向と交差する方向である奥行き方向にずれている。また、メイン透明文字板61Aの幅方向の端面61c、61dのうち幅方向右側の端面61dとサブ透明文字板61Cの幅方向の端面61k、61lのうち幅方向左側の端面61lとは、隣接する方向と交差する方向である奥行き方向にずれている。
ここでは、端面61dと端面61lとは、図9に一例として例示するように、メイン透明文字板61Aの厚み方向の中心線CA(幅方向とほぼ平行)に対してサブ透明文字板61Cの厚み方向の中心線CCが傾斜するようにして設けられることで、奥行き方向にずれている。同様に、端面61cと端面61hとは、メイン透明文字板61Aの厚み方向の中心線CA(幅方向とほぼ平行)に対してサブ透明文字板61Bの厚み方向の中心線CBが傾斜するようにして設けられることで、奥行き方向にずれている。
また、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、端面61c、61d、61h、61lの位置が奥行き方向にずれて位置することで、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lの一方が他方からの漏れ光の出射範囲外に位置することが好ましい。つまり、端面61dと端面61lとは、図9に一例として例示するように、相互に奥行き方向にずれて位置することで、端面61dが端面61lからの漏れ光の出射範囲γ外に位置し、端面61lが端面61dからの漏れ光の出射範囲γ外に位置することが好ましい。同様に、端面61cと端面61hとは、相互に奥行き方向にずれて位置することで、端面61cが端面61hからの漏れ光の出射範囲外に位置し、端面61hが端面61cからの漏れ光の出射範囲外に位置することが好ましい。
さらに、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、図9に一例として例示するように、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lが予め設定される想定視認方向に沿って形成される。ここで、想定視認方向とは、この表示装置1の使用状態において想定される運転者等の視線の方向等に応じて予め任意に設定される方向であり、例えば、ここでは、奥行き方向に沿った方向とする。なお、本実施形態では、端面61c、61d、61h、61l以外の端面61a、61b、61e、61f、61g、61i、61j、61kも端面61c、61d、61h、61lと同様に予め設定される想定視認方向に沿って形成される。
ここでさらに、本実施形態の表示装置1は、図7に示すように、背面側表示装置4が照射する光の偏光方向L3と各図柄64を構成する溝65の延在方向L1とが所定の角度範囲で交差するように構成することで、背面側表示装置4と前面側表示装置6とを組み合わせて多様な表示を実現した上で、適正な視認性を確保することができるようにしている。ここで、溝65の延在方向L1とは、典型的には、当該溝65が延びる方向に相当する。また、背面側表示装置4が照射する光の偏光方向L3とは、言い換えれば第1表示面11が照射する光の偏光方向に相当する。
本実施形態の背面側表示装置4を構成するディスプレイ41は、一方向に偏光された光を照射し車両情報に関する画像(指針画像41b、速度計小目盛画像41c等)を表示する構成となっている。すなわち、ディスプレイ41は、バックライトから発せられた光が、偏光板等を介して偏光方向L3を透過軸方向として揃えられ、当該偏光方向L3(透過軸方向)に沿った振動方向の光を出射することで一方向に偏光された光を出射する。ここで、ディスプレイ41の偏光方向L3とは、典型的には、ディスプレイ41における最終的な透過軸方向に相当する。ディスプレイ41は、典型的には、最終的な偏光板の前面が上述の画像表示面41aの表面を構成し、当該偏光板の前面側に透明文字板61が配置され、偏光方向L3に沿った振動方向の光が透明文字板61に入射する。ここでは、偏光方向L3は、鉛直方向に沿った方向とされている。
なお、以上の説明では、ディスプレイ41の偏光方向L3について説明したが、セグメント表示部42の各セグメント用光源42aと透明文字板61との間に、当該各セグメント用光源42aからの光を、一方向、ここでは、偏光方向L3に偏光された光にする偏光板を設けることで、セグメント表示部42から照射される光も偏光方向L3に偏光された光とすることができる。これにより、背面側表示装置4は、ディスプレイ41とセグメント表示部42とを含む全体が照射する光の偏光方向を偏光方向L3とすることもできる。
一方、図柄(表示意匠)64を構成する複数の微細な溝65は、例えば、図6等に示すように、略V字状の断面形状で、ピッチが1μm以下(下限値は例えば製造上可能な寸法)で形成されることが好ましい。また、各溝65は、一方向に延在する直線溝として形成される。また、透明文字板61は、図柄64の領域の材質の透過率と透明文字板61における図柄64の周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成される。このような微細な溝65によって構成される回折格子では、光の振動方向が溝65の延在方向L1に対して垂直(直交)である場合と、平行である場合とで回折効率が異なる傾向にある。すなわち、このような微細な溝65によって構成される回折格子は、典型的には、振動方向が溝65の延在方向L1に対して垂直である光を透過する一方、振動方向が溝65の延在方向L1に対して平行である光を遮断する傾向にある。つまり、透明文字板61上に形成された微細な溝65は、偏光板と類似する作用を示し、溝65の延在方向L1と直交する方向を透過軸方向とし、当該透過軸方向に振動する光を透過する一方、当該透過軸方向と直交する吸収軸方向(溝65の延在方向L1)に振動する光の大部分を遮断する。
そして、本実施形態の表示装置1は、背面側表示装置4の偏光方向L3と図柄64を構成する溝65の延在方向L1とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成される。背面側表示装置4の偏光方向(透過軸方向)L3と図柄64を構成する溝65の延在方向L1とがなす角度を角度θ(図7参照)とした場合、溝65は、角度θが[75°≦θ≦105°]の条件式を満たすように透明文字板61上に形成される。つまり、偏光方向L3と延在方向L1とは、75°以上105°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。より好ましくは、偏光方向L3と延在方向L1とは、85°以上95°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。最も好ましくは、ディスプレイ41の偏光方向L3と図柄64を構成する溝65の延在方向L1とは直交する。ここでは、溝65は、溝65の延在方向L1が背面側表示装置4の偏光方向L3と直交し、当該微細な溝65によって構成される回折格子の透過軸方向が偏光方向L3と平行となるように透明文字板61上に形成される。なお、背面側表示装置4の偏光方向L3と溝65の延在方向L1とが直交するという場合、θ=90°である場合に加え、例えば、表示装置1の製造上許容される公差に応じた許容誤差角度の範囲内での誤差が許容される。
上記のように構成される表示装置1は、背面側表示装置4の偏光方向L3と溝65の延在方向L1とが直交するように構成され(θ=90°)、言い換えれば、背面側表示装置4の偏光方向L3と溝65の透過軸方向とが平行となるように構成される。これにより、表示装置1は、光源62が消灯している非表示状態において、図柄64内部の領域では、図柄64外部の領域と同様に、ディスプレイ41からの光をほぼ全て透過する。この結果、表示装置1は、光源62が消灯している状態において、透明文字板61における図柄64の周囲の領域の輝度に対する図柄64の領域の輝度の比率を表す輝度比(以下、単に「図柄64の周囲の領域に対する図柄64の領域の輝度比」という場合がある。)が最大となるので、図柄64の周囲の領域に対して図柄64の領域が目立ちにくくなり、図柄64を視認しにくくすることができる。ここで、図柄64の周囲の領域に対する図柄64の領域の輝度比は、典型的には、「図柄64の領域の輝度/図柄64の周囲の領域の輝度×100[%]」で表すことができ、当該輝度比が小さくなるほど図柄64の周囲の領域と図柄64の領域との輝度差が相対的に大きいことを表す。
なお、表示装置1は、偏光方向L3と延在方向L1とが直交する状態(θ=90°)に限らず、上述した[75°≦θ≦105°]、より好ましくは[85°≦θ≦95°]の範囲であれば、図柄64の周囲の領域に対する図柄64の領域の輝度比が所定の輝度比範囲内に収まるので、図柄64を視認しにくい状態で維持することができる。ここで、所定の輝度比範囲とは、例えば、90%以上100%以下の範囲、より好ましくは92.5%以上100%以下の範囲である。表示装置1は、上述のように、背面側表示装置4の偏光方向L3と溝65の延在方向L1とが上記のような角度範囲で交差するように構成されることで、偏光方向L3と延在方向L1とが、図柄64の周囲の領域の輝度に対する図柄64の領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成することができる。
ここで、図10〜図13を参照して表示装置1に関する輝度実測試験について説明する。ここでは、以上で説明した実施形態に係る表示装置1を用いて透明文字板61における輝度を、輝度測定用カメラによって実測する輝度実測試験を実施した。ここで、表示装置1では、図10に示すような配置となるように、ディスプレイ41、透明文字板61等を配置すると共に、図11に示すような形状となるように、溝65を形成した。すなわち、当該表示装置1では、透明文字板61の奥行き方向の厚さを2mmとし、ディスプレイ41の画像表示面(表面)41aと当該透明文字板61の裏面(背面)との奥行き方向の間隔を4.5mmとした。そして、当該表示装置1では、透明文字板61の背面に、図柄64を構成する溝65を形成した。本輝度実測試験におけるZ方向(奥行き方向)に対する輝度測定位置は、当該透明文字板61の溝65が形成された面上の位置であり、輝度測定用カメラの焦点位置に相当する。そして、当該表示装置1では、溝65を略V字状の断面形状で、かつ、0.5μmピッチで形成し、各溝65の奥行き方向の深さを0.25μmとし、底部がなす角度をほぼ90°(deg)とした。また、当該表示装置1では、各溝65を一方向に延在する直線溝として形成した。本輝度実測試験におけるX方向(幅方向)及びY方向(鉛直方向)に対する輝度測定位置は、図12に示すように、図柄64の領域と図柄64の周囲の領域とでそれぞれ複数の位置を選定しこれらの平均値を用いた。また、ディスプレイ41の光源色の点灯条件としては、色度図におけるX=0.63、Y=0.35の赤色の光、X=0.31、Y=0.58の緑色の光、X=0.14、Y=0.05の青色の光を用いてそれぞれ輝度実測試験を実施した。本輝度実測試験では、光源62を消灯した状態で、画像表示面41aに対して透明文字板61を相対回転させ偏光方向L3と延在方向L1とがなす角度θを変更させながら、上述した輝度測定位置で輝度測定用カメラを用いて輝度を実測した。
図13は、上記の輝度実測試験の結果を表している。図13は、横軸を偏光方向L3と延在方向L1とがなす角度θ[deg]とし、縦軸を図柄64の周囲の領域の輝度に対する図柄64の領域の輝度の輝度比[%]としている。図13からも明らかなように、表示装置1は、偏光方向L3と延在方向L1とがなす角度θが[75°≦θ≦105°]の範囲内にある場合、赤(線R参照)、緑(線G参照)、青(線B参照)の3色すべてにおいて、図柄64の周囲の領域に対する図柄64の領域の輝度比が90%以上100%以下となり、図柄64を非表示とした場合に、透明文字板61上の図柄64を構成する溝65を視認されにくくすることができることが明らかである。さらには、表示装置1は、角度θが[85°≦θ≦95°]の範囲内にある場合、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄64の周囲の領域に対する図柄64の領域の輝度比が92.5%以上100%以下となり、溝65をさらに視認されにくくすることができることが明らかである。そして、表示装置1は、角度θが[θ=90°]である場合、すなわち、偏光方向L3と延在方向L1とが直交する場合に、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄64の周囲の領域に対する図柄64の領域の輝度比が最大となり、溝65を最も視認されにくくすることができることが明らかである。ここでは、表示装置1は、角度θが[θ=90°]である場合、赤色の光を照射した場合の輝度比が97.4%、緑色の光を照射した場合の輝度比が97.6%、青色の光を照射した場合の輝度比が94%となった。
なお、本実施形態の表示装置1は、上述したように溝65の延在方向L1と前面側表示装置6の光源62による光の照射方向L2とが直交するように構成される。つまりここでは、背面側表示装置4の偏光方向L3、及び、光源62による光の照射方向L2は、鉛直方向に沿った方向であり、溝65の延在方向L1は、水平方向に沿った方向である。したがって、表示装置1は、光源62からの光を、図柄64を構成する溝65に対してほぼ垂直に入射するようにすることができるので、透明文字板61上に図柄64を表示する場合に、溝65で前面側(運転席側)に反射される光の量を相対的に増加させることができ、当該図柄64を鮮明に表示することができる。
本実施形態の第2表示面12は、透明文字板61の背面側の主面に、延在方向L1、照射方向L2、偏光方向L3等が上記のような位置関係となるように複数の微細な溝65が形成されることで、図柄64の表示構造66(図6参照)、及び、非表示構造67(図6参照)が構成される。
ここで、第2表示面12の表示構造66とは、第2表示面12の表示状態にて光源62から照射される光によって図柄64を形成するための構造である。ここでは、表示構造66は、第2表示面12の表示状態にて、光源62から照射された光を、第2表示面12を構成する部材である透明文字板61の表面に形成された複数の微細な溝65で反射させることで図柄64を形成する構造である。これにより、表示構造66は、運転者等が第2表示面12上の図柄64を視認可能な状態とすることができる。
一方、第2表示面12の非表示構造67とは、第2表示面12の非表示状態にて表示状態と比較して図柄64を視認し難くするための構造である。さらに言えば、第2表示面12の非表示構造67とは、第2表示面12の非表示状態にて、表示状態と比較して複数の微細な溝65を視認し難くするための構造である。ここでは、非表示構造67は、光源62が消灯することで図柄64を視認し難くすると共に、さらに、背面側表示装置4の偏光方向L3と図柄64を構成する溝65の延在方向L1とが所定の角度範囲、典型的には、上記のように75°以上105°以下の角度範囲で交差するように溝65を形成することで、溝65自体も視認し難くする構造である。これにより、非表示構造67は、第2表示面12上の図柄64の領域と図柄64の周囲の領域とで透過光の振幅がほぼ同等となるようにし、図柄64の領域と図柄64の周囲の領域との輝度に差がほぼない状態とすることができ、これにより、非表示状態にて、図柄64、及び、これを構成する複数の微細な溝65を視認し難くすることができる。
上記のように構成される表示装置1は、第1表示面11と第2表示面12とによって情報を表示する。より詳細には、第1表示面11と第2表示面12は、第1表示面11に表示される車両情報と第2表示面12に描かれた図柄64とを連携させた少なくとも1つの情報を表示する。ここで、車両情報と図柄64とを連携させた情報とは、典型的には、第1表示面11の車両情報又は第2表示面12の図柄64のいずれか一方では情報として意味をなさない情報であり、当該車両情報と当該図柄64とを組み合わせて連携させることではじめて情報として意味をなす情報である。つまりここでは、車両情報と図柄64とは、それぞれでは意味をなさないものの、相互に組み合わせることではじめて相互に連携した情報として意味をなすものであり、意味をなす連携した情報を生成するためにはいずれも必要不可欠なものである。
具体的には、表示装置1は、前面側表示装置6の各光源62が全て点灯した状態、すなわち、第2表示面12の全体が表示状態である場合には、例えば、図1に例示するような表示態様となる。
この場合、表示装置1は、ディスプレイ41と前面側表示装置6のメイン透明文字板61Aとが速度計を構成する。つまり、表示装置1は、ディスプレイ41(第1表示面11)に表示される車両情報に関する画像、ここでは指針画像41b、速度計小目盛画像41cと、メイン透明文字板61A(第2表示面12)に描かれ点灯表示された速度計大目盛図柄64Aとが組み合わされて連携し、車両の車速を表示する。表示装置1は、第1表示面11に指針画像41bを動的に回動させる動画を表示し、当該指針画像41bによって、速度計小目盛画像41c、速度計大目盛図柄64Aにおける現在の速度を指し示すことで、現在の車速を表示する。
また、表示装置1は、回転計セグメント表示部42Aと前面側表示装置6のサブ透明文字板61Bとが回転計を構成する。つまり、表示装置1は、回転計セグメント表示部42A(第1表示面11)に表示される車両情報、ここでは回転計セグメントバー52Aと、サブ透明文字板61B(第2表示面12)に描かれ点灯表示された回転計目盛図柄64Bとが組み合わされて連携し、車両のエンジン回転数を表示する。表示装置1は、複数の回転計セグメントバー52Aに対応する各セグメント用光源42aを現在のエンジン回転数に応じて点灯、消灯させ、回転計目盛図柄64Bにおける現在のエンジン回転数の位置まで回転計セグメントバー52Aを点灯表示することで、現在のエンジン回転数を表示する。同様に、表示装置1は、水温計セグメント表示部42Bと前面側表示装置6のサブ透明文字板61Cとが水温計を構成し、燃料計セグメント表示部42Cと前面側表示装置6のサブ透明文字板61Cとが燃料計を構成する。これら水温計、燃料計の動作は、上述の回転計とほぼ同様なのでその説明を省略する。
一方、表示装置1は、前面側表示装置6の各光源62のうちサブ用光源62B、62Cが点灯した状態である一方、メイン用光源62Aが消灯した状態、すなわち、サブ透明文字板61B、61Cによって構成される第2表示面12が表示状態でメイン透明文字板61Aによって構成される第2表示面12が非表示状態である場合には、例えば、図14に例示するような表示態様となる。図14は、サブ用光源62B、62Cが点灯状態である一方、メイン透明文字板61Aのメイン用光源62Aが消灯状態であり、すなわち、第2表示面12において速度計大目盛図柄64Aが描かれたメイン透明文字板61Aの部分が非表示状態となった状態を示している。この場合、表示装置1は、メイン透明文字板61Aの端面に設けられた各メイン用光源62Aを消灯状態とし第2表示面12の速度計大目盛図柄64Aを非表示状態とすることで、第1表示面11の画像表示面41aの表示領域全体を使ったフルサイズの車両情報の表示が可能となる。図14の例では、表示装置1は、一例として、画像表示面41aの表示領域全体を使ったナビゲーション画像を表示している。このとき、表示装置1は、速度計大目盛図柄64A等を構成する微細な溝65の延在方向L1と背面側表示装置4の光の偏光方向L3とが所定の角度で交差するように構成されていることから、速度計大目盛図柄64Aを構成する溝65を非表示状態においてより見え難くすることができるので、第1表示面11で表示されている車両情報の視認性を向上することができる。なお、表示装置1は、サブ透明文字板61B、61Cのサブ用光源62B、62Cを消灯状態とすることで第2表示面12の回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dを非表示状態とすることもできる。
以上で説明した表示装置1によれば、車両情報を表示する第1表示面11と、第1表示面11に重ねて設けられ光を透過すると共に図柄64を構成する凹凸部としての溝65が形成され光源62から照射される光によって図柄65を表示する表示状態と、光源62が消灯することで図柄64を非表示とする非表示状態とを切り替え可能である第2表示面12とを備える。第2表示面12は、図柄64として速度計大目盛図柄64Aが形成されるメイン透明文字板61Aと、メイン透明文字板61Aとは別体に形成され当該メイン透明文字板61Aと隣接して設けられると共に図柄64として回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dが形成されるサブ透明文字板61B、61Cとによって構成される。光源62は、メイン透明文字板61Aに光を照射し当該照射した光によって速度計大目盛図柄64Aを表示するメイン用光源62Aと、サブ透明文字板61B、61Cに光を照射し当該照射した光によって回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dを表示するサブ用光源62B、62Cとを含んで構成され、メイン用光源62Aとサブ用光源62B、62Cとが個別に点灯と消灯とを切り替え可能である。
したがって、表示装置1は、第1表示面11に表示される車両情報と、第1表示面11に重ねて設けられ光を透過する第2表示面12に表示される図柄64とを組み合わせて情報を表示することができる。この場合、表示装置1は、第1表示面11に重ねて設けられる第2表示面12が光を透過し、かつ、図柄64の表示、非表示を切り替え可能に構成されることで、例えば、第1表示面11の表示領域を広く使って車両情報を表示することもできる。そしてさらに、表示装置1は、第2表示面12がメイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとによって構成されると共に、メイン透明文字板61Aに対するメイン用光源62Aとサブ透明文字板61B、61Cに対するサブ用光源62B、62Cとにおいて、個別に点灯と消灯とを切り替えることができるので、メイン透明文字板61Aに形成された速度計大目盛図柄64Aと、サブ透明文字板61B、61Cに形成された回転計目盛図柄64B、水温計目盛図柄64C、燃料計目盛図柄64Dとに関し、個別に表示状態と非表示状態とを切り替えることができる。この結果、表示装置1は、多様な表示態様を実現することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lがメイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとが隣接する方向と交差する方向にずれている。したがって、表示装置1は、隣接する透明文字板61(メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、あるいは、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61C)のうちの一方の光源62が点灯し他方が消灯している状態で、当該隣接する透明文字板61のうちの点灯している側の端面(端面61c、61d、61h、61lのいずれか)から漏れ出た光が、隣接する透明文字板61のうちの消灯している側の端面(端面61c、61d、61h、61lのうちの隣接する端面)に入射し難い構成とすることができる。これにより、表示装置1は、隣接する透明文字板61のうちの消灯している側の透明文字板61に形成された図柄64が、点灯している側の透明文字板61からの漏れ光によって視認可能な状態となってしまうことを抑制することができ、例えば、第1表示面11に表示された車両情報の視認性が阻害されることを抑制することができる。
ここでは、以上で説明した表示装置1によれば、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lの一方が他方からの漏れ光の出射範囲外に位置する。これにより、表示装置1は、隣接する透明文字板61のうちの光源62が点灯している側の端面(端面61c、61d、61h、61lのいずれか)から漏れ出た光が、隣接する透明文字板61のうちの光源62が消灯している側の端面(端面61c、61d、61h、61lのうちの隣接する端面)に入射してしまうことを確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lが予め設定される想定視認方向に沿っている。したがって、表示装置1は、運転者等がメイン透明文字板61A、サブ透明文字板61B、61Cを想定視認方向に沿って視た際に、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61l自体を見え難くすることができるので、例えば、第1表示面11に表示された車両情報の視認性が阻害されることを抑制することができる。
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、第1表示面は、一方向に偏光された光によって車両情報を表示し、図柄を構成する凹凸部は、偏向された光の偏光方向L3と交差する方向に延在する溝65である。ここでは、溝65の延在方向L1と偏光方向L3とは、上述の角度範囲で交差する。
したがって、表示装置1は、光源62から照射された光を、図柄64を構成する溝65で反射させることで、第2表示面12に当該図柄64を表示することができる一方、光源62を消灯することで当該図柄64を非表示とすることができる。これにより、表示装置1は、第1表示面11の前面側に図柄64の意匠を表示し、背景の第1表示面11上の車両情報と図柄64の意匠とを立体的に組み合わせて表示できるので、上記のように立体的で斬新な表示を行うことができる。その上で、表示装置1は、微細な溝65によって図柄64が構成される前面側表示装置6において、光源62の消灯時に図柄64の意匠が見えにくくなり、透明文字板61の背景の第1表示面11を見通すことができ、必要に応じて光源62の点灯時に図柄64の意匠が現れるようにすることができる。そして、表示装置1は、上記のように非表示状態で図柄64を構成する溝65を見えにくい構造とし、適正な視認性を確保することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、ディスプレイ41は、1つで構成されるものとして説明したが2つ以上が組み合わせられて構成されてもよい。以上で説明した表示装置1は、例えば、ディスプレイ41の偏光方向L3が鉛直方向に対して傾斜していてもよく、この場合であっても偏光方向L3と延在方向L1とが上記のような関係になっていればよい。
以上の説明では、背面側表示装置4は、ディスプレイ41とセグメント表示部42とを含んで構成されるものとして説明したが、これらにかえて、あるいは、これらに加えてアナログ計器等を含んで構成されてもよい。この場合、第1表示面11は、アナログ計器、及び、その文字板の表面(奥行き方向前面側の面)を含んで構成される。またこの場合、表示装置1は、アナログ計器の光源と、溝65が形成される部材である透明文字板61との間に、当該アナログ計器の光源からの光を、一方向(ここでは、偏光方向L3)に偏光された光にする偏光板を備えていてもよい。この場合であっても、表示装置1は、溝65が偏向された光の偏光方向L3と交差する方向に延在するようにして形成されることで、第2表示面12の非表示状態で図柄64を構成する溝65を見えにくい構造とすることができる。
また、以上の説明では、背面側表示装置4と前面側表示装置6とによって速度計、回転計、水温計、燃料計を構成するものとして説明したがこれに限らない。例えば、表示装置1は、第2表示面12に図柄64として、車の形状を模した図柄を設けると共に、第1表示面11を構成する画像表示面41aに車両情報として、開放されているドアの位置の画像を表示させ、これらを重ねて表示することで、車両情報と図柄64とを連携させて車両におけるドア開位置に関する情報を表示するようにしてもよい。
以上で説明した図11では、溝65を、底部の角度をほぼ90°(deg)とした直角二等辺三角形をなす略V字状の断面形状であるものとして説明したがこれ限らない。溝65は、例えば、底部の角度が90°(deg)でなくてもよく、また、二等辺三角形でない略V字状の断面形状、例えば、不等辺三角形状の断面形状であってもよい。また、以上の説明では、第2表示面12に形成された図柄64は、凹凸部としての複数の微細な溝65によって構成されるものとして説明したがこれに限らず、光源62からの光を反射させる凹凸部としては、複数の微細なドット、複数の微細な凹凸を有する印刷層等の光反射構造であってもよい。
以上で説明した第1透明導光板と第2透明導光板との関係は、隣接する透明文字板61の一方を第1透明導光板とし、他方を第2透明導光板とすればよく、第1図柄、第1光源と第2図柄、第2光源との関係もこれに準じればよい。例えば、サブ透明文字板61Bを第1透明導光板とした場合、回転計目盛図柄64Bが第1図柄、サブ用光源62Bが第1光源、メイン透明文字板61Aが第2透明導光板、メイン用光源62Aが第2光源、速度計大目盛図柄64Aが第2図柄となる。
以上の説明では、第2表示面12は、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61Bとサブ透明文字板61Cとに分かれて3分割されて構成されているものとして説明したがこれに限らず、2分割されて構成されてもよいし、4分割以上されて構成されてもよい。
以上の説明では、メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lが想定視認方向に沿って形成されるものとして説明したが、これに限らず、図15の変形例に示すように必ずしも想定視認方向に沿っていなくてもよい。
以上で説明した端面61dと端面61lとは、図16の変形例に例示するように、メイン透明文字板61Aの厚み方向の中心線CAとサブ透明文字板61Cの厚み方向の中心線CCとが平行(幅方向とほぼ平行)で、かつ、奥行き方向にオフセットされるようにして設けられることで、奥行き方向にずれた構成としてもよい。同様に、端面61cと端面61hとは、メイン透明文字板61Aの厚み方向の中心線CAとサブ透明文字板61Bの厚み方向の中心線CBとが平行(幅方向とほぼ平行)で、かつ、奥行き方向にオフセットされるようにして設けられることで、奥行き方向にずれた構成としてもよい。
以上で説明したメイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、端面61c、61d、61h、61lの位置が奥行き方向にずれて位置することで、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lの一方が他方からの漏れ光の出射範囲外に位置するものとして説明したがこれに限らない。メイン透明文字板61Aとサブ透明文字板61B、61Cとは、図17の変形例に例示するように、相互に隣接する側の端面61c、61d、61h、61lの一方と他方が完全に正対せず、一方の一部分でも他方からの漏れ光の出射範囲外に位置していれば、漏れ光による影響を低減することができる。