JP2017008140A - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれよりなる成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
イソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐候性や耐衝撃性に優れることが知られており、自動車内外装部品等への適用も知られている(特許文献3)。
すなわち、本発明の目的は、上記の従来の課題を解決し、成形品にした際、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する擦れ傷が少ない耐擦傷性、透明性、初期外観に優れ、引っ張り特性、耐衝撃性などの機械物性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれよりなる成形品を提供することにある。
[1] 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、及びシリコーン系化合物(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、下記式(2)及び(3)を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
μk≦0.24 (3)
(上記式(2)において、Hazeは、以下の通り測定される値を示す。)
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、80℃で8時間乾燥する。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートを成形する。得られた射出成形片についてJIS K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にてヘイズを測定する。
(上記式(3)において、μkは、下記摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数を示す。)
上記と同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)よりなる試験片1に、予め#1000のサンドペーパーで表面を研磨した鋼板(材質:SK−5、サイズ:40mm×40mm×1mmt)よりなる試験片2を研磨面が試験片1側となるように重ね合わせ、表面性測定機(新東科学製、形式:HEIDON−14D)を用いて、試験片1上で試験片2を、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分で移動させたときの荷重より求める。動摩擦係数μkは移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を採用する。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂である。
ポリカーボネート樹脂(A)の耐熱性を考えると、他のジヒドロキシ化合物としては、脂環式ジヒドロキシ化合物が好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物の中でも、耐熱性と耐
衝撃性の面より、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
また、該含有割合は、少ないほどμkが小さくなり、多いほどμkは高くなる傾向がある。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
ム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
化合物を触媒として用いるのがより好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、及びバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
上記の中でも1族金属及び2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また、上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として通常100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、90℃以上145℃以下が好ましく、100℃以上135℃以下がより好ましく、特に110℃以上125℃以下が好ましい。ガラス転移温度が90℃未満では耐熱性が不足し、145℃以上では成形時に流動性が不足し、樹脂組成物が製品の末端まで充填されなかったり、ウエルド部での強度が低下したりすることがある。
本発明に用いられるシリコーン化合物(B)は、下記式(4)で表されるジオルガノシロキサン構造及び/又は下記式(5)で表されるオルガノシルセスキオキサン構造を含むことが好ましい。
上記式(4),(5)におけるR1〜R3の炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基等が挙げられる。R1〜R3としては、互いに独立して、メチル基又はフェニル基であることが工業上の入手のし易さから好ましい。
ることができる。他の重合性ポリマーとしての(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが好ましく、アルキルエステルのアルキル基の炭素数1〜4であることが好ましい。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、シリコーン化合物(B)として上記のものの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて適宜下記の酸化防止剤、離型剤等の添加剤を添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤の1種又は2種以上を配合することができる。
酸化防止剤を用いる場合には、本発明のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.0001重量部以上1重量部以下であり、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下であり、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスフェイト系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、フェノール系酸化防止剤および/又はホスフェイト系酸化防止剤が更に好ましい。
ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどの化合物が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、シート成形時の冷却ロールからのロール離れ、或いは射出成形時の金型からの離型性をより向上させるなどのために、本発明の目的を損なわ
ない範囲で離型剤が配合されていてもよい。
かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、紫外線による変色は従来の熱可塑性樹脂組成物に比較して著しく小さいが、更に改良の目的で、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤の1種又は2種以上が配合されていてもよい。
ここで、紫外線吸収剤としては、紫外線吸収能を有する化合物であれば特に限定されない。紫外線吸収能を有する化合物としては、有機化合物、無機化合物が挙げられる。なかでも有機化合物はポリカーボネート樹脂との親和性を確保しやすく、均一に分散しやすいので好ましい。
マロン酸エステル系化合物としては、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類、テトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネートなどが挙げられる。
シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド
(Clariant社製、SanduvorVSU)などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、黄色味を打ち消すためにブルーイング剤の1種又は2種以が配合されていてもよい。ブルーイング剤としては、従来のポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
iolet31[CA.No.68210]、一般名Solvent Violet33
[CA.No.60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No.61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No.68210]、一般名
Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]、および一般名Solvent Blue45[CA.No.61110]等が代表例とし
て挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるこれらブルーイング剤の含有量は、通常、本発明のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1×10−4〜2×10−4重量部
が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の添加剤の他、本発明の目的を損なわない範囲で、周知の種々の添加剤、例えば、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料等を含有した樹脂組成物であってもよい。また、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン等の合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂等が混合された樹脂組成物であってもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記成分を所定の割合で同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(2)を満足することを特徴とする。Haze≦10 (2)
(上記式(2)において、Hazeは、以下の通り測定される値を示す。
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、80℃で8時間乾燥する。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートを成形する。得られた射出成形片についてJIS K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にてヘイズを測定する。
即ち、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、これを成形してなる成形板のヘイズが
10以下であり、このヘイズは好ましくは9以下である。該ヘイズが10より大きいと透明性が悪くなる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物のヘイズは透明性の面からは小さいほど好ましいが、その下限は通常0.1以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(3)を満足することを特徴とする。
(上記式(3)において、μkは、下記摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数を示す。)
上記(2)におけると同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)よりなる試験片1に、予め#1000のサンドペーパーで表面を研磨した鋼板(材質:SK−5、サイズ:40mm×40mm×1mmt)よりなる試験片2を研磨面が試験片1側となるように重ね合わせ、表面性測定機(新東科学製、形式:HEIDON−14D)を用いて、試験片1上で試験片2を、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分で移動させたときの荷重より求めた。動摩擦係数μkは移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を採用する。
上記式(3)を満足するポリカーボネート樹脂組成物とするためには、例えば前述のポリカーボネート樹脂(A)及びシリコーン系化合物(B)を用い、ヘイズ(Haze)、動摩擦係数μkが所定の値となるように、ポリカーボネート樹脂(A)の共重合組成比や樹脂組成物中のシリコーン系化合物(B)の種類に応じてその配合量を調整する方法が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、耐擦傷性に優れ、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する擦れ傷が少ないいため、塗装を施すことなく、従って、塗装のための工程、コストを削減して、製品として様々な部品に適用することができる。しかも、本発明の成形品は着色時の鮮映性に優れ、例えば、漆黒性等に優れ、高級感、重厚感のある高品質の部品を提供することができる。
外装部品に好適である。
本発明の成形品が適用される自動車用内外装部品としては、例えばフェンダー、バンパー、フェーシャ、ドアパネル、サイドガーニッシュ、ピラー、ラジエータグリル、サイドプロテクター、サイドモール、リアプロテクター、リアモール、各種スポイラー、ボンネット、ルーフパネル、トランクリッド、デタッチャブルトップ、ウインドリフレクター、ミラーハウジング、アウタードアハンドル等の自動車用外装部品、インストルメントパネル、センターコンソールパネル、メーター部品、各種スイッチ類、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、80℃で8時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃で、射出成形板(幅100mm×長さ100mm×厚さ2mm)および機械物性用ISO試験片を成形した。
上記(1)で得られた射出成形板にて、JIS K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にてヘイズを測定した。
上記(1)で得られた射出成形板よりなる試験片1に、予め#1000のサンドペーパーで表面を研磨した鋼板(材質:SK−5、サイズ:40mm×40mm×1mmt)よりなる試験片2を研磨面が試験片1側となるように重ね合わせ、表面性測定機(新東科学製、形式:HEIDON−14D)を用いて、試験片1上で試験片2を、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分で移動させたときの荷重より求めた。動摩擦係数μkは移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を採用した。
上記(1)で得られた射出成形板にて、厚み方向と幅方向から目視で確認して、透明性が極めて高く比較例1と同程度の透明性のものを◎、透明性が高く比較例1より僅かに透明性が劣るものを○、透明性がやや低くやや白濁しているものを△、透明性が極めて低く白濁しているものを×とした。
本発明においては、◎または〇のものを合格とした。
表面性測定機(新東科学社製、HEIDON−14D)において、ティシュ(コアレックス社製フェアリー ブライティア)を3回折り畳んで、摩耗子(底面の投影面積20mm×30mm)に取り付け、上記(1)で得られた射出成形板の表面に荷重9.8N、ストローク50mm、摩擦速度50mm/secで500往復させた後、表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:摩耗子幅に2本以下の傷が見られる
△:摩耗子幅に3本以上10本以下の傷が見られる
×:摩耗子幅全面が傷の発生で白く見える
本発明においては、◎または〇のものを合格とした。
上記(1)で得られた射出成形板にて、特に外観不良がないものを○、ゲート部のみに若干の曇りがあるものを○−△、光沢がないものを×とした。
本発明においては、〇または〇−△のものを合格とした。
上記(1)で得られたISO試験片にて、ISO527に準拠して引張試験を実施した。 本発明においては、各測定の数値が比較例1と比較して同等又は大きくなっているものを合格とした。
上記(1)で得られたISO試験片にて、ISO179に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。 本発明においては、各測定の数値が比較例1と比較して同等又は大きくなっているものを合格とした。
ポリカーボネート樹脂組成物に配合するシリコーン化合物(B)としては、以下のものを用いた。
(B)−1 KR−510:信越化学工業社製、メチルフェニルメトキシシリコーンオリゴマー
(B)−2 X−22−168−P5B:信越化学工業社製、カルボン酸無水物両末端変性ジメチルポリシロキサン
(B)−3 SR33:小西化学工業社製、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン
(B)−4 MSP−SN05:日興リカ社製、ポリメチルシルセスキオキサン(平均粒子径0.5μm)
(B)−5 MSP−S110:日興リカ社製、ポリメチルシルセスキオキサン(平均粒子径11μm)
(B)−6 MSP−TK04:日興リカ社製、酸化チタン内包ポリメチルシルセスキオキサン(平均粒子径4μm)
(B)−7 SX005:三菱レイヨン社製、メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物
(B)−8 S2001:三菱レイヨン社製、メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物
(B)−9 SRK200A:三菱レイヨン社製、メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)および酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.5/0.5/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら
内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にした。内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
製造例1において、ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.7/0.3/1.00/1.3×10−6に変えた以外は、製造例1と同様に行って、ポリカーボネート樹脂(A)−2を得た。ポリカーボネート樹脂(A)−2の還元粘度ηsp/cは、0.44dL/gであった。
製造例1で得られたポリカーボネート樹脂(A)−1を50質量部、(A)−2を50質量部、シリコーン化合物として(B)−1を0.3質量部を用い、これらを予めブレンドしておき、二軸混練機(日本製鋼所社製、TEX30SST42BW:スクリュー径30mm、L/D=42)を用いて、途中一カ所から真空ポンプで絶対真空圧10〜20kPaに減圧調整しながら、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hrでストランド状に押し出し、ストランドカッターを用いてペレット状のポリカーボネート樹脂組成物サンプルを得た。
得られたペレット状サンプルを、前述の(1)〜(8)に従って、試験片の作成、評価を行い、その結果を表1に表した。
表1に示す配合としたこと以外は実施例1と同様に押し出し、ペレット状サンプルを得、同様に評価を行って、結果を表1に表した。
表1に示す配合としたこと以外は実施例1と同様に押し出し、ペレット状サンプルを得、同様に評価を行って、結果を表1に表した。
なお、本発明においては、全ての評価が「合格」となったものを本発明の効果ありとした。
Claims (7)
- 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、及びシリコーン系化合物(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、下記式(2)及び(3)を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
μk≦0.24 (3)
(上記式(2)において、Hazeは、以下の通り測定される値を示す。)
<ヘイズの測定>
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、80℃で8時間乾燥する。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートを成形する。得られた射出成形片についてJIS K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にてヘイズを測定する。
(上記式(3)において、μkは、下記摩擦係数測定試験により測定される動摩擦係数を示す。
<摩擦係数測定試験>
上記と同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)よりなる試験片1に、予め#1000のサンドペーパーで表面を研磨した鋼板(材質:SK−5、サイズ:40mm×40mm×1mmt)よりなる試験片2を研磨面が試験片1側となるように重ね合わせ、表面性測定機(新東科学製、形式:HEIDON−14D)を用いて、試験片1上で試験片2を、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分で移動させたときの荷重より求める。動摩擦係数μkは移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を採用する。 - 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(a)と、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、及び前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる1種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、前記シリコーン化合物(B)を0.01質量部以上5質量部以下含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記シリコーン化合物が(B)が、ポリメチルフェニルシルセスキオキサンであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物
。 - 前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 自動車内装部品又は外装部品であることを特徴とする請求項6に記載の成形品。
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