JP2017008143A - ポリオルガノシルセスキオキサン - Google Patents

ポリオルガノシルセスキオキサン Download PDF

Info

Publication number
JP2017008143A
JP2017008143A JP2015122348A JP2015122348A JP2017008143A JP 2017008143 A JP2017008143 A JP 2017008143A JP 2015122348 A JP2015122348 A JP 2015122348A JP 2015122348 A JP2015122348 A JP 2015122348A JP 2017008143 A JP2017008143 A JP 2017008143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
hard coat
curable composition
polyorganosilsesquioxane
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015122348A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6595813B2 (ja
Inventor
明弘 芝本
Akihiro Shibamoto
明弘 芝本
伸彦 原田
Nobuhiko Harada
伸彦 原田
臣治 前谷
Shinji Maetani
臣治 前谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp filed Critical Daicel Corp
Priority to JP2015122348A priority Critical patent/JP6595813B2/ja
Publication of JP2017008143A publication Critical patent/JP2017008143A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6595813B2 publication Critical patent/JP6595813B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Silicon Polymers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】硬化させることによって、高い表面硬度を有し、且つ屈曲性に優れた硬化物を形成できるポリオルガノシルセスキオキサンを提供する。【解決手段】本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、T3体とT2体の割合がシロキサン構成単位の全量の50〜100モル%、[T3体/T2体]のモル比(前者/後者)が5以上であり、ポリオルガノシルセスキオキサンに含まれるRaの全量における2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基の合計含有量が50モル%以上であり、且つ2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基のモル比(前者/後者)が99/1〜10/90である。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリオルガノシルセスキオキサン、及び前記ポリオルガノシルセスキオキサンを含む硬化性組成物及びその硬化物に関する。本発明は、また、前記ポリオルガノシルセスキオキサンを含むハードコート液によって形成されたハードコート層を有するハードコートフィルムに関する。
液晶ディスプレイ等の表示装置には、従来、非常に高い表面硬度を有する材料としてガラス基材が使用されていたが、ガラス基材は重く、且つ割れやすいことが問題であった。また、屈曲性に乏しいためにロールトゥロール方式での製造や加工をすることができず、枚葉で製造や加工をする必要があり、高い生産コストがかかることも問題であった。
一方、プラスチック基材は、軽く、割れにくく、且つ屈曲性に優れるため、ロールトゥロール方式での製造や加工に適している。しかし、プラスチック基材は、ガラス基材に比べて表面硬度が低いことから、プラスチック基材の表面にハードコート層を貼り合わせて表面硬度を向上させる方法が採用されている。
そして、ハードコート層を形成するための材料としては、主に、アクリルモノマーが使用されてきた(特許文献1)。ハードコート層表面の表面硬度を高めるために、ナノ粒子を添加することも知られている。
特開2009−279840号公報
しかし、上述のアクリルモノマーを使用したハードコート層は鉛筆硬度が3H程度であり、表面硬度が未だ不十分であった。表面硬度を高めるには、ハードコート層を厚膜化することが考えられるが、ハードコート層を厚膜化すると乾燥に多くの時間とエネルギーを要するようになりコスト高となることが問題であった。更に、ハードコート層を厚膜化すると屈曲性が悪化するためロールトゥロール方式での製造や加工が困難となり、生産性が低下することが問題であった。その他、ハードコート層にナノ粒子を添加する場合は、ナノ粒子が凝集してハードコート層が白化することが問題であった。
従って、本発明の目的は、硬化させることによって、高い表面硬度を有し、且つ屈曲性に優れた硬化物を形成できるポリオルガノシルセスキオキサンを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高い表面硬度を有し、且つ屈曲性に優れ、ロールトゥロール方式により効率よく製造することができるハードコートフィルム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、側鎖として脂環エポキシ基を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンの硬化物は高い表面硬度を有し、側鎖としてグリシジル基を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンの硬化物は柔軟性に優れることがわかった。そして、側鎖として脂環エポキシ基を含む基とグリシジル基を含む基を特定の割合で含有するポリオルガノシルセスキオキサンは、高い表面硬度を有し、且つ屈曲性に優れた硬化物を形成できることを見いだした。更に、前記ポリオルガノシルセスキオキサンをハードコート液に使用すると、高い表面硬度と屈曲性を兼ね備えたハードコートフィルムを、ロールトゥロール方式で効率よく、優れた生産性で製造することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、シロキサン構成単位からなるポリオルガノシルセスキオキサンであって、
下記式(I)
[RaSiO3/2] (I)
[式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
で表される構成単位と、下記式(II)
[RaSiO2/2(ORb)] (II)
[式(II)中、Raは前記に同じ。Rbは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位の割合がシロキサン構成単位の全量の50〜100モル%であり、
前記式(I)で表される構成単位と、式(II)で表される構成単位のモル比(前者/後者)が5以上であり、
ポリオルガノシルセスキオキサンに含まれるRaの全量における2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基の合計含有量が50モル%以上であり、且つ2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基のモル比(前者/後者)が99/1〜10/90であるポリオルガノシルセスキオキサンを提供する。
本発明は、また、数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0である前記のポリオルガノシルセスキオキサンを提供する。
本発明は、また、前記のポリオルガノシルセスキオキサンを含有する硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、さらに、硬化触媒を含む前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、前記硬化触媒が光カチオン重合開始剤である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、前記硬化触媒が熱カチオン重合開始剤である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、ハードコート層形成用硬化性組成物である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、基材と、該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、前記ハードコート層が、前記の硬化性組成物の硬化物層であることを特徴とするハードコートフィルムを提供する。
本発明は、また、前記ハードコート層の厚さが1〜200μmである前記のハードコートフィルムを提供する。
本発明は、また、さらに、前記ハードコート層表面に表面保護フィルムを有する前記のハードコートフィルムを提供する。
本発明は、また、ロール状に巻いた基材を繰り出す工程Aと、繰り出した基材の少なくとも一方の表面に前記の硬化性組成物を塗布し、次いで、該硬化性組成物を硬化させることによりハードコート層を形成する工程Bと、その後、得られたハードコートフィルムを再びロール状に巻き取る工程Cとを含み、工程A〜Cを連続的に実施することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法を提供する。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは上記構成を有するため、該ポリオルガノシルセスキオキサンを必須成分として含む硬化性組成物を硬化させることにより、高い表面硬度と屈曲性を兼ね備えた硬化物を形成できる。
また、本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンを含む硬化性組成物によって形成されるため、高い表面硬度と共に屈曲性を有する。そのため、ロールトゥロール方式での製造や加工が可能である。また、本発明のハードコートフィルムのハードコート層は屈曲性を有するため、打ち抜き加工等に付してもクラックが入りにくい。このため、本発明のハードコートフィルムは、品質面とコスト面の両方において優れる。
図1は実施例1で得られたポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMR測定結果を示す図である。 図2は実施例2で得られたポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMR測定結果を示す図である。 図3は比較例1で得られたポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMR測定結果を示す図である。
[ポリオルガノシルセスキオキサン]
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、シロキサン構成単位からなるポリオルガノシルセスキオキサンであって、
下記式(I)
[RaSiO3/2] (I)
[式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
で表される構成単位と、下記式(II)
[RaSiO2/2(ORb)] (II)
[式(II)中、Raは前記に同じ。Rbは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位の割合(前記式(I)で表される構成単位の割合と式(II)で表される構成単位の割合の合計)がシロキサン構成単位の全量の50〜100モル%であり、
前記式(I)で表される構成単位と、式(II)で表される構成単位のモル比(前者/後者)が5以上であり、
ポリオルガノシルセスキオキサンに含まれるRa(本発明においては「側鎖」と称する場合がある)全量における2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基の合計含有量が50モル%以上(好ましくは60〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%、最も好ましくは80〜100モル%)であり、且つ2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基のモル比(前者/後者)が99/1〜10/90(好ましくは97/3〜15/85、さらに好ましくは95/5〜20/80、特に好ましくは90/10〜25/75、最も好ましくは85/15〜35/65)であることを特徴とする。
上記式(I)で表される構成単位(「T3体」と称する場合がある)をより詳細に記載すると、下記式(I')で表される。また、上記式(II)で表される構成単位(「T2体」と称する場合がある)をより詳細に記載すると、下記式(II')で表される。下記式(I')で表される構造中に示されるケイ素原子に結合した3つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(I')に示されていないケイ素原子)と結合している。また、下記式(II')で表される構造中に示されるケイ素原子の上と下に位置する2つの酸素原子もそれぞれ、他のケイ素原子(式(II')に示されていないケイ素原子)に結合している。即ち、上記T3体及びT2体は、いずれも対応する加水分解性三官能シラン化合物の加水分解及び縮合反応により形成される構成単位(T単位)である。
Figure 2017008143
上記式中のRaは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。
前記エポキシ基を含有する基としては、少なくとも、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基が含まれる。その他、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基[例えば、下記式(1a)〜(1d)で表される基]が含まれていても良い。
Figure 2017008143
上記式中、R1a、R1b、R1c、R1dは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
前記置換若しくは無置換のアリール基におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記置換若しくは無置換のアラルキル基におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記置換若しくは無置換のシクロアルキル基におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記置換若しくは無置換のアルキル基におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記置換若しくは無置換のアルケニル基におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
前記置換アリール基、置換アラルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルキル基、置換アルケニル基としては、上述のアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基における水素原子又は主鎖骨格の一部若しくは全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、及び水酸基からなる群より選択された少なくとも1種で置換された基が挙げられる。
尚、式中のRaは、ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(a)で表される加水分解性シラン化合物におけるRa等)に由来する。
上記式中の(ORb)基(本発明においては「末端基」と称する場合がある)は、水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。式中の(ORb)基は、一般的には、ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性シラン化合物におけるアルコキシ基(例えば、後述の式(a)で表される加水分解性シラン化合物におけるX1としてのアルコキシ基等)に由来する。
ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記式(I)で表される構成単位(T3体)と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)の割合[T3体/T2体]は5以上であり、好ましくは5〜18、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは7〜14である。上記割合[T3体/T2体]を5以上とすることにより、硬化物やハードコート層の表面硬度が著しく向上する。
ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]は、例えば、29Si−NMRスペクトル測定により求めることができる。29Si−NMRスペクトルにおいて、上記式(I)で表される構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なる位置(化学シフト)にシグナル(ピーク)を示すため、それぞれのピークの積分比を算出することにより、上記割合[T3体/T2体]が求められる。
尚、ポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「JNM−ECA500NMR」(日本電子(株)製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
ポリオルガノシルセスキオキサンの上記割合[T3体/T2体]が5以上であることは、T3体に対し一定以上のT2体が存在していることを意味する。一般に、完全カゴ型シルセスキオキサン構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンは、T3体のみによって構成ており、分子中にT2体は存在しない。
ポリオルガノシルセスキオキサンがカゴ型(特に不完全カゴ型)シルセスキオキサン構造を有することは、FT−IRスペクトルにおいて1050cm-1付近と1150cm-1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有さず、1100cm-1付近に一つの固有吸収ピークを有することから確認できる[参考文献:R.H.Raney, M.Itoh, A.Sakakibara and T.Suzuki, Chem. Rev. 95, 1409(1995)]。これに対して、一般に、FT−IRスペクトルにおいて1050cm-1付近と1150cm-1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有する場合には、ラダー型シルセスキオキサン構造を有すると同定される。尚、ポリオルガノシルセスキオキサンのFT−IRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「FT−720」((株)堀場製作所製)
測定方法:透過法
分解能:4cm-1
測定波数域:400〜4000cm-1
積算回数:16回
ポリオルガノシルセスキオキサンを構成するシロキサン構成単位には、上記式(I)で表される構成単位及び式(II)で表される構成単位(T単位)以外にも、[Ra 3SiO1/2]で表される構成単位(いわゆるM単位)、[Ra 2SiO]で表される構成単位(いわゆるD単位)、及び[SiO2]で表される構成単位(いわゆるQ単位)からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン構成単位を有していてもよいが、ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対するT単位の割合は50〜100モル%であり、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは65〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%、最も好ましくは80〜100モル%である。上記割合を50モル%以上とすることにより、硬化物の表面硬度がより高くなる傾向がある。尚、上記式中のRaは、前記に同じ。
また、ポリオルガノシルセスキオキサンを構成するシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;T単位、M単位、D単位、及びQ単位を含む](100モル%)に対する、側鎖として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又は3−グリシジルオキシプロピル基を有するT単位の割合(総量)は、例えば50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは65〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%、最も好ましくは80〜99モル%である。上記割合を50モル%以上とすることにより、硬化性組成物の硬化性が向上し、また、硬化物の表面硬度が著しく高くなる。尚、ポリオルガノシルセスキオキサンにおける各シロキサン構成単位の割合は、例えば、原料の組成やNMRスペクトル測定等により算出できる。
ポリオルガノシルセスキオキサンのGPCによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、例えば1.0〜3.0であり、好ましくは1.1〜2.0、より好ましくは1.2〜1.9、特に好ましくは1.45〜1.80である。分子量分散度を3.0以下とすることにより、硬化物の表面硬度がより高くなる傾向がある。一方、分子量分散度を1.0以上とすることにより、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。
ポリオルガノシルセスキオキサンのGPCによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、例えば1000〜3000であり、好ましくは1000〜2800、より好ましくは1000〜2600、特に好ましくは1200〜2000である。数平均分子量を1000以上とすることにより、硬化物の耐熱性、耐擦傷性がより向上する傾向がある。一方、数平均分子量を3000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上する傾向がある。
尚、ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量、分子量分散度は、実施例に記載の装置及び条件により測定することができる。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。より具体的には、ポリオルガノシルセスキオキサンは、下記式(a)
aSi(X13 (a)
で表される加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。
上記式(a)で表される加水分解性シラン化合物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(I)で表される構成単位、及び式(II)で表される構成単位を形成する化合物である。式(a)中のRaは、上記式(I)及び式(II)中のRaに対応する。
上記式(a)中のX1は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X1におけるアルコキシ基としては、(ORb)基における炭素数1〜4のアルコキシ基と同様の例が挙げられる。また、X1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。X1としては、なかでもアルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。尚、3つのX1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(a)で表される加水分解性シラン化合物には、少なくとも、式中のRaが2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基(=(a-1)基)である化合物(以後、「加水分解性シラン化合物(a-1)」と称する場合がある)と、式中のRaが3−グリシジルオキシプロピル基(=(a-2)基)である化合物(以後、「加水分解性シラン化合物(a-2)」と称する場合がある)が含まれる。
上記加水分解性シラン化合物としては、上記式(a)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。例えば、上記式(a)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成する加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成する加水分解性二官能シラン化合物、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物等が挙げられる。
上記加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、所望するポリオルガノシルセスキオキサンの構造に応じて適宜調整できる。例えば、加水分解性シラン化合物(a-1)の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、10〜99モル%が好ましく、より好ましくは15〜97モル%、さらに好ましくは20〜95モル%、特に好ましくは25〜90モル%、最も好ましくは35〜85モル%である。加水分解性シラン化合物(a-1)を上記範囲で使用して得られるポリオルガノシルセスキオキサンは、硬化することにより、高い表面硬度を有する硬化物を形成することができる。
また、加水分解性シラン化合物(a-2)の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、1〜90モル%が好ましく、より好ましくは3〜85モル%、さらに好ましくは5〜80モル%、特に好ましくは10〜75モル%、最も好ましくは15〜65モル%である。加水分解性シラン化合物(a-2)を上記範囲で使用して得られるポリオルガノシルセスキオキサンは、硬化することにより、屈曲性を有し、打ち抜き加工時等にクラックの発生を抑制する効果を有する硬化物を形成することができる。
加水分解性シラン化合物(a-1)と加水分解性シラン化合物(a-2)の使用量の比(前者/後者;モル比)は、特に限定されないが、99/1〜10/90が好ましく、より好ましくは97/3〜15/85モル%、さらに好ましくは95/5〜20/80、最も好ましくは90/10〜25/75、とりわけ好ましくは85/15〜35/65である。加水分解性シラン化合物(a-1)と(a-2)を上記割合で使用して得られるポリオルガノシルセスキオキサンは、硬化することにより、高い表面硬度と屈曲性を兼ね備える硬化物を形成することができる。
さらに、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対する加水分解性シラン化合物(a-1)と加水分解性シラン化合物(a-2)の割合(総割合)は、特に限定されないが、例えば50モル%以上、より好ましくは60〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%、最も好ましくは80〜100モル%である。
本発明では少なくとも2種の加水分解性シラン化合物を使用するが、これらの加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、同時に行うこともできるし、逐次行うこともできる。上記反応を逐次行う場合、反応を行う順序は特に限定されない。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うこともできるし、非存在下で行うこともできる。なかでも溶媒の存在下で行うことが好ましい。上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。上記溶媒としては、なかでも、ケトン、エーテルが好ましい。尚、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1重量部に対して、0〜20重量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよい。上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。尚、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
上記触媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.002〜0.200モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.5〜20モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応を行う際の反応条件としては、特に、ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]が5以上となるような反応条件を選択することが重要である。上記加水分解及び縮合反応の反応温度は、特に限定されないが、40〜100℃が好ましく、より好ましくは45〜80℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、上記割合[T3体/T2体]をより効率的に5以上に制御できる傾向がある。また、上記加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.1〜10時間が好ましく、より好ましくは1.5〜8時間である。また、上記加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。尚、上記加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応により、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。上記加水分解及び縮合反応の終了後には、エポキシ基の開環を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、得られたポリオルガノシルセスキオキサンには、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製を施してもよい。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、重合性化合物として上記ポリオルガノシルセスキオキサンを少なくとも含有する。上記ポリオルガノシルセスキオキサンは1種を単独で含有していてもよく、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
本発明の硬化性組成物は、重合性化合物として、上記ポリオルガノシルセスキオキサン以外にも他の重合性化合物を含有していてもよい。他の重合性化合物としては、エポキシ化合物(上記ポリオルガノシルセスキオキサンを除く)、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<エポキシ化合物>
エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、及び脂肪族エポキシ化合物が含まれる。
(脂環式エポキシ化合物)
前記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、以下の化合物等が挙げられる。
(1)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(本明細書においては、「脂環エポキシ基」と称する場合がある。脂環エポキシ基には、例えば、シクロヘキセンオキシド基等が含まれる)を有する化合物
(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物
(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)
上記(1)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物としては、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017008143
上記式(i)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(i-1)〜(i-10)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(i-5)中のR'は炭素数1〜8のアルキレン基であり、なかでも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。また、下記式(i-5)、(i-7)、(i-9)、(i-10)中のn1〜n8は、同一又はことなって、1〜30の整数を示す。
Figure 2017008143
Figure 2017008143
上述の(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017008143
式(ii)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン等のビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン等のビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物を水素化した化合物;下記芳香族エポキシ化合物を水素化した化合物等が挙げられる。
(芳香族エポキシ化合物)
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、且つこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等が挙げられる。
(脂肪族エポキシ化合物)
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。尚、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
<オキセタン化合物>
上記オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン環を有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル)}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
<ビニルエーテル化合物>
上記ビニルエーテル化合物としては、分子内に1以上のビニルエーテル基を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(エチレングリコールモノビニルエーテル)、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールジビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、イソソルバイドジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、ヒドロキシオキサノルボルナンメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンとともにその他の重合性化合物としてビニルエーテル化合物を併用することが好ましい。これにより、硬化物の表面硬度がより高くなる傾向がある。特に、本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線(特に紫外線)の照射により硬化させる場合には、活性エネルギー線の照射量を低くした場合であっても表面硬度が非常に高い硬化物が優れた生産性で(例えば、エージングのための熱処理を施す必要がない等)得られるという利点がある。このため、硬化物やハードコートフィルムの製造ライン速度をより高くすることが可能となり、これらの生産性がいっそう向上する。
また、その他の重合性化合物として、特に、分子内に1個以上の水酸基を有するビニルエーテル化合物を使用した場合には、表面硬度がより高く、さらに、耐熱黄変性(加熱による黄変が生じにくい特性)に優れた硬化物が得られるという利点がある。このため、一層高品質且つ耐久性に優れた硬化物やハードコートフィルムが得られる。分子内に1個以上の水酸基を有するビニルエーテル化合物が分子内に有する水酸基の数は、特に限定されないが、1〜4個が好ましく、より好ましくは1又は2個である。
本発明の硬化性組成物は、さらに、硬化触媒を含むことが好ましい。硬化触媒は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン等の重合性化合物の重合反応を開始乃至促進することができる化合物である。
上記硬化触媒としては、特に限定されないが、例えば、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、熱カチオン重合開始剤(熱酸発生剤)等の重合開始剤が挙げられる。本発明においては、なかでも、よりタックフリーとなるまでの硬化時間が短縮できる点で、硬化触媒として光カチオン重合開始剤を含むことが特に好ましい。
上記光カチオン重合開始剤としては、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤を使用することができ、例えば、スルホニウム塩(スルホニウムイオンとアニオンとの塩)、ヨードニウム塩(ヨードニウムイオンとアニオンとの塩)、セレニウム塩(セレニウムイオンとアニオンとの塩)、アンモニウム塩(アンモニウムイオンとアニオンとの塩)、ホスホニウム塩(ホスホニウムイオンとアニオンとの塩)、遷移金属錯体イオンとアニオンとの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光カチオン重合開始剤における塩を構成するアニオンとしては、例えば、SbF6 -、PF6 -、BF4 -、(CF3CF23PF3 -、(CF3CF2CF23PF3 -、(C654-、(C654Ga-、スルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等)、(CF3SO23-、(CF3SO22-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
上記スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、トリ−p−トリルスルホニウム塩、トリ−o−トリルスルホニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム塩、1−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、2−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム塩、トリ−1−ナフチルスルホニウム塩、トリ−2−ナフチルスルホニウム塩、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−(p−フェニル)スルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩;ジフェニルフェナシルスルホニウム塩、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールスルホニウム塩;フェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩等のモノアリールスルホニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウム塩、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム塩、ジメチルベンジルスルホニウム塩等のトリアルキルスルホニウム塩等が挙げられる。
上記ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩としては、例えば、商品名「CPI−101A」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート50%炭酸プロピレン溶液)、商品名「CPI−100P」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート50%炭酸プロピレン溶液)等の市販品を使用できる。
上記ヨードニウム塩としては、例えば、商品名「UV9380C」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロアンチモネート45%アルキルグリシジルエーテル溶液)、商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」(ローディア・ジャパン(株)製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート=[(1−メチルエチル)フェニル](メチルフェニル)ヨードニウム)、商品名「WPI−124」(和光純薬工業(株)製)、ジフェニルヨードニウム塩、ジ−p−トリルヨードニウム塩、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム塩等が挙げられる。
上記セレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウム塩、トリ−p−トリルセレニウム塩、トリ−o−トリルセレニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム塩、1−ナフチルジフェニルセレニウム塩等のトリアリールセレニウム塩;ジフェニルフェナシルセレニウム塩、ジフェニルベンジルセレニウム塩、ジフェニルメチルセレニウム塩等のジアリールセレニウム塩;フェニルメチルベンジルセレニウム塩等のモノアリールセレニウム塩;ジメチルフェナシルセレニウム塩等のトリアルキルセレニウム塩等が挙げられる。
上記アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチル−n−プロピルアンモニウム塩、トリメチル−n−ブチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩;N,N−ジメチルピロリジウム塩、N−エチル−N−メチルピロリジウム塩等のピロリジウム塩;N,N'−ジメチルイミダゾリニウム塩、N,N'−ジエチルイミダゾリニウム塩等のイミダゾリニウム塩;N,N'−ジメチルテトラヒドロピリミジウム塩、N,N'−ジエチルテトラヒドロピリミジウム塩等のテトラヒドロピリミジウム塩;N,N−ジメチルモルホリニウム塩、N,N−ジエチルモルホリニウム塩等のモルホリニウム塩;N,N−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジエチルピペリジニウム塩等のピペリジニウム塩;N−メチルピリジニウム塩、N−エチルピリジニウム塩等のピリジニウム塩;N,N'−ジメチルイミダゾリウム塩等のイミダゾリウム塩;N−メチルキノリウム塩等のキノリウム塩;N−メチルイソキノリウム塩等のイソキノリウム塩;ベンジルベンゾチアゾニウム塩等のチアゾニウム塩;ベンジルアクリジウム塩等のアクリジウム塩等が挙げられる。
上記ホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラ−p−トリルホスホニウム塩、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム塩等のテトラアリールホスホニウム塩;トリフェニルベンジルホスホニウム塩等のトリアリールホスホニウム塩;トリエチルベンジルホスホニウム塩、トリブチルベンジルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリエチルフェナシルホスホニウム塩等のテトラアルキルホスホニウム塩等が挙げられる。
上記遷移金属錯体イオンの塩としては、例えば、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Cr+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Cr+等のクロム錯体カチオンの塩;(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Fe+等の鉄錯体カチオンの塩等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、アレン−イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤における塩を構成するアニオンとしては、上述の光カチオン重合開始剤における塩を構成するアニオンと同様の例を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物においては、例えば、商品名「SP−66」、「SP−77」(以上、(株)ADEKA製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記アルミニウムキレートとしては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
上記三フッ化ホウ素アミン錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
尚、本発明の硬化性組成物において硬化触媒は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における上記硬化触媒の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれる全重合性化合物100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3.0重量部、さらに好ましくは0.1〜2.0重量部、特に好ましくは0.5〜2.0重量部である。硬化触媒の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化反応を効率的に十分に進行させることができ、硬化物の表面硬度がより向上する傾向がある。一方、硬化触媒の含有量を3.0重量部以下とすることにより、硬化性組成物の保存性がいっそう向上したり、硬化物の着色が抑制される傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、さらに、その他任意の成分として、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化助剤、溶剤(有機溶剤等)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、難燃助剤、補強材(他の充填剤等)、核剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤等)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料等)、帯電防止剤、分散剤、表面調整剤(レベリング剤、ワキ防止剤等)、表面改質剤(スリップ剤等)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、光増感剤、発泡剤等の慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で又は必要に応じて加熱しながら攪拌・混合することにより調製することができる。尚、本発明の硬化性組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、本発明の硬化性組成物は、溶媒20%に希釈した液[特に、メチルイソブチルケトンの割合が20重量%である硬化性組成物(溶液)]の25℃における粘度として、300〜20000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜10000mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。上記粘度を300mPa・s以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、上記粘度を20000mPa・s以下とすることにより、硬化性組成物の調製や取り扱いが容易となり、また、硬化物中に気泡が残存しにくくなる傾向がある。尚、本発明の硬化性組成物の粘度は、粘度計(商品名「MCR301」、アントンパール社製)を用いて、振り角5%、周波数0.1〜100(1/s)、温度:25℃の条件で測定される。
[硬化物]
本発明の硬化性組成物は、含有する重合性化合物(本発明のポリオルガノシルセスキオキサンを少なくとも含む)の重合反応を進行させることにより硬化させることができ、硬化物を形成することができる。硬化の方法は、周知の方法より適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線の照射、及び/又は、加熱する方法が挙げられる。上記活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等のいずれを使用することもできる。中でも、取り扱い性に優れる点で、紫外線が好ましい。
本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる際の条件(活性エネルギー線の照射条件等)は、照射する活性エネルギー線の種類やエネルギー、硬化物の形状やサイズ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば1〜1000mJ/cm2程度とすることが好ましい。尚、活性エネルギー線の照射には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、LEDランプ、レーザー等を使用することができる。活性エネルギー線の照射後には、さらに加熱処理(アニール、エージング)を施してさらに硬化反応を進行させることができる。
一方、本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる際の条件は、特に限定されないが、例えば、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃である。硬化時間は適宜設定可能である。
本発明の硬化性組成物は硬化させることによって、高い表面硬度を有し、且つ屈曲性に優れた硬化物を形成できる。従って、本発明の硬化性組成物は、特に、ハードコートフィルムにおけるハードコート層を形成するための「ハードコート層形成用硬化性組成物」(「ハードコート液」や「ハードコート剤」等と称される場合がある)として特に好ましく使用できる。本発明の硬化性組成物をハードコート層形成用硬化性組成物として用い、該組成物より形成されたハードコート層を有するハードコートフィルムは、高硬度を維持しながら、屈曲性を有するため、ロールトゥロール方式での製造や加工が可能である。
[ハードコートフィルム]
本発明のハードコートフィルムは、基材と、該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するフィルムであって、上記ハードコート層が、本発明の硬化性組成物(ハードコート層形成用硬化性組成物)により形成されたハードコート層(本発明の硬化性組成物の硬化物層)であることを特徴としている。
尚、ハードコートフィルムにおけるハードコート層は、上記基材の一方の表面(片面)のみに形成されていてもよいし、両方の表面(両面)に形成されていてもよい。
また、ハードコートフィルムにおけるハードコート層は、上記基材の表面の一部にのみ形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。
ハードコートフィルムにおける基材としては、プラスチック基材、金属基材、セラミックス基材、半導体基材、ガラス基材、紙基材、木基材(木製基材)、表面が塗装表面である基材等の公知乃至慣用の基材を用いることができ、特に限定されない。中でも、プラスチック基材(プラスチック材料により構成された基材)が、屈曲性を有する点で好ましい。
上記プラスチック基材を構成するプラスチック材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン系モノマーの単独重合体(付加重合体や開環重合体等)、ノルボルネンとエチレンの共重合体等のノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーの共重合体(付加重合体や開環重合体等の環状オレフィンコポリマー等)、これらの誘導体等の環状ポリオレフィン;ビニル系重合体(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS樹脂)等);ビニリデン系重合体(例えば、ポリ塩化ビニリデン等);トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ユリア樹脂;マレイミド樹脂;シリコーン等の各種プラスチック材料が挙げられる。尚、上記プラスチック基材は、1種のみのプラスチック材料により構成されたものであってもよいし、2種以上のプラスチック材料により構成されたものであってもよい。
透明性に優れたハードコートフィルムを所望する場合には、上記プラスチック基材として透明性に優れた基材(透明基材)を用いることが好ましく、より好ましくはポリエステルフィルム(特に、PET、PEN)、環状ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、TACフィルム、PMMAフィルムである。
上記プラスチック基材は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤等の添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
上記プラスチック基材は、単層の構成を有していてもよいし、多層(積層)の構成を有していてもよく、その構成(構造)は特に限定されない。
上記プラスチック基材の表面の一部又は全部には、粗化処理、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。尚、上記プラスチック基材は、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム等)であってもよい。
上記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.01〜10000μmの範囲から適宜選択することができる。
ハードコート層は、ハードコートフィルムにおける少なくとも一方の表面層を構成する層であり、本発明の硬化性組成物(ハードコート層形成用硬化性組成物)を硬化させることにより得られる硬化物(樹脂硬化物)により形成された層(硬化物層)である。
ハードコート層の厚み(基材の両面にハードコート層を有する場合は、それぞれのハードコート層の厚み)は、特に限定されないが、1〜200μmが好ましく、より好ましくは3〜150μm、特に好ましくは10〜50μm、とりわけ好ましくは20〜40μmである。特に、本発明のハードコート層は、薄い場合(例えば、厚み40μm以下の場合)であっても、表面の高硬度を維持すること(例えば、鉛筆硬度を6H以上とすること)が可能である。また、厚い場合(例えば、厚み20μm以上の場合)であっても、優れた屈曲性を有する。そのため、本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層の厚みを調整することにより、鉛筆硬度6H以上の高い表面硬度と優れた屈曲性を兼ね備えることが可能である。
本発明のハードコートフィルムは、さらに、ハードコート層表面に表面保護フィルムを有していてもよい。本発明のハードコートフィルムが表面保護フィルムを有することにより、ハードコートフィルムの打ち抜き加工性がいっそう向上する傾向がある。
上記表面保護フィルムとしては、公知乃至慣用の表面保護フィルムを使用することができ、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムの表面に粘着剤層を有するものが使用できる。上記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等)、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチック材料より形成されたプラスチックフィルムが挙げられる。上記粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系粘着剤、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系粘着剤、スチレン−イソプレンブロック共重合体系粘着剤、スチレン−ブタジエンブロック共重合体系粘着剤等の公知乃至慣用の粘着剤の1種以上より形成された粘着剤層が挙げられる。上記粘着剤層中には、各種の添加剤(例えば、帯電防止剤、スリップ剤等)が含まれていてもよい。尚、プラスチックフィルム及び粘着剤層は、それぞれ単層構成を有していてもよいし、多層(複層)構成を有していてもよい。また、表面保護フィルムの厚みは、特に限定されず、適宜選択することができる。
表面保護フィルムとしては、例えば、商品名「サニテクト」シリーズ((株)サンエー化研製)、商品名「E−MASK」シリーズ(日東電工(株)製)、商品名「マスタック」シリーズ(藤森工業(株)製)、商品名「ヒタレックス」シリーズ(日立化成工業(株)製)、商品名「アルファン」シリーズ(王子エフテックス(株)製)等の市販品が市場より入手可能である。
本発明のハードコートフィルムは、公知乃至慣用のハードコートフィルムの製造方法に準じて製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、上記基材の少なくとも一方の表面に本発明の硬化性組成物(ハードコート層形成用硬化性組成物)を塗布し、必要に応じて溶剤を乾燥によって除去した後、該硬化性組成物(硬化性組成物層)を硬化させることにより製造できる。硬化性組成物を硬化させる際の条件は、特に限定されず、例えば、上述の硬化物を形成する際の条件から適宜選択可能である。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層が屈曲性に優れるため、ロールトゥロール方式での製造が可能である。本発明のハードコートフィルムをロールトゥロール方式で製造することにより、その生産性を著しく高めることができる。本発明のハードコートフィルムをロールトゥロール方式で製造する方法としては、公知乃至慣用のロールトゥロール方式の製造方法を採用することができ、特に限定されないが、例えば、ロール状に巻いた基材を繰り出す工程(工程A)と、繰り出した基材の少なくとも一方の表面に本発明の硬化性組成物(ハードコート層形成用硬化性組成物)を塗布し、次いで、必要に応じて溶剤を乾燥によって除去した後、該硬化性組成物(硬化性組成物層)を硬化させることによりハードコート層を形成する工程(工程B)と、その後、得られたハードコートフィルムを再びロール状に巻き取る工程(工程C)とを必須の工程として含み、これら工程(工程A〜C)を連続的に実施する方法等が挙げられる。尚、当該方法は、工程A〜C以外の工程を含んでいてもよい。
本発明のハードコートフィルムの厚みは、特に限定されず、1〜10000μmの範囲から適宜選択することができる。
本発明のハードコートフィルムのハードコート層は高い表面硬度を有し、例えば膜厚が30μmのハードコート層の鉛筆硬度は、6H以上が好ましく、より好ましくは7H以上、さらに好ましくは8H以上である。また、本発明のハードコートフィルムのハードコート層は、膜厚が34μm未満、好ましくは33μm以下、特に好ましくは32μm以下、最も好ましくは30μm以下(尚、膜厚の下限は、例えば25μm、好ましくは28μm、特に好ましくは30μm)であっても、鉛筆硬度7H以上の高い表面硬度を有する。尚、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に記載の方法に準じて評価することができる。
また、本発明のハードコートフィルムのハードコート層は屈曲性に優れ、クラック(ひび割れ)を発生させることなく屈曲させることができ、例えば30μmの厚みのハードコート層を、JIS K−5600−5−1に準拠した方法でステンレス製棒に巻き付けた場合、直径が40mm以下(例えば18mmを超え40mm以下、好ましくは32mm以下、特に好ましくは26mm以下、最も好ましくは22mm以下)のステンレス製棒であっても、ハードコート層にクラックが発生することがない。
すなわち、本発明のハードコートフィルムのハードコート層は、高い表面硬度と優れた屈曲性を兼ね備える。このため、本発明のハードコートフィルムは、例えば、各種製品における表面保護フィルム、各種製品の部材又は部品における表面保護フィルム等として使用することができる。上記製品としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置;タッチパネル等の入力装置:太陽電池;各種家電製品;各種電気・電子製品;携帯電子端末(例えば、ゲーム機器、パソコン、タブレット、スマートフォン、携帯電話等)の各種電気・電子製品;各種光学機器等が挙げられる。本発明のハードコートフィルムは上述の通り、高い表面硬度と共に優れた屈曲性を有するため、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイの表面保護フィルムとして特に有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、生成物の分子量は、下記条件下でのGPC分析により求めた
Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)
Refractive Index Detector 2414(Waters製)
カラム:Tskgel GMHHR−M×2(東ソー(株)製)
ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)
カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)
溶媒:THF
測定条件:40℃
生成物におけるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]の測定は、JEOL ECA500(500MHz)による29Si−NMRスペクトル測定により行った。
実施例1
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000mLのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(以後、「EMS」と称する場合がある)200.0ミリモル(49.28g)、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(以後、「GOPTS」と称する場合がある)50.0ミリモル(11.82g)、及びアセトン244.4gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、5%炭酸カリウム水溶液6.91g(炭酸カリウムとして2.5ミリモル)を5分で滴下した後、水2500.0ミリモル(45.00g)を20分かけて滴下した。尚、滴下の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で5時間行った。
その後、反応溶液を冷却すると同時に、メチルイソブチルケトン(以後、「MIBK」と称する場合がある)122.19gと5%食塩水89.34gとを投入した。この溶液を1Lの分液ロートに移し、再度、MIBK122.19gを投入水洗を行った。分液後、水層を抜き取り、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、50℃の条件で上層液から溶媒を留去し、MIBKを25.84重量%含有する無色透明で液状の生成物(s−1:ポリオルガノシルセスキオキサン、ポリオルガノシルセスキオキサンを構成するシロキサン構成単位全量におけるT単位の割合:99モル%以上、側鎖全量における2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基(=(a-1)基)と3−グリシジルオキシプロピル基(=(a-2)基)の合計含有量:99モル%以上、(a-1)基:(a-2)基(モル比)=80:20)を59.98g得た。上記生成物を分析したところ、数平均分子量は1725であり、分子量分散度は1.42であった。また、29Si−NMR測定を行った結果、−55〜−60ppm付近にT2体由来のピーク、−65〜−70ppm付近にT3体由来のピークがそれぞれ確認された(図1)。積分値から算出されるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]は10.1であった。
実施例2〜3
原料(EMS、GOPTS)の使用量、アセトンの使用量、5%炭酸カリウム水溶液の使用量、水の使用量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリオルガノシルセスキオキサン(s−2)、(s−3)を製造した。
比較例1
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000mLのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下でEMS277.2ミリモル(68.30g)、フェニルトリメトキシシラン(以後、「PMS」と称する場合がある)3.0ミリモル(0.56g)、及びアセトン275.4gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、5%炭酸カリウム水溶液7.74g(炭酸カリウムとして2.8ミリモル)を5分で滴下した後、水2800.0ミリモル(50.40g)を20分かけて滴下した。尚、滴下の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で5時間行った。
その後、反応溶液を冷却すると同時に、MIBK137.70gと5%食塩水100.60gとを投入した。この溶液を1Lの分液ロートに移し、再度、MIBK137.70gを投入水洗を行った。分液後、水層を抜き取り、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、50℃の条件で上層液から溶媒を留去し、MIBKを34.04重量%含有する無色透明で液状の生成物(s−4:ポリオルガノシルセスキオキサン、ポリオルガノシルセスキオキサンを構成するシロキサン構成単位全量におけるT単位の割合:99モル%以上、側鎖全量における(a-1)基と(a-2)基の合計含有量:99モル%、(a-1)基:(a-2)基(モル比)=100:0)を75.18g得た。上記生成物を分析したところ、数平均分子量は1884であり、分子量分散度は1.52であった。また、29Si−NMR測定を行った結果、−55〜−60ppm付近にT2体由来のピーク、−65〜−70ppm付近にT3体由来のピークがそれぞれ確認された(図3)。積分値から算出されるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]は10.6であった。
Figure 2017008143
実施例4
6mLの茶褐色サンプル瓶に、実施例1で得られた(s−1)1g[MIBK25.84重量%含有物として1g]、商品名「WPI−124」(ビス[4−アルキルC10-13フェニル]ヨードニウム テトラキスペンタフルオロフェニルボレートの50%溶液、和光純薬工業(株)製)14.8mg[50%溶液として14.8mg]、商品名「BYK−307」(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミー(株)製、レベリング剤)1.5mg、及びMIBK0.24gを入れて、バイブレーターで攪拌混合し、ハードコート液を得た。
得られたハードコート液を、PETフィルム(商品名「TA017」、東洋紡(株)製)上に、硬化後のハードコート層の厚さが30μmとなるようにワイヤーバーを使用して流延塗布した後、120℃のオーブン内で10分間放置(プレベイク)し、次いで紫外線を照射した[照射量:430mJ/cm2、照射強度:160W/cm2]。最後に80℃で2時間熱処理(エージング)することによって、上記ハードコート液の塗工膜を硬化させて、ハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
実施例5〜6、比較例2
ハードコート液(硬化性組成物)の組成及びハードコート層の厚みを表2に示す通りに変更した以外は実施例4と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。尚、表2に記載の硬化性組成物の原料の配合量の単位は、重量部である。
得られたハードコートフィルムについて、以下の方法により各種評価を行った。結果を表2に示す。
(1)表面硬度(鉛筆硬度)
上記で得たハードコートフィルムにおけるハードコート層表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4に準じて評価した。
(2)屈曲性;巻きつけ試験による
上記で得たハードコートフィルムを直径40、32、26、22、18mmのステンレス製棒に巻きつけ、クラック発生の有無を確認した(JIS K−5600−5−1準拠)。表2には、クラックが発生したステンレス製棒のうち最も太いステンレス製棒の直径を記載した。尚、直径がより小さい方が屈曲性に優れている。
Figure 2017008143

Claims (11)

  1. シロキサン構成単位からなるポリオルガノシルセスキオキサンであって、
    下記式(I)
    [RaSiO3/2] (I)
    [式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
    で表される構成単位と、下記式(II)
    [RaSiO2/2(ORb)] (II)
    [式(II)中、Raは前記に同じ。Rbは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
    で表される構成単位の割合がシロキサン構成単位の全量の50〜100モル%であり、
    前記式(I)で表される構成単位と、式(II)で表される構成単位のモル比(前者/後者)が5以上であり、
    ポリオルガノシルセスキオキサンに含まれるRaの全量における2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基の合計含有量が50モル%以上であり、且つ2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基と3−グリシジルオキシプロピル基のモル比(前者/後者)が99/1〜10/90であるポリオルガノシルセスキオキサン。
  2. 数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0である請求項1に記載のポリオルガノシルセスキオキサン。
  3. 請求項1又は2に記載のポリオルガノシルセスキオキサンを含有する硬化性組成物。
  4. さらに、硬化触媒を含む請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記硬化触媒が光カチオン重合開始剤である請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 前記硬化触媒が熱カチオン重合開始剤である請求項4に記載の硬化性組成物。
  7. ハードコート層形成用硬化性組成物である請求項3〜6の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 基材と、該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、前記ハードコート層が、請求項7に記載の硬化性組成物の硬化物層であることを特徴とするハードコートフィルム。
  9. 前記ハードコート層の厚さが1〜200μmである請求項8に記載のハードコートフィルム。
  10. さらに、前記ハードコート層表面に表面保護フィルムを有する請求項8又は9に記載のハードコートフィルム。
  11. ロール状に巻いた基材を繰り出す工程Aと、繰り出した基材の少なくとも一方の表面に請求項7に記載の硬化性組成物を塗布し、次いで、該硬化性組成物を硬化させることによりハードコート層を形成する工程Bと、その後、得られたハードコートフィルムを再びロール状に巻き取る工程Cとを含み、工程A〜Cを連続的に実施することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
JP2015122348A 2015-06-17 2015-06-17 ポリオルガノシルセスキオキサン Active JP6595813B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015122348A JP6595813B2 (ja) 2015-06-17 2015-06-17 ポリオルガノシルセスキオキサン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015122348A JP6595813B2 (ja) 2015-06-17 2015-06-17 ポリオルガノシルセスキオキサン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017008143A true JP2017008143A (ja) 2017-01-12
JP6595813B2 JP6595813B2 (ja) 2019-10-23

Family

ID=57763230

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015122348A Active JP6595813B2 (ja) 2015-06-17 2015-06-17 ポリオルガノシルセスキオキサン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6595813B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018207647A1 (ja) * 2017-05-09 2018-11-15 株式会社ダイセル 絶縁膜形成用組成物、絶縁膜、及び絶縁膜を備えた半導体デバイス
WO2018212228A1 (ja) * 2017-05-17 2018-11-22 株式会社ダイセル ポリオルガノシルセスキオキサン、転写用フィルム、インモールド成型品、及びハードコートフィルム
JP2019137741A (ja) * 2018-02-07 2019-08-22 リンテック株式会社 粘着シート
JP2020002203A (ja) * 2018-06-26 2020-01-09 リンテック株式会社 粘着シート
CN112469563A (zh) * 2018-07-27 2021-03-09 富士胶片株式会社 硬涂膜、具备硬涂膜的物品及图像显示装置
JPWO2020059726A1 (ja) * 2018-09-18 2021-06-10 富士フイルム株式会社 ハードコート組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品、画像表示装置、及びハードコートフィルムの製造方法
JPWO2019220642A1 (ja) * 2018-05-18 2021-07-01 株式会社ダイセル 積層フィルム、及びフォルダブルデバイス
CN114008113A (zh) * 2019-05-22 2022-02-01 株式会社钟化 树脂组合物、其制造方法、以及多组分型固化性树脂组合物
KR20220128423A (ko) 2020-03-27 2022-09-20 후지필름 가부시키가이샤 하드 코트층 형성용 조성물, 하드 코트 필름, 하드 코트 필름의 제조 방법 및 하드 코트 필름을 구비한 물품

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004346144A (ja) * 2003-05-21 2004-12-09 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ基を有するケイ素化合物及び熱硬化性樹脂組成物
JP2008179811A (ja) * 2006-12-28 2008-08-07 Asahi Kasei Corp シロキサン誘導体及びその硬化物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004346144A (ja) * 2003-05-21 2004-12-09 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ基を有するケイ素化合物及び熱硬化性樹脂組成物
JP2008179811A (ja) * 2006-12-28 2008-08-07 Asahi Kasei Corp シロキサン誘導体及びその硬化物

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018188563A (ja) * 2017-05-09 2018-11-29 株式会社ダイセル 絶縁膜形成用組成物、絶縁膜、及び絶縁膜を備えた半導体デバイス
WO2018207647A1 (ja) * 2017-05-09 2018-11-15 株式会社ダイセル 絶縁膜形成用組成物、絶縁膜、及び絶縁膜を備えた半導体デバイス
WO2018212228A1 (ja) * 2017-05-17 2018-11-22 株式会社ダイセル ポリオルガノシルセスキオキサン、転写用フィルム、インモールド成型品、及びハードコートフィルム
CN110621723A (zh) * 2017-05-17 2019-12-27 株式会社大赛璐 聚有机倍半硅氧烷、转印用膜、模内成型品以及硬涂膜
JP2019137741A (ja) * 2018-02-07 2019-08-22 リンテック株式会社 粘着シート
JPWO2019220642A1 (ja) * 2018-05-18 2021-07-01 株式会社ダイセル 積層フィルム、及びフォルダブルデバイス
JP7049447B2 (ja) 2018-05-18 2022-04-06 株式会社ダイセル 積層フィルム、及びフォルダブルデバイス
JP2020002203A (ja) * 2018-06-26 2020-01-09 リンテック株式会社 粘着シート
CN112469563A (zh) * 2018-07-27 2021-03-09 富士胶片株式会社 硬涂膜、具备硬涂膜的物品及图像显示装置
JPWO2020059726A1 (ja) * 2018-09-18 2021-06-10 富士フイルム株式会社 ハードコート組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品、画像表示装置、及びハードコートフィルムの製造方法
JP7291150B2 (ja) 2018-09-18 2023-06-14 富士フイルム株式会社 ハードコート組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品、画像表示装置、及びハードコートフィルムの製造方法
CN114008113A (zh) * 2019-05-22 2022-02-01 株式会社钟化 树脂组合物、其制造方法、以及多组分型固化性树脂组合物
KR20220128423A (ko) 2020-03-27 2022-09-20 후지필름 가부시키가이샤 하드 코트층 형성용 조성물, 하드 코트 필름, 하드 코트 필름의 제조 방법 및 하드 코트 필름을 구비한 물품

Also Published As

Publication number Publication date
JP6595813B2 (ja) 2019-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6219250B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン、ハードコートフィルム、接着シート、及び積層物
JP6595813B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン
JP6795498B2 (ja) 硬化性組成物、及び成形体
JP6557522B2 (ja) ハードコート層形成用硬化性組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムの製造方法、接着剤組成物、硬化物、接着シート、積層物、及び装置
WO2018189945A1 (ja) 硬化性組成物、硬化物及びハードコートフィルム
WO2018189946A1 (ja) 積層体
WO2016203959A1 (ja) 傷回復フィルム
JP6557521B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン、ハードコートフィルム、接着シート、積層物及び装置
WO2018096729A1 (ja) ハードコートフィルム
JP6737926B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン、ハードコートフィルム、接着シート、及び積層物
WO2016204115A1 (ja) 硬化物の製造方法、硬化物、及び前記硬化物を含む積層物
JP2018177952A (ja) 硬化性組成物、硬化物及びハードコートフィルム
WO2016203958A1 (ja) 成形体
JP6580878B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン、硬化性組成物、ハードコートフィルム、及び硬化物
JP6652791B2 (ja) 硬化性組成物、接着シート、積層物及び装置
JP2017008147A (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン、硬化性組成物、接着シート、積層物及び装置
JP6740226B2 (ja) 硬化性組成物
JP2018095819A (ja) 硬化性組成物、接着シート、硬化物、積層物、及び装置
JP6595812B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサン、硬化性組成物、ハードコートフィルム、及び硬化物
JP6752096B2 (ja) シルセスキオキサン、硬化性組成物、硬化物、及びハードコートフィルム
TW202219181A (zh) 聚有機矽倍半氧烷、硬化性組成物、硬化物、硬塗膜、接著片、及積層物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180309

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190709

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6595813

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150