JP2017008509A - 透過型砂防堰堤用管材ユニット及び透過型砂防堰堤 - Google Patents

透過型砂防堰堤用管材ユニット及び透過型砂防堰堤 Download PDF

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Abstract

【課題】損傷した部材の交換が容易であると共に、設計衝撃荷重のベクトルに応じて設計衝撃荷重に対する強度が高い方向を選択可能な透過型砂防堰堤、及びそれに用いられる管材ユニットを提供する。【解決手段】水路の幅方向に沿って設けられる透過型砂防堰堤用管材ユニット1であって、端部にフランジを有する管材(細管70)を備え、このフランジを、前記管材(細管70)の設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成する。【選択図】図6

Description

本発明は、土砂災害の防止、土石流対策或は流木対策を目的として、河川などの水路の幅方向に沿って設けられる透過型砂防堰堤、及びこれに用いられる管材同士が組み合わされた管材ユニットに関する。
従来、洪水時等に大量の土石流が一挙に砂防ダムの下流側にあるダム湖や河川に流入するのを阻止する目的で設置される砂防堰堤(ダム)が知られている。このような砂防堰堤は、一般に、不透過型の砂防堰堤と透過型の砂防堰堤の2種類に大別される。
砂防堰堤の多くがコンクリート製の不透過型のものであるが、不透過型の砂防堰堤は、建設後数年で常時流れる礫や土砂などが堆積してしまい、洪水時等の異常出水時に土石流等を計画通りに捕捉できなくなるという問題点があった。
そこで、このような問題点を解決するものとして、透過型の砂防堰堤が提案されている。例えば、特許文献1には、平面構造の透過型砂防堰堤である鋼製スリットダムが開示され、特許文献2には、立体構造の透過型砂防堰堤である透過型砂防ダムが開示されている。
特許文献1に開示されている鋼製スリットダムは、河川の川幅方向に形成されている土木構造物体(袖部2)間に配設され、コンクリート基礎3に埋設された基礎用埋設鋼管17と、この基礎用埋設鋼管17に接続された鋼管ユニット15、16とを有する鋼製スリットダム1である(特許文献1の明細書の段落0015、特許請求の範囲の請求項1、図面の図1等参照)。
また、特許文献1には、鋼製スリットダムの補修方法において、損傷した埋設鋼管17に少なくとも接続されている鋼管ユニット16を当該埋設鋼管17から取り外し、当該埋設鋼管17の損傷箇所より下位を切断し、埋設鋼管17の内径未満の外径からなる挿入管51と、挿入管51の上端に取り付けられ、埋設鋼管17の内径を超える径で構成されるキャップ体52と、キャップ体52の上端に取り付けられたフランジ53とを有する補修部材50を、切断されてコンクリート基礎3に残置している埋設鋼管17の上端に挿入管51を介して装着し、補修部材50におけるフランジ53に、取り外した鋼管ユニット16又は新たな鋼管ユニット16を接続することが開示されている(特許文献1の明細書の段落0024〜0031、特許請求の範囲の請求項1、図面の図7等参照)。
この鋼製スリットダムの補修方法によれば、基礎用埋設鋼管17のように一端がコンクリート基礎3中に埋設されているユニットが損傷した場合においても、これをコンクリート基礎3中から掘り起こすことなく補修を実現することができるため、施工労力の負担を軽減させることができ、これに伴って施工期間を減縮させることが可能となるとされている(特許文献1の明細書の段落0011、0032等参照)。
特許文献2に開示されている透過型砂防ダムは、上流側に向かって傾斜した下流側支柱3を備えた透過型砂防ダム本体1と、透過型砂防ダム本体1の頂部に設けられた下流側に向かって延びる庇9と、を備え、この庇9が、透過型砂防ダム本体1を乗り越えて落下する礫による下流側支柱3の損傷を防止する透過型砂防ダム1である(特許文献2の明細書の段落0024〜0028、特許請求の範囲の請求項1、図面の図1等参照)。
この透過型砂防ダム1によれば、透過型砂防ダム本体の頂部に、下流側に向かって延びる庇を設けることによって、洪水時に透過型砂防ダム本体を乗り越えて落下する礫によって、透過型砂防ダム本体を構成する下流側支柱が損傷することを確実に防止することができるとされている(特許文献2の明細書の段落0017〜0021、0036〜0039等参照)。
特開2009−167628号公報 特開2009−24364号公報
しかし、特許文献1、2に開示された鋼製スリットダムや透過型砂防ダムなどの透過型砂防堰堤は、巨大な礫等が衝突してその衝撃荷重により部材が損傷した場合、損傷した部材を交換する必要がある。そのような場合は、交換する部材を止め付ける他の部材のフランジも変形していることが多く、交換する部材が嵌め込まれている距離を実測し、その実測値に合うように交換する部材を特注しなければならなかった。そのため、汎用品を用いることができず、修繕費が高くなり、砂防堰堤の維持管理の費用が嵩むという問題点や、実測してから発注するため、部材の交換に時間を要するという問題点があった。
また、特許文献1、2に開示された鋼製スリットダムや透過型砂防ダムは、これらを構成する管材のフランジが管材の軸に対して垂直に形成されているものであった。このため、衝撃荷重などの管材の軸に垂直に加わる力の伝達は、ボルトの支圧力に頼るものとなっていた。そのため、フランジのボルト孔の公差も大きくすることができず、変形したフランジ間に交換部材を嵌め込む際に、ボルトの位置ずれを含めて正確な実測が要求されるという問題点もあった。それにより、前述の維持管理の費用が掛かるといった問題点や管材の交換に時間を要するという問題点に拍車を掛ける結果となっていた。
それに加え、特許文献1、2に開示された鋼製スリットダムや透過型砂防ダムでは、設計衝撃荷重のベクトルの方向などに関係なく、管材の軸に垂直に加わる力の伝達は、全てボルトの支圧力に頼るものとなっていた。そのため、構造設計に応じて設計衝撃荷重に対する強度が高い方向を考慮して管材を配置するようなことができなかった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、損傷した部材の交換が容易であると共に、設計衝撃荷重のベクトルに応じて設計衝撃荷重に対する強度が高い方向を選択可能な透過型砂防堰堤、及びそれに用いられる管材ユニットを提供することにある。
第1発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットは、水路の幅方向に沿って設けられる透過型砂防堰堤用管材ユニットであって、端部にフランジを有する管材を備え、前記フランジは、前記管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成されていることを特徴とする。
第2発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットは、第1発明において、前記管材は、両端にフランジを有し、前記両端のフランジは、当該管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して互いに対称となっていることを特徴とする。
第3発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットは、第1発明又は第2発明において、管材である主管同士が組み合わされたフレーム部と、前記主管同士の間に架け渡された前記主管より小径の管材である細管を有する小礫捕捉部とを備え、前記細管のフランジは、当該細管の設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が狭くなるように形成されていることを特徴とする。
第4発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットは、第1乃至第3の何れかの発明において、管材である主管同士が組み合わされたフレーム部と、前記主管同士の間に架け渡された前記主管より小径の管材である細管を有する小礫捕捉部とを備え、前記主管のフランジは、当該主管の設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が広がるように形成されていることを特徴とする。
第5発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットは、第1乃至第4の何れかの発明において、管材同士が平面状に組み合わされた平面構造体を備え、前記平面構造体を構成する管材が、端部にフランジを有し、当該フランジが、当該管材の設計衝撃荷重のベクトルに応じて前記管材の軸に対して傾斜して形成されていることを特徴とする。
第6発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットは、第1乃至第5の何れかの発明において、管材同士が立体状に組み合わされた立体構造体を備え、前記立体構造体を構成する管材が、端部にフランジを有し、当該フランジが、当該管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成されていることを特徴とする。
第7発明に係る透過型砂防堰堤は、第1乃至第6の何れかの発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットを備えていることを特徴とする。
第1発明〜第7発明によれば、管材のフランジが管材の軸に垂直な設計衝撃荷重に対して傾斜して形成されているので、管材が損傷した場合、その管材の挿抜が容易で、従って交換が容易となっている。このため、部材交換の時間や砂防堰堤の維持管理の費用を低減することができる。
また、第1発明〜第7発明によれば、管材のフランジは、設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成されているので、設計衝撃荷重のベクトルに応じて設計衝撃荷重に対する強度が高い方向を選択することができ、構造設計の自由度が増す。
特に、第2発明によれば、フランジの傾斜が対称となっているため、フランジの傾斜が広がっている方向への管材の挿抜がさらに容易である。それに加え、設計衝撃荷重のベクトルに沿って衝撃荷重が加わった際に、その衝撃荷重の分力を隣接する管材に軸力として伝達するか又は伝達させないかを構造設計に応じて適宜選択することができる。
特に、第3発明によれば、損傷による交換が想定されている小礫捕捉部の細管のフランジが、設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が狭くなるように形成されているので、当該管材に衝撃荷重が加わった場合に、そのベクトルをフランジの傾斜で分力し、隣接する他の管材の軸力として伝達することができる。このため、フランジ同士を止め付けるボルトの必要本数を低減して製造コストを削減することができる。また、ボルト孔の公差を大きくすることができるため、交換が必要な管材を止め付けるフランジ間の距離が、取り替える管材の長さと厳密に同じでなくても取り付けることができる。このため、交換部材をある程度共通化して砂防堰堤の維持管理の費用を低減することができる。
特に、第4発明によれば、部材の交換が困難な主要構造部材であるフレーム部の主管のフランジが、設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が広がるように形成されているので、フレーム部の主管に許容応力を超えるような衝撃荷重が掛かった場合、当該主管が容易に脱落して他の主要構造部材の損傷を最小限に抑えることができる。このため、脱落した主管のみを交換することで砂防堰堤の修繕をすることができ、砂防堰堤の維持管理の費用をさらに低減することができる。
特に、第5発明によれば、管材同士が平面状に組み合わされた平面構造体を備えた透過型砂防堰堤用管材ユニットにおいて、前記作用効果を奏することができる。
特に、第6発明によれば、管材同士が立体状に組み合わされた立体構造体を備えた透過型砂防堰堤用管材ユニットにおいて、前記作用効果を奏することができる。
特に、第7発明に係る透過型砂防堰堤は、第1乃至第6の何れかの発明に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットを備えているので、透過型砂防堰堤において、前記作用効果を奏することができる。
本発明を適用した一実施の形態である透過型砂防堰堤を示す正面図である。 本発明を適用した一実施の形態である第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットを示す斜視図である。 同上の透過型砂防堰堤用管材ユニットのA−A線断面図である。 図2の透過型砂防堰堤用管材ユニットの小礫捕捉部の上部を示す部分斜視図である。 同上の小礫捕捉部の下部を示す部分斜視図である。 図2の透過型砂防堰堤用管材ユニットの小礫捕捉部の主にテーパフランジを示す鉛直断面図である。 同上のテーパフランジの衝撃荷重の伝達を示す説明図である。 図2の透過型砂防堰堤用管材ユニットの小礫捕捉部の細管を交換する場合を示す説明図である。 図2の透過型砂防堰堤用管材ユニットのフレーム部のテーパフランジを示す水平断面図である。 同上のテーパフランジの衝撃荷重の伝達を示す説明図である。 同上のテーパフランジの図10と別の衝撃荷重の伝達を示す説明図である。 本発明を適用した一実施の形態である第2実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニットを示す斜視図である。 図12の透過型砂防堰堤用管材ユニットをXの逆方向に見た背面図である。 同上の透過型砂防堰堤用管材ユニットのB−B線断面図である。
以下、本発明を適用した透過型砂防堰堤用管材ユニット及び透過型砂防堰堤を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1〜図11を用いて、本発明を適用した一実施の形態である第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1について説明する。
本発明に係る透過型砂防堰堤は、土砂災害の防止、土石流対策或は流木対策のために河川などの水路の幅方向に沿って設けられるものである。また、この透過型砂防堰堤に用いられる管材ユニットは、管材同士が溶接又はフランジ継手などで組みわされたものであり、水路両岸の土木構造体間に同様のものが複数個並べて設置されるものである。この管材ユニットは、一般的には、水路の底に沿って略水平に打設されたコンクリートの基礎に下部が埋設されることで設置される。
よって、本実施の形態では、図1に示すように、水路の両岸の土木構造体D間に複数個並べてコンクリート製の基礎Fに固定されて設置される透過型砂防堰堤用管材ユニットのうち、水流方向左岸側の端(図の左端)にある管材ユニットを第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1として例示して説明する。
なお、土木構造体Dは、水路の両岸に沿ってコンクリートを打設することによって断面矩形状に形成され、基礎Fは、水路の底に沿ってコンクリートを打設することによって平面状に形成される。
第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1は、図2、図3に示すように、管材同士が立体状に組み合わされた立体構造体からなる投下型砂防堰堤用管材ユニットであり、主要構造材である比較的太い管材である主管同士が組み合わされたフレーム部2と、このフレーム部2の間に架け渡されたフレーム部2を構成する主管より小径の管材である細管を有する小礫捕捉部5と、を備えている。
(フレーム部)
このフレーム部2は、断面円形の鋼管(以下、単に円鋼管という)からなる6本の管柱(20〜25)と、これらの管柱の頂部付近に架け渡された、主に円鋼管からなる6本の横架材(30〜35)などが、フランジ継手で全体概形が椅子状に組み合わされた部位である。このフレーム部2は、礫や流木を堰き止める際の衝撃荷重に対抗する堰堤の主要構造材としての機能を有する。
管柱(20〜25)は、水路の上流側から順に上流側管柱20、21、中間管柱22、23、下流側管柱24、25からなり、透過型砂防堰堤用管材ユニット1の主要構造材としての主管を構成する。このうち、上流側管柱20、21は、基礎Fの水平な上面に対して垂直(鉛直)に立設され、中間管柱22、23、と下流側管柱24、25は、衝撃荷重に対抗するため、基礎Fの上面に対して上流側(図中のX反対方向)へ傾斜して立設されている。
これらの管柱(上流側管柱20、21、中間管柱22、23、下流側管柱24、25)は、下端のフランジを含めて下部が基礎Fと一体としてコンクリートが打設されることで、基礎Fに固定されている。
また、上流側管柱20、21は、図2等に示すように、何れも上端が水平面で閉塞された柱部20a、21aを有しており、コーナー部分となる上流側管柱20には、この柱部20aの上部から突出する継手部(20b、20c)が2つ形成され、接続側となる上流側管柱21には、この柱部21aの上部から突出する継手部(21b、21c、21d)が3つ形成されている。
なお、フレーム部2をはじめ透過型砂防堰堤用管材ユニット1を構成する部材は、円鋼管の直管が溶接又はフランジ継手で組み合わされたものであり、以下、部材の材質等について説明を省略する。
この柱部20a、21aから下流側(図のX方向)へ突出する継手部20b、21bには、端部に通常のフランジ(以下、単に通常フランジという)が形成されている。また、柱部20aから水路の幅方向(図のYの正逆方向)へ突出する継手部20c、21cには、端部に管軸に対して傾斜したテーパフランジTF1(以下、単にテーパフランジという)が形成されている。
そして、上流側管柱21には、継手部21bの反対方向、即ち、柱部21aの上端付近から水路の幅方向(図のY方向)へ水平に突出する継手部21dがさらに設けられている。この継手部21dは、隣接する他の透過型砂防堰堤用管材ユニットのフレーム部と接続するための継手であり、この端部には、テーパフランジTF1が形成されている。
中間管柱22、23と下流側管柱24、25は、前述のように、傾斜して立設されるため、下端がテーパフランジとなっており、上端に、後述の横架材(31〜34)が接続される通常フランジが形成されている。
上流側管柱20の継手部20cと上流側管柱21の継手部21cとの間には、透過型砂防堰堤用管材ユニット1の主要構造材である主管を構成する横架材30がテーパフランジTF1、TF2を介して取り付けられている。これら一対の横架材30のテーパフランジTF1、TF2は、図3の矢印で示すように、横架材30の設計衝撃荷重のベクトルが鉛直下向き(図のZ方向)に設定されているため、横架材30の管軸を通る鉛直面と交差するテーパフランジTF1、TF2の下方が最も開いている。即ち、これら一対のテーパフランジTF1、TF2は、このベクトルに沿って鉛直方向下向きに行くに従って間隔が広がるよう(開くよう)に傾斜して形成されている。
ここで、設計衝撃荷重のベクトルとは、透過型砂防堰堤用管材ユニット1の構造設計をする際に、各部材の強度計算の基となる管軸に対して垂直に働く力として想定した衝撃荷重のベクトルのことを指しており、透過型砂防堰堤の設置状況に応じて適宜選択可能であることは云うまでもない。
上流側管柱20、21の継手部20b、継手部21bの通常フランジには、透過型砂防堰堤用管材ユニット1の主要構造材としての主管を構成する横架材31、32が取り付けられている。これらの横架材31、32は、水平に延びる水平材部31a、32aと、水平材部31a、32aから下流方向斜め上方へ延びる斜材部31b、32bと、斜材部31b、32bの中央付近から下流側斜め下方へ延びる柱接続部31c、32cと、から構成されている。また、水平材部31a、32aと斜材部31b、32bは、フランジを介して逆くの字状に溶接されている。
これらの横架材31、32において、水平材部31a、32a、斜材部31b、32b、柱接続部31c、32cのそれぞれの3つの管端には、通常フランジが形成されている。この水平材部31a、32aには、継手部20b、21bが、柱接続部31c、32cには、中間管柱22、23が、それぞれ通常フランジを介して接続されている。
斜材部31b、32bの通常フランジには、透過型砂防堰堤用管材ユニット1の主要構造材としての主管を構成する横架材33、34が接続されている。これらの横架材33、34は、斜材部31b、32bと同一方向に延伸する斜材部33a、34aと、これらの斜材部33a、34aの中央付近から下流側斜め下方へ延びる柱接続部33b、34bと、斜材部33a、34aの上端付近から水路の幅方向へ水平(図のYの正逆方向)に延びる継手部33c、34cを備えている。また、横架材34は、隣接する他の透過型砂防堰堤用管材ユニットのフレーム部と接続するための、水路の幅方向へ水平(図のY方向)に延びる継手部34dをさらに備えている。
この継手部33cと継手部34cとの間には、テーパフランジTF1、TF2を介して透過型砂防堰堤用管材ユニット1の主要構造材である主管を構成する横架材35が取り付けられている。これら一対の横架材35側のテーパフランジTF2は、図3の矢印で示すように、横架材35の設計衝撃荷重のベクトルが水平下流向き(図のX方向)に設定されているため、横架材35の管軸を通る水平面と交差するテーパフランジTF2の下流側が最も開いている。即ち、これら一対のテーパフランジTF2は、このベクトルに沿って水平方向下流側へ進むに従って間隔が広がる(開くよう)に傾斜して形成されている。
(小礫捕捉部)
次に、小礫捕捉部5について説明する。横架材31と横架材32との間、横架材33と横架材34との間には、小礫を捕捉するための小礫捕捉部5が形成されている。なお、この小礫捕捉部5を構成する部材は、損傷した場合は交換が予定されている。
この小礫捕捉部5は、図2〜図5に示すように、横架材31〜34に突設され、水路の幅方向(図のYの正逆方向)に水平に延びる10対の細管継手部(51a、51b、〜56a、56b、61a、61b〜64a、64b)と、これらの細管継手部(51a、51b、〜56a、56b、61a、61b〜64a、64b)間に取り付けられた10本の細管(70〜79)など、から構成されている。また、細管継手部(51a、51b、〜56a、56b、61a、61b〜64a、64b)と細管(70〜79)は、全てテーパフランジTF3,TF4により接続されている。
10対の細管継手部(51a、51b、〜56a、56b、61a、61b〜64a、64b)うち、図4に示す上流側の6対の細管継手部(51a、51b、〜56a、56b)が、横架材31と横架材32との間に形成されており、図5に示す下流側の4対の細管継手部(61a、61b〜64a、64b)が、横架材33と横架材34との間に形成されている。
10本の細管(70〜79)は、全てテーパフランジTF3、TF4を介して取り付けられているが、図3に示すように、このうち横架材31と横架材32との間に取り付けられた上流側6本の細管(70〜75)は、細管(70〜75)の設計衝撃荷重のベクトルが鉛直下向きに設定されている。このため、これら6本の細管(70〜75)の両端のテーパフランジTF4は、細管(70〜75)の管軸を通る鉛直面の上方において最も開いている。即ち、6本の細管(70〜75)の両端のテーパフランジTF4は、設計衝撃荷重のベクトルに沿って鉛直方向下向きに行くに従って間隔が狭くなるよう(閉じるよう)に傾斜して形成されている。
また、残りの横架材33と横架材34との間に取り付けられた下流側4本の細管(76〜79)は、細管(76〜79)の設計衝撃荷重が水平下流向きに設定されている。このため、これら4本の細管(76〜79)の両端のテーパフランジTF4は、細管(76〜79)の管軸を通る水平面の上流側において最も開いている。即ち、4本の細管(76〜79)の両端のテーパフランジTF4は、水平方向下流側へ進むに従って間隔が狭く(閉じるよう)に傾斜して形成されている。
なお、横架材32、34には、細管継手部(51b〜56b、61b〜64b)と反対方向に水平(図のY方向)に延びる細管継手部がさらに形成されており、隣接する他の透過型砂防堰堤用管材ユニットの細管と接続可能となっている。
(テーパフランジ)
次に、図6〜図11を用いて、透過型砂防堰堤用管材ユニット1のテーパフランジ(TF1〜TF4)についてさらに詳細に説明する。先ず、小礫捕捉部5のテーパフランジTF3、TF4、即ち、10本の細管(70〜79)のうち何れかの両端に設けられた一対のテーパフランジTF3、TF4について、最上流側の細管70を例に挙げて説明する。
細管70は、概形が椅子状の透過型砂防堰堤用管材ユニット1の座面部分に位置しており(図2も参照)、水路の流れに押し流されてきた小礫等が沈降してくるのを捕捉する機能を有しているため、図6に示すように、設計衝撃荷重のベクトルとしては鉛直下向き(図のZ方向)が想定されている(図3も参照)。
また、図6に示すように、細管70の両端のテーパフランジTF4は、設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が狭くなるよう(閉じるよう)に傾斜しており、本実施の形態では、細管70の管軸に対して傾斜していると共に、この設計衝撃荷重のベクトルに対して(ベクトルを軸に)線対称に所定角度θずつ傾斜している。
このため、図7に示すように、想定する設計衝撃荷重のベクトルにxの衝撃荷重が掛かった場合、テーパフランジTF3、TF4のフランジ面に沿って働く力は、xcosθとなり、細管継手部51a、51bの軸力でいくらか負担する分、通常フランジだった場合に掛かる力xより軽減されることとなる。
よって、テーパフランジTF3、TF4とすることにより、通常フランジであった場合に緊結するボルトの本数よりボルトの本数を削減することができる。また、管材の軸力に幾らか負担させることができるので、ボルト孔の径の公差を大きくするこができ、損傷による交換が予定されている細管70を交換する際に、多少の誤差を吸収することができる。
例えば、図8に示すように、細管70は、交換する細管70の実際の寸法より、一対の細管継手部51a、51b間が僅かに小さい場合であっても、両端がテーパフランジであることと、ボルト孔が通常フランジより大きくとれることにより、一対の細管継手部51a、51b間に装着が可能となっている。このため、細管70は、他継手間に装着する細管としても使用可能となり、部材(部品)の共通化を図ることができる。
次に、図9等を用いて、フレーム部2のテーパフランジTF1、TF2、即ち、横架材30、35の何れかの両端に設けられた一対のテーパフランジTF1、TF2について、最下流に位置する横架材35を例に挙げて説明する。
横架材35は、概形が椅子状の透過型砂防堰堤用管材ユニット1の背もたれ最上部に位置しており(図2も参照)、水路の流れに乗ってきた礫等が衝突しても崩壊しないように、フレーム部2の形状を保つ主要構造材としての機能を有している。このため、図9に示すように、設計衝撃荷重のベクトルとしては水平方向下流側(図のX方向)が想定されている(図3も参照)。
また、図9に示すように、横架材35の両端のテーパフランジTF2は、設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が広がる(開くよう)に傾斜しており、本実施の形態では、横架材35の管軸に対して傾斜していると共に、この設計衝撃荷重のベクトルに対して線対称に所定角度θずつ傾斜している。
このため、図10に示すように、想定する設計衝撃荷重のベクトルにxの衝撃荷重が掛かった場合、テーパフランジTF1、TF2のフランジ面に沿って働く力は、xsecθとなり、通常フランジであった場合に掛かる力xより大きく、結果的に、横架材35が継手部33c、34c間から脱落し易くなる。
また、横架材35に衝撃荷重が直接作用しない場合、例えば、図11に示すように、横架材33に衝撃荷重xが作用した場合、横架材35には、テーパフランジTF1、TF2の距離の効果によりモーメントが発生し、フランジ面と垂直な力Mが作用する。このため、軸力M1の他、衝撃荷重xの方向と同じ方向への分力M2が発生し、その分、横架材35が継手部33c、34c間から脱落し易くなる。
以上説明したテーパフランジTF1、TF2の所定角度θは、衝撃荷重を軸力に負担させることを考えると45度が最も好ましく、0度を超えて僅かに傾斜するだけでも衝撃荷重の分力が軸方向へ伝達されるため効果があるのは明らかである。しかし、この所定角度θは、フランジ同士を緊結するボルトをボルト孔へ挿入することや、ボルトを回す工具を挿入するスペース等を考慮すると、10度〜30度が好ましい。
(透過型砂防堰堤用管材ユニット1の作用効果)
以上のように、第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1によれば、フランジの傾斜が広がっている方向への管材の挿抜が容易であり、損傷した部材だけ交換することが容易である。それに加え、設計衝撃荷重のベクトルに沿って衝撃荷重が加わった際に、その衝撃荷重の分力を隣接する管材に軸力として伝達するか又は伝達させないかを構造設計に応じて適宜選択することができる。
また、第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1によれば、損傷による交換が想定されている小礫捕捉部5の細管を止め付けるボルトの必要本数を低減して製造コストを削減することができる。また、ボルト孔の公差を大きくすることができるため、交換が必要な管材を止め付けるフランジ間の距離が、取り替える管材の長さと厳密に同じでなくても取り付けることができる。このため、交換部材をある程度共通化して砂防堰堤の維持管理の費用を低減することができる。
それに加え、第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1によれば、部材の交換が困難な主要構造部材であるフレーム部2の横架材30、35などに許容応力を超えるような衝撃荷重が掛かった場合、当該管材が容易に脱落して他の主要構造部材の損傷を最小限に抑えることができる。このため、脱落した管材のみを交換することで、砂防堰堤の修繕をすることができ、砂防堰堤の維持管理の費用をさらに低減することができる。
[第2実施形態]
次に、図12〜図14を用いて、本発明を適用した一実施の形態である第2実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1’について説明する。第1実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1と相違する点は、管材ユニットが立体構造体からなるのではなく平面構造体からなる点だけであるので、その点についてのみ説明し、他の説明は省略する。
第2実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1は、管材同士が平面状に組み合わされた平面構造体からなる投下型砂防堰堤用管材ユニットであり、主要構造材である比較的太い管材からなる主管同士が格子状に組み合わされたフレーム部2’と、このフレーム部2’間に上下に架け渡されたフレーム部2を構成する管材より小径の管材である細管を有する小礫捕捉部5’と、を備えている。なお、フレーム部2’は、格子状ではない、即ち、柱材に相当するものがなく、単に土木構造体D間に梁状のもの架け渡されたものであっても構わない。
(フレーム部)
フレーム部2’は、主に円鋼管の直管からなる最上段の最上段梁材20’と、同様に円鋼管の直管からなる複数段の一般梁材21’などから主に構成され、最上段梁材20’同士、一般梁材21’同士が、通常フランジにより複数繰り返し接続されている。このフレーム部2’は、礫や流木を堰き止める際の衝撃荷重に対抗する堰堤の主要構造材である主管としての機能を有している。
(小礫捕捉部)
最上段梁材20’と一般梁材21’との間、一般梁材21’同士の間には、小礫を捕捉するための小礫捕捉部5’が形成されている。小礫捕捉部5’を構成する部材は、損傷した場合は交換が予定されている。最上段梁材20’及び一般梁材21’には、鉛直下方へ突出する細管継手部20’a、20’b、21’a、21’bが形成され、一般梁材21’には、鉛直上方へ突出する細管継手部21’c、21’dもさらに形成されている。
これらの細管継手部20’aと21’c間、及び細管継手部20’bと21’d間には、それぞれ円鋼管の直管からなる同一の細管50’がテーパフランジTF3,TF4を介して取り付けられている。また、この細管50’の中央付近から水路の幅方向の両方へ水平に突出した円鋼管からなる突管51’、52’が形成されており、小礫等を堰き止める機能を有している。
(テーパフランジ)
第2実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1’のテーパフランジは、小礫捕捉部5’の細管50’の上下の管端にだけ形成され、フレーム部2’には、テーパフランジ(前述のTF1、TF2)が形成されていない。これは、透過型砂防堰堤用管材ユニット1’が、同一部材が繰り返し接続された平面構造体からなるため、主要構造材であるフレーム部2’であっても、交換が困難であるなどの理由が存在せず、個々の部材(部品)の交換が比較的容易であるからである。
細管50’は、水路の流れに押し流されてきた小礫等を堰き止めて捕捉する機能を有しているため、図14に示すように、設計衝撃荷重のベクトルとしては水平下流向き(図のX方向)が想定されている。
また、図6に示したのと同様に、細管50’の両端のテーパフランジTF4は、設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が狭くなるよう(閉じるよう)に傾斜しており、本実施の形態では、細管50’の管軸に対して傾斜していると共に、この設計衝撃荷重のベクトルに対して線対称に所定角度θずつ傾斜している(図示せず)。このため、このテーパフランジTF3、TF4のフランジ面に沿って掛かる力は、図7に示したのと同様に、軸力でいくらか負担する分、通常フランジだった場合に掛かる力より軽減されることとなる。
(透過型砂防堰堤用管材ユニット1’の作用効果)
以上のように、本発明の第2実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1’によれば、管材同士が平面状に組み合わされた平面構造体を備えた透過型砂防堰堤用管材ユニットにおいて、立体構造体を備え透過型砂防堰堤用管材ユニット1と同様の前記作用効果を奏することができる。
以上、本発明の第1実施形態、第2実施形態に係る透過型砂防堰堤用管材ユニット1、1’について詳細に説明したが、特に、管材ユニットを構成する部材として、断面円形の鋼管を例に挙げて説明したが、管材であり端部にテーパフランジ(TF1〜TF4)が形成されていればよく、部材の材質や断面形状は限定されるものではない。また、設計衝撃荷重のベクトルとして、図3等に示したように、鉛直下向きと水平下流向きのものを例示して説明したが、個々の管材の水路における設置位置や水流方向、設置状況などを勘案して適宜設定できるものである。
そして、前述した又は図示した実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたって具体化した一実施の形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1、1’ :透過型砂防堰堤
2、2’ :フレーム部
20〜25 :管柱(主管)
20’、21’ :梁材(主管)
30〜35 :横架材(主管)
TF1 :テーパフランジ(継手部側)
TF2 :テーパフランジ(横架材側)
5、5’ :小礫捕捉部
70〜79 :細管
50’ :細管
TF3 :テーパフランジ(細管継手部側)
TF4 :テーパフランジ(細管側)
D :土木構造体
F :基礎

Claims (7)

  1. 水路の幅方向に沿って設けられる透過型砂防堰堤用管材ユニットであって、
    端部にフランジを有する管材を備え、
    前記フランジは、前記管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成されていること
    を特徴とする透過型砂防堰堤用管材ユニット。
  2. 前記管材は、両端にフランジを有し、
    前記両端のフランジは、当該管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して互いに対称となっていること
    を特徴とする請求項1記載の透過型砂防堰堤用管材ユニット。
  3. 管材である主管同士が組み合わされたフレーム部と、前記主管同士の間に架け渡された前記主管より小径の管材である細管を有する小礫捕捉部とを備え、
    前記細管のフランジは、当該細管の設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が狭くなるように形成されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載の透過型砂防堰堤用管材ユニット。
  4. 管材である主管同士が組み合わされたフレーム部と、前記主管同士の間に架け渡された前記主管より小径の管材である細管を有する小礫捕捉部とを備え、
    前記主管のフランジは、当該主管の設計衝撃荷重のベクトルに沿って進むに従って間隔が広がるように形成されていること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の透過型砂防堰堤用管材ユニット。
  5. 管材同士が平面状に組み合わされた平面構造体を備え、
    前記平面構造体を構成する管材が、端部にフランジを有し、当該フランジが、当該管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成されていること
    を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の透過型砂防堰堤用管材ユニット。
  6. 管材同士が立体状に組み合わされた立体構造体を備え、
    前記立体構造体を構成する管材が、端部にフランジを有し、当該フランジが、当該管材の設計衝撃荷重のベクトルに対して傾斜して形成されていること
    を特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の透過型砂防堰堤用管材ユニット。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の透過型砂防堰堤用管材ユニットを備えたことを特徴とする透過型砂防堰堤。
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