JP2020535238A - 高耐熱性ポリカーボネートエステル及びその調製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
下記の式1で表される繰り返し単位1、
下記の式2で表される繰り返し単位2、及び
下記の式3で表される繰り返し単位3を含む、高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを提供する。
(1)下記の式4で表される化合物を、末端にハロゲン官能基を有する中間反応体に変換した後、フェノール若しくはフェノール置換基との求核反応をすること、又は下記の式4で表される化合物にフェノール若しくはフェノール置換基とのエステル交換反応若しくはエステル化反応を施すことにより、下記の式5で表される化合物を調製するステップ、並びに
(2)下記の式5〜7で表される化合物と1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとに溶融重縮合反応を施して、下記の式1〜3で表される繰り返し単位1〜3を含有する化合物を調製するステップを含む方法を提供する。
本発明は、下記の式1で表される繰り返し単位1、下記の式2で表される繰り返し単位2、及び下記の式3で表される繰り返し単位3を含む、高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを提供する。
更に、本発明は、高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法であって、
(1)下記の式4で表される化合物を、末端にハロゲン官能基を有する中間反応体に変換した後、フェノール若しくはフェノール置換基との求核反応をすること、又は下記の式4で表される化合物にフェノール若しくはフェノール置換基とのエステル交換反応若しくはエステル化反応を施して、下記の式5で表される化合物を調製するステップ、並びに
(2)下記の式5〜7で表される化合物と1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとに溶融重縮合反応を施して、下記の式1〜3で表される繰り返し単位1〜3を含有する化合物を調製するステップを含む方法を提供する。
本ステップでは、上記の式4で表される化合物を、末端にハロゲン官能基を有する中間反応体に変換した後、フェノール若しくはフェノール置換基との求核反応をすること、又は上記の式4で表される化合物にフェノール若しくはフェノール置換基とのエステル交換反応若しくはエステル化反応を施すことにより、上記の式5で表される化合物を調製する。
末端にハロゲン官能基を有する中間反応体は、下記の式8で表される化合物でもよい。
更に、上記のステップ(1)で、上記の式4でR1が水素である場合はTPA、又は上記の式4でR1がメチルである場合はDMTが、フェノール又はフェノール置換基とのエステル交換反応又はエステル化反応にかけられて、上記の式5で表される化合物が調製される(上記の反応スキーム1参照)。
このステップで、下記の式5〜7で表される化合物と1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとは溶融重縮合反応にかけられて、下記の式1〜3で表される繰り返し単位1〜3を含有する化合物が調製される。
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、イソマンニド、イソソルビド又はイソイジドでもよい。詳細には、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールはイソソルビドでもよい。
高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルは、上記の繰り返し単位1〜3から構成されてもよい。詳細には、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと上記の式7で表される化合物とを反応させて、カーボネート結合(繰り返し単位1、式1)を形成してもよく、1,4:3,6−ジアンヒドロキシヘキシトール(dianhydroxyhexitol)と上記の式6で表される化合物とを反応させて、エステル結合(繰り返し単位2、式2)を形成してもよく、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと上記の式5で表される化合物を反応させて、エステル結合(繰り返し単位3、式3)を形成してもよい。
溶融重縮合反応は、高粘度を有する溶融反応体から急速に副生成物を除去し、重合反応を促進するために、段階的な手段で温度を上昇させ、圧力を低下させることにより実施してもよい。
(2−1)50〜700torrの減圧下で130〜250℃、140〜240℃又は150〜230℃の温度で、0.1〜10時間又は0.5〜5時間の第1の反応ステップ、及び
(2−2)0.1〜20torrの減圧下で200〜350℃、220〜280℃又は230〜270℃の温度で、0.1〜10時間又は0.5〜5時間の第2の反応ステップ
を含んでよい。
(2−1)温度を130〜200℃に上昇させ、続いて圧力を200〜700torrに低下させること、及び0.1〜10℃/分の速度で温度を200〜250℃に上昇させ、続いて圧力を50〜180torrに低下させることを含む、第1の反応ステップ、並びに
(2−2)圧力を1〜20torrに低下させ、続いて0.1〜5℃/分の速度で温度を200〜350℃に上昇させること、及び圧力を0.1〜1torrに低下させることを含む、第2の反応ステップ
を含んでよい。
上記のステップ(2)中の反応体(すなわち、上記の式5〜7で表される化合物及び1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール)は、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール以外の追加のジオール化合物を含んでよく、追加のジオール化合物に特に制限はない。追加のジオール化合物はポリマーの目標特性に応じて第一級、第二級又は第三級ジオール化合物でもよい。
また、ステップ(2)中の反応体(すなわち、上記の式5〜7で表される化合物及び1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール)は、ポリマーの目標特性に応じて、ポリマー鎖中のエステル結合用のモノマーである、上記の式5及び6で表される化合物以外の追加のジフェニルエステル化合物を含んでよい。利用されている追加のジフェニルエステル化合物のモル比がpである場合、利用されている上記の式5〜7で表される化合物のモル比は1−pとなるべきである。このとき、pは0≦p<1を満たしてもよい。
上記の溶融重縮合反応において、この反応の反応性を増強するために触媒を使用することができる。触媒は任意の時間に反応ステップに添加してもよいが、反応前に添加することが好ましい。
4枚羽根撹拌機、ホスゲン及び窒素ガスの入口、ガスの出口並びに温度計を備えた1Lの丸底フラスコに、100g(0.60mol)のTPA(SK Chemicals)及び200gのトルエンを入れた。混合物を室温で撹拌した。1.28molのホスゲンガスを大気圧下で10時間フラスコに供給して反応を実施した。その後、フラスコに2時間窒素ガスを供給して、副生成物として発生した残存ホスゲン及び塩酸ガスを除去し、それによって透明で均質な反応溶液を得た。ガスクロマトグラフィー(GC)により反応溶液を分析した結果、TPCの比は49重量%であり、反応収率は87%であることが分かった。
有機触媒として1.27g(0.017mol)のジメチルホルムアミドを利用したことを除いては調製例1の手順を繰り返して、DPTを調製した。合成の結果、GC分析によると反応収率は84%であり、DPTの純度は99.7%であった。
4枚羽根撹拌機、ホスゲン及び窒素ガスの入口、ガスの出口並びに温度計を備えた1Lの丸底フラスコに、100g(0.51mol)のDMT(SK Chemicals)、2.0g(0.015mol)の塩化アルミニウム、及び200gのトルエンを入れた。混合物を室温で撹拌した。1.10molのホスゲンガスを大気圧下で10時間フラスコに供給して反応を実施した。その後、フラスコに2時間窒素ガスを供給して、副生成物として発生した残存ホスゲン及び塩酸ガスを除去し、それによって透明で均質な反応溶液を得た。ガスクロマトグラフィー(GC)により反応溶液を分析した結果、TPCの比は48重量%であり反応収率は89%であることが分かった。
4枚羽根撹拌機、冷却コンデンサ及び温度計を備えた1Lのオートクレーブに100g(0.6mol)のTPA、565g(6mol)のフェノール、及び触媒として1.83g(0.01mol)の酢酸亜鉛(Zn(OAc)2)を入れた。次いで、混合物を100℃に加熱し撹拌し、続いて1kgf/cm2まで加圧し、温度を上昇させて200℃で10時間反応を実施した。このとき、反応副生成物として発生した水をオートクレーブから排出した。反応が完了した時点で、減圧下で過剰に添加されたフェノールを留去し、それによって最後に未反応材料を含有する固形生成物を得た。
4枚羽根撹拌機、冷却コンデンサ及び温度計を備えた1Lのオートクレーブに100g(0.51mol)のDMT(SK Chemicals)、480g(5.10mol)のフェノール、及び1.72g(0.01mol)のp−トルエンスルホン酸を入れた。次いで、混合物を100℃に加熱し、撹拌し、続いて1kgf/cm2まで加圧し、温度を上昇させて200℃で10時間反応を実施した。このとき、反応副生成物として発生したメタノールをオートクレーブから排出した。反応が完了した時点で、過剰に添加されたフェノールを減圧下で留去し、それによって最後に未反応材料を含有する固形物を得た。
重縮合のため18Lのベンチスケール反応器に1,995g(13.7mol)のイソソルビド(ISB、Roquette Freres)、調製例1で調製された436g(1.37mol)のDPT、444g(1.37mol)のDPCD(SK Chemicals)、2,345g(10.96mol)のDPC(Changfeng)、及びアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)の1%水溶液2gを入れた。混合物を150℃に加熱した。いったん温度が150℃に達すると、圧力を400torrに低下させ、次いで温度を1時間かけて190℃に上昇させた。温度上昇中、重合反応の副生成物としてフェノールが発生した。温度が190℃に達した場合、圧力を100torrに低下させ20分間維持し、次いで温度を20分かけて230℃に上昇させた。いったん温度が230℃に達すると、圧力を10torrに低下させ、次いで温度を10分かけて250℃に上昇させた。圧力を250℃で1torr以下に低下させ、目標とする撹拌トルクに達するまで反応を続けた。目標とする撹拌トルクに達すると、反応を終了させた。重合生成物を圧力下でストランドとして排出し、水浴中で急冷させ、次いでペレットに切り分けた。このように調製されたポリカーボネートエステルはTgが168℃であり、IVは0.54dL/gであった。
ポリマー用の原材料が下記の表1に記載されているとおりであることを除いては、実施例1と同一の手順を繰り返した。
調製例1で調製された1,623g(5.1mol)のDPT、2,549g(11.9mol)のDPC、1,988g(13.6mol)のISB、及び490g(3.4mol)の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM、SK Chemicals)を使用した一方、DPCDは使用しなかったことを除いては、実施例1と同一の手順を繰り返してポリカーボネートエステルを調製した。このように調製されたポリカーボネートエステルのTgは155℃であり、IVは0.55dL/gであった。
ポリマー用の原材料が下記の表1に記載されているとおりであることを除いては、比較例1と同一の手順を繰り返してポリカーボネートエステルを調製した。
実施例1〜10及び比較例1〜3のポリカーボネートエステルをそれぞれその物理的特性について下記の方法により評価した。測定された物理的特性は下記の表1に示されている。
ASTM D3418に基づいて示差走査熱量計(Q20、TA Instruments)を使用してガラス転移温度を測定した。
ASTM D1003に基づいて分光光度計(CM−3600A、コニカミノルタ)を使用して厚さ4mmの試料について光透過率を測定した。
ASTM D1238に基づいて、メルトインデックス測定装置(G−01、東洋精機)を使用して260℃で2.16kgの荷重の条件下でメルトフローインデックスを測定した。
Claims (14)
- 下記の式1で表される繰り返し単位1、
下記の式2で表される繰り返し単位2、及び
下記の式3で表される繰り返し単位3
を含む、高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステル。
- 前記繰り返し単位1が1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとカーボネートとの反応により得られ、前記繰り返し単位2が1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールと1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの反応により得られ、前記繰り返し単位3が1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとテレフタレートとの反応により得られる、請求項1に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステル。
- 前記繰り返し単位1〜3から構成されており、
前記繰り返し単位1〜3のモル分率が、それぞれx、y及びzである場合、xが0を超え1未満の実数であり、yが0を超え0.7までの実数であり、zが0を超え0.6までの実数であり、x+y+zが1である、請求項1に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステル。 - 160〜240℃のガラス転移温度を有し、
260℃で2.16kgの荷重下で測定した場合、5〜150g/10分のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステル。 - (1)下記の式4で表される化合物を、末端にハロゲン官能基を有する中間反応体に変換した後、フェノール若しくはフェノール置換基との求核反応をすること、又は下記の式4で表される化合物にフェノール若しくはフェノール置換基とのエステル交換反応若しくはエステル化反応を施すことにより、下記の式5で表される化合物を調製するステップ、並びに
(2)下記の式5〜7で表される化合物と1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールとに溶融重縮合反応を施して、下記の式1〜3で表される繰り返し単位1〜3を含有する化合物を調製するステップ
を含む、高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
[式中、R1はメチル又は水素であり、
R2及びR3はそれぞれ、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基又は6〜18個の炭素原子を有するアリール基であって、前記アリール基が、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、4〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、1〜18個の炭素原子を有するアルコキシ基、4〜20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、6〜18個の炭素原子を有するアリールオキシ基、1〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基、4〜20個の炭素原子を有するシクロアルキルスルホニル基、6〜18個の炭素原子を有するアリールスルホニル基、及びエステル置換基からなる群から選択される、少なくとも1種の置換基を有してもよい。]
- 前記高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルが前記繰り返し単位1〜3から構成されており、
前記繰り返し単位1〜3のモル分率が、それぞれx、y及びzである場合、xが0を超え1未満の実数であり、yが0を超え0.7までの実数であり、zが0を超え0.6までの実数であり、x+y+zが1である、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。 - 末端にハロゲン官能基を有する前記中間反応体が、下記の式8で表される化合物である、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
[式中、R4がそれぞれ独立にF、Cl又はBrである。] - 前記ステップ(1)の求核反応における、前記式8で表される化合物対フェノール又はフェノール置換基のモル比が1:1〜5である、請求項7に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
- 末端にハロゲン官能基を有する前記中間反応体が、前記式4で表される化合物をハロゲン化化合物と反応させることにより調製され、
前記ハロゲン化化合物が、ホスゲン、トリホスゲン、塩化チオニル、塩化オキサリル、三塩化リン、五塩化リン、五臭化リン及びフッ化シアヌルからなる群から選択される、少なくとも1種である、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。 - 前記ステップ(2)における、前記中間反応体への変換が、大気圧下で−30〜150℃の温度で5分間〜48時間実施される、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
- 前記式7で表される化合物がジフェニルカーボネート又は置換ジフェニルカーボネートである、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
- 前記ステップ(1)のエステル交換反応又はエステル化反応が20〜300℃で実施される、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
- 前記ステップ(1)のエステル交換反応又はエステル化反応における、前記式4で表される化合物対フェノール又はフェノール置換基のモル比が1:2〜40である、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
- 前記ステップ(2)における溶融重縮合反応が、
(2−1)50〜700torrの減圧下で130〜250℃の温度で0.1〜10時間の、第1の反応ステップ、及び
(2−2)0.1〜20torrの減圧下で200〜350℃の温度で0.1〜10時間の、第2の反応ステップを含む、請求項5に記載の高耐熱性のバイオベースポリカーボネートエステルを調製するための方法。
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