1.本発明の化合物の全般的説明
特定の実施形態において、本発明はACCの阻害剤を提供する。一部の実施形態において、そのような化合物は下記の式I
の化合物又はその医薬的に許容される塩を含み、式中、
Wは酸素又は硫黄であり、
XはO、S、N又はNRであり、
各Yは独立にC、N、又はOであり、
各Zは独立にC又はNであり、
R
1は水素又はC
1〜4脂肪族であり、1つ以上のハロゲン、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2RN(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-C(O)OR、-S(O)R、又は-SO
2Rで場合により置換され、
R
2はハロゲン、-R、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、又は-SO
2R、-B(OR)
2、又はHyであり、Hyは独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環から選択され、R
2は場合により置換されるベンジルではなく、若しくは
R
1とR
2は一緒になって、場合により置換される4員〜7員の部分不飽和のカルボシクロ縮合環、又はヘテロシクロ縮合環、ベンゾ縮合環、又は5員〜6員のヘテロアリール(heteroarylo)縮合環を形成し、
各Rは独立に水素、重水素であるか、又はC
1〜6脂肪族、3員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8員〜10員の二環式芳香族炭素環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式複素環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環、又は独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環から選択される、場合により置換される基であり、
L
1は共有結合であるか、又はR
5及びR
5'で場合により置換される1員〜6員の直鎖若しくは分岐鎖の二価炭化水素鎖であり、
L
2は共有結合であるか、又はR
7及びR
7'で場合により置換される1員〜6員の直鎖若しくは分岐鎖の二価炭化水素鎖であり、
R
3はハロゲン、-CN、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)RN(R)
2、-C(O)N(R)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO
2R、-B(OR)
2であるか、又はフェニル、若しくは独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員のヘテロアリールから選択される、場合により置換される環であり、
R
4は水素であるか、又は3員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式炭素環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式複素環、フェニル、8員〜10員の二環式アリール環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式ヘテロアリール環、又は独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式ヘテロアリール環から選択される環であり、前記環はn例のR
8で場合により置換され、
R
5とR
5'はそれぞれ独立に-R、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、又は-SO
2Rであるか、又はR
5とR
5'は一緒になってシクロプロピレニル基、シクロブチレニル基、若しくはオキセタニル基を形成し、
R
7とR
7'はそれぞれ独立に-R、-OR
6、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO
2R、又は-B(OR)
2であるか、又はR
7とR
7'は一緒になって3員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式炭素環、又は独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式複素環を形成し、
R
6は-R、-C(O)N(R)
2、又は-C(O)Rであり、
各R
8は独立に-R、-OR、-SR、-N(R)
2又は重水素から選択され、
R
zは、水素、ハロゲン、メチル、-CN、=O、及び=Sから選択され、
nは0〜5である。
2.化合物及び定義
本発明の化合物は、上記にて一般的に記述される化合物を含み、また本明細書にて開示されるクラス、サブクラス、及び種により、さらに例示される。本明細書で使用される場合、下記定義が別段に指示のない限り適用されるものとする。本発明の目的上、化学元素はPeriodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics,第75版に従って特定される。加えて、有機化学の一般原理は「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito: 1999、及び「March's Advanced Organic Chemistry」,第5版,編集: Smith, M.B.及びMarch, J.、John Wiley & Sons、New York: 2001に記載されており、これらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用する「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、直鎖(即ち非分岐鎖)又は分岐鎖の、置換又は非置換の、完全飽和であるか又は1個以上の不飽和単位を含有する炭化水素鎖、又は完全飽和であるか若しくは1個以上の不飽和単位を含有するが芳香族ではない単環式炭化水素若しくは二環式炭化水素(本明細書では「炭素環」、「脂環式」又は「シクロアルキル」とも称される)であって、分子の残り部分への結合点を1つ有するものを意味する。別段に指定のない限り、脂肪族基は1個〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態において、脂肪族基は1個〜5個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態において、脂肪族基は1個〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は1個〜3個の脂肪族炭素原子を含有し、そしてなお他の実施形態において、脂肪族基は1個〜2個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態において、「脂環式」(又は「炭素環」又は「シクロアルキル」)とは、完全飽和であるか又は1個以上の不飽和単位を含有するが芳香族ではなく、分子の残り部分への結合点を1つ有する、単環式C3〜C6炭化水素を指す。適切な脂肪族基の例として、直鎖又は分岐鎖の、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びこれらのハイブリッド、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「低級アルキル」という用語は、C1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を指す。低級アルキル基の典型例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルである。
「低級ハロアルキル」という用語は、C1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を1個以上のハロゲン原子で置換したものを指す。
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(窒素、硫黄、リン、又はケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の第四級化形態、又は;複素環の置換可能な窒素、例えばN(例えば、3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおける)、NH(例えば、ピロリジニルにおける)又はNR+(例えば、N-置換ピロリジニルにおける)を含む)のうち1つ以上を意味する。
本明細書で使用する「不飽和」という用語は、1つの成分が1個以上の不飽和単位を有することを意味する。
本明細書で使用する「二価のC1〜8(又はC1〜6)の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖」という用語は、本明細書にて定義される通りの直鎖又は分岐鎖である二価のアルキレン鎖、アルケニレン鎖、及びアルキニレン鎖を指す。
「アルキレン」という用語は、二価アルキル基を指す。「アルキル鎖」はポリメチレン基、即ち-(CH2)n-であり、nは正の整数、好ましくは1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、又は2〜3の整数である。置換アルキル鎖は、1個以上のメチレン水素原子が置換基に置き換えられたポリメチレン基である。適切な置換基の例として、置換脂肪族基について以下に記載されるものが挙げられる。
「アルケニレン」という用語は、二価アルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、1個以上の水素原子が置換基に置き換えられた少なくとも1つの二重結合を含有するポリメチレン基である。適切な置換基の例として、置換脂肪族基について以下に記載されるものが挙げられる。
本明細書で使用する「シクロプロピレニル」という用語は、以下の構造の二価シクロプロピル基を指す。
本明細書で使用する「シクロブチレニル」という用語は、以下の構造の二価シクロブチル基を指す。
本明細書で使用する「オキセタニル」という用語は、以下の構造の二価オキセタニル基を指す。
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、又はIを意味する。
「アリール」という用語は、単独で使用される場合、若しくは「アラルキル」、「アラルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」など、より大きい成分の一部として使用される場合、合計5個〜14個の環員を有する単環式又は二環式の環系であって、系内の少なくとも1個の環が芳香族であり、系内の各環が3個〜7個の環員を含有するものを指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に使用され得る。
「アリール」という用語は、単独で使用される場合、若しくは「アラルキル」、「アラルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」など、より大きい成分の一部として使用される場合、合計5個〜10個の環員を有する単環式及び二環式の環系であって、系内の少なくとも1個の環が芳香族であり、系内の各環が3個〜7個の環員を含有するものを指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に使用され得る。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は芳香族環系を指し、例としてフェニル、ビフェニル、ナフチル、及びアントラシルなどが挙げられるが、これらに限定されず、これらは1個以上の置換基を有していてもよい。本明細書で使用する「アリール」という用語の範囲には、1個の芳香族環が1個以上の非芳香族環に縮合している基、例えばインダニル、フタルイミジル、ナフトイミジル、フェナントリジニル、又はテトラヒドロナフチルなども含まれる。
「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ〜」という用語は、単独で使用される場合、若しくは「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」など、より大きい成分の一部として使用される場合、5個〜10個の環原子、好ましくは5個、6個、又は9個の環原子を有し、環状配列内で6個、10個、又は14個のπ電子を共有し、そして炭素原子に加え、1個〜5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は窒素、酸素、又は硫黄を指し、また窒素又は硫黄の任意の酸化形態と、塩基性窒素の任意の第四級化形態とを含む。ヘテロアリール基の例として、制限なく、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、及びプテリジニルが挙げられる。本明細書で使用する「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ〜」という用語は、複素芳香族環が1個以上のアリール環、脂環式環、又は複素環に縮合し、ラジカル又は結合点がその複素芳香族環上に存在する基も含む。非限定的例としてインドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式であっても二環式であってもよい。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、又は「ヘテロ芳香族」という用語と互換的に使用することもでき、いずれの用語も場合により置換される環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を指し、アルキル部分とヘテロアリール部分は場合により、独立に置換される。
本明細書で使用する「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、及び「複素環」という用語は互換的に使用され、また安定した5員〜7員の単環式、又は7員〜10員の二環式の複素環成分であって、飽和又は部分不飽和いずれかの状態であり、炭素原子に加え、1個以上の、好ましくは1個〜4個の、上記にて定義される通りのヘテロ原子を有するものを指す。ヘテロ環の環原子について述べる場合、「窒素」という用語は置換窒素を含む。一例として、酸素、硫黄又は窒素から選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する飽和又は部分不飽和の環において、この窒素はN(例えば、3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおける)、NH(例えば、ピロリジニルにおける)又は+NR(例えば、N-置換ピロリジニルにおける)であってもよい。
複素環は、安定した構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子でそのペンダント基に結合することができ、いずれの環原子も場合により置換されていてもよい。そのような飽和又は部分不飽和の複素環式ラジカルの例として、制限なく、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、及びキヌクリジニルが挙げられる。本明細書において、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式成分」及び「複素環式ラジカル」という用語は互換的に使用され、またヘテロシクリル環が1個以上のアリール環、ヘテロアリール環、又は脂環式環、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、又はテトラヒドロキノリニルなどに縮合し、ラジカル又は結合点がそのヘテロシクリル環に存在する基も含む。ヘテロシクリル基は、単環式であっても二環式であってもよい。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルで置換されたアルキル基を指し、アルキル部分とヘテロシクリル部分は場合により、独立に置換される。
本明細書で使用する「部分不飽和」という用語は、1つの環成分が少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む状態を指す。「部分不飽和」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書にて定義される通りのアリール成分又はヘテロアリール成分を含む意図はない。
本明細書に記載される通り、本発明の化合物は「場合により置換される」成分を含有し得る。一般的に、「置換される」という用語は、その前に「場合により」という用語が付くか否かを問わず、指定される成分における1個以上の水素が適切な置換基に置き換えられることを意味する。別段に指示のない限り、「場合により置換される」基は、その基における置換可能な位置それぞれに適切な置換基を有する場合があり、また任意の構造において複数の位置が指定される群から選択される複数の置換基で置換され得る場合、置換基は全ての位置で同一であっても異なっていてもよい。本発明により想定される置換基の組合せは、好ましくは安定した化合物又は化学的に実現可能な化合物の形成に帰結する組合せである。本明細書で使用する「安定した」という用語は、化合物の生産、検出、また特定の実施形態において、本明細書で開示される1つ以上の目的のための回収、精製及び使用を可能にする条件を経ても実質的に変化しない化合物を指す。
「場合により置換される」基における置換可能な炭素原子上の適切な一価置換基は、独立に、ハロゲン;-(CH2)0〜4R○;-(CH2)0〜4OR○;-O(CH2)0〜4R○、-O-(CH2)0〜4C(O)OR○;-(CH2)0〜4CH(OR○)2;-(CH2)0〜4SR○;R○で置換されていてもよい-(CH2)0〜4Ph;R○で置換されていてもよい-(CH2)0〜4O(CH2)0〜1Ph;R○で置換されていてもよい-CH=CHPh;R○で置換されていてもよい-(CH2)0〜4O(CH2)0〜1-ピリジル;-NO2;-CN;-N3;-(CH2)0〜4N(R○)2;-(CH2)0〜4N(R○)C(O)R○;-N(R○)C(S)R○;-(CH2)0〜4N(R○)C(O)NR○ 2;-N(R○)C(S)NR○ 2;-(CH2)0〜4N(R○)C(O)OR○;-N(R○)N(R○)C(O)R○;-N(R○)N(R○)C(O)NR○ 2;-N(R○)N(R○)C(O)OR○;-(CH2)0〜4C(O)R○;-C(S)R○;-(CH2)0〜4C(O)OR○;-(CH2)0〜4C(O)SR○;-(CH2)0〜4C(O)OSiR○ 3;-(CH2)0〜4OC(O)R○;-OC(O)(CH2)0〜4SR-、SC(S)SR○;-(CH2)0〜4SC(O)R○;-(CH2)0〜4C(O)NR○ 2;-C(S)NR○ 2;-C(S)SR○;-SC(S)SR○、-(CH2)0〜4OC(O)NR○ 2;-C(O)N(OR○)R○;-C(O)C(O)R○;-C(O)CH2C(O)R○;-C(NOR○)R○;-(CH2)0〜4SSR○;-(CH2)0〜4S(O)2R○;-(CH2)0〜4S(O)2OR○;-(CH2)0〜4OS(O)2R○;-S(O)2NR○ 2;-(CH2)0〜4S(O)R○;-N(R○)S(O)2NR○ 2;-N(R○)S(O)2R○;-N(OR○)R○;-C(NH)NR○ 2;-P(O)2R○;-P(O)R○ 2;-OP(O)R○ 2;-OP(O)(OR○)2;SiR○ 3;-(C1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン)O-N(R○)2;又は-(C1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン)C(O)O-N(R○)2であり、各R○は下記にて定義の通り置換される場合があり、また独立に、水素、C1〜6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0〜1Ph、-CH2-(5員〜6員のヘテロアリール環)、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環であるか、若しくは上記の定義に関係なく、R○の2つの独立した出現が、これらに介在する原子と一緒に、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する3員〜12員の飽和、部分不飽和、又はアリールの単環式環又は二環式環を形成し、これらは下記にて定義の通り置換されてもよい。
R○(又は介在する原子と一緒にR○の2つの独立した出現を得ることによって形成される環)上の適切な一価置換基は、独立に、ハロゲン、-(CH2)0〜2R●、-(ハロR●)、-(CH2)0〜2OH、-(CH2)0〜2OR●、-(CH2)0〜2CH(OR●)2;-O(ハロR●)、-CN、-N3、-(CH2)0〜2C(O)R●、-(CH2)0〜2C(O)OH、-(CH2)0〜2C(O)OR●、-(CH2)0〜2SR●、-(CH2)0〜2SH、-(CH2)0〜2NH2、-(CH2)0〜2NHR●、-(CH2)0〜2NR● 2、-NO2、-SiR● 3、-OSiR● 3、-C(O)SR●、-(C1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン)C(O)OR●、又は-SSR●であり、各R●は非置換であるか、前に「ハロ」が付く場合は1個以上のハロゲンだけで置換され、また独立にC1〜4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0〜1Ph、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環から選択される。R○の飽和炭素原子上の適切な二価置換基の例として=O及び=Sが挙げられる。
「場合により置換される」基における飽和炭素原子上の適切な二価置換基の例として=O、=S、=NNR* 2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R* 2))2〜3O-、又は-S(C(R* 2))2〜3S-が挙げられ、R*の独立した出現はそれぞれ水素、下記にて定義の通り置換され得るC1〜6脂肪族、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環から選択される。「場合により置換される」基における置換可能な隣接する炭素に結合する適切な二価置換基の例として-O(CR* 2)2〜3O-が挙げられ、R*の独立した出現はそれぞれ水素、下記にて定義の通り置換され得るC1〜6脂肪族、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環から選択される。
R*の脂肪族基上の適切な置換基の例としてハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR● 2、又は-NO2が挙げられ、各R●は非置換であるか、前に「ハロ」が付く場合は1個以上のハロゲンだけで置換され、また独立にC1〜4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0〜1Ph、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環である。
「場合により置換される」基における置換可能な窒素上の適切な置換基の例として-R†、-NR† 2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR† 2、-C(S)NR† 2、-C(NH)NR† 2、又は-N(R†)S(O)2R†が挙げられ、各R†は独立に水素、下記にて定義の通り置換され得るC1〜6脂肪族、非置換の-OPh、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環であるか、又は上記の定義に関係なく、R†の2つの独立した出現が、これらに介在する原子と一緒に、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する非置換の3員〜12員の飽和、部分不飽和、又はアリールの単環式環又は二環式環を形成する。
R†の脂肪族基上の適切な置換基は独立にハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR● 2、又は-NO2であり、各R●は非置換であるか、前に「ハロ」が付く場合は1個以上のハロゲンだけで置換され、また独立にC1〜4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0〜1Ph、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の飽和、部分不飽和、又はアリールの環から選択される。
本明細書で使用する「医薬的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、及びアレルギー反応などを伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触させての使用に適し、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合う塩を指す。医薬的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、S. M. Bergeらは医薬的に許容される塩について、J. Pharmaceutical Sciences、1977、66、1〜19に詳しく記述しており、これは参照により本明細書に組み込まれる。本発明の化合物の医薬的に許容される塩の例として、適切な無機及び有機の酸及び塩基から誘導される塩が挙げられる。医薬的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸)又は有機酸(例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸)と一緒に形成されるか、又はイオン交換など当技術分野で使用される他の方法の使用によって形成される、アミノ基の塩である。他の医薬的に許容される塩の例として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩などが挙げられる。
適切な塩基から誘導される塩の例としてアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN+(C1〜4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の例としてナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムなどが挙げられる。さらなる医薬的に許容される塩の例として、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンの陽イオンが挙げられる。
別段に記載のない限り、本明細書で図示される構造は、その構造の全ての異性体(例えば鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何(又は配座))形態、例えば個々の非対称中心についてのR構成及びS構成、Z及びEの二重結合異性体、並びにZ及びEの配座異性体を含むことも意味する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体はもとより、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何(又は配座)混合物も、本発明の範囲内に含まれる。別段に記載のない限り、本発明の化合物の互変異性形態は全て、本発明の範囲内に含まれる。加えて、別段に記載のない限り、本明細書で図示される構造は、1個以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素又はトリチウムによる水素置き換え、又は13C濃縮炭素又は14C濃縮炭素による炭素置き換えを含む、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内に含まれる。そのような化合物は、例えば本発明に従った、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は治療剤として有用である。
3.例示的実施形態の説明
特定の実施形態において、本発明はACCの阻害剤を提供する。一部の実施形態において、そのような化合物は下記の式I
の化合物又はその医薬的に許容される塩を含み、式中、
Wは酸素又は硫黄であり、
XはO、S、N又はNRであり、
各Yは独立にC、N、又はOであり、
各Zは独立にC又はNであり、
R
1は水素又はC
1〜4脂肪族であり、1つ以上のハロゲン、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2RN(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-C(O)OR、-S(O)R、又は-SO
2Rで場合により置換され、
R
2はハロゲン、-R、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO
2R、-B(OR)
2、又はHyであり、Hyは独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環から選択され、R
2は場合により置換されるベンジルではなく、若しくは
R
1とR
2は一緒になって、場合により置換される4員〜7員の部分不飽和のカルボシクロ縮合環、又はヘテロシクロ縮合環、ベンゾ縮合環、又は5員〜6員のヘテロアリール縮合環を形成し、
各Rは独立に水素、重水素であるか、又はC
1〜6脂肪族、3員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8員〜10員の二環式芳香族炭素環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式複素環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環、又は独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環から選択される、場合により置換される基であり、
L
1は共有結合であるか、又はR
5及びR
5'で場合により置換される1員〜6員の直鎖若しくは分岐鎖の二価炭化水素鎖であり、
L
2は共有結合であるか、又はR
7及びR
7'で場合により置換される1員〜6員の直鎖若しくは分岐鎖の二価炭化水素鎖であり、
R
3はハロゲン、-CN、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)RN(R)
2、-C(O)N(R)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO
2R、-B(OR)
2であるか、又はフェニル、若しくは独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員のヘテロアリールから選択される、場合により置換される環であり、
R
4は水素であるか、又は3員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式炭素環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式複素環、フェニル、8員〜10員の二環式アリール環、独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式ヘテロアリール環、又は独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式ヘテロアリール環から選択される環であり、前記環はn例のR
8で場合により置換され、
R
5とR
5'はそれぞれ独立に-R、-OR、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、又は-SO
2Rであるか、又はR
5とR
5'は一緒になってシクロプロピレニル基、シクロブチレニル基、若しくはオキセタニル基を形成し、
R
7とR
7'はそれぞれ独立に-R、-OR
6、-SR、-N(R)
2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)
2、-N(R)SO
2R、-SO
2N(R)
2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO
2R、-B(OR)
2であるか、又はR
7とR
7'は一緒になって3員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式炭素環、又は独立に窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和若しくは部分不飽和の単環式複素環を形成し、
R
6は-R、C(O)N(R)
2、又はC(O)Rであり、
各R
8は独立にハロゲン、-R、-OR、-SR、-N(R)
2又は重水素から選択され、
R
zは、水素、ハロゲン、メチル、-CN、=O、及び=Sから選択され、
nは0〜5である。
特定の実施形態において、L2が共有結合である場合、R4は水素ではない。特定の実施形態において、R2が非置換アルキルである場合、基-L2-R4はアルキルではない。特定の実施形態において、一緒になった基-L1-R3は、非置換アルキルではない。特定の実施形態において、一緒になった-L1-R3が非置換アルキルである場合、R1は基-CH2C(O)N(R)Vではなく、式中、Vはアリール環又はヘテロアリール環である。
上記の一般的定義の通り、Wは酸素又は硫黄である。一部の実施形態において、Wは酸素である。一部の実施形態において、Wは硫黄である。
上記の一般的定義の通り、XはO、S、N、又はNRである。特定の実施形態において、XはOである。特定の実施形態において、XはSである。一部の実施形態において、XはNである。一部の実施形態において、XはNRである。特定の実施形態において、XはNHである。
上記の一般的定義の通り、各Yは独立にC、N、又はOである。一部の実施形態において、一つのY基がCである一方で、もう片方がNである。一部の実施形態において、両方のY基がCである。一部の実施形態において、両方のY基がNである。一部の実施形態において、一つのY基がCである一方で、もう片方がOである。当業者は、R1に結合するように示されるY基がOである場合、R1は存在しないことを理解するであろう。
上記の一般的定義の通り、各Zは独立にC又はNである。一部の実施形態において、一つのZ基がCである一方で、もう片方がNである。一部の実施形態において、両方のZ基がCである。一部の実施形態において、両方のZ基がNである。
上記の一般的定義の通り、R1は水素又はC1〜4脂肪族であり、1つ以上のハロゲン、-OR、-SR、-N(R)2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)2、-N(R)SO2R、-SO2N(R)2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、又は-SO2Rで場合により置換される。特定の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1〜4脂肪族である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はトリフルオロメチルである。
上記の一般的定義の通り、R2はハロゲン、-R、-OR、-SR、-N(R)2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)2、-N(R)SO2R、-SO2N(R)2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO2R、-B(OR)2、又はHyである。特定の実施形態において、R2はハロゲンである。特定の実施形態において、R2はメチルである。特定の実施形態において、R2はトリフルオロメチルである。特定の実施形態において、R2はフッ素である。特定の実施形態において、R2は塩素である。特定の実施形態において、R2は臭素である。特定の実施形態において、R2はヨウ素である。特定の実施形態において、R2は-C(O)OR又は-C(O)N(R)2である。一部の実施形態において、R2はHyである。一部の実施形態において、R2は3員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態において、R2はシクロブチルである。
一部の実施形態において、R2は、塩素でも場合により置換されるフェニルでもない。
上記の一般的定義の通り、Hyは独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環から選択される。一部の実施形態において、Hyは独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環である。一部の実施形態において、Hyは独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環である。一部の実施形態において、Hyは独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環である。一部の実施形態において、Hyはオキサゾリルである。一部の実施形態において、Hyはチアゾリルである。一部の実施形態において、Hyはトリアゾリルである。
一部の実施形態において、R1とR2は一緒になって、場合により置換される4員〜7員の部分不飽和炭素環を形成する。一部の実施形態において、R1とR2は一緒になって、場合により置換される4員〜7員の部分不飽和のカルボシクロ縮合環、又はヘテロシクロ縮合環、ベンゾ縮合環、又は5員〜6員のヘテロアリール縮合環を形成する。
上記の一般的定義の通り、R3はハロゲン、-CN、-OR、-SR、-N(R)2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)2、-C(O)N(R)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)2、-N(R)SO2R、-SO2N(R)2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO2R、-B(OR)2であるか、フェニル、及び独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、場合により置換される環である。特定の実施形態において、R3は-CN、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)2、-SO2Rであるか、又はフェニル、及び独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールから選択される、場合により置換される環である。一部の実施形態において、R3は-ORである。一部の実施形態において、R3は-C(O)ORである。一部の実施形態において、R3はフェニル又はテトラゾリルである。一部の実施形態において、R3はイソチアゾリジン-1,1-ジオキシドである。一部の実施形態において、R3はピロリジニルカルボニルである。
上記の一般的定義の通り、各Rは独立に水素であるか、又は、C1〜6脂肪族、3員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8員〜10員の二環式芳香族炭素環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式複素芳香環、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式複素芳香環から選択される、場合により置換される基である。
特定の実施形態において、各Rは独立に水素であるか、又は、C1〜6脂肪族、3員〜8員の不飽和又は部分不飽和の単環式炭素環から選択される、場合により置換される基である。一部の実施形態において、各Rは独立に水素であるか、又は場合により置換されるC1〜6脂肪族である。
上記の一般的定義の通り、L1は共有結合であるか、又はR5及びR5'で場合により置換される1員〜6員の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素鎖であるか、又はシクロプロピレニル基、シクロブチレニル基、又はオキセタニル基である。特定の実施形態において、L1はR5及びR5'で場合により置換されるC1〜3の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素鎖である。一部の実施形態において、L1は直鎖又は分岐鎖の二価C2炭化水素鎖である。一部の実施形態において、L1は直鎖又は分岐鎖の二価C3炭化水素鎖である。特定の実施形態において、L1はR5及びR5'で置換されたC1二価炭化水素鎖である。一部の実施形態において、L1はシクロプロピレニル基、シクロブチレニル基、又はオキセタニル基である。
上記の一般的定義の通り、一部の実施形態において、L2は共有結合であるか、又はR7及びR7'で場合により置換される1員〜6員の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素鎖であるか、又は場合により置換されるC1〜3の直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖である。一部の実施形態において、L2は場合により置換されるC2直鎖炭化水素鎖である。一部の実施形態において、L2は場合により置換されるC3の直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖である。
上記の一般的定義の通り、R4は水素であるか、又は3員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式炭素環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環、フェニル、8員〜10員の二環式アリール環、独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式ヘテロアリール環、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式ヘテロアリール環から選択される環であり、前記環はn例のR8で場合により置換される。
特定の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4は5員〜6員の飽和又は部分不飽和の単環式環であり、前記環はn例のR8で場合により置換される。一部の実施形態において、R4は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する5員〜6員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環であり、前記環はn例のR8で場合により置換される。一部の実施形態において、R4はフェニルであり、前記環はn例のR8で場合により置換される。一部の実施形態において、R4は10員の二環式アリール環であり、前記環はn例のR8で場合により置換される。一部の実施形態において、R4は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する5員〜6員の単環式ヘテロアリール環であり、前記環はn例のR8で場合により置換される。一部の実施形態において、R4は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する8員〜10員の二環式ヘテロアリール環であり、前記環はn例のR8で場合により置換される。
上記の一般的定義の通り、R5とR5'はそれぞれ独立に-R、-OR、-SR、-N(R)2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)2、-N(R)SO2R、-SO2N(R)2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、又は-SO2Rであるか、又はR5とR5'は一緒になってシクロプロピレニル基、シクロブチレニル基、又はオキセタニル基を形成する。
一部の実施形態において、R5とR5'はそれぞれ-Rであり、-Rは水素ではない。一部の実施形態において、R5とR5'はそれぞれメチルである。一部の実施形態において、R5とR5'は一緒になってシクロプロピレニル基、シクロブチレニル基、又はオキセタニル基を形成する。一部の実施形態において、R5とR5'は一緒になってシクロブチレニル基を形成する。
上記の一般的定義の通り、R7とR7'はそれぞれ独立に水素、-R、-OR6、-SR、-N(R)2、-N(R)C(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(O)OR、-OC(O)N(R)2、-N(R)SO2R、-SO2N(R)2、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-S(O)R、-SO2R、又は-B(OR)2であるか、又はR7とR7'は一緒になって3員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式炭素環、又は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜8員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環を形成する。
特定の実施形態において、R7とR7'のうち一方が水素であり、他方は-OR6である。一部の実施形態において、R7とR7'のうち一方が水素であり、他方はイソプロポキシである。一部の実施形態において、R7とR7'は一緒になって、3員〜6員の飽和又は部分不飽和の単環式炭素環を形成する。一部の実施形態において、R7とR7'は独立に窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する4員〜6員の飽和又は部分不飽和の単環式複素環を形成する。一部の実施形態において、R7とR7'のうち一方が水素であり、他方は-OR6である。
上記の一般的定義の通り、R6は-R、-C(O)N(R)2、又はC(O)Rである。特定の実施形態において、R6は-Rである。特定の実施形態において、R6は水素である。特定の実施形態において、R6はイソプロピルである。特定の実施形態において、R6はテトラヒドロピラニルである。特定の実施形態において、R6はテトラヒドロフラニルである。特定の実施形態において、R6はテトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシドである。特定の実施形態において、R6は4-ヒドロキシシクロヘキシルである。
上記の一般的定義の通り、各R8は独立にハロゲン、-R、-OR、-SR、-N(R)2又は重水素から選択される。特定の実施形態において、各R8は独立にハロゲン、-R、及び-ORから選択される。特定の実施形態において、各R8はハロゲンである。特定の実施形態において、R8は-ORである。特定の実施形態において、R8はメトキシである。
上記の一般的定義の通り、nは0〜5である。特定の実施形態において、nは0である。一部の実施形態において、nは1〜2である。一部の実施形態において、nは1である。一部の実施形態において、nは5である。
上記の一般的定義の通り、Rzは、水素、ハロゲン、メチル、-CN、=O、及び=Sから選択される。一部の実施形態において、Rzは、水素である。一部の実施形態において、Rzは、ハロゲン、メチル、-CN、=O、及び=Sから選択される。当業者は、Rzが=O又は=Sである場合、前記原子を環に結合する環外結合は形式的には二重結合であるが、それらが結合する環の芳香族性における前記基の互変異性のため、それらは-OH又は-SHとも表され得ることを理解するであろう。
一部の実施形態において、本発明は下記の式I-a、I-b、I-c、I-d、I-e、I-f、I-g、I-h、及びI-i
から選択される式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、W、R
1、R
2、R
3、R
4、R
z、L
1、及びL
2はそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式Iに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式II
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、
W、X、Y、Z、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
5'、R
7、R
7'及びR
zはそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式Iに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式II-a、II-b、II-c、II-d、II-e、II-f、II-g、II-h及びII-i
から選択される式IIの化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、各可変要素はそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式IIに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式III
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、
W、X、Y、Z、R、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5'、R
6、R
8、R
z、及びnはそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式I及びIIに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式III-a、III-b、III-c、III-d、III-e、III-f、III-g、III-h及びIII-i
から選択される式IIIの化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、各可変要素はそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式IIIに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式IV
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、
W、X、Y、Z、R、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5'、R
6、R
8、n、及びR
zはそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式I、II、及びIIIに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式IV-a、IV-b、IV-c、IV-d、IV-e、IV-f、IV-g、IV-h、及びIV-i
から選択される式IVの化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、各可変要素はそれぞれ、単独か組合せかのいずれを問わず、上記の式IIIに関する実施形態で記載した通りであるか、又は本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は下記の式V-i又はV-ii
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供し、式中、Q、W、X、Y、Z、R
2、及びR
3は上記の式Iに関する実施形態での記載通りであり、
R
1はH、D、CH
3又はCD
3であり、
R
5とR
5'はそれぞれ独立にCH
3又はCD
3であり、
R
9はCH(CH
3)
2、CH(CD
3)
2、CD(CH
3)
2、CD(CD
3)
2であるか、又は下記の式群
であり、式中、各X
1は独立にH又はDであり、
X
2、Y
1、Z
1、及びZ
2はそれぞれ独立にH又はDであり、
R
10はCH
3、CD
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)
2、CF
2H、CH
2CD
3、CD
2CH
3、又はCD
2CD
3である。
一部の実施形態において、式V-i又はV-iiの化合物は少なくとも1個の重水素原子を含有する。一部の実施形態において、式V-i又はV-iiの化合物は少なくとも2個の重水素原子を含有する。一部の実施形態において、式V-i又はV-iiの化合物は少なくとも3個の重水素原子を含有する。
一部の実施形態において、本発明は式V-i又はV-iiの化合物を提供し、式中、R2は臭素、-C(O)OCD2CD3、-C(O)OCD2CH3、-C(O)OCH2CD3、及び
特定の実施形態において、本発明は式Iの化合物を提供し、式中、R2はHyであることにより、下記の式VI
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を形成し、式中、W、X、Y、Z、L
1、L
2、R
1、R
3、R
4、及びHyはそれぞれ上記の定義通りであり、また単独か組合せかのいずれを問わず、本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は式Iの化合物を提供し、式中、R2は-C(O)ORであることにより、下記の式VII
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を形成し、式中、W、X、Y、Z、L
1、L
2、R、R
1、R
3、及びR
4はそれぞれ上記の定義通りであり、また単独か組合せかのいずれを問わず、本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は式IIの化合物を提供し、式中、R2はHyであることにより、下記の式VIII
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を形成し、式中、W、X、Y、Z、R
1、R
3、R
4、R
5、R
5'、R
7、R
7'、及びHyはそれぞれ上記の定義通りであり、また単独か組合せかのいずれを問わず、本明細書における実施形態で記載した通りである。
特定の実施形態において、本発明は式IIの化合物を提供し、式中、R2は-C(O)ORであることにより、下記の式IX
の化合物、又はその医薬的に許容される塩を形成し、式中、R、R
1、R
3、R
4、R
5、R
5'、R
7、及びR
7'はそれぞれ上記の定義通りであり、また単独か組合せかのいずれを問わず、本明細書における実施形態で記載した通りである。
一部の実施形態において、本発明の化合物は、下記式
式Iの例示的化合物を下記の表1に記載する。
特定の実施形態において、本発明は、上記の表1に記載のものから選択される任意の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
4.使用、配合及び投与及び医薬的に許容される組成物
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩、エステル、又はエステルの塩、及び医薬的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプル中又は患者においてACCを測定可能に阻害するために有効な量である。特定の実施形態において、本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプル中又は患者においてACCを測定可能に阻害するために有効な量である。特定の実施形態において、本発明の組成物は、そのような組成物を必要としている患者への投与用に配合される。一部の実施形態において、本発明の組成物は、患者への経口投与用に配合される。
本明細書で使用する「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
「医薬的に許容される担体、補助剤、又はビヒクル」という用語は、一緒に配合される化合物の薬理活性を破壊しない、非毒性の担体、補助剤、又はビヒクルを指す。本発明の組成物において使用され得る医薬的に許容される担体、補助剤又はビヒクルの例としてイオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩又は電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
「医薬的に許容される誘導体」とは、受容者への投与後、直接又は間接的に、本発明の化合物又はその阻害活性代謝物又は残留物を提供する能力のある、本発明の化合物の非毒性の塩、エステル、エステルの塩又は他の誘導体を意味する。
本明細書で使用する「その阻害活性代謝物又は残留物」という用語は、その代謝物又は残留物もACCの阻害剤であることを意味する。
本発明の組成物は、経口投与、非経口投与、吸入スプレーによる投与、局所投与、直腸投与、経鼻投与、口腔投与、経膣投与、又は埋込型リザーバー経由投与することができる。本明細書で使用する「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病変内及び頭蓋内での注射技法又は注入技法を含む。好ましくは、組成物は経口投与、腹腔内投与又は静脈内投与される。本発明の組成物の滅菌注射式形態は、水性又は油性の懸濁物であってもよい。これらの懸濁物は、当技術分野において公知の技法に従って、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して配合され得る。滅菌注射式調剤は、非毒性、非経口の許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射式溶液又は懸濁物、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。採用され得る許容されるビヒクル及び溶媒は特に、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油も従来、溶媒又は懸濁媒体として使用されている。
この目的に対し、合成モノグリセリド又は合成ジグリセリドなど、任意の無菌性固定油を使用することができる。脂肪酸、例えばオレイン酸及びそのグリセリド誘導体は、オリーブ油又はヒマシ油など医薬的に許容される天然油、特にそれらのポリオキシエチレン化版同様、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁物は、長鎖アルコールの希釈剤又は分散剤、例えば乳剤及び懸濁物を含む医薬的に許容される剤形の配合に一般的に使用されるカルボジシメチルセルロース又は類似の分散剤を含有していてもよい。他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTweens、Spans及び他の乳化剤又は生物学的利用能強化剤など、医薬的に許容される固体、液体又は他の剤形の製造に一般的に使用されるものも、配合目的で使用され得る。
本発明の医薬的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁物又は溶液を含む、ただしこれらに限定されない、経口的に許容される任意の剤形にて経口投与され得る。経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体の例として、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなど潤滑剤も、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与向けに有用な希釈剤の例として、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用向けに水性懸濁物が必要な場合、活性成分は乳化剤及び懸濁化剤と組み合わされる。所望される場合、特定の甘味剤、香味剤又は着色剤も添加され得る。
或いは、本発明の医薬的に許容される組成物は、直腸投与用坐薬の形態で投与され得る。これらは、室温では固体であるが直腸温度で液体となることにより直腸内で融解して薬物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することによって、調製され得る。そのような材料の例として、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の医薬的に許容される組成物は、特に治療の標的が局所塗布により容易にアクセス可能な領域又は器官を含む場合、例えば眼、皮膚、又は下部腸管の疾患などの場合、局所投与され得る。適切な局所用配合は、これらの領域又は器官それぞれを対象に、容易に調製される。
下部腸管向けの局所塗布は、直腸用坐薬配合(上記参照)又は適切な浣腸用配合において効果を発揮し得る。局所経皮パッチも使用され得る。
局所塗布向けに提供される医薬的に許容される組成物は、1つ以上の担体に懸濁又は溶解させた活性成分を含有する、適切な軟膏に配合され得る。本発明の化合物の局所投与用担体の例として、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋及び水が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、提供される医薬的に許容される組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体に懸濁又は溶解させた活性成分を含有する、適切なローション又はクリームに配合され得る。適切な担体の例として、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリールアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
眼科用途の場合、提供される医薬的に許容される組成物は、等張性pH調整滅菌生理食塩水中の微細化懸濁物として、又は好ましくは、等張性pH調整滅菌生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコニウムクロリドなど防腐剤を添加して、又は添加せずに、配合され得る。或いは、眼科用途の場合、医薬的に許容される組成物はワセリンなど軟膏中に配合され得る。
本発明の医薬的に許容される組成物は、経鼻エアロゾル又は吸入によっても投与され得る。そのような組成物は製薬配合分野で周知の技法に従って調製され、また生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコール又は他の適切な防腐剤、生物学的利用能を強化するための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は他の従来的な可溶化剤又は分散剤を使用して調製され得る。
最も好ましくは、本発明の医薬的に許容される組成物は経口投与向けに配合される。そのような配合物の投与は、食品と一緒でも一緒でなくてもよい。一部の実施形態において、本発明の医薬的に許容される組成物は食品を伴わずに投与される。他の実施形態において、本発明の医薬的に許容される組成物は食品と一緒に投与される。
単回剤形の組成物を生産するために担体材料と組み合わせられ得る本発明の化合物の量は、治療を受ける宿主や、特定の投与様式次第で変わる。好ましくは、提供される組成物は、1日に体重1 kg当たり0.01 mg〜100 mgの範囲の用量を、これらの組成物を受ける患者に投与できるよう配合されるべきである。
任意の特定の患者についての具体的な用量及び治療計画は、様々な要因(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、並びに治療担当医師の判断及び治療しようとする特定の疾患の重篤度を含む)に依存することも、理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量は、その組成物中の特定の化合物にも依存する。
化合物及び医薬的に許容される組成物の使用
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)は、アセチルCoAのATP依存性カルボキシル化を触媒してマロニルCoAを形成する。この反応は、2つの半反応、即ち、ビオチンカルボキシラーゼ(BC)反応及びカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)反応で進行し、脂肪酸(FA)生合成において最初に行われる工程であり、そしてこの経路の律速反応である。FA生合成における基質としての役割に加えて、ACC-触媒反応の産物であるマロニルCoAは、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT-I)(ミトコンドリアFA酸化において最初に行われる工程を触媒する酵素)のアロステリック阻害によるミトコンドリアFA取込みを制御する際にも、重要な調節の役割を果たす。したがって、マロニルCoAは、動物における食事の変化及び変化した栄養要求(例えば運動中)に応答しての、FAの産生及び利用の制御に重要な代謝シグナルであるため、肝臓及び骨格筋における炭水化物の利用と脂肪の利用との間の切り替えの制御に重要な役割を果たす[Harwood、2005]。
哺乳類において、ACCは、2つの組織特異的アイソザイム、即ち脂質生成組織(肝臓、脂肪)に存在するACC1、及び酸化組織(肝臓、心臓、骨格筋)に存在するACC2として存在する。ACC1とACC2は、別々の遺伝子によりコード化され、異なる細胞分布を示し、そしてACC2をミトコンドリア膜へ向かわせるACC2のN末端における伸長を除いて全体で75%のアミノ酸配列同一性を共有する。この標的化配列を欠くACC1は、細胞質に局在する。脂肪酸合成能力が限られる心臓及び骨格筋において、ACC2により形成されるマロニルCoAは、FA酸化を調節するよう機能する。肝臓では、ACC1の作用を介して細胞質中で形成されるマロニルCoAが、FAの合成及び伸長に利用され、トリグリセリド形成及びVLDL産生をもたらす一方、ACC2によりミトコンドリア表面で形成されるマロニルCoAは、FA酸化を調節する形で作用する[Tong及びHarwood、J. Cellular Biochem. 99: 1476、2006]。マロニルCoAのこの分類は、合成の近接[Abu-Elheigaら、PNAS (USA) 102: 12011、2005]と、マロニルCoAデカルボキシラーゼの迅速な作用[Chengら、J. Med. Chem. 49: 1517、2006]との組合せからもたらされる。
ACC1とACC2の酵素活性の同時阻害は、脂質生成組織(例えば、肝臓及び脂肪)におけるデノボFA産生を阻害する能力を与え、一方で同時に、酸化組織(例えば、肝臓及び骨格筋)におけるFA酸化を刺激することから、肥満症、糖尿病、インスリン抵抗性、及び代謝症候群に関連する多数の心臓血管リスク因子に協調的な形で好ましい影響を与える、魅力的な様式をもたらす。
複数の一連の証拠が、ACC活性の直接阻害の、肥満症、糖尿病、インスリン抵抗性、及び代謝症候群の治療における重要な治療標的としての概念を強く裏付ける。
Abu-Elheigaら[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:10207〜10212、2003]は、ACC2ノックアウトマウスが、骨格筋及び心筋のマロニルCoAの減少、筋肉FA酸化の増加、肝脂肪の減少、総体脂肪の減少、骨格筋脱共役タンパク質-3(UCP3)の上昇(増大したエネルギー消費量増加の指標)、体重減少、血漿中遊離FAの減少、血漿中グルコースの減少、及び組織グリコーゲンの減少を示し、そして食事誘導性の糖尿病及び肥満症から保護されることを実証した。
Savageら[J. Clin. Invest. 116: 817、2006]は、ACC1及びACC2アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、単離されたラット肝実質細胞及び高脂肪食事を与えられたラットにおけるFA酸化の刺激、並びに肝臓トリグリセリドの低下、インスリン感受性の改善、肝臓グルコース産生の減少、そして高脂肪食事を与えられたラットにおけるUCP1 mRNAの増大を実証した。これらの効果は、ACC1とACC2の両方の発現が抑制された場合、ACC1又はACC2の発現が単独で抑制された場合よりも大きかった。
Harwoodら[J. Biol. Chem. 278: 37099、2003]は、ラット、マウス、サル及びヒトから単離された、アイソザイム非選択的ACC阻害剤であるCP-640186(これはピルビン酸カルボキシラーゼ又はプロピオニル-CoAカルボキシラーゼのいずれも阻害することなく、ACC1とACC2とを等しく阻害する(IC50=約60 nM))が、Hep-G2細胞において、コレステロール合成に影響を与えることなく、FA合成、トリグリセリド合成及び分泌を減少させ、そしてapoA1分泌に影響を与えることなくapoB分泌を減少させることを実証した。CP-640186は、C2C12細胞及びラット筋肉切片においても、FA酸化を刺激し、そしてHep-G2細胞におけるCPT-I活性を増大させた。実験動物において、CP-640186は、脂質生成組織と酸化組織の両方において、非絶食状態と絶食状態との両方でマロニルCoA濃度を急激に低下させ、肝臓及び脂肪組織のFA合成を減少させ、そして全身FA酸化を増大させた。スクロースを給餌され、3週間にわたりCP-640186治療を施されたラットにおいて、CP-640186は、肝臓、筋肉及び脂肪のトリグリセリドを時間依存的及び用量依存的に減少させ、脂肪分の少ない体を低減させない選択的脂肪減少を要因として体重を減少させ、レプチンレベルを低下させ、血漿グルコースレベルを変化させない高スクロース食事により生じる高インスリン血症を減少させ、そしてインスリン感受性を改善した。
Sahaら[Diabetes 55: A288、2006]は、インスリン抵抗性ラット筋肉組織における、CP-640186による、化合物投与後30分以内のインスリン感受性の刺激を実証し、そしてFurlerらによる研究[Diabetes 55:A333、2006]は、二重トレーサー分析を使用して、ラットのCP-640186での急性(46分)治療が、グルコースクリアランスを減少させることなく、FAクリアランスを刺激したことを示した。
ACCは、脂肪酸合成における律速酵素であり、その産物であるマロニルCoAは、脂肪酸酸化の重要な調節因子の役割を果たす。したがって、ACC阻害剤は、デノボ脂質合成を減少させ、かつ既存の脂肪の酸化を促進する。脂質代謝に対するこの二重の効果は、ACC阻害剤が、過剰の脂肪を減少させる際、他の機構よりも実質的に一層効果的である可能性を引き上げる。さらに、ACC阻害剤は、多剤併用療法の必要なく、全身及び組織特異的な脂肪質量減少の結果として、インスリン感受性、血漿及び組織のトリグリセリド、並びに絶食時の血漿グルコースに影響を与える。
ACC阻害剤は、末梢区画において、肝臓及び筋肉に接近する必要があるのみである。CNSの回避は、CNS受容体を標的とする後期肥満症プログラムに付随する副作用の多くに対処することになる。ACC阻害剤は、既存の代謝疾患剤より優れた安全プロファイルを有することも期待される。例えば、ACC阻害剤は、インスリン模倣物、インスリン分泌促進薬、及びインスリン分解阻害剤において頻繁に見られるように、生命を脅かす低血糖の発生を早めるとは考えにくい。またACC阻害剤は全身脂肪質量を減少させることから、作用機構の一部として全身脂肪質量を増加させるグリタゾン類より優れている。
有意な体重損失を引き起こし、他の代謝終点を改善する、末梢作用性薬剤は、新規肥満薬の承認に対するUS FDAの要件に十分に適合する。しかし、肥満症についての承認が5〜7年間困難であり続ける場合、ACC阻害剤は、家族性混合型高脂質血症及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)について承認され得る。現在、市販のACC阻害剤は存在しないため、アイソザイム非選択的ACC阻害剤は、肥満症及び代謝症候群を治療するための最上級の療法に相当すると考えられる。
本発明において、ACCの阻害剤、若しくは肥満症又は代謝症候群の治療用として利用される化合物の活性について、インビトロ又はインビボでのアッセイが可能である。本発明の化合物の効力のインビボ評価は、肥満症又は代謝症候群の動物モデル(例えば、齧歯類モデル又は霊長類モデル)を使用して行うことができる。細胞ベースのアッセイは、例えば、ACCを発現する組織から単離された細胞系統を使用して実施することができる。加えて、生化学アッセイ又は代謝ベース型アッセイ(例えば、精製タンパク質を使用する転写アッセイ)、ノーザンブロット、RT-PCRなどが実施され得る。インビトロアッセイの例として、細胞形態、タンパク質発現、及び/又は細胞傷害性、酵素阻害活性、及び/又は本発明の化合物による細胞処理後の機能的結果を決定するアッセイが挙げられる。交互インビトロアッセイでは、この阻害剤が細胞内のタンパク質分子又は核酸分子に結合する能力を定量する。阻害剤の結合は、この阻害剤を結合前に放射標識し、阻害剤/標的分子複合体を単離し、そして結合した放射標識の量を決定することによって測定され得る。あるいは、阻害剤の結合は、公知の放射性リガンドと結合した精製タンパク質又は核酸と一緒に新規阻害剤を培養する競合実験の実行によって決定され得る。本発明においてACCの阻害剤として利用される化合物のアッセイ実施における詳細な条件は、下記の実施例に記載されている。上記のアッセイは典型例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。熟練の実務者であれば、同じ結果を与える等価なアッセイを開発するために、従来のアッセイに対する修正も為され得ることを理解し得る。
本明細書で使用する「治療」、「治療する」及び「治療すること」という用語は、本明細書に記載されるような疾患又は障害、それらの1つ以上の症状の逆転、緩和、発症遅延、又は進行阻害を指す。一部の実施形態において、治療は、1つ以上の症状の発症後に施されてもよい。他の実施形態において、治療は、症状がない状態で施されてもよい。例えば、治療は、症状が発症する前に、(例えば症状の履歴及び/又は遺伝的因子又は他の感受性因子を考慮して)感受性の個体に対して施されてもよい。症状が解消した後でも、例えば症状の再発の防止又は遅延を目的に治療を継続してもよい。
化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、代謝障害又は代謝状態、がん、細菌感染、真菌感染、寄生生物感染(例えば、マラリア)、自己免疫障害、神経変性障害又は神経障害、精神分裂病、骨関連障害、肝疾患、又は心疾患の治療のため、又はその重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、ACC関連疾患を治療するため、又はその重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Tongら、「Acetyl-coenzyme A carboxylase: crucial metabolic enzyme and attractive target for drug discovery」Cell and Molecular Life Sciences (2005) 62、1784〜1803)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、代謝の障害、疾患、又は症状の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。一部の実施形態において、代謝障害は、肥満症、代謝症候群、糖尿病又は糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)及び2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病、NIDDM)を含む)、グルコース寛容減損、インスリン抵抗性、高血糖症、糖尿病合併症(アテローム性動脈硬化症、冠状心臓疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、腎症、高血圧症、ニューロパシー及び腎症が挙げられるが、これらに限定されない)、肥満症共存症(代謝症候群、脂質異常症、III型脂質異常症、高血圧症、インスリン抵抗性、糖尿病(1型糖尿病及び2型糖尿病を含む)、冠状動脈疾患、及び心不全が挙げられるが、これらに限定されない)である。一部の実施形態において、代謝の障害、疾患又は症状は、非アルコール性脂肪肝疾患又は肝インスリン抵抗性である。
一部の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載される代謝の障害、疾患、又は症状を治療するための、1つ以上の薬剤と組み合わせての本発明の化合物の投与を含む方法を提供する。本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な薬剤の例として、抗肥満薬(食欲抑制剤を含む)、抗糖尿病剤、抗高血糖症剤、脂質低下剤、及び抗高血圧症剤が挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な脂質低下剤の例として、胆汁酸封鎖剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、アシル補酵素A-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、CETP阻害剤、スクワレンシンテターゼ阻害剤、PPAR-α作動薬、FXR受容体調節剤、LXR受容体調節剤、リポタンパク質合成阻害剤、レニン-アンギオテンシン系阻害剤、PPAR-δ部分作動薬、胆汁酸再吸収阻害剤、PPAR-γ作動薬、トリグリセリド合成阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤、転写調節剤、スクワレンエポキシダーゼ阻害剤、低密度リポタンパク質受容体誘発因子、血小板凝集阻害剤、5-LO又はFLAP阻害剤、ナイアシン、及びナイアシン結合クロムが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な抗高血圧剤の例として、利尿薬、β-アドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、エンドセリン作動薬、血管拡張薬、アンギオテンシンII受容体作動薬、α/βアドレナリン遮断薬、α1遮断薬、α2作動薬、アルドステロン阻害剤、鉱質コルチコイド受容体阻害剤、レニン阻害剤、アンギオポエチン2結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な抗糖尿病剤の例として、他のアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、DGAT-1阻害剤、AZD7687、LCQ908、DGAT-2阻害剤、モノアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ阻害剤、PDE-10阻害剤、AMPK活性剤、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ダイヤビニーズ、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、ブリミピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、トルブタミド)、メグリチニド、α-アミラーゼ阻害剤(例えば、テンダミスタト、トレスタチン、AL-3688)、α-グルコシドヒドロラーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アジポシン、カミグリボース、エミグリタート、ミグリトール、ボグリボース、パラジマイシン-Q、サルボスタチン)、PPAR-γ作動薬(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、PPAR-α/γ作動薬(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767、SB-219994)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン、ブホルミン)、GLP-1調節剤(エキセンジン-3、エキセンジン-4)、リラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド(Byetta)、タスポグルチド、リキシセナチド、デュラグルチド、セマグルチド、N,N-9924、TTP-054、PTP-1B阻害剤(トロデュスケミン、ヒルチオサール抽出物)、SIRT-1阻害剤(例えば、レスベラトロール、GSK2245840、GSK184072)、DPP-IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デュトグリプチン、リナグリプチン、サキサグリプチン)、インスリン分泌促進薬、脂肪酸酸化阻害剤、A2拮抗薬、JNK阻害剤、グルコキナーゼ活性剤(例えば、TTP-399、TTP-355、TTP-547、AZD1656、ARRY403、MK-0599、TAK-329、AZD5658、GKM-001)、インスリン、インスリン模倣物、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(例えば、GSK1362885)、VPAC2受容体作動薬、SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、BI-10733、トホグリフロジン、ASP-1941、THR1474、TS-071、ISIS388626、LX4211)、グルカゴン受容体調節剤、GPR119調節剤(例えば、MBX-2982、GSK1292263、APD597、PSN821)、FGF21誘導体、TGR5(GPBAR1)受容体作動薬(例えば、INT777)、GPR40作動薬(例えば、TAK-875)、GPR120作動薬、ニコチン酸受容体(HM74A)活性剤、SGLT1阻害剤(例えば、GSK1614235)、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ酵素阻害剤、フルクトース1,6-ジホスファターゼ阻害剤、アルドースレダクターゼ阻害剤、鉱質コルチコイド受容体阻害剤、TORC2阻害剤、CCR2阻害剤、CCR5阻害剤、PKC(例えば、PKC-α、PKC-β、PKC-γ)阻害剤、脂肪酸シンテターゼ阻害剤、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ阻害剤、GPR81調節剤、GPR39調節剤、GPR43調節剤、GPR41調節剤、GPR105調節剤、Kv1.3阻害剤、レチノール結合タンパク質4阻害剤、糖質コルチコイド受容体調節剤、ソマトスタチン受容体(例えば、SSTR1、SSTR2、SSTR3、SSTR5)阻害剤、PDHK2阻害剤、PDHK4阻害剤、MAP4K4阻害剤、IL1-β調節剤、及びRXR-α調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。
適切な抗肥満症剤としては、11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ(SCD-1)阻害剤、MCR-4作動薬、CCK-A作動薬、モノアミン再取込み阻害剤(例えば、シブトラミン)、交感神経様作用剤、β-3-アドレナリン作用性受容体作動薬、ドーパミン受容体作動薬(例えば、ブロモクリプチン)、メラノサイト刺激ホルモン及びその類似体、5-HT2C作動薬(例えば、ロルカセリン/Belviq)、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤(例えば、テトラヒドロリプスタチン/オルリスタット)、食欲抑制剤(例えば、ボンベシン作動薬)、NPY拮抗薬(例えば、ベルネペリット)、PYY3-36(及びその類似体)、BRS3調節剤、オピオイド受容体混合拮抗薬、甲状腺ホルモン様薬剤、デヒドロエピアンドロステロン、糖質コルチコイドの作動薬又は拮抗薬、オレキシン拮抗薬、GLP-1作動薬、網様体神経栄養因子(例えば、アキソキン)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)阻害剤、H3の拮抗薬又は逆作動薬、ニューロメジンU作動薬、MTP/ApoB阻害剤(例えば、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、JTT130、ウシスタピド、SLX4090))、MetAp2阻害剤(例えば、ZGN-433)、グルカゴン受容体、GIP受容体、及びGLP1受容体のうちの2つ以上において混合調節活性を有する薬剤(例えば、MAR-701、ZP2929)、ノルエピネフリン再取込み阻害剤、オピオイド拮抗薬(例えば、ナルトレキソン)、CB1受容体の拮抗薬又は逆作動薬、グレリンの作動薬又は拮抗薬、オキシントモジュリン及びその類似体、モノアミン取込み阻害剤(例えば、テソフェンシン)、並びに併用剤(例えば、ブプロプリオンとゾニサミド(Empatic)、プラムリンチドとメトレレプチン、ブプロプリオンとナルトレキソン(Contrave)、フェンテルミンとトピラマート(Qsymia))が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、本発明の化合物と組み合わせて使用される抗肥満症剤は、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、ミトラタピド、インプリタピド、R56918)、CCK-A作動薬、5-HT2C作動薬(例えば、ロルカセリン/Belviq)、MCR4作動薬、リパーゼ阻害剤(例えば、Cetilistat)、PYY3-36(その類似体及びPEG化類似体を含む)、オピオイド拮抗薬(例えば、ナルトレキソン)、オレオイルエストロン、オビネピチド、プラムリンチド、テソフェンシン、レプチン、ブロモクリプチン、オルリスタット、AOD-9604、及びシブトラミンから選択される。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、LKB1又はKras関連疾患の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。一部の実施形態において、LKB1又はKras関連疾患は、肝細胞癌、LKB1変異体がん、LKB1ヘテロ接合性の損失(LOH)駆動型がん、Kras変異体がん、ポイツ-ジェガース症候群(PJS)、カウデン病(CD)、及び結節硬化症(TS)から選択される(Makowskiら、「Role of LKB1 in Lung Cancer Development」British Journal of Cancer (2008) 99、683〜688)。一部の実施形態において、LKB1又はKras関連疾患は、Kras陽性/LKB1欠損肺腫瘍である。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、がんの治療又は重篤度の低減、又はがん細胞の増殖阻害又はアポトーシス誘発に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Wangら、「Acetyl-CoA Carboxylase-alpha Inhibitor TOFA Induces Human Cancer Cell Apoptosis」Biochem Biophys Res Commun. (2009) 385(3)、302〜306、Chajesら、「Acetyl-CoA Carboxylase alpha Is Essential to Breast Cancer Cell Survival」Cancer Res. (2006) 66、5287〜5294、Beckersら、「Chemical Inhibition of Acetyl-CoA Carboxylase Induces Growth Arrest and Cytotoxicity Selectivity in Cancer Cells」Cancer Res. (2007) 8180〜8187、Brusselmansら、「RNA Interference-Mediated Silencing of the Acetyl-CoA-Carboxylase-alpha Gene Induces Growth Inhibition and Apoptosis of Prostate Cancer Cells」Cancer Res. (2005) 65、6719〜6725、Brunetら、「BRCA1 and Acetyl-CoA Carboxylase: The Metabolic Syndrom of Breast Cancer」Molecular Carcinogenesis (2008) 47、157〜163、Cairnsら、「Regulation of Cancer Cell Metabolism」(2011) 11、85〜95、Chiaradonnaら、「From Cancer Metabolism to New Biomarkers and Drug Targets」Biotechnology Advances (2012) 30、30〜51)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、黒色腫の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。一部の実施形態において、黒色腫は活性化MAPK経路を有する疾患である(Pettiら、「AMPK activators inhibit the proliferation of human melanomas bearing the activated MAPK pathway」Melanoma Research (2012) 22、341〜350)。
本発明の化合物は、トリプルネガティブ乳がんに特別な有用性を見出すが、それは腫瘍抑制タンパク質であるBRCA1がACCの不活性形態に結合して安定化させる結果、がん細胞増殖をもたらすデノボ脂質合成を上方調節するからである(Brunetら、「BRCA1 and acetyl-CoA carboxylase: the metabolic syndrome of breast cancer」Mol. Carcinog. (2008) 47(2)、157〜163)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、脂肪肉腫の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。脂肪肉腫は、成長のためにデノボ長鎖脂肪酸合成に依存することが示されており、そしてソラフェンAによるACCの阻害は、脂質生成のほか、腫瘍細胞増殖も阻害した(Olsenら、「Fatty acid synthesis is a therapeutic target in human liposarcoma」International J. of Oncology (2010) 36、1309〜1314)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、肝疾患の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。一部の実施形態において、肝疾患は、C型肝炎、肝細胞癌、家族性混合型高脂質血症及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝臓がん、胆管癌、血管肉腫(angiosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma)、及び進行性家族性肝内胆汁鬱滞から選択される。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、細菌感染の治療又は重篤度の低減、又は細菌増殖阻害に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、真菌感染の治療又は重篤度の低減、又は真菌細胞増殖阻害に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Shenら、「A Mechanism for the Potent Inhibition of Eukaryotic Acetyl-Coenzyme A Carboxylase by Soraphen A, a Macrocyclic Polyketide Natural Product」Molecular Cell (2004) 16、881〜891)。一部の実施形態において、真菌感染はヒトに発生する。一部の実施形態において、真菌感染はカンジダ感染である。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、細菌感染の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Tong, L.ら、J. Cell. Biochem. (2006) 99、1476〜1488)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、ウイルス感染の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Mungerら、Nat. Biotechnol. (2008) 26、1179〜1186)。一部の実施形態において、ウイルス感染はC型肝炎である。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、神経疾患の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Hendersonら、Neurotherapeutics (2008) 5、470〜480; Costantiniら、Neurosci. (2008) 9 Suppl. 2:S16、Barananoら、Curr. Treat. Opin. Neurol. (2008) 10、410〜419)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、寄生生物(例えば、マラリア及びトキソプラズマ)感染の治療又は重篤度の低減、又は寄生生物増殖阻害に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る(Gornickiら、「Apicoplast fatty acid biosynthesis as a target for medical intervention in apicomplexan parasites」International Journal of Parasitology (2003) 33、885〜896、Zutherら、「Growth of Toxoplasma gondii is inhibited by aryloxyphenoxypropionate herbicides targeting acetyl-CoA carboxylase」PNAS (1999) 96 (23) 13387〜13392)。
一部の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、心障害の治療又は重篤度の低減に有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して、投与され得る。一部の実施形態において、心障害は心肥大である。一部の実施形態において、心障害の治療又は重篤度低減の手段は、ACC阻害を介した脂肪酸酸化の増加による心臓保護機能である(Kolwiczら、「Cardiac-specific deletion of acetyl CoA carboxylase 2 (ACC2) prevents metabolic remodeling during pressure-overload hypertrophy」Circ. Res. (2012); DOI: 10.1161/CIRCRESAHA.112.268128)。
特定の実施形態において、化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、除草剤として使用され得る。一部の実施形態において、本発明は、本発明の化合物での植物処理を含む、植物の成長又は生存性を阻害する方法を提供する。本発明の一部の実施形態において、本発明の化合物は、ACC阻害によって植物の成長又は生存性を阻害する目的で使用され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、植物における脂肪酸生産の阻害又は脂肪酸酸化の増大のための、本発明の化合物の使用を含む。
必要とされる正確な量は、対象毎に、対象の種、年齢及び全般的状態、感染の重篤度、特定の薬剤、投与方法などに応じて変動する。本発明の化合物は、好ましくは、投与を容易にし、用量を均一にするために、単位剤形に配合される。本明細書で使用する「単位剤形」という表現は、治療しようとする患者にとって適切な薬剤の物理的に別々になった単位を指す。しかし、本発明の化合物及び組成物の1日当たりの総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることになると理解される。任意の特定の患者又は生物に対する特異的有効用量レベルは、治療しようとする障害及び障害の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全般的健康、性別、及び食事、使用される特定の化合物の投与時間、投与経路、及び排泄速度、治療持続期間、使用される特定の化合物と併用又は同時使用される薬物、及び医療分野で周知の同様の要因、これらを含む様々な要因に依存する。本明細書で使用する「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
本発明の、医薬的に許容される組成物は、ヒト及び他の動物に、治療しようとする感染の重症度に応じて経口的に、経直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、又はドロップ剤などによる)、経頬的に、又は経口スプレー剤又は経鼻スプレー剤などとして投与することができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日に1回以上、1日当たり対象の体重に対して約0.01mg/kgから約50mg/kg、好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgの用量レベルで経口的又は非経口的に投与され得る。
経口投与向け液体剤形の例として、医薬的に許容される乳剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加え、液体剤形は、例えば水又は他の溶媒など当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤や、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物など、可溶化剤及び乳化剤を含有していてもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、及び懸濁化剤など補助剤や、甘味剤、香味剤、及び芳香剤も含み得る。
注射式調剤、例えば滅菌注射用の水性又は油性の懸濁剤は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用する公知の技術に従って配合され得る。滅菌注射式調剤は、非毒性、非経口の許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射式溶液、懸濁物又は乳剤、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。採用され得る許容されるビヒクル及び溶媒は特に、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油も従来、溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的に対し、合成モノグリセリド又は合成ジグリセリドなど、任意の無菌性固定油を使用することができる。加えて、オレイン酸など脂肪酸も、注射物質の調製に使用される。
注射製剤は、使用前に、例えば細菌保持フィルターを介した濾過によって、又は滅菌水又は他の滅菌注射媒体に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
本発明の化合物の効果を長続きさせるため、多くの場合、皮下又は筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶質又は非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって実現され得る。したがって化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。或いは、非経口投与される化合物形態の遅延吸収は、油ビヒクルへの化合物の溶解又は懸濁によって実現される。注射デポ形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなど、生分解性ポリマー内で化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって製造される。化合物対ポリマー比、及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポ注射製剤は、体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルション内に化合物を捕捉することによっても調製される。
直腸投与又は膣投与向けの組成物は、好ましくは本発明の化合物と、周囲温度で固体であるが体温で液体であることにより直腸又は膣腔内で溶解し活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコール、又は坐薬蝋など、適切な非刺激性賦形剤又は担体とを混合することによって調製できる坐薬である。
経口投与向け固体剤形の例として、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性化合物を、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなど少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤又は担体、及び/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸など充填剤又は増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシアなど結合剤、c)グリセロールなど保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、一部のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなど崩壊剤、e)パラフィンなど溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物など吸収促進剤、g)例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなど湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレイなど吸収剤、並びにi)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物など滑沢剤と混合する。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含んでいてもよい。
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースや乳糖などの賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤としても使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング及び医薬品配合の技術分野で周知のその他のコーティングなど、コーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらは、場合により不透明化剤を含有していてもよく、また場合により遅延する様式で、腸管のある部分のみ又は優先的にその部分に活性成分を放出する組成物にすることもできる。使用できる埋め込み組成物の例として、ポリマー物質及び蝋が挙げられる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースや乳糖などの賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤としても使用され得る。
活性化合物は、上記の1つ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態にすることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング及び医薬品配合の技術分野で周知のその他のコーティングなど、コーティング及びシェルを用いて調製することができる。そのような固体剤形では、活性化合物を、スクロースやラクトース、デンプンなど少なくとも1つの不活性希釈剤と混合してもよい。そのような剤形は、通常慣行同様、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば錠剤成形滑沢剤及びステアリン酸マグネシウムや微結晶性セルロースなど、他の錠剤成形助剤も含み得る。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含んでいてもよい。これらは、場合により不透明化剤を含有していてもよく、また場合により遅延する様式で、腸管のある部分のみ又は優先的にその部分に活性成分を放出する組成物にすることもできる。使用できる埋め込み組成物の例として、ポリマー物質及び蝋が挙げられる。
本発明の化合物の局所投与用剤形又は経皮投与用剤形の例として、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤、又はパッチ剤が挙げられる。活性化合物は、滅菌条件下で、医薬的に許容される担体及び必要とされる任意の防腐剤又は緩衝剤と、必要に応じて混合される。眼科用製剤、点耳薬、及び点眼薬も、本発明の範囲内にあると考えられる。加えて、本発明は、身体に対して制御された化合物送達を行うことができるという、さらなる利点を有する経皮パッチの使用を想定する。そのような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解又は分散させることによって製造することができる。吸収増強剤も、皮膚を横断する化合物の流れを増大させるために使用することができる。速度は、速度制御膜を設けることによって、又は化合物をポリマーマトリクス又はゲルに分散させることによって、制御することができる。
一実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルを本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物と接触させる工程を含む、生物学的サンプルにおいてACCを阻害する方法に関する。
特定の実施形態において、本発明は、生物学的サンプルを本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物と接触させる工程を含む、生物学的サンプルにおいて脂肪酸レベルを調節する方法に関する。
本明細書で使用する「生物学的サンプル」という用語は、制限なく、細胞培養物又はその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料又はその抽出物、並びに血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、又は他の体液又は抽出物を含む。
生物学的サンプルにおける酵素の阻害は、当業者に公知である様々な目的に有用である。そのような目的の例として、生物学的アッセイ、遺伝子発現研究、及び生物学的標的同定が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の別の実施形態は、患者においてACCを阻害する方法であって、前記患者に本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物を投与する工程を含む、方法に関する。
別の実施形態によれば、本発明は、患者において脂肪酸産生を阻害する方法、脂肪酸酸化に刺激を与える方法、又はその両方の方法であって、前記患者に本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物を患者に投与する工程を含む、方法に関する。特定の実施形態によれば、本発明は、患者において脂肪酸産生を阻害する、脂肪酸酸化に刺激を与える、又はその両方により、肥満の減少、又は代謝症候群の症状の軽減をもたらす方法であって、前記患者に本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物を投与する工程を含む、方法に関する。他の実施形態において、本発明は、それを必要とする患者においてACCにより媒介される障害を治療する方法であって、前記患者に本発明による化合物又はその医薬的に許容される組成物を投与する工程を含む、前記患者においてACCにより媒介される障害を治療する方法を提供する。そのような障害は、本明細書に詳しく記載される。
一部の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、肥満症又は別の代謝障害を治療する方法に使用され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、哺乳類における肥満症又は他の代謝障害を治療する方法に使用され得る。特定の実施形態において、この哺乳類はヒト患者である。特定の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、ヒト患者における肥満症又は他の代謝障害を治療する方法に使用され得る。
一部の実施形態において、本発明は、本発明の化合物又は組成物を肥満症又は別の代謝障害を有する患者に投与する工程を含む、肥満症又は別の代謝障害の治療方法を提供する。特定の実施形態において、肥満症又は別の代謝障害の治療方法は、本発明の化合物及び組成物を哺乳類に投与する工程を含む。特定の実施形態において、この哺乳類はヒトである。一部の実施形態において、この代謝障害は、脂質異常症、III型脂質異常症、又は高脂質血症である。一部の実施形態において、高脂質血症は高トリグリセリド血症である。一部の実施形態において、肥満はプラダーウィリ症候群、バルデー・ビードル症候群、コーエン症候群又はMOMO症候群の症状である。一部の実施形態において、肥満症は、これらに限定されないがインスリン、スルホニル尿素(sulfunylureas)、チアゾリジンジオン、抗精神病薬、抗うつ薬、ステロイド、抗痙攣薬(フェニトイン及びバルプロエートを包含する)、ピゾチフェン、又はホルモン性避妊薬などの別の薬剤の投与の副作用である。
特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物又は組成物をがん又は別の増殖性障害を有する患者に投与する工程を含む、がん又は別の増殖性障害の治療方法を提供する。特定の実施形態において、がん又は別の増殖性障害の治療方法は、本発明の化合物及び組成物を哺乳類に投与する工程を含む。特定の実施形態において、この哺乳類はヒトである。
本明細書で使用する「がんの阻害」及び「がん細胞増殖の阻害」という用語は、がん細胞の増殖、分裂、成熟又は生存性の阻害、及び/又はがん細胞の死滅を、個別に又は他のがん細胞との凝集物において、細胞傷害性、栄養枯渇、又はアポトーシスの誘導によって引き起こすことを指す。
本明細書に記載される化合物及び組成物により増殖が阻害され、そして本明細書に記載される方法が有用であるがん性細胞を含有する組織の例として、乳房、前立腺、脳、血液、骨髄、肝臓、膵臓、皮膚、腎臓、結腸、卵巣、肺、精巣、陰茎、甲状腺、副甲状腺、下垂体、胸腺、網膜、ブドウ膜、結膜、脾臓、頭部、頚部、気管、胆嚢、直腸、唾液腺、副腎、咽喉、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、筋肉、心臓、及び胃が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、本発明の化合物又は組成物によって治療されるがんは、黒色腫、脂肪肉腫、肺がん、乳がん、前立腺がん、白血病、腎臓がん、食道がん、脳がん、リンパ腫又は結腸がんである。特定の実施形態において、このがんは、原発性滲出性リンパ腫(PEL)である。特定の好ましい実施形態において、本発明の化合物又は組成物によって治療されることになるがんは、活性化されたMAPK経路を有するがんである。一部の実施形態において、活性化されたMAPK経路を有するがんは、黒色腫である。特定の好ましい実施形態において、本発明の化合物又は組成物によって治療されることになるがんは、BRCA1変異に関連するがんである。特に好ましい一実施形態において、本発明の化合物又は組成物によって治療されるがんは、トリプルネガティブ乳がんである。一部の実施形態において、肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。
特定の実施形態において、本発明の化合物によって治療され得る疾患は、神経障害である。一部の実施形態において、この神経障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、癲癇、虚血、加齢性記憶障害、中度認知障害、フリートライヒ運動失調症、GLUT1欠損癲癇、妖精症、ラブソン・メンデンホール症候群、冠状動脈バイパス移植片痴呆、麻酔誘導性記憶喪失、筋萎縮性側索硬化症、神経膠腫又はハンチントン病である。
特定の実施形態において、本発明の化合物によって治療され得る疾患は、感染性疾患である。一部の実施形態において、感染性疾患はウイルス感染である。一部の実施形態において、このウイルス感染は、サイトメガロウイルス感染又はインフルエンザ感染である。一部の実施形態において、感染性疾患は真菌感染である。一部の実施形態において、感染性疾患は細菌感染である。
一部の実施形態において、本発明の化合物は治療に使用され得る。
治療しようとする特定の状態又は疾患に応じて、さらなる治療剤(通常、その状態を治療するために投与される)が、本発明の化合物及び組成物と組み合わせて投与され得る。本明細書で使用する、特定の疾患又は状態を治療するために通常投与される、さらなる治療剤は、「治療しようとする疾患又は状態に対して適切」として公知である。
特定の実施形態において、提供される化合物又はその組成物は、別のACC阻害剤又は抗肥満薬と組み合わせて投与される。一部の実施形態において、提供される化合物又はその組成物は、他の1つ以上の治療剤と組み合わせて投与される。そのような治療剤の例として、オルリスタット(Xenical)、CNS刺激因子、Qsymia、又はBelviqなどの薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、提供される化合物又はその組成物は、別の抗がん剤、細胞毒性剤、又は化学療法剤と組み合わせて、それを必要としている患者に投与される。
特定の実施形態において、本発明の化合物又は組成物と組み合わせて使用される抗がん剤又は化学療法剤の例として、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、イマチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、スニチニブ、カルフィルゾミブ、サリノスポラミドA、レチノイン酸、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イホスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、チオグアニン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、タフルポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、アクチノマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、バルルビシン、イダルビシン、エピルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ミトザントロン、メルファラン、ブスルファン、カペシタビン、ペメトレキセド、エポチロン、13-シス-レチノイン酸、2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、5-FU、6-メルカプトプリン、6-MP、6-TG、6-チオグアニン、アブラキサン、Accutane(登録商標)、アクチノマイシン-D、Adriamycin(登録商標)、Adrucil(登録商標)、Afinitor(登録商標)、Agrylin(登録商標)、Ala-Cort(登録商標)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、Alkaban-AQ(登録商標)、Alkeran(登録商標)、オールトランスレチノイン酸、αインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、Anandron(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、Ara-C、Aranesp(登録商標)、Aredia(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Aromasin(登録商標)、Arranon(登録商標)、三酸化ヒ素、Arzerra(商標)、アスパラギナーゼ、ATRA、Avastin(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベンダムスチン、ベバシツマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)、ビカルタミド、BiCNU、Blenoxane(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、Busulfex(登録商標)、C225、ロイコボリンカルシウム、Campath(登録商標)、Camptosar(登録商標)、カンプトテシン-11、カペシタビン、Carac(商標)、カルボプラチン、カルムスチン、カルムスチンウエハ、Casodex(登録商標)、CC-5013、CCI-779、CCNU、CDDP、CeeNU、Cerubidine(登録商標)、セツキシマブ、クロラムブシル、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、Cosmegen(登録商標)、CPT-11、Cytadren(登録商標)、Cytosar-U(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、ダカルバジン、ダコゲン、ダクチノマイシン、ダルベポイエチンα、ダサチニブ、ダウノマイシン、塩酸ダウノルビシン、ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標)、デカドロン、デシタビン、Delta-Cortef(登録商標)、Deltasone(登録商標)、デニロイキン、ジフチトクス、DepoCyt(商標)、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸ナトリウムデキサメタゾン、デキサゾン、デキシラゾキサン、DHAD、DIC、ジオデクス、ドセタキセル、Doxil(登録商標)、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、Droxia(商標)、DTIC、DTIC-Dome(登録商標)、Duralone(登録商標)、Efudex(登録商標)、Eligard(商標)、Ellence(商標)、Eloxatin(商標)、Elspar(登録商標)、Emcyt(登録商標)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エルビツクス、エルロチニブ、Erwinia菌由来L-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、エチオール、Etopophos(登録商標)、エトポシド、リン酸エトポシド、Eulexin(登録商標)、エベロリムス、Evista(登録商標)、エキセメスタン、Fareston(登録商標)、Faslodex(登録商標)、Femara(登録商標)、フィルグラスチム、フロクスウリジン、Fludara(登録商標)、フルダラビン、Fluoroplex(登録商標)、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR(登録商標)、フルベストラント、G-CSF、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、Gemzar Gleevec(商標)、Gliadel(登録商標)ウエハ、GM-CSF、ゴセレリン、顆粒球・コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、Halotestin(登録商標)、Herceptin(登録商標)、ヘキサドロール、Hexalen(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、HMM、Hycamtin(登録商標)、Hydrea(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルチゾン、リン酸ナトリウムヒドロコルチゾン、コハク酸ナトリウムヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルトン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イブリツモマブ、チウキセタン、Idamycin(登録商標)、Idarubicin Ifex(登録商標)、IFN-α、イホスファミド、IL-11、IL-2、メシル酸イマチニブ、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンα、インターフェロンα-2b(PEG結合体)、インターロイキン-2、インターロイキン-11、Intron A(登録商標)(インターフェロンα-2b)、Iressa(登録商標)、イリノテカン、イソトレチノイン、イキサベピロン、Ixempra(商標)、Kidrolase(登録商標)、Lanacort(登録商標)、ラパチニブ、L-アスパラギナーゼ、LCR、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイケラン、Leukine(商標)、ロイプロリド、リューロクリスチン、Leustatin(商標)、リポソームAra-C、液体Pred(登録商標)、ロムスチン、L-PAM、L-サルコリシン、Lupron(登録商標)、Lupron Depot(登録商標)、Matulane(登録商標)、マキシデクス、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、Megace(登録商標)、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex(商標)、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メチルプレドニゾロン、Meticorten(登録商標)、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトザントロン、M-Prednisol(登録商標)、MTC、MTX、Mustargen(登録商標)、ムスチン、Mutamycin(登録商標)、Myleran(登録商標)、Mylocel(商標)、Mylotarg(登録商標)、Navelbine(登録商標)、ネララビン、Neosar(登録商標)、Neulasta(商標)、Neumega(登録商標)、Neupogen(登録商標)、Nexavar(登録商標)、Nilandron(登録商標)、ニロチニブ、ニルタミド、Nipent(登録商標)、ナイトロジェンマスタード、Novaldex(登録商標)、Novantrone(登録商標)、Nplate、オクトレオチド、酢酸オクトレオチド、オファツムマブ、Oncospar(登録商標)、Oncovin(登録商標)、Ontak(登録商標)、Onxal(商標)、オプレルベキン、Orapred(登録商標)、Orasone(登録商標)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合、パミドロネート、パニツムマブ、Panretin(登録商標)、Paraplatin(登録商標)、パゾパニブ、Pediapred(登録商標)、PEGインターフェロン、ペガスパルガセ、ペグフィルグラスチム、PEG-INTRON(商標)、PEG-L-アスパラギナーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、Platinol(登録商標)、Platinol-AQ(登録商標)、プレドニゾロン、プレドニゾン、Prelone(登録商標)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、プロロイキン(登録商標)、カルムスチンインプラントを伴うプロリフェプロスパン20、Purinethol(登録商標)、ラロキシフェン、Revlimid(登録商標)、Rheumatrex(登録商標)、Rituxan(登録商標)、リタキシマブ、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a)、ロミプロスチム、Rubex(登録商標)、塩酸ルビドマイシン、Sandostatin(登録商標)、Sandostatin LAR(登録商標)、サルグラモスチン、Solu-Cortef(登録商標)、Solu-Medrol(登録商標)、ソラフェニブ、SPRYCEL(商標)、STI-571、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、Sutent(登録商標)、タモキシフェン、Tarceva(登録商標)、Targretin(登録商標)、Tasigna(登録商標)、Taxol(登録商標)、Taxotere(登録商標)、Temodar(登録商標)、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、TESPA、サリドマイド、Thalomid(登録商標)、TheraCys(登録商標)、チオグアニン、Thioguanine Tabloid(登録商標)、チオホスファミド、Thioplex(登録商標)、チオテパ、TICE(登録商標)、Toposar(登録商標)、トポテカン、トレミフェン、Torisel(登録商標)、トシツモマブ(Tositumomab)、トラスツズマブ、Treanda(登録商標)、トレチノイン、Trexall(商標)、Trisenox(登録商標)、TSPA、TYKERB(登録商標)、VCR、Vectibix(商標)、Velban(登録商標)、Velcade(登録商標)、VePesid(登録商標)、Vesanoid(登録商標)、Viadur(商標)、Vidaza(登録商標)、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、Vincasar Pfs(登録商標)、ビンクリスチン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン、VLB、VM-26、ボリノスタト、ボトリエント、VP-16、Vumon(登録商標)、Xeloda(登録商標)、Zanosar(登録商標)、Zevalin(商標)、Zinecard(登録商標)、Zoladex(登録商標)、ゾレドロン酸、ゾリンザ、Zometa(登録商標)、又は上記の任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、メトホルミン、フェンホルミン、又はブホルミンから選択されるビグアナイドと一緒に、それを必要としている患者に投与され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物とビグアナイドとの組合せを投与される患者は、がん、肥満症、肝疾患、糖尿病又は上記のうち2つ以上を罹患している。
特定の実施形態において、2つ以上の治療剤の組合せが、本発明の化合物と一緒に投与され得る。特定の実施形態において、3つ以上の治療剤の組合せが、本発明の化合物と一緒に投与され得る。
本発明の阻害剤が同じく組み合わせられ得る薬剤の他の例として、限定されないが、ビタミン及び栄養補助食品、がんワクチン、好中球減少症治療薬(例えば、G-CSF、フィルグラスチム、レノグラスチム)、血小板減少症治療薬(例えば、輸血、エリスロポイエチン)、PI3キナーゼ(PI3K)阻害剤、MEK阻害剤、mTOR阻害剤、CPT1阻害剤、AMPK活性剤、PCSK9阻害剤、SREBP部位1プロテアーゼ阻害剤、HMG CoA-レダクターゼ阻害剤、制吐薬(例えば、5-HT3受容体作動薬、ドーパミン作動薬、NK1受容体作動薬、ヒスタミン受容体作動薬、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、又は抗コリン作用性物質)、アルツハイマー病治療薬(例えば、Aricept(登録商標)及びExcelon(登録商標)、パーキンソン病治療薬(例えば、L-DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキセフェンジル、及びアマンタジン)、多発性硬化症(MS)治療薬(例えば、βインターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)及びRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)、及びミトザントロン)、喘息治療薬(例えば、アルブテロール及びSingulair(登録商標))、精神分裂病治療薬(例えば、ジプレキサ、リスペルダル、セロケル、及びハロペリドール)、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL-1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミド、及びスルファサラジン)、免疫調節剤及び免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、及びスルファサラジン)、神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネル遮断薬、リルゾール、及び抗パーキンソン症候群治療薬)、心臓血管疾患治療薬(例えば、β-遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬、ニトレート、カルシウムチャネル遮断薬、及びスタチン、フィブレート、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、及びナイアシン)、肝疾患治療薬(例えば、コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン、及び抗ウイルス剤)、血液障害治療薬(例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤、及び成長因子)、免疫欠損障害治療薬(例えば、γグロブリン)、及び抗糖尿病剤(例えば、ビグアナイド(メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン)、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン)、スルホニル尿素(トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド)、メグリチニド(レパグリニド、ナテグリニド)、α-グルコシダーゼ阻害剤(ミグリトール、アカルボース)、インクレチン模倣物(エキセナチド、リラグルチド、タスポグルチド)、胃抑制性ペプチドアナログ、DPP-4阻害剤(ビルダグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン)、アミリンアナログ(プラムシンチド)、並びにインスリン及びインスリン類似体)が挙げられる。
特定の実施形態において、本発明の化合物又はその医薬的に許容される組成物は、アンチセンス剤、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、又はsiRNA治療剤と組み合わせて投与される。
これらの付加的薬剤は、発明化合物を含有する組成物とは別に、複数投薬計画の一環として投与され得る。或いは、これらの薬剤は、本発明の化合物と単一の組成物に混合された、単一の剤形の一部であってもよい。複数投薬計画の一環として投与される場合、これら2種の活性剤は、同時に、順番に、又は互いに一定期間(通常、互いに5時間以内)を置いて与えられ得る。
本明細書で使用する「組合せ」、「併用」、及び関連する用語は、本発明に係る複数の治療剤の同時投与又は逐次投与を指す。例えば、本発明の化合物は、別の単位剤形中又は単一の単位剤形中で一緒に、別の治療剤と同時投与又は逐次投与され得る。したがって、本発明は、式Iの化合物、付加的治療剤、及び医薬的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを含む、単一の単位剤形を提供する。
単一の剤形を製造するために担体材料と組み合わせられ得る、本発明の化合物及び付加的治療剤の両方の(上記のような付加的治療剤を含む組成物中での)量は、治療しようとする宿主、及び特定の投与形態に応じて変動する。好ましくは、本発明の組成物は、1日に体重1 kg当たり0.01 mg〜100 mgの範囲の用量を投与できるよう配合されるべきである。
付加的治療剤を含む組成物において、その付加的治療剤及び本発明の化合物は、相乗効果的に作用し得る。したがって、そのような組成物中の付加的治療剤の量は、その治療剤のみを利用する単剤療法で必要とされる量より少ない。そのような組成物において、付加的治療剤を1日に体重1 kg当たり0.01〜100μgの範囲の用量で投与することができる。
本発明の組成物中に存在する付加的治療剤の量は、唯一の活性剤としてその治療剤を含む組成物での通常投与量以下になる。好ましくは、本開示の組成物中の付加的治療剤の量は、唯一の治療上活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物における通常存在量の約50%〜100%の範囲となる。
本発明はさらに、上記にて定義の式Iの化合物のうち少なくとも1つ又はその農業的に許容される塩、及び液体又は固体の担体を含む、農業用組成物に関する。本発明の組成物に含まれ得る、適切な担体、並びに補助剤及びさらなる活性化合物が、以下に定義される。
適切な「農業的に許容される塩」の例として、それぞれ陽イオン及び陰イオンが、式Iの化合物の殺真菌作用に対して有害な影響を及ぼさない、陽イオンの塩又は酸の酸付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、適切な陽イオンは、特に、アルカリ金属(好ましくはナトリウム及びカリウム)のイオン、アルカリ土類金属(好ましくはカルシウム、マグネシウム及びバリウム)のイオン、並びに遷移金属(好ましくはマンガン、銅、亜鉛及び鉄)のイオン、さらに、アンモニウムイオン(所望であれば1個〜4個のC1〜C4アルキル置換基及び/又は1個のフェニル置換基若しくはベンジル置換基を有し得る、好ましくは、ジイソプロピルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム)である。付加的な農業的に許容される塩の例として、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン(好ましくは、トリ(C1〜C4アルキル)スルホニウム)及びスルホキソニウムイオン(好ましくは、トリ(C1〜C4アルキル)スルホキソニウム)が挙げられる。有用な酸付加塩の陰イオンは、主として、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、重炭酸イオン、炭酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、安息香酸イオン、さらに、C1〜C4アルカン酸の陰イオン(好ましくはギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、及び酪酸イオン)である。そのような農業的に許容される酸付加塩は、塩基性のイオン化可能な基を有する式Iの化合物を、対応する陰イオンの酸(好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、又は硝酸)と反応させることによって、形成され得る。
本発明による式Iの化合物及び組成物はそれぞれ、殺菌剤として適する。それらは広範囲に及ぶ植物病原性菌類、例えば土壌菌、特にネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、ペロノスポロミセテス(Peronosporomycetes)(卵菌綱(Oomycetes)と同義)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、子嚢菌綱(Ascomycetes)、担子菌綱(Basidiomycetes)及び不完全菌綱(Deuteromycetes)(不完全菌類(Fungi imperfecti)と同義)の綱に由来する土壌菌を含む植物病原性菌類に対する優れた有効性によって区別される。一部は全身有効性があり、葉面殺菌剤、種子粉衣用殺菌剤及び土壌殺菌剤として作物保護に使用することができる。さらに、これらはとりわけ木材又は植物の根に発生する有害菌の防除に適している。
一部の実施形態において、本発明による式Iの化合物及び組成物は、様々な栽培植物、例えば穀物(例えば、コムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギ又はイネ)、ビート(例えば、サトウダイコン又は飼料用ビート)、果実(例えば、ナシ状果、核果又はソフトフルーツ(例えば、リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー又はスグリ)、マメ科植物(例えば、レンズマメ、エンドウ、アルファルファ又はダイズ)、油脂植物(例えば、ナタネ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオマメ、トウゴマ、アブラヤシ、ハマビシ又はダイズ)、ウリ科植物(例えば、カボチャ、キュウリ又はメロン)、繊維植物(例えば、ワタ、アマ、アサ又はジュート)、柑橘類果実(例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ又はマンダリン)、野菜(例えば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物又はパプリカ)、クスノキ科植物(例えば、アボカド、ニッケイ又はショウノウ)、エネルギー及び原材料植物(例えば、トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、サトウキビ又はアブラヤシ)、トウモロコシ、タバコ、ナッツ、コーヒー、茶、バナナ、ブドウ(食用ブドウ及びブドウ果汁、ブドウの木)、ホップ、芝、天然ゴムノキ、又は花、低木、広葉樹若しくは常緑樹(例えば、針葉樹)など観賞用及び森林植物などにおける、並びに種子などの植物繁殖材料及びこれらの植物の作物材料における多数の植物病原性菌類の防除において特に重要である。
一部の実施形態において、本発明による式Iの化合物及び組成物は、ジャガイモ、サトウダイコン、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、ナタネ、マメ科植物、ヒマワリ、コーヒー若しくはサトウキビなどの農作物、果実、ブドウ、観葉植物、又はキュウリ、トマト、マメ若しくはカボチャなどの野菜における多数の菌を防除するために使用される。
「植物繁殖材料」という用語は、植物の増殖に使用することができる、種子などの植物の発生力のある全ての部分、並びに挿し木及び塊茎(例えば、ジャガイモ)などの栄養植物材料を意味すると理解されるべきである。これは種子、根、果実、塊茎、球根、根茎、シュート、新芽及び発芽後又は土壌からの出芽後に移植される苗木及び幼植物を含む植物の他の部分を含む。これらの幼植物を、移植の前に浸漬又は潅水により完全又は部分的に処理することによって保護することもできる。
一部の実施形態において、式Iの化合物及びその組成物による植物繁殖材料の処理は、それぞれ、コムギ、ライムギ、オオムギ及びオートムギなどの穀物、イネ、トウモロコシ、ワタ、並びにダイズに対する多数の菌を防除するために使用される。
「栽培植物」という用語は、育種、突然変異誘発又は遺伝子操作によって改変された植物を含むものとして理解されることになり、例として市販の又は開発中の農業バイオ技術製品が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子組換え植物は、組換えDNA技術の使用により、自然環境下においては、その遺伝物質が、交雑育種、突然変異、又は天然の組換えによっては容易に得られないように改変されている植物である。典型的に、植物の特定の特性を改善するため、遺伝子組換え植物の遺伝物質に1つ以上の遺伝子が組み込まれる。そのような遺伝子改変の例として、グリコシル化又はポリマー付加(プレニル化、アセチル化又はファルネシル化成分若しくはPEG成分など)によるタンパク質、オリゴペプチド又はポリペプチドの標的翻訳後修飾も挙げられるが、これらに限定されない。
植物は、育種、突然変異誘発又は遺伝子操作によって改変されており、例えば、従来の育種又は遺伝子操作の方法の結果として、ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤、アセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤(例えば、スルホニル尿素(例として米国特許第6,222,100号、WO 01/82685号、WO 00/26390号、WO 97/41218号、WO 98/02526号、WO 98/02527号、WO 04/106529号、WO 05/20673号、WO 03/14357号、WO 03/13225号、WO 03/14356号、WO 04/16073号を参照)又はイミダゾリノン(例として米国特許第6,222,100号、WO 01/82685号、WO 00/026390号、WO 97/41218号、WO 98/002526号、WO 98/02527号、WO 04/106529号、WO 05/20673号、WO 03/014357号、WO 03/13225号、WO 03/14356号、WO 04/16073号を参照)、エノールピルビルシキメート-3-ホスフェートシンターゼ(EPSPS)阻害剤(例えば、グリホセート(例としてWO 92/00377号を参照)、グルタミンシンターゼ(GS)阻害剤(例えば、グルホシネート(例としてEP-A第242236号、EP-A第242246号を参照)又はオキシニル系除草剤(例として米国特許第5,559,024号を参照)などの特定の区分の除草剤の適用に対して耐性にされている。複数の栽培植物が、従来の育種(突然変異誘発)方法によって除草剤に対して耐性にされており、例えば、Clearfield(登録商標)ナツナタネ(Canola、BASF SE(ドイツ))は、イミダゾリノン、例えばイマザモックスに対して耐性となっている。遺伝子操作法を用いて、ダイズ、ワタ、トウモロコシ、ビート及びナタネなどの栽培植物が、グリホセート及びグルホシネートなどの除草剤に対して耐性にされており、その一部は、商標名RoundupReady(登録商標)(グリホセート耐性、Monsanto(米国))及びLibertyLink(登録商標)(グルホシネート耐性、Bayer CropScience(ドイツ))として市販されている。
さらに、組換えDNA技術の使用によって、1つ以上の殺虫タンパク質、特にBacillus属細菌由来の(特にバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の)公知の殺虫タンパク質、例えばδ-エンドトキシン(例えば、CrylA(b)、CrylA(c)、CrylF、CrylF(a2)、CryllA(b)、CrylllA、CryIIIB(bi)又はCryθc)、植物性殺虫タンパク質(VIP)(例えば、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3A)、細菌コロニー形成線虫の殺虫タンパク質(例えば、フォトラブダス(Photorhabdus)属種又はゼノラブダス(Xenorhabdus)属種、動物によって産生される毒素(例えば、サソリ毒素、クモ毒素、ハチ毒素、又は他の昆虫特異的神経毒素)、菌によって産生される毒素(例えば、ストレプトミセテス(Streptomycetes)毒素)、植物レクチン(例えば、エンドウマメレクチン又はオオムギレクチン)、凝集素、プロテイナーゼ阻害剤(例えば、トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、システイン又はパパイン阻害剤)、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)(例えば、リシン、トウモロコシRIP、アブリン、ルフィン、サポリン又はブリオジン)、ステロイド代謝酵素(例えば、3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-IDP-グリコシル-トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤又はHMG-CoA-レダクターゼ)、イオンチャネル遮断薬(例えば、ナトリウム又はカルシウムチャネルの遮断薬)、幼若ホルモンエステラーゼ、利尿ホルモン受容体(ヘリコキニン受容体)、スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼ又はグルカナーゼを合成することができる植物も対象となる。本発明の文脈において、これらの殺虫タンパク質又は毒素は、前毒素、ハイブリッドタンパク質、切断型又は改変型タンパク質としても明示的に理解される。ハイブリッドタンパク質は、タンパク質ドメインの新たな組合せを特徴とする(例としてWO 02/015701号を参照)。そのような毒素又はそのような毒素を合成し得る遺伝子組換え植物の他の例は、例えば、EP-A第374753号、WO 93/007278号、WO 95/34656号、EP-A第427529号、EP-A第451878号、WO 03/18810号及びWO 03/52073号にて開示されている。そのような遺伝子組換え植物の生産方法は、当業者にとって一般的に公知であり、例えば上記の文献に記載されている。遺伝子組換え植物に含有されるこれらの殺虫タンパク質は、これらのタンパク質を生産する植物に、節足動物の全ての分類群に由来する有害な害虫、特に甲虫類(Coleoptera)、双翅類の昆虫(Diptera)、及び蛾類(Lepidoptera)並びに線虫(Nematoda)に対する耐性を与える。1種以上の殺虫タンパク質を合成することができる遺伝子組換え植物は、例えば上記の文献に記載され、その一部は市販されており、例えば、YieldGard(登録商標)(CryiAb毒素を産生するトウモロコシ品種)、YieldGard(登録商標) Plus(Cry1Ab及びCry3Bb1毒素を産生するトウモロコシ品種)、Starlink(登録商標)(Cry9c毒素を産生するトウモロコシ品種)、Herculex(登録商標) RW(Cry34Ab1、Cry35Ab1及び酵素ホスフィノトリシン-N-アセチルトランスフェラーゼ[PAT]を産生するトウモロコシ品種)、NuCOTN(登録商標) 33B(Cry1Ac毒素を産生するワタ品種)、Bollgard(登録商標) I(CryiAc毒素を産生するワタ品種)、Bollgard(登録商標) II(CryiAc及びCry2Ab2毒素を産生するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を産生するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を産生するジャガイモ品種)、Bt-Xtra(登録商標)、NatureGard(登録商標)、KnockOut(登録商標)、BiteGard(登録商標)、Protecta(登録商標)、Bt11(例えばAgrisure(登録商標) CB)及びSyngenta Seeds SAS(フランス)から販売されているBt176(CryiAb毒素及びPAT酵素を産生するトウモロコシ品種)、Syngenta Seeds SAS(フランス)から販売されているMIR604(Cry3A毒素の改変型を産生するトウモロコシ品種、WO 03/018810号参照)、Monsanto Europe S.A.(ベルギー)から販売されているMON 863(Cry3Bb1毒素を産生するトウモロコシ品種)、Monsanto Europe S.A.(ベルギー)から販売されているIPC 531(CryiAc毒素の改変型を産生するワタ品種)及びPioneer Overseas Corporation(ベルギー)から販売されている1507(Cry1F毒素及びPAT酵素を産生するトウモロコシ品種)がある。
さらに、組換えDNA技術の使用により、細菌、ウイルス又は真菌の病原体に対する植物の抵抗性又は耐性を増大させる1種以上のタンパク質を合成し得る植物も対象となる。そのようなタンパク質の例には、いわゆる「発病関連タンパク質」(PRタンパク質、例としてEP-A第392225号参照)、植物疾患抵抗性遺伝子(例えば、メキシコの野生ジャガイモであるソラヌム・ブルボカスタヌム(Solanum bulbocastanum)に由来する、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に対して作用する抵抗性遺伝子を発現するジャガイモ品種)又はT4-リゾチーム(例えば、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylvora)などの細菌に対する抵抗性の増大を伴ってこれらのタンパク質を合成し得るジャガイモ品種)がある。そのような遺伝子組換え植物の生産方法は、当業者にとって一般的に公知であり、例えば上記の文献に記載されている。
さらに、組換えDNA技術の使用により、生産性(例えばバイオマス生産、穀類収穫量、デンプン含量、油含量、又はタンパク質含量)、干ばつ、塩分又は他の成長制限環境因子に対する耐性、若しくは有害生物及びこれらの植物の真菌、細菌又はウイルス病原体に対する耐性を増加させる1種以上のタンパク質を合成し得る植物も対象となる。
さらに、組換えDNA技術の使用により、特にヒト又は動物の栄養を改善する、改変量の含有物又は新たな含有物を含む植物、例えば、健康を促進する長鎖オメガ3脂肪酸又は不飽和オメガ9脂肪酸を生産する油脂作物(例えば、Nexera(登録商標)ナタネ、DOW Agro Sciences(カナダ))も対象となる。
さらに、組換えDNA技術の使用により、特に原料生産を改善する、改変量の含有物又は新たな含有物を含有する植物、例えば増加量のアミロペクチンを生産するジャガイモ(例えば、Amflora(登録商標)ジャガイモ、BASF SE(ドイツ))も対象となる。
式Iの化合物及びその組成物はそれぞれ、以下に挙げる植物病害の防除に特に適している。
アルブゴ属の種(Albugo spp.)(白さび病(white rust))であって、観賞植物、野菜におけるもの(例えば、A.カンジダ(A. candida))及びヒマワリにおけるもの(例えば、A.トラゴポゴニス(A. tragopogonis));アルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(アルテルナリア斑点病)であって、野菜、ナタネにおけるもの(例えば、A.ブラシコラ(A. brassicola)又はA.ブラシケ(A. brassicae))、サトウダイコンにおけるもの(例えば、A.テヌイス(A. tenuis))、果実、イネ、ダイズ、ジャガイモにおけるもの(例えば、A.ソラニ(A. solani)又はA.アルテルナタ(A. alternata))、トマトにおけるもの(例えば、A.ソラニ又はA.アルテルナタ)及びコムギにおけるもの;サトウダイコン及び野菜におけるアファノマイセス属の種(Aphanomyces spp.);穀物及び野菜におけるアスコキタ属の種(Ascochyta spp.)、例えば、コムギにおけるA.トリチシ(A. tritici)(炭疽病)及びオオムギにおけるA.ホルデイ(A. hordei);ビポラリス属の種(Bipolaris spp.)及びドレシュレラ属の種(Drechslera spp.)(テレオモルフ:コクリオボルス属の種(Cochliobolus spp.)であって、例えば、トウモロコシにおけるごま葉枯病(Southern leaf blight)(D.マイディス(D. maydis))又はすす紋病(Northern leaf blight)(β.ゼイコラ(β. zeicola))、例えば、穀物における斑点病(spot blotch)(B.ソロキニアナ(B. sorokiniana))及び例えば、イネ及びシバにおけるB.オリザエ(B. oryzae);穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)におけるブルメリア(以前は、エリシフェ(Erysiphe)グラミニス(graminis)(ウドンコ病(powdery mildew));ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ:ボトリオチニア・フッケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色かび病(gray mold))であって、果実及び液果(例えば、イチゴ)、野菜(例えば、レタス、ニンジン、セロリ及びキャベツ)、ナタネ、花、ブドウ、森林植物及びコムギにおけるもの;レタスにおけるブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)(べと病(downy mildew));広葉樹及び常緑樹におけるセラトシスチス属(Ceratocystis)(オフィオストマ(Ophiostoma)属と同義)の種(spp.)(青変病(rot or wilt))、例えば、ニレにおけるC.ウルミ(C. ulmi)(オランダニレ病);セルコスポラ属の種(Cercospora spp.)(褐斑病(Cercospora leaf spot))であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、灰色斑点病(Gray leaf spot):C.ゼアエ-マイディス(C. zeaemaydis))、イネ、サトウダイコンにおけるもの(例えば、C.ベチコラ(C. beticola))、サトウキビ、野菜、コーヒー、ダイズにおけるもの(例えば、C.ソジナ(C. sojina)又はC.キクチイ(C. kikuchii)及びイネにおけるもの;クラドスポリウム属の種(Cldosporium spp.)であって、トマトにおけるもの(例えば、C.フルブム(C. fulvum):葉かび病(leaf mold))及び穀物におけるもの、例えば、コムギにおけるC.ヘルバルム(C. herbarum)(黒耳病(black ear));穀物におけるクラビセプス・プルプレア(Claviceps purupurea)(バッカク(ergot));コクリオボルス属(Cochliobolus)(アナモルフ:ビポラリス属(Bipolaris)のヘルミントスポリウム属(Helminthosporium))の種(spp.)(斑点病(leaf spot))であって、トウモロコシにおけるもの(C.カルボヌム(C. carbonum))、穀物におけるもの(例えば、C.サチブス(C. sativus、アナモルフ:B.ソロキニアナ(B. sorokiniana))及びイネにおけるもの(例えば、C.ミヤビアヌス(C. miyabeanus)、アナモルフ:H.オリザエ(H. oryzae));コレトトリクム属(Colletotrichum)(テレオモルフ:グロメレラ属(Glomerella))の種(spp.)(炭疽病)であって、ワタにおけるもの(例えば、C.ゴシピイ(C. gossypii))、トウモロコシにおけるもの(例えば、C.グラミニコラ(C. graminicola:炭疽病による茎腐れ病(An- thracnose stalk rot))、ソフトフルーツ、ジャガイモにおけるもの(例えば、C.ココデス(C. coccodes):立ち枯れ病(black dot))、マメ類におけるもの(例えば、C.リンデムチアヌム(C. lindemuthianum)及びダイズにおけるもの(例えば、C.トルンカツム(C. truncatum)又はC.グロエオスポリオイデス(C. gloeosporioides));イネにおけるコルチキウム属の種(Corticium spp.)、例えば、C.ササキイ(C. sasakii)(紋枯病(sheath blight));ダイズ及び観賞植物におけるコリネスポラ・カッシイコラ(Corynespora cassiicola)(葉の斑点病(leaf spot));シクロコニウム属の種(Cycloconium spp.)、例えば、オリーブにおけるC.オレアギヌム(C. oleaginum);シリンドロカルポン属(Cylindrocarpon spp.)の種(例えば、果樹潰瘍病(fruit tree canker)又はブドウの衰弱(young vine decline)、テレオモルフ:ネクトリア属(Nectria)又はネオネクトリア属(Neonectria)の種(spp.))であって、果樹におけるもの、ブドウにおけるもの(例えば、C.リリオデンドリ(C. liriodendri)、テレオモルフ:ネオネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri)、黒足病(Black Foot Disease))及び観賞樹におけるもの;ダイズにおけるデマトフォラ(Dematophora)(テレオモルフ:ロゼリニア(Rosellinia))・ネカトリクス(Necatrix)(白紋羽病及び白絹病(rot and stem rot));ダイズにおけるディアポルテ属の種(Diaporthe spp.)、例えば、D.ファゼオロルム(D. phaseolorum)(茎潰瘍病(damping off));ドレシュレラ属(Drechslera)(ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)と同義、テレオモルフ:ピレノフォラ属(Pyrenophora))の種(spp.)であって、トウモロコシにおけるもの、穀物、例えば、オオムギにおけるもの(例えば、D.テレス(D. teres)、網斑病(net blotch))及びコムギにおけるもの(例えば、D.トリチシ-レペンチス(D. toritici-repentis):黄褐斑病(tan spot))、イネ及びシバにおけるもの;ブドウにおいて、ホルミチポリア(Formitiporia)(フェリヌス(Phellinus)と同義)・プンクタタ(punctata)、F.メジテラネア(F. mediterranea)、フェオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)(以前はフェオアクレモニウム・クラミドスポルム(Phaeoacremonium chlamydosporum)、フェオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及び/又はボトリオスフェリア・オブツサ(Botryosphaeria obtusa))に起因する、エスカ(Esca)病(ブドウの衰弱(dieback)、アポプレキシー(apoplexy));エルシノエ属の種(Elsinoe spp.)であって、リンゴ類におけるもの(E.ピリ(E. pyri))、ソフトフルーツにおけるもの(E.ベネタ(E. veneta):炭疽病)及びブドウにおけるもの(E.アンペリナ(E. ampelina):炭疽病);イネにおけるエンチロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)(葉すす病(leaf smut));コムギにおけるエピコックム属の種(Epicoccum spp.)(黒かび病(black mold));エリシフェ属の種(Erysiphe spp.)(ウドンコ病)であって、サトウダイコンにおけるもの(E.ベーテ(E. betae))、野菜におけるもの(例えば、E.ピシ(E. pisi))、例えば、キュウリにおけるもの(例えば、E.シコラセアルム(E. cichoracearum)、キャベツ、ナタネにおけるもの(例えば、E.クルシフェラルム(E. cruciferarum));果樹、ブドウ及び観賞樹におけるユーチパ・ラタ(Eutypa lata)(ユーチパ潰瘍病(Eutypa canker)又は胴枯病(dieback)、アナモルフ:シトスポリナ・ラタ(Cytosporina lata)、リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis)と同義);トウモロコシにおけるエクセロヒルム属(Exserohilum)(ヘルミントスポリウム属(Helminthosportium)と同義)の種(spp.)(例えば、E.ツルシクム(E. turcicum));種々の植物におけるフザリウム属(Fusarium)(テレオモルフ:ジベレラ属(Gibberella)の種(spp.)(立ち枯れ病(wilt)、根又は茎腐れ病(root or stem rot)、例えば、穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)におけるF.グラミネアルム(F. graminearum)又はF.クルモルム(F. culmorum)(足腐れ病(root rot)、赤かび病(scab or head blight))、トマトにおけるF.オキシスポルム(F. oxysporum)、ダイズにおけるF.ソラニ(F. solani)及びトウモロコシにおけるF.バーチシリオイデス(F. verticillioides)など;穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)及びトウモロコシにおけるゲウマノマイセス・グラミニス(Gaeumanomyces graminis)(立ち枯れ病(take-all));ジベレラ属の種(Gibberella spp.)であって、穀物におけるもの(例えば、G.ゼア(G. zeae))及びイネにおけるもの(例えば、G.フジクロイ(G. fujikuroi):馬鹿苗病(Bakanae disease));ブドウ、リンゴ類及び他の植物におけるグロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)及びワタにおけるG.ゴシピイ(G. gossypii);イネにおける穀物ステイン複合病(Grain- staining complex);ブドウにおけるグイグナルディア・ビドウェリイ(Guignardia bidwellii)(黒腐れ病);バラ科植物におけるギノスポランギウム属の種(Gymnosporangium spp.)、及びエンドウにおけるジュニパー、例えば、G.サビネ(G. sabiae)(エンドウさび病(rust));トウモロコシ、穀物及びイネにおけるヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)(ドレシュレラ属(Drechslera)と同義、テレオモルフ:コクリオボルス(Cochliobolus))の種(spp.);ヘミレイア属の種(Hemileia spp.)、例えば、コーヒーにおけるH.バスタトリクス(H. vastatrix);ブドウにおけるイサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora)(クラドスポリウム・ビチス(Cladosporium vitis)と同義);ダイズ及びワタにおけるマクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)(ファゼオリ(Phaseoli)と同義)(根/茎腐れ病(root and stem rot));穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)におけるミクロドキウム(Michrodochium)(フザリウムと同義)・ニバレ(nivale)(ピンク雪腐れ病(pink snow mold));ダイズにおけるミクロスフェラ・ディフューザ(Microsphaera diffusa)(ウドンコ病);核果及び他のバラ科植物におけるモニリニア属の種(Monilinia spp.)、例えば、M.ラクサ(M. laxa)、M.フルクチコラ(M. fructicola)及びM.フルクチゲナ(M. fructigena)(花枯れ病(bloom and twig blight)、褐色腐れ病(brown rot));穀物、バナナ、ソフトフルーツ及びラッカセイにおけるマイコスフェレラ属の種(Mycosphaerella spp.)、例えば、
コムギにおけるM.グラミニコラ(M. graminicola)(アナモルフ:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、セプトリア葉枯れ病(Septoria blotch))又はバナナにおけるM.フィジエンシス(M. fijiensis)(黒シガトカ病(black Sigatoka disease));ペロノスポラ属の種(Peronospora spp.)(ベト病)であって、キャベツにおけるもの(例えば、P.ブラシケ(P.brassicae)、ナタネにおけるもの(例えば、P.パラサイチカ(P. parasitica))、球根植物におけるもの(例えば、P.デストラクター(P. destructor))、タバコにおけるもの(P.タバキナ(P. tabacina))及びダイズにおけるもの(例えば、P.マンシュリカ(P. manshurica));ダイズにおけるファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)及びP.メイボミエ(P. meibomiae)(ダイズさび病(soybean rust));フィアロフォラ属の種(Phialophora spp.)であって、例えば、ブドウにおけるもの(例えば、P.トラケイフィラ(P. tracheiphila)及びP.テトラスポラ(P. tetraspora))及びダイズにおけるもの(例えば、P.グレガタ(P. gregata):茎の病気(stem rot));ナタネ及びキャベツにおけるフォマ・リンガム(Phoma lingam)(根/茎腐れ病)及びサトウダイコンにおけるP.ベーテ(P. betae)(根腐れ病(root rot)、斑点病(leaf spot)及び茎潰瘍病(damping-off));フォモプシス属の種(Phomopsis spp.)であって、ヒマワリ、ブドウにおけるもの(例えば、P.ビチコラ(P. viticola):茎葉斑点病(can and leaf spot))及びダイズにおけるもの(例えば、茎の病気(stem rot):P.ファゼオリ(P. phazeoli)、テレオモルフ:ディアポルテ・ファゼオロルム(Diaporthe phaseolorum));トウモロコシにおけるフィゾデルマ・マイディス(Physoderma maydis)(褐色斑点病(brown spot));種々の植物におけるフィトフトラ属の種(Phytophthora spp.)(立ち枯れ、根、葉、果実及び茎の腐れ病)、例えば、ピーマン及びキュウリにおけるもの(例えば、P.カプシキ(P. capsici))、ダイズにおけるもの(例えば、P.メガスペルマ(P. megasperma)、P.ソヤエ(P. sojae))、ジャガイモ及びトマトにおけるもの(例えば、P.インフェスタンス(P. infestans):葉腐れ病)及び広葉樹におけるもの(例えば、P.ラモルム(P. ramorum):オークの突然死);キャベツ、ナタネ、ダイコン及び他の植物におけるプラスモディオフォラ・ブラシケ(Plasmodiophora brassicae)(クラブ瘤病(club root));プラスモパラ属の種(Plasmopara spp.)、例えば、ブドウにおけるP.ビチコラ(ブドウのべと病(grapevine downy mildew))及びヒマワリにおけるP.ハルステディイ(P. halstedii);バラ科植物、ホップ、リンゴ類及びソフトフルーツにおけるポドスフェラ属の種(Podosphaera spp.)(ウドンコ病)、例えば、リンゴにおけるP.ロイコトリカ(P. leucotricha);ポリミキサ属の種(Polymyxa spp.)、例えば、穀物(オオムギ及びコムギなど)におけるもの(P.グラミニス)(P. graminis)及びサトウダイコンにおけるもの(P.ベーテ)並びにそれらにより感染するウイルス病;穀物、例えば、コムギ及びオオムギにおけるシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)(眼紋病(eyespot))、テレオモルフ:タペシア・ヤルンデ(Tapesia yallundae));種々の植物におけるシュードペルノスポラ属(Pseudoperonospora)(ベト病)、例えば、ウリ科植物におけるP.キュベンシス(P. cubensis)又はホップにおけるP.フミリ(P. humili);ブドウにおけるシュードペツィクラ・トラケイフィラ(Pseudopezicula tracheiphilla)(赤色花火病(red fire disease)すなわち「rotbrenner」、アナモルフ:フィアロフォラ(Phialo- phora));種々の植物におけるプッチニア属の種(Puccinia spp.)(さび病)、例えば、穀物(例えば、コムギ、オオムギ又はライムギなど)におけるP.トリチシナ(P. triticina)(コムギの褐色さび病(brown or leaf rust))、P.ストリイフォルミス(P. striiformis)(縞さび病(stripe or yellow rust))、P.ホルデイ(P. hordei)(矮化さび病(dwarf rust))、P.グラミニス(茎さび病又は黒さび病)又はP.レコンジタ(P. recondita)(ライムギの褐色さび病(brown or leaf rust))及びアスパラガスにおけるもの(例えば、P.アスパラギ(P. asparagi);コムギにおけるピレノフォラ(Pyrenophora)(アナモルフ:ドレシュレラ(Drechslera))・トリチシ-レペンチス(tritici-repentis)(黄褐色斑点病(tan spot)又はオオムギにおけるP.テレス(P. teres)(網斑病(net blotch));ピリクラリア属の種(Pyricularia spp.)、例えば、イネにおけるP.オリザエ(P. oryzae)(テレオモルフ:マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、イネイモチ病(rice blast))並びにシバ及び穀物におけるP.グリセア(P. grisea);シバ、イネ、トウモロコシ、コムギ、ワタ、ナタネ、ヒマワリ、ダイズ、サトウダイコン、野菜及び種々の他の植物におけるピチウム属の種(Pythium spp.)(立ち枯れ病(damping-off))(例えば、P.ウルチムム(P. ultimum)又はP.アファニデルマツム(P. aphanidermatum);ラムラリア属の種(Ramularia spp.)、例えば、オオムギにおけるR.コロ-シグニ(R. collo-cygni)(ラムラリア葉斑点病、生理的葉斑点病(Physiological leaf spot))及びサトウダイコンにおけるR.ベチコラ(R. beticola);ワタ、イネ、ジャガイモ、シバ、トウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜及び種々の他の植物におけるリゾクトニア属の種(Rhizoctonia spp.)、例えば、ダイズにおけるR.ソラニ(R. solani)(根/茎腐れ病)、イネにおけるR.ソラニ(紋枯病)又はコムギ若しくはオオムギにおけるR.セレアリス(R. cerealis)(リゾクトニア春枯れ病(Rhizoctonia spring blight));イチゴ、ニンジン、キャベツ、ブドウ及びトマトにおけるリゾプス・ストロニフェル(Rhizopus stolonifer)(黒かび病(black mold)、軟腐病(soft rot));オオムギ、ライムギ及びライコムギにおけるリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)(火傷病(scald));イネにおけるサロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)及びS.アテヌアツム(S. attenuatum)(鞘腐れ病(sheath rot));野菜及び農作物におけるスクレロチニア属の種(Sclerotinia spp.)(茎腐れ病及び白かび病)、例えば、ナタネ、ヒマワリにおけるもの(例えば、S.スクレロチオルム(S. sclerotiorum))及びダイズにおけるもの(例えば、S.ロルフシイ(S. rolfsii)又はS.スクレロチオルム(S. sclerotiorum));種々の植物におけるセプトリア属の種(Septoria spp.)、例えば、ダイズにおけるS.グリシネス(S. glycines)(褐斑病(brown spot))、コムギにおけるS.トリチシ(S. tritici)(セプトリア葉枯病(Septoria blotch))及び穀物におけるS.(スタゴノスポラ(Stagonospora)と同義)・ノドルム(nodorum)(スタゴノスポラ葉枯病(Stagonospora blotch));ブドウにおけるウンシヌラ(Uncinula)(エリシフェ(Erysiphe)と同義)・ネカトル(necator)(ウドンコ病、アナモルフ:オイジウム・ツッケリ(Oidium tuckeri));セトスパエリア属の種(Setospaeria spp.)(葉枯病)であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、S.ツルシクム(S. turcicum)、ヘルミンソスポリウム・ツルシクム(Helminthosporium turcicum)と同義)及びシバにおけるもの;スファセロテカ属の種(Sphacelotheca spp.)(すす病(smut))であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、S.レイリアナ(S. reiliana):黒穂病(head smut))、モロコシ及びサトウキビにおけるもの;ウリ科植物におけるスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(ウドンコ病);ジャガイモにおけるスポンゴスポラ・スブテラネア(Spongospora subterranea)(粉疥癬病(powdery scab))及びそれにより感染するウイルス病;穀物におけるスタゴノスポラ属の種(Stagonospora spp.)、例えば、コムギにおけるS.ノドルム(S. nodorum)(スタゴノスポラ斑病、テレオモルフ:レプトスファエリア[フェオスフェリア(Phaeosphaeria)と同義]・ノドルム(nodorum);ジャガイモにおけるシンキトリウム・エンドビオチクム(Synchytrium endobioticum)(ジャガイモいぼ病(potato wart disease));タフリナ属の種(Taphrina spp.)例えば、モモにおけるT.デフォルマンス(T. deformans)(縮葉病(leaf curl disease))及びプラムにおけるT.プルニ(T. pruni)(ポケットプラム(plum pocket));タバコ、リンゴ類、野菜、ダイズ及びワタにおけるチエラビオプシス属の種(Thielaviopsis spp.)(黒根腐れ病)、例えば、T.バシコラ(T. basicola)(カララ・エレガンス(Chalara elegans));穀物におけるチレチア属の種(Tilletia spp.)(なまぐさ黒穂病(common bunt or striking smut)、例えば、コムギにおけるT.トリチシ(T. tritici)(T.カリエス(T. caries)と同義、コムギの黒穂病)及びT.コントロベルサ(T. controversa)(萎化黒穂病);オオムギ又はコムギにおけるチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)(灰色雪腐れ病);ウロシスチス属の種(Urocystis spp.)、例えば、ライムギにおけるU.オクルタ(U. occulta)(縞すす病(stem smut));野菜におけるウロマイセス属の種(Uromyces spp.)(さび病)、例えば、マメ類におけるもの(例えば、U.アペンジクラタス(U. appendiculatus)、U.ファセオリ(U. phaseoli)と同義)及びサトウダイコンにおけるもの(例えば、U.ベーテ(U. betae));ウスチラゴ属の種(Ustilago spp.)(裸黒穂病(loose smut))であって、穀物におけるもの(例えば、U.ヌダ(U. nuda)及びU.アベナエ(U. avaenae))、トウモロコシにおけるもの(例えば、U.マイディス(U. maydis):トウモロコシ黒穂病(corn smut))及びサトウキビにおけるもの;ベンツリア属の種(Venturia spp.)(疥癬(scab))であって、リンゴにおけるもの(例えば、V.イネクアリス(V. inaequalis))及びナシにおけるもの;並びに種々の植物、例えば、果樹及び観賞樹、ブドウ、ソフトフルーツ、野菜及び農作物におけるバーチシリウム属の種(Verticillium spp.)(立ち枯れ病(wilt))、例えば、イチゴ、ナタネ、ジャガイモ及びトマトにおけるV.ダリアエ(V. dahliae)。
式Iの化合物及びその組成物はそれぞれ、貯蔵される生産物又は収穫物の保護、及び材料の保護に際し、有害菌を防除することにも適している。用語「材料の保護」は、菌類及び細菌など有害な微生物による侵入及び破壊に対する、技術的及び非生物材料、例えば接着剤、糊、木材、紙及び板紙、織物、皮革、塗料分散液、プラスチック、冷却潤滑剤(colling lubricant)、繊維又は生地などの保護を意味すると理解されるべきである。木材及び他の材料の保護において、以下に挙げる有害菌:子嚢菌綱(Ascomycetes)(例えば、オフィオストマ属種(Ophiostoma spp.)、セラトシスチス属種(Ceratocystis spp.)、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、スクレロフォマ属種(Sclerophoma spp.)、ケトミウム属種(Chaetomium spp.)、フミコラ属種(Humicola spp.)、ペトリエラ属種(Petriella spp.)、トリクルス属種(Trichurus spp.))、担子菌綱(Basidiomycetes)(例えば、コニオフォラ属種(Coniophora spp.)、コリオルス属種(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属種(Gloeophyllum spp.)、レンチヌス属種(Lentinus spp.)、ヒラタケ属種(Pleurotus spp.)、アナタケ属種(Poria spp.)、セルプラ属種(Serpula spp.)及びオシロイタケ属種(Tyromyces spp.))、不完全菌綱(Deuteromycetes)(例えば、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、ペニシリウム属種(Penicillium spp.)、トリコルマ属種(Trichorma spp.)、アルテマリア属種(Altemaria spp.)、ペシロマイセス属種(Paecilomyces spp.))、並びに、接合菌綱(Zygomycetes)(例えば、ムコール属種(Mucor spp.))に対して特別な注意が払われ、加えて、貯蔵される生産物及び収穫物の保護において、以下の酵母菌:カンジダ属種(Candida spp.)及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)にも注目する価値がある。
式Iの化合物及びその組成物はそれぞれ、植物の健康改善のために使用することができる。本発明は、植物、その繁殖材料及び/又は植物が成長中の場所、若しくは成長する場所を、有効量の式Iの化合物及びその組成物でそれぞれ処理することによって、植物の健康を改善する方法にも関する。
「植物の健康」という用語は、収穫量(例えば、バイオマスの増加及び/又は貴重な成分の含有量の増加)、植物の活力(例えば、植物成長の改善及び/又は青さを増した葉(緑化効果))、品質(例えば、特定成分の含有量又は組成の改善)、並びに非生物的及び/又は生物的ストレスに対する耐性などいくつかの指標の単独で又は相互の組合せで決定される植物及び/又はその産物の状態を意味すると理解されるべきである。植物の健康状態について上記で特定された指標は、相互に依存し得るか、又は相互に起因し得る。
式Iの化合物は、異なる生物学的活性を有し得る異なる結晶変態中に存在し得る。それらも同様に、本発明の主題である。
式Iの化合物は、そのままの状態又は組成物の形態で、菌類又は植物、種子などの植物繁殖材料、土壌、表面、菌の攻撃から保護しようとする材料又は空間を、活性物質の殺菌有効量により処理することに用いられる。適用は、植物、種子などの植物繁殖材料、土壌、表面、材料又は空間が菌に感染する前又は感染した後の両方において実施することができる。
植物繁殖材料を、植え付け又は移植時、又は植え付け又は移植前のいずれかにおいて、式Iの化合物をそのままで、又は式Iの少なくとも1つの化合物を含む組成物により、予防的に処理することもできる。
本発明は、溶媒又は固体担体、及び式Iの少なくとも1つの化合物を含む農薬組成物、並びに有害菌を防除するための使用に関する。
農薬組成物は、殺菌有効量の化合物I及び/又はIIを含む。「有効量」という用語は、栽培植物における有害菌類の防除又は材料の保護に十分であり、処理植物に実質的な損傷をもたらさない、組成物又は式Iの化合物それぞれの量を意味する。そのような量は、広範囲にわたり変動する可能性があり、また防除する菌の種、処理される栽培植物又は材料、気候条件、使用する特定の式Iの化合物など多様な要因に左右される。
式Iの化合物及びその塩は、慣用的種類の農薬組成物、例えば溶剤、エマルション剤、懸濁剤、散剤、粉剤、ペースト剤及び粒剤に変換することができる。組成物の種類は、特定の意図される目的によって左右され、それぞれの場合において、本発明による化合物の微細で均一な分散が確保されるべきである。
組成物の種類の例は、水溶性又は湿潤性であり得る、懸濁剤(SC、OD、FS)、乳化性濃縮物(EC)、エマルション剤(EW、EO、ES)、ペースト剤、芳香剤、粉末水和剤、若しくは散粉剤(WP、SP、SS、WS、DP、DS)又は粒剤(GR、FG、GG、MG)、並びに種子などの植物繁殖材料の処理用のゲル製剤(GF)である。
通常、組成物の種類(例えば、SC、OD、FS、EC、WG、SG、WP、SP、SS、WS、GF)は、希釈された状態で使用される。DP、DS、GR、FG、GG及びMGなどの種類の組成物は通常、希釈されずに使用される。
組成物は公知の方法で調製される(以下を参照のこと:米国特許第3,060,084号、EP-A第707445号(液体濃縮物の場合)、Browning:「Agglomeration」、Chemical Engineering、 1967年12月4日、147〜48、Perry's Chemical Engineer's Handbook,第4版、McGraw-Hill、New York、1963、8〜57頁以下、WO 91/13546号、米国特許第4,172,714号、米国特許第4,144,050号、米国特許第3,920,442号、米国特許第5,180,587号、米国特許第5,232,701号、米国特許第5,208,030号、GB第2,095,558号、米国特許第3,299,566号、Klingman: Weed Control as a Science (J. Wiley & Sons、New York、1961)、Hanceら: Weed Control Handbook (第8版、Blackwell Scientific、Oxford、1989)並びにMollet, H.及びGrubemann, A.: Formulation technology (Wiley VCH Verlag、Weinheim、2001)。
農薬組成物は、農薬組成物において慣用的である助剤を含んでいてもよい。使用される助剤は、特定の適用形態及び活性物質それぞれに依存する。
適切な助剤の例は、溶媒、固体担体、分散剤又は乳化剤(例えば、さらなる可溶化剤、保護コロイド、界面活性剤及び接着剤)、有機及び無機増粘剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、適切であれば着色剤及び粘着性付与剤又は結合剤(例えば、種子処理用配合物向け)である。適切な溶媒は、水、中〜高沸点の鉱油留分などの有機溶媒、例えば灯油又はディーゼル油、更にコールタール油及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はこれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びシクロヘキサノールなどのアルコール、グリコール、シクロヘキサノン及びガンマ-ブチロラクトンなどのケトン、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸及び脂肪酸エステル、並びに強極性溶媒、例えばN-メチルピロリドンなどのアミンである。
固体担体は、鉱物土、例えばケイ酸塩、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、粘土、苦灰石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物質など、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素など、植物由来の産物、例えば穀類荒粉、樹皮荒粉、木材荒粉及び堅果殻荒粉など、セルロース粉末、並びに他の固体担体である。
適切な界面活性剤(補助剤、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤)は、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、例えばリグニンスルホン酸(Borresperse(登録商標)タイプ、Borregard(ノルウェー))、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)タイプ、Akzo Nobel(米国))、ジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標)タイプ、BASF(ドイツ))、並びに脂肪酸、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェート、脂肪アルコールスルフェート及び硫酸化ヘキサ-、ヘプタ-及びオクタデカノレート、硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル、更にナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシ-エチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグルコールエーテル、トリステアリル-フェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコール/エチレンオキシドの縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニンサルファイト廃液、並びにタンパク質、変性タンパク質、多糖類(例えば、メチルセルロース)、疎水的に改質されたデンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ、Clariant(スイス))、ポリカルボキシレート(Sokolan(登録商標)タイプ、BASF(ドイツ))、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupasol(登録商標)タイプ、BASF(ドイツ))、ポリビニルピロリドン及びこれらの共重合体などである。
増粘剤(即ち、改変された流動性、即ち、静止状態で高い粘度及び撹拌下で低い粘度を組成物に付与する化合物)の例は、多糖類、並びに有機及び無機粘土、例えばキサンタンガム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco(米国))、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia(フランス))、Veegum(登録商標)(RT. Vanderbilt(米国))、又はAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp.(米国ニュージャージー州))などである。
殺細菌剤を、組成物の保存及び安定化のために添加することができる。適切な殺細菌剤の例は、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールに基づいたもの(ICI製Proxel(登録商標)又はThor Chemie製Acticide(登録商標) RS及びRohm & Haas製Kathon(登録商標) MK)、並びにアルキルイソチアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノン(Thor Chemie製Acticide(登録商標) MBS)など、イソチアゾリノン誘導体である。
適切な凍結防止剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。
消泡剤の例は、シリコーンエマルション(例えば、Silikon(登録商標) SRE、Wacker(ドイツ)又はRhodorsil(登録商標)、Rhodia(フランス))、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物及びこれらの混合物である。
適切な着色剤は、水溶性の低い顔料及び水溶性染料である。言及すべき呼称の例は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベイシックバイオレット10、ベイシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベイシックレッド10、ベイシックレッド108である。
粘着性付与剤又は結合剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びセルロースエーテル(Tylose(登録商標)、信越化学工業株式会社(日本))である。
粉剤、散布用物質及び散剤は、式Iの化合物及び適切であればさらなる活性物質を少なくとも1つの固体担体と混合又は同時粉砕することによって、調製することができる。
粒剤、例えば被覆粒剤、含浸粒剤及び均質粒剤は、活性物質を固体担体に結合することによって調製することができる。固体担体の例は、鉱物土、例えばケイ酸塩、シリカゲル、タルク、カオリン、アッタクレイ、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、粘土、苦灰石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物質など、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素など、植物由来の産物、例えば穀類荒粉、樹皮荒粉、木材荒粉及び堅果殻荒粉など、セルロース粉末、並びに他の固体担体である。
組成物の種類の例として以下が挙げられるが、これらに限定されない。1.水で希釈される組成物の種類。i)水溶性濃縮物(SL、LS):10重量部の本発明による式Iの化合物を、90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解する。代替案として、湿潤剤又は他の助剤を加える。活性物質は水で希釈すると溶解する。このようにして、10重量%の活性物質の含有量を有する組成物が得られる。ii)分散性濃縮物(DC): 20重量部の本発明による式Iの化合物を、70重量部のシクロヘキサノンに、10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを加えて溶解する。水による希釈で分散液を得る。活性物質含有量は、20重量%である。iii)乳化性濃縮物(EC): 15重量部の本発明による式Iの化合物を、75重量部のキシレンに、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合、5重量部)を加えて溶解する。水による希釈でエマルションを得る。組成物の活性物質含有量は、15重量%である。iv)エマルション剤(EW、EO、ES): 25重量部の本発明による式Iの化合物を、35重量部のキシレンに、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合、5重量部)を加えて溶解する。この混合物を、乳化機械(Ultraturrax)により30重量部の水に導入し、均質のエマルションにする。水による希釈でエマルションを得る。組成物の活性物質含有量は、25重量%である。v)懸濁剤(SC、OD、FS):撹拌式ボールミルの中で、20重量部の本発明による式Iの化合物を、10重量部の分散剤及び湿潤剤、並びに70重量部の水又は有機溶媒を加えて微粉砕して、微細活性物質懸濁液を得る。水による希釈で、活性物質の安定した懸濁液を得る。組成物の活性物質含有量は、20重量%である。vi)水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG、SG): 50重量部の本発明による式Iの化合物を、50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて微細に粉砕し、専用装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床)により水分散性顆粒又は水溶性顆粒として調製する。水による希釈で、活性物質の安定した分散液又は溶液を得る。組成物の活性物質含有量は、50重量%である。vii)水分散性粉末及び水溶性粉末(WP、SP、SS、WS): 75重量部の本発明による式Iの化合物を、ローター-ステーターミルの中で、25重量部の分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを加えて粉砕する。水による希釈で、活性物質の安定した分散液又は溶液を得る。組成物の活性物質含有量は、75重量%である。viii)ゲル剤(GF):撹拌式ボールミルの中で、20重量部の本発明による式Iの化合物を、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤、湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて微粉砕して、活性物質の微細懸濁液を得る。水による希釈で活性物質の安定した懸濁液を得て、それによって20%(w/w)の活性物質を有する組成物を得る。
2.希釈されずに適用される組成物の種類。ix)散粉剤(DP、DS): 5重量部の本発明による式Iの化合物を微細に粉砕し、95重量部の微粉カオリンとよく混合する。これにより、5重量%の活性物質含有量を有する散粉性組成物を得る。x)粒剤(GR、FG、GG、MG): 0.5重量部の本発明による式Iの化合物を微細に粉砕し、99.5重量部の担体と合わせる。現行の方法は、押出し、噴霧乾燥又は流動床である。これにより0.5重量%の活性物質含有量を有する、希釈せずに適用される粒剤を得る。xi) ULV溶液(UL): 10重量部の本発明による式Iの化合物を、90重量部の有機溶媒、例えばキシレンに溶解する。これにより10重量%の活性物質含有量を有する、希釈せずに適用される組成物を得る。
農薬組成物は、一般的に0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、最も好ましくは0.5〜90重量%の活性物質を含む。活性物質は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)で使用される。
水溶性濃縮物(LS)、流動性濃縮物(FS)、乾燥処理用粉剤(DS)、スラリー処理用水分散性粉末(WS)、水溶性粉末(SS)、エマルション剤(ES)、乳化性濃縮物(EC)及びゲル剤(GF)は、通常、植物繁殖材料、特に種子を処理する目的に使用される。これらの組成物を、希釈した状態で又は希釈せずに、植物繁殖材料、特に種子に適用することができる。当該の農薬組成物は、2から10倍に希釈した後、即時使用可能な調製物において0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の活性物質濃度をもたらす。適用は、播種の前又は途中で実施することができる。農薬化合物及びその組成物を、それぞれ、植物繁殖材料、特に種子に適用する方法又はそれらを処理する方法は、当技術分野において公知であり、繁殖材料の粉衣、被覆、ペレット形成、散粉、浸漬及び畝内適用する方法が含まれる。好ましい実施形態において、化合物又はその組成物は、それぞれ、例えば種子粉衣、ペレット形成、被覆及び散粉により発芽が誘発されないような方法によって、植物繁殖材料に適用される。
好ましい実施形態において、懸濁剤型(FS)組成物が種子処理に使用される。典型的に、FS組成物は、1〜800g/lの活性物質、1〜200g/lの界面活性剤、0〜200g/lの凍結防止剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lの顔料及び最大1リットルの溶媒、好ましくは水を含んでいてもよい。
活性物質を、そのまま又はその組成物の形態で、例えば、直接噴霧可能な溶剤、粉剤、懸濁剤、分散剤、エマルション剤、分散剤、ペースト剤、散粉製品、散布用物質又は粒剤の形態で、噴霧、霧化、散粉、散布、塗布、浸漬又は潅水により使用することができる。施用形態は、意図される目的に全面的に依存しており、それぞれの場合において、本発明の活性物質の可能な限り微細な分布を確実にすることが意図される。水性適用形態は、エマルション濃縮物、ペースト剤又は湿潤性粉末(噴霧可能な粉末剤、油分散剤)から水の添加により調製することができる。エマルション、ペースト剤又は油分散剤を調製するために、物質をそのまま、若しくは油又は溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤により、水中で均質化することができる。或いは、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤、及び適切であれば溶媒又は油から構成される濃縮物を調製することが可能であり、そのような濃縮物は、水による希釈に適している。
即時使用可能な調製物における活性物質濃度は、比較的広い範囲内で変更することができる。一般に、活性物質濃度は0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%の範囲である。
活性物質を、超微量法(ULV)において成功裏に使用することもでき、95重量%を超える活性物質を含む組成物の適用、又はさらには添加剤を有さないで活性物質を適用することができる。
植物保護に用いられる場合、適用される活性物質の量は、所望の効果の種類に応じて、1ヘクタール当たり0.001〜2 kg、好ましくは1ヘクタール当たり0.005〜2 kg、より好ましくは1ヘクタール当たり0.05〜0.9 kg、特に1ヘクタール当たり0.1〜0.75 kgである。
種子などの植物繁殖材料を粉衣、被覆又は潅注する処理において、植物繁殖材料(好ましくは種子)100キログラム当たり0.1〜1000 g、好ましくは1〜1000 g、より好ましくは1〜100 g、最も好ましくは5〜100 gの活性物質量が一般に必要である。
材料又は貯蔵生産物の保護に使用される場合、適用される活性物質の量は、適用領域の種類及び所望の効果によって異なる。材料の保護に慣用的に施用される活性物質量は、例えば、処理材料の1立方メートル当たり0.001 g〜2 kg、好ましくは0.005 g〜1 kgの範囲である。
多様な種類の油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺細菌剤、他の殺菌剤及び/又は農薬を、活性物質又はこれを含む組成物に添加することができ、適切であれば使用直前になってから添加することができる(タンクミックス)。これらの薬剤を本発明の組成物と1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
使用することができる補助剤は、特に、Break Thru S 240(登録商標)など有機修飾ポリシロキサン、Atplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標)及びLutensol ON 30(登録商標)などアルコールアルコキシレート、EO/POブロック重合体(例えば、Pluronic RPE 2035(登録商標)及びGenapol B(登録商標))、Lutensol XP 80(登録商標)などアルコールエトキシレート、並びにLeophen RA(登録商標)などスルホコハク酸ジオクチルナトリウムである。
本発明の組成物は、殺菌剤としての使用形態において、他の活性物質、例えば除草剤、殺虫剤、成長調節剤、殺菌剤と、又は肥料とも、プレミックスとして一緒に存在することもでき、又は適切であれば使用直前になってから存在していてもよい(タンクミックス)。
式Iの化合物又はそれを含む組成物を、殺菌剤しての使用形態にて他の殺菌剤と混ぜると、多くの場合、得られる活性の殺菌範囲が拡大するか、又は殺菌剤抵抗性の発達防止に繋がる結果となる。さらに、多くの場合、相乗効果も得られる。
以下の活性物質リストは、本発明による化合物と併用できる物質のリストであるが、これは可能な組合せの例示を意図するものであり、範囲を限定するものではない。
A)ストロビルリン アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピクオキシストロビン、ピラクロストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート及び2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、
B)カルボキシアミド及びカルボキシアニリド:ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、イソピラザム、イソチアニル、キララキシル、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、セダキサン、テクロフタラム、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチル-チアゾール-5-カルボキシアニリド、2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチル-インダン-4-イル)-ニコチンアミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3-ジメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及びN-(2-(1,3,3-トリメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;カルボン酸モルホリド(carboxylic morpholides):ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ;安息香酸アミド:フルメトバー、フルオピコリド、フルオピラム、ゾキサミド、N-(3-エチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシ-ベンズアミド;他のカルボキシアミド:カルプロパミド、ジシクロメット(dicyclomet)、マンジプロアミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファルム(silthiofarm)及びN-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボン酸アミド、
C)アゾール及びトリアゾール:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホル、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、1-(4-クロロ-フェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)-シクロヘプタノール;イミダゾール:シアゾファミド、イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;ベンズイミダゾール:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール及び2-(4-クロロ-フェニル)-N-[4-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イル]-2-プロパ-2-イニルオキシ-アセトアミド、
D)複素環式化合物 ピリジン:フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロ-フェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、3-[5-(4-メチル-フェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、2,3,5,6-テトラ-クロロ-4-メタンスルホニル-ピリジン、3,4,5-トリクロロピリジン-2,6-ジ-カルボニトリル、N-(1-(5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-エチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド、N-[(5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-メチル]-2,4-ジクロロ-ニコチンアミド;ピリミジン:ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェナリモル、フェリムゾン、メパニピルム、ニトラピリン、ヌアリモル、ピリメタニル;ピペラジン:トリホリン;ピロール:フェンピクロニル、フルジオキソニル;モルホリン:アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフ-アセテート、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;ピペリジン:フェンプロピジン;ジカルボキシイミド:フルオロイミド、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;非芳香族5員複素環:ファモキサドン、フェンアミドン、フルチアニル、オクチリノン、プロベナゾール、5-アミノ-2-イソプロピル-3-オキソ-4-オルト-トリル-2,3-ジヒドロ-ピラゾール-1-カルボチオ酸S-アリルエステル;他:アシベンゾラル-S-メチル、アミスルブロム、アニラジン、ブラストサイジン-S、カプタホール、キャプタン、キノメチオネート、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコート-メチルスルフェート、フェノキサニル、ホルペット、オキソリン酸、ピペラリン、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリアゾキシド、トリシクラゾール、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、5-クロロ-1-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)-2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ-[1,5-a]ピリミジン及び5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
E)カルバメート チオ-及びジチオカルバメート:ファーバム、マンコゼブ、マネブ、メタム、メタスルホカルブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;カルバメート:ベンチアバリカルブ、ジエトフェンカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブヒドロクロリド、バリフェナール及びN-(1-(1-(4-シアノ-フェニル)エタンスルホニル)-ブタ-2-イル)カルバミン酸-(4-フルオロフェニル)エステル、
F)他の活性物質 -グアニジン:グアニジン、ドジン、ドジン遊離塩基、グアザチン、グアザチン-アセテート、イミノクタジン、イミノクタジン-トリアセテート、イミノクタジン-トリス(アルベシレート);抗生物質:カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩-水和物、ストレプトマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA;ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノブトン、ジノカップ、ニトルタル(nitrthal)-イソプロピル、テクナゼン;有機金属化合物:フェンチン-アセテート、フェンチンクロリド又はフェンチンヒドロキシドなどのフェンチン塩;硫黄含有ヘテロシクリル化合物:ジチアノン、イソプロチオラン;有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロベンホス、亜リン酸及びその塩、ピラゾホス、トルクロホス-メチル;有機塩素化合物:クロロタロニル、ジクロフルアニド、ジクロロフェン、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、ペンタクロルフェノール及びその塩、フタリド、キントゼン、チオファネート-メチル、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロ-フェニル)-N-エチル-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド;無機活性物質:ボルドー混合物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;ビフェニル、ブロノポール、シフルフェナミド、シモキサニル、ジフェニラミン(diphenylamin)、メトラフェノン、ミルジオマイシン、オキシン-銅、プロヘキサジオン-カルシウム、スピロキサミン、トリルフルアニド、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロ-メトキシ-2,3-ジフルオロ-フェニル)-メチル)-2-フェニルアセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチル-ピラゾール-1-イル)-アセチル]-ピペリジン-4-イル}-チアゾール-4-カルボン酸メチル-(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド、2-{1-[2-(5-メチル-S-トリフルオロメチル-ピラゾール-i-yO-アセチル^-ピペリジン^-イルJ-チアゾール^-カルボン酸メチル-(R)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル-アミド、酢酸6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルエステル及びメトキシ-酢酸6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルエステル。
G)成長調節剤 アブシジン酸、アミドクロル、アンシミドール、6-ベンジルアミノプリン、ブラシノリド、ブトラリン、クロルメコート(クロルメコートクロリド)、塩化コリン、シクラニリド、ダミノジド、ジケグラック、ジメチピン、2,6-ジメチルプリジン(dimethylpuridine)、エテホン、フルメトラリン、フルルプリミドール、フルチアセット、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン酸、イナベンフィド、インドール-3-酢酸、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、メピコート(メピコートクロリド)、ナフタレン酢酸、N-6-ベンジルアデニン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン(プロヘキサジオン-カルシウム)、プロヒドロジャスモン、チジアズロン、トリアペンテノール、トリブチルホスホロトリチオエート、2,3,5-トリ-ヨード安息香酸、トリネキサパック-エチル及びウニコナゾール、
H)除草剤 アセトアミド:アセトクロル、アラクロール、ブタクロール、ジメタクロル、ジメテナミド、フルフェナセット、メフェナセット、メトラクロル、メタザクロル、ナプロパミド、ナプロアニリド、ペトキサミド、プレチラクロール、プロパクロル、テニルクロール;アミノ酸誘導体:ビアラホス、グリホセート、グルホシネート、スルホセート;アリールオキシフェノキシプロピオネート:クロジナホップ、シハロホップ-ブチル、フェノキサプロップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ-P-テフリル;ビピリジル:ジクワット、パラコート;(チオ)カルバメート:アシュラム、ブチレート、カルベタミド、デスメジファム、ジメピペレート、エプタム(EPTC)、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカーブ、フェンメディファム、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、チオベンカルブ、トリアレート;シクロヘキサンジオン:ブトロキシジム、クレトジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム;ジニトロアニリン:ベンフルラリン、エタルフルラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、トリフルラリン;ジフェニルエーテル:アシフルオルフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、ジクロホップ、エトキシフェン、ホメサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン;ヒドロキシベンゾニトリル:ボモキシニル(bomoxynil)、ジクロベニル、イオキシニル;イミダゾリノン:イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル;フェノキシ酢酸:クロメプロップ、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4-DB、ジクロルプロップ、MCPA、MCPA-チオエチル、MCPB、メコプロップ;ピラジン:クロリダゾン、フルフェンピル-エチル、フルチアセット、ノルフルラゾン、ピリデート;ピリジン:アミノピラリド、クロピラリド、ジフルフェニカン、ジチオピル、フルリドン、フルロキシピル、ピクロラム、ピコリナフェン、チアゾピル;スルホニル尿素:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロンメチル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロンメチル-メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、1-((2-クロロ-6-プロピル-イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)スルホニル)-3-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)尿素;トリアジン:アメトリン、アトラジン、シアナジン、ジメタメトリン、エチオジン、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、プロメトリン、シアジン、テルブチラジン、テルブトリン、トリアジフラム;尿素:クロロトルロン、ダイムロン、ジウロン、フルオメツロン、イソプロツロン、リニュロン、メタベンズチアズロン、テブチウロン;他のアセト乳酸シンターゼ阻害剤:ビスピリバック-ナトリウム、クロランスラム-メチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルカルバゾン、フルメツラム、メトスラム、オルト-フルメツラム、ペノキススラム、プロポキシカルバゾン、ピリバムベンズ-プロピル、ピリベノキシム、ピリフタリド、ピリミノバック-メチル、ピリミスルファン、ピリミノバック、ピロキサスルホン、ピロキシスラム;他:アミカルバゾン、アミノトリアゾール、アニロホス、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンカルバゾン、ベンフルレセート(benfluresate)、ベンゾフェナプ、ベンタゾン、ベンゾビシクロ、ブロマシル、ブロモブチド、ブタフェナシル、ブタミホス、カフェンストロール、カルフェントラゾン、シニドン-エチル(ethlyl)、クロルタール、シンメチリン、クロマゾン、クミルロン、シプロスルファミド、ジカンバ、ジフェンゾコート、ジフルフェンゾピル、ドレクスレラ・モノセラス(Drechslera monoceras)、エンドサル、エトフメサート、エトベンザニト、フェントラザミド、フルミクロラック-ペンチル、フルミオキサジン、フルポキサム、フルロクロリドン、フルルタモン、インダノファン、イソキサベン、イソキサフルトール、レナシル、プロパニル、プロピザミド、キンクロラック、キンメラック、メソトリオン、メチルアルソン酸、ナプタラム、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、ペントキサゾン、ピノキサデン、ピラクロニル、ピラフルフェン-エチル、ピラスルホトール、ピラゾキシフェン、ピラゾリネート、キノクラミン、サフルフェナシル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、ターバシル、テフリルトリオン、テンボトリオン、チエンカルバゾン、トプラメゾン、4-ヒドロキシ-3-[2-(2-メトキシ-エトキシメチル)-6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-カルボニル]-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-エン-2-オン、(3-[2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル)-フェノキシ]-ピリジン-2-イルオキシ)-酢酸エチルエステル、6-アミノ-5-クロロ-2-シクロプロピル-ピリミジン-4-カルボン酸メチルエステル、6-クロロ-3-(2-シクロプロピル-6-メチル-フェノキシ)-ピリダジン-4-オール、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-フェニル)-5-フルオロ-ピリジン-2-カルボン酸、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル、及び4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-3-ジメチルアミノ-2-フルオロ-フェニル)-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル。
I)殺虫剤 -オルガノ(チオ)ホスフェート:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオクソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルホン;カルバメート:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メトミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポクサー、チオジカルブ、トリアザメート;ピレスロイド:アレスリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンI及びII、レスメトリン、シラフルオフェン、タウ-フルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン;昆虫成長調節剤:a)キチン合成阻害剤:ベンゾイル尿素:クロルフルアズロン、シロマジン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、クロフェンタジン、b)エクジソンアンタゴニスト:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン、c)ジュベノイド:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ、d)脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物:クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、1-(2-クロロ-チアゾール-5-イルメチル)-2-ニトリミノ-3,5-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン;GABAアンタゴニスト化合物:エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェニル)-4-スルフィナモイル-1H-ピラゾール-3-カルボチオ酸アミド;大環状ラクトン殺虫剤:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド、スピネトラム;ミトコンドリア電子伝達阻害剤(METI)I殺ダニ剤:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム;METIII及びIII化合物:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン;脱共役剤:クロルフェナピル;酸化的リン酸化阻害剤:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;脱皮破壊剤化合物:クリオマジン;混合機能オキシダーゼ阻害剤:ピペロニルブトキシド;ナトリウムチャネル遮断薬:インドキサカルブ、メタフルミゾン;他:ベンクロチアズ、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアジピル(HGW86)、シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、イミシアホス、ビストリフルロン、及びピリフルキナゾン。
本発明はさらに、少なくとも1つの式Iの化合物(成分1)と、例えば前述のA)群〜I)群から選択される植物保護に有用な少なくとも1つのさらなる活性物質(成分2)、特に例えばA)群〜F)群から選択される1つ以上の殺菌剤など、1つのさらなる殺菌剤、そして所望であれば1つの適切な溶媒又は固体担体から成る混合物を含む、農薬組成物に関する。これらの混合物は、その多くが同じ適用率において、有害菌類に対し、より高い効率を示すことから、特に重要である。さらに、式Iの化合物と、前述のA)群〜F)群から選択される少なくとも1つの殺菌剤の混合物による有害菌類対策は、式Iの化合物を単独で、若しくはA)群〜F)群からの殺菌剤を単独で使用しての有害菌類対策よりも効率が高い。式Iの化合物を、A)群〜I)群から選択される少なくとも1つの活性物質と一緒に適用することにより、相乗効果を得ることができ、即ち、個別の効果を単純に加算するよりも高い効果を得られる(相乗効果的混合物)。
本発明によれば、式Iの化合物を少なくとも1つのさらなる活性物質と一緒に適用することは、少なくとも1つの式Iの化合物と少なくとも1つのさらなる活性物質が、作用部位(即ち防除すべき有害菌類又はその生息域(例えば、感染した植物)、植物繁殖材料、特に種子、表面、材料又は土壌、並びに菌類の攻撃から保護されるべき植物、植物繁殖材料、特に種子、土壌、表面、材料又は部屋)において殺菌有効量、同時に存在することを意味すると理解されるべきである。これは式Iの化合物と少なくとも1つのさらなる活性物質を同時に、一体的に(例えば、タンクミックス)又は別々いずれかの形態で、若しくは連続的に適用することによって達成することができ、その場合、個々の適用の時間間隔は、最初に適用される活性物質が、次の活性物質の適用時点に至ってもまだ十分な量、作用部位に存在している状態を確保するよう選択される。適用順序は、本発明の機能形態に対して必須ではない。
二元混合物、即ち1つの化合物I(成分1)と1つのさらなる活性物質(成分2)、例えばA)群〜I)群から選択される1つの活性物質を含む組成物において、成分1と成分2との重量比は一般に、使用する活性物質の特性に依存し、通常、1:100〜100:1の範囲、正規には1:50〜50:1の範囲、好ましくは1:20〜20:1の範囲、より好ましくは1:10〜10:1の範囲、特に好ましくは1:3〜3:1の範囲である。
三元混合物、即ち1つの化合物I(成分1)と、第1のさらなる活性物質(成分2)及び第2のさらなる活性物質(成分3)、例えばA)群〜I)群から選択される2つの活性物質を含む組成物において、成分1と成分2との重量比は、使用する活性物質の特性に依存し、好ましくは1:50〜50:1の範囲、特に好ましくは1:10〜10:1の範囲であり、成分1と成分3との重量比は、好ましくは1:50〜50:1の範囲、特に好ましくは1:10〜10:1の範囲である。
これらの成分は個別に使用することもできれば、或いは本発明による組成物を調製するために、既に互いに部分的に又は完全に混合された状態で使用することもできる。これらの成分をパッケージ化し、複数のパーツから成るキットなど、複合組成物として用途を広げることもできる。
本発明の一実施形態において、キットは、対象農薬組成物の調製に使用され得る成分を、全て含め、1つ以上含み得る。例えば、キットは1つ以上の殺菌成分及び/又は1つの補助剤成分及び/又は1つの殺虫成分及び/又は1つの成長調節成分及び/又は1つの除草剤を含み得る。1つ以上の成分は、既に一体化されているか、又は配合済みであってもよい。複数の成分がキットに提供される実施形態において、成分は既に一体化され、相応にバイアル、ボトル、缶、パウチ、袋又はキャニスターなど単一の容器内にパッケージ化されていてもよい。他の実施形態において、キットに含まれる複数の成分が別々にパッケージ化されている、即ち配合済みでない状態であってもよい。相応に、キットはバイアル、缶、ボトル、パウチ、袋又はキャニスターなど、1つ以上の個別容器を含み、各容器が別々の農薬組成物用成分を含有するものであってもよい。いずれの形態でも、キットの成分は別の成分と別々に適用されるか、又は一緒に適用される、若しくは本発明による組成物を調製するための、本発明による複合組成物の成分として適用され得る。
使用者は、本発明による組成物を、通常、投与準備装置、背負式噴霧器、噴霧タンク又は噴霧飛行機から適用する。ここで、農薬組成物は、水及び/又は緩衝剤により所望の適用濃度に構成され、適切であればさらなる助剤を添加することができ、このようにして、本発明による即時使用可能な噴霧液又は農薬組成物が得られる。一部の実施形態において、農業的に有用な領域1ヘクタール当たり50〜500リットルの、即時使用可能な噴霧液が適用される。一部の実施形態において、1ヘクタール当たり100〜400リットルの、即時使用可能な噴霧液が適用される。一部の実施形態において、本発明は、即時使用可能な本発明の組成物を温室で適用するためのキットを提供する。
一実施形態によれば、本発明による組成物の個々の成分、例えばキットの成分、二元混合物又は三元混合物の成分を、使用者が自ら噴霧タンク内で混合し、適切であればさらなる助剤を添加することができる(タンクミックス)。さらなる一実施形態において、本発明による組成物の個々の成分若しくは部分的に混合済みの成分、例えば式Iの化合物及び/又はA)群〜I)群から選択される活性物質を含む成分を、使用者が噴霧タンク内で混合し、適切であればさらなる助剤及び補助剤を添加することができる(タンクミックス)。
さらなる一実施形態において、本発明による組成物の個々の成分若しくは部分的に混合済みの成分、例えば式Iの化合物及び/又はA)群〜I)群から選択される活性物質を含む成分は(例えばタンクミックス後に)一緒に適用しても、又は連続的に適用してもよい。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物(成分1)と、A)群のストロビルリンから選択される、特にアゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、オリサストロビン、ピクオキシストロビン、ピラクロストロビン及びトリフロキシストロビンから選択される少なくとも1つの活性物質(成分2)とを含む混合物を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物(成分1)と、B)群のカルボキサミドから選択される少なくとも1つの活性物質(成分2)とを含む混合物を提供する。一部の実施形態において、カルボキサミドはビキサフェン、ボスカリド、セダキサン、フェンヘキサミド、メタラキシル、イソピラザム、メフェノキサム、オフレース、ジメトモルフ、フルモルフ、フルオピコリド(ピコベンザミド)、ゾキサミド、カルプロパミド、マンジプロパミド及びN-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドからなる群から選択される。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物(成分1)と、C)群のアゾールから選択される少なくとも1つの活性物質(成分2)とを含む混合物を提供する。一部の実施形態において、アゾールはシプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾール、プロクロラズ、シアゾファミド、ベノミル、カルベダジム及びエタボキサムからなる群から選択される。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物(成分1)と、D)群の複素環式化合物から選択される少なくとも1つの活性物質(成分2)とを含む混合物を提供する。一部の実施形態において、D)群の複素環式化合物は、フルアジナム、シプロジニル、フェナリモル、メパニピリム、ピリメタニル、トリホリン、フルジオキソニル、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、イプロジオン、ビンクロゾリン、ファモキサドン、フェナミドン、プロベナゾール、プロキナジド、アシベンゾラル-S-メチル、カプタホル、フォルペット、フェノキサニル、キノキシフェン及び5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミンからなる群から選択される。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物(成分1)と、E)群のカルバメートから選択される少なくとも1つの活性物質(成分2)とを含む混合物を提供する。一部の実施形態において、カルバメートはマンコゼブ、メチラム、プロピネブ、チラム、イプロバリカルブ、ベンチアバリカルブ及びプロパモカルブからなる群から選択される。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物(成分1)と、F)群に記載の殺菌剤から選択される少なくとも1つの活性物質(成分2)とを含む混合物を提供する。一部の実施形態において、F)群の殺菌剤は、ジチアノン、フェンチン塩(例えば、フェンチンアセテート)、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、H3PO3及びその塩、クロロタロニル、ジクロフルアニド、チオファネート-メチル、酢酸銅、水酸化銅、酸塩化銅、硫酸銅、硫黄、シモキサニル、メタフェノン及びスピロキサミンからなる群から選択される。
成分2として記載の活性物質、その調製及び有害菌類に対する活性は、当技術分野において公知である。一部の実施形態において、これらの物質は市販されている。IUPAC命名法により表わされる化合物、その調製及び殺菌活性も、当技術分野において公知である(以下参照: Can. J. Plant Sci. 48(6)、587〜94、1968、EP-A 141 317;EP-A 152 031;EP-A 226 917;EP-A 243 970;EP-A 256 503;EP-A 428 941;EP-A 532 022;EP-A 1 028 125;EP-A 1 035 122;EP-A 1 201 648;EP-A 1 122 244、JP 2002316902;DE 19650197;DE 10021412;DE 102005009458;US 3,296,272;US 3,325,503;WO 98/46608;WO 99/14187;WO 99/24413;WO 99/27783;WO 00/29404;WO 00/46148;WO 00/65913;WO 01/54501;WO 01/56358;WO 02/22583;WO 02/40431;WO 03/10149;WO 03/1 1853;WO 03/14103;WO 03/16286;WO 03/53145;WO 03/61388;WO 03/66609;WO 03/74491;WO 04/49804;WO 04/83193;WO 05/120234;WO 05/123689;WO 05/123690;WO 05/63721;WO 05/87772;WO 05/87773;WO 06/15866;WO 06/87325;WO 06/87343;WO 07/82098;WO 07/90624)。
活性物質の混合物は、活性成分の他に少なくとも1つの不活性成分を含む組成物として、通常の手段、例えば式Iの化合物の組成物について記載の手段により、調製することができる。
そのような組成物の通常成分については、式Iの化合物を含有する組成物について示される説明を参照されたい。
本発明による活性物質の混合物は、式Iの化合物同様、殺菌剤として適切である。一部の実施形態において、本発明の混合物及び組成物は、広範囲に及ぶ植物病原性菌類に対する植物保護に有用である。一部の実施形態において、植物病原性菌類は卵菌綱、担子菌鋼、不完全菌鋼及びペロノスポロミセテス(卵菌綱と同義)に属する。
式Iの化合物及びその医薬的に許容される塩は、ヒトや動物における疾患の治療、特にがんやウイルス感染の治療用の抗真菌薬としても適切である。「抗真菌薬」という用語は、「殺菌剤」という用語と区別される通り、動物病原性菌類又はヒト病原性菌類に対抗するための、即ち動物、特に哺乳類(ヒトを含む)及び鳥類において菌類に対抗するための薬剤を指す。
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩、及び医薬的に許容される担体を提供する。
一部の実施形態において、本発明は、式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩を、抗真菌薬を調製するために使用すること、即ちヒト病原性菌類及び/又は動物病原性菌類による感染の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するために使用することに関する。
[実施例]
下記の実施例で示される通り、特定の例示的実施形態において、化合物は以下の一般的手順に従って調製される。一般的方法は、本発明における特定の化合物の合成を示すものであるが、以下の一般的方法及び他の、当業者にとって公知の方法を、本明細書に記載の全ての化合物並びにこれら化合物それぞれに属するサブクラス及び種にも応用できる旨、理解されることになる。
特定の実施形態において、本発明の化合物は一般的に、下記のスキームIに従って調製される。
上記のスキームIにおいて、LGは離脱基であり、R1、R2、R3、R4、Rz、RA1、L1、L2、X及びYのそれぞれは上記及び下記にて定義の通りであり、本明細書に記載のクラス及びサブクラスに属する。適切な離脱基、LGの例として、ヒドロキシル基、ハロゲン及びスルホネートが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、LGはハロゲンである。特定の実施形態において、LGはヒドロキシル基である。特定の実施形態において、LGは塩素である。
一態様において、本発明は、上記のスキームIに記載の工程に従って、式A-4の化合物を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、工程S-1にて、式A-1の複素環式酸塩化物をエナミンと反応させて、式A-2のエナミドを形成する。例えば、T.-M. Chanら、J. Het. Chem. 1990、27、1135(この文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の条件の下、1-フェニルメチル-5-クロロ-1,2,3-トリアゾール-4-カルボニルクロリドが1-(1-ピロリジニル)シクロペンテンと反応する結果、5-クロロ-1-(フェニルメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)[2-(1-ピロリジニル)-1-シクロペンテン-1-イル]メタノンが得られる。特定の実施形態において、アシル化反応は塩基及び溶媒の存在下で行われる。一部の実施形態において、塩基はTEA(トリエチルアミン)である。一部の実施形態において、溶媒はDCM(ジクロロメタン)である。一部の実施形態において、A-1はトリアゾールである。一部の実施形態において、A-1はチオフェンである(例として以下参照: M. E. Schnuteら、WO 2004022566。この文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態において、RA1はC5〜6シクロアルキル基である。
一部の実施形態において、工程S-2は、式A-2の化合物をアミンで処理して式A-3の化合物を形成する工程を含む。例えば、T.-M. Chanら、J. Het. Chem. 1990、27、1135(この文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の条件の下、5-クロロ-1-(フェニルメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)[2-(1-ピロリジニル)-1-シクロペンテン-1-イル]メタノンがアニリンと反応する。一部の実施形態において、アミンは市販の2-(2-メトキシフェニル)-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)オキシ)エタンアミンの分解によって調製される(R)-2-(2-メトキシフェニル)-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)オキシ)エタンアミンである。一部の実施形態において、工程S-2はベンゼンを溶媒として使用して行われる。一部の実施形態において、工程S-2は無水p-トルエンスルホン酸の存在下で行われる。一部の実施形態において、工程S-1及びS-2は、化合物A-2の中間精製を経ずに行われる。
一部の実施形態において、工程S-3は、T.-M. Chanら、J. Het. Chem. 1990、27、1135に記載の方法に従って、式A-3の中間体をカリウムtert-ブトキシドと接触させて式A-4のピリドン化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、工程S-3はtert-ブタノールを溶媒として使用して行われる。
一部の実施形態において、工程S-4は、式A-4の化合物を試薬と接触させてカルボニル基をチオカルボニル基へ転換する工程を含む。一部の実施形態において、ヒドロキシル基をカルボニル基へ転換するのに使用する試薬は、ローソン試薬である。一部の実施形態において、工程S-4は溶媒中で行われる。一部の実施形態において、溶媒はジオキサンである。一部の実施形態において、溶媒はトルエンである。
特定の実施形態において、本発明の化合物は一般的に、下記のスキームIIに従って調製される。
上記のスキームIIにおいて、LG、R1、R2、R3、R4、Rz、L1、L2、X及びYのそれぞれは上記及び下記にて定義の通りであり、本明細書に記載のクラス及びサブクラスに属する。
一態様において、本発明は、上記のスキームIIに記載の工程に従って、式B-3の化合物を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、工程S-1にて、式B-1(LG = Cl)の複素環式酸塩化物をアミノケトンと反応させてアシル化反応を生じさせ、式B-2のアミドを形成する。特定の実施形態において、アシル化反応はアミンの存在下で行われる。一部の実施形態において、塩基はTEAである。一部の実施形態において、式B-1(LG = OH)の複素環式酸を結合剤の存在下でアミノケトンと反応させる。一部の実施形態において、結合用試薬は(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチル(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシ)メタンイミニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)である。一部の実施形態において、結合試薬は3-(エチルイミノメチレンアミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(EDC)である。一部の実施形態において、この反応はEDC及び添加剤の双方と共に行われる。一部の実施形態において、添加剤はヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)である。一部の実施形態において、溶媒はTHFである。一部の実施形態において、溶媒はDMFである。
一部の実施形態において、工程S-2は、R. Cincinelliら、Synlett 2008、(9)、1309(この文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる)にβ-カルボリン-1-オンの合成について記載の方法に従って、式B-2の化合物をトリフルオロ酢酸と接触させて式B-3の化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、溶媒はアセトニトリルである。一部の実施形態において、工程S-2は、S. Cananziら、Bioorg. Med. Chem. 2011、19、4971(この文献は全体が参照により本明細書に組み込まれる)にβ-カルボリン-1-オンの合成について記載の代替の方法に従って、式B-2の化合物をヨウ化ナトリウム及び塩化トリメチルシリルと接触させて式B-3の化合物を形成する工程を含む。
特定の実施形態において、本発明の化合物は一般的に、下記のスキームIIIに従って調製される。
上記のスキームIにおいて、PG、LG、R1、R2、R3、R4、RA7、Rz、L1、L2、X及びYのそれぞれは上記及び下記にて定義の通りであり、本明細書に記載のクラス及びサブクラスに属する。
一態様において、本発明は、上記のスキームIに記載の工程に従って、式H-7の化合物を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、工程S-1は、式H-1のヘテロアリールアミンを、アミン成分の保護用試薬で処理して式H-2の化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、試薬はジ-tert-ブチルジカルボネートである。一部の実施形態において、触媒が添加される。一部の実施形態において、触媒はDMAPである。一部の実施形態において、溶媒はアセトニトリルである。
一部の実施形態において、工程S-2は、式H-2の化合物を、エステル基をカルボン酸へ転換する試薬と接触させることにより式H-4の化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、脱エステル化用試薬は塩基である。一部の実施形態において、塩基は水酸化リチウムである。一部の実施形態において、試薬は酸である。一部の実施形態において、反応は水性溶媒中で行われる。一部の実施形態において、テトラヒドロフランが共溶媒として採用される。
一部の実施形態において、工程S-3にて、式H-3のカルボン酸をアミンと反応させて、式H-4のアミドを形成する。特定の実施形態において、アシル化反応はアミンの存在下で行われる。一部の実施形態において、塩基はTEAである。一部の実施形態において、この反応は結合剤の存在下で行われる。一部の実施形態において、結合用試薬はHATUである。一部の実施形態において、結合用試薬はEDCである。一部の実施形態において、この反応はEDC及び添加剤の双方と共に行われる。一部の実施形態において、添加剤はHOBTである。一部の実施形態において、溶媒はDMFである。
一部の実施形態において、工程S-4は、式H-4の化合物をPG除去用試薬で処理して式H-5の化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、例えばPGがtert-ブトキシカルボニル基である場合に関しては、試薬はトリフルオロ酢酸である。一部の実施形態において、試薬がトリフルオロ酢酸である場合、溶媒はDCMである。
一部の実施形態において、工程S-5は、式H-5の化合物をカルボニル化用試薬又はチオカルボニル化用試薬で処理して式H-7の化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、カルボニル化用試薬はホスゲンである。一部の実施形態において、チオカルボニル化用試薬はチオホスゲンである。一部の実施形態において、溶媒はDCMである。一部の実施形態において、溶媒はトルエンである。
一部の実施形態において、工程S-6は、式H-6の化合物を塩基及びアルキル化剤で処理して式H-7の化合物を形成する工程を含む。一部の実施形態において、塩基は水素化ナトリウムである。一部の実施形態において、アルキル化剤はハロゲン化アルキルである。一部の実施形態において、アルキル化剤はスルホン酸アルキルである。一部の実施形態において、溶媒はTHFである。
[実施例1]
化合物2-(7-(2-メトキシフェネチル)-3-メチル-2-(オキサゾール-2-イル)-4-オキソチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4H)-イル)酢酸、I-33の合成。
化合物1.2の合成。250 mLの三口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、ビス(プロパン-2-イル)アミン(15.2 g、150.21 mmol、1.50当量)のTHF溶液(100 mL)を入れた。混合物を-40℃まで冷却し、そしてブチルリチウム(60 mL、1.50当量、2.5 mol/L)を添加してゆっくり30分間撹拌した。混合物を-40℃で30分間撹拌した。その後、上記溶液を、2-ブロモ-3-メチルチオフェン、即ち化合物1.1(17.7 g、99.96 mmol、1.00当量)の-78℃のTHF溶液(100 mL)へ添加し、30分間撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(100 mL)を-78℃で添加した。反応物を-78℃で1時間撹拌した。その後、1 LのNH4Cl水溶液の添加によって反応物を急冷し、500 mLの酢酸エチルで3回に分けて抽出した。有機層を結合し、1000 mLの塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムを使用して脱水し、溶媒を真空下で除去した。粗生成物をヘキサンからの再結晶化により精製した結果、18.2 g(89%)の5-ブロモ-4-メチルチオフェン-2-カルボアルデヒド、即ち化合物1.2を茶色の固体として得た。
化合物1.3の合成。500 mLの四口丸底フラスコに、化合物1.2(10.2 g、49.74 mmol、1.00当量)のピリジン溶液(150 mL)、プロパン二酸(20.8 g、199.88 mmol、4.00当量)、及びピペリジン(202 mg、2.37 mmol、0.05当量)を入れた。反応物を110℃のオイルバス中で終夜撹拌した。完了後、溶媒を減圧条件下で除去した。塩化水素(1 mol/L)を使用して溶液のpH値を2に調節し、沈殿物を濾過により収集した結果、12 g(98%)の化合物1.3を茶色の固体として得た。
化合物1.4の合成。1000 mLの丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、化合物1.3(13 g、52.61 mmol、1.00当量)のトルエン溶液(300 mL)、2-(トリブチルスタンニル)-1,3-オキサゾール(28.5 g、79.58 mmol、1.50当量)、及びテトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(3.1 g、2.68 mmol、0.05当量)を入れた。反応溶液を110℃のオイルバス中で終夜撹拌した。反応完了後、溶媒を真空下で除去し、残留物を200 mLの酢酸エチルに溶解した。有機層を200 mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液で3回洗浄した。塩化水素(1 mol/L)を使用して溶液のpH値を2に調節し、結果として生じた固体を濾過した結果、2.5 g(20%)の化合物1.4を黄色の固体として得た。
化合物1.5の合成。50 mLの丸底フラスコに、化合物1.5(200 mg、0.85 mmol、1.00当量)のTHF溶液(20 mL)、[[アジド(フェノキシ)ホスホリル]オキシ]ベンゼン(280 mg、1.02 mmol、1.20当量)、及びEt3N(258 mg、2.55 mmol、3.00当量)を入れた。反応物を室温で終夜撹拌した。完了後、50 mLの水の添加によって反応物を急冷し、50 mLの酢酸エチルで3回に分けて抽出した。有機層を結合し、200 mLの塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを使用して脱水した。溶媒を減圧条件下で除去した結果、220 mg(粗材料)の化合物1.5を黄色の固体として得た。
化合物1.6の合成。50 mLの三口丸底フラスコを不活性窒素雰囲気の状態に維持し、これに、化合物1.5(3 g、11.53 mmol、1.00当量)のPh2O溶液(20 mL)、及びトリブチルアミン(2.13 mg、0.01 mmol、1.00当量)を入れた。反応物を190℃で2時間撹拌した。完了後、溶媒を真空下で除去し、そしてメタノールの添加により生成物を沈殿させた。単離された固体を100 mLのヘキサンで洗浄し、濾過により収集した結果、530 mg(20%)の化合物1.6を灰色の固体として得た。
化合物1.7の合成。100 mLの丸底フラスコに、化合物1.6(530 mg、2.28 mmol、1.00当量)のDMF溶液(50 mL)、及び1-ヨードピロリジン-2,5-ジオン(616 mg、2.74 mmol、1.20当量)を入れた。反応物を室温で終夜撹拌した後、20 mLの水の添加によって急冷した。結果として生じた溶液を、20 mLの酢酸エチルで3回に分けて抽出した。有機層を結合し、50 mLの塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを使用して脱水し、真空下で濃縮した。その結果、650 mg(粗材料)の化合物1.7を灰色の固体として得た。
化合物1.8の合成。100 mLの三口丸底フラスコをパージして窒素雰囲気下の状態に維持し、これに化合物1.7(650 mg、1.81 mmol、1.00当量)をTHF中溶液(60 mL)として入れた。この溶液に、リチオビス(トリメチルシリル)アミン(2.2 mL、1.20当量、1mol/L)を0℃で撹拌しながら滴下により添加した。0℃で30分間撹拌した後、2-ブロモ酢酸tert-ブチル(426 mg、2.18 mmol、1.20当量)を0℃に維持しながら滴下した。反応物を室温で終夜撹拌した。その後、反応物を10 mLの飽和NH4Cl水溶液の添加により急冷した。結果として生じた溶液を、10 mLの酢酸エチルで2回に分けて抽出した。有機層を結合し、50 mLの塩水で3回洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムを使用して脱水し、真空下で濃縮した。粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製した結果、500 mg(58%)の化合物1.8を茶色の固体として得た。
化合物1.9の合成。25 mLの丸底フラスコに、化合物1.8(500 mg、1.06 mmol、1.00当量)のDMF溶液(5 mL)、1-エテニル-2メトキシベンゼン(170 mg、1.27 mmol、1.20当量)、Pd(OAc)2(48 mg、0.21 mmol、0.20当量)、及びEt3N(214 mg、2.11 mmol、2.00当量)を入れた。反応物を100℃のオイルバス中で終夜撹拌した後、10 mLの水の添加によって急冷した。結果として生じた溶液を、100 mLの酢酸エチルで2回に分けて抽出した。有機層を結合し、100 mLの塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をn-ヘキサンから再結晶化し、固体を濾過により収集した結果、150 mg(30%)の化合物1.9を茶色の固体として得た。
化合物1.10の合成。25 mLの丸底フラスコに、化合物1.9(70 mg、1.00当量)のメタノール溶液(5 mL)及びパラジウム炭素(5 mg)を入れた。水素ガスを導入した。反応物を室温で終夜撹拌した。反応完了後、懸濁物を濾過し、固体をメタノール(5 mL)で洗浄した。有機層を結合し、真空下で濃縮した結果、60 mg(粗材料)の化合物1.10を白色の固体として得た。
化合物I-33の合成。10 mLの丸底フラスコに、化合物1.10(60 mg、0.12 mmol、1.00当量)のジクロロメタン溶液(2 mL)、及びトリフルオロ酢酸(0.5 mL)を入れた。反応物を室温で終夜撹拌した。反応完了後、溶媒を減圧条件下で除去した。粗生成物を、調合HPLCにより精製した結果、28.5 mg(54%)の2-(7-(2-メトキシフェネチル)-3-メチル-2-(オキサゾール-2-イル)-4-オキソチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4H)-イル)酢酸、I-33を白色の固体として得た。LCMS (ES, m/z): 425 [M+H]+; 1H NMR (400MHz,DMSO-d6): δ2.72-2.80(m, 2H), 2.88-2.98(m, 5H), 3.83(s, 3H), 4.40(s, 2H), 6.86-6.90(t, 1H), 6.95-7.01(d, 1H), 7.15-7.25(m, 2H), 7.35-7.48(m, 2H), 8.26 (s, 1H).
[実施例2]
化合物2-(7-(2-メトキシフェネチル)-3-メチル-2-(オキサゾール-2-イル)-4-オキソチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4H)-イル)アセトアミド、I-34の合成。
25 mLの三口丸底フラスコを窒素雰囲気下の状態に維持し、これに化合物I-33(40 mg、0.08 mmol、1.00当量)、DCC(64 mg、0.31 mmol、3.73当量)、CH
2Cl
2(8 mL)、NH
4Cl(24.8 mg、0.46 mmol、5.57当量)、及び4-ジメチルアミノピリジン(38 mg、0.31 mmol、3.74当量)を入れた。反応物を50℃で終夜撹拌した。完了後、溶媒を減圧条件下で除去した。粗生成物を、調合TLCにより精製した後、さらに調合HPLCにより精製した結果、1.9 mg(5%)の2-(7-(2-メトキシフェネチル)-3-メチル-2-(オキサゾール-2-イル)-4-オキソチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4H)-イル)アセトアミド、I-34を白色の固体として得た。LCMS (ES, m/z): 424 [M+H]
+;
1H NMR (300MHz, DMSO-d
6): δ2.73-2.78(t,2H), 2.89-2.96(m,5H), 3.84(s,3H), 4.54 (s,2H), 6.88-6.91(t,1H), 6.97-7.00(dd,2H), 7.19-7.24(m, 3H), 7.44-7.47(dd,2H), 7.61(s,1H), 8.26(s,1H).
[実施例3]
2-(4-(2-メトキシフェネチル)-2-(オキサゾール-2-イル)-5,7-ジオキソ-4,5-ジヒドロチアゾロ[5,4-d]ピリミジン-6(7H)-イル)酢酸、I-35の合成。
化合物3.2の合成。50 mLの三口丸底フラスコに、化合物3.1(200 mg、1.16 mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(10 mL)、及びトリホスゲン(115 mg、0.39 mmol、0.33当量)を入れた。トリエチルアミン(352 mg、3.48 mmol、3.00当量)を、0℃で撹拌しながら滴下により添加した。結果として生じた溶液を0℃で1時間撹拌し、そのまま次の工程で使用した。
化合物3.3の合成。50 mLの三口丸底フラスコに、化合物3.2及び2-アミノ酢酸tert-ブチル塩酸塩の溶液(194 mg、1.16 mmol、1.00当量)を入れた。反応物を室温で2時間撹拌した。完了後、10 mLのNH4Cl水溶液の添加によって反応物を急冷し、10 mLのジクロロメタンで2回に分けて抽出した。有機層を結合し、真空下で濃縮した。粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製した結果、290 mg(76%)の化合物3.3を白色の固体として得た。
化合物3.4の合成。50 mLの丸底フラスコに、化合物3.3(290 mg、0.88 mmol、1.00当量)、1,4-ジオキサン(10 mL)及びKOC(CH3)3(296 mg)を入れた。反応物を40℃のオイルバス中で4時間撹拌した。完了後、10 mLのNH4Cl水溶液の添加によって反応物を急冷し、10 mLの酢酸エチルで2回に分けて抽出した。有機層を結合し、真空下で濃縮した。粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを介して精製した結果、100 mg(40%)の化合物3.4を白色の固体として得た。
化合物3.5の合成。50 mLの丸底フラスコに、化合物3.4(80 mg、0.28 mmol、1.00当量)、CH3CN(5 mL)、及びNBS(50 mg、0.28 mmol、0.99当量)を入れた。反応物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、溶媒を真空内で除去し、そして粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを介して精製した結果、100 mg(98%)の化合物3.5を黄色の固体として得た。
化合物3.6の合成。25 mLの丸底フラスコに、化合物3.5(80 mg、0.22 mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(91 mg、0.66 mmol、2.98当量)、N,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)、1-(2-ブロモエチル)-2-メトキシベンゼン(71 mg、0.33 mmol、1.49当量)を入れた。反応物を室温で終夜撹拌した後、10 mLの水の添加によって急冷した。濾過により固体を収集し、減圧条件下のオーブン内で乾燥させた結果、105 mg(96%)の化合物3.6を黄色の固体として得た。
化合物3.7の合成。50 mLの丸底フラスコに、化合物3.6(105 mg、0.21 mmol、1.00当量)、トルエン(5 mL)、Pd(PPh3)4(10 mg、0.01 mmol、0.04当量)、及び2-(トリブチルスタンニル)-1,3-オキサゾール(113 mg、0.32 mmol、1.49当量)を入れた。反応物を110℃のオイルバス中で終夜撹拌した。結果として生じた混合物を真空下で濃縮し、そして粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製した結果、40 mg(39%)の化合物3.7を白色の固体として得た。
化合物I-35の合成。25 mLの丸底フラスコに、化合物3.7(40 mg、0.08 mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(5 mg、0.06 mmol、0.71当量)、及びトリフルオロ酢酸(1 mL)を入れた。反応物を室温で終夜撹拌した。完了後、溶媒を減圧条件下で除去し、粗材料を精製した結果、30.4 mg(86%)の2-(4-(2-メトキシフェネチル)-2-(オキサゾール-2-イル)-5,7-ジオキソ-4,5-ジヒドロチアゾロ[5,4-d]ピリミジン-6(7H)-イル)酢酸、I-35を白色の固体として得た。
LCMS: (ES, m/z): 429 [M+H]+; 1H NMR (300MHz, CD3OD): δ3.12-3.18(m, 2H), δ3.85(s, 3H), δ4.24-4.28(t, 2H), δ4.77(s, 2H), δ6.81-6.91(m, 2H), δ7.15-7.21(m, 2H),δ7.39(s, 1H) ,δ8.13(s, 1H)
[実施例4]
2-(3-(2-メトキシフェネチル)-7メチル-8-(オキサゾール-2-イル)-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸、I-36の合成。
化合物4.2の合成。50 mLの丸底フラスコに、化合物4.1(1.4 g、8.28 mmol、1.00当量)、1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン(1.48 g、9.99 mmol、1.10当量)、及び酢酸(10 mL)を入れた。反応物を110℃で10時間撹拌した。反応完了後、溶媒を真空下で除去し、そして粗材料を、エチルエーテルからの再結晶化により精製した結果、2.4 g(97%)の化合物4.2を白色の固体として得た。
化合物4.3の合成。50 mLの丸底フラスコに、化合物4.2(2.9 g、9.69 mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(25 mL)、及びNBS(3.4 g、19.1 mmol、2.0当量)を入れた。結果として生じた溶液を室温で20時間撹拌した。反応完了後、溶媒を真空下で除去し、そして粗材料を、エチルエーテルからの再結晶化により精製した結果、3.5 g(96%)の化合物4.3を白色の固体として得た。
化合物4.4の合成。100 mLの丸底フラスコに、化合物4.3(3.5 g、9.25 mmol、1.00当量)、エタノール(25 mL)、及びヒドラジン水和物(5.8 g、115.86 mmol、12.13当量)を入れた。反応物を80℃で2時間撹拌した。固体を濾過し、溶媒を真空下で除去した。粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製した結果、2 g(87%)の化合物4.4を灰色がかった白色の固体として得た。
化合物4.5の合成。50 mLの三口丸底フラスコを窒素雰囲気下の状態に維持し、これに化合物4.4(500 mg、2.02 mmol、1.00当量)ジクロロメタン溶液(20 mL)を入れ、続いてトリホスゲン(238 mg、0.81 mmol、0.40当量)を入れた。これに続いて、トリエチルアミン(818 mg、8.08 mmol、4.01当量)を0℃で撹拌しながら滴下により添加した。反応物を0℃で1時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮した結果、450 mg(粗材料)の化合物4.5を黄色の油として得た。
化合物4.6の合成。50 mLの三口丸底フラスコに、化合物4.5(450 mg、1.64 mmol、1.00当量)、2-[(2-アミノアセチル)オキシ]-2-メチルプロピル塩酸塩(340 mg、2.04 mmol、1.00当量)、及びジクロロメタン(20 mL)を入れた。反応物を0℃で1時間撹拌した。反応完了後、10mLの水で反応物を急冷し、10 mLのジクロロメタンで2回に分けて抽出した。有機層を真空下で結合し濃縮した結果、640 mg(96%)の化合物4.6を灰色がかった白色の固体として得た。
化合物4.7の合成。25 mLの丸底フラスコに、化合物4.6(600 mg、1.48 mmol、1.00当量)、1,4-ジオキサン(5 mL)、及び(tert-ブトキシ)-カリウム(166 mg、1.48 mmol、1.00当量)を入れた。反応物を室温で1時間撹拌し、10 mLの水の添加により急冷し、10 mLのジクロロメタンで2回に分けて抽出した。有機層を結合し、真空下で濃縮した結果、500 mg(94%)の化合物4.7を黄色の固体として得た。
化合物4.8の合成。25 mLの丸底フラスコに、化合物4.7(450 mg、1.25 mmol、1.00当量)、1-(2-ブロモエチル)-2-メトキシベンゼン(400 mg、1.86 mmol、1.50当量)、N,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)、及びK2CO3(260 mg、1.87 mmol、1.50当量)を入れた。反応物を80℃で10時間撹拌した後、5 mLの水の添加によって急冷した。結果として生じた溶液を10 mLの酢酸エチルで3回に分けて抽出し、そして有機層を結合し、真空下で濃縮した。粗生成物をエチルエーテルからの再結晶化により精製した結果、450 mg(73%)の化合物4.8を灰色がかった白色の固体として得た。
化合物4.9の合成。25 mLの丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、化合物4.8(430 mg、0.87 mmol、1.00当量)、2-(トリブチルスタンニル)-1,3-オキサゾール(470 mg、1.31 mmol、1.50当量)、トルエン(3 mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(200 mg、0.17 mmol、0.20当量)を入れた。反応物を110℃で10時間撹拌した。結果として生じた混合物を真空下で濃縮し、そして粗材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製した結果、150 mg(36%)の化合物4.9を灰色がかった白色の固体として得た。
化合物I-36の合成。10 mLの丸底フラスコに、化合物4.9(60 mg、0.12 mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(2 mL)、及びトリフルオロ酢酸(500 mg、4.42 mmol、35.50当量)を入れた。結果として生じた溶液を室温で2時間撹拌した。反応完了後、溶媒を真空内で除去した。結果として生じた粗生成物をエチルエーテルからの再結晶化により精製した結果、35.8 mg(68%)の2-(3-(2-メトキシフェネチル)-7メチル-8-(オキサゾール-2-イル)-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸、I-36を、白色の固体として得た。LCMS (ES, m/z): 426 [M+H]+1HNMR(400MHz,DMSO-d6): δ2.95-2.98(t,2H), δ3.78(s,3H), δ4.23-4.28(m,5H), δ4.44(s,2H), δ6.80-6.83(m,1H), δ6.89-6.91(m,1H), δ7.09-7.17(m,2H), δ7.60(s,1H), δ8.42(s,1H).
付加的な式Iの化合物を、上記と実質的に同等の方法で調製した。
特定の実施形態において、本発明の化合物のACC阻害剤としてのアッセイが、Harwoodら、Isozyme-nonselective N-Substituted Bipiperidylcarboxamide Acetyl-CoA Carboxylase Inhibitors Reduce Tissue Malonyl-CoA Concentrations、Inhibit Fatty Acid Synthesis、及びIncrease Fatty Acid Oxidation in Cultured Cells and in Experimental Animals、J. Biol. Chem.、2003、278巻、37099〜37111に記載の方法を含め、当技術分野において公知の方法を使用して行われる。一部の実施形態において、使用されるアッセイは、インビトロACC酵素阻害アッセイ、インビトロ細胞培養アッセイ、及び動物でのインビボ有効性アッセイから選択される。一部の実施形態において、本発明の化合物のアッセイの結果は、公知のACC阻害剤又は関連酵素について得られた結果と比較される。一部の実施形態において、比較用に使用されるACC阻害剤はCP-640186又はソラフェンAである。
本発明の化合物は、Harwoodら、2003により記述された通りのインビトロACC阻害アッセイにおいて評価され、同文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[実施例5]
インビトロアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害アッセイ
ACC1又はACC2いずれかに対する、本発明の化合物の阻害作用の決定に使用できる、インビトロACC阻害アッセイの例示的手順は以下の通りである。ADP-Glo(商標)キナーゼアッセイキット(Promega製)を使用する。ADP-Glo(商標)キナーゼアッセイは、酵素反応中に生産されるADPの量の定量化により酵素活性を測定する、発光ADP検出アッセイである。アッセイは2つの工程で行われ、まず、酵素反応の後、等量のADP-Glo(商標)試薬を添加して反応を終了させ、残存ATPを枯渇させる。第2に、キナーゼ検出試薬を添加してADPをATPへと同時に転換し、新たに合成されたATPを、ルシフェラーゼ/ルシフェリン反応を使用して測定可能にする。ATPからADPへの転換曲線を使用することにより、発光をADP濃度に相関付けることができる。詳細な手順は以下の通りである。50μLの試験される化合物(DMSO中の600 uM)を、384ウェル希釈プレートへ添加する。11のウェルについて、各列毎にDMSO中で化合物を連続的に1:3の比率で希釈する。0.5μLのACC2希釈標準溶液を、384ウェルの白色Optiplateアッセイプレートへ添加する。工程2からの各カラム中の0.5μLの希釈化合物溶液を、各列が2つの複製を含有するアッセイプレートへ添加する。最後の2列について、0.5μLの陰性対照(DMSO)を1つの列に、そして0.5μLの陽性対照(化合物I-97)を他方の列に添加する。プレートを室温で15分間インキュベートする。5μLの基質希釈標準溶液を各ウェルへ添加して、反応を開始させる。最終のACC2反応濃縮物の構成は以下の通りである: 5 nMのACC2、20μMのATP、20μMのアセチル-CoA、12 mMのNaHCO3、0.01%のBrij35、2 mMのDTT、5%のDMSO、試験化合物濃度: 30μM、10μM、3.33μM、1.11μM、0.37μM、0.123μM、0.0411μM、0.0137μM、0.00457μM、0.00152μM、及び0.00051μM。プレートを室温で60分間インキュベートする。10μLのADP glo試薬を添加する。プレートを室温で40分間インキュベートする。20μLのキナーゼ検出試薬を添加する。プレートを室温で40分間インキュベートした後、Perkin Elmer EnVision 2104プレートリーダー上で、発光を相対光単位(RLU)として読み取る。
濃度毎のデータのほか、陽性対照及び陰性対照の平均値を取得し、標準偏差を計算する。阻害率を、以下の式により計算する: 100×(平均陰性対照-化合物)/(平均陰性対照-平均陽性対照)。各化合物のIC50を、以下の非線形回帰方程式: Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope)でデータを適合させることによって計算する。式中、Xは化合物濃度の対数、Yは阻害率である。
一部の実施形態において、化合物のIC50は5〜20μMの範囲である。一部の実施形態において、化合物のIC50は5μM以下である。一部の実施形態において、化合物のIC50は1μM以下である。一部の実施形態において、化合物のIC50は0.1μM以下である。一部の実施形態において、化合物のIC50は0.01μM以下である。一部の実施形態において、化合物のIC50は0.001μM以下である。
インビトロACC2阻害アッセイの結果が、表2に記載されている。化合物番号は、表1の化合物番号に対応する。「AA」として指定される活性を有する化合物はIC50が1μM以下であり、「A」として指定される活性を有する化合物はIC50が5μM以下であり、「B」として指定される活性を有する化合物はIC50が5〜20μMの範囲であり、「C」として指定される活性を有する化合物はIC50が20〜50μMの範囲であり、「D」として指定される活性を有する化合物はIC50が50μM以上である。
[実施例6]
熱シフトアッセイ
本発明の化合物は、Vedadiら、「Chemical screening methods to identify ligands that promote protein stability、protein crystallization, and structure determination.」PNAS(2006) 103巻、43、15835〜15840に記載の方法と実質的に同等の方法を使用する熱シフトアッセイで評価され、同文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
熱シフトアッセイでは、本発明の化合物がタンパク質に効果的に結合し、タンパク質上での配座変化を引き出す結果、そのアロステリック阻害機構をもたらす能力を試験する。
[実施例7]
[14C]アセテート取込みアッセイ
本発明の化合物は、[14C]アセテート取込みアッセイで評価される。同位体標識化アセテートの脂肪酸への取込みを測定する、例示的なアッセイ手順は以下の通りである。2 mMのl-グルタミン、ペニシリンG(100ユニット/ml)、10%のFBSを伴うストレプトマイシン(100μg/ml)で補われたDMEMを含有するT-75フラスコ中にHepG2細胞を維持し、CO2濃度5%、37℃の加湿インキュベーター内で培養する。細胞を2〜3日おきに供給する。1日目、24ウェルプレートに細胞を1ウェル1 ml当たり1.2×105個の細胞の密度で、増殖培地と一緒に播種する。3日目、培地を、10%のFBSを含有する新しい培地と交換する。4日目、培地を、試験化合物を含有する新しい培地(DMSO中。最終DMSO濃度は0.5%) 0.5 mlと交換し、細胞を37℃で1時間培養する。プレートの1つのコピーへ、4μlの[2-14C]アセテート(56 mCi/mmol、1 mCi/ml、PerkinElmer)を添加し、細胞を37℃、CO2濃度5%の状態で5時間培養する。プレートの第2のコピーへ、4μlの低温アセテートを添加し、細胞を37℃、CO2濃度5%の状態で5時間培養する。このプレートを、タンパク質濃度測定に使用する。培地を除去し、15 mlの遠心分離チューブ(BD、Falcon/352096)に入れる。細胞を1 mlのPBSで洗い流した後、吸引し、洗い流しと吸引の工程を繰り返す。0.5 mlの0.1N NaOHを各ウェルへ添加し、室温で放置して細胞単分子層を溶解させる。残留細胞懸濁物を培地と一緒にプールしておく。タンパク質決定用プレートの場合、タンパク質決定向けのアリコートを除去する(25μl)。1.0 mlのEtOHと0.17 mlの50% KOHを、培地及び細胞懸濁物を含有しているチューブへ添加する。細胞を90℃で1時間培養した後、室温まで冷却する。石油エーテルをチューブに5 mlずつ添加し、激しく振り、1000 rpmで5分間遠心分離し、500μLの石油エーテル層をMicrobeta読み取り用チューブへ移した後、2 mlのAquasol-2を各チューブへ添加し、チューブを振り、Microbeta液体シンチレーション計数装置(Perkin Elmer)で計数する。
残った石油エーテル層を廃棄し、水相を脂肪酸抽出用として取っておく。水相を1 mlの濃縮HClで酸性化し、pHが1未満の状態を確保するよう、1つ又は2つの抽出物のpHをチェックする。石油エーテルをチューブに5 mlずつ添加し、激しく振り、1000 rpmで5分間遠心分離し、4 mlの石油エーテル層を新しいガラスチューブ(10×18 mm)へ移す。石油エーテルをチューブに5 mlずつ添加し、激しく振り、1000 rpmで5分間遠心分離し、5 mlの石油エーテル層をガラスチューブへ移し、抽出を再び繰り返す。石油エーテル抽出物をプールし、終夜蒸発させて乾燥させる。5日目、石油エーテル画分からの残留物を、200 ugのリノール酸を担体として含有する120μLのクロロホルム-ヘキサン(1:1)中で再懸濁させる。これのうち5μLをシリカゲルシートへ滴下し、ヘプタン-ジエチルエーテル酢酸(90:30:1)を溶離剤として使用して、プレートを現像する。脂肪酸帯域をヨウ素蒸気で可視化し、対応する帯域をシンチレーションバイアル中に切り出す。Aquasol-2を2 mlずつ、各バイアルへ添加し、バイアルを振って、シンチレーション計数装置で計数する。
[14C]アセテート取込みアッセイは、本発明の化合物が、同位体標識化アセテートの脂肪酸への取込みを阻害する能力を例証する試験である。一部の実施形態において、IC50が100 nM未満の場合に阻害が発生する。
[実施例8]
本発明の化合物は、抗真菌活性アッセイで評価される。抗真菌化合物に対する様々なカンジダ種の感受性を測定する、例示的なアッセイ手順は以下の通りである。試験される化合物(フルコナゾール及びアンフォテリシンBを含む)をDMSOに溶解させ、1 mg/mLの濃度の溶液を得る。これらのストック溶液を、0.22 umのナイロンシリンジフィルターを使用して滅菌濾過した後、滅菌水で希釈し、最終的に128 ug/mLの濃度を達成する。
全ての種を、新たに調製されたサブローデキストロース寒天(BD、Difco)へ直接植え込み、35℃の周囲大気環境で24時間培養させることにより、冷凍ストックから増殖させる。直接懸濁物を、RPMI 1640 + MOPS(Lonza、Biowhittaker)中で、滅菌食塩水に浸漬した滅菌スワブを使用して、一晩明けた培地から個別のコロニーを採取することにより、調製する。懸濁物の濃度を、既定の標準曲線を使用して決定する。次いでこれらの懸濁物をCLSIガイドライン(M27-A3、28巻14号)に従って、マイクロタイタープレートへ添加後の最終濃度2.5×103 CFU/mLに達するよう、5×103 CFU/mLにまで希釈する。
CLSIガイドライン(M27-A3、28巻14号)に従って、BrothマイクロタイターMIC抗原投与プレートを調製する。元来のCLSIガイドラインでは、48時間培養後のカンジダMICの読み取りに焦点を当てていた。わずか24時間後の読み取りでも、患者のケアについて明瞭な優位性を示すことから、QC限度はすべての薬物について、24時間経過時点で設定されている。とは言え、24時間経過時点でのアンフォテリシンBについて公知の解釈的分岐点はなく、また現在のフルコナゾールの解釈的分岐点は、48時間経過時点での読み取りが基本である。試験化合物のMIC分岐点は48時間経過時点で記録され、ソラフェン対照については24時間経過時点が追加される。MIC決定は全て、抗生物質抗原投与ウェル内で認められた増殖と、増殖対照との視覚的比較によって達成される。増殖を全く示さない(即ち完全阻害)希釈スキームで認められた最初のウェルが、MICとして記録される。
一部の実施形態において、抗真菌活性アッセイは、本発明の化合物が低いug/mL範囲の抗真菌活性MICを有することを例証するものである。
[実施例9]
本発明の化合物は、Beckersら、「Chemical Inhibition of Acetyl-CoA Carboxylase Induces Growth Arrest and Cytotoxicity Selectively in Cancer Cells」Cancer Res. (2007) 67、8180〜8187に記載のがん細胞生存率アッセイでもアッセイが行われる。阻害剤化合物投与後におけるがん細胞生存率を測定する、例示的なアッセイ手順は以下の通りである。
LNCaP(前立腺がん細胞系)細胞を6 cmの皿1枚当たり4×105の密度で載せたものを37℃で培養し、翌日、阻害剤化合物の濃度を高めながら処理し、培養する。生存細胞数と死滅細胞の割合を、初日から5日間、毎日、トリパンブルー染色を使用して計数及び計算する。
一部の実施形態において、がん細胞生存率アッセイは、本発明の化合物が細胞集団増殖を5 uMの濃度で完全に阻害する能力があることを示す。
[実施例10]
本発明の化合物は、Harwoodら、「Isozyme-nonselective N-Substituted Bipiperidylcarboxamide Acetyl-CoA Carboxylase Inhibitors Reduce Tissue Malonyl-CoA Concentrations, Inhibit Fatty Acid Synthesis, and Increase Fatty Acid Oxidation in Cultured Cells and in Experimental Animals」Journal of Biological Chemistry (2008) 278、37099〜37111に記載のインビボ脂肪酸合成試験でもアッセイが行われる。放射性[C14]アセテートのラット肝臓組織への取り込み量を測定する、例示的なアッセイ手順は以下の通りである。
餌と水を自由に与えられた動物を、0.5%のメチルセルロース(ビヒクル)を含有する水溶液か、又は0.5%のメチルセルロースに試験化合物を加えたものを含有する水溶液いずれかを使用して、(ラットの)体重200 g当たり容積1.0 mLで経口処置する。化合物投与から1〜4時間後、動物は0.5 mLの[C14]アセテート(64 uCi/mL、56 uCi/mL)の腹腔内注射を受ける。放射性標識化アセテート投与の1時間後、動物をCO2窒息により死なせ、0.75 gの肝臓片を2個除去し、1.5 mL、2.5 MのNaOH中で120分間、70℃で鹸化する。鹸化後、2.5 mLの絶対エタノールを各サンプルへ添加し、溶液を混合して一晩放置する。その後、石油エーテル(4.8 mL)を各サンプルへ添加し、混合物をまず2分間、激しく振り、次いで卓上型Sorvallに入れて5分間、1000 xgにて遠心分離する。結果として生じる、非鹸化性脂質を含有する石油エーテル層を除去し、廃棄する。残った水層を、12MのHClの添加によって2未満のpHにまで酸性化し、4.8 mLの石油エーテルで2回抽出する。プールされた有機画分を液体シンチレーションバイアルへ移し、窒素雰囲気下で乾燥させ、7 mLのAquasol液体シンチレーション液に溶解させ、そしてBeckman 6500液体シンチレーション計数装置を使用して放射能を評価する。結果は組織1ミリグラム当たり壊変毎分(DPM)として記録される。
一部の実施形態において、インビボ脂肪酸合成試験は、本発明の化合物のED50が体重1 kg当たり0.3 mg未満であることを示す。
[実施例11]
本発明の化合物は、Harwoodら、「Isozyme-nonselective N-Substituted Bipiperidylcarboxamide Acetyl-CoA Carboxylase Inhibitors Reduce Tissue Malonyl-CoA Concentrations, Inhibit Fatty Acid Synthesis, and Increase Fatty Acid Oxidation in Cultured Cells and in Experimental Animals」Journal of Biological Chemistry (2008) 278、37099〜37111に記載の呼吸商測定アッセイでもアッセイが行われる。ラットにおける二酸化炭素生産と酸素消費の比率を測定する、例示的なアッセイ手順は以下の通りである。
標準的な試験所条件下で収容したオスのSprague-Dawleyラット(350〜400 g)に、実験前に2日間にわたり給餌後に絶食させるか、又は絶食後に高スクロース給餌を与え、そしてケージから出して体重を測り、熱量計の密閉チャンバー(43"43"10 cm)に閉じ込める(1室につき1匹ずつ)。チャンバーを活性モニター内に置く。使用の都度、熱量計の較正を事前に行い、空気流量を1分当たり1.6リットルに調節し、システム設定及びサンプリング時間をそれぞれ60秒と15秒に設定する。基準となる酸素消費量、CO2生産量、及び歩行活動を、最長3時間にわたり10分おきに測定した後、処置を施す。基準データを収集した後、チャンバーを開け、ラットに0.5%のメチルセルロース水溶液(ビヒクル対照)又は試験化合物を含有する0.5%のメチルセルロース水溶液いずれかの1.0 mlの経口ボーラスを与えた後、Oxymaxチャンバーへ戻す。投与後、さらに3〜6時間にわたり、30分おきに測定を行う。給餌されるビヒクル対照を使用する目的は、ビヒクル投与によって生じる効果と、実験過程での呼吸商(RQ)測定におけるドリフト(発生した場合)の効果を評価することである。終夜絶食・ビヒクル処置対照群は、最大の潜在的RQ低減の決定に使用される。結果は絶対RQ値(±SEM)として、経時的にプロット化される。
一部の実施形態において、インビボ脂肪酸合成試験は、本発明の化合物がRQを基準値の約80〜90%まで減少させることを示し、また用量依存的なRQ減少を示す。
[実施例12]
本発明の化合物は、van Engelandら、「A novel assay to measure loss of plasma membrane asymmetry during apoptosis of adherent cells in culture」Cytometry (1996) 24 (2)、131〜139に記載の手順に基づく、ヨウ化プロピジウム(PI)細胞死アッセイでもアッセイが行われる。薬物適用後における無傷の有糸分裂細胞数を測定する、例示的なアッセイ手順は以下の通りである。
肝細胞癌細胞(HepG2又はHep3Bなど)を、0.5 mlの培地中で1.106/mlの密度にて24ウェルプレートに播種し、3時間培養して細胞を付着させる。実験化合物、即ち1 uMのドキソルビシン(1,2)又はビヒクル(DMSO)対照を使用して、処置後120時間にわたり細胞を処理する。a)まず、培養物上澄みを2 mLのポリプロピレンチューブへ取り出し、氷の上に載せる。b)ウェルを0.5mLのPBSで洗浄し、洗浄分を、培養物上澄み(浮遊細胞)を含有する2 mLのチューブへ移す。細胞を氷の上で保持する。ウェルに200μLのアキュターゼを5分間添加することにより、採取する。300 μLの培地で不活性化する。ピペットを使用してトリプシン化細胞を上下させて混合し、そして浮遊細胞(総体積: 1.5 mL)を含有する2 mLのチューブへウェルから移す。細胞を氷の上で保持する。細胞を0.6 rcfで10分間、角度4度で回転させる。培地を吸引する。500μLの培地を、約15秒間のパルスでボルテックスすることにより、再懸濁する。細胞を氷の上で保持する。
細胞計数向けに、20μLの細胞を、15秒間のパルスでボルテックス処理後のプレートに添加する。プレートを氷の上で保持する。次いで20μLのトリパンブルーを計測直前に添加する。TC10 biorad細胞計数装置で細胞を計数する。細胞を0.6 rcfで10分間、角度4度で回転させる。培地を慎重に吸引する。500μLのアネキシン結合緩衝剤1X中で、ボルテックス処理により再懸濁する。細胞懸濁物を5 mlのFACSチューブ内に移し、次いで5ulのヨウ化プロピジウムを添加する。細胞を穏やかに混合し、暗所にて室温で15分間培養する。
フローサイトメトリー分析向けに、未染色/未処理のサンプルを、各時点で陰性対照として使用し、ドキソルビシン処理サンプルを、各時点で陽性対照として使用する。FACScanフローサイトメーターを使用し、FL2-AヒストグラムをFlowJoというソフトウェアで分析する。
[実施例13]
本発明の化合物は、高脂肪食誘発性肥満症(DIO)研究においてもアッセイが行われる。代表的なアッセイプロトコールは以下の通りである。
本発明の化合物は、抗肥満剤、インスリン感作剤、高インスリン血症克服剤、及び肝臓脂肪症克服剤として、臨床用途に適応させやすい。そのような活性は、哺乳類における、試験化合物を含有しない対照ビヒクルと比較した、体重及び体脂肪率を低減する試験化合物量、血漿インスリンレベルを低減する試験化合物量、経口グルコースチャレンジへの応答としての血漿インスリンレベル及びグルコースレベルの上昇を鈍化する及び/又は低減を加速する試験化合物量、及び肝臓脂質含有量を低減する試験化合物量を評価によって決定される。Sprague Dawleyラットに高スクロース食(例えば、AIN76A齧歯動物食、Research diets Inc.カタログ番号10001)又は高脂肪食(例えば、Research diets Inc.カタログ番号12451)のいずれかを、3〜8週間にわたり、試験化合物投与前と投与中に給餌する。
本発明の化合物による抗肥満、インスリン感作、高インスリン血症克服、及び肝臓脂肪症克服の潜在性は、脂質及び炭水化物代謝に関する多様なパラメーターの修正について、当業者にとって公知の標準的な手順に基づく方法を使用して評価することによって実証される。例えば、高脂肪食又は高スクロース食を自由に摂食できる3〜8週間の期間後、摂食を継続する動物は、Q.D.、B.I.D、又はT.I.D.投薬計画を用いて水若しくは生理食塩水又は0.5%のメチルセルロースを含有する水若しくは生理食塩水での経口強制飼養により、試験化合物投与での処置を1〜8週間にわたって施される。研究途中の様々な時点で、また(CO2窒息による)屠殺の時点で、麻酔を掛けられていないラットの尾静脈から又は屠殺時の動物の大静脈から、血漿を調製するための遠心分離用向けのヘパリン又はEDTAを含有するチューブに採血する。抗肥満、インスリン感作、高インスリン血症克服及び肝臓脂肪症克服と一致して変化することになる、当業者にとって公知の脂質及び炭水化物代謝のパラメーターの血漿レベルは、これに限定されないが、コレステロール及びトリグリセリド、グルコース、インスリン、レプチン、アディポネクチン、ケトン体、遊離脂肪酸及びグリセロールを含み、当業者にとって公知の方法を用いて測定される。
本発明の化合物の抗肥満潜在性は、体重減少、体脂肪率低減(例えば二重エネルギーX線吸収(DEXA)分析によって測定)、及び血漿レプチンレベル低減を生み出す潜在性の評価によっても実証することができる。本発明の化合物の抗肥満及び肝臓脂肪症克服の潜在性は、当業者にとって公知の抽出手順や定量化手順を用いて肝臓中のトリグリセリド濃度を低減する潜在性を評価によっても実証することができる。本発明の化合物のインスリン感作及び高インスリン血症克服の潜在性は、経口グルコースチャレンジへの応答としての血漿インスリンレベル及びグルコースレベルの上昇鈍化及び/又は低減加速の潜在性を、当業者にとって公知の手順を用いての評価によっても実証することができる。
本発明の化合物による抗肥満、インスリン感作、高インスリン血症克服、及び肝臓脂肪症克服の潜在性のアッセイは、本発明の化合物を1日1回、0.5%のメチルセルロースを含有する生理食塩水での経口強制飼養により0、3、10及び30 mg/kgの用量で、Sprague Dawleyラットに投与することによって行われ、該ラットは、投与開始前の4週間にわたり高脂肪食を既に消費し、同じ高脂肪食を試験化合物投与の2週間にわたり消費し続ける。一部の実施形態において、本発明の化合物は、ビヒクル処置対照動物と比較して総体重の用量依存的減少を生じさせ、食料消費量の付随的低減はなかった。血漿薬物レベルと並行する体重減少の度合いを、研究の終盤で測定する。全身脂肪質量の指標であり、高脂肪食の投与によって上昇する血漿レプチンレベルは、本発明の化合物によって低減される。標準食を与えられた動物(痩せ型対照)の血漿レプチンレベルも、本発明の化合物によって生じるパラメーター正常化の度合いを決定する目的で評価される。血漿インスリンレベルは、高脂肪食によって上昇するが、本発明の化合物によって痩せ型対照のレベル近くにまで低減され、付随する血漿グルコースレベルの低減はなく、これは処置後におけるインスリン感受性の改善を示す。肝臓トリグリセリドは、高脂肪食によって増大するが、本発明の化合物の投与後に用量依存的な形で低減され、また一部の実施形態では評価される最大用量により、痩せ型対照レベルまでに正常化される。一部の実施形態において、本発明の化合物での処置は、肝臓重量又は肝機能のマーカー、ALT及びASTを増加させない。
本発明の実施形態を多数記述してきたが、明らかに、我々の基本的実施例は、本発明の化合物及び方法を利用する他の実施形態を提供するよう変更され得る。したがって、本発明の範囲は、実施例の手段によって表わされる特定の実施形態ではなく、添付の請求項によって定義されるべきであることが理解されることになる。