JP2016539194A - コーティング材料組成物、およびそれらから生成される低温硬化コーティング、ならびにその使用方法 - Google Patents

コーティング材料組成物、およびそれらから生成される低温硬化コーティング、ならびにその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、(A)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーおよび/またはポリマー化合物(A)と、(B)少なくとも2つのアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を有する、少なくとも1種のオリゴマーおよび/またはポリマー化合物(B)と、(D)架橋のための、少なくとも1種の触媒(D)とを含む非水性コーティング材料組成物であって、化合物(B)が、式(I’)のアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基【化1】(式中、#は、ポリマー骨格との結合を表し、R1、R2は、互いに独立に、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C1〜C4アルキルであり、R3は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C1〜C4アルキルであり、Aは、化学結合、またはC1〜C4アルカンジイルであり、Xは、OまたはNR7であり、Zは、化学結合、PO2、SO2、またはC=Oであり、Yは、化学結合、CH2、またはCHCH3であり、R7は、存在する場合、C1〜C6アルキルである)を少なくとも2つ含む、非水性コーティング材料組成物に関する。本発明により、さらにコーティング材料組成物から製造されたコーティング、およびその使用方法が得られた。

Description

本発明は、少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有化合物(A)と、少なくとも2つのアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を有する少なくとも1種の化合物(B)とを含む、非水性コーティング材料組成物に関する。本発明はさらに、これらのコーティング材料組成物から生成されるコーティング、ならびに、より好ましくは、自動車OEM塗装、自動車補修塗装、および車両内または車両上に取り付ける部品やプラスチックのコーティングのための、該コーティングの使用方法を提供する。
ポリウレタン(PU)系のコーティング材料組成物は、数えきれない分野において、より好ましくは、自動車OEM塗装および自動車補修塗装のために使用されている。すべてのそのようなポリウレタンに共通しているのは、それらが、ポリアミンまたはポリオールと多官能イソシアネートとの重付加反応により製造されることである。ポリアミンおよび/またはポリオール成分の巧みな選択によって、得られるポリウレタンの特性のプロファイルを調整することができる。
分かっている欠点は、多官能イソシアネートの高い反応性であり、これは、湿気に対する高い感受性をもたらす。多官能イソシアネートは、無水条件下でかなりの期間、貯蔵することができるが、硬化の間に水との反応が起こるので、非常に乾燥した状態での作業を必要とする。湿気に対する感受性の他に、芳香族イソシアネートは特に、変色の傾向がある。別の問題は、ある種のジイソシアネートによって引き起こされる健康問題である。したがって、ジイソシアネートは、皮膚との接触または吸入時に、アレルギーを引き起こす可能性があることが知られている。このような理由で、揮発性が低いのでより扱いやすいジイソシアネートのオリゴマーが開発されてきた。言うまでもなく、先行技術から既知のポリイソシアネートの代替物が根本的に必要である。
以下でエキソビニレンカーボネートとも呼ぶ、アルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オンは、文献、例えば、DE1098953、DE3433403、EP837062、JP2006137733、JP2008222619、J.Org.Chem.2007、72、647〜649、Angew.Chem.2009、121、4258〜4261、Eur.J.Org.Chem.2007、2604〜2607、Eur.J.Org.Chem.2008、2309〜2312、およびOrg.Lett.2006、8、515〜518における様々な箇所に記載されている。アルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オンは、そこでは、活性成分および有効物質を製造するための合成ビルディングブロックとして提示されている。
WO2011/157671は、アミン系硬化剤と合わせたアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オンの、エポキシ樹脂組成物中の添加剤としての使用を記載している。
WO96/26224は、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレン性不飽和コモノマーとの共重合を記載している。この反応において得られるポリマーは、1,3−ジオキソラン−2−オン基を有し、アミノ官能性架橋剤と共に、コーティングの製造に使用される。
EP−B−1448619は、エチレン性不飽和コモノマーと重合して、アルキルオキシカルボニル単位を介して結合する1,3−ジオキソラン基を有するコポリマーを形成する、4−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−1,3−ジオキソラン−2−オンを開示している。そのポリマーを、アミン系化合物と反応させ、ウレタン基およびヒドロキシル基を有するグラフトポリマーを与える。そのグラフトポリマーは、コーティング材料、より好ましくは、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、シラン基、アセトアセテート基、ビニル基、およびアクリレート基などの反応基を有する従来の化合物によって高温で硬化するクリアコートにおいて使用される。
さらに、WO2012/130718は、コーティング材料組成物中でジアミンまたはポリアミンと共に使用される、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートおよび(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレートをベースにしたポリマーを開示している。
しかし、先行技術から既知である1,3−ジオキソラン−2−オン基を有するポリマーの反応性は、特に、アルコールとの反応に関連して、要求を満たすものではない。さらに、1,3−ジオキソラン−オンと、例えば、アミンまたはアルコールとの反応で、様々な適用において欠点となりうるヒドロキシル基が形成される。
まだ未公開の国際特許出願PCT/EP2013/056716は、重合可能なアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オンモノマー、それらの製造、および対応するホモポリマーまたはコポリマーを製造するためのそれらの使用、ならびに、2K[二成分]コーティング材料組成物における、架橋剤成分としてのそれらの使用を記載している。これらのカーボネート基含有ポリマーの架橋のために、特に、アミノ含有化合物が、ヒドロキシル基含有化合物以外に使用される。そこで特定されているアルコール系硬化剤は、アルコール、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレンおよびトリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ジグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ならびに、糖アルコール、例えば、ソルビトールおよびマンニトールであるが、より高い分子質量のヒドロキシル基含有化合物は、記載されていない。
DE1098953 DE3433403 EP837062 JP2006137733 JP2008222619 WO2011/157671 WO96/26224 EP−B−1448619 WO2012/130718 国際特許出願PCT/EP2013/056716
J.Org.Chem.2007、72、647〜649 Angew.Chem.2009、121、4258〜4261 Eur.J.Org.Chem.2007、2604〜2607 Eur.J.Org.Chem.2008、2309〜2312 Org.Lett.2006、8、515〜518
したがって、本発明は、硬化のために、ポリイソシアネートの添加も、メラミンホルムアルデヒド樹脂の添加も必要のないコーティング材料組成物を提供することを目的とする。さらに、優れた反応性を有し、したがって、自動車OEM塗装および自動車補修塗装区分、ならびに、商用車の塗装、および自動車内および自動車上に取り付ける部品の塗装の区分において通例の硬化条件下で、充分に架橋したコーティング(塗膜)が得られる、コーティング材料組成物を得ることを目的とする。
さらに、該コーティング材料組成物は、特に、過剰焼き付けの場合に、できるだけ固有の色を有しないコーティングをもたらすべきである。さらに、該コーティング材料組成物はまた、自動車OEM塗装および自動車補修塗装においてクリアコート塗膜に典型的に課される要件を満たすべきである。
最後に、該コーティング材料組成物は、簡単にかつ極めて再現性よく製造することができるべきであり、コーティング材料の適用の間、いかなる環境問題も起こすべきではない。
上記の目的を達成するため、本発明者等は、
(A)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーおよび/またはポリマー化合物(A)と、
(B)少なくとも2つのアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を有する、少なくとも1種のオリゴマーおよび/またはポリマー化合物(B)と、
(D)架橋のための、少なくとも1種の触媒(D)と
を含む非水性コーティング材料組成物であって、
化合物(B)が、式(I’)のアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基
Figure 2016539194
(式中、#は、ポリマー骨格との結合を表し、
、Rは、互いに独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキルであり、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキル、より好ましくは、Rは水素であり、
Aは、化学結合、またはC〜Cアルカンジイル、より好ましくは、AはC〜Cアルカンジイルであり、
Xは、OまたはNRであり、
Zは、化学結合、PO、SO、またはC=O、より好ましくは、ZはC=Oであり、
Yは、化学結合、CH、またはCHCH、より好ましくは、Yは化学結合であり、
は、存在する場合、C〜Cアルキルである)
を少なくとも2つ含む、非水性コーティング材料組成物を見出した。
加えて、本発明は、これらのコーティング材料組成物を使用する多段階コーティング法、クリアコートとしてのコーティング材料組成物の使用方法、ならびに、自動車OEM塗装、自動車補修塗装、および/または自動車内または自動車上に取り付ける部品、および/またはプラスチック基材、および/または商用車のコーティングのためのコーティング法の適用を提供する。
驚くべきことに、式(I’)のアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を少なくとも2つ有する化合物(B)は、1,3−ジオキソラン−2−オン基を有する先行技術のポリマーと比較して、非常に顕著に高まった反応性を有し、ヒドロキシル基含有硬化剤と共に、自動車OEM塗装および自動車補修塗装の区分、ならびに、自動車内または自動車上に取り付ける部品の塗装、および商用車の塗装の区分において通例の硬化条件下で、得られるコーティングの充分な架橋を確実にすることが今や判明した。
本発明のコーティング材料組成物のさらなる特徴は、それらが、硬化のためにポリイソシアネートおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂を添加することを必要とせず、したがって、特にコーティング材料の適用の間の、これらの毒性および/または刺激性化合物に関連した環境問題を回避することができることである。
加えて、該コーティング材料組成物は、とりわけ過剰焼き付けの場合に、固有の色を極力有しないコーティングをもたらす。さらに、該コーティング材料組成物はまた、自動車OEM塗装および自動車補修塗装においてクリアコート塗膜に典型的に課される要件を満たす。
最後に、該コーティング材料組成物は、簡単にかつ非常に良好な再現性で製造することができる。
本発明のコーティング材料
本発明の目的のために、別段の指示がない限り、不揮発分(NVF、固体)の測定の各場合において、一定の条件が選択された。不揮発分の測定のために、1gの量の各サンプルが固形蓋に塗布され、130℃で1時間加熱され、次いで、室温に冷却され、再び秤量される。(ISO3251に従って)。測定は、例えば、本発明のコーティング組成物に存在する対応するポリマー溶液および/または樹脂の不揮発分で行われ、それによって、2つ以上の成分の混合物中の各構成成分または全コーティング組成物の質量分率を調整し、それを測定することを可能にした。
本発明の目的のために、ヒドロキシル価またはOH価は、1グラムの当該の構成成分のアセチル化の間に結合された酢酸のモル量に等しい、水酸化カリウムの量(ミリグラム単位)を示す。本発明の目的のために、ヒドロキシル価は、別段の指示がない限り、DIN53240−2[ヒドロキシル値の測定−第2部:触媒を用いる方法(Determination of hydroxyl value−Part 2:Method with catalyst)]に従って、滴定によって実験的に測定される。
本発明の目的のために、酸価は、1gの各構成成分を中和するのに必要とされる水酸化カリウムの量(ミリグラム単位)を示す。本発明の目的のために、酸価は、別段の指示がない限り、DIN EN ISO2114に従って、滴定によって実験的に測定される。
本発明の目的のために、質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、高速液体クロマトグラフィーポンプおよび示差屈折率検出器を使用する、35℃でのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。使用された溶離液は、溶離速度が1ml/分である、0.1体積%酢酸を含有するテトラヒドロフランであった。校正は、ポリスチレン標準によって行う。
本発明の目的のために、ガラス転移温度Tgは、DIN51005「熱分析−用語(Thermal Analysis(TA)−Terms)」、およびDIN53765「熱分析−示差走査熱量測定(Thermal Analysis−Differential Scanning Calorimetry(DSC))」に基づいて実験的に測定される。これは、10mgのサンプルを、サンプル容器に量り取り、DSC装置中に導入することを含む。その装置は、開始温度に冷却され、その後、第1の測定運転および第2の測定運転が、50ml/分の不活性ガスフラッシング(N)下で、10K/分の加熱速度で行われ、測定運転の間に開始温度に冷却される。測定は、典型的には、予想されるガラス転移温度よりも約50℃低い温度からガラス転移温度よりも約50℃高い温度までの範囲で行なわれる。本発明の目的のために、記録されるガラス転移温度は、DIN53765の項目8.1に準拠して、比熱容量(0.5Δcp)が半分変化する、第2の測定運転における温度である。この温度は、DSCプロット(温度に対する熱流のプロット)から測定され、測定プロットを有するガラス転移前およびガラス転移後の外挿基線間の中心線の交点の温度である。
本発明の目的のために、(A)と(B)と任意に(C)と触媒(D)とのバインダー混合物の架橋開始温度は、動的機械分析(DMA)によって実験的に測定される。この方法は、例えば、DIN EN ISO6721−1に記載され、この基準におけるその方法は、プラスチックの動的機械特性の測定との関連で説明される。DMAにおいては、周波数および温度の関数として、サンプルの粘弾性(すなわち、測定された貯蔵弾性率E’で表される硬さ、および測定された損失弾性率E’’で表される、振幅ごとに消散する仕事)を検出するために、振動力がサンプルに加えられる。材料が硬いほど、貯蔵弾性率は高くなる、すなわち、その材料は、弾性変形に対してより高い抵抗性を示す。例えば、(A)と(B)と任意に(C)と(D)との本発明のバインダー混合物のような、架橋性ポリマー鎖の組成について、硬さは、個々のポリマー鎖が互いに架橋し始めて、したがって個々のポリマー鎖の混合物から複雑なネットワークまたは塗膜が形成されたときに高まる。本発明の目的のために、貯蔵弾性率は、温度を連続的に上昇させながら一定の振幅および周波数の正弦波振動をサンプルに負荷することによる、DMAによって測定した。本発明の目的のために、貯蔵弾性率が上昇し始める温度が、バインダー混合物の架橋開始温度として特定される。測定は、Triton Technology製のTriton2000Dという装置を使用して実施した。この場合において、測定する(A)と(B)と任意に(C)と触媒(D)(固体50%、酢酸ブチルで調整される)の各バインダー混合物1gを、測定装置に固定されたグラスファイバーメッシュに載せ、サンプルへの正弦波負荷(線形測定範囲において一定の周波数、一定の振幅)下で、毎分2℃温度を上昇させながら貯蔵弾性率E’が測定される。測定は、通常、サンプルに適した約2〜200℃の温度範囲で行われる。次いで、架橋開始温度は、貯蔵弾性率/温度線図からのグラフによって測定され、架橋開始前の貯蔵弾性率の外挿基線と、架橋開始後の貯蔵弾性率の準線形上昇範囲から得られる外挿直線との交点の温度である。このようにして、架橋開始温度は、±2℃の精度で容易に測定することができる。
ポリヒドロキシル基含有化合物(A)
1分子あたり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、オリゴマーおよび/またはポリマーである、当業者に既知のすべての化合物を、ポリヒドロキシル基含有化合物(A)として使用することができる。成分(A)として、異なるオリゴマーおよびポリマーポリオールの混合物を使用することもできる。
好ましいオリゴマーおよび/またはポリマーポリオール(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された、Mn≧300ダルトン、好ましくはMn=400〜30000ダルトン、より好ましくはMn=500〜15000ダルトンの数平均分子量、およびMw>500ダルトン、好ましくは800〜100000ダルトンの間、より好ましくは900〜50000ダルトンの質量平均分子量を有する。
ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールおよび/またはポリメタクリレートポリオール、およびこれらのコポリマー(以下、ポリアクリレートポリオールと呼ぶ)、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、ならびにそれらのポリオールの混合物が好ましい。
ポリオール(A)は、好ましくは、30〜400mgKOH/g、より好ましくは70〜300mgKOH/gのOH価を有する。ポリ(メタ)アクリレートコポリマーの場合、OH価は、用いられるOH官能モノマーに基づく計算によって充分に正確に測定することもできる。
ポリオール(A)は、好ましくは、0〜30mgKOH/gの酸価を有する。驚くべきことに、ポリオール(A)の酸価が低いほど、架橋反応が開始する温度(開始温度)が低くなることが判明したので、0〜10mgKOH/g、好ましくは0〜5mgKOH/g、非常に好ましくは1mgKOH/g未満の酸価を有するポリオールがより好ましくは使用される。
DIN−EN−ISO11357−2に従ってDSC測定により測定されるポリオールのガラス転移温度は、好ましくは−150〜100℃の間、より好ましくは−120℃〜80℃の間である。
ポリウレタンポリオールは、好ましくは、オリゴマーポリオール、より好ましくはポリエステルポリオールプレポリマーと、適切なジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応によって製造され、例えば、EP−A−1273640に記載されている。より好ましくは、ポリエステルポリオールと、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとの反応生成物が使用される。
本発明に従って好ましくは使用されるポリウレタンポリオールは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、Mn≧300ダルトン、好ましくはMn=700〜2000ダルトン、より好ましくはMn=700〜1300ダルトンの数平均分子量、および好ましくは、Mw>500ダルトン、好ましくは1500〜3000ダルトンの間、より好ましくは1500〜2700ダルトンの間の質量平均分子量を有する。
適切なポリシロキサンポリオールは、例えば、WO−A−01/09260に記載されており、そこに挙げられているポリシロキサンは、好ましくはさらなるポリオール、より好ましくは相対的に高いガラス転移温度を有するポリオールと組み合わせて用いることができる。
ポリヒドロキシル基含有化合物(A)として、特に好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリメタクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、またはそれらの混合物、非常に好ましくは、ポリエステルポリオール、またはポリエステルポリオールとポリ(メタ)アクリレートポリオールとの混合物が使用される。
本発明に従って好ましくは使用されるポリエステルポリオールは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、Mn≧300ダルトン、好ましくはMn=400〜10000ダルトン、より好ましくはMn=500〜5000ダルトンの数平均分子量、および好ましくは、Mw>500ダルトン、好ましくは800〜50000ダルトンの間、より好ましくは900〜10000ダルトンの間の質量平均分子量を有する。
本発明に従って好ましくは使用されるポリエステルポリオールは、好ましくは、30〜400mgKOH/g、より好ましくは100〜300mgKOH/gのOH価を有する。
本発明に従って好ましくは使用されるポリエステルポリオール(A)は、好ましくは、30mgKOH/gの酸価を有する。驚くべきことに、ポリオール(A)の酸価が低いほど、架橋反応が開始する温度(開始温度)が低くなることが判明したので、0〜25mgKOH/g、好ましくは0〜5mgKOH/g、非常に好ましくは1mgKOH/g未満の酸価を有するポリオールがより好ましくは使用される。
一般的に言えば、ポリエステルは、多価有機ポリオールおよび多塩基性有機カルボン酸を使用して製造される、有機ポリマー化合物である。これらのポリオールおよびポリカルボン酸は、エステル化、換言すると縮合反応によって互いに結合する。したがって、ポリエステルは、一般に、重縮合樹脂の群に属する。出発成分の性質、官能性および用いられる割合、および比率に応じて、例えば、直鎖状または分枝状の生成物が得られる。直鎖状の生成物は、主として二官能性の出発成分(ジオール、ジカルボン酸)を使用した場合に生じるが、分枝は、例えば、より高い多官能性のアルコール(2より大きいOH官能価、すなわち、1分子あたりのOH基の数)を使用することによって得られる。もちろん、その製造に際して、一官能性の成分、例えば、モノカルボン酸の部分的な使用も可能である。既知のように、ポリエステルは、対応する有機カルボン酸の代わりにまたはそれに加えて、カルボン酸の無水物、より好ましくはジカルボン酸の無水物を使用して製造することもできる。同様に、ヒドロキシカルボン酸、またはヒドロキシカルボン酸から分子内エステル化により誘導されたラクトンの使用による製造も可能である。
ごく一般的に、ポリエステルの製造において、例えば、脂肪族ポリカルボン酸および脂肪族ポリオールである、ポリカルボン酸およびポリオールを用いることができる。
脂肪族化合物は、既知のように、飽和または不飽和である非環式または環式炭化水素化合物である。したがって、用語「脂肪族化合物」は、非環式および環式脂肪族化合物を包含し、本発明に関連して、対応する総称としても妥当である。本発明の目的のために、環式でない脂肪族化合物を、非環式脂肪族化合物と呼び、環式の脂肪族化合物を、脂環式化合物と呼ぶ。非環式脂肪族化合物は、直鎖状または分枝状であってよい。直鎖状とは、既知のように、当該化合物が炭素鎖に関連して分枝を有さず、代わりに、炭素原子が鎖中で直鎖状の並びでのみ配置されていることを意味する。したがって、分枝状または非線形とは、本発明においては、当該の特定の化合物が炭素鎖中に分枝を有すること、すなわち、各化合物中の少なくとも1つの炭素原子が第三級炭素原子であることを意味する。脂環式化合物とは、既知のように、存在する少なくとも一部の炭素原子が、1つまたは複数の環を形成するように分子において結合している化合物を指す。もちろん、1つまたは複数の環に加えて、他の非環式の直鎖状または分枝状脂肪族基が存在していてもよい。
したがって、用語「脂肪族ポリカルボン酸」を、そのカルボン酸基に加えて脂肪族基を有する、すなわち、カルボン酸基および脂肪族基からなるポリカルボン酸に適用する。この用語の形態は、本発明に関連して特定されるすべての他の化合物クラス、例えば、既に記載のポリオールについても妥当である。
同様に、芳香族ポリカルボン酸および芳香族ポリオール、またはその化合物クラスを特定する官能基と同様に(直鎖状、分枝状および/または環状の)脂肪族基も芳香族基も有するポリカルボン酸およびポリオールの使用も可能である。また、直鎖状、分枝状および/または環状の脂肪族および/または芳香族ヒドロキシカルボン酸ならびにラクトン、すなわち、その化合物クラスを特定する官能基に加えて直鎖状、分枝状および/または環状の脂肪族および/または芳香族基を有するヒドロキシカルボン酸およびラクトンの使用も可能である。
適切なジオールは、例えば、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、および他のジオール、例えば、1,4−ジメチロールシクロヘキサンまたは2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである。本発明に従って使用されるポリエステルが、合成成分としてのジオールを含む場合、上述のジオールは、好ましくは、唯一の存在するジオールである。
適切なより高い多官能性のアルコール(2より大きいOH官能価)は、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、およびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである。上述のより高い多官能性のアルコールは、好ましくは、唯一の存在する、より高い官能性のアルコールである。特に好ましくは、本発明に従って使用されるポリエステルは、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、および/またはペンタエリトリトールを含む。
ポリエステルの酸成分は、一般に、分子中に2〜44個、好ましくは4〜36個の炭素原子を有するジカルボン酸またはその無水物を含む。適切な酸の例は、例えばo−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、シクロヘキサンカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ヘキサクロロヘプタンジカルボン酸、テトラクロロフタル酸および/または二量体脂肪酸である。これらの酸の代わりに、それらの無水物も、存在する場合に使用できる。
3つ以上のカルボキシル基を有するより高い多官能性のカルボン酸(または対応する無水物)、例えば、トリメリト酸無水物を使用することもできる。
例えば、モノカルボン酸、例えば、不飽和脂肪酸を部分的に使用することも任意に可能である。同様に、カルボキシル基が第三級C原子と結合している飽和脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステルを部分的に使用することも可能である。ここでは、より好ましくは、Versatic酸のグリシジルエステルを企図する。このエステルは、例えば、商品名Cardura(登録商標)E10で市販されている。飽和脂肪族モノカルボン酸のこれらのグリシジルエステルは、より好ましくは、本発明に従って使用されるポリエステルポリオール(A)の酸価を低くするために使用される。同様に、本発明に従って使用されるポリエステルポリオール(A)は、当業者に既知のように、カルボキシル残基を、カルボキシル基と反応する他の一官能性化合物、例えば、他のエポキシ化合物、アルコールまたはアミンと反応させることによって、低くすることもできる。
使用できるヒドロキシカルボン酸の例は、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸および/または12−ヒドロキシステアリン酸である。使用できるラクトンは、例えば、それ自体既知のβ−、γ−、δ−およびε−ラクトンである。
上記したモノマー化合物と同様に、例えば、既にポリマーである出発物質を使用することも可能であり、その出発物質は、例えば、ジオールとしては、それ自体既知であり、ラクトンと二価アルコールとの反応によって得られる、ポリエステルジオールである。
本発明に従って使用されるポリエステル(A)は、特に好ましくは、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートおよび/またはペンタエリトリトール、環式脂肪族ジカルボン酸の無水物および/または芳香族ジカルボン酸の無水物、および/またはVersatic酸のグリシジルエステルを合成成分として含む。
ポリエステルの製造は、手順の独自性を有さず、一般に、それ自体慣用でかつ既知の重合法、より好ましくは重縮合法を使用して、例えば、好ましくは50〜300℃の温度で、塊状または液体で実現され、そこでは、そのような方法に典型的な触媒、例えば、酸(例えば、濃硫酸)、ジブチルスズラウレート、または他のスズ系触媒、例えば、商品名Fascatとして入手可能な触媒(例えば、Fascat 4100)が任意に使用される。縮合反応から生成する水は、典型的には水分離器によって除去される。
適切なポリエステルポリオールは、例えば、EP−A−0994117およびEP−A−1273640にも記載されている。
本発明に従って使用されるポリ(メタ)アクリレートポリオールは、一般に、コポリマーであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、好ましくは、Mn≧300ダルトン、好ましくはMn=500〜15000ダルトン、より好ましくはMn=900〜10000ダルトンの数平均分子量、および好ましくは、500〜20000ダルトンの間、より好ましくは1000〜15000ダルトンの質量平均分子量Mwを有する。
該コポリマーのガラス転移温度は、一般に、−100〜100℃の間、より好ましくは60℃〜20℃未満の間(DIN−EN−ISO11357−2に従ってDSC測定により測定される)である。
ポリ(メタ)アクリレートポリオールは、好ましくは、60〜300mgKOH/g、より好ましくは70〜200mgKOH/gのOH価、および0〜30mgKOH/gの酸価を有する。
ヒドロキシル価(OH価)および酸価は、上記の通り測定される(DIN53240−2およびDIN EN ISO2114)。
使用されるヒドロキシ基含有モノマービルディングブロックは、好ましくは、ヒドロキシアクリルアクリレートおよび/またはヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば、より好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、特に4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび/または4−ヒドロキシブチルメタクリレートである。
ポリ(メタ)アクリレートに使用されるさらなるモノマービルディングブロックは、好ましくは、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレート、例えば、好ましくはエチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレートもしくはラウリルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート、および/またはシクロアルキルメタクリレート、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、あるいは、特にシクロヘキシルアクリレート、および/またはシクロヘキシルメタクリレートである。
ポリ(メタ)アクリレートポリオールのためのさらなるモノマービルディングブロックとして、ビニル芳香族炭化水素、例えば、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、もしくは特にスチレン、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアミドもしくはニトリル、ビニルエステルもしくはビニルエーテル、ならびに、少量で、特にアクリル酸および/またはメタクリル酸を使用することができる。
本発明のコーティング材料は、10〜69.99質量%、好ましくは20〜59.9質量%の
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリエステル(A)、もしくは
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリ(メタ)アクリレート(A)、もしくは、
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリウレタン(A)、もしくは
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリエステル(A)と少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリ(メタ)アクリレート(A)との混合物、もしくは
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリエステル(A)と少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリウレタンとの混合物、もしくは
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリ(メタ)アクリレート(A)と少なくとも1種の少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリウレタン(A)との混合物、もしくは
少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリエステル(A)と少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートと少なくとも1種のヒドロキシル含有ポリウレタン(A)との混合物
を好ましくは含み、
その分量は、各場合において、コーティング材料のバインダー分に対するものである[換言すると、式I’の官能基を有する本発明の化合物(B)のバインダー分と、ポリオール(A)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、触媒(D)の質量との合計質量に対するものである]。
ヒドロキシ含有化合物(C)
ヒドロキシル基含有成分(A)に加えて、本発明のコーティング材料組成物は、成分(A)とは異なる1種または複数のモノマー性ヒドロキシル含有化合物(C)を任意にさらに含むことができる。これらの化合物(C)は、好ましくは、各場合において該コーティング材料のバインダー分に対して[換言すると、式I’の官能基を有する本発明の化合物(B)のバインダー分と、ポリオール(A)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、触媒(D)の質量との合計質量に対して]0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%を占める。
低分子質量のポリオールが、ヒドロキシル含有化合物(C)として用いられる。
使用される低分子質量のポリオールは、例えば、ジオール、例えば、好ましくはエチレングリコール、ジ−およびtri−エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および1,2−シクロヘキサンジメタノール、ならびにポリオール、例えば、好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、およびジペンタエリトリトールである。そのような低分子質量のポリオールは、好ましくは、ポリオール成分(A)に対して少ない割合で混合される。
式(I’)のアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を少なくとも2つ有する化合物(B)
本発明に従って使用される化合物(B)が、式(I’)のアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基
Figure 2016539194
(式中、#は、ポリマー骨格との結合を表し、
、Rは、互いに独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキルであり、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキル、より好ましくは、Rは水素であり、
Aは、化学結合、またはC〜Cアルカンジイル、より好ましくは、AはC〜Cアルカンジイルであり、
Xは、OまたはNRであり、
Zは、化学結合、PO、SO、またはC=O、より好ましくは、ZはC=Oであり、
Yは、化学結合、CH、またはCHCH、より好ましくは、Yは化学結合であり、
は、存在する場合、C〜Cアルキルである)
を少なくとも2つ含有することが、本発明に不可欠である。
ヒドロキシル含有化合物(A)と組み合わせて、そのような化合物(B)は、イソシアネートに関連する欠点を有することなく、高い反応性を有する。したがって、それらは、数多くの適用、より好ましくは、自動車OEM塗装、自動車補修塗装、車両内または車両上に取り付ける部品およびプラスチックのコーティングのためのコーティング材料組成物への適用において多官能イソシアネートに代わる物として特に適している。
驚くべきことに、以下でより詳細に説明する化合物(B)は、アルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基、およびアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を保持しながら、さらなるエチレン性不飽和二重結合を有する、エチレン性不飽和モノマーを使用する重合によって製造できることが判明した。これは、文献の様々な箇所で、メチレン1,3−ジオキソラン−2−オンのメチレン基が、ラジカル条件下で、どのように重合を受けるかが記載されているので驚くべきことである(例えば、Journal of Network Polymer、Japan 2005、26、132〜137、Makromol.Chem.、Rapid Commun.1989、10、453〜456を参照されたい)。
以下、置換基および化学化合物を定義するのに使用する接頭語「C〜C」は、それぞれ、置換基または化合物中の可能なC原子の数を示す。
別段の指示がない限り、以下の一般的定義は、本発明の目的のために、置換基と関連して使用する用語に当てはまる。
「アルキル」は、例えば、1〜4個(C〜Cアルキル)、1〜6個(C〜Cアルキル)または1〜20個の炭素原子(C〜C20アルキル)を有する、直鎖または分枝状のアルキル基を意味する。C〜Cアルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、およびtert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)である。C〜Cアルキルの例は、C〜Cアルキルについて述べた定義に加えて、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、および1−エチル−2−メチルプロピルである。C〜C20アルキルの例は、C〜Cアルキルについて述べた定義に加えて、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、およびそれらの構造異性体である。
「C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル」は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であって、酸素を介してエーテル結合の形態で先に定義したC〜Cアルキル基と結合する、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n−ブトキシ、1−メチルプロポキシ(sec−ブトキシ)、2−メチルプロポキシ(イソブトキシ)または1,1−ジメチルエトキシ(tert−ブトキシ)と酸素原子を介して結合するアルキル基を意味する。例は、メトキシメチル、2−メトキシエチル、エトキシメチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピルである。
「C〜Cシクロアルキル」は、5〜6個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味する。例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
「フェニル−C〜Cアルキル」は、先に定義したC〜Cアルキル基と結合しているフェニル基を意味する。例は、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチルである。
「C〜Cアルカンジイル」は、1〜4個の炭素原子を有するアルカンジイルを意味する。例は、メタンジイル、1,1−エタンジイル、1,2−エタンジイル、1−メチル−1,1−エタンジイル、1−メチル−1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,1−ジメチル−1,2−エタンジイル、および1,2−ジメチル−1,2−エタンジイルである。
「C〜Cアルコキシ」は、1〜8個の炭素原子を有し、酸素原子を介して結合するアルコキシを意味する。例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n−ブトキシ、1−メチルプロポキシ(sec−ブトキシ)、2−メチルプロポキシ(イソブトキシ)、1,1−ジメチルエトキシ(tert−ブトキシ)、n−ペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、2−エチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、1−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、4−メチルペントキシ、1−エチルブトキシ、2−エチルブトキシ、3−エチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシ、1−エチル−2−メチルプロポキシ、および1−イソプロピルプロポキシである。
「C〜Cアルキルカルボニル」は、カルボニル基を介して結合している、先に定義したC〜Cアルキル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイルなどを意味する。
本発明の好ましい実施形態に関して、一般式Iの化合物および一般式I’の基における基R、R、R、R、R、R、R、R、A、X、ZおよびYは、互いに独立して、以下の定義の1つもしくは複数またはすべてを好ましくは有する:
は、水素またはC〜Cアルキル、より好ましくは、水素またはC〜Cアルキル、とりわけ、メチルまたはエチルを表し;
は、水素またはC〜Cアルキル、より好ましくは、C〜Cアルキル、とりわけ、メチルまたはエチルを表し;
は、水素を表し;
Aは、C〜Cアルカンジイル、より好ましくは、メタンジイル、1,2−エタンジイル、または1,3−プロパンジイル、より好ましくは1,2−エタンジイルを表し;
Xは、Oを表し;
Zは、C=Oを表し;
Yは、化学結合を表し;
は、水素またはC〜Cアルキル、より好ましくは、水素またはメチルを表し;
は、水素を表し;
は、水素を表し;
は、存在する場合、C〜Cアルキルを表し;
は、存在する場合、C〜Cアルキルを表す。
一般式Iの化合物は、一般に、以下に詳しく説明する方法により製造され、この方法では、一般式IIの化合物を一般式IIIの化合物と反応させる。
Figure 2016539194
式IIにおいて、L’は、水素またはヒドロキシル保護基もしくはアミノ保護基、例えば、C〜Cアルキルカルボニル基を意味する。可変物A、X、R、RおよびRは、より好ましくは、好ましいと述べた定義を有する。
式IIIにおいて、Lは、求核置換脱離基、例えば、ハロゲン、OHまたはC〜Cアルコキシである。可変物Y、Z、R、RおよびRは、より好ましくは、好ましいと述べた定義を有する。
式IIの化合物と式IIIの化合物との反応は、求核置換の既知の方法と同様に行うことができる。L’が、ヒドロキシル保護基またはアミノ保護基である場合、この保護基は、一般に、化合物IIと化合物IIIとの反応の前に除去されるか、またはこの保護基を脱離させる反応条件が選択され、その結果、実際の反応物は、L’が水素である一般式IIの化合物である。
本発明の好ましい実施形態によれば、式IIIでは、可変物Zは、C=Oを表し、可変物Lは、OHまたはC〜Cアルコキシを表す。この場合において、化合物IIIと化合物IIとの反応は、任意にヒドロキシル保護基またはアミノ保護基の除去後に、アミド化またはエステル化もしくはエステル交換反応として実現される。
とりわけ、エステル化またはエステル交換は、式Iの化合物(式中、Zは、C=Oであり、Xは、Oであり、Aは、C〜Cアルカンジイルであり、Rは、水素またはC〜Cアルキル、とりわけ、水素またはメチルであり、RおよびRは、水素である)の製造に適している。この場合において、式IIIの好ましい反応物は、アクリル酸およびメタクリル酸のC〜Cアルキルエステル(以下、(メタ)アクリル酸−C〜Cアルキルエステル)、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸−n−ブチルエステル、および(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、非常に好ましくは(メタ)アクリル酸−C〜Cアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、および(メタ)アクリル酸−n−ブチルエステルから選択される。
本発明の1つの特に好ましい実施態様によれば、式IIIにおいて、可変物Lは、OHまたはC〜Cアルコキシを表し、可変物ZはC=Oを表し、式IIにおいて、Xは、Oを表し、化合物IIと化合物IIIとの反応は、エステル化またはエステル交換の条件下で行われる。この実施形態の1つの特定形態において、式IIにおけるL’は、水素またはC〜Cアルキルカルボニル基、とりわけ、アセチル基を表す。
1つの好ましい実施形態において、式Iの化合物は、酵素触媒を用いるエステル化またはエステル交換によって製造される。
酵素触媒作用によるエステル化またはエステル交換は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Biotechnol.Lett.1990、12、825〜830、Biotechnol.Lett.1994、16、241〜246、US5240835、WO2004/05088またはDE102009003035に記載されている方法と同じように実施されてもよい。
酵素触媒作用によるエステル化またはエステル交換に使用できる酵素(E)は、例えば、遊離形態または担体に化学的もしくは物理的に固定された形態の、加水分解酵素、エステラーゼ(E.C.3.1.−.−)、リパーゼ(E.C.3.1.1.3)、グリコシラーゼ(E.C.3.2.−.−)およびプロテアーゼ(E.C.3.4.−.−)から選択され、好ましくは、リパーゼ、エステラーゼまたはプロテアーゼである。NovozymesからのNovozym(登録商標)435(Candida antarctica由来リパーゼB)、またはAspergillus属、Aspergillus niger属、Mucor属、Penicillium cyclopium属、Geotricum candidum属、Rhizopus javanicus、Burkholderia属、Candida属、Pseudomonas属、または豚膵臓由来のリパーゼが特に好ましく、Candida antarctica由来リパーゼB、またはBurkholderia属由来リパーゼがとりわけ好ましい。
反応媒体中の酵素含有量は、一般に、式IIおよび式IIIの用いられる反応物の合計に対して約0.1〜10質量%の範囲にある。
式Iの化合物は、酸触媒作用によるエステル化または酸もしくは塩基触媒作用によるエステル交換に通例の反応条件下で、従来のエステル化またはエステル交換により製造することもできる。
酸触媒作用によるエステル化に特に適した酸触媒は、プロトン酸、例えば、硫酸、硫酸水素ナトリウム、塩酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ピロリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、およびそれらの混合物である。また、ルイス酸、例えば、Ti化合物およびSn化合物も適している。加えて、酸性イオン交換樹脂、例えば、酸性形態での各場合において、スルホン化またはカルボキシル化イオン交換樹脂も適している。
エステル交換に適した塩基触媒は、金属水酸化物および/または金属アルコキシド、より好ましくは、周期表の第1族、第2族および第13族の金属のもの、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、NaOHまたはKOH、ならびにアルカリ金属アルコキシドおよびアルカリ土類金属アルコキシド、より好ましくは、対応するメトキシドまたはエトキシド、例えば、ナトリウムメトキシドもしくはカリウムメトキシド、またはナトリウムエトキシドもしくはカリウムエトキシドである。加えて、イオン交換樹脂も適している。
酸触媒または塩基触媒は、一般に、反応混合物全体に対して0.0001質量%〜20質量%、好ましくは0.001質量%〜10質量%の濃度で使用される。
式IIと式IIIとのエステル化反応もしくはエステル交換反応は、例えば、バッチ法として設計することができる。その場合において、一般に、式IIおよび式IIIの化合物は、反応容器に導入され、触媒または酵素の添加によって互いに反応する。あるいは、エステル化反応またはエステル交換反応は、セミバッチ法として設計することができる。その目的のために、反応物の1つ、例えば、化合物IIまたは化合物III、ならびに触媒および/または酵素を、初期装入として導入することができ、別の反応物を、反応の間に供給することができる。さらに、式Iの化合物は、化合物IIと化合物IIIとの連続的な反応により製造することができる。この目的のために、例えば、化合物IIおよび化合物IIIは、触媒を含む反応区域に連続的に供給されて、式Iの化合物は、任意に、反応の間に形成される副生成物、例えば、アルコールまたはエステルと一緒に、反応区域から連続的に取り出される。同様に、触媒および/または酵素も、任意に、反応区域に供給される。セミバッチ反応と連続的な反応の両方の場合、反応物、すなわち、式IIおよび式IIIの化合物を、好ましくは液相において、触媒および/または酵素を固定相として含む反応区域に通すことができる。
反応時間は、温度、酸触媒、塩基触媒もしくは酵素触媒の使用量および活性、および所要転化率を含む要因、ならびに化合物IIの構造に依存する。反応時間は、好ましくは、化合物IIの転化率が、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に好ましくは少なくとも95%、より好ましくは97%であるように適合される。この目的のためには、一般に、1〜48時間が充分であり、好ましくは1〜12時間、より好ましくは1〜6時間である。
酵素触媒作用による、または従来の触媒作用によるエステル化もしくはエステル交換は、一般に、0〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜70℃の範囲の温度で行われる。
化合物IIと化合物IIIとのモル比は、幅広い範囲で変動しうる。化合物IIIは、好ましくは、反応の化学量論に対して過剰量で使用される。一般に、化合物IIと化合物IIIとのモル比は、1:100〜1:1、好ましくは1:50〜1:1、より好ましくは1:20〜1:1の範囲にある。式IIIの化合物は、好ましくは、過剰量で存在し、したがって、この化合物は、遊離する副生成物、一般にはアルコール、またはエステル交換の場合に形成されるエステル副生成物と一緒に(式IIにおけるX−L’がアルキルカルボニルオキシであり、式IIIにおけるY−Lがアルコキシカルボニルである場合)、減圧下で、例えば、共沸混合物の形態で、留去することができる。加えて、または代替的に、遊離水、アルコールまたはエステルを、例えば、分子ふるいを使用して結合させることができる。このようにして、反応平衡は、式Iの化合物に有利にシフトされる。
酵素触媒作用による、および従来の触媒作用によるエステル化またはエステル交換は、有機溶媒もしくはその混合物中で、または溶媒を添加せずに行うことができる。反応混合物は、一般に、ほとんど無水(すなわち、10体積%未満、好ましくは5体積%未満、より好ましくは1体積%未満の含水量)である。
有機溶媒中の反応混合物分は、例えば、0.1〜50質量%であってよく、溶媒が使用される場合、好ましくは、0.5〜30質量%の範囲、または1〜10質量%の範囲にある。有機溶媒は、酵素触媒作用による、または従来の触媒作用によるエステル化もしくはエステル交換に全く添加されない、または1質量%未満添加されることが好ましい。
化合物Iは、少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で製造することができる。使用できる重合抑制剤としては、例えば、4−メトキシフェノール(MeHQ)、ヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ニトロソ化合物、例えば、イソアクリルニトレート、ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、メチレンブルー、フェノチアジン、またはジフェニルアミンが挙げられる。重合抑制剤としての4−メトキシフェノール(MeHQ)の使用が好ましい。
重合抑制剤は、一般に、式IIIの化合物の量に対して、1〜10000ppm、好ましくは10〜5000ppm、より好ましくは30〜2500ppm、より好ましくは50〜1500ppmで使用される。
式IIIの化合物は、既知であり、一般的に市販されている。
式IIの化合物は、例えば、冒頭で引用した先行技術に記載されているような、アルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造するための既知の方法と同様に製造することができる。Rが水素である式IIの好ましい化合物は、例えば、式IVの化合物とCOとの反応により、好ましくは触媒を使用して、製造することができる(スキーム1を参照されたい)。
Figure 2016539194
スキーム1において、R、R、AおよびXは、前述の定義を有する。L’’は、アルコール保護基またはアミノ保護基、より好ましくはC〜Cアルキルカルボニル、とりわけアセチルを表す。Xは、特に酸素を表す。Aは、特にC〜Cアルカンジイルを表す。
適切な触媒として、原則的に、活性金属として、例えば、銀、銅、金、パラジウムまたは白金を含む遷移金属触媒、例えば、銀塩、例えば、酢酸銀、炭酸銀、銅(II)塩、例えば、酢酸銅またはハロゲン化銅(I)、例えば、CuI、CuBr、およびCuCl、ならびにパラジウム(0)触媒であり、前述の遷移金属化合物を、任意に、有機アミン、例えば、トリ−C〜Cアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、またはアミジン塩基、例えば1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)と組み合わせて、または有機ホスフィン、例えば、トリアルキルホスフィンもしくはトリアリールホスフィン、例えば、トリブチルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンと組み合わせて、または前述のホスフィンの1つとアンモニウム塩、例えば、トリ−C〜Cアルキルハロゲン化アンモニウムもしくはテトラ−C〜Cアルキルハロゲン化アンモニウムとの混合物と組み合わせて使用することができる。企図するさらなる触媒としては、有機ホスフィン自体、例えば、トリアルキルホスフィンまたはトリアリールホスフィン、例えば、トリブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィン、および立体障害カルベン、例えば、1,3−置換2,3−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン化合物、例えば、1,3−ジイソプロピル−2,3−ジヒドロ−4,5−イミダゾール−2−イリデン、またはそれらのCO付加物、ならびにそれらと前述のホスフィンとの組み合わせが挙げられる。反応は、圧力なしで、もしくは好ましくは高圧力下、例えば、50〜500bar、または超臨界COで行うことができる。反応条件については、上で特定した文献を参照されたい。
COの代わりに、カルボン酸無水物、例えば、ビス(tert−ブチル)二炭酸無水物(BocO)を使用することもできる。この場合において、反応は、通常、2段階で行われ、第1の段階において、塩基、例えば、水素化ナトリウムの存在下で、化合物IVを二炭酸無水物のエステル、例えば、BocOと反応させて、得られたエステルを、遷移金属触媒、例えば、金含有触媒の存在下で環化させる。このような手順は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるOrg.Lett.2006、8、515〜518に記載されている。
式(I’)において、RおよびRが、それぞれ、水素またはC−Cアルキル、より好ましくはメチルである、および/またはRが水素である化合物(B)が、本発明のコーティング材料組成物において好ましくは使用される。同様に、式(I’)において、Aがエタンジイルであり、XがOであり、ZがC=Oであり、Yが化学結合である化合物(B)の使用が好ましい。
化合物(B)は、好ましくは、重合されたエチレン性不飽和化合物(M)で構成され、前記化合物(M)は、ポリマーを形成するエチレン性不飽和化合物の合計量に対して少なくとも10質量%の、少なくとも1種の式(I)の化合物
Figure 2016539194
を含み、
式中、A、X、Y、Z、R、R、およびRは、本文において先に記載の定義を有し、
は、水素、C〜Cアルキル、CHCOOR、フェニル、またはフェニル−C1〜C4アルキルであり、
およびRは、互いに独立に、水素もしくはC〜Cアルキルであり、またはこれらの基の一方、すなわち、RもしくはRが、COORもしくはCHCOORであってもよく、
は、存在する場合、水素もしくはC〜Cアルキルである。
本発明の1つの特に好ましい実施形態において、化合物(B)は、10〜80質量%、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは35〜65質量%の少なくとも1種の式(I)の化合物、および20〜90質量%、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは35〜65質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コモノマー(b)で構成され、質量%の数値は、各場合において、すべての化合物(I)とすべてのコモノマー(b)との合計質量に対するものである。したがって、すべての化合物(I)およびすべてのコモノマー(b)の質量分率の合計は、常に100質量%となる。
化合物(B)は、好ましくは、互いに異なる少なくとも2種のモノエチレン性不飽和コモノマー(b)、より好ましくは、互いに異なる2〜6種のモノエチレン性不飽和コモノマー(b)を含む。
特に好ましくは、コモノマー(b)は、モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂肪族アルカノールとのエステル、もしくはモノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂環式アルカノールとのエステル、もしくはビニル芳香族化合物、またはこれらのコモノマー(b)のうちの少なくとも2種の混合物の群から選択される。
モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜Cアルカノールとのエステル、もしくはモノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜Cシクロアルカノールとのエステル、もしくはビニル芳香族化合物、またはこれらのコモノマー(b)のうちの少なくとも2種の混合物の群から選択されることがとりわけ好ましい。
コモノマー(b)として適している、モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂肪族アルカノールとのエステルの例は、特に、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル例えば、メチルアクリレート、エーテルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレートまたはラウリルメタクリレート、ならびに対応するクロトン酸およびイソクロトン酸のエステルである。
コモノマー(b)として適している、モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂環式アルカノールとのエステルの例は、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ならびに対応するクロトン酸およびイソクロトン酸のエステルである。
コモノマー(b)として適しているビニル芳香族炭化水素の例は、スチレン、α−メチルスチレン、およびビニルトルエン異性体である。
したがって、コモノマー(b)として、特に、
・モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂肪族アルカノールとの少なくとも2種、好ましくは2〜6種の異なるエステルの混合物、または
・モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂環式アルカノールとの少なくとも2種、好ましくは2〜6種の異なるエステルの混合物、または
・少なくとも2種、好ましくは2〜6種の異なるビニル芳香族炭化水素の混合物
を使用することがこの場合において可能である。
特に好ましいのは、
・モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜Cアルカノールとの少なくとも1種のエステルの少なくとも2種、好ましくは2〜6種の異なるコモノマーと、少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素との混合物、または
・モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜Cアルカノールとの少なくとも1種のエステルの少なくとも2種、好ましくは2〜6種の異なるコモノマーと、モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜C脂環式アルカノールとの少なくとも1種のエステルとの混合物、または
・モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜C脂環式アルカノールとの少なくとも1種のエステルの少なくとも2種、好ましくは2〜6種の異なるコモノマーと、少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素との混合物、または
・モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜Cアルカノールとの少なくとも1種のエステルの3〜6種の異なるコモノマーと、モノエチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸とC〜C脂環式アルカノールとの少なくとも1種のエステルと、少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素との混合物
を使用することである。
とりわけ好ましいのは、ビニル芳香族炭化水素と、C〜Cアルカノールとアクリル酸および/またはメタクリル酸との2〜4種の異なるアルキルエステルとの混合物の使用である。
本発明に従って使用される化合物(B)は、一般に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、300〜100000ダルトンの範囲、より好ましくは500〜15000ダルトンの範囲、より好ましくは900〜10000ダルトンの範囲の数平均分子量、および500〜200000ダルトンの間、好ましくは500〜20000ダルトンの間、より好ましくは1000〜15000ダルトンの間の質量平均分子量を有する。
モノマーの重合は、ラジカル重合の通例の方法に従って行うことができる。これらは、溶液および沈殿重合、懸濁重合、ならびに、ミニエマルション重合を含む乳化重合を含む。重合は、より好ましくは、溶液重合によって行われる。
適切な溶媒または希釈剤は、より好ましくは、重合されるモノマーMが溶解できるものである。適切な溶媒は、特に、非プロトン性溶媒を包含する。これらとしては、脂肪族および脂環式炭化水素ならびにハロゲン化炭化水素、芳香族および芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族モノカルボン酸のアルキルエステルおよびシクロアルキルエステル、脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド、脂環式および環状ケトン、エーテル、および前述の非プロトン性溶媒の混合物が挙げられる。
一般に、有機溶媒の量は、モノマーと溶媒との合計量に対する、重合されるモノマーの量が、10〜65質量%の範囲、より好ましくは、20〜60質量%の範囲にあるように計算される。溶液重合の場合において、10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%の範囲の固体含有量を有するポリマー溶液が得られる。
モノマーの重合は、ラジカル共重合の通例の方法に従って行うことができる。一般的に言えば、これらの目的のために、モノマーは、ラジカルが形成される反応条件下で重合される。
ラジカルの形成は、一般に、いわゆる重合開始剤、すなわち、化学的、熱的または光化学的に引き起こされうる分解でラジカルを形成する化合物の使用によって実現される。
適切な重合開始剤としては、有機アゾ化合物、有機過酸化物およびヒドロペルオキシド、無機過酸化物、ならびに、いわゆるレドックス開始剤が挙げられる。
特に、確立された慣行は、重合容器への最初の装入において、少ない割合のモノマー、例えば、重合されるモノマーの合計量に対して0.1〜20質量%を、任意に、重合開始剤の一部または全部と、溶媒または希釈剤の一部または全部と一緒に含み、例えば、重合混合物の加熱によって重合を開始し、次いで、モノマーの残り、ならびに、必要ならば、重合開始剤の残りおよび溶媒を重合の間に添加するものである。
典型的に用いられる重合温度は、一般に、選択される開始剤系に応じて、20〜200℃の範囲、より好ましくは40〜180℃の範囲、とりわけ80〜160℃の範囲にある。
重合圧力は、あまり重要ではなく、大気圧もしくはわずかに準大気圧の領域、例えば、>800mbar、または超大気圧(superatmospheric pressure)、例えば、10barまでであってもよく、同様に、より高いまたはより低い圧力が用いられてもよい。
重合時間は、一般に、10時間を超えず、1〜8時間の範囲にあることが多い。
本発明によれば、各場合において、コーティング材料組成物のバインダー分に対して[すなわち、式I’の官能基を有する本発明の化合物(B)のバインダー分と、ポリオール(A)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、触媒(D)の質量との合計質量に対して]89.99〜30質量%、好ましくは79.9〜40質量%の化合物(B)を含むコーティング材料組成物を使用することが好ましい。
触媒(D)
本発明のコーティング材料組成物は、架橋のために、少なくとも1種の触媒(D)を含む。触媒は、より好ましくは、各場合において、式I’の官能基を有する本発明の化合物(B)のバインダー分と、ポリオール(A)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、触媒(D)の質量との合計質量に対して0.01質量%〜約10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の割合で使用される。
触媒(D)は、好ましくは、アミンおよび/または亜鉛−アミジン錯体である。適切な触媒の例は、アミンモノマーおよび/またはアミンオリゴマー、より好ましくは、脂肪族および/または脂環式、および/または芳香族および/またはアリール脂肪族(araliphatic)アミン、より好ましくは環式および二環式アミン、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ならびに1,5,7−トリアザビシクロ−[4.4.0]デカ−5−エンである。さらに、式(DI)のアミジンおよびそれらの誘導体、より好ましくは、1種または複数の亜鉛(II)ビスカルボキシレートと、式(DI)のアミジン、または式(DI)の2種以上のアミジンの混合物
Figure 2016539194
(式中、R=水素であり、R、R、R、およびRは、それぞれ、同一のまたは異なる基であり、RおよびRは、水素、アルキル基またはアリール基であり、RおよびRは、アルキル基またはアリール基である)
とを反応させることによって製造できる亜鉛−アミジン錯体をベースにした誘導体も触媒(D)として適している。
これらの種類のアミジンおよびその誘導体は、例えば、WO2012/123166、WO2012/123161およびWO2012/123198に記載されている。さらに、WO2012/126796およびWO2013/110712において特定されているイミダゾールおよびその誘導体も触媒として適している。
成分(A)と、(B)と、任意に(C)と、(D)とコーティング材料組成物のさらなる成分との組合せ
本発明によれば、特に好ましい二成分(2K)コーティング材料組成物は、コーティング材料が塗布される直前に、ポリヒドロキシル基含有化合物(A)および下記のさらなる成分を含むペイント成分と、カーボネート基含有化合物(B)および任意に下記のさらなる成分を含むさらなるペイント成分との混合によって形成され、化合物(A)を含むペイント成分は、一般に、触媒(D)および溶媒の一部を含む。
ポリヒドロキシル基含有成分(A)は、適切な溶媒中に存在してもよい。適切な溶媒は、ポリヒドロキシル基含有成分の充分な溶解を可能にするものである。
ポリオール(A)および任意に(C)と、化合物(B)との質量分率は、好ましくは、ポリヒドロキシル基含有化合物(A)および任意に(C)のヒドロキシル基対成分(B)とカルボネート基(I’)とのモル当量比が、1:0.5〜1:1.5の間、好ましくは1:0.8〜1:1.2の間、より好ましくは1:0.9〜1:1.1の間であるように選択される。
ポリヒドロキシル基含有成分(A)、ポリヒドロキシル成分(C)、および/またはポリカーボネート成分(B)は、適切な溶媒中に存在してもよい。
本発明のコーティング材料にとりわけ適している溶媒(L)は、化合物(A)、(B)、および任意に(C)に対して化学的に不活性であるものであり、コーティング材料の硬化の間に、(A)、任意に(C)、および(B)と反応しないものでもある。そのような溶媒の例は、脂肪族および/または芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、Solvesso100もしくはHydrosol(登録商標)(ARAL製)、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルアミルケトン、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、もしくはエトキシプロピオン酸エチル、エーテル、または前述の溶媒の混合物である。非プロトン性溶媒または溶媒混合物は、好ましくは、溶媒に対して、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下の含水量を有する。
本発明のコーティング材料組成物において、溶媒(複数可)は、好ましくは、コーティング材料組成物のバインダー含有量が、少なくとも50質量%、より好ましくは、少なくとも60質量%であるような量で使用される。ここで、一般に、固体の含有量が多いほど、コーティング材料組成物の粘度が上がり、コーティング材料のレベル、ひいては硬化したコーティングによって与えられる全体的な視覚印象が悪くなることに留意すべきである。
本発明のバインダー混合物または本発明のコーティング材料組成物は、成分(A)、(B)、(C)および(D)と異なる少なくとも1種の従来のおよび既知のコーティング添加剤(F)を、各場合において、本発明の化合物(B)のバインダー分と、ポリオール(A)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、触媒(D)の質量との合計質量に対して、有効量、すなわち、30質量%まで、より好ましくは20質量%まで、より好ましくは10質量%までさらに含むことができる。
コーティング添加剤(F)の例は、以下の通り、
− とりわけUV吸収剤、
− とりわけ光安定剤、例えば、HALS化合物、ベンゾトリアゾール、もしくはオキサルアニリド、
− ラジカル補足剤、
− スリップ剤、
− 重合抑止剤、
− 消泡剤、
− 成分(A)および(C)と異なる反応性希釈剤、より好ましくは、さらなる置換基および/または水との反応時のみに反応性になる反応性希釈剤、例えば、Incozolまたはアスパラギン酸エステル、
− 成分(A)および(C)と異なる湿潤剤、例えば、シロキサン、フッ素化合物、カルボキシルモノエステル、リン酸エステル、ポリアクリル酸およびそれらのコポリマー、もしくはポリウレタン、
− 付着促進剤、
− 流動調節剤、
− 通例の親水性および/または疎水性フュームドシリカ、例えば、様々なAerosil(登録商標)グレードをベースにしたレオロジー補助剤、または通例の尿素ベースのレオロジー助剤、
− 塗膜形成助剤、例えば、セルロース誘導体、
− フィラー、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムもしくは酸化ジルコニウムをベースにしたナノ粒子(さらなる詳細については、Roempp Lexikon 「Lacke und Druckfarben」、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、1998、250〜252頁を参照されたい)、
− 難燃剤
である。
特に好ましいのは、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して20〜59.9質量%の少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリアクリレート(A)、および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリメタクリレート(A)、および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリエステルポリオール、および/またはポリヒドロキシル基含有ポリウレタン(A)、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して79.9〜40質量%の少なくとも1種の化合物(B)、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して0〜10質量%のヒドロキシル基含有成分(C)、
本発明のコーティング材料組成物のバインダー分に対して0.1〜5質量%の少なくとも1種の架橋用の触媒(D)、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して0〜20質量%の少なくとも1種の通例のおよび既知のコーティング添加剤(F)
を含み、そのすべての成分の合計が常に100質量%となる、コーティング材料組成物である。
コーティング材料組成物のバインダー分は、コーティング材料組成物の少量サンプル(P)を量り取り、その次に、それを130℃で60分間乾燥させて、固体を測定し、それを冷却し、次いで、それを再び秤量することによって、架橋前に測定される。残留物が、サンプル(P)のバインダー分に相当する。次いで、それに対応して、コーティング材料組成物のバインダー分(質量%)は、130℃で乾燥させた後のサンプル(P)の残留物の質量を、乾燥前のサンプル(P)の質量で割って、出た商に100を掛けることによって示される。
コーティング材料の個々の成分(A)または(B)または(C)のバインダー分は、同様に、各成分(A)または(B)または(C)の少量サンプル(P)を量り取り、その次に、それを130℃で60分間乾燥させて、固体を測定し、それを冷却し、次いで、それを再び秤量することによって測定される。それに対応して、次いで、その成分のバインダー分(質量%)は、130℃で乾燥させた後のサンプル(P)の残留物の質量を、乾燥前のサンプル(P)の質量で割って、出た商に100を掛けることによって示される。
本発明のさらなる実施形態において、本発明のバインダー混合物または本発明のコーティング材料組成物は、付加的な顔料および/またはフィラーをさらに含むことができ、顔料を含むトップコート、または顔料を含むアンダーコート、またはプライマーサーフェイサー、より好ましくは顔料を含むトップコートの製造に役立ちうる。これらの目的のために用いられる顔料および/またはフィラーは、当業者に既知である。顔料は、顔料対バインダー比が、各場合においてコーティング材料組成物のバインダー分に対して0.05:1〜1.5:1の間であるような量で典型的に使用される。
本発明のコーティング材料組成物から生成されるコーティングは、すでに硬化した電着コート、プライマーサーフェイサーコート、ベースコート、または通例のおよび既知のクリアコートにさえ非常によく付着するので、それらは、自動車OEM(生産ライン)塗装におけるそれらの使用に加えて、自動車補修塗装、顔料を含むおよび/または自動車内または自動車上に取り付ける部品のコーティング、および/または商用車のコーティングに非常によく適している。
本発明のコーティング材料組成物の塗布は、通例の塗布方法のいずれか、例えば、スプレー法、ナイフコーティング法、スプレッド法、注入法、ディップ法、含浸法、滴下法、またはロール法によって行うことができる。そのような塗布に関して、コーティングされる基材は、それ自体は動かなくてよく、塗布ユニットまたは装置が動かされる。あるいは、コーティングされる基材は、より好ましくはコイルは、動かしてもよく、塗布ユニットは、基材に対して動かないか、適切に動かされる。
スプレー塗布法、例えば、圧縮空気スプレー法、エアレススプレー法、高速回転法、静電スプレー塗布法(ESTA)を単独で、またはホットスプレー塗布法、例えば、ホットエアスプレー法と一緒に用いることが好ましい。
本発明の塗布されたコーティング材料の硬化は、一定の静止時間後に行うことができる。静止時間は、例えば、コーティング塗膜の平坦化および脱気、または揮発成分、例えば、溶媒の蒸発に役立つ。静止時間は、早期の完全な架橋などの、コーティング塗膜に対するダメージまたはコーティング塗膜の変化のいかなる例も引き起こさないという条件で、昇温の適用、および/または大気湿度の低下によってアシストおよび/または短縮されてもよい。
コーティング材料の熱硬化は、方法に関して特殊性を有さず、通例のおよび既知の方法、例えば、強制空気オーブンにおける加熱、またはIRランプによる照射に従って行われる。この熱硬化は、段階的に行うこともできる。別の好ましい硬化方法は、近赤外(NIR線)による硬化の方法である。
熱硬化は、20〜200℃、好ましくは40〜190℃、より好ましくは50〜180℃の温度で、1分から10時間まで、好ましくは2分から5時間、より好ましくは3分から3時間の間有利に行われ、低温で、より長い硬化時間も用いることができる。自動車補修塗装、およびプラスチック部品のコーティング、ならびに商用車のコーティングについて、ここでは、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜60℃という比較的低い温度が典型的に用いられる。
本発明のコーティング材料は、輸送手段(とりわけ、動力車、例えば、自転車、オートバイ、バス、大型貨物車、または乗用車)の車体またはその部品;建物の内部および外部;家具、窓、およびドア;プラスチック成形品、とりわけ、CDおよび窓;小型工業部品、コイル、容器、およびパッケージ;白物家電;フィルム;光学、電気、および機械部品;ならびに中空ガラス器および日用品への装飾的、保護的、および/または効果を与えるコーティングまたは塗装として非常によく適している。
したがって、本発明のコーティング材料組成物は、例えば、コーティングされていない、またはプレコーティングされた基材に塗布することができ、本発明のコーティング材料は、顔料着色されている、または顔料着色されていない、のいずれかである。特に、本発明のコーティング材料組成物およびペイント系(塗料組成物)、より好ましくは、クリアコートは、技術的および審美的に特に要求の高い自動車OEM塗装の分野において;ならびに車体内または車体上に取り付けるための、より好ましくは高級車の車体のためのプラスチック部品のコーティング、例えば、ルーフ、ハッチ、ボンネット、フェンダー、バンパー、スポイラー、ドアシル、保護用ストリップ、サイドトリムなどを製造するために;ならびに商用車、例えば、大型貨物車、チェーン駆動建設用車両、例えば、クレーン車両、ホイールローダー、コンクリートミキサー、バス、鉄道車両、船舶、航空機、さらに農機、例えば、トラクターおよびコンバイン、ならびにそれらの部品の塗装のために;ならびに、ラインでのOEM塗装の修理だけでなく、例えば、引っ掻き、石片による傷などの局所的な欠陥の修理、さらに、車両の価値向上のための対応する修理工場および自動車ペイントショップにおける完全な再コーティングを包含する自動車補修塗装のために用いられる。
プラスチック部品は、典型的には、ASA、ポリカーボネート、ASAとポリカーボネートとのブレンド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、または耐衝撃性改質のポリメチルメタクリレート、より好ましくは、ASAとポリカルボネートとのブレンド、好ましくは、ポリカーボネート分>40%で、より好ましくは>50%で使用する該ブレンドからなる。
ASAは、ビニル芳香族化合物、より好ましくはスチレンと、シアン化ビニル、より好ましくはアクリロニトリルとのグラフトコポリマーが、特にスチレンおよびアクリロニトリルのコポリマーマトリクス中のポリアルキルアクリレートゴム上に存在する、耐衝撃性改質スチレン/アクリロニトリルポリマーを一般に指す。
特に好ましくは、本発明のコーティング材料組成物は、多段階コーティング法において、より好ましくは、任意にプレコーティングされた基材が、まず、顔料を含むベースコート塗膜で、次いで、本発明のコーティング材料組成物でコーティングされる方法において使用される。したがって、本発明はまた、少なくとも1つの顔料を含むベースコート、およびその上に塗布される少なくとも1つのクリアコートを含む、色および/または効果を与えるマルチコート塗装であって、クリアコートが、本発明のコーティング材料組成物から生成されていることを特徴とする、マルチコート塗装を提供する。
水希釈性ベースコートだけでなく、有機溶媒をベースとしたベースコートも使用することができる。適切なベースコートは、例えば、EP−A−0692007、およびその中の第3欄、第50行以下に列挙された文献に記載されている。好ましくは、塗布されたベースコートは、まず乾燥される、すなわち、蒸発段階において、少なくとも一部の有機溶媒および/または水が、そのベースコート塗膜から除去される。乾燥は、好ましくは室温〜80℃の温度で行なわれる。乾燥が行なわれた後、本発明のコーティング材料組成物が塗布される。その後、2コート塗装が、好ましくは自動車OEM塗装において使用される条件下、20〜200℃の温度で、1分〜10時間までの間焼き付けられ、自動車補修塗装に用いられる温度、一般に、20〜80℃の間、より好ましくは20〜60℃の間の場合には、より長い硬化時間を用いることもできる。
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明のコーティング材料組成物は、プラスチック基材、特に、内部または外部に取り付けるためのプラスチック部品のコーティングのために、透明なクリアコートとして使用することができる。内部または外部に取り付けるためのこれらのプラスチック部品は、好ましくは、多段階コーティング法で同様にコーティングされ、そこでは、任意にプレコーティングされた基材、または次のコーティングの付着を高めるために前処理された基材(例えば、基材の火災処理、コロナ処理、またはプラズマ処理によって)は、まず、顔料を含むベースコート塗膜で、その後、本発明のコーティング材料組成物でコーティングされる。
5−メチル−ヘキサ−3−イン−1,5−ジオールの製造
合成を、Bull.Acad.Sci.USSR 1965、683の通り実施した。
3段階2ブレードオフセットせん断ブレード撹拌機およびサーモスタットを備えた、8Lの反応器において、N雰囲気下で20℃で、100.0g(1.384mol)の3−ブチン−1−オール(純度97.0%、Acros)を、3.92Lのトルエン(純度99.9%、BASF SE)に溶解し、撹拌しながら、320.0g(4.848mol)のKOH(純度85.0%、BASF SE)を添加した。20分にわたって、441.0mL(6.00mol)のアセトンと320.9mLのトルエンとの混合物を添加した。反応混合物に、完全な脱塩水3Lをゆっくり添加して、固体を完全に溶解した。相を分けて、水性相を、2Lの酢酸エチルで2回抽出した。溶媒を、減圧下(50℃、約5mbar)、合わせた有機相から除去した。これにより、183.5gの生成物を得た。
標題化合物の生成物の同一性を、ガスクロマトグラフィー(GC法:ESMA6F、30mRTX−5−アミン 1μm、32mm/80−0−R:15℃/分−250)によって確認した。
5−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキサ−3−イニルアセテートの製造
100g(0.78mol)の5−メチル−ヘキサ−3−イン−1,5−ジオールを、800mLのジクロロメタンに溶解し、0℃に冷却した。113mL(1.11mol)の無水酢酸を、一度に添加した。127mL(1.25mol)のトリエチルアミンを、0〜2℃に冷却し、20分にわたって添加した。反応混合物を、0℃で2時間撹拌した。冷却を取り外し、反応バッチを20℃で16時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、1200mLの5%塩酸を添加し、反応混合物の温度を5℃未満に維持した。バッチを、150mLのtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)で3回抽出し、合わせた有機相を、各場合において、各回400mLの5%炭酸水素ナトリウムで、各場合において、気体発生が観察されなくなるまで、約1時間の間4回撹拌した。有機相を、1Lの完全な脱塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した。これにより、透明な濃黄色の液体を122.21g(収率92%)得た。純度を、ガスクロマトグラフィーによって99.5%と測定された。
NMR(CDCl,500MHz):1.5(s,6H,C(CH)、2.1(s,3H,C(O)CH)、2.5(t,2H,CHCHO)、3.4(bs,1H,OH)、4.1(t,2H,CHCHO)ppm。
4,4−ジメチル−5−(3−アセトキシプロピリデン)−1,3−ジオキソラン−2−オン(エキソ−VC−OAc)の製造
300mLのオートクレーブに、74mLのトルエン中の50gの5−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキサ−3−イニルアセテートを装入した。この最初の装入物に、0.9gの酢酸銀、および7.8gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を添加した。反応バッチを70℃に加熱して、50barのCO圧を定めた。40時間後、オートクレーブを大気圧に下げて、反応バッチを、100mLの水および100mLの5%塩酸で2回洗浄した。合わせた水性相を100mLのトルエンで抽出し、合わせた有機相を、炭酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、得られた残留物を、200gのシクロヘキサンから再結晶した。これにより、35gの標題化合物の生成物(純度>99%)を得た。標題化合物の同一性を、ガスクロマトグラフィー(GC法:30mFFAP ID=0.32mm、FD=0.25μm;80℃ 6K/分〜250℃の温度維持;保持時間:20.6分)によって確認した。
H NMR(CDCl,500MHz):1.5(s,6H,C(C )2)、2.1(s,3H,C(O)C )、2.5(t,2H,C CHO)、3.4(bs,1H,O)、4.1(t,2H,CH O)ppm。
[(3Z)−3−(5,5−ジメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)プロピル]アクリレート(エキソ−VCA)の製造
280g(1.31mol)の[(3Z)−3−(5,5−ジメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)プロピル]アセテート(エキソ−VC−OAc)、1307g(13.1mol)のエチルアクリレート、0.28gの4−メトキシフェノール(MeHQ)、および84g(30質量%)のNovozym(登録商標)435(Novozymes製)を組み合わせた。バッチを40℃で24時間撹拌した。バッチを濾過し、フィルターでの生成物をアセトンで洗浄し、溶媒を、40℃で、回転式エバポレーターで除去した。これにより、標題化合物の生成物276.7gを純度92.4%(GC分析)で得た。
NMR(CDCl,400MHz):1.6(s,6H)、2.5(q,2H)、4.2(t,2H)、4.7(t,1H)、5.84〜5.87(dd,1H)、6.09〜6.16(dd,1H)、6.37〜6.42(dd,1H)ppm。
エキソ−VCAによるコポリマー(成分(B1))の製造
油浴によって加熱し、撹拌機、サーモメーターおよび2つの供給容器を備えたガラス製フラスコに、100gの酢酸ブチル98/100を装入した。モノマー混合物のために、20gのn−ブチルアクリレート、20gのn−ブチルメタクリレート、30gのメチルメタクリレート、50gのスチレン、および80gのエキソ−VCAを、供給容器の1つに装入した(最終の固体含有率:50%)。混合物を、撹拌しながら、窒素流下で125℃に加熱した。もう1つの供給容器に、12gのTBPEH(=tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート(=Pergan、BocholtまたはUnited Initiators、Pullachから))溶液を入れた。125℃に達した時に、最初の開始剤供給を、総供給時間が220分であるような速度で始めた。最初の開始剤供給の10分後、180分の総供給時間(=次の開始剤供給30分)で、モノマー混合を開始した。すべての供給の終了後、反応混合物を、この温度で180分保持し、次いで、冷却した。
得られた混合物の粘度(BrookfieldのCAP2000回転式粘度計、スピンドル3、1000rpmにより測定した)は、39mPasであることが分かり;固体(1時間130℃)は、44%±1%であり;酸価が、樹脂固体1gあたり1.4mgKOHであり、当量が555gである。数平均分子量が、3025ダルトンであり、質量平均分子量が、8315ダルトンであり、それぞれは、高速液体クロマトグラフィーポンプおよび示差屈折率検出器Agilent RIGI1362A+UV G 1314Aを用いる、Agilent1100シリーズの装置を35℃で使用するゲル浸透クロマトグラフィーによってポリスチレン標準を用いて測定した。
ヒドロキシル含有ポリマー(A1)〜(A7)の製造
ポリエステルA1
撹拌機、還流凝縮器、および水分離器を備えた3.5lの反応器において、374.7gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、165.7gのヘキサヒドロフタル酸無水物、および107.6gのキシレンを組み合わせ、100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、反応混合物を136℃に加熱し、この温度に達したら、次いで、再度82℃に冷却する。次いで、477.8gの無水フタル酸を添加し、反応混合物を再度100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、温度を145℃に上げて、10分間保持し、次いで、140℃に下げる。その後、981.4gのCardura(登録商標)E10(Momentive製の市販の、Versatic酸のグリシジルエステル)を添加する。さらなる発熱反応を妨害した後、温度を145℃で2.5時間保持する。次いで、反応混合物を80℃に冷却し、392.8gの酢酸ブチルと混合する。
ポリエステルA2
撹拌機、還流凝縮器、および水分離器を備えた3.5lの反応器において、374.7gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、165.7gのヘキサヒドロフタル酸無水物、および107.6gのキシレンを組み合わせ、100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、反応混合物を136℃に加熱し、この温度に達したら、次いで、再度82℃に冷却する。次いで、477.8gの無水フタル酸を添加し、反応混合物を再度100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、温度を145℃に上げて、10分間保持し、次いで、140℃に下げる。その後、1076.4gのCardura(登録商標)E10(Momentive製の市販の、Versatic酸のグリシジルエステル)を添加する。さらなる発熱反応を妨害した後、温度を145℃で2.5時間保持する。次いで、反応混合物を80℃に冷却し、392.8gの酢酸ブチルと混合する。
ポリエステルA3
撹拌機、還流凝縮器、および水分離器を備えた3.5lの反応器において、136.2gのペンタ−R(BASF S.E.製の市販のペンタエリトリトール)、154gのヘキサヒドロフタル酸無水物、33.1gのSolventnaphta(登録商標)、および130.3gのキシレンを組み合わせ、100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、反応混合物を136℃に加熱し、次いで、再度82℃に冷却する。次いで、22.9gのSolventnaphta(登録商標)中の462gの無水フタル酸を添加し、反応混合物を再度100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、温度を145℃に上げて、10分間保持し、次いで、140℃に下げる。その後、25.6gのSolventnaphta(登録商標)中の913gのCardura(登録商標)E10を添加する。さらなる発熱反応を妨害した後、温度を145℃で2.5時間保持する。その後、反応混合物を120℃に冷却し、60.1gのSolventnaphta(登録商標)および60.1gのキシレンと混合する。反応混合物を60℃に冷却し、さらなる20gのSolventnaphta(登録商標)と混合する。
ポリエステルA4
撹拌機、還流凝縮器、および水分離器を備えた3.5lの反応器において、378.3gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、154gのヘキサヒドロフタル酸無水物、および100gのキシレンを組み合わせ、100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、反応混合物を136℃に加熱し、次いで、再度82℃に冷却する。次いで、444gの無水フタル酸を添加し、反応混合物を再度100℃に加熱する。発熱反応が起こった後、温度を145℃に上げて、10分間保持し、次いで、140℃に下げる。その後、1140gのCardura(登録商標)E10(Momentive製の市販の、Versatic酸のグリシジルエステル)を添加する。さらなる発熱反応を妨害した後、温度を145℃で2.5時間保持する。次いで、反応混合物を80℃に冷却し、421.5gの酢酸ブチルと混合する。
Figure 2016539194
ポリアクリレートA5およびA6
ポリアクリレート(A5)を製造するために、重合用の溶媒を、二重壁の4lのステンレス鋼タンクに装入する。そのステンレス鋼タンクは、油循環サーモスタットによって加熱でき、温度計、アンカー撹拌機(anchor stirrer)、2つの滴下漏斗、および還流凝縮器を備えている。2つの滴下漏斗の1つに、モノマー混合物を装入し、第2の滴下漏斗に、適切な開始剤(一般に過酸化物)を含有する開始溶液に装入する。開始の装入物を、140℃の重合温度に加熱する。重合温度に達した後、開始剤の供給をまず始める。開始剤の供給を始めて15分後、モノマー供給(継続時間240分)を始める。開始剤供給を、モノマー供給終了後30分間継続するように設定する。開始剤供給の終了後、混合物を、140℃で2時間以上撹拌し、次いで、室温に冷却する。その後、反応混合物を、溶媒を用いて、表2に示すバインダー含有率に調整する。
アクリレートA6を製造するために、油循環サーモスタットにより加熱でき、温度計およびアンカー撹拌機を備えた、二重壁の2lのステンレス鋼容器において、表2に示す量のCardura(登録商標)E10と一緒に、アクリレートA5を145℃に加熱する。酸価が<0.5に低下したらすぐに、混合物を室温に冷却する。
Figure 2016539194
ポリウレタンA7
まず、ヒドロキシル基含有ポリエステルを、以下の通り、US6,946,515の製造例5と同じように製造する。
スチール製反応器に、308部のヘキサヒドロフタル酸無水物、および134部のトリメチロールプロパンを入れ、150℃に加熱する。次いで、457部のCardura(登録商標)E10を、1時間超で計量供給する。温度を、酸価<3mgKOH/gに達するまで150℃に保持する。ブチルグリコールアセテートを120℃で添加し、その結果、固体含有率83.0%のポリエステルを得る。そのポリエステルは、各場合において滴定によって測定した、185mgKOH/gのOH価、および<3mgKOH/gの酸価を有する。
撹拌機および還流凝縮器を備えた3.5lの反応器において、上述の例からの1198.1gのポリエステル、24.2gのネオペンチルグリコール、155.0gのイソホロンジイソシアネート、35.9gのトリメチロールプロパン、および778.8gのメチルエチルケトンを組み合わせ、85℃に加熱した。温度を、NCO基の割合が1.6%に低下するまで維持する。次いで、鎖の延長のために、トリメチロールプロパンを、NCO含有率が0%になるまで添加する。このNCO含有率を、DIN EN ISO11909に従って測定する。その後、反応混合物を、さらなるメチルエチルケトンの添加によって、54.5%の固体に調整する。
Figure 2016539194
実施例1から実施例10
クリアコート組成物
表4に示すヒドロキシル基含有ポリマー(A1)から(A7)を用いて、以下の秤量した量に従って、二成分クリアコートの各第1の成分を製造した。二成分クリアコートコーティングを生成するために、上記の情報に従ってそれぞれ製造した第1の成分を、表4に示す秤量した量で、第2の成分(B1)と均一化し、その後すぐに、DMAによってそれらの開始温度を調べる。
Figure 2016539194
驚くべきことに、本発明によるカーボネート基含有化合物(B)は、アミノ基と比べて反応性の低いヒドロキシル基とでさえ問題なく架橋することができるくらい充分に高い、カルボキシル基の反応性を有することが判明した。
表4における結果は、ヒドロキシル基含有ポリマー(A)の酸価が下がると、開始温度が低下することも明白に示す。特に、酸価が10mgKOH/g以下の場合、開始温度の顕著な低下を観察する。非常に低い焼き付け温度で架橋すべきであるクリアコート組成物は、ヒドロキシル基含有ポリマーの酸価が、より好ましくは、実施例7に示す通り、0〜5mgKOH/g、非常に好ましくは、実施例2、4および6に示す通り、1mgKOH/g未満であるべきである。
さらに、ヒドロキシル基含有ポリマーポリエステル(A2)、およびカーボネート基含有ポリアクリレート(B1)を用いて、クリアコート組成物を再度調合し、市販の焼き付け電着コーティング材料、市販の従来の焼き付けプライマーサーフェイサー、および黒色水性ベースコート材料で前もってコーティングされたスチールパネル(100μmのぬれ膜厚)に、4方向バー塗布機(four−way bar applicator(FWBA))を使用して塗布し、140℃で20分間焼き付けた。次いで、クリアコートを、80℃、または100℃、または140℃で30分間硬化させた。得られたコーティングの試験結果を表5に示す。
Figure 2016539194
MEK試験において、MEKに浸した見本を、1kgのハンマーに固着させ、コーティング上で前後に動かす。視覚的評価を、ペイントが剥がれるようになる、前後のストローク数で行った。
試験結果の検討
表5中の結果は、本発明のクリアコート組成物ので得られたコーティングが、低い焼き付け温度で壊れることもない、良好な硬さおよびMEK抵抗性を示すことを示す。

Claims (16)

  1. (A)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、少なくとも1種のオリゴマーおよび/またはポリマー化合物(A)と、
    (B)少なくとも2つのアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基を有する、少なくとも1種のオリゴマーおよび/またはポリマー化合物(B)と、
    (D)架橋のための、少なくとも1種の触媒(D)と
    を含む非水性コーティング材料組成物であって、
    化合物(B)が、式(I’)で表わされる少なくとも2種のアルキリデン−1,3−ジオキソラン−2−オン基
    Figure 2016539194
    (式中、#は、ポリマー骨格との結合を表し、
    、Rは、互いに独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキルであり、
    は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキル、より好ましくは、Rは水素であり、
    Aは、化学結合、またはC〜Cアルカンジイル、より好ましくは、AはC〜Cアルカンジイルであり、
    Xは、OまたはNRであり、
    Zは、化学結合、PO、SO、またはC=O、より好ましくは、ZはC=Oであり、
    Yは、化学結合、CH、またはCHCH、より好ましくは、Yは化学結合であり、
    は、存在する場合、C〜Cアルキルである)
    を含む、非水性コーティング材料組成物。
  2. およびRがそれぞれ、水素またはC〜Cアルキル、より好ましくは、メチルまたはエチルである、および/またはRが水素である、請求項1に記載のコーティング材料組成物。
  3. Aがエタンジイルであり、XがOであり、ZがC=Oであり、Yが化学結合である、請求項1または2に記載のコーティング材料組成物。
  4. 化合物(B)が、重合されたエチレン性不飽和化合物(M)で構成され、化合物(M)が、ポリマーを形成するエチレン性不飽和化合物の合計量に対して少なくとも10質量%の、式Iで表わされる少なくとも1種の化合物
    Figure 2016539194
    (式中、A、X、Y、Z、R、R、およびRは、請求項1から3のいずれか一項に記載の定義を有し、
    は、水素、C〜Cアルキル、CHCOOR、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキルであり、
    およびRは、互いに独立に、水素もしくはC〜Cアルキルであり、またはこれらの基の一方、すなわち、RもしくはRが、COORもしくはCHCOORであってもよく、
    は、存在する場合、水素もしくはC〜Cアルキルである)
    を含む、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  5. 化合物(B)が、10〜80質量%、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは35〜65質量%の少なくとも1種の式Iの化合物、および20〜90質量%、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは35〜65質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コモノマー(b)で構成され、各質量%の数値は、すべての化合物(I)とすべてのコモノマー(b)との合計質量に対するものである、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  6. 化合物(B)が、互いに異なる少なくとも2種のモノエチレン性不飽和コモノマー(b)、好ましくは、互いに異なる2〜6種のモノエチレン性不飽和コモノマー(b)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  7. コモノマーが、モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂肪族アルカノールとのエステル、もしくはモノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸と脂環式アルカノールとのエステル、もしくはビニル芳香族炭化水素、またはこれらのコモノマー(b)のうちの少なくとも2種の混合物の群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  8. ポリオール(A)が、30〜400mgKOH/g、より好ましくは70〜300mgKOH/gのOH価を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  9. ポリオール(A)が、0〜10mgKOH/g、好ましくは0〜5mgKOH/gの間、非常に好ましくは1mgKOH/g未満の酸価を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  10. ポリオール(A)が、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリメタクリレートポリオール、またはこれらのポリオールの混合物、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリメタクリレートポリオール、またはポリエステルポリオールとポリ(メタ)アクリレートポリオールとの混合物である、請求項1から9のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  11. コーティング材料組成物が、
    i.10〜69.99質量%、好ましくは20〜59.9質量%の
    少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリエステル(A)、または
    少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリ(メタ)アクリレート(A)、または、
    少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリウレタン(A)、または
    少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリエステル(A)および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリ(メタ)アクリレート(A)、および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリウレタンの混合物と、
    ii.89.99〜30質量%、好ましくは79.9〜40質量%の少なくとも1種の化合物(B)と、
    iii.0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の少なくとも1種の化合物(C)と、
    iv.0.01〜10質量%の少なくとも1種の触媒(D)と
    を含み、
    質量%の各数値が、コーティング材料のバインダー分に対するものであり、すべての成分(A)、(B)、任意に(C)、および(D)の合計が、いずれの場合にも、100質量%となる、請求項1から10のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  12. 触媒(D)が、アミンおよび/または亜鉛−アミジン錯体である、請求項1から11のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
  13. 任意にプレコーティングされた基材に、顔料を含むベースコート塗膜、その後に、請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物の塗膜を塗布することを含む、多段階コーティング法。
  14. 顔料を含むベースコート塗膜の施与の後に、まず、室温〜80℃の温度で、施与されたベースコートの乾燥が行われ、請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物の塗布が行われ、その後、20〜200℃での1分から10時間までの硬化が行われる、請求項13に記載の多段階コーティング法。
  15. クリアコートとして、請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物を使用する方法、あるいは、自動車OEM塗装、自動車内または自動車上に取り付ける部品の仕上げ、および/または商用車の仕上げ、ならびに自動車補修塗装のための、請求項13または14に記載の方法を適用する方法。
  16. 少なくとも1種類の、顔料を含むベースコート塗膜と、その上に設けられている少なくとも1つのクリアコート塗膜とを含む、効果および/または色を与えるマルチコート塗料組成物であって、クリアコート塗膜が、請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物から製造された、マルチコート塗料組成物。
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