JP2016540475A - エネルギー供給システムのキャパシタンスのキャパシタンス値を決定するための方法およびインバータ - Google Patents

エネルギー供給システムのキャパシタンスのキャパシタンス値を決定するための方法およびインバータ Download PDF

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Abstract

本発明は、交流電流側にある出力電流フィルタ(6)であって、スイッチング素子(7)を介して多相エネルギー供給ネットワーク(8)に接続され、直流電流側で少なくとも1つの中間回路キャパシタンス(21、22)に対応付けられている出力電流フィルタ(6)を有する多相インバータ(9)を有する光起電力システムの、キャパシタンス(21、22、61、62)のキャパシタンス値を決定するための方法に関する。本方法は以下のステップ、すなわち、− スイッチング素子(7)を開くことによりエネルギー供給ネットワーク(8)から光起電力システムを切断するステップと、インバータ(9)を動作させて、アイランドネットワークであって、同相のAC電圧がインバータ(9)のインバータブリッジ(3)のうちの少なくとも2つの出力に印加され、かつ、電流の通電が少なくとも1つの中間回路キャパシタンス(21、22)と出力電流フィルタ(6)との間で生成されているアイランドネットワークを構成するステップと、インバータブリッジ(3)の出力で流れる電流(Ia、Ib、Ic)、およびキャパシタンス(21、22、61、62)に印加された少なくとも1つの電圧を測定するステップと、− 決定された電圧および測定された電流(Ia、Ib、Ic)を使用して、キャパシタンス(21、22、61、62)のキャパシタンス値を決定するステップと、を有する。本発明はさらに、上記の方法を行うように構成された多相インバータに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギー供給システムのキャパシタンスのキャパシタンス値を決定するための方法に関する。このエネルギー供給システムは、例えば、交流電流側に出力電流フィルタを備える多相インバータを備え、スイッチング素子を介して多相エネルギー供給ネットワークに接続され、かつ、直流電流側の少なくとも1つの中間回路キャパシタンスに対応付けられている光起電力システムである。本発明は、このような方法を行うための制御装置を備える多相インバータにもまた関する。
インバータは、エネルギー生成システム、例えば、以下、略してPVシステムと呼ぶ光起電力システムで使用されて、直流電流を、公共または個人のエネルギー供給ネットワークに単相または多相で給電可能な、交流電流に変換する。光起電力システムの場合には、変換される直流電流は、光起電力発生器(PV発生器)によって供給される。PV発生器は、本願の範囲内で、好ましくは複数の光起電力モジュール(PVモジュール)からなる、あらゆる構成を備えている。この代わりに、および/または、これに加えて、(可能であればバッファリングされた)直流電流を、バッテリもしくは燃料電池、またはこれらに匹敵する、化学作用により動作する電流源から供給することが可能である。
このようなエネルギー供給システムは、交流電流に変換中にDC発電機により供給されるDC電圧を平滑化するために、(バッファ)キャパシタ構成をDC中間回路に有する。DC発電機からの電圧がインバータブリッジの入力側に直接印加される単段インバータの場合には、このようなキャパシタ構成が、DC発電機と並列に接続される。多段インバータの場合には、少なくとも1つのDC−DCコンバータがインバータブリッジの上流に接続され、DC発電機により供給されるDC電圧を、インバータブリッジを動作させるのに適した電圧レベルに昇圧、または降圧する。このようなシステムの場合には、キャパシタ構成は通常、DC−DCコンバータと、インバータブリッジとの間に配置される。本願の範囲内では、キャパシタ構成が配置される回路は、キャパシタ構成の位置とは関係なく、従来の用語法に従って以下では概括して中間回路と呼ばれる。したがって、電圧を平滑化するために使用されるキャパシタ構成は、いずれの場合も、中間回路キャパシタ構成と呼ばれる。
インバータのインバータブリッジには、変調方式でクロック制御されて動作するパワー半導体スイッチが通常取り付けられている。既知の従来の変調方式は、クロック周波数で、すなわちキロヘルツ範囲で毎秒複数のスイッチングサイクルで動作するパルス幅変調方式(PWM方式)である。その結果、インバータブリッジの出力において極性が変化するクロックDC信号が、可能な限り正弦波の電圧プロファイルがフィルタの出力で生じるように、出力電流フィルタによって平滑化される。この理由により、出力電流フィルタは、正弦波フィルタとも呼ばれることが多い。
この場合、出力電流フィルタは、複数のインダクタンスおよびキャパシタンスを備える。よく使用されている既知の出力電流フィルタは、インバータ各相のそれぞれに対して少なくとも1つのインダクタンス、例えば、インバータブリッジのそれぞれの出力と、エネルギー供給ネットワークの対応する相接続部との間に配置されたコイルを有する。さらに、キャパシタンスは、インバータブリッジの各出力接続部と、フィルタのインバータ側入力にあるシステムの中性線と、の間にそれぞれ配置される。出力側では、すなわち、エネルギー供給ネットワークに向かって、第2のキャパシタンスが各相に対して供給される。この第2のキャパシタンスは、星形接続で接続される。すなわち、第2のキャパシタンスは共通のフローティング電圧ノードと接触している。第1のキャパシタンスおよび第2のキャパシタンスは通常、対応する第1のキャパシタおよび第2のキャパシタにより形成される。
エネルギー生成システムのインバータの機能の正確さおよび信頼性は、上述したキャパシタンス、中間回路キャパシタンス、および出力電流フィルタにおけるキャパシタンスに大きく左右される。しかしながら、キャパシタンスを供給するのに使用されるキャパシタは、時が経つにつれてキャパシタンス値が低減する経年変化を受けやすい。電解キャパシタの場合には、上記に加え、氷点下の温度では、温度によって大きく左右されることが認められる。変化したキャパシタンス値を知ることにより、インバータの正確な動作方法を、インバータのパラメータ、例えば、インバータブリッジのパワー半導体のスイッチングサイクルの切り替え時間を決定する調整パラメータを調節することにより、一定のキャパシタンス損失まで修正することができる。キャパシタンスの偏差が大きすぎる場合には、インバータまたはキャパシタの、さらに広範囲にわたる破壊を回避するために、インバータの動作を終了させることが有用である。インバータの動作パラメータを調節するためだけでなく、インバータを切断するために、またはできるだけ予期し得る問題を事前に表示する警告を出力するためにも、エネルギー生成システムのキャパシタンスのキャパシタンス値、具体的には、中間回路のキャパシタンスおよびフィルタのキャパシタンスのキャパシタンス値を知ることが望まれる。
これに関連して、例えば、独国特許出願公開第102004036211A1号明細書は、装置の作動中に充電用抵抗器を介して中間回路キャパシタが事前充電される方法を開示している。中間回路キャパシタのキャパシタンスは、事前充電中に、充電電流の測定および中間回路キャパシタで測定された電圧プロファイルから、決定することができる。この方法は、特に、中間回路キャパシタの事前充電が行われ、かつ、装置が対応する事前充電装置を有する場合に適切である。
国際公開第02/18962A1号パンフレットによれば、同様のやり方で、エンジンコントローラのインバータの中間回路キャパシタが、エンジンコントローラの非作動中に、放電抵抗器によって放電される。中間回路キャパシタのキャパシタンスは、放電中に測定された電圧プロファイルから決定される。
米国特許出願公開第2012/0281443A1号明細書は、複数のキャパシタの直列回路からなる中間回路中の不具合のあるキャパシタを決定するための方法を開示している。この場合、個々のキャパシタの両端で電圧の低下が測定され、電圧のレベルから、不具合のあるキャパシタが推論される。米国特許出願公開第2013/0155729A1号明細書は、電力コンバータの中間回路キャパシタの予想耐用寿命を予測するための方法について記載している。この方法では、キャパシタに流れるAC成分が決定され、動作中にキャパシタに蓄積された電力を決定するのに用いられる。蓄積された電力を用いて、キャパシタの経年状態、したがって、引き続き見込まれ得る耐用寿命を推論する。しかしながら、上述の2つの特許文献に記載された方法を使用して、キャパシタのキャパシタンス値を決定することはできない。
米国特許出願公開第2009/0072982A1号明細書は、エネルギー変換のためのシステムについて記載しており、このシステムでは、システム内のキャパシタの両端の電圧の時間的な変動が測定され、キャパシタにおける電圧リップルのレベルが決定される。さらに、電圧リップルの発生中に流れる電流が決定される。キャパシタのキャパシタンスは、電圧リップルのレベルおよび通電電流のレベルから決定される。欧州特許出願公開第2690452A2号明細書もまた、これに匹敵し得る方法について記載している。エネルギー供給システムの通常動作中にキャパシタンスを決定することが望まれる場合には、これらの方法は有利である場合がある。しかしながら、安全上の理由で、エネルギー生成システムがエネルギー供給ネットワークに接続される前に、キャパシタの機能をそれ相応に正確に診断することが望まれる場合が多い。例えば、温度が原因で、中間回路キャパシタのキャパシタンスが極度に低い値にまで下がっている場合には、高電力でエネルギー供給システムを動作させることが問題となる場合がある。この問題は、例えば、極端な気象条件下で据え付けられたPVシステムにおける中間回路キャパシタのような、電解キャパシタに関して生じる。そのようなPVシステムは一般に、中間回路キャパシタが、この目的のために設けられた加熱装置によって加熱された後に初めて始動される。
したがって、本発明は、エネルギー生成システムにおけるキャパシタンスを決定するための方法を提供することを目的とする。この方法は、エネルギー生成システムが、エネルギー供給ネットワークに結合されて給電モードになる前に、装置の費用を可能な限り追加せずに行うことができる。また、本発明の別の目的は、このような方法を行うのに適したインバータを提供することである。
この目的は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法およびインバータによって実現される。有利な構成、および展開形態は、従属請求項に明記されている。
本発明による、冒頭で述べたタイプの方法は、以下のステップを含む。光起電力システムが、スイッチング素子を開くことによりエネルギー供給ネットワークから切断される。インバータを動作させて、アイランドネットワークと、インバータのインバータブリッジの少なくとも2つの出力に印加されている同相のAC電圧と、少なくとも1つの中間回路キャパシタンスと出力電流フィルタとの間で生成される電流の通電と、を構成する。インバータブリッジの出力で流れる電流、およびキャパシタンスに存在する少なくとも1つの電圧が測定される。次に、決定された電圧および測定された電流を使用して、キャパシタンスのキャパシタンス値が決定される。
インバータブリッジによって出力電流フィルタにAC電圧が印加されるアイランドネットワークが構成されることにより、万一エネルギー供給ネットワークから切断された場合には、少なくとも1つの中間回路キャパシタンスと、出力電流フィルタとの間に電流の通電もまた発生する。次に、PVシステムのキャパシタンスのキャパシタンス値は、電流および電圧の測定を用いて決定することができる。少なくとも2つの相が同相で動作するという事実により、電流の通電量が増大し、その結果生じた中間回路キャパシタンスからのパルス性電力消費のために、決定された電圧のリップルは、すべての相が互いに対して位相シフトされている通常動作中の場合よりも大きくなっている。したがって、測定精度の向上が実現される。
本方法の1つの有利な構成では、PVシステムの中間回路キャパシタンスのうちの少なくとも1つの両端の電圧が測定される。少なくとも1つの中間回路キャパシタンスのキャパシタンス値は、電圧のリップルのレベルおよび測定された電流から決定される。この構成では、インバータがエネルギー供給ネットワークに接続される前に、本発明による方法を使用して、中間回路キャパシタのキャパシタンス値を決定することが可能である。
中間回路を行き来する電流の通電が時間的に変動する場合には、少なくとも1つの中間回路キャパシタンスの両端の電圧のレベルが、電流の周波数に対応付けられた周波数であって、−インバータブリッジの出力における位相関係に応じて−アイランドネットワーク内の電流の周波数の2倍または3倍である周波数で変動する。少なくとも1つの中間回路キャパシタンスの両端の電圧の変動は、本願の範囲内で電圧リップルとも呼ばれる。
本方法の別の有利な構成では、出力電流フィルタの少なくとも1つの第1のキャパシタンスの両端の電圧が決定され、少なくとも1つの第1のキャパシタンスのキャパシタンス値が、決定された電圧および測定された電流から決定される。したがって、インバータがエネルギー供給ネットワークに接続される前に、出力電流フィルタのキャパシタのキャパシタンス値を決定することもまた可能である。この構成では、本方法は、特に、インバータブリッジの出力と共通の中性線との間に配置されるキャパシタの、キャパシタンス値を決定するのに適している。
インバータのインバータブリッジのすべての出力に同相でAC電圧が印加される場合には、上記の方法において特に高電流が実現される。これにより、キャパシタンス値を決定する際に、可能な限り最良の精度が得られる。
本方法の別の有利な構成では、出力電流フィルタの少なくとも1つの第2のキャパシタンスの両端の電圧が決定され、この少なくとも1つの第2のキャパシタンスのキャパシタンス値は、電圧および電流の少なくとも2つの測定を使用して決定され、この少なくとも2つの測定は、インバータブリッジの出力におけるAC電圧の位相関係を変えて行われる。この構成では、本方法は、インバータブリッジの別々の出力間の出力電流フィルタ内部に配置されているキャパシタのキャパシタンス値を決定するのにもまた適している。この場合、2つの測定が、インバータブリッジの出力における位相関係を変えて行われ、これにより、第2のキャパシタンスを通って流れる電流は、キャパシタンスを介して共通の中性線に流れる電流から計算上分離することができる。
三相インバータの場合には、少なくとも2つの測定のそれぞれにおいて、同相のAC電圧が、インバータブリッジの2つの出力にそれぞれ印加され、位相角に関してこれらの同相のAC電圧とは異なっているAC電圧が、インバータブリッジの第3の出力に印加されることが好ましい。この第3の出力に印加されたAC電圧は、インバータブリッジの他の2つの出力に印加されたAC電圧に対して180度の位相角を有することが特に好ましい。したがって、電流の最大通電量がここでも実現され、これにより、キャパシタンス値を決定する際の精度が向上する。さらに、3つの測定が行われて、これらの測定のそれぞれにおいて、位相角に関して異なっているAC電圧が、インバータブリッジの出力のうちの異なっている1つに印加されることが好ましい。これにより、様々な測定に基づいてそれぞれのキャパシタンス値を決定することが可能になる。測定結果には、一定の冗長性があり、その結果個々のキャパシタンス値が重複決定される。この重複決定された性質により、測定結果の質、したがって測定結果の有意性を推定することが可能になる。
本方法の別の有利な構成では、決定されたキャパシタンス値が、既定された最小キャパシタンス値と比較され、最小キャパシタンス値未満のキャパシタンス値が、報知される。さらに、決定されたキャパシタンス値が保存され、以前に保存されたキャパシタンス値と比較されると、有利である。キャパシタンス値の変化率が、決定されたキャパシタンス値、および少なくとも1つの保存されたキャパシタンス値から決定され、キャパシタンスを供給しているキャパシタの耐用寿命が、この変化率を使用して推定されることが好ましい。本方法のこれらの構成では、キャパシタンスの決定を使用して、即時の問題、または今にも起こり得る問題をシステムオペレータに警告すると有利である。したがって、即時に対策を講じたり、予防措置としての対策を講じたりすることができる。
別の有利な構成では、本方法は、インバータの始動プロセスの間に繰り返し行われる。したがって、本方法の実行中に(または、そうでなければ本方法の実行によって)解決される、単に一時的である可能性が高い問題を識別することができ、始動プロセスを継続することができる可能性が高い。この場合、本方法の実行中に、決定された中間回路キャパシタンスが変化すると、中間回路のキャパシタを加熱する目的で、本方法が行われるようにしてもよい。したがって、本方法において生じた電流の通電を使用して、キャパシタを加熱することが可能であり、これにより、比較的小さい電流が流れることによる温度に関連したキャパシタンスの低下を、徐々になくすことが可能になる。
別の有利な構成では、本方法は、インバータブリッジの出力におけるAC電圧の様々な周波数について行われる。周波数に応じてそのときに利用可能な測定された値を使用して、出力電流フィルタの少なくとも1つのインダクタンスのインダクタンス値を決定することができる。したがって、典型的な出力電流フィルタのすべての構成要素のサイズを決定することができる。
本発明による、エネルギー供給ネットワークへの接続用の多相インバータは、評価部を有する制御装置を備える。この制御装置は、評価部と共に、上記の方法のうちの1つを行うように構成されているという事実を特徴とする。その結果、本発明による方法に関連して説明した利点が得られる。
以下では、図を用いて、例示的な実施形態によって本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、PVシステムの概略ブロック図を示す。 図2aは、図1のPVシステムの一部の詳細図を示す。 図2bは、図2aを、1つの相に限定して単純化した図を示す。 図3は、本発明による方法のフローチャートを示す。 図4は、キャパシタの耐用寿命における典型的なキャパシタンスの低減を図示するグラフを示す。 図5aは、中間回路キャパシタンスを決定するための方法ステップを含むフローチャートを示す。 図5bは、出力電流フィルタの第1のキャパシタンスまたは第2のキャパシタンスを決定するための方法ステップを含むフローチャートを示す。 図5cは、出力電流フィルタの第1のキャパシタンスまたは第2のキャパシタンスを決定するための方法ステップを含むフローチャートを示す。 図6aは、図4による方法を行う間のPVシステムの一部の概略的な等価回路図を示す。 図6bは、図4による方法を行う間のPVシステムの一部の概略的な等価回路図を示す。 図6cは、図4による方法を行う間のPVシステムの一部の概略的な等価回路図を示す。 図6dは、図4による方法を行う間のPVシステムの一部の概略的な等価回路図を示す。 図7aは、図4aに従って連続的に行われる方法の間の中間回路キャパシタのキャパシタンスの時間依存性の変化のグラフを示す。 図7bは、図4aに従って連続的に行われる方法の間の中間回路キャパシタのキャパシタンスの時間依存性の変化のグラフを示す。
図1は、PVシステムの全体構造を概略したブロック図を示す。PVシステムは、PV発生器1を備える。PV発生器1は、図1では1個のPVセルの回路図によって象徴的に表されている。PV発生器1は、既知のやり方で1つ以上のPVモジュールを備えることがある。複数のPVモジュールが使用される場合、それらは直列に接続されて、いわゆるストリングを形成することが多い。これらの複数のストリングは、PV発生器1を形成するために、並列に接続することができる。
PV発生器1は、DCラインを介して、中間回路2に接続され、ここで図示した例示的な実施形態では、中間回路2は、直列に接続された2つの中間回路キャパシタンス21、22を備える。2つの中間回路キャパシタンス21と22との間のセンタータップは、PVシステムの直流電流側に基準電位を供給する仮想ゼロ点NPを形成する。
PV発生器1は、中間回路2を介して、直流電流側のインバータブリッジ3の入力に接続されている。インバータブリッジ3は、PV発生器1によって生成された直流電流を、インバータブリッジ3の出力で出力される交流電流に変換するのに使用される。インバータブリッジ3のAC出力は、出力電流フィルタ6および、インバータブリッジ3と出力電流フィルタ6との間の接続部に配置された電流測定センサ4に接続されている。
インバータブリッジ3は多相設計であり、ここでは一例として、三相設計である。3つの異なる相を区別するために、以下では参照符号または名称と共に「a」、「b」および「c」という表記が用いられている。個々の相a、b、cに割り当てられている構成要素は、各参照符号に付記された「a」または「b」または「c」によって示される。そのような表記をせずに参照符号が使用される場合は、表記の有無に関係なくすべての構成要素にこの参照符号が付いているか、または、これらの構成要素のうちの1つの構成要素であるが、以降はこの参照符号を付して特定しないか、のいずれかである。「電流測定センサ4」と言うときには、したがって、前後関係によって、電流測定センサ4a、4bおよび4cを全部一緒に指すか、または、電流測定センサ4a、4bまたは4cのうちの1つであるが、以降は特定されない電流測定センサを指すか、のいずれかである。
電流測定センサ4は、インバータブリッジ3のそれぞれの出力で流れる電流Ia、Ib、およびIcを決定するのに使用される。電流測定センサ4からの出力は、電流測定センサ4からの出力を測定し、評価するための評価部51を備える制御装置5に供給される。制御装置5は、インバータブリッジ3もまた制御し、本明細書では具体的には、インバータブリッジ3の半導体スイッチを制御するが、本図では、これ以上詳細に図示しない。
出力電流フィルタ6は、インバータブリッジ3からの出力信号の信号整形に使用される。出力電流フィルタがなければ、インバータブリッジ3からの出力信号は実質的に、異電位間で変化するパルス性DC電圧信号である。出力電流フィルタ6は、このパルス化されたDC電圧信号を用いて出力電流を形成する。出力電流は、ほぼAC電圧の形態であり、AC電圧(AC−交流電流)スイッチング素子7を介してエネルギー供給ネットワーク8に給電可能である。インバータブリッジ3と同様に、エネルギー供給ネットワーク8もまた、相導体La、Lb、およびLcを有する三相設計である。中性線Nもまた、ACスイッチング素子7、および出力電流フィルタ6を介して、PVシステム1の直流電流側の仮想ゼロ点NPに同様に接続されている。出力電流フィルタ6は通常、複数のキャパシタンスおよびインダクタンスからなる構成を備える。出力電流フィルタ6の典型的な構成を、後段において図2および図3に関してさらに詳細に説明する。
図示された例示的な実施形態では、インバータブリッジ3、電流測定センサ4、制御装置5、および出力電流フィルタ6は、インバータ9に組み込まれている。代替的な構成では、中間回路2は、追加的に付随する形で例えば、インバータ9に組み込まれてもよい。またはそうでなければ、出力電流フィルタ6を別個のハウジングの中に配置してもよい。
本願の範囲内で必須のPVシステムの素子だけが、図1に図示されていることに留意されたい。例えば、さらなるスイッチング素子(例えば、切断素子、接触器)、保護装置(例えばヒューズ)、図示されていない監視装置および/または変圧器が、直流電流側および/または交流電流側に設けられてもよい。
図2aは、図1の部分をさらに詳細に示す。図2aは、PV発生器1、制御装置5、ACスイッチング素子7、およびエネルギー供給ネットワーク8を図示していない。
図2aは、3つの相a、b、cに対するインバータブリッジ3の構造を示す。3つの相のそれぞれに対して、インバータブリッジ3は、ブリッジアームを有する。ブリッジアームは、ここに図示した例では、2つの半導体スイッチ31、32を備える。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:insulated−gate bipolar transistor)スイッチは、一例として半導体スイッチとして図示されている。言うまでもなく、インバータブリッジ3は、他の半導体パワースイッチを使用して、例えば、金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field−effect transistor)を使用して、同様に組み立てられてもよい。半導体スイッチ31、32は、フリーホイールダイオードに対応付けられている。フリーホイールダイオードについては、これ以上詳しく言及しないが、外付の構成要素であってもよいし、あるいは半導体スイッチ31、32に組み込まれていてもよい。半導体スイッチ31、32の上流に接続されて、半導体スイッチ31、32を制御するために使用される構成要素は、わかりやすくするために図2aには図示されていない。半導体スイッチ31、32に対するスイッチング信号は、既知の変調方式に従って、具体的にはパルス幅変調方式(PWM:pulse−width modulation method)に従って最終的に制御装置5によって生成され、対応する制御回路を介して、半導体スイッチ31、32に伝送される。
図2aは、インバータブリッジ3のツーポイント型トポロジーを図示する。ツーポイント型トポロジーでは、半導体スイッチ31と32との間にある、直列に接続されているセンタータップによって形成された、インバータブリッジ3のそれぞれのAC出力を、PV発生器1の正極またはPV発生器1の負極のいずれかに接続することができる。言うまでもなく、他のトポロジー、具体的には、スリーポイント型トポロジーを使用することができる。スリーポイント型トポロジーでは、インバータブリッジ3の出力接続部を、仮想ゼロ点NPで、すなわち中間回路キャパシタンス21と22との間のセンタータップで、双方向に動作するさらなる半導体スイッチを介して、追加で基準電位に接続することが可能である。
出力電流フィルタ6は、2つのキャパシタンス61、62、および相a、b、cのそれぞれに対するインダクタンス63を有する。キャパシタンス61、62は通常、キャパシタによって、典型的にはフィルムキャパシタによって形成される。この場合、第1のキャパシタンス61は、出力電流フィルタ6の入力を構成するインバータブリッジ3の出力接続部と、相a、b、cのそれぞれに対する中性線Nと、の間に配置される。インダクタンス63は、出力電流フィルタ6の入力接続部と出力接続部との間にそれぞれ配置されている。出力電流フィルタ6の出力接続部はそれぞれ、第2のキャパシタンス62に接続されている。第2のキャパシタンス62のそれぞれの他の接続部は、共通の仮想中性点64に接続されている。次に出力電流フィルタ6の出力は、図1に示された方法で、ACスイッチング素子7を介してエネルギー供給ネットワーク8に接続されている。
さらなる検討をわかりやすくするために、図2bは、相のうちの1つに限定して、ここでは一例として、相aに限定して図2aを表す。出力電流フィルタ6は、3つの相a、b、cが同相で動作する動作状態にあてはまる等価回路図に図示されている。相a、b、cがすべて同相の性質であるために、電流がキャパシタンス62を通って流れることはない。インバータ9は、開いたACスイッチング素子7によってエネルギー供給ネットワーク8から切断されているので、すなわち、アイランドネットワーク状況になっているので、電流がインダクタンス63を通って流れることもない。出力電流フィルタ6の等価回路図では、これらの構成要素は、したがって、インバータ9の前記動作状態に関しては無視することができる。
本発明による、PVシステムのキャパシタンスのキャパシタンス値を決定するための方法を、以下に記載された図3〜図5を使用して説明する。本方法は、例えば、図1および図2に図示されたPVシステムにおいて、具体的には、PVシステムで使用されるインバータを用いて行うことができる。したがって、前記各図に関連する一例として、また、前記各図において使用されている参照符号を使用して、本方法を説明する。
図3は、本願による方法の基本的なシーケンスのフローチャートを示す。
第1のステップS1では、PVシステムのインバータ9は、例えば、インバータを動作させて、エネルギー供給ネットワーク8に給電するのに十分な電力をPV発生器1が供給しなかった期間の後に、すなわち、例えば、夜が過ぎてから始動する。インバータ9の始動プロセスの間、インバータブリッジ3の出力は、開いたACスイッチング素子7によって、エネルギー供給ネットワーク8から切断されている。この目的に十分な電力がPV発生器1によって供給されると直ちに、インバータ9が始動する。
第2のステップS2では、スイッチング素子7が開いたインバータによって、いわゆるアイランドネットワークが構成される。インバータの給電モードでは、三相ネットワークの個々の相a、b、cの間でそれぞれ120度の位相シフトが優勢になっている。システム全体の位相角は、エネルギー供給ネットワークで優勢な位相角に適合されている。ステップS2では、それとは異なっている相a、b、cの間の位相関係が、互いに同相(0度の位相シフト)である相のうちの少なくとも2つによってアイランドネットワークに構成される。3つの相はすべて、互いに対して0度の位相シフトで、同相で動作するのが好ましい。以下では、3つの相a、b、cがすべて、同相で動作するような状況を想定している。
次のステップS3では、アイランドネットワークの動作中にインバータブリッジ3の出力で流れる電流Ia、Ib、およびIcは、電流測定センサ4a、4b、および4cによって測定され、評価部51で評価される。
PVシステムのキャパシタンスのキャパシタンス値を決定するための方法の当初には省略可能なステップであったが、不具合のある電流センサ4を識別するために、ステップS3で得られた電流測定値を使用して妥当性検査が、ステップS4で行われる。例えば、電流測定値Ia、Ib、Icが大きく異なっていれば、決定されるキャパシタンスの差ではなく、電流センサに不具合があることを示している。電流値が常に0であることもまた、電流センサに不具合があることを示している。電流値Ia、Ib、Icが、電流センサに不具合があることを示しているかどうかを決定する際に、ロギング目的で保存された過去の比較可能な測定から得られた電流値を使用することもまた可能である。
ステップS4で、電流センサに不具合があると識別される場合には、本方法は、ステップS5に枝分かれする。ステップS5では、不具合のある電流センサ4の存在は、例えば、信号および/またはデータラインを介して相応するメッセージを上位監視装置に伝送することによって報知される。そこで、本方法は終了し、インバータの動作が停止される。
ステップS4において、電流値Ia、Ib、Icが少なくとも妥当であると思われる範囲にある場合には、本方法は、ステップS6に継続される。ステップS6では、キャパシタンス値が実際に決定される。インダクタンスおよびキャパシタンスを有する出力電流フィルタ(LCフィルタ)の場合には、部品公差および他の公差を考慮して、出力電流フィルタのインピーダンス、測定された電流、および出力電流フィルタの両端で測定された電圧または既定された電圧に基づいて、対応する電流値に対する妥当性の限界値を決定することができる。
ステップS6の詳細を、図5a、図5bおよび図5cのさらなるフローチャートで、さらに詳細に説明する。
ステップS6で得られたキャパシタンスの決定結果は、後続のステップS7において評価される。この場合、保存された限界値を使用して、キャパシタンスが既定された許容範囲にあるかどうかを考慮する。この場合、一方ではキャパシタンスの絶対値を、具体的には、キャパシタンスの公称値に対する限界値を考慮することが可能であり、他方ではキャパシタンスの変化率を考慮することもまた可能である。ステップS4での電流センサの検査に関連して上述した方法と同様の方法で、決定されたキャパシタンスもまたログメモリにログインされることが好ましい。その結果、それまでの測定で決定されたキャパシタンス値を使用して、目下測定されているキャパシタンス値を査定することが同様に可能となる。本明細書に記載された、PVシステム内部のキャパシタンス値を決定するための方法は、定期的に、例えば、毎朝の始動プロセスの間に、したがって少なくとも一日に一度は行われることが好ましい。その結果、キャパシタンス値を連続的に観察することが可能になる。
キャパシタンス値が適切な許容範囲にない場合には、本方法は、ステップS8に枝分かれする。ステップS8では、そのキャパシタンスが依拠する対応するキャパシタンス、またはキャパシタに不具合があるとして、ここでもまた、例えば、信号および/またはデータラインを介して上位監視装置への相応のメッセージによって報知される。ステップS5と同様に、そこでインバータ9の動作が終了される。
ステップS7において、キャパシタンスが許容範囲内にあると識別された場合には、本方法は、ステップS9に継続される。ステップS9では、決定されたキャパシタンス値がさらに処理される。一方では、このステップS9において、キャパシタンス値が、制御装置5の内部か、または上位監視装置の内部のいずれかにログされる。他方では、決定されたキャパシタンス値を使用して、インバータ9に対する制御パラメータおよび/または調整パラメータを最適化することが可能であり、したがって、給電電流を最適に調節して、調整が不安定になるのを防ぐことが可能である。
キャパシタンス値の瞬時変化率は、キャパシタンス値の連続的観測から、例えば、キャパシタンス値の日々の変化率または絶対的な変化から決定することができる。キャパシタンス値の激しい変化は、対応するキャパシタの故障が迫っていることを示している。図4は、キャパシタのキャパシタンスCの典型的な時間曲線71を表す。進行する時間tにともなう、公称キャパシタンスCnennからのキャパシタンスCの低下が図示されている。キャパシタは一般に、変化率が急増する前には、最初は長期間にわたって非常にゆっくりと低い変化率でそのキャパシタンスを失うが、ここでは一例として、t=tにおいて破線として描かれている、ある特定の時間以降は、キャパシタンスが急速に低下している。
キャパシタンス値の変化率に基づいて、キャパシタのうちの1つに故障が迫っている場合には、相当するキャパシタの予防保守、または交換を求める相応のサービスメッセージを、やはり省略可能なステップS10において出力することができる。
最後に、インバータ9の始動プロセスは、ステップS11において継続することが可能であり、インバータ9は、ステップS9において最適化された給電モードに対するパラメータを用いてエネルギー供給ネットワーク8に接続することができる。
図5は、図3の方法ステップS6の間の、キャパシタンス値の決定の詳細を、図5a〜図5cの3つのフローチャート部分に分けて示している。図5aのフローチャートは、中間回路キャパシタ21、22のキャパシタンスを決定するための方法ステップを説明している。図5bのフローチャートは、出力電流フィルタ6の第1のキャパシタンス61のキャパシタンス値を決定するための方法ステップを説明している。図5cに図示された方法は、出力電流フィルタ6の第2のキャパシタンス62のキャパシタンス値を決定するための方法ステップを表している。
図5aおよび図5bに図示された方法は、互いに独立して行うことができる。図5cに示された方法は、図5bの方法が先に実行されていることを前提条件とする。図3による方法の1つの好ましい構成では、PVシステムのすべての関係するキャパシタンスに関する情報を、すなわち、中間回路キャパシタンス21、31と、出力電流フィルタ6の第1のキャパシタンス61および第2のキャパシタンス62と、に関する情報を有利に取得するために、図5a〜図5cのすべてに一部ずつに分けて示されている方法ステップは、ステップS6の中で連続して行われる。
図5aの第1のステップS601では、ステップS3からの電流測定が再び行われるか、または、ステップS3で測定された電流値が、さらなる評価のために採用されるか、のいずれかである。ステップS601における電流測定は、したがって、インバータの動作状態における電流測定S3と同じ方法で行われ、インバータブリッジ3によるアイランドネットワークの動作中に、互いに対する位相シフトのない同相の3つの相a、b、cのすべてに電圧が印加される。相a、b、cがすべて同相であるために、ACスイッチング素子7が開くと、電流は、インダクタンス63にもキャパシタンス62にも流れない。図2bの出力電流フィルタ6の等価回路図に示されるように、これらの構成要素は、したがってインバータ9のこの動作状態では無視することができる。電気的観点から言えば、この動作状態ではキャパシタンス61だけは関係があるので、考慮しなければならない。
3つの相の3つの第1のキャパシタンス61a、61b、61cは、したがって、上述のように並列に接続され、それらの電荷は、電流Ia、Ib、Icの出力電流周波数で、すなわち通常は50Hzか60Hzで反転する。したがって、半導体スイッチ31、32を切り換えることによって、第1のキャパシタンス61と、中間回路キャパシタンス21、22と、の間を電荷が永続的に両方向に転送される。なおその場合、電荷を伝送する電流の大きさは、ステップS601またはS3において測定される。電荷が伝送された結果、中間回路キャパシタンス21、22が、永続的に充放電されるようになり、それは、これらのキャパシタンス21、22に印加された電圧の変動で示される。中間回路キャパシタンス21、22の両端の電圧の変動は、電圧リップルとも呼ばれる。もし相a、b、cを同相で動作させないのであれば、電圧リップルを観察することもまた可能である。例えば、3つの相すべてを互いに対して120°の位相シフトでそれぞれ動作させるのであれば、電圧リップルの強度は大幅に小さくなるであろうが、これにより、測定が難しくなる。中間回路の電圧が100ボルト前後であり得るのに対して、このアイランドネットワーク状況で生じる電荷反転電流での電圧リップルは、最大でも数ボルト、さもなければ1ボルト未満の範囲にあるので、このことが特に当てはまる。相a、b、cを同相で動作させることにより、電圧リップルが可能な限り最大になるため、これらの電荷反転電流に対して観察可能なり、したがって、測定精度に関して有利になる。
中間回路キャパシタンス21、22のキャパシタンス値は、実質的に使用される中間回路キャパシタによって決まるが、測定された電流Ia、Ib、Icと共に、測定された電圧リップルのレベルから決定することができる。
この場合、中間回路キャパシタンス21および22の、キャパシタンス値C21およびC22、ならびに中間回路キャパシタンス21および22におけるそれぞれの電圧リップルの測定された振幅
Figure 2016540475
と、測定された電流Ia、Ib、およびIcの合計である振幅
Figure 2016540475
と、の間の次の関係を、基準として使用することができる。すなわち、
Figure 2016540475
であり、したがって、
Figure 2016540475
である。ここで、ωは、交流電流Ia、Ib、Icの角周波数を示す。したがって、中間回路キャパシタンスが1つだけである中間回路では、この関係のうちの1つだけを考慮する必要がある。
図5bに図示された、出力電流フィルタ6の第1のキャパシタンス61のキャパシタンス値を決定するための方法を、図5aに示される方法の後に行うことができる。しかしながら、図5aに図示された方法を事前に行わずに、図5bに図示された方法を行うこともまた可能である。
第1のステップS604では、インバータブリッジの同相出力で流れる電流Ia、Ib、Icが、再び測定される。図5aに示される方法が事前に行われるのであれば、ステップS601により測定された値を採用することができる。さらに、ステップS3により測定された値をここで使用することもまた可能である。
次のステップS605では、第1のキャパシタンス61が充電されるべき電圧のレベルが決定される。この電圧は、測定してもよいし、または、規格値から収集してもよい。なぜなら、アイランド状況で動作中、インバータは通常、中間回路キャパシタンス21、22に印加された電圧を適切に変調する半導体スイッチ31、32によってインバータブリッジ3の出力の出力AC電圧のレベルを、この既定された電圧値に調節するからである。次に続くステップS606では、電流Ia、Ib、Icと、キャパシタンス61、62に印加された電圧と、の対応する値のペアを使用して、第1のキャパシタンス61のキャパシタンス値が決定される。
図3のフローチャートでは、ステップS6でのキャパシタンス値の決定の後に、ステップS7でのキャパシタンスの検査が続いている。言うまでもなく、決定されたキャパシタンス値が許容範囲にあるかどうかに関する問合わせを、図5aおよび図5bにそれぞれ一部が示されている方法の後に既に行っておくことができる。
図6aは、PVシステムにおけるインバータの動作状況をやはり図示しており、図5aおよび図5bの方法は、違った風にこの動作状況に依拠している。この概略図では、インバータは、電圧源10の等価回路図によって表されている。相a、b、cの同相の性質は、電圧源10が1つだけ存在する状態で表現されており、この電圧源10に、すべての相が並列に接続されている。
出力電流フィルタ6の第1のキャパシタンス61のキャパシタンス値が決定された後に、出力電流フィルタ6の第2のキャパシタンス62を決定するために、図5cに図示された方法が行われる。
この方法の第1のステップS607では、相a、b、cの間の位相関係が変更されるように、インバータブリッジ30の半導体31、32の制御が修正される。この場合、アイランドネットワークが依然として保持されている。具体的には、最初にステップS607が行われると、相a、b、cのうちの2つについて同相の性質が保持されるが、一方これらの相のうちの第3の相は対照的に、電圧に対して180度の位相シフトで動作する。
この状況は、図6aの等価回路図と同様の方法で、図6bの等価回路図に図示されている。一例として、ここでは相bおよびcが、電圧源10に接続されていることによって、同相で動作している。対照的に、逆極性で動作している電圧源10’は、相aに180度の電圧の位相シフトを与える。この動作状態が確立された後に、電流Ia、Ib、Icが、後続のステップS608において再び測定される。
ステップS609では、本方法は、枝分かれしてステップS607に戻る。ステップS607では、相a、b、cの、互いに対する位相関係が、これらの相のうち、異なっている1つの相が、これから同じ方向の2つの相に対して逆に動作するように、ここで変更される。この状況は、図6cの等価回路図に表されており、そこでは相aおよびcが一緒に、すなわち、第1の電圧源10から同相で動作し、相bは、電圧源10’から180度の位相シフトで動作する。電流Ia、Ib、Icを測定して、保存するステップS608が、再度通しで実行される。ステップS609が再度通しで実行されるたびに、位相関係の、あり得る順列がすべて、ここで検査されたかどうかが問い合わせされる。そうでない場合には、現在の最後の順列を構成するために、本方法は、枝分かれして再びステップS607に戻る。なお、現在の最後の順列は、図6dの等価回路図に表されている。この組み合わせでは、相aおよびbが、電圧源10から同相で動作し、相cが、電圧源10’から逆に動作する。電流Ia、Ib、Icが、ステップS608において再度測定され、本方法は、次にステップS610に継続される。
各場合において、相のうちの1つが他の2つの相に対して位相シフトしていることにより、図5aおよび図5bでなされた、電流が2つのキャパシタンス62を通って流れないという仮定は、もはや、図6b〜図6dに図示された動作状況に当てはまらない。もっと正確に言えば、ここでは、様々な組み合わせで第1のキャパシタンス61と第2のキャパシタンス62との間で電荷が反転する結果として、変位電流が確立される。確立された電流は、キャパシタンス値に関連付けることができる。その結果、連立方程式が得られ、この連立方程式は、個々の動作状況における第1のキャパシタンス61および電流Ia、Ib、Icがいずれもわかっている場合には、キャパシタンス62のキャパシタンス値に従って解くことができる。ステップS610で連立方程式を解いた結果として、次に、第2のキャパシタンス62が決定される。
ステップS607およびS608で図示された方法で、あり得る3つの順列がすべて構成され、かつ、測定されるのであれば、連立方程式は、3つの第2のキャパシタンス62について重複決定される。この重複決定された性質により、測定結果の質、したがって測定結果の有意性を推定することが可能になる。原則として、3つのキャパシタンス62のキャパシタンス値を決定できるようにするには、ステップS607およびS608で2つの順列を測定すれば十分であろう。
ステップS610での評価の間、インダクタンス63は無視される。なぜなら、ネットワーク周波数で測定を行う際には、インダクタンスは通常、測定された値に影響がないように、または影響が無視できるほどであるように、大きさが決められているからである。しかしながら、原則として、図3のステップS6で行われた測定を、インダクタンス63の影響をもはや無視することができない高い周波数で、追加で行うことが可能である。高い周波数での測定結果を、ネットワーク周波数での測定結果と比較すると、次に、インダクタンス63の大きさを決定することがさらに可能になる。出力電流フィルタ6に、例えば、インバータブリッジの出力と第1のインダクタンス61の接続部との間に、さらなるインダクタンスを設けてもよいことにも留意されたい。これらのインダクタンスもまた、最初は微々たるものだが、図5bに図示された、第1のキャパシタンス61のキャパシタンス値を決定するための方法を様々な周波数で行えば、決定することができる。
本方法の代替的な構成では、特に、決定されたキャパシタンス値が、予期された範囲を外れている場合には、図3によるステップS6における測定が繰り返し行われるようにしてもよい。これは、図5aによる中間回路キャパシタンス21、22のキャパシタンス値を決定するのに有利である。電解キャパシタは、比較的コスト効率が良く、その体積および重量に基づいた大容量のキャパシタンスを供給するので、中間回路キャパシタンス21、22を供給するのに使用される場合が多い。氷点下の極低温では、電解キャパシタは、電解質の物理的状態の変化が原因でキャパシタンスを急激に消失することがある(電解質の「凍結」)。インバータの調整特性は、このような小さなキャパシタンス値に設定されないので、このような状態でPVシステムを動作させることは、ほとんど不可能であるだけでなく、凍結状態で高パルス電流が負荷されると、電解キャパシタを破壊するおそれがあるので、危険でもある。
しかしながら、図5aの測定方法実行中に中間回路キャパシタンス21、22と、出力電流フィルタ6のキャパシタンス61と、の間に起こる連続的な荷電の反転により、電力損が熱の形態で、中間回路キャパシタ21、22に蓄積される。インバータ9のこの動作状態が比較的長い時間にわたって続けば、中間回路キャパシタ21、22が、徐々に、しかも制御された方法で加熱されるので、その結果、再び元のキャパシタンス値まで戻る。したがって、図5aに示される方法を繰り返して、特に、事実上連続的に行えば、キャパシタンス21、22の測定されたキャパシタンスの変化をステップS603で観察することができる。
2つの異なった状況について、図7において、図7a、図7bの2つに分けて、これが図示されている。グラフはそれぞれ、進行する時間tにともなうキャパシタンス値Cの時間曲線72および73を図示している。中間回路キャパシタンス21、22のうちの1つの、測定されたキャパシタンス値Cが縦軸に図示され、時間tが横軸に図示されている。
図5aに従って第1の測定が行われた時間t=0においては、中間回路キャパシタ21、22のキャパシタンスCは、PVシステムを動作させるのに必要な最小キャパシタンスCminを大幅に下回っている。測定されたキャパシタンスCは、時間tの経過とともに増加を続け、必要最小値Cminを超過し、漸近的に公称キャパシタンス値Cnennに近づいていく。図5aに従ってキャパシタンスを連続的に決定する際に、このような挙動が観察される場合には、「凍結した」中間回路キャパシタンス21、22は、測定方法の実行中に、中間回路2の対応するキャパシタの温度が、PVシステムの給電モードをその時実行可能である程度まで上昇していると推論することができる。
図7bに図示された例では、時間t=0で1回目の測定方法の実行中に、同程度に小容量のキャパシタンスCが、中間回路キャパシタンス21および22について測定されている。測定方法を比較的長時間実行した後であっても、このキャパシタンスCは大きくは変化せず、PVシステムを動作させるのに必要な最小キャパシタンスCmin未満にとどまっている。最大測定時間を規定する既定の期間が終了した後に、図7bの場合では、中間回路キャパシタンス21、22について低キャパシタンスが観察されたのは、使用されているキャパシタの1つまたは複数に不具合があり得るためであって、凍結が原因ではないと推論することができる。それに応じて、図3のステップS8に従って、不具合メッセージが出力されれば、インバータ9の始動プロセスが異常終了されることになる。
1 PV発生器
2 中間回路
3 インバータブリッジ
4 電流測定センサ
5 制御装置
6 出力電流フィルタ
7 ACスイッチング素子
8 エネルギー供給ネットワーク
9 インバータ
10、10’電圧源
21、22 中間回路キャパシタンス
31、32 半導体スイッチ
51 評価部
61 第1のキャパシタンス
62 第2のキャパシタンス
63 インダクタンス
64 中性点
71、72、73 キャパシタンス曲線
Ia、Ib、Ic 電流
La、Lb、Lc 相導体
N 中性線
NP ゼロ点(基準電位)
C キャパシタンス値
Cnenn 公称キャパシタンス
Cmin 最小キャパシタンス
S1〜S11 方法ステップ
S601〜S603 方法ステップ
S604〜S606 方法ステップ
S607〜S610 方法ステップ

Claims (15)

  1. 交流電流側にある出力電流フィルタ(6)であって、スイッチング素子(7)を介して多相エネルギー供給ネットワーク(8)に接続され、直流電流側で少なくとも1つの中間回路キャパシタンス(21、22)に対応付けられている出力電流フィルタ(6)を備える多相インバータ(9)を備える光起電力システムの、キャパシタンス(21、22、61、62)のキャパシタンス値を決定するための方法において、以下のステップ、すなわち、
    − 前記スイッチング素子(7)を開くことにより前記エネルギー供給ネットワーク(8)から前記光起電力システムを切断するステップと、
    − 前記インバータ(9)を動作させて、アイランドネットワークと、前記インバータ(9)のインバータブリッジ(3)の少なくとも2つの出力に印加される同相のAC電圧と、前記少なくとも1つの中間回路キャパシタンス(21、22)と前記出力電流フィルタ(6)との間で生成される電流の通電と、を構成するステップと、
    − 前記インバータブリッジ(3)の前記出力で流れる電流(Ia、Ib、Ic)、およびキャパシタンス(21、22、61、62)に存在する少なくとも1つの電圧を測定するステップと、
    − 前記決定された電圧および前記測定された電流(Ia、Ib、Ic)を使用して、前記キャパシタンス(21、22、61、62)のキャパシタンス値を決定するステップと、
    を有することを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記光起電力システムの前記中間回路キャパシタンス(21、22)のうちの少なくとも1つの両端の前記電圧が測定され、前記少なくとも1つの中間回路キャパシタンス(21、22)の前記キャパシタンス値が、前記電圧のリップルのレベルおよび前記測定された電流(Ia、Ib、Ic)から決定されることを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記出力電流フィルタ(6)の少なくとも1つの第1のキャパシタンス(61)の両端の前記電圧が決定され、前記少なくとも1つの第1のキャパシタンス(61)の前記キャパシタンス値が、前記決定された電圧および前記測定された電流(Ia、Ib、Ic)から決定されることを特徴とする方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、AC電圧が、前記インバータ(9)の前記インバータブリッジ(3)のすべての出力に同相で印加されることを特徴とする方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、前記出力電流フィルタ(6)の少なくとも1つの第2のキャパシタンス(62)の両端の前記電圧が決定され、前記少なくとも1つの第2のキャパシタンス(62)の前記キャパシタンス値が、電圧および電流(Ia、Ib、Ic)のうちの少なくとも2つの測定を使用して決定され、前記少なくとも2つの測定が、前記インバータブリッジ(3)の前記出力における前記AC電圧の位相関係を変えて行われることを特徴とする方法。
  6. 三相インバータ(9)において行われる請求項5に記載の方法において、同相のAC電圧が、前記少なくとも2つの測定のそれぞれにおいて前記インバータブリッジ(3)の2つの出力にそれぞれ印加され、かつ、位相角に関して前記同相のAC電圧とは異なっているAC電圧が、前記インバータブリッジ(3)の第3の出力に印加されることを特徴とする方法。
  7. 請求項6に記載の方法において、前記第3の出力に印加された前記AC電圧が、前記インバータブリッジ(3)の他の2つの前記出力に印加された前記AC電圧に対して180度の位相角を有することを特徴とする方法。
  8. 請求項5または6に記載の方法において、3つの測定が行われ、前記測定のそれぞれにおいて、前記位相角に関して異なっているAC電圧が、前記インバータブリッジ(3)の前記出力のうちの異なっている1つに印加されることを特徴とする方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、決定されたキャパシタンス値(C)が、既定された最小キャパシタンス値(Cmin)と比較され、前記最小キャパシタンス値(Cmin)未満のキャパシタンス値(C)が、報知されることを特徴とする方法。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、決定されたキャパシタンス値(C)が保存され、以前に保存されたキャパシタンス値と比較されることを特徴とする方法。
  11. 請求項10に記載の方法において、前記キャパシタンス値の変化率が、前記決定されたキャパシタンス値(C)および少なくとも1つの保存されたキャパシタンス値から決定され、前記キャパシタンスを供給している前記キャパシタの耐用寿命が、前記変化率を使用して推定されることを特徴とする方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記インバータ(9)の始動プロセスの間に繰り返し行われることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法において、前記決定された中間回路キャパシタンス(21、22)が変化すると、前記方法が前記中間回路(2)のキャパシタを加熱する目的で行われることを特徴とする方法。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載の方法において、前記出力電流フィルタ(6)の少なくとも1つのインダクタンス(63)のインダクタンス値を決定するために、前記インバータブリッジ(3)の前記出力における前記AC電圧の様々な周波数について行われることを特徴とする方法。
  15. エネルギー供給ネットワーク(8)への接続用の多相インバータ(9)であって、評価部(51)を有する制御装置(5)を備える多相インバータ(9)において、
    前記制御装置(5)が、前記評価部(51)と共に、請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法を行うように構成されていることを特徴とする多相インバータ(9)。
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