JP2017006058A - 培養装置及び培養方法 - Google Patents

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【課題】ヒト多能性幹細胞の培養において、遠心分離を必要とせずに継代を実現する手段の提供。【解決手段】第1培養容器及び第2培養容器へそれぞれ供給及び排出する液体給排機構と、液体給排機構を制御する給排制御部を具備し、該液体給排機構にヒト多能性幹細胞が培養された上記第1培養容器から培地を流出させる工程、培地が排出された該第1培養容器に剥離液を流入させる工程、該第1培養容器から剥離液を流出させる工程と、剥離液が排出された該第1培養容器に培地を流入させて細胞を剥離する工程と、該第1培養容器から細胞懸濁液を流出させ、該細胞懸濁液に含まれる細胞塊を崩壊させる工程と、崩壊された細胞塊を含む該細胞懸濁液を上記第2培養容器へ流入させ移動させる工程と、細胞懸濁液が流入された該第2培養容器において細胞が第2培養容器に十分に接着した後、該第2培養容器の培地を交換する工程とを実行する、ヒト多能性幹細胞の培養装置。【選択図】図3

Description

本発明は、ヒト多能性幹細胞を培養する培養装置及び培養方法に関する。
細胞培養においては、培養容器中の細胞を他の培養容器に移し替える工程や、培養容器中の培地を交換する工程が行われる。このような細胞培養の各工程は、無菌状態で行われる必要がある。また、細胞培養は、数日から数週間に渡って行われ、この期間の間に前述された各工程が複数回行われる。細胞培養において人が行う作業を簡略化したり、大量の細胞を培養したりすることを目的として、細胞培養における各工程を機械により行う装置が公開されている(特許文献1,2)。
特開2009−291104号公報 特開2007−29041号公報
継代において、培養容器から細胞を剥離して別の培養容器に移動させる行程において、培養容器に剥離液が供給されて、培養容器から細胞が剥離される。得られた細胞懸濁液は、剥離液中に細胞が浮遊した状態であるので、細胞と剥離液とを分離するために遠心分離が行われる。しかしながら、培養装置において、遠心分離機能を実現しようとすると、装置が大型化したり、コスト高になったりするという問題がある。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒト多能性幹細胞の培養において、遠心分離を必要とせずに継代を実現する手段を提供することにある。
(1) 本発明に係る培養装置は、液体が流通するポートをそれぞれ有しており、各内部空間においてヒト多能性幹細胞の培養が可能な第1培養容器及び第2培養容器と、上記第1培養容器及び上記第2培養容器へ液体をそれぞれ供給及び排出する液体給排機構と、上記液体給排機構を制御する給排制御部と、を具備する。上記給排制御部は、上記液体給排機構に、ヒト多能性幹細胞が培養された上記第1培養容器から培地を流出させる培地排出ステップと、培地が排出された上記第1培養容器に剥離液を流入させる剥離液供給ステップと、上記第1培養容器から剥離液を流出させる剥離液排出ステップと、剥離液が排出された上記第1培養容器に培地を流入させて細胞を剥離する細胞剥離ステップと、上記第1培養容器から細胞懸濁液を流出させ、当該細胞懸濁液に含まれる細胞塊を崩壊させる分散ステップと、崩壊された細胞塊を含む上記細胞懸濁液を上記第2培養容器へ流入させる細胞懸濁液移動ステップと、細胞懸濁液が流入された上記第2培養容器において細胞が第2培養容器に十分に接着した後、当該第2培養容器の培地を交換する培地交換ステップと、を実行する。
第1培養容器の内部空間においてヒト多能性幹細胞が培養される。継代に際して、培地排出ステップにより第1培養容器から培地が排出される。そして、剥離液供給ステップにより、第1培養容器に剥離液が流入される。これにより、第1培養容器の内面に付着しているヒト多能性幹細胞に剥離液が作用するが、ヒト多能性幹細胞は、第1培養容器の内面から完全に剥離されない。剥離液排出ステップにより、第1培養容器から剥離液が流出された後、細胞剥離ステップにより、第1培養容器に培地が供給される。これにより、第1培養容器の内面からヒト多能性幹細胞が剥離され、第1培養容器の内部空間には、ヒト多能性幹細胞と培地との細胞懸濁液が作製される。培地の供給による培地の流れを受けて第1培養容器の内面から細胞が剥離するので、剥離のために細胞に付与される力が穏やかである。分散ステップにより、第1培養容器から流出された細胞懸濁液に含まれる細胞塊がシングルセルあるいはシングルセルに近い状態まで崩壊される。培地の流れを受けて細胞塊が崩壊されるので、容易且つ穏やかに細胞塊が崩壊される。細胞懸濁液移動ステップにより、第1培養容器から第2培養容器に細胞懸濁液が移動される。培地交換ステップにおいて、第2培養容器の内面に細胞懸濁液中のヒト多能性幹細胞が十分に接着した後に、第2培養容器において培地が交換される。
(2) 好ましくは、上記液体給排機構は、液体が流通するチューブと、当該チューブに当接して当該チューブを撓ませつつ移動することによって、当該チューブ内の液体を移動させるチューブポンプと、を具備するものであり、上記給排制御部は、上記分散ステップにおいて、ヒト多能性幹細胞の細胞塊を含む細胞懸濁液を上記チューブポンプに流通させることによって、細胞塊を崩壊させる。
チューブポンプにより、第1培養容器から第2培養容器へ細胞懸濁液が移動されると共に、ヒト多能性幹細胞の細胞塊が崩壊される。そのため、フィルタのような細胞塊を崩壊させるための部材を別途に設ける必要がないので、培養装置の構成が簡略化される。
(3) 好ましくは、上記培地交換ステップは、細胞懸濁液が流入された上記第2培養容器を5分から12時間放置した後、当該第2培養容器の培地を交換するステップである。
培地交換ステップにおいて第2培養容器が5分から12時間放置されている間に、第2培養容器の内面に細胞懸濁液に含まれる細胞が接着する。その後、第2培養容器の培地が交換される。
(4) 好ましくは、上記第1培養容器及び上記第2培養容器は、可橈性のシートによって上記内部空間が区画されたバッグ形状であって、上記チューブを通じて上記液体給排機構と閉鎖系で接続されており、上記剥離液排出ステップは、上記第1培養容器の内部空間を区画して対向するシートの内面の少なくとも一部が接触するまで剥離液を排出するステップである。
これにより、第1培養容器に残存する剥離液を少なくすることができる。また、第1培養容器は液体給排機構と閉鎖系で接続されているので、剥離液が排出された後、培地が流入されるまでの間に、第1培養容器内において細胞が乾燥することを抑制できる。また、剥離液が排出されると、第1培養容器において対向するシートの内面が接触しているので、シートの内面に付着している細胞が対向するシートによって挟み込まれ、シートから細胞が剥離することが抑制される。その後の細胞剥離ステップにおいて第1培養容器に培地が流入されるときには、対向して接触しているシートの間に培地が流れるので、シート間における培地の勢い(流速)を高めることができ、シートから細胞が剥離しやすい。
(5) 好ましくは、上記第1培養容器を保持する保持板、及び回転軸を有する容器保持部と、上記回転軸を支持して回転させる回転機構と、上記容器保持部を上記保持板における上記第1培養容器を支持する支持面が略水平方向に沿った第1姿勢、及び上記支持面が略水平方向に沿っておらず且つ上記ポートが上記回転軸より重力方向の下方に位置する第2姿勢となるように、上記回転機構の回転を制御する回転制御部と、を更に備え、上記回転制御部は、上記剥離液排出ステップにおいて、上記容器保持部が上記第2姿勢となるように上記回転機構を回転させ、上記細胞剥離ステップにおいて、上記容器保持部が上記第1姿勢となるように上記回転機構を回転させる。
第1姿勢において第1培養容器が安定して容器保持部に支持されるので、第1培養容器に培地が供給されるときに、第1培養容器の姿勢変化が少ない。また、第2姿勢により、第1培養容器に貯留された剥離液が重力によってポートへ移動するので、第1培養容器から剥離液が排出されるときに、第1培養容器に残留する剥離液を少なくすることができる。
(6) 好ましくは、上記第1培養容器は、可橈性のシートによって上記内部空間が区画されたバッグ形状であって、上記内部空間を区画しており、且つ上記ポートが配置されている上記シートの縁部が、上記ポートへ向かって上記内部空間が外方へ拡がる形状である。
これにより、第2姿勢において、第1培養容器の内部空間において重力により剥離液がポートへ向かって流れる。
(7) 好ましくは、上記第1培養容器及び上記第2培養容器は、内部空間を区画する内面にヒトラミニンの活性フラグメントがコーティングされたものである。
(8) 本発明に係る培養方法は、ヒト多能性幹細胞が培養された第1培養容器から培地を流出させる培地排出ステップと、培地が排出された上記第1培養容器に剥離液を流入させる剥離液供給ステップと、上記第1培養容器から、上記第1培養容器の内部空間を区画して対向するシートの内面が接触するまで剥離液を排出させる剥離液排出ステップと、剥離液が排出された上記第1培養容器に培地を流入させて細胞を剥離する細胞剥離ステップと、上記第1培養容器から細胞懸濁液を流出させ、当該細胞懸濁液に含まれる細胞塊を崩壊させる分散ステップと、崩壊された細胞塊を含む上記細胞懸濁液を上記第2培養容器へ流入させる細胞懸濁液移動ステップと、細胞懸濁液が流入された上記第2培養容器を5分から12時間放置した後、当該第2培養容器の培地を交換する培地交換ステップと、を含む。
(9) 好ましくは、上記分散ステップにおいて、液体が流通するチューブに当接して当該チューブを撓ませつつ移動することによって、当該チューブ内の液体を移動させるチューブポンプに、ヒト多能性幹細胞の細胞塊を含む細胞懸濁液を流通させることによって、細胞塊を崩壊させる。
(10) 好ましくは、上記剥離液排出ステップにおいて、上記第1培養容器を支持する容器保持部の支持面が略水平方向に沿っておらず且つ上記ポートが上記内部空間より重力方向の下方に位置する姿勢とし、上記細胞剥離ステップにおいて、上記支持面が略水平方向に沿った姿勢とする。
本発明によれば、ヒト多能性幹細胞の培養において、遠心分離を必要とせずに継代を実現できる。
図1は、培養装置10の概略図である。 図2は、培養部14の内部の斜視図である。チューブ38は省略されている。また説明のために制御部11が示されている。 図3は、培養部14の内部の上方から見た概略図である。第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32及び第3バッグ保持部33の上面の保持板42は省略されている。 図4は、第3バッグ保持部33の分解斜視図である。 図5(A)は、チューブ99の斜視図である。図5(B)は、チューブ99を切断面V−Vで切断した断面図である。 図6は、細胞培養方法のフローチャートである。 図7は、第1バッグ保持部31の第1姿勢を説明するための概略図である。 図8は、第1バッグ保持部31の第3姿勢を説明するための概略図である。 図9は、第1バッグ保持部31の第4姿勢を説明するための概略図である。 図10は、第1バッグ保持部31の第2姿勢を説明するための概略図である。 図11は、継代ステップのフローチャートである。 図12は、実施例における観察結果を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
[培養装置10の概要]
図1に示されるように、培養装置10は、制御部11、冷蔵保存部12、常温保存部13及び2つの培養部14を備える。冷蔵保存部12及び常温保存部13は、培養部14の外部に設けられている。2つの培養部14は、上下に分かれて配置されている。制御部11は、ディスプレイ15を備えている。ディスプレイ15は、培養装置10の前面に配置されている。制御部11は、不図示のデータ入力部を有しており、データ入力部を通じて制御部11に細胞培養に関する種々の条件などが入力される。
培養装置10は、制御部11に入力され保存されたデータに従い自動で細胞を培養する装置である。以下、培養装置10の構成要素が詳細に説明される。以下の説明において、図1における上下に沿って上下方向101が定義され、図1における左右に沿って左右方向102が定義され、上下方向101及び左右方向102と垂直な方向(図1の紙面に垂直な方向)に沿って前後方向103が定義される。
図2,3に示されるように、制御部11は、回転制御部20、培養制御部21、及び給排制御部22を有する。回転制御部20、培養制御部21、及び給排制御部22は、それぞれの制御対象の動作を制御するための演算装置であり、予めプログラムや情報が格納されている。培養制御部21は、回転制御部20及び給排制御部22に制御情報を出力する。また、培養制御部21は、培養部14の環境温度を制御するための制御情報を出力する。回転制御部20は、回転機構34と電気的に接続されており、回転機構34の駆動を制御するための制御情報を出力する。給排制御部22は、液体給排機構37と接続されており、液体給排機構37の各駆動部、すなわち供給ポンプ91,排出ポンプ92、及びバルブV1〜V18を駆動するための制御情報を出力する。
図1に示されるように、冷蔵保存部12は、内部に試薬又は培地を貯留した容器を積置するための棚が形成された筐体である。冷蔵保存部12の前面には、筐体の前面に設けられた開口を開閉可能な扉が設けられている。冷蔵保存部12は、不図示の冷却機構を備える所謂冷蔵庫である。冷却機構により、冷蔵保存部12の内部の温度は、常温より低い任意の設定温度、例えば、約10℃や約4℃などに保たれる。常温保存部13は、内部に試薬又は培地を貯留した容器を積置するための棚が形成された筐体である。
冷蔵保存部12及び常温保存部13の内部に積置された容器は、試薬又は培地を液密に貯留可能なものである。容器としては、例えば、バッグ、ボトル、カセットなどが挙げられる。各容器は、内部の液体を流出可能にチューブなどが接続されており、液体給排機構37によって貯留された液体が流出可能である。
[培養部14]
2つの培養部14は、装置における配置が異なる他は同様の構造なので、以下、1つの培養部14を例に詳細な構成が説明される。培養部14は、培養装置10の内部に形成された空間であり、当該空間は、培養装置10の筐体フレームと、トレイ17により区画されている。トレイ17は、培養装置10の前面から手前へ引き出し可能である。トレイ17が引き出されることにより、培養部14が開放され、培養部14に設けられた各構成にアクセス可能となる。
培養部14は、所定の温度及びCO濃度に保持可能である。各図には示されていないが、培養部14には、加温装置及びCO供給装置が設けられている。また、培養部14には、温度センサ及びCO濃度センサが設けられている。培養制御部21は、温度センサ及びCO濃度センサの出力に基づいて、培養部14の内部を設定された温度及びCO濃度にすべく加温装置及びCO供給装置を駆動する。細胞培養において、培養部14は、例えば、37℃、5%COの環境に保持可能である。
図2,3に示されるように、トレイ17には、第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、及び第3バッグ保持部33(それぞれ容器保持部の一例)が左右方向102に並んで設けられている。第1バッグ保持部31の前後方向103の後方には、回転機構34が設けられている。回転機構34によって、第1バッグ保持部31が所定の回転姿勢に回転される。同様に、第2バッグ保持部32の前後方向103の後方に回転機構34が設けられており、また、第3バッグ保持部33の前後方向103の後方に回転機構34が設けられている。トレイ17の前側には、液体給排機構37が設けられている。また、第1バッグ保持部31と同軸で回転可能に第1バッグ保持部31と連結された濃縮装置支持部104が設けられている。また、トレイ17の左右方向102の左側には、容器収納部27,28が設けられており、右側には、容器収納部29が設けられている。
[第3バッグ保持部33]
第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、及び第3バッグ保持部33は、配置及び寸法が異なる他は、基本的に同様の構成なので、以下には、第3バッグ保持部33を一例として詳細な構成が説明される。なお、第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、及び第3バッグ保持部33の外形及び寸法は、保持可能な培養バッグの外形に合わせて設計されている。
図4及び図5に示されるように、第3バッグ保持部33は、保持板42,43、ホルダ44,45、スペーサー46,47及び回転軸48,49を備える。保持板42,43は、矩形の平板である。保持板42,43には、厚み方向に貫通する孔が複数形成されている。この孔は、保持板42,43に挟まれて保持された培養バッグ90へ培養部14内の気体からの熱伝導を高めるためのものである。保持板42,43は、相互に対向して配置される。保持板42,43において相互に対向する面が、支持面65,66である。
保持板42,43の間であって、培養バッグ90のポート73,74が配置される一対の対向する縁部には、スペーサー46,47が配置されている。スペーサー46,47は、保持板42,43の間隔を維持するためのものである。スペーサー46,47は、それぞれが四角柱形状である。スペーサー46,47の長手方向の長さは、保持板42,43の一対の縁部の長さとほぼ同じである。また、スペーサー46,47は、断面形状が長手方向に渡って一定である。スペーサー46,47の長手方向の中央には、長手方向と直交する方向へ凹む凹部46A,47Aが形成されている。凹部46A,47Aは、培養バッグ90のチューブ99がそれぞれ挿入される空間である。なお、スペーサー46,47は、保持板42,43の一方と一体に構成されていてもよい。
ホルダ44,45は、スペーサー46,47を介在させた状態の保持板42,43を挟み込んで一体に保持するものである。ホルダ44,45は、断面が横向きU時形状の細長な部材であり、横向きU時形状の内側に、スペーサー46,47を介在させた状態の保持板42,43の縁部が挿入される。ホルダ44,45に挿入される保持板42,43の縁部は、スペーサー46,47が介在されない一対の縁部である。ホルダ44,45のそれぞれの長手方向の両端側には、ネジ孔が形成されており、そのネジ孔にネジ18が螺合されている。ネジ18の先端は、ホルダ44,45の横向きU時形状の内側に突出されている。ホルダ44,45の横向きU時形状の内側に挿入されたホルダ44,45の一方が、ネジ18によって押圧されることにより、ホルダ44,45がスペーサー46,47を介在させた状態に保持板42,43を保持する。この状態において、保持板42,43の支持面65,66の間に形成された空間が培養バッグ90を保持する空間となる。なお、ホルダ44,45は、保持板42,43の一方と一体に構成されてもよい。また、保持板42,43は、ホルダ44,45の一方により蝶番のごとく回動自在に連結されていてもよい。
ホルダ44,45には、長手方向の中央付近から、保持板42,43が保持される側と反対向きに突出する回転軸48,49がそれぞれ設けられている。回転軸48,49は、ホルダ44,45が保持板42,43を保持した状態において、同軸に延びる。回転軸48,49が延びる方向は、保持板42,43の支持面65,66と平行である。
第1バッグ保持部31及び第2バッグ保持部32の詳細な構成については、図を用いて詳細には説明されないが、第3バッグ保持部33と同様に、保持板ホルダ、スペーサーを備える。
図2に示されるように、トレイ17において、第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、第3バッグ保持部33、及び濃縮装置支持部104が配置される箇所には、回転する第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、第3バッグ保持部33、及び濃縮装置支持部104との干渉を避けるために開口17Aが3箇所に形成されている。
各開口17Aの前後方向103の前方及び後方には、一対の軸受部24がそれぞれ配置されている。一対の軸受部24は、第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、第3バッグ保持部33、及び濃縮装置支持部104の各回転軸48,49を前後方向103に沿った状態でそれぞれ回転自在に支持する。これにより、第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、及び第3バッグ保持部33の各保持板42,43、並びに濃縮装置支持部104は、回転軸48,49を回転中心として回転可能である。
[回転機構34]
図2及び図3に示されるように、トレイ17において、各軸受部24の前後方向103のそれぞれ後方には、回転機構34がそれぞれ設けられている。回転機構34は、回転軸支持部16及び不図示のステッピングモータを有する。回転軸支持部16は、前後方向103の後方に向かって延びており、各軸受部24に支持された回転軸49と同軸に連結されている。各図には示されていないが、ステッピングモータには、電源から電力が供給されている。また、ステッピングモータと回転軸支持部16とは、公知の減速ギアなどによって駆動伝達されている。回転制御部20から出力される制御信号に基づいた電力がステッピングモータに供給されることにより、回転軸支持部16が所定の回転角だけ回転する。
なお、ステッピングモータには、原点位置、すなわち第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、及び第3バッグ保持部33の保持板42,43の支持面65,66が水平方向に沿った状態となる回転位置を検出するためのセンサが設けられていてもよい。回転制御部20は、このセンサの出力に基づいて、支持面65,66が水平方向に沿った状態となるようにステッピングモータを駆動することができる。なお、ステッピングモータは回転機構34の駆動源の一例であり、ステッピングモータに代えて、例えば回転量を検出可能なエンコーダを有する直流モータなど他の駆動源が採用されてもよい。また、駆動源の回転位置はレゾルバなどの他の検知手段により検知されてもよいし、第1バッグ保持部31などの回転位置を直接検出できるセンサが設けられてもよい。
[液体給排機構37]
図2,3に示されるように、液体給排機構37は、供給ポンプ91、排出ポンプ92、及び複数のバルブV1〜V18を有する。供給ポンプ91及び排出ポンプ92は、可橈性を有する軟質のチューブを、回動するローラによって撓ませつつ扱くように移動ことによってチューブ内において液体を移動させるチューブポンプである。供給ポンプ91及び排出ポンプ92には電源から電力が供給されている。給排制御部22は、供給ポンプ91及び排出ポンプ92に供給される電力を制御することにより、供給ポンプ91及び排出ポンプ92を一定時間駆動させることができる。
複数のバルブV1〜V18は、供給ポンプ91に関連するバルブV1〜V11と、排出ポンプ92に関連するバルブV12〜V18とに大別される。供給ポンプ91及びバルブV1〜V11が、液体給排機構37における液体供給に関するバルブであり、排出ポンプ92及びバルブV12〜V18が、液体給排機構37における液体排出に関するバルブである。各バルブV1〜V18は、給排制御部22から出力される制御信号に基づいてオン/オフが切り替えられる。各バルブV1〜V18のオン/オフによって、培養バッグ70,80,90などに連結されている各チューブ38における液体の流れを開閉することができる。バルブV1〜V18としては、例えば、電磁弁が採用される。
[培養回路]
図3に示されるように、培養回路は、3つの培養バッグ70,80,90(第1培養容器及び第2培養容器の一例)と、2つのサーババッグ39,40と、回収バッグ41と、濃縮装置120と、冷蔵保存部12又は常温保存部13に保持される貯留容器116,117と、これらを液体が流通可能に連結する複数のチューブ38と、を有する。培養バッグ70は、第1バッグ保持部31に設置されるものである。培養バッグ80は、第2バッグ保持部32に設置されるものである。培養バッグ90は、第3バッグ保持部33に設置されるものである。濃縮装置120は、濃縮装置支持部104に設置されるものである。回収バッグ41は、培養部14内に設置されるものである。培養バッグ70が、培養バッグ80,90と比べて容量が小さいほかは、各培養バッグ70,80,90は同様の構成なので、以下、培養バッグ90を例に詳細な構成が説明される。
図4に示されるように、培養バッグ90は、合成樹脂製の2枚の矩形のシートの周縁が熱溶着などの公知の方法で張り合わされることにより、バッグ形状に形成されたものである。2枚の矩形のシートにおいて対向する一対の端部77,78の中央付近にそれぞれ合成樹脂製のチューブ99が配置されている。図4,5(A)、(B)に示されるように、各チューブ99において、培養バッグ90の内部空間に位置する部分は、培養バッグ90の内部空間に位置する端から縁部87,88へ向かって切欠部105が形成されている。図10に示されるように、切欠部105は、培養バッグ90の内部空間を画定する内面と対向しない位置、すなわち、2枚の矩形のシートにおける一対の端部77,78以外の端部を向いている箇所に位置している。仮に、培養バッグ90から液体が流出されるときに、内部空間に負圧が生じて内面が相互に近づいたとしても、チューブ99付近においては内面の間にチューブ99が存在することにより、対向する内面同士が接触し難くなる。他方、チューブ99において内面と対向しない箇所には切欠部105が形成されているので、切欠部105を通じて、内部空間の縁部87,88付近に残存する液体は、チューブ99の内部空間へ流入可能である。
図4に示されるように、チューブ99の内部空間を通じて、培養バッグ90の内部空間が外部と連通されている。すなわち、各チューブ99によってポート73,74が形成されている。培養バッグ90の内部空間を区画する縁のうち、チューブ99が配置されている縁部87,88は、ポート73,74から離れるに従って縁部87,88間の距離が小さくなるテーパ形状である。換言すれば、縁部87,88は、チューブ99が配置されている中央へ向かって、培養バッグ90の内部空間が外方へ拡がるように膨らんでいる。培養バッグ90が第1バッグ保持部31に保持された状態において、チューブ99は、回転軸48,49と直交する方向へ延びる。すなわち、ポート73,74は、回転軸48,49と直交する方向へ延びる。
培養バッグ90に用いられる合成樹脂シートとしては、可撓性を有し、培地を入れたときにバッグ形状が維持できる曲げ剛性を有するものであり、例えば、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら及び他の材料とのラミネート構造を有するものが挙げられる。
培養バッグ90の内面は、ヒト多能性幹細胞を培養するに適した細胞接着性を有する。詳細には内面は、例えばプラズマ処理などによって細胞接着性官能基が露出されている。細胞接着性官能基としては、例えば、アミノ基、アミン基、水酸基、スルホン基、スルフェン基、スルフィン基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基などが挙げられる。これらのうち、細胞との接着性が高いアミノ基及びカルボキシル基が好ましい。また、培養バッグ90の内面には、マトリゲル、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチンなどがコーティングされることが好ましく、細胞の接着性及び増殖性の観点からコーティング材として特に好ましいのは、ラミニン 511-E8(iMatrix)である。
図3に示されるサーババッグ39,40、回収バッグ41、貯留容器116,117は、合成樹脂製のシートが張り合わされてバッグ形状に形成されたものであり、少なくとも1つのポート94〜98を有する。サーババッグ39,40は、培地を貯留するためのものである。回収バッグ41は、細胞懸濁液を回収するためのものである。貯留容器116,117は、剥離液やプライミング液を貯留するためのものである。サーババッグ39,40、回収バッグ41、及び貯留容器116,117は、公知のバッグのほか、培地や細胞懸濁液を貯留可能な公知の容器が採用されうる。
図3に示されるように、培養バッグ70,80,90、サーババッグ39,40、回収バッグ41、貯留容器116,117の各ポートには、チューブ38がそれぞれ連結されている。培養バッグ70,80,90のそれぞれの一方のポート73に接続された各チューブ38、濃縮装置120の流入ポートに接続されたチューブ38、サーババッグ39,40の各ポート94,95に接続された各チューブ38、貯留容器116,117の各ポート97,98に接続された各チューブ38は、供給ポンプ91へ延出されている。これら各チューブ38は、供給ポンプ91へ到達する前にコネクタを介して1本のチューブ38にまとめられて閉鎖系の液体供給回路を構成している。また、これら各チューブ38は、1本のチューブ38にまとめられる前に、それぞれがバルブV6〜V11に通されており、各バルブV6〜V11によってチューブ38の内部空間を液体が流通可能な開状態と、液体が流通できない閉状態とに変化可能である。
培養バッグ70,80,90のそれぞれの他方のポート74に接続された各チューブ38、濃縮装置120の流出ポートに接続された各チューブ38,回収バッグ41のポート96に接続されたチューブ38は、排出ポンプ92へ延出されている。これら各チューブ38は、排出ポンプ92へ到達する前にコネクタを介して1本のチューブ38にまとめられて閉鎖系の液体排出回路を構成している。また、これら各チューブ38は、1本のチューブ38にまとめられる前に、それぞれがバルブV12及びV14〜V18に通されており、各バルブV12及びV14〜V18によってチューブ38の内部空間を液体が流通可能な開状態と、液体が流通できない閉状態とに変化可能である。
供給ポンプ91に通ずるチューブ38は、再び分岐されて各々がバルブV1〜V5を通じて冷蔵保存部12又は常温保存部13に置かれたバッグや容器に接続されている。これらバッグや容器には、細胞懸濁液や培地、剥離液などの試薬が貯留されている。排出ポンプ92に通ずるチューブ38は、廃液容器19へ接続されている。
[培養装置10を用いた細胞培養方法]
以下に、培養装置10を用いた細胞培養方法が説明される。培養装置10を用いた細胞培養は、培養バッグ70,80,90のいずれか一つ又は複数を任意に選択して行うことができるが、以下には、培養バッグ70及び培養バッグ80を用いた細胞培養方法が説明される。培養装置10を用いた細胞培養方法は、以下に示される各ステップを含む。
(1)培養バッグ70内で細胞を増幅する培養ステップ。
(2)培養バッグ70内の培地を交換する培地交換ステップ。
(3)培養バッグ70から培養バッグ80へ細胞懸濁液を移動する継代ステップ。
(4)培養バッグ80から細胞懸濁液を回収する細胞懸濁液回収ステップ。
培養装置10には、予め、培養回路がセットされる。詳細には、図3に示されるように、培養バッグ70,80,90が第1バッグ保持部31、第2バッグ保持部32、及び第3バッグ保持部33にそれぞれセットされ、濃縮装置120が濃縮装置支持部104にセットされ、サーババッグ39,40が容器収納部27,28にそれぞれ保持され、回収バッグ41が容器収納部29に保持される。また、貯留容器116,117が冷蔵保存部12又は常温保存部13に保持される。また、回路の各チューブ38が各バルブV1〜V18、供給ポンプ91、排出ポンプ92にセットされる。
培養制御部21には、培養ステップ、培地交換ステップ、培養ステップ、継代ステップ、細胞懸濁液回収ステップが順次行われるように、予めユーザが設定を行っている。培養ステップにおける培養時間や、培地交換ステップにおける培地交換量、継代ステップにおける剥離液及び培地の供給量や放置時間、細胞懸濁液回収ステップにおける剥離液との反応時間などの各種設定も、予めユーザが設定を行う。培養制御部21は、培養ステップにおいて各種設定情報を含む第1情報を出力し、培地交換ステップにおいて各種設定情報を含む第2情報を出力し、細胞懸濁液回収ステップにおいて各種設定情報を含む第3情報を出力する。回転制御部20は、培養制御部21から出力される各情報に基づいて回転機構34の駆動を制御する。給排制御部22は、培養制御部21から出力される各情報に基づいて液体給排機構37の駆動を制御する。
図6に示されるように、培養装置10における培養部14は、培養制御部21が培養開始の入力を受け付けることにより、予備動作を行う。詳細には、培養制御部21からの制御情報に基づいて加温装置及びCO供給装置が駆動されることにより、培養部14の温度が37℃に、二酸化炭素の濃度が5%に調節される(ステップS11)。続いて、回転制御部20は、第1バッグ保持部31が第1姿勢であるか否かを判定する(ステップS12)。第1バッグ保持部31が第1姿勢でない場合、すなわち回転機構34におけるステッピングモータが原点位置にないと回転制御部20が判定したときは(ステップS12:No)回転制御部20が回転機構34のステッピングモータを原点位置となるまで回転する。これにより、図7に示されるように、第1バッグ保持部31が、支持面65,66を水平方向に沿った第1姿勢で停止する(ステップS13)。第1バッグ保持部31が第1姿勢であるときは(ステップS12:Yes)、回転制御部20は回転機構34を駆動しない。なお、第1姿勢における支持面65,66は、ほぼ水平方向に沿っていればよく、厳密に水平方向に沿っている必要はない。また、各バルブV1〜V18は、チューブ38を閉状態とする。
続いて、給排制御部22は、培養バッグ70に、ヒト多能性幹細胞を含む細胞懸濁液を供給する(ステップS14)。ヒト多能性幹細胞としては、ヒトES細胞やヒトiPS細胞が挙げられる。給排制御部22は、第1バッグ保持部31が第1姿勢で停止しているときに、液体給排機構37を駆動させて、培養バッグ70に液体を供給する。図7に示されるように、第1姿勢とは、第1バッグ保持部31の支持面65,66がほぼ水平方向に沿っている状態である。
細胞懸濁液の供給において、バルブV6,V9が開状態とされる。続いて、供給ポンプ91が駆動される。サーババッグ40には、予めヒト多能性幹細胞を含む細胞懸濁液が貯留されている。したがってサーババッグ40から細胞懸濁液が、ポート73を通じて培養バッグ70へ供給される。サーババッグ40から培養バッグ70へ、予め定められた量の細胞懸濁液が供給されると、給排制御部22は、供給ポンプ91を停止する。なお、ステップS14において、培養バッグ70に細胞懸濁液を供給しているが、ステップS14を省略し、手動で予め培養バッグ70に細胞懸濁液を充填してもよい。
続いて、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第1バッグ保持部31を第1姿勢から反時計回りに90度回転する。これにより、図8に示されるように、第1バッグ保持部31は、支持面65,66が鉛直方向に沿い、かつポート74が内部空間より上方にあり、ポート73が内部空間より下方にある第3姿勢となる(ステップS15)。第3姿勢の第1バッグ保持部31に保持された培養バッグ70おいて、上方にあるポート74の縁部88には、内部空間に進入した気体が集まる。縁部88は、ポート74へ向かうテーパ形状なので、縁部88に沿って移動する気体がポート74に集まる。なお、第3姿勢における支持面65,66は、概ね鉛直方向に沿っていればよく、必ずしも厳密に鉛直方向に沿っている必要はない。
第1バッグ保持部31が第3姿勢にされた後、給排制御部22は、バルブV6,V9を閉状態とし、バルブV13,V15を開状態とする。続いて、給排制御部22は、排出ポンプ92を駆動する。これにより、培養バッグ70のポート74から液体又は気体が排出される。培養バッグ70に細胞懸濁液が供給されるときに、培養バッグ70の内部空間に気体が残っているときにはポート74を通じて内部空間から気体が排出される(ステップS16)。これにより、予備動作が終了する。
予備動作が終了した後、培養制御部21は、培養ステップ(ステップS17)、培地交換ステップ(ステップS18)、培養ステップ(ステップS19)、継代ステップ(ステップS20),細胞懸濁液回収ステップ(ステップS23)を順次行う。
[培養ステップ]
以下、培養ステップが説明される。培養ステップが行われるときには、培養制御部21は、第1情報を回転制御部20及び給排制御部22に出力する。回転制御部20は、回転機構34を駆動させて、第1バッグ保持部31を第1姿勢とする。これにより、培養バッグ70において、一方の内面が上方となり、他方の内面が下方となる。培養バッグ70の内部空間には、ヒト多能性幹細胞と培地とを含む細胞懸濁液が貯留されている。内部空間において、ヒト多能性幹細胞は、細胞懸濁液中を重力により降下して他方の内面に接触する。これにより、他方の内面にヒト多能性幹細胞が付着して培養される。
回転制御部20は、予め設定された時間が経過した後、図9に示されるように、回転機構34を駆動させて、第1姿勢の第1バッグ保持部31を培養装置10の前方から視て時計回りに180度回転する。これにより、第1バッグ保持部31は、支持面65,66が水平方向に沿っており、かつ培養バッグ70の他方の内面が上方であり、一方の内面が下方となる第4姿勢となる。培養バッグ70において、他方の内面が上方となり、一方の内面が下方となると、培養バッグ70の内部空間に貯留された細胞懸濁液に含まれており、かつ他方の内面に付着していないヒト多能性幹細胞は、細胞懸濁液内を重力により降下して一方の内面に接触する。これにより、一方の内面にヒト多能性幹細胞が付着して培養される。回転制御部20は、予め設定された時間が経過するまで、第1バッグ保持部31を第4姿勢に維持する。予め設定された時間が経過すると、培養ステップが終了する。
[培地交換ステップ]
培養制御部21から第2情報を受信した回転制御部20及び給排制御部22は、冷蔵保存部12又は常温保存部13に保存された新鮮培地を貯留する貯留容器117と接続されているチューブ38が通されたバルブV1とバルブV7を開状態として、供給ポンプ91を駆動して、サーババッグ39に新鮮培地を供給する。その後、給排制御部22は、供給ポンプ91を停止し、バルブV1を閉状態とし、バルブV6を開状態とする。給排制御部22は、サーババッグ39,40と接続されているチューブ38が通されたバルブV6,V7を開状態として、供給ポンプ91を逆向きに駆動して、サーババッグ40に新鮮培地を供給する。その後、給排制御部22は、供給ポンプ91を停止し、バルブV6,V7を閉状態とする。新鮮培地は、サーババッグ40において37℃に加温されるべく保持される。
図10に示されるように、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第4姿勢の第1バッグ保持部31を、培養装置10の前方から視て第1姿勢から時計回りに30度回転した状態とする。これにより、第1バッグ保持部31は、支持面65,66が水平方向に対して鋭角をなす角度が30度となり、かつポート73が内部空間より上方にあり、ポート74が内部空間より下方にある第2姿勢となる。なお、第2姿勢は、支持面65,66が水平方向に対して鋭角をなす角度が30度に限定されず、支持面65,66が水平方向及び鉛直方向に沿っていなければ任意に設定されてよい。好ましくは、第2姿勢において、支持面65,66が水平方向に対して鋭角をなす角度は、20度以上70度以下である。さらに好ましくは、30度以上60度以下である。
続いて、給排制御部22は、培養バッグ70から培地を排出する。詳細には、給排制御部22は、第1バッグ保持部31が第2姿勢で停止しているときに、液体排出機構82を駆動させて、バルブV13,V15を開状態として、排出ポンプ92が駆動する。制御部11は、排出ポンプ92が駆動されてから予め設定された時間が経過したかを監視する。時間としては、排出ポンプ92が培養バッグ70から半量の液体を排出するに十分な時間より長い時間が設定されている。制御部11は、排出ポンプ92が駆動されてから予め設定された時間が経過したと判定すると、給排制御部22は、排出ポンプ92を停止し、バルブV13,V15を閉状態とする。これにより、培養バッグ70に貯留された培地の半分が、培養バッグ70の内部空間から排出される。第1バッグ保持部31が第2姿勢に維持されることにより、ポート74から培地が排出されやすくなり、また培地の半分が培養バッグ70から排出されても、培養バッグ70の内面同士が接触し難い。
培養バッグ70から半分の培地が排出された後、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第1バッグ保持部31を第1姿勢とする。第1バッグ保持部31が第1姿勢にされた後、バルブV6,V9が開状態とされ、培養バッグ70への培地の供給が、前述された液体供給ステップと同様に行われる。これにより、サーババッグ40に貯留されている新鮮培地が、培養バッグ70へ供給される。培養バッグ70へ供給される新鮮培地の量は、先に培養バッグ70から排出された量と同じ、すなわち内部空間に貯留されていた培地の半分である。給排制御部22は、培養バッグ70に新鮮培地が供給された後、供給ポンプ91を停止して、バルブV6,V9を閉状態とする。
培養バッグ70へ新鮮培地が供給された後、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第1姿勢の第1バッグ保持部31を第3姿勢とし、給排制御部22は、バルブV13,V15を開状態として、排出ポンプ92を駆動する。これにより、培養バッグ70の内部空間から、ポート74を通じて培地とともに気体が排出される。そして、排出ポンプ92が停止され、バルブV13,V15が閉状態とされて、培地交換ステップ(ステップS18)が終了する。培地交換ステップ(ステップS18)が終了すると、前述と同様にして培養ステップ(ステップS19)が行われる。
[継代ステップ]
以下、継代ステップについて説明する。継代ステップにおいて、培養バッグ70において培養されたヒト多能性幹細胞が回収される(ステップS20)。細胞懸濁液の回収が行われるときには、培養制御部21は、第3情報を回転制御部20及び給排制御部22に出力する。図11に示されるように、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第4姿勢の第1バッグ保持部31を第3姿勢とする(ステップS41)。なお、本実施形態においては、第1バッグ保持部31の支持面65,66が鉛直方向に沿っている姿勢であれば、ポート73,74のいずれかが上方又は下方にあっても、第3姿勢と称している。
第1バッグ保持部31が第3姿勢にされた後、培養バッグ70からの培地の排出が行われる。給排制御部22は、バルブV13,V15を開状態として、排出ポンプ92を駆動する。これにより、培養バッグ70に貯留された培地の全量が、ポート74と通じて内部空間から排出される(ステップS42:培地排出ステップの一例)。培養バッグ70から培地の全量が排出された後、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第3姿勢の第1バッグ保持部31を第1姿勢にする(ステップS43)。
第1バッグ保持部31が第1姿勢にされた後、培養バッグ70への剥離液の供給が行われる。給排制御部22は、冷蔵保存部12又は常温保存部13に保存された剥離液を貯留する容器と接続されているチューブ38が通されたバルブV3〜V5のいずれかと、バルブV9とを開状態として、供給ポンプ91を駆動する。これにより、培養バッグ70の内部空間へポート73を通じて剥離液が供給される(ステップS44:剥離液供給ステップの一例)。
培養バッグ70へ剥離液が供給された後、給排制御部22は、供給ポンプ91を停止して、開状態としたバルブV3〜V5のいずれかと、V9を閉状態とする。回転制御部20は、予め設定された時間が経過するまで(ステップS45:No)、第1バッグ保持部31を第1姿勢に維持する。剥離液によって、培養バッグ70の各内面に付着していたヒト多能性幹細胞の各内面への接着が弱まる。このような各内面に対してヒト多能性幹細胞の接着を弱める作用は、剥離液の種類や濃度、各内面の接触時間、第1バッグ保持部31などの姿勢などが適宜設定されることによって実現される。剥離液としては、例えば、EDTA、Trypsin、TrypLE select、TrypLE Express、Dispase、Collagenase、CTK液などが用いられる。
回転制御部20は、予め設定された時間が経過した後(ステップS45:Yes)、回転機構34を駆動して、第1バッグ保持部31を第1姿勢から第3姿勢とする(ステップS46)。第1バッグ保持部31が第3姿勢にされた後、培養バッグ70からの剥離液の排出が行われる。給排制御部22は、バルブV6,V9を開状態として、供給ポンプ91を逆向きに駆動する。これにより、培養バッグ70において剥離液がポート73を通じて内部空間から廃液容器19へ排出される(ステップS47:剥離液排出ステップの一例)。培養バッグ70から剥離液の全量が排出された、培養バッグ70の内面の少なくとも一部、好ましくは培養バッグ70の内面におけるチューブ99の周囲を除く部分が接触した後、回転制御部20は、回転機構34を駆動して、第1バッグ保持部31を第3姿勢から第1姿勢とする(ステップS48)。なお、培養バッグ70から剥離液が排出されるときの第1バッグ保持部31の姿勢は、第3姿勢でなく、第2姿勢であってもよい。すなわち、本実施形態における第2姿勢及び第3姿勢のいずれもが、本発明における第2姿勢の一例である。また、培養バッグ70から剥離液の全量が排出されたときに培養バッグ70の内面同士が接触する部分の割合は多いほどの好ましいが、必ずしも各内面の全てが接触する必要はない。すなわち、剥離液が作用した培養バッグ70の内面において、接着が弱まった細胞が対向するシートに挟まれていれば、培養バッグ70の内面から細胞が剥離することが抑制される。
第1バッグ保持部31が第1姿勢にされた後、培養バッグ70への培地の供給が行われる。給排制御部22は、冷蔵保存部12又は常温保存部13に保存された培地を貯留する容器と接続されているチューブ38が通されたバルブV3〜V5のいずれかと、バルブV9とを開状態として、供給ポンプ91を駆動する。これにより、培養バッグ70の内部空間へポート73を通じて培地が供給される(ステップS49:細胞剥離ステップの一例)。培地としては、mTeSR1、TeSR2、TeSR-E8、Essential E8 Medium、StemPro、N2B27、CELRENA、S-Medium、StemSure、StemFitなどが用いられる(特開2011−78370号公報)。培養バッグ70に供給された培地は、チューブ99付近から相互に接触している培養バッグ70の内面同士の間を流通しつつ、培養バッグ70の内部空間に貯留される。このような培地の流れによって、培養バッグ70の内面から細胞が剥離される。
培養バッグ70へ培地が供給された後、給排制御部22は、供給ポンプ91を停止して、開状態としたバルブV3〜V5のいずれかと、V9を閉状態とする。回転制御部20は、予め設定された時間が経過するまで(ステップS50)、第1バッグ保持部31を第1姿勢に維持する。前述されたように、培地の供給によって、培養バッグ70の各内面に付着していたヒト多能性幹細胞が剥離される。培地の供給による各内面からのヒト多能性幹細胞の剥離は、培地の流速や、第1バッグ保持部31などの姿勢、放置時間などが適宜設定されることによって実現される。なお、培養バッグ70へ培地が供給された後、必要があれば、前述と同様にして培養バッグ70の内部空間から気体が排出されてもよい。また、培養バッグ70の各内面から剥離したヒト多能性幹細胞は、複数個の細胞が相互に付着して一体となった細胞塊(コロニー)を形成している。
回転制御部20は、予め設定された時間が経過した後(ステップS50)、回転機構34を駆動して、第1バッグ保持部31を第1姿勢から第3姿勢とする(ステップS51)。第1バッグ保持部31が第3姿勢にされた後、培養バッグ70から培養バッグ80へ細胞懸濁液が移動される。給排制御部22は、バルブV6,V9を開状態として、供給ポンプ91を逆向きに駆動する。これにより、培養バッグ70において細胞懸濁液がポート73を通じて内部空間から排出され(ステップS52)、細胞塊を崩壊させてサーババッグ40に回収される。すなわち、分散ステップが実行される。なお、分散ステップは、培養バッグ70から培養バッグ80へ細胞懸濁液が移動するまでに実行されればよい。続いて、給排制御部22は、バルブV6,V10とを開状態として、供給ポンプ91を駆動する。これにより、サーババッグ40から培養バッグ80へ細胞懸濁液が供給される(ステップS53)。すなわち、細胞懸濁液移動ステップが実行される。
培養バッグ70からサーババッグ40へ細胞懸濁液が移動されるとき、及びサーババッグ40から培養バッグ80へ細胞懸濁液が移動されるときに、細胞懸濁液は供給ポンプ91によって流動する。供給ポンプ91において、チューブにローラが当接しつつ回転することによって、チューブが撓みつつ扱かれることにより、供給ポンプ91を流通する細胞懸濁液に含まれる細胞塊が崩壊される。なお、細胞塊の崩壊は、必ずしも細胞塊が単一のヒト多能性幹細胞となるまで行われる必要はなく、単一に分散されたヒト多能性幹細胞のほか、数個から数十個程度のヒト多能性幹細胞が接着した状態にまで崩壊されていればよい。
細胞懸濁液が培養バッグ80に移動された後、第2バッグ保持部32が第1姿勢で5分から12時間放置された後、前述と同様にして培地交換ステップ(ステップS18)が行われる。第2バッグ保持部32が第1姿勢で放置されている間に、細胞懸濁液に含まれる細胞が培養バッグ80の内面に十分に接着する。なお、第2バッグ保持部32は、放置されている間に第1姿勢から第4姿勢に姿勢変化されてもよい。その後、培養バッグ80において、前述と同様に培養ステップ(ステップS19)が行われる。培養バッグ80における培養が行われた後、前述と同様にして細胞懸濁液回収ステップ(ステップS20)が行われ、継代が行われないのであれば(ステップS21:No)、必要に応じて細胞懸濁液の濃縮ステップ(ステップS23)が行われて、細胞培養が終了する。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、培養バッグ70の内部空間においてヒト多能性幹細胞が培養される。継代に際して、培地排出ステップ(ステップS42)により培養バッグ70から培地が排出される。そして、剥離液供給ステップ(ステップS44)により、培養バッグ70に剥離液が流入される。これにより、培養バッグ70の各内面に付着しているヒト多能性幹細胞に剥離液が作用するが、ヒト多能性幹細胞は、各内面から完全に剥離されない。剥離液排出ステップ(ステップS47)により、培養バッグ70から剥離液が流出された後、細胞剥離ステップ(ステップS49)により、培養バッグ70に培地が供給される。これにより、培養バッグ70の各内面からヒト多能性幹細胞が剥離され、培養バッグ70の内部空間には、ヒト多能性幹細胞と培地との細胞懸濁液が作成される。培地の供給による培地の流れを受けて培養バッグ70の内面から細胞が剥離するので、剥離のために細胞に付与される力が穏やかである。分散ステップにより、培養バッグ70から流出された細胞懸濁液に含まれる細胞塊がシングルセルあるいはシングルセルに近い状態まで崩壊される。培地の流れを受けて細胞塊が崩壊されるので、容易且つ穏やかに細胞塊が崩壊される。細胞懸濁液移動ステップ(ステップS52,S53)により、培養バッグ70から培養バッグ80に細胞懸濁液が移動される。その後、培地交換ステップ(ステップS18)が行われるまでに、培養バッグ80が5分から12時間放置されている間に、培養バッグ80の内面に細胞懸濁液中にヒト多能性幹細胞が付着する。そして、培養バッグ80において、培地が交換される(ステップS18)。これにより、ヒト多能性幹細胞の培養において、遠心分離を必要とせずに継代を実現できる。
また、供給ポンプ91により、培養バッグ70から培養バッグ80へ細胞懸濁液が移動されると共に、ヒト多能性幹細胞の細胞塊が崩壊される。そのため、フィルタのような細胞塊を崩壊させるための部材を別途に設ける必要がないので、培養装置10の構成が簡略化される。
また、第1姿勢において培養バッグ70が安定して第1バッグ保持部31に支持されるので、培養バッグ70に培地が供給されるときに、培養バッグ70の姿勢変化が少ない。また、第1バッグ保持部31が第2姿勢又は第3姿勢とされることにより、培養バッグ70に貯留された剥離液が重力によってポート73へ移動するので、培養バッグ70から剥離液が排出されるときに、培養バッグ70に残留する剥離液を少なくすることができる。
また、剥離液排出ステップにおいて、培養バッグ70の内部空間を区画して対向するシートの内面の少なくとも一部が接触するまで剥離液が排出されるので、培養バッグ70に残存する剥離液を少なくすることができる。また、培養バッグ70は閉鎖系の液体供給回路及び液体排出回路と接続されているので、剥離液が排出された後、培地が流入されるまでの間に、培養バッグ70内において細胞が乾燥することを抑制できる。また、剥離液が排出されると、培養バッグ70において対向するシートの内面が接触しているので、シートの内面に付着している細胞が対向するシートによって挟み込まれ、シートから細胞が剥離することが抑制される。その後の細胞剥離ステップにおいて培養バッグ70に培地が流入されるときには、対向して接触しているシートの間に培地が流れるので、シート間における培地の勢い(流速)を高めることができ、シートから細胞が剥離しやすい。
また、培養バッグ70は、各縁部87,88がそれぞれポート73,74へ向かって内部空間が外方へ拡がる形状なので、第2姿勢又は第3姿勢において、培養バッグ70の内部空間において重力により剥離液がポート73,74へ向かって流れる。
[変形例]
なお、本実施形態では、培養制御部21に、培養ステップ、培地交換ステップ、培養ステップ、継代ステップ、細胞回収ステップが順次行われるように設定されている例が説明されたが、各ステップは任意に設定される。また、各ステップは、それぞれが個別独立して行われるように設定されていてもよい。すなわち、各ステップ毎に培養装置10の動作が停止され、次に行うべき培養装置10の動作をユーザが任意に入力するように設定されていてもよい。また、継代ステップ以外の各ステップ、すなわち、培養ステップ、培地交換ステップ、培養ステップ、細胞回収ステップは、任意の他の設定に変更されてもよい。
また、細胞培養において、培養バッグ70,80,90のいずれもが任意に使用することができる。また、サーババッグ39,40や回収バッグ41などは任意の構成であり、必要に応じて用いられればよい。
また、培養バッグ70には、2つのポート73,74が形成されているが、ポートは1つのみ形成されていてもよい。また、第1バッグ保持部31の支持面65,66が鉛直方向に沿っている姿勢であれば、ポート73,74のいずれかが上方又は下方にあっても、第3姿勢と称しているが、ポートが1つのみ形成されている場合において、細胞懸濁液回収ステップにおいて、培養バッグ70から細胞懸濁液を排出するときは、ポートが内部空間より下方にある姿勢のみが第3姿勢とされる。
また、本実施形態では、培養容器として培養バッグ70が用いられたが、培養容器はバッグ形状のものに限定されず、可撓性を有するボトルやカセットなどの形状のものが採用されてもよい。
培養装置10の培養バッグ70において、ヒトiPS細胞(253G1)をmTeSR1培地を用いて培養した後、前述された継代ステップを行った。剥離液としては、EDTAとTrypLE selectを用いた。剥離液の排出条件、及び培養バッグ80へ細胞懸濁液を移行してから培地交換までの時間を、下記の条件1,2,3として、培養バッグ80における細胞コロニーの接着性を顕微鏡を用いて観察した。その結果を、図12に示す。
[表1] 条件
Figure 2017006058
図12において白三角(△)で示される箇所は、細胞コロニーの接着が不良と認められる箇所であり、黒三角(▲)で示される箇所は、細胞コロニーが十分に接着していると認められる箇所である。図12から明らかなように、条件1では、細胞の接着が不良である箇所が多く、条件2では、細胞の接着が不良である箇所と、細胞が十分に接着している箇所とが混在しており、条件3では、細胞が十分に接着している箇所が多かった。
10・・・培養装置
20・・・回転制御部
21・・・培養制御部
22・・・給排制御部
31,32,33・・・バッグ保持部(容器保持部)
34・・・回転機構
37・・・液体給排機構
42,43・・・保持板
48,49・・・回転軸
65,66・・・支持面
70,80,90・・・培養バッグ(第1培養容器、第2培養容器)
73・・・ポート
74・・・ポート
75・・・内部空間
77,78・・・端部
87,88・・・縁部
91・・・供給ポンプ(チューブポンプ)

Claims (10)

  1. 液体が流通するポートをそれぞれ有しており、各内部空間においてヒト多能性幹細胞の培養が可能な第1培養容器及び第2培養容器と、
    上記第1培養容器及び上記第2培養容器へ液体をそれぞれ供給及び排出する液体給排機構と、
    上記液体給排機構を制御する給排制御部と、を具備しており、
    上記給排制御部は、
    上記液体給排機構に、ヒト多能性幹細胞が培養された上記第1培養容器から培地を流出させる培地排出ステップと、
    培地が排出された上記第1培養容器に剥離液を流入させる剥離液供給ステップと、
    上記第1培養容器から剥離液を流出させる剥離液排出ステップと、
    剥離液が排出された上記第1培養容器に培地を流入させて細胞を剥離する細胞剥離ステップと、
    上記第1培養容器から細胞懸濁液を流出させ、当該細胞懸濁液に含まれる細胞塊を崩壊させる分散ステップと、
    崩壊された細胞塊を含む上記細胞懸濁液を上記第2培養容器へ流入させる細胞懸濁液移動ステップと、
    細胞懸濁液が流入された上記第2培養容器において細胞が第2培養容器に十分に接着した後、当該第2培養容器の培地を交換する培地交換ステップと、を実行する培養装置。
  2. 上記液体給排機構は、液体が流通するチューブと、当該チューブに当接して当該チューブを撓ませつつ移動することによって、当該チューブ内の液体を移動させるチューブポンプと、を具備するものであり、
    上記給排制御部は、上記分散ステップにおいて、ヒト多能性幹細胞の細胞塊を含む細胞懸濁液を上記チューブポンプに流通させることによって、細胞塊を崩壊させる請求項1に記載の培養装置。
  3. 上記培地交換ステップは、細胞懸濁液が流入された上記第2培養容器を5分から12時間放置した後、当該第2培養容器の培地を交換するステップである請求項1又は2に記載の培養装置。
  4. 上記第1培養容器及び上記第2培養容器は、可橈性のシートによって上記内部空間が区画されたバッグ形状であって、上記チューブを通じて上記液体給排機構と閉鎖系で接続されており、
    上記剥離液排出ステップは、上記第1培養容器の内部空間を区画して対向するシートの内面の少なくとも一部が接触するまで剥離液を排出するステップである請求項2に記載の培養装置。
  5. 上記第1培養容器を保持する保持板、及び回転軸を有する容器保持部と、
    上記回転軸を支持して回転させる回転機構と、
    上記容器保持部を上記保持板における上記第1培養容器を支持する支持面が略水平方向に沿った第1姿勢、及び上記支持面が略水平方向に沿っておらず且つ上記ポートが上記回転軸より重力方向の下方に位置する第2姿勢となるように、上記回転機構の回転を制御する回転制御部と、を更に備え、
    上記回転制御部は、
    上記剥離液排出ステップにおいて、上記容器保持部が上記第2姿勢となるように上記回転機構を回転させ、
    上記細胞剥離ステップにおいて、上記容器保持部が上記第1姿勢となるように上記回転機構を回転させる請求項1から4のいずれかに記載の培養装置。
  6. 上記第1培養容器は、可橈性のシートによって上記内部空間が区画されたバッグ形状であって、上記内部空間を区画しており、且つ上記ポートが配置されている上記シートの縁部が、上記ポートへ向かって上記内部空間が外方へ拡がる形状である請求項5に記載の培養装置。
  7. 上記第1培養容器及び上記第2培養容器は、内部空間を区画する内面にヒトラミニンの活性フラグメントがコーティングされたものである請求項1から6のいずれかに記載の培養装置。
  8. ヒト多能性幹細胞が培養された第1培養容器から培地を流出させる培地排出ステップと、
    培地が排出された上記第1培養容器に剥離液を流入させる剥離液供給ステップと、
    上記第1培養容器から、上記第1培養容器の内部空間を区画して対向するシートの内面が接触するまで剥離液を排出させる剥離液排出ステップと、
    剥離液が排出された上記第1培養容器に培地を流入させて細胞を剥離する細胞剥離ステップと、
    上記第1培養容器から細胞懸濁液を流出させ、当該細胞懸濁液に含まれる細胞塊を崩壊させる分散ステップと、
    崩壊された細胞塊を含む上記細胞懸濁液を上記第2培養容器へ流入させる細胞懸濁液移動ステップと、
    細胞懸濁液が流入された上記第2培養容器を5分から12時間放置した後、当該第2培養容器の培地を交換する培地交換ステップと、を含む培養方法。
  9. 上記分散ステップにおいて、
    液体が流通するチューブに当接して当該チューブを撓ませつつ移動することによって、当該チューブ内の液体を移動させるチューブポンプに、ヒト多能性幹細胞の細胞塊を含む細胞懸濁液を流通させることによって、細胞塊を崩壊させる請求項8に記載の培養方法。
  10. 上記剥離液排出ステップにおいて、上記第1培養容器を支持する容器保持部の支持面が略水平方向に沿っておらず且つ上記ポートが上記内部空間より重力方向の下方に位置する姿勢とし、
    上記細胞剥離ステップにおいて、上記支持面が略水平方向に沿った姿勢とする請求項8又は9に記載の培養方法。
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