JP2017003576A - X線防護材料及びそれを用いたx線防護服とその製造方法、x線遮蔽道具 - Google Patents
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Abstract
Description
また、既に市販されている株式会社保科製作所製の防護服(0.35鉛当量)の鉛防護服も、X線防護服として存在する(非特許文献1)。
すなわち、請求項1に係るX線防護材料は、基材に直接めっきされた錫の厚みの合計が55μm以上、65μm以下、又は錫の単位面積当たりの重量が26.5g/dm2以上29.3g/dm2以下であることを特徴とする。
また、請求項3に係るX線防護服は、請求項1又は請求項2に記載のX線防護材料を用いていることを特徴とする。
また、請求項4に係るX線防護服の製造方法は、基材に直接めっきされた錫の厚みが55μm以上、65μm以下、又は錫の単位面積当たりの重量が26.5g/dm2以上29.3g/dm2以下であるX線防護材料を、複数枚生地へ組み合わせて、造られることを特徴とする。
また、請求項6に係るX線防護材料の製造方法は、基材の不織布に直接めっきされた錫の厚みが55μm以上、65μm以下、又は錫の単位面積当たりの重量が26.5g/dm2以上29.3g/dm2以下であるX線防護材料の製造方法は、前記基材の不織布を直接めっきする前に前記不織布の中の空気を除去する為にアルコール系の有機溶剤で浸漬処理することを特徴とする。
特に軽量性は、従来と同等のX線遮蔽効果を有する従来品に対して、約20%程度軽減されている。この軽量性は、X線防護服や各種のX線防護道具として、極めて有効である。
また、基材に不織布を用いている為に、可撓性に優れているので、X線防護服に仕立てた場合、首の部位まで容易に加工できる。
本願発明のX線防護材料の製造方法を、以下に具体的に示す。表1は製造工程の手順に従って、薬品とその条件を示している。使用した基材は、不織布(三井化学株式会社 PS-114 70g/m2)を用いた。そのサイズは、17cm×16cmである。
使用した基材が不織布のため特にアルコール系の有機溶剤処理をした。この処理により不織布の中の気泡が除去され、後の無電解銅めっきを支障なく処理することが出来る。具体的には不織布に対してメタノール液に10分浸漬で十分であった。次に脱脂工程を経て、塩化スズ水溶液によりSnコロイド付与処理を実施した。この処理により、後述のPd付与処理時のレドックス反応に必要なSnを素材に吸着させる。その後、水洗して塩化パラジウム水溶液によりPd付与処理した。この処理により、無電解Cuめっきの触媒となるPdを素材に付与できる。
そして、水洗後、公知の硫酸錫めっき浴に27℃で60分間浸漬することで、約10μmのめっき厚のめっきがされた。その後、第3リン酸ナトリウムで中和し、水洗、乾燥した工程を経て、錫被膜10μmのめっきされた不織布(サンプル1)を得た。
また、めっきは不織布に対して両面からめっきされるので、不織布としてのトータルめっき量は、サンプル1は20μmであり、サンプル2は60μmである。
尚、基材として、不織布以外にポリエチレンなどの素材を有する化学繊維の織布(タフタ生地5070 ポリエステルライニング KW)も有効である。
以上で得られためっきされた材料(サンプル1、サンプル2)を、X線散乱線透過測定した結果を表2に示す。X線測定条件は、管電圧 63kV、管電流 40mAで、3回測定された平均をマイクロシーベルト(μSv)単位で示す。比較品として、AADCO Medical Inc製のRay Shield(0.175鉛当量)の無鉛防護服と、保科製作所製の防護服(0.35鉛当量)の鉛防護服とを同時に測定して比較した。この表2により錫めっきが60μmされると、0.175鉛当量の無鉛防護服よりX線散乱線透過量が少ないことが分かる。0.175鉛当量の無鉛防護服のX線散乱透過量のレベルは、実際に使用されており十分安全なレベルと考えられる。
以上により、錫めっきが60μmされると0.175鉛当量の無鉛防護服より、X線散乱線透過量が少なく、重量も軽い防護材料として優れていることが証明されている。
X線防護用途としては、X線防護服以外にX線遮蔽道具として、防護服同様に有効めっき厚のX線防護材料を他の材料と組み合わせや接着することによって、例えば、間仕切り、スタンド、ボックス等に利用でき、従来品より軽量化が図られる。
有効めっき厚のX線防護材料は、有効めっき厚に達するように、薄い材料を複数枚重ねても、同様にX線遮蔽効果を奏する。
実施例1と同様な不織布を用い、サイズは、35cm×60cmとした。めっき条件は、電解Snめっき以外は上述の表1と全く同じである。めっき量は、実施例1の厚みと異なり、重量で表記した。
つまり、サンプル1は、硫酸錫めっき浴に60分間浸漬することで、約13.3g/dm2のめっきがされた。尚、g/dm2の単位はめっき業界で常用される単位面積当たりのめっき重量を表す。また、サンプル2として、有機酸錫めっき浴を使用して電解Snめっき時間3時間で、約18.9g/dm2のめっきがされた。
この表4により錫めっきが27.9g/dm2されると、0.25鉛当量の無鉛防護服よりX線散乱線透過量が少ないことが分かる。0.25鉛当量の無鉛防護服のX線散乱透過量のレベルは、実際に使用されており十分安全なレベルと考えられる。
以上により、錫めっきが27.9g/dm2されると0.25鉛当量の無鉛防護服より、X線散乱線透過量が少なく、重量も軽い防護材料として優れていることが証明されている。
上記の有効めっき量のX線防護材料を用いて、実施例1と同様に、X線防護服を作成でき、同様な効果を奏する。
Claims (6)
- 基材に直接めっきされた錫の厚みが55μm以上、65μm以下、又は錫の単位面積当たりの重量が26.5 g/dm2以上29.3g/dm2以下であることを特徴とするX線防護材料。
- 請求項1記載のX線防護材料であって、前記基材は化学繊維の織布または不織布であることを特徴とするX線防護材料。
- 請求項1又は請求項2に記載のX線防護材料を用いていることを特徴とするX線防護服。
- 基材に直接めっきされた錫の厚みが55μm以上、65μm以下、又は錫の単位面積当たりの重量が26.5g/dm2以上29.3g/dm2以下であるX線防護材料を、複数枚生地へ組み合わせて、造られることを特徴とするX線防護服の製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載のX線防護材料を用いていることを特徴とするX線遮蔽道具。
- 基材の不織布に直接めっきされた錫の厚みが55μm以上、65μm以下、又は錫の単位面積当たりの重量が26.5g/dm2以上29.3g/dm2以下であるX線防護材料の製造方法であって、前記基材の不織布を直接めっきする前に前記不織布の中の空気を除去する為にアルコール系の有機溶剤で浸漬処理することを特徴とするX線防護材料の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2016-05-31 JP JP2016108705A patent/JP2017003576A/ja active Pending
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