JP2017004884A - リチウムイオン二次電池、電池パック、リチウムイオン二次電池の劣化検出装置及び劣化検出方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池、電池パック、リチウムイオン二次電池の劣化検出装置及び劣化検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な装置で非破壊かつ実装状態で、電池の劣化や劣化の程度を検出することができ、二次電池の実装面積を増加させず、電池効率を低下させずに、電池の劣化や劣化程度を検出することができるリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】外装体内に、正極と負極がセパレーターを介して積層される積層体と、該積層体を漬浸する電解液とが充填された二次電池において、前記積層体が、最外層の少なくとも一面に負極を有し、前記正極が、充放電反応に伴い充放電反応に関与しない遷移金属を生じる正極活物質を有し、前記最外層の負極に対向する位置の前記外装体に、前記外装体の外部から視覚される蛍光体層を設け、該蛍光体層が、前記最外層の負極上の遷移金属が照射されたX線を変換して発光する蛍光X線により励起されて蛍光を発光する蛍光体を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池、これを用いた電池パック、リチウムイオン二次電池の劣化検出装置及び劣化検出方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコンなどのモバイル機器のエネルギー源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)あるいは事業所や家庭用の蓄電池等、多方面に亘って使用されている。
典型的なリチウムイオン二次電池は、正極と負極がセパレーターを介して対峙して積層され、更に、必要に応じてこの積層体が複数積層され、これらが非水性の電解液に漬浸されて外装体内に収納されている。正極及び負極はそれぞれ活物質を含む活物質層が集電体上に形成された構成を有する。正極活物質には、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などの動作電圧が4Vを超えるリチウム含有遷移金属酸化物が広く用いられている。また、熱的・化学的安定性から安全性が高いオリビン構造を有するLiFePOを始めとするリチウム含有遷移金属リン酸化合物は、電池の大容量化、高出力密度化、長寿命化等が必要とされるEVやHEVの正極活物質として極めて有用である。また、負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵、放出する炭素材料や、リチウムと合金を形成するアルミニウム、ケイ素、スズなどの金属材料や、これらの炭素材料、金属及びその酸化物を含むもの等が広く用いられている。
リチウムイオン二次電池に充電もしくは放電を行うと、電解液に溶解したリチウムイオンがセパレーターを通過して正極と負極の間を移動し、正極活物質と負極活物質との間でそれぞれ充放電反応によりリチウムイオンの吸蔵、放出が行われる。
一般に、リチウムイオン二次電池は充放電が反復されることにより、容量が低下し劣化が生じる。リチウムイオン電池の劣化の程度は、満充電した後に放電させて実際の放電容量を測定することにより判断することができる。しかしながら、この劣化検査は相応の設備と時間を要する。特に、EVなどの大型の蓄電池の場合、実際に充放電を行う劣化検査は時間やコストを要する。リチウムイオン電池の劣化程度を迅速かつ簡便に判断できる劣化検査方法やその装置が求められている。
ここで、リチウムイオン二次電池の劣化は、活物質の状態変化が一因となって生じることが知られている。例えば、オリビン化合物のLiFePOを正極活物質とするリチウムイオン二次電池においては、充放電に伴い活物質中の鉄元素が部分的に溶出する結果として、リチウムイオン二次電池の容量や出力が低下することが知られている。また、正極活物質としてLiCoOやLiMn、LiNiO等の遷移金属化合物を用いた場合においても、それぞれ、正極活物質層から遷移金属元素イオンが電解液に溶出することにより、電池の容量の出力が低下することが確認されている。
一方、非破壊検査の分野では、X線透過によって内部構造を検査する手法が使用されている。リチウムイオン二次電池の状態評価の手法としても、薄いフィルム型電池に含まれる活物質の電子状態(価数変化)をX線吸収から測定する非破壊分析手法が開示されている(特許文献1)。また、リチウムイオン二次電池の容量劣化とLiMn結晶中のMn溶出による格子定数の変化とをX線回折法により評価する方法(特許文献2)や溶出したMnによるX線吸収量または蛍光X線量により評価する方法(特許文献3)が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載される物質の電子状態の分析法は、各点におけるX線の吸光度を測定し、充放電の進行度を2次元的に視覚化することにより、電池の正負極の容量バランスを設計したり、電池内部での充放電が起こりにくい部分を特定するためのデータを得るものであり、正極や負極の劣化や、その程度を測定できるものではない。
また、特許文献2に記載されるリチウムイオ二次電池の容量劣化判定方法は、正極活物質としてマンガン酸リチウムを使用した場合、結晶中からマンガンが溶出するのに伴い、電池容量が低下すると共に、マンガン酸リチウムの格子定数も変化することから、マンガン酸リチウムの格子定数を測定して電池の容量劣化を判定する方法であり、特許文献2には、リチウム二次電池を実装状態で検出できる方法についての記載はない。
また、特許文献3に記載される二次電池は、外装体から突出して電解液溜め部を形成し、電解液溜め部にX線を照射し、X線透過強度又は蛍光X線量の変化量から、正極活物質に含まれるマンガンの電解液中への溶出量を求め、劣化の程度を調べる方法が記載されているが、特許文献3に記載される二次電池においては、蛍光X線の検出装置が必要となり、装置が大掛かりとなってしまう。その上、二次電池の実装面積が増加することにより電池効率の低下が生じる。
その他、二次電池を内蔵する外装材表面、少なくとも一層に脆質加工を施した多層構造の識別ラベルを貼着し、識別ラベルの表面に蛍光体を分散させた塗料を塗布し、紫外線が照射されると蛍光体が発光することにより、商品の識別を可能としたり、また、外装材内の二次電池を抜き替えるために、一旦識別ラベルを剥がすと再貼着が不可能となることから、模倣防止や、電池の事故抑制した二次電池(特許文献4)が報告されている。
リチウムイオン二次電池の実装面積を増加させず、電池効率を図って、効率よく、電池の劣化やその程度を、簡便な装置で検出することができる非破壊検査を適用したリチウムイオン二次電池やその検出装置、検出方法の要請がある。
また、リチウムイオン二次電池をEVなどの大型蓄電池として使用する場合、複数の電池セルを直列あるいは並列接続して用いることが多い。これら特許文献に開示された従来の評価手法においては、電池セル単位での評価を前提としたものであり、実装状態で電池パックの劣化やその程度を検出できるリチウムイオン二次の電池パックの劣化検出装置や検出方法の要請がある。
特開平11−230920号公報 特開2000−156249号公報 特開2012−252997号公報 特開2005−302635号公報
本発明の課題は、実装状態でリチウムイオン二次電池の劣化やその程度を検出することが可能なリチウムイオン二次電池、電池パック、これらの検出装置、検出方法を提供することにある。
本発明のリチウムイオン二次電池は、外装体内に、正極と負極がセパレーターを介して積層される積層体と、該積層体を漬浸する電解液とが充填された二次電池において、前記積層体が、最外層の少なくとも一面に負極を有し、前記正極が、充放電反応に伴い充放電反応に関与しない遷移金属を生じる正極活物質を有し、前記最外層の負極に対向する位置の前記外装体に、前記外装体の外部から視覚される蛍光体層を設け、該蛍光体層が、前記最外層の負極上の遷移金属が照射されたX線を変換して発光する蛍光X線により励起されて蛍光を発光する蛍光体を含むことを特徴とする。
また、本発明の電池パックは、上記リチウムイオン二次電池を積層した電池積層体を収納する収納体を有する電池パックであって、前記収納体は蛍光体層の観察窓が設けられたことを特徴とする。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の劣化検出装置は、上記リチウムイオン二次電池の劣化検出装置であって、前記最外層の負極にX線を照射するX線照射装置と、前記負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された前記蛍光体層から発光される蛍光の発光強度を測定する発光強度測定装置又は発光面積を測定する発光面積測定装置とを備えたことを特徴とする。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の劣化検出方法は、上記リチウムイオン二次電池の劣化検出方法であって、前記最外層の負極にX線を照射し、前記負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された前記蛍光体層から発光される蛍光の発光強度又は発光面積を測定することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池やこれを用いた電池パックは、蛍光X線検出装置を用いることなく、簡便な装置で非破壊かつ実装状態で、電池の劣化や劣化の程度を検出することができ、しかも、リチウムイオン二次電池の実装面積を増加させることがなく、電池効率を低下させずに、電池の劣化や劣化程度を検出することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示す概略図である。 本発明の電池パックの一例を示す概略構成斜視図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の劣化検出装置を示す概略構成斜視図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示す概略断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の一例の充放電サイクルと電池容量の関係を示す図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の一例にX線を照射したときの蛍光体層の発光状態を示す図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の一例の充放電サイクルとX線を照射したときの蛍光体層の発光強度の関係を示す図である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、外装体内に、正極と負極がセパレーターを介して積層される積層体と、該積層体を漬浸する電解液とが充填された二次電池において、前記積層体が、最外層の少なくとも一面に負極を有し、前記正極が、充放電反応に伴い充放電反応に関与しない遷移金属を生じる正極活物質を有し、前記最外層の負極に対向する位置の前記外装体に、前記外装体の外部から視覚される蛍光体層を設け、該蛍光体層が、前記最外層の負極上の遷移金属が照射されたX線を変換して発光する蛍光X線により励起されて蛍光を発光する蛍光体を含むものである。
上記リチウムイオン二次電池は、正極と負極がセパレーターを介して積層される積層体と、該積層体を漬浸する電解液とが外装体に充填された構造を有する。
[正極]
上記積層体を構成する正極は、正極活物質を含む。正極活物質は反復される充放電反応に伴い充放電反応に関与しない遷移金属を生じるものであって、該遷移金属は、X線が照射されると蛍光X線を発光するものであればよい。正極活物質として、具体的には、遷移金属を含有する遷移金属酸化物、例えば、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)や、オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4)等を挙げることができる。これらのうち、リン酸鉄リチウムは特に、熱的・化学的安定性が高く、大容量で高出力密度を有することから、EVや、HEV用として好ましい。マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)等の遷移金属酸化物は、作動電圧が4V以上であり、高電位の電池の正極活物質として好ましい。このような遷移金属酸化物やオリビン化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記正極活物質は、充放電に伴い、Fe、Ni、Co、Mn等の遷移金属を電解液に溶出させる。遷移金属はそれ自体では充放電反応に関与しないものであり、遷移金属が正極活物質から溶出することにより、正極中の正極活物質の含有量の減少が生じ、電池容量の低下が生じる。電解液に溶出した遷移金属は電解液を介して移動し、一部が負極表面に付着する。これらの遷移金属はX線が照射されると、蛍光体を励起する蛍光X線を発光するものである。蛍光X線は、X線が照射された元素によってX線の一部が吸収されることにより変換されて発光される光であり、その元素の固有の波長を有する光である。蛍光X線は、X線が照射された遷移金属の量に比例して線量が増減し、この蛍光X線が蛍光体に照射されると、その蛍光X線の線量に比例して蛍光体からの蛍光の光量が増減する。このため、後述するように、負極上の遷移金属の量に比例して発光される蛍光によって、正極活物質から電解液に溶出した遷移金属量を検出電池の劣化及びその程度を検出することができる。
上記遷移金属に照射するX線としては、遷移金属の吸収端より高いエネルギーのX線であることが好ましい。遷移金属の吸収端より高いエネルギーのX線であれば、遷移金属から蛍光X線を確実に発光させ、蛍光体の発光を促進させ得る。遷移金属が鉄の場合は、吸収端が約7.1keV、ニッケルは約8.3keV、keV、コバルトは約7.7keV、マンガンは約6.5keVであり、この吸収端より高いエネルギーのX線を用いることが好ましい。
上記遷移金属に照射するX線の線源としては、NiKα(約7.5keV)、CuKα(8.0keV)、CoKα(約6.9keV)等を用いることができる。具体的には、上記遷移金属がマンガンの場合、吸収端は約6.5keVであるので、照射X線の線源としては、NiKα、CuKα、CoKα等を、遷移金属がコバルトの場合CuKα等を、遷移金属が鉄の場合NiKα、CuKα等を用いることができる。
上記正極活物質の遷移金属化合物の粒子径は、中心粒径が、0.1〜50μmであることが好ましく、0.2〜40μmがより好ましい。遷移金属化合物の中心粒径を0.1μm以上とすることにより、構成元素の電解液への溶出を抑制し、電解液との接触による正極活物質に含まれる遷移金属の電解質への溶出をより抑制することができる。また、遷移金属化合物の中心粒径を50μm以下とすることにより、充放電に伴う正極におけるリチウムイオンの挿入脱離を容易にし、抵抗をより低減することができる。
遷移金属化合物の中心粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置による測定値を採用することができる。
上記正極活物質は、必要に応じて導電剤と共に、正極用結着剤によって一体的に、正極集電体上に結着した正極活物質層として形成されるものである。
導電剤は、正極活物質のインピーダンスを低下させるものであり、カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
正極用結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を挙げることができる。これらの中、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、正極活物質100質量部に対して、2〜10質量部であることが、エネルギー密度と結着力の調整上、好ましい。
正極集電体は、結着剤により一体とされる正極活物質を含む正極活物質層を支持し、外部端子との導通を可能とする導電性を有するものであればよく、材質としては、電気化学的安定性から、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、又は、これらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
正極集電体の厚さは、正極活物質層を支持可能な強度を保てる厚さとすることが好ましく、例えば、4〜100μmであることが好ましく、エネルギー密度を高めるためには、5〜30μmであることがより好ましい。
上記正極活物質層の電極密度は1.0g/cm以上、3.0g/cm以下であることが好ましい。正極の電極密度が1.0g/cm以上であれば、放電容量の絶対値が小さくなるのを抑制することができる。一方、正極の電極密度が3.0g/cm以下であれば、電解液が電極へ容易に含浸し、放電容量が低下するのを抑制することができる。
このような正極活物質層は、遷移金属化合物の正極活物質と、必要に応じて導電剤粉末と、正極用結着剤とを、Nーメチル−2−ピロリドン(NMP)、脱水トルエン等の溶剤に分散させ、混練して得られた正極活物質層用材料を、正極集電体上に、ドクターブレード法、ダイコーター法等により塗工し、高温雰囲気下で乾燥して作製することができる。正極活物質層の作製方法としては、塗工法の他、CVD法、スパッタリング法等を挙げることができる。予め正極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、正極集電体としてもよい。
[負極]
上記積層体を構成する負極は、負極活物質と共に導電剤が負極用結着剤によって一体的に、負極集電体上に結着した構造を有するものを挙げることができる。
負極活物質としては、充放電反応によりリチウムイオンを吸蔵放出可能なものであればよく、炭素材料、ケイ素、スズ等の金属やその酸化物等の金属化合物等を挙げることができ、これらを組み合わせて用いることができる。負極活物質として、ケイ素、ケイ素酸化物、及び炭素から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。ケイ素酸化物としては、SiO、SiOを挙げることができる。炭素としては、黒鉛、ハードカーボン等を挙げることができる。金属として、ケイ素の他、Al、Pb、S、Zn、Cd、Sb、In、Bi、Ba、Ca、Hg、Pd、Te等を挙げることができる。また、金属化合物としては、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、酸化スズ、酸化鉛などの金属酸化物、金属硫化物、ポリアセン若しくはポリチオフェン、又は窒化リチウム等を含んでいてもよい。
負極に用いる導電剤は上記正極において具体的に例示したものと同様のものを挙げることができ、その使用量としては、例えば、負極活物質100質量部に対して、1〜10質量部を挙げることができる。負極用結着剤として、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂等の熱硬化性を有する樹脂を用いることができる。使用する負極結着剤の量は、負極活物質と負極結着剤の総量に対して1〜30質量%の範囲であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましい。負極結着剤の含有量を、1質量%以上とすることにより、活物質同士あるいは活物質と集電体との密着性が向上し、サイクル特性が良好になり、30質量%以下とすることにより、活物質比率が向上し、負極容量を向上させることができる。
負極用集電体は、結着剤により一体とされる負極活物質を含む負極活物質層を支持し、外部端子との導通を可能とする導電性を有するものであればよく、その材質としては、具体的に、上記正極集電体と同様のものを挙げることができる。
負極集電体の厚さは、負極活物質層を支持可能な強度を有する厚さとすることが好ましく、正極集電体の厚さと同様の厚さを挙げることができる。
上記負極活物質層の電極密度は0.5g/cm以上、2.0g/cm以下であることが好ましい。負極の電極密度が0.5g/cm以上であれば、放電容量の絶対値が小さくなるのを抑制することができる。一方、負極の電極密度が2.0g/cm以下であれば、電解液が電極へ容易に含浸し、放電容量が低下するのを抑制することができる。
このような負極活物質層は、負極活物質の粉末、負極用結着剤を、必要に応じて導電剤や、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤と混練して得られた負極活物質層用材料を、銅箔等の負極集電体上に塗工し、圧延加工し塗布型極板としたり、直接プレスして加圧成形極板として得ることができ、また、塗工後、塗膜を高温雰囲気で乾燥し、負極活物質層として作製することができる。負極活物質層のその他の作製方法として、正極活物質層の作製方法と同様の方法を挙げることができる。
[積層体]
上記正極と負極とはセパレーターを介して積層される。セパレーターは、正極及び負極の接触を抑制し、荷電体の透過を阻害せず、電解液に対して耐久性を有するものであれば、いずれであってもよい。具体的な材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系微多孔膜、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン等を採用することができる。これらは、多孔質フィルム、織物、不織布等として用いることができる。
このようなセパレーターを介して積層される正極及び負極は、これらの各1層を積層した積層体であってもよいが、必要に応じて複数組を積層した積層体を構成していてもよい。積層体の形態としては、積層されたものであっても、捲回されたものであってもよく、その形状も、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、積層コイン型、捲回ラミネート型、扁平捲回ラミネート型、積層ラミネート型等であってもよい。最外層の少なくとも1層を負極とする。最外層が負極であることにより、最外層の負極にX線を照射することができ、正極活物質層中の遷移金属からの蛍光X線の影響を抑制して、正極活物質層から電解液に溶出した遷移金属及びその量を非破壊検出することができる。
[電解液]
上記積層体を漬浸する電解液は、非水系の有機溶媒に、電解質を溶解したものであり、リチウムイオンを溶解可能な液であり、充放電時の正極負極においてリチウムの吸蔵放出を可能とするため、正極と負極を漬浸して設けられる。
上記電解液の溶媒は、反復して行われる充放電によっても電解液の分解が抑制され、正極及び負極を充分に漬浸できる流動性を有することが、電池の長寿命化を図ることができるため、好ましい。電解液溶媒として、具体的には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、電解液は、フッ素化合物を含有することが好ましい。フッ素化合物としては、フッ素化鎖状エーテルが好ましく、特に、H-(CF2-CF2)n-CH2O-CF2-CF2-H(nは、1〜4の整数を示す)は、安定性が高く好ましい。
電解液に含まれる電解質としては、リチウム塩が好ましい。リチウム塩としては、具体的に、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCCO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl、イミド類、フッ化ホウ素類等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
電解液中の電解質の濃度としては、0.01mol/L以上、3mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5mol/L以上、1.5mol/L以下である。電解質濃度がこの範囲であると、安全性の向上を図ることができ、信頼性が高く、環境負荷の軽減に寄与する電池を得ることができる。
[外装体]
外装体は、上記積層体と電解液とを安定して保持可能な強度を有し、これらの物質に対して電気化学的に安定で、水密性を有するものが好ましい。具体的には、例えば、ステンレス、ニッケルメッキを施した鉄、アルミニウム、チタン若しくはこれらの合金又はメッキ加工をしたもの、金属ラミネート樹脂等を用いることができ、金属ラミネート樹脂に用いる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。これらは、一層又は二層以上の構造体であってもよい。外装体の材質が正極活物質に含まれる遷移金属を含有するものである場合、後述するように外装体に透過窓を形成し、負極を照射するX線を透過窓を通って負極を照射するように、X線が外装体から受ける影響を排除することが好ましい。
上記外装体の内面又は外面に蛍光体層を設ける。蛍光体層は、負極に照射されたX線が負極上の遷移金属によって変換された蛍光X線によって励起され蛍光を発光する蛍光体を含有する。このため、X線が照射される最外層の負極に対向した位置に設ける。係る蛍光体としては、GdS:Tb等のGdS系を挙げることができる。蛍光体層の厚さは具体的には100〜200μm等とすることができる。
このような蛍光体層は、外装体の外部から視覚されるものであり、外装体が透明樹脂製等の透光率が高い材質で形成される場合は、蛍光体層は外装体の外面、内面を問わず、いずれにも設けることができる。
外装体が透光性を有しない場合又は蛍光の透過率が低い場合、例えば、金属製又は金属ラミネート樹脂製であるとき、蛍光体層が外装体の外部から視覚できるように、蛍光体層は外装体の外面に設けるか、又は、外装体の内面に設け、負極活物質層上の遷移金属が発光する蛍光X線により励起された蛍光体が発光する蛍光を透過させる透過窓を形成することが好ましい。透過窓は、外装体が金属製の場合は、透過窓を形成する部分の外装体を除去して設けることができ、外装体が金属ラミネート樹脂製の場合、金属ラミネート層を形成せずに設けることができる。透過窓には蛍光の透光率が高い被膜を設けてもよい。
この透過窓は外装体の材質が正極活物質の遷移金属を含むものである場合も、外装体に設けることにより、この透過窓を介してX線を負極に照射し、外装体自体が蛍光X線を発光するのを抑制することができる。尚、蛍光を透過させる上記透過窓とは別に、X線を透過させるX線透過窓を設けることもできる。
蛍光体層が外装体の外部から視覚されることにより、蛍光体層から発光される蛍光の明るさを視覚により認識し、最外層の負極に付着した遷移金属の有無、その量を検出することができる。
蛍光体層は、X線が照射された遷移金属が発光する蛍光X線により励起されて蛍光を発光する蛍光体粉末を含有する蛍光体塗料を作成し、これを外装体に直接塗布したり、また、別途フィルムやシートに塗布して、適宜切断して、外装体の内面又は外面に貼着して形成することができる。
更に、上記蛍光体層は、蛍光X線フィルター層を有するものであってもよい。X線を負極に照射して発光される蛍光X線には、検出対象である正極活物質から溶出した遷移金属以外の金属からの蛍光X線も含まれることから、検出対象の遷移金属以外の金属からの蛍光X線を除去して蛍光体層に入射させることにより、蛍光体層には遷移金属からの蛍光X線を選択的に入射させることができる。蛍光X線フィルターの材質は、検出する遷移金属の原子番号より一つ小さい原子番号の元素を含有させることができる。また、正極活物質に含まれる遷移金属が鉄である場合、鉄より軽金属のマンガンやアルミニウム等を含むものであることが好ましい。鉄より軽いこれらの元素を含む蛍光X線フィルターが鉄より軽いこれらの元素が発光する蛍光X線を吸収するため、蛍光体層に鉄からの蛍光X線を選択的に入射させることができる。
また、蛍光体X線フィルター層は、蛍光体層に入射する蛍光X線量を調整するものであってもよい。蛍光体層に入射する蛍光X線量を調整することにより、蛍光体の発光を観察に容易な程度に調整することができる。
蛍光X線フィルター層は蛍光体層の内側に設ければよく、蛍光体層が外装体の外側に設けられる場合は、蛍光体層と外装体の間に設け、蛍光体層が外装体の内側に設けられる場合は、外装体の内側に蛍光体層を挟持するように設けることができる。
蛍光X線フィルターは、検出する遷移金属より軽い金属を含む箔を外装体に貼着したり、金属を含む酸化物等の粉末と結着剤とを含む塗料を調製し、所望の厚さに塗布して設けることができる。蛍光X線フィルターとしては、例えば、検出する遷移金属が鉄の場合10〜30μmのアルミニウム箔を用いることができる。マンガンを含む蛍光X線フィルターは、例えば、粒径が25μm以下の酸化マンガンの粉末と結着剤とを含有する塗料を調製し、100〜200μmの塗布膜として形成することができる。
また、上記方法により作成した蛍光X線フィルターをシート状に形成された蛍光体と共に、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂で挟持してシート状に形成し、これを外装体に貼着することもできる。上市されているシート状の蛍光体としてはシートタイプシンチレーター(東芝マテリアル社製)を挙げることができる。
[リチウムイオン二次電池]
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記積層体と電解液とを外装体に充填して形成することができ、正極集電体の正極活物質層が形成されていない部分に正極端子の一端を接続し、他端を外装体外部に引き出し、負極集電体の負極活物質層が形成されていない部分に負極端子の一端を接続し、他端を外装体外部に引き出し、外装体を封止して作製することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一実施例を図1(a)の概略構成斜視図に示し、図1(b)に図1(a)中のA−A´における概略構成断面図を示す。図1に示すリチウムイオン二次電池は、正極活物質層14aが正極集電体14bの両面に設けられた正極14と、負極活物質層13aが負極集電体13bの両面に設けられた負極13とがセパレーター15を介して積層された積層体16を有し、負極13が最外層となるように積層した積層体16が電解液(図示せず)と共に、外装体12に充填されている。外装体12の外面の最外層の負極と対向する位置に蛍光体層11が設けられている。
尚、このようなリチウムイオン二次電池について、電池セル10と称することもできる。
[充放電]
このように作製されたリチウムイオン二次電池に充放電を行う。充放電を反復することにより、正極から遷移金属が電解液中に溶出し、電解液を介して負極に付着する。
[電池パック]
本発明の電池パックは積層型の上記リチウムイオン二次電池の複数を積層した電池積層体を収納体に収納し、収納体にリチウムイオン二次電池に設けた蛍光体層を外部から観察できる観察窓を設けたものであればよく、電池パックを電源を供給する装置に実装した状態で、観察窓から蛍光体層からの発光を視覚して電池の劣化を検出することができるものである。
本発明の電池パックの一実施例を図2の概略構成斜視図に示す。図2に示す電池パックは、電池セル10の複数が収納体18内に配置され、収納体18には、電池セルの外装体に設けられる蛍光体層11を視覚可能な観察窓19が設けられている。電池パックの収納体は電池セルの外装体と同様の材質を採用することができる。観察窓は特に限定されるものではなく、電池セルの蛍光体層を視覚できるものであれば、どのような大きさであってもよく、電池セルを装着した状態で、正極活物質の劣化を視覚することができ、また、蛍光体層の発光強度、発光面積を検出する検出装置によって、検出することもできる。
[劣化検出方法]
上記リチウムイオン二次電池の劣化検出方法は、最外層の負極にX線を照射し、負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された蛍光体層から発光される蛍光の発光強度を測定する。蛍光体層から発光される蛍光は、負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により蛍光体が励起されて発光されるものであり、蛍光強度は蛍光X線の線量に比例して変化するため、蛍光体層から発光される蛍光強度を測定することにより、負極上の遷移金属の量を検出することができる。
蛍光体層から発光される蛍光の発光強度は視覚により認識して測定してもよいが、後述する検出装置を用いることもできる。
また、上記電池パックの劣化検出方法は、リチウムイオン二次電池のセルの複数を収納する収納体に設けられた観察窓から、リチウムイオン二次電池の蛍光体層を観察して、その劣化を検出し、又は後述する劣化検出装置を用いて劣化を検出することもできる。
[劣化検出装置]
本発明の二次電池の劣化検出装置は、上記リチウムイオン二次電池の最外層の負極にX線を照射するX線照射装置と、負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された蛍光体層から発光される蛍光の発光強度を測定する発光強度測定装置又は蛍光の発光面積を測定する発光面積測定装置とを備えたものである。
X線照射装置は、リチウムイオン二次電池の最外層の負極に上に移動した正極活物質に含まれる遷移金属を照射するものであり、検出する正極活物質に含まれる遷移金属に応じて、その元素の吸収端より高いエネルギーを有するX線源を備えたものであることが好ましい。
X線照射装置からのX線は、X線が照射された負極上の遷移金属によって蛍光X線に変換され、この蛍光X線により励起された蛍光体層中の蛍光体から蛍光が発光される。
この蛍光体層から発光される蛍光を検出するための蛍光検出装置が設けられ、蛍光検出装置としては、発光強度測定装置又は発光面積測定装置が設けられる。
発光強度測定装置は、電荷結合素子(Charge Coupled Device;CCD)を利用した撮像素子を用いた検出器等を用いることができる。発光面積測定装置は、蛍光発光面の画像からその面積検出する装置を用いた検出器等を用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の劣化検出装置の一実施例を図3の概略構成斜視図に示す。図3に示すリチウムイオン二次電池の劣化検出装置は、上記リチウムイオン二次電池10の最外層の負極にX線20を照射するX線照射装置20aと、正極活物質層から溶出し電解液によって最外層の負極上に移動した遷移金属によって変換された蛍光X線によって励起された蛍光体層11中の蛍光体から発光される蛍光21を検出する、発光強度測定装置や、発光面積測定装置等の蛍光検出装置22が設けられる。
次に、本発明の好適な実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池について詳細に説明する。なお、以下に記載される実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図4に、本発明のリチウムイオン二次電池の一実施例の概略構成断面図を示す。図4に示す電池セル10aを以下のようにして作製した。
正極14は、正極集電体14bとして厚さ20μmのアルミニウム箔を用い、正極活物質としてLiFePOを用いた。この正極活物質と、導電付与剤となるカーボンブラックとを、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を溶解したN−メチル−2−ピロリドン(溶剤)中に分散混練、ペースト状にし、アルミニウム箔の両面に塗布して乾燥させ、正極活物質層14aを形成し、正極14を得た。
一方、負極13は負極集電体13bとして厚さ10μmの銅箔を用い、負極活物質として非晶質炭素を用いた。この負極活物質と、導電付与剤となるカーボンブラックとを、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を溶解したN−メチル−2−ピロリドン(溶剤)中に分散混練、ペースト状にし、銅箔の両面に塗布して乾燥させ、負極活物質層13aを形成し、負極13を得た。
さらに、電解液は、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジエチレンカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比=3:7)を用い、電解質としてLiPFを1.0mol/L溶解した。
上記負極13と正極14とをポリエチレンからなるセパレーター15を介して積層し、負極13が最外層となるように積層した積層体16を電解液と共に、アルミラミネートフィルムで作製した外装体12に封入して電池セルとした。厚さ10μmのアルミニウム箔からなる蛍光X線フィルター層17上に、GdS:Tbを含む塗布液を調整し、塗布し、蛍光体層11を作成した。蛍光体層を積層した蛍光X線フィルター層を電池セルの外装体の表面の一部に貼着し、リチウムイオン二次電池を作成した。
温度45℃において、充電レート1C、充電終止電圧3.6Vで定電流定電圧充電を行い、5分休止の後、放電レート1C、放電終止電圧2.0Vで定電流放電を行った。さらに、5分休止の後、この充放電を繰り返し、電池セルをサイクル劣化させた。この電池セルの充放電サイクル500回後、1000回後の電池容量を測定した。結果を図5に示す。
また、この充放電サイクル1000回を行った電池セルの負極13に蛍光体層11、蛍光X線フィルター層を透過して外装体の外部から、CuKαのX線源からのX線を照射し、視覚により蛍光体層11を観察した。結果を図6に示す。中央部から蛍光の強度順に、順次、中央部分23、中間部分24、周辺部分25が同心円状に観察された。中央部分23は入射X線により蛍光体が発光した部分であり、その外周の中間部分24は、正極中に含まれる鉄元素からの蛍光X線による蛍光体の発光部分であり、さらにその外周の周辺部分25は負極上に付着した鉄元素からの蛍光X線による蛍光体の発光部分であると考えられる。
更に、充放電を行う前、充放電サイクル500回後、1000回後の蛍光体層の発光強度をCCDにより測定した結果を、図7に示す。入射X線による中心部分の発光輝点は、充放電サイクルには依存せず、また、正極中の鉄元素からの蛍光X線による蛍光体の発光強度は電池セルの充放電サイクルによる劣化の前後によって大きく変化されないと考えられ、充放電サイクル前後における蛍光体の発光強度の変化は、負極表面に付着した鉄の量の変化によるものと考えられる。
[実施例2]
入射X線が蛍光体層を通過する部分である、蛍光体層の中央部分に蛍光体層を設けず、リング状の蛍光体層を設けたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を作成し、充放電サイクルを行い、負極にX線を照射した。入射X線による蛍光体層の発光による影響を除いたことから、蛍光体の周辺部分の発光は、実施例1における周辺部分の発光より鮮明なものが得られた。
[実施例3]
実施例1に記載のリチウムイオン二次電池に対し、外装体とのなす角を10°程度以下として最外層の負極にX線を入射させた。X線の積層体中の通過距離を長くして積層体への吸収量を増加させることにより、負極表面に付着したFeからの蛍光X線が感度よく観察された。
10 電池セル
11 蛍光体層
12 外装体
13 負極
14 正極
15 セパレーター
16 積層体
17 蛍光X線フィルター層
18 電池パック
19 観察窓
20 入射X線
20a X線照射装置
21 蛍光X線
22 蛍光発光強度検出装置(CCD)
23 中央部分(入射X線による発光)
24 中間部分(正極活物質層中の遷移金属による発光)
25 周辺部分(負極表面に付着した遷移金属による発光)

Claims (10)

  1. 外装体内に、正極と負極がセパレーターを介して積層される積層体と、該積層体を漬浸する電解液とが充填された二次電池において、前記積層体が、最外層の少なくとも一面に負極を有し、前記正極が、充放電反応に伴い充放電反応に関与しない遷移金属を生じる正極活物質を有し、前記最外層の負極に対向する位置の前記外装体に、前記外装体の外部から視覚される蛍光体層を設け、該蛍光体層が、前記最外層の負極上の遷移金属が照射されたX線を変換して発光する蛍光X線により励起されて蛍光を発光する蛍光体を含むことを特徴とする二次電池。
  2. 前記正極活物質が、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウムのうち、少なくとも1種類を含む請求項1記載の二次電池。
  3. 前記外装体が透明樹脂製である請求項1又は2記載の二次電池。
  4. 前記蛍光体層は前記外装体の内面に設けられ、前記外装体に前記蛍光の透過窓が設けられた請求項1又は2に記載の二次電池。
  5. 前記蛍光体層が、蛍光X線フィルター層を有する請求項1から4の何れかに記載の二次電池。
  6. 請求項1から5の何れかに記載のリチウムイオン二次電池を積層した電池積層体を収納する収納体を有する電池パックであって、前記収納体は蛍光体層の観察窓が設けられたことを特徴とする電池パック。
  7. 請求項1から5の何れかに記載のリチウムイオン二次電池の劣化検出装置であって、前記最外層の負極にX線を照射するX線照射装置と、前記負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された前記蛍光体層から発光される蛍光の発光強度を測定する発光強度測定装置とを備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池の劣化検出装置。
  8. 請求項1から5の何れかに記載のリチウムイオン二次電池の劣化検出装置であって、前記最外層の負極上の前記遷移金属にX線を照射するX線照射装置と、前記負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された前記蛍光体層から発光される蛍光の発光面積を測定する発光面積測定装置とを備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池の劣化検出装置。
  9. 請求項1から5の何れかに記載のリチウムイオン二次電池の劣化検出方法であって、前記最外層の負極にX線を照射し、前記負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された前記蛍光体層から発光される蛍光の発光強度を測定することを特徴とするリチウムイオン二次電池の劣化検出方法。
  10. 請求項1から5の何れかに記載のリチウムイオン二次電池の劣化検出方法であって、前記最外層の負極にX線を照射し、前記負極上の遷移金属から発光される蛍光X線により励起された前記蛍光体層から発光される蛍光の発光面積を測定することを特徴とするリチウムイオン二次電池の劣化検出方法。
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