JP2017000086A - 新規ペプチダーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】食品の製造等の分野での利用に適した新規なペプチダーゼを提供することを課題とする。【解決手段】下記の酵素化学的性質、即ち、(1)作用 ペプチド鎖のN末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する;(2)分子量 SDS-PAGEによる分子量が約75.3kDa;(3)基質特異性 ペプチド鎖のN末端のロイシン、アルギニン、メチオニン、アラニンを遊離する。ペプチド鎖のN末端のグリシン、プロリンへの作用は弱い。プロリンに結合したN末端アミノ酸に作用しない;(4)至適pH 約8;(5)至適温度 約40℃;を有するペプチダーゼが提供される。また、下記の酵素化学的性質、即ち、(1)作用 ペプチド鎖のC末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する;(2)分子量 SDS-PAGEによる分子量が約70.5kDa;(3)基質特異性 ペプチド鎖のC末端のロイシン、フェニルアラニンによく作用する。ペプチド鎖のC末端のアラニン、プロリン、チロシンへの作用は弱い;(4)至適pH 約5;(5)至適温度 約50℃;を有するペプチダーゼが提供される。【選択図】なし

Description

本発明はペプチダーゼに関する。詳しくは、シュードザイマ・フベイエンシス(Pseudozyma hubeiensis)由来のペプチダーゼ及びその用途に関する。
タンパク質分解酵素は作用様式によってエンドペプチダーゼ(プロテイナーゼ)とエキソペプチダーゼ(ペプチダーゼ)に大別される。エキソペプチダーゼには、ペプチドのN末端からのアミノ酸の遊離を触媒するアミノペプチダーゼと、同C末端からのアミノ酸の遊離を触媒するカルボキシペプチダーゼがある。これまでに、微生物由来の各種ペプチダーゼが知られており、様々な用途への適用・応用が試みられている。
ペプチダーゼは酵母(非特許文献1、2)、糸状菌(非特許文献3、4)、バクテリア(非特許文献5、6)等からの単離の報告がある。特に、サッカロマイセス・セレビシエ由来のペプチダーゼの報告が多い(非特許文献7〜9)。サッカロマイセス・セレビシエ由来のアミノペプチダーゼはロイシルアミノペプチダーゼ(EC 3.4.11.1)、アミノペプチダーゼY(EC 3.4.11.15)、アミノペプチダーゼI(EC 3.4.11.22)等が報告され、カルボキシペプチダーゼではカルボキシペプチダーゼY(EC 3.4.16.5)等が知られている。
ペプチダーゼは食品加工や発酵食品の製造に利用される。例えば、調味料やヨーグルトの風味の増強、チーズの熟成促進などに利用されている。
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アスペルギルス属由来、リゾープス属由来、或いはバチルス属などのバクテリア由来のアミノペプチダーゼやカルボキシペプチダーゼが食品添加物として工業的規模で生産されている。しかしながら、これらのペプチダーゼ(組成物)にはプロテイナーゼが混在しているため、プロテイナーゼの作用によって意図しない影響が生ずる。例えば、食品の物性が変化したり、苦味ペプチドが生成する。ペプチダーゼに期待される効果の一つは、食品等に含まれる苦味ペプチドの分解による苦味の低減であるが(非特許文献10)、プロテイナーゼの混在は当該効果を低減する。一方、サッカロマイセス・セレビシエ由来のペプチダーゼは苦味低減効果を発揮するものの、菌体内酵素であるため、工業的な利用(食品の製造など)を図る上で、生産性や経済性が課題となる。
そこで、食品の製造等の分野での利用に適した新規なペプチダーゼを提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑み検討を重ねた。その結果、食虫植物ネペンテス(Nepenthes alata)の捕虫袋中の消化液から分離した酵母シュードザイマ・フベイエンシス31-B株が菌体外にアミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼを産生することが明らかとなった。また、これらのペプチダーゼの精製に成功し、その性質を特定した。更には、これらのペプチダーゼが苦味ペプチドに対する分解活性を示し、優れた苦味低減効果を発揮することを明らかにした。一方、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株は夾雑プロテイナーゼを殆ど産生しないことが判明した。この特徴はペプチダーゼを製剤化する上で大きなメリットとなる。
以下の発明は、主として上記の成果に基づく。
[1]下記の酵素化学的性質を有するペプチダーゼ:
(1)作用 ペプチド鎖のN末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する;
(2)分子量 SDS-PAGEによる分子量が約75.3kDa;
(3)基質特異性 ペプチド鎖のN末端のロイシン、アルギニン、メチオニン、アラニンを遊離する。ペプチド鎖のN末端のグリシン、プロリンへの作用は弱い。プロリンに結合したN末端アミノ酸に作用しない;
(4)至適pH 約8;
(5)至適温度 約40℃。
[2]下記の酵素化学的性質を有するペプチダーゼ:
(1)作用 ペプチド鎖のC末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する;
(2)分子量 SDS-PAGEによる分子量が約70.5kDa;
(3)基質特異性 ペプチド鎖のC末端のロイシン、フェニルアラニンによく作用する。ペプチド鎖のC末端のアラニン、プロリン、チロシンへの作用は弱い;
(4)至適pH 約5;
(5)至適温度 約50℃。
[3]シュードザイマ・フベイエンシス由来である、[1]又は[2]に記載のペプチダーゼ。
[4]シュードザイマ・フベイエンシスが、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株である、[3]に記載のペプチダーゼ。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載のペプチダーゼを有効成分とする酵素剤。
[6][1]に記載のペプチダーゼと、[2]に記載のペプチダーゼを含有する酵素剤。
[7]以下のステップ(1)及び(2)を含む、ペプチダーゼの製造法:
(1)シュードザイマ・フベイエンシスを培養するステップ;
(2)培養後の培養液より、ペプチダーゼを回収するステップ。
[8]シュードザイマ・フベイエンシスが、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株である、[7]に記載の製造法。
[9]ステップ(2)のペプチダーゼとして、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼが回収される、[7]又は[8]に記載の製造法。
[10]ステップ(2)のペプチダーゼとして、アミノペプチダーゼ又はカルボキシペプチダーゼが回収される、[7]又は[8]に記載の製造法。
[11]受託番号NITE P−02047で特定される、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株。
[12]食品の製造過程において、タンパク質若しくはペプチドを含有する原料又は中間加工品に対し、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のペプチダーゼ、又は[5]若しくは[6]に記載の酵素剤を作用させることを特徴とする、食品の製造又は加工方法。
[13]食品が乳製品である、[12]に記載の方法。
[14][1]〜[4]のいずれか一項に記載のペプチダーゼ、又は[5]若しくは[6]に記載の酵素剤の作用によって苦味が低減した食品。
DEAE-Toyopearl 650Mクロマトグラフィーの結果。◆;タンパク質(280 nm)、■;LAP活性(410 nm)、▲;ACP活性(460 nm)。 SDS-PAGEの結果(AP31-B)。レーン1は分子量マーカー、レーン2はAP31-B。 SDS-PAGEの結果(CP31-B)。レーン1はCP31-B、レーン2は分子量マーカー。 カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)の温度特性。 アミノペプチダーゼ(AP31-B)の温度特性。 カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)のpH特性。◆;McIlvaine 緩衝液、■;リン酸緩衝液、▲;トリス緩衝液。 アミノペプチダーゼ(AP31-B)のpH特性。■;McIlvaine 緩衝液、○;リン酸緩衝液、●;トリス緩衝液、□;Atkins-Pantin緩衝液。 アミノペプチダーゼ(AP31-B)による苦味の低減。●;分解率、○苦味。 カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)による苦味の低減。◆;分解率、■;苦味。 粗酵素(PP31)のアミノペプチダーゼ活性に及ぼすpHの影響。 粗酵素(PP31)のアミノペプチダーゼの活性に及ぼす温度の影響。 粗酵素(PP31)のカルボキシペプチダーゼ活性に及ぼす温度の影響。 粗酵素(PP31)の苦味低減効果(pH7.0) 粗酵素(PP31)の苦味低減効果(pH5.0)
1.ペプチダーゼ及びその生産菌
本発明の第1の局面はペプチダーゼ及びその生産菌を提供する。後述の実施例に示す通り、本発明者らは鋭意検討の結果、シュードザイマ・フベイエンシス(Pseudozyma hubeiensis)31-B株が2種類の特徴的なペプチダーゼ(アミノペプチダーゼ及びカルボキシペプチダーゼ)を産生することを見出した。また、これらのペプチダーゼの精製に成功し、以下に示す通り、その酵素化学的性質を決定した。以下、各ペプチダーゼの酵素化学的性質を説明する。
<アミノペプチダーゼ>
(1)作用
本酵素はアミノペプチダーゼであり、ペプチド鎖のN末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する。
(2)分子量
本酵素の分子量は約75.3kDa(SDS-PAGEによる)である。
(3)基質特異性
本酵素はペプチド鎖のN末端のロイシン、アルギニン、メチオニン、アラニン等を遊離する。ペプチド鎖のN末端のグリシン、プロリンへの作用は弱い。プロリンに結合したN末端アミノ酸に作用しない。
(4)至適pH
本酵素の至適pHは約8である。本酵素はpH約6.5〜約9.5において高い活性を示す。至適pHの測定には後述のLAP法(反応時の温度は37℃)を利用した。マッキルバイン(McIlvaine)緩衝液(pH 4〜6)、リン酸緩衝液(pH 6〜7)、Tris-HCl緩衝液(pH 7〜9)、Atkins-Pantin緩衝液(pH 9〜10)を使用した。
(5)至適温度
本酵素の至適温度は約40℃である。本酵素は約30℃〜約55℃において高い活性を示す。至適温度の測定には、後述のLAP法(反応時のpHは8.0)を利用した。
(6)その他の特性
亜鉛イオン(Zn2+)によって活性が完全に阻害され、二価鉄イオン(Fe2+)、銅イオン(Cu2+)及び三価鉄イオン(Fe3+)によっても活性が阻害される。また、SDS、EDTA及びPCMBによっても活性が阻害される。E-64、Pepstatin A及びPetablocによっては活性が阻害されない。一方、カリウムイオン(K+)は活性化を促す。
<カルボキシペプチダーゼ>
(1)作用
本酵素はカルボキシペプチダーゼであり、ペプチド鎖のC末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する。
(2)分子量
本酵素の分子量は約70.5kDa(SDS-PAGEによる)である。
(3)基質特異性
本酵素はペプチド鎖のC末端のロイシン、フェニルアラニンによく作用する。ペプチド鎖のC末端のアラニン、プロリン、チロシンへの作用は弱い。
(4)至適pH
本酵素の至適pHは約5である。本酵素はpH約3.0〜約5.5において高い活性を示す。至適pHの測定には後述のCP法(反応時の温度は40℃)を利用した。マッキルバイン(McIlvaine)緩衝液(pH 3〜6)、リン酸緩衝液(pH 6〜7)、Tris-HCl緩衝液(pH 7〜9)を使用した。
(5)至適温度
本酵素の至適温度は約50℃である。本酵素は約30℃〜約55℃において高い活性を示す。至適温度の測定には、後述のACP法(反応時のpHは5.0)を利用した。
(6)その他の特性
カリウムイオン(K+)、マンガンイオン(Mn2+)及び二価鉄イオン(Fe2+)によって活性が阻害される。また、SDS及びPCMBによっても活性が阻害される。
本発明のペプチダーゼは、好ましくはシュードザイマ・フベイエンシス、更に好ましくはシュードザイマ・フベイエンシス31-B株に由来する酵素である。ここでの「シュードザイマ・フベイエンシス31-B株に由来するペプチダーゼ」とは、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株が産生するペプチダーゼ、或いはシュードザイマ・フベイエンシス31-B株(野生株であっても変異株であってもよい)のペプチダーゼ遺伝子を利用して遺伝子工学的手法によって得られたペプチダーゼであることを意味する。従って、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株より取得したペプチダーゼ遺伝子(又は当該遺伝子を改変した遺伝子)を導入した宿主微生物によって生産された組み換え体も、「シュードザイマ・フベイエンシス31-B株に由来するペプチダーゼ」に該当する。
本発明のペプチダーゼの由来であるシュードザイマ・フベイエンシス31-B株のことを、説明の便宜上、本発明のペプチダーゼの生産菌という。シュードザイマ・フベイエンシス31-B株は以下の通り所定の寄託機関に寄託されており、容易に入手可能である。
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)
寄託日:2015年5月11日
受託番号:NITE P−02047
2.酵素剤
本発明のペプチダーゼは例えば酵素剤の形態で提供される。酵素剤は、有効成分(ペプチダーゼ)の他、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを含有していてもよい。賦形剤としては乳糖、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。
本発明の酵素剤には上記のアミノペプチダーゼ又はカルボキシペプチダーゼ、或いはこれらの両者が有効成分として含まれる。後者の態様、即ち、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼの両者を有効成分とする酵素剤は本願発明に特徴的である。後述の実施例に示す通り、本発明者らの検討の結果、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株が上記二つの酵素を菌体外に産生することが明らかになった。菌体外に産生することから、高い生産性を実現できる。一方、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株が菌体外にプロテイナーゼを実質的に含まないことも明らかになった。この事実は、複雑な精製工程を経なくとも、夾雑プロテイナーゼを実質的に含まない、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼを有効成分とするペプチダーゼ剤を調製できることを意味する。即ち、製剤化が容易である。また、精製するとしても、そのための操作、処理が簡便なものとなる。
アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼの両者を有効成分とする酵素剤は、例えば、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株の培養上清をろ過、遠心処理等に供して不溶物を除去した後に濃縮することによって得ることができる。或いは、不純物の除去、濃縮、希釈、塩析、透析、溶解及び乾燥からなる群より選択される一以上の精製工程によって培養上清を精製することによっても得ることができる。シュードザイマ・フベイエンシス31-B株の培養上清にはプロテイナーゼを実質的に含まないことから、プロテイナーゼを除去するための精製工程(例えばカラムクロマトグラフィー)を経ずとも、夾雑プロテイナーゼを実質的に含まない、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼを有効成分とするペプチダーゼ剤を調製可能となる。
3.ペプチダーゼの製造法
本発明の更なる局面はペプチダーゼの製造法を提供する。本発明では、(1)シュードザイマ・フベイエンシスを培養するステップと(2)培養後の培養液より、ペプチダーゼを回収するステップを行う。回収の一態様として単離・精製を行っても良い。
ステップ(1)では、シュードザイマ・フベイエンシスを培養する。シュードザイマ・フベイエンシスは、目的のペプチダーゼの生産能を有する限り特に限定されない。例えば、上記のシュードザイマ・フベイエンシス31-B株を用いることができる。培養法及び培養条件は、目的の酵素(ペプチダーゼ)が生産されるものである限り特に限定されない。即ち、本発明のペプチダーゼが生産されることを条件として、培養に適合した方法や培養条件を適宜設定できる。培養法としては液体培養、固体培養のいずれでも良いが、好ましくは液体培養が利用される。液体培養を例にとり、その培養条件を説明する。
培地としては、シュードザイマ・フベイエンシスが生育可能な培地であれば、特に限定されない。例えば、グルコース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等の窒素源、カリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加した培地を用いることができる。シュードザイマ・フベイエンシスの生育を促進するためにビタミン、アミノ酸などを培地に添加してもよい。培地のpHは例えば約4〜7、好ましくは約6〜7程度に調整し、培養温度は通常約20℃〜35℃、好ましくは約25℃〜30℃程度で、1日間〜5日間、好ましくは2日間〜3日間程度、好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャー・ファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
以上の条件で培養した後、培養液よりペプチダーゼを回収する(ステップ(2))。例えば、培養液をろ過、遠心処理等することによって不溶物を除去し、目的のペプチダーゼ液を得る。更に、濃縮、希釈、塩析、透析、溶解、乾燥等の精製工程を行い、純度の高いペプチダーゼを得ることにしてもよい。以上のごとき方法によると、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼの両者を含む組成物が得られることになる。一方、各種クロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーなど)や、溶媒分画、pH処理、熱処理等を適用することによって、片方のペプチダーゼを除去し、アミノペプチダーゼ又はカルボキシペプチダーゼを選択的に回収することにしてもよい。
回収したペプチダーゼの精製度は特に限定されないが、例えば比活性が10〜500(U/mg)の状態に精製することができる。また、最終的な形態は液体状であっても固体状(粉体状を含む)であってもよい。回収したペプチダーゼを、例えば凍結乾燥や真空乾燥或いはスプレードライなどにより粉末化して提供することも可能である。その際、精製酵素を予めリン酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、トリス塩酸緩衝液やGOODの緩衝液に溶解させておいてもよい。好ましくは、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液を使用することができる。尚、ここでGOODの緩衝液としてはPIPES、MES又はMOPSが挙げられる。
4.ペプチダーゼの用途
本発明の更なる局面は上記ペプチダーゼの用途として食品の製造・加工方法を提供する。本発明の方法では、食品の製造過程又は加工過程において、その原料又は中間加工品に対して本発明のペプチダーゼを作用させる。ペプチダーゼに代えてそれを含む酵素剤を用いてもよい。
典型的には、処理対象物となる原料又は中間加工品に対して、本発明のペプチダーゼ又は酵素剤を添加し、ペプチダーゼが作用する条件で処理する。通常の製造/加工過程においてペプチダーゼが作用する条件が形成されるのであれば、ペプチダーゼを作用させるための専用の工程を設けなくてもよい。即ち、一態様では、ペプチダーゼを添加すること以外は通常の製造/加工過程によって食品を製造する。尚、ペプチダーゼの添加によるのではなく、例えば、ペプチダーゼを含有する溶液に食品の原料又は中間加工品を浸漬するなどして、ペプチダーゼを作用させることにしてもよい。
本発明の適用可能な食品として、乳製品(乳、チーズ、ヨーグルトなど)、食肉、食肉加工品、肉エキス、魚肉製、魚肉加工品、魚肉エキス、酵母エキス、酵母エキス加工品(ベジマイト、マーマイト等)、ブイヨン、コンソメ、野菜、野菜加工品、野菜エキス、果実、果実加工品、果汁、果汁加工品、穀類、穀類粉末、穀類加工品、レトルト食品、調理加工済み食品、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)、食品添加物、ペットフード、醤油、味噌等の発酵食品を例示することができる。
本発明の方法によれば、ペプチダーゼの作用によって苦味ペプチドが分解され、苦味の低減した食品を得ることができる。従って、本発明は、苦味がその品質に負の影響を与える食品(苦味の少ないことが好まれる食品)の製造又は加工に特に有用である。また、その使用によって苦味が付与されることが好ましくない食品・食品添加物(例えば肉エキス、魚肉エキス、酵母エキスなど)の製造又は加工においても有用性が高い。
酵母のタンパク質分解酵素としてエンドペプチダーゼ(プロテイナーゼ)、アミノペプチダーゼ類、カルボキシペプチダーゼ類が知られている。これらのプロテイナーゼやペプチダーゼ類は酵母菌体の自己消化液中に認められる。従って、菌体内からの抽出する必要があり、産業用酵素として見た場合、生産性には疑問がある。これまでに、菌体外へ産生されるペプチダーゼの報告は少ない。そこで、菌体外に産生される、酵母由来の新規ペプチダーゼの取得を目指し、以下の検討を行った。
<新規ペプチダーゼの取得>
A.材料と方法
1.菌株
東山植物園(日本、名古屋市)にて、食虫植物ネペンテス(Nepenthes alata)の捕虫袋中の消化液から分離した酵母の中から、菌体外にプロテイナーゼを産生せずエキソペプチダーゼ産生能の高い一菌株(31-B株)を見出し、研究に供した。
2.酵母の培養
13%のグリセリン溶液に懸濁して-85℃にて保存した酵母31-B株懸濁液を、表1のAに示す斜面培地に塗布し、25℃で2日間培養した。次に、表1のBに示す500 mL容振とうフラスコに入れた種培地140 mLに、斜面培養から1白金耳接種し、25℃で24時間振とう培養(180 rpm)した。続いて、種培養液140 mLを、表1のCに示す培養液7 Lを入れた10 L容ジャー・ファーメンターに接種し、25℃で通気撹拌培養(0.5 vvm, 500 rpm, 72 hr)した。
Figure 2017000086
各種培地組成 (%)
3.活性測定法
3−1.カルボキシペプチダーゼ活性測定法
3−1−1.ACP(酸性カルボキシペプチダーゼ)法
酸性カルボキシペプチダーゼ測定キット(キッコーマンバイオケミファ株式会社)を用い、キット仕様に従い37℃の反応条件で測定した。活性表示はキット仕様に従い、1分間に基質Cbz-Tyr-Alaから1μmolのL-アラニンを遊離する酵素量を1単位とした。
3−1−2.CP(カルボキシペプチダーゼ)法
Z-Phe-Leu( 20.6 mg/ 0.05M 酢酸緩衝液,pH 5.0 )溶液0.9 mLに酵素液0.1 mLを加え、37℃で30分間反応させた。ニンヒドリン溶液1 mLを添加後、沸騰水中に15分間放置し、遊離したアミノ酸を呈色した。流水中で冷却後、5 mLの50% エタノール溶液を加え、十分撹拌後、570 nmの吸光度を測定した。上記条件で1分間に1μmolのロイシンを遊離する酵素量を1単位とした。
3−2.アミノペプチダーゼ(LAP)活性測定法
L-ロイシル-p-ニトロアニリド塩酸塩溶液(71.5 mg/ 100 mL 精製水) 0.8 mLに200mMトリス(Tris-HCl)緩衝液(pH8.0)を1 mL加え、37℃に5分間予熱した。酵素液0.2 mLを添加、37℃に30分間反応後、15% 酢酸溶液を加え反応を停止し、410nmの吸光度を測定した。上記方法で、1分間に1μmolのp-ニトロアニリンを遊離する酵素量を1単位とした。
3−3.プロテイナーゼ活性測定法
0.6% アゾカゼイン(シグマ)水溶液0.9 mLに0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.0) 0.3 mLを加え、0.4 mLの酵素液を添加した。37℃で30分間反応後、2.4 mLの10% トリクロロ酢酸を加えて反応を停止した。東洋ろ紙No.131で濾過後、400 nmの吸光度を測定した。上記条件で吸光度を1分間当たり1.0上昇させる酵素量を1単位とした。
4.タンパク質量の測定
牛血清アルブミンを標準として、Bio-Rad社のプロテインアッセイ試薬を用いて測定した。クロマトグラフィーの際には、280nmの吸光度を測定し、タンパク質をモニターした。
5.ペプチダーゼの精製
72時間培養したジャー・ファーメンター培養により得られた培養液上清を限外濾過膜(AIV-1010;旭化成ケミカルズ株式会社)により濃縮し、以下のペプチダーゼの精製に用いた。
5−1.塩析
濃縮液に固体硫酸アンモニウムを80飽和濃度となるよう添加、溶解した。5℃で20時間放置後、濾過で粗酵素を集め、精製水に溶解後、水道水に8時間、0.01M リン酸緩衝液(pH7.0) に16時間透析した。
5−2.DEAE-Toyopearl 650 Mカラムクロマトグラフィー
0.01 Mリン酸緩衝液(pH 7.0)に透析した濃縮液を、同緩衝液で平衡化したDEAE-Toyopearl 650 M カラム(4.0 × 50 cm)に乗せ、吸着した画分は食塩濃度を直線的に上げ(0〜0.5M)、溶出(60mL/h)した。溶出した活性画分を集め、硫酸アンモニウムを20%溶液濃度になるよう溶解し、次のクロマトグラフィーに供した。
5−3.Butyl-Toyopearl 650Mカラムクロマトグラフィー
20%濃度の硫酸アンモニウムを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したButyl-Toyopearl 650Mカラム(4.0 × 30 cm)に、活性画分を乗せ、吸着した活性画分を、硫安濃度を直線的に下げ(20〜0%)、溶出(50mL/h)した。溶出した活性画分を集め、0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に対し透析した後、次のクロマトグラフィーに供した。
5−4.Hydroxylapatite カラムクロマトグラフィー
0.01Mリン酸緩衝液 (pH7.0 )で平衡化したカラム(4.5 × 30 cm)に、得られた活性画分を乗せ、リン酸濃度を直線的に高め(10〜250mM)、吸着した活性画分を溶出(20mL/h)した。溶出した活性画分を集め、0.5M NaCl含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析した後、次のクロマトグラフィーに供した。
5−5.Toyopearl HW-55F カラムクロマトグラフィー
0.5 MのNaClを含む0.02 Mリン酸緩衝液 ( pH7.0 )で平衡化したカラム(2.2 × 90 cm)に、活性画分を乗せ、流速15 mL/hでゲル濾過を行った。溶出した活性画分を集め、0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析した後、精製酵素として以下の実験に用いた。以下、精製したカルボキシペプチダーゼはCP31-B、アミノペプチダーゼはAP31-Bと表す。
6.精製酵素の特性の検討
6−1.SDS-PAGE
精製したペプチダーゼは、それぞれSDS-PAGEにより純度及び分子量の確認を行った。分子量マーカーとしてホスホリラーゼ b(97.2 kDa)、牛血清アルブミン(66.4 kDa)、オボアルブミン(45.0 kDa)、炭酸脱水素酵素II(29.0 kDa)、大豆トリプシンインヒビター(21.0 kDa)及びリゾチーム(14.3 kDa)を用い、C-PAGELを用いCompact PAGE AE-7305(アトー株式会社)により電気泳動後、クマシーブリリアントブルーで染色した。
6−2.至適pH、至適温度の測定
AP31-Bは活性測定法(LAP法)に準じて、CP31-Bの至適pHはCP法で、至適温度はACP法で測定を行った。
6−3.基質特異性
AP31-Bはアミノ酸-pNA(L-amio p-nitroanilide)を基質として、活性測定法(LAP法)に準じて測定した。
CP31-Bは各種ベンジルオキシカルボニルジペプチド(Z−ジペプチド)を基質に用い、CP法で測定した。
7.ペプチダーゼの分解様式の検討
7−1.基質溶液の調製
0.8 m molのテトラペプチド(タフトシン;(株)ペプチド研究所)、トリペプチド又はジペプチドを0.1 M マッキルバイン緩衝液( pH 5.0 )1 mLに精製水2 mLを加えた溶液に溶解した(以上CP31-Bの場合)。AP31-Bの場合は、緩衝液として0.1 Mトリス緩衝液(pH 7.0)を用いた。
7−2.反応
AP31-B溶液(2.28単位)1 mLを上記の各基質液に加え、40℃で分解反応を行った。CP31-Bの場合、1 mL(ACP活性で3.7単位)を加え、50℃で分解反応を行った。
7−3.遊離アミノ酸の定性
各反応時間で少量をサンプリングし、限外濾過膜付き遠心チューブ(Spin-X UF, CORNING製)で酵素を除去後、TLCで遊離アミノ酸を確認した。TLCプレートはシリカゲル60F 254(メルク社)を、展開溶媒はブタノール:酢酸:水(4:1:2.5 (V/V))を用い、0.2%ニンヒドリンの95% n-ブタノール溶液を噴霧し、90℃で発色した。
8.金属イオン及び酵素阻害剤の影響
各種金属イオン及び酵素阻害剤の存在下(1mM)でカルボキシペプチダーゼ活性(CP法)及びアミノペプチダーゼ活性(LAP法)を測定した。
9.苦味低減試験1(苦味ペプチドに対する効果)
9−1.苦味ペプチドの調製
ミルクカゼイン(和光純薬工業(株)製)2 gに0.1 M NaOH溶液10 mLを加え、加温溶解した。冷却後、0.1 M トリス緩衝液(pH 7.0)10 mL及び精製水10 mLを加え、pHを7.0に調製後、精製水で50 mLとした。更に、プロチンSD-AY10(天野エンザイム(株)製)100 mgを加え、50℃で3.5時間反応後、121℃、1分間の殺菌処理をした。CP31-B試験では、プロチンSD-AY10の代わりに、プロレザーFG-F(天野エンザイム(株)製)を用い、同様に苦味ペプチドを調製した。
9−2.苦味標準液の調製
カフェイン(和光純薬工業(株))0から20 g / Lの各種濃度の 精製水溶液を調製した。閾値はおよそ200 mg/Lであった。
9−3.ペプチド分解率の算出
ケルダール法による全窒素に対するホルモール滴定法によるホルモール態窒素の割合で、分解率を表示した。
9−4.苦味低減反応
苦味ペプチド溶液27 mLに酵素液3 mLを加え、1、3又は5時間反応させ、官能試験により苦味を測定した。CP31-Bの場合、ACP活性で3.22単位を加え、50℃(pH6.0)で反応させた。AP31-Bの場合、6.81単位を加え、40℃(pH7.0)で反応させた。
10.苦味低減試験2(ヨーグルトに対する効果)
10−1.ヨーグルトの調製
AP31-B添加試験では、250mLの牛乳(明治おいしい牛乳、(株)明治)に種菌0.5 g(ヨーグルトの願い:(株)リジエールドーレRD)とAP31-B(1.07、2.15、又は4.30単位)をそれぞれ加え、28℃、24h放置後、5℃に1h放置し、官能評価とグルタミン酸生成量の測定を行った。CP31-B添加試験では、牛乳(明治おいしい牛乳、(株)明治)250 mLに種菌(ROYAL KEFIR PRO;(株)ロイヤルユキ)0.5 g及びペプチダーゼ(1.03、3.09又は5.15単位)をそれぞれ加え、25℃で16時間発酵、その後5℃で1時間冷却後、官能評価とグルタミン酸生成量の測定を行った。グルタミン酸量の測定にはヤマサL−グルタミン酸測定キットII(ヤマサ醤油(株))を用いた。
10−2.ヨーグルトの官能評価
椙山女学園大学 大学生(21±1歳)10名により試食し、順位法で評価項目ごとに順位を付け、合計値からクレーマー検定(Kramer, A. (1960). Rapid method for determination significance of difference from ranking. Food Technol., 14,576-582.)により有意差を評価した。
B.結果と考察
1.31-B株の同定
ネペンテス消化液から分離した酵母31-B株を(株)テクノスルガ(静岡市、日本)にて26S rDNA-D1/D2塩基配列解析に供した。26S rDNA-D1/D2の塩基配列は、シュードザイマ・フベイエンシス CBS 10077T(DQ008953)の配列に100%の相同性を示した。31-B株はyeast extract-malt extract agar培地(ベクトン・ディッキンソン)上で好気的に生育した(25℃、7日間)。卵形又は楕円形の出芽を示し、3週間の観察では生殖器官は認められなかった。コロニーは白色から黄白色がかったクリーム色であり、いくぶん、表面が滑らかな粘液様且つ凸状を呈した。これらの特性はシュードザイマ・フベイエンシスの特性に該当する(Wang, Q-M., Jia, J-H. and Bai, F-Y. (2006) Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 56, 289-293.)。以上の結果から、31-B株はシュードザイマ・フベイエンシス(Pseudozuma hubeiensis)と同定された。
2.31-B株の培養
培養72時間まで両ペプチダーゼとも生産が伸び、安定に回収できた(データ示さず)。
3.ペプチダーゼの精製
培地組成Cにより72時間培養した培養液から、遠心分離( 6000rpm, 4℃, 10min )により31-B株菌体を含む不溶物を除去した。上清は限外濾過膜(AIV 1010;旭化成ケミカルズ株式会社)により約5倍に濃縮した。濃縮液に硫酸アンモニウムを固体のまま、80飽和濃度になるよう添加溶解し、5℃で20時間放置し、沈殿を集め精製水に溶解、透析による脱塩の後、0.01Mリン酸緩衝液に透析、同緩衝液で平衡化したDEAE-Toyopearl 650Mクロマトグラフィーに供した。 DEAE-Toyopearl 650Mクロマトグラフィーの結果(図1)、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼはそれぞれの活性画分に分取され、以降の精製はそれぞれのペプチダーゼについて実施した。
3−1.アミノペプチダーゼの精製
アミノペプチダーゼの精製結果を表2に示す。
Figure 2017000086
31-B株の培養上清にはプロテイナーゼは検出されなかった。また、精製過程を通して、アミノペプチダーゼのアイソザイムも認められなかった。最終的に、アミノペプチダーゼ(AP31-B)は8.0%の収率で、比活性約107倍に精製できた。
3−2.カルボキシペプチダーゼの精製
カルボキシペプチダーゼの精製結果を表3に示す。
Figure 2017000086
カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)は、収率7%で比活性は約250倍に精製できた。また、精製過程を通して、カルボキシペプチダーゼのアイソザイムは認められなかった。尚、試薬カルボキシペプチダーゼ(CPY)との活性比較を表4に示す。
Figure 2017000086
*オリエンタル酵母工業(株)製
4.精製酵素のSDS-PAGE
図2(AP31-B)及び図3(CP31-B)にSDS-PAGEの結果を示した。いずれの酵素もSDS-PAGEで単一バンドとして精製された。分子量は、AP31-Bが分子量75.3 kDa、CP31-Bが分子量70.5 kDaであった。
5.精製酵素の酵素学的検討
5−1.温度と活性
カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)の測定結果を図4に示す。カルボキシペプチダーゼ活性はACP活性測定法に従いpH 5.0の条件で測定した。至適温度は50℃であった。一方、アミノペプチダーゼ(AP31-B)の結果を図5に示す。至適温度は40℃(pH8.0)であった。
5−2.pHと活性
カルボキシペプチダーゼについては、CP法で40℃で測定した(図6)。至適pHは5であった。アミノペプチダーゼの至適pHは8(37℃)であった(図7)。
5−3.酵素活性に対する金属イオン及び酵素阻害剤の影響
アミノペプチダーゼ活性の測定では、pH 8.0、40℃、30分反応の条件とし、反応系に1 mMの濃度の金属塩又は酵素阻害剤を添加した。一方、カルボキシペプチダーゼ活性はCP活性測定法(pH 5.0、30分、50℃)で測定し、反応系に1 mMの濃度の金属塩又は酵素阻害剤を添加した。アミノペプチダーゼについての結果を表5に示す。
Figure 2017000086
アミノペプチダーゼは、亜鉛イオン(Zn2+)によって活性が完全に阻害され、二価鉄イオン(Fe2+)、銅イオン(Cu2+)及び三価鉄イオン(Fe3+)によっても活性が阻害された。また、SDS、EDTA及びPCMBによっても活性が阻害された。E-64、Pepstatin A及びPetablocによっては活性が阻害されない。一方、カリウムイオン(K+)は活性化を促した。
カルボキシペプチダーゼについての結果を表6に示す。
Figure 2017000086
カルボキシペプチダーゼはカリウムイオン(K+)、マンガンイオン(Mn2+)及び二価鉄イオン(Fe2+)によって活性が阻害された。また、SDS及びPCMBによっても活性が阻害された。
5−4.基質特異性
アミノペプチダーゼ活性はLAP法に準じて測定した。カルボキシペプチダーゼ活性はCP法で測定した。アミノペプチダーゼの測定結果(基質特異性)を表7に示す。
Figure 2017000086
アミノペプチダーゼ(AP31-B)はN末端のロイシン、アルギニン、メチオニン、アラニンに作用した。一方、ペプチド鎖のN末端のグリシン、プロリンには僅かに作用した。また、オリゴペプチドに対しては、アミノペプチダーゼ(AP31-B)はtuftsin(Thr-Lys-Pro-Arg)からスレオニンのみを遊離し、トリペプチド(Leu-Ala-Pro)からはロイシンのみを遊離した。トリペプチド(Leu-Leu-Ala)からはロイシン及びアラニンを遊離した。これらの結果から、アミノペプチダーゼ(AP31-B)は、プロリンに結合したN末端アミノ酸には作用しないことが推測された。このように、アミノペプチダーゼ(AP31-B)は既報のアミノペプチダーゼに類似した基質特異性を示した。
カルボキシペプチダーゼの測定結果を表8に示す。
Figure 2017000086
カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)はC末端のロイシン、フェニルアラニンに作用した。一方、ペプチド鎖のC末端のアラニン、プロリン、チロシンに対する作用は僅かであった。このように、カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)の基質特異性は概ねCPYに似た傾向にあった。
6.ペプチダーゼによる苦みペプチドの苦み低減
調製した苦みペプチドは分解率8.5%(AP31-B試験に用いた)或いは11%(CP31-Bに用いた試験)で、いずれもカフェイン20g/L相当の苦みを呈した。分解経過とそれに伴う苦味の低下経過を図8及び図9に示した。ペプチドの苦みは、いずれの場合も10分の1以下に低減した。
7.ヨーグルト調製時のペプチダーゼ添加の影響
アミノペプチダーゼ(AP31-B)についての評価結果を表9及び表10に示す。
Figure 2017000086
色、香り;数値が低い方が好まれる、酸味、甘味;数値が低い方が強く感じる、苦味;数値が低い方が弱く感じる、うま味;数値が低い方が強く感じる、総合;数値が低い方が好まれる。順位総合で17−33を超える範囲で危険率5%有意差あり、15−35を超える範囲で危険率1%有意差あり。**は、危険率1%有意差あり。
Figure 2017000086
アミノペプチダーゼ(AP31-B)を添加したヨーグルトは、いずれの添加量においても、苦味、うま味において対照(コントロール)よりも評価が高い傾向にあり、対照(コントロール)の苦味が低減している傾向にあった。アミノペプチダーゼ(AP31-B)を添加したヨーグルトは、総合評価でも好まれる傾向にあった。
カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)についての評価結果を表11及び表12に示す。
Figure 2017000086
色;数値が低い方が好まれる、酸味、甘味;数値が低い方が強く感じる、苦味、塩味;数値が低い方が弱く感じる、うま味;数値が低い方が強く感じる、総合;数値が低い方が好まれる。順位総合で17−33を超える範囲で危険率5%有意差あり、15−35を超える範囲で危険率1%有意差あり。**は、危険率1%有意差あり、*は、危険率5%有意差あり。
Figure 2017000086
カルボキシペプチダーゼ(CP31-B)を添加したヨーグルト(1.03及び3.09 U/250mL 牛乳)は色、甘味に関して評価が高い傾向にあった。また、ヨーグルト(3.09U/250mL 牛乳)では、苦味、塩味が優位に好まれた。いずれの添加量においても、対照(コントロール)の苦味が低減される傾向にあり、総合点においても対照(コントロール)よりも評価が高い傾向にあった。
<食品加工への適用>
ペプチダーゼとしての食品添加物酵素には既にいくつかの酵素剤が登録されているが、その多くはプロテイナーゼを主体とした酵素剤である。蛋白系食品加工において、主に用いられるのはプロテイナーゼではあるが、アミノ酸のみを遊離する目的、例えばペプチドの苦み消去などの目的に使用すれば、素材タンパク質の物性などに影響を及ぼすため、プロテイナーゼを含まないペプチダーゼ剤は有用である。上記の実験によって、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株が産生するペプチダーゼの精製に成功し、その諸性質を明らかにした。以下では、31-B株が産生するペプチダーゼの食品加工分野での有用性を検討することにした。
A.材料と方法
1.酵素
シュードザイマ・フベイエンシス31-B株を培養、遠心上清、塩析、溶解した粗酵素液(上記実験でのペプチダーゼ精製工程の前のもの)をサンプル(以下、「PP31」と呼ぶ)とし、以下の検討に用いた。比較対象として、市販食品添加物酵素剤である、Rhizopus起源のペプチダーゼR(天野エンザイム株式会社製)とAspergillus起源のプロテアックス(天野エンザイム株式会社製)を用いた。
2.苦味ペプチドの苦味低減試験
上記実験に準じて実施したが、ペプチド調製には枯草菌プロテアーゼであるプロレザーFG-F(天野エンザイム株式会社製)を100 mg用いた。ミルクカゼインの分解率は15〜17%であった。苦味低減反応は、苦みペプチド溶液27 mLに酵素液3 mL(ACP活性で5 単位)加え、37℃で反応させた。苦味の評価は椙山女学園大学 大学生(21±1歳)パネル3名で行い、各種濃度のカフェイン溶液と比較した。
B.結果と考察
1.酵素活性測定結果
結果を表13に示す。
Figure 2017000086
PP31(塩析溶解液)のプロテイナーゼ活性は実質的にゼロであった。即ち、夾雑するプロテイナーゼは実質的にないことが明らかとなった。
2.酵素性質の検討
2−1.アミノペプチダーゼ活性に及ぼすpHの影響
実験結果を図10に示す。
2−2.ペプチダーゼ活性に及ぼす温度の影響
2−2−1.アミノペプチダーゼ
実験結果を図11に示す。
2−2−2.カルボキシペプチダーゼ
実験結果を図12に示す。
3.酵素剤による苦味ペプチドの苦味低減試験
3−1.PP31による苦味低減効果
pH7.0で反応させた場合の実験結果を図13に示す。分解率は7.40%上昇し、苦味は5分の1以下に低減した。pH5.0で反応させた場合の実験結果を図14に示す。分解率は12.06%上昇し、苦味は半分以下となった。尚、ペプチダーゼRでは分解率は17.4%上昇したが、苦味は3時間以降むしろ増加した(データを示さず)。プロテアックスについても、分解率は13.4%上昇したが、苦味の減少は僅かであった(データ示さず)。
シュードザイマ・フベイエンシス由来の新規ペプチダーゼが提供される。本発明のペプチダーゼは例えば、各種食品の製造、加工に利用され得る。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (14)

  1. 下記の酵素化学的性質を有するペプチダーゼ:
    (1)作用 ペプチド鎖のN末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する;
    (2)分子量 SDS-PAGEによる分子量が約75.3kDa;
    (3)基質特異性 ペプチド鎖のN末端のロイシン、アルギニン、メチオニン、アラニンを遊離する。ペプチド鎖のN末端のグリシン、プロリンへの作用は弱い。プロリンに結合したN末端アミノ酸に作用しない;
    (4)至適pH 約8;
    (5)至適温度 約40℃。
  2. 下記の酵素化学的性質を有するペプチダーゼ:
    (1)作用 ペプチド鎖のC末端アミノ酸を遊離する反応を触媒する;
    (2)分子量 SDS-PAGEによる分子量が約70.5kDa;
    (3)基質特異性 ペプチド鎖のC末端のロイシン、フェニルアラニンによく作用する。ペプチド鎖のC末端のアラニン、プロリン、チロシンへの作用は弱い;
    (4)至適pH 約5;
    (5)至適温度 約50℃。
  3. シュードザイマ・フベイエンシス由来である、請求項1又は2に記載のペプチダーゼ。
  4. シュードザイマ・フベイエンシスが、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株である、請求項3に記載のペプチダーゼ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチダーゼを有効成分とする酵素剤。
  6. 請求項1に記載のペプチダーゼと、請求項2に記載のペプチダーゼを含有する酵素剤。
  7. 以下のステップ(1)及び(2)を含む、ペプチダーゼの製造法:
    (1)シュードザイマ・フベイエンシスを培養するステップ;
    (2)培養後の培養液より、ペプチダーゼを回収するステップ。
  8. シュードザイマ・フベイエンシスが、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株である、請求項7に記載の製造法。
  9. ステップ(2)のペプチダーゼとして、アミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼが回収される、請求項7又は8に記載の製造法。
  10. ステップ(2)のペプチダーゼとして、アミノペプチダーゼ又はカルボキシペプチダーゼが回収される、請求項7又は8に記載の製造法。
  11. 受託番号NITE P−02047で特定される、シュードザイマ・フベイエンシス31-B株。
  12. 食品の製造過程において、タンパク質若しくはペプチドを含有する原料又は中間加工品に対し、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチダーゼ、又は請求項5若しくは6に記載の酵素剤を作用させることを特徴とする、食品の製造又は加工方法。
  13. 食品が乳製品である、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチダーゼ、又は請求項5若しくは6に記載の酵素剤の作用によって苦味が低減した食品。
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