JP2016525610A - 高耐熱性で高透明性のポリカーボネートエステル、ならびにその調製法 - Google Patents

高耐熱性で高透明性のポリカーボネートエステル、ならびにその調製法 Download PDF

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Abstract

本発明は、(i)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートとの縮合反応から得られる繰り返し単位1、および(ii)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの縮合反応から得られる繰り返し単位2を含む、バイオポリカーボネートエステル、ならびに以下の工程:(1)式3で示される化合物を、式2で示される化合物およびフェノールのエステル交換またはエステル化反応を介して調製すること、ならびに(2)式1で示される繰り返し単位を含む化合物を、工程(1)で調製した式3で示される化合物、式4で示される化合物および1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールのポリカーボネート溶融重縮合反応を介して調製することを含む、バイオポリカーボネートエステルの調製法に関する。本発明によるバイオポリカーボネートエステルは、各繰り返し単位から得られる物理特性の利点および欠点をコントロールでき、高い耐熱性および高い透明性を有し、したがって様々な用途に効果的に使用できる。

Description

発明の分野
本発明は、高い耐熱性および透明性を有するポリカーボネートエステル、ならびにその調製法に関する。より具体的には、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートまたは1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの反応から得られる、繰り返し単位を有するバイオマスポリカーボネートエステルに関する。
発明の背景
石油化学産業に基づく従来の資源とは異なり、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、バイオマス由来のバイオ材料、即ち、その成分として多糖を含有する再生可能資源、例えばトウモロコシ、小麦、砂糖などである。特に、バイオ材料を含有するバイオプラスチックの場合、バイオプラスチックの使用後の廃棄物処理プロセス中に生成される二酸化炭素(CO2)を、バイオマスの増殖に再利用できるので、バイオプラスチックは、深刻な世界的問題である、地球温暖化を防ぐための二酸化炭素削減材料として注目されてきた。
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、3種の異なる形態の立体異性体で存在し、これは、そこに存在する2つのヒドロキシル基の相対的配置の違いに応じて、異なる化学的特性を有する:イソマンニド(以下式aに示す通り、融点:81〜85℃)、イソソルビド(以下式bに示す通り、融点:61〜62℃)およびイソイジド(以下式cに示す通り、融点:64℃)。特に、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールが、代表的なエンジニアリングプラスチックの1つであるポリカーボネートのモノマー材料として用いられる場合、このようにして調製したポリカーボネートは、バイオプラスチックの利点と共に、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの分子構造特性、即ち、硬質性および飽和ヘテロ環構造により、良好な熱および光学特性を有し得る。
Figure 2016525610
1,4−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート(以下、DMCDと称する)、またはDMCDの加水分解生成物である、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、CHDAと称する)は、分子中心にシクロヘキサン環構造を有する。したがって、これらの材料が、ポリマー鎖に導入される場合、ポリマーの耐候性および紫外線安定性が向上し、また、ポリマーが、分子構造における柔軟性と硬度とのその独特の組合せにより、優れた材料特性、例えば光沢保持、耐黄変性、加水分解安定性、耐食性および耐化学性を有することを可能にする。
DMCD/CHDMホモポリエステルである、ポリ(1,4−シクロヘキシリデン1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(以下、PCCDと称する)は、DMCDを用いて開発された市販のポリマー材料の一例である。その優れた特性、例えば耐候性、耐化学性、流動性および低屈折率により、PCCDは、ポリカーボネートの透明性を向上させるため、DuPont(USA)によるポリカーボネート/PCCD合金(製品名:Xyrex)の開発に用いられた。
ポリカーボネートの商業的生産方法は、溶液重合と溶融重縮合の2つの方法に分けることができる。ホスゲンがカーボネートの原料として用いられる溶液重合法とは異なり、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと称する)が、溶融重縮合法では用いられる。したがって、従来の溶融重縮合法で用いられる原料としては、DPC、およびジオールであるビスフェノールA(以下、BPAと称する)が一般的に挙げられ、BPAとDPCとのエステル交換反応により、溶融重縮合の副産物としてフェノールが生成される。
一方で、DMCDまたはCHDAをポリカーボネート溶融重縮合で使用するために、DMCDまたはCHDA中に存在する官能基を別の官能基に変換する必要があり、これにより、ジオールとのエステル交換反応を介して副産物としてフェノールが生成されてもよい。例えば、DMCDのジメチルエステルまたはCHDAのジカルボン酸を、ジフェニルエステルに変換する必要がある。したがって、ポリカーボネート溶融重縮合で使用できるDMCDまたはCHDAのジフェニルエステル誘導体の例は、1,4−ジフェニルシクロヘキサンジカルボキシレート(以下、DPCDと称する)であり、これは、以下の反応スキーム1:
Figure 2016525610
に示されるように、DMCDまたはCHDAとフェノールとの反応により合成される。
一般に、1,4−ジメチルテレフタレート(第3級ジメチルエステル)およびテレフタル酸(二酸)の場合、それらの官能基のいずれか1つ、即ち、酸およびアルコールの1つが、活性化されていない場合、反応はそれらの間で起こらない。しかし、DMCD(第2級ジメチルエステル)およびCHDA(二酸)の場合、それらは、溶融状態でフェノールと反応できるので、DPCD合成を行いやすい。
本発明は、ポリマー鎖にエステル結合を形成するための材料として用いられるDPCDを使用し、イソソルビドポリカーボネートエステル(またはポリエステルカーボネート)を提供する。このようにして得られたポリカーボネートエステルは、高い耐熱性および透明性を有する新規のバイオプラスチックであり、その特性および成形加工性は、DPCD含有量を変えることにより、その必要性に従って調節できる。本発明によるバイオポリカーボネートエステルは、US2011/0003101A1に開示されている従来のバイオプラスチックと比較すると、同レベルの耐熱性を示すことができ、さらに少量のイソソルビドを含み、したがって生産コストの点で相対的利点を有する。
したがって、本発明の目的は、高重合度による高い耐熱性および透明性、ならびに良好な機械的特性を有し、環境ホルモンの原因となるBPAなしで硬質ポリマーの繰り返し単位を含み、様々な用途、例えば自動車、光学レンズおよびフィルム、哺乳瓶、食品容器などのガラスの代替に有用である、バイオポリカーボネートエステルを提供することである。さらに、本発明の別の目的は、バイオポリカーボネートエステルの調製法を提供することである。
本発明の1つの側面によれば、(i)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートとの縮合反応から得られる繰り返し単位1、および(ii)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの縮合反応から得られる繰り返し単位2を含む、バイオポリカーボネートエステルが提供される。
本発明の別の側面によれば、以下の工程:
(1)式2の化合物およびフェノールをエステル交換またはエステル化反応にかけて、式3の化合物を得ること、および
(2)工程(1)で得られた式3の化合物、式4の化合物および1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールをポリカーボネート溶融重縮合反応にかけて、式1:
Figure 2016525610
(式中、式1において、xは0<x<1を満たし、
式2において、Rは、メチルまたは水素であり、
式4において、R1およびR2は、各々独立に、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族基または6〜20個の炭素原子を有する芳香族基であり、これらは任意の置換基を有していてもよい)
の繰り返し単位を含む化合物を調製すること
を含む、バイオポリカーボネートエステルを製造する方法が提供される。
本発明によるバイオポリカーボネートエステルは、高い耐熱性および透明性を示し、(i)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートとの縮合反応から得られる繰り返し単位1、および(ii)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの縮合反応から得られる繰り返し単位2に由来する特性が、それらの含有量を調節することによりコントロールできる利点を有する。したがって、本発明のバイオポリカーボネートエステルは、様々な用途、例えば自動車、光学レンズおよびフィルム、哺乳瓶、食品容器などのガラスの代替に有用であり得る。
本発明の上記および他の目的、特徴および他の利点は、添付の図面と組み合わせて、以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
図1は、DPCの含有比に応じた、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の変化を示すグラフである。 図2は、例1で調製したバイオポリカーボネートエステルの1H NMRスペクトルである。 図3は、例1で調製したバイオポリカーボネートエステルのIRスペクトルである。
発明の詳細な説明
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によるバイオポリカーボネートは、(i)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートとの縮合反応から得られる繰り返し単位1、および(ii)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの縮合反応から得られる繰り返し単位2を含み、以下の式1:
Figure 2016525610
(式中、xは0<x<1を満たす)
の繰り返し単位を含んでいてもよい。
上記の式1の繰り返し単位において、シス/トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の比は、1/99%〜99/1%、好ましくは20/80%〜80/20%、より好ましくは30/70%〜70/30%であってよい。
トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の含有量が増加すると、耐熱性は、ガラス転移温度(Tg)の上昇により向上するが、透明性は相対的に低下する。対照的に、トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の含有量が減少すると、透明性は向上するが、Tgの低下により耐熱性が低下する。したがって、シス/トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の比を、適切な範囲内、好ましくは20/80%〜80/20%、より好ましくは30/70%〜70/30%で制御してもよく、それにより所望の耐熱性および透明性を得ることができる。
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、イソマンニド、イソソルビドまたはイソイジド、好ましくはイソソルビドであってよい。
本発明によるバイオポリカーボネートエステルは、以下の工程:
(1)式2の化合物およびフェノールをエステル交換またはエステル化反応にかけて、式3の化合物を得ること、および
(2)工程(1)で得られた式3の化合物、式4の化合物および1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールをポリカーボネート溶融重縮合反応にかけて、式1:
Figure 2016525610
(式中、式1において、xは0<x<1を満たし、
式2において、Rは、メチルまたは水素であり、
式4において、R1およびR2は、各々独立に、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族基または6〜20個の炭素原子を有する芳香族基であり、これらは任意の置換基を有していてもよい)
の繰り返し単位を含む化合物を調製すること
を含む、調製法により得てもよい。
1およびR2の定義において、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族基の例としては、C1〜18アルキル、C2〜18アルケニル、C2〜18アルキニル、C3〜18シクロアルキルなどがあり、6〜20個の炭素原子を有する芳香族基の例としては、C6〜20アリールなどがある。R1およびR2は、各々独立に、N、SおよびO原子からなる群から選択される、1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい。R1およびR2は、各々独立に、1個以上の置換基を有していてもよい。R1およびR2の置換基は、各々独立に、C1〜10アルキルまたはC6〜10アリールであってよく、これはN、SおよびO原子からなる群から選択される、1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい。
工程(1)において、式3の化合物、即ち、1,4−ジフェニルシクロヘキサンジカルボキシレートは、式2の化合物およびフェノールをエステル交換またはエステル化反応にかけることにより得られる。
具体的には、DMCDのジメチルエステル[Rがメチルである、式2の化合物]またはCHDAのジカルボン酸[RがHである、式2の化合物]が、上記の工程(1)を介してジフェニルエステルに変換され、それにより、ジオールと反応し得る1,4−ジフェニルシクロヘキサンジカルボキシレートが形成され、次の工程(2)においてエステル交換反応を介して副産物としてフェノールが生成される。
DMCDおよびCHDAの場合、これらの化合物は、溶融状態でフェノールと反応できるため、DPCDを製造しやすい。
式2の化合物に加えて、第1級、第2級、第3級ジカルボキシレートまたはジカルボン酸を含む様々な化合物も、所望の特性に応じて、本発明のポリマー鎖にエステル結合を形成するための出発材料として、一緒に使用してもよい。このような化合物を、フェノールとの反応によりジフェニルエステルに変換し、次いで、式3の化合物と共にポリカーボネート溶融重縮合で使用してもよい。
この場合、式3の化合物以外のジフェニルエステル化合物の使用量がzであるとき、式3の化合物の量は、1−zである。そのようなものとして、zは0≦z<1を満たす。
式3の化合物以外のジフェニルエステル化合物は、1種類または2種類以上の混合物であってよい。
本発明のバイオポリカーボネートエステルに高い耐熱性および透明性、ならびに向上した耐候性および紫外線安定性を与えるために、式2の化合物以外のジフェニルエステル化合物は、その分子中心に単一または縮合飽和ホモ環またはヘテロ環を有するジカルボキシレートまたはジカルボン酸、例えば、ジカルボキシレート、例えばテトラヒドロ−2,5−ジメチルフランジカルボキシレート、1,2−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート、1,3−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,4−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,5−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,7−ジメチルナフタレンジカルボキシレートなど;およびジカルボン酸、例えばテトラヒドロ−2,5−フランジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロ−2,4−ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロ−2,5−ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロ−2,7−ナフタレンジカルボン酸などからなる群から選択される、少なくとも1つのジカルボキシレートまたはジカルボン酸化合物であってよい。このような化合物としては、好ましくは、デカヒドロ−2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートまたはデカヒドロ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびバイオ材料から得られる化合物、テトラヒドロ−2,5−ジメチルフランジカルボキシレートまたはテトラヒドロ−2,5−フランジカルボン酸がある。
フェニルエステル置換反応は、常圧下で150〜250℃、または0.1〜10bar、好ましくは0.5〜5barの昇圧下で150〜300℃で行われてもよい。反応時間は、5分〜48時間、好ましくは10分〜24時間であってよい。
フェノールは、式2の化合物の総モル数の2〜50倍、好ましくは4〜20倍の量、即ち、式2の化合物のすべてのメチルエステル(Rはメチルである)またはカルボン酸(RはHである)のエステル化で必要とされるフェノールの化学量論量の2〜50倍、好ましくは4〜20倍で用いられてもよい。フェノールの量が前記範囲内でない場合、式3の化合物の最終的な収率は減少し得る。
工程(2)において、工程(1)で得られた式3の化合物、式4の化合物および1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールを、ポリカーボネート溶融重縮合にかけて、式1の繰り返し単位を含む化合物を得る。
工程(2)において、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと式4の化合物との反応により、カーボネート結合(繰り返し単位1)が形成され、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと式3の化合物との反応により、エステル結合(繰り返し単位2)が形成される。これらの結合を含有する繰り返し単位は、上記の式1で示される。
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの量が1であり、式3の化合物の量がxである場合、式4の化合物の使用量は、以下の反応スキーム2
Figure 2016525610
で示されるように、1−xとして定めることができる。
例えば、溶融重縮合がイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール)およびジフェニルカーボネート(式4の化合物)を用いて行われ、それゆえ、式3の化合物の量が0である場合、イソソルビドホモポリカーボネート(Tg160℃)が生成される。式3の化合物の量が増加すると、ポリマー鎖のエステル結合の量も増加する。式3の化合物の量が1になる場合、溶融重縮合は、イソソルビドと式3の化合物との間でのみ起こり、それにより、ホモポリエステル(Tg130℃;Macromolecules、2013、46、2930)が生成される。図1は、DPCの量に応じたポリマーのTgの変化を示している。
結論として、ポリマー鎖のカーボネートとエステル結合との比は、式3の化合物の追加量に応じて変化する。カーボネートおよびエステル結合が、ポリマー鎖に同時に存在する場合、本発明のポリカーボネートエステルは、US2011/0003101A1に開示されているイソソルビドと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの間で形成されたコポリマーポリカーボネートと比較してより高い耐熱性を有するが、同量のイソソルビドを含んでいる。ポリカーボネートは、ポリエステルと比較したとき、高い耐熱性および良好な機械的特性を一般的に示すが、相対的に低い耐化学性、残留応力および短い成形サイクルタイムを有する。しかし、一本鎖にカーボネートとエステル結合の両方を含むポリカーボネートエステルは、各結合タイプの欠点を一掃し、またいくつかの利点をもたらす。
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、イソマンニド、イソソルビドまたはイソイジド、好ましくはイソソルビドであってよい。
一方、バイオポリカーボネートエステルの高い耐熱性および透明性、ならびに優れた機械的特性のために高重合度を得るのに、溶融重縮合で用いられる1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの高純度を維持することは非常に重要である。
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、粉末、フレークの形態でまたは水溶液で用いられてもよい。しかし、空気への過剰な曝露は、酸化および変色を引き起こす恐れがあり、最終ポリマーの色および分子量が満足のいくものにならない可能性がある。したがって、空気への曝露時間は最小限に抑えられなければならず、曝露後、化合物は、脱酸剤、例えば酸素吸収剤と共に保管されなければならない。特に、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの複数工程の調製法で得られた不純物を除去することは非常に重要である。蒸留による1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの精製中、最初の分離で除去され得る微量の酸を含有する液体成分、および残渣分離で除去されるアルカリ金属成分を除去する必要がある。これらの2つの不純物は各々、10ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは3ppm以下で保持されるべきである。
式4の化合物の例は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートおよび置換ジフェニルカーボネート(例えば、ジトリルカーボネート)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物であってよい。ポリカーボネート溶融重縮合反応が、減圧条件下で行われるため、ジフェニルカーボネートおよび置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
上記の工程(2)において、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールに加えて、いずれの種類のジオール化合物も制限なく使用してもよい。第1級、第2級または第3級ジオール化合物を含む様々な化合物を1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと組み合わせて使用してもよい。この場合、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール以外のジオール化合物の使用量がyで示されるとき、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの追加量は1−yである。
特に、石油化学系ジオール化合物が用いられる場合、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールに由来するポリマーに含有される最終バイオベース含有量(ASTM−D6866)は、少なくとも1%であってよく、そこで、yは0≦y<0.99を満たす。言い換えれば、追加のジオール化合物を、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール100mol%に対して99mol%未満の量で使用してもよい。
この工程において、その分子中心に単一または縮合飽和ホモ環またはヘテロ環を有するジオール化合物を使用し、ポリカーボネートエステルに高い耐熱性および透明性、ならびに向上した耐候性および紫外線安定性を与えることが好ましい。一般に、環の大きさが大きく、ヒドロキシル基が、対称構造であるとき、耐熱性は上昇する。しかし、光学特性は、環の大きさおよびヒドロキシル基の位置に依存するのではなく、むしろ各材料の特性に従って変化する。環の大きさが大きくなると、化合物を商業的生産および利用のために使用するのが難しくなる。ジオールは、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、およびバイオ材料から得られる、テトラヒドロ−2,5−フランジメタノールからなる群から選択されてよい。好ましいジオールは、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンおよびテトラヒドロ−2,5−フランジメタノールである。
式3の化合物のシス/トランス比は、1/99%〜99/1%、好ましくは10/90%〜90/10%、より好ましくは20/80%〜80/20%であってよい。さらに、式1の繰り返し単位のシクロヘキサンジカルボキシレートのシス/トランス比は、1/99%〜99/1%、好ましくは20/80%〜80/20%、より好ましくは30/70%〜70/30%であってよい。
トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の含有量が増加すると、耐熱性は、Tgの上昇により向上するが、透明性は相対的に低下する。対照的に、トランス含有量が減少すると、透明性は向上するが、耐熱性は、Tgの低下により低下する。したがって、シス/トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の比を、20/80%〜80/20%、より好ましくは30/70%〜70/30%内で好ましくは制御することにより、所望の耐熱性および透明性を得ることができる。
工程(2)の溶融重縮合において、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの使用量が1であるとき、式3および式4の化合物の総量は、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの量の0.7〜1.3倍、好ましくは0.9〜1.1倍、より好ましくは0.95〜1.05倍であってよい。溶融重縮合反応の温度は、0.1〜10℃/分、好ましくは0.2〜5℃/分、より好ましくは0.5〜2℃/分の速度で上昇させてもよい。反応温度は、120〜320℃、好ましくは150〜290℃、より好ましくは180〜270℃であってよく、反応時間は、1〜10時間、好ましくは3〜8時間であってよい。
一方、溶融重縮合中に副産物として生成されるフェノールを、反応器外で蒸留し、反応平衡をポリカーボネートエステルに移動させなくてはならない。特に、温度上昇速度が、前記の範囲を超える場合、フェノールは、原料と共に蒸発または昇華させてもよい。バイオポリカーボネートエステルを、バッチまたは連続法により調製してもよい。
本発明によるバイオポリカーボネートエステルを製造する方法では、溶融重縮合反応の反応性を高めるために触媒がさらに用いられてもよい。ポリカーボネート溶融重縮合で汎用される従来のいずれのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属触媒も、このような触媒として用いられてもよい。触媒は、塩基性アンモニウムもしくはアミン、塩基性リンまたは塩基性ホウ素化合物と組み合わせて用いられてもよい。しかし、触媒を単独で使用することが好ましい。アルカリ金属触媒の例としては、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、LiOAc、NaOAc、KOAc、CsOAcなどを挙げることができ、アルカリ土類金属触媒の例としては、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Mg(OH)2、Sr(OH)2、CaCO3、BaCO3、MgCO3、SrCO3、Ca(OAc)2、Ba(OAc)2、Mg(OAc)2、Sr(OAc)2などを挙げることができる。これらのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属触媒は、単独で、または2つ以上を組み合わせて用いられてもよい。
触媒は、溶融重縮合反応で使用するジオール(1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールおよび追加のジオール)の総量のモル当たり、0.1〜30μmol、好ましくは0.5〜25μmol、より好ましくは0.5〜20μmolの量で用いられてもよい。触媒は、溶融重縮合反応の進行に関わらず、いつでも使用してよいが、溶融重縮合反応の開始前に触媒を導入することが好ましい。触媒の使用量が、ジオールの総量のモル当たり0.1μmol未満であるとき、目標の重合度を得るのは難しい。触媒の量が30μmolを超える場合、副反応の原因となり、したがって目標特性の劣化、例えば透明性の低下などに直接影響を及ぼす。
さらに、本発明によるバイオポリカーボネートエステルを製造する方法において、溶融重縮合反応が、重合度の上昇により高い粘度を有する溶融状態で行われるため、副産物を溶融状態から迅速に移動させる必要がある。また、温度上昇および圧力低下は徐々に起こり、重合反応速度を促進させる。
原料を導入した後、反応の第1部は、130〜250℃、好ましくは140〜240℃、より好ましくは150〜230℃の温度で、0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間行われてもよい。圧力を前記温度範囲で減圧させるとき、減圧条件は、5〜700Torr、好ましくは10〜600Torrであってよい。
反応の第2部は、210〜290℃、好ましくは220〜280℃、より好ましくは230〜270℃の温度で、0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間行われてもよい。圧力を前記温度範囲で減圧させるとき、減圧条件は、20Torr以下、好ましくは10Torr以下であってよい。
さらに、本発明によるバイオポリカーボネートエステルを製造する方法は、必要な場合、様々な添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば、使用できる添加剤としては、抗酸化剤、熱安定剤、例えばヒンダードフェノール、ハイドロキノン、ホスファイト、およびそれらの置換化合物;紫外線吸収剤、例えばレゾルシノール、サリチレートなど;着色防止剤、例えばホスファイト、ハイドロホスファイトなど;ならびに潤滑剤、例えばモンタン酸、ステアリルアルコールなどを挙げることができる。また、染料および顔料が着色剤として用いられてもよく、カーボンブラックが導電剤、着色料または核生成剤として用いられてもよく、また、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤などが用いられてもよい。そのようなものとして、上記の添加剤が、ポリマーの最終特性、特に透明性に悪影響を及ぼさない量で含まれていてもよい。
本発明によるポリカーボネートエステルを製造する方法により調製した式1の繰り返し単位を含むバイオポリカーボネートエステルは、0.3〜2.0dL/gの最終の固有粘度(以下、IVと称する)を有していてよい。
以下で、本発明を以下の実施例により、より詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、例示目的のみに提供されるのであり、本発明を限定するものではない。
調製例1:CHDAを用いることによるDPCDの合成
95/5%のシス/トランス比のCHDA(SK Chemicals)100g(0.58mol)、フェノール218g(2.32mol)、Zn(OAc)2触媒0.1g(0.55mmol)および磁気撹拌棒を500mLの一首フラスコに導入した。蒸留ヘッド、温度計および冷却コンデンサーをフラスコに装備し、フラスコを200℃まで加熱した。反応を同じ温度で24時間行い、反応の副産物として生成された水をフラスコから排出した。反応の終了時、このようにして得られた反応物を室温まで冷却し、過剰導入されたフェノールを、蒸発器を用いてそこから除去した。このようにして得られた固体化合物を、過剰な水と共に加え、機械的に撹拌し、残留フェノールを除去した。90℃で24時間真空乾燥した後、DPCD111gを得た(収率:59%)。シス/トランス比は、前記反応条件下でのフェノールとの反応の結果として55/45%に変化した。シス含有量は減少した一方で、トランス含有量は増加した。
調製例2:DMCDを用いたDPCDの合成
77/23%のシス/トランス比のDMCD(SK Chemicals)100g(0.50mol)、フェノール188g(2.00mol)、水100mLおよびp−トルエンスルホン酸触媒1.0g(5.81mmol)を磁気撹拌棒と共に500mLの一首フラスコに導入した。フラスコに冷却コンデンサーを装備し、100℃まで加熱し、10時間撹拌しながら還流した。反応の終了時、このようにして得られた反応物を室温まで冷却し、次いで水およびフェノールを蒸留によりそこから除去した。その後、残りの反応物を200℃まで加熱し、反応を同じ温度で24時間行い、次いで反応の副産物として生成された水を排出した。反応終了時、このようにして得られた反応物を室温まで冷却し、過剰に導入されたフェノールを、蒸発器を用いてそこから除去した。このようにして得られた固体化合物を過剰な水と共に加え、機械的に撹拌し、残留フェノールを除去した。90℃で24時間真空乾燥した後、DPCD86gを得た(収率:53%)。シス/トランス比は、前記反応条件下でのフェノールとの反応の結果として52/48%に変化した。シス含有量は減少した一方で、トランス含有量は増加した。
例1:バイオポリカーボネートエステルの調製
蒸留ヘッド、温度計、冷却コンデンサーおよび機械的撹拌機を500mLの三首フラスコに装備した。イソソルビド(Roquette Freres)102.3g(0.7mol)、調製例1で得られたDPCD97.3g(0.3mol)、DPC(Aldrich)85.7g(0.4mol)および触媒としてセシウムカーボネート(Cs2CO3)5.9×10-4g(1.8×10-3mmol)をフラスコに加え、フラスコを150℃まで加熱した。温度が150℃に達したら、圧力を400Torrまで減圧し、温度を1時間かけて190℃まで上昇させた。温度上昇中、フェノールが重合反応の副産物として形成し始めた。温度が190℃に達したら、圧力を100Torrまで減圧し、20分間維持し、次いで温度を20分かけて230℃まで上昇させた。温度が230℃に達したら、圧力を10Torrまで減圧し、次いで温度を10分かけて250℃まで上昇させた。圧力を250℃で1Torr以下まで減圧し、所望の撹拌トルクに達するまで反応を続けた。撹拌トルクが所望の値に達したら、反応を終了し、温度を室温まで冷却させた。最終生成物として得られたポリマー鎖のシクロヘキサンジカルボキシレート単位のシス/トランス比は、40/60%に変化した。その出発材料DPCDと比較して、シス含有量は減少した一方で、トランス含有量は増加した。このようにして調製したバイオポリカーボネートエステルは、Tg143℃およびIV0.48dL/gを有していた。最終生成物の1H NMRおよびIRスペクトルを図2および3に示す。
比較例1:CHDMを用いたバイオポリカーボネートエステルの調製
バイオポリカーボネートエステルを、DPCDおよびDPCと共にCHDM(SK Chemicals)10.1g(0.07mol)、ならびにイソソルビド(Roquette Freres)92.1g(0.63mol)を用いる以外、例1と同じ手順を用いて調製した。最終生成物としてこのようにして得られたポリマー鎖のシクロヘキサンジカルボキシレート単位のシス/トランス比は、38/62%に変化した。このようにして調製したバイオポリカーボネートエステルは、Tg129℃およびIV0.51dL/gを有していた。
比較例2:イソソルビドホモポリカーボネートの調製
イソソルビドホモポリカーボネートを、DPCDを用いず、DPC(Aldrich)150.0g(0.7mol)を用いる以外、例1と同じ手順を用いて調製した。このようにして得られたイソソルビドホモポリカーボネートは、Tg160℃およびIV0.49dL/gを有していた。
比較例3:イソソルビド/DPCDホモポリエステルの調製
バイオイソソルビド/DPCDポリエステルを、DPCを用いず、DPCD227.1g(0.7mol)を用いる以外、例1と同じ手順を用いて調製した。最終生成物としてこのようにして得られたポリマー鎖のシクロヘキサンジカルボキシレート単位のシス/トランス比は、36/64%に変化した。このようにして調製したバイオポリカーボネートエステルは、Tg130℃およびIV0.46dL/gを有していた。
比較例4:DDDA共重合イソソルビドポリカーボネートエステルの調製
DDDA共重合イソソルビドポリカーボネートエステルを、DPCDの代わりにドデカン二酸(以下、DDDAと称する、Aldrich)32.2g(0.14mol)およびDPC(Aldrich)120.0g(0.56mol)を用いる以外、例1と同じ手順を用いて調製した。DDDA共重合イソソルビドポリカーボネートエステルは、Tg121℃およびIV0.34dL/gを有していた。
比較例5:高いシス含有量を有するバイオポリカーボネートエステルの調製
バイオポリカーボネートエステルを、90/10%のシス/トランス比を有するDPCD97.3g(0.3mol)を用いる以外、例1と同じ手順を用いて調製した。最終生成物としてこのようにして得られたポリマー鎖のシクロヘキサンジカルボキシレート単位のシス/トランス比は、85/15%に変化した。このようにして調製したバイオポリカーボネートエステルは、Tg113℃およびIV0.37dL/gを有していた。
<光透過率測定>
可視域における例1および比較例1〜5で得られた共重合試料から調製したシートの光透過率を、200〜800nmの範囲でUV−VISスペクトロメーターを用いて測定した。
例1および比較例1〜5で得られたポリマー試料の含有比および特性試験の結果を以下の表1に示す。
Figure 2016525610
上記の表1に示すように、バイオポリカーボネートエステルを、本発明の方法に従って調製した式3の1,4−ジフェニルシクロヘキサンジカルボキシレートから調製したとき、バイオポリカーボネートエステルは、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから調製した従来のバイオポリカーボネートと比較して向上した耐熱性を示すが、同量のイソソルビドを含んでいる。本発明のポリカーボネートエステルは、ポリマー中のイソソルビドの量を、向上した耐熱性により減少できる利点を有する。
また、比較例4の場合、光透過レベルは、光弾性係数の増加を誘発する長鎖脂肪族二酸の存在により、高透明性のポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)レベルから、一般的なBPAポリカーボネートレベルまで低下した。また、ガラス転移温度が相対的に低いことが判明した。
特に、比較例5の場合、ガラス転移温度は、このようにして得られたポリマー鎖のシクロヘキサンジカルボキシレート単位の高いシス含有量により、例1と比較して有意に低下した。また、光透過レベルが低下したことが確認された。
したがって、その比を調節することにより、カーボネート結合およびエステル結合に由来する特性をコントロールし、その必要性に従って所望の特性を得ることが可能である。したがって、本発明に従って調製したポリカーボネートエステルは、高い耐熱性および透明性を示し、したがって様々な用途、例えば自動車、光学レンズおよびフィルム、哺乳瓶、食品容器などのガラスの代替に有用であり得る。

Claims (15)

  1. (i)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートとの縮合反応から得られる繰り返し単位1、および
    (ii)1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの縮合反応から得られる繰り返し単位2
    を含むバイオポリカーボネートエステル。
  2. 式1:
    Figure 2016525610
    (式中、xは0<x<1を満たす)
    で示される繰り返し単位を含む、請求項1に記載のバイオポリカーボネートエステル。
  3. シス/トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の比が、式1の繰り返し単位において1/99%〜99/1%である、請求項2に記載のバイオポリカーボネートエステル。
  4. シス/トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の比が、式1の繰り返し単位において20/80%〜80/20%である、請求項2に記載のバイオポリカーボネートエステル。
  5. 前記1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールがイソソルビドである、請求項2に記載のバイオポリカーボネートエステル。
  6. 以下の工程:
    (1)式2の化合物およびフェノールをエステル交換またはエステル化反応にかけて、式3の化合物を得ること、および
    (2)工程(1)で得られた式3の化合物、式4の化合物および1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールをポリカーボネート溶融重縮合反応にかけて、式1:
    Figure 2016525610
    (式中、式1において、xは0<x<1を満たし、
    式2において、Rは、メチルまたは水素であり、
    式4において、R1およびR2は、各々独立に、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族基または6〜20個の炭素原子を有する芳香族基であり、これらは任意の置換基を有していてもよい)
    の繰り返し単位を含む化合物を調製すること
    を含む、バイオポリカーボネートエステルを製造する方法。
  7. シス/トランスシクロヘキサンジカルボキシレート単位の比が、式1の繰り返し単位において1/99%〜99/1%である、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(1)のエステル交換またはエステル化反応が、テトラヒドロ−2,5−ジメチルフランジカルボキシレート、1,2−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート、1,3−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,4−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,5−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、デカヒドロ−2,7−ジメチルナフタレンジカルボキシレート、テトラヒドロ−2,5−フランジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロ−2,4−ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロ−2,5−ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびデカヒドロ−2,7−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1つのジカルボキシレートまたはジカルボン酸化合物の存在下で行われる、請求項6に記載の方法。
  9. 工程(2)の溶融重縮合が、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、およびバイオ材料から得られる、テトラヒドロ−2,5−フランジメタノールよりなる群から選択されるジオール化合物の存在下で行われる、請求項6に記載の方法。
  10. 前記ジオール化合物が、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール100mol%に対して99mol%未満の量で用いられる、請求項9に記載の方法。
  11. 工程(1)の反応が、常圧下で150〜250℃、または0.1〜10barの昇圧下で150〜300℃で、5分〜48時間行われる、請求項6に記載の方法。
  12. フェノールが、式2の化合物の総モル数の2〜50倍の量で工程(1)で用いられる、請求項6に記載の方法。
  13. 式4の化合物が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートまたはジトリルカーボネートである、請求項6に記載の方法。
  14. 工程(2)の溶融重縮合が、反応の第1部および反応の第2部を含み、
    前記反応の第1部が、5〜700Torrの減圧下で、130〜250℃の温度で、0.1〜10時間行われ、
    前記反応の第2部が、20Torr以下の減圧下で、210〜290℃の温度で、0.1〜10時間行われる、
    請求項6に記載の方法。
  15. 式3の化合物が、1,4−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートまたは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のフェノールとの反応により得られる、請求項6に記載の方法。
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