JP2023529859A - 脂環式二酸、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール、及び特定量の追加の脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とするポリエステルカーボネート - Google Patents

脂環式二酸、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール、及び特定量の追加の脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とするポリエステルカーボネート Download PDF

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Abstract

本発明は、脂環式二酸及び少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール及び少なくとも1つの追加の脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎としてポリエステルカーボネートを調製する方法、該方法に従って調製されたポリエステルカーボネート、並びに該ポリエステルカーボネートを含む成形コンパウンド及び成形体に関する。本発明による方法は、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造要素が第1の方法工程において既にモノマーとして存在する直接合成である。これは、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、少なくとも1つの追加の脂肪族ジヒドロキシ化合物との特定の比率が有利であることを特徴とする。

Description

本発明は、脂環式二酸と、特定量の追加の脂肪族ジオールを含む1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールとからのコポリエステルカーボネート、及び対応するポリエステルカーボネートを製造する方法に関する。
ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリエステルカーボネートは、良好な機械的特性、並びに熱変形及び風化に対する良好な安定性を有することが知られている。使用されるモノマーに応じて、各ポリマーグループは、この種の材料を特徴付ける或る特定の重要な特徴を有している。例えば、ポリカーボネートは特に良好な機械的特性を有し、一方、ポリエステルは、多くの場合、より優れた化学安定性を有する。ポリエステルカーボネートは、選択されたモノマーに応じて、上記グループの両方からの特性プロファイルを示す。
芳香族ポリカーボネート又はポリエステルは、多くの場合、良好な特性プロファイルを有するが、これらは経年変化又は風化に対する安定性に欠点を示す。例えば、紫外光の吸収は、これらの熱可塑性材料の黄変、時には、脆化をもたらす。脂肪族ポリカーボネート及びポリエステルカーボネートは、この点で、より良い特性、特に、経年変化及び/又は風化に対するより良い安定性、及びより良い光学特性(例えば透過性)を有する。
脂肪族ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートの欠点は、多くの場合、その低いガラス転移温度である。したがって、脂環式アルコールを(コ)モノマーとして使用することが有利である。このような脂環式アルコールの例は、TCDアルコール(トリシクロデカンジメタノール;8-(ヒドロキシメチル)-3-トリシクロ[5.2.1.02,6デカニル]メタノール)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及び、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールを基礎とするバイオベースジオール、例えば、イソソルビド及びその異性体であるイソマンニド及びイソイジドである。ガラス転移温度を更に上げるために、(コ)モノマーとして、脂環式酸、例えば、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸若しくはシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、又は対応するナフタレン誘導体も使用可能である。反応物の選択に応じて、その後、ポリエステル又はポリエステルカーボネートが得られる。本願は、イソソルビド又はその異性体等の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、特定量の更なるジオールを含む脂環式二酸とを基礎として、改善された特性が達成されたコポリエステルカーボネートに関する。本発明は更に、原材料の直接反応を特徴とし、かつホスゲン等の取り扱いが困難な原材料を一切必要としない、上記コポリエステルカーボネートを製造する方法に関する。
シクロヘキサンジカルボン酸及びイソソルビドのポリエステルは、非特許文献1に記載されているが、本発明は、好ましくは、ポリエステルカーボネートに関する。
ポリエステルは、例えば、対応するエステル含有モノマーとジオールとのエステル交換により工業スケールで製造される。例えば、二酸のジメチルエステルから出発して、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールとシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸とのポリエステルが製造される(このポリエステルとポリカーボネートとのブレンド:DuPontのXyrex(商標))。
しかし、エステル交換反応に関して、フェニルエステルはその脂肪族類似体よりも著しく反応性が高い。特許文献1及び特許文献2には、中間工程としてのフェニルエステルを有するポリエステルカーボネートの製造方法が記載されている。
特許文献1の実施例1には、二酸をフェノールと直接反応させて対応するエステルを形成することが記載されている。特許文献1の実施例2では、ジメチルエステルがフェノールと反応される。しかし、フェニルエステル製造の両バリエーションに関する収率は更に向上可能である。その後に、ポリエステルカーボネートが製造される。したがって、この文献は、複雑さ、価格の上昇、複数の精製工程の必要性等のような複数の工程の対応する不利点を伴う2工程法を記載している。
特許文献2には、溶媒中での、ホスゲンを使用したジフェニルエステルの製造が記載されている。脂肪族ポリエステルカーボネートを形成するためのその後の反応はホスゲンの使用を含まないため、ホスゲン法とエステル交換法とをプラントの同じ部分で併用することは非常に不利である。したがって、特許文献2に記載された方法も最適ではない。ここでも、2工程法が記載されている。
2工程法は、同様に、特許文献3、特許文献4(特許文献5)、及び特許文献6に記載されている。これは、これら全ての文献が常に、二酸の反応によりエステルを得ることを記載していることを意味する。その後、最初に単離されたエステルをポリエステルカーボネートへと転化させる。
特許文献7は、イソソルビド単位と、脂肪族C14~C44二酸、脂肪族C14~C44ジオール、又はそれらの組合せから誘導される脂肪族単位と、任意にイソソルビド単位及び脂肪族単位とは異なる追加の単位とからなり、イソソルビド単位、脂肪族単位、及び追加の単位が、それぞれカーボネート又はカーボネート単位及びエステル単位の組合せである、イソソルビドを基礎とするポリカーボネートを開示している。脂肪族ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートのよくある不利点は、既に上記で論じられている。実施例において、イソソルビドと、脂環式二酸と、追加的に脂肪族ジオールとの組合せから誘導されるポリマーは製造されない。さらに、エステル交換において活性化カーボネートが使用される。
非特許文献2には、シクロヘキサンジカルボン酸及びイソソルビドを基礎とするポリエステルが、シクロヘキサン二酸又はシクロヘキサンジメチルエステルから得られず(又は非常に低い分子量しか得られない)、シクロヘキサンジカルボン酸の酸塩化物からしか製造できないことが記載されている。
芳香族ポリエステルカーボネートの簡単な調製は、例えば、特許文献8において記載されている。これは、直接合成又はワンポット合成、すなわち、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造要素が既に合成の開始時にモノマーとして存在している合成を記載している。この場合に、ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物、カルボン酸ジエステル、及び芳香族二酸又は線状脂肪族二酸がモノマーとして使用される。この文献は芳香族ポリエステルカーボネートの調製に限定されているため、縮合反応において、形成されるフェノールを除去しながら、300℃の温度を使用することが可能である。脂肪族ポリエステルカーボネートを調製する場合には、そのような温度の使用は不可能である。それというのも、脂肪族ジオールは、そのような熱応力に曝されると脱離及び/又は熱分解を受ける傾向があるからである。しかしながら、同時に、所望の高分子量に成長するには高い温度が必要である。この場合に特に明らかなのは、脂肪族ジオールと芳香族ジオールとの反応性の違いである。例えば、イソソルビドがポリマーに完全に組み込まれることはめったになく、それよりも、選択される反応条件に応じて重合反応の間に最大25%のイソソルビドが失われることが文献から知られている。したがって、芳香族ジオールについての反応条件を脂肪族ジオールに転用することが直ちに可能ではない。これは特に、特許文献8における重縮合(方法工程(ii)に対応する)の反応時間が、より高い温度では、本発明に従って観察される反応時間よりもかなり長いという事実から明らかである。
同様に、特許文献9及び特許文献10では、芳香族構造単位及び相応して高温が使用される。上述の理由から、そこでの教示を脂肪族構造単位に転用することはできない。
特許文献11は、イソソルビド単位を含むポリエステルを製造する方法を記載している。この方法において、イソソルビドは、既存の反応器に可能な限り簡単な方式で添加されるべきであるため、イソソルビドは水中に溶解される。したがって、この文献は、第一にもっぱらポリエステルの製造に関し、さらに溶媒の存在を必要とする。
まだ未公開の出願である特許文献12は、脂環式ジカルボン酸と、ジアリールカーボネートと、脂肪族ジヒドロキシ化合物とを含むポリエステルカーボネートのワンポット合成を開示している。
特許文献1及び特許文献2に記載されるポリエステルカーボネートは、高いガラス転移温度を有する。しかしながら、これらのポリエステルカーボネートの構造は非常に剛直である。これは、特にイソソルビド構造がポリマー鎖中に縮合された結果である。二環式部分構造の剛直な性質により、ガラス転移温度は高まるが、ポリマー鎖はあまり柔軟ではなくなり、これは、原則として不利点につながる可能性がある。Parkらは、ポリマー中のイソソルビドの量が多いほど分子量が減少すると報告している(非特許文献3)。著者らは、分子量の増加が高い溶融粘度によって妨げられると報告している。臨界分子量に達しないと、これにより不十分な機械的特性がもたらされる可能性がある。これは、柔軟でないポリマー鎖の場合に特に重要である。剛直な鎖は、絡み合うことができるように比較的高い分子量を有する必要がある。これが起こらないと脆性挙動が生ずる(臨界絡み合い分子量)。
シクロヘキサンジカルボン酸は柔軟性を幾らか高めるが、ポリマー鎖の全体的な構造は非常に剛直なままである。これは、ポリマーの製造中に不利点をもたらす可能性がある。柔軟でない性質により、分子量が増加するにつれて、反応相手(鎖端)が互いにより見つかりづらくなる。上記のように、これにより分子量が制限される。さらに、剛直な性質により、ポリマー合成中に粘度の急激な上昇が引き起こされる。これを補償するために、ポリマー製造中に重縮合の最終段階で温度を高めて、より良好な流動性を達成することが多い。しかしながら、これは、脂肪族ポリマーの場合に限られた程度でしか可能ではない。それというのも、例えば芳香族ポリエステル又はポリカーボネートと比較して熱安定性が大幅に低いからである。温度を高めることによって粘度の上昇を補償することができないため、混合不良及び表面更新不良がもたらされる。その際、縮合生成物(フェノール等)の除去がもはや不可能となり、重縮合が停止する場合がある。
より良好な表面更新をもたらす手段として、特許文献6は、ポリマー混練機等の水平型ポリマー反応器の使用を記載している。これらはポリマーに高い剪断力を及ぼし、表面更新を高め、重縮合を継続させる。しかしながら、高い剪断力は、柔軟でないポリマーに対して多大な負荷をかける。
このように、高い剪断応力は損傷を引き起こす可能性があり、これは、光学的特性及び機械的特性の顕著な悪化として現れる可能性がある。
欧州特許出願公開第3026074号 欧州特許出願公開第3248999号 国際公開第2020/085686号 国際公開第2019/093770号 欧州特許出願公開第3708601号 国際公開第2019/147051号 米国特許出願公開第2009/105393号 国際公開第01/32742号 特開平04-345616号 独国特許出願公開第2438053号 米国特許出願公開第2004/092703号 国際出願PCT/EP2019/084847号
Oh et al., in Macromolecules 2013, 46, 2930-2940 Kricheldorf et al., (Macromol. Chem. Phys 2010, 211, 1206-1214) S.A. Park et al. Polymer 2017, 116, 153-159; pp. 155-156
したがって、この従来技術から出発して、本発明の課題は、製造中の良好な表面更新を特徴とする、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸とを含むポリエステルカーボネートを製造する方法を提供することである。より良好な表面更新は、例えば、達成可能なより高い分子量によって裏付けられる。これにより、特に、ポリエステルカーボネートにおいて十分に高い分子量を達成することが可能であるべきである。「十分に高い分子量」とは、好ましくは、それぞれの場合にウベローデ粘度計を使用してジクロロメタン中で5g/lの濃度において25℃にて測定された1.22を上回る、好ましくは1.25~1.65、より好ましくは1.28~1.63、特に好ましくは1.30~1.62の相対溶液粘度を有するポリマーを意味すると理解される。したがって、本発明のポリエステルカーボネートは、より良好な加工特性及び良好な機械的特性を更に有するべきである。更なる課題は、溶融エステル交換によってポリエステルカーボネートを製造する可能な限り簡単な方法を提供することであった。この文脈において、「簡単」とは、特に、機器への出費を僅かしか必要とせず、少ない工程、特に少ない精製工程しか含まず、及び/又は、したがって経済的に、そしてまた環境的に有利である方法を意味すると理解される。特に、本発明の方法は、取り扱いが困難な出発材料、特にホスゲンを用いずに済むべきである。
上述の課題のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てが本発明によって解決された。驚くべきことに、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造要素が既に合成の開始時にモノマーとして存在している直接合成又はワンポット合成において、溶融エステル交換により少なくとも1つの脂環式二酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートと、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物とからポリエステルカーボネートを合成することが可能であることが判明した。しかしながら、特定量の少なくとも1つの更なるジオールを使用した場合にのみ、適切なモル質量を有する、したがって適切な機械的特性も有するポリマーが得られることが判明した。一方で、従来技術の記載された先入観にもかかわらず、脂環式ジカルボン酸と、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物(本発明によれば「脂肪族ジオール」とも呼ばれる)と、ジアリールカーボネートとの反応についても直接合成が機能することは驚くべきことであった。分子量の良好な増加を得るのに、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物の量が重要であることも全く驚くべきことであった。これにより、特に簡単である、すなわち、機器への出費を僅かしか必要とせず、少ない工程、特に少ない精製工程しか含まず、したがって経済的に、そして環境的にも有利である、脂環式二酸と、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物とからポリエステルカーボネートに至ることを可能にする方法を見出すことにつながった。
さらに、少量の追加の脂肪族ジヒドロキシ化合物の組み込み、特に分岐状脂肪族ジヒドロキシ化合物の組み込みが、合成中の表面更新を高めることが判明した。少量の追加のジオールの組み込みでさえも、表面更新が大幅に高まり、したがって分子量が増加することは驚くべきことであった。特に驚くべきことに、立体障害にもかかわらず、分岐状ジオールがポリマー鎖中に容易に縮合することが判明した。当業者であれば、立体障害が分子量の増加を妨げると予測したはずである。
さらに、従来技術において以前に記載されたポリエステルカーボネートとは異なる構造、すなわち構造要素の異なる統計的分布を有する新規のポリエステルカーボネートが得られた。
本発明のポリエステルカーボネートを製造する方法を、以下に示されるように、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸と、イソソルビドと、追加のジオールHO-R-OHと、ジフェニルカーボネートとの反応によって概略的に記載することができる:
Figure 2023529859000001
触媒
(これらの特定の3つの出発物質を挙げたのは、純粋に本発明を解説する目的のためであり、限定するものと理解されるべきではない)。
本発明による直接合成においては、最初に、ガスの発生(二酸化炭素の発生)が観察された。ガスの発生がほとんど収まった後に混合物から試料を採取すると、既にオリゴマーが形成されていることを分析により実証することができる。これらのオリゴマーは、更なる工程において縮合されて、本発明のポリエステルカーボネートを形成する。本発明による実施例は、従来技術と同様にシクロヘキサンジカルボン酸の1つの誘導体のみがジフェニルカーボネート、イソソルビド、及び更なるジオール(例として)と反応する場合に、これらのオリゴマー中のカーボネートブロック及びエステルブロック(上記のスキームを参照)の統計的分布が、ブロックの純粋な統計的分布とは既に異なることを示している。さらに、このようなオリゴマーの反応性は、純粋なシクロヘキサンジフェニルエステル、イソソルビド、更なるジオール、及び純粋なジフェニルカーボネートの反応性とは異なる。したがって、本発明の方法の最終的な結果は、様々なブロックの統計的分布が、シクロヘキサンジフェニルエステルと、イソソルビドと、更なるジオールと、ジフェニルカーボネートとから得られるポリマーの統計的分布とは異なるポリマーを得ることである。
したがって、本発明は、溶融エステル交換によりポリエステルカーボネートを製造する方法であって、
(i)少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートとを、少なくとも1つの触媒を使用して、(A)少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール及び(B)少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物の混合物の存在下で反応させる工程と、
(ii)方法工程(i)から得られた混合物を、少なくとも縮合時に脱離した化学的化合物を除去しつつ、更なる縮合に供する工程と、
を含み、
ジヒドロキシ化合物の混合物は、それぞれの場合に成分(A)及び成分(B)の合計に対して、
98mol%~75mol%、好ましくは97mol%~80mol%、特に好ましくは96mol%~82mol%の成分(A)と、
2mol%~25mol%、好ましくは3mol%~20mol%、特に好ましくは4mol%~18mol%の成分(B)と、
を含むことを特徴とする、方法を提供する。
驚くべきことに、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物の量が、特許請求の範囲において規定された範囲内にある場合に、分子量の増加が特に容易に起こることが判明した。少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物の量が多いほど、驚くべきことに、分子量の僅かな増加しか見られない。さらに、少なくとも1つの更なるジヒドロキシ化合物が2個~11個、好ましくは3個~10個の炭素原子を有する場合が有利であった。
本発明によれば、方法工程(i)は、少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応を少なくとも含む。しかしながら、本発明によれば、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(以降、成分(A)とも)及び少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物(以降、成分(B)とも)の存在は、更なる反応の可能性が除外され得ないことを意味する。実際、方法工程(i)において既に、成分(A)及び/又は成分(B)と、カーボネート(両方のヒドロキシ基が失われる)とからなる単位に対応するMALDI-TOF質量分析計において質量差を有するオリゴマーが形成されることが、実施例において実証された。これは、方法工程(i)において、ジエステルの形成以外に更なる反応が起こる可能性があることを意味する。しかしながら、本発明によれば、これはまた、存在する全ての脂環式ジカルボン酸と、化学量論的当量のジアリールカーボネートとの反応が、方法工程(ii)の開始前に完了まで進行している必要はないことも意味する。しかしながら、本発明によれば、観察されるガスの発生が殆ど止むのに必要な時間にわたって方法工程(i)を実施した後に初めて、方法工程(ii)を、例えば、負圧を適用して縮合時に脱離した化学的化合物を除去することによって開始することが好ましい。しかしながら、既に上記のように、本発明によれば、方法工程(i)と方法工程(ii)との間の明確な分離を達成することが必ずしも可能であるとは限らない場合がある。
方法工程(i)
本発明の方法は、直接合成又はワンポット合成と呼ばれる。それというのも、方法工程(i)において、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造要素が既にモノマーとして存在しているからである。これは、好ましくは、本発明によれば、成分(A)及び成分(B)におけるジヒドロキシ化合物、1つの脂環式ジカルボン酸、及び/又は1つのジアリールカーボネートだけより多く存在する場合であっても、全ての脂肪族ジヒドロキシ化合物(それぞれの場合に成分(A)及び成分(B))、全ての脂環式ジカルボン酸、そしてまた全てのジアリールカーボネートがこの工程において存在することを意味する。したがって、本発明によれば、方法工程(ii)においてポリエステルカーボネートに縮合される全てのモノマーが、方法工程(i)の間に既に存在していることが好ましい。同様に、本発明は、僅かな割合の少なくとも1つのジアリールカーボネートが方法工程(ii)において追加的に添加される実施形態を包含する。これを選択的に使用して、形成されるポリエステルカーボネートの末端OH基含有量を低下させることができる。このようなアプローチは、例えば、特開2010-077398号において記載されている。しかしながら、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造要素が方法工程(i)において既にモノマーとして存在し、更なる構造要素を添加しないためには、この場合に、方法工程(ii)において少量で添加される少なくとも1つのジアリールカーボネートは、方法工程(i)において存在する少なくとも1つのジアリールカーボネートと同じであることが必要である。したがって、こういった意味で、この方法は、依然として直接合成又はワンポット合成と呼ばれ得る。
さらに、本発明は、方法工程(i)における芳香族ジヒドロキシ化合物及び/又は芳香族ジカルボン酸の存在を除外するものではない。しかしながら、これらは、好ましくは僅かな割合でのみ存在する。方法工程(i)においては、芳香族ジヒドロキシ化合物(成分(C))が、使用されるジヒドロキシ化合物の総モル量に対して、最大20mol%、より好ましくは最大10mol%、非常に特に好ましくは最大5mol%の含有量で更に存在することが特に好ましい。特許請求の範囲において規定される成分(A)及び成分(B)の比率は同じままである。方法工程(i)においては、芳香族ジカルボン酸が、任意にまた芳香族ジヒドロキシ化合物に加えて、使用されるジカルボン酸の総モル量に対して、最大20mol%、より好ましくは最大10mol%、非常に特に好ましくは最大5mol%の含有量で更に存在することが同様に特に好ましい。これらの場合に、本発明によれば、生成物を脂肪族ポリエステルカーボネートと呼ぶことが依然として好ましい。しかしながら、方法工程(i)において芳香族ジヒドロキシ化合物を使用しないことが特に好ましい。また、方法工程(i)において芳香族ジカルボン酸を使用しないことも好ましい。同様に、方法工程(i)において芳香族ジヒドロキシ化合物も芳香族ジカルボン酸も使用しないことが好ましい。一般に、芳香族化合物は、ポリエステルカーボネート中に存在すると、UV安定性及び耐候性を低下させる。これは、屋外での使用には特に不利である。さらに、ポリエステルカーボネート中の芳香族成分は、それから製造された成形品の表面硬度を低下させるため、コーティングの必要性をもたらす場合がある。さらに、中間体として生じ得る芳香族酸のジフェニルエステルは、例えば、重縮合を減速させ得る安定な中間体である。これは、更なる特定の触媒の使用を必要とする可能性があることを意味する。
これらの追加の芳香族ジヒドロキシ化合物(成分(C))は、好ましくは、ビスフェノールA、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル(DODエーテル)、ビスフェノールB、ビスフェノールM、及びビスフェノール(I)~ビスフェノール(III):
Figure 2023529859000002
(これらの式(I)~式(III)において、R’は、それぞれの場合に、C~Cアルキル、アラルキル、又はアリール、好ましくはメチル又はフェニル、非常に特に好ましくはメチルを表す)からなる群より選択される。
これらの追加の芳香族ジカルボン酸は、好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、及びナフタレン-2,6-ジカルボン酸からなる群より選択される。僅かな割合のこれらの芳香族二酸が、脂肪族ポリエステルカーボネートによる水の吸収を減少させ得ることが知られている。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールが成分(A)として使用される。当業者に知られるように、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは一般に、イソマンニド、イソイジド、及びイソソルビドからなる群より選択される。これは、バイオベースのモノマー及びそこから得られるポリマーの全ての付随する利点を備えたバイオベースの構造要素であり得る(例えば、再生可能な原材料から得られるため、より持続可能性に優れている)。本発明の方法は、特に好ましくは、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールがイソソルビドであることを特徴とする。成分(A)がイソソルビドからなることが好ましい。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物(成分(B))が使用される。成分(B)が2つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物からなることが好ましい。同様に、成分(B)が1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物からなることが好ましい。したがって、成分(A)がイソソルビドからなり、かつ成分(B)が更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物からなることが特に好ましい。ジヒドロキシ化合物の混合物中に、芳香族ジヒドロキシ化合物(上記参照)を含む成分(C)が、任意に存在する場合もある。
少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、化学式(I):
HO-X-OH (I)
(式中、Xは、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、2個~22個、好ましくは2個~15個、より好ましくは2個~10個の炭素原子を有する線状アルキレン基、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基、又は少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基であり、ここで、シクロアルキレン基は、2個以上の環を任意に含み得て、それぞれの場合に任意に分岐状であり得る)を有することが好ましい。
本発明によれば、Xが、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る線状アルキレン基である場合に、これは、好ましくは2個~15個、特に好ましくは2個~12個、非常に特に好ましくは2個~11個、特に好ましくは2個~10個、更に好ましくは2個~6個、更に好ましくは3個~4個の炭素原子を有する。アルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、より好ましくは酸素である。特に好ましくは、アルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。アルキレン基中に少なくとも1個のヘテロ原子が存在する場合に、示された炭素原子数は、アルキレン基中の炭素原子の総数に関連する。例えば、基-CH-CH-O-CH-CH-は、4個の炭素原子を含む。本発明によれば、少なくとも1個のヘテロ原子によって中断され得る線状アルキレン基は、12個未満、より好ましくは10個未満の炭素原子を有することが好ましい。特に好ましくは、アルキレン基はヘテロ原子を含まない。
本発明によれば、Xが、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子、特に好ましくは5個~11個の炭素原子、非常に特に好ましくは5個~10個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基である場合に、上記の記述はヘテロ原子に適用される。分岐状アルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、より好ましくは酸素である。特に好ましくは、分岐状アルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。特に好ましくは、分岐状アルキレン基はヘテロ原子を含まない。「分岐状」という用語は、当業者に知られる脂肪族炭素鎖における分岐を指すものと理解される。これは、分岐状アルキレン基が、好ましくは少なくとも1個の第三級炭素原子及び/又は少なくとも1個の第四級炭素原子を含むことを意味する。分岐状アルキレン基中に2個以上の分岐が存在することが可能である。分岐は、好ましくは1個~5個の炭素原子、特に好ましくは1個~4個、非常に特に好ましくは1個~3個の炭素原子の鎖長を有する。分岐中のこれらの炭素原子は、分岐状アルキレン基中の炭素原子の総数に考慮される。これは、例えば、分岐状アルキレン基-CH-C(CH-CH-が5個の炭素原子を含むことを意味する。
本発明によれば、Xが、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基であり、かつシクロアルキレン基が、任意に2個以上の環を含み得て、それぞれの場合に任意に分岐状であり得る場合に、上記の記述はヘテロ原子に適用される。シクロアルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、より好ましくは酸素である。特に好ましくは、シクロアルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。特に好ましくは、シクロアルキレン基はヘテロ原子を含まない。好ましくは、シクロアルキレン基は、4個~6個の炭素原子を有する少なくとも1個、好ましくは1個の環を含む。特に、シクロアルキレン基は、合計4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を含み、かつ4個~5個の炭素原子を有する環を含むことが好ましい。環の炭素原子は、シクロアルキレン基中の炭素原子の総数に含まれる。これは、テトラメチルシクロブテニル基が、合計8個の炭素原子を有し、4個の炭素原子を有する環を含むことを意味する。シクロアルキレン基は、少なくとも1個の分岐を更に含み得る。これが特に好ましい。分岐が存在する場合に、これらは、任意に存在する脂環式鎖中及び/又は環中に存在し得る。好ましくは、分岐は環中に存在する。好ましくは、Xは、1個の環を有する5個~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基であり、ここで、上記基は、任意に少なくとも1個の分岐を有し、好ましくは少なくとも1個の分岐を有し、かつ少なくとも1個の環、好ましくは4個~6個の炭素原子、より好ましくは4個~5個の炭素原子を有する環を有する。
全体として、本発明によれば、少なくとも1個の更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物が2個~10個の炭素原子を有することが好ましい。
本発明の方法は、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物が、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジメタノール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、テトラヒドロフラン-2,5-ジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エタノール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、シクロブタン-1,1-ジイルジメタノール、8-(ヒドロキシメチル)-3-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル]メタノール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、及びそれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されることを特徴とすることが特に好ましい。特に、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エタノール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、シクロブタン-1,1-ジイルジメタノール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、及びそれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されることが好ましい。同様に、少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、シクロブタン-1,1-ジイルジメタノール、ブタン-1,4-ジオール、及びそれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されることが好ましい。少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、シクロブタン-1,1-ジイルジメタノール、及びそれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されることが非常に特に好ましい。
本発明によれば、追加の少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、本発明の方法工程(i)の反応条件下で、これまた存在する少なくとも1つのジアリールカーボネートと反応し得ることが判明した。これは特に、2個のヒドロキシ基が互いに近接している(例えば、2個又は3個の炭素原子だけ離れている)ジヒドロキシ化合物において観察される。特定の理論に縛られるものではないが、もはや反応性ではない分子内カーボネートが形成されるように思われる。これは、この分子内カーボネートがポリエステルカーボネートを形成する反応にもはや関与しないことを意味する。この結果として、方法工程(i)の開始時に添加される少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物の量は、上記ジヒドロキシ化合物から誘導されるポリエステルカーボネート中の構造要素の量に必ずしも常に対応するとは限らない。この量は、特に2個のヒドロキシ基を互いに近接して有する化合物の場合には、一般により少ないことになる。これは特に、シクロヘキサンジメタノール等の環状ジヒドロキシ化合物には当てはまらない。得られるポリエステルカーボネート中の構造単位の割合を決定する方法は、当業者に知られている。これらの割合は、好ましくはH NMRによって決定され得る。この方法は当業者に知られている。ポリエステルは、例えばCDClに溶解される場合があり、構造単位における対応するピークが特定される。比率及び割合は、積分を介して決定され得る。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸が同様に使用される。少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸は、化学式(IIa)、(IIb):
Figure 2023529859000003
(式中、
Bは、それぞれの場合に独立して、CH基、又はO及びSからなる群より選択されるヘテロ原子、好ましくはCH基又は酸素原子を表し、
は、それぞれの場合に独立して、単結合、又は1個~10個の炭素原子を有するアルキレン基、好ましくは単結合、又は1個~5個の炭素原子を有するアルキレン基、より好ましくは単結合を表し、かつ、
nは、0から3の間の数、好ましくは0又は1である)の化合物、又はそれらの混合物から選択されることが好ましい。
が単結合を表す場合に、Rは、それに応じて炭素原子を含まないことが理解されるであろう。
少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸は、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、テトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、テトラヒドロジメチルフラン-2,5-ジカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,4-ジカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,5-ジカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸、及びデカヒドロナフタレン-2,7-ジカルボン酸からなる群より選択されることが特に好ましい。あらゆる所望の混合物を使用することも可能である。非常に特に好ましくは、これは、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、又はシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸である。
脂環式酸に加えて、少量の更なる脂肪族酸を使用することもできる。方法工程(i)においては、脂環式酸ではない更なる脂肪族酸が、最大20mol%、より好ましくは最大10mol%、非常に特に好ましくは最大5mol%の含有量で更に存在することが特に好ましい。更なる脂肪族酸は、好ましくは、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、2,2,5-トリメチルアジピン酸、及び3,3-ジメチルグルタル酸からなる群より選択される。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つのジアリールカーボネートも使用される。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、好ましくは、式(2):
Figure 2023529859000004
(式中、R、R’、及びR’’は、それぞれ独立して、同一又は異なる場合があり、水素、任意に分岐したC~C34アルキル、C~C34アルキルアリール、C~C34アリール、ニトロ基、カルボニル含有基、カルボキシル含有基、又はハロゲン基を表す)の化合物からなる群より選択される。好ましくは、R、R’、及びR’’は、それぞれ独立して、同一又は異なる場合があり、水素、任意に分岐したC~C34アルキル、C~C34アルキルアリール、C~C34アリール、ニトロ基、カルボニル含有基、又はハロゲン基を表す。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、好ましくは、ジフェニルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート、ビス(エチルサリチル)カーボネート、ビス(プロピルサリチル)カーボネート、ビス(2-ベンゾイルフェニル)カーボネート、ビス(フェニルサリチル)カーボネート、及び/又はビス(ベンジルサリチル)カーボネートである。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、好ましくは、ジフェニルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビス(2-ベンゾイルフェニル)カーボネート、ビス(フェニルサリチル)カーボネート、及び/又はビス(ベンジルサリチル)カーボネートである。特に、少なくとも1つのジアリールカーボネートは、好ましくは、ジフェニルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、及び/又はジ[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル]カーボネートである。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、特に好ましくは、ジフェニルカーボネートである。
さらに、本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの触媒が存在する。これは、好ましくは、無機塩基及び/又は有機触媒である。少なくとも1つの触媒は、特に好ましくは、5以下のpKを有する無機塩基又は有機塩基である。
少なくとも1つの無機塩基又は少なくとも1つの有機触媒が、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、及びマグネシウムの水酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物、フェノキシド、ジフェノキシド、フッ化物、酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、及びホウ酸塩、水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホウ酸テトラフェニルホスホニウム、水酸化ジメチルジフェニルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムフェノキシド、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-フェニル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7,7’-ヘキシリデンジ-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7,7’-デシリデンジ-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7,7’-ドデシリデンジ-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、ホスファゼン塩基P1-t-oct(tert-オクチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン)、ホスファゼン塩基P1-t-butyl(tert-ブチル-イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン)、並びに2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザ-2-ホスホラン(BEMP)からなる群より選択されることも好ましい。あらゆる所望の混合物を使用することも可能である。
少なくとも1つの触媒は、特に好ましくは有機塩基、好ましくは上記の有機塩基、非常に特に好ましくはアルキルアミン、イミダゾール(誘導体)、トリアザビシクロデセン等のグアニジン塩基、DMAP及び対応する誘導体、DBN、並びにDBU、最も好ましくはDMAPである。これらの触媒は、本発明の方法工程(ii)において、これらが、例えば減圧下で、縮合時に脱離した化学的化合物とともに除去され得るという特定の利点を有する。これは、得られるポリエステルカーボネートが最小限の残留触媒しか含まないか、又は全く含まないことを意味する。これは、例えばホスゲンが使用されるあらゆる経路において常に形成される無機塩がポリマー中に存在しないという特定の利点を有する。そのような塩は、ポリエステルカーボネートの安定性に悪影響を及ぼし得ることが知られている。それというのも、対応する分解に関してイオンが触媒的に作用し得るからである。
少なくとも1つの触媒を、1molの脂環式ジカルボン酸に対して、1ppm~5000ppm、好ましくは5ppm~1000ppm、より好ましくは20ppm~200ppmの量で使用することが好ましい。
別の実施形態においては、本発明の方法は、方法工程(i)における反応を、少なくとも1つの第1の触媒及び/又は第2の触媒の存在下で行い、かつ方法工程(ii)における縮合を、少なくとも第1の触媒及び第2の触媒の存在下で行い、ここで、第1の触媒が、少なくとも1つの第三級窒素塩基であり、第2の触媒が、少なくとも1つの塩基性化合物、好ましくは塩基性アルカリ金属塩であり、かつ方法工程(ii)におけるアルカリ金属カチオンの割合が、方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.0008重量%~0.0050重量%であることを特徴とする。
したがって、この実施形態においては、方法工程(i)において、第1の触媒及び/又は第2の触媒が存在する。
第1の触媒は、第三級窒素塩基である。この第1の触媒は、好ましくは、グアニジンから誘導される塩基、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、ヘキサメチルホスホルイミド(hexamethylphosphorimide)トリアミド、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロデカ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、DBN、エチルイミダゾール、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)、ピリジン、TMG、及びこれらの物質の混合物から選択される。更に好ましくは、第1の触媒は、グアニジンから誘導される塩基、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、及び1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンから選択される。4-ジメチルアミノピリジンを使用することが特に好ましい。
第1の触媒は、好ましくは、それぞれの場合に方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.002重量%~0.10重量%の量で、より好ましくは、0.005重量%~0.050重量%の量で、特に好ましくは、0.008重量%~0.030重量%の量で使用される。
第2の触媒は、無機又は有機のアルカリ金属塩及び無機又は有機のアルカリ土類金属塩からなる群より選択されることが好ましい。より好ましくは、方法工程(ii)において存在するアルカリ金属カチオンは、リチウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、セシウムカチオン、及びそれらの混合物である。
使用される第2の触媒は、好ましくは弱酸(25℃で3から7の間のpKa)の有機又は無機のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。適切な弱酸は、例えば、カルボン酸、好ましくはC~C22カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、3-メチル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、p-トルエン酢酸、4-ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ポリカルボン酸の部分エステル、例えばコハク酸のモノエステル、分岐状脂肪族カルボン酸、例えば、2,2-ジメチルプロパン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、2,2-ジメチブタン酸、及び2-エチルヘキサン酸である。しかしながら、塩酸等の強酸の有機又は無機のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を使用することも可能である。
適切な有機塩及び無機塩は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸リチウム、オレイン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、並びにBPAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、及び二リチウム塩である、又はそれらから誘導される。炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、及び対応するオレイン酸塩を使用することも可能である。フェノール類、特にフェノールの対応する塩の使用が更に可能である。これらの塩を、個別に又は混合物にて使用することができる。
第2の触媒は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、ナトリウムフェノキシド、リチウムフェノキシド、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、塩化リチウム、リチウムアセチルアセトナート、及び炭酸セシウム、並びにこれらの物質の混合物からなる群より選択される。ナトリウムフェノキシド、リチウムフェノキシド、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、塩化リチウム、及び/又はリチウムアセチルアセトナートを使用することが特に好ましい。塩化リチウムは、好ましくは、水溶液として、例えば15%の溶液の形で使用される。
方法工程(i)における反応前の、方法工程(i)において存在する全ての脂肪族ジヒドロキシ化合物と、方法工程(i)において存在する全ての脂環式ジカルボン酸とのモル比は、好ましくは1:0.6~1:0.05、より好ましくは1:0.5~1:0.15、非常に特に好ましくは1:0.4~1:0.2であることが判明した。
特に有利な機械的特性、良好な耐化学薬品性、及び良好な加工特性を達成するために、後続のポリエステルカーボネートにおける脂肪族ジヒドロキシ化合物と脂環式ジカルボン酸との比が高すぎない(すなわち、組み込まれる脂環式ジカルボン酸の含有量が低すぎない)ことが好ましい。イソソルビド等のジヒドロキシ化合物から誘導される単位を高い含有量で有するポリマーは、通常、非常に剛直であるため、不十分な機械的特性を有する。脂環式ジカルボン酸から誘導される単位の含有量が低すぎると、得られるポリマーの加工性も同様により不十分となる。さらに、ポリエステル単位は一般に、ポリエステルカーボネートに良好な化学的安定性を与えるため、脂環式ジカルボン酸から誘導される単位の含有量が、同様に低くなりすぎるべきではない。
本発明によれば、製造されるポリエステルカーボネートは、1.22より大きい、同様に好ましくは1.25~1.65、特に好ましくは1.28~1.63、非常に特に好ましくは1.30~1.62の相対溶液粘度の相対ηを有することが好ましい。ここで、相対溶液粘度を、ウベローデ粘度計を使用してジクロロメタン中で5g/lの濃度において25℃にて測定することが好ましい。当業者は、ウベローデ粘度計を使用した相対溶液粘度の決定に精通している。この決定は、本発明によれば、好ましくはDIN51562-3;1985-05に従って行われる。この決定では、調査対象のポリエステルカーボネートの通過時間をウベローデ粘度計により測定した後に、ポリマー溶液とその溶媒との粘度差を決定する。このために、純粋な溶媒であるジクロロメタン、トリクロロエチレン、及びテトラクロロエチレンの測定を通じてウベローデ粘度計を初期較正にかける(常に少なくとも3回、かつ9回以下の測定を行う)。これに続いて、溶媒であるジクロロメタンを用いて実際の較正を行う。次に、ポリマー試料を秤量し、ジクロロメタン中に溶解した後に、この溶液についてフロータイムを三連で決定する。ハーゲンバッハ補正を介してフロータイムの平均値を補正して、相対溶液粘度を算出する。
本発明によれば、これらのモル質量を、好ましくは「十分な」モル質量と呼ぶ。本発明によれば、方法工程(i)における反応前の、方法工程(i)において存在する全ての脂肪族ジヒドロキシ化合物と、方法工程(i)において存在する全ての脂環式ジカルボン酸とのモル比が、1:0.6~1:0.05、好ましくは1:0.55~1:0.1、より好ましくは1:0.5~1:0.15であることが特に好ましい。本発明によれば、分子量の増加、したがって表面更新が、特にこの範囲内で特に良好であることが判明した。
本発明によれば、本発明の方法において、
60部~90部のイソソルビド、好ましくは65部~85部のイソソルビド又はイソソルビド異性体、
40部~10部の脂環式ジカルボン酸、好ましくは35部~15部の脂環式ジカルボン酸、好ましくはシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、
の場合に特に有利である。
2mol%~25mol%、好ましくは3mol%~20mol%、特に好ましくは4mol%~18mol%のイソソルビドが、少なくとも1つの更なる脂肪族ジオール、特に2個~10個の炭素原子を有する線状、非常に好ましくは分岐状ジオールによって置き換えられる。ここで、全組成物中の少なくとも1つの脂肪族ジオールの総量は、好ましくは20mol%未満、特に15mol%未満である。
本発明の方法は、この方法の間に二酸化炭素が放出されることを特徴とする。本発明によれば、二酸化炭素は、好ましくは方法工程(i)において脱離される(上記の反応スキームを参照)。この手順により、低い熱応力で迅速な反応が可能となる。
さらに、本発明の方法工程(i)は、好ましくは、以下の工程(ia)~工程(ic)の少なくとも1つ、より好ましくは全てを含む:
(ia)方法工程(i)において存在する全ての成分、すなわち、少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸、少なくとも1つのジアリールカーボネート、並びに少なくとも成分(A)及び成分(B)を少なくとも、少なくとも1つの触媒の存在下で溶融する工程。これは、好ましくは、不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素下及び/又はアルゴン下で行われる。工程(ia)は、好ましくは、溶媒の不存在下で行われる。「溶媒」という用語は、この文脈において、当業者に知られている。「溶媒」という用語は、本発明によれば、好ましくは、方法工程(i)及び方法工程(ii)のいずれにおいても化学反応を受けない化合物を意味すると理解される。例外は、反応によって形成される化合物(例えば、ジフェニルカーボネートが少なくとも1つのジアリールカーボネートとして使用される場合のフェノール)である。当然ながら、出発化合物における微量の溶媒の存在を排除することはできない。この起こり得る事態は、好ましくは本発明の対象に含まれるべきである。しかしながら、本発明によれば、そのような溶媒を添加する能動的な工程を避けることが好ましい。
(ib)混合物、好ましくは工程(ia)から得られた溶融物を加熱する工程。工程(ia)と工程(ib)とは重複する場合もある。それというのも、工程(ia)において溶融物を生ずるには同様に加熱が必要となり得るからである。加熱は、好ましくは、最初は150℃~180℃の温度への加熱である。
(ic)混合物、好ましくは工程(ib)から得られた混合物を、好ましくは撹拌により、混合エネルギーを導入しながら反応させる工程。この場合にも、工程(ic)は工程(ib)と重複する場合がある。それというのも、加熱により既に混合物の反応が開始している場合があるからである。この場合に、溶融物は、好ましくは、標準圧力下で、工程(ib)によって150℃から180℃の間の温度に既に加熱されている。選択される触媒に応じて、温度は160℃~200℃の範囲内に留まることができる。一方で、工程(ic)における温度は、観察される反応性に応じて、200℃~300℃、好ましくは210℃~260℃、より好ましくは215℃~240℃に段階的に高められる。反応性は、当業者に既知のように、ガスの発生から推定され得る。この工程においては、原則的により高い温度も可能であるが、より高い温度では二次反応(例えば、変色)が発生する可能性がある。したがって、より高い温度はあまり好ましくはない。ガスの発生がほとんど止むまで、混合物を標準圧力下で撹拌する。本発明によれば、これらの条件下で、少なくとも1つのカルボン酸と少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応により形成されるアリールアルコール(例えば、ジフェニルカーボネートを使用する場合にはフェノール)は、既に部分的に除去されることとなる。
本発明によれば、少なくとも1つのジヒドロキシ化合物(A)及び/又は(B)が同様にこの時点までに既に反応し始めていることも観察された。これは、少なくとも1つのジヒドロキシ化合物(A)及び/又は(B)と少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応からのカーボネート単位及び/又は少なくとも1つのジヒドロキシ化合物(A)及び/又は(B)と少なくとも1つのジカルボン酸との反応からのエステル単位を含むオリゴマーの検出によって実証された。
したがって、本発明によれば、方法工程(ii)を実施する前に、方法工程(i)から得られる混合物が、少なくとも1つのジヒドロキシ化合物(成分(A)及び/又は成分(B))と少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応からのカーボネート単位及び/又は少なくとも1つのジヒドロキシ化合物(成分(A)及び/又は成分(B))の反応からのエステル単位を含むオリゴマーを含むことが好ましい。
工程(ic)における反応時間は、出発材料の量に依存する。好ましくは、工程(ic)における反応時間は、0.5時間から24時間の間、好ましくは0.75時間から5時間の間、特に好ましくは1時間から3時間の間である。好ましくは、ガスの発生がほとんど収まることが保証される反応時間が選択されるべきである(上記の反応スキームを参照)。
本発明によれば、方法工程(i)における反応前の、方法工程(i)において存在する全てのジヒドロキシ化合物及び方法工程(i)において存在する全ての脂環式ジカルボン酸の合計と、方法工程(i)において存在する全てのジアリールカーボネートとのモル比が、1:0.4~1:1.6、好ましくは1:0.5~1:1.5、更に好ましくは1:0.6~1:1.4、より好ましくは1:0.7~1:1.3、特に好ましくは1:0.8~1:1.2、非常に特に好ましくは1:0.9~1:1.1であることが好ましい。当業者は、出発材料の純度に即して適切な最適比を選択することができる。
方法工程(ii)
方法工程(ii)において、方法工程(i)から得られた混合物を、少なくとも縮合時に脱離した化学的化合物を除去しながら、更なる縮合に供する。本発明の文脈において、「更なる」縮合という表現は、少なくとも幾らかの縮合が方法工程(i)において既に起こっていることを意味すると理解されるべきである。これは、好ましくは、アリールアルコールの脱離を伴う、少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応である。しかしながら、オリゴマーへの更なる縮合も既に起こっていることが好ましい(方法工程(i)を参照)。
方法工程(i)において第1の触媒のみ又は第2の触媒のみを使用した場合に、方法工程(i)において使用されなかった触媒を方法工程(ii)において添加する。
方法工程(ii)におけるアルカリ金属カチオンの割合は、それぞれの場合に方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、好ましくは0.0009重量%~0.0005重量%、より好ましくは0.0010重量%~0.0045重量%である。
好ましい実施形態においては、方法工程(i)において、第1の触媒及び第2の触媒が存在する。
第1の触媒の一部及び/又は第2の触媒の一部を方法工程(i)において使用した後に、残りを方法工程(ii)において使用することも可能である。
しかしながら、第1の触媒及び/又は第2の触媒の総量を方法工程(i)において使用することが好ましい。両方の触媒の総量を方法工程(i)において使用することが最も好ましい。
「縮合」という用語は当業者に知られている。これは、好ましくは、(同じ物質又は異なる物質の)2つの分子が化合してより大きな分子が形成されるとともに、化学的に単純な物質の分子が脱離する反応を意味すると理解される。縮合時に脱離したこの化合物は方法工程(ii)において除去される。縮合時に脱離した化学的化合物を方法工程(ii)において減圧によって除去することが好ましい。したがって、本発明の方法が、方法工程(i)において形成された脂環式ジエステルを下回る、ジヒドロキシ化合物の混合物を下回る、及び少なくとも1つのジアリールカーボネートを下回る沸点を有する揮発性物質を、方法工程(i)での反応の間に、任意に段階的な減圧によって除去することを特徴とすることが好ましい。この場合に、種々の揮発性物質を除去する場合には、段階的な除去が好ましい選択肢である。揮発性物質を可能な限り完全に除去するためにも、段階的な除去を選ぶことが好ましい。揮発性物質は、縮合時に脱離した化学的化合物(複数の場合もある)である。
段階的な減圧は、例えば、塔頂温度(overhead temperature)が下がったらすぐに圧力を下げることによって行うことができ、こうして、縮合時に脱離した化学的化合物の連続的な除去が保証される。1mbar、好ましくは1mbar未満の圧力に達したら、所望の粘度に至るまで縮合を続ける。これは、例えば、トルクを監視することによって行うことができる。つまり、所望の撹拌器のトルクに達したら重縮合を止める。
方法工程(ii)における縮合生成物の除去は、好ましくは200℃~280℃、より好ましくは210℃~260℃、特に好ましくは220℃~250℃の温度で行われる。除去中の圧力は、更に好ましくは500mbar~0.01mbarである。圧力を下げることにより段階的な除去を行うことが特に好ましい。非常に特に好ましくは、最終段階における真空は10mbar~0.01mbarである。
本発明の更なる態様においては、開示された全ての組合せ及び好ましい事項において本発明の上記の方法によって得られるポリエステルカーボネートが提供される。本発明のポリエステルカーボネートは、全ての種類の成形品にそのまま加工することができる。他の熱可塑性物質及び/又はポリマー添加剤と共に熱可塑性成形コンパウンドに加工することもできる。本発明により、成形コンパウンド及び成形品が更に提供される。
ポリマー添加剤は、好ましくは、難燃剤、ドリップ防止剤、難燃助剤、煙抑制剤、潤滑及び離型剤、核剤、帯電防止剤、導電性添加剤、安定剤(例えば、加水分解安定剤、熱老化安定剤及び紫外線安定剤、及び更にエステル交換防止剤)、流動促進剤、相溶化剤、染料及び顔料、耐衝撃性改良剤及び更に充填剤及び補強剤からなる群より選択される。
本発明の熱可塑性成形材料は、例えば、ポリエステルカーボネート及び他の成分を混合し、得られた混合物を、既知の方法で、慣用の装置、例えば、内部混練機、押出機、及び二軸スクリューシステムで、好ましくは200℃~320℃の温度で溶融コンパウンド化(melt-compounding)及び溶融押出しを行うことにより製造してもよい。この方法は、本願の文脈において概してコンパウンド化という。
したがって、「成形コンパウンド」という用語は、組成物の成分が溶融コンパウンド化され、溶融押出しされたときに得られる生成物を意味すると理解される。
本発明のポリエステルカーボネートから、又は該ポリエステルカーボネートを含む熱可塑性成形コンパウンドから得られる成形品は、例えば、射出成形、押出し及びブロー成形法により製造することができる。別の加工の形態は、予め製造されたシート又はフィルムからの熱成形による成形品の製造である。
使用される材料:
シクロヘキサンジカルボン酸:シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸;CAS 1076-97-7 99%;東京化成工業株式会社(日本)、略してCHDA。元素分析によれば、CHDAには1ppm未満のナトリウムが含まれていた。
ジフェニルカーボネート:ジフェニルカーボネート、99.5%、CAS 102-09-0;Acros Organics(ベルギー、ヘール)、略してDPC。
4-ジメチルアミノピリジン:4-ジメチルアミノピリジン;98.0%以上;purum;CAS 1122-58-3;Sigma-Aldrich(ドイツ、ミュンヘン)、略してDMAP。
イソソルビド:イソソルビド(CAS:652-67-5)、99.8%、Polysorb PS A;Roquette Freres(フランス、レストロン62136);略してISB。
水酸化リチウム一水和物(CAS:1310-66-3);99.0%超;Sigma-Aldrich
2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール:CAS番号115-84-4;Aldrich(略してBEPD)
2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール:98%(CAS:3010-96-6);ABCR(略してTMCBD)
2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール;CAS番号:144-19-4;Aldrich(略してTMPD)
ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール);CAS:126-30-7;Aldrich(略してNPG)
ブタン-1,4-ジオール:CAS:110-63-4;Merck 99%;(略してBDO)
シクロヘキサン-1,4-ジメタノール CAS:105-08-8、Aldrich 99%(略してCHDM)
ドデカン-1,12-ジオール:CAS:5675-51-4、Aldrich 99%(略してDDD)。
分析法:
溶液粘度
相対溶液粘度(ηrel;相対ηとも呼ばれる)を、ウベローデ粘度計を使用してジクロロメタン中で5g/lの濃度において25℃にて決定した。この決定はDIN51562-3;1985-05に従って実施された。この決定では、調査対象のポリエステルカーボネートの通過時間をウベローデ粘度計により測定した後に、ポリマー溶液とその溶媒との粘度差を決定する。このために、純粋な溶媒であるジクロロメタン、トリクロロエチレン、及びテトラクロロエチレンの測定を通じてウベローデ粘度計を初期較正にかける(常に少なくとも3回、かつ9回以下の測定を行う)。これに続いて、溶媒であるジクロロメタンを用いて実際の較正を行う。次に、ポリマー試料を秤量し、ジクロロメタン中に溶解した後に、この溶液についてフロータイムを三連で決定する。ハーゲンバッハ補正を介してフロータイムの平均値を補正して、相対溶液粘度を算出する。
ガラス転移温度の決定
ガラス転移温度を、規格DIN EN ISO 11357-1:2009-10及びISO 11357-2:2013-05に従って、窒素下で10K/分の昇温速度において示差走査熱量測定(DSC)によって決定した。ここで、ガラス転移温度(Tg)の決定は、2回目の昇温過程における変曲点として測定された。
MALDI-TOF-MS
試料をクロロホルム中に溶解した。使用したマトリックスは、LiClを含むジトラノールであった。陽イオンリフレクター(positive reflector)モード及びリニアモードで試料を分析した。
比較例1(追加のジオールを用いない実験)
17.20g(0.10mol)のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、29.83g(0.204mol)のイソソルビド、64.30g(0.3mol)のジフェニルカーボネート、0.0111gのDMAP(4-ジメチルアミノピリジン;出発材料CHDA、DPC、及びISBに対して100ppm)、及びおよそ30ppmのLiに相当する115μlの水酸化リチウムの水溶液(100g/l)を、短行程分離機を備えたフラスコに入れた。脱気及び窒素による真空の解放を4回行うことにより、混合物から酸素を除去した。混合物を溶融し、撹拌しながら標準圧力で160℃に加熱した。混合物を160℃で40分間、175℃で60分間、190℃で30分間、及び205℃で10分間撹拌した。この操作の間に、二酸化炭素が継続的に発生した。COの発生が止んだら、浴温度を220℃に調整した。更に20分後に、負圧を適用した。30分間かけて圧力を10mbarに下げた。この操作の間に、フェノールを連続的に除去した。混合物を10mbarで約10分間撹拌した。次に、圧力を1mbar未満(およそ0.7mbar)に下げ、更に10分間縮合を続けた。その後、混合物の処理を止めた。
1.33の相対ηの溶液粘度を有する淡黄色のポリマーが得られた。
比較例1について記載されるようにして、その他の実施例(Ex.)及び比較例(Comp.)を実施した。実施例1とは異なり、ポリマーを形成する全ての他のモノマー及び触媒と一緒に、表1において指定された脂肪族ジオールも短行程分離機を備えたフラスコに入れた。
Figure 2023529859000005
本発明による実施例1~実施例12は、本発明による追加のジオールの量が遵守される限り、本発明の方法により所望のポリエステルカーボネートが高い粘度で得られたことを示している。ここで、更なる脂肪族ジオール、特に分岐状ジオールの添加により、更なる脂肪族ジオールが存在しない例に対して分子量の大幅な上昇が引き起こされることが分かる(比較例1を参照)。温度が高いほど良好な混和性が観察されたことから、これは、分子量の更なる増加が起こった可能性があることを意味している。過剰量の追加のジオールを使用すると(比較例2~比較例4を参照)、分子量の増加が明らかにより低い。
本発明による実施例13:方法工程(i)における反応
0.10molのシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、0.02molのBEPD(10%)、及び0.18molのイソソルビド、並びに0.3molのジフェニルカーボネート、及び(4-ジメチルアミノピリジン;出発材料CHDA、BEPD、DPC、及びISBに対して)100ppmのDMAP、並びにおよそ20ppmのLiに相当する0.0763mlの水酸化リチウムの水溶液(100g/l)を、短行程分離機を備えたフラスコに入れた。脱気及び窒素による真空の解放を4回行うことにより、混合物から酸素を除去した。混合物を段階的に190℃に加熱した。この操作の間に、二酸化炭素が継続的に発生した。次に、3mLの試料を採取し、MALDI-TOF-MSにより分析した。バッチが重合し続けることを保証するために、反応物を220℃に加熱した後に、圧力を段階的に1mbar未満に下げた。粘度の上昇が観察された。
分析の結果を表2にまとめる。それぞれの質量は、LiアダクトM+Liに対応する。ISBだけでなくBEPDも反応した可能性がある様々なピークが特定された。これは、イソソルビド及びBEPDが方法工程(i)の方法条件下で既に反応していることを明確に示している。表2においては、ISBはイソソルビド単位から2つの末端OH基を除いたものを示し(これらは別個に記載される)、CHDAはシクロヘキサン(シクロヘキサンジカルボン酸から2つのカルボン酸基を除いたもの)を表し、BEPDは2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオールから2つのOH基を除いたものを表している。
Figure 2023529859000006
これらの結果は、本発明の方法が、2工程法(すなわち、最初の脂環式ジカルボン酸と、ジアリールカーボネートとの反応によるジアリールジカルボキシレートの製造及び上記ジアリールジカルボキシレートの精製、続いてのジアリールジカルボキシレートとジアリールカーボネート及び脂肪族ジヒドロキシ化合物との縮合)を介して製造されたポリエステルカーボネートとは異なるポリエステルカーボネートをもたらすことを示唆している。様々なポリエステルカーボネートにおいて、カーボネート単位及び/又はエステル単位の様々な統計的分布が存在する可能性が非常に高い。

Claims (15)

  1. 溶融エステル交換によりポリエステルカーボネートを製造する方法であって、
    (i)少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートとを、少なくとも1つの触媒を使用して、(A)少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール及び(B)少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物の混合物の存在下で反応させる工程と、
    (ii)方法工程(i)から得られた混合物を、少なくとも縮合時に脱離した化学的化合物を除去しつつ、更なる縮合に供する工程と、
    を含み、
    前記ジヒドロキシ化合物の混合物は、それぞれの場合に成分(A)及び成分(B)の合計に対して、
    98mol%~75mol%、好ましくは97mol%~80mol%、特に好ましくは96mol%~82mol%の成分(A)と、
    2mol%~25mol%、好ましくは3mol%~20mol%、特に好ましくは4mol%~18mol%の成分(B)と、
    を含むことを特徴とする、方法。
  2. 方法工程(i)における前記反応前の、方法工程(i)において存在する全ての脂肪族ジヒドロキシ化合物と、方法工程(i)において存在する全ての脂環式ジカルボン酸とのモル比は、1:0.6~1:0.05、好ましくは1:0.55~1:0.1、より好ましくは1:0.5~1:0.15であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 方法工程(i)における前記反応を、少なくとも1つの第1の触媒及び/又は第2の触媒の存在下で行い、かつ方法工程(ii)における前記縮合を、少なくとも前記第1の触媒及び前記第2の触媒の存在下で行い、ここで、前記第1の触媒は、少なくとも1つの第三級窒素塩基であり、前記第2の触媒は、少なくとも1つの塩基性化合物、好ましくは塩基性アルカリ金属塩であり、かつ方法工程(ii)におけるアルカリ金属カチオンの割合は、方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.0008重量%~0.0030重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、化学式(I):
    HO-X-OH (I)
    (式中、Xは、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、2個~22個、好ましくは2個~4個の炭素原子を有する線状アルキレン基、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基、又は少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基であり、ここで、前記シクロアルキレン基は、2個以上の環を任意に含み得て、それぞれの場合に任意に分岐状であり得る)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジメタノール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、テトラヒドロフラン-2,5-ジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エタノール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、シクロブタン-1,1-ジイルジメタノール、8-(ヒドロキシメチル)-3-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル]メタノール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、及びそれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビドであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸は、化学式(IIa)、(IIb):
    Figure 2023529859000007
    (式中、
    Bは、それぞれの場合に独立して、CH基、又はO及びSからなる群より選択されるヘテロ原子、好ましくはCH基又は酸素原子を表し、
    は、それぞれの場合に独立して、単結合、又は1個~10個の炭素原子を有する線状アルキレン基、好ましくは単結合、又は1個~5個の炭素原子を有するアルキレン基、より好ましくは単結合を表し、かつ、
    nは、0から3の間の数、好ましくは0又は1である)の化合物、又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸は、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、テトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、テトラヒドロジメチルフラン-2,5-ジカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,4-ジカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,5-ジカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸、及びデカヒドロナフタレン-2,7-ジカルボン酸からなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つのジアリールカーボネートは、式(2):
    Figure 2023529859000008
    (式中、R、R’、及びR’’は、それぞれ独立して、同一又は異なる場合があり、水素、任意に分岐したC~C34アルキル、C~C34アルキルアリール、C~C34アリール、ニトロ基、カルボニル含有基、カルボキシル含有基、又はハロゲン基を表す)の化合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記第1の触媒は、グアニジンから誘導される塩基、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、及びこれらの物質の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1及び2の前記少なくとも1つの触媒又は請求項3~10の前記第1の触媒は、方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.002重量%~0.1重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第2の触媒は、無機又は有機のアルカリ金属塩及び無機又は有機のアルカリ土類金属塩からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の方法により得られるポリエステルカーボネート。
  14. 請求項13に記載のポリエステルカーボネートを含む成形コンパウンド。
  15. 請求項13に記載のポリエステルカーボネートを含む成形品。
JP2022574572A 2020-06-19 2021-06-11 脂環式二酸、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール、及び特定量の追加の脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とするポリエステルカーボネート Pending JP2023529859A (ja)

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