JP2017001447A - 4輪駆動車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比較して2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を向上させる4輪駆動車両の制御装置を提供する。【解決手段】ディスコネクト解除時に、第1噛合クラッチ24の係合後に第2噛合クラッチ32を係合させる場合に、第2アクチュエータ128の第2補助クラッチ134で中央車軸90の回転を抑制するトルクが付与されるので、第2噛合クラッチ32において中央車軸90が連結された第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bの回転速度が低下し、その第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとの相対回転速度差V2が大きくなる。このため、第2噛合クラッチ32の解放状態から係合状態への切替応答性が従来に比較して向上し、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性が向上する。【選択図】図10
Description
本発明は、4輪駆動車両において、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を従来に比較して向上させる技術に関するものである。
駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、その駆動源から左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両において、前記2輪駆動状態では前記4輪駆動状態において専ら前記副駆動輪へ駆動力を伝達するための動力伝達部材を駆動源および副駆動輪から切り離すディスコネクト機能付の4輪駆動車両が知られている。例えば、特許文献1に記載された4輪駆動車両がそれである。特許文献1の4輪駆動車両には、前記駆動源と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する同期機構付の第1噛合クラッチ(ドグクラッチ)と、前記副駆動輪と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する第2噛合クラッチ(ドグクラッチ)とが備えられている(Fig.8)。また、上記のような特許文献1の4輪駆動車両では、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替時に、すなわち前記駆動源と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路および前記副駆動輪と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態からそのディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、前記第1噛合クラッチを係合させた後に前記第2噛合クラッチを係合させることが一般的である。
ところで、上記のような4輪駆動車両では、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替時における前記第2噛合クラッチの係合において、その第2噛合クラッチの前記主駆動輪側の第1噛合歯が、前記第1噛合クラッチが係合されることにより動力伝達部材を介して前記主駆動輪と動力伝達可能に連結され、その第2噛合クラッチの前記副駆動輪側の第2噛合歯が、前記副駆動輪と動力伝達可能に連結されているので、前記第1噛合歯と前記第2噛合歯との相対回転速度差が比較的に小さくなる。すなわち、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替時に、前記第1噛合歯と前記第2噛合歯との相対回転速度差が、例えば前記主駆動輪と前記副駆動輪との相対回転速度差と略同じなり、その相対回転速度差が極めて小さくなる。このため、前記第2噛合クラッチにおいて前記第1噛合歯と第1噛合歯との間に前記第2噛合歯が入り込み難くなってそれら噛合歯が噛み合う時間が比較的長くなってしまう可能性があり、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性が低下してしまう問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、従来に比較して2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を向上させる4輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、本発明の要旨とするところは、(a)駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、前記駆動源から左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両において、前記2輪駆動状態では前記4輪駆動状態において専ら前記副駆動輪へ駆動力を伝達するための動力伝達部材を前記駆動源および前記副駆動輪から切り離すディスコネクト機能付の4輪駆動車両の制御装置であって、(b)前記駆動源と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する第1クラッチと、前記左右の副駆動輪に単板クラッチまたは多板クラッチを介して両端がそれぞれ連結された出力軸と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する噛合クラッチとを備え、(c)前記噛合クラッチは、一方のケージが前記出力軸に相対回転不能に支持され且つ他方のケージが前記出力軸に相対回転可能に支持される一対のケージを備えたボールカムと、前記出力軸に相対回転不能に支持されスプリングの前記出力軸の軸線方向の反力に抗してボールカムの推力で駆動され前記噛合クラッチを切り離す断接スリーブと、前記ボールカムの他方のケージに回転制動トルクを付与することにより、前記ボールカムに前記推力を発生させるアクチュエータとを備え、(d)前記駆動源と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路および前記副駆動輪と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態からそのディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、第1クラッチの係合後に前記噛合クラッチを係合させる場合に、前記アクチュエータで前記ボールカムの前記推力が、前記スプリングの前記反力を超えない範囲で、前記出力軸にその回転を抑制する制動トルクを付与させることにある。
このように構成された4輪駆動車両の制御装置によれば、前記ディスコネクト解除時に、前記第1クラッチの係合後に前記噛合クラッチを係合させる場合に、前記アクチュエータで前記出力軸にその回転を抑制する制動トルクが付与されるので、前記噛合クラッチにおいて前記出力軸が連結された前記副駆動輪側の噛合歯の回転速度が低下し、その副駆動輪側の噛合歯と前記噛合クラッチの前記主駆動輪側の噛合歯との相対回転速度差が大きくなる。このため、前記噛合クラッチの切替応答性が従来に比較して向上し、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性が向上する。また、前記アクチュエータでは、前記ボールカムの一対のケージの一方に伝わる前記出力軸の回転力を前記ボールカムの一対のケージの他方に回転制動トルクを付与することにより、前記ボールカムに前記スプリングの反力に抗する推力を発生させることで、そのアクチュエータから前記出力軸の回転を抑制するトルクが付与されるので、前記4輪駆動車両に前記出力軸の回転を抑制させるためだけの新たな機構を付加する必要性がなくなる。
ここで、好適には、(a)前記アクチュエータは、補助クラッチと、その補助クラッチに回転制動トルクを発生させて前記ボールカムを作動させる電磁コイルとからなり、(b)前記ボールカムの一対のケージの他方が前記補助クラッチを介して非回転部材に連結され、前記電磁コイルに通電して前記補助クラッチに回転制動トルクを発生させることで、前記ボールカムの一対のケージの一方が前記断接スリーブを前記スプリングの反力に抗して前記軸線方向に付勢する。このため、前記電磁コイルに通電して前記補助クラッチに回転制動トルクを発生させることで、前記ボールカムを介して前記出力軸にその出力軸の回転を抑制するトルクが一層早く付与される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用された4輪駆動車両10の構成を概略的に説明する骨子図である。図1において、4輪駆動車両10は、エンジン12を駆動源とし、そのエンジン12の動力を主駆動輪に対応する左右の前輪14Lおよび14R(特に区別しない場合には、前輪14という)に伝達する第1の動力伝達経路と、エンジン12の動力を副駆動輪に対応する左右の後輪16Lおよび16R(特に区別しない場合には、後輪16という)に伝達する第2の動力伝達経路とを備えているFFベースの4輪駆動装置を備えている。この4輪駆動車両10の2輪駆動状態では、エンジン12から自動変速機18を介して伝達された駆動力が前輪用駆動力配分ユニット20および左右の車軸22L、22Rを通して左右の前輪14Lおよび14Rへ伝達される。この2輪駆動状態では、少なくとも第1噛合クラッチ(第1クラッチ)24が解放され、トランスファ26、プロペラシャフト(動力伝達部材)28、および、後輪用駆動力配分ユニット30および後輪16へは動力が伝達されない。しかし、4輪駆動状態では、上記2輪駆動状態に加えて、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)32が共に係合されるとともに、左電磁カップリング34Lにより左車軸36Lおよび左後輪16Lへの伝達トルクが制御され、且つ右電磁カップリング34Rにより右車軸36Rおよび右後輪16Rへの伝達トルクが制御されるようになっている。なお、図1では図示されていないが、エンジン12と自動変速機18との間には、流体伝動装置であるトルクコンバータ或いはクラッチが設けられている。
自動変速機18は、例えば、複数の遊星歯車装置および摩擦係合装置(クラッチ、ブレーキ)を備えてそれら摩擦係合装置を選択的に係合させることで変速段が選択される形式の有段式自動変速機で構成されている。なお、上記自動変速機18は、常時噛合型平行軸式変速機の変速段がシフトアクチュエータおよびセレクトアクチュエータによって選択される形式の有段式自動変速機で構成されていても良い。また、上記自動変速機18は、伝動ベルトが巻き掛けられた一対の有効径が可変の可変プーリの有効径を変化させることで変速比が連続的に変化させられる形式の無段変速機で構成されていても良い。上記自動変速機18は公知の技術であるため、具体的な構造や作動の説明については省略する。
差動歯車装置から構成される前輪用駆動力配分ユニット20は、回転軸線C1まわりに回転可能に設けられ、自動変速機18の出力歯車18aと噛み合うリングギヤ20rと、それに固定されたデフケース(ディファレンシャルケース)20cと、デフケース20c内に収容された差動歯車機構20dとを有しており、前輪14の左右の車軸22L、22Rにそれらの差回転を許容しつつ駆動力を伝達する。なお、上記デフケース20cには、トランスファ26に設けられた入力軸38の軸端に形成された第1外周スプライン歯38aと嵌合する内周噛合歯20aが形成されている。これにより、エンジン12からデフケース20cを介して左右の前輪14Lおよび14Rへ伝達する駆動力の一部が、入力軸38を介してトランスファ26に入力されるようになっている。
トランスファ26は、図1および図2に示すように、プロペラシャフト28を駆動するためにプロペラシャフト28の一端部に連結されたドリブンピニオン40と動力伝達のために噛み合う円筒状の第1リングギヤ42と、エンジン12からデフケース20cを介して前輪14Lおよび14Rへ伝達される駆動力の一部が入力される円筒状の入力軸38と、エンジン12からプロペラシャフト28への動力伝達経路において、そのエンジン12に動力伝達可能に連結されたデフケース20cとプロペラシャフト28との間すなわちデフケース20cに連結された入力軸38とプロペラシャフト28に連結された第1リングギヤ42との間を断接する第1噛合クラッチ24とを備えており、第1噛合クラッチ24が係合して入力軸38と第1リングギヤ42との間の動力伝達経路が接続されると、エンジン12から左右の前輪14Lおよび14Rに伝達される駆動力の一部が、プロペラシャフト28を介して左右の後輪16Lおよび16Rへ出力されるようになっている。
円筒状の第1リングギヤ42は、図2に示すように、例えば斜歯又はハイポイドギヤが形成された傘歯車であり、その第1リングギヤ42の内周部から前輪14R側に略円筒状に突出する軸部42aが形成されている。また、円筒状の第1リングギヤ42は、第1ユニットケース44内に設けられた軸受46により軸部42aが支持されることによって回転軸線C1まわりに回転可能に片持状に支持されている。
円筒状の入力軸38は、図2に示すように、円筒状の第1リングギヤ42の内側を貫通して、その入力軸38の一部が第1リングギヤ42の内側に配置されている。また、円筒状の入力軸38は、第1ユニットケース44内に設けられた一対の軸受48に両端部が支持されることによって、入力軸38が回転軸線C1まわりに回動可能にすなわち第1リングギヤ42と同心に回転可能に支持されている。また、円筒状の入力軸38には、入力軸38の前輪14L側の端部の外周面に形成された第1外周スプライン歯38aと、入力軸38の中央部の外周面に形成された第2外周スプライン歯38bと、入力軸38の前輪14R側の端部の外周面に形成された第3外周スプライン歯38cとが一体に備えられている。
第1噛合クラッチ24は、トランスファ26においてエンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路すなわちそのエンジン12に動力伝達可能に連結される入力軸38とそのプロペラシャフト28に動力伝達可能に連結される第1リングギヤ42との間の動力伝達経路を断接するための断接機構(ドグクラッチ)である。第1噛合クラッチ24には、第1リングギヤ42の軸部42aの前輪14L側の側面42bに形成された第1噛合歯42cと、入力軸38に対して回転軸線C1まわりの相対回転が不能且つ回転軸線C1方向の移動が可能にその入力軸38の第2外周スプライン歯38bに噛み合う内周噛合歯50aが形成され、回転軸線C1方向に移動することにより第1噛合歯42cとの噛み合いが可能な第1噛合歯50bが形成された円筒状の第1可動スリーブ50と、第1可動スリーブ50を回転軸線C1方向に移動させて、第1可動スリーブ50を第1コネクト位置と第1ディスコネクト位置とに移動させる第1移動機構52とが備えられている。なお、上記第1コネクト位置は、第1可動スリーブ50が回転軸線C1方向に移動し第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bが第1リングギヤ42の第1噛合歯42cと噛み合う位置であり、上記第1コネクト位置では、第1リングギヤ42と入力軸38との相対回転が不能となり、第1噛合クラッチ24が係合させられる。また、上記第1ディスコネクト位置は、第1可動スリーブ50が回転軸線C1方向に移動し第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bが第1リングギヤ42の第1噛合歯42cと噛み合わない位置であり、上記第1ディスコネクト位置では、第1リングギヤ42と入力軸38との相対回転が可能となり、第1噛合クラッチ24が解放させられる。
第1移動機構52には、第1ボールカム54と、第1アクチュエータ56と、第1スプリング58と、第1ラチェット機構(掛外し機構)60とが備えられている。第1アクチュエータ56は、第1補助クラッチ62とその第1補助クラッチ62に回転制動トルクを発生させる第1電磁コイル64とからなり、第1ユニットケース44に一体的に固定されている。第1ボールカム54は、第1アクチュエータ56により第1補助クラッチ62を介して後述する環状の第2ケージ66に回転制動トルクが発生させられると、入力軸38の回転力を入力軸38の回転軸線C1方向の推力に変換する装置である。第1ラチェット機構60は、第1ボールカム54により変換された推力によって第1可動スリーブ50を移動させ且つ第1可動スリーブ50の移動位置を保持する。第1スプリング58は、一対の軸受48において前輪14L側の軸受48と第1可動スリーブ50との間に介在されており、第1可動スリーブ50を前記第1ディスコネクト位置から前記第1コネクト位置に向かって付勢すなわち第1可動スリーブ50を回転軸線C1方向において前輪14R側に付勢する。これによって、第1移動機構52は、第1アクチュエータ56において第1電磁コイル64と第1補助クラッチ62とで第2ケージ66に回転制動トルクを付与して第1ボールカム54に回転軸線C1方向の推力を発生させ、後述する第1ケージ68で第1ラチェット機構60を介して第1可動スリーブ50を第1スプリング58の付勢力に抗して回転軸線C1方向に移動させる。
第1ラチェット機構60は、第1アクチュエータ56の第1電磁コイル64が円板状の可動片69を吸着することにより第1ボールカム54を介して所定のストロークで回転軸線C1方向に往復移動させられる環状の第1ピストン68aと、入力軸38に対して相対回転可能に設けられ、その第1ピストン68aにより第1スプリング58の付勢力に抗して回転軸線C1方向に移動させられる環状の第2ピストン70と、掛止歯72a(図3参照)を有して入力軸38に対して相対回転不能かつ回転軸線C1方向の移動不能に設けられ、その掛止歯72aで第1ピストン68aにより移動させられた第2ピストン70を掛け止める環状のホルダー72とを備えている。第1ラチェット機構60では、第1ピストン68aが回転軸線C1方向に往復移動させられることで、第2ピストン70によって第1可動スリーブ50が前記第1ディスコネクト位置へ第1スプリング58の付勢力に抗して移動させられ、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aに掛け止められる。そして、さらに、第1ピストン68aが回転軸線C1方向に往復移動させられると、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外されて第1スプリング58の付勢力に従って第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置へ移動させられる。なお、第1ボールカム54の第1ケージ68には、図2に示すように、第1ラチェット機構60の第1ピストン68aが一体に設けられており、第1ラチェット機構60は、第1ボールカム54の第2ケージ66と第1可動スリーブ50との間に配設されている。
第1ボールカム54は、第1ラチェット機構60の第2ピストン70と一対の軸受48における前輪14R側の軸受48との間に、回転軸線C1方向において重なるように介挿された環状の一対の第1ケージ68および第2ケージ66と、それら第1ケージ68と第2ケージ66とにおいて周方向の複数箇所(たとえば3箇所)に形成された、周方向で深さが変化する互いに対向する溝状の一対のカム面66a、68bで挟まれた複数個(たとえば3個)の球状転動体74とを有し、それら第1ケージ68と第2ケージ66とが相対回転させられると、第1ケージ68と第2ケージ66とが回転軸線C1方向に離隔させられる。これによって、第1ボールカム54により第1ピストン68aが回転軸線C1方向において前輪14R側、前輪14L側へ1回往復移動させられると、図2に示す回転軸線C1に対して上側すなわちエンジン12側のトランスファ26に示すように、第1可動スリーブ50が第1ラチェット機構60を介して前記第1ディスコネクト位置へ第1スプリング58の付勢力に抗して移動させられる。そして、第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bと第1リングギヤ42の第1噛合歯42cとの噛み合いが解かれて第1噛合クラッチ24が解放する。また、第1ボールカム54によって第1ピストン68aが2回往復移動すなわち第1可動スリーブ50が前記第1ディスコネクト位置に配置された状態でさらに第1ピストン68aが1回往復移動させられると、図示しないが、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外され第1可動スリーブ50が第1スプリング58の付勢力によって前記第1コネクト位置へ移動させられる。そして、第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bと第1リングギヤ42の第1噛合歯42cとが噛み合わされ第1噛合クラッチ24が係合する。
また、第1アクチュエータ56において第1電磁コイル64と可動片69との間には、図2に詳細に示すように、第1電磁コイル64と可動片69との間に配設され、第1ユニットケース44に形成された内周スプライン歯44aと回転軸線C1回りの回転が不能且つ回転軸線C1方向の移動が可能に係合された円板状の一対の第1摩擦板76、78と、一対の第1摩擦板76、78との間に配設され、第2ケージ66に形成された外周スプライン歯66bと回転軸線C1回りの回転が不能且つ回転軸線C1方向の移動が可能に係合された円板状の第2摩擦板80とを有する第1補助クラッチ62が備えられている。また、環状の第1ケージ68と環状の第2ケージ66との間の周方向の複数箇所に形成された凹溝状のカム面68b、66aは、その周方向に向かうに連れてそれらカム面68b、66aの間の回転軸線C1方向における距離が短くなるように傾斜している。また、第1ケージ68の内周面には、入力軸38の第3外周スプライン歯38cと相対回転不能且つ回転軸線C1方向の移動可能に噛み合う内周噛合歯68cが形成されている。
上記のように構成された第1アクチュエータ56である第1電磁コイル64および第1補助クラッチ62と第1ボールカム54とでは、例えば、車両走行中で入力軸38が回転している状態において、電子制御装置(制御装置)82から第1電磁コイル64に通電され第1電磁コイル64によって可動片69が吸着されると、可動片69によって第1補助クラッチ62の第1摩擦板76、78および第2摩擦板80が可動片69と第1電磁コイル64との間で挟圧されて第2摩擦板80に回転制動トルクが伝達される。すなわち、第1電磁コイル64によって可動片69が吸着されると第1補助クラッチ62の第2摩擦板80を介して第2ケージ66に回転制動トルクが伝達される。このため、上記回転制動トルクによってそれら第1ケージ68と第2ケージ66とが相対回転し、第1ケージ68に一体に形成された第1ピストン68aは、球状転動体74を介して第2ケージ66に対して回転軸線C1方向において第1スプリング58の付勢力に抗して前輪14L側へ移動し、入力軸38の回転力が回転軸線C1方向の推力に変換される。また、第1電磁コイル64に可動片69が吸着されない時には、第2ケージ66は第1ユニットケース44に対して相対回転可能となるので、第2ケージ66が球状転動体74を介して第1ケージ68と連れまわって第2ケージ66と第1ケージ68とが一体的に回転する。これによって、第1ピストン68aの回転軸線C1方向における往復移動が停止する。
図3は、第1ラチェット機構60の作動原理を説明する模式図であり、環状の第1ピストン68a、環状の第2ピストン70、および環状のホルダー72をそれぞれ展開した状態を示している。第1ラチェット機構60は、前述したように、環状の第1ピストン68aと環状の第2ピストン70と環状のホルダー72とを備え、掛止め機構として機能するものである。環状の第2ピストン70には、ホルダー72側に突設された突起70aが形成されている。また、環状のホルダー72には、第2ピストン70の突起70aを掛け止めるための円周方向に連なる鋸歯状の掛止歯72aが周期的に形成されており、ホルダー72は、入力軸38に位置固定に配設されている。また、環状の第1ピストン68aには、ホルダー72の掛止歯72aと同様の鋸歯形状であるが周方向に半位相ずれた形状で周方向に連なり、第2ピストン70の突起70aを受け止める受止歯68dが周期的に形成されている。環状の第1ピストン68aは、ホルダー72と相対回転不能且つ回転軸線C1方向の移動可能に設けられ、第1スプリング58の付勢力に抗して第2ピストン70を第1ボールカム54の1ストローク分だけ移動させられる。なお、第1ピストン68aの受止歯68dおよびホルダー72の掛止歯72aの先端の斜面には、突起70aの滑りを止めるストッパ68eおよび72bがそれぞれ設けられている。
図3の(a)および(e)は、第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置にある時を示している。図3の(a)および(e)に示すように、第2ピストン70から突設された突起70aがホルダー72の掛止歯72aに掛け止められた位置に位置している状態では、第1ピストン68aがそのベース位置に位置させられている。図3の(b)は、第1ピストン68aが第1アクチュエータ56および第1ボールカム54の作動により移動ストロークST分だけ第1スプリング58の付勢力に抗してそのベース位置から移動させられた状態を示している。この過程では、第1ピストン68aにより第2ピストン70が移動させられてホルダー72から離されるとともに、第2ピストン70が第1ピストン68aの斜面を滑り落ちる。なお、図3の(b)に示されている一点鎖線は、上記移動ストロークSTを説明するために図3の(a)の第1ピストン68aの元位置を示すものである。図3の(c)は、第1ピストン68aが第1アクチュエータ54および第1ボールカム54の非作動により第1スプリング58および第3スプリング59の付勢力に従って移動ストロークST分だけ戻されてベース位置に位置させられた状態を示している。この過程では第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aの上に掛け止められ、前記第1ディスコネクト位置に保持される。なお、第3スプリング59は、回転軸線C1方向において、第1ケージ68において第1ピストン68aを除く部分と第2ピストン70との間に設けられるものであり、その第3スプリング59の付勢力は第1スプリング58の付勢力より小さい。図3の(d)は、再び第1ピストン68aが第1アクチュエータ56および第1ボールカム54の作動により移動ストロークST分だけ第1スプリング58の付勢力に抗してそのベース位置から移動させられた状態を示している。この過程では、第2ピストン70が更に第1スプリング58側に移動させられて後述する同期装置(回転同期機構)84の入力軸38側の摩擦係合部材86と第1リングギヤ42側の摩擦係合部材88とが摩擦係合して入力軸38と第1リングギヤ42とが回転同期させられる。次いで、図3の(e)に示すように、第1ピストン68aが第1アクチュエータ56および第1ボールカム54の非作動により第1スプリング58の付勢力に従って移動ストロークST分だけ戻されてベース位置に位置させられると、第2ピストン70が第1コネクト位置へ位置させられて、第1リングギヤ42の第1噛合歯42cと第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bとが噛み合わされる。
これにより、第1ラチェット機構60では、第1ボールカム54による第1ピストン68aの往復移動で第2ピストン70を周方向へ送り第1可動スリーブ50を前記第1ディスコネクト位置、前記第1コネクト位置へ向かって移動させられる。第2ピストン70が1回往復移動させられると、第1可動スリーブ50が前記第1ディスコネクト位置に位置させられる。また、第2ピストン70が2回往復移動すなわち第1可動スリーブ50が前記第1ディスコネクト位置にある状態においてさらに第2ピストン70が1回往復移動させられると、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外されて第1スプリング58の付勢力により第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置に位置させられる。
また、図2に示すように、トランスファ26には、第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置に移動させられるのに先立って最も前記第1ディスコネクト位置側に移動したときに、第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bの回転と第1リングギヤ42の第1噛合歯42cの回転とを略同期させる同期装置84が備えられている。なお、同期装置84は、円筒状の第1リングギヤ42の内周側において、第1可動スリーブ50と第1ラチェット機構60との間に配設されている。
図1および図4に示すように、後輪用駆動力配分ユニット30は、プロペラシャフト28から左右の後輪16Lおよび16Rへの動力伝達経路に、プロペラシャフト28と左右の後輪16Lおよび16Rとの間を断接するための第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)32と、第2噛合クラッチ32と左右の後輪16Lおよび16Rとの間の伝達トルクをそれぞれ制御する摩擦係合式の電子制御カップリングである左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rとを直列に備えている。
後輪用駆動力配分ユニット30では、左電磁カップリング34Lは中央車軸(出力軸)90と左車軸36Lとの間に介在させられ、右電磁カップリング34Rは中央車軸90と右車軸36Rとの間に介在させられている。後輪用駆動力配分ユニット30には、ドライブピニオン92と噛み合う外周係合歯94aを有する第2リングギヤ94が中央車軸90と同心で且つ相対回転可能に設けられており、第2噛合クラッチ32は、それら中央車軸90と第2リングギヤ94との間の動力伝達経路を断接する。
円筒状の第2リングギヤ94は、図4および図5に示すように、例えば斜歯又はハイポイドギヤが形成された傘歯車であり、第2リングギヤ94の内周部から後輪16L側に略円筒状に突出する軸部94bが形成されている。また、円筒状の第2リングギヤ94は、第2ユニットケース96内に設けられた軸受98により軸部94bが支持されることによって回転軸線C2まわりに回転可能に片持状に支持されている。なお、第2ユニットケース96は、例えば第2ラチェット機構132等を収容する中央ケース部96aと、中央ケース部96aの回転軸線C2方向の両側に中央ケース部96aに対して対称的に設けられ、左電磁カップリング34L、右電磁カップリング34Rを収容する一対の第1ケース部96b、96cと、中央ケース部96aと一対の第1ケース部96b、96cとの間にそれぞれ設けられた一対の第2ケース部96d、96eとを備えている。一対の第1ケース部96b、96cおよび一対の第2ケース部96d、96eは、第1締結ボルト95(図4参照)および第2締結ボルト97(図4参照)によって一体的に中央ケース部96aに固定されている。
円筒状の中央車軸90は、図4および図5に示すように、円筒状の第2リングギヤ94の内側を貫通して、中央車軸90の一部が第2リングギヤ94の内側に配置されている。また、円筒状の中央車軸90は、第2ユニットケース96の一対の第2ケース部96d、96e内に設けられた一対の軸受100に両端部が支持されることによって、中央車軸90が回転軸線C2まわりに回動可能にすなわち第2リングギヤ94と同心に回転可能に支持されている。また、円筒状の中央車軸90には、中央車軸90の中央部の外周面に形成された第1外周スプライン歯90aと、中央車軸90の後輪16R側の端部の外周面に形成された第2外周スプライン歯90bとが一体に備えられている。
第2噛合クラッチ32は、左右の後輪16Lおよび16Rに単板クラッチまたは多板クラッチである左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rを介して両端がそれぞれ連結された中央車軸90とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路を断接するための断接機構(ドグクラッチ)である。第2噛合クラッチ32には、図5に示すように、第2リングギヤ94の内周面に形成された第2噛合歯94cと、中央車軸90に対して回転軸線C2まわりの相対回転が不能且つ回転軸線C2方向の移動が可能に中央車軸90の第1外周スプライン歯90aに噛み合う内周噛合歯102aが形成され、回転軸線C2方向に移動することにより第2噛合歯94cとの噛み合いが可能な第2噛合歯102bが形成された円筒状の第2可動スリーブ(断接スリーブ)102と、第2可動スリーブ102を回転軸線C2方向に移動させて、第2可動スリーブ102を第2コネクト位置と第2ディスコネクト位置とに移動させる第2移動機構104とが備えられている。なお、上記第2コネクト位置は、第2可動スリーブ102が回転軸線C2方向に移動し第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bが第2リングギヤ94の第2噛合歯94cと噛み合う位置であり、上記第2コネクト位置では、第2リングギヤ94と中央車軸90との相対回転が不能となり、第2噛合クラッチ32が係合させられる。また、上記第2ディスコネクト位置は、第2可動スリーブ102が回転軸線C2方向に移動し第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bが第2リングギヤ94の第2噛合歯94cと噛み合わない位置であり、上記第2ディスコネクト位置では、第2リングギヤ94と中央車軸90との相対回転が可能となり、第2噛合クラッチ32が解放させられる。なお、第2噛合クラッチ32では、第1噛合クラッチ24が解放されている2輪駆動状態において、図1に示すように、第2移動機構104によって第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置に移動させられて、プロペラシャフト28と後輪16Lおよび16Rとの間すなわち第2リングギヤ94と中央車軸90との間が解放されると、左右の後輪16Lおよび16Rからプロペラシャフト28が切り離されて、プロペラシャフト28等の回転抵抗による車両の走行抵抗が低減される。本実施例では、上記第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がディスコネクト機構に対応しており、本実施例の4輪駆動車両10は、2輪駆動状態では4輪駆動状態において専ら後輪16へ駆動力を伝達するためのプロペラシャフト28をエンジン12および後輪16から切り離すディスコネクト機能付の4輪駆動車両である。
左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rは、図4に示すように、非回転部材である第2ユニットケース96に固定された位置固定の環状の第3電磁コイル106Lおよび第4電磁コイル106Rと、第3電磁コイル106L、第4電磁コイル106Rに通電することにより発生する磁力によって副押圧部材108Lおよび108Rに摩擦トルクを発生させる副摩擦係合装置110Lおよび110Rと、傾斜凹溝内の球状転動体112Lおよび112Rを副押圧部材108Lおよび108Rとの間で挟持する主押圧部材114Lおよび114Rと、副押圧部材108Lおよび108Rの主押圧部材114Lおよび114Rに対する相対回転により発生するスラスト力を受けて摩擦トルクを発生させる主摩擦係合装置116Lおよび116Rとを備えている。主摩擦係合装置116Lおよび116Rは、左車軸36Lおよび右車軸36Rと嵌合してそれに相対回転不能に連結されてそれと共に回転するクラッチハブ118Lおよび118Rと、中央車軸90と相対回転不能に連結されるクラッチドラム120Lおよび120Rと、それらクラッチハブ118Lおよび118Rとクラッチドラム120Lおよび120Rとにそれぞれ相対回転不能に装着され且つ互い違いに重ねられたハブ側摩擦板122およびケース側摩擦板124とを、備えている。これにより、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rは、後述する電子制御装置82から第3電磁コイル106Lおよび第4電磁コイル106Rに供給される励磁電流(トルク指令値)に応じた伝達トルクを、左右の後輪16Lおよび16Rへ伝達する。
第2移動機構104には、第2ボールカム126と、第2アクチュエータ(アクチュエータ)128と、第2スプリング130と、第2ラチェット機構(掛外し機構)132とが備えられている。第2アクチュエータ128は、第2補助クラッチ134と、第2補助クラッチ134に回転制動トルクを発生させる第2電磁コイル(電磁コイル)136とからなり、第2ユニットケース96に一体的に固定されている。第2ボールカム126は、第2アクチュエータ128により第2補助クラッチ134を介して後述する環状の第2ケージ138に回転制動トルクが発生させられると、後述する環状の第1ケージ140に伝えられる中央車軸90の回転力を中央車軸90の回転軸線C2方向の推力に変換する装置である。第2ラチェット機構132は、第2ボールカム126により変換された推力によって第2スプリング130の付勢力(反力)に抗して第2可動スリーブ102を移動させ且つ第2可動スリーブ102の移動位置を保持する。第2スプリング130は、一対の軸受100において後輪16L側の軸受100と第2可動スリーブ102との間に介在されており、第2可動スリーブ102を前記第2ディスコネクト位置から前記第2コネクト位置に向かって付勢すなわち第2可動スリーブ102を回転軸線C2方向において後輪16R側に付勢する。これによって、第2移動機構104は、第2アクチュエータ128において第2ボールカム126の第1ケージ140に伝わる中央車軸90の回転力を第2ボールカム126の第2ケージ138に回転制動トルクを付与することにより、第2ボールカム126に第2スプリング130の付勢力(反力)に抗する回転軸線C2方向の推力を発生させることで、第1ケージ140で第2ラチェット機構132を介して第2可動スリーブ102を第2スプリング130の付勢力に抗して回転軸線C2方向に移動させる。
第2ラチェット機構132は、第2アクチュエータ128の第2電磁コイル136が円板状の可動片142を吸着することにより第2ボールカム126を介して所定のストロークで回転軸線C2方向に往復移動させられる環状の第1ピストン140aと、中央車軸90に対して相対回転可能に設けられ、第1ピストン140aにより第2スプリング130の付勢力に抗して回転軸線C2方向に移動させられる環状の第2ピストン144と、掛止歯146a(図3参照)を有して中央車軸90に対して相対回転不能かつ回転軸線C2方向の移動不能に設けられ、掛止歯146aで第1ピストン140aにより移動させられた第2ピストン144を掛け止める環状のホルダー146とを備えている。第2ラチェット機構132では、第1ピストン140aが回転軸線C2方向に往復移動させられることで、第2ピストン144によって第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置へ第2スプリング130の付勢力に抗して移動させられ、第2ピストン144がホルダー146の掛止歯146aに掛け止められる。そして、さらに、第1ピストン140aが回転軸線C2方向に往復移動させられると、第2ピストン144がホルダー146の掛止歯146aから掛け外されて第2スプリング130の付勢力に従って第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置へ移動させられる。なお、第2ボールカム126の第1ケージ140には、図5に示すように、第2ラチェット機構132の第1ピストン140aが一体に設けられており、第2ラチェット機構132は、第2ボールカム126の第2ケージ138と第2可動スリーブ102との間に配設されている。
第2ボールカム126は、第2ラチェット機構132の第2ピストン144と一対の軸受100における後輪16R側の軸受100との間に、回転軸線C2方向において重なるように介挿された環状の一対の第1ケージ140および第2ケージ138と、それら第1ケージ140と第2ケージ138とにおいて周方向の複数箇所(たとえば3箇所)に形成された、周方向で深さが変化する互いに対向する溝状の一対のカム面138a、140bで挟まれた複数個(たとえば3個)の球状転動体148とを有し、それら第1ケージ140と第2ケージ138とが相対回転させられると、それら第1ケージ140と第2ケージ138が回転軸線C2方向に離隔させられる。これによって、第2ボールカム126により第1ピストン140aが回転軸線C2方向において後輪16R側、後輪16L側へ1回往復移動させられると、第2可動スリーブ102が第2ラチェット機構132を介して前記第2ディスコネクト位置へ第2スプリング130の付勢力に抗して移動させられる。そして、図5に示す回転軸線C2に対して上側すなわちエンジン12側の後輪用駆動力配分ユニット30に示すように、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとの噛み合いが解かれて第2噛合クラッチ32が解放する。また、第2ボールカム126によって第1ピストン140aが2回往復移動すなわち第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置に配置された状態でさらに第1ピストン140aが1回往復移動させられると、図示しないが、第2ピストン144がホルダー146の掛止歯146aから掛け外され第2可動スリーブ102が第2スプリング130の付勢力によって前記第2コネクト位置へ移動させられる。そして、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとが噛み合わされ第2噛合クラッチ32が係合する。
また、第2アクチュエータ128において第2電磁コイル136と可動片142との間には、図5に詳細に示すように、第2電磁コイル136と可動片142との間に配設され、第2ユニットケース96の第2ケース部96eに形成された内周スプライン歯96fと回転軸線C2回りの回転が不能且つ回転軸線C2方向の移動が可能に係合された円板状の一対の第1摩擦板150、152と、一対の第1摩擦板150、152との間に配設され、第2ケージ138に形成された外周スプライン歯138bと回転軸線C2回りの回転が不能且つ回転軸線C2方向の移動が可能に係合された円板状の第2摩擦板154とを有する第2補助クラッチ134が備えられている。また、環状の第1ケージ140と環状の第2ケージ138との間の周方向の複数箇所に形成された凹溝状のカム面140b、138aは、その周方向に向かうに連れてそれらカム面140b、138aの間の回転軸線C2方向における距離が短くなるように傾斜している。また、第1ケージ140の内周面には、中央車軸90の第2外周スプライン歯90bと相対回転不能且つ回転軸線C2方向の移動可能に噛み合う内周噛合歯140cが形成されている。すなわち、第2ボールカム126の第1ケージ140は、中央車軸90に相対回転不能に支持されている。また、第2ボールカム126の第2ケージ138は、中央車軸90に相対回転可能に支持され且つ第2補助クラッチ134を介して非回転部材である第2ユニットケース96に連結されている。
上記のように構成された第2アクチュエータ128である第2電磁コイル136および第2補助クラッチ134と第2ボールカム126とでは、例えば、車両走行中で中央車軸90が回転している状態において、電子制御装置82から第2電磁コイル136に通電され第2電磁コイル136によって可動片142が吸着されると、可動片142によって第2補助クラッチ134の第1摩擦板150、152および第2摩擦板154が可動片142と第2電磁コイル136との間で挟圧されて第2摩擦板154に回転制動トルクが伝達される。すなわち、第2電磁コイル136によって可動片142が吸着されると第2補助クラッチ134の第2摩擦板154を介して第2ケージ138に回転制動トルクが伝達される。このため、上記回転制動トルクによって第1ケージ140と第2ケージ138とが相対回転し、第1ケージ140に一体に形成された第1ピストン140aは、球状転動体148を介して第2ケージ138に対して回転軸線C2方向において第2スプリング130の付勢力に抗して後輪16L側へ移動し、中央車軸90の回転力が回転軸線C2方向の推力に変換される。また、第2電磁コイル136に可動片142が吸着されない時には、第2ケージ138は第2ユニットケース96に対して相対回転可能となるので、第2ケージ138が球状転動体148を介して第1ケージ140と連れまわって第2ケージ138と第1ケージ140とが一体的に回転する。これによって、第1ピストン140aの回転軸線C2方向における往復移動が停止する。なお、第2電磁コイル136によって可動片142が吸着され、第2摩擦板154を介して第2ケージ138に回転制動トルクが伝達されると、球状転動体148および第1ケージ140を介して中央車軸90に中央車軸90の回転を抑制させる回転制動トルクが伝達される。すなわち、第2電磁コイル136に通電することにより第2補助クラッチ134に回転制動トルクを発生させて中央車軸90の回転が抑制される。
第2ラチェット機構132は、前述したように、環状の第1ピストン140aと環状の第2ピストン144と環状のホルダー146とを備え、掛止め機構として機能するもの、すなわち前述した第1ラチェット機構60と同様の機能を有するものである。このため、本実施例では、第2ラチェット機構132の作動原理を、前述した第1ラチェット機構60の作動原理を説明した図3を用いて説明する。図3に示すように、環状の第2ピストン144には、ホルダー146側に突設された突起144aが形成されている。また、環状のホルダー146には、第2ピストン144の突起144aを掛け止めるための円周方向に連なる鋸歯状の掛止歯146aが周期的に形成されており、ホルダー146は、中央車軸90に位置固定に配設されている。また、環状の第1ピストン140aには、ホルダー146の掛止歯146aと同様の鋸歯形状であるが周方向に半位相ずれた形状で周方向に連なり、第2ピストン144の突起144aを受け止める受止歯140dが周期的に形成されている。環状の第1ピストン140aは、ホルダー146と相対回転不能且つ回転軸線C2方向の移動可能に設けられ、第2スプリング130の付勢力に抗して第2ピストン144を第2ボールカム126の1ストローク分だけ移動させられる。なお、第1ピストン140aの受止歯140dおよびホルダー146の掛止歯146aの先端の斜面には、突起144aの滑りを止めるストッパ140eおよび146bがそれぞれ設けられている。
図3の(a)および(e)は、第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置にある時を示している。この図3の(a)および(e)に示すように、第2ピストン144から突設された突起144aがホルダー146の掛止歯146aに掛け止められた位置に位置している状態では、第1ピストン140aがそのベース位置に位置させられている。図3の(b)は、第1ピストン140aが第2アクチュエータ128および第2ボールカム126の作動により移動ストロークST分だけ第2スプリング130の付勢力に抗してそのベース位置から移動させられた状態を示している。この過程では、第1ピストン140aにより第2ピストン144が移動させられてホルダー146から離されるとともに、第2ピストン144が第1ピストン140aの斜面を滑り落ちる。なお、図3の(b)に示されている一点鎖線は、上記移動ストロークSTを説明するために図3の(a)の第1ピストン140aの元位置を示すものである。図3の(c)は、第1ピストン140aが第2アクチュエータ128および第2ボールカム126の非作動により第2スプリング130および第4スプリング131の付勢力に従って移動ストロークST分だけ戻されてベース位置に位置させられた状態を示している。この過程では第2ピストン144がホルダー146の掛止歯146aの上に掛け止められ、前記第2ディスコネクト位置に保持される。なお、第4スプリング131は、回転軸線C2方向において、第1ケージ140において第1ピストン140aを除く部分と第2ピストン144との間に設けられるものであり、その第4スプリング131の付勢力は第2スプリング130の付勢力より小さい。図3の(d)は、再び第1ピストン140aが第2アクチュエータ128および第2ボールカム126の作動により移動ストロークST分だけ第2スプリング130の付勢力に抗してそのベース位置から移動させられた状態を示している。この過程では、第2ピストン144が更に第2スプリング130側に移動させられる。次いで、図3の(e)に示すように、第1ピストン140aが第2アクチュエータ128および第2ボールカム126の非作動により第2スプリング130の付勢力に従って移動ストロークST分だけ戻されてベース位置に位置させられると、第2ピストン144が前記第2コネクト位置へ位置させられて、第2リングギヤ94の第2噛合歯94cと第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bとが噛み合わされる。
これにより、第2ラチェット機構132では、第2ボールカム126による第1ピストン140aの往復移動で第2ピストン144を周方向へ送り第2可動スリーブ102を前記第2ディスコネクト位置、前記第2コネクト位置へ向かって移動させられる。第2ピストン144が1回往復移動させられると、第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置に位置させられる。また、第2ピストン144が2回往復移動すなわち第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置にある状態においてさらに第2ピストン144が1回往復移動させられると、その第2ピストン144がホルダー146の掛止歯146aから掛け外されて第2スプリング130の付勢力により第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置に位置させられる。
以上のように構成された4輪駆動車両10では、例えば、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32が共に係合されている4輪駆動状態において、電子制御装置82で2輪駆動走行モードが選択されると、トランスファ26において第1移動機構52によって第1可動スリーブ50が前記第1ディスコネクト位置に移動して第1噛合クラッチ24が解放され、後輪用駆動力配分ユニット30において第2移動機構104によって第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置に移動して第2噛合クラッチ32が解放されて、駆動源であるエンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路および副駆動輪である後輪16とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態となる。また、前記ディスコネクト状態から、電子制御装置82で4輪駆動走行モードが選択されると、トランスファ26において同期装置84によって第1噛合クラッチ24のそれぞれの第1噛合歯42c、50bの回転が同期されて第1噛合クラッチ24が係合される。そして、第1噛合クラッチ24の係合後に第2噛合クラッチ32が係合されて、前記ディスコネクト状態が解除される。
図6は、電子制御装置82に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図6に示すように、電子制御装置82には、4輪駆動車両10に設けられた各センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、回転速度センサ156により検出されるプロペラシャフト28の回転速度VP(rpm)を表す信号、回転速度センサ158により検出されるデフケース20cの回転速度VDF(rpm)を表す信号、第1ポジションセンサ160により検出される第1噛合クラッチ24が係合しているか否かを表すON、OFF信号、すなわち第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置にいるか否かを表すON、OFF信号、第2ポジションセンサ162により検出される第2噛合クラッチ32が係合しているか否かを表すON、OFF信号、すなわち第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置にいるか否かを表すON、OFF信号、が電子制御装置82に入力される。
また、電子制御装置82から、4輪駆動車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、第1噛合クラッチ24を係合させるために第1アクチュエータ56の第1電磁コイル64に供給される第1電磁コイル電流I1、第2噛合クラッチ32を係合させるために第2アクチュエータ128の第2電磁コイルに供給される第2電磁コイル電流I2、後輪16Lと中央車軸90との間で伝達する伝達トルクを制御するために左電磁カップリング34Lの第3電磁コイル106Lに供給される第3電磁コイル電流I3、後輪16Rと中央車軸90との間で伝達する伝達トルクを制御するために右電磁カップリング34Rの第4電磁コイル106Rに供給される第4電磁コイル電流I4が、電子制御装置82から各部へ供給される。
この図6に示す走行モード切替判定部170は、エンジン12から左右の前輪14Lおよび14Rへ駆動力を伝達する2輪駆動状態が実行される2輪駆動走行モードから、エンジン12から左右の後輪16Lおよび16Rへも駆動力を伝達する4輪駆動状態が実行される4輪駆動走行モードに切り替えられるべきか否かを判定する。例えば、走行モード切替判定部170では、4輪駆動車両10の運転走行状態が、車両の発進走行、車輪のスリップ、アンダーステア、旋回走行、加速走行、高負荷走行、減速走行のいずれか1つの4輪駆動開始条件を満たすことによって、2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられるべきか否かを判定する。なお、上記の2輪駆動状態とは、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がそれぞれ解放されることによって、エンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路および後輪16とプロペラシャフト28との間がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態であり、そのディスコネクト状態では、第1可動スリーブ50が前記第1ディスコネクト位置に配置され、第2可動スリーブ102が前記第2ディスコネクト位置に配置される。
第1噛合クラッチ制御部172は、走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、第1噛合クラッチ24を係合させるために、第1アクチュエータ56の第1電磁コイル64に通電する第1電磁コイル電流I1を制御する。
同期判定部172aは、第1噛合クラッチ制御部172による第1電磁コイル64の通電制御が開始されたと判定すると、第1噛合クラッチ24において第1リングギヤ42の第1噛合歯42cの回転と第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bの回転とが略同期したか否か、すなわち第1リングギヤ42の回転速度VR1(rpm)と第1可動スリーブ50に相対回転不能に連結する入力軸38の回転速度VIN(rpm)との差回転が所定範囲内になったか否かを判定する。なお、第1リングギヤ42の回転速度VR1(rpm)は、例えば回転速度センサ156によって検出されたプロペラシャフト28の回転速度VP(rpm)を用いて算出される。また、入力軸38の回転速度VIN(rpm)は、例えば回転速度センサ158によって検出されたデフケース20cの回転速度VDF(rpm)を用いる。
第1噛合クラッチ制御部172は、走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられるべきと判定されると、第1アクチュエータ56の第1電磁コイル64に第1電磁コイル電流I1を供給して、同期判定部172aで第1噛合クラッチ24においてそれぞれの第1噛合歯42c、50bの回転が略同期したと判定されるまで、その供給する第1電磁コイル電流I1の大きさを所定値すなわち第1電磁コイル電流I1C(A)にする。なお、第1電磁コイル64に第1電磁コイル電流I1(A)が供給されることによって、第1電磁コイル64に可動片69が吸着されて第1ボールカム54の第2ケージ66に回転制動トルクが伝達される。これによって、第1ケージ68と第2ケージ66とが相対回転し、第1ケージ68に一体に形成された第1ピストン68aが、第2ピストン70を介して第1可動スリーブ50を第1スプリング58の付勢力に抗して第1スプリング58側へすなわち最も前記第1ディスコネクト位置側に移動させられる。また、第1可動スリーブ50が最も前記第1ディスコネクト位置側に移動させられることによって、同期装置84の入力軸38側の摩擦係合部材86と第1リングギヤ42側の摩擦係合部材88とが摩擦係合して、入力軸38と第1リングギヤ42とが回転同期させられる。
第1噛合クラッチ制御部172は、同期判定部172aで第1噛合クラッチ24においてそれぞれの第1噛合歯42c、50bの回転が略同期したと判定されると、第1電磁コイル64に供給されていた第1電磁コイル電流I1を0(A)にする。なお、第1電磁コイル64に第1電磁コイル電流I1が供給されていた状態から、その第1電磁コイル電流I1が供給されなくなるすなわちその第1電磁コイル電流I1が0(A)になると、第1電磁コイル64に可動片69が吸着されなくなり、第1ボールカム54の第1ケージ68に一体に形成された第1ピストン68aから、第1可動スリーブ50を第1スプリング58の付勢力に抗して第1スプリング58側へ移動させる回転軸線C1方向の推力がなくなる。これによって、第1スプリング58の付勢力によって第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置に移動させられ、第1噛合クラッチ24が係合する。
第1係合判定部172bは、同期判定部172aで第1リングギヤ42と入力軸38との回転が略同期したと判定されると、第1噛合クラッチ24が係合したか否か、すなわち第1噛合クラッチ24の第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置にいるか否かを、第1ポジションセンサ160により検出されるON、OFF信号によって判定する。例えば、第1ポジションセンサ160においては、第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置にいる時に、第1ポジションセンサ160からON信号が検出され、第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置以外の位置(前記第1ディスコネクト位置を含む)にいる時に、第1ポジションセンサ160からOFF信号が検出される。
カップリング制御部174は、走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられたと判定されると、第3電磁コイル106Lおよび第4電磁コイル106Rに供給される第3電磁コイル電流I3および第4電磁コイル電流I4を制御して、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rにおいて中央車軸90と左右の後輪16Lおよび16Rとの間で伝達される伝達トルクを制御する。
カップリング制御部174は、走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられたと判定されると、左電磁カップリング34Lの第3電磁コイル106Lに第3電磁コイル電流I3を供給して、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合したと判定されるまで、その供給する第3電磁コイル電流I3の大きさを所定値すなわち第3電磁コイル電流I3C(A)にする。また、カップリング制御部174は、走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられたと判定されると、右電磁カップリング34Rの第4電磁コイル106Rに第4電磁コイル電流I4を供給して、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合したと判定されるまで、その供給する第4電磁コイル電流I4の大きさを所定値すなわち第4電磁コイル電流I4C(A)にする。なお、上記第3電磁コイル電流I3C(A)および第4電磁コイル電流I4C(A)は、例えば、それぞれ同じ値(I3C=I4C)である。
カップリング制御部174は、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合したと判定されると、第3電磁コイル106Lに供給されていた第3電磁コイル電流I3を0(A)にすると共に、第4電磁コイル106Rに供給されていた第4電磁コイル電流I4を0(A)にする。
第2噛合クラッチ制御部176は、走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられたと判定されると、第2アクチュエータ128の第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2を供給して、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合したと判定されるまで、その供給する第2電磁コイル電流I2の大きさを所定値すなわち第2電磁コイル電流I2C(A)にする。なお、第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2(A)が供給されることによって、第2電磁コイル136に可動片142が吸着されて第2ボールカム126の第2ゲージ138に回転制動トルクが伝達される。これによって、第1ゲージ140と第2ゲージ138とが相対回転し、第1ゲージ140に一体に形成された第1ピストン140aが、第2ピストン144を介して第2可動スリーブ102を第2スプリング130の付勢力に抗して第2スプリング130側へ移動させられる。
第2噛合クラッチ制御部176は、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合したと判定されると、第2電磁コイル136に供給されていた第2電磁コイル電流I2を0(A)にする。なお、第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給されていた状態から、その第2電磁コイル電流I2が供給されなくなるすなわち第2電磁コイル電流I2が0(A)になると、第2電磁コイル136に可動片142が吸着されなくなり、第2ボールカム126の第1ケージ140に一体に形成された第1ピストン140aから、第2可動スリーブ102を第2スプリング130の付勢力に抗して第2スプリング130側へ移動させる回転軸線C2方向の推力がなくなる。これによって、第2スプリング130の付勢力によって第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置に移動させられる。
所定時間経過判定部176aは、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合されたと判定され、且つ第2噛合クラッチ制御部176で第2電磁コイル136に供給されていた第2電磁コイル電流I2が供給されなくなると、その第2電磁コイル電流I2が供給されなくなってからの時間T1(sec)が、予め実験等により定められた、第2噛合クラッチ32が係合に要する想定最長時間T1MAX(sec)を経過したか否かを判定する。
第2係合判定部176bは、第1係合判定部172bで第1噛合クラッチ24が係合したと判定されると、第2噛合クラッチ32が係合したか否か、すなわち第2噛合クラッチ32の第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置にいるか否かを第2ポジションセンサ162により検出されるON、OFF信号によって判定する。例えば、第2ポジションセンサ162においては、第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置にいる時に、第2ポジションセンサ162からON信号が検出され、第2可動スリーブ102が前記第2コネクト位置以外の位置(前記第2ディスコネクト位置を含む)にいる時に、第2ポジションセンサ162からOFF信号が検出される。
第2噛合クラッチ制御部176は、所定時間経過判定部176aで第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給されなくなってからの時間T1(sec)が想定最長時間T1MAX(sec)を経過したと判定されると、予め実験等により定められた所定値I2T(A)の第2電磁コイル電流I2を、第2係合判定部176bで第2噛合クラッチ32が係合したと判定されるまで、第2電磁コイル136に供給すなわち第2電磁コイル136に通電する。なお、第2電磁コイル電流I2が第2電磁コイル136に供給されていない状態から、その第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給されると、可動片142が第2電磁コイル136に吸着されて第2ボールカム126の第2ケージ138に回転制動トルクが発生する。これにより、上記回転制動トルクが第2ボールカム126の球状転動体148および第1ケージ140を介して中央車軸に90伝達される。また、第2噛合クラッチ制御部176は、第2係合判定部176bで第2噛合クラッチ32が係合したと判定されると、第2電磁コイル電流I2を0(A)にする。
なお、上記所定値I2T(A)は、たとえば、第2電磁コイル136への通電によって、第2スプリング130の付勢力(反力)を上回るまたは等しい推力が第2ボールカム126により発生しないように設定された電流値である。すなわち、第2電磁コイル136に通電する通電量(所定値I2T)は、第2ボールカム126の推力が第2スプリング130の付勢力(反力)未満となる通電量である。例えば、上記所定値I2T(A)は、図7に示すように、第2電磁コイル136に供給される第2電磁コイル電流I2(A)と第2ボールカム126から発生するカム推力F(N)との関係を示す特性と、第2スプリング130からのばね力FS(N)との相対関係に基いて求められる第2電磁コイル電流I2の通電電流範囲から適宜選択される。
図8は、電子制御装置82において、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がそれぞれ解放されてエンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路および後輪16Lおよび16Rとプロペラシャフト28との間の動力伝達経路がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態から、そのディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32をそれぞれ係合させる係合制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。なお、図8のフローチャートは、図6に示す走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替える条件が成立したと判定された後の流れを示すフローチャートである。また、図9は、図8のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。なお、図9のt1時点は、上記図6の走行モード切替判定部170で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定された時である。
先ず、第1噛合クラッチ制御部172、第2噛合クラッチ制御部176、カップリング制御部174の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、第1電磁コイル64に第1電磁コイル電流I1が供給され、第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給され、第3電磁コイル106Lに第3電磁コイル電流I3が供給され、第4電磁コイル106Rに第4電磁コイル電流I4が供給される。
次に、同期判定部172aの機能に対応するS2において、第1噛合クラッチ24においてそれぞれの第1噛合歯42c、50bの回転が略同期したか否かが判定される。このS2の判定が否定される場合には、再度上記S1が実行させられるが、そのS2の判定が肯定される場合(図10のt2時点)には、第1噛合クラッチ制御部172の機能に対応するS3が実行される。上記S3では、第1電磁コイル64に第1電磁コイル電流I1が供給されなくなる。なお、第1電磁コイル64に第1電磁コイル電流I1が供給されなくなり、第1スプリング56の付勢力によって第1可動スリーブ50が前記第1コネクト位置に移動して、同期装置84においてそれぞれの摩擦係合部材86、88の押し付けが完了すると、第1噛合クラッチ24から第2噛合クラッチ32までの動力伝達経路の摩擦損失により第1リングギヤ42の回転速度の低下が比較的大きくなる。このため、第1噛合クラッチ24において第1リングギヤ42の第1噛合歯42cと第1可動スリーブ50の第1噛合歯50bとの相対回転速度差が比較的大きくなり、その第1噛合クラッチ24が解放状態から係合状態に切り替えられる切替応答性が比較的早くなる。
次に、第1係合判定部172bの機能に対応するS4において、第1噛合クラッチ24が係合したか否かが判定される。このS4の判定が否定される場合には、再度上記S3が実行させられるが、そのS4の判定が肯定される場合(図10のt3時点)には、第2噛合クラッチ制御部176、カップリング制御部174に対応するS5が実行される。上記S5では、第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給されなくなり、第3電磁コイル106Lに第3電磁コイル電流I3が供給されなくなり、第4電磁コイル106Rに第4電磁コイル電流I4が供給されなくなる。
次に、第2係合判定部176bの機能に対応するS6において、第2噛合クラッチ32が係合したか否かが判定される。このS6の判定が肯定される場合には、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がそれぞれ係合されディスコネクト状態が解除されたと判断され制御を終了する。上記S6の判定が否定される場合には、所定時間経過判定部176aの機能に対応するS7において、第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給されなくなってからの時間T1(sec)が想定最長時間T1MAX(sec)を経過したか否かが判定される。
上記S7の判定が否定される場合には、再度上記S5が実行されるが、上記S7の判定が肯定される場合(図10のt4時点)には、第2噛合クラッチ制御部176の機能に対応するS8が実行される。上記S8では、予め実験等により定められた所定値I2T(A)の第2電磁コイル電流I2が第2電磁コイル136に供給される。
次に、第2係合判定部176bの機能に対応するS9において、第2噛合クラッチ32が係合したか否かが判定される。上記S9の判定が否定される場合には、再度S8が実行されるが、上記S9の判定が肯定される場合(図10のt5)には、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がそれぞれ係合されディスコネクト状態が解除されたと判断され制御を終了する。
また、図9のタイムチャートには、上記S7の判定が肯定されても上記S8が実行されない、すなわち想定最長時間T1MAX(sec)が経過することによって所定値I2T(A)の第2電磁コイル電流I2が第2電磁コイル136に供給される第2電磁コイル136への電流制御が実施されない時における中央車軸90の回転数(rpm)のデータが示されている。なお、図9のタイムチャートでは、上記第2電磁コイル136への電流制御が未実施(制御未実施)である場合の中央車軸90の回転数(rpm)のデータが2点鎖線で示されている。また、上記第2電磁コイル136への電流制御が実施される場合の中央車軸90の回転数(rpm)のデータが破線で示されている。また、第2リングギヤ94の回転数(rpm)のデータが1点鎖線で示されている。図9の2点鎖線に示すように、上記第2電磁コイル136への電流制御が未実施の場合でも、第3電磁コイル電流I3および第4電磁コイル電流I4が0(A)であるので、中央車軸90の回転数(rpm)は、軸受等の引きずりで上記第2電磁コイル136への電流制御が実施される場合に比べてゆっくり低下する。そして、中央車軸90と第2リングギヤ94との相対回転速度差が、例えば上記第2電磁コイル136への電流制御が実施された場合の中央車軸90と第2リングギヤ94との相対回転速度差と同じ程度になり、図9のt6時点で第2噛合クラッチ32が係合する。
図10は、前記ディスコネクト解除時において、第1噛合クラッチ24の係合後の第2噛合クラッチ32の状態を示す図5のA−A視断面図である。図10に示すように、第2リングギヤ94の第2噛合歯94cは矢印A1方向に回転し且つ第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bは矢印A1方向と同方向すなわち矢印A2方向に回転すると共に、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bが前記第2コネクト位置に移動すなわち第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bが第2リングギヤ94の第2噛合歯94c側に移動する。
図10の(a)は、例えば図8のフローチャートのS5が実行された後の状態を示す図である。図10の(a)に示すように、第2噛合クラッチ32において、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとの相対回転速度差V1は比較的小さく、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bが第2リングギヤ94の第2噛合歯94c側へ移動しても、第2リングギヤ94の第2噛合歯94cの間に入り込み難いので、第2噛合クラッチ32の解放状態から係合状態への切替応答性が比較的遅い。なお、図10の(a)では、第3電磁コイル106Lおよび第4電磁コイル106Rに第3電磁コイル電流I3および第4電磁コイル電流I4が通電されていないが、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのクラッチの引きずりによって中央車軸90が回転して、その中央車軸90に連結されている第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとの回転速度が同じ程度になる。
図10の(b)は、例えば図8のフローチャートのS8が実行された後の状態を示す図である。図10の(b)に示すように、上記S8において、第2電磁コイル136に第2電磁コイル電流I2が供給されると、第2補助クラッチ134に回転制動トルクが発生させられて、その回転制動トルクが第2ボールカム126を介して中央車軸90に伝えられる。このため、中央車軸90の回転が抑制、すなわち中央車軸90に連結された第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bの回転が抑制させられるので、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとの相対回転速度差V2が相対回転速度差V1より大きくなる。これによって、図10の(c)に示すように、第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bが第2リングギヤ94の第2噛合歯94cの間に入り込み易くなるので、第2噛合クラッチ32の解放状態から係合状態への切替応答性が早くなる。
上述のように、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置82によれば、エンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路および後輪16とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態から、そのディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、第1噛合クラッチ24の係合後に第2噛合クラッチ32を係合させる場合に、第2アクチュエータ128の第2補助クラッチ134で中央車軸90にその回転を抑制する制動トルクが付与されるので、第2噛合クラッチ32において中央車軸90が連結された第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bの回転速度が低下し、その第2可動スリーブ102の第2噛合歯102bと第2リングギヤ94の第2噛合歯94cとの相対回転速度差V2が大きくなる。このため、第2噛合クラッチ32の解放状態から係合状態への切替応答性が従来に比較して向上し、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性が向上する。また、第2アクチュエータ128では、第2ボールカム126の第1ケージ140に伝わる中央車軸90の回転力を第2ボールカム126の第2ケージ138に回転制動トルクを付与することにより、第2ボールカム126に第2スプリング130の反力に抗する推力を発生させることで、その第2アクチュエータ128の第2補助クラッチ134から中央車軸90の回転を抑制するトルクが付与されるので、4輪駆動車両10に中央車軸90の回転を抑制させるためだけの新たな機構を付加する必要性がなくなる。また、第2ボールカム126の前記推力が第2スプリング130の前記反力を超えない範囲で、中央車軸90にその回転を抑制する制動トルクが付与されるので、中央車軸90の回転を抑制するために第2ボールカム126から前記推力を発生させても、第2可動スリーブ102が第2スプリング130の反力に抗した中央車軸90の回転軸線C2方向に移動することはない。
また、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置82によれば、 第2アクチュエータ128は、第2補助クラッチ134と、第2補助クラッチ134に回転制動トルクを発生させて第2ボールカム126を作動させる第2電磁コイル136とからなり、第2ボールカム126の第2ケージ138が第2補助クラッチ134を介して第2ユニットケース96に連結され、第2電磁コイル136に通電して第2補助クラッチ134に回転制動トルクを発生させることで、第2ボールカム126の第1ケージ140が第2可動スリーブ102を第2スプリング130の付勢力に抗して回転軸線C2方向に付勢する。このため、第2電磁コイル136に通電して第2補助クラッチ134に回転制動トルクを発生させることで、第2ボールカム126を介して中央車軸90に中央車軸90の回転を抑制するトルクが一層早く付与される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例の4輪駆動車両10は、トランスファ26を有する前輪用駆動力配分ユニット20が備えられたFFベースの車両であったが、本発明はFRベース、RRベースなど適宜組み合わせて実施することができる。
また、前述の実施例の4輪駆動車両10のトランスファ26において、第1噛合クラッチ24は、それぞれの第1噛合歯42c、50bとが噛み合うことによって係合する噛合クラッチ(ドグクラッチ)であったが、それ以外のクラッチ例えば摩擦クラッチ等が使用されても良い。
また、前述の実施例の4輪駆動車両10のトランスファ26には、第1噛合クラッチ24のそれぞれの第1噛合歯42c、50bの回転を同期させる同期装置84が備えられていたが、トランスファ26に同期装置84が必ずしも備えられていなくても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:4輪駆動車両
12:エンジン(駆動源)
14L、14R:前輪(主駆動輪)
16L、16R:後輪(副駆動輪)
24:第1噛合クラッチ(第1クラッチ)
28:プロペラシャフト(動力伝達部材)
32:第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)
82:電子制御装置(制御装置)
90:中央車軸(出力軸)
96:第2ユニットケース(非回転部材)
102:第2可動スリーブ(断接スリーブ)
126:第2ボールカム(ボールカム)
128:第2アクチュエータ(アクチュエータ)
130:第2スプリング(スプリング)
134:第2補助クラッチ(補助クラッチ)
136:第2電磁コイル(電磁コイル)
138:第2ケージ(一対のケージの他方)
140:第1ケージ(一対のケージの一方)
176:第2噛合クラッチ制御部
12:エンジン(駆動源)
14L、14R:前輪(主駆動輪)
16L、16R:後輪(副駆動輪)
24:第1噛合クラッチ(第1クラッチ)
28:プロペラシャフト(動力伝達部材)
32:第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)
82:電子制御装置(制御装置)
90:中央車軸(出力軸)
96:第2ユニットケース(非回転部材)
102:第2可動スリーブ(断接スリーブ)
126:第2ボールカム(ボールカム)
128:第2アクチュエータ(アクチュエータ)
130:第2スプリング(スプリング)
134:第2補助クラッチ(補助クラッチ)
136:第2電磁コイル(電磁コイル)
138:第2ケージ(一対のケージの他方)
140:第1ケージ(一対のケージの一方)
176:第2噛合クラッチ制御部
Claims (2)
- 駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、前記駆動源から左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両において、前記2輪駆動状態では前記4輪駆動状態において専ら前記副駆動輪へ駆動力を伝達するための動力伝達部材を前記駆動源および前記副駆動輪から切り離すディスコネクト機能付の4輪駆動車両の制御装置であって、
前記駆動源と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する第1クラッチと、前記左右の副駆動輪に単板クラッチまたは多板クラッチを介して両端がそれぞれ連結された出力軸と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する噛合クラッチとを備え、
前記噛合クラッチは、一方のケージが前記出力軸に相対回転不能に支持され且つ他方のケージが前記出力軸に相対回転可能に支持される一対のケージを備えたボールカムと、前記出力軸に相対回転不能に支持されスプリングの前記出力軸の軸線方向の反力に抗してボールカムの推力で駆動され前記噛合クラッチを切り離す断接スリーブと、前記ボールカムの他方のケージに回転制動トルクを付与することにより、前記ボールカムに前記推力を発生させるアクチュエータとを備え、
前記駆動源と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路および前記副駆動輪と前記動力伝達部材との間の動力伝達経路がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態からそのディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、第1クラッチの係合後に前記噛合クラッチを係合させる場合に、前記アクチュエータで前記ボールカムの前記推力が、前記スプリングの前記反力を超えない範囲で、前記出力軸にその回転を抑制する制動トルクを付与させることを特徴とする4輪駆動車両の制御装置。 - 前記アクチュエータは、補助クラッチと、その補助クラッチに回転制動トルクを発生させて前記ボールカムを作動させる電磁コイルとからなり、
前記ボールカムの一対のケージの他方が前記補助クラッチを介して非回転部材に連結され、前記電磁コイルに通電して前記補助クラッチに回転制動トルクを発生させることで、前記ボールカムの一対のケージの一方が前記断接スリーブを前記スプリングの反力に抗して前記軸線方向に付勢する請求項1の4輪駆動車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015115265A JP2017001447A (ja) | 2015-06-05 | 2015-06-05 | 4輪駆動車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015115265A JP2017001447A (ja) | 2015-06-05 | 2015-06-05 | 4輪駆動車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017001447A true JP2017001447A (ja) | 2017-01-05 |
Family
ID=57751353
Family Applications (1)
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JP2015115265A Pending JP2017001447A (ja) | 2015-06-05 | 2015-06-05 | 4輪駆動車両の制御装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2017001447A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018176829A (ja) * | 2017-04-04 | 2018-11-15 | トヨタ自動車株式会社 | 4輪駆動車両の制御装置 |
EP3561334A1 (en) | 2018-04-23 | 2019-10-30 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Four-wheel drive vehicle |
JP2020026166A (ja) * | 2018-08-09 | 2020-02-20 | トヨタ自動車株式会社 | 四輪駆動車両 |
JP2020050050A (ja) * | 2018-09-25 | 2020-04-02 | トヨタ自動車株式会社 | 四輪駆動車両 |
-
2015
- 2015-06-05 JP JP2015115265A patent/JP2017001447A/ja active Pending
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