JP2016536471A - 電気化学的脱炭酸プロセスのための溶融カルボキシレート電解質 - Google Patents

電気化学的脱炭酸プロセスのための溶融カルボキシレート電解質 Download PDF

Info

Publication number
JP2016536471A
JP2016536471A JP2016544359A JP2016544359A JP2016536471A JP 2016536471 A JP2016536471 A JP 2016536471A JP 2016544359 A JP2016544359 A JP 2016544359A JP 2016544359 A JP2016544359 A JP 2016544359A JP 2016536471 A JP2016536471 A JP 2016536471A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
electrolyte
molten salt
cell
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016544359A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6495925B2 (ja
Inventor
モスビー・ジェームズ
バーヴァラジュ・サイ
Original Assignee
セラマテック・インク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by セラマテック・インク filed Critical セラマテック・インク
Publication of JP2016536471A publication Critical patent/JP2016536471A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6495925B2 publication Critical patent/JP6495925B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B3/00Electrolytic production of organic compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B3/00Electrolytic production of organic compounds
    • C25B3/20Processes
    • C25B3/29Coupling reactions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B3/00Electrolytic production of organic compounds
    • C25B3/20Processes
    • C25B3/23Oxidation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B9/00Cells or assemblies of cells; Constructional parts of cells; Assemblies of constructional parts, e.g. electrode-diaphragm assemblies; Process-related cell features
    • C25B9/17Cells comprising dimensionally-stable non-movable electrodes; Assemblies of constructional parts thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B9/00Cells or assemblies of cells; Constructional parts of cells; Assemblies of constructional parts, e.g. electrode-diaphragm assemblies; Process-related cell features
    • C25B9/17Cells comprising dimensionally-stable non-movable electrodes; Assemblies of constructional parts thereof
    • C25B9/19Cells comprising dimensionally-stable non-movable electrodes; Assemblies of constructional parts thereof with diaphragms
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

記載される溶融塩電解質は、カルボン酸から炭化水素を電気化学的に合成において使用される。溶融塩電解質は、幅広い範囲に応用できる官能基を有する或いは有さない幅広い種類の炭化水素を合成するのに使用される。溶融塩は、飽和炭化水素、ジオール、アルキル化芳香族化合物および他の種類の炭化水素を合成するのに使用できる。溶融塩電解質は、酸化を遂行するのに必要なセル電位を低下させながら、カルボン酸の炭化水素への電気化学的変換の選択性、収率、エネルギー効率、およびクーロン効率を向上させる。【選択図】図1

Description

本出願は、2013年9月24日出願の米国特許法35U.S.C.§119(e)に基づく仮特許出願第61/881,821号の優先権を主張し、その内容は参照により本発明に引用される。
<連邦政府の資金による研究の明示>
ここに記載される研究に関する資金は、国立農業食料研究所/米国農務省による援助(助成番号:2012−10008−20263)に基づき連邦政府によって少なくとも一部供給されている。連邦政府は本発明のある権利を有する。
従来、電気化学的脱炭酸は極性有機溶媒中で行われる。これらの極性有機溶媒は、電解質として同時に使用する上で、カルボン酸の溶解度の限界、伝導度の限界および低い酸化電位などの限界がある。低い酸化電位は、酸化される電解質とカルボン酸との調和により、アノード界面での更なる活性物質の発生により、多数の望ましくない又は非効率の副生物を増加させる。これらの制限は、不十分な電流効果および低い生成物選択性のため、電気化学的脱炭酸プロセスの商業的な応用を妨げている。これは、特に、電気化学的脱炭酸で最も一般的な電解質として使用されるメタノール系の電解質で顕著である。そのような場合、電気化学的脱炭酸プロセス(EDP)中のメチルエステルの形成が、選択性や収率を著しく減少させる。更に、そのような溶媒を使用するシステムに共通な高い蒸気圧と毒性のため、極性有機溶媒の使用はプロセスの環境的な利点も損なう。
高い伝導度を有し、電気化学的に安定で,電解質を伴う副反応を最小限にするような電解質系を見出すことが有利である。
本発明の1つの要旨として、所定量の電解質を有する電解質室と、電解質と連通するアノードと、電解質と連通するカソードと、カルボン酸の金属塩を脱炭酸し、反応すると少なくとも1つのラジカルカップリング生成物を形成するようなラジカルを生成するような電源とから成り、電解質は溶融塩電解質中に溶解する所定量のカルボン酸の無機塩から成る電気化学的セルが記載される。
他の要旨として、溶融塩電解質中に溶解するカルボン酸の無機塩から成る陽極液を収納する陽極液室と、陽極液と連通するアノードと、所定量の陰極液を収納可能な陰極液室と、陰極液と連通するカソ−ドと、陽極液および陰極液室を分離する膜と、電源とから成る電気化学的セルが記載される。
ある実施態様において、電解質無機塩のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの混合物から選択される。ある実施態様において、電解質無機塩のカチオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合物から選択される。ある実施態様において、電解質は少なくとも3種の無機カチオンを含む。ある実施態様において、溶融電解質中のアニオンの酸化電位が、カルボン酸陰イオンの酸化電位より高い。ある実施態様において、無機炭酸塩のカルボン酸イオン部分が、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ラウリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、レブリン酸、バレル酸、安息香酸、ナフテン酸、ナフトエ酸の各イオンから選択される。
ある実施態様において、電解質が、電解質混合物の個々の成分の融点より低い融点を持つ共晶混合物である。ある実施態様において、セルは、溶融塩電解質の融点より高い温度でかつ還元および酸化反応生成物の融点より低い温度で作動させる。
他の要旨として、カルボン酸の無機塩を提供する工程と、電解質およびカルボン酸塩に電位を印加しながらカルボン酸塩を溶融塩電解質塩に連通させる工程とから成るラジカルカップリング生成物の製造方法が記載される。
ある実施態様において、電解質が、電解質混合物の個々の化合物の融点より低い共晶混合物から成る。
本発明により、高い伝導度を有し、電気化学的に安定で,電解質を伴う副反応を最小限にするような電解質系を見出すことが出来た。
図1は、ある実施態様において溶融塩電解質を使用する電気化学的脱炭酸プロセスを遂行するために使用される電気化学的セルのスキーム図である。 図2は、ある実施態様において溶融塩電解質を使用する電気化学的脱炭酸プロセスを遂行するために使用される電気化学的セルのスキーム図である。 図3は、乳酸ナトリウム溶融塩電解質を使用した乳酸ナトリウムの電気化学的脱炭酸でのセル電位と電流密度のプロットである。 図4は、乳酸ナトリウム溶融塩電解質中の乳酸ナトリウムの電気化学的脱炭酸から得られた生成物のガスクロマトグラムで、アセトアルデヒドと合致する主生成物のマススペクトルを挿入してある図をを示す。
本発明は、電解質として溶融塩を使用する電気化学的脱炭酸プロセス(EDP)を開示記載する。EDPは、種々のカルボン酸を異なる炭化水素生成物に変換するために使用される。カルボン酸(RCOH)は有機化合物の一分野を形作り、ここでRはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびアリル基である。R基はまた、O、S、N等のヘテロ原子を有する炭化水素を含んでいてもよい。ここに記載される電解質は電気化学的脱炭酸に使用され、それによりカルボン酸からCOを除去し、高エネルギーのラジカル又はカルボカチオンを生成し、溶液中に存在する他の種と炭素−炭素結合、炭素−水素結合、炭素−酸素結合を形成する。このプロセスは、飽和炭化水素、ジオール類、エステル類、オレフィン類、アリル−アルキル化合物などの種々の異なる種類の有機化合物を合成するために使用される。電気化学的脱炭酸プロセスは、このプロセスに含まれる化学物質は環境に優しく、更に、本プロセスは触媒を必要としないため、これらの化合物を合成するために利用される従来の方法に比べて有利である。
反応性カルボン酸はRCOOM及びRCOOMの式で表される。記載される電解脱炭酸プロセスを実施することによって得られる生成物は、R−Rの式の化合物である。R及びRはそれぞれ独立して、置換および未置換アルキル基、置換および未置換シクロアルキル基、置換および未置換ヘテロサイクリル基、置換および未置換アルケニル基、置換および未置換アルキニル基、置換および未置換アリル基、置換および未置換ヘテロアリル基などから選択される。それぞれのMは、独立してアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムから選択される無機カチオンである。
置換されたアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロサイクリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基およびヘテロアリル基の置換基としては、ハロゲン、未置換C1−8アルキル、−CN、−NO、=O、−C(O)R、−CO、−C(O)NR、−OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NR、−NRCO、−NRS(O)、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR;R、R及びRが存在する場合、それぞれ独立して−H、未置換C1−8アルキル基、未置換C2−8アルケニル基または未置換C2−8アルキニル基から成る群より選択される。
ある実施態様において、置換されるアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロサイクリック基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基およびヘテロアリル基の置換は、−COOM基に対し一つの原子に同種原子が2つ結合した配置となる。
本発明の目的は、電気化学的脱炭酸のための電解質としての溶融塩の調製および使用を開示することである。そのような溶融塩電解質は、高収率および高効率を促進する高い伝導度、高い溶解度および反応適応性を付与する。電解質として添加される溶融塩の他の性質および利点は、低界面張力、低粘度および低蒸気圧である。溶融塩はその融点より上で液体であり、混合物として使用されれば、共晶系または混合物の形成によって個々の融点よりも低くて液体となる。
溶融塩電解質の発展は、高温電池、電解採取、電気精練および電気メッキなどの利用分野のために行われてきた。ほとんどの場合、溶融塩電解質は、塩または塩の混合物と単独の元素状カチオン及びアニオンから成る。例えば、マグネシウムの電解メッキは、NaCl−CaCl−KCl−MgClの混合物から成る電解質を使用して行われる。それに対し、本発明における溶融塩電解質は、ポリ原子イオンを有する塩またはポリ原子イオンを有する塩の混合物を含む。異なる電気化学的プロセスのための電解質として使用される溶融塩に基づくポリ原子イオンの一種として、イオン液体がある。イオン液体は、100℃付近または未満で融解する単独の嵩張ったポリ原子カチオン及びアニオン対から成るが、本発明の溶融塩電解質はポリ原子イオン又は単独のカチオン及びアニオン対あるいは100℃未満の温度で融解について限定されるわけではない。原子イオン又はポリ原子イオンを含む溶融塩を使用した1つの例は、国際出願第PCT/US2000/021648号に記載のHenkel不均化反応のために溶融溶媒として、脂肪酸からのナトリウムカルボキシレート(カルボン酸塩)の使用である。これは、本発明の開示とは似てないが、電気化学的脱炭酸を行う際の電解セル中の電解質として使用するために溶融塩が特別に選択される。そのような電解質系は溶融塩電解質固有の利点を付与することにより電気化学的脱炭酸プロセスが改良される一方で、ポリ原子イオン錯体の使用が電解質中に存在する活性種の量を増加させ、電極表面での選択性を増加させ、それ故プロセスでの収率が増加する。
本発明は、電気化学的脱炭酸プロセスのために設計された新規の電解質系を含み、溶融塩を形成する少なくとも一種のカチオン及びアニオン対を含む。溶融塩のカチオン及びアニオンは、脱炭酸されるカルボン酸の高溶解度を有し、アニオンの酸化が副生成物の量を増加せず、脱炭酸の生成物が溶融塩から容易に分離できるように選択される。溶融塩電解質は、また要求される電位範囲において高い電気化学的安定性に調整され、脱炭酸プロセスによって生じる化学種に対して低い化学的反応性である。そのような溶融塩電解質は、アノードに近接して生じる反応の数を減らすことによって脱炭酸プロセスの選択性を増加でき、収率およびクーロン効率を増大できる。更に、高温における作動はカルボキシレートのラジカルへの酸化を生じさせるのに必要な活性エネルギーを低減でき、電池の作動電位を低くでき、変換のために必要な電気エネルギーを低減できる。異なるカチオン及びアニオンを組合せられることは、電解質の同調性を付与し、関心のある特定の脱炭酸を最適化できる。更に、得られる溶融塩の性質を変更するために、溶融塩電解質中の一つ以上のカチオン/アニオンイオン対を組合せることが出来る。例えば、一つ以上のカチオン及びアニオン対を組合せることにより、溶融塩の融点を降下させることが出来る。
電気化学的脱炭酸は、合成的な応用のためのラジカルを発生させるために使用される技術であり、コルベ電解または非コルベ電解のいずれかとして特徴付けられる。コルベ電解は、カルボン酸の脱炭酸によりラジカルを導き、次いで結合してホモカップリング生成物またはヘテロカップリング生成物のいずれかを形成し、さらに二重結合を加えることも出来ると定義される。ホモカップリングを導く脱炭酸の一般例を以下に示す。
2RCOH→R−R+2CO+2e+2H
非コルベ電解の語は、カルボン酸の脱炭酸が、2電子酸化からカルボカチオンを形成することを導くと定義される。カルボカチオンは、次いで、ヘック反応、置換反応、付加反応、ヘテロ原子結合形成などの多くの求電子反応に参加する。オレフィンはカルボン酸の2電子酸化から得られることができる生成物の1つである。求電子置換反応を導く脱炭酸の一般的な例を以下に示す。
RCOH+Ar−H→R−Ar+CO+2e+2H
ある実施態様において、脱炭酸はカルボン酸塩で行われる。カルボン酸の鹸化は、引続きカルボン酸と塩基(BOH)とが高温で反応することを受け入れる。ここで塩基としては、これに限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及びホスホニウム水酸化物が挙げられる。一般的な中和反応は以下に示す通りである。
RCOH+BOH→RCOB+H
カルボン酸塩の脱炭酸は、プロトンの代わりにカソ−ドにおける還元反応に含まれる他のカチオンBが発生することを除いて、カルボン酸から明らかなように同じ共通の反応スキームで示される。ある実施態様において、塩の脱炭酸は、イオン交換膜またはイオン選択性膜を介し、アノードにおいて作られるカチオン又はプロトンが陽極液から陰極液に移送されることにより、二室電気化学的セルを使用して行われる。
カルボン酸は経済性に優れ、環境に優しいことから、工業的に重要な化合物の合成を行うための一般的な基質になりつつある。考えられる一つの応用は、炭素−炭素二重結合の形成のためのHeck反応における有機ハロゲン化物に対する代替である。他の方法を使用した際に副生されるハライドに代わり、CO及びHが唯一の生成する副生物であるため、有機ハロゲン化物をカルボン酸に置換えることにより、より環境に優しい方法となる。カルボン酸は求核または求電子カップリングのいずれかの相手として作用するクロス−カップリング反応のための基質としても考えられる。これは、数多くの種類のカルボン酸が商業的に入手できるという利点があり、一般的に使用される有機ハロゲン化物および/または有機金属試薬よりもより経済的である。
上述のシステムは、入手しやすさや、低コストのカルボン酸などの利点を有するが、これらのシステムは転換反応を促進するためになお触媒と高温を必要とする。本発明に記載される溶融塩電解質を使用することにより遂行される電解法は、触媒の必要もなく、穏やかな反応条件下で遂行できる。そして、コルベ電解がよく知られているが、本方法は、カルボン酸の溶解度を増大させ、高い伝導度と安定性を付与する電解質系を使用することにより改良されている。本方法は、生成物の分離が容易で、このプロセスからの収率の増大、必要とされる電気エネルギーの低減および工業的大規模に入手できる電解質のために経済的にも優れる。
本開示を通じて使用される幾つかの用語とその定義について、いかに説明する。「溶融塩」は、異なるカチオン及びアニオン対から成る液体を意味する。「共唱」は化学物質又は元素の混合物であり、その混合物の他の組成物よりも低い温度で固化するような組成物を意味する。「炭化水素」は、炭素および水素から成る化合物を意味し
、飽和または不飽和化合物である。「効率」および「電流効率」は、交換可能で用いられ、電気化学的脱炭酸プロセスのクーロン効率として参照される。「変換率(コンヴァージョン)」は、電気化学的脱炭酸プロセスで消費された反応物質の量を意味する。「選択性」は、注目する生成物に変換された反応物質の消費量を記載するために使用する。「収率」は、注目する生成物に変換された元の反応物質の量を意味する。「カルボン酸」は、一般式RCOHで表される化合物で、「R」は、飽和または不飽和炭化水素鎖を表す。「脱炭酸」は、化合物、具体的にはカルボン酸またはアニオンからCOを除去するプロセスとして参照される。「置換基」および「官能基」は交換可能で用いられ、炭化水素の炭素鎖上の水素原子を置換した原子または原子の集合(基)として参照される。
本発明は、概括的に、電気化学的脱炭酸プロセス(EDP)における電解質として溶融塩を使用する方法を開示する。溶融塩電解質は、電解中に脱炭酸されるカルボン酸前駆体および生成される炭化水素生成物の具体的な種類を基に選択される。異なる反応のための異なる溶融塩の使用可能性は、反応収率を増大させ、種々の異なるシステムでの生成物の分離を改良する手段を提供する。溶融塩の選択に影響を及ぼす幾つかの性質として、融点、親水性/親油性、電気化学的安定性および混和性が挙げられる。合成的な必要性が異なる場合の溶融塩カチオンの変更の1つの例として、溶融塩電解質の融点を低下させるために、Y又はX及びYカチオンの混合塩の代りにXカチオン系塩を使用する及び/又はオン選択性膜によって分離された二室セルを使用することの必要性である。アニオンの選択は、溶解度、混和性および溶融塩の酸化安定性に影響を及ぼすことが知られている。例えば、Aが脱炭酸プロセスに直接使用できるカルボン酸陰イオンである場合、Aアニオンは使用でき、またはCが電極において不活性アニオンであり、溶融塩の伝導度を増加させる場合、A及びCアニオンが使用できる。
ある実施態様において、溶融塩電解質のカチオンは無機カチオンである。ある実施態様において、無機カチオンはアルカリ金属である。ある実施態様において、無機カチオンはアルカリ土類金属である。ある実施態様において、無機カチオンはアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される。ある実施態様において、無機カチオンはアンモニウムカチオンである。ある実施態様において、無機カチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムから選択される。ある実施態様において、無機カチオンは、アルカリ金属およびアンモニウムから選択される。ある実施態様において、無機カチオンは、アルカリ土類金属およびアンモニウムから選択される。ある実施態様において、溶融塩電解質のカチオンは、これに限定されないが、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムの一つ以上のカチオンである。ある実施態様において、カチオンは、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム及びホスホニウムから選択される一つ以上のカチオンから選択される。これらのカチオンのそれぞれは、溶融塩の単独のカチオンと使用されてもよく、また、溶融塩中のカチオンの混合物の一成分として使用されてもよい。溶融塩電解質のカチオンは、セルが作動中の電気化学的窓において不活性であり、イオン交換膜またはイオン選択性膜を介して移送されるように選択されるか、低い還元電位を有するように選択されるべきである。後者の選択において、関心のある電解(目的とする電解)がアノードにおいて生じながら、カチオンが低い還元電位においてカソ−ドで還元される。カソードにおける低い還元電位は、セル総電位を低くし、それ故、より低いエネルギー需要ですみ、電解における経済性が向上する。
ある実施態様において、溶融塩のカチオンは、ポリ原子イオンである。ポリ原子カチオンの使用は、対応するアルカリ又はアルカリ金属カチオンと比較して、溶融塩の融点を劇的に低下させる。例えば、塩化リチウムは605℃で溶融し、塩化ナトリウムは801℃で溶融し、塩化カリウムは770℃で溶融し、塩化アンモニウムは340℃で溶融し、テトラブチルアンモニウム塩化物は105℃で溶融する。ある場合において、ポリ原子カチオンを有する溶融塩の融点は十分に低く、100℃未満であり、イオン液体と呼ばれる溶融塩のある特別な分類も含まれる。ある実施態様において、ポリ原子カチオンのカソードでの還元は、アノードにおいて酸化が生じるための低い還元電位対を与える。他の実施態様において、二室セルが使用され、他の化学種は低い還元電位反応を与える。ある実施態様において、溶融塩のカチオンは、アルカリ又はアルカリ金属カチオンである。アルカリ又はアルカリ金属カチオンの使用は、高い導電性および安定な電解質を付与する。ポリ原子カチオンと比較して、アルカリ及びアルカリ性カチオンにおける大きさが小さく、比較的高い電荷密度は、小さなカチオンを有する溶融塩の伝導度を増加させる。アルカリ及びアルカリカチオンから成る溶融塩は、単室または二室セルで、不活性電荷キャリアー又はカソ−ドにおいて電子移動を含む活性種として使用される。
他の実施態様において、溶融塩電解質はカチオンの混合物から成る。異なるカチオンで同一のアニオンを有する塩の混合物は、混合物の個々の融点と比較して低下されている融点を有することが出来る。異なるアニオンを溶融塩に添加することなく異なるカチオンを添加することによって融点を降下できることは、重要である。なぜならば、添加カチオンはアノード表面での反応に関与せず、酸化中に製造される副生成物の形成に寄与しないからである。異なるカチオンは、溶融塩電解質を原子状またはポリ原子状に調整でき、同一または異なる電荷量にすることが出来る。
溶融塩のアニオンは、ハライド、スルホン酸、アミド、トシル酸、アルミン酸、ホウ酸、硫酸、硝酸および炭酸から選択されるアニオンであってもよい。本分野に詳しい人であれば明らかなように、溶融塩のアニオンは、アノード表面に置いて生じる反応に対し、電気化学的に不活性で、化学的に安定であり;又はアニオンは脱炭酸プロセス中に含まれるアニオンであるべきである。ある実施態様において、溶融塩はアニオン混合物から成る。溶融塩中の異なるアニオンは、同一または異なる電荷数を有することが出来、伝導性の増加および溶融塩の融点を低下させることが出来る。例えば、フッ化ナトリウムは993℃で融解し、塩化ナトリウムは801℃で融解し、臭化ナトリウムは747℃で融解し、ヨウ化ナトリウムは661℃で融解し、硝酸ナトリウムは308℃で融解し、プロピオン酸ナトリウムは289℃で融解し、乳酸ナトリウムは150℃で融解する。
他の実施態様において、溶融塩のアニオンが電解セル中で処理されるカルボキシレートと類似のものから選択される。溶融塩電解質のアニオンと脱炭酸されるカルボキシレートの類似性は、カルボキシレートの溶解度を増大させる。そのような実施態様において、溶融塩中で使用されるカルボキシレートと処理されるカルボキシレートとの一つの違いは、前者の酸化電位がより大きいことであり、それ故、後の所望の炭化水素の形成の酸化を促進する。他の実施態様において、溶融塩のアニオンは、電解セル内で処理されるカルボキシレートと同じである。この実施態様において、溶融塩電解質の何らかの酸化は、電解セル中で処理されるカルボキシレートの酸化と同じ生成物を形成する。溶融塩電解質のアニオンは、先ず最初にアノードにおける副反応を減少させ、そしてアニオンが及ぼす他の性質が考慮されるように選択されるべきであることは、当業者なら明らかであろう。
ある実施態様において、溶融塩電解質は、異なるカチオンで同じアニオンを有する塩の混合物から成る。他の実施態様において、溶融塩電解質は、同じカチオンと異なるアニオンを有する塩の混合物から成る。他の実施態様において、溶融塩電解質は、異なるカチオンと異なるアニオンを有する塩の混合物から成る。溶融塩混合物の組成は、1)溶融体の融点および所望の作動温度、2)溶融塩の伝導度、3)アノードにおいて生じる反応、および4)カソ−ド又は膜界面において生じる反応によって決定される。全ての場合において、溶融塩電解質は、アニオンが脱炭酸プロセスにより変換されるカルボキシレートから成るような少なくとも一種の塩から成る。脱炭酸されるカルボン酸またはカルボン酸の塩が、溶融塩電解質に1−100重量%の少量から多量の範囲で添加されることは明らかである。
ある実施態様において、溶融塩は二種の混合物から成り、他の場合では三種の混合物から成り、更に他の場合では、四種の混合物から成る。溶融塩は、必要とされる性質を得るために要求される数の塩の混合物から成る。
ある実施態様において、溶融塩電解質は、それが溶融するまで純粋(一種の)な塩を加熱することによって調製される。他の実施態様において、複数の塩を一緒に機械的に混合し、次いでその混合物を加熱して溶融塩を提供する。他の実施態様において、電解質として使用する前に、一種の塩または塩の混合物を加熱し、更に追加の塩を加え、冷却を数回行う。これは、混合物中に存在する異なる塩の十分な混合を促進し、いかなる狭い範囲(大きさ)の破壊にも役立ち、そして融点が降下する。ある実施態様において、溶融塩組成物は、混合物が凍結する温度を低下させるために最適化される。混合物の組成は、混合物の物理的性質をモニタリングしながら、異なる塩の構成要素の濃度を変化させることにより最適化される。溶融塩電解質の組成は、ある塩が最低で2%含み、他の塩が最高で98%含む。溶融塩電解質の最適化された組成は、共唱を形成する組成である。
ある実施態様において、溶融塩の半分以上がカルボン酸塩である。他の実施態様において、溶融塩の半分以上がルボン酸塩以外の塩である。カルボン酸塩または脱炭酸プロセスに興味深いカルボン酸は、溶融塩組成物の小部分または大部分を形成していてもよく、電解の進行につれて溶融塩が添加されてもよい。溶融塩電解質中の成分として使用されるカルボン酸陰イオンの例としては、これに限定されないが、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ラウリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、レブリン酸、バレル酸、安息香酸、ナフテン酸、ナフトエ酸の各イオンが挙げられる。
ある実施態様において、溶融塩電解質が一室セル内で使用され、カルボン酸またはカルボン酸塩は溶融塩電解質中に溶解される。この実施態様において、溶融塩電解質は、アノードにおける副反応の数を制限するように設計され、高い伝導度を有し、カソ−ドにおける低い還元反応電位を有する必要がある。最初の要求は、電流効率および生成物の選択性を増加させるためのものであり、溶融塩電解質中に存在するアニオンに依存する。第2の要求は、セルの作動電位を低下するために必要とされ、混合物中のカチオン及びアニオン両方に依存する。第3の要求もまた、セルの作動電位を低下するために望ましく、混合物中のカチオンに依存する。そのような形態において、当業者ならば、還元および酸化反応の生成物が形成時に溶融塩から容易に分離されるべきで、それら生成物も互いに容易に分離できるべきであることは自明であろう。これに限定されないその例としては、形成された生成物は、電池の作動温度において気体であり、それ故、例えば若干減圧下にすることによって溶融塩電解質から容易に分離できる。
他の実施態様において、図1又は図2に概略的に表される二室電解セルが使用され、イオン交換(5)又はイオン選択性膜(例えば、NaSelect(登録商標)膜など)によって二室が分離されている。そのような実施態様において、陽極液および陰極液は両方とも溶融塩電解質から成り、それぞれが2つの異なる電極において生じる反応のために具体的に設計されるか、或いは、それぞれがそれらに溶解する異なる及び/又は同一の種類を有する同じ電解質であってもよい。他の実施態様において、陽極液は溶融塩電解質から成り、陰極液は溶融塩でない電解質から成る。当業者ならば、この場合、カルボキシレートの炭化水素への転換がアノードにおいて起こりながら、陰極液は第2の化学物質または価値のある化学物質を製造するように設計されることは自明であろう。
陽極液はアノード室(7)に供給され、電解中にアノード(2)の表面で酸化されて、カルボキシル官能基の脱炭酸が生じ、ラジカル及びCOを形成する。セルの別側において、陰極液の還元が起こり、電荷バランスを維持するため、正イオンはアノードからカソ−ドに移送され、陽極液および陰極液が分離されている場合は、両室間を移送するために、正イオンのー通り道が必要となる。ある実施態様において、イオン伝導膜(5)は、電場の印加によって、選択的にアルカリイオン(M)を陽極液から陰極液に移送する。アルカリイオンとしては、これに限定されないが、ナトリウム、リチウム及びカリウム等が挙げられる。他の実施態様において、イオン交換膜(5)は陽極液から陰極液へのカチオンの輸送に使用される。他の実施態様において、アニオン交換膜(5)は、陰極液から陽極液へのアニオンの移送に使用され、次いでアノードにおいて脱炭酸される。ある実施態様において、一種以上の膜を使用する三室セルが使用される。
ある実施態様において、膜(5)の厚さは10〜5000μmであり、好ましくは100〜1000μm、更に好ましくは200〜700μmである。ある実施態様において、膜は、0.25〜25cmの直径、好ましくは、1.27〜12.7cmの直径、更に好ましくは2.54〜7.62cmの直径のディスク形状を有し、スカッフホールド(足場)に組み込まれる。他の実施態様において、膜は、0.25〜25cmの直径、好ましくは、1.27〜12.7cmの直径、更に好ましくは2.54〜7.62cmの直径のシリンダー形状を有する。
ある実施態様において、電気化学的セルは、図1及び図2に示すように、平板膜を使用する平行板構成を有する。他の実施態様において、電気化学的セルは、チューブ状の電極および膜を使用するチューブ状の構成を有する。当業者には自明であるが、上述のセルの両形状は、脱炭酸される具体的なカルボン酸塩の要求により選択され、利点も欠点も有する。更に、当業者には自明であるが、ここに記載されるプロセスは、多様のセルの設計に応用できる。
アノード(2)は、アノード(2)及びカソ−ド(1)間に電場が印加された時に、陽極液室(7)内において酸化反応が生じるのであれば、いかなる好適な材料から成っていてもよい。アノード材料の例としては、これに限定されないが、白金、チタン、ニッケル、コバルト、鉄、ステンレススチール、二酸化鉛、金属アロイ、これらの組合せ及び他の公知または新規のアノード材料が挙げられる。ある実施態様において、アノード(2)は、KOVAR(登録商標)またはINVAR(登録商標)などの鉄−ニッケルアロイから成る。他の実施態様において、アノードは、ホウ素がドープされたダイヤモンド、ガラス状カーボン、合成炭素などのカーボン系電極から成る。更に、ある実施態様において、アノードは寸法安定性アノード(DSA)から成り、これに限定されないが、チタン支持体上の二酸化レニウム及び五酸化タンタルを含む。
カソ−ド(1)は、電極が腐食されることなく還元反応が生じするのであればいかなる好適なカソ−ド材料から形成されてもよい。カソ−ドは、アノード(2)に使用される材料から成っていてもよく、またはカソ−ド(1)は、アノードとして使用されるものと異なる材料から成っていてもよい。好適なカソ−ド材料の例としては、これに限定されないが、白金、ニッケル、ステンレススチール、グラファイト及び公知または新規の他の好適なカソ−ド材料が挙げられる。
ある実施態様において、電極は、ホイルや薄膜などの平滑な形態を有する。他の実施態様において、アノード(2)及びカソ−ド(1)は、これに限定されないが、発泡体、グリット又は他の多孔性構造体などの高表面積形態を有していてもよい。ある実施態様において、アノード(2)及びカソ−ド(1)は同じ形態を有する。他の実施態様において、電極は異なる形態を有する。ある実施態様において、電極はセルの膜に付着している。
ある実施態様において、電解質は、膜無しのセルに供給される。電解質は、溶融塩電解質およびカルボン酸またはカルボン酸塩から成る。他の実施態様において、陽極液は陽極液室(7)に供給され、陰極液は陰極液室(3)に供給される、それらは膜(5)によって分離される。陽極液は、少なくとも一種のカルボン酸塩を含む組成物である溶融塩電解質から成る。溶融塩電解質に溶解するカルボキシレートは、脱炭酸反応の所望とする生成物を基に選択され、本質的に脂肪族または芳香族である。カルボキシレートイオンは種々の官能基およびヘテロ原子を有していてもよい。ある実施態様において、複数のカルボキシレートが溶融塩電解質中に溶解し、電解セル中で同時に脱炭酸され、ホモ及びヘテロカップリングを導く。
陽極液溶液は、溶融塩電解質の混合物と極性溶媒とから成る。極性溶媒の例としては、これに限定されないが、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ブタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、二硫化炭素(CS)、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート及びグリセロールが挙げられる。ある実施態様において、陽極液溶液は溶融塩電解質の混合物と芳香族溶媒とから成る。芳香族溶媒の例としては、これに限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、キシレン、ニトロベンゼン、フェノール及びトルエンが挙げられる。ある実施態様において、陽極液溶液は、溶融塩電解質の混合物と非極性有機溶媒とから成る。非極性有機溶媒の例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタデカン、石油エーテル及びドデカンが挙げられる、そのような実施態様において、カルボン酸塩は溶融塩電解質に可溶であり、脱炭酸の生成物は非極性溶媒に可溶であり、それ故反応物質から容易に分離できる。
NaSICON及びLiSICON型膜などのある種のアルカリイオン伝導性膜は、高温耐性を有するため、陽極液溶液は、陰極液溶液の温度や膜の機能に実質的に影響を及ぼさないより高温に加熱してもよい。ある実施態様において、陽極液は150℃を超える温度における溶融塩であり、一方陰極液は、溶融塩の温度において沸騰できる極性溶媒であり、それ故、膜は高温耐性が必要とされる。他の実施態様において、NaSICON及びLiSICON型膜溶融ナトリウム及び/又はリチウム金属に対して安定であるため、溶融ナトリウム及び/又はリチウム金属が陰極液として使用される。
陽極液溶液は、溶融塩に可溶で、溶融塩中で更に電解質伝導度を付与するような支持電解質を任意に含んでいてもよい。支持電解質の例としては、これに限定されないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウムテトラフルオロボレート、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラメチルアンモニウムパーコレート及びテトラメチルアンモニウムパーコレートが挙げられる。他のイオン性化合物を使用してもよいことは当業者にとって自明であろう。
陰極液は、溶融塩陽極液と同じ又は異なる溶媒から成る。これは、イオン伝導性膜(5)がこれらの室を互いに分離しているために成されることである。それ故、陽極液および陰極液は、それぞれの室で起こる反応および/または個々の反応で必要とされる化学種の溶解性によって、別々に選択できる。これは、例えば、高いイオン伝導度および低い還元電位を有するような陽極液と異なる性質の安価な陰極液を設計できるようになる。
ある実施態様において、陰極液は、アルカリ塩またはアンモニウム塩を含む非飽和水溶液から成る。塩濃度は、0.1−50重量%、好ましくは5−25重量%、更に好ましくは7−15重量%である。他の実施態様において、陰極液は、アルカリ塩またはアンモニウム塩を含む非飽和高沸点極性有機溶媒溶液である。他の実施態様において、陰極液は、膜を横切って移送されるイオンと相溶性の良い溶融塩から成り、低い還元電位反応を提供する。他の実施態様において、陰極液は、ナトリウム金属またはリチウム金属などのような溶融金属である。上述の全ての実施態様において、当業者ならば、還元反応が経済的に実現できる化学種/化学種(複数)を製造するように選択されることを考えるであろう。
カソ−ド(1)とアノード(2)との間に電場が印加されると、還元反応がカソ−ド(1)において生じる。陰極液溶液が水性溶液の場合、水は水素ガスと水酸化物イオンとに還元される。形成された水酸化物イオンは、次いで膜(5)を介して移送されたカチオンと結びつき、電解が進行するにつれて陰極液の水酸化物イオン濃度は増加する。陰極液がアンモニウム溶液から成る場合、アンモニウムはアンモニアと水素に還元される、セル温度によって陰極液からガスとして分離される。陰極液が金属である場合、膜を介して移送されたアルカリイオンは、金属に還元される。
カソ−ド(1)とアノード(2)との間に電場を印加すると、アノード(2)において酸化が起こる。ある実施態様において、カルボン酸またはカルボン酸陰イオンの酸化は脱炭酸を導き、二酸化炭素とラジカルを生成する。ラジカルは、次いで他のラジカルと結合し、ホモ−又はヘテロ−カップリング生成物を形成し、カップリング生成物は、次いでコルベ電解または、電極付近に存在する他の化学種と反応し、ついで非コルベ電解を行う。他の実施態様において、カルボキシル基のα位に電子供与性基がある場合、脱炭酸は、二電子酸化からCO及びカルボカチオンの形成を導く。引き続き、カルボカチオンはカップリング反応の代わりに求電子反応に参加する。
ある実施態様において、陽極液は、溶融電解質を調製するための塩又は塩混合物の融点より高い温度で、且つアノードにおいて形成される生成物の沸点より高い温度で使用される。他の実施態様において、陽極液は、溶融電解質を調製するための塩又は塩混合物の融点より高い温度で、且つ生成物の沸点または融点より低い温度で使用される。陽極液の温度は、電解質および生成物の安定性に従った範囲で選択される。ある実施態様において、陽極液の温度は粘度、伝導度および生成物の分離を最適化するような範囲内に調節される。溶融塩電解質の温度は、酸化の活性エネルギーを低下させて脱炭酸を促進させて、カルボン酸陰イオン及び電解質からCOを導くことの助けとなる。そのような実施態様において、酸化を発生させる電気エネルギーの量は、システムの熱エネルギーによって減少するため、セルの作動する電位を低くできる。
ある実施態様において、電解セルは連続式で作動させる。連続式の場合、セルは最初に陽極液および陰極液に満たされており、次いで、作動中に追加の反応物質がセルに供給され、セルの作動を中断することなく生成物、副生物および/または薄まった溶液は除去される。他の実施態様において、電解セルはバッチ式でも作動できる。バッチ式の場合、陽極液および陰極液は最初にセルに供給され、所望の濃度の生成物が製造されるまでセルを作動させる。セルが空となったら生成物を回収する。次いで、セルはプロセスを再度スタートするために、原料が再度充填される。更に、何れの方法であっても、反応物質の供給は、予め調製した溶液を使用して行われるか、あるいは電解質をその場で形成する化合物を使用する。
ある実施態様において、陽極液は溶融塩電解質とカルボン酸塩とから成る。カルボン酸の選択は、目的とする生成物に依存し、カルボン酸のいかなる種から選択することが出来る。脂肪酸の例としては、これに限定されないが、アルキルカルボン酸、アミノ酸アリルカルボン酸およびジ−並びにトリ−カルボン酸が挙げられる。カルボン酸は、カルボキシル基に加えて複数の置換基が存在してもよい。これらの追加される官能基はカルボン酸のいかなる炭素に配置されてもよく、ある実施態様においては、カルボキシレート炭素に対してα位に配置される。電子供与性および電子吸引性の両方の置換基がカルボン酸に存在してもよい。電子供与性置換基の例としては、これに限定されないが、水酸基、アミン、アミド及び他の基が挙げられる。電子吸引性置換基の例としては、これに限定されないが、ハロゲン、ニトリル、カルボニル、ニトロ及びニトリド基が挙げられる。カルボキシレートに対してα位に存在する官能基は、脱炭酸が一電子酸化機構に従うか、二電子酸化機構に従うかを判断する助けとなる。ある実施態様において、α位に置換基が無いか、置換基が電子吸引性基では、ラジカル−ラジカルカップリングが好ましく、一電子酸化が起きるであろう。他の実施態様において、カルボキシレート基のα位に電子供与性基が存在するのであれば、二電子酸化が好ましい。
ある実施態様において、第1工程は、カルボン酸(RCOH)を酸中和を介してアルカリ塩(RCOB)に変換する工程であって、Bは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ホスホニウム又はアンモニウム等の塩基であり、RCOHはカルボン酸であり、RはC〜C22の炭化水素鎖であり、その水素原子の一つは異なる官能基で置換できる。存在できる官能基の例としては、これに限定されないが、水酸基、フェニル基、エステル基、エーテル基およびケトン基が挙げられる。ある実施態様において、カルボン酸は、ハライド、ニトリル、アミン、アミド及びスルフィド等の酸素を含まない他の置換基を有する。ある実施態様において、カルボン酸は、すでに追加の置換基が存在するバイオマスから得られたものでもよい。他の実施態様において、バイオマス誘導カルボン酸を最初に処理して、更なる官能基を含ませてもよい。
ある実施態様において、アノード(2)とカソ−ド(1)との間に電位を印加すると、アノード(2)における酸化がカルボン酸陰イオンの脱炭酸を引起し、二酸化炭素の形成を導き、以下の反応式に従ってラジカル(R)が発生する。
RCONa→R+CO+Na+e
ラジカルが形成されると電極界面において他の種と反応し、それが、他の同じカルボン酸陰イオンラジカルと反応すれば、以下に示すホモカップリング生成物が形成される。
+R→R−R
この生成物は、興味ある化学種としてそれ自身が使用できるか、または合成においての化学種として興味ある中間的な前駆体として使用できる。例えば、カルボン酸の官能基が二重結合に変換され対応するジエンに変換されれば、ゴム材料の製造のためのモノマーとして使用できる。もしラジカルが異なるカルボン酸陰イオンのラジカルと結合すれば、ヘテロカップリング生成物が形成され、非対称化合物が得られる。更に、ヘテロカップリング生成物は興味ある化学種または興味ある化学種を得るための前駆体となれる。ある実施態様において、脱炭酸はホモカップリング及びヘテロカップリングの混合物を導き、それ故混合生成物となる。ある実施態様において、この混合物は商業的に実施可能であり、他の実施態様において、この混合物は、さらに商業的に実施可能なものに分離される。
ある実施態様において、溶融塩電解質は、反応物質から生成物の分離を容易にするように設計される。例えば、電気化学的セルは、若干の減圧下で生成物の沸点より高い温度で作動させる。それ故、生成物が形成されると、それはガスに変換され同時にセルから除去される。同様に、電解の前または後の何れかに溶融塩電解質に非極性溶媒が混合される場合に、生成物が非極性溶媒に取り込まれるように、溶融塩電解質は、極性カルボキシレート反応物の高い溶解性を有し、且つ生成物の溶解性に乏しいものとする。他の実施態様において、高い氷点(凝固点)を有し、冷却して溶融塩を結晶化させながら生成物は液体として残存するように溶融塩電解質を設計することにより分離が容易となり、ろ過のような簡便な方法で分離できる。
従来の極性有機電解質に対して溶融塩電解質を使用する利点としては、1)溶融電解質は電気化学的に安定で化学的に不活性である、2)溶融塩電解質は高い伝導度を有する、3)カルボキシレート種は溶融塩電解質中で高い伝導度を有する、4)溶融塩電解質は生成物および反応物質から容易に分離できるよう設計できる、及び5)溶融塩電解質は容易にリサイクル出来、環境に優しいことが挙げられる。
以下の実施例は、本発明の要旨内の種々の実施態様を表すためのものである。
電気化学的脱炭酸プロセスを使用し、安価なカルボン酸を高付加価値化合物に変換するための溶融塩電解質を使用する技術的な実用性について、幾つかの例を示す。NaSelect(登録商標)NaSICON膜(米国、ユタ州、ソルトレークシティーのCeramatec,Inc社製)を搭載した電解セルを使用し、種々の官能基を有するカルボン酸のナトリウム塩の脱炭酸の実験を行った。
ここに記載される実施例は、図1又は図2に示されるスキーム図の実験調製を使用した。三実験で使用されるセルは、電極と膜との間の間隔を最小とした。実験で使用される膜は、厚さ約1mm、直径2.54cmのNaSICONディスクから成り、セルの中心のスカッフホールドに取り付けられていた。スカッフホールド及び膜は、アノード室およびカソ−ド室を物理的に分離し、陽極液および陰極液のための温度制御されたリザーバーを別々に有した。これにより、それぞれの電極反応のためのそれぞれの電解質の化学性状および条件を最適化できた。
陽極液は、カルボン酸のナトリウム塩を含み、異なる塩を異なる比率で一緒に加熱することにより調製した。これは、以下に示す従来の鹸化反応による別々の溶液で塩を調製し、物理的に塩を一緒に混合することによりなされた。又は、塩は、塩の均一混合物を作ることによる単一の溶液で調製した。この方法は、カルボン酸を中和してカルボン酸ナトリウムを形成する一般的な鹸化方法が使用された。溶融塩調製の詳細は、以下の実施例で必要に応じて記載する。陰極液は、ナトリウム塩を含むいかなる溶液から成ることが出来、ここでの実施例は、水酸化ナトリウム水溶液を使用した。低い溶液抵抗と膜を横切る温度差を最小とするため、陰極液の温度を95℃まで増加させた。
リザーバーが所望の温度に到達したら、バッテリーテスター(Arbin BT2000)を接続し、10〜100mA/cmの電流密度を印加した。電解中、電位および電流は、MITS Proバッテリー試験ソフトウェアを使用してモニタリングした。印加された電流密度は、アノード(白金メッシュ電極)において酸化を引き起こし、カソ−ド(ニッケルメッシュ電極)において還元を引き起こした。バッテリーテスターはアノードからカソ−ドに電子を移送するので、電荷バランスは正電荷イオンの拡散によりセルを横切ることで維持されなければならない。Na−イオン高選択性NaSICON膜を使用されるため、この電荷バランスを提供するのはただ一種であり、それ故ナトリウム塩の高濃度が望ましい。
異なる溶融塩電解質の実験におけるセルの温度は150℃を超え、生成物および副生物のいくらかはガスであり、それ故実験はガスを回収できる方法で行われる。反応からのガスはCa(OH)水溶液を通じて、次いでガス袋に回収した。Ca(OH)水溶液中にガスを通じると、アノードにおける脱炭酸から生じたCOはCaCOに変換され、生成物および副生物のいくらかは濃縮されて回収され、GC−MS分析行われる。回収ガスは、更にGC及びGC−MSでも分析される。実施例によっては、室温まで塩を冷却した後、溶融塩とまだ混合していた生成物の分析のために、抽出操作が使用された。
実施例1:
開示される溶融塩電解質は、水酸基を有するナトリウムカルボン酸塩をアルデヒドに変換する電気化学的脱炭酸プロセスにおいて使用された。製造されるアルデヒトは、他の化学物質の製造における中間体として使用される。溶融塩電解質は、脱炭酸のために望ましいカルボン酸のナトリウム塩単独から成る。10重量%水酸化ナトリウム水溶液が陰極液(3)として使用され、温度80〜100℃を維持した。
溶融ナトリウム塩陽極液は、乳酸ナトリウムの水性シロップ(Sigma、60%DL)を若干の減圧かで穏やかな加熱を使用して水を蒸留除去して調製された。乳酸ナトリウムは、次いで加熱して150℃で48時間維持した。次いで加熱して乳酸ナトリウムの温度を160℃にし、カソ−ド室(3)に溶融塩陽極液(7)を供給した。水性陰極液は撹拌機付きホットプレート上で95℃に加熱し、次いでセル(3)のカソ−ド室に循環供給し、陽極液(7)中に静めた。セルは、電解質中に十分に電荷を通じてナトリウムカルボキシレートの理論変換量10%を超すまで作動させる。電解中、陽極液の温度は160℃を維持し電流密度は5〜20mAcm−2を使用した。
図3に、乳酸ナトリウム電解質中の乳酸ナトリウムの脱炭酸の電流密度(14)及びセル電位(15)を示す。定電流において、セル電位(15)は時間によって大きく変化する応答結果を示した。セル電位の大きな変化は、電極上でのCOバブルの形成およびこのバブルの放出によるものである。電解中、アノード室およびカソ−ド室で生じる反応を以下に示す。
C(OH)HCHCONa→CHC(OH)H+CO+Na+2e
O+e→H+OH
アノード室中に生じる脱炭酸反応でCOを製造し、水酸化カルシウム溶液中に通じてバブリングさせて炭酸カルシウムを形成し、TGAを使用して分析される。水酸化カルシウム溶液に通じたガスはガス袋に集められる。ガス袋中のガスのGC−MS分析を図4に示す。図4に示す第1ピークはN、O及びCOの溶出であり、充填カラム及びTCI検出器で別々に分析された。図4に示す第2ピークは、図に嵌め込んで示されるピークのマススペクトルを使用してアセトアルデヒドと同定された。この実施例で使用した条件は、以下に示す反応式のアセトアルデヒドを製造する2e酸化を促進させた。
CHC(OH)H→CHCHO+H
実施例2:
実施例1で使用するのと異なるカチオンで同じアニオンを有する溶融塩電解質が、乳酸アニオンの脱炭酸を遂行するための電気化学的脱炭酸プロセスで使用される。溶融塩電解質のカチオンをどのように変更するかを示すこの実施例は、溶融塩の融点を低下でき、アノードにおける低い還元電位反応を提供する。溶融塩電解質は、一室セルにおける脱炭酸プロセスによって処理される、カルボン酸のアンモニウム塩単独から成る。
溶融ナトリウム塩陽極液は、乳酸アンモニウムの水溶液(Sigma、60%DL)を若干の減圧下で穏やかに加熱して水を蒸留除去することによって調製する。この実施例では、乳酸アンモニウムは、次いで加熱され、50〜100℃の温度を維持する。セルは、電解質中に十分に電荷を通じてナトリウムカルボキシレートの理論変換量10%を超すまで作動させる。電解中、電流密度は5〜20mAcm−2を使用する。
一定の電流において、セル電位は5〜20Vの間の一定値に維持する。電解中のアノード及びカソ−ドにおける反応を以下に示す。
C(OH)HCHCONa→CHC(OH)H+CO+Na+2e
アノード室中に生じる脱炭酸反応でCOを製造し、水酸化カルシウム溶液中に通じてバブリングさせて炭酸カルシウムを形成し、TGAを使用して分析される。水酸化カルシウム溶液に通じたガスはガス袋に集められ、GC−MSを使用して分析される。この実施例に記載される条件において、1e酸化および2e酸化の両方が起り、実施例1に示すようにアセトアルデヒドの製造が生じ、実施例2及び3では以下のような反応でブタンジオールの製造が生じる。
2CHC(OH)H→CHCHOHCHOHCH
実施例3:
記載される溶融塩電解質は、長鎖カルボン酸のナトリウム塩を長鎖飽和炭化水素に変換する電気化学的脱炭酸プロセスで使用できる。製造される飽和炭化水素はさらに潤滑基材油または輸送燃料のいずれかに加工処理される。溶融塩電解質は、生物学的起源から得られるカルボン酸流に似たカルボン酸ナトリウム塩の混合物から成る。この実施例では、水酸化ナトリウム水溶液の沸点を超える温度でセルを作動させるので、エチルグリコール中に水酸化ナトリウムを10重量%含む溶液が陰極液として使用される。
溶融ナトリウム塩陽極液は、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸をメタノール中に混合して調製し、次いで標準的な鹸化手順に従い、水酸化ナトリウムを溶液中に添加し、ナトリウム塩が析出する。水酸化ナトリウムを添加した後、メタノールを減圧かで穏やかな温度条件で除去する。乾燥ナトリウム塩は次いで320℃に加熱し、窒素雰囲気下中48時間保持する。陰極液溶液は、セルのカソ−ド室内で150℃に加熱される。セルは、十分に電荷を通じて炭酸ナトリウム電解質の理論変換量10%を超すまで作動させる。電解中、陽極液の温度は320℃に維持し、電流密度は10mAcm−2を使用する。
定常電流密度は5〜20Vの一定の電位応答を生み出す。電解中にアノードにおいて生じる反応は以下の通りである。
RCONa→R+CO+Na+1e
この場合、Rは、炭素数がC11、C13、C15及びC17の4つの異なる飽和炭化水素基である。脱炭酸がアノード室中で生じ、COが発生し、その気泡は水酸化カルシウム溶液を通過して炭酸カルシウムを生成し、TGAを使用して分析される。水酸化カルシウム溶液を通過したガスは更にガス袋に集められ、GC−MSを使用して分析される。電解に引続き、溶融塩混合物は室温まで冷却され、水に溶解させる。溶液のpHは酸を使用して3に調整し、次いで液/液抽出をヘキサンを使用して行われ、ヘキサン相はGC−MSで分析される。この条件は、以下に示すラジカル−ラジカルカップリングを促進させる。
2R→R−R
溶液中に1種以上のカルボン酸イオンが存在するため、ホモカップリングとヘテロカップリングの両方が起り、混合生成物を導く。
ある実施態様において、電気化学的セルは、所定量の電解質を収納する電解質室から成る。電解質は溶融塩電解質中に溶解する所定量のカルボン酸のアルカリ金属塩から成る。カルボン酸のアルカリ金属塩は、カルボン酸部分に加えて少なくとも1つの官能基を有する。電気化学的セルは、電解質と連通するアノード及びカソ−ドを含む。セルはまた、電源を含み、電源は、カルボン酸のアルカリ金属塩をアルキルラジカルに脱炭酸し、さらに反応してラジカルカップリング生成物を形成する。
電解質は、電解質のカチオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合物から選択される溶融塩電解質である。電解質は、カチオンは、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム及びホスホニウムから選択される一つ以上のカチオンから選択される溶融塩である。電解質は上述のカチオンの混合物であってもよい。混合物は、異なる4種までのカチオンを含んでもよい。カチオンの少なくとも1つは、低い還元電位を有するように選択される。カチオンは、カチオンの還元物が電解質から容易に分離できるように選択してもよい。カチオンの還元は、脱炭酸から得られる生成物に加え、経済的価値のある化学種を製造してもよい。
溶融塩電解質のアニオンは、ハライド、スルホン酸、アミド、トシル酸、アルミン酸、ホウ酸、硫酸、硝酸、炭酸およびこれらの混合物から選択されてもよい。アニオンの混合物は、4種までの異なるアニオンを含んでもよい。アニオンの1つは、高酸化電位を有するように選択してもよい。酸化電位はセルによって処理されるカルボン酸陰イオンのそれより高い。アニオンの1つは、セルによって処理されるカルボン酸陰イオンと類似のものから選択されてもよい。ある実施態様において、アニオンの1つは、セルによって処理されるカルボン酸陰イオンとして選択されてもよい。
ある実施態様において、カルボン酸塩溶融塩電解質に溶解する。カルボキシレートは、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ラウリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、レブリン酸、バレル酸、安息香酸、ナフテン酸、ナフトエ酸の各イオンから選択される。脱炭酸の生成物は電解質から容易に分離される。
ある実施態様において、電解質がカチオン及びアニオンの混合物から成る。電解質組成物は、混合物を構成する個々の構成要素の融点よりも低い融点を持つ共晶混合物が形成されるようにする。電解質は、混合物中のいずれの構成要素が2%〜98%で含まれてもよい。
電気化学的セルは、溶融塩電解質の融点より高い温度で且つ還元および酸化反応の生成物の融点より低い温度で作動させてもよい。セルは、溶融塩電解質ならびに還元および酸化反応の何れかまたは両方の生成物の融点より高い温度で作動させてもよい。電気化学的セルは、溶融塩電解質の融点より高い温度で且つ還元および酸化反応の生成物の沸点より高い温度で作動させてもよい。セルの温度は、脱炭酸の活性化エネルギーを低下させ、CO放出の速度を増加させて脱炭酸を促進するために最適化される。
他の実施態様において、電気化学的セルは、所定量の陽極液を収納することができる陽極液室を有する。陽極液は、溶融塩電解質中に溶解する所定量のカルボン酸のアルカリ金属塩から成り、カルボン酸のアルカリ金属塩は、カルボン酸部分に加えて少なくとも1つの官能基を有する。電気化学的セルは、陽極液と連通するアノードと、所定量の陰極液を収納することが出来る陰極液室とを含む。カソ−ドは陰極液と連通する。膜は陽極液および陰極液を分離する。ある実施態様において、電源は、カルボン酸のアルカリ金属塩をアルキルラジカルに脱炭酸し、さらに反応させてラジカルカップリング生成物を形成する。他の実施態様において、陽極液は溶融塩電解質から成り、類似のカチオン及びアニオンを単独で又はそれぞれ混合物で有する。
ある実施態様において、電解質の含有量が、混合物中のいずれの構成要素が2%〜98%で含まれてもよい。陰極液の組成物は陽極液のそれと同じまたは異なっていてもよい。陰極液は極性溶媒に溶解した塩から成っていてもよく、溶解塩のカチオンは、本明細書の開示のカチオンまたはその混合物から選択される。溶解塩のアニオンは、本明細書の開示のアニオンまたはその混合物から選択される。
ある実施態様において、陰極液は溶融金属から成る。溶融金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合物が挙げられる。陰極液は、陽極液と同じ温度に維持されても異なる温度に維持されてもよい。前述のように、セルは、溶融塩陽極液の融点よりも高く、酸化反応の生成物も融点よりも低い温度で作動させてもよい。ある実施態様において、セルは、溶融塩陽極液と酸化反応の生成物の融点よりも高い温度で作動させてもよい。他の実施態様において、セルは、溶融塩陽極液の融点よりも高い温度で且つ酸化反応の生成物の沸点よりも高い温度で作動させてもよい。セルの温度は、脱炭酸の活性化エネルギーを低下させ、CO放出の速度を増加させて脱炭酸を促進するために最適化される。
陽極液および陰極液室を分離する膜はカチオン交換膜である。膜は、NaSICON(ナトリウム超イオン伝導)膜またはLiSICON(リチウム超イオン伝導)膜のような他のイオン選択性膜であってもよい。ある実施態様において、膜は約10〜5000μmの厚さを有する。他の実施態様において、膜は約100〜1000μmの厚さを有する。他の実施態様において、膜は約200〜700μmの厚さを有する。膜は、平板構造また円筒構造の何れを含んでいてもよい。
陰極液室は、水素ガスを回収するために使用される排出口を有していてもよく、陽極液室は、ラジカルカップリング生成物を回収するための排出口を有していてもよい。
ある実施態様において、電気化学的セルは、所定量のカルボン酸塩から成る陽極液から成り、カルボン酸塩は、カルボン酸部分に加えて少なくとも1つの官能基を有する。セルは、陽極液と連通するアノードと、陰極液と連通するカソードを含む。電源はカルボン酸の金属塩をアルキルラジカルに脱炭酸し、更に反応してラジカルカップリング生成物を形成し、ラジカルカップリング生成物は少なくとも2つの官能基を有する。
他の実施態様において、電気化学的セルは所定量のカルボン酸塩から成る陽極液を有し、少なくとも1種の塩はアリルカルボン酸および少なくともそれ以外の塩はアルキルカルボン酸である。セルは陽極液に連通するアノードと陰極液に連通するカソ−ドとを含む。電源はカルボン酸塩をラジカルに脱炭酸し、そのラジカルは反応してホモ−及びヘテロ−カップリング生成物を形成し、そのヘテロ−カップリング生成物は少なくとも1種のアルキル基と少なくとも1種のアリル基を含む。
他の実施態様において、電気化学的セルは所定量のカルボン酸塩から成る陽極液を有し、塩は飽和カルボン酸またはほとんどが飽和カルボン酸である。セルは陽極液に連通するアノードと、陰極液に連通するカソ−ドとを含む。電源はカルボン酸塩をラジカルに脱炭酸し、そのラジカルは反応してホモ−及びヘテロ−カップリング生成物を形成し、その生成物は飽和またはほとんど飽和の炭化水素である。
少なくとも2つの官能基を有するラジカルカップリング生成物の製造方法を説明する。この方法は、カルボン酸部分に加えて少なくとも1つの官能基を有するカルボン酸塩を得る工程を含み、この官能基は、ハライド基、スルフィド基、水酸基、アミン基、アミド基、エーテル基から成る群より選択される。この方法は、カルボン酸塩をアルキルラジカルに脱炭酸する工程を含み、アルキルラジカルは反応してラジカルカップリング生成物を形成する。ラジカルカップリング生成物は少なくとも2つの官能基を有する。この方法において、カルボン酸はバイオマスから誘導されてもよい。カルボン酸塩は、BOH又はBORの式で表される塩基を使用する鹸化反応を介して形成される。ここで、‘B’は塩基であり、‘OH’は水酸化物アニオンであり、‘OR’はアルコキシドアニオンである。塩基は脱炭酸の一部で再形成されてもよく、塩基は回収され、更なる鹸化反応で再使用されてもよい。
ある実施態様において、アリルとアルキルの両方の構成要素を有するラジカルカップリング生成物を製造する方法は、アリルカルボン酸塩とアルキルカルボン酸塩とを得る工程を含む。この方法は、カルボン酸塩をラジカルに脱炭酸する工程を含み、ラジカルは反応してホモ又はヘテロカップリング生成物を形成する。ヘテロカップリング生成物は、少なくとも1つのアルキル基と少なくとも1つのアリル基とを有する。カルボン酸の1つは、ナフテン酸から誘導される。カルボン酸塩は、BOH又はBORの式で表される塩基を使用する鹸化反応を介して形成される。ここで、‘B’は塩基であり、‘OH’は水酸化物アニオンであり、‘OR’はアルコキシドアニオンである。塩基は脱炭酸の一部として再形成される。
ある実施態様において、飽和またはほぼ飽和炭化水素のラジカルカップリング生成物の製造方法は、飽和カルボン酸塩(または複数の)を得る工程と、カルボン酸塩(または複数の)をラジカルに脱炭酸する工程を含み、ラジカルは反応してホモ又はヘテロカップリング生成物を形成する。生成物は飽和またはほぼ飽和炭化水素である。カルボン酸塩はバイオマスから誘導されてもよい。カルボン酸塩は、BOH又はBORの式で表される塩基を使用する鹸化反応を介して形成される。ここで、‘B’は塩基であり、‘OH’は水酸化物アニオンであり、‘OR’はアルコキシドアニオンである。塩基は脱炭酸の一部で再形成されてもよく、塩基は回収され、更なる鹸化反応で再使用されてもよい。
ここに記載され特許請求の範囲に記載される幅広い構造、方法、または他の基本的性質から逸脱することなく他の形態で実施されてもよい。記載された実施態様は、これらに限定されるものではなく単なる例示と考えられるべきである。それ故、本発明の範囲は、上述の記載よりも特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と均等の手段や範囲内での全ての変更は本発明に含まれるものとする。

Claims (20)

  1. 所定量の電解質を有する電解質室と、電解質と連通するアノードと、電解質と連通するカソ−ドと、カルボン酸金属塩を脱炭酸してラジカルを発生させ、ラジカルが反応して少なくとも1つのラジカルカップリング生成物を形成するような電源とから成る電気化学的セルであって、電解質が溶融塩電解質中に溶解する所定量のカルボン酸無機塩から成ることを特徴とする電気化学的セル。
  2. 電解質無機塩のカチオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの混合から選択される請求項1に記載のセル。
  3. 電解質無機塩カチオンが、アンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合のカチオンから選択される請求項1に記載のセル。
  4. 電解質が無機カチオンの混合物を含む請求項2に記載のセル。
  5. 電解質が少なくとも3種の無機カチオンを含む請求項2に記載のセル。
  6. 溶融電解質中のアニオンの酸化電位がカルボン酸陰イオンの酸化電位よりも高い請求項2に記載のセル。
  7. カルボン酸無機塩のカルボン酸イオン部分が、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ラウリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、レブリン酸、バレル酸、安息香酸、ナフテン酸、ナフトエ酸の各イオンから選択される請求項2に記載のセル。
  8. 電解質が、電解質混合物個々の成分の融点より低い融点を有する共晶混合物である請求項2に記載のセル。
  9. 溶融塩電解質の融点よりも高い温度で、かつ酸化還元反応の生成物の融点よりも低い温度でセルを作動させる請求項2に記載のセル。
  10. 溶融塩電解質中に溶解するカルボン酸無機塩から成る陽極液を収納する陽極液室と、陽極液に連通するアノードと、所定量の陰極液を収納できる陰極液室と、陰極液に連通するカソ−ドと、陽極液室および陰極液室を分離する膜と、電源とから成る電気化学的セル。
  11. 電解質無機塩のカチオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの混合から選択される請求項10に記載のセル。
  12. 電解質無機塩カチオンが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びこれらの混合のカチオンから選択される請求項11に記載のセル。
  13. 電解質が無機カチオンの混合物を含む請求項12に記載のセル。
  14. 電解質が少なくとも3種の無機カチオンを含む請求項12に記載のセル。
  15. 溶融電解質中のアニオンの酸化電位がカルボン酸陰イオンの酸化電位よりも高い請求項12に記載のセル。
  16. カルボン酸無機塩のカルボン酸イオン部分が、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ラウリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、レブリン酸、バレル酸、安息香酸、ナフテン酸、ナフトエ酸の各イオンから選択される請求項12に記載のセル。
  17. 電解質が、電解質混合物個々の成分の融点より低い融点を有する共晶混合物である請求項12に記載のセル。
  18. 溶融塩電解質の融点よりも高い温度で、かつ酸化還元反応の生成物の融点よりも低い温度でセルを作動させる請求項12に記載のセル。
  19. カルボン酸の無機塩を提供する工程と、カルボン酸塩を溶融塩電解質に接触させる工程と、電解質およびカルボン酸塩に電圧を印加する工程とから成るラジカルカップリング生成物の製造方法。
  20. 電解質が、電解質混合物個々の成分の融点より低い融点を有する共晶混合物である請求項19に記載の製造方法。
JP2016544359A 2013-09-24 2014-09-24 電気化学的脱炭酸プロセスのための溶融カルボキシレート電解質 Active JP6495925B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361881821P 2013-09-24 2013-09-24
US61/881,821 2013-09-24
PCT/US2014/057273 WO2015048167A1 (en) 2013-09-24 2014-09-24 Molten carboxylate electrolytes for electrochemical decarboxylation processes

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016536471A true JP2016536471A (ja) 2016-11-24
JP6495925B2 JP6495925B2 (ja) 2019-04-03

Family

ID=52690012

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016544359A Active JP6495925B2 (ja) 2013-09-24 2014-09-24 電気化学的脱炭酸プロセスのための溶融カルボキシレート電解質

Country Status (7)

Country Link
US (2) US20150083606A1 (ja)
EP (1) EP3049553A4 (ja)
JP (1) JP6495925B2 (ja)
KR (1) KR20160062064A (ja)
BR (1) BR112016006384A8 (ja)
CA (1) CA2924602C (ja)
WO (1) WO2015048167A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150083606A1 (en) 2013-09-24 2015-03-26 Ceramatec, Inc. Molten Carboxylate Electrolytes for Electrochemical Decarboxylation Processes
US20150267316A1 (en) * 2014-03-19 2015-09-24 Sandia Corporation Electrochemical Ion Separation in Molten Salts
US10450660B2 (en) 2014-11-04 2019-10-22 Savannah River Nuclear Solutions, Llc Recovery of tritium from molten lithium blanket

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003508367A (ja) * 1999-08-30 2003-03-04 モッシ・アンド・ギソルフィ・オーバーシーズ・ソシエテ・アノニム 単一触媒系を使用して1工程で芳香族二塩基酸を製造するための方法
JP2004533545A (ja) * 2001-07-06 2004-11-04 ザ クイーンズ ユニバーシティ オブ ベルファスト 有機化合物の電気合成
JP2009041076A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Asahi Glass Co Ltd 含フッ素化合物の製造方法
JP2013528703A (ja) * 2010-04-23 2013-07-11 セラマテック インコーポレイテッド アリールアルキル界面活性剤前駆体の電気化学合成

Family Cites Families (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3808051A (en) * 1972-06-23 1974-04-30 Church & Dwight Co Inc Cleaning method and compositions
US4617098A (en) * 1982-08-31 1986-10-14 Rhone-Poulenc Specialites Chimiques Continuous electrolysis of lithium chloride into lithium metal
US4560775A (en) * 1983-06-13 1985-12-24 Monsanto Company Production of lactone in molten salt electrolysis
US5423454A (en) * 1992-08-19 1995-06-13 Lippman, Deceased; Lawrence G. Method of propellant gas generation
US6238543B1 (en) * 1997-10-17 2001-05-29 E. I. Du Pont De Nemours And Company Kolbe electrolysis in a polymer electrolyte membrane reactor
CA2383506A1 (en) 1999-08-30 2001-03-08 Thomas F. Brownscombe Alkyl carboxylate salts as solvents for henkel-related processes
EP1312700A3 (de) 2001-11-02 2003-05-28 Degussa AG Verfahren zur Herstellung von Alkalialkoholaten
US7141154B2 (en) * 2003-03-06 2006-11-28 Uchicago Argonne Llc Single-stage separation and esterification of cation salt carboxylates using electrodeionization
WO2005059205A2 (en) 2003-12-11 2005-06-30 American Pacific Corporation Electrolytic method to make alkali alcoholates using ceramic ion conducting solid membranes
US8075758B2 (en) 2003-12-11 2011-12-13 Ceramatec, Inc. Electrolytic method to make alkali alcoholates using ion conducting alkali electrolyte/separator
WO2006050077A2 (en) * 2004-10-29 2006-05-11 Millennium Cell, Inc. Methods and apparatus for synthesis of metal hydrides
GB0513804D0 (en) * 2005-07-06 2005-08-10 Univ Leicester New mixture
WO2007027669A1 (en) * 2005-08-29 2007-03-08 Cps Biofuels, Inc. Improved biodiesel fuel, additives, and lubbricants
US9133554B2 (en) * 2006-02-08 2015-09-15 Dynamic Food Ingredients Corporation Methods for the electrolytic production of erythritol
US8518680B2 (en) * 2009-04-17 2013-08-27 The United States Of America, As Represented By The Secretary Of Agriculture Biological/electrolytic conversion of biomass to hydrocarbons
US20100307927A1 (en) * 2009-06-09 2010-12-09 Richard Price Method of making synthetic petroleum components
WO2011011537A2 (en) * 2009-07-23 2011-01-27 Ceramatec, Inc. Method of producing coupled radical products from biomass
US20110024288A1 (en) * 2009-07-23 2011-02-03 Sai Bhavaraju Decarboxylation cell for production of coupled radical products
US9957622B2 (en) * 2009-07-23 2018-05-01 Field Upgrading Limited Device and method of obtaining diols and other chemicals using decarboxylation
US20130245347A1 (en) * 2009-07-23 2013-09-19 Ceramatec, Inc. Device and method for aryl-alkyl coupling using decarboxylation
US9051656B2 (en) * 2009-07-23 2015-06-09 Ceramatec, Inc. Electrochemical synthesis of aryl-alkyl surfacant precursor
US20110240484A1 (en) * 2010-04-01 2011-10-06 Justin Pendleton Production of Alkali Bicarbonate and Alkali Hydroxide From Alkali Carbonate in an Electrolyte Cell.
ES2724528T3 (es) * 2011-01-25 2019-09-11 Enlighten Innovations Inc Producción de combustible a partir de sustancias químicas derivadas de biomasa
US8961775B2 (en) * 2011-02-01 2015-02-24 Altranex Corporation High productivity Kolbe reaction process for transformation of fatty acids derived from plant oil and animal fat
ES2733323T3 (es) * 2012-01-16 2019-11-28 Enlighten Innovations Inc Electrolito sólido conductor de ion alcalino compuesto
US20150083606A1 (en) 2013-09-24 2015-03-26 Ceramatec, Inc. Molten Carboxylate Electrolytes for Electrochemical Decarboxylation Processes

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003508367A (ja) * 1999-08-30 2003-03-04 モッシ・アンド・ギソルフィ・オーバーシーズ・ソシエテ・アノニム 単一触媒系を使用して1工程で芳香族二塩基酸を製造するための方法
JP2004533545A (ja) * 2001-07-06 2004-11-04 ザ クイーンズ ユニバーシティ オブ ベルファスト 有機化合物の電気合成
JP2009041076A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Asahi Glass Co Ltd 含フッ素化合物の製造方法
JP2013528703A (ja) * 2010-04-23 2013-07-11 セラマテック インコーポレイテッド アリールアルキル界面活性剤前駆体の電気化学合成

Also Published As

Publication number Publication date
BR112016006384A2 (pt) 2017-08-01
BR112016006384A8 (pt) 2021-05-11
EP3049553A1 (en) 2016-08-03
US20150083606A1 (en) 2015-03-26
JP6495925B2 (ja) 2019-04-03
US20190218672A1 (en) 2019-07-18
KR20160062064A (ko) 2016-06-01
CA2924602A1 (en) 2015-04-02
CA2924602C (en) 2020-11-17
US11230773B2 (en) 2022-01-25
EP3049553A4 (en) 2017-03-15
WO2015048167A1 (en) 2015-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111286748B (zh) 一种电化学合成咔唑类化合物的方法
US10145019B2 (en) Custom ionic liquid electrolytes for electrolytic decarboxylation
RU2005115846A (ru) Не содержащие платину электрокаталитические материалы
FI74945B (fi) Foerfarande foer framstaellning av hydroksifoereningar genom elektrokemisk reduktion.
US11230773B2 (en) Molten carboxylate electrolytes for electrochemical decarboxylation processes
JP2012528825A (ja) 非対称性ビアリールアルコールを製造する方法
EP3297995A1 (en) Process for the preparation of an aromatic dicarboxylic acid
JP6894487B2 (ja) 脱カルボキシル化を使用したジオール類および他の化学物質を得る装置および方法
Huang et al. MoS 2-catalyzed selective electrocatalytic hydrogenation of aromatic aldehydes in an aqueous environment
Wang et al. Electrocatalytic Synthesis of Non‐Symmetric Biphenols Mediated by Tri (p‐bromophenyl) amine: Selective Oxidative Cross‐Coupling of Different Phenols and Naphthols
JP2651230B2 (ja) 塩基性媒体中での置換芳香族アミンの電気化学合成
JP4303215B2 (ja) 水素化ホウ素を製造するための電解方法
US4582577A (en) Electrochemical carboxylation of p-isobutylacetophenone
CN113136593A (zh) 一种布洛芬的合成方法
US6419814B1 (en) Methods for electrochemical synthesis of organoiodonium salts and derivatives
JP2008505953A (ja) 脂肪族または脂環式c−原子と結合した第1級アミノ基およびシクロプロピル単位を有する、第1級アミンの製造方法
US20130245347A1 (en) Device and method for aryl-alkyl coupling using decarboxylation
JP2016517476A (ja) 脱カルボキシル化を使用したアリル−アルキルカップリング装置および方法
CN111945181B (zh) 一种3-烷硒基喹啉酮化合物的电化学合成方法
JP2021513504A (ja) コルベ電解カップリング反応によって第一級ジアミンを調製するための方法
JPH072837A (ja) Dl−ホモシスチンから電気化学的方法によりn−アセチルホモシステインチオラクトンを調製する方法
CN116926581A (zh) 一种电化学还原芳基甲酸酯的方法
JPH01119686A (ja) ポリフルオロ芳香族アルデヒドの製造方法
US20160137571A1 (en) Alkyl poly glycol-ethers and their synthesis
MXPA98005630A (en) Procedure for the preparation of tetraalqu 1,2,3,4-butanotetracarboxylates

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170629

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20180302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180731

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181030

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190307

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6495925

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250