以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1、図2に示すように、本発明の第一実施形態による車両用表示装置10は、車両に関連した車両情報を表示するコンビネーションメータとして、車両の車室内のうちインストルメントパネルに設置されている。この場合、車両用表示装置10は、運転席等の座席の前方位置において視認側として座席側を向いた状態になっている。
車両用表示装置10は、表示面を運転席側に向けて設置された表示板11と、表示板11を支持したケース12と、ケース12の前側に設けられた見返し部材13と、見返し部材13の開放部分を前方から覆ったカバー14とを有している。車両用表示装置10においては、表示板11を収納した収納体がケース12、見返し部材13及びカバー14により形成されている。なお、表示板11が表示部に相当する。
なお、表示板11は、その前面を形成した表示基材と、表示基材の後面に印刷により形成された印刷層とを有している。表示基材は、ポリカーボネート樹脂等により板状に形成されており、印刷層は、色料、着色材、添加材により形成されている。表示基材が透光性を有している一方で、印刷層が遮光性を有しており、表示板11においては、印刷層の付与態様に応じて透光率の異なる部分が存在している。
印刷層による遮光率は、色の濃淡により設定されている。本実施形態の印刷層は、シルバー系の印刷色を有しており、彩度や明度が低いほど遮光率が高くなっている。つまり、シルバー系のうち彩度や明度の低い色の部分については、彩度や明度の高い色の部分に比べて遮光率が高くなっている。
ケース12は、前方に向けて開放された箱体であり、表示板11は、ケース12の開放側を前方から塞いだ状態で設けられている。見返し部材13は、前後方向に開放された筒状部材であり、ケース12の前側に設けられている。ケース12及び見返し部材13は、いずれも合成樹脂材料により形成されており、不透光性を有している。特に、見返し部材13の形成材料は黒色樹脂とされている。
表示板11は、ケース12の前側に配置されており、ケース12の開放側端部と見返し部材13とに挟み込まれた状態でケース12に対して固定されている。カバー14は、スモーク調に着色されたアクリル樹脂材料等の合成樹脂材料により形成され、透明性を有している。カバー14は、見返し部材13の開放部分を前方から覆った状態で、その見返し部材13に取り付けられている。また、見返し部材13の内側に嵌め込まれた状態で設けられていてもよい。
車両用表示装置10は、左右に配置されたメータ31,32と、これらメータ31,32の間に配置された中間表示部33とを有している。これらメータ31,32及び中間表示部33は、それぞれ車両情報を表示することが可能になっている。具体的には、第一メータ31は、車両情報として車両の走行速度を表示するスピードメータであり、正面視で左寄りの位置に配置されている。第二メータ32は、車両情報として車両エンジンの回転数を表示するタコメータである。中間表示部33は、ナビゲーション画像やサイドミラーに映る画像、車載バッテリの電力残量、報知画像などを表示することが可能になっている。
また、車両用表示装置10は、表示板11の後側に配置された矩形状の液晶パネル35を有している。液晶パネル35は、液晶が保持された液晶層、液晶層の両側に配置された一対の電極、カラーフィルタ基板、及び一対の偏光フィルムを有して構成された、TFT液晶パネルである。電極は、行電極及び列電極を組合せたマトリクス電極であり、画素毎に設けられた透明電極で構成され、電極に印加される電圧は薄膜トランジスタにより制御される。カラーフィルタ基板は、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び青色フィルタを有し、各フィルタは画素毎(電極毎)に配置されている。また、各画素をオンオフする図示しない薄膜トランジスタ(TFT)を備えている。偏光フィルムは、所定方向に振動する光を透過して光の振動方向を所定方向に規制するフィルタである。一対の偏光フィルムは、振動方向が90度ずれるように配置されている。このTFT液晶パネルは公知の構造である。
表示板11は、液晶パネル35の前面に重なった液晶表示部11aと、液晶表示部11aの外周側に配置された外周表示部11bとを有している。液晶表示部11aは、表示板11の中間位置に配置されており、外周表示部11bは、液晶パネル35の前面には重なっておらず、液晶表示部11aの周縁部に沿って延びている。
液晶表示部11aは、液晶パネル35の表示面とほぼ同じ大きさ及び形状を有しており、平板状になっている。液晶表示部11aにおいては、印刷層が設けられていないことで表示板11の透光性が高く設定されており、表示板11を通じて液晶パネル35の画像を前方から視認可能になっている。
外周表示部11bは、メータ31,32のそれぞれに含まれる各メータ表示部37と、各メータ表示部37及び液晶表示部11aの周縁部に沿って延びた加飾部としての加飾表示部38と、加飾表示部38の外周側に配置された外側表示部39とを有している。メータ表示部37は、円弧及び弦により囲まれた形状になっている。この場合、メータ表示部37は、液晶表示部11aから側方に向けて膨らんでおり、弦の位置に液晶表示部11aの側端部が配置されている。メータ表示部37は、液晶表示部11aと前面同士で同一平面を形成するように平板状になっている。
加飾表示部38は、液晶表示部11a及びメータ表示部37から前方に向けて突出した突出部分である。また、加飾表示部38は、液晶表示部11aやメータ表示部37と同じ方向に延びた前側端部38aを有している。前方への加飾表示部38の突出寸法は、車両用表示装置10の幅方向の両端部が最も大きくなっており、液晶表示部11a及びメータ表示部37の各周縁部に沿って中央部分に近付くにつれて徐々に小さくなっている。この場合、前側端部38aの前面は、加飾表示部38の長手方向において後方に向けて膨らむように緩やかに湾曲した曲面になっている。また、加飾表示部38は、メータ表示部37と液晶表示部11aとの境界部に沿っては延びておらず、メータ表示部37及び液晶表示部11aの外郭に沿って延びている。
表示板11においては、液晶表示部11aの透光率が最も高く、その次に加飾表示部38の前側端部38aの透光率が高くされており、外側表示部39の透光率が最も低くされている。前側端部38aにおいては、液晶表示部11aに対する突出寸法が最も大きい部分の透光率が最も高くなっており、突出寸法が小さくなるにつれて徐々に透光率が低くなっている。メータ表示部37においては、液晶表示部11aから最も遠い部分の透光率が最も高くなっており、その幅方向において液晶表示部11aに近付くにつれて徐々に透光率が低くなっている。
メータ表示部37においては、グラデーション印刷により印刷層が形成されることで、液晶表示部11aに近付くにつれて、彩度や明度の低い色から彩度や明度の高い色になるように徐々に色が変化している。
前側端部38aにおいて最も透光率の高い部分であっても、液晶表示部11aの透光率よりは低く設定されている。また、メータ表示部37において最も透光率の高い部分であっても、前側端部38aにおいて最も透光率の低い部分よりは透光率が低く設定されている。なお、加飾表示部38の側面部においては、メータ表示部37や外側表示部39から前側端部38aに近付くにつれて、透光率が徐々に高くなっている。
メータ31,32は、目盛りや文字等の指標41a,41bと、指標41a,41bを指し示すための指針ボス42とを有している。これら指標41a,41b及び指針ボス42は、メータ表示部37に対して設けられている。メータ表示部37においては、印刷層の非設置部分が部分的に存在し、この非設置部分により指標41a,41bが形成されている。指標41aは、メータ表示部37の周縁部に沿って所定間隔で複数並べられた外側指標41aになっている。一方、指標41bは、メータ表示部37の径方向において外側指標41aよりも内側に配置され、外側指標41aの並び方向に沿って複数並べられた内側指標41bになっている。なお、図1においては、指標41a,41bとして目盛りだけを図示しており、文字等の図示を省略している。
メータ31,32のそれぞれにおいて、指針ボス42は、メータ表示部37の前側に配置されており、各指針ボス42の回転軸線は、メータ表示部37の円弧の中心線Oに重なっている。
車両用表示装置10は、表示板11の後方においてケース12に収納された回路基板51を有しており、指針ボス42を回転させるための駆動部52が、この回路基板51に取り付けられている。駆動部52は、指針軸部53により指針ボス42に接続されており、指針軸部53は、回路基板51及び表示板11の両方を貫通している。なお、指針軸部53が回転軸部に相当する。
また、車両用表示装置10は、メータ表示部37の加飾表示部38の後方に設けられた発光ユニット55a〜55cと、発光ユニット55a〜55cの光を外周表示部11bに向けて放出する導光板56とを有している。発光ユニット55a〜55cは、発光色の異なる複数のLEDを発光体としてそれぞれ有しており、回路基板51の前面に実装されている。回路基板51は、発光ユニット55a〜55cを発光させることが可能な発光回路を有しており、発光ユニット55a〜55cは、発光回路に対する指令信号に応じて所定の色で発光するようになっている。
導光板56は、メータ表示部37の後方において表示板11の後面全体に重ねられた状態で設けられており、発光ユニット55a〜55cは、導光板56から後方に離間した位置に配置されている。ここで、発光ユニット55a〜55cの光が導光板56の後面から入射した場合、その光が導光板56の内部を進むことで導光板56の前面全体がほぼ同じ明るさで発光する。この場合、発光ユニット55a〜55cの光によりメータ表示部37のほぼ全体が後方から一様に照らされる。
導光板56は、加飾表示部38の後側の空間に後ろから入り込んだ入り込み部56aを有しており、これによって、加飾表示部38においても、表示板11の後面に導光板56の前面が重ねられた構成が実現されている。
発光ユニット55aは、外側指標41aを発光させるための外側発光ユニット55aであり、発光ユニット55bは、内側指標41bを発光させるための内側発光ユニット55bである。また、発光ユニット55cは、加飾表示部38を発光させるための加飾発光ユニット55cである。図示は省略するが、導光板56は、外側発光ユニット55aからの光を外側指標41aに向けて放出する外側導光部と、内側発光ユニット55bからの光を内側指標41bに向けて放出する内側導光部と、加飾発光ユニット55cからの光を加飾表示部38に向けて放出する加飾導光部とを有している。この場合、発光ユニット55a〜55cのいずれかが発光することで、それに対応する導光部から光が放出されることで外側指標41a、内側指標41b及び加飾表示部38のいずれかが発光することになる。
導光板56の後側には、意図しない光が各導光部に入射することを規制するリフレクタ58が設けられている。リフレクタ58は、全体として板状に形成されており、導光板56の後面に重ねられている。リフレクタ58には、発光ユニット55a〜55cの光を導光板56に入射させるための入射孔58aが発光ユニット55a〜55cごとに設けられており、この入射孔58aの内周面が反射率の高い反射面になっている。この場合、入射孔58aから導光板56に入射されずに後側に漏れる光が生じるということを抑制できる。
なお、外側導光部は、メータ表示部37において内側指標41bを除いた部分に向けて光を放出するようになっており、内側導光部は、メータ表示部37において外側指標41aを除いた部分に向けて光を放出するようになっている。このため、外側指標41a及び内側指標41bのいずれが発光している場合でも、メータ表示部37においては、液晶表示部11aに近付くにつれて徐々に輝度が小さくなることで光のグラデーションが付与された状態になる。
指針ボス42は、表示板11に当たるように光を放出することで、その表示板11に針部61,62を表示するものである。図3、図4に示すように、指針ボス42は、光長針部61と、この光長針部61よりも短い光短針部62とを表示可能になっており、これら光長針部61及び光短針部62を選択的に表示するものである。光長針部61及び光短針部62は、指針ボス42において同じ方向に延びるものであり、この方向を指し示し方向Nと称する。
光長針部61は、表示板11に表示された2つの針形成像63a,63bにより形成されている。これら針形成像63a,63bは、いずれも指し示し方向Nに沿って延びる細長形状になっており、互いに連続した状態で指し示し方向Nに直列に並べられていることで光長針部61を形成している。第一針形成像63aは、光長針部61の先端部分を形成しており、第二針形成像63bは、光長針部61の基端部分を形成している。第二針形成像63bは、平面視で指針ボス42の周縁部から側方に向けて延びており、第一針形成像63aよりも大きい長さ寸法を有している。
光短針部62は、針形成像63a,63bのうち第二針形成像63bだけを有している。この場合、光短針部62の長さ寸法は、第二針形成像63bの長さ寸法と同じになっており、光長針部61の長さ寸法よりも第一針形成像63aの分だけ小さくなっている。
針形成像63a,63bは、それぞれの先端部に向けて徐々に幅寸法が小さくなっており、光長針部61においては、第一針形成像63a及び第二針形成像63bの各幅寸法が、これら針形成像63a,63bの境界部において同じになっている。また、針形成像63a,63bは、光が表示板11に投影されることで視認可能に表示された虚像であり、これら虚像により表示された光長針部61及び光短針部62を虚像針部と称することもできる。なお、第一針形成像63aが第一針部に相当し、第二針形成像63bが第二針部に相当する。
図5、図6に示すように、指針ボス42は、第一針形成像63aを表示するために光を放出する第一光放出部64と、第二針形成像63bを表示するために光を放出する第二光放出部65と、光放出部64,65を前方から覆うボスカバー66とを有している。これら光放出部64,65及びボスカバー66は、いずれも指針軸部53に対して固定されている。光放出部64,65は、いずれも導光体により形成されており、内部に入射した光を表示板11に向けて放出する向きで設置されている。ボスカバー66には、光放出部64,65からの光を指針ボス42の外部に放出させるためのカバー開口部66aが設けられている。
指針ボス42の後方には、第一光放出部64に光を入射させる第一発光ユニット67aと、第二光放出部65に光を入射させる第二発光ユニット67bとが設けられている。これら発光ユニット67a,67bは、回路基板51の前面に実装されており、発光ユニット55a〜55cと同様に、発光色の異なる複数のLEDを光源として有し、所定の色で発光するようになっている。この場合、第一発光ユニット67aが第一発光部に相当し、第二発光ユニット67bが第二発光部に相当する。なお、発光ユニット67a,67bについては、図2での図示を省略している。
光放出部64,65は、発光ユニット67a,67bからの光を内部に取り込む入光部68aと、光を外部に放出する出光部68bと、それぞれの内部において入光部68aから出光部68bに光を案内する案内部68cとを有している。光放出部64,65は、互いに交差する方向に延びた一対の本体部68d,68eを有しており、全体として略L字状に形成されている。これら本体部68d,68eのうち入光本体部68dは、発光ユニット67a,67bの前方位置に配置されており、出光本体部68eは、入光本体部68dの前側端部から側方に向けて延びている。入光本体部68dの端部に入光部68aが設けられ、出光本体部68eの端部に出光部68bが設けられており、出光部68bは、カバー開口部66aを通じてボスカバー66の外側に露出している。
表示板11及び導光板56には貫通孔69がそれぞれ設けられている。光放出部64,65の各入光本体部68dは、前方からこの貫通孔69に挿通されており、それぞれの入光部68aが発光ユニット67a,67bに対向している。この場合、発光ユニット67a,67bからの光が入光部68aに効率良く入射するようになっている。貫通孔69は、ボスカバー66により前方から覆われており、発光ユニット67a,67bの光が貫通孔69から前方に漏れることがボスカバー66により規制されている。
発光ユニット67a,67bは、それぞれ指針軸部53の回動方向に沿って所定間隔で複数並べられている。このため、指針ボス42の回転角度に関係なく、複数の発光ユニット67a,67bのいずれかの光が光放出部64,65の入光部68aに入射されることになる。
第一光放出部64と第二光放出部65とは、第一光放出部64の入隅部と第二光放出部65の出隅部とが向かい合った状態で配置されている。この場合、各出光本体部68eから後方に向けて指針軸部53が延びており、第一光放出部64の出光本体部68eが第二光放出部65の出光本体部68eの前側に配置されている。また、第二光放出部65の入光本体部68dは、第一光放出部64の入光本体部68dと指針軸部53との間に配置されている。
光放出部64,65においては、出隅部が面取りされることで面取り面が形成されており、この面取り面により案内部68cが形成されている。案内部68cは、入光本体部68dと出光本体部68eとにかけ渡された状態になっており、入光部68aを挟んで発光ユニット67a,67bの反対側に配置されている。この場合、発光ユニット67a,67bから入光部68aから入射した光が直接的に案内部68cに当たり、その光は、案内部68cで反射することで直接的に出光部68bから外部に放出される。案内部68cは、反射した光を前後方向及び左右方向の両方について集束させる形状になっている。
出光部68bは、凸レンズ形状やフレネル形状といった光の集束を促進する形状になっている。この場合、案内部68cにより集束した光が出光部68bにて更に精度良く集束することで、第一針形成像63aや第二針形成像63bの輪郭が明確に表示されることになる。
指針ボス42は、第一光放出部64と第二光放出部65との間に設けられた遮光部70を有している。遮光部70は、遮光性を有しており、第一光放出部64と第二光放出部65との間の隙間に沿って延びている。このため、第一光放出部64と第二光放出部65との間で光の出入りが生じるということが抑止される。
遮光部70は、第二光放出部65の案内部68cを外側から覆っており、遮光部70においては、案内部68cとの対向面が光の反射性を有している。このため、第二光放出部65の内部を進む光が案内部68cに当たった場合に、出光部68bに向かわずに案内部68cから外部に向けて進む光があったとしても、その光は、遮光部70に反射して出光部68bに向かうことになる。これにより、第二光放出部65の内部における光の伝達効率が高められる。
また、遮光部70と同様に、ボスカバー66も遮光性を有している。このため、第一光放出部64内に光が入射した場合に、仮に第一光放出部64の案内部68c等から外部に光が放出されたとしても、その光によってボスカバー66が光るということが抑止される。
図7に示すように、第一発光ユニット67aが発光した場合、この光を第一光B1と称すれば、この第一光B1は、入光部68aから第一光放出部64の内部に入射し、案内部68cにて反射して出光部68bから放出される。この場合、第一光放出部64の案内部68c及び出光部68bが光を集束させる形状になっていることに起因して、細長形状に整えられた第一針形成像63aが第一光B1により表示板11に表示されることになる。
図8に示すように、第二発光ユニット67bが発光した場合、この光を第二光B2と称すれば、この第二光B2は、入光部68aから第二光放出部65の内部に入射し、案内部68cにて反射して出光部68bから放出される。この場合、第二光放出部65の案内部68c及び出光部68bが光を集束させる形状になっていることに起因して、細長形状に整えられた第二針形成像63bが第二光B2により表示板11に表示されることになる。
図9、図10に示すように、車両用表示装置10においては、メータ31,32の指標盤(文字盤ともいう)として複数の指標盤71,72を表示可能になっている。指標盤71は、液晶表示部11aとメータ表示部37とに跨った状態で表示される跨ぎ指標盤71であり、指標盤72は、メータ表示部37だけに偏って表示される偏り指標盤72である。車両用表示装置10においては、跨ぎ指標盤71及び偏り指標盤72のうち一方が選択的に表示されるようになっている。なお、指標盤は指標部と称することができ、跨ぎ指標盤71は第一指標部に相当し、偏り指標盤72は第二指標部に相当する。
図9に示すように、跨ぎ指標盤71は、液晶パネル35に指標盤画像74が表示されることで、この指標盤画像74とメータ表示部37とにより形成されるものである。跨ぎ指標盤71は、全体として円形状になっており、指標盤画像74は、円形状を基準とした場合にメータ表示部37だけでは欠けている部分を補う形状及び大きさになっている。この場合、跨ぎ指標盤71の半径は、メータ表示部37と指標盤画像74とで同じになっている。なお、液晶パネル35が画像表示部に相当し、メータ表示部37が実体表示部に相当する。また、指標盤画像74が指標部画像に相当する。
指標盤画像74には、目盛りや文字等の画像指標75が含まれている。画像指標75は、外側指標41aと同じ形状及び大きさの目盛りや同じ種類の数字を有しており、外側指標41aと同じ間隔で跨ぎ指標盤71の周縁部に沿って複数並べられている。画像指標75は、発光状態にある外側指標41aとほぼ同じ色及び明るさを有しており、指標盤画像74における画像指標75の背景画像も、発光状態にあるメータ表示部37の光のグラデーションに合わせた色及び明るさを有している。なお、図9においては、画像指標75及び外側指標41aとして目盛りだけを図示しており、文字等の図示を省略している。また、跨ぎ指標盤71の外側指標41a及び画像指標75が第一指標に相当し、偏り指標盤72の内側指標41bが第二指標に相当する。
液晶パネル35においては、指標盤画像74を表示可能な指標盤領域76と、指標盤画像74を表示しない特定領域77とが設定されている。指標盤領域76及び特定領域77は、いずれも矩形状に設定されている。指標盤領域76は、メータ31,32のそれぞれに対して個別に設定されることで2つ配置されており、これら指標盤領域76の間に特定領域77が配置されている。ここで、指標盤画像74が表示されている場合、この指標盤画像74が円弧及び弦により囲まれた形状になっていることに起因して、指標盤領域76において特定領域77側の2つの隅角部は、指標盤画像74が表示されない背景部分になる。
メータ31,32の各指標盤が跨ぎ指標盤71とされている場合には、液晶パネル35の特定領域77が中間表示部33に含まれる一方で、指標盤領域76は中間表示部33に含まれない。この場合、液晶表示部11aにおいては、特定領域77に重なる部分だけが中間表示部33に含まれることになる。なお、図9においては、この場合の中間表示部33をハッチングで図示している。
指標盤領域76の幅寸法W1は、跨ぎ指標盤71の半径Rよりも小さく且つこの半径Rの1/2よりも大きくなっている。すなわち、幅寸法W1は、跨ぎ指標盤71の幅寸法の1/2よりも小さく且つ1/4よりも大きくなっている。また、指標盤領域76の幅寸法W1は、特定領域77の幅寸法W2の1/2とほぼ同じ値になっている。すなわち、メータ31,32の各指標盤が跨ぎ指標盤71とされた場合には、これら跨ぎ指標盤71の各指標盤領域76の幅寸法W1の合計が、特定領域77の幅寸法W1とほぼ同じになっている。
なお、指標盤領域76の幅寸法W1は、跨ぎ指標盤71の半径Rより大きい値や、特定領域77の幅寸法W2の1/2よりも大きい値に設定されていてもよい。
跨ぎ指標盤71においては、指針ボス42の光長針部61により外側指標41a及び画像指標75が指し示される。この場合、指針ボス42の回転範囲には、メータ表示部37の前方位置に加えて指標盤領域76の前方位置が含まれており、ほぼ360度の回転が可能になっている。また、この場合、メータ31,32のいずれにおいても、指針ボス42は下向きをゼロ位置として右回りに回転することになる。
図10に示すように、偏り指標盤72は、液晶パネル35の指標盤領域76に指標盤画像74が表示されないことで、メータ表示部37だけにより形成されるものである。偏り指標盤72は、全体として半円形状になっている。この場合、液晶パネル35においては、指標盤領域76及び特定領域77の両方が中間表示部33に含まれており、液晶表示部11aの全体が中間表示部33に含まれることになる。また、この場合、中間表示部33の幅寸法W3は、2つの指標盤領域76の各幅寸法W1と特定領域77の幅寸法W2との合計であり、特定領域77の幅寸法W2のほぼ2倍になっている。なお、図10においては、この場合の中間表示部33をハッチングで図示している。
偏り指標盤72においては、指針ボス42の光短針部62により内側指標41bが指し示される。この場合、指針ボス42の回転範囲は、メータ表示部37の前方位置に制限されており、その回転角度も180度に制限されている。偏り指標盤72においては、複数の内側指標41bが180度の範囲内に配置されている。第一メータ31においては、指針ボス42は下向きをゼロ位置として右回りに回転し、第二メータ32においては、指針ボス42は上向きをゼロ位置として右回りに回転する。なお、この場合、第二メータ32においては、指針ボス42が下向きをゼロ位置として左回りに回転してもよい。また、図10においては、内側指標41bとして目盛りだけを図示しており、文字等の図示を省略している。
次に、車両用表示装置10に関する電気的な構成について図11を参照しつつ説明する。
図11に示すように、車両用表示装置10は、マイクロコンピュータ等の制御部を含んで構成された制御装置81を有している。制御装置81には、液晶パネル35、外側発光ユニット55a、内側発光ユニット55b、第一発光ユニット67a及び第二発光ユニット67bがアクチュエータとして接続されている。制御装置81は、指令信号を出力することでこれらアクチュエータの駆動制御を行う。また、制御装置81は、回路基板51に実装されている。
制御装置81には、車両に関して危険予知を行うための危険情報を取得する危険情報取得部82と、車両の異常発生に関する情報を取得する異常情報取得部83と、天気など屋外環境に関する情報を取得する屋外環境取得部84とが接続されている。危険情報取得部82及び異常情報取得部83は、危険情報や異常発生情報を取得するために各種センサを有している。各種センサとしては、他車両の有無など車外状況を検出するセンサ、自車両の各種アクチュエータでの異常発生を検出するセンサ、自車両が他車両等の障害物に接触したことを検出するセンサ、アクセルペダル等の操作状態を検出するセンサなどが挙げられる。屋外環境取得部84は、外気温センサや無線通信装置などを有している。
制御装置81は、液晶パネル35の表示態様を切り替える表示制御処理を実行する。ここでは、この表示制御処理について図12を参照しつつ説明する。なお、制御装置81は、表示制御処理を所定間隔で繰り返し実行する。
図12において、ステップS101では、車両の走行に関して非常状態にあるか否かを判定する。ここでは、危険を予知したか否かの判定や、異常が発生したか否かの判定を行うことで、安全性が低下したか否かを判定する。危険予知の判定や異常発生の判定については後述する。なお、制御装置81はステップS101を実行する機能を有しており、この機能が判定部に相当する。安全性が低下していないとの判定をした場合、非常状態にないとの判定をしたとして、ステップS102〜S105にて通常処理を行う。
通常処理においては、ステップS102〜S104にて、跨ぎ指標盤71を表示させるメータ通常処理を行う。ステップS102では、液晶パネル35の指標盤領域76に指標盤画像74を表示させる。ステップS103では、外側発光ユニット55aを発光させることで外側指標41aを発光させる一方で、内側発光ユニット55bを発光させないことで内側指標41bを発光させない。ステップS104では、指針ボス42について、第一発光ユニット67aを発光させることで光長針部61を表示する一方で、第二発光ユニット67bを発光させないことで光短針部62を表示しない。なお、制御装置81はステップS104を実行する機能を有しており、この機能が第一制御部に相当する。
なお、非常状態にあるか否かに関係なく、加飾発光ユニット55cを発光させておくことで加飾表示部38を発光させておく。
通常処理においては、ステップS105にて液晶通常処理を行う。この処理では、中間表示部33として液晶パネル35の特定領域77だけを設定し、この指標盤領域76に、ナビゲーション画像やサイドミラーに映る画像、車載バッテリの電力残量を示す画像などの通常画像を表示させる。
一方、非常状態にあるとの判定をした場合(ステップS101がYES判定の場合)、ステップS106〜S112にて非常処理を行う。
非常処理においては、ステップS106〜S108にて、偏り指標盤72を表示させるメータ非常処理を行う。ステップS106では、液晶パネル35の指標盤領域76から指標盤画像74が消えた状態にする非表示処理を行う。ステップS107では、内側発光ユニット55bを発光させることで内側指標41bを発光させる一方で、外側発光ユニット55aを発光させないことで外側指標41aを発光させない。ステップS108では、指針ボス42について、第二発光ユニット67bを発光させることで光短針部62を表示する一方で、第一発光ユニット67aを発光させることで光長針部61を表示しない。なお、制御装置81はステップS108を実行する機能を有しており、この機能が第二制御部に相当する。
ステップS109では、危険情報取得部82による危険情報の取得結果に基づいて、危険を予知したか否かを判定する。ここでは、自車両の走行中において前方車両との車間距離が所定の判定値より小さくなったか否かの判定や、側方や後方から急接近してくる車両が存在するか否かの判定、自車両がセンターラインを踏み越えて対向車線にはみ出しているか否かの判定、自車両の進行方向に歩行者がいるか否かの判定、アクセルペダルが誤操作されているか否かの判定を行う。そして、1つでも肯定判定が行われたものがある場合に危険を予知したとして、ステップS110に進む。アクセルペダルの誤操作判定については、車両の進行方向に障害物が存在する状態で、その方向に進むようにアクセルペダルが操作された場合に、誤操作であると判定する。
ステップS110では警告処理を行う。この処理では、中間表示部33として指標盤領域76及び特定領域77の両方を設定し、これら領域76,77の両方に警告画像を表示させる。警告画像としては、前方車両に接近し過ぎていることや、側方や後方から他車両が急接近していること、自車両がセンターラインを踏み越えていること、運転者の眠気が強いこと、誤発進の可能性が高いことなどを報知する報知画像を表示可能になっている。また、予知した危険を回避するための操作方法を知らせる画像も警告画像として表示可能になっている。
危険を予知していない場合(ステップS109がNO判定の場合)、ステップS111に進み、異常情報取得部83による異常情報の取得結果に基づいて、異常が発生しているか否かを判定する。ここでは、自車両の走行中においてエンジンが異常停止したか否かの判定や、エアバックが動作したか否かの判定、自車両が他車両などの障害物に接触したか否かの判定を行う。そして、1つでも肯定判定が行われたものがある場合に、異常が発生しているとしてステップS112に進む。
ステップS112では異常対応処理を行う。この処理では、警告処理と同様に、中間表示部33として指標盤領域76及び特定領域77の両方を設定し、これら領域76,77の両方に異常対応画像を表示させる。異常対応画像としては、車両の停止操作を案内する画像や、エンジン始動に障害があることを案内する画像、乗員が車外に出ることの危険性を案内する画像、乗員が車外に出る際の注意事項を案内する画像、異常発生に対する連絡先を案内する画像が挙げられる。なお、乗員が車外に出ることに関しては、周囲の交通量や気象情報などから車外環境を取得し、この車外環境に基づいて注意事項を設定するとともに、この注意事項を案内する。
なお、警告画像や異常対応画像が、指標盤画像74とは異なる特定画像に相当する。
ここまで説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
第一実施形態によれば、光長針部61及び光短針部62が実体物ではなく、光により表示された虚像になっているため、これら針部61,62の長さや形状が実体物により制限されないことになる。このため、針部61,62の見栄えを高めることができる。また、例えば、実体物の一部を発光させて針部の長さを可変設定する構成において、実体物の存在によって針部61,62の見栄えが損なわれるという不都合が生じていたとしても、針部61,62に実体物が含まれていないことでその不都合を解消できる。これにより、車両用表示装置10の見栄えを高めることができる。
しかも、表示板11においては、跨ぎ指標盤71と偏り指標盤72とを選択的に表示可能になっている。このため、いずれの指標盤71,72が表示されているかに合わせて光長針部61と光短針部62とを使い分けることで複数の態様で車両速度やエンジン回転数といった車両情報を指し示すことができる。しかも、例えば実体物の発光部分により針部が表示された構成とは異なり、内側指標41bが実体物の後側に隠れしまって偏り指標盤72の視認性が低下するということを回避できる。つまり、光長針部61や光短針部62により指し示されている指標41a,41b,75の視認度を高めることができる。
第一実施形態によれば、第一光放出部64及び第二光放出部65からの光の放出の有無を選択することが、光長針部61及び光短針部62のいずれを表示するのかを選択することになる。このため、例えば実体物の長さ寸法を変更するという構成に比べて、実体物の長さ寸法を変更するための構成を小型化することが容易になる。また、指針ボス42から側方に実体物が延びていないため、駆動部52の駆動力を低減化できる。この場合、指針ボス42に加えて駆動部52の小型化も実現することが可能になる。
第一実施形態によれば、光長針部61においては、その先端部が第一針形成像63aにより表示され、基端部が第二針形成像63bにより表示されている。このため、例えば1つの針形成像により光長針部61の全体を表示する構成に比べて、1つの光放出部による光照射範囲を小さくできる。したがって、光長針部61の輪郭がにじんだように見えることや、光長針部61の長さ寸法が制限されることを抑制できる。この場合、光長針部61の見栄えを高めることができる。また、第二針形成像63bを利用して光短針部62が表示されるため、光短針部62を表示するための専用の光放出部を設置する必要がなく、コスト低減を実現できる。
第一実施形態によれば、第二針形成像63bの長さ寸法が第一針形成像63aの長さ寸法よりも大きいため、第二針形成像63bによって形成された光短針部62の長さ寸法を適正に確保できる。このため、光長針部61と光短針部62との長さの違いをユーザに適正に認識させた上で、光短針部62の視認性が低下することを抑制できる。
第一実施形態によれば、第一光放出部64から光を放出させるための第一発光ユニット67aと、第二光放出部65から光を放出させるための第二発光ユニット67bとが個別に設けられている。このため、第一針形成像63aと第二針形成像63bとを個別に表示する構成を容易に実現できる。つまり、光長針部61と光短針部62との使い分けを可能にする構成を容易に実現できる。
第一実施形態によれば、光放出部64,65においては、案内部68cにより光の案内が行われるため、出光部68bから放出された光を表示板11において針形成像63a,63bになるように集束させることが可能になっている。この場合、光長針部61や光短針部62を実体物では強度的に実現できないほどに細長くすることが可能であるため、これら針部61,62のデザインについて自由度を高めることができる。例えば光長針部61や光短針部62を非常に細くすることでこれら針部61,62により車両速度のスピード感をユーザに与えることができる。なお、針部が実体物で形成された構成では、針部を細くし過ぎると針部がその回動に伴って回動方向に撓んでしまうことが懸念される。
第一実施形態によれば、第二光放出部65においては、案内部68cから光が外部に漏れることが遮光部70により規制されているため、出光部68bから放出される光の輝度が低下しにくくなっている。このため、表示板11に表示される第二針形成像63bの視認性が低下することを抑制できる。また、遮光部70が第一光放出部64と第二光放出部65との間に配置されているため、これら光放出部64,65の間で光の出入りが生じることを抑止できる。このため、第二光放出部65から第一光放出部64に入り込んだ光によって第一針形成像63aの輝度にむらが生じるということや、第一針形成像63aの輪郭がぼやけるということなどを抑制できる。
第一実施形態によれば、跨ぎ指標盤71における外側指標41a及び画像指標75が、偏り指標盤72における内側指標41bの外側に配置されている。このため、光長針部61により外側指標41a及び画像指標75を指し示し、光短針部62により内側指標41bを指し示しているという状況を明確にユーザに認識させることができる。
第一実施形態によれば、跨ぎ指標盤71が表示されている場合に光長針部61が表示され、偏り指標盤72が表示されている場合に光短針部62が表示される。このため、光長針部61が表示されている状況では内側指標41bがユーザに視認されにくくなっており、光短針部62が表示されている状況では外側指標41aがユーザに視認されにくくなっている。このため、外側指標41a及び内側指標41bのうち使用しない方の指標により視認性や見栄えが低下するということを抑制できる。
(第二実施形態)
上記第一実施形態では、第一メータ31及び第二メータ32をそれぞれスピードメータ及びタコメータとして1種類の車両情報を表示するメータとしていたが、第二実施形態では、メータ31,32が複数種類の車両情報を表示するメータとする。ここでは、第二メータ32について説明する。
本実施形態において、第二メータ32が搭載された車両は、いわゆるハイブリッド車両とされている。ハイブリッド車両においては、エンジンから出力される動力及び電気モータから出力される動力の両方を車両の推進力として使用するハイブリットシステムが構築されている。この場合、第二メータ32は、車両エンジンの回転数に加えて、電気モータの動力パワーを表示することが可能になっている。つまり、第二メータ32をタコメータ及びモータメータのうち一方として選択的に使用することが可能になっている。
図13に示すように、第二メータ32は、エンジン回転数を示すタコ指標91と、電気モータの動力パワーを示すモータ指標92とを有している。これら指標91,92は、上記第一実施形態の指標41a,41b,75と同様に、目盛りや文字等を有している一方で、タコ指標91とモータ指標92とで異なる表示態様になっている。具体的には、タコ指標91は、複数の目盛りと目盛りに対応する数値とを有しており、モータ指標92は、指針ボス42の回転方向に沿って延びた帯状のラインと、電気モータの状況を示す文字とを有している。なお、タコ指標91が第一指標に相当し、モータ指標92が第二指標に相当する。
図13、図14に示すように、表示板11は、タコ指標91及びモータ指標92が付与されたメータ領域93を有している。メータ領域93は、第二メータ32においてハイブリッド指標盤を形成しており、メータ領域93においては、タコ指標91及びモータ指標92がいずれも表示板11において印刷層の非設置部分により形成されている。メータ領域93は、液晶パネル35の前面には重ねられておらず、メータ領域93の後面には導光板56が重ねられている。メータ領域93においては、その周縁部が中心線Oを中心とした円弧になっている。
導光板56には、タコ指標91とモータ指標92との間においてメータ領域93の周方向に延びたスリット94が設けられている。スリット94は、導光板56を前後に貫通した細長状の貫通孔であり、導光板56においては、スリット94よりも外周側の部分が外側板部95aとされ、スリット94よりも内周側の部分が内側板部95bとされている。この場合、外側板部95aから放出された光によりタコ指標91が発光し、内側板部95bから放出された光によりモータ指標92が発光する。外側板部95aと内側板部95bとでは、光の伝えやすさがほぼ同じになっており、タコ指標91が表示された場合とモータ指標92が表示された場合とでメータ領域93の明るさのバランスが適正に確保されるようになっている。
外側発光ユニット55aは外側板部95aの後方位置に配置され、内側発光ユニット55bは内側板部95bの後方位置に配置されている。リフレクタ58は、外側板部95aと内側板部95bとにかけ渡された状態で、上記第一実施形態と同様に導光板56の後面に重ねられている。リフレクタ58の入射孔58aは、外側板部95a及び内側板部95bの後方位置のそれぞれに配置されており、外側発光ユニット55aの光が外側板部95aに入射され、内側発光ユニット55bの光が内側板部95bに入射される。
リフレクタ58は、後方に向けて延びた後側遮光リブ97aと、前方に向けて延びた前側遮光リブ97bとを有している。後側遮光リブ97aは、入射孔58aの周縁部に沿って延びたリング状になっており、発光ユニット55a,55bからの光は、後側遮光リブ97aにより案内されることで入射孔58aから外側板部95a及び内側板部95bのそれぞれに入射しやすくなっている。なお、後側遮光リブ97aの内周面は、光の反射率の高い反射面になっている。
前側遮光リブ97bは、スリット94に後方から入り込んだ状態になっており、そのスリット94に沿ってメータ領域93の周方向に沿って延びている。前側遮光リブ97bにおいては、その前側端面が表示板11の後面に重ねられており、その側面が光の反射率の高い反射面になっている。この場合、外側板部95a及び内側板部95bのうち一方の側端面から放出された光が他方の内部に意図せずに入射するということが前側遮光リブ97bにより規制される。
次に、制御装置81による車両用表示装置10の制御処理について簡単に説明する。制御装置81は、エンジンからの動力により車両が走行しているか否かを判定する。エンジンによる走行である場合、図15に示すように、外側発光ユニット55aを発光させてタコ指標91を表示させるとともに、第一発光ユニット67aを発光させて光長針部61をメータ領域93に表示させる。一方、エンジンによる走行でない場合、電気モータからの動力により車両が走行しているか否かを判定する。電気モータによる走行である場合、図16に示すように、内側発光ユニット55bを発光させてモータ指標92を表示させるとともに、第二発光ユニット67bを発光させて光短針部62をメータ領域93に表示させる。
第二の実施形態によれば、1つの第二メータ32をタコメータ及びモータメータの文字盤として使い分けることができる。このため、車両用表示装置10において、タコメータ及びモータメータのそれぞれについて専用のメータ領域を確保した構成に比べて、メータ領域93を大型化することができる。このため、タコ指標91やモータ指標92の視認性を高めることができる。また、メータ領域の数を適正に抑えることで車両用表示装置10の見栄えを高めることができる。しかも、第二メータ32をタコメータとして使用している場合と、メータモータとして使用している場合とでユーザは視線を他の領域に移す必要がない。このことからしても、タコ指標91やモータ指標92の視認性を高めることになる。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1では、第一実施形態において、跨ぎ指標盤71及び偏り指標盤72のうち一方だけが選択的に表示されるのではなく、これら指標盤71,72が両方とも表示されていてもよい。この場合でも、指針ボス42により表示される針部が光長針部61及び光短針部62のうち一方に選択されることで、ユーザは、跨ぎ指標盤71及び偏り指標盤72のうちいずれの指標盤を用いて車両情報が表示されているのかを認識することが可能になっている。
変形例2では、第二実施形態において、タコ指標91及びモータ指標92のうち一方だけが選択的に発光表示されるのではなく、これら指標91,92が両方とも発光表示されていてもよく、両方とも発光しない状態で表示されていてもよい。いずれの場合でも、指針ボス42により表示される針部が光長針部61及び光短針部62のうち一方に選択されることで、ユーザは、タコ指標91及びモータ指標92のうちいずれの指標を用いて車両情報が表示されているのかを認識することが可能になっている。
変形例3では、第二実施形態において、タコ指標91とモータ指標92とが異なる発光色にされていてもよい。この場合、光長針部61の表示色がタコ指標91の発光色と同じにされ、光短針部62の発光色がモータ指標92の発光色と同じにされることが好ましい。これにより、光長針部61がタコ指標91を指し示し、光短針部62がモータ指標92を指し示していることをユーザに確実に察知させることができる。
変形例4では、指針ボス42が光長針部61及び光短針部62に加えて、光長針部61よりも長い針部や、光短針部62よりも短い針部を表示可能になっていてもよい。つまり、3種類以上の長さの針部を光により表示可能になっていてもよい。
変形例5では、第二針形成像63bの長さ寸法が第一針形成像63aの長さ寸法より大きくなっているのではなく、第一針形成像63aの長さ寸法が第二針形成像63bの長さ寸法より大きくなっていてもよい。この場合、光長針部61と光短針部62との長さ寸法の差を大きく確保できるため、光長針部61及び光短針部62のうち一方から他方に切り替えられたことをユーザにより確実に認識させることができる。
変形例6では、光長針部61と光短針部62とが異なる光放出部64,65からの光により表示されるのではなく、1つの光放出部からの光により光長針部61及び光短針部62の両方を表示可能な構成としてもよい。例えば、1つの光放出部において、出光部68bや案内部68cでの光の集束態様を切り替えることで、この光放出部からの光により光長針部61及び光短針部62のうち一方が選択的に表示される構成とする。
変形例7では、光長針部61が第一針形成像63a及び第二針形成像63bを有しているのではなく、光長針部61が1つの針形成像を有していてもよい。例えば、第一針形成像63aの長さ寸法が第二針形成像63bの長さ寸法よりも大きくされ、光長針部61が第一針形成像63aだけを有した構成とする。この場合でも、第一針形成像63aだけにより形成された光長針部61の長さ寸法が、第二針形成像63bだけにより形成された光短針部62の長さ寸法より大きい構成を実現できる。
変形例8では、第一針形成像63aと第二針形成像63bとが光長針部61の長さ方向において、互いに重複した位置に配置されていてもよく、互いに離間した位置に配置されていてもよい。この場合でも、これら針形成像63a,63bを選択的に表示することで、光長針部61及び光短針部62の両方を形成することが可能である。
変形例9では、2つの針部の長さ寸法に関係なく、先端部が指針ボス42から遠い方の針部を光長針部61とし、先端部が指針ボス42から近い方の針部を光短針部62としてもよい。この場合でも、光長針部61の先端部が外側指標41aを指し示しており、光短針部62の先端部が内側指標41bを指し示していれば、針部61,62及び指標41a,41bにより車両情報をユーザに適正に認識させることができる。
変形例10では、第一光放出部64と第二光放出部65とが横並びに配置されていてもよい。この場合でも、遮光部70は第一光放出部64と第二光放出部65との間に設けられていることが好ましい。
変形例11では、ボスカバー66が第一光放出部64の外周面に重ねられていてもよい。この場合、第一光放出部64の案内部68cから光が外部に漏れることをボスカバー66により規制できる。
変形例12では、光放出部64,65において、発光ユニット67a,67bから入射されて出光部68bから放出した光が集束することで光長針部61や光短針部62が表示される構成であれば、案内部68cが設けられていなくてもよい。例えば、発光ユニット67a,67bが指し示し方向Nにおいて、入光部68aを挟んで出光部68bとは反対側に配置された構成とする。
変形例13では、光放出部64,65がLED等の光源を有していてもよい。この場合、光源から出光部68bを通じて放出される光が集束して光長針部61や光短針部62を表示する構成が実現されているのであれば、光放出部64,65が入光部68a及び案内部68cを必ずしも有している必要はない。
変形例14では、外側指標41aや画像指標75、タコ指標91といった第一指標は、内側指標41bやモータ指標92といった第二指標よりも必ずしも外側に配置されていなくてもよい。例えば、第二実施形態のメータ領域93において、第一指標としてのタコ指標91の一部が第二指標としてのモータ指標92よりも内周側に入り込んだ状態で表示されていてもよい。この場合でも、タコ指標91と光長針部61とがセットで光表示されていることで、光長針部61がタコ指標91を指し示していることをユーザに察知させることができる。同様に、モータ指標92と光短針部62とがセットで光表示されていることで、光短針部62がモータ指標92を指し示していることをユーザに察知させることができる。
変形例15では、液晶パネル35の前側に表示板11が設けられていなくてもよい。例えば、液晶パネル35に横並びに表示板11が配置された構成とする。この場合、表示部は、表示板11に加えて液晶パネル35により構成されていることになる。
変形例16では、車両の走行に関する安全性に基づいて光長針部61及び光短針部62が選択的に表示されるのではなく、車両ギアのポジションに基づいて光長針部61及び光短針部62が選択的に表示されてもよい。例えば、第一実施形態において、車両ギアがバックポジションにある場合に、跨ぎ指標盤71ではなく偏り指標盤72を表示するとともに、光長針部61ではなく光短針部62を表示する構成とする。
変形例17では、上記各実施形態のように表示装置が車両用表示装置10として車両に搭載されているのではなく、飛行機や船舶などに搭載されていてもよい。要は、表示装置は移動体に搭載可能なものであればよい。