JPWO2019220642A1 - 積層フィルム、及びフォルダブルデバイス - Google Patents

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Abstract

高い表面硬度と優れた屈曲耐久性を有し、フォルダブルデバイスの表面保護材として好適な積層フィルムを提供する。支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件2)を充足する。(条件1)積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上。(条件2)下記屈曲耐久性試験(1)における屈曲耐久性(1)が5万以上。屈曲耐久性試験(1):積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凹となる方向に屈曲半径が2.5mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)の指標とする。

Description

本発明は、高い表面硬度と優れた屈曲耐久性を備える積層フィルム、及び前記積層フィルムを備えたフォルダブルデバイスに関する。
スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の携帯性をさらに高めるため、折り畳み可能なディスプレイ、タッチパネルなどのフォルダブルデバイスの需要が高まっている。フォルダブルデバイスは、携帯性を高めるために、小さな屈曲半径(例えば、屈曲半径2.5mm程度)で180°に折り曲げる必要があり、極めて高い屈曲性(可とう性)が求められる。また、フォルダブルデバイスは、折り畳んだ状態で携帯し、使用時に開き、使用後は再び折り畳んで繰り返し使用されるため、高い屈曲耐久性、すなわち、繰り返し折り畳んでもクラック等が発生しない耐久性も求められる。
フォルダブルデバイスには、有機EL等のフレキシブル性の高い画像表示装置が用いられるが、取り扱い時に画像表示面に傷がつかないように耐擦傷性を付与するため、支持体フィルムにハードコート層を形成させた積層フィルム(ハードコートフィルム)で保護することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている(例えば、特許文献1)。
特開2014−186210号公報
しかしながら、従来のハードコートフィルムは、表面硬度と屈曲性には優れるものの、繰り返し折り畳むとハードコート層にクラックが発生し、屈曲耐久性が低く、フォルダブルデバイスの表面を保護する部材として使用できないという問題があった。
従って、本発明の目的は、高い表面硬度と、優れた屈曲耐久性を有し、フォルダブルデバイスの表面保護材として好適な積層フィルムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記積層フィルムを備えたフォルダブルデバイスを提供することである。
すなわち、本発明は、支持体と、
該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、
該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件2)を充足することを特徴とする積層フィルム(1)を提供する。
(条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
(条件2)下記屈曲耐久性試験(1)における屈曲耐久性(1)が5万回以上である。
屈曲耐久性試験(1):
積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凹となる方向に屈曲半径が2.5mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)の指標とする
また、本発明は、支持体と、
該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、
該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件3)を充足することを特徴とする積層フィルム(2)を提供する。
(条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
(条件3)下記屈曲耐久性試験(2)における屈曲耐久性(2)が1万回以上である。
屈曲耐久性試験(2):
積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凸となる方向に屈曲半径が4.0mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(2)の指標とする
前記積層フィルム(1)及び(2)において、さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)は下記(条件4)を充足することが好ましい。
(条件4)積層フィルムの樹脂層の面が凸となるJIS K5600−5−1(1999)に規定する円筒形マンドレル試験において、屈曲半径が5mmで樹脂層の面にクラックが発生しない
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)の面の水接触角は95°以上であることが好ましい。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)は下記(条件5)を充足することが好ましい。
(条件5)#0000番のスチールウールで1kg/cm2の荷重をかけながら、前記樹脂層の表面を30回往復摩擦させる耐スチールウール試験において目視で傷が生じない。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)のヘイズは1.0%以下であることが好ましい。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記樹脂層は、さらに、1種以上の硬化性化合物を含む硬化性組成物の硬化物であり、硬化性化合物の少なくとも1種がポリオルガノシルセスキオキサンであることが好ましい。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記硬化性組成物は、分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物を含むことが好ましい。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記硬化性組成物は、さらに、硬化触媒を含むことが好ましい。
前記硬化触媒は光カチオン重合開始剤であってもよい。
前記硬化触媒は熱カチオン重合開始剤であってもよい。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記硬化性組成物は、さらに、フッ素含有光重合性樹脂を含むことが好ましい。
前記積層フィルム(1)及び(2)において、前記支持体は、透明支持体であることが好ましい。
また、本発明は、前記積層フィルム(1)又は(2)を備えるフォルダブルデバイスを提供する。
前記フォルダブルデバイスは、画像表示装置であってもよい。
前記フォルダブルデバイスにおいて、前記画像表示装置は、有機エレクトロルミネセンス表示装置であってもよい。
本発明の積層フィルムは、高い表面硬度と、優れた屈曲耐久性を有する。このため、本発明の積層フィルムは、折り畳み式画像表示装置などのフォルダブルデバイスの表面保護材として好適に使用することができる。
本発明における屈曲耐久性の試験方法(R曲げ方法)(積層フィルムを樹脂層の面が凹又は凸となる方向に屈曲半径(R)が2.5mm又は4.0mmとなるように180°折り曲げ、伸ばす1回の動作)を示す模式図(側面図)である。 図1の(4)を拡大して示した図である。 製造例1で得られたエポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの1H−NMRチャートである。 製造例1で得られたエポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMRチャートである。 製造例2で得られたエポキシ基含有高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの1H−NMRチャートである。 製造例2で得られたエポキシ基含有高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMRチャートである。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムの一の態様(以下、「積層フィルム(1)」と称する場合がある。)は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件2)を充足することを特徴とする。
(条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
(条件2)下記屈曲耐久性試験(1)における屈曲耐久性(1)が5万回以上である。
屈曲耐久性試験(1):
積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凹となる方向に屈曲半径が2.5mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)の指標とする
本発明の積層フィルム(1)は、極めて優れた表面硬度、及び屈曲耐久性を有し、有機EL表示装置などのフォルダブルデバイスの表面保護材として、好適に用いることができる。
すなわち、本発明の積層フィルム(1)において、前記樹脂層は上述の(条件1)及び(条件2)を充足する。
なお、本発明の積層フィルム(1)において、前記樹脂層が前記支持体の両面に積層されている場合、いずれか一方の樹脂層が(条件1)及び(条件2)を充足していればよく、他方の樹脂層は(条件1)及び/又は(条件2)を充足していても、充足していなくてもよい。
上記条件1は、本発明の積層フィルム(1)の樹脂層表面が優れた表面硬度を有することを示す条件である。上記樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度は、F以上であり、好ましくは1H以上、より好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上、より好ましくは5H以上、より好ましくは6H以上、より好ましくは7H以上、さらに好ましくは8H以上、特に好ましくは9Hである。前記樹脂層表面の鉛筆硬度がF未満であると、本発明の積層フィルム(1)の表面硬度が不充分となり、フォルダブルデバイスの表面保護材として使用しづらくなる場合がある。
上記条件2は、本発明の積層フィルム(1)が優れた屈曲耐久性、すなわち、繰り返しで折り畳んでも樹脂層にクラックなどの不具合が生じにくい特性を有することを示す条件であり、具体的には、樹脂層の面が凹(内側)になるように繰り返しで折り畳んだ場合の耐久性(以下、「屈曲耐久性(1)」と称する場合がある)を有することを示す条件である。
図1は、上記条件2に示す屈曲耐久性試験(1)における、積層フィルム(1)(図1の1)を伸ばした状態(図1(1))から、樹脂層の面が凹(内側)となる方向(図示略)に屈曲半径(R)が2.5mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作の1回を示す模式図(側面図)である。図2は、図1(4)を拡大図であり、Rは屈曲半径を示す。屈曲耐久性試験(1)においては、屈曲半径が2.5mmになるように積層フィルム(1)の樹脂層面の屈曲部に半径2.5mmの円筒形マンドレルを巻き付けて行うことができる。屈曲耐久性試験(1)においては、1分間に30〜60回の速さで前記動作を行った際における、積層フィルム(1)の樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)の指標とする。
本発明の積層フィルム(1)の屈曲耐久性試験(1)における屈曲耐久性(1)は5万回以上であり、好ましくは6万回以上、より好ましくは7万回以上、より好ましくは8万回以上、より好ましくは9万回以上、より好ましくは10万回以上、さらに好ましくは15万回以上、特に好ましくは20万回以上である。屈曲耐久性(1)が5万回未満では、本発明の積層フィルム(1)の屈曲耐久性(1)が不充分となり、フォルダブルデバイス(特に、内側に折り曲げる表示装置等)の表面保護材として使用しづらくなる場合がある。
本発明の積層フィルムの別の態様(以下、「積層フィルム(2)」と称する場合がある。)としては、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が上述の(条件1)及び下記(条件3)を充足する態様も好ましい。
(条件3)下記屈曲耐久性試験(2)における屈曲耐久性(2)が1万回以上である。
屈曲耐久性試験(2):
積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凸となる方向に屈曲半径が4.0mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(2)の指標とする
なお、本発明の積層フィルム(2)において、前記樹脂層が前記支持体の両面に積層されている場合、いずれか一方の樹脂層が(条件1)及び(条件3)を充足していればよく、他方の樹脂層は(条件1)及び/又は(条件3)を充足していても、充足していなくてもよい。
本発明の積層フィルム(2)の条件1における鉛筆硬度試験の測定方法、及び好ましい鉛筆硬度は、上記積層フィルム(1)と同様である。
上記条件3は、本発明の積層フィルム(2)の屈曲耐久性のうち、樹脂層の面が凸(外側)になるように繰り返しで折り畳んだ場合の耐久性(以下、「屈曲耐久性(2)」と称する場合がある)を有することを示す条件である。屈曲耐久性(2)のための屈曲耐久性試験(2)は、樹脂層の面が凸(外側)となる方向にし、屈曲半径(R)を4.0mmとしたこと以外は、上述の屈曲耐久性試験(1)と同じ条件で測定することができる。
本発明の積層フィルム(2)の屈曲耐久性試験(2)における屈曲耐久性(2)は1万回以上であり、より好ましくは2万回以上、より好ましくは3万回以上、より好ましくは4万回以上、より好ましくは5万回以上、より好ましくは6万回以上、より好ましくは7万回以上、より好ましくは8万回以上、より好ましくは9万回以上、より好ましくは10万回以上、さらに好ましくは15万回以上、特に好ましくは20万回以上である。屈曲耐久性(2)が1万回未満では、本発明の積層フィルム(2)の屈曲耐久性(2)が不充分となり、フォルダブルデバイス(特に、外側に折り曲げる表示装置等)の表面保護材として使用しづらくなる場合がある。
本発明の積層フィルム(1)及び積層フィルム(2)(以下、まとめて、単に「本発明の積層フィルム」と称する場合がある。)は、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が上述の(条件1)〜(条件3)の全てを充足する態様がさらに好ましい。
本発明の積層フィルム(積層フィルム(1)及び積層フィルム(2)を含む。以下、同様。)は、さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が以下の(条件4)を満たすことが好ましい。
(条件4)積層フィルムの樹脂層の面が凸となるJIS K5600−5−1(1999)に規定する円筒形マンドレル試験において、屈曲半径が5mmで樹脂層の面にクラックが発生しない(以下、例えば、「屈曲性が5mm以下」と称する場合がある)
なお、本発明の積層フィルムにおいて、前記樹脂層が前記支持体の両面に積層されている場合、いずれか一方の樹脂層が(条件4)を充足していればよく、他方の樹脂層は(条件4)を充足していても、充足していなくてもよい。
上記条件4は、本発明の積層フィルムが優れた屈曲性を有することを示す条件である。本発明の積層フィルムの屈曲性は、5mm以下であり、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4.0mm以下、より好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下、特に好ましくは2.0mm以下である。屈曲性が5mmを超えると、本発明の積層フィルムの屈曲性が不充分となり、フォルダブルデバイス(特に、外側に折り曲げる表示装置等)の表面保護材として使用しづらくなる場合がある。
本発明の積層フィルムは、さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が以下の(条件5)を満たすことが好ましい。
(条件5)#0000番のスチールウールで1kg/cm2の荷重をかけながら、前記樹脂層の表面を30回往復摩擦させる耐スチールウール試験において目視で傷が生じない(以下、例えば、「耐擦傷性が30回以上」と称する場合がある)
なお、本発明の積層フィルムにおいて、前記樹脂層が前記支持体の両面に積層されている場合、いずれか一方の樹脂層が(条件5)を充足していればよく、他方の樹脂層は(条件5)を充足していても、充足していなくてもよい。
上記条件5は、本発明の積層フィルムが優れた耐擦傷性を有することを示す条件である。本発明の積層フィルムの耐擦傷性は、30回以上であり、好ましくは100回以上、より好ましく200回以上、より好ましくは300回以上、より好ましくは500回以上、より好ましくは700回以上、さらに好ましくは1000回以上、特に好ましくは2000回以上である。耐擦傷性が30回未満では、本発明の積層フィルムの耐擦傷性が不充分となり、フォルダブルデバイスの表面保護材として使用しづらくなる場合がある。
本発明の積層フィルムは、支持体、樹脂層以外の層、例えばアンカー層、粘着剤層、低反射層、防汚層、撥水層、撥油層、防曇層、保護フィルム層、印刷層、導電層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、ブルーライトカット層等を有していてもよい。上記樹脂層は、上記支持体の表面において、一部のみに形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。
本発明の積層フィルムのヘイズは、例えば7%以下であり、好ましくは6%以下であり、より好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは2%以下であり、最も好ましくは1%以下である。なお、ヘイズの下限は、例えば0.1%である。ヘイズを特に7%以下とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。本発明のヘイズは、例えば、支持体として後述の透明基材を使用することによって容易に上記範囲に制御することができる。なお、本明細書においてヘイズは、JIS K7136に準拠して測定することができる。
本発明の積層フィルムの全光線透過率は、例えば85%以上であり、好ましくは90%以上である。全光線透過率を特に90%以上とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。本発明の全光線透過率は、例えば、支持体として後述の透明基材を使用することによって容易に上記範囲に制御することができる。なお、本明細書において全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定することができる。
本発明の積層フィルムの厚み(支持体/樹脂層の総厚み)は、例えば1〜10000μmの範囲から適宜選択することができ、好ましくは10〜1000μmであり、より好ましくは15〜800μmであり、さらに好ましくは20〜700μmであり、特に好ましくは30〜500μmである。
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)の面の水接触角が95°以上であることが好ましく、より好ましくは96°以上、より好ましくは97°以上、より好ましくは98°以上、より好ましくは99°以上、より好ましくは100°以上、より好ましくは101°以上、より好ましくは102°以上、より好ましくは103°以上、さらに好ましくは104°以上、特に好ましくは105°以上である。水接触角が95°未満では、本発明の積層フィルムの防汚性が不充分となり、フォルダブルデバイスの表面保護材として使用しづらくなる場合がある。
なお、本発明の積層フィルムにおいて、前記樹脂層が前記支持体の両面に積層されている場合、いずれか一方の樹脂層の水接触角が95°以上であればよく、他方の樹脂層の水接触角は限定されず、95°以上であっても95°未満であってもよい。
上述した性能を備える本発明の積層フィルムは、後述の支持体の材料の選択及び支持体の厚みの制御、並びに、樹脂層の成分や厚み、支持体への積層方法を制御することで得ることができる。
(支持体)
本発明の積層フィルムにおける支持体としては、プラスチック基材、金属基材、セラミックス基材、半導体基材、ガラス基材、紙基材、木基材(木製基材)、表面が塗装表面である基材等の公知乃至慣用の支持体を用いることができ、特に限定されない。中でも、プラスチック基材が好ましい。前記支持体は、単層の構成を有していてもよいし、多層(積層)の構成を有していてもよく、その構成(構造)は特に限定されない。
上記プラスチック基材を構成するプラスチック材料は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン系モノマーの単独重合体(付加重合体や開環重合体等)、ノルボルネンとエチレンの共重合体等のノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーの共重合体(付加重合体や開環重合体等の環状オレフィンコポリマー等)、これらの誘導体等の環状ポリオレフィン;ビニル系重合体(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS樹脂)等);ビニリデン系重合体(例えば、ポリ塩化ビニリデン等);トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ユリア樹脂;マレイミド樹脂;シリコーン等の各種プラスチック材料が挙げられる。なお、上記プラスチック基材は、1種のみのプラスチック材料により構成されたものであってもよいし、2種以上のプラスチック材料により構成されたものであってもよい。
中でも、上記プラスチック基材としては、透明性・屈曲耐久性に優れた積層フィルムを得るためには、透明性・屈曲耐久性に優れた支持体(透明支持体)を用いることが好ましく、より好ましくはポリエステルフィルム(特に、PET、PEN)、ポリイミドフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、TACフィルム、PMMAフィルムであり、さらに好ましくはポリエステルフィルム(特に、PET、PEN)、ポリイミドフィルムである。
前記支持体(特に、プラスチック基材)は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
前記支持体(特に、プラスチック基材)の表面の一部又は全部には、粗化処理、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。なお、上記プラスチック基材は、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム等)であってもよい。なお、支持体としては、市販品を使用することもできる。
前記支持体の厚みは、例えば、1〜1000μm程度、好ましくは5〜500μm、より好ましく10〜400μm、より好ましくは15〜400μm、さらに好ましくは20〜300μm、特に好ましくは25〜200μmである。
本発明の支持体のヘイズは、例えば7%以下であり、好ましくは6%以下であり、より好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは2%以下であり、最も好ましくは1%以下である。なお、ヘイズの下限は、例えば0.1%である。ヘイズを特に7%以下とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。
本発明の支持体の全光線透過率は、例えば85%以上であり、好ましくは90%以上である。全光線透過率を特に90%以上とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。
(樹脂層)
本発明において上記樹脂層は、後述する硬化性組成物の硬化物で形成されている。すなわち、樹脂層は、当該硬化性組成物により形成された硬化物からなる層であり、上記の(条件1)、及び(条件2)又は(条件3)を充足し、好ましくは上記の(条件4)及び/又は(条件5)を充足する層である。なお、上記樹脂層は、後述する積層フィルムの製造方法により、硬化性組成物から作製することができる。
上記樹脂層の厚みは、表面硬度と耐擦傷性の観点から、例えば1〜100μm、好ましくは2〜80μm、より好ましくは3〜60μm、さらに好ましくは5〜50μm、最も好ましくは10〜40μmである。樹脂層の厚みが1μmより薄い場合、高い表面硬度を維持できない場合がある。また、樹脂層の厚みが100μmより厚い場合は、大きなカールが発生する等の不具合が生じやすくなる。
上記樹脂層のヘイズは、例えば1.0以下であり、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.1%以下である。なお、樹脂層のヘイズの下限は、例えば0.1%である。上記樹脂層のヘイズを特に1.0%以下とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。樹脂層のヘイズは、上述の積層フィルム(支持体/樹脂層)のヘイズから支持体のヘイズを減じた差により求めることができる。
上記樹脂層の全光線透過率は、例えば85%以上であり、好ましくは90%以上である。全光線透過率を85%以上とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。樹脂層の全光線透過率は、例えば、上述の硬化性組成物を硬化後の厚みが本発明の積層フィルムの樹脂層と同じ厚みになるように離型基材に塗布、硬化させ、硬化膜を剥離した後に、JIS K7361−1に準拠して測定することより求めることができる。
上記樹脂層は、表面の平滑性にも優れており、算術平均粗さRaが、JIS B0601に準拠した方法において、例えば0.1〜20nmであり、好ましくは0.1〜10nmであり、より好ましくは0.1〜5nmである。
上記樹脂層は、上記支持体の一方の面のみに積層されていてもよく、両面に積層されていてもよい。樹脂層が支持体の両面に積層されている場合、同一の樹脂層であっても、異なる樹脂層であってもよい。また、樹脂層が支持体の両面に積層されている場合、一方の樹脂層が上記の(条件1)、及び(条件2)又は(条件3)を充足し、好ましくは上記の(条件4)及び/又は(条件5)を充足していればよく、他方の樹脂層は(条件1〜5)のいずれか1以上を充足していても、充足していなくてもよい。
(硬化性組成物)
本発明の積層フィルムにおける樹脂層を形成するための硬化性組成物は、特に限定されず、公知のハードコートフィルムのハードコート層に使用されるものを特に限定なく採用することができ、具体的には、1種以上の硬化性化合物を含む硬化性組成物の硬化物により形成することができる。
上記硬化性組成物を構成する硬化性化合物としては、公知のハードコートフィルムのハードコート層を形成するための成分を特に限定なく採用することができ、例えば、(メタ)アクリレート化合物、カチオン硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ビニルエーテル樹脂、オキセタン樹脂などが挙げられる。本発明の積層フィルムにおける上述の性能(条件1〜5)を充足するためには、カチオン硬化性シリコーン樹脂が好ましい。
上記カチオン硬化性シリコーン樹脂は、ポリオルガノシルセスキオキサンを含む態様が好ましく、具体的には、下記式(1)で表される構成単位を有するポリオルガノシルセスキオキサン(以下、「本発明のポリオルガノシルセスキオキサン」と称する場合がある)を含む硬化性組成物(以下、「本発明の硬化性組成物」と称する場合がある)から形成されることが好ましい。
Figure 2019220642
[式(1)中、R1は、カチオン重合性官能基を含有する基を示す。]
本発明の硬化性組成物は、上述の本発明のポリオルガノシルセスキオキサンを必須成分として含む硬化性組成物(硬化性樹脂組成物)であり、本発明の積層フィルムにおける樹脂層を形成するための硬化性組成物として使用されるものである。後述のように、本発明の硬化性組成物は、さらに、硬化触媒(特に光カチオン重合開始剤、ラジカル重合性開始剤)や、分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物、フッ素含有光重合性樹脂、表面調整剤あるいは表面改質剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
(ポリオルガノシルセスキオキサン)
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位を有することを特徴とする。
また、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、下記式(I)で表される構成単位(「T3体」と称する場合がある)と、下記式(II)で表される構成単位(「T2体」と称する場合がある)を有することが好ましい。
さらに、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、後述の式(4)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
上記式(1)で表される構成単位は、一般に[RSiO3/2]で表されるシルセスキオキサン構成単位(いわゆるT単位)である。なお、上記式中のRは、水素原子又は一価の有機基を示し、以下においても同じである。上記式(1)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(具体的には、例えば、後述の式(a)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
式(1)中のR1は、カチオン重合性官能基を含有する基(一価の基)を示す。即ち、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、分子内にカチオン重合性官能基を少なくとも有する、カチオン硬化性化合物(カチオン重合性化合物)である。
上記カチオン重合性官能基を含有する基における「カチオン重合性官能基」としては、カチオン重合性を有するものである限り特に限定されず、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、ビニルフェニル基等が挙げられる。
カチオン重合性官能基としては、樹脂層の表面硬度(例えば、F以上)の観点から、エポキシ基が特に好ましい。
上記カチオン重合性官能基を含有する基としては、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、硬化性組成物の硬化性、硬化物(樹脂層)の表面硬度や耐熱性の観点で、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、下記式(1c)で表される基、下記式(1d)で表される基が好ましく、より好ましくは下記式(1a)で表される基、下記式(1c)で表される基、さらに好ましくは下記式(1a)で表される基である。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
Figure 2019220642
Figure 2019220642
上記式(1a)中、R1aは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。中でも、R1aとしては、硬化物(樹脂層)の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
上記式(1b)中、R1bは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R1aと同様の基が例示される。中でも、R1bとしては、硬化物(樹脂層)の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
上記式(1c)中、R1cは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R1aと同様の基が例示される。中でも、R1cとしては、硬化物(樹脂層)の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
上記式(1d)中、R1dは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R1aと同様の基が例示される。中でも、R1dとしては、硬化物(樹脂層)の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
式(1)中のR1としては、特に、上記式(1a)で表される基であって、R1aがエチレン基である基[中でも、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基]が好ましい。
上記オキセタン基を含有する基としては、オキセタン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、例えば、オキセタン基そのもの、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)の水素原子(通常1つ以上、好ましくは1つの水素原子)をオキセタン基で置換してなる基が挙げられる。硬化性組成物の硬化性、硬化物(樹脂層)の耐熱性の観点で、3−オキセタニル基、オキセタン−3−イルメチル基、3−エチルオキセタン−3−イルメチル基、2−(オキセタン−3−イル)エチル基、2−(3−エチルオキセタン−3−イル)エチル基、3−(オキセタン−3−イルメトキシ)プロピル基、3−(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ)プロピル基等が好ましい。
上記ビニルエーテル基を含有する基としては、ビニルエーテル基を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、例えば、ビニルエーテル基そのもの、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)の水素原子(通常1つ以上、好ましくは1つの水素原子)をビニルエーテル基で置換してなる基が挙げられる。硬化性組成物の硬化性、硬化物(樹脂層)の耐熱性の観点で、ビニルオキシメチル基、2−(ビニルオキシ)エチル基、3−(ビニルオキシ)プロピル基等が好ましい。
上記ビニルフェニル基を含有する基としては、ビニルフェニル基を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、例えば、ビニルフェニル基そのもの、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)の水素原子(通常1つ以上、好ましくは1つの水素原子)をビニルフェニル基で置換してなる基が挙げられる。硬化性組成物の硬化性、硬化物(樹脂層)の耐熱性の観点で、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、2−ビニルフェニル基等が好ましい。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位を1種のみ有するものであってもよいし、上記式(1)で表される構成単位を2種以上有するものであってもよい。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、シルセスキオキサン構成単位[RSiO 3/2]として、上記式(1)で表される構成単位以外にも、下記式(2)で表される構成単位を有していてもよい。
Figure 2019220642
上記式(2)で表される構成単位は、一般に[RSiO3/2]で表されるシルセスキオキサン構成単位(T単位)である。即ち、上記式(2)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(具体的には、例えば、後述の式(b)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
上記式(2)中のR2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
上述の置換アリール基、置換アラルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルキル基、置換アルケニル基としては、上述のアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基のそれぞれにおける水素原子又は主鎖骨格の一部若しくは全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、及びヒドロキシ基(水酸基)からなる群より選択された少なくとも1種で置換された基が挙げられる。
中でも、R2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける上述の各シルセスキオキサン構成単位(式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位)の割合は、これらの構成単位を形成するための原料(加水分解性三官能シラン)の組成により適宜調整することが可能である。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外にも、さらに、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外のシルセスキオキサン構成単位[RSiO3/2]、[R3SiO1/2]で表される構成単位(いわゆるM単位)、[R2SiO2/2]で表される構成単位(いわゆるD単位)、及び[SiO4/2]で表される構成単位(いわゆるQ単位)からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン構成単位を有していてもよい。なお、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外のシルセスキオキサン構成単位としては、例えば、下記式(3)で表される構成単位等が挙げられる。
Figure 2019220642
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが、上記式(I)で表される構成単位(T3体)と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)とを有する場合、その割合[T3体/T2体]は、特に限定されないが、例えば、5以上(例えば、5以上、500以下)の範囲から適宜選択可能である。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの一の態様の上記割合[T3体/T2体]の下限値は、好ましくは5、より好ましくは6、さらに好ましくは7であり、上限値は、好ましくは20未満、より好ましくは18、より好ましくは16、さらに好ましくは14である。上記割合[T3体/T2体]を5以上とすることにより、樹脂層の表面硬度が向上する傾向がある。上記割合[T3体/T2体]を20未満(好ましくは18以下)とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、粘度も抑制もされるため、取扱いが容易となり、塗工しやすくなる。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの別の態様の上記割合[T3体/T2体]の下限値は、好ましくは20、より好ましくは21、より好ましくは23、さらに好ましくは25であり、上限値は、好ましくは500、より好ましくは100、より好ましくは50、さらに好ましくは40である。上記割合[T3体/T2体]を20以上とすることにより、表面硬度や密着性の向上に加えて、未硬化又は半硬化の樹脂層としたときの表面がタックフリーになりやすく、耐ブロッキング性が向上して、ロールに巻き取り取りやすくなる。一方、上記割合[T3体/T2体]を500以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、粘度も抑制もされるため、取扱いが容易となり、塗工しやすくなる。
なお、上記式(I)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(I’)で表される。また、上記式(II)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(II’)で表される。下記式(I’)で表される構造中に示されるケイ素原子に結合した3つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(I’)に示されていないケイ素原子)と結合している。一方、下記式(II’)で表される構造中に示されるケイ素原子の上と下に位置する2つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(II’)に示されていないケイ素原子)に結合している。即ち、上記T3体及びT2体は、いずれも対応する加水分解性三官能シラン化合物の加水分解及び縮合反応により形成される構成単位(T単位)である。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
上記式(I)中のRa(式(I’)中のRaも同じ)及び式(II)中のRb(式(II’)中のRbも同じ)は、それぞれ、カチオン重合性官能基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Ra及びRbの具体例としては、上記式(1)におけるR1、上記式(2)におけるR2と同様のものが例示される。なお、式(I)中のRa及び式(II)中のRbは、それぞれ、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(a)〜(c)におけるR1、R2、水素原子等)に由来する。
上記式(II)中のRc(式(II’)中のRcも同じ)は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。式(II)中のRcにおけるアルキル基は、一般的には、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性シラン化合物におけるアルコキシ基(例えば、後述のX1〜X3としてのアルコキシ基等)を形成するアルキル基に由来する。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]は、例えば、29Si−NMRスペクトル測定により求めることができる。29Si−NMRスペクトルにおいて、上記式(I)で表される構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なる位置(化学シフト)にシグナル(ピーク)を示すため、これらそれぞれのピークの積分比を算出することにより、上記割合[T3体/T2体]が求められる。具体的には、例えば、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが、上記式(1)で表され、R1が2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基である構成単位を有する場合には、上記式(I)で表される構造(T3体)におけるケイ素原子のシグナルは−64〜−70ppmに現れ、上記式(II)で表される構造(T2体)におけるケイ素原子のシグナルは−54〜−60ppmに現れる。従って、この場合、−64〜−70ppmのシグナル(T3体)と−54〜−60ppmのシグナル(T2体)の積分比を算出することによって、上記割合[T3体/T2体]を求めることができる。R1が2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基以外のカチオン重合性官能基を含む基である場合も、同様にして[T3体/T2体]を求めることができる。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「JNM−ECA500NMR」(日本電子(株)製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの上記割合[T3体/T2体]が上記範囲(例えば、5以上、500以下)である場合は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおいてT3体に対して一定量のT2体存在していることを意味する。このようなT2体としては、例えば、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位、下記式(6)で表される構成単位等が挙げられる。下記式(4)におけるR1及び下記式(5)におけるR2は、それぞれ上記式(1)におけるR1及び上記式(2)におけるR 2と同じである。下記式(4)〜(6)におけるRcは、式(II)におけるRcと同じく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
Figure 2019220642
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、カゴ型、不完全カゴ型、ラダー型、ランダム型のいずれのシルセスキオキサン構造を有していてもよく、これらシルセスキオキサン構造の2以上を組み合わせて有していてもよい。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが上記式(4)で表される構成単位を有する場合、シロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(4)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、好ましくは55〜100モル%であり、より好ましくは65〜100モル%、さらに好ましくは80〜99モル%である。上記割合を55モル%以上とすることにより、硬化性組成物の硬化性が向上し、また、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性が著しく高くなる。なお、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける各シロキサン構成単位の割合は、例えば、原料の組成やNMRスペクトル測定等により算出できる。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、0〜70モル%が好ましく、より好ましくは0〜60モル%、さらに好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは1〜15モル%である。上記割合を70モル%以下とすることにより、相対的に式(1)で表される構成単位及び式(4)で表される構成単位の割合を多くすることができるため、硬化性組成物の硬化性が向上し、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性がより高くなる傾向がある。一方、上記割合を1モル%以上とすることにより、硬化物(樹脂層)のガスバリア性が向上する傾向がある。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位、上記式(2)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、及び上記式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。上記割合を60モル%以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性がより高くなる傾向がある。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、例えば、1000〜50000の範囲から適宜選択することができる。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの一の態様の数平均分子量の下限値は、好ましくは1000、より好ましくは1100であり、上限値は、好ましくは3000、より好ましくは2800、さらに好ましくは2600である。数平均分子量を1000以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の耐熱性、耐擦傷性、接着性がより向上する傾向がある。数平均分子量を3000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物(樹脂層)の耐熱性がより向上する傾向がある。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの別の態様の数平均分子量の下限値は、好ましくは2500、より好ましくは2800、さらに好ましくは3000であり、上限値は、好ましくは50000、より好ましくは10000、さらに好ましくは8000である。数平均分子量を2500以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の耐熱性、耐擦傷性、接着性の向上に加えて、未硬化又は半硬化の樹脂層としたときの表面がタックフリーになりやすく、耐ブロッキング性が向上して、ロールに巻き取り取りやすくなる。数平均分子量を50000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物(樹脂層)の耐熱性がより向上する傾向がある。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されないが、1.0〜4.0の範囲から適宜選択することができる。分子量分散度の下限値は、好ましくは1.0、より好ましくは1.1、さらに好ましくは1.2である。分子量分散度を1.1以上とすることにより、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。一方、分子量分散度の上限値は、好ましくは4.0、より好ましくは3.0、さらに好ましくは2.5(例えば、好ましくは3.0、より好ましくは2.0、さらに好ましくは1.9)である。分子量分散度を4.0以下(例えば、3.0以下)とすることにより、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性がより高くなる傾向がある。
なお、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量、分子量分散度は、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2重量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの空気雰囲気下における5%重量減少温度(Td5)は、特に限定されないが、330℃以上(例えば、330〜450℃)が好ましく、より好ましくは340℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。5%重量減少温度が330℃以上であることにより、硬化物(樹脂層)の耐熱性がより向上する傾向がある。特に、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが、上記割合[T3体/T2体]が5以上500以下であって、数平均分子量が1000〜50000、分子量分散度が1.0〜4.0であるものであることにより、その5%重量減少温度は330℃以上に制御される。なお、5%重量減少温度は、一定の昇温速度で加熱した時に加熱前の重量の5%が減少した時点での温度であり、耐熱性の指標となる。上記5%重量減少温度は、TGA(熱重量分析)により、空気雰囲気下、昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、公知乃至慣用のポリシロキサンの製造方法により製造することができ、特に限定されないが、例えば、1種又は2種以上の加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。但し、上記加水分解性シラン化合物としては、上述の式(1)で表される構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(a)で表される化合物)を必須の加水分解性シラン化合物として使用する必要がある。
より具体的には、例えば、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシルセスキオキサン構成単位(T単位)を形成するための加水分解性シラン化合物である下記式(a)で表される化合物、必要に応じてさらに、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物を、加水分解及び縮合させる方法により、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンを製造できる。
Figure 2019220642
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上記式(a)で表される化合物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(1)で表される構成単位を形成する化合物である。式(a)中のR1は、上記式(1)におけるR1と同じく、カチオン重合性官能基を含有する基を示す。即ち、式(a)中のR1としては、上記式(1a)で表される基、上記式(1b)で表される基、上記式(1c)で表される基、上記式(1d)で表される基が好ましく、より好ましくは上記式(1a)で表される基、上記式(1c)で表される基、さらに好ましくは上記式(1a)で表される基、特に好ましくは上記式(1a)で表される基であって、R1aがエチレン基である基[中でも、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基]である。
上記式(a)中のX1は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X1におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。また、X1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でもX1としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(b)で表される化合物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(2)で表される構成単位を形成する化合物である。式(b)中のR2は、上記式(2)におけるR2と同じく、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。即ち、式(b)中のR2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
上記式(b)中のX2は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X2の具体例としては、X1として例示したものが挙げられる。中でも、X2としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(c)で表される化合物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(3)で表される構成単位を形成する化合物である。上記式(c)中のX3は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X3の具体例としては、X1として例示したものが挙げられる。中でも、X3としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記加水分解性シラン化合物としては、上記式(a)〜(c)で表される化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。例えば、上記式(a)〜(c)で表される化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成する加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成する加水分解性二官能シラン化合物、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物等が挙げられる。
上記加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、所望する本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの構造に応じて適宜調整できる。例えば、上記式(a)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、55〜100モル%が好ましく、より好ましくは65〜100モル%、さらに好ましくは80〜99モル%である。
また、上記式(b)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、0〜70モル%が好ましく、より好ましくは0〜60モル%、さらに好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは1〜15モル%である。
さらに、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対する式(a)で表される化合物と式(b)で表される化合物の割合(総量の割合)は、特に限定されないが、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。
また、上記加水分解性シラン化合物として2種以上を併用する場合、これらの加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、同時に行うこともできるし、逐次行うこともできる。上記反応を逐次行う場合、反応を行う順序は特に限定されない。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、1段階で行ってもよいし、2段階以上に分けて行ってもよい。例えば、上記割合[T3体/T2体]が20未満及び/又は数平均分子量が2500未満の本発明のポリオルガノシルセスキオキサン(以下、「低分子量ポリオルガノシルセスキオキサン」と称する場合がある)を効率よく製造するためには、加水分解及び縮合反応を1段階で行うことが好ましい。また、上記割合[T3体/T2体]が20以上及び/又は数平均分子量が2500以上の本発明のポリオルガノシルセスキオキサン(以下、「高分子量ポリオルガノシルセスキオキサン」と称する場合がある)を効率よく製造するためには、加水分解及び縮合反応を2段階以上(好ましくは、2段階)で加水分解及び縮合反応を行うこと、即ち、上記低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを原料としてさらに1回以上で加水分解及び縮合反応を行うことが好ましい。以下に、加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応を1段階で行って低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを得て、さらに低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを加水分解及び縮合反応に付すことにより高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを得る態様について説明するが、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの製造方法はこれに限定されない。
本発明の加水分解及び縮合反応を2段階で行う場合、好ましくは、第1段目の加水分解及び縮合反応で、上記割合[T3体/T2体]が5以上20未満であり、数平均分子量が1000以上2500未満である低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを得、第2段目で、該低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを、さらに加水分解及び縮合反応に付すことにより、上記割合[T3体/T2体]が20以上500以下であり、数平均分子量が2500以上50000以下である高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを得ることができる。
第1段目の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うこともできるし、非存在下で行うこともできる。中でも溶媒の存在下で行うことが好ましい。上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。上記溶媒としては、中でも、ケトン、エーテルが好ましい。なお、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
第1段目の加水分解及び縮合反応における溶媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量100重量部に対して、0〜2000重量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
第1段目の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよいが、エポキシ基等のカチオン重合性官能基の分解を抑制するためにはアルカリ触媒が好ましい。上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
第1段目の加水分解及び縮合反応における上記触媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.002〜0.200モルの範囲内で、適宜調整することができる。
第1段目の加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.5〜20モルの範囲内で、適宜調整することができる。
第1段目の加水分解及び縮合反応における上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。
第1段目の加水分解及び縮合反応の反応条件としては、特に、低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]が5以上20未満となるような反応条件を選択することが重要である。第1段目の加水分解及び縮合反応の反応温度は、特に限定されないが、40〜100℃が好ましく、より好ましくは45〜80℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、上記割合[T3体/T2体]をより効率的に5以上20未満に制御できる傾向がある。また、第1段目の加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.1〜10時間が好ましく、より好ましくは1.5〜8時間である。また、第1段目の加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。なお、第1段目の加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
上記第1段目の加水分解及び縮合反応により、低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。上記第1段目の加水分解及び縮合反応の終了後には、エポキシ基の開環等のカチオン重合性官能基の分解を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製してもよい。
第1段目の加水分解及び縮合反応により得られた低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを、第2段目の加水分解及び縮合反応に付すことにより、高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを製造することができる。
第2段目の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うこともできるし、非存在下で行うこともできる。第2段目の加水分解及び縮合反応を溶媒の存在下で行う場合、第1段目の加水分解及び縮合反応で挙げられた溶媒を用いることができる。第2段目の加水分解及び縮合反応の溶媒としては、第1段目の加水分解及び縮合反応の反応溶媒、抽出溶媒等を含む低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンをそのまま、又は一部留去したものを用いてもよい。なお、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
第2段目の加水分解及び縮合反応において溶媒を使用する場合、その使用量は、特に限定されず、低分子量ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0〜2000重量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
第2段目の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、第1段目の加水分解及び縮合反応で挙げられた触媒を用いることができ、エポキシ基等のカチオン重合性官能基の分解を抑制するためには、好ましくはアルカリ触媒であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩である。なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
第2段目の加水分解及び縮合反応における上記触媒の使用量は、特に限定されず、低分子量ポリオルガノシルセスキオキサン(1000000ppm)に対して、好ましくは0.01〜10000ppm、より好ましくは0.1〜1000ppmの範囲内で、適宜調整することができる。
第2段目の加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、低分子量ポリオルガノシルセスキオキサン(1000000ppm)に対して、好ましくは10〜100000ppm、より好ましくは100〜20000ppmの範囲内で、適宜調整することができる。水の使用量が100000ppmよりも大きいと、高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの割合[T3体/T2体]や数平均分子量が、所定の範囲に制御しにくくなる傾向がある。
第2段目の加水分解及び縮合反応における上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。
第2段目の加水分解及び縮合反応の反応条件としては、特に、高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]が20以上500以下、数平均分子量が2500〜50000となるような反応条件を選択することが重要である。第2段目の加水分解及び縮合反応の反応温度は、使用する触媒により変動し、特に限定されないが、5〜200℃が好ましく、より好ましくは30〜100℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、上記割合[T3体/T2体]、数平均分子量をより効率的に所望の範囲に制御できる傾向がある。また、第2段目の加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.5〜1000時間が好ましく、より好ましくは1〜500時間である。
また、上記反応温度の範囲内にて加水分解及び縮合反応を行いながら適時サンプリングを行って、上記割合[T3体/T2体]、数平均分子量をモニターしながら反応を行うことによって、所望の割合[T3体/T2体]、数平均分子量を有する高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを得ることもできる。
第2段目の加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。なお、第2段目の加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
上記第2段目の加水分解及び縮合反応により、高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。上記第2段目の加水分解及び縮合反応の終了後には、エポキシ基の開環等のカチオン重合性官能基の分解を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製してもよい。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは上述の構成を有するため、該ポリオルガノシルセスキオキサンを必須成分として含む硬化性組成物を硬化させた樹脂層は、高い表面硬度と共に、優れた屈曲耐久性が付与され、上述の(条件1〜5)を充足する樹脂層を形成しやすくなる。
本発明の硬化性組成物において本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの含有量(配合量)は、特に限定されないが、溶媒を除く硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、50重量%以上、100重量%未満が好ましく、より好ましくは60〜99重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を50重量%以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性がより向上する傾向がある。一方、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を100重量%未満(例えば、95重量%以下)とすることにより、硬化触媒、後述の分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物、エポキシ化合物やフッ素含有光重合性樹脂等を含有させることができ、これにより硬化性組成物の硬化をより効率的に進行させることができると共に、表面硬度・屈曲耐久性が向上する傾向がある。
本発明の硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量(100重量%)に対する本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの割合は、特に限定されないが、60〜99重量%が好ましく、より好ましくは65〜98重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を60重量%以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性がより向上する傾向がある。一方、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を99重量%以下とすることにより、後述の分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物やエポキシ化合物等を含有させることができ、これにより表面硬度・屈曲耐久性が向上する傾向がある。
(硬化触媒)
本発明の硬化性組成物は、さらに、硬化触媒を含むことが好ましい。中でも、よりタックフリーとなるまでの硬化時間が短縮できる点で、硬化触媒としてカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を含むことが特に好ましい。
上記カチオン重合開始剤は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン等のカチオン硬化性化合物のカチオン重合反応を開始乃至促進することができる化合物である。上記カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、熱カチオン重合開始剤(熱酸発生剤)等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤としては、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤を使用することができ、例えば、スルホニウム塩(スルホニウムイオンとアニオンとの塩)、ヨードニウム塩(ヨードニウムイオンとアニオンとの塩)、セレニウム塩(セレニウムイオンとアニオンとの塩)、アンモニウム塩(アンモニウムイオンとアニオンとの塩)、ホスホニウム塩(ホスホニウムイオンとアニオンとの塩)、遷移金属錯体イオンとアニオンとの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記スルホニウム塩としては、例えば、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム塩、トリ−p−トリルスルホニウム塩、トリ−o−トリルスルホニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム塩、1−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、2−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム塩、トリ−1−ナフチルスルホニウム塩、トリ−2−ナフチルスルホニウム塩、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−(p−フェニル)スルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩;ジフェニルフェナシルスルホニウム塩、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールスルホニウム塩;フェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩等のモノアリールスルホニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウム塩、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム塩、ジメチルベンジルスルホニウム塩等のトリアルキルスルホニウム塩等が挙げられる。
上記ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩としては、例えば、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用できる。
上記ヨードニウム塩としては、例えば、商品名「UV9380C」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロアンチモネート45%アルキルグリシジルエーテル溶液)、商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」(ローディア・ジャパン(株)製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート=[(1−メチルエチル)フェニル](メチルフェニル)ヨードニウム)、商品名「WPI−124」(和光純薬工業(株)製)、ジフェニルヨードニウム塩、ジ−p−トリルヨードニウム塩、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム塩等が挙げられる。
上記セレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウム塩、トリ−p−トリルセレニウム塩、トリ−o−トリルセレニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム塩、1−ナフチルジフェニルセレニウム塩等のトリアリールセレニウム塩;ジフェニルフェナシルセレニウム塩、ジフェニルベンジルセレニウム塩、ジフェニルメチルセレニウム塩等のジアリールセレニウム塩;フェニルメチルベンジルセレニウム塩等のモノアリールセレニウム塩;ジメチルフェナシルセレニウム塩等のトリアルキルセレニウム塩等が挙げられる。
上記アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチル−n−プロピルアンモニウム塩、トリメチル−n−ブチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩;N,N−ジメチルピロリジウム塩、N−エチル−N−メチルピロリジウム塩等のピロリジウム塩;N,N’−ジメチルイミダゾリニウム塩、N,N’−ジエチルイミダゾリニウム塩等のイミダゾリニウム塩;N,N’−ジメチルテトラヒドロピリミジウム塩、N,N’−ジエチルテトラヒドロピリミジウム塩等のテトラヒドロピリミジウム塩;N,N−ジメチルモルホリニウム塩、N,N−ジエチルモルホリニウム塩等のモルホリニウム塩;N,N−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジエチルピペリジニウム塩等のピペリジニウム塩;N−メチルピリジニウム塩、N−エチルピリジニウム塩等のピリジニウム塩;N,N’−ジメチルイミダゾリウム塩等のイミダゾリウム塩;N−メチルキノリウム塩等のキノリウム塩;N−メチルイソキノリウム塩等のイソキノリウム塩;ベンジルベンゾチアゾニウム塩等のチアゾニウム塩;ベンジルアクリジウム塩等のアクリジウム塩等が挙げられる。
上記ホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラ−p−トリルホスホニウム塩、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム塩等のテトラアリールホスホニウム塩;トリフェニルベンジルホスホニウム塩等のトリアリールホスホニウム塩;トリエチルベンジルホスホニウム塩、トリブチルベンジルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリエチルフェナシルホスホニウム塩等のテトラアルキルホスホニウム塩等が挙げられる。
上記遷移金属錯体イオンの塩としては、例えば、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Cr+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Cr+等のクロム錯体カチオンの塩;(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Fe+等の鉄錯体カチオンの塩等が挙げられる。
上述の塩を構成するアニオンとしては、例えば、SbF6 -、PF6 -、BF4 -、(CF3CF23PF3 -、(CF3CF2CF23PF3 -、(C654-、(C654Ga-、スルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等)、(CF3SO23-、(CF3SO22-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、アレン−イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
上記アリールスルホニウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。本発明の硬化性組成物においては、例えば、商品名「SP−66」、「SP−77」(以上、(株)ADEKA製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。上記アルミニウムキレートとしては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。また、上記三フッ化ホウ素アミン錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性組成物において硬化触媒は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における上記硬化触媒の含有量(配合量)は、特に限定されないが、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部(例えば、0.3〜1.0重量部)である。硬化触媒の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化反応を効率的に十分に進行させることができ、硬化物(樹脂層)の表面硬度や接着性がより向上する傾向がある。一方、硬化触媒の含有量を3.0重量部以下とすることにより、硬化性組成物の保存性がいっそう向上したり、硬化物(樹脂層)の着色が抑制される傾向がある。
(分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物)
本発明の硬化性組成物は、分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物(以下、「化合物A」と称する場合がある。)を含むことが好ましい。本発明の硬化性組成物が、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンと共に化合物Aを含むことにより、硬化物としたときの架橋密度を効果的に高めることができ、硬化物(樹脂層)に高い表面硬度と優れた屈曲耐久性が付与されやすくなる。
化合物Aが有する「熱重合性官能基」は、化合物Aに熱により重合性を付与する官能基である限り特に限定されないが、例えば、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などが挙げられ、本発明の樹脂層の表面硬度、屈曲耐久性の観点から、水酸基、エポキシ基が好ましい。なお、化合物Aが2個以上の熱重合性官能基を有する場合、これらの熱重合性官能基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
化合物Aが有する「光重合性官能基」は、化合物Aに光(例えば、紫外線)により重合性を付与する官能基である限り特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などが挙げられ、本発明の樹脂層の表面硬度、屈曲耐久性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、化合物Aが2個以上の光重合性官能基を有する場合、これらの光重合性官能基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
化合物Aが1分子内に有する熱重合性官能基の数は1個以上であればよく、特に限定されないが、例えば、1〜5個が好ましく、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個又は2個である。また、化合物Aが1分子内に有する光重合性官能基の数は1個以上であればよく、特に限定されないが、例えば、1〜5個が好ましく、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個又は2個である。
化合物Aの熱重合性官能基の官能基当量は、特に限定されないが、50〜500が好ましく、より好ましくは80〜480、さらに好ましくは120〜450である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物(樹脂層)の屈曲耐久性が不十分となる場合がある。一方、上記官能基当量が500を超えると、硬化物(樹脂層)の表面硬度が低下する場合がある。なお、化合物Aの熱重合性官能基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[熱重合性官能基の官能基当量]=[化合物Aの分子量]/[化合物Aが有する熱重合性官能基の数]
化合物Aの光重合性官能基の官能基当量は、特に限定されないが、50〜500が好ましく、より好ましくは80〜480、さらに好ましくは120〜450である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物(樹脂層)の屈曲耐久性が不十分となる場合がある。一方、上記官能基当量が500を超えると、硬化物(樹脂層)の表面硬度が低下する場合がある。なお、化合物Aの光重合性官能基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[光重合性官能基の官能基当量]=[化合物Aの分子量]/[化合物Aが有する光重合性官能基の数]
化合物Aとしては、具体的には、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート(トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの両方のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルハーフ(メタ)アクリレート(トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの一方のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物)、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両方のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物)、ビスフェノールAエポキシハーフ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジグリシジルエーテルの一方のエポキシ基に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させて得られる化合物)、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSエポキシハーフ(メタ)アクリレートなどの1分子内にエポキシ基及び又は水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−へキシル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレートなどの1分子内にオキセタニル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルなどの1分子内にビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物などが挙げられる。
硬化物(樹脂層)の屈曲耐久性及び表面硬度の観点から、化合物Aとしては、1分子内に熱重合性官能基としてエポキシ基及び/又は水酸基と、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が好ましく、具体的は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSエポキシハーフ(メタ)アクリレートなどが好ましい。
なお、本発明の硬化性組成物において化合物Aは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。化合物Aは、公知の方法により製造することができ、例えば、1分子内に2個以上の熱重合性官能基(例えば、エポキシ基、水酸基)を有する化合物の該熱重合性官能基の一部を、光重合性官能基を有するカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸等)又はその誘導体と反応させる方法などにより得られる。また、上記化合物Aとしては、例えば、商品名「ライトエステルG」、「エポキシエステル200PA」、「エポキシエステル200PA−E5」(以上、共栄社化学(株)製)、商品名「NK OLIGO EA1010N」(新中村化学工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における上記化合物Aの含有量(配合量)は、特に限定されないが、固形分として、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、より好ましくは3〜75重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。化合物Aの含有量を1重量部以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の屈曲耐久性がより向上する傾向がある。一方、化合物Aの含有量を100重量部以下とすることにより、硬化物(樹脂層)の表面硬度を維持できる傾向がある。
(フッ素含有光重合性樹脂)
本発明の硬化性組成物は、フッ素含有光重合性樹脂を含むことが好ましい。フッ素含有光重合性樹脂は、分子内にフルオロ脂肪族炭化水素骨格等のフッ素含有基と光重合性官能基を有する樹脂(オリゴマー)である。本発明の硬化性組成物が、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンや化合物Aと共にフッ素含有光重合性樹脂を含むことにより、硬化物としたときの樹脂層表面の架橋密度を効果的に高めることができ、硬化物(樹脂層)の表面の平滑性などの外観を向上させ、表面硬度、耐擦傷性及び防汚性を向上させる性質を有する。特に、フッ素含有光重合性樹脂は、化合物Aと共に本発明の硬化性組成物に配合されることにより、その効果は顕著となる。
フッ素含有光重合性樹脂が有する光重合性官能基としては、上記の化合物Aが有する「光重合性官能基」と同様のものが挙げられ、本発明の樹脂層の耐擦傷性、防汚性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、フッ素含有光重合性樹脂が2個以上の光重合性官能基を有する場合、これらの光重合性官能基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記フッ素含有光重合性樹脂が1分子内に有する光重合性官能基の数は1個以上であればよく、特に限定されないが、例えば、1〜5個が好ましく、より好ましくは1〜3個である。
上記フッ素含有光重合性樹脂が有する「フッ素含有基」は、フッ素原子を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、フルオロ脂肪族炭化水素骨格を有するものが挙げられる。フルオロ脂肪族炭化水素骨格としては、例えばフルオロメタン、フルオロエタン、フルオロプロパン、フルオロイソプロパン、フルオロブタン、フルオロイソブタン、フルオロt−ブタン、フルオロペンタン、フルオロヘキサン等のフルオロC1-10アルカン等を挙げることができる。
これらのフルオロ脂肪族炭化水素骨格は、少なくとも一部の水素原子がフッ素原子に置換されていればよいが、樹脂層の耐擦傷性、滑り性及び防汚性を向上できる点から、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロ脂肪族炭化水素骨格が好ましい。
さらに、フルオロ脂肪族炭化水素骨格は、エーテル結合を介した繰り返し単位であるポリフルオロアルキレンエーテル骨格を形成していてもよい。繰り返し単位としてのフルオロ脂肪族炭化水素基は、フルオロメチレン、フルオロエチレン、フルオロプロピレン、フルオロイソプロピレン等のフルオロC1-4アルキレン基からなる群より選択された少なくとも1種であってもよい。ポリフルオロアルキレンエーテル単位の繰り返し数(重合度)は、例えば10〜3000であり、好ましくは30〜1000であり、より好ましくは50〜500である。
上記フッ素含有光重合性樹脂は、上記の「光重合性官能基」、「フッ素含有基」に加えて、シリコーン含有基を有していてもよい。フッ素含有光重合性樹脂が、さらにシリコーン含有基を有することにより、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンとの親和性が向上し、硬化物(樹脂層)の表面硬度、耐擦傷性、防汚性が、さらに向上する傾向がある。シリコーン含有基はポリオルガノシロキサン骨格を有する基であり、M単位、D単位、T単位、Q単位で形成されたポリオルガノシロキサンであればよいが、通常、D単位で形成されたポリオルガノシロキサンが好ましく使用される。ポリオルガノシロキサンの有機基としては、通常、C1-4アルキル基、アリール基が使用され、メチル基、フェニル基(特にメチル基)が汎用される。シロキサン単位の繰り返し数(重合度)は、例えば2〜3000であり、好ましくは3〜2000であり、より好ましくは5〜1000である。
上記フッ素含有光重合性樹脂としては、市販品を使用でき、例えば、商品名「メガファックRS−56」、「メガファックRS−75」、「メガファックRS−72−K」、「メガファックRS−76−E」、「メガファックRS−76−E」、「メガファックRS−76−NS」、「メガファックRS−78」、「メガファックRS−90」(以上、DIC(株)製);商品名「フタージェント601AD」、「フタージェント601ADH2」、「フタージェント602A」、「フタージェント650AC」、「フタージェント681」(以上、ネオス(株)製)等を使用することができる。
これらのフッ素含有光重合性樹脂は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性組成物における上記フッ素含有光重合性樹脂の含有量(配合量)は、特に限定されないが、固形分として、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。フッ素含有光重合性樹脂の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の耐擦傷性・防汚性がより向上する傾向がある。
(エポキシ化合物)
上記硬化性組成物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物(以下、単に「エポキシ化合物」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンに加えて、エポキシ化合物を含むことにより、高い表面硬度を有し、柔軟性、可とう性及び加工性に優れた硬化物(樹脂層)を形成できる。
上記エポキシ化合物としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)等を挙げることができる。なかでも、脂環式エポキシ化合物が好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、(1)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する)を有する化合物;(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物;(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)等を挙げることができる。
上記(1)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物としては、公知慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。なかでも、上記脂環エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基が好ましく、特に、下記式(i)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019220642
上記式(i)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等を挙げることができる。式(i)中のシクロヘキサン環の水素原子の1個以上は、炭素数1〜6のアルキル基などの置換基で置換されていてもよい。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等を挙げることができる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、下記式(i−1)〜(i−10)で表される化合物等を挙げることができる。なお、下記式(i−5)、(i−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(i−5)中のR’は炭素数1〜8のアルキレン基であり、なかでも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i−9)、(i−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。また、上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物としては、その他、例えば、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、2,3−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)オキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル等を挙げることができる。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
上述の(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等を挙げることができる。
Figure 2019220642
式(ii)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等を挙げることができる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等を挙げることができる。
上述の(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルを挙げることができる。より詳しくは、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン等のビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン等のビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水素化エポキシ化合物;下記芳香族エポキシ化合物の水素化エポキシ化合物等を挙げることができる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等を挙げることができる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等を挙げることができる。なお、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等を挙げることができる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
上記エポキシ化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。エポキシ化合物としては、硬化物(樹脂層)の表面硬度、屈曲性、屈曲耐久性等の観点から、脂環式エポキシ化合物が好ましく、(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物がより好ましく、上記式(ii)で表される化合物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]が特に好ましい。
上記エポキシ化合物の含有量(配合量)は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの全量100重量部に対して、例えば0.5〜100重量部であり、好ましくは1〜80重量部であり、より好ましくは5〜50重量部である。上記エポキシ化合物の含有量を0.5重量部以上とすることにより、硬化物(樹脂層)の表面硬度がより高くなり、柔軟性、可とう性、加工性、屈曲耐久性により優れる傾向がある。一方、上記エポキシ化合物の含有量を100重量部以下とすることにより、硬化物の耐擦傷性がより向上する傾向がある。
(表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子)
本発明の硬化性組成物は、「表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子」を含んでいてもよい。表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子は、シリカ粒子の表面に無数の水酸基(Si−OH基)が存在し、硬化時に当該水酸基と前記本発明のポリオルガノシルセスキオキサンとが反応することで、ポリオルガノシルセスキオキサンの硬化後の架橋密度が向上する。また、硬化時に複数の前記シリカ粒子における(メタ)アクリロイル基どうしが結合することで、硬化後の架橋密度が向上する。このように硬化後の架橋密度が向上することで、樹脂層における耐擦傷性が向上する。また、樹脂層の上に防汚性や低反射性などの機能を有する層(機能層)を設けると、樹脂層と機能層の密着性が弱く、機能層の剥がれが発生する場合があり、いわゆるリコート性がないということがある。しかし、前記シリカ粒子を用いると、リコート性を付与することができ、また、樹脂層表面に対する上記の機能層を設ける際の加工性(加工適性)も良くすることができる。
さらに、前記シリカ粒子は、表面に(メタ)アクリロイル基を有することで、硬化性組成物における安定性を付与できると考えられる。前記の安定性とは、硬化前の硬化性組成物の調製段階において、前記シリカ粒子とポリオルガノシルセスキオキサンとが反応して、硬化性組成物の粘度が著しく上昇(ゲル化)したり、固化したりしないことを言う。(メタ)アクリロイル基を含む基などの官能基を表面に有さない通常のシリカ粒子(SiO 2粒子)を用いた場合、シリカ粒子どうしが凝集し、硬化性組成物がゲル化するおそれがある。前記シリカ粒子は、(メタ)アクリロイル基以外の官能基(例えば、シリコーン変性基)を有していてもよい。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(アクリル基)及びメタアクリロイル基(メタクリル基)の総称である。
前記シリカ粒子は、水や有機溶媒などの公知乃至慣用の一般的な分散媒に分散させた状態の分散液(ディスパージョン)を用いてもよい。また、シリカ粒子に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシランカップリング剤を反応させたものを前記シリカ粒子として用いてもよい。前記シリカ粒子としては、例えば、商品名「BYK−LPX 22699」、「NANOBYK−3650」、「NANOBYK−3651」、「NANOBYK−3652」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)を用いることができる。
前記シリカ粒子の粒径は、例えば、1〜100nm、好ましくは3〜50nm、より好ましくは5〜30nmである。
本発明の硬化性組成物が表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子を含む場合、その割合は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。前記シリカ粒子の割合を0.01重量部以上とすることにより、樹脂層表面の外観を良くすることができ、十分なリコート性を付与できる。また、シリカ粒子の割合を20重量部以下とすることにより、樹脂層の表面硬度を高くすることができる。
(シリコンアクリレート)
本発明の硬化性組成物は、「シリコンアクリレート」を含んでいてもよい。シリコンアクリレート(シリコーンアクリレート)は、ケイ素原子と(メタ)アクリロイル基とを少なくとも有する添加剤の一種である。前記シリコンアクリレートは、(メタ)アクリロイル基以外の官能基(例えば、ヒドロキシル基)を有していてもよい。前記シリコンアクリレートは、シリコンジアクリレート、シリコントリアクリレート、シリコンテトラアクリレート、シリコンペンタアクリレート、シリコンヘキサアクリレート、シリコンヘプタアクリレート、シリコンオクタアクリレートであってもよい。前記シリコンアクリレートは、前記ポリオルガノシルセスキオキサンとともに硬化性組成物に用いることで、樹脂層としたときの樹脂層表面の架橋密度を効果的に高めることができ、樹脂層の表面の平滑性などの外観を向上させ、表面硬度、耐擦傷性及び防汚性を向上させる性質を有する。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(アクリル基)及びメタアクリロイル基(メタクリル基)の総称である。
前記シリコンアクリレートは、有機溶媒(例えば、アセトン、トルエン、メタノール、エタノール)などの公知乃至慣用の一般的な分散媒に分散させた状態の分散液(ディスパージョン)を用いてもよい。シリコンアクリレートとしては、例えば、商品名「KRM8479」、「EBECRYL 350」、「EBECRYL 1360」(ダイセル・オルネクス(株)製)を用いることができる。
本発明の硬化性組成物が前記シリコンアクリレートを含む場合、その割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。前記シリコンアクリレートの割合を0.01重量部以上とすることにより、樹脂層としたときの耐擦傷性と防汚性を向上することができる。また、シリコンアクリレートの割合を15重量部以下とすることにより、樹脂層としたときの表面硬度をより高くすることができる。
樹脂層の外観をさらに向上させ、表面硬度を高くし、耐擦傷性を向上させる点で、シリコンアクリレートと、表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子とを両方を用いることが好ましい。シリコンアクリレートと前記シリカ粒子を両方含む場合のシリコンアクリレートと前記シリカ粒子の合計の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。前記割合を0.01重量部以上とすることにより、樹脂層としたときの耐擦傷性を向上することができる。また、前記割合を20重量部以下とすることにより、樹脂層としたときの表面硬度をより高くすることができる。
(レベリング剤)
本発明の硬化性組成物は、レベリング剤を有していてもよい。上記レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、ヒドロキシル基を有するシリコーン系レベリング剤等が挙げられる。但し、レベリング剤は、上述のフッ素含有光重合性樹脂は含まないものとする。
上記シリコーン系レベリング剤としては、市販のシリコーン系レベリング剤を使用でき、例えば、商品名「BYK−300」、「BYK−301/302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−315」、「BYK−313」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−345/346」、「BYK−347」、「BYK−348」、「BYK−349」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−377」、「BYK−378」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−3550」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製);商品名「AC FS 180」、「AC FS 360」、「AC S 20」(以上、Algin Chemie製);商品名「ポリフローKL−400X」、「ポリフローKL−400HF」、「ポリフローKL−401」、「ポリフローKL−402」、「ポリフローKL−403」、「ポリフローKL−404」(以上、共栄社化学(株)製);商品名「KP−323」、「KP−326」、「KP−341」、「KP−104」、「KP−110」、「KP−112」(以上、信越化学工業(株)製);商品名「LP−7001」、「LP−7002」、「8032 ADDITIVE」、「57 ADDITIVE」、「L−7604」、「FZ−2110」、「FZ−2105」、「67 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記フッ素系レベリング剤としては、市販のフッ素系レベリング剤を使用でき、例えば、商品名「オプツールDSX」、「オプツールDAC−HP」(以上、ダイキン工業(株)製);商品名「サーフロンS−242」、「サーフロンS−243」、「サーフロンS−420」、「サーフロンS−611」、「サーフロンS−651」、「サーフロンS−386」(以上、AGCセイミケミカル(株)製);商品名「BYK−340」(ビックケミー・ジャパン(株)製);商品名「AC 110a」、「AC 100a」(以上、Algin Chemie製);商品名「メガファックF−114」、「メガファックF−410」、「メガファックF−444」、「メガファックEXP TP−2066」、「メガファックF−430」、「メガファックF−472SF」、「メガファックF−477」、「メガファックF−552」、「メガファックF−553」、「メガファックF−554」、「メガファックF−555」、「メガファックR−94」、「メガファックRS−72−K」、「メガファックRS−75」、「メガファックF−556」、「メガファックEXP TF−1367」、「メガファックEXP TF−1437」、「メガファックF−558」、「メガファックEXP TF−1537」(以上、DIC(株)製);商品名「FC−4430」、「FC−4432」(以上、住友スリーエム(株)製);商品名「フタージェント 100」、「フタージェント 100C」、「フタージェント 110」、「フタージェント 150」、「フタージェント 150CH」、「フタージェント A−K」、「フタージェント 501」、「フタージェント 250」、「フタージェント 251」、「フタージェント 222F」、「フタージェント 208G」、「フタージェント 300」、「フタージェント 310」、「フタージェント 400SW」(以上、(株)ネオス製);商品名「PF−136A」、「PF−156A」、「PF−151N」、「PF−636」、「PF−6320」、「PF−656」、「PF−6520」、「PF−651」、「PF−652」、「PF−3320」(以上、北村化学産業(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ヒドロキシル基を有するシリコーン系レベリング剤としては、例えば、ポリオルガノシロキサン骨格(ポリジメチルシロキサン等)の主鎖又は側鎖にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン骨格の主鎖又は側鎖にポリエステル基を導入したポリエステル変性ポリオルガノシロキサン、(メタ)アクリル系樹脂にポリオルガノシロキサンを導入したシリコーン変性(メタ)アクリル系樹脂等を挙げることができる。これらのレベリング剤において、ヒドロキシル基は、ポリオルガノシロキサン骨格を有していてもよく、ポリエーテル基、ポリエステル基を有していてもよい。このようなレベリング剤の市販品としては、例えば、商品名「BYK−370」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」等を使用することができる。
本発明の硬化性組成物が上記レベリング剤を含む場合、その割合は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01〜20重量部であり、好ましくは0.05〜15重量部であり、より好ましくは0.01〜10重量部であり、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。レベリング剤の割合が少な過ぎると、樹脂層の表面平滑性が低下するおそれがあり、多過ぎると、樹脂層の表面硬度が低下するおそれがある。
本発明の硬化性組成物は、さらに、その他任意の成分として、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化助剤、溶剤(有機溶剤等)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、補強材(他の充填剤など)、核剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤など)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料など)、帯電防止剤、分散剤、消泡剤、ワキ防止剤、表面改質剤(スリップ剤など)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、光増感剤、発泡剤などの慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(硬化性組成物の製造方法)
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で又は必要に応じて加熱しながら攪拌・混合することにより調製することができる。なお、硬化性組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、前記硬化性組成物は、溶媒20%に希釈した液[特に、メチルイソブチルケトンの割合が20重量%である硬化性組成物(溶液)]の25℃における粘度として、300〜20000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜10000mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。上記粘度を300mPa・s以上とすることにより、樹脂層の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、上記粘度を20000mPa・s以下とすることにより、硬化性組成物の調製や取り扱いが容易となり、また、樹脂層中に気泡が残存しにくくなる傾向がある。なお、硬化性組成物の粘度は、粘度計(商品名「MCR301」、アントンパール社製)を用いて、振り角5%、周波数0.1〜100(1/s)、温度:25℃の条件で測定される。
本発明における樹脂層は、前記硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物(本発明のポリオルガノシルセスキオキサン等)の重合反応を進行させて、硬化させることにより得ることができる。
樹脂層のリコート性をより向上させるために、樹脂層の表面にコロナ放電照射により表面を改質させるコロナ放電処理、プラズマ放電処理、オゾン暴露処理、エキシマ処理等の表面処理をしてもよい。なかでも容易にリコート性を向上させることができる点よりコロナ放電処理がより好ましい。
コロナ放電処理は、尖った電極(針電極)の周りに不均一な電界を生じさせ、持続的な放電を発生させることで樹脂層表面を加工する処理である。プラズマ放電処理は、大気中で放電することによって活性化したプラスとマイナスの帯電粒子を発生させて樹脂層表面を加工する処理である。オゾン暴露処理は、例えば、酸素存在下で低圧水銀ランプ等を用いた紫外線照射によってオゾンを発生させて樹脂層表面を加工する処理である。エキシマ処理は、真空状態でエキシマランプを用いた紫外線照射やレーザー照射によって樹脂層表面を加工する処理である。
樹脂層上に設けることができる機能層としては、例えば、耐擦傷性、耐摩耗性、防汚性(耐汚染性)、防指紋性、反射防止性(低反射性)等の機能を有する層が挙げられる。機能層は、携帯電話やスマートフォンなどの表示装置における樹脂層において用いられる上記で挙げた機能を有する一般的な公知乃至慣用の機能層である。機能層を構成する材料としては、例えば、アクリル系材料、フッ素系材料、シリコーン系材料が挙げられる。樹脂層上に機能層を設ける方法としては、後記の積層フィルムと同様の塗布による方法、蒸着やスパッタリングなどによる方法が挙げられる。
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルムは、公知乃至慣用のハードコートフィルムの製造方法に準じて製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、支持体の少なくとも一方の面に前記硬化性組成物を塗布し、硬化性組成物を硬化させることにより樹脂層を形成させることにより製造できる。
前記樹脂層における硬化の方法は、周知の方法より適宜選択でき、例えば、活性エネルギー線の照射、及び/又は、加熱する方法が挙げられる。上記活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等のいずれを使用することもできる。中でも、取り扱い性に優れる点で、紫外線が好ましい。
前記樹脂層における活性エネルギー線の照射による硬化の条件は、照射する活性エネルギー線の種類やエネルギー、樹脂層の形状やサイズ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば1〜1000mJ/cm2程度とすることが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、LEDランプ、レーザー等を使用することができる。活性エネルギー線の照射後には、さらに加熱処理(アニール、エージング)を施してさらに硬化反応を進行させることができる。
前記樹脂層における加熱による硬化の条件は、特に限定されないが、例えば、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃である。硬化時間は適宜設定可能である。
本発明の積層フィルムは、可撓性及び加工性に優れた樹脂層から構成されるため、ロールトゥロール方式での製造が可能である。本発明の積層フィルムをロールトゥロール方式で製造することにより、その生産性を著しく高めることが可能である。本発明の積層フィルムをロールトゥロール方式で製造する方法としては、公知乃至慣用のロールトゥロール方式の製造方法を採用することができ、特に限定されないが、ロール状に巻いた支持体を繰り出す工程(工程A)と、繰り出した支持体の少なくとも一方の表面に硬化性組成物を塗布し、次いで、必要に応じて溶剤を乾燥によって除去した後、該硬化性組成物を硬化させることにより樹脂層を形成する工程(工程B)と、その後、得られた積層物を再びロールに巻き取る工程(工程C)とを必須の工程として含み、これら工程(工程A〜C)を連続的に実施する方法等が挙げられる。なお、当該方法は、工程A〜C以外の工程を含んでいてもよい。
[フォルダブルデバイス]
本発明の積層フィルムは、高い表面硬度と優れた屈曲耐久性を有するため、通常の画像表示装置の表面保護材の他、繰り返し折り畳んで使用されるフォルダブルデバイスの表面保護材として好適に使用することができる。
フレキシブルデバイスには、例えば、スマートフォンやタブレットやウェアラブル端末等の携帯情報端末等が含まれ、例えば、本発明の積層フィルムは、これらフレキシブルデバイス用のディスプレイ(例えば、タッチパネル、ウェアラブル端末、有機ELディスプレイ等に使用されるディスプレイ)の保護フィルム、バリアフィルム、TFT基板等が含まれる。本発明のフォルダブルデバイスは屈曲耐久性に優れる本発明の積層フィルムを備えるため、屈曲−伸展を繰り返しても樹脂層にクラックが発生することが無く、信頼性に優れる。また、透明性に優れる上記積層フィルムを備えた携帯情報端末等のフォルダブルデバイスは、視認性に優れる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成物の分子量の測定は、Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)、Refractive Index Detector 2414(Waters製)、カラム:Tskgel GMHHR−M×2(東ソー(株)製)、ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)、カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)、溶媒:THF、測定条件:40℃により行った。また、生成物におけるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]の測定は、JEOL ECA500(500MHz)による29Si−NMRスペクトル測定により行った。
製造例1:エポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの製造
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン277.2ミリモル(68.30g)、フェニルトリメトキシシラン3.0ミリモル(0.56g)、及びアセトン275.4gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、5%炭酸カリウム水溶液7.74g(炭酸カリウムとして2.8ミリモル)を5分で添加した後、水2800.0ミリモル(50.40g)を20分かけて添加した。なお、添加の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で5時間行った。
その後、反応溶液を冷却すると同時に、メチルイソブチルケトン137.70gと5%食塩水100.60gとを投入した。この溶液を1Lの分液ロートに移し、再度メチルイソブチルケトン137.70gを投入し、水洗を行った。分液後、水層を抜き取り、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、50℃の条件で上層液から溶媒を留去し、メチルイソブチルケトンを23重量%含有する無色透明で液状の生成物(エポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサン)を75.18g得た。
生成物を分析したところ、数平均分子量は2235であり、分子量分散度は1.54であった。上記生成物の29Si−NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]は11.9であった。
得られたエポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの1H−NMRチャートを図3、29Si−NMRチャートを図4にそれぞれ示す。
製造例2:エポキシ基含有高分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの製造
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた1000ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下に製造例1で得られたエポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンを含む混合物(75g)を仕込み、エポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサンの正味含有量に対して水酸化カリウムを100ppm(5.6mg)、水を2000ppm(112mg)添加し、80℃で18時間加熱した時点でサンプリングして分子量を測定したところ、数平均分子量Mnが6000まで上昇しており、その後室温まで冷却し、メチルイソブチルケトンを300mL添加し、水を300mL添加し、水洗を繰り返すことでアルカリ成分を除去して濃縮すると、メチルイソブチルケトンを25重量%含有する無色透明で液状の生成物(エポキシ基含有高分子量ポリオルガノシルセスキオキサン1)を74.5g得た。
生成物を分析したところ、数平均分子量は6176であり、分子量分散度は2.31であった。上記生成物の29Si−NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]は50.2であった。
得られたエポキシ基含有高分子量ポリオルガノシルセスキオキサン1の1H−NMRチャートを図5、29Si−NMRチャートを図6にそれぞれ示す。
実施例1:ハードコートフィルムの製造
表1に示す配合比の混合溶液を作製し、これをハードコート液(硬化性組成物)として使用した。上記で得られたハードコート液を硬化後のハードコート層の厚さが10μmとなるようにワイヤーバー#14を用いて、PENフィルム(商品名「テオネックスQ65HWA」、帝人(株)製)の表面へ塗布した後、150℃のオーブンで2分間放置し、次いで、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)社製)を用いて600mJ/cm2の照度で紫外線を照射した。その後、150℃で60分間熱処理することによってハードコート液の塗工膜を硬化させ、ハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
Figure 2019220642
実施例2〜5:ハードコートフィルムの製造
ハードコート層の厚さを20〜50μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
実施例6:ハードコートフィルムの製造
表2に示す配合比のハードコート液を使用し、ハードコート層の厚さを40μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
Figure 2019220642
実施例7:ハードコートフィルムの製造
表3に示す配合比のハードコート液を使用し、ハードコート層の厚さを40μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
Figure 2019220642
実施例8:ハードコートフィルムの製造
表4に示す配合比のハードコート液を使用し、ハードコート層の厚さを40μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
Figure 2019220642
比較例1〜3:ハードコートフィルムの製造
表5に示す配合比のハードコート液を使用し、ハードコート層の厚さを40μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
Figure 2019220642
実施例、比較例で得られたハードコートフィルムについて以下の評価を行った。結果を表6に示す。
<ヘイズ及び全光線透過率>
上記で得たハードコートフィルムのヘイズ及び全光線透過率を、ヘイズメータ(日本電色工業(株)製、NDH−5000W)を使用して測定した。
<表面硬度(鉛筆硬度)>
上記で得たハードコートフィルムにおけるハードコート層表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(750g荷重)に準じて評価した。
<耐擦傷性>
上記で得たハードコートフィルムにおけるハードコート層表面に対し、#0000スチールウールを荷重1000g/cm2にて往復させ、ハードコート層表面に付いた傷の有無を確認し、ハードコート層の表面に傷が確認できるまでの回数で耐擦傷性を評価した。なお、1000回以上往復させても傷が確認できない場合は「1K<」と表示した。
<屈曲性(1)(円筒形マンドレル法)>
上記で得たハードコートフィルムの屈曲性を、ハードコート表面が凹(内側)になるように円筒形マンドレルを使用してJIS K5600−5−1に準じて、ハードコート層の表面にクラックが発生しない屈曲半径(mm)で屈曲性(1)を評価した。
<屈曲性(2)(円筒形マンドレル法)>
上記で得たハードコートフィルムの屈曲性を、ハードコート表面が凸(外側)になるように円筒形マンドレルを使用してJIS K5600−5−1に準じて、ハードコート層の表面にクラックが発生しない屈曲半径(mm)で屈曲性(2)を評価した。
<連続屈曲耐久性(1)>
上記で得たハードコートフィルムの連続屈曲耐久性を、面状体無負荷U字伸縮試験機(ユアサシステム機器(株)製、Z−044)を使用して測定した。測定はハードコート層の面を凹(内側)として、屈曲半径2.5mm、30〜60回/分の速さで行い、ハードコート層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)とした(図1、2参照)。なお、100000回以上でもクラックが発生しない場合は、「100K<」と表示した。
<屈曲耐久性(2)>
上記で得たハードコートフィルムの連続屈曲耐久性を、面状体無負荷U字伸縮試験機(ユアサシステム機器(株)製、Z−044)を使用して測定した。測定はハードコート層の面を凸(外側)として、屈曲半径4.0mm、30〜60回/分の速さで行い、ハードコート層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(2)とした(図1、2参照)。なお、100000回以上でもクラックが発生しない場合は、「100K<」と表示した。
<水接触角>
上記で得られたハードコートフィルムの表面(ハードコート層の表面)の水接触角(°)を液滴法で測定した。
Figure 2019220642
実施例、比較例で使用した成分は、以下の通りである。
[樹脂]
製造例1:製造例1で得られたエポキシ基含有低分子量ポリオルガノシルセスキオキサン(本発明のポリオルガノシルセスキオキサン)
200PA−E5:商品名「エポキシエステル200PA−E5」、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルハーフ(メタ)アクリレート(分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物)、共栄社化学(株)製
ライトエステルG::商品名「ライトエステルG」、グリシジルメタクリレート(分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物)、共栄社化学(株)製
EA−1010N:商品名「NK OLIGO EA1010N」、ビスフェノールAエポキシハーフアクリレート(分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物)、新中村化学工業(株)製
EHPE3150、商品名「EHPE3150」(脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物)、(株)ダイセル製
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製
[重合開始剤]
CPI−310PG:商品名「CPI−310PG」、光カチオン重合開始剤、サンアプロ(株)製
CPI−210S:商品名「CPI−210S」、光カチオン重合開始剤、サンアプロ(株)製
[フッ素含有光重合性樹脂]
FT601ADH2:商品名「フタージェント601ADH2」、ネオス(株)製
RS−76−E:商品名「メガファックRS−76−E」、DIC(株)製
[表面調整剤]
サーフロンS243:商品名「サーフロンS243」(フッ素系レベリング剤)、AGCセイミケミカル(株)製
[溶媒]
MIBK:メチルイソブチルケトン
MEK:メチルエチルケトン
上記で説明した本発明のバリエーションを以下に付記する。
[1]支持体と、
該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、
該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件2)を充足することを特徴とする積層フィルム。
(条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
(条件2)下記屈曲耐久性試験(1)における屈曲耐久性(1)が5万回以上である。
屈曲耐久性試験(1):
積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凹となる方向に屈曲半径が2.5mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)の指標とする
[2]前記鉛筆硬度が、1H以上(好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上、より好ましくは5H以上、より好ましくは6H以上、より好ましくは7H以上、さらに好ましくは8H以上、特に好ましくは9H)である、前記[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記屈曲耐久性(1)が6万回以上(好ましくは7万回以上、より好ましくは8万回以上、より好ましくは9万回以上、より好ましくは10万回以上、さらに好ましくは15万回以上、特に好ましくは20万回以上)である、前記[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]支持体と、
該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、
該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件3)を充足することを特徴とする積層フィルム。
(条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
(条件3)下記屈曲耐久性試験(2)における屈曲耐久性(2)が1万回以上である。
屈曲耐久性試験(2):
積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凸となる方向に屈曲半径が4.0mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(2)の指標とする
[5]前記鉛筆硬度が、1H以上(好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上、より好ましくは5H以上、より好ましくは6H以上、より好ましくは7H以上、さらに好ましくは8H以上、特に好ましくは9H)である、前記[4]に記載の積層フィルム。
[6]前記屈曲耐久性(2)が2万回以上(好ましくは3万回以上、より好ましくは4万回以上、より好ましくは5万回以上、より好ましくは6万回以上、より好ましくは7万回以上、より好ましくは8万回以上、より好ましくは9万回以上、より好ましくは10万回以上、さらに好ましくは15万回以上、特に好ましくは20万回以上)である、前記[4]又は[5]に記載の積層フィルム。
[7]さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件4)を充足する、前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
(条件4)積層フィルムの樹脂層の面が凸となるJIS K5600−5−1(1999)に規定する円筒形マンドレル試験において、屈曲半径が5mm(好ましくは4.5mm、より好ましくは4.0mm、より好ましくは3.5mm、より好ましくは3.0mm、さらに好ましくは2.5mm、特に好ましくは2.0mm)で樹脂層の面にクラックが発生しない
[8]前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)の面の水接触角が95°以上(好ましくは96°以上、より好ましくは97°以上、より好ましくは98°以上、より好ましくは99°以上、より好ましくは100°以上、より好ましくは101°以上、より好ましくは102°以上、より好ましくは103°以上、さらに好ましくは104°以上、特に好ましくは105°以上)である、前記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[9]さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件5)を充足する、前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
(条件5)#0000番のスチールウールで1kg/cm2の荷重をかけながら、前記樹脂層の表面を30回(好ましくは100回、より好ましく200回、より好ましくは300回、より好ましくは500回、より好ましくは700回、さらに好ましくは1000回、特に好ましくは2000回)往復摩擦させる耐スチールウール試験において目視で傷が生じない。
[10]前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)のヘイズが1.0%以下(好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下)である、前記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[11]ヘイズが、7%以下(好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下)である、前記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[12]全光線透過率が、85%以上(好ましくは90%以上)である、前記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[13]厚み(支持体/樹脂層の総厚み)が、1〜10000μm(好ましくは10〜1000μm、より好ましくは15〜800μm、さらに好ましくは20〜700μm、特に好ましくは30〜500μm)である、前記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[14]前記支持体が、ポリエステルフィルム(特に、PET、PEN)、ポリイミドフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、TACフィルム、又はPMMAフィルム(好ましくはポリエステルフィルム(特に、PET、PEN)、又はポリイミドフィルム)である、前記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[15]前記支持体の厚みが、1〜1000μm(好ましくは5〜500μm、より好ましく10〜400μm、より好ましくは15〜400μm、さらに好ましくは20〜300μm、特に好ましくは25〜200μm)である、前記[1]〜[14]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[16]前記支持体のヘイズが、7%以下(好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下)である、前記[1]〜[15]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[17]支持体の全光線透過率が、85%以上(好ましくは90%以上)である、前記[1]〜[16]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[18]前記樹脂層の厚みが、1〜100μm(好ましくは2〜80μm、より好ましくは3〜60μm、さらに好ましくは5〜50μm、最も好ましくは10〜40μm)である、前記[1]〜[17]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[19]前記樹脂層の全光線透過率が、85%以上(好ましくは90%以上)である、前記[1]〜[18]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[20]前記樹脂層の算術平均粗さRaが、JIS B0601に準拠した方法において、0.1〜20nm(好ましくは0.1〜10nm、より好ましくは0.1〜5nm)である、前記[1]〜[19]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[21]前記樹脂層が、1種以上の硬化性化合物を含む硬化性組成物の硬化物であり、硬化性化合物の少なくとも1種がポリオルガノシルセスキオキサンである、前記[1]〜[20]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[22]前記硬化性組成物が、下記式(1)で表される構成単位を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含む、前記[21]に記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[式(1)中、R1は、カチオン重合性官能基を含有する基を示す。]
[23]前記カチオン重合性官能基が、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくはエポキシ基)である、前記[22]に記載の積層フィルム。
[24]前記カチオン重合性官能基を含有する基が、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、下記式(1c)で表される基、及び下記式(1d)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは下記式(1a)で表される基、及び下記式(1c)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種、さらに好ましくは下記式(1a)で表される基)である、前記[22]又は[23]に記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[上記式(1a)中、R1aは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
Figure 2019220642
[上記式(1b)中、R1bは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
Figure 2019220642
[上記式(1c)中、R1cは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
Figure 2019220642
[上記式(1d)中、R1dは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[25]R1が、上記式(1a)で表される基であって、R1aがエチレン基である基[中でも、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基]である、前記[22]〜[24]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[26]前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、さらに、下記式(2)で表される構成単位を有する、前記[22]〜[25]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[上記式(2)中、R2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。]
[27]前記R2が、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基(好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、より好ましくはフェニル基)である、前記[26]に記載の積層フィルム。
[28]前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、下記式(I)で表される構成単位(「T3体」と称する場合がある)と、下記式(II)で表される構成単位(「T2体」と称する場合がある)を有する、前記[22]〜[27]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
[上記式(I)中のRa及び式(II)中のRbは、それぞれ、カチオン重合性官能基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。上記式(II)中のRcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
[29]上記式(I)で表される構成単位(T3体)と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)の割合[T3体/T2体]が5以上(例えば、5以上、500以下)である、前記[28]に記載の積層フィルム。
[30]前記割合[T3体/T2体]の下限値が5(好ましくは6、さらに好ましくは7)であり、上限値が20未満(好ましくは18、より好ましくは16、さらに好ましくは14)である、前記[29]に記載の積層フィルム。
[31]前記割合[T3体/T2体]の下限値が20(好ましくは21、より好ましくは23、さらに好ましくは25)であり、上限値が500(好ましくは100、より好ましくは50、さらに好ましくは40)である、前記[29]に記載の積層フィルム。
[32]前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、下記式(4)で表される構成単位を有する、前記[22]〜[31]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[式(4)中、R1は、式(1)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ。]
[33]前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する、前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位の割合(総量)が55〜100モル%(好ましくは65〜100モル%、さらに好ましくは80〜99モル%)である、前記[32]に記載の積層フィルム。
[34]前記ポリオルガノシルセスキオキサンが下記式(5)で表される構成単位を有する、前記[22]〜[33]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[式(5)中、R2は、式(2)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ。]
[35]前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する、前記式(2)で表される構成単位及び前記式(5)で表される構成単位の割合(総量)が0〜70モル%(好ましくは0〜60モル%、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは1〜15モル%)である、前記[34]に記載の積層フィルム。
[36]前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される構成単位、前記式(4)で表される構成単位、及び前記式(5)で表される構成単位の割合(総量)が60〜100モル%(好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%)である、前記[32]〜[35]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[37]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量の下限値が1000(好ましくは1100)であり、上限値が3000(好ましくは2800、より好ましくは2600)である、前記[21]〜[36]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[38]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量の下限値が2500(好ましくは2800、より好ましくは3000)であり、上限値が50000(好ましくは10000、より好ましくは8000)である、前記[21]〜[36]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[39]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの分子量分散度の下限値が1.0(好ましくは1.1、より好ましくは1.2)である、前記[21]〜[38]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[40]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの分子量分散度の上限値が3.0(好ましくは2.0、より好ましくは1.9)である、前記[21]〜[39]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[41]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの分子量分散度の上限値が4.0(好ましくは3.0、より好ましくは2.5)である、前記[21]〜[39]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[42]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの空気雰囲気下における5%重量減少温度(Td5)が330℃以上(例えば、330〜450℃、好ましくは340℃以上、より好ましくは350℃以上)である、前記[21]〜[41]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[43]前記硬化性組成物における前記ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量(配合量)が、溶媒を除く硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、50重量%以上、100重量%未満(好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜95重量%)である、前記[21]〜[42]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[44]前記硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量(100重量%)に対する前記ポリオルガノシルセスキオキサンの割合が60〜99重量%(好ましくは65〜98重量%、より好ましくは70〜95重量%)である、前記[21]〜[43]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[45]前記硬化性組成物が、さらに、硬化触媒を含む、前記[21]〜[44]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[46]前記硬化触媒が光カチオン重合開始剤である、前記[45]に記載の積層フィルム。
[47]前記硬化触媒が熱カチオン重合開始剤である、前記[45]に記載の積層フィルム。
[48]前記硬化触媒の含有量(配合量)が、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01〜3.0重量部(好ましくは0.05〜3.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部、さらに好ましくは0.3〜1.0重量部)である、前記[45]〜[47]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[49]前記硬化性組成物が、分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物(以下、「化合物A」と称する場合がある。)を含む、前記[21]〜[48]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[50]前記化合物Aが有する「熱重合性官能基」が、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、及びビニルエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは水酸基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種)である、前記[49]に記載の積層フィルム。
[51]前記化合物Aが有する「光重合性官能基」が、(メタ)アクリロイル基、及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは(メタ)アクリロイル基)である、前記[49]又は[50]に記載の積層フィルム。
[52]前記化合物Aが1分子内に有する熱重合性官能基の数が1〜5個(好ましくは1〜3個、より好ましくは1個又は2個)である、前記[49]〜[51]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[53]前記化合物Aが1分子内に有する光重合性官能基の数が1〜5個(好ましくは1〜3個、より好ましくは1個又は2個)である、前記[49]〜[52]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[54]前記化合物Aの熱重合性官能基の官能基当量が50〜500(好ましくは80〜480、より好ましくは120〜450)である、前記[49]〜[53]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[55]前記化合物Aの光重合性官能基の官能基当量が50〜500(好ましくは80〜480、より好ましくは120〜450)である、前記[49]〜[54]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[56]前記化合物Aが、1分子内に熱重合性官能基としてエポキシ基及び/又は水酸基と、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である、前記[49]〜[55]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[57]前記化合物Aが、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシハーフ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールSエポキシハーフ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[49]〜[56]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[58]前記化合物Aの含有量(配合量)が、固形分として、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、1〜100重量部(好ましくは3〜75重量部、より好ましくは5〜50重量部)である、前記[49]〜[57]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[59]前記硬化性組成物が、さらに、フッ素含有光重合性樹脂を含む、前記[21]〜[58]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[60]前記フッ素含有光重合性樹脂が有する光重合性官能基が、(メタ)アクリロイル基、及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは(メタ)アクリロイル基)である、前記[59]に記載の積層フィルム。
[61]前記フッ素含有光重合性樹脂が1分子内に有する光重合性官能基の数が1〜5個(好ましくは1〜3個)である、前記[59]又は[60]に記載の積層フィルム。
[62]前記フッ素含有光重合性樹脂が有するフッ素含有基が、フルオロ脂肪族炭化水素骨格を有する基である、前記[59]〜[61]のいずれか1つに記載の積層フィルム。[63]前記フルオロ脂肪族炭化水素骨格が、エーテル結合を介した繰り返し単位であるポリフルオロアルキレンエーテル骨格を形成する、前記[62]に記載の積層フィルム。[64]前記フッ素含有光重合性樹脂が、シリコーン含有基を有する、前記[59]〜[63]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[65]前記フッ素含有光重合性樹脂の含有量(配合量)が、固形分として、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01〜15重量部(好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部)である、前記[59]〜[64]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[66]前記硬化性組成物が、さらに、前記ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物(以下、単に「エポキシ化合物」と称する場合がある)を含む、前記[21]〜[65]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[67]前記エポキシ化合物が、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、及び脂肪族エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは脂環式エポキシ化合物)である、前記[66]に記載の積層フィルム。
[68]前記脂環式エポキシ化合物が、(1)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する)を有する化合物;(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物;及び(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[67]に記載の積層フィルム。
[69]前記(1)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物が、下記式(i)で表される化合物である、前記[68]に記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[上記式(i)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。式(i)中のシクロヘキサン環の水素原子の1個以上は、炭素数1〜6のアルキル基などの置換基で置換されていてもよい。]
[70]前記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物が、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、2,3−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)オキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、及び下記式(i−1)〜(i−10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[69]に記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
Figure 2019220642
[上記式(i−5)、(i−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。上記式(i−5)中のR’は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。上記式(i−9)、(i−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。]
[71]前記(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物が、下記式(ii)で表される化合物である、前記[68]〜[70]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
Figure 2019220642
[式(ii)中、R”は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)を示す。p、nはそれぞれ自然数を表す。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。][72]前記エポキシ化合物が、(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物(好ましく、上記式(ii)で表される化合物)である、前記[68]〜[71]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[73]前記エポキシ化合物の含有量(配合量)が、前記ポリオルガノシルセスキオキサンの全量100重量部に対して、0.5〜100重量部(好ましくは1〜80重量部、より好ましくは5〜50重量部)である、前記[66]〜[72]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[74]前記支持体が、透明支持体である、前記[1]〜[73]のいずれか1つに記載の積層フィルム。
[75]、前記[1]〜[74]のいずれか1つに記載の積層フィルムを備えるフォルダブルデバイス。
[76]画像表示装置である、前記[75]に記載のフォルダブルデバイス。
[77]前記画像表示装置が、有機エレクトロルミネセンス表示装置である、前記[76]に記載のフォルダブルデバイス。
本発明の積層フィルムは、高い表面硬度と、優れた屈曲耐久性を有するため、有機エレクトロルミネセンス表示装置などのフォルダブルデバイスの表面保護材として好適である。

Claims (16)

  1. 支持体と、
    該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、
    該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件2)を充足することを特徴とする積層フィルム。
    (条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
    (条件2)下記屈曲耐久性試験(1)における屈曲耐久性(1)が5万回以上である。
    屈曲耐久性試験(1):
    積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凹となる方向に屈曲半径が2.5mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(1)の指標とする
  2. 支持体と、
    該支持体の少なくとも一方の面に積層された樹脂層を有する積層フィルムであって、
    該樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件1)及び(条件3)を充足することを特徴とする積層フィルム。
    (条件1)前記積層フィルムの樹脂層表面のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の鉛筆硬度が、F以上である。
    (条件3)下記屈曲耐久性試験(2)における屈曲耐久性(2)が1万回以上である。
    屈曲耐久性試験(2):
    積層フィルムを伸ばした状態から、樹脂層の面が凸となる方向に屈曲半径が4.0mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1回とし、30〜60回/分の速さで前記動作を行った際における、積層フィルムの樹脂層にクラックが生じるまでの回数を屈曲耐久性(2)の指標とする
  3. さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件4)を充足する請求項1又は2に記載の積層フィルム。
    (条件4)積層フィルムの樹脂層の面が凸となるJIS K5600−5−1(1999)に規定する円筒形マンドレル試験において、屈曲半径が5mmで樹脂層の面にクラックが発生しない
  4. 前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)の面の水接触角が95°以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. さらに、前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)が下記(条件5)を充足する請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
    (条件5)#0000番のスチールウールで1kg/cm2の荷重をかけながら、前記樹脂層の表面を30回往復摩擦させる耐スチールウール試験において目視で傷が生じない。
  6. 前記樹脂層(前記支持体の両面に樹脂層が積層されている場合はいずれか一方の樹脂層)のヘイズが1.0%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記樹脂層が、1種以上の硬化性化合物を含む硬化性組成物の硬化物であり、硬化性化合物の少なくとも1種がポリオルガノシルセスキオキサンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. 前記硬化性組成物が、分子内に1個以上の熱重合性官能基と1個以上の光重合性官能基を有する化合物を含む請求項7に記載の積層フィルム。
  9. 前記硬化性組成物が、さらに、硬化触媒を含む請求項7又は8に記載の積層フィルム。
  10. 前記硬化触媒が光カチオン重合開始剤である請求項9に記載の積層フィルム。
  11. 前記硬化触媒が熱カチオン重合開始剤である請求項9に記載の積層フィルム。
  12. 前記硬化性組成物が、さらに、フッ素含有光重合性樹脂を含む請求項7〜11のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  13. 前記支持体が、透明支持体である請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層フィルムを備えるフォルダブルデバイス。
  15. 画像表示装置である請求項14に記載のフォルダブルデバイス。
  16. 前記画像表示装置が、有機エレクトロルミネセンス表示装置である請求項15に記載のフォルダブルデバイス。
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