JP2019160724A - 負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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絢加 永冨
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絢加 永冨
雅人 栗原
Masahito Kurihara
雅人 栗原
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Abstract

【課題】サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池及びこれに適した負極を提供することを目的とする。【解決手段】この負極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置し、シリコンを含む活物質層とを備え、前記活物質層は、飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で断面を分析した際におけるLi3SiO3+のSi+に対するピーク強度比が0.1以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。また、ハイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として有力な候補ともなっている。そして、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
リチウムイオン二次電池の容量は主に電極の活物質に依存する。負極活物質には、一般に黒鉛が利用されているが、上記の要求に対応するためにはより高容量な負極活物質を用いることが必要である。そのため、黒鉛の理論容量(372mAh/g)に比べてはるかに大きな理論容量をもつシリコン(Si)や酸化シリコン(SiO)が注目されている。
しかしながら、SiやSiOは充電時に大きな体積膨張を伴うため、充放電を繰り返すことにより電極上に皺が発生し、サイクル特性が低下するという課題がある。
この問題を解決するために、特許文献1では連続する空孔を有し、三次元網目構造を有する多孔質シリコン粒子が提案されている。
特開2012−84521号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されているような方法では、サイクル特性が不十分であるという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池及びこれに適した負極を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。
その結果、飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で断面を分析した分析結果が、所定の条件を満たす場合、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上することを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる負極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置し、シリコンを含む活物質層とを備え、前記活物質層は、飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で断面を分析した際におけるLiSiO のSiに対するピーク強度比が0.1以上である。
(2)第2の態様にかかる負極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置し、シリコンを含む活物質層とを備え、前記活物質層は、飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で断面を分析した際における質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比が0.1以上である。
(3)上記態様にかかる負極において、前記ピーク強度比は、前記活物質層の厚み方向に異なり、前記活物質層の前記集電体と反対の表面側のピーク強度比が、前記活物質層の集電体側のピーク強度比より大きくてもよい。
(4)上記態様にかかる負極において、前記活物質層は、LiSiO又はLiSiOのリチウムシリケートを含んでもよい。
(5)上記態様にかかる負極において、前記活物質層は黒鉛粒子をさらに含んでもよい。
(6)第3の態様にかかるリチウムイオン二次電池は、上記態様にかかる負極を備える。
本実施形態にかかる負極によれば、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上する。
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容する外装体50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、外装体50内に収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部は外装体50の外部にまで延びている。図1では、外装体50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
「負極」
(負極集電体)
負極30は、負極集電体32を備える。負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。負極集電体32は、リチウムと合金化しないことが好ましく、銅が特に好ましい。負極集電体32の厚みは6〜30μmとすることが好ましい。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極集電体32の少なくとも一面に位置する。負極活物質層34は、シリコンを含む。シリコンは、単体元素として存在してもよいし、化合物として存在してもよい。負極活物質層34がシリコンを含むと、リチウムイオン二次電池の容量が大きくなる。
負極活物質層34の負極30を厚み方向に沿った断面を飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で分析すると、質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比が0.1以上である。TOF−SIMSは分析モードとして、高スペクトル分解モードと高空間分解能モードの2つの分析モードを有する。本分析は高空間分解能モードで行う。例えば、測定する二次イオンを発生させるための一次イオンの照射パルス長を1nsec、スポット径を3〜10nmにすると、高スペクトル分解能モードによるマススペクトル情報が得られ、照射パルス長を100nsec、スポット径を150nmにすると、高空間分解能モードによるマススペクトル情報が得られる。
TOF−SIMSは、超高真空下で試料に一次イオンビームを照射した際に、試料の極表面(1〜3nm)から放出される二次イオンを検出する装置である。二次イオンは、質量に応じた速度で質量分析計に入射するため、検出器に到達するまでの時間(飛行時間)を計測することで、試料最表面の質量スペクトルが得られる。
シリコンを含む負極活物質層34に存在しうる質量数28の二次イオンはSiである。一方で、シリコンを含む負極活物質層34に存在しうる質量数97の二次イオンはSiOLi3+、Li、COLiF2+のいずれかである。フッ素を含むイオンは、負極活物質層34の主成分には存在しない(例えば、電解液の一成分(LiPF)と反応したものとして存在しうる)。そのため、フッ素を含むイオンの検出量は、シリコンを含むイオンの検出量の概略1/10以下であり、無視し得る。つまり、「質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比が0.1以上である」とは、「LiSiO のSiに対するピーク強度比が0.1以上である」と対応関係にある。
TOF−SIMSでの検出結果が上記関係を満たすと、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性が向上する。この原理は明確ではないが、以下のように考えられる。
二次イオンとしてSiOLi3+が検出されるということは、負極活物質層34にシリコンがLiSiO又はLiSiOのリチウムシリケートが存在していると考えられる。
リチウムシリケートは、すでにシリコン元素の一部がリチウムと化合している。そのため、充電時におけるリチウムとの合金化反応の反応性は、シリコン単体より低い。単体のSiの場合、端成分であるLi4.4Siまで還元された場合、4倍以上に体積膨張する。これに対し、リチウムシリケートは反応性が単体のSiより低く、体積膨張が抑制される。また、リチウムシリケートの場合、電解液の消費も抑えられる。
シリコンを含むリチウムイオン二次電池のサイクル特性を劣化させる原因はいくつかあるが、負極活物質層34の体積膨張に伴う活物質の微粉化及び負極活物質層34の負極集電体32からの剥離は大きな原因の一つである。また電解液の分解反応等もその原因の一つである。つまり、負極活物質層34中のシリコン元素が、リチウムシリケートの形で存在することで、過剰な反応を抑制し、サイクル特性が向上すると考えられる。
一方で、上記原理はあくまで仮説であり、負極活物質層34中にリチウムシリケートが存在すれば、TOF−SIMSで検出されるピーク強度比(質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比、または、LiSiO のSiに対するピーク強度比)が、0.1以上となるわけではない。リチウムシリケートの存在量、リチウムシリケートの存在状態(例えば、リチウムシリケートが単相で存在する、リチウムシリケートが分散している、リチウムシリケートが単体のSi等を被覆している)等にも影響を受けるものと考えられる。
負極活物質層34中におけるシリコン元素の存在状態を、直接的に観測することは難しい。一方で、TOF−SIMSにより二次的に観測される特性は、負極活物質層34中におけるシリコン元素の存在状態を間接的に表している。TOF−SIMSにより間接的に観測される特性が所定の条件を満たすと、サイクル特性が向上することが確認されている。
TOF−SIMSで検出されるピーク強度比(質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比、または、LiSiO のSiに対するピーク強度比)は、負極活物質層34の厚み方向で異なり、負極活物質層34の負極集電体32と反対の表面側のピーク強度比が、負極活物質層34の負極集電体32側のピーク強度比より大きいことが好ましい。
ここで「負極活物質層34の負極集電体32と反対の表面側のピーク強度比」とは、負極活物質層34を厚み方向に3分割した際に、表面側から1/3の領域を分析した際のピーク強度比を意味し、「負極活物質層34の負極集電体32側のピーク強度比」とは、負極集電体32側から1/3の領域を分析した際のピーク強度比を意味する。
厚み方向のピーク強度比の違いは、TOF−SIMSにより「負極活物質層34の負極集電体32と反対の表面側のピーク強度比」と「負極活物質層34の負極集電体32側のピーク強度比」とのそれぞれにおける100μm×100μmの領域を観察した情報から求める。これらの領域の観測結果からROI(Region of Interest)機能により負極活物質層のみのスペクトル情報を抽出することで厚み方向のピーク強度比の比較を行う。
上記関係を満たすと、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性がより向上する。この理由は明確ではないが以下のように考えられる。上記関係を満たすと、負極活物質層34の表面側のLi含有量が、負極集電体32側より相対的に多くなる。厚み方向のLi含有量が異なると、充電時における膨張度合が厚み方向に傾斜する。充電時における負極活物質層34の膨張度合が厚み方向に異なると、膨張量が少ない部分が他の部分の膨張を緩和する。その結果、負極活物質層34の体積膨張に伴う活物質の微粉化及び負極活物質層34の負極集電体32からの剥離が抑制され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性が向上する。
負極活物質層34は、活物質としてシリコンの他に黒鉛粒子を含んでもよい。シリコンは、合金化/非合金化により充放電を行い、黒鉛粒子はLiイオンの挿入/脱離により充放電を行う。黒鉛粒子は、シリコンと比較して体積膨張率が小さい。活物質として黒鉛粒子を混合することで、過度な体積膨張を抑制し、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性を向上させることができる。
(負極導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(負極バインダー)
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
負極活物質層34中の負極活物質、導電材及びバインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層34における負極活物質の構成比率は、質量比で80%以上99%以下であることが好ましく、80%以上90%以下であることがより好ましい。また負極活物質層34における導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、0.1%〜5%であることが好ましい。負極活物質層34におけるバインダーの構成比率は、質量比で1%以上15%以下であることが好ましく、7%〜12%であることが好ましい。必要に応じてシリコンペースト等の添加剤を0.1%〜5%添加しても良い。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
(正極導電材)
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(正極バインダー)
正極に用いるバインダーは負極と同様のものを使用できる。
正極活物質層24における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また正極活物質層24における導電材の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層24におけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「電解液」
電解液には、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「外装体」
外装体50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、外装体50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共に外装体50内に挿入し、外装体50の入り口をシールする。
(活物質の製造方法)
負極活物質層34に用いられる活物質は、リチウムがドープされた活物質(以下、場合により「リチウムドープ活物質」という)である。この活物質の製造方法は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメチルカーボネートからなる群より選択される少なくとも一種の溶媒と、リチウム塩と、金属リチウムと、活物質とを含む混合物中で、活物質と金属リチウムとを電気的に接触させることにより、活物質にリチウムをドープするドーピング工程を有する。
混合物中において溶媒及びリチウム塩からなる溶液は、リチウムイオン二次電池における電解液に相当する。溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる群より選択される少なくとも一種である。このような溶媒は、ドーピング工程において活物質と金属リチウムとの間における電池反応を促進する。また上記の溶媒の中でも、電池反応をより促進させる観点から、ECとDECとの混合溶媒を用いることが好ましい。
リチウム塩は特に限定されない。リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩を用いることができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、(CFSONLi、(CSONLi、LiCSO、LiCFCO、(CFCONLi、LiCSO、LiC17SO、(CSO)(CFSO)NLi、(FSO)(CFSO)NLi、((CFCHOSONLi、(CFSOCLi、(3,5−(CFBLi、LiCF、LiCBO、(FSONLi等の有機酸陰イオン塩等を用いることができる。これらの中でも、ドーピング工程における活物質へのリチウムのドーピング効率をより向上させることができることから、LiBF、LiPF、LiClO、LiAsF、LiCBO、(CSONLi、及び、(FSONLiが好ましく、LiBF、LiCBO、(CSONLi、及び、(FSONLiがより好ましく、LiBFが最も好ましい。LiBFは他のリチウム塩に比べて吸湿性が低いため、金属リチウムを失活させることがなく好適である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電解液におけるリチウム塩の濃度は、活物質へのリチウムのドープを効率良く行う観点から、0.5〜2.0Mであることが好ましく、0.8〜1.5Mであることがより好ましい。混合物において、電解液の含有量は、活物質100wt%に対して30〜70wt%であることが好ましく、40〜60wt%であることがより好ましい。
金属リチウムは特に限定されない。粉末状、箔状等の金属リチウムを用いることができるが、変質を抑制する観点から、安定化処理されたリチウム金属粉末を用いることが好ましい。リチウム金属粉末を安定化処理することで、露点マイナス40℃程度のドライルームにおいてもリチウム金属粉末の変質が進行しなくなる。ここで、安定化処理されたリチウム金属粉末としては、リチウム金属粉末の表面を、環境安定性に優れた物質、例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)等の有機ゴム、EVA(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)等の有機樹脂、LiCOなどの金属炭酸塩等の無機化合物等でコーティングしたものが挙げられる。このような安定化処理されたリチウム金属粉末としては、市販品としてアルドリッチ社製のリチウムパウダー等が挙げられる。
金属リチウムとしてリチウム金属粉末を用いる場合、そのメジアン径(D50)は、塗布後の電極表面での均一分散性の観点から、30〜50μmであることが好ましく、35〜45μmであることがより好ましい。
金属リチウムとしてLiCOにより被覆されたリチウム金属粉末を用いる場合、LiCOの含有量は、金属リチウムの変質を十分に抑制する観点から、LiCOにより被覆されたリチウム金属粉末全量を基準として2〜5質量%であることが好ましく、2〜3質量%であることがより好ましい。
金属リチウムは、電極の不可逆容量分を補うために利用されるものである。そのため添加量は電極の不可逆容量を補うだけの量以下であることが望ましい。金属リチウムの最適な添加量は、活物質の量や材質によって変化し、添加量に応じて不可逆容量が減少するが、多すぎると活物質表面にリチウムが析出してしまい、逆にリチウムイオン二次電池の容量が減少する。従って、最適な金属リチウムの添加量は別途に電極の初期効率を求めてから定めることが好ましく、また、電池設計における電極の厚み(使用量)に応じて定めることが好ましい。このように、金属リチウムの好ましい添加量は一概には言えないが、通常、混合物中の含有量を、活物質100wt%に対して5〜10wt%とすることが好ましく、5〜7wt%とすることがより好ましく、6〜7wt%とすることが特に好ましい。また、ドーピング工程により活物質にドープするリチウムのドープ量としては、満充電時に活物質に吸蔵し得るリチウム量の0.10〜0.50倍程度であることが好ましく、0.15〜0.22倍程度であることがより好ましく、0.20倍程度であることが特に好ましい。
ドーピング工程においてリチウムをドープする活物質は、リチウムイオン二次電池に一般的に用いられる負極活物質、正極活物質である。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、リチウムと合金化する材料が好ましい。リチウムと合金化する材料としては、リチウムと合金化する元素の単体、これらの元素を含む酸化物および炭化物等が挙げられる。リチウムと合金化する材料を用いることにより、炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量の電池を得ることが可能となる。
上記のリチウムと合金化する元素としては、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、負極活物質は、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、SiまたはSnの元素を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。上記のリチウムと合金化する元素を含む酸化物としては、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、二酸化ケイ素(SiO)などを用いることができる。また、上記のリチウムと合金化する元素を含む炭化物としては、炭化ケイ素(SiC)などを用いることができる。これらは1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
また、充放電サイクルの寿命やコスト面で有利な炭素材料も負極活物質として好適に使用可能である。該炭素材料としては、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。また、炭素材料は、リチウムと合金化する元素を含む材料に比べて、リチウムのプレドープ時に急激な発熱反応を起こし難く、発熱量も低い。そのため、電池作製後の初充電時に負極活物質層内のバインダー等が熱融解する恐れがない点で優れている。この他、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質が使用可能である。場合によっては、2種以上の負極活物質を併用してもよい。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
以下、リチウムイオン二次電池100の製造方法を具体的に説明する。
シリコン又は酸化シリコンからなる負極活物質、バインダー及び溶媒を混合して負極塗料を作製する。負極塗料には、シリコンペーストを加えることが好ましい。理由は明確ではないが、シリコンペーストを加えると、TOF−SIMSで検出されるピーク強度比(質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比、または、LiSiO のSiに対するピーク強度比)が、0.1以上になりやすくなる。
シリコンペーストとしては、例えば、ポリエーテル変性シリコン等を用いることができる。具体的には、TORAY ダウ・コーニング社製の、71ADDITIVE,74ADDITIVE,57ADDITIVE,8029ADDITIVE,8054ADDITIVE,8211ADDITIVE,8019ADDITIVE,8526ADDITIVE,FZ−2123,FZ−2191、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の、TSF4440,TSF4441,TSF4445,TSF4446,TSF4450,TSF4452,TSF4460、日信化学工業社製の、シルフェイスSAG002,シルフェイスSAG003,シルフェイスSAG005,シルフェイスSAG503A,シルフェイスSAG008,シルフェイスSJM003、エボニック社製の、TEGO_Wet_KL245,TEGO_Wet_250,TEGO_Wet_260,TEGO_Wet_265,TEGO_Wet_270,TEGO_Wet_280、ビックケミー・ジャパン社製の、BYK−345,BYK−347,BYK−348,BYK−375,BYK−377等が挙げられる。
負極塗料には、必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。負極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜90wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜10wt%であることが好ましい。必要に応じてシリコンペースト等の添加剤を0.1wt%〜5%添加しても良い。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
これらの混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
正極についても正極塗料を作製し、同様に正極集電体22上に塗料を塗布する。続いて、正極集電体22及び負極集電体32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22及び負極集電体32を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして正極活物質層24、負極活物質層34が形成された電極を必要に応じ、ロールプレス装置等によりプレス処理を行う。
作製した負極30には、リチウムがプレドープされている。プレドープにより負極活物質層内にリチウムイオンが事前に供給され、負極活物質層内のシリコンと反応する。その結果、TOF−SIMSで検出されるピーク強度比(質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比、または、LiSiO のSiに対するピーク強度比)が、0.1以上になりやすくなる。
正極20と、負極30と、セパレータ10と、電解液と、を外装体50内に封入する。例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、予め作製した袋状の外装体50に、積層体40を入れる。最後に電解液を外装体50内に注入することにより、リチウムイオン二次電池が作製される。なお、外装体に電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
「エージング」
上述のように作製されたリチウムイオン電池100には必要に応じて、温度、時間、圧力をコントロールしたエージング処理を行う。
上述のように、TOF−SIMSで検出されるピーク強度比(質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比、または、LiSiO のSiに対するピーク強度比)が0.1以上である負極を用いることで、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性を向上することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
(リチウムドープ活物質の作製)
まず、アルドリッチ製リチウム粉末を、露点−40〜−50℃に保たれたドライルーム中に1時間放置し、リチウム粉末表面にLiCO層が生成していることを確認した。以上によりLiCOの皮膜を有するリチウム粉末(粒径:50〜150μm)(以下、「安定化リチウムパウダー」と言う)を得た。この安定化リチウムパウダーを用い、リチウムドープ活物質の作製を、露点−40〜−50℃℃のドライルーム中において、以下の手順で行った。電解液として、1MのLiPF溶液(溶媒:EC/DEC=3/7(体積比))を調製した。この電解液50wt%中に、負極活物質(SiO:30wt%及び黒鉛:70wt%)100wt%と、安定化リチウムパウダー7wt%とを加え、混合物を得た。得られた混合物をマグネチックスターラーで室温にて3時間攪拌することで、負極活物質と上記安定化リチウムパウダーとを電気的に接触させ、負極活物質にリチウムをドープした(ドーピング工程)。その後、得られた活物質をDECで洗浄し、真空乾燥してリチウムドープ活物質を得た。
(負極の作製)
露点−40〜−50℃に保たれたドライルームにて、上記の方法で作製したリチウムドープ活物質と、アセチレンブラック(導電材)と、ポリアミドイミド(PAI:バインダー)と、TORAY ダウ・コーニング社製の57ADDITIVE(シリコンペースト)とを混合し、N−メチルピロリドンで希釈し、活物質層形成用のスラリーを調製した。このスラリーを、厚さ10μmの銅箔の一面に、リチウムドープ活物質の塗布量が7.0mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで活物質層を形成した。その後、ローラープレスにより負極を加圧成形し、真空中、350℃で3時間熱処理することで、負極を得た。リチウムドープ活物質、導電材、バインダー及びシリコンペーストの混合比は、質量比で88:2:9:1とした。
(正極の作製)
正極活物質として用意したLiCoOと、導電材として用意したアセチレンブラックと、バインダーとして用意したポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混合し、正極合剤とした。正極活物質と、導電材と、バインダーは質量比で90:5:5とした。この正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤塗料を作製した。そして、厚さ20μmのアルミニウム箔の一面に、算出した正極の単位面積当たりの重量となるように塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して正極活物質層を形成した。その後、正極活物質層をロールプレスにより加圧成形し、正極を作製した。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製 フルセル)
作製した負極と正極とを、厚さ16μmのポリプロピレン製のセパレータを介して交互に積層し、負極3枚と正極2枚とを積層することで積層体を作製した。さらに、積層体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付けた。また積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。
そしてこの積層体を、ラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。外装体内には、ECとEMCとDECとが体積比3:5:2の割合で配合された溶媒と、リチウム塩として1.5M(mol/L)のLiPFが添加された非水電解液と、を注入した。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、リチウムイオン二次電池(フルセル)を作製した。
(エージング)
作製したリチウムイオン電池に表1に示す条件でエージング処理を行った。
(TOF−SIMSの測定)
作製したリチウムイオン二次電池を乾燥Ar雰囲気下のグローブボックス内で解体し、負極を取り出した。そして負極を炭酸ジメチルで洗浄し、真空乾燥させた。TOF−SIMSを測定する負極断面は、真空乾燥した負極の断面出しをした。断面出しは、大気非暴露の状態で、Arミリング装置で研磨により行った。その後、大気非暴露状態でArグローブボックス内に戻し、TOF−SIMS用大気非暴露トランスファーベッセルを用いてTOF−SIMSのサンプル台に移送した。
測定には、ION−TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)TOF−SIMS5を用いた。一次イオンには、Bi3++を用いた。TOF−SIMSの観察は、100μm×100μmの視野で行い、活物質層の部分のみのスペクトル情報を装置のソフトウエアのROI(Regiоn оf Interest)機能で得て、質量数ごとのピーク強度を求めた。そして得られた質量数ごとのピーク強度から、質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比Rを求めた。その結果を表1に示す。
また、負極活物質層の表面側1/3の領域および負極集電体側1/3の領域におけるスペクトル情報も、同様にROI機能で得て、ピーク強度を求めた。負極活物質層の表面側1/3の領域における質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比をR1、負極活物質層の負極集電体側1/3の領域における質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比をR2とした際に、R1/R2をPとして表記する。その結果を表1に示す。
(容量維持率測定試験)
実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、25℃の環境下でサイクル特性の測定を行った。0.5Cで4.3Vまで定電流定電圧充電し、1Cで3.0Vまで定電流放電する充放電サイクルを500サイクル繰り返し、500サイクル後の容量維持率を測定し、サイクル特性をサイクル維持率(単位:%)として評価した。なお、サンプルは各水準についてそれぞれn=5で測定を実施し、その平均値を評価値とした。
(実施例2〜9)
負極のエージングの条件を変化させた点が、実施例1と異なる。そして、実施例2〜9にかかるリチウムイオン二次電池においても、ピーク強度比R、領域ごとにおけるピーク強度比の関係P、容量維持率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1、2)
比較例1は、プレドープを行わなかった点が実施例1と異なる。比較例2は、プレドープは行ったが、シリコンペーストを含有させなかった点及びプレドープ後のエージング時間、温度及び圧力を変化させた点が実施例1と異なる。そして、比較例1、2にかかるリチウムイオン二次電池においても、ピーク強度比R、領域ごとにおけるピーク強度比の関係P、容量維持率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2019160724
10 セパレータ
20 正極
22 正極集電体
24 正極活物質層
30 負極
32 負極集電体
34 負極活物質層
40 積層体
50 外装体
60、62 リード
100 リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. 集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置し、シリコンを含む活物質層とを備え、
    前記活物質層は、飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で断面を分析した際におけるLiSiO のSiに対するピーク強度比が0.1以上である、負極。
  2. 集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置し、シリコンを含む活物質層とを備え、
    前記活物質層は、飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による正イオン分析で断面を分析した際における質量数97の位置に生じるピークに対する質量数28の位置に生じるピークのピーク強度比が0.1以上である、負極。
  3. 前記ピーク強度比は、前記活物質層の厚み方向に異なり、
    前記活物質層の前記集電体と反対の表面側のピーク強度比が、前記活物質層の集電体側のピーク強度比より大きい、請求項1または2に記載の負極。
  4. 前記活物質層は、LiSiO又はLiSiOのリチウムシリケートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の負極。
  5. 前記活物質層は黒鉛粒子をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の負極。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の負極を備える、リチウムイオン二次電池。
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