JP2023529991A - 規定の割合のエステル基を有するポリエステルカーボネート - Google Patents

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Abstract

本発明は、二酸及び少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール並びに少なくとも1つの追加の脂環式ジヒドロキシ化合物を基礎とするポリエステルカーボネートを調製する方法、ポリエステルカーボネート、並びに該ポリエステルカーボネートを含む成形コンパウンド及び成形体に関する。本発明によるポリエステルカーボネートは、高い割合のバイオベースの構造モチーフ、並びに良好な機械的特性及び分子量を特徴とする。

Description

本発明は、規定の割合のエステル基を有する構造式(1)のコポリエステルカーボネート、成形コンパウンド、成形品、及び対応するポリエステルカーボネートの調製方法に関する。
ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリエステルカーボネートは、機械的特性、熱変形安定性、及び耐候性等の点で優れた特性を有することが知られている。使用されるモノマーに応じて、各ポリマー群は、そのような材料を特徴付ける或る特定の主要な特徴を有する。例えば、特にポリカーボネートは優れた機械的特性を有する一方で、ポリエステルはより優れた化学的安定性を示すことが多い。選択されたモノマーに応じて、ポリエステルカーボネートは、上述の両方の群からの特性プロファイルを示す。
脂肪族ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートの不利点は、しばしば、それらの低いガラス転移温度である。したがって、脂環式アルコールを(コ)モノマーとして使用することが有利である。このような脂環式アルコールの例としては、TCDアルコール(トリシクロデカンジメタノール;8-(ヒドロキシメチル)-3-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル]メタノール)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、並びにイソソルビド及び異性体のイソマンニド及びイソイジド等の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールに基づくバイオベースのジオールが挙げられる。ガラス転移温度を更に上昇させるのに、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、若しくは1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、又は対応するナフタレン誘導体等の脂環式酸も(コ)モノマーとして頻繁に使用される。その際、反応物の選択に応じて、ポリエステル又はポリエステルカーボネートが得られる。本出願は、イソソルビド及び異性体等の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、フランジカルボン酸と、更には、或る特定の量のエステル基を含む脂環式アルコールとを基礎として、改善された特性が達成されたコポリエステルカーボネートに関する。本発明は更に、原材料の直接反応を特徴とし、かつホスゲン等の取り扱いが困難な原材料を一切必要としない、これらのコポリエステルカーボネートを調製する方法に関する。
ポリエステルは、例えば、対応するエステル含有モノマーとジオールとのエステル交換により工業スケールで調製される。例えば、二酸のジメチルエステルから出発して、1,4-シクロヘキサンジメタノールと1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とのポリエステルが製造される(このポリエステルとポリカーボネートとのブレンド:DuPontのXyrex(商標))。
しかしながら、エステル交換反応に関して、フェニルエステルはその脂肪族類似体よりもはるかに反応性が高い。特許文献1及び特許文献2には、中間工程としてのフェニルエステルを有するポリエステルカーボネートの調製方法が記載されている。これらは、シクロヘキサンジカルボン酸及びイソソルビドを基礎として調製される。
所望の性能を維持する持続可能な材料の需要が増え続けていることに伴い、バイオベースのモノマーは、コポリエステルカーボネートについても同様にますます脚光を浴びるようになっている。特に、既に上述した1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、既に商業的に入手可能である。フランジカルボン酸を、フルクトースから更に製造される5-ヒドロキシメチルフルフラールから得ることもできる。
本発明の目的のために、「バイオベースの」という表現は、該当する化学的化合物が出願日時点で再生可能及び/又は持続可能な原材料を介して入手可能であり、及び/又は得ることができ、及び/又は好ましくはそのような再生可能及び/又は持続可能な原材料であることを意味すると理解される。再生可能及び/又は持続可能な原材料は、好ましくは、その枯渇速度と同等の速度で自然過程によって再生される原材料を意味すると理解される(CEN/TS 16295:2012を参照)。この表現は、特に化石原材料から製造された原材料と区別する目的で使用され、本発明によれば石油ベースとも呼ばれる。化石原材料においては炭素同位体C14の相対量がより少ないため、原材料がバイオベースであるか又は石油ベースであるかを、原材料中の炭素同位体の測定によって判断することができる。これを、例えば、ASTM D6866-18(2018)又はISO16620-1~ISO16620-5(2015)又はDIN SPEC 91236 2011-07に従って行うことができる。
Terzopoulouら(非特許文献1)は、例えば、ポリ(2-メチル-1,3-プロピル-2,5-フラノエート)、ポリ(イソソルビド-2,5-フラノエート)、及びポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレン-2,5-フラノエート)等のフランジカルボン酸を含むバイオベースのポリエステルを記載している。ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレン-2,5-フラノエート)は半結晶性物質である。しかしながら、特に良好な透明性及び良好な機械的特性を特徴とするので、非晶質の特質を有するポリマーが望ましい。ポリ(2-メチル-1,3-プロピル-2,5-フラノエート)は非晶質であるが、その55℃のガラス転移温度は、多くの技術的用途にとっては低すぎる。ポリ(イソソルビド-2,5-フラノエート)も非晶質であり、高いガラス転移温度(157℃)を有するが、非常に剛直であり柔軟性がないポリマーである。剛直なポリマー鎖の場合に、分子量の増加につれて粘度が急激に上昇することが知られているため、合成中に分子量の増加が制限され、より高い分子量を生成することは困難である。さらに、モノマーの(したがってポリマー鎖の)剛直な性質は、機械的特性が一般的により劣ることを意味する。Terzopoulouらは、高いガラス転移温度と同時に良好な機械的特性を有する非晶質ポリマーをどのようにして得ることができるのかを記載していない。
Wangら(非特許文献2)はまた、フランジカルボン酸及びシクロヘキサンジメタノールから形成されたポリエステルを記載している。これらの材料はまた、結晶性の特質を有する。特許文献3はまた、イソソルビド、フランジカルボン酸、及びシクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルを記載している。
特許文献4は、イソソルビド、フランジカルボン酸、及び線状ジオールを含むポリエステルカーボネートを開示している。
Liuら(非特許文献3)は、ポリエステルの高いガラス転移温度と柔軟性との間の目的の対立を記載している。ポリマー鎖における剛直な環等の剛直な単位はガラス転移温度を高めるが、一方で、例えばシクロヘキサンジメタノール等の柔軟な単位の組み込みは、高分子量の達成に寄与する。著者らは、フランジカルボン酸及びテトラメチルシクロブタンジオール等の剛直な単位と、シクロヘキサンジメタノール等の柔軟なジオールとから形成される最適化されたポリエステルを記載している。この戦略により、比較的高い分子量を達成することができるが、およそ100℃の中程度のガラス転移温度であるにすぎない。著者らは、同時に調製中の連鎖生長及び非晶質の特質を維持しつつ、比較的高いガラス転移温度を有する材料を、どのようにして得るかに関する教示を明らかにしていない。
特許文献3はまた、フランジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジメタノール、及びエチレングリコールから形成されるポリエステルを記載している。これらのポリエステルは非晶質の特質を有するが、ガラス転移温度は示される全ての構成について100℃未満のままである。
特許文献5の実施例6は、0.7mol%のイソソルビド、0.3mol%のシクロヘキサンジメタノール、0.2mol%のシクロヘキサンジカルボン酸のジフェニルエステル、0.2mol%のテレフタル酸のジフェニルエステル、0.2mol%のフランジカルボン酸のジフェニルエステル、及び0.4mol%のジフェニルカーボネートから調製されるポリエステルカーボネートを開示している。したがって、合計0.6mol%の酸のジフェニルエステルが使用され、その結果、完全に転化されたと仮定すると、これらの酸は、得られるポリエステルカーボネートにおけるイソソルビド、シクロヘキサンジメタノール、及び全ての酸の構造モチーフに対して37.5mol%となる。テレフタル酸もシクロヘキサンジカルボン酸もバイオベースではないことから、この開示されたポリマーにおけるバイオベースの出発材料の全体的な割合の最適化が可能であることを意味する。
例えば、特許文献6は、芳香族ポリエステルカーボネートの簡単な調製を記載している。この文献は、直接合成又はワンポット合成、すなわち、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造モチーフが既に合成の開始時にモノマーとして存在している合成を明らかにしている。ここで使用されるモノマーは、例えばビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物、カルボン酸ジエステル、及び芳香族二酸又は線状脂肪族二酸である。この文献では芳香族ポリエステルカーボネートのみが調製されているという事実の結果として、形成されるフェノールを除去しながら、縮合反応において300℃の温度が使用され得る。1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールを含むポリエステルカーボネートの調製においては、そのような温度の使用は不可能である。それというのも、そのような熱応力下では、脂肪族ジオールは脱離を受け、及び/又は熱分解する傾向があるからである。しかしながら、同時に、所望の高分子量に至るには高い温度が必要である。ここでは、脂肪族ジオールと芳香族ジオールとの反応性の違いが特に明らかになる。例えば、イソソルビドがポリマーに完全に組み込まれることはめったになく、それよりも、選択される反応条件に応じて重合反応の間に最大25%のイソソルビドが失われることが文献から知られている。したがって、芳香族ジオールについての反応条件を脂肪族ジオールへと引き継ぐことは直ちに可能ではない。これは特に、特許文献6における重縮合(方法工程(ii)に対応する)についての反応時間が、高められた温度では、本発明に従って観察される反応時間よりも顕著に長いという事実から明らかである。
まだ未公開の出願である特許文献7は、脂環式ジカルボン酸と、ジアリールカーボネートと、脂肪族ジヒドロキシ化合物とを含むポリエステルカーボネートのワンポット合成を開示している。
特許文献1及び特許文献2に記載されるポリエステルカーボネートは、高いガラス転移温度を有する。しかしながら、これらのポリエステルカーボネートの構造は非常に剛直である。これは、特にイソソルビド構造が縮合によりポリマー鎖中に組み込まれた結果である。剛直な性質のため、二環式部分構造はガラス転移温度を高めるが、ポリマー鎖はあまり柔軟ではなくなり、これは、原則として不利点につながる可能性がある。Parkらは、ポリマー中のイソソルビドの量が多いほど分子量の低下がもたらされると記載している(非特許文献4)。著者らは、分子量の増加が高い溶融粘度によって妨げられると記載している。臨界分子量に達しないと、これにより不十分な機械的特性がもたらされる可能性がある。これは、特に柔軟でないポリマー鎖にとって重要である。剛直な鎖は、絡み合うことができるように比較的高い分子量を必要とする。これを達成することができないと脆性挙動が生ずる(臨界絡み合い分子量)。
欧州特許出願公開第3026074号 欧州特許出願公開第3248999号 米国特許出願公開第2019/375890号 中国特許出願公開第110183633号 国際公開第2020/085686号 国際公開第01/32742号 国際出願PCT/EP2019/084847号
Materials 2017, 10, 801 European Polymer Journal 109 (2018) 379-390 ACS Sustainable Chem. Eng. 2019, 7, 6401-6411 S. A. Park et al. Polymer 2017, 116, 153 - 159; pp. 155/156
したがって、この従来技術から出発して、本発明の課題は、高い割合のバイオベースの構造モチーフを特徴とし、簡単な合成によって得ることができ、非晶質の特質を有するとともに、高いガラス転移温度及び良好な機械的特性を達成するのに十分に高い分子量を有するポリエステルカーボネートを提供することであった。この場合に、本発明によれば、「高い割合のバイオベースの構造モチーフ」は、好ましくは、少なくとも55mol%、特に好ましくは60mol%、殊に好ましくは65mol%超の割合のバイオベースの構造モチーフを意味すると理解され、ここで、%は、使用されるモノマー(カーボネート構造を生ずるモノマー(ジフェニルカーボネート)を除く)の合計を基準とするものである。この場合に、「簡単な方法」という用語は、特に、装置の観点での要求が少なく、少ない段階、特に少ない精製段階しか含まず、及び/又は、したがって経済的に、そしてまた環境的に有利である方法を意味すると理解される。特に、本発明による方法は、取り扱いが困難な出発材料、特にホスゲンを必要とすべきでない。この場合に、100℃超、特に好ましくは110℃超、非常に特に好ましくは120℃超のガラス転移温度が好ましくは達成されるべきである。「十分に高い分子量」という用語は、好ましくは、それぞれの場合にウベローデ粘度計を用いてジクロロメタン中で5g/lの濃度において25℃にて測定された1.20超、好ましくは1.20~1.70、より好ましくは1.22~1.65の相対溶液粘度を有するポリマーを意味すると理解される。したがって、さらに、本発明によるポリエステルカーボネートは、より良好な加工特性及び良好な、好ましくは改善された機械的特性を有するべきである。これらは、特に十分に高いモル質量に起因するはずである。高い分子量は、例えば、調製方法におけるより良好な表面更新から得られる。良好な、好ましくは改善された機械的特性は、好ましくは、破断点伸び、弾性率、及び/又は衝撃強さ等の特性を指すことが意図される。
上述の課題のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てが本発明によって解決された。驚くべきことに、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造モチーフが既に合成の開始時にモノマーとして存在している直接合成又はワンポット合成において、溶融エステル交換により少なくとも1つのフランジカルボン酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートと、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと、少なくとも1つの更なる脂環式ジヒドロキシ化合物とからポリエステルカーボネートを合成することが可能であることが判明した。この場合に、フランジカルボン酸ではなくテレフタル酸であると、同じ合成条件でも十分な分子量の増加につながらないことが判明した。したがって、特に簡単である、すなわち、装置の観点での要求が少なく、少ない段階、特に少ない精製段階しか必要とせず、したがって経済的に、そして環境的にも有利である、高い割合のバイオベースの構造モチーフを有するポリエステルカーボネートを得ることを可能にする方法が見出された。さらに、高いガラス転移温度を有する非晶質の特質を有するポリエステルカーボネートがこうして入手可能となった。したがって、全体として、構成する構造要素が一方でポリマー鎖の剛直性と柔軟性との間の良好なバランスの要因となるが、他方で全体として、破断点伸び、弾性率、及び/又は衝撃強さ等の相応して良好な機械的特性をもたらす十分に高い分子量も示すポリエステルカーボネートを提供することが可能であった。特に、ジオール(又は、本発明によれば、ジヒドロキシ化合物)と酸との比率を自由にかつ柔軟に調整することができる方法が見出された。これにより、自由にかつ柔軟に調整することができる割合のエステル基及びカーボネート基を有するポリエステルカーボネートが得られる。このようにして、目下、選択的に調整可能な機械的特性を有するポリエステルカーボネートを得ることができる。したがって、特に、従来技術と比較して低い含有量のエステル基を有するポリエステルカーボネートが提供される。したがって、対照的に、本発明によるポリエステルカーボネートは、高められた割合のカーボネート基を有する。この個々の構造モチーフを自由に選択することができる結果として、高い割合のバイオベースの構造モチーフを有し、非晶質の特質を有するとともに、高いガラス転移温度及び良好な機械的特性を達成するのに十分に高い分子量を有するポリエステルカーボネートが入手可能となった。したがって、本発明によるポリエステルカーボネートがポリエステルブロックを一切有しないことも好ましい。本発明によれば、ポリエステルブロックは、この場合に、好ましくは、4個を超える、特に好ましくは5個を超える、非常に特に好ましくは10個を超える、括弧[…]によって囲まれた式(1)の繰返単位が連続して存在することを意味すると理解される。このようなポリエステルブロックは、機械的特性の設定に関する上記の柔軟性を制限する。それというのも、ここでは1:1の二酸対ジオールの比率を常に選択しなければならないからである。
したがって、本発明は、構造式(1)
Figure 2023529991000001
を含むポリエステルカーボネートであって、式中、
Aは、繰返単位ごとに独立して、少なくとも構造単位(A)又は構造単位(B)のいずれかを表し、ここで、
(A)は、化学式(2)
Figure 2023529991000002
を表し、かつ、
(B)は、化学式(3)
Figure 2023529991000003
を表し、式中、
xは、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基を表し、ポリエステルカーボネートは、常に構造単位(A)及び構造単位(B)を含み、
yは、それぞれ独立して、化学式(IV)
Figure 2023529991000004
を表し、かつ、
0<x<1であり、ここで、
それぞれの場合におけるは、化学式がポリエステルカーボネート中に組み込まれる位置を示し、
ポリエステルカーボネートは、以下の構造モチーフ
Figure 2023529991000005
の総合計に対して、5mol%~30mol%、好ましくは7mol%~25mol%、特に好ましくは9mol%~20mol%の程度が構造モチーフ
Figure 2023529991000006
からなることを特徴とする、ポリエステルカーボネートを提供する。
構造式(1)において、構成要素「A」をより詳細に定義する。Aは、少なくとも構造単位(A)又は構造単位(B)のいずれかを表し得る。これは、繰返単位ごとに独立して自由に選択され得る。本発明によれば、「繰返単位」という用語は、好ましくは、「[…]1-x」又は「[…]」のいずれかによって囲まれた構造を指す。したがって、構造式(1)は、Aに加えてカーボネート構造又はエステル構造のいずれかを有する2個の異なる繰返単位を既に含んでいる。Aは、構造式(1)の繰返単位ごとに独立して、少なくとも構造単位(A)又は構造単位(B)のいずれかを表す。この場合に、「少なくとも」という用語の使用は、Aが更なる構造単位(C)も表し得ることを意味する。しかしながら、本発明によるポリエステルカーボネートは、構造単位(A)及び構造単位(B)を必ず常に含んでいる。好ましくは、Aは、構造単位(A)及び構造単位(B)のみからなり、更なる構造単位(C)を一切含まない。この場合に、Aは、構造式(1)の繰返単位ごとに独立して、構造単位(A)又は構造単位(B)のいずれかを表す。さらに、(A)が式(2)の2つ以上の異なる構造を含み得ることは、当業者には明らかである。同様に、(B)は、式(3)の2つ以上の異なる構造を含み得る。しかしながら、(A)は、好ましくは、式(2)の構造を1つだけ含む。しかしながら、同様に好ましくは、(B)は、式(3)の構造を1つだけ含む。特に好ましくは、(A)及び(B)は、式(2)及び式(3)の構造をそれぞれ1つだけ含む。
本発明によれば、繰返単位と、構造単位と、構造モチーフとの間では区別がなされる。好ましくは、既に上記したように、繰返単位は、式(1)において括弧[…]1-x又は括弧[…]によって囲まれる構造を意味すると理解される。したがって、構造式(1)は、既に2個の繰返単位を含んでいる。Aの結果として、これはまた、少なくとも構造単位(A)及び構造単位(B)を更に有する。構造単位(A)及び構造単位(B)(場合によっては(C)も)は、繰返単位においてそれぞれ1回存在する。これらは、繰返単位ごとに異なる場合がある。本発明によれば、構造単位という用語は、好ましくは、カーボネート構造もエステル構造も有しないため、それ自体が繰返単位ではない構造に使用される。さらに、これは構造モチーフではない。したがって、この用語は、繰返単位及び構造モチーフよりも小さい構造に使用される。本発明によれば、構造モチーフは、好ましくは、ポリマーを形成する反応によって使用されるモノマーから誘導され得る構造を意味すると理解される。したがって、本発明によれば、構造モチーフは、少なくとも以下の構造:
Figure 2023529991000007
を意味すると理解される。第1の構造モチーフは、反応によって構造式(1)のポリマーへと組み込まれるジオールから誘導される。したがって、酸素は、構造式(1)におけるカーボネート単位又はエステル単位のいずれかの部分である。第2の構造モチーフは、類似のようにジカルボン酸から誘導される。第3の構造モチーフは、同様に類似のように1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールから誘導される。
したがって、これとは対照的に、本発明による構造単位は酸素を含まないため、モノマーに直接的に割り当てることはできない。したがって、構造単位(A)は、酸素原子を除く構造モチーフ
Figure 2023529991000008
に対応する。構造単位(B)は、酸素原子を除く構造モチーフ
Figure 2023529991000009
に対応する。
特に、本発明によるポリエステルカーボネートは、ポリエステルカーボネートが、以下の繰返単位(i)~繰返単位(iv)
Figure 2023529991000010
(式中、a、b、c、及びdは、それぞれ独立して、それぞれの場合の繰返単位の平均数を示す自然数を表す)を任意の順序で含むことを特徴とすることが好ましい。ここでも、繰返単位は括弧によって囲まれている。a、b、c、及びdの指数は、好ましくは、本発明による溶液粘度をもたらすように設定される。本発明によれば、a、b、c、及びdの数が非常に高いため、十分に高い分子量が得られたことは驚くべきことであった。
この場合に、本発明によるポリエステルカーボネートは、特に1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールとフランジカルボン酸との間の直接的な連結が繰返単位(ii)において形成されるか、又は形成され得ることを特徴とする。
本発明によれば、ポリエステルカーボネートは、ポリエステルカーボネートの総重量に対して、少なくとも80重量%、好ましくは85重量%、特に好ましくは90重量%、より好ましくは95重量%、同様に好ましくは99重量%の程度が構造式(1)からなることが好ましい。したがって、本発明によるポリエステルカーボネートは、好ましくは、構造式(1)において定義された構造以外の構造を少量しか有しない。さらに、本発明によるポリエステルカーボネートは、カーボネート構造及び/又はエステル構造以外の機能的構造を一切含まないことが好ましい。これは、構造式(1)からなるものでない20重量%以下、好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下が、好ましくは、他のジオール又はジカルボン酸から誘導され得ることを意味し、これらは更に、ポリエステルカーボネートへの組み込みの結果として、カーボネート構造又はエステル構造をもたらす。しかしながら、本発明はまた、ポリマー分子がそれぞれ依然としてOH末端基又は酸末端基を含み得る状況も対象に含めている。これらは、本発明によれば、一般に低い濃度で存在する。したがって、これらは、本発明によるポリエステルカーボネートが、カーボネート構造及び/又はエステル構造以外の機能的構造を一切含まない場合でさえも含まれる。
本発明によるポリエステルカーボネートは、以下の構造モチーフ
Figure 2023529991000011
の総合計に対して、5mol%~30mol%、好ましくは7mol%~25mol%、特に好ましくは10mol%~20mol%の程度が構造モチーフ
Figure 2023529991000012
からなることを特徴としている。
本発明によれば、ヒドロキシ官能価を有する使用されるモノマーとジカルボン酸との比率は、ポリエステルカーボネートにおいて上述した範囲内で自由に調整され得る。ジヒドロキシ化合物を多く使用するほど、カーボネート構造が多く得られる。ジカルボン酸が多いほど、エステル構造が多くなる。したがって、結果として、カーボネート構造とエステル構造との比率は、同様に自由に選択可能である。これは、特に、ポリエステルカーボネートを形成する全てのモノマーが合成の開始時に既に存在する本発明による方法に落ち着くことが分かっている。したがって、これにより、ポリエステルカーボネートの個々の構成要素による本発明により定められた限界内で、制御された様式にて調整することができる特性を有するポリエステルカーボネートがもたらされる。
好ましくは、(A)は、構造
Figure 2023529991000013
の少なくとも1つから選択される。(A)は、非常に特に好ましくは、
Figure 2023529991000014
である。これは、バイオベースの手段を介して得ることができる構造モチーフである。したがって、この成分が存在すると、本発明によるポリエステルカーボネートにおけるバイオベースの構造モチーフの全体の割合が高まる。
同様に好ましくは、化学式(3)におけるxは、構造式(4):
Figure 2023529991000015
を表す。
特に好ましくは、化学式(1)におけるyは、化学式(5):
Figure 2023529991000016
を表す。
この構造は、2,5-フランジカルボン酸から誘導される構造モチーフである。これは、バイオベースの手段によって製造され得る。したがって、この成分が存在すると、本発明によるポリエステルカーボネートにおけるバイオベースの構造モチーフの全体の割合が高まる。
本発明によるポリエステルカーボネートは、好ましくは、それぞれの場合に構造単位(A)及び構造単位(B)の合計に対して、50mol%~75mol%、好ましくは53mol%~72mol%、特に好ましくは57mol%~70mol%の構造単位(A)と、25mol%~50mol%、好ましくは28mol%~47mol%、特に好ましくは30mol%~43mol%の構造単位(B)とを含むことを特徴とする。この比率は、機械的特性に関して特に有利であることが判明した。構造単位(A)はガラス転移温度を高め、同時に構造単位(B)はポリマー鎖に柔軟性を与える。
同様に、本発明によるポリエステルカーボネートは、以下の構造モチーフ
Figure 2023529991000017
の総合計に対して、40mol%~70mol%、好ましくは45mol%~65mol%、特に好ましくは50mol%~60mol%の程度が化学式(2)
Figure 2023529991000018
、特に好ましくは化学式
Figure 2023529991000019
からなることが好ましい。本発明によるポリエステルカーボネートにおける式(2)のこの高い割合は、最初にバイオベースの構造単位の全体的な割合を高める。しかしながら同時に、この構造モチーフはガラス転移温度も高める。したがって、本発明による高いガラス転移温度を達成することができる。
さらに、本発明によるポリエステルカーボネートは、それぞれの場合に以下の構造モチーフ
Figure 2023529991000020
の総合計に対して、20mol%~40mol%、好ましくは22mol%~38mol%、特に好ましくは25mol%~35mol%の程度が化学式(3)
Figure 2023529991000021
、特に好ましくは化学式(4)からなることが好ましい。この構造モチーフは、本発明によるポリエステルカーボネート全体としての機械的特性を改善する。特許文献5において示されるように、この構造単位は、同様にバイオベースの手段を介して得ることが可能である。
さらに、yについての上述した構造と一緒に、更なる酸の分量を使用することもできる。これらは、好ましくはバイオベースのものである。したがって、特に好ましくは、yは、それぞれの場合に全体の構造モチーフ
Figure 2023529991000022
に対して、最大60mol%、より好ましくは最大55mol%、非常に特に好ましくは最大51mol%の構造式y1及び/又は構造式y2を更に含む。好ましくは、y1は、環を含まない。特に好ましくは、y1は、1,4-ブチレン、2,2,4-トリメチルブチレン、2,4,4-トリメチルブチレン、2,2,5-トリメチルブチレン、3,3-プロピレン、及び3,3-ジメチルプロピレンからなる群より選択される。したがって、非常に特に好ましくは、本発明によるポリエステルカーボネートは、それぞれの場合に全体の構造モチーフ
Figure 2023529991000023
に対して、最大60mol%、より好ましくは最大55mol%、非常に特に好ましくは最大51mol%の1,4-ブチレンを、yについて選択され得る構造式y1として更に含む。結果として、バイオベースの構造モチーフの全体的な割合を全体として維持することができ、更により高い分子量、したがって良好な機械的特性、好ましくは改善された機械的特性が全体として達成され得ることが判明した。
同様に、y2を、以下のジカルボン酸:イソフタル酸、テレフタル酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸から誘導される構造からなる群より選択することが可能である。この場合に、形成されたエステル基は構造単位y2に属しないことが分かる。しかしながら、特に好ましくは、本発明によるポリエステルカーボネートは、芳香族ジカルボン酸から誘導される更なる芳香族構造を一切含まない。特に、上述の酸が出願日時点でバイオベースの手段を介して商業的に入手可能でないことは不利である。さらに、例えば、テレフタル酸は、本発明による方法を介してポリエステルカーボネートへと特に適切に組み込まれないことが判明した。
本発明によるポリエステルカーボネートは、特に好ましくは、石油ベースの酸に由来するyを一切含まない。ポリエステルカーボネートは、同様に好ましくは、全体として、石油ベースの酸から誘導される繰返単位を一切含まない。この場合に、ポリエステルカーボネートが(シクロヘキサンジカルボン酸から誘導される)シクロヘキシレンを表すyを一切含まないことが特に好ましい。これは、本発明によるポリエステルカーボネートが全体として、シクロヘキサンジカルボン酸から誘導される繰返単位を一切含まないことが特に好ましいことを意味する。この酸は、ポリエステルカーボネートにおけるバイオベースの構造モチーフの全体的な割合を低下させる。それというのも、この酸は、出願日時点ではバイオベースの手段を介して商業的に入手可能ではなかったからである。
さらに、本発明によれば、Aが更に構造単位(C)を表すことも除外されない。(C)は、(A)及び(B)とは異なる脂肪族構造及び/又は芳香族構造を含む。しかしながら、これらは、好ましくは少ない割合でのみ存在する。好ましくは、(C)は、構造単位(A)、構造単位(B)、及び構造単位(C)の総合計に対して、最大20mol%、より好ましくは最大10mol%、非常に特に好ましくは最大5mol%の程度で追加的に存在する。この場合に、(A)と(B)との好ましい規定の比率は同じままである。これらの場合に、本発明によれば、依然として好ましくは、脂肪族ポリエステルカーボネートについて言及される。しかしながら、本発明によるポリエステルカーボネートは、特に好ましくは、構造単位(C)を一切有しない。同様に、本発明によるポリエステルカーボネートは、構造単位(C)も構造単位y2も含まないことが好ましい。したがって、Aは、(A)及び(B)からなることが好ましい。
これらの追加の構造単位(C)は、好ましくは、化学式(3)におけるxを表す構造単位x1からなる群より選択され、ここで、x1は、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、2個~22個、好ましくは2個~4個の炭素原子を有する線状アルキレン基、又は少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基を表す。x1が、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る線状アルキレン基である場合に、これは、好ましくは2個~15個、特に好ましくは2個~12個、非常に特に好ましくは2個~11個、特に好ましくは2個~10個、より好ましくは2個~6個、より好ましくは3個~4個の炭素原子を有する。アルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、特に好ましくは酸素である。特に好ましくは、アルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。アルキレン基中に存在する少なくとも1個のヘテロ原子がある場合に、示された炭素原子数は、アルキレン基中の炭素原子の総数を指す。例えば、基-CH-CH-O-CH-CH-は、4個の炭素原子を含む。本発明によれば、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る線状アルキレン基は、12個未満、特に好ましくは10個未満の炭素原子を有することが好ましい。特に好ましくは、アルキレン基はヘテロ原子を一切有しない。
本発明によれば、x1が、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子、特に好ましくは5個~11個の炭素原子、非常に特に好ましくは5個~10個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基である場合に、上記の記述はヘテロ原子に適用される。分岐状アルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、特に好ましくは酸素である。特に好ましくは、分岐状アルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。特に好ましくは、分岐状アルキレン基はヘテロ原子を一切有しない。「分岐状」という用語は、当業者に知られる脂肪族炭素鎖における分岐を指すものと理解される。これは、分岐状アルキレン基が、好ましくは少なくとも1個の第三級炭素原子及び/又は少なくとも1個の第四級炭素原子を含むことを意味する。分岐状アルキレン基中に2個以上の分岐が存在し得る。分岐は、好ましくは1個~5個の炭素原子、特に好ましくは1個~4個、非常に特に好ましくは1個~3個の炭素原子の鎖長を有する。分岐のこれらの炭素原子は、分岐状アルキレン基の総炭素数に考慮される。これは、例えば、分岐状アルキレン基-CH-C(CH-CH-が5個の炭素原子を有することを意味する。
追加の構造単位(C)は、同様に好ましくは、以下のジオールから誘導される構造単位の群から選択される:ビスフェノールA、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル(DODエーテル)、ビスフェノールB、ビスフェノールM、ビスフェノール(I)~(III)
Figure 2023529991000024
(これらの式(I)~式(III)において、R’は、それぞれの場合にC~Cアルキル、アラルキル、又はアリール、好ましくはメチル又はフェニル、非常に特に好ましくはメチルを表す)。本発明によれば、「~から誘導される」という表現は、好ましくは、対応するモノマーが、ヒドロキシル基又は酸基を介して、エステル基の形成又はカーボネート基の形成のいずれかによって、形成されるポリエステルカーボネートへと導入されることを意味する。
本発明によれば、構造式(1)について又は構造式(1)において更なる単位が存在する場合に、上記規定のmol%及び比率が保持されることが好ましい。その際、それぞれの新たに定義された単位のモル量はそこに含まれる。
同様に、本発明によるポリエステルカーボネートにおける規定のmol%を、H NMRによって決定することが好ましい。この方法は当業者に知られている。ポリエステルカーボネートは、例えばCDCl中に溶解される場合があり、構造単位の対応するピークが特定される場合がある。比率及び割合は、積分を介して決定され得る。一方で、本発明によるmol%は、モノマーの使用されるモル量及び比率を介しても決定され得る。この場合に、全てのモノマーが同じ比率でポリエステルカーボネートへと完全に組み込まれると仮定する必要がある。したがって、当業者は比率を前もって設定することもできる。
本発明によるポリエステルカーボネートは、好ましくは、それぞれの場合にウベローデ粘度計を用いてジクロロメタン中で5g/lの濃度において25℃にて測定された1.20~1.70、より好ましくは1.22~1.65の相対溶液粘度を有する。当業者は、ウベローデ粘度計を使用した相対溶液粘度の決定に精通している。本発明によれば、この決定は、好ましくはDIN51562-3;1985-05に従って行われる。この方法は、測定されるポリエステルカーボネートのフロータイムをウベローデ粘度計により測定した後に、ポリマー溶液とその溶媒との間の粘度の差を確かめることを含む。このために、純粋な溶媒であるジクロロメタン、トリクロロエチレン、及びテトラクロロエチレンを測定することによってウベローデ粘度計を初期較正する(常に少なくとも3回であるが、多くても9回の測定を行う)。これに続いて、溶媒であるジクロロメタンを使用して実際の較正を行う。次に、ポリマー試料を秤量し、ジクロロメタン中に溶解した後に、この溶液についてフロータイムを3回決定する。ハーゲンバッハ補正を介してフロータイムの平均値を補正して、相対溶液粘度を算出する。
本発明の更なる態様においては、溶融エステル交換によりポリエステルカーボネート、特に本発明によるポリエステルカーボネートを調製する方法であって、
(i)少なくとも、式(IVa)
Figure 2023529991000025
の少なくとも1つのジカルボン酸と、
少なくとも1つのジアリールカーボネートとを、少なくとも1つの触媒を使用して、(A)少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール及び(B)少なくとも1つの更なる脂環式ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物の混合物の存在下で反応させる工程と、
(ii)方法工程(i)から得られた混合物を、少なくとも縮合時に脱離した化学的化合物を除去しつつ、更に縮合させる工程と、
を含む、方法が提供される。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも、少なくとも式(IVa)のジカルボン酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応が存在する。しかしながら、本発明によれば、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(以降、成分(A)とも)及び少なくとも1つの更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物(以降、成分(B)とも)(ここで、成分(A)及び成分(B)は、その後、本発明によるポリエステルカーボネートにおける構造単位(A)及び構造単位(B)をもたらすことに留意すべきである)の存在の結果として、更なる反応は除外され得ない。実際、方法工程(i)において早くも、成分(A)及び/又は成分(B)と、カーボネート(2個のヒドロキシ基が失われる)とから形成される単位に対応するMALDI-ToF質量分析計において質量間隔を有するオリゴマーが形成されることが実施例により実証された。これは、方法工程(i)において、ジエステルの形成以外に更なる反応が起こる可能性があることを意味する。しかしながら、本発明によれば、これはまた、存在する全ての式(IVa)のジカルボン酸と、化学量論的当量のジアリールカーボネートとの反応が、方法工程(ii)の開始前に起こって完了している必要はないことも意味する。しかしながら、本発明によれば、ガス形成の本質的な減少が観察され得るまで方法工程(i)を実施した後に初めて、方法工程(ii)を、例えば、真空を適用して縮合時に脱離した化学的化合物を除去することによって開始することが好ましい。しかしながら、既に上述したように、任意に、方法工程(i)及び方法工程(ii)は、本発明によれば互いに明確には区別され得ない。
方法工程(i)
本発明による方法は、直接合成又は更にはワンポット合成と呼ばれる。それというのも、方法工程(i)において、後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造モチーフが既にモノマーとして存在しているからである。これは、好ましくは、本発明によれば、成分(A)及び成分(B)の脂環式ジヒドロキシ化合物、式(IVa)のジカルボン酸、及び/又はジアリールカーボネートだけよりも多くが含まれる場合であっても、全ての脂環式ジヒドロキシ化合物(それぞれの場合に、成分(A)及び成分(B))、全ての式(IVa)のジカルボン酸、そしてまた全てのジアリールカーボネートがこの工程において存在することを意味する。したがって、本発明によれば、方法工程(ii)において縮合されてポリエステルカーボネートとなる全てのモノマーが、方法工程(i)の間に既に存在していることが好ましい。本発明はまた、少ない割合の少なくとも1つのジアリールカーボネートが方法工程(ii)において追加的に添加される実施形態を含む。これを選択的に使用して、得られるポリエステルカーボネートのOH末端基含有量を低下させることができる。このようなアプローチは、例えば、特開2010-077398号において記載されている。しかしながら、この場合に、依然として後続のポリエステルカーボネートを形成する全ての構造要素が方法工程(i)においてモノマーとして存在し、更なる構造要素を添加しない場合であるには、方法工程(ii)において少量で添加される少なくとも1つのジアリールカーボネートは、方法工程(i)において存在する少なくとも1つのジアリールカーボネートに対応することが必要である。したがって、こういった意味で、この方法は、依然として直接合成又はワンポット合成と呼ばれ得る。
さらに、本発明によれば、方法工程(i)における更なる脂肪族又は芳香族のジヒドロキシ化合物及び/又はジカルボン酸の存在は除外されない。しかしながら、これらの更なる脂肪族又は芳香族のジヒドロキシ化合物は、好ましくは、少ない割合でのみ存在する。方法工程(i)において、使用されるジヒドロキシ化合物の総モル量に対して、最大20mol%、より好ましくは最大10mol%、非常に特に好ましくは最大5mol%の芳香族ジヒドロキシ化合物(成分(C))が更に存在することが特に好ましい。この場合に、成分(A)と成分(B)との好ましく規定された比率は同じままである。方法工程(i)においては、場合によりまた芳香族ジヒドロキシ化合物に加えて、使用されるジカルボン酸の総モル量に対して、最大60mol%、より好ましくは最大55mol%、非常に特に好ましくは最大51mol%の更なるジカルボン酸、特に好ましくはアジピン酸が更に存在することが同様に特に好ましい。しかしながら、方法工程(i)において更なる脂肪族又は芳香族のジヒドロキシ化合物を使用しないことが特に好ましい。同様に、方法工程(i)において更なるジカルボン酸を使用しないことも好ましい。同様に、方法工程(i)において更なる脂肪族又は芳香族のジヒドロキシ化合物も更なるジカルボン酸も使用しないことが好ましい。これにより、プロセス全体を管理することがより容易になる。それというのも、必要とされるモノマーがより少ないため、必要とされる影響を及ぼすパラメーターがより少ないからである。別の実施形態においては、方法工程(i)においてアジピン酸を使用することも好ましい。アジピン酸は、好ましくは、使用されるジカルボン酸の総モル量に対して、最大60mol%、より好ましくは最大55mol%、非常に特に好ましくは最大51mol%の程度で使用される。したがって、好ましくは、方法工程(i)においては、バイオベースのジカルボン酸しか使用されない。
これらの追加の更なる脂肪族ジヒドロキシ化合物(成分(C))は、好ましくは、化学式(I):
HO-X-OH (I)
(式中、Xは、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、2個~22個、好ましくは2個~15個の炭素原子、特に好ましくは2個~10個の炭素原子を有する線状アルキレン基、又は少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基を表す)を有する。
本発明によれば、Xが、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る線状アルキレン基である場合に、これは、好ましくは2個~15個、特に好ましくは2個~12個、非常に特に好ましくは2個~11個、特に好ましくは2個~10個、より好ましくは2個~6個、より好ましくは3個~4個の炭素原子を有する。アルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、特に好ましくは酸素である。特に好ましくは、アルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。アルキレン基中に存在する少なくとも1個のヘテロ原子がある場合に、示された炭素原子数は、アルキレン基中の炭素原子の総数を指す。例えば、基-CH-CH-O-CH-CH-は、4個の炭素原子を含む。本発明によれば、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る線状アルキレン基は、12個未満、特に好ましくは10個未満の炭素原子を有することが好ましい。特に好ましくは、アルキレン基はヘテロ原子を一切有しない。
本発明によれば、Xが、少なくとも1個のヘテロ原子によって任意に中断され得る、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子、特に好ましくは5個~11個の炭素原子、非常に特に好ましくは5個~10個の炭素原子を有する分岐状アルキレン基である場合に、上記の記述はヘテロ原子に適用される。分岐状アルキレン基を任意に中断し得るヘテロ原子は、好ましくは酸素又は硫黄、特に好ましくは酸素である。特に好ましくは、分岐状アルキレン基は、1個だけのヘテロ原子を含むか、又はヘテロ原子を含まない。特に好ましくは、分岐状アルキレン基はヘテロ原子を一切有しない。「分岐状」という用語は、当業者に知られる脂肪族炭素鎖における分岐を指すものと理解される。これは、分岐状アルキレン基が、好ましくは少なくとも1個の第三級炭素原子及び/又は少なくとも1個の第四級炭素原子を含むことを意味する。分岐状アルキレン基中に2個以上の分岐が存在し得る。分岐は、好ましくは1個~5個の炭素原子、特に好ましくは1個~4個、非常に特に好ましくは1個~3個の炭素原子の鎖長を有する。分岐のこれらの炭素原子は、分岐状アルキレン基の総炭素数に考慮される。これは、例えば、分岐状アルキレン基-CH-C(CH-CH-が5個の炭素原子を有することを意味する。
本発明によれば、好ましくは、少なくとも1つの更なる脂肪族及び/又は芳香族のジヒドロキシ化合物が使用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物(成分(C))は、好ましくは、ビスフェノールA、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル(DODエーテル)、ビスフェノールB、ビスフェノールM、ビスフェノール(I)~(III)
Figure 2023529991000026
(これらの式(I)~式(III)において、R’は、それぞれの場合にC~Cアルキル、アラルキル、又はアリール、好ましくはメチル又はフェニル、非常に特に好ましくはメチルを表す)からなる群より選択される。
これらの追加のジカルボン酸は、好ましくは、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、2,2,5-トリメチルアジピン酸、3,3-ジメチルグルタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸からなる群より選択される。少なくとも1つの追加のジカルボン酸は、特に好ましくは、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、2,2,5-トリメチルアジピン酸、及び3,3-ジメチルグルタル酸からなる群より選択される。1つの更なるジカルボン酸は、非常に特に好ましくは、アジピン酸である。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールが成分(A)として使用される。当業者に知られるように、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは一般に、イソマンニド、イソイジド、及びイソソルビドからなる群より選択される。これは、バイオベースのモノマー及び得られるポリマーの全ての付随する利点を備えたバイオベースの構造要素を含み得る(例えば、再生可能な原材料から得られるため、より持続可能性に優れている)。本発明による方法は、特に好ましくは、少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールがイソソルビドであることを特徴とする。成分(A)がイソソルビドからなることが好ましい。
本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの更なる脂環式ジヒドロキシ化合物(成分(B))が使用される。成分(B)が2つの更なる脂環式ジヒドロキシ化合物からなることが好ましい。同様に、成分(B)が1つの更なる脂環式ジヒドロキシ化合物からなることが好ましい。したがって、成分(A)がイソソルビドからなり、かつ成分(B)が更なる脂環式ジヒドロキシ化合物からなることが特に好ましい。ジヒドロキシ化合物の混合物中に、成分(C)が、任意に存在する場合もある(上記参照)。
本発明による方法は、特に好ましくは、少なくとも1つの脂環式ジヒドロキシ化合物(成分(B))が、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及びそれらのあらゆる所望の混合物からなる群より選択されることを特徴とする。成分(B)は、非常に特に好ましくは、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールからなる群より選択される。成分(B)は、特に好ましくは、1,4-シクロヘキサンジメタノールである。
同様に、本発明によれば、方法工程(i)において、式(IVa)の少なくとも1つのジカルボン酸が使用される。これは、好ましくは、2,5-フランジカルボン酸である。
同様に、本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つのジアリールカーボネートが使用される。ここで、少なくとも1つのジアリールカーボネートは、式(2)
Figure 2023529991000027
(式中、R、R’、及びR’’は、それぞれ独立して、同一又は異なる場合があり、水素、任意に分岐したC~C34アルキル、C~C34アルキルアリール、C~C34アリール、ニトロ基、カルボニル含有基、カルボキシル含有基、又はハロゲン基を表す)の化合物からなる群より選択されることが好ましい。好ましくは、R、R’、及びR’’は、それぞれ独立して、同一又は異なる場合があり、水素、任意に分岐したC~C34アルキル、C~C34アルキルアリール、C~C34アリール、ニトロ基、カルボニル含有基、又はハロゲン基を表す。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、好ましくは、ジフェニルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート、ビス(エチルサリチル)カーボネート、ビス(プロピルサリチル)カーボネート、ビス(2-ベンゾイルフェニル)カーボネート、ビス(フェニルサリチル)カーボネート、及び/又はビス(ベンジルサリチル)カーボネートである。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、好ましくは、ジフェニルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビス(2-ベンゾイルフェニル)カーボネート、ビス(フェニルサリチル)カーボネート、及び/又はビス(ベンジルサリチル)カーボネートである。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、特に好ましくは、ジフェニルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、及び/又はジ[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル]カーボネートである。少なくとも1つのジアリールカーボネートは、特に好ましくは、ジフェニルカーボネートである。
好ましい実施形態においては、方法工程(i)は、成分(A)としてイソソルビドを使用し、成分(B)として1,4-シクロヘキサンジメタノールを使用し、ジアリールカーボネートとしてジフェニルカーボネートを使用し、かつ式(IVa)のジカルボン酸として2,5-フランジカルボン酸を使用する。この場合に、更なるジカルボン酸としてアジピン酸を使用することが特に好ましい。この実施形態においては、更なるモノマーを使用しないことが好ましい。
さらに、本発明によれば、方法工程(i)において、少なくとも1つの触媒が存在する。これは、好ましくは、無機塩基及び/又は有機触媒である。少なくとも1つの触媒は、特に好ましくは、5以下のpKを有する無機塩基又は有機塩基である。
少なくとも1つの無機塩基又は少なくとも1つの有機触媒が、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、及びマグネシウムの水酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物、フェノキシド、ジフェノキシド、フッ化物、酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、及びホウ酸塩(boranates)、水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホウ酸テトラフェニルホスホニウム、水酸化ジメチルジフェニルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムフェノキシド、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-フェニル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7,7’-ヘキシリデンジ-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7,7’-デシリデンジ-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7,7’-ドデシリデンジ-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、ホスファゼン塩基P1-t-oct(tert-オクチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン)、ホスファゼン塩基P1-t-butyl(tert-ブチル-イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン)、並びに2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザ-2-ホスホラン(BEMP)からなる群より選択されることも好ましい。あらゆる所望の混合物を使用することも可能である。
少なくとも1つの触媒は、特に好ましくは有機塩基、好ましくは上記の有機塩基、非常に特に好ましくはアルキルアミン、イミダゾール(誘導体)、トリアザビシクロデセン等のグアニジン塩基、DMAP及び対応する誘導体、DBN、並びにDBU、最も好ましくはDMAPである。これらの触媒は、本発明による方法工程(ii)において、これらが、例えば減圧によって、縮合時に脱離した化学的化合物とともに分離除去され得るという特定の利点をもたらす。これは、得られるポリエステルカーボネートが僅かな含有量の触媒しか含まないか、又は更には全く含まないことを意味する。これは、ポリマーが、例えばホスゲンが使用される経路において常に形成される無機塩を含まないという特定の利点をもたらす。そのような塩は、ポリエステルカーボネートの安定性に悪影響を及ぼし得ることが知られている。それというのも、対応する分解に関してイオンが触媒作用を有し得るからである。
少なくとも1つの触媒を、1molの脂環式ジカルボン酸に対して、1ppm~5000ppm、好ましくは5ppm~1000ppm、特に好ましくは20ppm~200ppmの量で使用することが好ましい。
別の実施形態においては、本発明による方法は、方法工程(i)における反応を、少なくとも1つの第1の触媒及び/又は第2の触媒の存在下で行い、かつ方法工程(ii)における縮合を、少なくとも第1の触媒及び第2の触媒の存在下で行い、ここで、第1の触媒が、少なくとも1つの第三級窒素塩基であり、第2の触媒が、少なくとも1つの塩基性化合物、好ましくは塩基性アルカリ金属塩であり、かつ方法工程(ii)におけるアルカリ金属カチオンの割合が、方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.0008重量%~0.0050重量%であることを特徴とする。
したがって、この実施形態においては、方法工程(i)において、第1の触媒及び/又は第2の触媒が存在する。
第1の触媒は、第三級窒素塩基である。この第1の触媒は、好ましくは、グアニジンから誘導される塩基、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、ヘキサメチルホスホルイミド(hexamethylphosphorimide)トリアミド、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロデカ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、DBN、エチルイミダゾール、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)、ピリジン、TMG、及びこれらの物質の混合物から選択される。より好ましくは、第1の触媒は、グアニジンから誘導される塩基、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、及び1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンから選択される。4-ジメチルアミノピリジンを使用することが特に好ましい。
第1の触媒は、好ましくは、それぞれの場合に方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.002重量%~0.10重量%の量で、より好ましくは、0.005重量%~0.050重量%の量で、特に好ましくは、0.008重量%~0.030重量%の量で使用される。
第2の触媒は、無機又は有機のアルカリ金属塩及び無機又は有機のアルカリ土類金属塩からなる群より選択されることが好ましい。より好ましくは、方法工程(ii)において存在するアルカリ金属カチオンは、リチウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、セシウムカチオン、及びそれらの混合物である。
使用される第2の触媒は、好ましくは弱酸(25℃で3から7の間のpKa)の有機又は無機のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。適切な弱酸は、例えば、カルボン酸、好ましくはC~C22カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、3-メチル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、p-トルエン酢酸、4-ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ポリカルボン酸の部分エステル、例えばコハク酸のモノエステル、分岐状脂肪族カルボン酸、例えば、2,2-ジメチルプロパン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、2,2-ジメチブタン酸、及び2-エチルヘキサン酸である。しかしながら、同様に、例えば塩酸等の強酸の有機又は無機のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を使用することも可能である。
適切な有機塩及び無機塩は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸リチウム、オレイン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、並びにBPAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、及び二リチウム塩である、又はそれらから誘導される。炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、及び対応するオレイン酸塩を使用することも可能である。フェノール類、特にフェノールの対応する塩も使用することができる。これらの塩を、個別に又は混合物にて使用することができる。
第2の触媒は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、ナトリウムフェノキシド、リチウムフェノキシド、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、塩化リチウム、リチウムアセチルアセトナート、及び炭酸セシウム、並びにこれらの物質の混合物からなる群より選択される。ナトリウムフェノキシド、リチウムフェノキシド、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、塩化リチウム、及び/又はリチウムアセチルアセトナートを使用することが特に好ましい。塩化リチウムは、好ましくは、水溶液として、例えば15%の溶液の形で使用される。
方法工程(i)における反応前の、方法工程(i)において存在する全てのジヒドロキシ化合物と、方法工程(i)において存在する全てのジカルボン酸とのモル比は、好ましくは1:0.4~1:0.005、より好ましくは1:0.3~1:0.015、非常に特に好ましくは1:0.2~1:0.05であることが判明した。
本発明による方法は、この方法の間に二酸化炭素が放出されることを特徴とする。本発明によれば、二酸化炭素は、好ましくは方法工程(i)において脱離される(上記の反応スキームを参照)。この手順により、低い熱応力で迅速な反応が可能となる。
さらに、本発明の方法工程(i)は、好ましくは、以下の工程(ia)~工程(ic)の少なくとも1つ、特に好ましくは全てを含む:
(ia)方法工程(i)において存在する全ての成分、すなわち、式(IVa)の少なくとも1つのジカルボン酸、少なくとも1つのジアリールカーボネート、並びに少なくとも成分(A)及び成分(B)を少なくとも、少なくとも1つの触媒の存在下で溶融する工程。これは、好ましくは、保護ガス雰囲気下、好ましくは窒素下及び/又はアルゴン下で行われる。工程(ia)は、好ましくは、溶媒の不存在下で行われる。「溶媒」という用語は、この文脈において、当業者に知られている。本発明によれば、「溶媒」という用語は、好ましくは、方法工程(i)及び方法工程(ii)のいずれにおいても化学反応を起こさない化合物を意味すると理解される。反応によって形成される化合物(例えば、ジフェニルカーボネートが少なくとも1つのジアリールカーボネートとして使用される場合のフェノール)は除外される。当然ながら、出発化合物における微量の溶媒の存在は排除され得ない。この場合は、本発明により含まれることが好ましい。しかしながら、本発明によれば、そのような溶媒を添加する能動的な工程を避けることが好ましい。
(ib)混合物、好ましくは工程(ia)から得られた溶融物を加熱する工程。工程(ia)と工程(ib)とは重複する場合もある。それというのも、工程(ia)において溶融物を生ずるには同様に加熱が必要となり得るからである。加熱は、好ましくは、最初は150℃~180℃の温度で行われる。
(ic)混合物、好ましくは工程(ib)から得られた混合物を、好ましくは撹拌により、混合エネルギーを導入しながら反応させる工程。この場合にも、工程(ic)は工程(ib)と重複する場合がある。それというのも、加熱により既に混合物の反応が開始している場合があるからである。この場合に、溶融物は、好ましくは、標準圧力下で、工程(ib)の結果として150℃から180℃の間の温度に既に加熱されている。選択される触媒に応じて、温度を160℃~200℃の範囲内に留めることができる。一方で、工程(ic)における温度は、観察される反応性に応じて、200℃~300℃、好ましくは210℃~260℃、特に好ましくは215℃~240℃に段階的に高められる。反応性は、当業者に既知のように、ガスの発生から推定され得る。この工程においては、原則的により高い温度も可能であるが、より高い温度では二次反応(例えば、変色)が発生する可能性がある。したがって、より高い温度はあまり好ましくはない。ガスの発生が殆ど止むまで、混合物を標準圧力下で撹拌する。本発明によれば、これらの条件下で、少なくとも1つのカルボン酸と、少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応により形成されるアリールアルコール(例えば、ジフェニルカーボネートを使用する場合にはフェノール)を、既に部分的に除去することも可能である。
本発明によれば、ジヒドロキシ化合物(A)及び/又は(B)の少なくとも1つが同様にこの時点までに既に反応し始めていることも観察された。例えば、ジヒドロキシ化合物(A)及び/又は(B)の少なくとも1つと少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応からのカーボネート単位及び/又はジヒドロキシ化合物(A)及び/又は(B)の少なくとも1つと少なくとも1つのジカルボン酸との反応からのエステル単位を含むオリゴマーを検出することができた。
したがって、本発明によれば、方法工程(ii)を実施する前に、方法工程(i)から得られる混合物が、ジヒドロキシ化合物(成分(A)及び/又は成分(B))の少なくとも1つと少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応からのカーボネート単位及び/又はジヒドロキシ化合物(成分(A)及び/又は成分(B))の少なくとも1つの反応からのエステル単位を含むオリゴマーを含むことが好ましい。
工程(ic)における反応時間は、出発材料の量に依存する。好ましくは、工程(ic)における反応時間は、0.5時間から24時間の間、好ましくは0.75時間から5時間の間、特に好ましくは1時間から3時間の間である。この場合に、ガスの発生が殆ど収まるような反応時間を選択することが好ましい(上記の反応スキームを参照)。
本発明によれば、方法工程(i)における反応前の、方法工程(i)において存在する全てのジヒドロキシ化合物及び方法工程(i)において存在する全てのジカルボン酸の合計と、方法工程(i)において存在する全てのジアリールカーボネートとのモル比が、1:0.4~1:1.6、好ましくは1:0.5~1:1.5、更に好ましくは1:0.6~1:1.4、特に好ましくは1:0.7~1:1.3、殊に好ましくは1:0.8~1:1.2、非常に特に好ましくは1:0.9~1:1.1であることが好ましい。当業者は、出発物質の純度に従って対応する最適な比率を選択することができる。
方法工程(ii)
方法工程(ii)において、方法工程(i)から得られた混合物を、少なくとも縮合時に脱離した化学的化合物を除去しながら、更なる縮合に供する。本発明によれば、「更なる」縮合という表現は、少なくとも幾らかの縮合が方法工程(i)において既に起こっていることを意味すると理解されるべきである。これは、好ましくは、アリールアルコールの脱離を伴う、少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と少なくとも1つのジアリールカーボネートとの反応である。しかしながら、オリゴマーを形成するために更なる縮合も既に起こっていることが好ましい(これに関しては方法工程(i)を参照)。
方法工程(i)において第1の触媒のみ又は第2の触媒のみを使用した場合に、方法工程(i)において使用されなかった触媒を方法工程(ii)において添加する。
方法工程(ii)におけるアルカリ金属カチオンの割合は、それぞれの場合に方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、好ましくは0.0009重量%~0.0005重量%、特に好ましくは0.0010重量%~0.0045重量%である。
好ましい実施形態においては、方法工程(i)において、第1の触媒及び第2の触媒が存在する。
第1の触媒の一部及び/又は第2の触媒の一部を方法工程(i)において使用した後に、それぞれの残りを方法工程(ii)において使用することも可能である。
しかしながら、第1の触媒及び/又は第2の触媒の総量を方法工程(i)において使用することが好ましい。両方の触媒の総量を方法工程(i)において使用することが最も好ましい。
「縮合」という用語は当業者に知られている。これは、好ましくは、(同じ物質又は異なる物質の)2つの分子が化合してより大きな分子が形成されるとともに、化学的に単純な物質の分子が脱離する反応を意味すると理解される。縮合時に脱離したこの化合物は方法工程(ii)において除去される。ここで、縮合時に脱離した化学的化合物を方法工程(ii)において減圧によって除去することが好ましい。したがって、本発明による方法が、方法工程(i)において形成された脂環式ジエステルを下回る、ジヒドロキシ化合物の混合物を下回る、及び少なくとも1つのジアリールカーボネートを下回る沸点を有する揮発性成分を、方法工程(i)での反応の間に、任意に段階的な減圧によって除去することを特徴とすることが好ましい。種々の揮発性成分を除去する場合には、段階的な除去を選択することが好ましい。揮発性成分(複数の場合もある)を可能な限り完全に除去するためにも、段階的な除去を選ぶことが好ましい。揮発性成分は、縮合時に脱離した化学的化合物(複数の場合もある)である。
段階的な減圧は、例えば、塔頂温度(overhead temperature)が下がったらすぐに圧力を下げることによって行うことができ、こうして、縮合時に脱離した化学的化合物の連続的な除去が保証される。1mbar、好ましくは1mbar未満の圧力に達したら、所望の粘度に至るまで縮合を続ける。これは、例えば、トルクを監視することによって行うことができる。つまり、所望の撹拌器のトルクに達したら重縮合を止める。
縮合生成物は、好ましくは、方法工程(ii)において、200℃~280℃、特に好ましくは210℃~260℃、殊に好ましくは220℃~250℃の温度で取り出される。取り出す間の真空は、更に好ましくは500mbar~0.01mbarである。真空を下げることにより段階的に取り出しを行うことが特に好ましい。最終段階における真空は、非常に特に好ましくは10mbar~0.01mbarである。
本発明によるポリエステルカーボネートは、全ての種類の成形品にそのまま加工することができる。これを他の熱可塑性物質及び/又はポリマー添加剤とともに加工して、熱可塑性成形コンパウンドを得ることもできる。成形コンパウンド及び成形品は、本発明の更なる主題である。
ポリマー添加剤は、好ましくは、難燃剤、ドリップ防止剤、難燃助剤、煙抑制剤、潤滑及び離型剤、核剤、帯電防止剤、導電性添加剤、安定剤(例えば、加水分解安定剤、熱老化安定剤及び紫外線安定剤、及び更にエステル交換防止剤)、流動促進剤、相溶化剤、染料及び顔料、耐衝撃性改良剤及び更に充填剤及び補強剤からなる群より選択される。
熱可塑性成形コンパウンドを、例えば、ポリエステルカーボネート及び更なる成分を混合し、これらを慣用のユニット、例えば、内部混練機、押出機、及び二軸スクリューシステムにおいて、好ましくは200℃~320℃の温度で溶融コンパウンド化(melt-compounding)及び溶融押出しを行うことにより既知の方法で調製することができる。本発明の文脈においては、この方法は、概してコンパウンド化という。
したがって、「成形コンパウンド」という用語は、組成物の成分が溶融コンパウンド化され、溶融押出しされたときに得られる生成物を意味すると理解される。
本発明によるポリエステルカーボネートから、又は該ポリエステルカーボネートを含む熱可塑性成形コンパウンドから形成される成形品は、例えば、射出成形、押出し及びブロー成形法により製造することができる。別の加工の形態は、予め製造されたシート又はフィルムからの熱成形による成形品の製造である。
使用される材料:
ジフェニルカーボネート:ジフェニルカーボネート、99.5%、CAS 102-09-0;Acros Organics(ベルギー、ヘール)、略してDPC
4-ジメチルアミノピリジン:4-ジメチルアミノピリジン;98.0%以上;purum;CAS 1122-58-3;Sigma-Aldrich(ドイツ、ミュンヘン)、略してDMAP
イソソルビド:イソソルビド(CAS:652-67-5)、99.8%、Polysorb PS A;Roquette Freres(フランス、レストロン62136);略してISB
水酸化リチウム一水和物(CAS:1310-66-3);99.0%超;Sigma-Aldrich
1,4-シクロヘキサンジメタノール:CAS:105-08-8、Aldrich 99%(略してCHDM)
アジピン酸:Sigma-Aldrich;CAS:124-04-9;99%
テレフタル酸 Bernd Kraft;CAS:100-21-0;バッチ番号:19040245;「合成用」
フランジカルボン酸:abcr;CAS:3238-40-2;ロット:1427213
分析法:
溶液粘度
溶液粘度の決定:相対溶液粘度(ηrel;相対ηとも呼ばれる)を、ウベローデ粘度計を使用してジクロロメタン中で5g/lの濃度において25℃にて決定した。この決定はDIN51562-3;1985-05に従って実施された。この方法は、測定されるポリエステルカーボネートのフロータイムをウベローデ粘度計により測定した後に、ポリマー溶液とその溶媒との間の粘度の差を確かめることを含む。このために、純粋な溶媒であるジクロロメタン、トリクロロエチレン、及びテトラクロロエチレンを測定することによってウベローデ粘度計を初期較正する(常に少なくとも3回であるが、多くても9回の測定を行う)。これに続いて、溶媒であるジクロロメタンを使用して実際の較正を行う。次に、ポリマー試料を秤量し、ジクロロメタン中に溶解した後に、この溶液についてフロータイムを3回決定する。ハーゲンバッハ補正を介してフロータイムの平均値を補正して、相対溶液粘度を算出する。
ガラス転移温度の決定
ガラス転移温度を、規格DIN EN ISO 11357-1:2009-10及びISO 11357-2:2013-05に従って、窒素下で10K/分の昇温速度において示差走査熱量測定(DSC)によって決定した。ここで、ガラス転移温度(Tg)の決定は、2回目の昇温過程における変曲点として測定された。
比較例1(テレフタル酸を用いた実験)
0.40molのテレフタル酸、0.14molのシクロヘキサンジメタノール、及び0.27molのイソソルビド、並びに0.44molのジフェニルカーボネート、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン;出発材料テレフタル酸、DPC、及びISBに対して100ppm)、及びおよそ30ppmのLiに相当する水酸化リチウムの水溶液(100g/l)を、短行程分離機を備えたフラスコに初充填した。脱気及び窒素による通気を4回行うことにより、混合物から酸素を除去した。混合物を溶融し、撹拌しながら標準圧力で160℃に加熱した。混合物を160℃で40分間、175℃で60分間、190℃で30分間、205℃で10分間撹拌した。この操作の間に、二酸化炭素が継続的に発生した。COの発生が止んだら、浴温度を220℃に調整した。更に20分後に、真空を適用した。30分間かけて圧力を10mbarに下げた。この工程の間に、フェノールを連続的に除去した。混合物を10mbarで約10分間撹拌した。次に、圧力を1mbar未満(およそ0.7mbar)に下げ、更に10分間縮合を続けた。その後、混合物の処理を止めた。
比較例1について記載されるようにして、その他の実施例(Ex.)を実施した。まず、比較例1とは異なり、更に表1においてそれぞれ指定された酸を、ポリマーを形成する全ての他のモノマー及び触媒と一緒に、短行程分離機を備えたフラスコに入れた(ここで、違いを表に記載)。
Figure 2023529991000028
本発明による実施例2、実施例3、及び実施例4は、本発明の方法により所望のポリエステルカーボネートが高い粘度で得られることを示している。ここで、更なる酸、特にバイオベースの酸の添加により、更なる酸が存在しない例と比較して分子量の大幅な上昇が引き起こされることが分かる(実施例2と実施例3との比較を参照)。温度が高いほど良好な混和性が観察されたことから、これは、分子量の更なる増加が起こった可能性があることを意味している。また、非バイオベースのテレフタル酸を用いて同じプロセスを実施すると、もたらされる分子量の増加が低いことが分かる。さらに、これらの実験は、酸(又はポリマー中の対応するエステル基)の全体的な割合が、高い全体的な含有量のバイオベースの構造モチーフを有し、同時に弾性率及び破断点伸び等の良好な機械的特性を示すポリエステルカーボネートをもたらすことを示している。同時に、フランジカルボン酸の割合を高めても、分子量の明らかな増加を達成することができなかった(比較例2)。これは、本発明による方法でのみ、規定のエステル基含有量を有するポリエステルカーボネートを得ることができることを意味する。

Claims (15)

  1. 構造式(1)
    Figure 2023529991000029
    を含むポリエステルカーボネートであって、式中、
    Aは、繰返単位ごとに独立して、少なくとも構造単位(A)又は構造単位(B)のいずれかを表し、ここで、
    (A)は、化学式(2)
    Figure 2023529991000030
    を表し、かつ、
    (B)は、化学式(3)
    Figure 2023529991000031
    を表し、式中、
    xは、4個~20個、好ましくは5個~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基を表し、前記ポリエステルカーボネートは、常に前記構造単位(A)及び前記構造単位(B)を含み、
    yは、それぞれ独立して、化学式(IV)
    Figure 2023529991000032
    を表し、かつ、
    0<x<1であり、ここで、
    それぞれの場合におけるは、前記化学式が前記ポリエステルカーボネート中に組み込まれる位置を示し、
    前記ポリエステルカーボネートは、以下の構造モチーフ
    Figure 2023529991000033
    の総合計に対して、5mol%~30mol%、好ましくは7mol%~25mol%、特に好ましくは9mol%~20mol%の程度が構造モチーフ
    Figure 2023529991000034
    からなることを特徴とする、ポリエステルカーボネート。
  2. 前記ポリエステルカーボネートは、それぞれの場合に構造単位(A)及び構造単位(B)の合計に対して、
    50mol%~75mol%、好ましくは53mol%~72mol%、特に好ましくは57mol%~70mol%の構造単位(A)と、
    25mol%~50mol%、好ましくは28mol%~47mol%、特に好ましくは30mol%~43mol%の構造単位(B)と、
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルカーボネート。
  3. 前記ポリエステルカーボネートは、前記ポリエステルカーボネートの総重量に対して、少なくとも80重量%、好ましくは85重量%、特に好ましくは90重量%の程度が構造式(1)からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリエステルカーボネート。
  4. 前記ポリエステルカーボネートは、以下の構造モチーフ
    Figure 2023529991000035
    の総合計に対して、40mol%~70mol%、好ましくは45mol%~65mol%、特に好ましくは50mol%~60mol%の程度が化学式(2)
    Figure 2023529991000036
    からなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネート。
  5. 前記ポリエステルカーボネートは、以下の繰返単位(i)~繰返単位(iv)
    Figure 2023529991000037
    (式中、a、b、c、及びdは、それぞれ独立して、それぞれの場合の繰返単位の平均数を示す自然数を表す)を任意の順序で含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネート。
  6. 前記ポリエステルカーボネートは、以下の構造モチーフ
    Figure 2023529991000038
    の総合計に対して、20mol%~40mol%、好ましくは22mol%~38mol%、特に好ましくは25mol%~35mol%の程度が化学式(3)
    Figure 2023529991000039
    からなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネート。
  7. 化学式(3)におけるxは、構造式(4):
    Figure 2023529991000040
    を表すことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネート。
  8. 化学式(1)におけるyは、化学式(5):
    Figure 2023529991000041
    を表すことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネート。
  9. 溶融エステル交換により請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネートを調製する方法であって、
    (i)少なくとも、式(IVa)
    Figure 2023529991000042
    の少なくとも1つのジカルボン酸と、
    少なくとも1つのジアリールカーボネートとを、少なくとも1つの触媒を使用して、(A)少なくとも1つの1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール及び(B)少なくとも1つの更なる脂環式ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物の混合物の存在下で反応させる工程と、
    (ii)方法工程(i)から得られた混合物を、少なくとも縮合時に脱離した化学的化合物を除去しつつ、更に縮合させる工程と、
    を含む、方法。
  10. 方法工程(i)における前記反応を、少なくとも1つの第1の触媒及び/又は第2の触媒の存在下で行い、かつ方法工程(ii)における前記縮合を、少なくとも前記第1の触媒及び前記第2の触媒の存在下で行い、ここで、前記第1の触媒は、少なくとも1つの第三級窒素塩基であり、前記第2の触媒は、少なくとも1つの塩基性アルカリ金属塩であり、かつ方法工程(ii)におけるアルカリ金属カチオンの割合は、方法工程(i)において使用される全ての成分に対して、0.0008重量%~0.0030重量%であることを特徴とする、請求項9に記載のポリエステルカーボネートを調製する方法。
  11. 前記少なくとも1つのジアリールカーボネートは、式(6)
    Figure 2023529991000043
    (式中、R、R’、及びR’’は、それぞれ独立して、同一又は異なる場合があり、水素、任意に分岐したC~C34アルキル、C~C34アルキルアリール、C~C34アリール、ニトロ基、カルボニル含有基、カルボキシル含有基、又はハロゲン基を表す)の化合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項9又は10に記載のポリエステルカーボネートを調製する方法。
  12. 前記少なくとも1つのジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネートであることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネートを調製する方法。
  13. 前記第1の触媒は、グアニジンから誘導される塩基、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、及びこれらの物質の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネートを調製する方法。
  14. 請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネートを含む成形コンパウンド。
  15. 請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステルカーボネートを含む成形品。
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