JP2018095819A - 硬化性組成物、接着シート、硬化物、積層物、及び装置 - Google Patents

硬化性組成物、接着シート、硬化物、積層物、及び装置 Download PDF

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【課題】耐クラック性に優れた硬化物を形成することができる硬化性組成物を提供する。【解決手段】ランダム型シルセスキオキサン(A1)及びラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)からなる群より選択される1以上であり、下記式(1)で表される構成単位を有するシルセスキオキサン(A)と、シルセスキオキサン(A)以外の重合性官能基を有する化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。[R1SiO3/2] (1)[式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いて形成された接着剤層を有する接着シート、前記硬化性組成物の硬化物、前記硬化性組成物を用いて被接着層が貼付された積層物、及び前記積層物を有する装置に関する。
半導体の積層や電子部品の接着には、接着剤が用いられている。このような接着剤としては、ベンゾシクロブテン(BCB)、ノボラック系エポキシ樹脂、又はポリオルガノシルセスキオキサンを含有する熱硬化型接着剤が知られている(特許文献1参照)。
ところで、積層半導体は、その製造過程で高温に曝される。このため、半導体の積層に用いる接着剤には、高い密着性、耐久性が求められる。しかし、BCBを含有する熱硬化型接着剤を硬化させるためには200〜350℃程度の高温で加熱することが必要であり、前記高温に曝されることで被接着物がダメージを受ける可能性があった。また、ノボラック系エポキシ樹脂を含有する熱硬化型接着剤は、鉛フリー半田リフロー等の高温プロセス(例えば、260〜280℃)に付した際に接着剤が分解してアウトガスが発生し、それにより密着性が低下する問題があった。
特開2010−226060号公報
一方、ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する熱硬化型接着剤は、BCBを含有する熱硬化型接着剤に比べて低温で硬化させることができ、耐熱性に優れ、かつ基板に対して接着性及び密着性に優れた硬化物を形成することができる。また、高温プロセスに付した際にも接着性を維持することができる。しかし、ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する熱硬化型接着剤の硬化物も、熱衝撃を付与することによりクラックが発生し易いことが問題であった。
従って、本発明の目的は、耐クラック性(若しくは耐冷熱衝撃性)に優れた硬化物を形成することができる硬化性組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低温で硬化して、耐熱性、耐クラック性(若しくは耐冷熱衝撃性)に優れた硬化物を形成することができる硬化性組成物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、耐クラック性に優れた硬化物を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、前記硬化性組成物を用いて形成された接着剤層を有する接着シート、前記硬化性組成物を用いて被接着体を接着して得られる積層物、及び該積層物を有する装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のシルセスキオキサンと重合性官能基を有する他の化合物とを混合した硬化性組成物によれば、耐クラック性(若しくは耐冷熱衝撃性)に優れる硬化物を形成することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、ランダム型シルセスキオキサン(A1)及びラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)からなる群より選択される1以上であり、下記式(1)
[R1SiO3/2] (1)
[式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す。]
で表される構成単位を有するシルセスキオキサン(A)と、シルセスキオキサン(A)以外の重合性官能基を有する化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物を提供する。
前記重合性官能基は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される1以上であることが好ましい。
前記硬化性組成物は、さらに、重合開始剤を含有することが好ましい。
前記硬化性組成物は、さらに、重合安定剤を含有することが好ましい。
前記硬化性組成物は、さらに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
前記硬化性組成物は、接着剤組成物であることが好ましい。
また、本発明は、基材の少なくとも一方の面に、前記の硬化性組成物から形成された接着剤層を有する接着シートを提供する。
また、本発明は、前記の硬化性組成物の硬化物を提供する。
また、本発明は、3層以上で構成される積層物であって、2層の被接着層と、該被接着層の間の接着層とを有し、前記接着層が前記の硬化性組成物の硬化物の層であることを特徴とする積層物を提供する。
また、本発明は、前記の積層物を有する装置を提供する。
本発明の硬化性組成物は、上記構成を有するため、耐クラック性に優れた硬化物を形成することができる。また、当該硬化性組成物を用いることにより、接着シート及び積層物を得ることができる。
そして、本発明の硬化性組成物を使用して得られた積層物(例えば、半導体チップの三次元積層体等)は、従来の半導体よりもより高集積、省電力であるため、実装密度を向上させつつ高性能な電子機器を提供することができる。特に、積層物中の接着層のクラックや剥離は、積層物の製造時や製造された半導体チップ、ウエハ等において配線の破壊の原因となり、結果として積層物や該積層物を用いた装置の故障の原因となる。このため、硬化後の耐クラック性の高い接着剤は積層物を構成する材料として非常に重要である。従って、本発明の硬化性組成物によれば、信頼性の高い積層物を得ることができる。
硬化物の耐熱性の評価方法を示す説明図(熱重量分析結果の模式図)である。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、シルセスキオキサン(A)と、シルセスキオキサン(A)以外の重合性官能基を有する化合物(B)と、を必須成分として含む硬化性組成物(硬化性樹脂組成物)である。本発明の硬化性組成物は、このような特定のシルセスキオキサン(A)と特定の化合物(B)とを組み合わせて用いることにより、耐クラック性に優れた硬化物を形成することができる。さらに、上記硬化物は、耐熱性、被接着体に対する接着性及び密着性にも優れる。後述のように、本発明の硬化性組成物は、さらに、重合開始剤、重合安定剤、シランカップリング剤、溶剤や表面調整剤あるいは表面改質剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
(シルセスキオキサン(A))
上記シルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン)(A)は、ランダム型シルセスキオキサン(A1)及びラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)からなる群より選択される1以上のシルセスキオキサンである。すなわち、シルセスキオキサン(A)として、ランダム型シルセスキオキサン(A1)及びラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)の一方のみを使用してもよいし、両方を使用してもよい。なお、本明細書において「シルセスキオキサン(A)」と称する場合は、ランダム型シルセスキオキサン(A1)及びラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)の両方についていうものとする。また、「ランダム型シルセスキオキサン(A1)」を単に「シルセスキオキサン(A1)」と称する場合があり、「ラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)」を単に「シルセスキオキサン(A2)」と称する場合がある。シルセスキオキサン(A)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
シルセスキオキサン(A)は、下記式(1)で表される構成単位を有する。すなわち、ランダム型シルセスキオキサン(A1)は下記式(1)で表される構成単位を有するランダム型シルセスキオキサンであり、ラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)はラダー骨格を有し下記式(1)で表される構成単位を有するシルセスキオキサンである。
[R1SiO3/2] (1)
上記式(1)で表される構成単位は、一般に[RSiO3/2]で表されるシルセスキオキサン構成単位(いわゆるT単位)である。なお、上記式中のRは、水素原子又は一価の有機基を示し、以下においても同じである。上記式(1)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(具体的には、例えば、後述の式(a)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
式(1)中のR1は、エポキシ基を含有する基(一価の基)を示す。すなわち、シルセスキオキサン(A)は、分子内にエポキシ基を少なくとも有するカチオン硬化性化合物(カチオン重合性化合物)である。上記エポキシ基を含有する基としては、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、硬化性組成物の硬化性、硬化物の耐熱性の観点で、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、下記式(1c)で表される基、下記式(1d)で表される基が好ましく、より好ましくは下記式(1a)で表される基、下記式(1c)で表される基、さらに好ましくは下記式(1a)で表される基である。
Figure 2018095819
Figure 2018095819
Figure 2018095819
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上記式(1a)中、R1aは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。中でも、R1aとしては、硬化性組成物の硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
上記式(1b)中、R1bは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R1aと同様の基が例示される。中でも、R1bとしては、硬化性組成物の硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
上記式(1c)中、R1cは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R1aと同様の基が例示される。中でも、R1cとしては、硬化性組成物の硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
上記式(1d)中、R1dは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R1aと同様の基が例示される。中でも、R1dとしては、硬化性組成物の硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
式(1)中のR1としては、特に、上記式(1a)で表される基であって、R1aがエチレン基である基[中でも、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基]が好ましい。
シルセスキオキサン(A)は、上記式(1)で表される構成単位を1種のみ有するものであってもよいし、上記式(1)で表される構成単位を2種以上有するものであってもよい。
シルセスキオキサン(A)は、シルセスキオキサン構成単位[RSiO3/2]として、上記式(1)で表される構成単位以外にも、下記式(2)で表される構成単位を有していてもよい。
[R2SiO3/2] (2)
上記式(2)で表される構成単位は、一般に[RSiO3/2]で表されるシルセスキオキサン構成単位(T単位)である。すなわち、上記式(2)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(具体的には、例えば、後述の式(b)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
上記式(2)中のR2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−(3,4−シクロヘキセニル)エチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
上述の置換アリール基、置換アラルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルキル基、置換アルケニル基としては、上述のアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基のそれぞれにおける水素原子又は主鎖骨格の一部若しくは全部が、アルキル基(特に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基)、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、及びヒドロキシ基(水酸基)からなる群より選択された1以上で置換された基が挙げられる。
中でも、R2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、さらに好ましくはフェニル基、2−(3,4−シクロヘキセニル)エチル基である。R2として置換若しくは無置換のアリール基(特に、フェニル基)を含むと、硬化度が高くなりすぎることを抑制でき、硬化物の耐クラック性及び接着性がより優れる傾向がある。
シルセスキオキサン(A)における上述の各シルセスキオキサン構成単位(式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位)の割合は、これらの構成単位を形成するための原料(加水分解性三官能シラン)の組成により適宜調整することが可能である。
シルセスキオキサン(A)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(1)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、50モル%以上(例えば、50〜100モル%)が好ましく、より好ましくは60〜99モル%、さらに好ましくは70〜98モル%である。上記割合が50モル%以上であると、硬化物の耐クラック性により優れる傾向がある。さらに、被接着体に対する接着性、耐熱性により優れる傾向がある。なお、本明細書において、シルセスキオキサンを構成するシロキサン構成単位の割合は、例えば、29Si−NMRスペクトル測定により求めることができる。また、2種以上のシルセスキオキサン(A)を含有する場合、本明細書において、「シルセスキオキサン(A)を構成する全てのシロキサン構成単位」は、全てのシルセスキオキサン(A)を構成する全てのシロキサン構成単位をいう。
シルセスキオキサン(A)が上記式(2)で表される構成単位を含む場合、シルセスキオキサン(A)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(2)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、0モル%を超えて50モル%以下が好ましく、より好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは2〜30モル%である。上記割合が50モル%以下であると、相対的に上記式(1)で表される構成単位の割合が増え、硬化物の耐熱性及び耐クラック性がより優れる傾向がある。また、R2が置換若しくは無置換のアリール基である上記式(2)で表される構成単位の割合が上記範囲内であると、硬化度が高くなりすぎることを抑制でき、硬化物の耐クラック性及び接着性がより優れる傾向がある。
シルセスキオキサン(A)は、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(2)で表される構成単位以外にも、さらに、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(2)で表される構成単位以外のシルセスキオキサン構成単位[RSiO3/2]、[R3SiO1/2]で表される構成単位(いわゆるM単位)、[R2SiO2/2]で表される構成単位(いわゆるD単位)、及び[SiO4/2]で表される構成単位(いわゆるQ単位)からなる群より選択される1以上のシロキサン構成単位を有していてもよい。なお、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(2)で表される構成単位以外のシルセスキオキサン構成単位としては、例えば、下記式(3)で表される構成単位等が挙げられる。
[HSiO3/2] (3)
シルセスキオキサン(A)は、下記式(I)で表される構成単位(T3体)を必須の構成単位として含む。さらに、下記式(II)で表される構成単位(T2体)を含んでいてもよい。
[RaSiO3/2] (I)
[RbSiO2/2(ORc)] (II)
なお、上記式(I)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(I')で表される。また、上記式(II)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(II')で表される。下記式(I')で表される構造中に示されるケイ素原子に結合した3つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(I')に示されていないケイ素原子)と結合している。一方、下記式(II')で表される構造中に示されるケイ素原子の上と下に位置する2つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(II')に示されていないケイ素原子)に結合している。すなわち、上記T3体及びT2体は、いずれも対応する加水分解性三官能シラン化合物の加水分解及び縮合反応により形成される構成単位(T単位)である。
Figure 2018095819
Figure 2018095819
上記式(I)中のRa(式(I')中のRaも同じ)及び式(II)中のRb(式(II')中のRbも同じ)は、それぞれ、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Ra及びRbの具体例としては、上記式(1)におけるR1、上記式(2)におけるR2と同様のものが例示される。なお、式(I)中のRa及び式(II)中のRbは、それぞれ、シルセスキオキサン(A)の原料として使用した加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(a)〜(c)におけるR1、R2、水素原子等)に由来する基であるか、又は、シルセスキオキサン(A)の原料として使用した加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(b)におけるR2等)をエポキシ化して得られる基である。
上記式(II)中のRc(式(II')中のRcも同じ)は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。式(II)中のRcにおけるアルキル基は、一般的には、シルセスキオキサン(A)の原料として使用した加水分解性シラン化合物におけるアルコキシ基(例えば、後述のX1〜X3としてのアルコキシ基等)を形成するアルキル基に由来する。
上記T2体としては、例えば、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位、下記式(6)で表される構成単位等が挙げられる。下記式(4)におけるR1及び下記式(5)におけるR2は、それぞれ上記式(1)におけるR1及び上記式(2)におけるR2と同じである。下記式(4)〜(6)におけるRcは、式(II)におけるRcと同じく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[R1SiO2/2(ORc)] (4)
[R2SiO2/2(ORc)] (5)
[HSiO2/2(ORc)] (6)
上記T2体としては、R1が上記式(1a)で表される基(特に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基)である上記式(4)で表される構成単位が好ましい。
シルセスキオキサン(A)の空気雰囲気下における5%重量減少温度(Td5)は、特に限定されないが、330℃以上(例えば、330〜450℃)が好ましく、より好ましくは340℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。5%重量減少温度が330℃以上であることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。なお、5%重量減少温度は、一定の昇温速度で加熱した時に加熱前の重量の5%が減少した時点での温度であり、耐熱性の指標となる。上記5%重量減少温度は、TGA(熱重量分析)により、空気雰囲気下、昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。
以下、シルセスキオキサン(A1)及びシルセスキオキサン(A2)それぞれの好ましい態様について説明する。
1.ランダム型シルセスキオキサン(A1)
シルセスキオキサン(A1)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(1)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、50モル%以上(例えば、50〜100モル%)が好ましく、より好ましくは60〜95モル%、さらに好ましくは70〜90モル%である。上記割合が50モル%以上であると、硬化物の耐クラック性により優れる傾向がある。さらに、被接着体に対する接着性、耐熱性により優れる傾向がある。
シルセスキオキサン(A1)が上記式(2)で表される構成単位を含む場合、シルセスキオキサン(A1)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(2)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、0モル%を超えて50モル%以下が好ましく、より好ましくは5〜40モル%、特に好ましくは10〜30モル%である。上記割合が50モル%以下であると、相対的に上記式(1)で表される構成単位の割合が増え、硬化物の耐熱性及び耐クラック性がより優れる傾向がある。また、R2が置換若しくは無置換のアリール基である上記式(2)で表される構成単位の割合が上記範囲内であると、硬化度が高くなりすぎることを抑制でき、硬化物の耐クラック性及び接着性がより優れる傾向がある。
シルセスキオキサン(A1)はランダム型シルセスキオキサンであるが、ラダー構造、カゴ構造(完全カゴ構造、不完全カゴ構造)等が混在していても問題ない。但し、シルセスキオキサン(A1)中のラダー骨格及びカゴ構造を構成するシロキサン構成単位の合計の割合は、シルセスキオキサン(A1)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)に対して50モル%未満であることが好ましい。
シルセスキオキサン(A1)中の上記式(1)で表される構成単位は、ランダム構造を構成するシロキサン構成単位であってもよいし、ランダム構造を構成するシロキサン構成単位を除くシロキサン構成単位であってもよい。
シルセスキオキサンがランダム型であることやラダー構造を有することは、FT−IRスペクトル測定及び上記式(I)で表される構成単位(T3体)と上記式(II)で表される構成単位(T2体)のモル比[T3体/T2体]から確認することができる。シルセスキオキサンが不完全カゴ型シルセスキオキサン構造を有することは、FT−IRスペクトルにおいて1050cm-1付近と1150cm-1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有さず、1100cm-1付近に一つの固有吸収ピークを有することから確認される[参考文献:R.H.Raney, M.Itoh, A.Sakakibara and T.Suzuki, Chem. Rev. 95, 1409(1995)]。これに対して、一般に、FT−IRスペクトルにおいて1050cm-1付近と1150cm-1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有する場合には、ラダー型シルセスキオキサン構造を有すると同定される。また、完全カゴ型シルセスキオキサンは、T3体のみにより構成されたポリオルガノシルセスキオキサンであり、分子中にT2体が存在しない。そして、シルセスキオキサンが、ラダー型、完全カゴ型、及び不完全カゴ型のいずれにも該当しない場合、ランダム型シルセスキオキサンであると同定することができる。但し、FT−IRスペクトルにおける固有吸収ピークから種類の同定が困難な場合は、FT−IRスペクトルにおける固有吸収ピークに加え、分子量(数平均分子量等)から考えて[T3体/T2体]がラダー型やカゴ型に相当するものであるか否か等を総合的に判断することにより同定することができる。なお、シルセスキオキサンのFT−IRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「FT−720」((株)堀場製作所製)
測定方法:透過法
分解能:4cm-1
測定波数域:400〜4000cm-1
積算回数:16回
シルセスキオキサンにおける[T3体/T2体]は、例えば、29Si−NMRスペクトル測定により求めることができる。29Si−NMRスペクトルにおいて、上記式(I)で表される構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なる位置(化学シフト)にシグナル(ピーク)を示すため、これらそれぞれのピークの積分比を算出することにより、[T3体/T2体]が求められる。具体的には、例えば、シルセスキオキサンが、上記式(1)で表され、R1が2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である構成単位を有する場合には、上記式(I)で表される構造(T3体)におけるケイ素原子のシグナルは−64〜−70ppmに現れ、上記式(II)で表される構造(T2体)におけるケイ素原子のシグナルは−54〜−60ppmに現れる。従って、この場合、−64〜−70ppmのシグナル(T3体)と−54〜−60ppmのシグナル(T2体)の積分比を算出することによって、[T3体/T2体]を求めることができる。なお、R1が2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基ではない場合であっても、T3体におけるケイ素原子のシグナル及びT2体におけるケイ素原子のシグナルがそれぞれ変動することがあるが、T3体におけるケイ素原子のシグナル及びT2体におけるケイ素原子のシグナルは異なる範囲に現れるため、上記と同様にして[T3体/T2体]を求めることができる。
シルセスキオキサンの29Si−NMRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「JNM−ECA500NMR」(日本電子(株)製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
シルセスキオキサン(A1)における[T3体/T2体]は、特に限定されないが、0.5〜5が好ましく、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1.2〜3である。[T3体/T2体]が0.5以上であると、耐クラック性がより向上する傾向がある。
シルセスキオキサン(A1)のエポキシ当量(g/eq)は、特に限定されないが、150〜1000が好ましく、より好ましくは160〜800、さらに好ましくは170〜600、特に好ましくは180〜400である。上記エポキシ当量が上記範囲内であると、シルセスキオキサン(A1)中のエポキシ基の量が適度となり、硬化物の耐クラック性がより優れる傾向がある。さらに、被接着体に対する接着性、耐熱性により優れる傾向がある。なお、本明細書において、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準じて測定される。
シルセスキオキサン(A1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、500〜5000が好ましく、より好ましくは700〜3000、さらに好ましくは800〜2000である。数平均分子量が500以上であると、シルセスキオキサン(A1)を含有する硬化性組成物を基板等に塗布した際にハジキが生じにくく、また塗膜表面に窪みやへこみが生じにくく、製膜性が向上する傾向がある。また、該硬化性組成物の硬化物の耐熱性、接着性がより向上する傾向がある。一方、数平均分子量が5000以下であると、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。
シルセスキオキサン(A1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されないが、3.0以下(例えば、1.0〜3.0)が好ましく、より好ましくは1.1〜2.0、さらに好ましくは1.1〜1.5である。分子量分散度が3.0以下であると、硬化物の接着性がより高くなる傾向がある。一方、分子量分散度が1.1以上であると、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。
なお、本明細書において、シルセスキオキサンの数平均分子量、分子量分散度は、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2重量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
2.ラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)
シルセスキオキサン(A2)中のラダー骨格は、特に限定されないが、末端に下記式(7)で表される構成単位を有することが好ましい。
[Ra3SiO2/2] (7)
上記式(7)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。R3は、保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基を示す。
なお、上記のラダー骨格の末端とは、ラダー骨格の長軸方向における末端であり、通常、1つのラダー骨格に4つ存在する。ラダー骨格の末端のケイ素原子としては、例えば、後述の式(A)における、Tが結合したケイ素原子が挙げられる。
上記Raの具体例としては、上記式(1)におけるR1、上記式(2)におけるR2と同様のものが例示される。
上記R3の保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基における保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、t−ブチル基等のC1-4アルキル基等);アルケニル基(例えば、アリル基等);シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等);アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基等);アラルキル基(例えば、ベンジル基等);置換メチル基(例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル基等)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル基等)等のヒドロキシ基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等のC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ−カルボニル基等);アラルキルオキシカルボニル基;置換又は無置換カルバモイル基;置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基等);分子内にヒドロキシ基やヒドロキシメチル基が2以上存在するときには置換基を有していてもよい二価の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、ベンジリデン基等)等]が挙げられる。中でも、硬化物の耐クラック性、耐熱性、及び被接着体に対する接着性に優れつつ、シルセスキオキサン(A2)や硬化性組成物の保存安定性を向上できる観点から、置換シリル基(特に、トリメチルシリル基)が好ましい。
上記式(7)中のR3は、中でも、保護基により保護されたヒドロキシ基であることが好ましい。上記R3が保護基により保護されたヒドロキシ基であると、末端のヒドロキシ基が他のシロキサン化合物と縮合反応するのを抑制することができるため、シルセスキオキサンや硬化性組成物の保存安定性が向上する傾向がある。
上記ラダー骨格の全ての末端(100モル%)中の上記式(7)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、30モル%以上(例えば、30〜100モル%)であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上である。上記式(7)で表される構成単位の割合が30モル%以上であると、シルセスキオキサン(A2)や硬化性組成物の保存安定性がより向上する傾向がある。特に、R3が保護基で保護されたヒドロキシ基である上記式(7)で表される構成単位の割合が上記範囲内であることが好ましい。
上記ラダー骨格の末端は、一部又は全部が同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、上記ラダー骨格の末端に、2以上の上記式(7)で表される構成単位を有する場合、上記2以上の式(7)で表される構成単位は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
シルセスキオキサン(A2)はラダー型シルセスキオキサンであり、ラダー骨格を有していればよい。但し、シルセスキオキサン(A2)は、カゴ構造(完全カゴ構造、不完全カゴ構造)、ランダム構造等が混在していても問題ない。例えば、シルセスキオキサン(A2)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中のラダー骨格を構成するシロキサン構成単位の割合は、50モル%以上が好ましい。一方、シルセスキオキサン(A2)中のラダー骨格を構成するシロキサン構成単位を除くシロキサン構成単位の割合は、シルセスキオキサン(A2)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)に対して50モル%以下であることが好ましい。
シルセスキオキサン(A2)中の上記式(1)で表される構成単位は、ラダー骨格を構成するシロキサン構成単位であってもよいし、ラダー骨格を構成するシロキサン構成単位を除くシロキサン構成単位であってもよい。
上記式(1)で表される構成単位を有する場合のラダー骨格としては、例えば、下記式(A)で表される構造が挙げられる。
Figure 2018095819
上記式(A)において、pは0以上の整数(好ましくは1〜5000の整数、より好ましくは1〜2000の整数、さらに好ましくは1〜1000の整数)である。上記式(A)中のRa(以下「側鎖」と称することがある)は、上記式(I)におけるRaと同様のものを示す。但し、Raの少なくとも一部はR1である。上記Raは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Tはラダー骨格の末端基を示す。ラダー骨格の末端に位置するTとしては、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基(一価のシロキサン構成単位を含む基を含む)、一価の酸素原子含有基(例えば、上記保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基等)、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示す。中でも、保護基により保護されていてもよいヒドロキシ基が好ましい。上記Tは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
シルセスキオキサン(A2)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(1)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、50モル%以上(例えば、50〜100モル%)が好ましく、より好ましくは60〜99モル%、さらに好ましくは70〜98モル%、さらに好ましくは80〜97モル%、特に好ましくは90〜96モル%である。上記割合が50モル%以上であると、硬化物の耐クラック性、耐熱性、及び被接着体に対する接着性により優れる傾向がある。なお、上記ラダー骨格を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(1)で表される構成単位の割合が上記範囲内であることが好ましい。
シルセスキオキサン(A2)が上記式(2)で表される構成単位を含む場合、シルセスキオキサン(A2)を構成する全てのシロキサン構成単位(100モル%)中の上記式(2)で表される構成単位の割合は、特に限定されないが、0モル%を超えて50モル%以下が好ましく、より好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは2〜30モル%、さらに好ましくは3〜20モル%、特に好ましくは4〜10モル%である。上記割合が50モル%以下であると、相対的に上記式(1)で表される構成単位の割合が増え、硬化物の耐熱性及び耐クラック性がより優れる傾向がある。また、R2が置換若しくは無置換のアリール基である上記式(2)で表される構成単位の割合が上記範囲内であると、硬化度が高くなりすぎることを抑制でき、硬化物の耐クラック性及び接着性がより優れる傾向がある。なお、上記ラダー骨格を構成する全てのシロキサン構成単位中の上記式(2)で表される構成単位の割合が上記範囲内であることが好ましい。
シルセスキオキサン(A2)(特に、ラダー骨格)における[T3体/T2体]は、特に限定されないが、0.2〜5が好ましく、より好ましくは0.3〜4、さらに好ましくは0.33〜3である。[T3体/T2体]が0.2以上であると、耐クラック性及び硬化物の接着性がより向上する傾向がある。
シルセスキオキサン(A2)のエポキシ当量(g/eq)は、特に限定されないが、200〜1000が好ましく、より好ましくは210〜800、さらに好ましくは220〜500、特に好ましくは230〜300である。上記エポキシ当量が上記範囲内であることにより、シルセスキオキサン(A2)中のエポキシ基の量が適度に多く、硬化物の耐クラック性により優れる傾向がある。さらに、耐熱性及び被接着体に対する接着性により優れる傾向がある。
シルセスキオキサン(A2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、500〜5000が好ましく、より好ましくは700〜3000、さらに好ましくは800〜2000である。数平均分子量が500以上であると、シルセスキオキサン(A2)を含有する硬化性組成物を基板等に塗布した際にハジキが生じにくく、また塗膜表面に窪みやへこみが生じにくく、製膜性が向上する傾向がある。また、該硬化性組成物の硬化物の耐熱性、接着性がより向上する傾向がある。一方、数平均分子量が5000以下であると、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。
シルセスキオキサン(A2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されないが、3.0以下(例えば、1.0〜3.0)が好ましく、より好ましくは1.1〜2.0、さらに好ましくは1.1〜1.5である。分子量分散度が3.0以下であると、硬化物の接着性がより高くなる傾向がある。一方、分子量分散度が1.1以上であると、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。
シルセスキオキサン(A2)は、中でも、上記ラダー骨格の末端に上記式(7)で表される構成単位を有し、且つ上記数平均分子量が500〜5000であることが好ましい。この場合、硬化物が耐熱性及び接着性の面でより優れる。
シルセスキオキサン(A)は、一般的なポリシロキサンの製造方法と同様にして製造することができ、特に限定されないが、例えば、1種又は2種以上の加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。
より具体的には、例えば、シルセスキオキサン(A)におけるシルセスキオキサン構成単位(T単位)を形成するための加水分解性シラン化合物である下記式(b)で表される化合物、必要に応じてさらに、下記式(a)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物を、加水分解及び縮合させ、その後エポキシ化させる方法により、シルセスキオキサン(A)を製造できる。但し、下記式(b)で表される化合物として、R2が置換若しくは無置換のアルケニル基である式(b)で表される化合物を必須の加水分解性シラン化合物として使用する必要がある。
1Si(X13 (a)
2Si(X23 (b)
HSi(X33 (c)
上記式(a)で表される化合物は、シルセスキオキサン(A)における式(1)で表される構成単位を形成する化合物である。式(a)中のR1は、上記式(1)におけるR1と同じく、エポキシ基を含有する基を示す。即ち、式(a)中のR1としては、上記式(1a)で表される基、上記式(1b)で表される基、上記式(1c)で表される基、上記式(1d)で表される基が好ましく、より好ましくは上記式(1a)で表される基、上記式(1c)で表される基、さらに好ましくは上記式(1a)で表される基、特に好ましくは上記式(1a)で表される基であって、R1aがエチレン基である基[中でも、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基]である。
上記式(a)中のX1は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X1におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。また、X1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でもX1としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(b)で表される化合物は、シルセスキオキサン(A)における式(2)で表される構成単位を形成する化合物である。式(b)中のR2は、上記式(2)におけるR2と同じく、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。但し、R2が置換若しくは無置換のアルケニル基である上記式(b)で表される化合物を少なくとも用いる。置換若しくは無置換のアルケニル基以外の式(b)中のR2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
上記式(b)中のX2は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X2の具体例としては、X1として例示したものが挙げられる。中でも、X2としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(c)で表される化合物は、シルセスキオキサン(A)における式(3)で表される構成単位を形成する化合物である。上記式(c)中のX3は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X3の具体例としては、X1として例示したものが挙げられる。中でも、X3としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記加水分解性シラン化合物としては、上記式(a)〜(c)で表される化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。例えば、上記式(a)〜(c)で表される化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成する加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成する加水分解性二官能シラン化合物、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物等が挙げられる。
上記加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、所望するシルセスキオキサン(A)の構造に応じて適宜調整できる。例えば、上記式(b)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、10〜100モル%が好ましく、より好ましくは65〜100モル%、さらに好ましくは80〜99モル%である。
また、R2が置換若しくは無置換のアルケニル基以外の基である上記式(b)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、0〜70モル%が好ましく、より好ましくは0〜60モル%、さらに好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは1〜15モル%である。
さらに、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対する式(a)で表される化合物と式(b)で表される化合物の割合(総量の割合)は、特に限定されないが、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。
また、上記加水分解性シラン化合物として2種以上を併用する場合、これらの加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、同時に行うこともできるし、逐次行うこともできる。上記反応を逐次行う場合、反応を行う順序は特に限定されない。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うこともできるし、非存在下で行うこともできる。中でも溶媒の存在下で行うことが好ましい。上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。上記溶媒としては、中でも、ケトン、エーテルが好ましい。なお、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量100重量部に対して、0〜2000重量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよい。上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
上記触媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.002〜0.200モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.5〜20モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。
シルセスキオキサン(A1)を調製する場合、上記加水分解及び縮合反応の反応温度は、特に限定されないが、15〜100℃が好ましく、より好ましくは20〜80℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、重合度が向上する傾向がある。また、上記加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.1〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜8時間である。
シルセスキオキサン(A2)を調製する場合、上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応を行う際の反応条件としては、特に、シルセスキオキサンがラダー骨格を有するようになるような反応条件を選択することが重要である。上記加水分解及び縮合反応の反応温度は、特に限定されないが、−20〜100℃が好ましく、より好ましくは0〜80℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、効率的にラダー骨格を有するようにできる傾向がある。また、上記加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.1〜10時間が好ましく、より好ましくは1.5〜8時間である。
また、上記シルセスキオキサン(A1)の調製及びシルセスキオキサン(A2)の調製において、加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。なお、上記加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。また、上記加水分解及び縮合反応において、反応温度は一定でもよいし、途中で変更してもよい。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応により、ケイ素原子にアルケニル基が結合したランダム型シルセスキオキサン(「アルケニル基含有ランダム型シルセスキオキサン」と称する場合がある)又はケイ素原子にアルケニル基が結合したラダー型シルセスキオキサン(「アルケニル基含有ラダー型シルセスキオキサン」と称する場合がある)が得られる。
上記のアルケニル基含有シルセスキオキサンは、その後、公知乃至慣用の方法のエポキシ化反応により、アルケニル基中の炭素−炭素二重結合部分がエポキシ化されてエポキシ基となり、シルセスキオキサン(A1)又はシルセスキオキサン(A2)が得られる。上記エポキシ化反応は、特に限定されないが、例えば、過酸等の酸化剤を使用して行うことができる。
また、上記酸化剤としては、過酸化水素や有機過酸等の公知乃至慣用の酸化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、有機過酸としては、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸、メタクロロ過安息香酸等が挙げられる。なお、酸化剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、上述のエポキシ化反応は、より具体的には、例えば、特開昭60−161973号公報等に記載の周知慣用の方法に従って実施することができる。
上記エポキシ化反応の終了後には、エポキシ基の開環を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、シルセスキオキサン(A)を、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製してもよい。
また、ラダー骨格の末端に保護基により保護された保護基を有するシルセスキオキサン(A2)とする場合、上記エポキシ化反応の前又は後に、ラダー骨格の末端のヒドロキシ基を保護基により保護する反応(エンドキャップ反応)を行ってもよい。上記エンドキャップ反応は、公知乃至慣用の方法により行うことができる。例えば、上記保護基がトリメチルシリル基である場合、上記エンドキャップ反応は、上記加水分解及び縮合反応の後、ヘキサメチルジシロキサンを添加して撹拌することにより行うことができる。
なお、R2が置換若しくは無置換のアルケニル基である式(b)で表される化合物を加水分解及び縮合反応させ、その後エポキシ化する方法を説明したが、シルセスキオキサン(A)の製造方法はこの方法には限定されず、他に、例えば、加水分解性シラン化合物としてR1が上記式(1a)で表される基である上記式(1)で表される構成単位を用いて加水分解及び縮合させる方法により製造されてもよい。
特に、ランダム型シルセスキオキサンをより得やすくする場合、R2が置換若しくは無置換のアルケニル基である式(b)で表される化合物を、酸触媒(特に、カルボン酸)を用いて加水分解及び縮合反応させ、その後エポキシ化する方法が好ましい。
また、ラダー骨格を有するシルセスキオキサン(特に、エポキシ当量が特定の範囲内であるシルセスキオキサン)をより得やすくする場合、R2が置換若しくは無置換のアルケニル基である式(b)で表される化合物を、酸触媒(特に、鉱酸)を用いて加水分解及び縮合反応させ、その後エポキシ化する方法が好ましい。さらに、上記加水分解及び縮合反応では、酸性条件下で比較的低温で長時間反応させ、その後温度を上昇させることが好ましく、これによりまず効率的に1員環のシクロテトラシロキサンを得、その後該1員環が多環化するものと推測され、より効率的にシルセスキオキサン(A2)を得ることができる。なお、この際の温度範囲及び合計の反応時間は、上述の範囲から適宜選択することができる。
本発明の硬化性組成物におけるシルセスキオキサン(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、溶媒を除く硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、30〜85重量%が好ましく、より好ましくは35〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、特に好ましくは45〜58重量%である。上記含有量が30重量%以上であると、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。上記含有量が85重量%以下(特に、58重量%以下)であると、耐クラック性がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性組成物に含まれる硬化性化合物の総量(100重量%)に対するシルセスキオキサン(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、30〜90重量%が好ましく、より好ましくは35〜85重量%、さらに好ましくは40〜75重量%である。上記含有量が30重量%以上であると、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。
[化合物(B)]
本発明の硬化性組成物は、上述のシルセスキオキサン(A)に加えて、重合性官能基を有する化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」と称する場合がある)を含有する。なお、化合物(B)は、シルセスキオキサン(A)以外の化合物である。
化合物(B)が有する「重合性官能基」は、重合性を有する官能基である限り特に限定されない。上記重合性官能基としては、中でも、硬化物の耐クラック性向上の観点から、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、ビニルフェニル基が好ましく、より好ましくはエポキシ基である。なお、化合物(B)は、上記重合性官能基を1種のみ含むものであってもよく、2種以上含むものであってもよい。
化合物(B)が1分子内に有する上記重合性官能基の数は、特に限定されないが、1〜50個が好ましく、より好ましくは1〜30個、さらに好ましくは2〜20個である。
化合物(B)は、モノマー、オリゴマー等の低分子化合物であってもよく、モノマーやオリゴマーが重合した高分子化合物であってもよい。化合物(B)の分子量(高分子化合物の場合は、重量平均分子量)は、特に限定されないが、硬化物の耐クラック性向上の観点から、200〜500000が好ましく、より好ましくは300〜100000である。
なお、本明細書において、化合物(B)の重量平均分子量は、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2重量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
化合物(B)の重合性官能基当量は、特に限定されないが、硬化物の耐クラック性向上の観点から、100〜100000が好ましく、より好ましくは150〜50000である。上記重合性官能基当量は、重合性官能基1個当たりの化合物の分子量(高分子化合物の場合は、重量平均分子量)を意味し、公知の方法により測定することができる。例えば、重合性官能基がエポキシ基の場合は、JIS K 7236:2001(エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方)に準拠した方法により測定することができる。
エポキシ基を有する化合物(B)としては、シルセスキオキサン(A)以外の、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、(1)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する)を有する化合物;(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物;(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)等が挙げられる。
上記(1)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物としては、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018095819
上記式(i)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。なお、式(i)におけるシクロヘキサン環(シクロヘキセンオキシド基)を構成する炭素原子の1以上には、アルキル基等の置換基が結合していてもよい。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキサン、下記式(i−1)〜(i−10)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(i−5)、(i−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(i−5)中のR’は炭素数1〜8のアルキレン基であり、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i−9)、(i−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。また、上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物としては、その他、例えば、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、2,3−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)オキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル等が挙げられる。
Figure 2018095819
Figure 2018095819
上述の(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2018095819
式(ii)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン等のビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン等のビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水素化エポキシ化合物;下記芳香族エポキシ化合物の水素化エポキシ化合物等が挙げられる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等)と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)とアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等)とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(例えば、置換若しくは無置換のフェノールとホルムアルデヒドの重縮合物の置換若しくは無置換エピクロロヒドリンによるグリシジルエーテル化変性物等);フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等が挙げられる。なお、ビスフェノール類骨格を有するエポキシ樹脂を、ビスフェノール類型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等)と称する場合がある。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等)のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。なお、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
オキセタニル基を有する化合物(B)としては、分子内に1以上のオキセタン環を有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル)}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
ビニルエーテル基を有する化合物(B)としては、分子内に1以上のビニルエーテル基を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(エチレングリコールモノビニルエーテル)、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールジビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、イソソルバイドジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、ヒドロキシオキサノルボルナンメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられる。
また、ビニルエーテル基を有する化合物(B)として、特に、分子内に1個以上の水酸基を有するビニルエーテル化合物を使用した場合には、耐熱黄変性(加熱による黄変が生じにくい特性)に優れた硬化物(接着層)が得られるという利点がある。分子内に1個以上の水酸基を有するビニルエーテル化合物が分子内に有する水酸基の数は、特に限定されないが、1〜4個が好ましく、より好ましくは1又は2個である。
ビニルフェニル基を有する化合物(B)としては、分子内に1以上のビニルフェニル基を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、酢酸4−ビニルフェニル、4−ビニルフェニルボロン酸、ボロン酸(4−ビニルフェニル)、4−エテニルフェニルボロン酸、N−(p−ビニルフェニル)マレイミド等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、シルセスキオキサン(A)とともに、化合物(B)としてエポキシ基を有する化合物を併用することが好ましい。上記エポキシ基を有する化合物(B)としては、中でも、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物がより好ましく、さらに好ましくは脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、特に好ましくは上記式(ii)で表される化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、置換若しくは無置換のフェノールとホルムアルデヒドの重縮合物の置換若しくは無置換エピクロロヒドリンによるグリシジルエーテル化変性物である。これらの化合物(B)を用いた場合、硬化物の耐クラック性がより高くなる傾向がある。
本発明の硬化性組成物において化合物(B)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、化合物(B)は、公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「EHPE3150」、「セロキサイド2021P」(以上、(株)ダイセル製)、商品名「jER4004P」、「jER4005P」、「jER4007P」、「jER4010P」(以上、三菱化学(株)製)、商品名「RE−303S−L」(日本化薬(株)製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性組成物に含まれる硬化性化合物の総量(100重量%)に対する化合物(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、15〜70重量%が好ましく、より好ましくは20〜65重量%、さらに好ましくは25〜60重量%、特に好ましくは42〜55重量%である。上記含有量が15重量%以上(特に、42重量%以上)であると、耐クラック性がより向上する傾向がある。上記含有量が70重量%以下(特に55重量%以下)とすることにより、硬化性組成物や硬化物に対して所望の性能(例えば、硬化性組成物に対する速硬化性や粘度調整等)や硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。なお、エポキシ基を有する化合物(B)の含有量が上記範囲内であることが好ましく、この場合、耐クラック性が非常に高い硬化物が得られる傾向がある。特に、脂環式エポキシ化合物の含有量を上記範囲内に制御することにより、硬化物の耐クラック性が特に高くなることに加えて、その耐熱性もいっそう向上する傾向がある。
(重合開始剤)
本発明の硬化性組成物は、さらに、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、シルセスキオキサン(A)、化合物(B)等の硬化性化合物の重合反応を開始乃至促進することができる化合物である。上記重合開始剤にはカチオン重合開始剤とアニオン重合開始剤が含まれる。上記カチオン重合開始剤は加熱することによってカチオン種を発生して、硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、上記アニオン重合開始剤は加熱することによってアニオン種を発生して、硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物である。本発明の硬化性組成物が重合開始剤を含有すると、タックフリーとなるまでの硬化時間を短縮することができる。なお、重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、加熱乾燥することにより硬化反応を進行させること無く速やかに接着剤層を形成することができ、また、50℃未満では接着性を有さず、半導体チップへのダメージを抑制可能な温度で加熱することにより接着性を発現し、その後、速やかにタックフリーとなるまで硬化する特性を有する接着剤層が得られる点で、下記硬化特性を有する重合開始剤を使用することが好ましい。
すなわち、カチオン重合開始剤の場合は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート[例えば、商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)]100重量部に対してカチオン重合開始剤を1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間が3.5分以上(例えば3.5〜7.0分、好ましくは4.5〜6.0分)である重合開始剤を使用することが好ましい。
また、アニオン重合開始剤の場合は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル100重量部に対してアニオン重合開始剤を1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間(JIS K5909 1994準拠)が3.5分以上である重合開始剤を使用することが好ましい。
なお、本発明における熱硬化時間とは、JIS K5909(1994年)に準拠した方法で求めた、上記硬化性組成物を熱板上で熱してゴム状になるまで(より具体的には、硬化が進み、針先に糸状について上がらなくなるまで)の時間である。熱硬化時間が3.5分以上である重合開始剤を使用すると、加熱乾燥する際にカチオン重合開始剤を使用した場合はカチオン種、アニオン重合開始剤を使用した場合はアニオン種が発生しにくく、それ以降室温で重合が進行しにくいため、保存安定性により優れる接着剤層が得られる傾向がある。
本発明においては、とりわけ、カチオン重合開始剤を使用することが、タックフリーとなるまでの硬化時間がより短縮できる点で好ましい。カチオン重合開始剤には光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤が含まれる。
上記光カチオン重合開始剤としては、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤を使用することができ、例えば、スルホニウム塩(スルホニウムイオンとアニオンとの塩)、ヨードニウム塩(ヨードニウムイオンとアニオンとの塩)、セレニウム塩(セレニウムイオンとアニオンとの塩)、アンモニウム塩(アンモニウムイオンとアニオンとの塩)、ホスホニウム塩(ホスホニウムイオンとアニオンとの塩)、遷移金属錯体イオンとアニオンとの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、トリ−p−トリルスルホニウム塩、トリ−o−トリルスルホニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム塩、1−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、2−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム塩、トリ−1−ナフチルスルホニウム塩、トリ−2−ナフチルスルホニウム塩、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−(p−フェニル)スルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩;ジフェニルフェナシルスルホニウム塩、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールスルホニウム塩;フェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩等のモノアリールスルホニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウム塩、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム塩、ジメチルベンジルスルホニウム塩等のトリアルキルスルホニウム塩等が挙げられる。
上記ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩としては、例えば、商品名「CPI−101A」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート50%炭酸プロピレン溶液)、商品名「CPI−100P」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート50%炭酸プロピレン溶液)等の市販品を使用できる。
上記ヨードニウム塩としては、例えば、商品名「UV9380C」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート45%アルキルグリシジルエーテル溶液)、商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」(ローディア・ジャパン(株)製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート・[(1−メチルエチル)フェニル](メチルフェニル)ヨードニウム)、商品名「WPI−124」(和光純薬工業(株)製)、ジフェニルヨードニウム塩、ジ−p−トリルヨードニウム塩、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム塩等が挙げられる。
上記セレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウム塩、トリ−p−トリルセレニウム塩、トリ−o−トリルセレニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム塩、1−ナフチルジフェニルセレニウム塩等のトリアリールセレニウム塩;ジフェニルフェナシルセレニウム塩、ジフェニルベンジルセレニウム塩、ジフェニルメチルセレニウム塩等のジアリールセレニウム塩;フェニルメチルベンジルセレニウム塩等のモノアリールセレニウム塩;ジメチルフェナシルセレニウム塩等のトリアルキルセレニウム塩等が挙げられる。
上記アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチル−n−プロピルアンモニウム塩、トリメチル−n−ブチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩;N,N−ジメチルピロリジウム塩、N−エチル−N−メチルピロリジウム塩等のピロリジウム塩;N,N'−ジメチルイミダゾリニウム塩、N,N'−ジエチルイミダゾリニウム塩等のイミダゾリニウム塩;N,N'−ジメチルテトラヒドロピリミジウム塩、N,N'−ジエチルテトラヒドロピリミジウム塩等のテトラヒドロピリミジウム塩;N,N−ジメチルモルホリニウム塩、N,N−ジエチルモルホリニウム塩等のモルホリニウム塩;N,N−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジエチルピペリジニウム塩等のピペリジニウム塩;N−メチルピリジニウム塩、N−エチルピリジニウム塩等のピリジニウム塩;N,N'−ジメチルイミダゾリウム塩等のイミダゾリウム塩;N−メチルキノリウム塩等のキノリウム塩;N−メチルイソキノリウム塩等のイソキノリウム塩;ベンジルベンゾチアゾニウム塩等のチアゾニウム塩;ベンジルアクリジウム塩等のアクリジウム塩等が挙げられる。
上記ホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラ−p−トリルホスホニウム塩、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム塩等のテトラアリールホスホニウム塩;トリフェニルベンジルホスホニウム塩等のトリアリールホスホニウム塩;トリエチルベンジルホスホニウム塩、トリブチルベンジルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリエチルフェナシルホスホニウム塩等のテトラアルキルホスホニウム塩等が挙げられる。
上記遷移金属錯体イオンの塩としては、例えば、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Cr+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Cr+等のクロム錯体カチオンの塩;(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Fe+等の鉄錯体カチオンの塩等が挙げられる。
上述の塩を構成するアニオンとしては、例えば、SbF6 -、PF6 -、BF4 -、(CF3CF23PF3 -、(CF3CF2CF23PF3 -、(C654-、(C654Ga-、スルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等)、(CF3SO23-、(CF3SO22-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、アレン−イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上述の塩を構成するアニオンとしては、光カチオン重合開始剤におけるアニオンと同様のものが挙げられる。
上記アリールスルホニウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。本発明の硬化性組成物においては、例えば、商品名「SP−66」、「SP−77」(以上、(株)ADEKA製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−60S」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。上記アルミニウムキレートとしては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。また、上記三フッ化ホウ素アミン錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
アニオン重合開始剤としては、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、イミダゾール類、三フッ化ホウ素−アミン錯体等が挙げられる。上記イミダゾール類には、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾリン、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が含まれる。また、上記第3級アミンには、例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)等が含まれる。
本発明においては、カチオン重合開始剤(特に好ましくは熱カチオン重合開始剤、最も好ましくはアリールスルホニウム塩)を使用することが好ましい。
本発明の硬化性組成物が重合開始剤を含有する場合、上記重合開始剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、シルセスキオキサン(A)と化合物(B)の合計量100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、特に好ましくは0.07〜0.8重量部である。重合開始剤の含有量を0.005重量部以上とすることにより、硬化反応を効率的に十分に進行させることができ、硬化物の接着性がより向上する傾向がある。一方、重合開始剤の含有量を5重量部以下とすることにより、硬化性組成物の保存性が向上したり、硬化物の着色が抑制される傾向がある。
(重合安定剤)
上記重合安定剤は、カチオンをトラップすることによりカチオン重合の進行を抑制し、重合安定剤によるカチオンのトラップ能が飽和し、失活した段階で重合を進行させる作用を有する化合物である。本発明の硬化性組成物がカチオン重合開始剤と共に重合安定剤を含有する場合、塗布・乾燥して硬化性組成物の層(例えば、接着剤層)を形成した後、長期に亘って重合の進行を抑制することができ、接着性が求められるタイミングで加熱することで優れた接着性を発現する、保存安定性に優れた硬化性組成物の層(例えば、接着剤層)を形成することができる。また、硬化物の被接着体に対する接着性及び密着性により優れる傾向がある。
上記重合安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ([6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ])、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス(2,3−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ミックスト(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]ジエチル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ([6−N−モルホリル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ])、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、商品名「LA−77」、「LA−67」、「LA−57」(以上、(株)ADEKA製)、商品名「TINUVIN123」、「TINUVIN152」(以上、チバ・ジャパン(株)製)等のヒンダードアミン系化合物や、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルサルファイト(例えば、商品名「サンエイドSI助剤」、三新化学工業(株)製)等のスルホニウム硫酸塩系化合物、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト(商品名「アデカスタブPEP−36」、(株)ADEKA製)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリスフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリスイソデシルホスファイト等の亜リン酸エステル化合物等が挙げられる。中でも、硬化性組成物(接着剤)の乾燥中の一部硬化をより起こりにくくし、硬化物の被接着体に対する接着性により優れる観点から、スルホニウム硫酸塩系化合物、亜リン酸エステル化合物が好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性組成物がカチオン重合開始剤を含有する場合、重合安定剤の使用量は、カチオン重合開始剤100重量部に対して、例えば0.1重量部以上、好ましくは0.3〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
(シランカップリング剤)
本発明の硬化性組成物には、好ましくはシランカップリング剤が含有されていてもよい。シランカップリング剤を含有することにより、得られる硬化物に一層優れた密着性、耐候性、耐熱性等の特性を付与することができる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、3−トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメトキシメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、3−ジエトキシメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。官能基が(メタ)アクリロイルオキシ基であるシランカップリング剤を用いる場合には、ラジカル重合開始剤を少量添加してもよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、商品名「KBE−403」(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製)、商品名「Z−6040」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を使用することができる。
本発明の硬化性組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の使用量は、シルセスキオキサン(A)と化合物(B)の合計量100重量部に対して、例えば0〜10重量部程度であり、その上限は、好ましくは5重量部、特に好ましくは3重量部、最も好ましくは1重量部である。下限は、好ましくは0.005重量部、特に好ましくは0.01重量部である。
(溶剤)
本発明の硬化性組成物には、好ましくは溶剤がさらに含有されていてもよい。溶剤としては、例えば、水、有機溶剤等が挙げられ、シルセスキオキサン(A)、化合物(B)、及び必要に応じて使用される添加物を溶解することができ、且つ重合を阻害しないものであれば特に制限されることはない。
溶剤は、スピンコートによって塗布するのに適した流動性を付与することができ、且つ重合の進行を抑制可能な温度において加熱することにより容易に除去できる溶剤を使用することが好ましく、沸点(1気圧における)が170℃以下の溶剤(例えば、トルエン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等)を1種又は2種以上使用することが好ましい。
溶剤は、硬化性組成物に含まれる不揮発分の濃度が例えば30〜80重量%程度、好ましくは40〜70重量%、特に好ましくは50〜60重量%となる範囲で使用することが、スピンコートする際に塗布性に優れる点で好ましい。溶剤の使用量が過剰であると、硬化性組成物の粘度が低くなり適度な膜厚(例えば、0.5〜30μm程度)の層を形成することが困難となる傾向がある。一方、溶剤の使用量が少なすぎると、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎ、支持体若しくは被着体に均一に塗布することが困難となる傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、さらに、その他任意の成分として、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化剤(アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤等)、硬化助剤、硬化促進剤(イミダゾール類、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド、ホスフィン類、アミド化合物、ルイス酸錯体化合物、硫黄化合物、ホウ素化合物、縮合性有機金属化合物等)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、難燃助剤、補強材(他の充填剤等)、核剤、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤等)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料等)、帯電防止剤、分散剤、表面調整剤(レベリング剤、ワキ防止剤等)、表面改質剤(スリップ剤等)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、光増感剤、発泡剤等の慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。上記添加剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、シルセスキオキサン(A)と化合物(B)の合計量100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、より好ましくは30重量部以下(例えば、0.01〜30重量部)、さらに好ましくは10重量部以下(例えば、0.1〜10重量部)である。
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で又は必要に応じて加熱しながら攪拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。本発明の硬化性組成物の粘度は、特に限定されないが、スピンコートにて塗布を行う際の膜厚に応じて調整することが好ましく、例えば、0.1〜50μmの膜厚で塗布する場合1〜5000mPa・sとすることが好ましい。本発明の硬化性組成物の粘度が上記範囲内である場合、例えば、シリコンウエハ等の基板に均一な膜厚を有する塗膜を形成することが容易となる。なお、本発明の硬化性組成物の粘度は、粘度計(商品名「MCR301」、アントンパール社製)を用いて、振り角5%、周波数0.1〜100(1/s)、温度:25℃の条件で測定される。
[硬化物]
本発明の硬化性組成物におけるカチオン硬化性化合物(シルセスキオキサン(A)、化合物(B)等)の重合反応を進行させることにより、該硬化性組成物を硬化させることができ、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)を得ることができる。本発明の硬化物は、例えば、後述の本発明の接着シートを被接着体に接着した後、硬化性組成物を硬化させることによって、基材上に形成された硬化物として得ることができる。硬化の方法は、周知の方法より適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線の照射、及び/又は、加熱する方法が挙げられる。上記活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等のいずれを使用することもできる。中でも、取り扱い性に優れる点で、紫外線が好ましい。
本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる際の条件(活性エネルギー線の照射条件等)は、照射する活性エネルギー線の種類やエネルギー、硬化物の形状やサイズ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば1〜1000mJ/cm2程度とすることが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、LEDランプ、レーザー等を使用することができる。活性エネルギー線の照射後には、さらに加熱処理(アニール、エージング)を施してさらに硬化反応を進行させることができる。
一方、本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる際の条件は、特に限定されないが、例えば、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃である。硬化時間は適宜設定可能である。
本発明の硬化物は耐熱性に優れる。このため、本発明の硬化物の熱分解温度は、特に限定されないが、200℃以上(例えば、200〜500℃)が好ましく、より好ましくは260℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。なお、熱分解温度は実施例に記載の方法で求められる。
本発明の硬化性組成物を硬化させることにより得られる硬化物は、耐クラック性に優れる。そのため、本発明の硬化性組成物は接着剤(「接着剤組成物」と称する場合がある)、特に熱硬化性接着剤として好ましく使用でき、それを硬化させることにより、耐クラック性に優れた接着剤(さらには、耐クラック性、耐熱性、被接着体に対する接着性及び密着性に優れた接着剤)へと転化させることができる。
[接着シート]
本発明の硬化性組成物(接着剤組成物)を用いることにより、基材の少なくとも一方の面に、本発明の硬化性組成物から形成された接着剤層(「本発明の接着剤層」と称する場合がある)を有する接着シート(「本発明の接着シート」と称する場合がある)を得ることができる。本発明の接着シートは、特に限定されないが、例えば、基材に本発明の硬化性組成物を塗布し、さらに、必要に応じて乾燥させることによって得ることができる。塗布の方法は特に限定されず、周知慣用の手段を利用することができる。また、乾燥の手段や条件も特に限定されず、溶媒等の揮発分をできるだけ除去できる条件を設定することができ、周知慣用の手段を用いることができる。特に、本発明の硬化性組成物が、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)100重量部に対して1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間が3.5分以上である重合開始剤を含有する場合は、加熱乾燥することにより、硬化反応の進行を抑制しつつ、速やかに溶媒等の揮発分を除去して接着剤層を形成することができる。そのようにして得られた接着剤層は50℃未満では接着性を有さず、半導体チップ等の電子部品へのダメージを抑制可能な温度で加熱することにより接着性を発現し、その後、速やかに硬化する特性を有する。
本発明の接着シートは、基材の片面側のみに接着剤層を有する片面接着シートであってもよいし、基材の両面側に接着剤層を有する両面接着シートであってもよい。本発明の接着シートが両面接着シートである場合、少なくとも一方の接着剤層が本発明の接着剤層であればよく、他方は、本発明の接着剤層であってもよいし、本発明の接着剤層以外の接着剤層(その他の接着剤層)であってもよい。
本発明の接着シートには、シート状のみならず、フィルム状、テープ状、板状等のシート状に類する形態が包含される。
本発明の接着シートにおける基材としては、周知慣用の基材(接着シートに使用される基材)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、プラスチック基材、金属基材、セラミックス基材、半導体基材、ガラス基材、紙基材、木基材、表面が塗装表面である基材等が挙げられる。また、本発明の接着シートにおける基材は、いわゆる剥離ライナーであってもよい。なお、本発明の接着シートは、基材を1層のみ有するものであってもよいし、2層以上有するものであってもよい。また、上記基材の厚みは特に限定されず、例えば、1〜10000μmの範囲で適宜選択できる。
本発明の接着シートは、本発明の接着剤層を1層のみ有するものであってもよいし、2種以上有するものであってもよい。また、本発明の接着シートにおける接着剤層(本発明の接着剤層、その他の接着剤層)の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1〜10000μmの範囲で適宜選択できる。
本発明の接着シートは、基材、接着剤層、及びアンカーコート層以外にも、その他の層(例えば、中間層、下塗り層等)を有するものであってもよい。
[積層物]
本発明の硬化性組成物(接着剤組成物)を用いることにより、3層以上(少なくとも3層)で構成される積層物(積層体)であって、2層の被接着層と、これらの被接着層の間に位置する接着層(上記被接着層同士を接着する層)とを少なくとも有し、上記接着層が本発明の硬化性組成物の硬化物の層である積層物(「本発明の積層物」と称する場合がある)を得ることができる。本発明の積層物は、特に限定されないが、例えば、一方の被接着層に本発明の接着剤層を形成し(例えば、本発明の接着シートにおける接着剤層と同様に形成できる)、さらに、当該接着剤層に対して他方の被接着層を貼り合わせ、その後、光照射や加熱等によって本発明の接着剤層を硬化させることによって、得ることができる。また、本発明の積層物は、例えば、本発明の接着シートが片面接着シートである場合には、本発明の接着シートを被接着層に貼り合わせ、次いで、光照射や加熱等によって上記接着シート中の本発明の接着剤層を硬化させることによって、得ることができる。この場合、得られる積層物において、本発明の接着シートにおける基材は被接着層に該当する。さらに、本発明の積層物は、例えば、本発明の接着シートが両面接着シートであって、接着剤層の両面に基材としての剥離ライナーが貼着されているものである場合には、本発明の接着シートの一方の剥離ライナーを剥離して露出させた接着剤層に対して被接着層に貼り合わせ、次いで、もう一方の剥離ライナーを剥離して露出させた接着剤層に対して他の被接着層を貼り合わせ、その後、光照射や加熱等によって本発明の接着剤層を硬化させることによって、得ることができる。但し、本発明の積層物の製造方法は、これらの方法に限定されない。
本発明の積層物における被接着層は特に限定されず、例えば、上記接着シートにおける基材と同様のものが例示される。なお、本発明の積層物は、被接着層を2層のみ有するものであってもよいし、3層以上有するものであってもよい。また、被接着層の厚みは特に限定されず、例えば、1〜100000μmの範囲で適宜選択できる。被接着層は、厳密な層状の形態を有していなくてもよい。
本発明の積層物は、本発明の接着剤組成物から形成された接着剤層の硬化物の層(「本発明の接着層」と称する場合がある)を1層のみ有するものであってもよいし、2種以上有するものであってもよい。また、本発明の接着層の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1〜10000μmの範囲で適宜選択できる。
本発明の積層物は、上記被接着層と接着剤層(又は接着層)以外にも、その他の層(例えば、中間層、下塗り層、その他の接着層等)を有するものであってもよい。
本発明の積層物としては、具体的には、例えば、半導体チップ、ウエハ等が挙げられる。
本発明の積層物は、接着剤層の硬化物が耐クラック性、さらには、被接着体に対する接着性及び密着性、耐熱性に優れる。そのため、本発明の積層物が例えば半導体チップの三次元積層体である場合は、従来の半導体よりもより高集積、省電力であるため、実装密度を向上させつつ高性能な電子機器を提供することができる。特に、積層物中の接着層のクラックや剥離は、積層物の製造時や製造された半導体チップ、ウエハ等において配線の破壊の原因となり、結果として積層物や該積層物を用いた装置の故障の原因となる。このため、耐クラック性、被接着体に対する接着性、密着性、耐熱性の高い接着剤は積層物を構成する材料として非常に重要である。従って、本発明の積層物は、高い信頼性を有する。
また、本発明の積層物(例えば、半導体チップ、ウエハ等)を用いることにより、高集積化された、マイクロプロセッサ、半導体メモリ、電源用IC、通信用IC、半導体センサー、MEMS等、又はこれらを組み合わせた半導体を得ることができる。これらの半導体は、高性能なサーバー、ワークステーション、車載用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、通信機器、撮影機器、画像表示装置等の装置に使用される。従って、本発明の積層物を有する(若しくは、積層物を備えた)本発明の装置としては、例えば、サーバー、ワークステーション、車載用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、通信機器、撮影機器、画像表示装置等が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成物の分子量の測定は、Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)、Refractive Index Detector 2414(Waters製)、カラム:Tskgel GMHHR−M×2(東ソー(株)製)、ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)、カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)、溶媒:THF、測定条件:40℃、分子量:標準ポリスチレン換算により行った。また、生成物におけるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]の測定は、JEOL ECA500(500MHz)による29Si−NMRスペクトル測定により行った。また、FT−IRスペクトルは上述した条件にて測定した。
調製例1
(シクロヘキセニルエチル基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの調製)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、ディーンスターク、及び窒素導入管を取り付けた200ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン(以下、「CHMS」と称する)219ミリモル(50.34g)、フェニルトリメトキシシラン(以下、「PMS」と称する)11.5ミリモル(2.28g)、及びトルエン17.35gを仕込み、35℃に加熱した。このようにして得られた混合物に、ギ酸3.5ミリモル(0.88g)を投入した後、水759ミリモル(13.66g)を60分かけて滴下した。滴下の間、水を滴下することで、発熱が確認され、縮合が開始した。その後、35℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で30分間行った。
この時の重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は390であり、分子量分散度は1.13であった。30分かけて反応温度を70℃まで上げた。70℃では副生するメタノールの留出が確認された。70℃で1時間重縮合反応を継続し、ディーンスタークには約30gのメタノールが留出した。この時の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は673であり、分子量分散度は1.15であった。そこに、トルエンを105.24g、5%炭酸ナトリウム水溶液21.13g(炭酸ナトリウムで7.64ミリモル)を添加し、室温まで冷却した。下層液が中性になるまで水洗を行い、有機層を1mmHg、50℃の条件で濃縮して溶媒を留去して、流動性のある透明な液体のシクロヘキセニルエチル基含有シルセスキオキサンを41.1g得た。数平均分子量は1500であり、分子量の分散度は1.50で、上記生成物の29Si−NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体のモル比[T3体/T2体]は1.78であった。
(エポキシ化工程)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で上記透明な液体36.0gと酢酸エチル200gを入れて20℃で攪拌混合を行った。別途、三角フラスコにて、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)328ミリモル(56.56g)と酢酸エチル165gを入れて、攪拌混合を行った。反応温度20℃にて、mCPBA酢酸エチル溶液を45分かけて滴下した。この時、少しの発熱を確認した。
滴下後、20℃のまま3時間熟成を行った。この時、過酸化物チェッカーにてmCPBAが消失しているのを確認した。
反応液に、ノルマルヘプタン20.0gと10%チオ硫酸ナトリウム水溶液157.8gを入れて10分間攪拌しクエンチを行った。その後は分液ロートに移し、下層水を払い出し、5%NaOH水溶液156.8gで2回、水156.8gで2回抽出洗浄し中性であることを確認した。
エポキシシクロヘキシルエチル基含有ランダム型シルセスキオキサンを含む酢酸エチル溶液を1mmHg、50℃で溶媒を濃縮留去し、エポキシシクロヘキシルエチル基含有ランダム型シルセスキオキサン30.4gを得た。得られたエポキシシクロヘキシルエチル基含有ランダム型シルセスキオキサンのエポキシ当量は195g/eq、数平均分子量は1213、分散度は1.28であった。1H−NMRより、エポキシ化前のシクロヘキセニルエチル基からエポキシシクロヘキシルエチル基への転化率は94%であった。また、FT−IR分析結果より、ラダー型でもカゴ型でもないピーク形状であることが確認されたことと、29Si−NMR結果のモル比[T3体/T2体]が約1.8であることより、得られたシルセスキオキサンが、ラダー型、カゴ型のいずれの構造とも異なるため、ランダム型シルセスキオキサンであると確認した。
調製例2
(シクロヘキセニルエチル基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの調製)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン(以下、「CHMS」と称する)950ミリモル(218.91g)、フェニルトリメトキシシラン(以下、「PMS」と称する)50ミリモル(9.92g)、及びメチルイソブチルケトン114.39gを仕込み、10℃に冷却した。このようにして得られた混合物に、5N−HCL水溶液2.0g(塩酸として10ミリモル)を投入した後、水3000ミリモル(54.0g)を60分かけて滴下した。滴下の間、水を滴下することで、発熱が確認され、縮合が開始した。その後、10℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で1時間行った。
この時の重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は613であり、分子量分散度は1.12であった。その後、メチルイソブチルケトン343.2gを追加し、30分かけて反応温度を70℃まで上げた。70℃で5N−HCL100ミリモル(20.02g)を添加し、そのまま3時間重縮合反応を行った。この時の重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は942であり、分子量分散度は1.14であった。また、上記生成物の29Si−NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体のモル比[T3体/T2体]は1.0であった。次に上記70℃での重縮合反応液に、ヘキサメチルジシロキサン500ミリモル(81.2g)を添加し、70℃で3時間末端エンドキャップ反応を行った。上記生成物の1H−NMR分析により、末端のヒドロキシ基からトリメチルシリルオキシ基への転化率(TMS化率)は75%であった。
その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、50℃の条件で上層液から溶媒を留去し、微黄色透明の液状の生成物(シクロヘキセニル基含有ポリオルガノシルセスキオキサン)169.5gを得た。
この濃縮液の数平均分子量は1033であった。
(エポキシ化工程)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で上記濃縮液60.5gと酢酸エチル240gを入れて20℃で攪拌混合を行った。別途、三角フラスコにて、mCPBA465ミリモルと酢酸エチル240gを入れて、攪拌混合を行った。反応温度20℃にて、mCPBAの酢酸エチル溶液を45分かけて滴下した。この時、少しの発熱を確認した。
滴下後、20℃のまま3時間熟成を行った。この時、過酸化物チェッカーにてmCPBAが消失しているのを確認した。
反応液に、ノルマルヘプタン57.8gと10%チオ硫酸ナトリウム水溶液231.8gを入れて10分間攪拌しクエンチを行った。その後は分液ロートに移し、下層水を払い出し、5%NaOH水溶液231.8gで2回、水231.8gで2回抽出洗浄し中性であることを確認した。
エポキシシクロヘキシルエチル基含有ラダー型シルセスキオキサンを含む酢酸エチル溶液を1mmHg、50℃で溶媒を濃縮留去し、エポキシシクロヘキシルエチル基含有ラダー型シルセスキオキサン61.3gを得た。得られたエポキシシクロヘキシルエチル基含有ラダー型シルセスキオキサンのエポキシ当量は260g/eq、数平均分子量は1062、分散度は1.12であった。1H−NMRより、エポキシ化前のシクロヘキセニルエチル基からエポキシシクロヘキシルエチル基への転化率は95%であった。また、FT−IR分析結果より、1100cm-1、1200cm-1付近にラダー特有のピークが2つあることと、29Si−NMR結果のモル比[T3体/T2体]より、この化合物はラダー骨格をメインとして含むことを確認した。
調製例3
(エポキシシクロヘキシルエチル基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの調製)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(以下、「EMS」と称する)161.5ミリモル(39.79g)、フェニルトリメトキシシラン(以下、「PMS」と称する)9ミリモル(1.69g)、及びアセトン165.9gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、5%炭酸カリウム水溶液4.70g(炭酸カリウムとして1.7ミリモル)を5分で滴下した後、水1700ミリモル(30.60g)を20分かけて滴下した。なお、滴下の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で4時間行った。
重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、エポキシ当量は195g/eq、数平均分子量は1900であり、分子量分散度は1.5であった。上記生成物の29Si−NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体のモル比[T3体/T2体]は10.3であった。
その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、40℃の条件で溶剤量が25重量%になるまで上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(エポキシシクロヘキシルエチル基含有ポリオルガノシルセスキオキサン)を得た。
なお、得られたポリオルガノシルセスキオキサンのFT−IRスペクトルを上述の方法で測定したところ、1100cm-1付近に一つの固有吸収ピークを有することが確認された。
実施例1〜16、比較例1
(接着剤組成物の作製)
表1及び2に示す組成及び量に従って混合溶解して、接着剤組成物を調製した。表中の数字は重量部である。なお、商品名「SI−150L」の配合量は、固形分換算の量で示した。また、表中の配合量における「−」は、その成分を配合していないことを示す。
(接着剤層の作製)
シリコン板(サイズ:2cm×5cm、(株)SUMCO製、直径100mmのシリコンウエハをダイシングして得た)にシランカップリング剤(商品名「KBE403」、信越化学工業(株)製)をスピンコートで塗布し、120℃で5分加熱して、シランカップリング剤層付きシリコン板を得た。シランカップリング剤層付きシリコン板に接着剤組成物をスピンコートで塗布し、80℃で4分、次いで100℃で2分加熱して残留する溶剤を除去して、接着剤層付きシリコン板を得た。接着剤層の膜厚は5〜6μmであった。
(積層物の作製)
ガラス板(4インチ、SCHOTT日本(株)製)にシランカップリング剤(商品名「KBE403」、信越化学工業(株)製)をスピンコートで塗布し、120℃で5分加熱して、シランカップリング剤層付きガラス板を得た。減圧下で、作製したシランカップリング剤層付きガラス板のシランカップリング剤層面を、接着剤層付きシリコン板の接着剤層面と合わせ、60℃に加熱しながら200g/cm2の圧力をかけて貼り合わせた後、150℃で30分加熱し、次いで、170℃で30分加熱することにより、積層物を得た。
実施例1〜16及び比較例1で得られた接着剤組成物、接着剤層、及び積層物について以下の通り評価を行った。結果を表1及び2に示す。なお、表中の評価における「−」は、評価を行っていないことを示す。
(1)耐熱性
接着剤組成物を加熱して得られた硬化物について、熱分析装置(商品名「TG−DTA6300」、セイコー電子工業(株)製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱重量分析し、下記基準で耐熱性を評価した。なお、熱分解温度(T)とは、図1に示すように、初期の重量減少のない、或いは漸減しているところ(図中のAで示される範囲)の接線と、急激に重量減少が起こっているところ(図中のBで示される範囲)の変曲点の接線が交叉するところの温度である。結果を表1及び2の「耐熱性」の欄に示す。
評価基準:熱分解温度(T)が260℃以上のときを合格(○)とする。
(2)密着性
接着剤層付きシリコン板における接着剤層を加熱して得られた接着剤層の硬化物について、碁盤目テープ試験(JIS K5400−8.5準拠)を行い、下記基準でシリコン板への密着性を評価した。結果を表1及び2の「密着性」の欄に示す。
評価基準:接着剤層の剥離が見られないときを合格(○)とする。
(3)耐クラック性A
接着剤層付きシリコン板を150℃で30分加熱し、次いで、170℃で30分加熱して接着剤層を硬化させて冷却した後、冷熱衝撃(250℃で30分加熱し、続いて室温まで急冷)を付与した。そのときに発生したクラック数を評価するために、ガラス板の中心を頂点とする20mm角の範囲を計100マスの2mm角に分割し、クラックが発生していない2mm角の数を数えた。結果を表1及び2の「耐クラック性A」の欄に示す。
◎(極めて良好):クラックが発生していない2mm角マスの数が65以上
○(良好):クラックが発生していない2mm角マスの数が50以上65未満
△(不可):クラックが発生していない2mm角マスの数が1以上50未満
×(不良):全ての2mm角マスにクラックが発生
(4)耐クラック性B
接着剤層付きシリコン板における接着剤層を加熱して得られた接着剤層の硬化物について、冷熱衝撃(250℃で30分加熱し、続いて室温まで急冷)を付与し、下記基準でクラックの程度を評価した。結果を表2の「耐クラック性B」の欄に示す。
◎(極めて良好):クラックの無い部分の硬化物の面積が80%以上
○(良好):クラックの無い部分の硬化物の面積が60%以上
×(不良):クラックの無い部分の硬化物の面積が60%未満
(5)接着性
積層物の接着界面にカミソリ刃(商品名「片刃トリミング用カミソリ」、日新EM(株)製)を挿入し、下記基準で密着性を評価した。結果を表1及び2の「接着性」の欄に示す。
評価基準:接着面での剥離が見られないときを合格(○)とする。
Figure 2018095819
Figure 2018095819
なお、表中の記号は下記化合物を示す。
調製例1:調製例1で得られたポリオルガノシルセスキオキサン
調製例2:調製例2で得られたポリオルガノシルセスキオキサン
調製例3:調製例3で得られたポリオルガノシルセスキオキサン
4004P:フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物又はアルキル(C=1〜9)フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロルヒドリンによるグリシジルエーテル化変性物(商品名「jER4004P」、三菱化学(株)製)、重量平均分子量:5000、エポキシ当量:840〜975
4005P:フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物又はアルキル(C=1〜9)フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロルヒドリンによるグリシジルエーテル化変性物(商品名「jER4005P」、三菱化学(株)製)、重量平均分子量:6200、エポキシ当量:950〜1200
4007P:フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物又はアルキル(C=1〜9)フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロルヒドリンによるグリシジルエーテル化変性物(商品名「jER4007P」、三菱化学(株)製)、重量平均分子量:20000、エポキシ当量:2000〜2500
4010P:フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物又はアルキル(C=1〜9)フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロルヒドリンによるグリシジルエーテル化変性物(商品名「jER4010P」、三菱化学(株)製)、重量平均分子量:45000、エポキシ当量:3800〜4600
RE−303S−L:ビスフェノールF・エピクロルヒドリンのジグリシジルエーテル(商品名「RE−303S−L」、日本化薬(株)製)、分子量:312、エポキシ当量:156
EHPE:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(商品名「EHPE3150」、(株)ダイセル製)、重量平均分子量:2400、エポキシ当量:177
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
SI−150L:アンチモン系スルホニウム塩(商品名「SI−150L」、三新化学工業(株)製)、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)100重量部に対して1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間:5.4分)
SI助剤:(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルサルファイト(商品名「サンエイドSI助剤」、三新化学工業(株)製)

Claims (10)

  1. ランダム型シルセスキオキサン(A1)及びラダー骨格を有するシルセスキオキサン(A2)からなる群より選択される1以上であり、下記式(1)
    [R1SiO3/2] (1)
    [式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す。]
    で表される構成単位を有するシルセスキオキサン(A)と、シルセスキオキサン(A)以外の重合性官能基を有する化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記重合性官能基が、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される1以上である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. さらに、重合開始剤を含有する、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. さらに、重合安定剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. さらに、シランカップリング剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 接着剤組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 基材の少なくとも一方の面に、請求項6に記載の硬化性組成物から形成された接着剤層を有する接着シート。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  9. 3層以上で構成される積層物であって、
    2層の被接着層と、該被接着層の間の接着層とを有し、
    前記接着層が、請求項6に記載の硬化性組成物の硬化物の層であることを特徴とする積層物。
  10. 請求項9に記載の積層物を有する装置。
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